2016年11月14日

11/13「古本屋ツアー・イン・京阪神」発売記念 大阪→京都ミニミニキャンペーン!

新刊「古本屋ツアー・イン・京阪神」は、関西の古本屋さんを集めた本である。だから、無事に発売になったからと言って、東京で「ふぅ、出来た出来た。終わった終わった」と、のうのうとしているわけにはいかない。取材でお世話になりまくった西に、お礼と本の普及を兼ねて再び乗り込まなければ、義理が立たぬし何だか寂しい!と、本の雑誌社さんにお願いし、大阪と京都で小さなキャンペーンを決行する。12日(土)は「梅田蔦屋書店」にて、『著者と話そう 古本屋ツアー・イン・ジャパン 小山力也さん×古書コンシェルジュ』というトークを貸し会議室にて。翌13日(日)は「古書 善行堂」(2012/01/16参照)にて五時間店番イベント『古本屋ツアー・イン・善行堂』を連続開催。

まずは12日、こだま号にて東京を離れ、四時間後に大阪着。旅行パックの宿泊先である『ホテルニューオータニ大阪』に」チェックインすると、これが無駄に豪華で、客室一面硝子窓の向こうには、大阪城と大阪城ホールがドドン!
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優雅で壮大な景色に、気分だけは大作家になったつもりになるが、実は編集さんと相部屋なのである…。ちょっと休んでこだま号移動の疲れを癒し、午後五時に大阪駅駅ビルのひとつ『ルクア イーレ』9Fの「蔦屋書店」入りし、まずは店内をツアーする。迷いまくるというか、己の現在位置を見失うこと必至の、楕円形のトラック型通路に沿って作られた、だだっ広くお客が驚くほどあふれる店内。通路は『マガジンストリート』と名付けられており、その外側のひとつである写真集コーナーには、洋書・和書ともに古本が紛れ込んでいる。特に日本作家のコーナーは、1900年から始まる、古い時代から写真の歴史をなぞるように作られた棚が、絞り込んだ輝きを見せている。夏に古書市も開かれた古書コーナーは、非常に分かり難い場所にあり、『4thラウンジ』という名のカフェスペースの壁面に、ひっそりと設置されている。十一本の天井まである棚には、左から文学・カラーブックス・「宝島」・「洋酒天国」・「あまカラ」・アート・デザイン・写真集、そして販売継続中の恥ずかしながらの古ツア棚・「ジグソーハウス」(2016/06/11参照)棚・「古書鎌田」棚・「口笛文庫」(京阪神p164)棚・「メンズクラブ」・「VOGUE」などが続き、右下には木箱が並び、雑誌やビジュアル本、それに「トンカ書店」(京阪神p170)出品の本も少々並んでいる。貸し棚以外は、アート系ビジュアル本が多い。値段はしっかり目だが、かっちりきっちり知識と教養が込められた芯のはっきりした並びは、眺めていて清々しさあり。ローヤルホテル「随筆集 大阪讃歌」を手にして、集中レジまでテクテク歩いて精算する。
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これはその時に書いたメモ。トーク時に配られる予定だったが、手違いにより温存されてしまった。当日トークに参加された方や、以降「京阪神」お買い上げの方々に配布予定である。詳細は古書コンシェルジュにお問い合わせを。

トークは午後七時からスタートし、狭い会議室に二十名弱を集め、一時間強を必死に完走。驚いたのは滑り込みセーフで、神戸の「トンカ書店」さんと大阪・北新地の「本は人生のおやつです!!」さん(京阪神p72。この奇天烈な店名の略称は、大阪では『本おや』さん、東京では『おやつ』さんであることを知る。マクドナルドが『マクド』と『マック』に分かれるようなものか…)が駆け付けてくれたこと!紹介されつつ、お互いにうわうわキャーキャー叫んでしまう。何はともあれ、当日集まって下さったみなさま、ありがとうございました!招いて下さった蔦屋書店コンシェルジュのみなさまにも感謝し、もはやどうやってたどりついたのかも判然としない、梅田の路地裏の中華料理屋にて打ち上げをする。

明けて13日。午前のうちに京都に移動し、ちょっと早めのお昼ゴハンを食べてから、出町柳西の吉田山ふもとの「古書 善行堂」へ。するとまだ正午前なのにお店はしっかり開店しており、第一号のお客さんとともに、ちょっといつもよりシックにお粧しした善行氏が笑顔で迎えてくれた。おっ、店内も通路が片付き椅子が出され、お客さんが腰掛け寛げるようになっている。だが、今日こそは五時間店員の特権を利用し、二階の倉庫を見せてもらおうと意気込んでいたのだが、店内を片付けた故、二階への階段は積み重なった荷物に阻まれてしまっていた…しょんぼりして諦め、帳場向かいの極細通路に作っていただいた席に腰を下ろし、嬉しくなるほどひっきりなしに訪れるお客さんたちと、会話を交わし識語署名捺印し、善行氏を交えディープな古本話を楽しく繰り返す。神保町のオタどんさん・マサキングさん・強力ミステリコレクターさん・青山光二コレクターさん・オーディオ雑誌コレクターさん・昨日に引き続きの「キンモクセイ文庫」さん、それに恐縮の大大先輩・高橋輝次氏に世田谷ピンポンズさん・「ヨゾラ舎」さん(2016/04/22参照)などなど、善行堂オールスターが押し寄せた感じに圧倒される。中でも、京都市内の若手古本屋の立地を調査し、大学の卒論に仕立て上げようと奮闘中の女子大生には、そのテーマの意外性とマイナーさと真面目さとのめり込みっぷりに、大いに感心&感激する。
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※善行堂入口近くの古本屋ツアーシリーズゾーン。特別フリーペーパー『私が京都へ行く理由』は、まだ残部がありますので、ご希望の方はぜひ善行堂へ。

あぁ、こんな風に、今回たくさんの古本好きの方々と接し、関西の本を作り、そして再び関西に来られて良かったと、切に思える二日間であった。これで本当に、去年から続けて来た長い旅が、ようやく終りを告げた気がする。だがまたいつか、『まだまだあるぞ古本屋』に掲載したお店は、詳しくツアーしなければならないと分かっているので、いずれは新たな気持ちで調査に赴くつもりである。とにかくありがとう!京都大阪神戸阪神間奈良滋賀!そして善行堂でちゃんと本を買うつもりだったのだが、店員バイト代の換わりとして、過分な古本をいただいてしまう。白黒書房「トレント最後の事件/E・C・ベントリイ」(本体背にテープ補修あり)新潮文庫「相思樹/牧逸馬」春陽堂探偵小説全集「血染の鍵・叛逆者の門/エドガア・ウオレス著 松本泰譯」「XYZ 他十七編/横溝正史譯」…ありがとうございます!善行さん!
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本当に嬉しい二冊。トレントの松野一夫装釘はモダンでバタ臭くてビリビリ痺れる。そして、横溝譯の「地下鐵サム」が読める日が来るなんて、幸せ以外のなにものでもない!
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2016年08月21日

8/21大阪・谷町九丁目 絶版漫画バナナクレープ

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すでに昨日の、暑い暑い大阪でのことである…。駅を出たら、巨大な『千日前通』を西へ。300m強歩けば、巨大な五角形の歩道橋が覆い被さる『下寺町交差点』にたどり着く。ここから進路を北に採り、問屋的なお店が多い『松屋町筋』をズンズン進む。四つ目の交差点に至ると、右の角地に黄色い壁面が鮮やかな古い雑居ビルが建っている。その四階を見上げると、窓に押し寄せる怪し気な紙類の影…そして『古本屋』『懐しマンガ』の文字が確認出来る。ビル脇の階段入口に近付くと、小さな立看板と入口壁に貼られた案内が、お店が空中にあることをアピールしている。狭くほぼ前のめりになる急階段に足をかけながら、階段の色が緑なので『まるでメロンみたいなビルだ』とボンヤリ思い、古ビル内をほぼ垂直移動。やがて目的階に至ると出迎えてくれたのは、通路に溢れた漫画本たちである。文庫本やVHSも見かけるその山々と少しの間格闘して、奥に見える、パッと見お店の扉とは思えぬような扉をカチャリと押し開く。狭く本棚が圧し迫る、矢印の先の鏃を、半分に割ったような空間である。入って右の本や色々な物で出来た山の中には一人の男が立ち、「いらっしゃいませ」と軽快な声を上げる…一瞬そちらに視線を送って会釈しながら、まるで山田孝之が、入れ込んで古本屋店主を演じているかのような…などと連想。店内は中央に固まる本棚群と壁棚、それに左奥のガラスケースで出来ている。入ってすぐ左には、復刻漫画と児童文学・ジュブナイル。入口右横には、古めの少年漫画雑誌にアニメ系絶版VHS。中央の本棚群には、貸本漫画・カード類・付録漫画・SF&アニメ系文庫・テレビドラマ&映画ノベライズ・横溝文庫・007・ミステリ・ゲーム攻略本・児童書・大判特撮&アニメムック本などがぐるりと収まっている。狭い通路に身体を押し込むようにして左奥に進むと、本と紙類の山が出来ており、奥のガラスケースはそのほとんどが隠れてしまっている。かろうじて壁棚のSF文庫やアニメコミカライズ絵本、右に手塚治虫・石森章太郎を確認。その手前に漫画の山があるのだが、何故か佐賀潜の本が混ざっているのが印象的。奥から次第に右へ進んで行くと、永井豪・ジュニアミステリ・大量の絶版漫画(青年や付録類も含む)・少女漫画と続き、三角の角部分の何かの山に囲まれた作業場兼帳場に至る。物凄いお店である。並んでいる絶版漫画もスゴいのだが、このギュギュッと締まった本だらけの空間が、店舗という常識を飛び越えてしまっているのに心震えてしまうのである。値段はしっかり目だが、相場より安めなものもだいぶあり。本を裏返せば、内包された値段札に詳細な情報が豆字で書き込まれている。偕成社「怪談/北條誠」少年画報社「少年ターザンは行く/山田赤麿作・豊田稔・絵」(一ページ落丁あり)を購入しながら、店主にご挨拶する。実はこの「バナナクレープ」さんには、良くブログにレアな大阪古本屋情報のコメントをいただいたりしていたのである。色々お話ししながら、次第というか当然の如く、ディープな絶版漫画の話の深みに落ち込んで行く。石森章太郎「ちゃんちきガッパ」…川崎のぼる「大魔鯨」…雑誌「DON」の単行本未収録藤子漫画…チンプンカンプンだが、無闇矢鱈に楽しくて、何か新たな扉が開いてしまいそうだ…これは、楽しく危険なお店だぞ…。さらに気になる、店内に飾られた見たこともないスペル星人のフィギュアや、サンデーコミックス版「ドラえもん」(ちなみにどちらも洒落で作られた一点製作物)について聞いたりして、店内通路各所で会話を継続し、とても楽しい時間を過ごしてしまう。よし、再び大阪に来た折りにはまた立ち寄らせていただき、絶版漫画についての講義を受け、知識を少しずつでも深めて、いずれは新しい扉の向こうに、恐る恐る飛び込もうじゃないかと考える。その時にはきっと、今まで足を運んだ古本屋さんが、また新しく輝き始めることだろう。
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2016年07月15日

7/15大阪・南森町 メガネヤ

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昨日木曜の、午前中の大阪でのことである。『6番出口』から地上に出ると、『天神橋筋』の大通り。ここから北に真っ直ぐ進んで50mほどのマンションの一室に古本屋さんがあるはずなのだが、看板も目印も何処にも何も見当たらず、狐につままれたように途方に暮れる。仕方なく苦手な電話をしてみると、ぼやっとした男性の声が聞こえ、丁寧に道案内をしてくれた。美容院のあるマンション『ハイマート南森町』に入り、208号室を訪ねよと言う。駐車場の入口みたいなエントランスを経由して、人気の無いマンション内に入り、二階で208号室を探すと、そこは長い廊下の突き当たりであった…やはり店名などは何処にもない。チャイムを鳴らすとほどなくして鉄扉が開き、ジュディマリ・TAKUYA似のぞろっとした青年が、にこやかに優しく迎え入れてくれた。玄関横にコミック棚はあるが、古本屋さんと言う感じではなく、完全に人の住まいである。「いやぁ、運がいいですよ。木曜日は午前中だけ、ちゃんと開けることに決めてるんです。他の日は、気まぐれに開けるんで…」それはグッドタイミングであった。靴を脱いで廊下に上がると、入口横のフローリング四畳半に案内され、「ここが一番本が多い部屋なんです。値段はほとんど付けてないので、まぁボクに聞いて下さい。そんなに高いことはいいませんよ」とニヤリ。彼は奥の部屋に集まる先客の相手に向かったので、ゆっくりと本を眺めることにする。入口から見て左上には児童文学棚が一列並び、正面は一面が児童文学&絵本棚となっている。フロアには机と棚が置かれ、そこにも児童文学と児童書が集まり、他に村上春樹・世界各国地図&ガイド袋・書き込み激しい教科書などが並んでいる。正面の右奥には、おぉ!探偵小説・ジュブナイルSF・ジュニアミステリ・大判児童書・オカルトが並んでいるではないか。右壁には怪獣カードブック・UCCエヴァ缶・アートブックなど。入口右横の壁棚には、日本文学・ジュニアミステリ・児童入門書・乙女・アート・またもやの児童文学…むっ、カロリーヌの「せかいのたび」と「つきりょこう」があるじゃないか。児童文学&児童書が充実したお店である。だがこれは聞いてみると、店主の好みというわけではなく、たまたま買取で仕入れた本がそうだっただけで、これは今後の仕入れによっては変わる可能性があるとのこと。何だかアバウトだが、棚造りはキチッとしているので、そうは見えないのが面白い。お店がこのような営業形態なので、古本屋さんとして訪れる客は稀なそうである。奥の料理本や文庫やカルチャー雑誌が置かれた部屋では、イベントやパーティが開かれているそうなので、そちら目的で来る人が、時々本を眺めたりたまに買ったり、人にお店のことを伝えたりしているそうである。さて、本を選ばなければ。大判の児童書怪獣モノの『なぜなに』シリーズの値を問うと「それは美味しい高級料理が食べられる値段です」と言われたので即座に諦め、棚の上にあったポプラ社「新ターザン物語 密林の孤児/南洋一郎」(結構キレイなカバー付き)光文社「塔上の奇術師/江戸川乱歩」(こちらは貸本上がり)にすると、「一冊千円くらいで。その辺は、誰も触りませんよ」とのことなので、有り難く買わさせていただくことにする。う、嬉しい!
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2016年07月13日

7/13大阪・阪急淡路 ブックランド本の森+アジアサロン

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西改札口を出ると、奥行きのない駅前。左にアーケード商店街を見ながら、線路沿いに北東に歩いて行く。歩道が無いのに、車が結構なスピードで行き交う、ちょっと危険な道である。ずんずん進んで地下道を跨ぐ小さな橋を越え、見晴らしの良くなった線路脇を、さらに先へ進んで行く。行く手に陸橋や踏切が見えてくると、その手前左側に、西洋朝顔に壁面を覆われながらも『古本まつり』の幟を立てた、不穏なアパートのような建物が見えてくる。ここは『アジア図書館』という一種の文化センターなのだが、その建物脇の掘建て小屋の如きスペースで古本を販売しているのである。早速建物の右脇にある異様な空間に首を突っ込むと、奥に延びる乱雑な通路と、棚に並び続ける古本とともに、『入店出店時に必ず事務所に声をかけて下さい』と書かれた貼紙に気付く(あらゆる場所に貼られている)。なので隣の図書館に向かい、近藤春菜似のご婦人に古本を見たい旨告げると、「暑いですよ〜」と言われつつ「蚊がいるかもしれないんで」と、虫除けスプレーをアバウトに腕に噴射される。いざ準備は整ったので、古本掘建て小屋に突入! 全長は十五メートルほどで、両壁に本棚が連続して行く。壁はトタンで作られており、天井には簾も掛けられている…まるで海の家だな…。本は雑本のオンパレードと言っても過言ではない。右壁側は、単行本・文庫・出版社別文庫・新書と一応つながって行くが、それでも雑本的であることに変わりはない。それに奥に行くほど積み上がった箱や本で通路が狭くなり、左壁棚は途中から完全に見えなくなってしまうのだ。ただ、気持ちの良い風が吹き抜けて行くのが、救いである。本には意外にしっかりした値段が付けられていたので、どうにか100円の文庫を一冊掴み、西洋朝顔の中から顔を出し、事務所に戻って精算。すると件のご婦人が「もう倉庫みたいで本当にすみません〜。商店街の方のお店は行きましたか?新しく出来たんですよ。そっちはキレイで本も見易いですよ」と教えてくれた。新潮文庫「甲虫殺人事件/ヴァン・ダイン」を購入し、駅まで戻る。
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西改札口前から『淡路商店街』のアーケードに飛び込み、西へ。こちらもずんずん進んで行き、四本目の脇道を北に曲がり込むと、『アジアサロン』の看板を掲げたお店に到着する。店頭には右に100均文庫、左に100均コミック&児童文学。中に入ると妙なる風鈴の音が響き渡る、本棚が林立した複雑な空間。中央に雑貨類を集めたテーブルがあり、その周囲を実用一般書・心理学・歴史小説・日本文学文庫が巡っている。右側には一本の通路があり、ノベルス・新書・岩波文庫・女流作家文庫で構成。奥に鳥越俊太郎風男性のいる帳場があり、その左奥に海外文学・政治・社会・アジア・韓国・朝鮮・新書・日本文学・藤原新也・黒岩重吾などが行き止まりのスペースを作りながら続いて行く。こちらは確かに立派でキレイな古本屋さんで、何故か値段もかなりお安め。鱒書房「聞助捕物帖/櫻田門夫」(何とペンネーム丸出しな名前!)を購入すると、「線路際のお店は行かれましたか」と聞かれる。「先ほど行って来ました」と告げると「月曜はお休みですからね。これサービス券。お友達にたくさん宣伝して下さい」と真顔でお願いされる。色んな意味で面白い二店だったので、前向きに、善処いたしましょう。

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写真は昼飯を食べに寄った今日の鶴橋。近鉄ホーム下東側に入り込むと、何と道路のように外灯が立っているではないか! こんな奇態な側面も持っているのかと、今日も高架下世界に感動してしまう。
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2016年07月12日

7/12大阪・森小路 KEATS AND COMPANY

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西出口から駅前通りを北西に進む。すると右手には『良書専門』『民主的社会科学書・教育書』とある、ちょっと気になる新刊書店『風の本屋』が現れる。だがそこを通り過ぎると、信号の無い小さな交差点があり、北に向かって小さなお店が建て込んだ、何だか可愛らしい『京街道商店街』が延びている。ゆっくり足を踏み入れて行くと、右側角から九軒目に目指す古本屋さんがあり、今まさに開店の真っ最中であった。「暑い〜暑い〜」とつぶやきながら、白髪の渋い壮年男性が、店頭に物や本を陳列し始めている。それを待ちながら、ちょっと三歩ほど離れて、改めてお店を眺めてみる。それは三軒が並ぶ、商店長屋建築の一軒なのだが、二階を見ると全体がレンガタイル張りで、ずいぶんとモダンなスタイルであるのが見て取れる。軒は瓦屋根だが、件のお店はそこに一頭のシーサーを乗せ、濃緑の日除けを張り出し、さらにその下に木枠のガラス窓と扉が並び、実にニクいスタイリッシュな店構えを完成させている。そんなこんなしているうちに、店頭が完成し、打ち水がされ、営業が開始された。店頭本のミステリやSFの多い並びとともに、扇風機・足漕ぎスクーター・椅子を眺めて店内へ。オイルびきの木床とマッチした木製本棚に、古本が並び、壁棚はかなりの高さを誇っている。そして基本は当然古本屋さんなのだが、所々にアンティークや骨董の類いがアクセントのように置かれ、店内を渋いながらも華やかなものに仕上げている…センス良いなぁ。お菓子や薬の缶・人形・瀬戸もの・自転車・前掛け・玩具…おぉ!入口上の壁を見上げると、『タンタン』の洋書絵本がたくさん飾られているではないか。左壁の始まりはちょっと雑本っぽいが、古書や演劇関連を含みながら文学・芸能・文化が広がり、パリ・旅・ミステリ・幻想文学・澁澤龍彦・唐十郎・都筑道夫・横田順彌(他ではあまり見かけぬ、しっかりとしたラインナップ!)・SF・村上春樹・日本セレクト文学と続き、ガラスケースやペーパーバック回転ラックに守られた帳場横まで雪崩れ込んで行く。足元には壁とつながりある本が積み上がり、奥には雑誌類が続いて行く。フロア中央にはアンティークな机がどっしり置かれ、骨董・女性エッセイ・文庫・ポプラ社乱歩などを集めている。入口横には食関連とともに大橋歩や児童文学。右壁には音楽・落語・映画・漫画関連(何故か、すがやみつるの手掛けた作品を多く見かける)・美術・建築・写真などが並ぶ。フロアはさらに右奥にカクカク続き、右壁小空間には陶器などとともに横山光輝・付録漫画・文庫・画集が収まっている。その裏のさらに奥に進むと、語学や英米文学の原書や研究本が、わりと厳めしくドッサリ集合している。棚造りはしっかりしているが、自由奔放な部分が多く、振り回されつつ楽しめる感じである。値段は安め〜普通。つまりは良いお店なのである。一瞬すがやみつるの「真田十勇士」を買ってしまいそうになるが、イカンイカンと首を振り、さらに棚に目を凝らした結果、學風書院「おばけの歴史/江馬務」(昭和廿六年刊の、幽霊や妖怪を文献や絵画の中に追いかける研究書。嬉しくなるほど挿画もたくさん)を見つけ出し、値段を見ると600円!間違いなくどひゃっほうです!
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掲載幽霊のひとつ、斬新過ぎるコペルニクス的展開の『二本足の幽霊』。作者は山東京伝とのこと。上半身が何だかとても表現主義的です。
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2016年07月11日

7/11大阪・鶴橋 楽人館

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暗闇が混ざる駅西口に出ると。そこは高架下ではなく、JR鶴橋駅のホーム下。目前に古い新刊書店があるのに目を瞠り、そのまま南に歩き始めると、頭上で低めにクロスする近鉄線のホームを潜ることになる。そんな場所に蝟集する、暗い通路と小さな店舗たち…素晴らしきホーム下&高架下世界の独特な都市風景に心震えながら、洞穴のような近鉄線ホームを抜けると、再び高く壮大なJRホーム下。そこを抜け出し陽光の下に飛び出し、高架沿いに南へ歩いて行く。すると100mほど先の高架下に「古本」の文字を発見。おぉ、高架下店舗・ナンバー87だ。緑の日除けの下にはスダレが垂れ下がり。労働運動関連や学術資料本の多い100均ワゴンを守っている。入口横には雑誌や漫画のラックがあり、中に入るとセンサーで『ピイッ』と小鳥風の鳴き声が瞬間聞こえる。本がみっちり並んだ棚が三本並列し、合計四本の通路を造り出している。各通路の足元には、小さな本の山が連続している。奥に大きめの帳場があり、帽子を被った内田朝雄風のオヤジさんが、今は少しうたた寝中…。静かに左端通路から棚を見て行く。壁棚は実用や自然から始まり、教養&文化系文庫が多く並び、足元にはムック類や写真集が集められている。古く高値な紙物が下がる柱前を抜けると、奥の帳場横には薫り高い古書棚。だが向かいの通路棚は、ちょっと味気ない時代劇文庫・日本文学文庫・海外文学文庫がピカピカの背を見せている。第二通路に入り込むと、その味気なさはたちまち吹き飛び、かなりカオスな古書混じりの景色が広がって行く。左に文学・旅・ガイド・探偵小説・思想・政治・世相・風俗・鉄道が絡み合いながら並び続ける。ただし二本目の棚のみは、しっかりと性愛(古書あり)や官能文庫で固められている。向かいには宗教+美術や自然を織り交ぜた再び続くカオス棚。第三通路は、左に日本古代史・アジア・南方・中国・満州の様々な本が当然古書も含めて集められ、向かいはさらなる濃さで韓国&朝鮮関連が充実の輝きを見せている。入口側の美術&大判歴史本棚をスルーして右端通路に向かうと、左にはスポーツ・東洋&西洋医術・東洋占・江戸風俗・囲碁将棋が並び、右の壁際には岩波文庫と改造文庫棚。そして奥に趣味本棚と、ちょっと小空間になった世界文明風俗棚が置かれている。そのさらに奥はちょっと大きめの小空間があり、経済・法律・アダルト・紙物の奇妙な大人の組み合わせが実現している。紙物はさらに、棚脇や通路下の箱など、様々な所に置かれたり貼り出されたりしている。韓国や日本を含めたアジアの、歴史・風俗・地理・紀行・政治・ダークサイドなど、古書を中心に多ジャンルを集めたお店である。しかし心を捉えて離さぬのは第二通路で、ここは本当に油断ならないほど、気になる本が本の間に挟まり続けているのだ。何処にでも顔を出す文学や風俗関連の古書たち…恐ろしい。おかげで、たくさんの本を引き出し、見たことのない本を見続ける快感を味わい続ける。値段はしっかりめではあるが、それでも相場より少し安めで、懸命に探せば安値のものもちゃんと見つかるのが嬉しい。富文館「寫真圖解 世界奇風俗大観/石川成一」(函ナシ)を、いつの間にか起きていたオヤジさんから購入する。ここもまた駅から続く、素晴らしき高架下世界なのであった!
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鶴橋駅西口から南を臨む。写真のように、低めで丸見えの近鉄線ホームの下に通路が通り、ホームの上はさらにJRホームとなっている。そのホームが幅広に駅周辺を覆い、ちょっとした地下都市のような、見事な高架下空間を造り出している。
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またJR鶴橋駅構内も複雑怪奇な構造をしており、二階にはブックオフが入っているのだが、直結の自動改札が店奥に設置されているのだ。これは岡崎武志氏からも山本善行氏からも、ぜひ見に行けと言われた、古本者のみが喜ぶ奇景なのである。駅ビルデパートに直結するミニ改札はよくあるが、確かにこれは変だ。写真は店舗側からの風景。
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2016年07月10日

7/10奈良・近鉄奈良 朝倉文庫再び!

今日は古都奈良に出没し、あちこち見て回る。その中で、以前もツアーしたことのある「朝倉文庫」(2009/09/05参照)が昔とずいぶん変わっていた上に妙な買物をしてしまったので、再ツアー分をご報告。

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地上に出たら、すぐ目の前のアーケード商店街『東向通り』を南に下り、途中クランクしつつ、さらに続くアーケードの『餅飯殿センター街』を南に下る。賑やかな道は微かに上下にうねり、続いて行く。そしてアーケードがさらに『下御門商店街』にすり替わる手前右手に、一軒のちょっと奇妙な古本屋さんがある。店頭が、何だか無闇に白いのだ。左右の入口には温度調節のためか、白いビニールカーテンが下がっている。そして店頭に並ぶ本の半分には(古代史系多し)、タイトルと作者名が書かれた、手製の白い帯が巻かれているのだ。カーテンをそっと捲って中に入ると、奥の帳場前のみで左右の通路が行き来出来るようになっている、シンプルUの字型通路。そしてやはり、店内も何だか白い…主だった本には例の白いカバーが掛けられており、裏表紙に鉛筆で値段が書かれている。それがどんな本かは、タイトルがしっかりと読めるので分かるのだが、背文字の書体やデザイン、それに本の風合いなどが見て取れないので、頭の中に蓄積してある古本データが、まったく使い物にならないのだ。つまりサッと棚に視線を流し、覚えている本の色合いや古びた風合いで、気になる本を捉える手法は、完全に無力化されてしまっているのだ。これはまるで、写真データのない目録を見ているよう…。右壁棚には、落語・芸能・美術が並び、途中から帳場横まで日本文学(幻想文学&七十年代文学充実)が並び続ける。左の通路棚には、映画・カルチャー系文庫・SF文庫が並び、足元には映画パンフや安売の単行本が置かれている。帳場前の棚脇には、山田風太郎・城昌幸・角田喜久雄・仁木悦子・ポプラ社乱歩が集結。左側通路に入り込むと、壁棚には海外文学・ポケミス・SF・歴史・鮎川哲也・推理小説が奥に向かって続き、帳場横の台湾や戦争につながって行く。通路棚は入口側から、新書・日本文学文庫・探偵小説・ジュニアミステリ・探偵小説&推理小説文庫と並び、奥に向かうほどマニアックになって行く。下の平台には推理小説とミステリが、ちょっと古めのノベルスと絡み合って並び続け、奥の端っこには忘れ去られたような貸本漫画が十冊ほど肩を寄せ合っている。文学・映画・SF・ミステリに強いお店である。品揃えは潤沢で、値段はかなりしっかりめ。だから、迷っている…あの貸本漫画を買おうかどうか…。通路を行ったり来たりして悩みに悩み、帳場のしょぼくれていない左卜全といったオヤジさんに、店内に入ってずいぶん経つのに「いらっしゃいませ」と言われてしまう。貸本漫画はどれも高値なのだが、その一冊だけは比較的安値…どうしようどうしよう…ええぃ!買っちゃえ!と意を決して本の列から抜き出し、オヤジさんに超丁寧に精算していただく。巴出版「巴スリラー特撰2 闇 キチガイ館の妖鬼/望月信次」を購入する。もうこのタイトルに、どうにも我慢出来ませんでした。読みたい!きっと阿呆らしいのは分かり切ったことなのだが、とても読みたいのだ! 外に出てパラパラと捲ってみると、タイトル作は『大月五郎探偵日記』のサブタイトルが付いている中編で、他にそれぞれ別の作者による「探偵活劇篇 深夜の戦慄」と「大都会の恐怖」の二小編が収録されている。冒頭で主人公がタクシーに乗り『私の名は私立探偵大月五郎だ』とキメた後すぐに『いやだなあ……まだなの?キチガイ館とか……』と運転手に問いかけるのに、早速脱力する。
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下が貸本漫画の常として、別人が描いたカバー。上は見返し部分で、ここはずいぶん洒落ている。右側の鳥打帽を被りパイプを燻らす髑髏は、まるで喜国雅彦氏の本棚探偵のようではないか。左の紳士の上には貸本屋「浜田 エス書房」のスタンプあり。
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2016年07月09日

7/9京都・二条 町家古本はんのき

雨降る滋賀の近江八幡で、古本屋ツアーをしつつも、町に散らばるヴォーリズ建築をしばし楽しみ、午後に京都に到着。レンタサイクルを早速借りて、観光客で溢れる週末の古都を、ガチャギチャ疾走…。

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駅を出たらとにかく『千本通』を北進する。『丸太町通』を越え、さらに北へ。そして『千本中立売交差点』手前の、信号機も横断歩道もない細い脇道とクロスする交差点で、名前が物凄く立派な『仁和寺街道』に入り込み、西へグングン進んで行く。町家や寺は入り交じるが、ここいらはもう立派な住宅街である。ワンブロック踏破して信号のある『七本松通』を越え、さらに西へ。途中左手に『安養寺』のベージュの壁が見えたら、その手前を南に曲がり込み、すぐさま西の小路地に入り込む。行き当たった所で南に曲がると、町家長屋が建て込む車の入れない路地。右手北から四軒目が、今出川から移転して来た新「はんのき」なのである…それにしても場所が分かりづらい!超絶分かりづらい! これはご近所の「マヤルカ古書店」と双璧を成す分かり難さだ。それに入口上に看板は架かっているが、外見は住宅的町家そのものなので、さらに発見しづらいのである…たどり着けて良かった…。矢印の方向に引戸をスライドし、敷居を跨いで中に入る。そこは奇麗に掃き清められた土間で、右の畳敷きの部屋と奥の板敷きの部屋が古本屋として…ひえっ!なんだ?お、女の人が畳の上に横臥している。いったいどうしたんだ?古本屋に入ると女の人が倒れている…これはまるで乱歩『D坂の殺人事件』!…だが良く見ると、女性は本を何冊か身体の上に乗せ、クークーと寝ているだけなのであった…そんな不思議な状況に、一旦外へ出て頭を冷やす。あの娘は、お店の人なのだろうか?それにしても、良く寝ている。このまま帰っても良いのだが、必死に迷ってようやくたどり着いたお店なのだ。俺は、古本を買わねばならぬ。そう心を鬼にして、再び敷居を跨ぎ、子供のように眠りこける女性に「すいません」と、何度か声をかける。三回目くらいに「ヒィヤァ〜っ」と叫び声を上げ、本を身体から落としながら、彼女がガバと起き上がった。何と素晴らしき漫画的光景。さすがにこちらも狼狽えながら「お店やってますか?」と聞くと、彼女は両手で顔を覆い、ガクンガクンとうなずいた…ふぅ、良かった。縦長の土間には、立派な100均・300均・500均の棚がある。靴を脱いでかなり高い四畳半+板の間に上がり込むと、右側には酒・食・料理・ファッション・絵本などが幾つかの小さな棚に集まっている。真ん中には古雑誌・小冊子・女流作家の木箱があり。左のガラス障子の前には絶版漫画・少女漫画・カルト漫画の棚が置かれている。奥は一面の壁棚になっており、郷土・京都・音楽・映画・動物・児童文学・絵本・雑誌がズラリ。左の板の間に移動すると、ガラス障子裏の階段には、串田孫一が集められ飾られている。奥壁側には、海外文学文庫・海外ミステリ&SF文庫・海外文学(充実しており詩集多し)・日本文学・歴史・宗教・政治と続く。真ん中には平台があり、おススメ本がディスプレイされ、探偵小説文庫・幻想文学文庫・日本純文学文庫が集められている。左奥には美術・哲学・思想の棚があり、奥の帳場では完全起床した古本眠り姫が、今はお仕事中である。本は見易く、良書が所々に安値で紛れ込み、しっとりと良いお店である。お値段もお手頃価格が多いので、場所の分かり難さを差し引いても、楽しめるお店である。入れて良かった。ソノラマ文庫海外シリーズ「ウィッチクラフト・リーダー/フリッツ・ライバーほか」を購入し、迷宮の古本屋さんを後にする。

さらに自転車を駆り、出町柳のいつ何時でも定点観測したい「上海ラジオ」(2016/04/19参照)に立ち寄り、早川書房「続・幻影城/江戸川乱歩」を300円で購入し、「古書 善行堂」(2012/01/16参照)に馳せ参じる。春陽堂文庫「大金塊/黒岩涙香」福田書店「ラ・フォンティーヌ童話集 お猿の裁判官/平野威馬雄譯」を計1500円で購入しつつ、情報交換+古本屋&古本の楽しい楽しい無駄話。京都に溢れる古本心を受け止めてくれるこのお店があって、本当に良かった。
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2016年07月08日

7/8滋賀・膳所 古書クロックワーク

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北口に出ると小さなロータリーで、左奥を見ると京阪電車の駅もあり、街は何だか賑やかである。そのまま北に進んで踏切を越えると、道はたくさんの人と車が行き交う『ときめき坂』となる。人波に揉まれながらゆっくり下り、最初の東への脇道にひょいと入り込むと、そこも坂道で行き着く先は『大津高等学校』の校門である。だがその手前、ベージュの洒落たビルの一階に、白い美容院と隣り合い、小さな古本屋さんが存在していた。二つのウィンドウから見えるのは、ソフビ人形や駄玩具や古道具ばかりで、何だかあまり古本屋さんらしくない。窓には『BOOKS ANTIQUES MUSIC TOYS EPHEMERAS』とあるが、最後の言葉はあまり馴染みがないな…なので慌てて調べてみると、どうやら紙物類(いわゆる消え物)を指す言葉らしい…知らなかった。タイガーマスクの異様なソフビ群に注目されながら中に入ると、そこは紙物・セル画・付録・玩具・ソフビ・パッケージなどが氾濫する、小さな懐かしき世界。古本と様々な物品と、壁棚と机と細々した棚や箱とガラスケースと帳場で出来ている。入ってすぐ右には復刻ソフビが大量に下がり、左の足元には児童文学・旅・本&古本・などが臨める。続いてまたもやソフビや古道具や陶器が現れ、奥の窓際棚に探偵&幻想文庫・SF文庫・ミステリ文庫が収まっている。中央の机回りには、猫・実用・「とと姉ちゃん特集」・児童文学・絵葉書・5円引きブロマイドなどが集まる。奥壁には、ちくま文庫・カラーブックス・一般文庫・名探偵入門児童書・付録類・柳原良平関連・アニメ&特撮・探偵小説・澁澤龍彦・映画・性愛・風俗・古い漫画がドバッと並び、右の帳場横にはCDと共にジャズ&音楽が集められている。ガラスケースを覗き込むと、そこには羨望の高木彬光「オペラの怪人」旧版や、新作探偵小説全集が飾られていて、心臓がドキリ! そして入口右横の棚には古書が集められ、貸本漫画・探偵小説・仙花紙本・資料本・スクラップ・小型本・ジュブナイルなどが古色蒼然マックスにオーラを放っている。いや、良いお店である。絶対的に良いお店である。本当に小さなお店なのに、よくこれだけ丁寧にそして深く詰め込んでいるものだ。その完璧とも言える世界観に陶然と酔い痴れながらも、値段は普通〜しっかり値の中から目を血走らせて隙を探し出す。すると、机の下の児童文学箱で、理論社「手のひら島はどこにある/佐藤暁」を発見し、値段を見ると500円。この本、函じゃなくてカバーだったんだと、心中で万歳三唱しながら抱え込む。続いて壁棚にあった秋田書店「怪獣ウルトラ図鑑/大伴昌司」を手に取る。値段は1800円で函ナシで記名あり。だが念のため奥付を見ると12版であることが判明…版が若いぞ…ということは…焦りながら『ウルトラセブン怪人怪兵器大百科』のページを繰って行く。やった!あった!スペル星人だ! この本は、やはり禁断のスペル星人掲載バージョンだったのだ! ひとつのお店で、こんなに欲しかった本二冊と出会えたなんて、ダブル・どひゃっほう! ウキウキしながら店番のプリティーな女の子に精算していただき、そそくさと表へ出る。そして校門の前で、「ウルトラ図鑑」と「手のひら島」を交互に撫でさする。俺は、俺は本当に嬉しいぞ!
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スペル星人は被爆問題でタブーとされ、今でも完全封印された宇宙人である。最近出たこの本の復刻版にも、当然掲載はされなかった。特徴のひとつに『目から強力な溶解熱線スペル光線をだす。この目に、にらまれただけで一万人が死ぬ』とある。嗚呼、全開過ぎるぜ大伴節!
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2016年06月17日

6/17大阪・恵美須町 文庫櫂

昨日の、土砂降りの大阪でのことである。
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『1−B』から地上に出ると、『日本橋筋商店街』の歩道アーケードの下。すぐ北側の通りを、西へトボトボ歩き始める。少し離れただけで繁華さと喧噪はたちまち遠ざかり、行く手に見えるのは巨大高層集合住宅群である。100mも進むと、そんな集合住宅の一階で、小さなお店が営業しているのに、はたと気づく。接近して様子をうかがうと、ウィンドウには陶器類が並んでいるが、簡素なガラスサッシ扉の向こうには、古そうな本を並べた棚がすでに見えている…店名は何処にもなく、扉には『防犯カメラ設置』『開放厳禁』『全古書連加盟店』などのステッカーがあるのみ。丹田に力を集めて店内へカチャリ。すると奥のパソコンの向こうに座る、ゴルゴ松本+少しの安部譲二的エッセンスを纏った強面店主と視線が絡み合ってしまったので、まずはしっかりとお辞儀する。店内は壁際に白い本棚、左棚下にガラスケース、そして中央に作業机と背中合わせの棚が一本。そして私はすでに興奮してしまっている。お店の虜になってしまっている。なんたって並んでいるのが、古書ばかりなのだ。それも闇雲な古書ではなく、文学や風俗中心。しかも大好物の昭和初期周辺。入口左横から早速文学・風俗のその手の本が輝き、詩集が波のように押し寄せる。ぐむっ、城左門「近世無頼」の献呈書名入がぁ…。通路には本のはいったダンボールが置かれているので、蹴飛ばさぬよう気をつけて通路棚前。おぉぅ、日本近代文学!近代文学!文学! 次々と見たことのない本が迫ってくる。それに、田村隆一の「四千の日と夜」が! 奥に進んで行くと、帳場机が迫り出して狭くなっているので、「奥も見ていいですか」と店主に聞くと、意外に可愛い声で「いいですよ」とニッコリ許可していただく。ぎゃお! そこに待っていたのは、性愛関連と思想(共産・社会・無政府)の稀覯本だらけの棚であった。さらに日本近代文学も続き、詩歌句・海外文学・署名入の純文系小説本などなど。あっ、見たことない仙花紙本の國枝史郎なんてのも…。古本屋さんに来たと言うより、本に触れる文学館に迷い込んだようである。とにかく貴重な古書の海(またその背後に想像出来るさらに貴重な海溝!)に溺れ続けるのは、もはや幸福以外の何ものでもない。ただし当然値段がちゃんとしているので、金のない者は正当な不幸に見舞われてしまうのである。それでも手が出せる一冊を手にして、店主に精算をお願いするとともに、思い切って名乗りを上げる。実は二ヶ月ほど前、偶然に櫂さんから一冊の本をヤフオクで落札した際、正体を言い当てられやり取りを交わしていたのである。店主は仰け反り喜び大笑い。たちまちそこから大波瀾万丈の古本屋半生譚劇場が、賑々しく幕を開けてしまう。十五の時から古本屋を志し、何と野菜仲売人との二足のわらじスタイルで古本屋になったこと。幼少時は父が古書マニアだったことから、天牛新一郎氏と関わりを持ち可愛がってもらったこと。お店に全国セドリ行脚中の「上野文庫」さんがやって来たこと。めくるめく発禁本の世界や遥か高みの古書世界のこと。西成の何でも300円の古本屋のことなどなど、多くの豊穣なエピソードを交えながら、一時間半が瞬く間に過ぎてしまった。いやぁ、これは楽しい。とてもじゃないが、書き切れない。まだまだお話盛りだくさんなので、古本にヨダレを垂らしがてら、続きを聞きに参ります。東盛堂書店「山水紀行文範」を購入する。
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2016年06月15日

6/15大阪・新今宮 パーク書店

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『東改札口』を出ると、目の前には神殿のような巨大パチンコ屋が聳えている。気圧されずに、『堺筋』西側の歩道を北に歩いて行く。場末感を醸す飲食店が並ぶ地帯だが、50mほど進むと、緑色の日除けを張り出した古本屋さんに行き当たる。ちょっと荒れた感じのある大衆的なお店である。店頭には、ビニールカーテンの掛かった背を向けたアダルト雑誌ラック、それに傷んだ本が多めの単行本ワゴンがひとつと、木製台自体が傷んだアダルト雑誌ワゴンが二台置かれている。そこには道行くオヤジさんが次々と惹き付けられ、吟味に吟味を重ねて二冊三冊と満足そうに購入して行く。丁度店舗中央に昔の事務机で形作られた帳場があり、クールなご婦人がゲームをプレイする手を休め、アダルト雑誌を丁寧に梱包して行く。それにしてもこのお店、超絶的な薄さを誇っている。入ってすぐの所と言っても過言ではない壁に棚が巡らされているのだが、そこにはコンビニコミック・動きの感じられない文学本・ちょっと動きの見えない一般単行本・あまり動きのない一般文庫本が、ブランクを所々に作りながら収まっている。一旦表に出てみる。そして北側からお店を眺めてみる。ゲッ!やはりとても薄い! 南側は隣の建物が建て込んでいるので、建物の横幅が見えないのだが、北側は駐車場になっており、そのモルタル建築の側面が恥ずかしいほど曝け出されてしまっているのだ。その幅はおよそ一メートル五十センチほどだろうか。真横から見ると、建物ではなくただの灰色の柱にしか見えない…。さらに裏側が駐車場であるのをいいことに、好奇心丸出しでお店の背後を取りに行ってしまう。そこにあったのは、見事なまでのトマソン物件! 平屋建築の屋根と母屋の形が、トタン板で塞がれきっちりと残っているのであった。ということは、昔は母屋に今と変わらぬ薄い店舗が付属していたのだろうか。奇跡の店舗建築に興奮しながら、再び表に回る。ここで新たに気付いたのは、二階の存在である。窓が左右に二つあり、エアコンの室外機や、換気口も確認出来る。上には人が住んでいるのだろうか…それにしても、出入りする所など何処にも見当たらないが…もはや古本屋そっちのけで、不思議建築の謎解きに必死になってしまっている。再び店舗に突入し、その左右共を注意深く眺めてみると、おっ!左側の天井に穴が空いており、上部に収納されている木製ハシゴが見えているじゃないか。二階に上がる時はこれを引き摺り下ろし、グイグイと身体を持ち上げるのだろう。上階は、板敷きなのだろうか、畳敷きなのだろうか。畳だったら、縦に四五枚並び、まるで廊下のようになっているのだろう。本が安めだが、結局何も買わずに、このお店の在り方に激しく心動かされてしまう。みんな冷静に普通に本を買い、店主も冷静に仕事をこなしているが、ひとり異質な視点で店舗そのものを観察し、大興奮しまくってしまう。以前、東京の曳舟に、似たようなバラック建築の押入れのようなお店が存在していたが、ここはそれと同等の、現代に残ったエアポケット的奇跡の店舗建築なのである。大阪のみなさま、どうか古本を買いまくって、これからもこのお店を大事にして下さいね。
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これがその奇跡の側面と、背面にクッキリと残るトマソン物件である。
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2016年06月14日

6/14大阪・肥後橋 柳々堂書店

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『6番出口』を出ると、目の前には『四ツ橋筋』の、人と車の大きな流れ。車の流れを横断して西側歩道に渡り、南へビルの足下を歩いて行く。信号のある交差点をひとつふたつとやり過ごし、次の信号のない脇道を西へ入る。角には『京町ビル』という近代建築が建っていたので、思わずうっとりと見上げてしまう。今思えばこのビルが、これから訪ねるお店への案内をしてくれた気がして、ならないのだ。道は裏町だが、飲食店やお洒落なお店もチラホラ。だがこんな所で古本屋さんが営業しているのだろうか…前方に『西船場公園』の緑が見えて来たところで、今度は南に曲がり込む。すると左手に、町の新刊書店的お店が控え目に姿を現わす。二階の袖看板には『彰国社特約店』の文字が黒々と輝いている。彰国社…建築本専門の出版社ではないか。そこの特約店ということは、やはりここは新刊書店なのであろうか?日除けの下に近付くと、その下に隠れていた『文藝春秋』『文春文庫』の看板が見える。中央のラックには、見事に新刊雑誌が華やかに並び、左にはフリーペーパーのラックが置かれている。だが!右側に何と100均の文庫箱が二つ置かれているのだ。おまけにそこには、店内にも古本があることが書かれているではないか。新刊書店と古本屋さんのハイブリッド店か。そう確信して中に入ると、中央入口側帳場のTシャツ姿のご婦人から「いらっしゃいませ」と声がかかる。そしてその瞬間に、驚愕の店内に思わず目を瞠ってしまう。基本はリノリウム敷き通路の中央に柱が立っているような、昔ながらの新刊書店なのだが、そこに並んでいたのは建築関連本&雑誌ばかりなのである。しかも、まるでリブロやジュンクや紀伊國屋の建築書コーナーに負けず劣らず、丁寧に美しく専門的花園を造り出しているのである。そんな不意打ちに感動すると同時に、何故ここにこのようなお店があるのだろうか?近くに建築会社や建築学校でも存在するのであろうか?そして彰国社の特約店とは言っても、もちろん他社の本も盛りだくさんなのである…なんというミステリアスな、街の新刊書店風建築書専門店! 完全に魂消つつ度肝を抜かれながら左側通路に回ると、本当に古本が登場してくれた。まずは入口左横の棚二本に、文学全集・日本文学・児童文学・大阪本・一般書・文庫・建築関連・雑誌(「大阪人」「太陽」など)が並んでいる。また向かいの通路棚にも、新書・時代小説・映画パンフと、ここはそれなりに古本屋さんっぽい並びを見せてくれる。そして左奥の棚一本に、建築古書がドドンと集められている。各古本コーナーは。小さな看板が貼付けられたり飛び出したりしており、新刊とは異なることをしっかりとアピールしている。だがさすがに建築書にそこまでの古い本はなく、品切れ本や新古書と言った感じである。文学や大阪本にはちょっと古い本あり。値段は安め〜高めと様々。とてもその店名からは想像出来なかった、珍妙で高尚な裏町のハイブリッド店に甚く感銘を受けながら、ROKKO出版「ロンドン塔は残った 震災を超えた歴史的校舎保存の記録/神戸高校の校舎を考える会編」(まるで城塞のような建築様式の神戸高校の保存と解体を巡る闘いの記録である)を購入する。その感銘を胸に秘めつつ、先ほどの京町ビルに挨拶して帰路に着く。
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2016年06月11日

6/11大阪・天満 ジグソーハウス

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昨日の大阪四日目である。駅を出て『天神橋筋商店街』に入り、南に遠慮呵責なく進み続ける。四丁目が終り、欄干の残る地上の橋の名残を渡り、三丁目に突入する。1ブロック過ぎた所で、人と関西弁の流れとアーケード屋根にお別れして、東へ。途端に新しく高いマンションが建ち並ぶ、味気ない街路となる。300mほど歩き運動場前の十字路を過ぎると、左手の小さなビルの前に、厚い洋書の上に乗った小さな黒い看板があるのが目に留まる。『週末ふるほんや』とあり、探偵小説・ミステリ・SF幻想・絵本・アート・綺想系・サブカルチャーと、あまりにマニアックな取扱品目が書き出されている。ビルのドアを開けて階段を上がり、小さな『営業中』の札の貼り付いた青く重い扉を開けると、明るく細長く本がたくさん並ぶ空間が広がっていた。右奥の帳場には誰の姿もなかったが、奥から女性が出て来て「いらっしゃませ」と緊張を解きほぐす一言。床はカーペット敷きで、中央に背の低い背中合わせの棚が、左に長いものが一本、右に短いものが一本置かれている。入口左横からは本棚が続き、右は帳場前まで続く形である。奥側は一面が長い壁棚となっており、右奥は棚に囲まれた細長い行き止まり空間になっている。入口左横はポケミスから始まり、創元推理文庫・ハヤカワミステリ文庫・ポケSF・創元SF文庫・付録ジュニア小説などが続く。窓際には期間限定の100均文庫箱と絵本棚(佐々木マキコーナーあり)。フロア棚左には上部に「金星文庫」の本が並べられ、日本作家ミステリ文庫・SF文庫・一般セレクト文庫・ペーパーバック・春陽文庫を収めている。入口右横には鮎川哲也文庫・ミステリ&探偵小説アンソロ文庫・絶版ミステリ&探偵小説文庫が揃っている。その前の棚には、日本作家ミステリ文庫が収まっている。奥の壁棚には、店名故か最上段にジグソーパズルの大きな箱がドバッと並び、その下に絵本・幻想系絵本・アートブック・オカルト・占い・幻想文学・海外ミステリ&探偵小説、そして作家50音順日本ミステリ&推理&探偵小説が行き止まり通路をぐるっと囲んでいる。ここのオリジナル本は、大体昭和三十年代以降で構成されている(岡田鯱彦・新章文子・宮本幹也・三橋一夫などあり)。面食らったのは最下段に置かれた紙物箱で、これがミステリ・探偵推理小説・幻想文学関連の紙物ばかりなのだから、たまらない! 全集目録・新聞切抜・日本推理作家協会報・広告チラシ・存在さえ知らないマイナー資料類など。とにかく視点が斬新なのである。斯様に探偵小説〜ミステリの世界を、中級〜上級の扉半開きくらいまで楽しめるお店。値段はちゃんと付いているが、相場より安めでお手頃感あり。途中、くせっ毛の仲谷昇風男性が外から帰還し、「いらっしゃいませ」と囁きつつ帳場奥に座る。彼がこの頼もしいお店の店主なのだろう。神保町の「三省堂古書館」(2012/12/11参照)ではいつもお世話になってますと、心の中で頭を下げる。青樹社「あなたは名探偵/中島河太郎編」岡大国文論稿「夢野久作宛 佐左木俊郎書簡/大鷹涼子」(何でこんなものが売っているのか!そしてなんというものを研究しているのか!)を購入する。またここで、周辺の古本屋さんをまとめた小冊子「南森町古本ガイド2016」を入手出来、ニヤリ。
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2016年06月09日

6/9大阪・寝屋川市 金箔書房

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京橋駅で京阪本線に乗り換え、京都方面へガタゴト。繁華街から離脱すると、高架の両側に広がるのは、低い家並みの無限にも見えるベッドタウンである。やがて目的駅に着き、南口の南側へ出ると、小さな駅前空中広場である。右側の階段を下り、すぐにはアーケード商店街の『寝屋川一番街』には入らずに、大きな駅前ショッピングセンター『アドバンス』沿いに南東へ進む。すると右手に『ねやがわいちばんがい』と平仮名で書かれたゲートが現れるので、そちらへ曲がり込むと、自転車置場の隣りに、明るいオレンジ色の古本屋さんを発見する。とてもイカした店名である。建物は新しく、スペイン風な陽気さを獲得している。黄色いテント看板の下にはビニールカーテンが展開し、店頭は雨仕様となっている。ここで気になるのは左に掲げられた古いブリキ看板…『ご不用の本誠実に買います』とあるのだが、とても年季が入っている。旧店舗の物を大切に使い続けているのであろうか…。店頭左側は安売コミックで、右には50均文庫と安売本がドッサリと展開している。一段高い中に入ると、なんだかお店も本も新しく、リサイクル系な雰囲気。壁際はぐるっと本棚で。真ん中に長めの背中合わせの棚が二本横たわっている。右奥に帳場があり、母子のような年の差のある女性二人が、ほんわか華やかに働いている。入口右側の文庫棚に張り付くと、新しめの一般文庫が整然としているが無秩序に並んでいる。う〜むと視線を巡らしていると、古い文庫である新小説文庫を発見。しかも安値なので早速引っ掴むことにする。第一通路は、壁際にハーレクインとコミックが並び、通路棚には趣味・サブカル・タレント・辞書・実用・などが並び、後の半分は100均単行本コーナーとなっている…ところが、ここに何だか古い本が混ざり込んでいる。嬉しい予感に身を震わせ、左壁のコミックをスルーしながら第二通路へ。おぉ!60〜70年代セレクト日本文学がとても麗しい。下部には新書と相撲関連、それにミステリ&エンタメが続いて行く。そしてやはり古書が所々に紛れ込んでいるではないか。しかも激安なのである。文学研究・伝統芸能・文化・性・美術を確認した後、最奥の通路に回り込む、通路棚には何の因果か仏教とアダルトが隣り合い、壁棚には大阪・郷土・社会・建築・政治・服飾・生物・自然などが続き、やはりそこかしこに古書の姿を確認する。ただのリサイクル系のお店ではなかった!大正〜昭和初期の本が、一般本と平等な扱いで、それなりの安値で並んでいるのは、とにかく衝撃的である。主だった本には手書き白帯や紙カバーが巻かれ、値段と刊行年が記入されている。興奮しながら、あっちへウロウロこっちへウロウロ…ようやく三冊に決めて、文庫揃いやレコード&古雑誌が前に集まる帳場に差し出す。新小説文庫「大阪百話 千日前/長谷川幸延」日本評論社「思ひ出草(一白の巻)/下村宏」(函ナシ)保育社の学習絵文庫23「虫あつめ」を購入する。そして『100円』と印のある栞を渡され「次回来た時にこれを見せると、100円引きになります。おおきに」「おおきに、またどうぞ〜」とお二人に、にこやかに優しくほんわか見送られる。ここは安くて大満足の良いお店であった!
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2016年06月08日

6/8大阪・天神橋筋六丁目 路地奥の青空書房

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「青空書房」(2008/12/31&2013/12/26参照)は、以前は『天五中崎通商店街』にあり、店内に貼り出される箴言や名言や独特なイラストで人気を博した小さなお店である。しかし惜しまれながら2014年に閉店し、その後は店主が自宅でブックカフェの開店を希望していたはずであった。果たしてどうなっているのだろうか。『天満橋5交差点』の西側歩道に立ち、『天神橋筋』の南側を見ると、路上に立看板が置かれているのが目に留まる。『大阪で一番高齢の文学青年です』『ホッとする路地の中の古書店』『あなたを待っている人が居る 一冊がある』などと早速青空書房節が唸りを上げている。まずはその健在っぷりに、ホッと胸を撫で下ろす。ふと角のハンコ屋さんに目をやると、柱に『青空書房さんは司研堂(ハンコ屋)の隣でこの奥です』と書かれた貼紙が三枚も貼られている…よほど人にお店の場所を聞かれたのだろう…。路地に入ると細く狭い裏通りだが、前方にすでに扉が開けっ放しの家が見えており、そこには通天閣の絵が描かれた、紙の店名看板が貼付けられ、営業中の札が下がっている。近付くと折り畳まれた車椅子の置かれた小さな玄関があり、壁には店主の作品でもある様々な過去のお店のポスターが貼られている。中に入り靴を脱ぎ、玄関横の四畳半に上がり込む。そこは、古本カフェではなく、完全なる自宅古本屋であった。畳の上にはござが敷かれ、中央には小さな文庫&ノベルス棚が置かれている。右壁と奥壁には、前のお店から運んで来たと思しき棚が張り付き、最近のミステリ&エンタメ本に混ざり、歴史・人文の硬めな本がしっかりと幅を利かせている。棚下にも本が背を受けて並び、棚と同じようなカオスっぷりを発揮している。ちなみに棚の中でちょっと飛び出している本は、すべて店主のお薦め本である。所々に大きめの付箋に書かれた箴言&名言たちが、本と古本の素晴らしき効能を語りまくっている。左壁には細長い歴史文庫の棚があり、その横の壁には店主の言葉がミニ色紙や封筒や反古に書かれたものが、400〜500円で販売されている。奥の間には帳場と本棚が一本あり、そこには歴史系の本が多く並んでいる。さらに隣りにはベッドが置かれた部屋があるが、ここは完全に生活空間となっている。店主は先客と膝突き詰め合い、とても嬉しそうに話をしている。先客はお店で本を買うのと、店主と話すのを楽しみにして来たようで、たくさんの本を買い、目の前の店主から滔々と溢れてくる人生訓や生きる楽しみと苦しみ、古本屋としての矜持などについて相槌を打ちながら拝聴している。こちらも本を選びながら、もらい拝聴してしまう。93という歳を感じさせない聡明さで、毎日感じて考え続けているのが、ふわりふわりと伝わって来る。話を勝手に聞いているうちに、この人はまさに古本屋として生き続け、そして生涯現役のまま、古本屋として死ぬことを決意しているのだと気付き、恥ずかしながら勝手に感動してしまう。感動したまま話に割り込み、西成区民クラブ「西成区民誌」(函ナシ)を差し出すと、「いい本を買ってくれてありがとう。これ、飛田のことが載ってますやろ。前に原稿書く時に使ったんですわ。いや、おおきに」と破顔一笑。こちらこそありがとうございます。必ず読んで大事にします。
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購入した「西成区政誌」。店主手書きの帯がセロテープで貼付けられたまま付属してきた。これはこれで、嬉しかったりする。
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2016年06月07日

6/7兵庫・阪神西宮 アテネ書店

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駅から南に出て大きな通りの『札場線』(この辺りの通りの名はほとんどが都市計画的で、あまり風情がないものが多い)を南へ。信号をひとつ過ぎ、脇道を一本やり過ごし、次の脇道を西へ入る。最初はただの裏町的なのだが、十字路をひとつ過ぎるとキレイに化粧直しされた商店街となり、外灯には『西宮神社』の御神燈が提がっていたりする。奥に入り込んで行くとお茶屋さんの隣りに、長屋式商店建築をパネルで覆った、それでも古い本屋さんが現れる。軒上には極太明朝体で書かれた『小学館の学習雑誌』の古い看板。その下にはオレンジ色の日除けが張り出し、さらにその下には昭和四十年代あたりの本屋さんの姿が、そのままボオッと浮かび上がっている。中央には低めの新刊雑誌ラックと、木製新刊雑誌平台が置かれているが、それには目もくれず、右側からズイッと店内に入り込む。即座に左手前の木製カウンターに座るご婦人から「いらっしゃいませ」と声がかかる。コンクリ土間がざらついている。土間中央にはトタン板や棚やコピー機や実用的自転車が固まっているが、これもスルー。さらに奥には新たな自転車も置かれているが、気にしない。ぐるんと壁際に巡らされた、年季たっぷりの木製造り付け本棚に視線と思いを集中させる。下段六段は、七十〜八十年代の少年・少女・青年・コミックばかりなのだが、これらは50円で販売されている。だがそれだけではなく、これらは貸し出されてもいるのである。上段三段の単行本やノベルスも同様で、手に取ると後見返しには貸出カードが収納されているのだ。右側のビニールコーティングされた単行本群は、松本清張・西村寿行・森村誠一・内田康夫・平岩弓枝・瀬戸内寂聴・吉川英治・梶山季之・丹羽文雄などなどである…。こんなに燃えないラインナップなのだが、何故か心は弾んでいる。それはこの現代から取り残され、それでも保存され続けている奇跡的な空間に、首尾よく出会えたからであろう。大量のノベルスと、少しの比較的近刊なミステリ&エンタメに目を通した後、ちょっと高いカウンター付属の木製椅子に、まるでバーの止まり木にちょこなんと腰掛けているようなご婦人に「これはみんな貸本なんですか?」と聞いてみると「そうですけど、もうあんまり借りに来ないんですよ。なので、お売りしますよ」とのこと。ではせっかくなので、ケイブンシャノベルス「信州・小諸殺人行/中町信」をセレクト。ご婦人に「これを」と手渡すと、「ちょっとお待ち下さい」と奥に消え、誰かに値付けして貰っている模様。結局300円で購入する。その時「なんで貸本って分かったんですか?」と聞かれたので、やたらと厚みのある貸出票が付いていたことを告げると「そうでしたか。この商売ももう少なくなったので、貸本を知ってる方も少ないんですよ」とニッコリ。確かに、この壁棚に巡らされた本を、借りる人も買う人もいなさそうだ。恐らくこのお店の主力は、店頭に出された新刊雑誌と本の注文なのだろう。「おおきに。またどうぞ〜」の声に送られ、こんな動かぬ貸本の成れの果てを備えた、ギリシア的店名を持つ古い書店が、阪神間にひっそりと佇んでいることを、ふいに愛しく思ってしまう。
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2016年04月22日

4/22京都・京都市役所前 古本・中古音盤 ヨゾラ舎

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昨日の京都三日目の報告である。京都市役所脇から『寺町通』を一心不乱に北上する。「尚学堂書店」(2009/09/05参照)も「三月書房」も『村上開新堂』(まるでクッキーのようなロシアケーキが美味)も通過して、ズンズン北へ。結構歩き、やがて左手に見えてくる京都名物『進々堂 寺町店』の前で東に曲がり込み、次の十字路で『新烏丸通』を再び北へ。すっかり街の裏通りであるが、すぐに右手にビルの案内看板を枝のように生やした、黄土色のレンガタイル張りの小さなビルが目に留まる。近付くと、小さなエントランスにギター弾きと読書する女性と猫の線描が独特なタッチで踊る立看板が置かれ、頭上には星の散る日除けと、ガラスの向こうに古本とCDを並べた小さなお店があった。安売CD箱には目もくれずに店内に入ると、すぐ脇に本の100均箱が置かれている。今日は雨だからこの場所なのだろう。左隅にはレコードプレーヤーがあり、後は一面の壁棚になっている。右は大型音楽本を並べた低い棚から始まり、大きなCD棚へと続いて行く。こちらの棚下には、レコード箱が多く並べられている。最奥がそのまま帳場になっており、アクのない若めの夏目房之介的店主が座っている。入店の会釈を交わし、「雨の中すみません」という言葉を聞き流し左壁棚に張り付くと、マニアックな探偵小説文庫ゾーンから始まることに気付き、心臓がドキンとする。気になる一冊を最上段から背伸びして手にして戻したところで、店主が突然スクッと立ち上がり「高いところですみません。あの…古本屋ツアーさん…」と正体を見抜かれる。どうやら日頃からブログを読んでいただいているようで、今回の京都行のタイミングでそれらしき男が入って来たので、、ピンと来てしまったようだ。恐縮しながら色々お話しするが、彼の丁寧さと超低姿勢がもはや芸術的で、たちまちこのお店が好きになってしまう。話す時は、その度に帳場で直立不動。「棚を憶えている途中なのに、話しかけてすみません」「なかなかお目に適うような本がなく、すみません」「スタンプカードの有効期限はありませんが、お店がなくなっていたらすみません」など、もう素敵におかしいのである。肝心の棚はと言えば、さらにセレクト日本文学文庫・音楽文庫・食文庫・ジャンル別音楽・探偵小説関連・幻想文学・サブカル・カウンターカルチャー・アート・食・日本セレクト文学・古本関連・戸川昌士と続き、さらに棚下には100均本や「けんじ文庫」という名の山田稔や野呂邦暢を多く並べた貸し棚ゾーンもあり。ツボにはまる本、キモになる本をしっかり揃え、少ない冊数で細かい棚造りが為されている。野呂・殿山・小実昌・植草・上林・竹中労・小山清などがギラリと目立つ。値段はジャストな隙ナシ値。だが安い本もちゃんとあると扉をこじ開け、東和社「随筆東京/奥村信太郎」(裸本)国書刊行会「私が選ぶ国書刊行会の3冊」を購入する。初めてお会いしたとは思えぬほど楽しくお話しできたので、京都では「善行堂」(2012/01/16参照)に続く、立ち寄るべきお店になりそうな予感が、背中を走る。
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2016年04月20日

4/20京都・河原町 吉村大観堂

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阪急線の『8番出入口』から地上に出ると、賑やかな目抜き通りの『四条通』。西にグングン歩き詰め、車通りの多い『寺町通』を300mほど南下。すると、古都と現代の街の姿が融け合わさる風景に、ぴょこんと『古本買入』の文字が浮かび上がる。二階から看板を飛び出させているのは、古い商店建築の一店。軒からは緑のダンダラ日除けが張り出し、その下右側にはに小さいがみっしりと文庫の詰まる100均木製ワゴン+値段様々新書箱。左側には立体感のある大ぶりな黒タイルで化粧されたショウウィンドウがあり、和本や豪華大型本や古書を並べている。面陳されている「古今東西 魔術大観」がとても気になる…。店名とショウウィンドウを見て、さぞかし仏教&学術的に硬いお店なのだろうと、覚悟を決めて中へ進む。ツヤツヤのコンクリ土間に、古い木製什器が本を収める店内は、なかなか乱雑である。壁際はもちろん造り付けの棚に覆われ、中央には縦に背中合わせの棚が置かれているが、どの棚前にも本は腰辺りまで積み上がり、通路を狭くしている。そして両壁下はさらにひどい状況で、本タワーと、古本を詰めた箱が、争うように積み上がっているのだ。そんな空間の中、奥の帳場には官僚風のピシッとした男性が座り、ファンの回る音が大きなパソコンとにらめっこをしている。棚脇の文庫棚を覗き込み、値段はないが一冊抜き取る。続いて入口左横を見ると小さな棚があり、なんとそこには官能文庫が固まっていた。おぉ、こういう本も置いてるんですね。そのまま壁棚を見ると硬い函入本が、歴史・文学・地理・宗教・郷土史・事典・史料などが厳めしく並び続ける。だがその下は本の山で、その上に置かれた箱内には古少年雑誌や古雑誌が詰まっていたりする。向かいも民俗学などの本が棚に並ぶが、下のタワーには児童書が派手に目立っていたり、ちょっとアンバランスな不思議な感じである。右側通路に移ると、通路棚には古書の日本文学とともに、下には大型本がズラリ。入口右横には教養&文化系文庫の棚があるが、なんとその上には神棚が直に置かれている。右壁棚の手前とその下には和本が集まり、和本を入れる木箱もごろりと横たわり、一部古雑誌タワーも確認。奥に進むと壁棚は山岳本で占められているが、その前には明治本・ボール紙表紙本・駄玩具本・講談本・小型本・漫画・童話などの詰まった箱が大量に集まり、細い細い行き止まり通路を造り出している。その道を奥まで進むと、目の前には冒険小説などが集められた面陳ゾーンにたどり着く。棚層と積上げ層の二種に分かれた古いお店である。棚はとことん硬いのだが、その周りに積み上がるものは、とても古いが柔らかなジャンルが多い。値段はしっかりめだが、時に安値のものも混ざり込んでいる模様。棚や箱の本に値段はあるが、積み上がっている本には見当たらないことが多いので、店主に帳場で教えてもらうことになる。新潮文庫「奇妙な花嫁/ガードナー」岩波新書「パタゴニア探検記/高木正孝」を購入する。

今日も色々終えて日が暮れる前に、もはや京都の心のよりどころ、今や関西をさすらう孤独な古本修羅の港になりつつある「古書 善行堂」(2012/01/16参照)へ。毎度のように古本屋さんについて意見を交わし、様々なことを相談し、未知のお店についてタレ込まれ、先客の青年とも楽しくお話しし、ハードな一日を締めくくる。春陽堂文庫「喬二捕物集(三)/白井喬二」春陽堂少年文庫「ロビンソン漂流記 前篇/デフオー」を計1000円で購入する。
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2016年04月19日

4/19京都・出町柳 ふるほん上海ラジオ 古本市常設展

自転車に乗っていると、『東山丸太町交差点』横のスーパー前で、古本市が行われているのに、偶然行き当たってしまう。児童文学・絵本、それに三十以上の文庫箱、単行本棚が十本ほど…すべて100均である。
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講談社「殺意の餌/鮎川哲也」をつかんで精算するついでに「いつもやっているんですか?」と聞いてみると、「定期的に色々な所でやっています」と黄色いチラシを渡してくれた。「それに全部書いてあります。出町柳桝形商店街にお店もありますよ」と教えられる、何ぃー!とすぐさま自転車をカッ飛ばし、出町柳方面へ。その商店街が何処にあるかは知らぬが、駅に着けば何とかなるだろうと高を括りながら到着し、件の商店街を探すが、影も形も見当たらない。仕方なく勇気を出して人に聞いてみると、何と鴨川の対岸だと教えられる。お礼を言い、河合橋→出町橋でトンビが低空で滑空する二本の川を越えると、『出町地下駐車場』の地上入口部分にたどり着いた。ところがやはり商店街は分からない。周囲をグルグル闇雲に走り回り、またもや途方に暮れようとしていた時、目の前に突然見覚えのある頼もしき男の影が現れた!ぜ、ぜ、善行さんっ!「あっ!」とお互いに声を上げた後、笑顔で挨拶を交わす。何と、これから市に向かう途中の「古書 善行堂」店主・山本善行氏と、恐ろしいほどの偶然で鉢合わせたのである。これぞ地獄に仏!と商店街について聞こうとすると、「そうや、この近くにいいお店が出来たんや」と、あっという間に足早に、勝手に探していたお店に案内してくれたのである。やはりそのお店を知っていたのかと驚き、自転車を押しながらついて行く。

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場所は先ほどの地下駐車場入口の西側向かいに、ちょっと鄙びた細いアーケード街があり、入り込んで西に歩いて二つ目の十字路手前に、『古本市開催中』のアナウンスを流しながらも、まだ看板はリビング用品店のままの古本屋が、確かにあった。店頭には実用本を集めた棚と、絵本やDVDワゴンなどが置かれている。善行氏は素早く繁盛している店内に突入してしまった…。左に100均文庫ゾーンが大きく採られ、奥の凹んだスペースにもそれは続く。棚下には大型本が詰まった箱が連続。中央には、児童文学・ミステリ&エンタメの多い100均単行本通路。そして右端通路は、100均から少しだけ値段を上げた、200均単行本&文庫、それに壁棚にほとんどが千円以下で大体は300円の、映画・美術・幻想文学・寺山修司・日本文学・人文・文化・美術・児童文学が面陳も交えて続いて行く。この通路はとても熱い!良い本が、安値で連続するのは、胸がすく光景である。店に入るなり、善行氏も無言で棚に張り付き、あっという間に数冊を確保していた…恐ろしい。邂逅わずか十分ほどで市に急ぐ氏と別れ、しばらくは店内で鵜の目鷹の目。う〜ん、これは近くにあったら、確実に定点観測店だな。と、最近出来たと言うこの激安店を羨ましく思い、入口右横の簡素な帳場で精算する。学研 手塚治虫編集劇画サスペンス「地獄の魔犬/原作・ドイル 画・小室孝太郎」「学校殺人事件/原作・ヒルトン 画・はっとりかずお」「のろいの黒猫/原作・ポー 画・大和田守」「地球さいごの日/原作・ワイリー 画・香西邦雄」を購入する。
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2016年04月16日

4/16兵庫・西代 古書店つのぶえ

熊本の地震を知ったのは、神戸から帰る夜行バスの中であった。今から二日前のことであるが、まさかそれが今現在も続くことになるとは、思ってもみなかった。改めて日本が地震大国であることを、突きつけられた思いである。早く余震の回数が減り、震度も小さくなって行くことを、心から祈るばかりである。そこで大いに気になるのは、やはり被災地の古本屋さん。熊本の「舒文堂河島書店」と「古書籍 天野屋書店」(共に2008/12/22参照)や、ナンダロウさんに教えていただいた未だ未踏の二階の紙物的古本屋さん、熊本or福岡に開店予定の「汽水舎」、それに大分・別府の「SPICA」「大野書店」「TOM」(すべて2011/11/27参照)などなど、こちらのみなさんについても、さらに無事を祈るばかりなのである。そんな今日のツアー報告は、先日神戸で行ったものであるが、かつて同じような阪神淡路大震災の被害に遭った長田地区に、元町から移転して来たお店である。最寄り駅には、昔の街の様子や復興の過程が、大きくパネル展示されていた。長い月日が経っていても、街の様子から消すことの出来ない被害の大きさを感じながら訪ねたお店は、とてもとても良いお店であった…。

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山陽電鉄地下駅から、南出口の西寄りの階段を上がる。大通りの向こうには小学校があり、体育の授業を受ける児童たちのけたたましい嬌声が届いてくる。西に向かい、すぐの信号を南へ。そこは、何の変哲もない平和な住宅街なのだが、ビルから家からほとんどの建物が、新興住宅地のように根こそぎ新しいのである。ここいら一帯は、阪神淡路大震災で甚大な被害を被った、長田地区である。理不尽な大火災で焼け野原と化した場所である。そんなつらい激動を乗り越えた街路の、味気ないキレイさに、被害の凄まじさと復興の逞しさを感じ取りながら歩き続けると、防災設備を備えた『水笠通公園』が右手に見えてくる。手前の十字路で東を見ると、細高く茶色い四階建て住宅ビルの一階に、『古書店』の看板を発見する。分かってはいたのだが、こんな所にお店がと、改めて驚き喜び足早に接近する。軒上の袖看板下には『コショたん』が描かれた幟がはためき、ギュッと小さな間口には、右に全集棚と文庫揃いワゴンと100均新書棚、左に100均単行本棚と古く小さな立看板が置かれている。中に入ると細いが奥深く、ひんやりとしている。両壁に白木の頑丈な本棚が張り付き、中央にはちょっと背の低い背中合わせの本棚。左奥に屈強なスチール棚と繊細なガラスケースが置かれ、その奥の整然とした本の山の向こうに、帳場兼作業場があるようだ…丸刈りの頭頂部がチラリと見え、キーボードを叩く音が聞こえてくる…。左壁棚は児童文学から始まり、文庫・新書(古いものあり)・西洋文明&文化・西洋詩集などが並び、棚下には一般単行本や硬めの文庫の山が低く築かれている。奥のスチール棚には、何故ここまで巨大化したのかと目を疑うキリスト教関連がドッシリ収まっている。なかなか硬いお店なんだなと、入口右横の棚を覗くと、古い文庫や明治の小型本が肩を寄せ合い、その裏には美術図録棚が置かれていた。フロア棚の左側は、初めはラック状になっており、古めの兵庫・須磨・神戸関連地方出版本や古雑誌が飾られている。奥に進むと、日本文学・日本近代文学・伝統芸能・戦争・古新書サイズ本・古文庫・古海外文学・キリスト教が続き、良さげな古書の出現に胸が大いにに高鳴り始める。右側通路に向かうと、そこは胸の高鳴りを抑制せざるを得ない、絶対的キリスト教関連通路であった。一部に西洋哲学なども混ざるが、ここまでひとつの宗教を網羅蒐集する様には、畏敬の念を抱いてしまう。そっと左側通路に引き返し、高鳴りを再起動させて棚を物色にかかる。なんたって本が安い。千円以下の値段ばかりで(キリスト教関連以外)、多くは100〜500円なのだ。三冊を選び終え、奥にしずしず向かって行くと、立ち上がり姿を現したのは、真面目な杉作J太郎風店主。勝手にジーザス的な方を想像していたことを心中で懺悔し、精算する。新潮社「ボロ家の春秋/梅崎春生」博文館文庫「藥草手帖/農業世界編集局編」井上書院「明治建築案内/菊池重郎」を購入する。復興の地に根を下ろした、良いお店です。

時は移り変わり本日正午に、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)にて「フォニャルフ棚」にドバッと補充。明日日曜に迫ったトークイベントを、しっかり開催することを確認し、色々有益&無駄話。家に帰る途中「千章堂書店」(2009/12/29参照)店頭を覗き込み、福音館「子どもと本の世界に生きて/E・コルウェル」学生社「月の石/コリンズ」を計200円で購入する。明日のトークショーですが、参加者まだまだまだ募集中です。予約されるのが望ましいですが、当日駆け込み参加もOKです。高円寺の古本屋巡りの終点に、午後五時の「コクテイル」をどうぞお訪ね下さい!しつこくお待ちしております!

『岡崎武志×古本屋ツアー・イン・ジャパン 古本屋写真集』刊行記念トークイベント
■出演:岡崎武志・小山力也(古本屋ツアー・イン・ジャパン)
■開催日時:4月17日(日)17時からスタート(16時30分開場)
■場所:コクテイル書房(杉並区高円寺北3-8-13)
■入場料:1,500円
■定員:20名(完全予約制)
■主催:コクテイル書房、盛林堂書房
■協力:西荻ブックマーク、古書 音羽館
■予約:盛林堂書房にメール又はFAXにて(電話は不可)
Eメール:seirindou_syobou-1949@yahoo.co.jp
FAX:03-6765-6581

そしてお酒の友にもなる「古本屋写真集」も絶賛発売中ですので、引き続きよろしくお願いいたします。
「書肆盛林堂」→http://seirindousyobou.cart.fc2.com/ca6/193/p-r-s/
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