2013年10月22日

10/22沖縄・美栄橋 ちはや書房

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モノレール駅の階段を下りたら、潮渡川沿いに西北へと歩いて行く。帰りの飛行機に乗る前に、どうにか古本屋さんを調査して行こうと、短い旅の最後の悪あがき。護岸された川は、エメラルドグリーンに煌めいているが、透明度はさほど高くない。途中『国道58号』を越え、600mも白い街路を歩き続けると『夫婦橋』があり、『若狭大通り』を通している。西南に曲がり込んでちょっと進むと、『那覇中学』グラウンド前に、昨日は定休日で入れなかった古本屋さんが、早くもお店を開けてくれていた。黄土色の小さなビル一階にカーキ色の日除けが架かり、扉は大きく開け放たれ、歩道と直結しているよう。店頭左側に、50均の雑誌・単行本・文庫を詰めた木箱が並ぶ。ほんの少しだけ低くなった店内に踏み込むと、薄暗いが広く、整然と複雑に古本の通路が繋がり合っている。入口左横の帳場に座る、BEGIN系の男性店主が「いらっしゃいませ」。三方は高い壁棚で、右側には手前から行き止まり通路・“コ”の字型通路・行き止まり通路三本が続く。左側は大きなラック棚を中心に“コ”の字型通路・行き止まり通路の構成。フロア真ん中には小さな台がひとつあり、雑貨や新刊などを並べている。右側手前には児童文学と絵本が集まり、おぉ!壁棚には水木しげるが大集合!下の方には、一緒に妖怪やアートも並んでいる。次は暮らし・日本近代文学・日本文学・海外文学・幻想文学。古い本が多く、沖縄で初めて戦前の本をまとめて目にした気がする。真ん中には絶版漫画と時代劇文庫が固まり、奥の低い棚には創元SF・岩波文庫・ちくま文庫などが並ぶ。その奥は、壁棚に日本文学・全集類、低い通路棚には創元推理文庫・探偵&推理小説文庫。向かいの高い棚には、セレクト海外&日本文学文庫・SF文庫・春陽文庫など。ここまでだけでも、棚に目が釘付けになる率、ずいぶん高し!次の通路は日本純文学文庫・一般文庫・セレクト文学・詩集・サブカル・探偵小説・ジュブナイル推理&SF・落語。最奥は、哲学・心理学・宗教・歴史など硬めな本がひっそりと収まる。お店のバックヤードから通り抜けて来る風が、この上なく気持ちいい。奥壁は芸術全般・建築・映画・音楽・図録類がドドッと並び、左奥の行き止まり通路には風俗・性愛・艶笑・犯罪・科学・新書が肩を寄せ合う。ここは風俗関連に古い本が多い。帳場前から続く壁棚は、他店同様気合いの入ったきめ細やかな沖縄本コーナーとなっている。ラックは左側が沖縄本、右がビジュアルムック類とカルチャー雑誌を、飾り並べている。棚脇には創元SF・ハヤカワポケSF・桃源社SFを並べたミニSFコーナーもあり。蔵書の1/3が沖縄本だが、文学・ミステリ・SF・水木しげるにも心血を注いだお店である。値段は普通で、良い本にはほとんど隙無しのしっかり値が。それでもこの確固たる宇宙観と品揃えは魅力的で、南の島でマニアックの海に溺れるのも悪くないと考えてしまう。ちくま文庫「城昌幸集 みすてりい」叢文社日本小説文庫(なんで?なんで春陽堂じゃないの?)「近代異妖篇 綺堂読物集/岡本綺堂」を「城昌幸、私も好きなんですよ。買ってくれるなんて嬉しいです」と、突然嬉しく通じ合いながら購入する。

この後は三本目の裏通りにある、沖縄民家改造古本屋さん「言事堂」も見に行くが、開店時間の午前十一時になっても扉は開かず…残念だがタイムリミット。飛行機の時間を逃すわけには行かないので、昨日古本屋さんを巡るうちに手に入れた『全沖縄古書籍組合地図ver0.5』を握り締め、いつかの再訪を誓う。
posted by tokusan at 18:45| Comment(2) | TrackBack(0) | 沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月21日

10/21沖縄で市場に関わるお店二店!

何と取材で沖縄へひとっ飛び。那覇市内の古本屋さんをゲハゲハと巡りつつ、来沖記念の初ツアーも断固実行!今回は“市場”に関わるお店をターゲットにし、観光客の間を眼光鋭く擦り抜け、古本を求めてウロウロキョロキョロ…。

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●美栄橋「市場の古本屋 ウララ」
沖縄都市モノレール『ゆいレール』で、那覇市街の頭上を滑って行く。高架駅から地上に下りて、すぐ東に横たわる大きな『沖映通り』を南下して行く。500mも暖かい風に吹かれて歩けば、恐ろしく賑わう那覇のメインストリート『国際通り』にぶつかる。すると大小の長いアーケード商店街が並列して、口を開けているのが目に入るだろう。『市場中央通り』を選択して、物産や土産物や珍しいパンや服飾を並べる、小さなお店群に目を輝かせながら入り込んで行く。色彩豊かな商品の遥か上には、白いアーケードの骨組みがハッキリと浮かび上がっている。行き交う観光客の顔には、笑顔がクッキリと浮かび上がっている。やがて右手に『牧志公設市場』の看板と別れ道が現れるが、そのまま南下を続けると、左手に小さな漬け物屋と小さな婦人洋品店に挟まれた、小さな古本屋さんが現れた。おぉ、ここがあの「ウララ」か!と、歓喜がジワッと込み上げて来る。小さいが、思っていたより大きく、しっかりとしたお店じゃないか。奥の店舗自体は確かに小さいのだが、通りにお店の一部が迫り出すことにより、およそ二倍の容積を確保しているのだ。この感じ…大阪・天神筋橋六丁目の「青空書房」(2009/12/31参照)に似ている…。軒にはふくろうの絵が大きく描かれた大きな看板が架かり、什器や床は焦げ茶のアンティーク調に統一されている。表に出ているのは、正面に文庫&新書&単行本棚と、沖縄本平台・100均箱、それに沖縄本を飾る壁ラックに見守られた帳場があり、クールビューティーな女性が座っている。左には一般文庫棚と、新書・暮し・児童文学・絵本の棚が縦列し、漬物屋との仕切りのようになっている。奥に上がり込むように進むと、左に極細の、もはや挟まってしまうような行き止まりの通路が一本あり、見るのに苦労する壁棚に本の本・夏葉社本・リトルプレス・海外文学・現代思想・哲学・心理学・精神科学・柳田國男・文明・詩集が並ぶ。閉所恐怖症の人はツライかも…。ズルリと身体を引き出して、右隣りの小部屋へ。三方と1/2を壁棚が覆い、沖縄本がびっしりと収まっている、沖縄&琉球の、歴史・自然・文化・社会・昔話・民俗学・沖縄関連文庫・沖縄児童絵本・戦争・沖縄出身作家・沖縄が舞台の小説・郷土詩人・山之口貘…。何だか朗らかな店名とは裏腹に硬派なお店で、沖縄本が充実。特に郷土詩人についてはきめ細やか。観光客も地元の人も、よく足を止めてお店を覗き込んで行く。値段は普通。せっかく沖縄に来たのだから、関連本を買うことに決め、沖縄出版「まんが イリオモテヤマネコ ケイ太飼育日誌/監修・池原貞雄 原案・比嘉源和 作画・日下部由紀代」を購入。

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●安里「宮里小書店」
駅から『ひめゆり通り』を挟んだ東側一画に、渋く古めかしい『栄町市場』が広がっている。小さなお店が160軒ほどひしめき、道が細かく四方に散らばって延びて行っている。この中に新しく古本屋さんが出来たはずなのだが…と不用意に中に入り込んでしまう。すると、そこは異国の“スーク”のようで、迷いに迷い、方向感覚を完全に奪い取られてしまった!迷った挙げ句、古本屋さんも見つからないので、盛大に焦ってしまう…しかし市場の見取り図を発見し、どうにか自分の位置を把握して再チャレンジ。だがその図にも書店の名は書かれていないので、南側から通りを一本一本攻略する、ひとりローラー作戦(ちょっと虚しい)を展開することに決める。方法がこれしか思い浮かばないので仕方ない…。地道過ぎる調査を始めて十分後、南西ブロックの北寄り中ほどに、待望の古本の姿を発見する。それは洋品店向かいの、お店とは思えない細長い小さな空間で、ガラスケースとテーブルの奥に、ちょっと長めの壁棚が続いている。店内には壮年のご夫婦と思しき二人の姿が。ちょっと戸惑いながら近付くと、「いらっしゃいませ」と奥さんは立ち上がり、外に出てどなたかと世間話を始めた。ご主人はズズッと奥へ身体をずらし、本棚の前を空けてくれた…ありがとうございます。そこには、パラフィンではなくトレーシングペーパーを巻かれた本が整然と並び、作家五十音順文庫・旅・アジア・社会・ノンフィクション・文化・沖縄などが並び続けて行く。ご主人に遠慮して、あまり奥の方は見られず終い。値段は挟まれた付箋で色分けされており、ちょい安〜普通。“小書店”の名に相応しい可愛いお店であった。中公文庫「南洋通信/中島敦」を購入すると、地元のブックイベント『ブックパーリー』(愉快な新聞形式)の書皮を掛けていただいた。

古本屋さん巡りに疲れ果て、目をつぶれば本の背がまぶたの裏を流星のように流れて行く…そんな那覇の夜。明日は台風の接近が気になるところだが、今はベッドの上に戦利品を並べてニヤリニヤリ。確かな収穫は二点なのだが、一点は本当に価値があるのかどうか判らない。しかし、とても珍しいものではないかとすでに妄想してしまっている。明日、家に無事帰り着いたら、スキャンして披露するつもりである。

※西荻窪の「古書 比良木屋」さんですが、しっかり営業されているのが確認されました。良かったです!
posted by tokusan at 20:56| Comment(3) | TrackBack(0) | 沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする