2021年10月22日

10/22「幽霊男」に呼ばれた気がする。

古本三十冊ほどをダンボール箱に収め、雨のふる中外出。郵便局で大阪に発送する。相変わらずのミステリ多めで、珍しい本や下らない本のごった煮状態でありますが、お楽しみいただければ幸いです。古書コンシェルジュさんの懇切丁寧な作業を経て、数日後には「梅田蔦屋書店」の古書売場に並び始めることでしょう。そしてその後は家に帰らず、西武新宿線に乗車し、沼袋で用事をひとつ片付ける。せっかくなので「天野書店」(2008/11/14参照)を覗いて行こうと、商店街を遡上すると、残念ながらパイプシャッターがガッチリ下ろされてしまっている。最近開いているところに出会えないのが残念である。だがまた折りを見て寄ることにしよう。…さて、どうしようか…隣りの新井薬師前まで歩いて「文林堂書店」(2008/08/04参照)に羽を休めることにしよう。そう決めて、傘を冷たい霧雨に差しかけ、トボトボ寂しく線路際を東に歩いて行く。途中、『リサイクル展示室』に寄り道し、少し縮小され、ブランクの目立つ本棚を真剣に眺め、ハヤカワポケミス「鬼警部アイアンサイド/ジム・トンプスン」をいただくことにする。入口近くに屯するオヤジさんたちに本を示し、許可を得てから鞄の中に収める。さらに線路沿いを伝い、踏切を渡って、南口の駅前広場にたどり着くが「文林堂」も開いていないか…なんだかさびしいなぁ。二連敗のまま帰るのはどうにうもやるせないので、南にズンズカ進路を採り、結局『早稲田通り』まで出て「古本案内処」(2015/08/23参照)に飛び込む。雨で入口付近に仕舞い込まれた百均棚を飢えながら眺めていると、河出文庫特装版の「春琴抄/谷崎純一郎」を発見したので気分がパッと明るくなる。そのまま店内棚の検索に入ると、ギュンっと目に飛び込んで来たのは、昭和29年刊の講談社「幽霊男/横溝正史」であった。こんなところにこんな本が!ちゃんと東宝映画化の帯も付いている。そして値段は三千円………安い!と即座に購入を決める。「春琴抄」と合わせ、消費税がプラスされた計3410円をレジで支払う。今日は「幽霊男」に呼ばれて、ここまで引きずり回されて来た気がする…。
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ところで「幽霊男」の巻末の自社広に、城昌幸の「若さま侍捕物手帖」が載っているのだが、若さまの紹介がなかなかに斬新なのだ。『私設探偵旗本の次男坊「若さま」が…』…“私設探偵旗本”って初めて聞いたぞ!
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2021年10月19日

10/19ブックオフをはしごする。

もはや冬のような寒さの夕方に、仕事で高田馬場まで出る。その帰りに、いつものように「ブックオフ高田馬場北店」(2012/11/15参照)に吸い込まれ、最奥古書コーナーで寿満書店「カラー版 浮世絵怪異ものがたり/北園孝吉」を330円で購入する。妖怪や化物が登場する浮世絵から、その物語を読み解く楽しい一冊である。そして駅への坂を上がりながら考える。本来ならこのまま高田馬場駅から西武新宿線に乗って帰宅するところだが、今日は趣向を変え、『早稲田通り』をズンズカ西に進み、小滝橋を通過し、落合駅辺りをも通過して、坂の上で『山手通り』に出て駅方面に向かい、「ブックオフ東中野店」(2014/07/24参照)に足を延ばすことにしよう。そうと決めたら、すでに夜の帳が落ちている道路を。テクテク忠実に歩き続ける。およそ二十分強で、明るい光を通りに放つ、目的のお店前。中に入るといやに静かで、お客さんもほんとんどいない。すぐさま右手最奥の古書コーナーに向かい、集英社文庫「ダイナマイト円舞曲/小泉喜美子」角川文庫「さらば友よ/ダリル・ポニクサン」を計330円で購入する。ちょっと距離はあるが、この二店の古書コーナーを続けてみるのは、なかなか楽しいものである。

そしてかかり切りだった、ちくま文庫「野呂邦暢 古本屋写真集」がついに岡崎武志氏と私の手を離れ、後は本が刷り上がって来るのを待つばかりとなる。やることがたくさんあったが、充実した楽しい作業であった。大げさかもしれないが、私はこの本を作るために生まれて来たのかもしれない…。発売の曉には、この文庫を鞄の中に忍ばせ、ぜひとも野呂の視線を追いかけてみてください。1970年代の景色と、現代の景色が重なるその瞬間、野呂さんの古本屋さんを愛する気持ちが、きっと心にスルッと滑り込んで来ることでしょう。発売まで後二十四日!
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盛林堂書房版とは異なり、今回のデザインでは、『広島・エイス書房店頭に立つ野呂邦暢』の写真は、横向きに使用。帯が掛かるので、こうするのが一番でした。と言うわけで、店頭では横向きの野呂さんが目印です!
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2021年10月17日

10/17函の中に何がある!?

せっかくの日曜日なのに午前を忙しなく過ごし(ただし昨日買った「浴室長期抗戦」を読んでクスクスゲハゲハと笑う時間もあり)、午後に突然の驚くべき寒さに備えて着込んで外出。中野で野暮用を済ませた後は、『中野ブロードウェイ』4Fの「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)に腰を据える。通路の百均赤棚と探偵小説ゾーンにしがみつき、邦文社「ロマンス生活新年號 東西性犯罪残虐ものがたりと性刑罰のうつりかわり」一光社 南洋一郎・冒険シリーズ「緑の無人島」(函ナシ)ポプラ社 少年探偵23「悪魔人形/江戸川乱歩」(西洋兜ver)芸術社 推理選書「競馬殺人事件/S・S・ヴァンダイン」を計990円で購入する。函に少し傷みはあるが「競馬殺人事件」が440円とはお買い得であった。ブロードウェイを抜け出た後は、『早稲田通り』を少し東に進んで「ブックオフ早稲田通店」(2012/11/15参照)へ。作品社「ことばの食卓/武田百合子・野中ユリ」を220円で購入するや否や、踵を返して『早稲田通り』を西へ西へと歩き続ける。そしてやがて高円寺に至り、『庚申通り』をちょっと入って「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)店頭棚を眺め始める。するとすぐさま目に飛び込んで来たのが、昭和二十五年刊の粗悪な造りの春陽堂現代大衆文学全集の一冊「夜歩く・本陣殺人事件・真珠郎 其他」であった。
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先客が立ち読みしてるその前に手を伸ばし、スパッと抜き取り百円で購入する。ところでこの本面白いのが、函の内側に裏映りとは思えぬほどの(函の紙は粗悪とは言え、それなりの厚さがあるボール紙なのだ)、逆版となったタイトルや模様が印刷されているのだ。いったいどういうわけで、こんな不可思議な仕様に…ちなみに装幀は恩地孝四郎で、収録作の『其他』は『黒猫亭事件』と『車井戸は何故軋る』のことである。
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これがその不可思議な函の裏側。まるで鏡の中の世界である。
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2021年10月16日

10/16残り物には福がある!

午後一時過ぎに高井戸東に流れ着いたので、本来なら荻窪まで歩き古本屋さんを巡るか、浜田山まで出てすぎ丸に乗って阿佐ヶ谷に帰るかするのだが、午後三時に西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)との約束があるので、ひとまず京王井の頭線で吉祥寺に出て、時間稼ぎに古本屋さんを見て回る。「古本センター」(2013/07/01参照)では海文堂「海難物語裁決集/滝川文雄」を80円で購入する。神戸の今は亡き名書店&出版社(出版事業は継続している)の「海文堂」が昭和35年に出した、さまさまな海難を取り上げ、それを分析研究して原因を探る一冊。ほほぅ、奥付の検印紙は燈台がモチーフになっているのか。
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続いて「よみた屋」(2014/08/29参照)に移動し、すでに厚手のビニールで覆われた店頭棚を丹念に観察し、ビニールを留めたクリップを丁寧に外し、婦人画報社「私の服飾研究/田中千代」(カバーナシ、背の上下傷み)をを取り出して110円で購入する。戦前に世界を旅して服飾の研究に腐心した、服飾デザイナーの昭和二十三年に出版したB5サイズの一冊。巻頭4色刷りの世界の民族衣装をまとめた『私の旅のフォルク・コスチューム』も素敵だが、巻中折り込みの『スカートの變遷圖』が長くてインパクト大である。
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そんな収穫を得て、トボトボ歩いて西荻窪にたどり着き、「盛林堂書房」のビニールカーテンに覆われた店頭にまずはしゃぶりつく。文藝春秋社「世界の裏街道を行く」「東欧の裏街道を行く」ともに大宅壮一と光風書店「乱歩幻想譜/斎藤栄」と日本旅行協會「東北温泉風土記/石坂洋次郎編」を掴んで、手指を巧みに消毒して店内に進み、通路に避難していた木箱をも眺める。うひゃっ!創元社「近代大阪 近畿景観第三編/北尾鐵之助」がちゃんと函付きで百円はありえないでしょう!と引っ掴む。ところがさらにどっひゃぁ!と歓喜すべき一冊を発見してしまう。函ナシだが、砂子屋書房「浴室長期抗戦/尾崎一雄」があるぅ!昭和十四年刊の、レアな一冊である。すべてを計770円で購入しながら、店主の小野氏に「なんでこんなの百均で出してるの!」と問い詰めると、「うわっ、何でまだこれ残ってるんだ。これが今日一番のサービス品だったのに!」とのことであった。これぞ、『残り物には福がある』を地で行く出来事。いやぁもう、嬉しくて仕事の話なんかどうでもいいやぁ。
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2021年10月15日

10/15秋のお知らせ二つ。

昨日の疲労を両肩に乗せながら(その原因については一つ前の記事を参照)、朝から一生懸命デザイン仕事に従事する。そして午後にプラリと外出。家の前から関東バスに飛び乗り、一直線に中村橋へ。「古書クマゴロウ」(2018/03/21参照)をじっくりと楽しみ(いつの間にか外の均一に小さな時代劇文庫棚が増えた)、新書棚でみたことないペーパーバックタイプの本を発見する。国際文化研究所 エンゼル・ブックス「赤い花辯/G・ブランデン」。昭和三十二年刊の、モスクワを舞台にして知識人・労働階級・スパイ・兵隊・共産主義者・庶民の活動と生活を克明に描く、スリルに富んだ小説とのことである。面白そうだ、買いましょうと七百円で購入する。そしてそのまま西武池袋線に乗車して保谷へ。極狭歩道を自動車と自転車に脅かされながら伝い「アカシヤ書店」(2008/12/17参照)前。いつものように店頭棚を舐めるように見回すが、食指の動く本はナシ…まぁこういうこともあるさ。中の百均本プール山脈に期待しよう。サッシをガラッと開けて店内に入り、すぐに右を向いて古本の山と対峙する。一列一列丁寧に掘って行くと、やった!埴谷雄高『死靈』掲載の八雲書店「近代文學」が二冊出て来たぞ!表紙はそれぞれ向井潤吉と赤松俊子が担当している!と喜びキープする。その他にも二冊の冊子を掘り出した後、奥の方もガサゴソやると、おぉ、これは愉快な本が出て来たぞ。徳間書店 平和新書「ママのアフリカ欲ばり旅行/森繁杏子」である。
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名字からわかる通り、森繁久彌の奥さんの、一人アフリカ一周旅行記である。カバーデザインは松永真。うむ、良き収穫じゃと、「近代文學 No.7&9」ロゴス「好色文學批判」永晃社「女性開眼/川端康成」とともに計550円で購入する。

※お知らせふたつ。
「日本古書通信」2021年10月号から、『リレー連載「ミステリ懐旧三面鏡」』という1Pコラムがスタート。ミステリ界を突っ走る古本屋「盛林堂書房」店主・小野純一氏と、『古本屋ツアー・イン・ジャパン』たる私と、今や宝塚ファンにも人気のホームズ研究家&作家&翻訳家の北原尚彦氏の三人で、順繰りにミステリやSFやそれに近い話題について、書き連ねる愉快なコーナーであります。第一回目は小野氏の《角川文庫の横溝正史》。どうかみなさま、お読みいただければ幸いです。
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そしてもうひとつ。古本盟友で大先輩の岡崎武志氏が、個展『岡崎武志の絵画展』を、八王子のギャラリー『白い扉』にて開催されます。それに便乗して、氏と私が共編のちくま文庫「野呂邦暢 古本屋写真集」発売を記念し、11/3(水・祝)に超久々のトークショーを敢行いたします!16時スタートの料金千円で先着十名様。詳しくは以下のギャラリーホームページをご覧下さい。感染予防対策を万全にして、お待ちしております!
https://www.shiroitobira.com/
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2021年10月13日

10/13秋の雨の日

相変わらず続くバタバタを縫って外出し、荻窪「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)に姿を現わす。雨のため人影の少ないワルツ。じっくりと店頭&店内で古本を掴む。岩波の子どもの本「スザンナのお人形・ビロードうさぎ フランスのおはなし/訳石井桃子」(表見返し左下に、小さく『装幀 原弘』とある)岩波書店「やまのたけちゃん/文・石井桃子 絵・深沢紅子」ぺりかんしんしょ・21「世界の一流品 銀座が選んだベスト100/吉田安伸」日本週報社「肉の砂漠/清水正二郎」(“月の砂漠”に掛けているのだろうか…?内容は大学生の清水が中央アジアを旅する記録小説である)日芸出版「春や春 カツドウヤ/山本嘉次郎」を計1100円で購入する。「春や春 カツドウヤ」が帯付きで440円とは!信じられん。お店を出たら「竹陽書房」(2008/08/23参照)に向かうが、珍しくシャッターが下りてお休み中。仕方ないのでビルの裏通りを通って「竹中書店」(2009/01/23参照)前に出て、朝日新聞社「山藤章二の似顔絵塾」を200円で購入し、トコトコ阿佐ヶ谷へと戻る。そして「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)前を通りかかったら、丁度店主の・天野氏が飛び出して来た。挨拶を交わしつつ、電飾看板に手を伸ばす氏を見て「えっ?もう店仕舞いですか?」と問うと「いえ、電気をつけるだけです」とコンセントをブスリ。ふぅ、良かった。工作舎「人間人形時代/稲垣足穂」を110円で購入し、トットと帰宅してバタバタを再開する。
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これが秋の雨の日のナイスな収穫である。
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2021年10月11日

10/11ちくま文庫から出ます!

昨日も今日もドタバタし過ぎて、古本屋さんに行けたのは一瞬で、「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)で婦人画報社 MEN'S CLUB BOOKS-S.E.「男の定番事典3(道具編)」を110円で買うのみに留まる。なぜこんなに忙しいかというと、そのひとつの原因が、11/12にちくま文庫から「野呂邦暢 古本屋写真集」を出すからなのである!二〇一五年に、奇跡的に残されていた野呂邦暢自身が撮りためていた古本屋写真を、岡崎武志氏とともに共編し、盛林堂書房より発売してからすでに六年。それが、令話の時代に、ちくま文庫として甦るのだ!というわけで、文庫化作業を進めたり(これが意外にやることが多いのである。それにしても、今まで飽きるほどこの写真集を眺めて過ごして来て、さらに文庫化作業でしつこく同じ写真群を眺めているのだが、まったく飽きないのはどういうわけなのだろうか…)、加筆訂正したり、古書エッセイが収録されたり、ほんのちょっぴり新たな写真を加えたり、岡崎氏と対談したりして、現在はゲラ作業の大詰め三校に差し掛かっているところ。まだ発売まで一ヶ月ありますが、どうかみなさま楽しみにしていてください!岡崎氏とともに引き続きがんばります!
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ドキドキワクワクする色校たち。今回素晴らしいことに、カバー&帯デザインも担当させてもらっている。オ、オレがちくま文庫のカバーデザインを!?……全く持って信じられん…。


そして本日辺りから発売になる「本の雑誌 千歳飴大当たり号」の連載『毎日でも行きたい古本屋さん』では、大山の「ぶっくめいと」で、箱入りの児童書二冊に散財す!しかも文中に出て来て取材時はパスした、カバーナシの文藝圖書出版社「恐怖王/江戸川乱歩」は、やっぱり欲しくなって後日わざわざ買いに行く始末…古本欲を果てしなく刺激し、財布の紐をひゅるんと緩める、良いお店なのであります。
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2021年10月09日

10/9色んな本が手元に集まる。

午後三時に吉祥寺の北に流れ着いたので、駅近くに出て、いつものように古本屋を巡ろうかと思っていたら、久々の絵本&児童文学古本屋「MAIN TENT」(2015/03/26参照)に出くわす。店頭で一部の在庫処分セールを行っており、それに通りがかりの子供たちが激しく食いつき、なんだか賑々しい。みなの夢の時間を邪魔せぬよう、身体を小さくし、気配を薄くして箱の中の百均児童文学をジッと眺める。理論社「カモメの家/山下明夫=作 宇野亜喜良=絵」は帯の表1側が破り取られているが、見返し裏に署名落款があるじゃないか!と喜び小脇に抱える。さらに講談社青い鳥文庫群の中に、「わんぱく天国 按針塚の少年たち/佐藤さとる 絵・村上勉」を発見する。「青い鳥文庫で出ていたのか。知らなかった…」とこれまた喜び、この二冊を手にして店内へ。さらに右側の児童文学棚に張り付き、欲しい本を何冊か見つけるが、それなりのお値段なので、今日はまぁいいだろうと我慢し、持ち込んだ二冊を計220円で購入する。
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その後は西荻窪に出て「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ。學藝書林「幻想博物誌/日影丈吉」岩谷書店「幻影城/江戸川亂歩」(再版版の三版)を計220円で購入しつつ、或る仕事をテキパキと済ませ(その過程でたまたま日下三蔵氏より連絡アリ。なんと書庫の本はほとんど被害無く無事だったそうである…)、預かっておいてもらった新刊を受け取る。カバーデザインを担当した、東都我刊我書房「鷲尾三郎傑作撰参 影を持つ女」である。鷲尾の和製スピレーン風ハードボイルド中編がニ段組みで四作収まった、濃厚凝縮な一冊!今回のデザイン基盤に使った写真は、実は日本ではなく、九十年代の返還前の香港の雑居ビル風景。まさか昭和三十年代をインスパイアするのに、こんなにマッチするとは自分でも思いませんでした。何でも撮っておくものですね。只今「盛林堂」店頭&通販サイトと中野「まんだらけ海馬」で絶賛発売中であります。
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そして家に帰ると。ヤフオク落札品がお待ちかね!大都書房「宇宙線の情熱/大下宇陀兒」。ライバルありの2900円で落札す。背が傷んで奥付の検印紙が無いが、昭和十六年の宇陀兒がこの値段ならまぁ御の字か。
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2021年10月08日

10/8昭和三十三年の稲垣足穂!

昨晩の地震は、すっかり白河夜船状態の時に襲われたので、下からの激しい突き上げと同時に寝ぼけ眼で飛び起き、家の真ん中の柱に慌ててしがみつき、揺れが治まるのを待つと同時に、各所で本の山が崩壊するのを虚しく目撃。揺れが治まった後は、賽の河原の子供のように、半べそをかきながら、長い時間をかけて本の山を再び築いて行く…ちょっと頑丈にして。ところで、日下三蔵邸書庫の本は、大丈夫だったろうか?そして本日は一日中色々な仕事に追いまくられていたので、どこにも行くこと叶わず。だが、古本は欲しい!とちょっとだけ抜け出し、「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に買物に行く。あんなにも本の山が崩れ行くのを目の当たりにしたので、本来なら本を買うのは控えるべきだろうが、なぁに、一冊ぐらいならたいして変わらんだろ。上手く積めばいいんだ。そう高を括ってお店の前。入口右側一般書古本棚から、金の星社「こわい話ふしぎな話7 フランス編 夜歩く手/モーパッサン原作」を抜き取って店内へ。左奥の詩書コーナーに直行し、先日の買取査定時間に目を付けておいた一冊を抜き取る。中外書房「青春と冒険 神戸の生んだモダニストたち/青木重雄」である、昭和三十四年刊の、サブタイトルにある通り、神戸生まれの文学系モダニスト三人を取り上げた、評伝&評論である。そしてその三人とは、小松清と竹中郁、ラストは何と稲垣足穂なのである。冒頭は著者が、昭和三十三年当時足穂が住んでいた宇治の古寺『恵心院』を訪ね、インタビューするところから始まる。うぉぉぉぉ、燃える!これは嬉しい足穂文献だぞ(描いていた未來派風絵画についても言及あり)!と二冊を計1690円で購入する。店主・天野氏と昨日の地震の話をひとくさり。本を携えすぐさま家に戻る。
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足穂パートの扉。見よ、このぶっ飛んだ教育ママのような前衛的眼鏡を!写真下にはダンセーニの言葉『わたしは世界の果てからネクタイを取り換えに來た』が引用されている。
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2021年10月07日

10/7百五十一刷!

からゆるゆる仕事をしながら、ワクチン接種の経過観察を己に行う…打たれた左腕上腕に筋肉痛のような痛みが生じ、身体が多少倦怠感のためかフワフワしている感じである。だが発熱などはないので、ちょっとホッとする。そんな感じなので、午後二時過ぎにちょっと外出し、フワフワ歩いて高円寺まで出る。「西部古書会館」(2008/07/27参照)で「BOOK&A」が10/07〜10と開かれているので、覗いて行こう。ガレージの古本を見て、手指消毒と検温をクリアし、会場内へ。するとはいったらすぐの棚が、古書が多めの「水平書館」(2014/05/23参照)!これは見事だ!と喜び、熱い視線を送る。そして早速一冊抜き取る。会場は平日のためか、各通路に十人弱が入り込んでいる見やすい状態である。先客が佇む棚も、ちょっと待てばすぐに見られてしまう。うむ、ストレスほぼなし!などと一周し、大日本雄辯會講談社「猛獸征服 吼える密林/南洋一郎」(カ
バーナシ。昭和十五年の百三十一刷!)を800円で購入する。戦前版だが、すぐそこまで戦争が近づきつつあるためか、表紙は布装ではなく紙装バージョン。その表紙はちょっと傷んで記名があるが(表紙に國民學校四年記名があるということは、カバーは早々に剥いで失くしてしまったのだろう…)中はいたってキレイである。「水平書館」よ、ありがとう!とフワフワ帰宅する途中、すぎやまこういちの死を知ったので、ドラクエの『ほこら』の音楽を歯笛で繰り返し吹き続けて、フワフワテクテクと歩き続ける。
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2021年10月06日

10/6ワクチンと古本。

今日はようやく初めてのワクチン接種。午前中に会場となっているマンションのモデルルームに赴き、スムーズに接種を受ける。…どうもこういう全体主義的な、有無を言わさぬ流れ作業に乗るのは苦手なのだが、みなさまご苦労さまです。およそ三十分で会場を後にして、そのまま荻窪へ向かって歩き始める。すると阿佐ヶ谷駅南口の飲屋街で、シャッターの閉まったお店の向かいに、マスコミがズラリ待機している光景に出くわす…なんだろう、何があったんだろう…。そしてやがて「古書ワルツ」(2020/07/30参照)へ。ともに函ナシの改造社「ツタンカーメンの生涯と時代 埃及發掘物語/埃及人ビシヤラ・ナハス」(大正十三年刊)コーベブックス「後方見聞録/加藤郁乎」を計220円で購入し、とっとと家に向かって引き返す。今のところ副反応はナシ。午後昼食を摂ってから「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に読了&不要本を持ち込む。店主・天野氏が市場に行って不在なので、奥さまに重いカバンを預け、夕方の再訪を約束する。すると家に戻ると、ポストに久々のヤフオク落札品が飛び込んでいた。昭和十七年刊の新正堂「江戸時代名作讀切集/城昌幸編」である。ライバルナシの850円で落札す。
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戦時中の仙花紙本で、十三の時代小説が収録されているのだが、作者名が何処にも書かれておらず、始まりの部分に二三行の梗概が付属しており、何だか物語り本編がダイジェスト的になっている気が…怪しい、なんて怪しい本なんだ!城昌幸は本当に編集しているのか!と喜ぶ。巻末に耶止説夫と國枝史郎の自社広告あり。『流麗な筆致を以て鳴る國枝史郎氏が精選に精選を重ねた傑作讀物の集粋!怪奇とスリルを胎んで讀者の心臓を奪ひ去らんとす。』とある。なかなかの名文だ。欲しい!
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そして一仕事終えて夕方午後五時半。「古書コンコ堂」を訪ねると、天野氏はまだ戻って来たばかり。「これから査定します」とのことなので、いつものように店内をウロウロ。あちこちガサゴソやっていると、ある一冊の本が目に留まる…これ、いつか買おうっと。そんなことをしていたら査定が終了し、すぐさま交渉成立する。そして持ち込んだ一冊、宝文館「黄色い楕円/北園克衛」を挟んでちょっとお話し。「この本、いいんですか?」「うん。もう読み終わったから」「えっ?ちゃんと読んでるんですか!?」「読んでますよ!……いや、もちろん全部じゃ、ないですけどね…」…よくある古本屋さんでのやり取りを展開する。そして今のところ嬉しいことに副反応はなし。まぁ色々終わったから、後はゆっくり静かに休むことにしよう。
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2021年10月05日

10/5夜のサンカクヤマにて。

大ゲラをたっぷり読み込んでから、夕方に仕事で高田馬場へ。当然「ブックオフ高田馬場北店」(2012/11/15参照)に立ち寄り、徳間文庫「日本ミステリーベスト集成1《戦前篇》・3《山岳篇》/中島河太郎編」を計220円で購入し、高田馬場駅から、急行よりちょっと空いている西武新宿線各駅停車に飛び乗り、都立家政駅で下車する。おや?商店街の「ブックマート都立家政店」(2011/12/13参照)はシャッターを下ろしている…そのシャッターには『免疫増殖中』の貼紙が…テンチョーがワクチン接種でお休みにしたのだな。というわけで、いつもの騒々しさが嘘のように静かな店先を離れ、商店街を南下して行く。日が暮れて、もはや“マジックタイム”の中から見上げる空は、見事な茜色。だが、南下して行くほどに明度は下がり、次第に外灯の明るさが目立ち、建物の輪郭が際立って来る。そんなことを感じながら『早稲田通り』に出て、高円寺『庚申通り』に入り込み、店頭が夜となった「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)に参上。すぐさま足元の木箱から、草思社「マザー・グースのうた1/谷川俊太郎訳・イラストレイション堀口誠一」サンリード「児童詩集 たいようのおなら/長新太・絵」福音館書店 普及版こどものとも「おいしかった おいしかった/岡本良雄さく 長新太え」を選んで掴んで店内へ。持ち込んだ本を脇に挟んで手指を消毒し、児童文学&絵本棚の前に直行する…店頭の様子から見て、何か面白いものが入荷していそうだ………おっ!案の定、金の星社の箱入りの少女・世界推理名作選集が二冊並んでいるじゃないか。4「旅行かばんの秘密/サットン原作」14「黒衣の花嫁/ウールリッチ原作」である。しかも「黒衣の花嫁」は『アメリカじゅうの少女達に愛読されているミステリー・シリーズの日本版!!』帯が付いており、二冊とも喜び値の500円なので、ガシッと掴み出してまとめて帳場に差し出す。計1250円で購入。そして店主の粟生田さんと、児童文学の値付とその不思議について色々楽しく話し込む。彼女の『高い本が、なんでその値段かちゃんと知りたい。だってお客さんに、なんでこの本が高いか、しっかり説明したいんだもん』という言葉に、ウンウンと頷く。お店作りも好ましいけど、こういう姿勢で商売をする粟生田さんも、とても素敵なのである。
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というわけでこの二冊が今日の嬉しい収穫。

この後さらに『庚申通り』を南下し、「ドラマ高円寺庚申通り店」の店頭ワゴンから飛鳥新社「人生は喜劇だ 知られざる作家の素顔/矢崎泰久」を110円で購入して帰宅する。
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2021年10月03日

10/3瓢箪から駒の「黒百合城」!

朝からゲラと存分に対峙し、一通り読み終わったお昼前に外出。西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)にて、東都書房「飛騨忍法帖/山田風太郎」桃源社「怪異あさひの鎧/国枝史郎」光風社「冥土の顔役/島田一男」河出書房新社「虹が消える/多岐川恭」幻影城「別冊・幻影城No.10 黒岩涙香」を計500円で購入し、店主・小野氏とお仕事の話やら無駄話を幾つか。そしてふと思いつき、「フォニャルフ」棚にひっそりと格安で挿していた大正時代の翻訳探偵小説「怪教の秘密」がピクリとも動かないので、このままでは宝の持ち腐れだ!と悲しみ、小野氏に「買います?」と持ちかける。この本は、以前ヤフオクで落札し所蔵済みだったのだが、つい先日「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)で、より状態の良い本を見つけたので、ダブりを承知で購入していたのである…そうだ。これもなかなかのレア本なので、売るのではなく見合う本と交換してもらうのはどうだろう?その方が面白そうだと、さらに思いつき小野氏に持ちかけてみると、間髪入れず「じゃあこれはどう?」と一冊の本を差し出される。大日本雄辯會講談社「黒百合城/大下宇陀兒」(カバーカラーコピー。昭和十六年四版のハードカバー風ソフトカバーの戦前版である!表見返しに『SEIBUNDO KAGIRAZAKA』の古書店ラベルあり)!いや、もう、間違いなく交渉成立ですよ。瓢箪から駒ですよ!とニヤニヤしながら受け取る。
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ウキウキしながらお店を出て、隣りの吉祥寺まで歩き通す。「バサラブックス」で角川文庫「城塞 ザ・キープ 上下/F・ポール・ウィルソン」を計200円で購入した後、駅北口でバスに飛び乗り、連載の取材へと向かう。移動中の読書は、先日日下三蔵氏よりいただいた「誰にも出来る殺人」である。日下氏の山田風太郎学科に入学してしまったので、まずはこれを読み終えなければ…それにしてもやはり面白いな。
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2021年09月27日

9/27ちょっとだけ「古書現世」に。

夕方に仕事で高田馬場へ。すでに時刻は午後五時二十分で、辺りは薄暗くなり始めているが、まだ間に合うはずだ!と「古書現世」(2009/04/04参照)へ急ぎ足で向かう。学生の波に逆らい、『早稲田松竹』前を通過し、『高田馬場口交差点』の丘から下ってお店に到着。店頭ワゴンに三木鮎郎の「ゴルフちょっといい話」が並んでいたので手を伸ばすが、残念ながら裸本…そっと元に戻し、手指を消毒して店内に進む。グリグリドロドロ棚を楽しみ、函ナシの交蘭社「詩壇人國記/澁谷榮一」を1300円で購入しつつ、二度のワクチン接種を無事に済ませたが、副反応が何も起こらなかったので不満げな(熱を出してお店を休みたかったらしい…)店主・向井氏とあれこれお話しさせていただく。まずは本の雑誌社から出た、久々の古本屋本「東京の古本屋/橋本倫史」からスタートし、そこから町田で開催される浅生ハルミンさんの展覧会に飛び、さらにハルミンさんと村崎百郎が同僚だったことを知り、さらにさらに村崎百郎が「みちくさ市」に来ていたことも教えられ、はたまた実はブルース・リーの映画を一度も観たことがなくて、最近一気に鑑賞したこと(「どうでした、初めてのブルース・リー?」「ブルース・リーは格好良いんだけど、話がね…古いよ…」とのこと。む、ムゴい!)と、デビッド・フィンチャー監督作品も一気観して、『ゾディアック』を早朝から観てしまってゲンナリしたり、やはり最高傑作は『セブン』だなと再認識したり……などなどいつものように楽しく話している間に、いつの間にか閉店時刻の午後六時を少々オーバー。「また来ます!」と挨拶してお店を後にする。購入した「詩壇人國記」は、昭和八年刊の、都道府県(+植民地)ごとに、活躍する出身詩人を詩作や風土とともに駆け足で紹介して行く一冊。昭和初期の時代性に溢れ、知らない詩人が盛りだくさんなのが面白い。また、新進詩人として宮澤賢治(文中では“宮澤健治”となっている)が紹介されており、『詩集「春と修羅」(文中では「春と羅漢」となっている)を出版して相黨の評判をとったがその後活躍していない』と書かれている。賢治は生前はほぼ無名であったと言われているが、このように書かれているということは、注目した人・注目された時期は多少なりともあったのだろう。また三重縣の項では、北園克衛が最初に紹介されているのだが、他に活躍する詩人として橋本健吉の名が挙げられている。だが橋本健吉は、北園克衛の本名…。こんなことに気づくのも、また楽しい。ちなみに後見返しには、京都「大學堂書店」(「古本屋ツアー・イン・京阪神」P24参照。古い店構えで、家庭で録画された相撲のVHSビデオが店頭に並んでいたのを思い出す)の古書ラベルアリ。
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2021年09月26日

9/26最下段から探偵小説カストリ雑誌を。

早朝から気合いを入れてデザイン仕事。机の前に座り続けて、懸命に手を動かし頭を働かせていると、どうにか満足のいくものが出来上がる。だがその代わり、すっかり消耗してしまったので、関係各位にラフを送付し、遅めの昼食後に所用で外出するとともに、吉祥寺で古本屋をウキウキ一巡する。その結果、「古本のんき」(2021/03/31参照)で左側壁棚二列目の最下段に、文芸雑誌とは別な週刊誌などの古雑誌が出現しているのが目に留まる。スッと床にしゃがみ込み、セロファン袋に入った、昭和二十年代辺りの薄手の雑誌を検分して行く。ほとんどが「週刊朝日」だが、端の方にカストリ雑誌もチラホラ……粗悪な神に刷られた、百ページにも満たないペラペラの雑誌である。丁寧に探っているうちに、喜ぶべき一冊に突き当たる。トップ社「探偵・犯罪・実話 トップ 第五號 昭和二十二年五月」である。小さなページ下の目次に目を通すと、『蔦のある家/角田喜久雄』『残された指紋/三谷祥介』『惡戯/甲賀三郎』『盗まれた糸巻/大倉Y子』『甲賀三郎の思ひ出/江戸川乱歩』『實話片々/大下宇陀兒』などなど、探偵小説好きの血が騒ぐ文字がザラ紙上に踊っている。このようなモロい雑誌のこの内容にしては千五百円とお手頃価格な上に状態も良いので、迷いなくスパッと購入する。ぬぅ、予告ページに『若き探偵小説愛読者に贈る思い出多き傑作探偵小説集』のコピーとともに『トップ探偵小説傑作特集號』なんてのが載っている。虫太郎・不木・甲賀・濱尾・久作の諸作とともに、それらの作家を懐古する探偵小説家の一文が付随する構成らしい…欲しい…読みたい……。そして編集後記にある一文、『前號は大へんな賣れゆきであった。用紙が自由になるものなら、第二版を出したいところだが、残念!』は、陰惨な戦禍からようやく抜け出した終戦後二年弱の、自由を謳歌しつつも、まだまだ連合軍占領下で、様々な統制があったことを示している。また、『現在、探偵小説を専門にあつかつている雑誌が十誌ほどある』とも書かれており、戦中に迫害され沈黙していた探偵小説が、終戦後に一気に世間に迸った、いかがわしくおどろおどろしくも、人気ジャンルであることを表している。
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2021年09月25日

9/25『子供の時間・放送劇 黄金虫』!

どんよりした秋の土曜日、午後三時前に下馬に流れ着く…この時間なら、もう『三宿交差点』際の「江口書店」(2010/03/29参照)が開くはずだ!というわけで急いで『三宿通り』に出て、ズンズカ北上する。そして遠目に、小さな店頭台が店先に出されているのを確認し、すでに開店済みであることを確信する。その店頭台から、光文社文庫「暗闇の殺意/中町信」を抜き出し、右側の半開きサッシ戸から店内へ。帳場に店主婦人はおられないが、しばらくガサゴソしていれば、上から下りて来るだろう。まずはじっくりと棚前の大判ビジュアル本をチェック。続いて古い文学本、そして壁棚に目をやったその時、ご婦人が二階からひっそりと下りて来られた。姿を現わしたところで目が合ったので「こんにちは」と元気よく挨拶する。その後も店内のあちこちをガサゴソ…そして右側通路壁棚下の低層本タワーに、妙な層があるのを発見する。上の本を退かして掘り出してみると、ポリ袋に入った、現代演劇&舞踏の60〜70年代パンフなど…たくさん詰まって百円。さらに舞台の台本が三冊三百円…全冊北林谷栄の署名入り…スゴいブツであるが、私には必要の無いもの。誰か他の必要とする人が手にれることを願う。そしてさらにガリ版刷りの冊子が十冊ほど詰まったポリ袋…これもまた百円なのだが、一番上にあった冊子に目が釘付けになる。〔昭和三十年十一月十日(木)、午后六・〇五〜六・二五、第一放送『子供の時間・放送劇 黄金虫(1)』原作:エドガア・アラン・ポオ 翻訳:佐々木直次郎 脚色:寺田次郎 NHK放送台本〕とあるではないか!ぬぉぉぉぉぉぉ、こりゃあ恐らく、ラジオドラマの台本だ!慌てて袋から取り出してみると、すぐその下から『黄金虫(2)』も出て来た!どうやらこの二話で完結しているようだ。2の方にはキャストについても書かれており、語り手&ポオ:池田忠夫、ウィリアム・ルグラン:恩田清次郎、ジュピタア:黒木憲三、音楽:冨田勲(!!!)とある。う〜む、これは面白い珍しいものを発掘してしまったぞ。他にも村上元三原作の『風雲はやぶさ隊』や小出正吾編著の『七つ星』などもあり。文庫本と一緒に帳場に差し出しつつ、一応「これ、全部で百円なんですか?それとも一冊百円ということですか?」と聞いてみる。すると「あら、なにそれ?」「どうやらラジオの脚本みたいです」「あぁ〜。それ全部で百円。古いものだけど、捨てるなんて貴重でもったいないでしょ。だからその値段で持ってって」とニッコリ。ということで計200円で購入する。見たことも聞いたこともない「黄金虫」が突然我が手に!「江口書店」よ、ありがとう!これ、NHKに残っているのだろうか?路上でバッと全冊に目を通してみると、すべて寺田次郎という方が関わっているものなので、この人の蔵書だったことが想像出来る。
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2021年09月23日

9/23過去からの小さな贈物。

『秋分の日』なのにすっかり夏に戻ってしまった午後一時に、丸ノ内線東高円寺の北側に流れ着く。『環七』を渡り、未だ緊急事態宣言発出中なのに、祝日の賑わいを見せるJR高円寺駅に出て、『庚申通り』を北進する。「DORAMA高円寺庚申通り店」で、店頭ワゴンから新潮社「新サラリーマン読本/源氏鶏太」グラフィック社「夢二抄◉絵と文芸 山の巻・川の巻/品川洋子編」をレジに差し出すと、三冊まとめ買い割引で、10%値引の297円となる。ありがとうございます。昭和三十三年一月刊の源氏鶏太「新サラリーマン読本」(香月泰男の装幀が軽やかである!)は、お得意のサラリーマン明朗小説ではなく、自分の経験を元にしたサラリーマン・エッセイ集である。そしてこの本には素晴らしい過去からの贈物が挟み込まれていた。昭和三十三年一月三十一日発券の、東急急行電鉄『元住吉から 東急線→10円区間ゆき』の、グリーン模様の硬券である。栞代わりに『入社試験』の章に挟まっていたのだ。
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恐らくこの頃はまだ郊外然とした東横線沿線にマイホームを建てた、名車両“青ガエル”で都心に通うサラリーマンが、サラリーマンとして大成するために、仕事の行き帰りに読んでいたのかもしれない。思わぬ小さな収穫を手にしながら、その先の「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)へ。筑摩書房「スロー・ラーナー/T・ピンチョン」ハヤカワポケミス「ナポレオン・ソロ2 最終作戦/H・ホイッテングトン」を計200円で購入しつつ、ようやくワクチン接種一回目の予約が取れたことを、店主の粟生田さんに報告する。「え?二回目の予約は出来なかったんですか?ヒドい〜〜…でもとにかく、まずは良かったですね」とニッコリ。いったい二回目は、いつ打てることやら……。
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2021年09月22日

9/22東と西に補充する。

朝から古本をセレクトしながらゲラに目を通す。午後に古本をカバンに詰め込み外出。西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)内「フォニャルフ」棚をガッツリ入替補充する。三笠書房「世界怪奇物語/エリック・フランク・ラッセル」河出書房「横溝正史集」を計200円で購入し、二回目のワクチンの副反応に、さっきまで苦しんでいたという店主の小野氏とあれこれお話しする。帰り道には「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)に立ち寄り、講談社「猫は知っていた/仁木悦子」(惜しい!第2刷)東京ポスト「あの人この人50年 もいちの縦横交友録/田辺茂一」を計660円で購入する。「あの人この人50年」には江戸川乱歩の項あり。晩年は乱歩の病気であまり会えなかったことや、銀座に乱歩・城・風太郎・黒沼・角田と飲みに行く話や、熱海旅行に美人秘書を帯同させ、乱歩に睨まれる話など。家に帰り、再び古本とハッシハッシと切り結び、ダンボール箱に詰めて、無事に大阪に送り出す。明日には大阪「梅田蔦屋書店」に到着し、古書コンシェルジュさんの手に渡ることでしょう。あれやこれやとお得で面白いものをギュッと詰めて送りましたので、古書売場に並ぶまで、今暫くお待ち下さい。一日の内に東と西に古本補充を済ませ、やり切った感が身の内を駆け抜ける。
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暑さが戻って来た夕方、エッチラオッチラダンボールを運ぶの図。
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2021年09月21日

9/21『サブナード』を突っ走るのは誰だ!?

今日も夕方に仕事で高田馬場に出る。昨日の今日なので、さすがに「ブックオフ高田馬場北店」(2012/11/15参照)に立ち寄るのは気が引ける…ここはまた来週に探りを入れることにしよう…そうだ!これからこのまま西武新宿線上りに乗って、新宿で開催されている「古本浪漫洲」(2010/03/04参照)に行くことにするか。今日から23日まで『Part5』ということで、全品300均になっているのだ。というわけで、高田馬場の端っこのホームから、もはや空き空きの電車に乗り込み(上り電車はほとんどが高田馬場で下車してしまうのだ)一駅移動し、終点の西武新宿駅。ホームを南に向かってテクテク歩き、改札を抜けて駅ビル内をさらにテクテク歩き、端っこで階段を下って深い地下に入り込み、さらに「テクテク歩いて、やがて巨大地下商店街『新宿サブナード』に至る。『新宿サブナード』と言えば、大沢在昌のニューハードボイルド小説「新宿鮫」で、その主人公・鮫島警部(新宿警察署防犯課勤務。通称“新宿鮫”)が新宿駅にいる時に、歌舞伎町のライブハウスで凶行が起こることを予見。一刻も早く急行するために制服警官とともに走り出すのだが、新宿に土地鑑のある鮫島は、人でごった返す地上ルートを選ばずに、思い切って地下に入って、人出の少ない『サブナード』を突っ走るのを選択するのだ…などということを思い出していると、あっという間に「古本浪漫洲」の会場に到着。時刻は午後五時半過ぎであるが、すでに多くの人がワゴンや棚に群がっている。この後、人はさらに増えるに違いないので、巧みにソーシャル・ディスタンスを保ちながら、素早い動きで見て行こう!と早速動き出す。結構欲しい本はたくさん見つかるが、300均ではたくさん買うと意外に値段が跳ね上がる怖れがあるので、我慢して二冊に絞る。講談社「殿山泰司のしゃべくり105日」山形謄写印刷資料館「H丸伝奇/井上修吉(小池滋)」を計300円で購入する。
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そして今日も見事に美しく丸い月が出てくれたので、そんな晩に読むに相応しい本をまた一冊紹介しよう。工作舎「月と幻想科学 荒俣宏×松岡正剛」は、博覧強記の二人が、月に関する知識と妄想をぶつけ合いまくる、月に関するあらゆる事柄に黄色く酔っ払うこと請け合いの、眩学的な対談ムック。若い頃の荒俣宏、怪人物で最高だな。
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2021年09月20日

9/20こんな夜は「つきへいったら」を。

せっかくの祝日なのに余裕なくバタバタ過ごしてしまい、祝日なのに夕方に仕事で高田馬場へ出る。そしてせっかくなので「ブックオフ高田馬場北店」(2012/11/15参照)へ立ち寄り、入口でペダルを踏んでアルコールジェルを手に受け、ズンズン奥の古書売場へ。一週間前に見たばかりだが、丁寧に見て行けば。きっと動きがあって何か見つかるはずだ!と信じて、棚をジロジロギロリといつも以上に丁寧に眺めて行く。すると、宝石社「死の内幕/天藤真」筑摩書房「わが人生観/坂口安吾」を手にすることが出来たので、計330円で購入する。そら見ろ、ちゃんと買えたじゃないか。普段から「ブックオフ」に馴染めぬ私にとっては、ここは本当に稀に見る相性の良い「ブックオフ」であることを改めて認識する。祝日なので午後六時前でもわりと空いていた西武新宿線急行列車に乗り込み、一気に鷺ノ宮へと戻る。そしてちょっと気まぐれに妙正寺川沿いの「うつぎ書房」(2008/08/06参照)に足を向けてみるが、ありゃりゃ、シャッターが下りている。今日はお休みかとすぐさま諦め、すっかり暗くなってしまった街を、虫の声と乾いた涼しさに秋の気配を感じ取りながら、テクテク歩いて帰宅する。
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そう言えば明日は中秋の名月と満月を同時に迎える珍しいタイミングらしいが、今日の月も充分白く明るく大きく美しい。ベランダから8×24倍率の双眼鏡で覗いてみると、巨大な天体が驚くほどクリアに間近に出現し、戦慄を覚えてしまう。こういう良い月が出ている夜は、存分に感化されてイナガキタルホや石野重道やたむらしげるを読むのも素敵だが、やはり一番のおススメは、福音館のかがくの本「つきへいったら/クロウディア・ルイス文 レオナード・ワイスガード」(2020/03/13参照)であろう。月に科学者たちとともに降り立った少年が、クレーターの観察は科学者に任せ、独りで月世界をほっつき回り、地球を眺め観察し、絶対的な孤独と青い静寂の中で、地球に思いを巡らすお話。見てるだけで、その寂しさにゾッとして、泣けて来るのです。なのでほぼ全編、月の様々な場所から地球を眺める絵ばかりなのだが、四枚だけ地球から月を見ている通常パターンも含まれている。ちなみに、この絵本は女子大学図書館の廃棄本で、残っている貸出カードを見ると、借りたのはただ一人だけである。この人も今夜は月を見上げ、遥か昔に読んだ絵本のことを、思い出したりしているのであろうか。
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これはその数少ない、地球から月を見る一枚。
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