2015年10月25日

10/24晴れ渡る松江二日目に二店+一店!

金庫室でのトークに続いて、翌日は東京から携えて来た古本で、一箱古本市に参戦する。会場は昨日と同じ『カラコロ工房』だが、屋根の付いた一階オープンデッキに三十店ほどが古本を広げ、午前中から盛況している。決して目覚ましくではなく、ポツポツと古本を売りながら時を過ごすうち、もはや辛抱たまらんと、スタッフさんに店番をお願いして、水面がキラキラ美しい川縁に飛び出す。

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●松江「ダルマ堂書店」
目の前の『県道431号』を東に進む。船底の浅い小型の遊覧船が次々と現れる京橋川に架かる、『京橋』と『東京橋』の間に、一軒の古本屋さんがあるのを、すでに確認済みなのである。道路からちょっと奥まった場所にある、ちょっとショールームチックなそのお店は、実は昨日訪れた「だんだん書房」(2015/10/23参照)奥様の、父上のお店なのである。つまりは連続で親娘それぞれの古本屋さんを訪ねることになったわけである。左にガラスケースが二台ある小空間があるが、奥にグッと空間が延びて行く、余裕のある店内。昨日トークにまで来ていただいた、作業着ジャンパー姿の老紳士店主にご挨拶し、早速棚に食らいつく。そして即座に『このお店には何かがあるぞ!』と、古本修羅レーダーがピコンピコン盛大に反応してしまう。左右の壁に長い壁棚が設置されており、中央には三本の背中合わせの棚が縦列し、余裕ある通路を造り出している。入口右横の大きな窓際には応接セットと机のみの帳場がある。左のガラスケース内を覗き込むと、文学プレミア本とともに、戦前の南洋一郎の少年冒険小説が飾られている…よって期待はさらに大きくなる。左の壁際には明治大正本も散見される日本近代文学から始まり、同等の古さを保ちながら短歌・俳句・詩・民俗学・朝鮮・中国、そして見たこともない『武士道文庫』『冒險文庫』などが固まっている。棚下平台には古雑誌や紙物がズラリ。奥壁の左側には専門書的な和本が集められている。通路棚には、日本文学・充実の小泉八雲関連・戦前文学&大衆小説・美術・民藝と続いて行く。棚を見ている間にも、店主と様々な会話を交わしているのだが、すでに魂は古本棚に吸い取られてしまっている。棚下平台には古い大衆雑誌・児童雑誌・美術誌などが置かれている。左側通路は、通路棚に政治・戦争・産業・農業・趣味・風俗・自然・動植物と並び、棚下には紙物・地図類・小型本・豆本などを入れた箱が、楽し気に集まっている。向かいの壁棚には島根郷土本が大量に収まり、奥に歴史&宗教が固まっている。勝手に郷土本の集まったお店と憶測していたのだが、あにはからんや!左側通路の古書中心の日本文学通路に感動する。値段はキッチリ付けられているが、それでも相場より少し安めで、お楽しみの隙もチラホラと確認してニンマリ。梅昆布茶をご馳走になり、さらに古本屋話を弾ませながら、見つけた瞬間に『松江に来た甲斐があった』と真剣に感じた、昭文館冒險文庫「海底の寶庫/昭文館編集部編」(ちょっとオーバーテクノロジーの多少SFチックな海洋冒険小説。戦前なのは間違いないが、何故か奥付が落丁ではなく最初から付いていない模様)を2500円で覚悟して買おうとすると、店主は「高いな」とつぶやき、何と1000円にしていただく。どひゃっほう!松江には「ダルマ堂書店」ありと、この胸にギリッと刻み込んでおこう。

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●松江「冬營舎」
続いてそのまま『京橋川』沿いに西に進み、宍道湖方面に足を向ける。『幸橋』で南側に渡り、シダレヤナギの続く川沿いを『島根県警察本部』を右に見て、風に吹かれながらさらに西に歩いて行く。一本目の脇道である『ガラエ丁』を南に入ると、左手にすぐに、一見して古本屋さんとは分からぬ、サッシ戸の並んだ簡素な佇まいのお店が姿を見せる。強い風が通りを吹き抜けると、戸がパタパタと音を立てる。店内にスラッと入り、昨日のトークですでに挨拶を交わしていた店主・イノハラ嬢にご挨拶する。面白く愉快で、独特なコミュニケーションのテンポと生き方のビートを兼ね備えている方で、地上1センチどころではなく、10センチは浮遊している感じに、尊敬と感銘を覚える。店内は外観同様シンプルで、まるで精神を研ぎ澄まし、ギリギリまで削り取った、道具のない作業場のような感じである。入口左横には『ヒトツキ古本屋』という一箱程度の古本を売れる販売スペースがあり、壁際にはシンプルな壁棚が設置されている。そこには食関連・旅・超セレクト日本文学・料理・自然関連。中央には長机とその上に棚が置かれているが、ここに並ぶ本は店内閲覧用で、販売はされていない。右壁にも簡素な棚が設置され、セレクト雑誌・「暮しの手帖」・児童文学・山陰関連本、それにお店を象徴するような冬・雪・北関連の本が集められている。個人的嗜好の少数精鋭主義が潔く光るお店である。値段は普通。何故か再訪を固く誓わされ念押しされ、法政大学出版局「蟻の結婚/古川晴男」を購入する。

会場にこっそりと戻り、どうにか午後三時を迎えて、一箱古本市も無事に終了。無事に二日間を走り抜けられたことに、胸を撫で下ろす…いや、まだ、あの夜行バスに乗って帰らなければならないのだが…。少し時間が空いたので、ひとりで松江の街をブラブラ歩くことに決め、近くに見えていた『松江城』に向かう。そして北端のお壕端にある小泉八雲の旧居を見に行くために、城の敷地から抜け出すと、一軒の雑多な骨董屋さん「ANTIQUE屋」が目に留まってしまう。
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古道具が縦横無尽にごたつく店頭を眺めていると、三ヶ所に古本や紙物があるのをやはり発見。結局街歩きなどすっかり忘れて、ガサゴソと箱や棚を漁ってしまう。バカみたいに十五分ほど格闘し、大日本雄弁会社講談社雄弁新年号付録「青年愛誦ポケット詩歌集」(昭和十二年)キング文庫「名家一言集」そして絵葉書「鎌倉・江之島拾六景特製品」を手にして店内へ進む。すると入口部分は土足のままで大丈夫だが、奥は靴を脱いで上がり込む板の間になっている。「すいません」と声をかけると「おぅぃ」と芥子色のジャケットを着た北園克衛風店主がダンディーに現れた。「すいません、これはお幾らでしょうか?」「三千円」「えっ、そうですか。じゃあ選ばないといけないな…」「じゃあ二千円でいいよ」「わ、わかりました。いただきます」「うむ、いい買物だ」…というようなやり取りを交わし、結局古本を買って会場に戻ることとなる。出発時間までみなさんとお酒を飲んで過ごし、大いに松江の夜を名残惜しむ。「ではこれにて」と荷物を携え出口に向かうと、「BOOK在月」のスタッフさんや、一箱で知り合いになったネット書店の昭和紳士「享樂堂」さん、それに「冬營舎」さんが、わざわざ見送りに出て来てくれた。みなさま、二日間本当にありがとうございました。トークに来ていただいたみなさま、本を買っていただいたみなさまもありがとうございました!松江には、また必ずいつの日か戻って参ります!と心の中で誓い、またもや夜行バスで一路東京へ。

午前七時の明るい新宿は、今まで遮光され閉じ込められていた身からすると、ドラキュラが浴びる陽光のように粉微塵になってしまいそうなほど、疲れた身体には強烈だった…。
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10/23島根県初上陸で出雲〜松江の古本屋ラインを探る

南陀楼綾繁氏に招かれ、島根の本集団『BOOK在月』のイベントに参加するために、10/22の午後七時過ぎの夜行バスで東京を旅立つ。ただただ動く刑務所のような苦痛の十二時間を耐え、肌寒い早朝の松江駅前に到着する。しっかり疲れているのだが、未知の古本屋と古本が待ってくれている!と血気盛んに『BOOK在月』の森田氏、それに出雲が地元の南陀楼氏と合流し、まずは出雲方面に車で向かう。今回のレポートは、車移動での弾丸ツアーなので、いつもと違う駆け足的レポートになることを、ご容赦願いたい。

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●武志「だんだん書房」
『県道277号』を、一畑電車・北松江線の線路に沿うように北上する。『出雲バイパス』を越え、住宅と農地が余裕を持って融合している長閑な地帯を、車は進む。やがて正面に、一畑電車・大社線の踏切が見えてくる。すると右手に広く素っ気ない駐車場が出現。そこに入り込むと、左奥隅にズドンと置かれた箱のような古本屋さんが存在していた。ちょうど『武志駅』の北西500m辺りである。しかしお店はまだ開いていないようだ。森田氏が階段口から二階に向かって声をかけると、ご夫婦が素早く下りて来て、たちまちお店を開けてくれた。店名の“だんだん”は、こちらの方言で“ありがとう”の意味である。店主夫婦は、映画『カンフーハッスル』に出てくる太極拳名人夫婦の如きお二人。入ってすぐ左に簡素な帳場があり、壁際には高く武骨なスチール棚が設置されている。十六畳ほどのフロアには、横向きに胸高のスチール棚が四本並び、狭い通路を造り出している。天井近くの壁には『さがして下さい心に残る一冊を』とあるプラ板や、昭和天皇の島根行幸写真(売り物)や出雲大社関連・太平洋戦争関連の紙物が貼り出されている。入口右横には50均文庫と100均単行本棚があり、付録漫画・講談本・プレミア近代文学本・戦前資料写真・古雑誌・絶版漫画の飾られたガラスケース。その奥に山岳や辞書の棚が続く。向かいにはカセットテープ・VHSビデオ・児童文学・「のらくろ」・「サザエさん」など。右壁には図鑑・児童書・民芸・工芸・骨董・美術全集類が続き、そのまま奥壁棚に重々しく美術全集・歴史・書・考古学・道路調査資料などが、みっちりと続く。第二通路は廉価コミックとともに島根郷土本が硬軟並ぶ(石見銀山関連や植田正治のドメスティックな写真集も)。第三通路には郷土本列の裏側が見えているとともに、江戸風俗・日本文学・東洋文庫など。第四通路が一番の見どころで、古書・日本近代文学・大衆文学・戦争・講談社学術文庫・カラーブックスなどが集まる。最奥通路の通路棚には時代劇文庫・文学全集類が固まり、左壁奥にはちゃっかりとアダルト棚もピンクに輝いている。一見硬そうに見えるのだが、所々に柔軟さが顔を出す、なかなか楽しく目の光らせ甲斐のあるお店である。値段はきっちりしているが、隙もまた確かに存在する!講談社「道化師の森/新田次郎」(帯付き)を購入する。その後みんな揃ってコーヒーをいただき、東京都島根&山陰の古本屋情報を交換。そんな風に、順調な山陰での第一歩を踏み出す。

続いて近くの、古本も少し置いてあると言う「リコレクションズ」を見に行くが、二階にあったはずの古本通路は、見事なまでのアダルトオンリー通路に変貌してしまっていた…。

続いて南陀楼氏おススメの出雲市の「國美喜書房」を、「見て欲しいんですよ。カオスなんですよ。でも開いてないかな〜」と言われつつ向かってみると、案の定お店は冷たくシャッターを下ろしていた…。

さらに松江市内に戻り、車でぐるぐるたどり着いた時には、もはや何処にあるのか土地の者でないと分からぬ「ブックランド ボンボン」を見に行くも、絶版漫画と古映画雑誌・チラシ・パンフは楽しいが、あまりにキッチリな値付とアダルトの隆盛にスゴスゴと退散する。ただ通路足元に置かれた、二十冊以上のアイドル系写真を詰めた900円箱が連続するは、何だかとにかくスゴかった…。

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●松江「本町堂」
最後に松江駅の北西700mほどの位置にある『白潟商店街』の福祉系激安店を訪れる。古書と郷土本以外は全品100円なのである。ウィンドウにはポツポツと古本が飾ってあり、細長い店内に入ると、まずは右にLPレコードラック、左に安売箱とシングルレコードと試聴用のレコードプレーヤーが置かれている。その後は、両壁ともに十五本ほどの本棚が続き、左に文庫・医療・実用・社会・教育・心理・児童書と並んで行く。右には郷土史と古書(ここは100円とは落差の激しいキッチリ値付)から始まり、小説やエッセイ類が80年代以降中心で並んで行く。雑本的だが、とにかく100円なのは魅力である。旺文社「ぼくのおじさん/北杜夫」講談社ノベルス「下北の殺人者/中町信」21世紀ブックス「日本語面白事典/都筑道夫編」を購入する。

さらにさらにその後、トーク会場である元銀行近代建築の『カラコロ工房』に向かう途中で、私設図書館「曽田文庫」に所用で立ち寄り、100均本の並ぶ室内縁側で学研傑作推理ブック4「尾行された少年たち/P・ベルナ」フレーベル館キンダーおはなしえほん「しんげつ/原作・火野葦平」を購入。
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トーク会場は地下の金庫室で行われ、南陀楼氏のほぼ地元ということで、無事に集客もクリアし、楽しい一時間半を過ごす。ホッと一息ついたからか、『BOOK在月』メンバーの手により、丁寧に飾り付けられた会場に置かれた装飾品のひとつ、錆びた蔵の貯金箱に魂を奪われ、森田氏に無理を言って譲っていただく。実は早朝に松江に滑り込んで来た時、夜行バスの車窓から見えた一軒の古本屋さんがあった。「たぬき堂書店」と言う名のそのお店は、残念ながらもう閉店してしまったのだが、この貯金箱はそのお店を整理した時に出た物であると言う!そんな妙な奇縁を喜び、次の日の朝、壮大な宍道湖をバックに記念撮影。陽光の下で改めて眺めてみると、ブリキで丁寧に形成され、表面の絵は懐かしい解像度&色合いの印刷である。そして背面には、何と『マルサン』のマークが!これは、怪獣ソフビ人形で名を馳せた玩具会社の製品であったか!予想外の発見に、宍道湖の畔で、埃だらけの喜びが、一段階アップする。
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2015年01月09日

1/8岡山で「万歩書店」全店スピードツアー!

昨日本日と、本の雑誌『おじさん三人組が行く』の新企画『岡山・万歩書店ツアー』に便乗して、三時間半の新幹線移動で、およそ二年ぶりの岡山へ向かい、観光など一切せずに二日間を「万歩書店」内のみに蠢く!端折って書いたつもりが、やはり大作になってしまったので、心してお読み下さい…。

一月七日午前十一時。岡山駅改札で同行して来た編集M氏と共に、昨日から別件で前乗りしていた編集長H氏と営業S氏と合流し、すぐさまレンタカーで津山へと旅立つ。津山…三十人殺し…八つ墓村…横溝センセイ!と連想しながら、昭和なドライブイン文化が花開き続ける山間の街道を、ウネウネと走って二時間。いつの間にか雨が降り出した陰鬱な空の下に、津山の城下町が吉井川沿いに栄えていた。風情ある横溝ワールドな町中を進んでアプローチした、憧れの「万歩書店」への第一歩は、訳も分からず地下駐車場に進入してしまい、その全貌がなかなか判然としない。車が停まると同時に車外に飛び出し、スロープを駆け上がって川沿いの街道に顔を出すと、平屋に見えるが実は土手の高低差を利用した、二階建て三角屋根の大きなお店が出迎えてくれていた。

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●東津山「万歩書店 津山中之町店」
限られた時間の中、正式なツアーは望むべくもないが、とにかくこれが、記念すべき万歩への第一歩なのだ!と大きな喜びを携え、『業者・マニア大歓迎』とある広大な店内に突入する。入口は二階に通じており、そこにはコミックやゲーム類が並んでいる。それらには目もくれずに、レトロな映画ポスターや雑誌創刊号に飾られた中央大階段を下ると、そこは見事なまでの古本世界。およそ六本の通路が切れ切れに全フロアに広がり、多ジャンルが棚や床上に並ぶ中、目を惹き付けるのはやはり茶色い古書群!中戸川吉二のボロボロの本を発見したり、ショウケースに飾られた下村千秋「天国の記録」の竹中英太郎装に目を奪われたりする。全体的に良い本の値は手強いスキ無しの構え。しかしこれが万歩!とこちらも積極的に介入し、春陽文庫「三角館の恐怖/江戸川乱歩」六興出版「神州纐纈城/国枝史郎」金沢文庫「失われた世界へ/デビッド・ノット」朝日ソノラマ「海外旅行撮影のすべて/渡部雄吉」(最近『張り込み日記』で名を馳せたカメラマンのハウツー本!)を購入し、景気を付けて気合いを入れる。この二日間で、古本をたくさん買うぞ!続いて川沿いに西に引き返して、街中街道沿いの二店目へ。

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●津山「万歩書店 津山小田中店」
赤く滑り易い地面に囲まれた平屋のお店である。とは言え通常の古本屋さんよりは、やはり遥かに広い。二十メートルほどの通路を九本備え、コミックやラノベを中心に、わりと通常寄りなリサイクル店の様相。それでも文学や郷土本の棚は存在するので、しっかりとそこに食らいつき、また50円文庫を愛でたりしながら講談社「自伝 わたくしの少年時代/田中角栄」記録文化社「武林無想庵盲目日記」(後妻・武林朝子の識語署名入)を購入する。ここでは店員さんに声優で同姓同名の小山力也氏と間違われ、恥ずかしいやら申し訳ないやら…。赤面しながら東に一時間弱移動して、道に迷いながらもどうにか日の暮れる前に美作のお店に到着する。

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●林野「万歩書店 美作店」
平成二十一年に出来た一番新しい支店で、自称“一番小さな万歩書店”。外観から察するに、元はパチンコ屋ではないだろうか。先の二店から比べたら確かにコンパクトだが、十本の通路は偉大である。ここでは隙間的な本を目ざとく見出し、秋田書店「若さま侍捕物手帖/城昌幸」徳間文庫「古墳殺人事件/島田一男」日本文教出版社「岡山文学アルバム」(地元でこういう本を買うのは特別な喜びあり)を購入。外灯の少ない横溝ワールド夜道を疾走し、命からがら岡山市街に逃げ帰る。目まぐるしかった第一日目の総括をする前に、ちょっと本店にも一瞬寄ってみようということになり、夜の帳に包まれた、待望の「万歩書店」総本山に、ロッカーに荷物を預けて突入。その瞬間、すべての古本屋既成概念と知識と経験がホワイトアウトし、次元の捩じれたような超現実のような長大な通路に、たちまちノックアウトされてしまう。今までの三店を見て、確かにスゴいが「ブックセンターいとう」や「ほんだらけ」に似ているなと思っていたのだが、これは想像を遥かに越えまくる光景!とてもじゃないけれど、体調がどれだけ良くても、時間がたっぷりあっても、ツアーで太刀打ち出来る代物ではない。古本を探すにしても、的を絞りに絞らなければ、集中力と精神がひたすら肥大し薄まってしまう!ならば俺は、茶色い古書に、この瞬間のすべてを賭けよう!中央通路に連なる300均古書ワゴンや、恐るべき中央右寄りの古書棚にべったりとマンツーマンマークを施していると、浦島太郎的にあっという間に現実の世界では二時間が経過してしまった。見たことのない本のオンパレードに魂を奪われっ放しで、取りあえず角川文庫「監禁/小林信彦」東方社「僕は会社員/北町一郎」ポプラ社世界小説推理文庫「第三の恐怖/江戸川乱歩」日本圖書出版株式會社「地と人/早坂一郎」牧書店「砂漠の国ジャングルの国/高村暢児」(以上すべて裸本)日本音楽雑誌株式会社「音楽は愉し/野村あらえびす」を怒濤のように購入してしまう。一通り買ったところで、後ろ髪を引かれまくりながらお店を後にする…しかし、とても気になる本が、高値なのだが気になる本が、いやそれでも買ってしまおうと心に誓った本が一冊…あぁ、あれを早く我が物にしなければ…。

明けて一月十八日。午前九時にホテルを発って、ほぼ隣町の倉敷へと向かう。しかし一時間ぴったりで到着した場所は、いわゆる倉敷感はゼロの、市民球場の隣にある2フロアの広いお店であった。

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●倉敷「万歩書店 倉敷店」
まだお店の前を掃除している店員さんを尻目に、一番乗りに店内に雪崩れ込む。一階はコミックやフィギュアやアダルトがメインなのだが、入口右横奥にある古漫画雑誌・貸本漫画・雑誌附録漫画が異彩を放ちまくっている。1000円〜10万円の値段幅にも度肝を抜かれる。そこで古本魂を吸い取られてしまったのか、二階の「ブックセンターいとう」的古本フロアに向かうも、全員が何を見て何を買うべきか分からぬ状況に陥り、絶望的に広いフロアを右往左往し、時間だけがいたずらに流れて行ってしまう。ここでもやはり古書に注目するが、狙いが定められず値段との折り合いもつかず、結局ロマンブックス「幽霊男/横溝正史」光風書店「幽霊紳士/柴田錬三郎」東方社「ぜいたくなホテル/黒岩重吾」を購入。ここに来て、岡山でようやく横溝本が買えたことに安堵する。柴錬の本と合わせ、謎の“幽霊”コンボになったのも微妙に嬉しかったりする。続いて少し北上し、「悪魔の手鞠唄」の舞台でもある、山に囲まれた盆地の総社に向かう。

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●総社「万歩書店 総社店」
交通量の激しい交差点近くにある、窓のない倉庫的なお店は、万歩にしては小振りな部類である。店内は2フロアだが、二階からは一階の棚が所々見下ろせるほど、ちょっとワイルドな空間となっている。コミック・ゲーム・玩具類がメインで、一階に100均本と一般本が少々と、二階のコミック空間の端に文庫通路が一本あるのみ。その規模の小ささに、何故かちょっとだけホッとしてしまう。角川文庫「戦国残酷物語/南條範夫」を購入。ロッカーにカバンを忘れる愚かなアクシデントを乗り越え、午後二時。この旅のラスボスである、憧れの「万歩書店 本店」に満を持して再突入する。

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●岡山「万歩書店 本店」
書店首脳メンバーと挨拶を交わし、取材を終えた後(詳しくは「本の雑誌四月号」に一文書かせていただく予定。それにしても、ここでは事務所ぐるみで声優・小山力也氏と勘違いされており、その釈明に必死にならざるをえなかったのが、哀れなピエロ的でどうにもこうにも…)いよいよ本腰を入れて、再度古書棚に挑みかかる。そして昨夜から目をつけていた一冊を、勇気を持って誇り高く抜き取り、昨日は足を踏み入れる暇もなかった二階へ。そこでは奥の壁棚にドババッと揃う、仙花紙文学本にただただ垂涎!祈るように棚の前に跪き、戦中戦後の世界に耽溺!値段は800〜2500円で、大変にジャストな値付が為されている。やはりとても時間が足りぬ焦燥感に囚われながらの一時間半。民友社「新疆探險記/橘瑞超師著」報知新聞社「飛燕合気道/牧野吉晴」山ノ手書房「たぬき尼僧/宮下幻一郎」を購入。一番感激したのは橘瑞超の大正元年オリジナル本!まさかこんな物に出会えるなんて!値段は四千円と高値ではあったが(県外訪問者割引で10%オフの3600円となった)これは絶対にそれ以上の価値がある!そう信じて手に入れた大満足の一冊なのである。
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今回の万歩ツアーは、本を買うことに眼目を置いた、普段とは精度の異なるものであるが、感じとしてはとにかく古書がスゴい!の一言に尽きる。文庫などは量も膨大で絶版も混ざり込むが、それほど色めき立つ発見はなかった。全体的な値段もわりとしっかり付けられているので、所々でブレーキが掛かり、欲しい本は次々と見つかるが“バカ買い”という域には達しなかったのである(それでも初日に作ったスタンプカードは見事にいっぱいに…)。しかし見たこともない古本に多数出会えたのもまた事実で、非常に激しく興奮しっ放しの、スピードツアーとなった。この旅を提供してくれた本の雑誌社に感謝しつつ、岡山の地で巨大でアナクロな古本屋さんとして根付き奮闘する「万歩書店」全店に、さらに大いなる感謝を!
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※二日で溜まったスタンプカード。古本屋ツーリストとしては、買った本も嬉しいが、この旅の軌跡は何ものにも代え難い勲章である。
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2013年10月15日

10/15山口・新下関 ブックセンターくまの店

せっかく遠い九州に来れたのだからと、黒崎で旅の仲間に別れを告げて、帰りがてらの単独古本屋調査行!とは言っても早く東京に戻らねばならないので、ピンポイントで素早く調査せねばならない。門司辺りが素晴らしそうだが、私の心はひねくれているのだ。鹿児島本線で関門海峡地下トンネルをを通過し、本州の尻尾の山口県へ!海峡に迫る山と、その下に張り付く工場地帯や造船工場が生み出す景色は、川崎や千葉とはまったく違う情趣に溢れている。下関駅で、山陰本線に乗り換えたい気持ちをグッと抑え、山陽本線に乗り込む。そしてすぐに新下関着。緑の多い丘陵地帯に住宅が広がる、何の変哲の無い街である。目標は殺風景な駅から南に1.5キロほど。最初はほぼ直線の最短距離を選んでしまい、山の中に分け入る羽目に。挙げ句の果てに、山の頂上で会社の敷地内に迷い混んでしまい、完全に裏目となる。やはり判り易く、駅南口から『県道34号』に入って南下。一キロ弱のガソリンスタンドのある交差点を西へ。長〜い上り坂はやがて南に曲がり込み、長〜い下り坂となる。いい加減高低差に疲れ始めた所で、右手に『本』の看板が現れた…うひゃっ、まだ開いてない。開店の午前十一時まで後五十分…。仕方なく、見知らぬ街を不審者よろしくブラブラし、谷底の交差点に廃墟アパート群を見付け、そこに棲み付いている猫に爪研ぎされたりしていたら、あっという間に時間は過ぎ去っていた。
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※これが、やせっぽちなのに恐いほど力一杯ジーンズに『バリィッバリィッ!』と爪を立てる猫!

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良かった、時間通りに開いている!坂の途中のコンビニほどの大きさのお店だが、出入口は左右にあり、左側には『本一冊レンタル30円』、右側には『古本屋』の看板が架かっている。どうやら左が貸本屋さん、右が古本屋さんと振り分けられているようだ。フムフム、こんなお店もあるんだなと感心しながら、右の開け放たれた扉を潜る。三方はスチール棚に覆われ、左に背中合わせの棚が一本、右に三本が並んでいる。入口右横には美少女系雑誌とアダルト雑誌の並ぶラック。正面カウンター帳場内には、スーツを着込んだナイスミドルの根上淳風オヤジさん。BGMはコブシの利いた演歌である。今立っている通路は、時代劇文庫がビッシリと収まり、左端通路には大量のハーレクイン・女性実用ムック・アニメムック・絵本・児童文学・児童書が並んでいる。右側通路を覗いて行くと、推理文庫・ノベルス・単行本通路、推理文庫・時代劇文庫通路、雑学文庫・海外文学文庫・ごちゃまぜ文庫・雑誌・写真集通路と続く。文庫は一冊100〜300円。なので値段の安い、雑本的並びの大衆店と言える。富士見文庫「ホラー・コレクション/楳図かずお監修」(和洋映画や漫画のキャラまで、怪談&怪奇&ホラーのキャラを網羅した良品!)中公文庫「妙な塩梅/えのきどいちろう」角川ホラー文庫「爬虫館事件 新青年傑作選」を購入。

さて、急いで東京へ帰らねばと、早足の帰り道。ところが県道沿いに「ブックオフ下関一の宮店」を見つけ、思わず飛び込んでしまう。五分だけの猶予を己に与え、流れるような動きでセドリ開始!105円棚で講談社ノベルス「奥秩父狐火殺人事件/梶龍雄」の発見に成功する。きっかり五分で飛び出し、再びの帰り道。新下関よ、短い時間だが楽しかったよ。さあ、今度こそ本当に帰るんだ!
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2012年11月24日

11/24岡山・倉敷で街の景観に感動して二店!

気が付けばもう十一月も終りに近付いている。…このままではいけない!一月の「鬼子母神通り 外市」(2012/01/07参照)で、訪れることを約束した三店の古本屋さんに、まだ一軒(岐阜「徒然舎」(2012/05/24参照)しか行けてないじゃないか!なし崩しに年末を迎えるのだけは避けなければならない。覚悟を決めて、まずは難物の岡山県倉敷へ早起きして散在して急行!岡山駅から、旧総武線の黄色とは色合いの異なるレモンイエローの伯備線に乗って、黄色い土で出来た水路の目立つ山陽の地方都市を走り抜けて行く…。

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●倉敷「蟲文庫」
南口に出ると、そこは回廊のように地上のバスターミナルを囲む空中歩道。左からぐるっと回り込んで、歩道橋から地上に下りる。そのまま人通りの多い『倉敷中央通り』に入り、まずは南へ。ひとつ目の『阿知北信号』を通り過ぎ、次のビルとビルの谷間に延びる東への裏道に入り込むと、古く懐かしいアーケードの『えびす通り商店街』。昔そのままの商店と、若者たちが始めたお店が混在し、とても活気に溢れている。その商店街の奥へ奥へと進んで行き、やがてアーケードが尽きれば、そこは美しい山城のような『鶴形山公園』のふもとで、さらにそのまま東に進み続けると、感激の白壁の商店や町屋が両側に続く『本通り商店街』に突入する!何処までも道の両側に連なって行く江戸的街並!観光地化が進んでおり、実際観光客で賑わっているのだが、往時の風情をしっかりと留め、尚かつ道は公園に沿ってカーブしているので、一歩進むごとに新たな景色が展開し、歩く楽しみを存分に味あわせてくれる。通りがいつまでも続くような錯覚に囚われながら、駅から一キロ強も歩き続けると、通りの終りがようやく近付き、左手に遥々目指してきたお店が現れた。完全にこの街並に一体化しており、こんな古本屋さんが…と思わず唸ってしまう、白壁の古めかしい商店である。その佇まいは凛々しくコンパクトで美しい!壁面には木彫りの看板が掛かり、立看板は建物に押し付けられている。長い暖簾を潜ってガラス戸を開けると、女子で混み合う雰囲気のある店内。床には粗めの煉瓦が敷かれ、流れる音楽と共に何処からか『ミャ〜オゥ』と甘え鳴く猫の声が聞こえて来る。店内は少し横長で、入口左横・左壁・奥壁左側に壁棚が設置され、その前に背中合わせの棚が一本。フロア右側には平台が置かれ、入口右横から右壁には飾り棚が展開する。右奥には通路が一本隠されており、奥壁棚・右壁棚・通路入口横の棚で形成されている。店奥は、壁棚の横にガラスケース・帳場兼作業場への上がり框・帳場を兼ねたガラスケースとなっている。帳場には店主の田中美穂氏が座り、もうひとり男性が背中を向けて何やら作業している。入口左横から見て行くと、海外文学文庫・日本文学文庫から始まり、左壁には音楽・映画・演劇・絶版漫画・サブカル・民俗学・哲学・精神科学・宗教。奥壁にはマイノリティーや新書が並んでいる。背中合わせの棚には、左に占い・実用・自己啓発・社会科学・思想・旅、右に昆虫・自然・美術が収まる。平台にはまたもや昆虫・動物・田中氏自著・料理・本関連・新刊などが並び飾られている。奥壁のガラスケースには、何だか見たことも無いプレミア本たちの姿が…。入口右横には亀の置物や仙人掌・「暮しの手帖」がディスプレイ。右壁下はCDが並び、最奥の通路入口には岩波文庫・岡山文庫がキッチリと揃えられている。右奥通路に入り込むと、詩歌句・文学評論・海外文学・幻想文学・日本文学・日本近代文学・ミステリ&エンタメが待っている。内装のお洒落さを裏切る、意外に硬派なお店である!お客におもねること無く、あくまでも自分の好きな本で築き上げられているのが勇ましく、頼もしい。キレイに形作られた興味と知識の箱庭は、もはや眺めているだけで嬉しくなるのだ!値段は普通。ガラスケースの苔写真や鉱物標本を見ながら精算していただく。講談社文庫「あの日この日(四)/尾崎一雄」イースト・プレス「世紀の大怪獣!!オカダ/岡田斗司夫」を購入。

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●倉敷「長山書店」
「蟲文庫」を出てそのまま通りを抜け出たら、北上を開始。ひたすらズンズンもはや風情の無くなった道を北に進み、『倉敷中央病院』脇を過ぎ『国道429号』へと出る。今度は進路を駅方面に定め進んで行くと、『昭和一丁目交差点』際に、ペパーミントグリーンの古本ビルが建っていた!駅からは東に400mほどである。三階建てで奥に深く、二階窓に『古本』の文字と壁面に電光掲示板。黄色い日除けが入口上に張り出しており、均一棚などは見当たらない。自動ドアから中に入ると、そこはいきなり文庫の通路!おぉ!と色めき立って棚に齧り付こうとするが、入口横にあったコインロッカーが目に入る。どうやらカバン類はここに預けねば中に進めぬようだ。おとなしく指示に従い、手ぶらで通路を進む。右は100均単行本と海外文学文庫、左は時代劇文庫と日本文学文庫である。たっぷりと眺めてから通路を抜け出した所で、私は事態に気付き青ざめる…何と広くて複雑な店内なのだ!左奥の本の山に囲まれた帳場で懸命に働く黒髪の女性と目を合わせながらも、しばし呆然としてしまう。入って来た通路を中心として、左には背中合わせの棚が二本続き、後は長い壁棚。出版社別文庫・岡山文庫・カラーブックス・ミステリ&エンタメ・海外文学・女流作家・児童文学・絶版コミック・料理・落語・骨董・スポーツ・武道・旅・音楽・芸能・映画・役者などが集まっている。本の山に囲まれて近付けないガラスケースや、レコードラックもあり。通路やちょっとしたスペースには箱や本が積み上がり、ちょっと乱雑な風景となっている。右側スペースは広大で、壁棚と横向きの背中合わせの棚が六本。入口側に長い本の島と小部屋的スペースが二つある。入口側に言葉・日本文学・海外文学・詩歌句・選書・宗教・オカルト・科学・東洋文庫・古典文学・文芸&思想&美術誌・新書・ノベルス・語学・ペーパーバック・辞書類。奥側には、戦争・近現代史・歴史・美術図録・茶道・書道・工芸・美術作品集・写真・写真集…棚も本の数もとにかく膨大である。そして帳場横にはさらに二階への階段がっ!本があちこちに積まれ、カクカク曲がる階段をコツコツ上へ。おぉ、本運搬用の小型エレベーターが付いているのか…。うわぁ〜、二階も恐ろしく広くて乱雑だぁ…。壁棚は本棚、上がり口近くに横向きの本棚が二本あり、メインは背中合わせの棚が縦置きで六本。右手前奥に、一階同様大量の本に囲まれた帳場があり、オヤジさんが腕組みをして座っている。二階は学術&研究本・箱入り本・古い本が多いようだ。会社史・産業史・歴史・郷土(岡山・広島)・本&古本・考古学・医学・数学・宗教・古典文学・社会学・日本文学・日本近代文学・詩歌句・海外文学・文学評論・美術・山岳・登山・食・冒険・天文・地学・植物・鳥類・動物・昆虫などなど。店内の構造が複雑で、通路の本数がただ事ではなかったので、ゾーンごとのジャンルを覚えるのが精一杯だった…。蔵書数がとにかく多く、全体的に硬めで真面目な傾向。しかし迷宮のように広い店内を冒険するのは、やはり楽しくて仕方無い。値段は普通〜ちょい高で、二階の本はやはり高めな感じである。オヤジさんに精算は一階でするのか聞いてみると、二階でも大丈夫とのこと。遠慮なくオヤジさんに本を手渡すことにする。ちくま文庫「城昌幸集」あまとりあ社「地獄の野良犬ども/村岡藤里」遊友出版「列島書店地図/新文化編集部編」を購入。…あれ?藤田まことの本を買ったはずなのだが、袋にはいっていないし、勘定にも入っていない……店内の何処かに置き忘れたのか?それともレジで忘れられちゃったのか…残念!

つい先日の「古本の雑誌」の座談会で、「岡山に行くなら万歩(万歩書店)に行けってことですね」と自ら発言していたのに、近寄ることも出来ず…それはひとえに「長山書店」がスゴかったため…。岡山&倉敷、要再訪!しかしこれで、今年必ず訪ねるべきお店は、犬山の「五つ葉文庫」のみとなった。どうにかして、早めに行かねば…。そして帰りの新幹線、地震による停電で、しばらく車内に閉じ込められる体験をしてしまう。幸いにも十分ほどで動き出したが、あのちょっと薄暗い空間に、一時間も二時間も閉じ込められるのは、願い下げだなぁ…。
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2010年07月04日

7/4山口・岩国 (有)文化教材社 古書部


bunka_kyozai_koshobu.jpg広島への出張が急遽決まる。仕事仲間とは途中合流の単独行である。ならば!と古本屋ツアー的悪知恵を働かせ、勝手に早めに広島入り!そして即座に広島に別れを告げて、在来線ホームの山陽本線へとドタバタ駆け込む。目的地は山口県。通過したことはあるが、古本屋さんは未踏なのである…。ホームに流れる、勇猛果敢な広島カープのテーマソングに送られて、列車は西へ。最初は山と街しか見えていなかったが、次第に右が山、左にぬるま湯のような静かな海が見え隠れ。乗客の大半が『宮島口』で競艇と観光のために降りてしまう。ガラガラの電車は、南国の砂浜を連想させる、白い土の上をダカダカと進む。およそ50分で、湾岸に工場が見える岩国に到着。『意外に近いな』と思わせてくれる距離である。が、この後にしっかり仕事が控えているため、ここで気持ちを緩ませては、だらしが無い事態に陥る破目になりかねない!即行動あるのみ!駅の西出口を出ると大きなロータリー。立派な街ではあるが、時の経過がそこかしこの建物に刻み込まれている。左からロータリーを回り込み、『国道188号』を南下する。歩道の上には高い屋根が架かっている。二つ目の信号、『YMCA』の手前を西に入り込む。そしてそのまま道なりに、西へ西へと進んで行く。飲み屋街の外れのような場所であるが、気にせず構わず突き進む。やがて左手に公園が見え、さらに進むと信号の無い交差点右手の電柱に、お店の広告看板を発見!ある!指示通りに直進すると、左手のビルに目指すお店の名前が!よかった、開いてるようだ。教科書会社のような、硬い名のお店である。軒には店名看板と黄色い弛んだ日除け、その下には二台の平台が左右にあり、三冊100円文庫と投売りのコミックが積み上げられている。窓ガラスには、かなり古い世代のゲームハード機のロゴがズラズラ…ちょっとだけ不安になる。ところが中に踏み込むと、嬉しいことにちゃんとした古書店の様相。おぉ、これはいいぞ!しかもかなり広く複雑そうだ。棚を整理していた初老の男性が「いらっしゃいませ」と気さくに出迎える。店内は薄暗く、左と右に分かれている。左部屋は、壁際はすべて木製の本棚で、真ん中に帳場を挟んで前後に背中合わせの棚が二本、右奥にはアダルトスペースが広がっている。右部屋には前後に棚に囲まれた出入口があり、中はさらに壁棚に囲まれた三つのスペースに分かれている。しかも手前の部屋には背中合わせの棚が横向きに五本…もちろんギュウギュウなのである。左部屋の左壁棚は、大判ビジュアル本・パソコン関連・女流作家文学・日本文学・箱入り日本文学・宗教・美術・コミックと並ぶ。向かいの通路棚手前は、エッセイ・文学・ノンフィクションが雑本的に溢れ返る。奥はすべてコミック。帳場は曇り気味のガラスケースで囲まれ、中にはトレカやゲームソフトが確認出来る。右壁棚は、社会・山口県関連・郷土文学・上野英信・女流作家文庫、出入口を挟んで日本文学文庫・文学評論・司馬遼太郎・教育・古典文学・詩歌が並ぶ。さらに奥にはアダルトに食い込むように絶版漫画のガラスケースあり。店内にはまだ早い時間なのに、意外にお客さんが多く、子供も気さくに店主に話し掛けたりしている。店内に飛び交う『〜じゃろ、〜じゃぁ、〜じゃろう』…方言を聞くのはやはり楽しい。ここがいつもと違う土地であることを、簡単に実感させてくれる…。そして恐怖の右部屋へ侵入。壁際はぐるっと、日本文学文庫・女流作家文庫・実用・学術本・古い文学本・音楽・キネ旬・絶版文庫・海外文学文庫・スポーツ・自然・ペット・鉄道・囲碁・将棋・戦争・時代小説で埋められ、通路棚には入口側から、ビジネス・経済・紀行・ガイド・タレント・映画・海外文学・教養系文庫・日本文学文庫・ノベルス・新書・歴史・戦争と並んでいる。次の部屋には児童文学・絵本・ラノベが集まり、真ん中には児童絵本が収まった回転ラックあり。最奥の部屋は『ハーレクインの間』と化している。古い本も本の量も多く、激しく見応えあり。雑本的と言うか、古書センター的規模の趣がなんともたまらない。よくがんばって棚を探すならば、必ずいい本に呼ばれて喜びを味わうことであろう!値段は安め。いい値段が付いている本ももちろんあり。目当ての本を、一冊は均一台、一冊は店内右部屋から抜き出す。ん?店主がいない…と思ったら奥からご婦人が出て来た。精算をお願いすると「こっちは表の台かしら?」と質問。その旨返答すると「100円でいいわ」と一気にプライスダウン!ありがとうございます!ここまで来た甲斐がしっかりとありました!表に出ると、対面に本の詰まったプレハブ小屋が…お店の名前がこちらにも書かれ、『五・三の市』の立看板。五冊・三冊100円の本がこちらで売られているようだ。しかし中はとても入れる状況ではない…これは一体!?う〜ん、口惜しいが今日はここまで。また来ることがあったらぜひとも確認してみたい。…ハッ!?もうこんな時間だ。早く広島に戻らねばっ!さらば山口!またまた山陽本線に揺られ、海沿いを東へ逆戻り…。集英社文庫「鳥たちの河口/野呂邦暢」新潮文庫「真鍋博のプラネタリウム/真鍋博 星新一」を購入。
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2009年03月15日

3/14広島・風吹きすさぶ中三店!

雨もあがり、強く冷たい風が吹く広島に出没。もうすぐ無くなる広島市民球場に、人々が次々と吸い込まれて行く。そのオープン戦を楽しみにする人々の流れに逆らい、左に原爆ドームを眺めながら橋を渡った。その先には古本屋があるはずなのだ…。


keiun.jpg●広島「景雲堂書店」
原爆ドームの対岸、国道54号に面した相生橋のたもと近くにある。比較的新しくこじんまりとした店構え。店頭にはワゴンが二台、本棚が一本、ビールケース+ダンボールのミニ平台が二つ。100均文庫&新書、単行本が並んでいる。古い本が散見されるので、自然と期待に胸が高鳴る!中に入ると細長い店内。最奥では店主がパソコンとにらめっこ中。壁は左右とも本棚、真ん中に背中合わせの棚が一本、通路は各所に本が美しく積み上がりその幅を狭めている。そこには紙物や古い雑誌もチラホラ…。右棚は、日本文学。文学評論・海外文学・戦争関連・差別&マイノリティ・民俗学・江戸・世界・哲学・思想・古典・詩集・歌集・句集と言う並び。店頭と同じく随所に古い本が入り込み、見難い背文字に思わず顔が接近してしまう。向かいには、日本文学文庫作家50音順・教養&岩波&ちくま&中公文庫、そして岩波を中心とした新書棚…棚が白に染められている…。左側の壁はレジ横に広島の資料本。後は黄色いスチール棚に重量感のある大判本やムックが並ぶ。科学・美術・文学・映画・地図など様々である。入口近くには歴史読本と共にサブカル本が何冊か収まっている。、向かいの通路棚には文学文庫50音順の続き・海外文庫・実用・料理・選書、そして政治・文化・文学・映画・音楽・美術などがこまごまと並んだ棚が続く。印象はとにかく店内も棚も薄く細長い!まるで新書のようなお店である。各ジャンルに古い本がしっかり混ざり込み、見ていて楽しめる質の高めな棚造りがされている。値段は安め〜普通と言ったところか。店主の応対は『懇切丁寧』と言うコトバがピッタリである。岩波書店「郡虎彦 その夢と生涯/杉山正樹」を購入。


kobedo.jpg●横川「神戸堂書店」
広島市街から市電で10分ほどの街・横川へ。寺町通りと並行して走る商店街『横川本通り』の、天満川近くにお店はある。通りは綺麗に整備されているが、人通りは少なくとても寂しげ。緑の日除けの下に店頭台などは無く、代わりにあるのは窓ガラスに描かれた本の絵。絵本や漫画らしき本、『広島の街 横川編 神戸堂書店』と言うナゾの本…などが白い線で踊っている。引き戸を開けると薄暗い店内、入店を知らせるチャイム、奥から聞こえてくる大きなテレビの音…しかし誰も出て来ない。薄暗さに慣れた目を棚へと向ける。右壁は本棚、左には三本のスチール棚と平台付きの大きな棚。その奥に階段下を利用した小部屋的スペース。そこの壁も棚で埋められ、ワゴンも置かれている。右壁棚には、文学・歴史・超能力(何故か目立つ)・全集・アダルト・美少女コミックが並ぶ。奥の帳場近くには、古いアイドル写真集が面出しで並べられている。佐野量子・工藤夕貴……こう言うのって結構お宝なのでは、と思いつつビニールに貼られた値段を見ると、意外なほど高値のしっかりした値段が付けられていた!ただの街の古本屋だと思ってたら…結構やるな…。とここで奥からおばあさんが「いらっしゃい」と言いつつ登場。帳場にゆっくりと腰を下ろす。入口近くにはハーレクインが大集合し、その後には文庫が続いて行く。下の平台にも文庫が並び、ほとんどがエンタメ&ミステリ&時代劇。隅の方では五木寛之の単行本と美少女コミックがまとめられたりしている。奥の小部屋に入ると、壁棚はすべてコミック。左側に官能小説とアダルト雑誌が集まっている。レジ下にも文庫本があり、書皮が掛けられたままの本が一冊!手に取ると村上春樹の「レキシントンの幽霊」…そっと棚にそのまま戻す。アイドル写真集以外はパーフェクトな街の古本屋さん。そうそう世の中甘くはないですな。本を手に取りレジへ。帳場ではおばあちゃんより大きいであろう、巨大なキューピー人形がこちらを見下ろしている。本を差し出すと、値段を確認し半額にしてくれた!本が多少ひしゃげていたためと思われる。おばあちゃんは本を両手で挟みこみ、少しでもキレイなカタチに直そうとしていた…それじゃあ直らないと思います!でもありがとう!値引&その気持ちだけで充分です!朝日文庫「街道をゆく21/司馬遼太郎」を購入。


moon.jpg●横川「ムーンブック」
寺町通り沿い、市電駅・横川一丁目近くにある。黄色い日除け、サッシには女性のポスター…う〜ん、これは完全にアダルト中心のお店だろう…どうするか…しかし入口の向こうに廉価コミックの並んだ棚が見えている…これなら普通の本も少しは…と意を決して中へ!…薄暗い店内に瞬時に目が慣れると、そこには予想外の本の空間が広がっていた!天井まで続く棚が何本も目に飛び込んで来る。そのほとんどはコミックのようだが、アダルト専門店ではなかったことに『入ってよかった!』と望外の喜び。壁はびっしりと天井までの本棚。同様の三本の背中合わせの棚。左には、これも棚に囲まれたレジと「いらっしゃいませ」の声と共に出迎えてくれる店主。奥行きも意外なほどあり、遠くに文庫棚が見えている!重ねて『入ってよかった!』と心の中でつぶやく。右壁棚はアダルトとゲーム攻略本、向かいにはコミック。その裏はノベルス(おぉ、帝都物語がっ!)とコミック、その向かいは表・裏すべてコミック。そのさらに向かいにはハーレクインとコミック、その裏もコミックとなっている。コミックはビニールにしっかりと包まれ、出版社別の50音順に並べられている。入口正面奥の壁に日本文学文庫棚。結構しっかりとした棚造りで、純文学もしっかり細かく集められている。それにしても西村京太郎と和久俊三の棚占有率には凄まじいものがあるなぁ…。左壁は、SF&ラノベ文庫・雑学文庫・文学&サブカル&実用単行本が少量並ぶ。コミック・文庫・アダルトと言う非常に判り易いお店である!そして所々に小型防犯カメラが仕込まれ、死角を生み出さぬよう工夫されて全方向を監視中!まるで『デスノート』の『L』に匹敵する徹底っぷりである。本を買って表に出ると、再び陽光降り注ぐ街路。振り返って窓のポスターを見ると、AVのものだとばかり思っていたそれは、缶コーヒーやお茶のれっきとした健全なポスター…勝手にアダルト系だと思った自分を反省…。文春文庫「コンピュータ新人類の研究/野田正彰」を購入。

帰りは横川駅から市電に乗り込み再び市街へ。車窓に訪れた古本屋が流れて行く…あぁ、仕事さえなければもっと古本屋を回れるのに…いつの日かまた訪れてみせるっ!
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2009年01月19日

1/18岡山・岡山で午前と午後二店!

岡山駅東口近くにある数軒の古本屋。早い時間のせいか、閉まっていたり定休日であったり…。と言うわけで急遽西口へ、地下通路を通り抜けダッシュ!


eiganobouken.jpg●岡山「映画の冒険」
駅西口、北へ延びる西口筋から奉還町商店街へ入る。進めば進むほど寂しく暗くなって行くアーケード。何だかシャッター店が増え始めたところに、輝くように忽然と現れる。ちなみに隣には、ゲーム・コミック・古本が売られている「きゃ楽&SORD」がある(時間がないのでこの日はパス…すみません)。むむむっ、それにしても腕白な店名だ。店頭には映画スターのブロマイドやハガキ・映画ポスター・スチール・フィギュア・ビデオなどが鈴なりになっている。トリュフォーやゴダール映画のブロマイドなんて初めて見るぞ…。店頭に引き続き、中も映画グッズであふれている。しかし!所々に設置されている本棚が見える…古本だな。入口左横には、松田優作とブルース・リーのコーナー。古本・新刊取り混ぜ棚が構成されており、店主おススメの気合棚と見た!大量のパンフやポスターの間を進み、右壁の中ほどにある本棚前へ。映画秘宝・映画芸術・特撮ムックが収まっている。おぉ!隣りには松田優作のLPレコードがこんなにも!奥の壁棚には映画ビデオと共に未整理の「シナリオ」誌。左奥に移動すると、壁棚に映画の古本&新刊。むぅー、何だかいい値段付けてるなぁ〜…さっきチラっと見たパンフもプレミア度全開だったもんなぁ…。おっ!秘宝の昔のムックが結構揃ってる。かと思えば松本俊夫の理論書も。後ろには映画チラシも多数あり。幅広い品揃えに店主の心意気が伝わってくる……しかし心の中に湧き上がるのは、あの水野書店で聞かされたフレーズ『それでも映画は無くならない!』…。などと夢想にふけっているところでタイムリミット。レジ下ガラスケースに並ぶ、怪獣ソフビを眺めながら精算を済ませる。外に出るといつの間にか雨が降り出したようで、アーケードを間断なく叩く水の音が響いてくる…。河出書房新社「文藝別冊 円谷英二」を購入。

そして夕方。40分の空き時間を利用し、岡山大学医学部周辺を攻めた。しかし行けども行けどもお店がみつからなかったり定休日だったり…。いつの間にか四時をまわっている…もうだめか…そうだ!最初に行ったお店が『四時から開店します』って書いてあったはずだ!よし!と踵を返し雨の中を猛ダッシュ…。


nantenso.jpg●岡山「南天荘書店」
駅東口方面にある表町商店街をひたすら南へ。もういいだろう、と言うくらいまで進むとぶつかる、西大寺町商店街の一本手前を左へ…やった!開いてる!明かりが点いている!店頭は閉店時と変わらぬ、ビニールシートに覆われた平台が多数。道路には『古書』と言う文字と、店方向を示す赤矢印が書かれた立看板がひとつ。その矢印に導かれるように、喜び勇んでサッシの引き戸に近付く…そこから見えた光景は、ちょっと入るのに二の足を踏むようなものだった。縦長の店内に複雑に置かれた本棚、その周りを取り囲む本の山…窓にはまだ『四時開店』の貼紙があるが、いいや入ってしまおうと中へ。襲い掛かる古本の匂い…パッと見でも古い本が多いのが分かる…なにせ店内が茶褐色なのだ。通路はかろうじて人ひとりが通れるくらい。その通路にもボトボト本が落ちていたりする。店主の姿は見えず、シンとした店内。壁は一面棚、真ん中には多数の棚が複雑に迷路状に入り組み、大体四つのエリアを作り出している。手前右(入口あり)・手前左(カーテンの掛かった窓あり)・奥右(レジあり)・奥左…とここで奥の通路から老店主が顔を出した。私を見つけるなり「いらっしゃい」と声を掛け、スタスタこちらに近付いて来る。むっ!ここは人のすれ違えない古本けものみち。私は棚のへこみに身体を滑り込ませ、店主をやり過ごした。入口まで来た店主はガラス戸に手を伸ばし、『四時開店』の貼紙をピッとむしり取る。「へへっ、これはがし忘れてるね」と会釈して引き返す。この凄い店の店主とは思えないほどフレンドリーだ。さて、店内の様子だがかなりのカオス状態である。元々のジャンルは本の山に隠れた棚を見れば想像つくのだが、はみ出してしまっている本の量がとにかく多く、むしろこちらがメイン状態になっている。文学。文学評論・美術・社会・政治・思想・歴史・風俗・文化・雑誌・新書・文庫・洋書・各種学術本…古い本・戦前の本・仙花紙本も多数含まれている。そして店内の主要通路である『古本けものみち』が、意外にしっかりと整備されているので、どの棚にも一応たどり着けるようになっている。この構造にはちょっと感銘を受ける。何故なら大抵はここまで本が増えると、奥の通路をつぶして倉庫状態にしてしまうからだ。ただし通路の向かう先はすべて行き止まり。引き返す時は本の山を崩さぬよう慎重を要する。途中「入ります」と声を掛け、礼儀正しく入店して来た中年男性。棚を眺めながら、突然背文字を読み上げ始めた!そして一冊につき短いコメントを発していく。「資本論か…書いたのはマルクスだな」…静かな店内に緊張が走る!…しかし「よし、これを下さい」とこれまた元気に礼儀正しく本を買い上げ、風のように去って行った。…全部の棚を見ないと気が済まない私より、よっぽどマトモかもしれない…。本はかなりお安め。だが店内の全貌を明らかにするには、もはや学術調査並みの綿密な発掘&分類が必要と思われる。勇気と体力と時間のある方は是非!構想社「高橋和巳の思い出/高橋たか子」を購入。

と言うようなわけで何とかカタチになった岡山ツアー。危うくシャッター祭の二の舞になるところだった…。そのシャッターを閉ざしていたお店たちは、どれもよさげな雰囲気が漂っていた。次の機会は日曜以外に来岡したいものです。
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2008年12月20日

12/19香川・高松で様々なお店三店!

四国の道は何だか白い。特に陽が照り返すとスペインのように白くなる。そしてここ高松にも、うどん屋さんだけでなく古本屋さんもある。…初めて出会うタイプのお店もそこに…。


pukupuku.jpg●高松「ぷくぷく書店」
巨大アーケード・田町商店街の終点にある。白いボードに覆われた店入り口の両脇には、ゲームのポスターが貼り付けてある。店頭には二台のワゴンがあり、どちらもコミックが入っている。入口から真ん中の通路に入ると、目に入るのはすべてコミックとゲーム。左側の通路も同様である。おぉ、スーファミの在庫がすごいなぁ…。本の姿を求め右側の通路へ。入口側に向かって“コ”の字に棚が並び、壁際には単行本と作家50音順文庫。文庫は基本100円だが、ビニールに入ったものは少しだけ値が張る仕組み。コバルト文庫とソノラマ文庫がさりげなく充実している。初老の夫婦がそのソノラマ文庫に狙いを定め、棚に張り付いている…孫にでも読ませるのだろうか…もしやセドリ?奥に小説単行本、通路側棚には古いコミック・ノベルス・新書が並んでいる。レジ横にはゲーム攻略本も。本は安いが、ほぼ小さな新古書店の趣き…。新潮文庫「海の仙人/絲山秋子」Nintendo「Baseball/旧ゲームボーイソフト」を購入。


fuji.jpg●「不二書店」
田町商店街から出て左に進み、住宅街の中に入り込むとたどり着ける…はず。道路に出ている立て看板がなければ、古本屋と認識するのはほぼ不可能だろう。店前に大きく開かれたスペースに入り込み、入口前に立つと、ガラスの向こうに本があることがようやく分かる。印象は『本に埋もれた工務店』である。扉に手を掛けようと思ったら、突然ガラララッ!ただのサッシと侮っていたら、しっかり自動ドアでした。お店も侮れないかも…。中は森閑としており、左のレジと言うか机におばさんが一人。棚は何やら雑然としているイメージ。右・正面・左の壁際に棚が置かれ、目の前にある雑誌ラックの後ろの背中合わせの棚が、右側に行き止まりの通路を一本作り出している。右奥と左手前、通路棚の裏には比較的整頓された文庫が並ぶ。ほとんどは小説だが、新しいものから古いものまで中々いい感じ。それ以外の棚には、あらゆるジャンルの新本古本がタテヨコに収まり、非常に見にくい棚構成。単行本・ムック・全集・ノベルス・新書・コミック…。所々ジャンルっぽく固まっているところもあるが、私には判別不能…。各棚の各段には、白い四桁の数字が書かれた帯を巻いた文庫本が、横向きに入れられており、どうやら棚がしっかり分類されていることを表しているらしい。と言うことは店側は明確な意思を持って、棚を作っているのだろうか…。左側の広いスペースに向かう。棚は相変わらずなカオスぶり。こちらにはアダルトも混ざり、部屋の真ん中にはエロ雑誌の島まで出来ている。レジ裏には二台のパソコンと誇りまみれの運動器具。先ほどの分類コードと言い、どうやらネット販売もしているようだ。文庫から一冊抜き取りレジへ。値段が書かれていなかったが、お店側が把握していればいいこと。とりあえずおばさんに声を掛け、本を渡すと100万弗の笑顔がキラリ。しかしその笑顔とは裏腹に「値段書いてあるかなぁ〜」と不安な一言。「ないなぁー、あぁ〜、どうしよう…」何やら一人で懊悩開始。「値段分からないんですか?」「うーん。インターネット見たら書いてあると思うんだけど…それ見て確認してもらえれば…」な、何を言ってるんだ?私が店に本を買いに来たことを、根底から揺るがす発言!「じゃあ売ってもらえない?つまりはムリだと?」「そうね〜」「…じゃあいいです…」「ごめんなさいね〜」10弗の渋い笑顔。あぁ、ついに本を売ってくれない古本屋に出会ってしまった…切ない…。


river.jpg●高松「リバー書房」
中央通りと兵庫町商店街がクロスする場所から、少し高松駅寄りにある。店の前面はガラス張りで、大きなシンボルマークと店名が描かれている。店頭棚は硬めだが、文庫中心で充実な並び。横には雑誌・ムック・写真集・絵本が入った小さいラックが二つ。どっちに開けたらいいのか戸惑う扉を引き開けて中へ。奥行きのある明るい店内、床は木の板、奥は何故か壁が鏡張り。通路は広々としており棚も見やすい。そして少し雑然…奥のレジ周りが雑然…さながらベーカー街のシャーロック・ホームズの部屋。壁は左右とも本棚、真ん中に背中合わせの棚が一本。左の壁棚にいきなり目を惹き付けられる。探偵小説とその周辺・都市文化・ジャズCD・別冊太陽などのムック…サブカルとはまた一味違う、カルチャーな棚。下にはちくま文庫がズラズラと並んでいる。その奥は大判な本がメインで、芸術・骨董・民藝・建築。向かいは図録から始まり、ポケミス・講談社文芸文庫・サンリオ文庫・教養文庫・講談社大衆文学館などがラインナップ。奥には、書・建築(単行本。おぉ伊東忠太の法隆寺が!)・音楽が収まる。この通路棚は低めである。レジ前を鏡に映りながら通り過ぎ、右の通路へ。通路棚には、映画・歌謡・新書・岩波文庫・講談社学術文庫が礼儀正しく並んでいる。壁棚は文学評論・詩歌・幻想文学・海外文学・戦前の満州&台湾&朝鮮などのアジア関係・生物・山岳・社会・歴史・思想・郷土本と硬めな並び。下には岩波文庫・青がズラズラズラ〜。古い本や珍しい本が多く、とにかく見ていてウキウキアセアセ楽しい。お値段はジャストな感じ。店主は一見無愛想な感じですが、私はこの人の「ありがとうっ」が大好きです。買う本を差し出すと、普通の声ながら「ありがとうっ」と言う短い言葉に、『本を買ってくれてサンキュー!』と言う思いと親しみが滲み出しているのだ。それだけで何だかホッとする。遠い旅の地でホッとする…。福武書店「『COMICばく』とつげ義春/夜久弘」を購入。

とにかく…こう…本は売って欲しい。店番の人でも売れるシステムをしっかり確立しておいて欲しい。本が買えなかったことより、ある意味資本主義を根本から揺るがすほどのシステムに衝撃を受けたツアーでした。安穏としてられませんな。
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2008年06月28日

6/28広島三店

雨の広島を路面電車を横目にダッシュ…。


academy_h.jpg●広島「アカデミイ書店 金座街本店」
PARCO近くの賑わうアーケード街と言うそぐわない場所にある。しかし店内は老若男女が入り乱れるほど。店前には105円均一の雑本。その後ろに「ほとんど新刊」と言うコーナーがあり、新し目の本がワゴン内に置いてある。店は2フロアあり、1Fは文庫・文学・評論・実用書・美術・大判の美術豪華本・戦記・ノベルスなど。文学は古めの本や署名本が奥にまとめてある。入り口左側のショウウィンドウには金子光晴の肉筆画などが飾ってある。店内は非常に行き届いているが、店員が始終棚を整頓&チェックしているので少々せわしない。棚の本にも「ほとんど新刊」という帯がかけられたものが。古本屋なのに中々逆説的である。新書で埋まる階段を2Fに上がるとちょっと堅めのフロアが目の前に。広島の郷土史・原爆関係(はだしのゲンもあり!)・宗教・哲学・オカルト・医学・アジア関係など。CDも窓際にまとめられている。ここは本を買うとポイントカードの作成を勧められる。1000円で1ポイント、20ポイント貯まると1000円の値引きになるそうである。全体的にお値段は安めとは言えるが、まぁ堅実な値付けである。中公新書「建築旅愁/長谷川尭」朝日ソノラマ「仏像を撮る/藤本四八」を購入。


bunryo.jpg●広島「文廬書店」
ここはとにかく店構えがスゴイ!極限までオープンにされたディスプレイ。店の中のはずなのに屋外とあまり変わらない。例えるなら八百屋的店構え!表の平台の本はすべて100円。雑然と言う言葉がピッタリ合う平台から本を探すには、掘り起こすしか手段は無い。結構新しい本も無造作に含まれている。店内は壁一面が棚。そして二本の本棚が通路を形成。棚はそれなりに整然としているが、よく見るとカオス。膝から下の平台は本が何重にも積み重ねられ、さらにカオス!ここも掘り進めるしかないだろう。漫画と雑誌とアダルトが目立つが、しっかりと文庫・料理本・児童書・美術などがカオスに充実。中でも面白いのは店最奥の壁一面の棚。分類はすでにノンジャンルのカオスなのだが、新しい本や珍しい本がところどころに紛れ込んでいる。洋泉社の活字秘宝なんて久々にご対面。レジでは手袋をしたおばさんが「なんでも鑑定団」を見ながら本に値付けをしてました。ちなみに値段はメチャメチャ安いです。JICC「写真家の現場/土方正志」を購入。


academy_s.jpg●広島「古書アカデミイ書店 紙屋町支店」
先ほどの本店からさほど離れていないところにある。こちらの方が古書率が低く、新古書店と言ったおもむき。ポイントはこちらでも有効である。文庫・漫画・プレミアマンガ・児童書・ハーレクイン・文学・スポーツ・哲学・思想・ビジネス・オカルト・美術・音楽など。古い本はあまりないが、「プレミアマンガ」などと分けてある通り、時々見掛ける珍本にはプレミアがしっかりと付いている。珍しいところでは、バンド系のファンクラブ会報なども扱っている。しかし、この店で特筆すべきなのは『広島カープ』関係の充実!!色紙・サインボール・雑誌・LP・グッズ・湯呑…まさにこの土地でしか意味を成さない素晴らしいコレクション!これを見るだけでもここに来る価値あり。青弓社「古本迷宮/喜多村拓」を購入。
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2008年06月09日

6/8愛媛・松山二店

坊ちゃんの町で古本屋を求めアーケード街をダッシュしてきました。


live.jpg●松山「古書&CD らいぶ」
アーケード・銀天街にある二階建ての古本屋。一階は新古書・児童書・コミック・文庫など。時代劇本を買い取り強化中。さっと店内を一回りした後、見所でもある二階へ。店の真ん中から立ち上がる階段を登ると、古い本の匂いが途端に強くなってくる。わりと広いフロア内は壁一面の棚と四つの棚。あらゆるジャンルの古い本に取り囲まれた状態。文学・評論・ノンフィクション・岩波文庫・歴史文献・児童文学…中でも美術や郷土史に造詣が深いようだ。この階には一階とは別にレジがあるのだが、階段上がり口の向かいにあり、しかも階段部分が吹き抜けと化しているので、レジに座ってる初老の人が宇宙戦艦ヤマト・沖田艦長のポジションに見えなくもない。座っている下にアーケードを通る人の姿が見え、ダイナミックな光景である。店内にはJ-POPが流れっぱなしになっているが、曲間に「♪らいぶらいぶらいぶ〜…」と独特のテーマソングが挿入されている。角川文庫「壁の絵/野呂邦暢」を購入。


bochan.jpg●松山「坊ちゃん書房」
「らいぶ」の一軒隣にある半地下のお店。漫画が多い店前のワゴンを抜け、階段を下るとそこは本の要塞。棚に収まり切らない本たちが腰の高さまで通路に背を向けて積み上げられている。しかしこの本たちは確実に入れ替えられているようで、下の本が悲惨な事になっていない。店にはかなり高齢の老夫婦がいるのだが、まさかこの二人が本をこまめに入れ替え移動させているのだろうか…。ここもオールジャンルと言っていいくらいの品揃え。分類しっかり、値段もしっかりである。欲しかった本を見つけレジの前に立つと、店主と思われるおじいさんがテーブルに両手を乗せ、がっくりと深くうなだれている。どうやら眠ってしまっているようだ。そっと「すいません」と声をかけると、頭がクーッとゆっくり持ち上がり、目をクワッとこちらに向け「いらっしゃい」。寝ていたことをおくびにも出さず、本を丁寧に梱包するのでした。帰り際に入り口付近にあるショウウィンドウを眺めると、そこには夏目漱石の千円札が。よく見るとナンバーが「0500000」とキリのいいもの。さすが坊ちゃん書房と感心しつつ店を後にしました。毎日新聞社「神野悪五郎只今退散仕る/高原英理」を購入。
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