モノレール駅の階段を下りたら、潮渡川沿いに西北へと歩いて行く。帰りの飛行機に乗る前に、どうにか古本屋さんを調査して行こうと、短い旅の最後の悪あがき。護岸された川は、エメラルドグリーンに煌めいているが、透明度はさほど高くない。途中『国道58号』を越え、600mも白い街路を歩き続けると『夫婦橋』があり、『若狭大通り』を通している。西南に曲がり込んでちょっと進むと、『那覇中学』グラウンド前に、昨日は定休日で入れなかった古本屋さんが、早くもお店を開けてくれていた。黄土色の小さなビル一階にカーキ色の日除けが架かり、扉は大きく開け放たれ、歩道と直結しているよう。店頭左側に、50均の雑誌・単行本・文庫を詰めた木箱が並ぶ。ほんの少しだけ低くなった店内に踏み込むと、薄暗いが広く、整然と複雑に古本の通路が繋がり合っている。入口左横の帳場に座る、BEGIN系の男性店主が「いらっしゃいませ」。三方は高い壁棚で、右側には手前から行き止まり通路・“コ”の字型通路・行き止まり通路三本が続く。左側は大きなラック棚を中心に“コ”の字型通路・行き止まり通路の構成。フロア真ん中には小さな台がひとつあり、雑貨や新刊などを並べている。右側手前には児童文学と絵本が集まり、おぉ!壁棚には水木しげるが大集合!下の方には、一緒に妖怪やアートも並んでいる。次は暮らし・日本近代文学・日本文学・海外文学・幻想文学。古い本が多く、沖縄で初めて戦前の本をまとめて目にした気がする。真ん中には絶版漫画と時代劇文庫が固まり、奥の低い棚には創元SF・岩波文庫・ちくま文庫などが並ぶ。その奥は、壁棚に日本文学・全集類、低い通路棚には創元推理文庫・探偵&推理小説文庫。向かいの高い棚には、セレクト海外&日本文学文庫・SF文庫・春陽文庫など。ここまでだけでも、棚に目が釘付けになる率、ずいぶん高し!次の通路は日本純文学文庫・一般文庫・セレクト文学・詩集・サブカル・探偵小説・ジュブナイル推理&SF・落語。最奥は、哲学・心理学・宗教・歴史など硬めな本がひっそりと収まる。お店のバックヤードから通り抜けて来る風が、この上なく気持ちいい。奥壁は芸術全般・建築・映画・音楽・図録類がドドッと並び、左奥の行き止まり通路には風俗・性愛・艶笑・犯罪・科学・新書が肩を寄せ合う。ここは風俗関連に古い本が多い。帳場前から続く壁棚は、他店同様気合いの入ったきめ細やかな沖縄本コーナーとなっている。ラックは左側が沖縄本、右がビジュアルムック類とカルチャー雑誌を、飾り並べている。棚脇には創元SF・ハヤカワポケSF・桃源社SFを並べたミニSFコーナーもあり。蔵書の1/3が沖縄本だが、文学・ミステリ・SF・水木しげるにも心血を注いだお店である。値段は普通で、良い本にはほとんど隙無しのしっかり値が。それでもこの確固たる宇宙観と品揃えは魅力的で、南の島でマニアックの海に溺れるのも悪くないと考えてしまう。ちくま文庫「城昌幸集 みすてりい」叢文社日本小説文庫(なんで?なんで春陽堂じゃないの?)「近代異妖篇 綺堂読物集/岡本綺堂」を「城昌幸、私も好きなんですよ。買ってくれるなんて嬉しいです」と、突然嬉しく通じ合いながら購入する。
この後は三本目の裏通りにある、沖縄民家改造古本屋さん「言事堂」も見に行くが、開店時間の午前十一時になっても扉は開かず…残念だがタイムリミット。飛行機の時間を逃すわけには行かないので、昨日古本屋さんを巡るうちに手に入れた『全沖縄古書籍組合地図ver0.5』を握り締め、いつかの再訪を誓う。

