御器所駅を出て山王通を東へ。西友前の広路通1交差点を左へ。すると三店舗長屋の右端にお店が。青い…空色だ…店頭の袖壁と足回り、それに雨樋まで青く塗られている。ガラス戸には店名の他に、『ワープロ文書作成』『カラーコピー』などの文字が躍っている。古本屋以外にも何やらやっているようだ。そのガラス戸の中には、本と本棚以外にも回転式の印鑑ケースが二台置かれている。多少の不安を抱きつつ店内へ。むむ…狭い…ほぼ半分倉庫状態である。通路も極細…。そしてこの右側の見慣れぬモノは一体!?……おぉ!これは移動式書架!こんな大そうな仕掛けを見るのは『魚山堂』以来!ん?よく見るとその書架の脇に紙が貼り出してある。『この棚はセルフサービス式の移動書架です。側面に向かって左右の方向に手動操作してご自由にご検索下さい』…!これを自分で動かしていいのか…へへへへ、ワクワクするなぁ。使用方法の図解(手描きでカワイイ)も示してあり、他のお客への注意も促してある…そりゃ挟まったら大事ですから。その書架の前には小さめな棚が二本置かれ、その間に身体を滑り込ませ閲覧する仕組み。左側の壁はすべて本棚、真ん中に背中合わせの棚が手前と奥に一本ずつ、通路にも所々に本が積み上がっている。奥にレジがあり『THE古本屋』なオヤジさんが、作業着を着込んでパソコンに熱中している。移動式書架にハートを連射されながらも、落ち着きを装い他の棚から見始める。小さな棚二本には絵本や『こどものとも』が詰まっている。向かいの通路棚には大量の児童文学と海外文学。奥の棚には、詩・文学評論・古典・少量の文庫・古い広告図案集などが収まる。棚の裏側には手前に教育・児童・思想、奥に哲学・日本文学となっている。壁際には、脚立・新書・岩波文庫・科学全般・美術・実用・民俗学・歴史・宗教と並んでいる。そしていよいよ右側の移動式書架へ!書架は全部で七本、入り込める場所は二ヶ所。入れる場所が限定されるために、事前の書架の移動調節が不可欠である。空きスペースに見たい棚が来るように、パズル気分で移動…文庫棚は簡単に動くが、単行本の棚は重い!…ゲームの『倉庫番』実写版のようである。棚の中には、楽譜・ビジュアル本・海外文学文庫・ミステリ&SF文庫・日本文学文庫・教養&雑学文庫・技術書・戦争関連などが並んでいる。本って重いなぁ、と今更のように思いつつ『ガーガーガチャン』と古本屋らしからぬ音を響かせ、質量を感じさせる重労働。しかしこれが結構楽しかったりする。この手前の小さい棚が無かったらもっと動かしやすいのだが…。そして動かした書架の中から一冊抜き取ってレジへ。本を渡すと、カバーに貼り付けてある値段&分類シールを手早く剥がし、しばし本を眺める。そして「○○○円でいいわ」と突然の値引。反射的に「ありがとうございます」と軽く頭を下げる。すると今度はお釣りを渡しながら店主が「ありがとうありがとう」と気さくで丁寧なお礼。古い本も多く、値段も安い。そして目玉は何と言っても、セルフの移動式書架!ここまで来てよかった!光文社カッパブックス「メキシコの青春/北川民次」を購入。今回の名古屋、本来は鶴舞の先を訪ねるはずであった。しかし別な所にもチャレンジしたく、今回は御器所(ごきそ)周辺に焦点を定めたのだった。しかし「空の鳥文庫」以外はみんな臨時休業しており、そこには「名古屋大市のため…」と言う貼紙が。くぅ、タイミングが悪かった…。


●浜松「典昭堂」
●浜松「古書の三軒堂」
駅を出て伏見通を南へ。アーケードの商店街・仁王門通に入り、丁度真ん中辺を右に入ると、路地の角地に発見できる。外観は古本屋さんにはまったく見えず、看板を見落としていたら通り過ぎていただろう。その看板がまた可愛らしい。街&翼の生えた猫のシルエットが、昭和初期的アールデコ風文字で書かれた店名を囲んでいる。左にあるガラス扉を覗くと、嬉しいことに完全なる古本屋!扉に何やら貼紙があるのに気付き注視すると『本日都合により5時にて終了しました。お出でになった方には申し訳ありません』とかなり小さな文字で書いてある。現在3時45分…やってないのかと不安になりつつも、扉に手を掛け引き開けてみる。鍵は掛かっていない!中に入ると壁一面の棚と本の山…右側にレジらしきものが。その本の山の向こうから店主が顔を出した。「いいですか?」と聞くと「ああ」…気の早過ぎる貼紙にだまされなくてよかった…。左の壁は、演劇・映画・文学のハードカバーが並ぶ。目の前には本の山と小さな文庫棚。レジ前から迂回しないと奥には進めない。上から見ると“?”の下の点が無いカタチに、一本の通路が構成されている。文庫棚には。幻想文学・映画・演劇・美術・芸能などが並ぶ。レジ横の本の山の上にも文庫の入った小さな箱が二つ置かれている。通路を進み右壁際の棚。そこには演劇関連が大量に並ぶ。演劇論・演劇史・戯曲…奥には歌舞伎や落語などの伝統芸能。角を曲がり奥の棚には、幻想文学・美術・哲学・思想・海外文学が広く収まる。さらに角を曲がり再び左の壁際、詩歌・日本文学・映画&テレビ・シナリオが並ぶ。店の真ん中は、本が横積みされた山が占めている。深い品揃え&値段も安めでいい感じ。レジで本を手渡す、といきなりの50円引き!ありがとうございます!レジ横の柱を見ると、麦藁帽子の下に何やら古いモノクロ写真が飾られている。町の狭い路地…『猫飛横丁 昭和11年』のト書き。店主に「この辺りは猫飛横丁って言うんですか?」と聞くと「ん〜ん、猫飛横丁って言うのは、別にこの辺のことじゃなくて、いわゆる遊郭の軒と軒とが触れ合いそうな狭い路地の通称。屋根から屋根へ猫が飛び移って移動しそうだから、そう言われたんだ。昔、年寄りにそういう話を聞いたことがあって、色んな流れで店名になったんだよ」と丁寧に説明していただく。「まぁこの辺でも、奥に入るとまだそんな雰囲気が味わえるよ」…おぉ、何とロマンチックな。意外な楽しい店名の由来話に礼を言い、店を辞す。早く戻らなければならないのだが(これさえ無ければ…)、試しに狭い古びた路地に入り込み、ちょっと遠回り。路地を歩きながら頭上を見上げる。今にも毛だらけのお腹を見せた猫が飛び出して来そうな、屋根と庇に切り取られた、そんな狭い空が見えていた。新潮文庫「気まぐれ美術館/洲之内徹」を購入。
●名古屋「古書 神無月書店」
●名古屋「古書 林書店」
●金沢「文学堂書店」
●金沢「明治堂書店」
●名古屋「山星書店」
●名古屋「大学堂書店」
●名古屋「古本 NET WORK」
●名古屋「三進堂書店」
●名古屋「亜希書房」
●名古屋「つたや書店」
●名古屋「三松堂」
浜松城のお膝元にある古本屋。大通りがカーブし坂道になるところに面している。この日も雨で外のワゴンに本は出ていない。中に入るとすでにお客さんが四人品定めをしている。人通りも少なく市街地からは外れているのに、この客入りということは地元では有名店なのだろうか。店内は整然としており、分類もしっかり。文学・実用書・児童書・学術書・美術書・雑誌・漫画・豆本・郷土本・山岳書など。文庫は少なめである。中でも入り口右奥からレジまでの棚で一面を占領する文学はすばらしい。奥に行くほど古くなっていく並び。おっ!と思わせる本が散見される。そして値段が安め。手にする本手にする本、この値段なら買ってもいいと思わせる絶妙の値付けなのである。私は真鍋博の「未来行き列車に乗って」を購入。この日も店内滞在時間は20分と短く、もうちょっと財布と相談しながら色々悩みたかった…と思いながら、仕事場までダッシュで戻った(約1.2キロ)後ろ髪ひかれる浜松でした。