2017年12月15日

12/15変な古書命!

もはや病み上がったのかどうか分からない状態で、今日は夜の武蔵境に疲労を引き摺って流れ着く。南側から、ダイヤが乱れまくった中央線の高架を潜り、北側の「浩仁堂」(2011/02/15参照)に癒しを求める。…決して贅沢は言わぬ。何か、何か面白い変な古書が買えれば、それでとりあえず満足なのだ…しかも安値で買えれば尚更だ…。と、店内の灯りを頼りに店頭の箱やラックを眺めるが、アンテナに引っ掛かるような本は見つからず。続いて店内に進み、本棚にじっくり目を凝らす。すると裸本だが、昭和十九年刊の彰考書院「首狩種族の生活/A・C・ハッドン」なる面白そうな変な本を見つけたので、二百円で購入する。十九世紀後半にイギリスの動物学者が、ニューギニア&ボルネオの特殊な原住民を調査した本なのである。良かった、望み通りに、変な古書を買うことが出来た。夜の「浩仁堂」に感謝!
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かなり明るいお店の巨大電飾看板前で記念撮影。
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2017年12月12日

12/12/未だ病み上がり足りえず。

未だ病み上がり切らないうちに、世田谷の下馬に流れ着いてしまう。すでに暗闇を迎えた見知らぬ住宅街の中で、身体と心が鉛のように重くなって行く…は、早く帰って布団に潜り込まなければ…だ、だが、その前に古本を買いに行こう。そう固く決心して、足を三宿方面に向ける。住宅街の屋根の向こうに高く輝く『キャロットタワー』を目印にして、歩みを進める。やがて『三宿通り』に抜け出て、交差点脇の「江口書店」(2010/03/29参照)にようやっとたどり着くが、火曜日は定休日であった…。だがめげることなく足を引き摺り『玉川通り』を越え、緩い弧を描く坂道を下って行くと、ふぅ「山陽書店」(2014/04/09参照)は暖かい光を放ち、営業中であった…良かった。
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店内に入り、パラフィンに包まれた本や文庫を軽い視線で流しつつ、中央通路の本命ゾーン『一列古書棚』に意識を集中する。以前見た時とさほど変わっていないようだが…と思いつつも、そこから東京文化新報社「最新版 流行歌手になる法/川口忠」を1000円で購入する。奥付が何故かないので正確な出版年は分からないが、『年内順によるヒット・レコード』が昭和37年で終わっているので、恐らく昭和三十八年に出されたのではないだろうか。『マス・コミと流行歌』『あなたも流行歌手になれる』『私はこうして流行歌手になった』『地方の歌手志望者へ』『歌手として世に出る方法』『コンクール合格必携十ヶ条』『声をよくする方法』『人気歌手声の秘訣』などなど…。調べてみるとこの著者は「映画俳優になる法」も同じ出版社から出している。

そんな本を車中で読み耽りながら阿佐ヶ谷に帰着。フラフラ家路をたどっていると、火曜定休のはずの「古書 コンコ堂」(2011/06/20参照)が、クリアな照明に照らし出されている。またもや何かの撮影ロケに使われているようだ。今や日本で一番ドラマや映画に、『古本屋』という撮影舞台を提供しているお店かもしれない。
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店内奥をガラス越しに覗くと、奥の壁にセットの一部として掛軸が何本か掛けられているので、ちょっと古めかしいお店の雰囲気を作り出しているのだろうか。横の駐車場には美味しそうなケータリングまで用意されているので、撮影は恐らく深夜にまで及ぶのだろう。さぁ、こちらはサッサと帰って、早く寝ることにするか。…我、未だ病み上がり足りえず…。
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2017年12月11日

12/11師走の風邪

連日の無理が祟ったのか、無様にも風邪を引いてしまい、日曜から臥せって過ごす。だがしかし、迫り来る仕事は進めねばならぬので、机と布団の中を行き来して様々に作業し、やり取りをする。布団の中では、読書とうたた寝を繰り返している。薬を飲んでいるので、活字を追っていると、すぐに睡魔が襲い掛かって来るのだ。だがそれにはあまり逆らわずに、スウッと寝て、しばらくしたら起きて再び本の中の世界へ。すでに「黒バラの怪人」と「文壇底流記」を読了し、今は飛鳥高「疑惑の夜」とミルン「プー横丁にたつた家」(昭和十七年初版)と浅原六朗「都会の点描派」に、取っ替え引っ替え取りかかっているところである。幸いにも枕元周辺には、読みたい本が積み重なっているので、読書には全く事欠かないのである…あぁ、もうこれから、ず〜っとこうやって過ごせれば、楽しいのだが…それにしても、この本の山をいつになったら読了出来るのであろうか…などと熱にうかされながら少し思う。
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そして午後夕方近くになって、どうしても済ませなければいけない用事のため、着膨れして足をふらつかせながら外出する。樹冠に光の当たった長い欅並木が、大振りの落葉をハラハラパラパラと落とす下を歩いて、駅前着。ふぅ、まるで厳しい旅をしているようだ。今更ながら健康な日々を眩しく思い、用事をこなす。そして習慣のように「千章堂書店」(2009/12/29参照)に立ち寄り、新潮文庫「松本清張傑作選 時刻表を殺意が走る 原武史オリジナルセレクション」を250円で購入し、またもや厳しい旅路を乗り越え、どうにか家に帰り着く。こんな情けない状態でも、古本を買いに行けたことを幸せに思い、すっかり冷たくなった布団の中に潜り込む。古本屋ツアーにも行けず、掘出し物も見つからないが、読書に耽溺出来る、病気に臥せった静かな一日である。

◆もうひとつお知らせ
本の雑誌増刊「おすすめ文庫王国2018」の『キャラ別攻略 目録読書のススメ』にチラリと登場し、大好きな「初期創元推理文庫 書影&作品目録」についてチョッピリ語っております。書店でお見かけの際は、お手にしていただければ幸いです!
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2017年12月09日

12/9宮澤賢治の戦中文庫!

待ちに待った岡崎武志氏との年末恒例古本市の日を無事に迎える。午前十時過ぎに冷え込む西荻窪『銀盛会館』ガレージ会場に入り、入念な準備を進めた後、午前十一時に開店。すると、例年より多い気がした古本修羅の波と古本神の愛の鉄槌は、会場の古本をたちまち薙ぎ払って行った…みなさま、お買い上げありがとうございました。そして売れた古本たちよ、どうか嫁ぎ先で幸せに暮らすのだぞ。
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写真は開店前のシャッターから覗く、今にも飛び込んで来そうな気配の足!足!足!足ぃ!

途中、岡崎氏と恐ろしい品揃えと安値の盛林堂ゾーンをチェックして、講談社「疑惑の夜/飛鳥高」フィルムアート社「魔術師メリエス/マドレーヌ・マルテット=メリエス」を計3500円でチャッカリ購入しつつ、岡崎氏と欲しさがかち合ってしまった、横山エンタツ著「漫才読本」(カバーなしだが500円!)を懸けてジャンケン勝負!一発勝負で、私はパー、岡崎氏はチョキを出し、残念ながら軍配は岡崎氏に!「いやぁ〜当然やろ。この本はオレにこそ相応しい本や。来るべきとこに来たんや」と敗者を完膚なきまで叩きのめす勝利宣言をされてしまう。キィ〜、くやしぃ〜!
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憎らしい勝利のVサインと、垂涎の「漫才読本」。

そして午後六時の市終了後には、同じ西荻窪で開催されていた『第100回西荻ブックマーク』の記念講演に駆け付け、束の間飛び入り参加して、登壇した思い出などを語る。記念に発刊された小冊子「西荻ブックマーク 100th anniversary booklet 本と西荻窪」にも寄稿しているので、ご興味ある方は「古書音羽館」(2009/06/04参照)でお求めを。

役目を果たしてブックマークを途中で抜け出して、市会場に戻って撤収作業を手伝う。ところがその途中目に入ったのが、見たこともなかった一冊の文庫本。すでに結束されていたのだが、盛林堂・小野氏に頼んで抜き出してもらう。大日本青年館 青少年文庫9「農民とともに/宮澤賢治」である。昭和十五年初版の同十八年再版本である…よもや戦中に宮澤賢治の文庫本が出ていたなんて…。中身は農民指導に関係深い詩・四十六編を集めたものであるが、すでに敵性語である外国語が意譯漢字に改められてしまっているのだ(その代わりもとの外国語はルビとして振られている)。これが100均に出されていたなんて、まったく気付かなかった!オレの愚か者!と鼻息荒く興奮していると、小野氏があまりにもあっさりと譲渡してくれた。うぉぉぉ、ありがとうございます!…とそんな風に一日を古本塗れで過ごし、売れ残りの本の一部をヒイコラ抱えて、家路に着く。
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巻末の広告を見ると、文庫シリーズ15冊目として「宮澤賢治童話集」も出ているらしい…ほ、欲しい!

◆お知らせ
そろそろ発売になる本の雑誌社「本の雑誌」新年一月号から、連載が開始されます。名付けて『毎日でも通いたい古本屋さん』。一ページですが、毎日でも通うのに値する、ウハウハ定点観測し続けている古本屋さんを、そこで買った本とともに紹介して行きますので、どうかご継続してご笑覧していただければ、もっけの幸いであります!
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2017年12月06日

12/6一足先に準備完了!

起床してからすぐに、古本市の準備を開始する。値付はすべて終わっているが、まだなんだか本が足りない気がするので、ガサゴソとあちこちから掻き集める。そんな新顔たちを値付してから、午後に結束作業を始める。文庫本は四十冊前後、単行本は二十冊強をメドに、紐でグルグル縛って行くのだ。椅子の上に本を積み重ね、縛った紐で本を傷付けぬよう新聞紙を上面と下面に当て、椅子から半分山をずらして崩れぬようグッと押さえ込み、縦に一気にグルグルと紐を巻いて行く。不器用な私にとっては、これがなかなか重労働なのである。だがしっかりやらないと、いつかのように運搬中に本が無様に崩れてしまうのだ(2017/02/18参照)。ハアフウ不慣れな作業に汗を流し、どうにか二十三本ほどの古本束を作り出したところで作業終了。終わったは終わったのだが、果たしてこれで足りるのだろうか…。夕方五時過ぎになって、盛林堂号に迎えに来てもらい、本をエッチラオッチラ後部に積み込んで、いざ西荻窪へ。なんとか渋滞には巻込まれずに、ほどなくして夜の『西荻南中央通り』にひっそりと佇む『銀盛会館』に到着する。またもやエッチラオッチラ古本を下ろし、後は一人棚入れ作業に腐心する。足下のコンクリ床から迫り来る冷気と闘いながら、すとんすとんと古本を並べて行く。…………おぉぉ!足りた!全部の棚に本が入った!スゴい!こんなの初めてだ!完璧だ!と、取りあえず古本市のカタチになったことに、ホッと一安心する。後はここに、続いて岡崎氏の本と盛林堂の本が入れば、完全に準備万端となる。みなさま、心の準備は良いですか?古本を買う準備は良いですか?身を斬る思いで、結構良い本放出しております。かつて『どひゃっほう!』と叫んだ本も並べております。12/9土曜日にお待ちしておりますので、よろしくお願いいたします!
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【オカタケ&古ツアガレージ古本市】
◆日時:2017年12月9日(土)11時〜18時
◆会場:西荻窪 銀盛会館1階 JR西荻窪駅南口徒歩5分(杉並区西荻南2-18-4)
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2017年12月05日

12/5改めて浅原六朗に心酔する。

今日は永福町の北側に流れ着いたので、バスに乗って高円寺駅南口まで移動し、高架下の「藍書店」(2014/01/14参照)外壁棚に食らいつく。映画関連の本が多いことを感じつつ、三冊を掴む。角川新書「アメリカの暗黒/中川五郎」筑摩書房「アメリカ西部開拓史/中屋健一」通信合同社「映画経営ハンドブック 付:日本映画戦後十五年史」(1960年出版の非売品。映画に関する知識やデータがどっさりと収められている。巻末に映画俳優・監督・製作者の芳名サイン集あり)を計300円で購入する。そこから『庚申通り』を北上して「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)へ。店頭に1960〜70年代のSF&アクション映画のパンフレットが100円で放出されている。しゃがみ込んで一冊ずつ繰り、ユナイト映画「007ゴールドフィンガー」廿世紀フォックス「恐竜100万年」「エイリアン」集英社文庫「お笑いショート・ショート集 ヤング寄席/武田武彦篇」を計350円で購入する。さらにそこから住宅街を遥か西に抜けて阿佐ヶ谷にたどり着く。あの古本も扱う雑貨屋が、昨日は開店していたと言うので見に行ってみたのだが…ぐひゃぁ、閉まってる…いったいいつになったら入れるのだろうか。もう三ヶ月以上じらされている気が…。だが家に帰ると、生殺し的状況を吹き飛ばすような、ヤフオク落札品が届いていた。中央公論社「都会の点描派/浅原六朗」!昭和四年の、大量の小品とエッセイで編まれたモダニズム作品集である。扉を開き、『序』に目を落とした瞬間、柔らかい魂を、昭和初期的スタイリッシュに飾り立てられた言葉に、乱打される。うぅぅぅぅ、痺れる!かなり競ってしまったのだが、やはり必死に落札して良かった。これでまた生きる楽しみが出来たと言うものだ。ちなみにこの本は、『中間物選集』という意味を判じかねるシリーズの一冊なのだが、その巻末広告コピーがとても奮っている。『ジヤズとキネマとダンスのモダーンライフ! 自動車と高層建築とスポーツの都會交響樂! 感覺的な機智に富んだモダーンナンセンス! そしてマルキシズムとアメリカニズムの街頭行進曲! この近代的カクテルを召上がれ!』。巻末には一九二九年十一月(今から八十八年前だ!)に冷たい夜の本屋でこの本を買った、『放浪賛美者』とサインのある男の熱い思いが認められている…。
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さて、この本を読み耽りたいのはやまやまだが、いよいよ今週土曜日に迫ってしまった古本市の準備を進めなければいけない。すでに100・500円本の値付は終了したので、今宵は300円本と、キモとなる本の値付を進める予定である。
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これはキモとなる古本群の写真。見難いですが、こんなの並べます!
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2017年12月03日

12/3ピカピカの新鋭文學叢書!

晴天の日曜日に、武蔵関に流れ着く。気付けば足下には、雀が電線に止まったままのポーズで転がっているではないか。残念ながら、すでに昇天されているようだ。近くに土の大地は見当たらないが、幸いにも深いプランター的植え込みがあるので、そこに埋めてやろうと手を伸ばすが、もしや!鳥インフルエンザ!?と言う神経症的不安が頭を掠めてしまう。だがそのプランターに、シャベルが刺さっていたのを幸いとして、雀をそれで掬い、素早く穴を掘って埋葬する。やすらかにお眠り…。そんなことをしていたら、ふいに「ポラン書房」(2009/05/08参照)が見たくなり、バスに飛び乗り北へ向かい、「大泉学園南口」で下車する。北口に出て無事に『古本買います』の黄色い幟が翻るお店に到着。児童文学棚・文庫棚・日本文学棚をのんびり楽しみ、レジ周りに積み上がる未整理児童文学の山にも神経を尖らせてしまう。しかし一番心ときめいたのは、物凄くキレイな新刊的とも言える、改造社の『新鋭文學叢書』の一冊!とても昭和五年の本とは思えぬ、紙の裁断痕も鋭い一冊なのである。買うべきかどうかしばし悩むが、この状態で二千円は絶対にお買い得だろ!と自分に厳しく言い聞かせ、仕方なく店頭でつかんだ文庫本とともに帳場へと差し出す。中公文庫「やぶにらみの時計/都筑道夫」改造社 新鋭文學叢書「浮動する地價/黒島傳治」を計2050円で購入する。
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表紙のインクが、印刷したてのように、艶かしい輝きを保っている。うっとり。

ここまで来たなら、隣駅『保谷』の「アカシヤ書店」(2008/12/17参照)店頭を久しぶりに見ておかなければ!と勢いづき、電車に飛び乗り一駅移動。南口に出て、狭い道路で車に脅かされながら店前に到着すると、やはり古書たっぷりの100均棚前には、まるで古書のような老人がしゃがみ込み、恐ろしいほどのスロー・マイペースで古本を眺め続けていた。ちょっと待っても立ち退く気配はないので、仕方なく老人の丸まった身体越しに手を伸ばし、気になる古書をチェックしまくる…すみません。小壺天書房「愛情詩集/菊田一夫」(カバーナシ)改造社「世界ユーモア全集 獨逸篇/秦豊吉譯」理論社「樹海/宇留野元一」魚菜学園「アフタヌーンショー 1000万人の田村魚菜料理教室テキスト集」を計432円で購入する。やはりここの店頭は、侮れぬ輝きを秘めているな…。
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2017年12月02日

12/2高架を伝い古本屋さんを巡る。

午後二時過ぎに、吉祥寺と西荻窪の間に流れ着く。空気は冷たいが陽の光は暖かなので、ちょっと歩いて古本屋を巡ることにする。まずは『井の頭通り』を西に戻って「よみた屋」(2014/08/29参照)へ。お店の入っているビルが窓拭き掃除の真最中なので、店頭に並ぶ安売棚の前に、真っ白なロープがブラブラり。作業の邪魔にならぬよう、気をつかって本に目を走らせ、鱒書房「恐怖の街 欧米犯罪捜査手帖/保篠龍緒」毎日新聞社「アジア犯罪基地 こうして日本をむしばむ/稲野治兵衛」を新書棚から見つけ出し、計200円で購入する。お店を出て北に向かい、JRの高架に突き当たったところで、それを伝うようにして東に歩き始め、まずは隣駅の西荻窪を目指す。
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高架下は、歩けたり歩けなかったりするので、なるべく離れぬことを心がけ、慕うようにして歩き続ける。ダラダラ歩いても、およそ二十分で西荻窪に突入。北側に出て「古書音羽館」(2009/06/04参照)にユラッと迷い込み、学研M文庫「私の絵日記/藤原マキ」を300円で静かに購入する。続いて南側に向かい「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ。店頭箱から現代社「ヨコハマ/戸川幸夫」創元社 百花文庫「換魂綺譚/テオフィル・ゴーチェ」を引っ張り出し、計200円で購入する。風邪っ引きの店主・小野氏と年末の色々なことについて打ち合わせる。そして入口近くで、岡崎武志氏イラストの12/9の古本市チラシを手に入れておく。何たって今回のイラストは市川崑監督「犬神家の一族」のパロディ。岡崎氏が金田一耕助で、私が古館弁護士(小沢栄太郎)となっているのだ。ちょっと嬉しい。そしてまたもや高架に寄り添い、さっきより長く歩いた感じで荻窪の「ささま書店」(2008/08/23参照)へ。店頭も店内も人の森みたいになっている…。角川文庫「死の診断 ビアス怪奇短篇集/A・ビアス」を108円で購入する(「ささま」の消費税が8%になった!)。夕闇迫り、ビル街の上に大きな月が出ている。それを見ながらさらにダラダラ歩いて阿佐ヶ谷へ。結局二時間弱歩き、六冊の古本を手にして家に帰り着く。
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今日の嬉しい収穫はこの二冊。「恐怖の街」は保篠手掛けるイギリス・フランス・アメリカの捕物実話。警視庁広報関係の仕事を手伝う縁から手に入れた犯罪資料を駆使して書き上げたそうである。戸川幸夫の「ヨコハマ」は昭和三十年代の暗黒の犯罪港・横浜を舞台にした長編小説。元セロファンがちょっと縮んで少しひしゃげているが、これが100円なんて全く持って信じられん!サンキュー盛林堂!
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2017年11月29日

11/29「文壇底流記」

コメントタレコミのあった未知のお店へ出かけることにして、昼食を摂ってから外出。新宿駅でJRを乗り捨て、西口改札を抜けて都営新宿線のホームに向かっていると、円形のイベントコーナーでは神奈川のお店を中心とした「新宿西口古本まつり」(2008/11/28参照)の真っ最中であった。そうか、市は明日30日までか。時間がないので流しながら見る感じで、ちょっとだけ覗いて行こう。そんな風に多数のワゴンが作り出す通路に入り込み、いつもより速い三倍くらいのスピードで、本の背に目玉を忙しなく走らせて行く…が、気になる本が所々に見つかり始めると、たちまちその速度は低下していまい、結局じっくりと棚を隅から隅まで見ている自分がそこにいた…。途中「雲雀洞」さん「文雅新泉堂」さん「一角文庫」さんに発見され、声を掛けていただく。会場全部を見て気に入ったのは、今回はその「雲雀洞」さんであった。ジャンルが幅広く柔らかで、あまり見かけぬ古書が時折安値で混ざり込んでいるのが、何とも言えない。結局愚かにも一時間ほど滞留してしまい、未知のお店に向かうのはすっかり諦めて、那南タイムス社「文壇底流記/杉山幸一」読売新聞社「週刊読売 昭和五十年八月九日号 特別企画:推理小説」を計824円で購入する。
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「週刊読売」の特集は、探偵グラビアページや『東西推理小説ベスト20』『座談会【三億円事件、メグレ警部にやらせてみたい】佐野洋×中島河太郎×田中小実昌』『クリスティ礼賛』『世界名探偵紳士録』『推理小説への招待』『雑学事典』などで構成されている。しかしそれより何より「文壇底流記」は拾い物であった。大正終りから第二次大戦前にかけて、文壇の裏街道を這いずり回った男の、短い回想録である。元々文学を志していたが、その日暮らしの日雇い仕事に疲れる日々を送っているので作品を書くこともままならず、結局一面識もない菊池寛にたかって露店の古本屋を始め(この出来事は菊池自身も『自賛』という小説に仕上げている)、その菊池の紹介により芥川龍之介や久米正雄からも古本をせしめて糊口を凌ごうとする。だがそんなことが長続きするはずもなく、結局菊池からは即座に見限られてしまい、著者は作品を書くことなく文壇周辺をウロウロしながら、様々な底辺の職業を転々として行く。だがいつしかその豊富な職業体験が幸いし、下村千秋や加藤武雄にネタ提供したりするのを経て、実話物や大衆小説の胡散臭い書き手として三流雑誌などで活躍を始めるのだ。そんな興味ある話や自作の小説を掲載したこの文庫サイズの粗末な本は、戦後に自身で故郷の栃木で立ち上げた出版社から出されているようだ。値段表示は何処にもなく、扉には献呈署名が入っている。恐らく知人に配布した少部数の非売品なのであろう。嗚呼!今まさにこの時が、時代の底に流れ落ちた知られざる作家が、古本を媒介として、ふいっと現代に奇跡的に浮かび上がった瞬間なのである!こんな他愛無い喜びに突然出くわすのも、古本探しの大きな醍醐味と言えよう。
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2017年11月28日

11/28古本市に向けて微速前進中。

まだ日が落ちぬ前に久我山に流れ着いたので、そのまま北上して西荻窪へ向かう。途中の、滅多に寄ることのない「ねこの手書店」(2010/07/27参照)の店頭安売ワゴンをたまたま覗き込むと、文庫は表示価格からさらに半額とある。その恩恵に早速あずかり、宝島社文庫「夜よ鼠たちのために/連城三紀彦」を215円で購入する。そのまま阿佐ヶ谷へと帰り、駅前の「千章堂書店」(2009/12/29参照)店内文庫棚を見ていると、先ほど買った文庫とシリーズらしい一冊を見つける。『復刊希望!幻の名作ベストテン』のマークも入り、あちらは1位でこちらは2位…何だか勢いでこちらも買うことにする。宝島社文庫「血の季節/小泉喜美子」を280円で購入する。家に帰ってからは、ジワジワジリジリと地味に古本市の準備を進める。今日は居間の隅にある古本山脈の、壁際三列を掘削。
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二十分ほどで一メートル弱の古本穴を作り出し、結果三十冊ほどを選り分ける…これで大体1.5本分ってとこか…。市の主催者である盛林堂・小野氏からは、「三十本はないとダメだよ。でないと、面陳でごまかす羽目になるよ」とキツく厳命されているのだ(相変わらずスパルタ式なのである)。まだまだ三十本までの道のりは遥か先だが、くじけずに準備しなければ。この一本が明日への一本とつながり、これを愚直に継続すればやがて目標に達するはずである。すべては当日お越しのみなさんに、楽しく古本を買っていただくためなのである。よし、続いてもう一本分、頑張るか!
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2017年11月24日

11/24予想以上に景気づいてしまう。

ある取材のために午前のうちに家を出る。だが直接向かうのも何だか面白くないので、景気づけに今日から始まった「五反田遊古会」(2013/01/19参照)に寄り、古本を買って行くことにする。午前十時前に『南部古書会館』に到着すると、一階ガレージはすでに開放され古本修羅が鈴なりになっているが、二階はまだ開場前で、階段下からズラリと長い行列が伸びている。まずは路上に出ている低い平台を漁ってからガレージに突入し、左側から順繰りに棚と台に苦心して視線を走らせて行く。安いのでたくさん買いたいところだが、まぁ無理に買ってもしょうがない。ここは欲しい本が出て来るまで、あきらめずに目玉を動かして行こう。背文字の読めない本も、とにかく根気よく引き出しタイトルを確かめて行く…。すると右辺通路棚の左側で見つけた本に、大ヒットの予感…背は茶色に変色して全く読めないのだが、引き出してみると表紙は赤と黒の鮮やかな二色刷りで、アールデコ調の機関車が描かれている。タイトルの上には『尖端獵奇集』の文字が。ページを繙くと、昭和五年当時の、ケレン味たっぷりのジャズ的リズムを持つ飛ばし過ぎた文章が、随筆や小説やコントや翻訳として展開しているではないか。やった!これは好みにどストライクな怪しい本だ!と興奮して大事に抱え込む。まるで天下を取ったような気分になりながら、「古書 赤いドリル」さんや「青聲社」さん(2011/10/17参照)に挨拶する。漫談社「シークレツトライブラリー第三巻 尖端獵奇集 三等列車中の唄/高橋邦太郎」新評社「小林信彦の世界」を計700円で購入し、荷物を預けて二階に進む。あれだけ並んでいた人がほとんど下りて来ないんだから、大変な混雑である。だが満足行く獲物をすでに手に入れているので、慌てず騒がず控え目に行動し、ゆっくりと本に丁寧に視線を注いで行く。じっくり巡って、もはや最終コーナーの左奥。ほとんどキリスト教関連で埋め尽くされているのだが、時々古い文学本が気まぐれのように混ざり込んでいるので、油断ならない。それにしてもキリスト教には、何故こんなにも文庫サイズの小型本が多いのだろうか…と改めて思いながら、めげずに馬鹿丁寧に眺めて行く、するとその時、奇蹟が起こった!茶色い文庫サイズ本が連続する中に『スミルノ』の文字を見出したのである。もしや!と引っ張り出してみると、おぉ!いつ何時でも垂涎の博文館文庫の一冊、「スミルノ博士の日記」じゃないか!しかも100円っっっっ!古本心は、一気にクライマックスを迎えてしまう!「古書一路」さん(2013/03/08参照)と「月の輪書林」さん(2012/03/29参照)に挨拶しつつ、博文館文庫「スミルノ博士の日記/S・A・ドゥーゼ 小酒井不木譯」東京堂「一聲一笑 新粧之佳人/須藤南翠」出版協同社「写真 日本航空50年史」(カバーナシ)を計1600円で購入する。う〜ん、ちょっと景気をつけようと思ったら、大変な景気がついてしまった。だが嬉しい!「五反田遊古会」は明日25日も開かれる。
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2017年11月23日

11/23カミとちか

夕方に外仕事から帰着し、返す刀で古本を携え西荻窪に向かう。しばらく「フォニャルフ」棚を放置していたので、是が非でも本日補充しなければならないのだ!と言うわけで夕暮れの中の「盛林堂書房」(2012/01/06参照)。店頭に日活映画『抜き射ちの竜』シリーズ原作の一冊が出ていたので、迷わずつかみ出して店内へ進む。通路に跪いて補充を手早く済ませ、すっきりして帳場ににこやかに向かう。そこで手渡されたのは、カバーデザインを担当した盛林堂ミステリアス文庫「ルーフォック・オルメスの事件簿」と、東都我刊我書房「左川ちか資料集成」!オルメスは楢喜八氏のイラストが決まっているので、文庫本としてとにかく可愛く出来た出来た!そして左川ちかの方は、前書「前奏曲」からの流れをイメージし、月をモチーフにしてシックにダークに仕上がった仕上がった!それにしてもこの「左川ちか資料集成」は、編者の執念が封じ込められた末恐ろしい本である。左川ちかによる、詩・散文・翻訳の、雑誌&単行本初出バリエーションを、可能な限り同ページ&見開きに収録しているのだ。別宇宙のように分かれていた各誌面の文章パラレルワールドが、視覚的に認識出来るよう同一宇宙に強引にまとめられてしまっている…素晴らしいが、なんと恐ろしい…。二〜三年は、モダニズム詩に溺れていられそうな濃密さなのである。帳場脇で本を開き、しばし唸りながら時を忘れる。青樹社 抜き射ち・シリーズ「鉄腕東京無宿/城戸禮」河出書房「シナリオ文學全集2 日本シナリオ傑作集」を計900円で購入し、カミの北原尚彦氏による解説を読んだり、複写されて滲んだ活字文字さえもが美しい資料集成にうっとりしながら、帰宅する。
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2017年11月22日

11/22本を開けたら二笑亭!

午前中に銀行と区役所で野暮用をこなし、そのまま『青梅街道』を歩いて、午前十一時半の「ささま書店」(2008/08/23参照)開店を目指していると、道すがらのガソリンスタンドから男が飛び出し、こちらに向かって陽気に手を降り始めた。なんだ、「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)の天野氏ではないか。珍しいところで会うものだ。どうやら愛車ボンゴの給油中に、眉根に皺を寄せ下を向いて歩く私を見つけたらしい。うむ、そうだ。下を向いている場合ではないのだ。と天野氏に思わぬ力をいただき、テクテク歩いて荻窪着。ところが早く着きすぎて「ささま」はまだ開いていないので(常連の古本修羅が歩道で待機中)、そのままお店を素通りして「岩森書店」(2008/08/23参照)の店頭台をまずは眺める。文春文庫「私の東京物語/吉行淳之介」を108円で購入し、すぐさま「ささま」にとんぼ返りする。おっ、時間通りに開いている。そして店頭店内ともにすでに古本を抱え込んだ修羅たちの姿が…全く持って素晴らしい…。ややっ、店頭棚に建築家・谷口吉郎の本が挿さっているじゃないか。早速来た甲斐があったなと首肯し、本を手に取り開いてみる、すると口絵ページには予想外の、狂建築『二笑亭』の写真が掲載されているではないか!なんだこれは!と慌てふためき本文をに目を移すと、その冒頭三十ページが「二笑亭綺譚」作者の式場隆三郎に誘われ、建築家の端くれとして「二笑亭」を見学に行く話なのである。谷口の「二笑亭」についての文章は、平成元年に求龍堂から出た「二笑亭綺譚 五〇年目の再訪記」に『二笑亭の建築』として収録されているが、それより遥かに長い詳細な見聞記と考察!毎度ありがとう「ささま書店」!ともはや何百回目となるであろうお礼を心中で唱え、他に二冊を選んで帳場にて精算。読売新書「意匠日記/谷口吉郎」河出ペーパーブックス「日本迷信集/今野圓輔」講談社文庫「人形の家/マーシュア・ミラー」を計315円で購入する。
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午後は下北沢でまたもや野暮用をこなした後、そのまま「ほん吉」(2008/06/01)に雪崩れ込む。店頭棚から三笠書房「マダム/織田昭子」(カバー破れ。織田作之助の内縁の妻による男女関係と新宿のバーと文壇の話)を100円で購入し、このまま少し月曜の『せんべろ古本ツアー』よろしく、沿線の古本屋を巡って行くかと決めて(ただしアルコールはなし!)、小田急線下りに乗り込む。最初は経堂で下車して、空模様がズンズン怪しくなる中を愛しの「大河堂書店」(2009/03/26参照)へ。先客と入れ替わるようにして店頭棚右翼ゾーンに入り込むと、春鳥會「みづゑ 日本洋畫沿革號 二十周年紀念特輯」を見つける。状態良好な大正十四年刊の第二四七号で、表紙は黒田清輝の女性クロッキー…何でこんなものが店頭に!と悩ましく悶えつつ値段を見ると210円なのである。おぉ、この一冊に大正時代に早くも振り返られた、日本洋画界黎明期から現在(大正十四年)までの軌跡がまとめられているのかっ!と感激しながら購入する。そして外に出るとまだ午後四時半なのだが、すでに薄闇のベールが掛かり、冷たい雨がポツリポツリと落ち始めているではないか。負けるもんか!とポケットに手を突っ込み、商店街から抜け出すように東に向かって歩き始める。しとどに濡れながらも歩いて歩いて豪徳寺の「靖文堂書店」(2011/09/06参照)。ここでは左側通路で、ちょっと高いが今まで一度も出会ったことのない、昭和十五年刊の『世界秘境探檢叢書』に魂を奪われてしまう。なんと素敵な血湧き肉踊るネーミング…千円としっかりしたお値段だが、買ってしまおう…。博文館 世界探檢叢書「中央アジア熱沙行/春日俊吉」池田書店「尾崎一雄作品集 第二巻」(函ナシ)を計1100円で購入し、冷たい雨と夜に寂しさを覚えてしまったので、そそくさと家へ戻ることにする。
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2017年11月20日

11/20せんべろ古本ツアー再潜入!

昨日の寒〜い寒〜い「みちくさ市」では、無事に四十九冊を旅立たせることに成功。通りがかりの人が、いつもより足を停めて買ってくれるのが嬉しかった。家で一冊だけ発掘された「野呂邦暢 古本屋写真集」もちょい高値を付けて並べていたが、あっという間に旅立って行った…ありがたや。お会いしたみなさま、出店のみなさま、わめぞスタッフのみなさま、ありがとうございました!また来年もよろしくお願いいたします!自分用の古本は、一瞬だけ店を放置し、三省堂「吉田松陰言行録/廣瀬豊」鱒書房「洋娼史談/戸伏太兵」(カバーナシ)永井出版企画「その他大勢の通行人/天野忠」を計1600円で購入する。

明けて本日、午前十一時前に冷え込む上野駅頭に姿を現し、高架東側の飲屋街に入り込む。かなりの背徳感&解放感を覚えながら、立ち飲み屋『たきかわ』の中に入ると、とみさわ昭仁氏(特殊古書店「マニタ書房」(2012/10/27参照)店主&ライター)が先着しており、すぐに柳下毅一郎氏(特殊翻訳家&映画評論家。昨晩中国から戻ったばかりで、身体がボロボロ気味。中国のある場所に存在する、リアル・パノラマ島『小◯国』の土産話に驚き爆笑する。世界はやはり、とてつもなく広い…)と安田理央氏(ライター&アダルトメディア研究家。風邪っぴき。新刊「巨乳の誕生」上梓、おめでとうございます!)が合流。そう、今日は再び『せんべろ古本トリオ』からお声掛けいただき、京成線沿いの、古本と酒精に溺れるツアーに同行させていただくのである(前回参加ツアーは2017/06/29参照)。喜びと不安を心に同居させつつ、今回もとにかく飲み過ぎないことを心がけ、まずはビールで景気をつける。そして実は『せんべろ古本ツアー』のルーツは、旧『聚落』で安田氏と柳下氏が飲んでいたことに端を発するそうである。そこにとみさわ氏が秩父から呼ばれ、偶然持ち合わせていた奇妙なカード、ダムカードとミイラカードをトレードしたことにより、一気に親交が深まったそうである…何のこっちゃ!
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そんな話をたっぷり聞いてから、まずは京成上野駅から、地下をノロノロとのたうつ銀色の電車に乗り込み、やがて薄日の差す地上に出て堀切菖蒲園に到着。線路脇の名店「青木書店」(2008/07/19参照)はしっかりと営業中。
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ドアの取っ手が本で作られているのに感動した後、店内に入った瞬間、全員がいきなりゾーンに突入してしまう。おぉ、みな実は楽しく酔っ払いながら古本に飢えていたのだな。講談社「みれんな刑事/多岐川恭」(貸本仕様)大散歩通信社「古本のことしか頭になかった/山本善行」(署名入り)朱雀社「女優キラー/池俊行」(裸本)を計1500円で購入する。表に先に出て皆が買物を終えるのを待つ間、隣りの激安総菜屋にて、コロッケとアジフライを計100円で購入し、昼飯代わりに路上でムシャムシャ…美味い!柳下氏が、どんな本にもいちいちパラフィンを掛けてくれるのに感動している。
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続いてお花茶屋に向かい、駅前のブックオフ看板そっくり店「BOOKS-Uお花茶屋店」(2011/12/06参照。ブックオフマニアのとみさわ氏が激しく色めきたつ!)を冷やかした後、車本専門店の「青木書店」(2010/08/17参照)へ。
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何も買えるものがないはずなのに、取りあえず店内に突入する頼もしい古本三銃士を見送り、店頭箱で見つけた角川mini文庫「注文の多い料理店」「銀河鉄道の夜」「宮沢賢治詩集」すべて宮沢賢治を計300円で購入する。間髪入れず「ブックステーションお花茶屋店」(2010/08/17参照)に足を向け、全員吸い込まれるように店脇の廃品本棚やブックエンドが積み重なる激狭壁棚通路に入り込み、感嘆の声を上げる。
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店内の充実古書も堪能し、理論社「考えろ丹太!/木島始」(推理小説児童文学。1970年の元本。嬉しい!)広済堂「藤吉捕物覚書/林不忘」ソノラマ文庫「謀略のゲリラ星域/在沢伸」計1763円で購入する。安田氏と柳下氏が同じ本を買っていて苦笑する。

青砥では「竹内書店」(2009/08/25参照)に立ち寄り、端正な100均棚から婦人画報社「天馬のなげき 北原白秋伝/大木惇夫」を購入。
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さらに一駅移動して立石では、ガソリンを入れるか古本を買うか駅頭で迷うが、「岡島書店」(2010/02/02参照)は駅からちょっと離れているので、ガソリン補給後は難しかろうの結論に至り、テクテク歩いて夕暮れのお店へ。
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安田氏がストリップ文献がちょい充実しているのにウンウン唸っている。それを横目に、ゆまに書房「紅ばらの夢/横山美智子」を500円で購入する。駅方面に立ち戻り、260BPMの早過ぎる踏切音を楽しんでから、踏切を渡って名店『鳥房』に上がり込む。忙しないフルスピード接客に圧倒されながら、ビールと日本酒を飲みつつ、半身の650円若鶏唐揚げに黙々と食らいつき、超絶美味を味わうのと引き換えに、解体に手間がかかったので、微妙に体力を消耗する。…でも満腹満腹。
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すっかり日が暮れてしまったので、ラストスパートを掛け押上に向かい、トボトボきらびやかな『ソラマチ』を抜けてスカイツリー駅までたどり着き、「業平駅前書店」(2009/04/20参照)へ。
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オヤジさんと挨拶を交わしつつ、段差のある長細い店内を行ったり来たり。奇妙な新書サイズ本が充実する棚から、筑摩書房「アメリカ西部開拓史/中屋健一」を500円で購入する。そしてすぐ近くの居酒屋『のんき』に腰を落ち着け、本日の打ち上げと獲物品評会を執り行う。その成果の評価は、買った本の高さにて!勝手に隣りのテーブルに本を積上げ、柳下氏が中国で購入してきた、メジャー付きUSB充電ケーブルを駆使して計測すると、左から古ツア・18.5cm、とみさわ氏・21cm、安田氏・9.8cm、柳下氏・17cmという結果に。
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そんな勝手に積み重ねた古本山を見て、店員のお姉さんが「すごい本ですね〜。みなさんそういうご商売なんですか?」と珍しがられる。いや、本日も楽しかったです。良く笑い・喋り・買い・飲み・酔い・喰いまくった一日の、駆け足レポートでした。
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2017年11月18日

11/18 昨・今・明

昨日の話から始めると、午前十時前に神保町入りし「田村書店」(2010/12/21参照)の前を通りかかると、開店待ちの古本修羅が三人張り付いており、午前十時に箱と台の布が取り去られるのを、今か今かと待ちかねている。ついその気合いに感化され、台の近くで待機してしまう。午前十時を迎えるとともに布が取り去られ、修羅たちがまずは気になる本を抱え込んで行く…ある種感動の光景である。こちらは台から一冊抜き取り、すぐさま100円玉も取り出し、店頭精算を済ませる。太虚堂書房「ジイキル博士とハイド氏/スチブンソン 谷崎精二譯」を購入する。この時点ですでに微妙に遅刻なので、急いで『本の雑誌社』に向かい、一時間ほど取材を受ける。帰りは裏路地の「富士鷹屋」(2009/09/11参照)に立ち寄り、旺文社ジュニア図書館「地球の危機/アシモフ作 小尾芙佐訳」(カバーナシ)創元推理文庫「シカゴの事件記者/ジョナサン・ラティマー」を計1100円で購入し、さらに「丸沼書店(2009/12/17参照)」で山形謄写印刷資料館「H丸伝奇/井上修吉」(井上ひさしの父による、幻の昭和十年「サンデー毎日」大衆文芸第一位入選作品を、平成二十三年に一冊にまとめたもの。こんなの出てたんだ)を200円で購入して、一旦家に戻る。そして午後六時過ぎに再び外出し、高円寺まで歩いていつもの「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)へ。河出文庫「アリス・ミステリー傑作選/中井英夫他」東宝株式会社ビリー・ワイルダー監督「シャーロック・ホームズの冒険」パンフレットを計350円で購入し、『中通り』の「コクテイル書房」(2016/04/10参照)へ。熊本から『古典籍展観大入札会』のために上京してきた「舒文堂河島書店」(2008/12/22参照)の若旦那と店内で落ち合い、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)小野氏とともに歓待する。途中からひとり出版社「共和国」の下平氏も合流し、古本と詩集の話で多いに盛り上がる。特に大好きな萩原恭次郎で殊更盛り上がれたのは、嬉しい稀な体験であった。酒宴の最中、河島氏から「これ、お土産です」と、『阿蘇ジャージー牛乳 ドーナツ棒』をいただくが、続けざまに「小山さん、こういうのお好きですよね?」と一冊の古雑誌をプレゼントされる。ふぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!「ぷろふいる」!
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ページを開くと黒白書房の広告!小栗虫太郎のモノクログラビア!古今荘「探偵文學」の広告!橋本五郎の『双眼鏡で聴く』!編集長は三上紫郎(九鬼紫郎)!表4に大阪圭吉「死の快走船」の広告!などと心があっという間に沸騰し、お礼を言うのも忘れてしまう。ぷろふいる社昭和十一年七月號「探偵雑誌ぷろふいる」(切り取りアリ)を入手する。

そして今日は三鷹に流れ着いたので、「古書上々堂」(2008/07/17参照)に潜り込み、ハヤカワ文庫「鳥はいまどこを飛ぶか/山野浩一」ちくま新書「名探偵登場-日本編/新保博久」を計200円で購入し、さっさと家に戻って明日の「みちくさ市」準備のラストスパートに入る。明日は寒くなるようですが、どうか暖かくして古本を買いに、雑司が谷へ足をお運びください。ブルブル震えて舌の根を合わさずに、お待ちしております!
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2017年11月16日

11/16「あばかれた秘密」と「青い魔術師」

映画『ニッポン無責任時代』の脚本を一読した青島幸男は、物語の骨子がハメットの「血の収穫」であることを、即座に見抜いたという。その鋭い洞察力に、ただただ頭を垂れるしかない、魂の震える極上のエピソードである。洞察力なくすぐさま物語に乗せられ欺かれてしまう立場としては、この話に限らず、何かを見たり読んだりして『この元ネタは◯◯だな』『あの話を翻案したものじゃあないか』などと気付く人全般を、常に尊敬し憧憬している。一度だって気付いたことはないのだ。良く明治〜大正の探偵小説を読んでいるので、登場人物の名を日本名に変えただけで、これは元の話があるんだろうだなあ…と鈍臭く感付くこともあるが、知識も調査力も不足しているので、決してその原作にたどりついたことはないのである。一度でいいから味わい、ニヒルに呟いてみたい…『あぁ、これは◯◯だな』…。ところがついに、そんな鈍い自分にも、元ネタに気付く日が訪れたのである。その話は、ヤフオクで落札し、つい昨日届いた一冊の本から始まる。ポプラ社 世界推理小説文庫(11)「あばかれた秘密/江戸川乱歩 原作ランドン」(昭和三十八年刊。貸本仕様。1400円で落札)。ニューヨークに出没する神出鬼没の怪盗『霧男』とその一味は、人々の度肝を抜くトリックを駆使し、鮮やかに目的を果たすことで、市中に悪名を轟かせていた。ところがそのテクニックは、かつて活躍した義賊『灰色の幻(グレイ・ファントム)』の手口と酷似していたのである。『霧男』が市中の金持ち七人を、唯一毒&唯一解毒剤(そんなのズルいぞ、霧男!)で脅迫する大仕事を始めたことにより、必然的に対決へと向かう『霧男』と『灰色の幻』…とまぁそんなストーリーが、「怪人二十面相」シリーズでお馴染みの柳瀬茂のドキドキする挿絵とともに展開して行くのだが、児童用にリライトしてあるので、スラスラと読み進めてしまう。笑い死にする唯一毒を金持ちに注射し、財産を脅迫する『霧男』…?この『笑い死にする毒』を注射…何か既読感が…。敵のアジトのひとつ『淡青荘』の秘密部屋に忍び入り、出たり入ったりしてゲリラ戦を繰り広げる『灰色の幻』…この秘密部屋を出たり入ったりする闘い方、何処かで…。悪の博士を捕え、解毒剤の在処を白状させるために、目に毒をさそうとする『灰色の幻』…!!!むむむむむ、この話を俺は知っているぞ!この博士の目に毒を目薬よろしくさそうとするシーンを、確かに以前に読んでいる。しかもそれは、極最近のことのように思われる。え〜っと、何の話だっけ…どんな話だっけ…。確かそちらの主人公は少年で、ゲリラ戦の舞台となる敵のアジトも城だったような気が…。だから児童文学の探偵小説だろうな…う〜ん、思い出せない。と考えつつ昨日は眠りに落ち、今日も外に出て仕事をしたりしながら考え続けてしまう。そうか、最初の事件は劇場で起こるんだったな。発端の舞台が劇場劇場劇場劇場劇場劇場…あ!もしかしたら、島田一男の「青い魔術師」か?少年俳優探偵・鏡海太郎が不可思議な怪盗・青い魔術師と…そうか!『青い魔術師』は『霧男』なのか!とようやく気付き、家に戻ってから二冊を照らし合わせると、やはりほぼ同じ話であった。つまり島田一男「青い魔術師」はハーマン・ランドン「あばかれた秘密」(博文館文庫では「灰色の幻」、論創海外ミステリでは「灰色の魔法」)の翻案なのである!だが「青い魔術師」には、そんなことは一行たりとも書かれてはいない。「あばかれた秘密」は、元々『世界名作探偵文庫』の一冊「灰色の幻」(昭和三十年刊)を、昭和三十八年に『世界推理小説文庫』として再出版したものである。つまり同じ年にこの二冊がポプラ社から出されているのだ…これは、いいのだろうか。たまたまこの二冊を買ってしまった子供は、混乱しなかっただろうか…。読了したら、十二月の古本市で売ってしまおうと思っていたのだが、これで何だか重要な本になってしまったので、まだしばらくは手元に置いておくことにしよう。う〜ん、それにしても気付き方が逆なのだが、それでも元ネタに気付くって気持ちいい!
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左の「あばかれた秘密」の表紙絵は、挿絵と同じ柳瀬茂だが、発注を間違えたか、それとも違う絵を間違えて入稿してしまったのかと思うほど、本文と全然関係ないものになっている。なんだ、この大航海時代のようなシチュエーションは!右がかつて喜国雅彦氏の「ひとたな文庫」で購入した「青い魔術師」。カバーはカラーコピーである。

と言うわけで、来る12月9日(土)に、毎年恒例となっている古本市を、岡崎武志氏とともに開催いたします!ジャンジャン古本買いに来て下さい!お願いします!
【オカタケ&古ツアガレージ古本市】
◆日時:2017年12月9日(土)11時〜18時
◆会場:西荻窪 銀盛会館1階 JR西荻窪駅南口徒歩5分(杉並区西荻南2-18-4)
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2017年11月15日

11/15素早くパトロールする。

午後は色々たて込み、家を離れなくなりそうなので、午前のうちに家を飛び出し久々の神保町パトーロールに向かう。なるべく早く戻るつもりなので、基本的に早足で古本屋から古本屋を渡り歩く。となると、自然と店頭台や棚を見るのも高速になり、つまりは大雑把なパトロールとなってしまう。本の背を流して見ている時は、視線が停まる引っ掛かりを頼りにしているのだが、ちょっといつもより速度が速過ぎるせいか、残念ながら何も引っ掛からない…やはりこういう棚の見方は不確実だな。かなりの古本を見逃している可能性大…。結局『靖国通り』沿いでは何も見つけられず、『もしやボウズか…』という考えが頭を掠め始める。『白山通り』に入って、そんな嫌な流れを断ち切るために、あえて「アムール」(2011/08/12参照)の棚をじっくり見ることにする。集英社文庫「青春の休み時間/三木清」新潮文庫「街に顔があった頃 浅草・銀座・新宿/吉行淳之介・開高健」を100円で購入し、取りあえずボウズを回避してホッとする。そのままジワジワ北上して、愛しの「日本書房」(2011/08/24参照)着。おっ!右側木製台の上段列と下段列の間に、「女学生の友」の古い付録がギュッと押し込まれているではないか。挿画がすべて美少女バストアップの五冊の小型本を取り出し、チェックして行く。三木澄子と森一歩の長編小説がほとんどだが、一冊だけ宮敏彦の推理小説が紛れ込んでいた!「日本書房」の奇妙な懐の深さに感謝しながら、小学館 女学生の友 昭和四十年2月号付録「推理小説 しらかばの微笑/宮敏彦」春陽堂「佐藤春夫選集」(函ナシ)を計800円で購入する。こうなると気分は燃え上がり、続いて「丸沼書店」(2009/12/17参照)では鹿島出版会「近代建築ガイドブック[関西編]」白水社「海洋奇譚集/ロベール・ド・ラ・クロワ」を計500円で購入し、ここで古本街は終りだが、心に古本の熾火を携えたまま荻窪に向かい、この頃足繁く通っている感のある「ささま書店」(2008/08/23参照)の店頭棚と対峙する。安岡章太郎がずいぶん流れ出ているな…あっ!「肥った女」も出てしまっているではないか。こいつはいただきだ!と手にすると、たちまち他にも三冊をつかんでしまう。現代文芸社「新鋭作家叢書2 肥った女/安岡章太郎」弥生書房「井伏鱒二集/小沼丹編」新人物往来社「真紅の法悦」「戦慄の創造」を計420円で購入したところで、ようやく古本熾火が鎮火したので、家へと歩いて舞い戻る。
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素早い神保町&荻窪パトロールの、ささやかな嬉しい収穫代表二冊である。
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2017年11月12日

11/12三冊の「看板建築」

木曜辺りからかなりハードな週末を過ごしたために、身体がすっかり疲弊しているのに気付いたので、今日はノンビリだらしなく過ごすことにする。そうと決まれば古本を買いに行かなければと、テクテク冷たい風の中を歩いて高円寺「西部古書会館」(2008/07/27参照)の「好書会」二日目へ。午前十時半だが、古本修羅的殺気は何処にも感じられず、いたって長閑な館内である。じっくりと棚を見て行くが、なかなか心を掴む本には出会えない。それでも二冊を手にして、最後に「古書ワルツ」(2010/09/18参照。現在は事務所店に)の棚に集中すると、薄手小型の年季の入った本が気になったので、古本修羅の習慣として引き出してみる。よっ!プラトン社「苦楽」大正十三年四月特別号附録「近代情話選集」じゃあないか。
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里見ク・小山内薫・久米正雄・泉鏡花・谷崎潤一郎が収録されているが、特に鏡花の「第一菎蒻本」が嬉しいぞ!と小さくはしゃぎ、報知新聞社「長編小説 空手風雲録/牧野吉晴」学習研究社「三年の科学」昭和三十二年7月号第1付録「こんな人になりたい」とともに計500円で購入する。続いてすでに午前十一時半なのですっかり出遅れているが、荻窪の「ささま書店」(2008/08/23参照)に電車で向かい古本を求める。河出文庫「ホームズ贋作展覧会/各務三郎編」富文館「傳記小説 雨ニモマケズ 宮澤賢治の生涯/斑目榮二」白地社「ボン書店の幻 モダニズム出版社の光と影/内堀弘」を計735円でスパッと購入し、テクテク歩いて阿佐ヶ谷に舞い戻る。

ところで昨日の一箱古本市で唯一買い求めた古本、三省堂「看板建築/藤森照信・文 増田彰久・写真」は、実は三冊目の所蔵となる「看板建築」なのである。だがこの三冊はすべて異なる三冊で、昨日手に入れたハードカバーの『都市ジャーナリズム』シリーズの一冊は1988年出版。次のソフトカバー選書版は新たに「看板建築始末記」を収録し1994年出版。そして1999年出版の“新版”を冠され本文用紙の厚くなったソフトカバー本は、カラーグラビアページと新たに書き下ろした「はじめに」を収録。
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十年の間に基本的内容は変わらず形だけを変え、同じ出版社から三度著作が出版されるのは、ちょっと稀なことではないだろうか。単行本→文庫本、新書本→文庫本、単行本→ノベルス→文庫本などの道筋は良く見られるとしても、ハードカバー単行本→ソフトカバー単行本→ソフトカバー単行本と単行本を渡り歩くのは、ちょっと不思議な流れである。この本については、かつて渋谷・道玄坂にあった「文紀堂書店」(2015/03/31参照)の貴重な写真が掲載されているので、2010/03/02『古本屋遺跡・繁華街の盲点』記事内で言及しているが、実は他にも今はもうない看板建築の古本屋さんが紹介されているのである。神保町の「澤書店」と九段下の「ペンギン文庫」と高円寺の「西村屋書店」(2010/04/11参照)。そしてもう一店が、月島「文雅堂書店」である。「西村屋」以外は、どれも行ったことのない八十年代の古本屋さん…当然夢の中で入ることしか叶わぬお店ばかりであるが、それでも「文雅堂書店」二階壁面の本を模した意匠は、一度で良いから目にしたかった…。いや、この写真が見られるだけ、幸せっていうものなのか。
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2017年11月08日

11/8準備と月世界

早朝から仕事を超高速で進める(早いからと言って、決して手を抜いているわけではない)。午前のうちに幾つかの案件を済ませ、午後は土曜の古本市の仕上げにかかる。用意した古本を値付けし、ゆうパック大ダンボール一箱に入る量を取捨選択しながら調整。どうにか夕方前に愛知に送り出す。
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だいたい五百円前後の安値なので、来られる方はぜひとも漁りまくって下さい!そして暗くなり始め寒くなり始めたところで、やはり今日も古本は買っておきたいと外出。近場のお馴染み「銀星舎」(2008/10/19参照)に入り、奥さま店主のハイテンション・マシンガントークに耳を傾けながら、本棚にも意識を集中する。そして本日初めて奥さまの実家が、老舗のプロ用楽譜出版社であることを知る。う〜むそうだったのかと驚きつつ、手は気になっていた古本に伸びて行く…。弘文堂世界文庫「月世界旅行記/シラノ・ド・ベルジユラツク」(昭和十五年刊の、文庫と名乗りつつ新書サイズの簡素な本。これでもカバー装なのである)を二千円で購入する。家に戻ってからは、再び仕事に従事する。
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そして迫り来る11/11土曜日!いよいよ愛知県知立市の「正文館書店知立八ツ田店」で一箱古本市とトークです。古本を売り、本と古本と本屋と古本屋について、大先輩・目黒考二氏の胸を借りまくって話す(あぁ、本当にちゃんとお話し出来るだろうか。ブルブル…)、本に塗れた見知らぬ土地での一日!果たしてどんなことになるのか、まったく想像出来ていないので、どうか皆々皆々皆々様、馳せ参じていただければ幸いです。駐車場にて、お会い出来るのを楽しみにしています!

★一箱古本市in正文館書店知立八ツ田店
■11/11(土)第2駐車場(雨天時は店内カルチャースクエア))
■10:00〜14:00
※少数精鋭で、変な本持って行きます!

★THE対談 目黒考二×小山力也(古本屋ツアー・イン・ジャパン)
■11/11(土) 14:00~15:00 トークショー 15:00~15:30 サイン会
※一箱古本市の一環として開催します。
■第二駐車場にて(雨天時は入口特設会場)
■予約は、インフォメーションカウンター、またはお電話にて承ります!。
正文館書店知立八ツ田店 知立市八ツ田町曲り57-1
TEL0566-85-2341 10:00~22:00 年中無休 http://www.shobunkanshoten.co.jp
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2017年11月07日

11/7お店と家に古本が届いていた。

今日は東小金井の南南西にある谷、野川沿いの『武蔵野公園』近くに流れ着く。その名の通り、武蔵野の面影を色濃くどころか、そのまま保護したような広大な一帯に目を瞠り、暖かな黄金色の秋の雑木林に、心がついついしゅるしゅる解けてしまう…。だが、そんな楽園から脱出するように、キツい坂道を上って街中に帰還し、電車に乗って西荻窪へ向かう。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)で「神田古本まつり」の成果を聞きながら、先月分の「フォニャルフ」売り上げを受け取りつつ、お仕事の打ち合わせをいくつか。帰り際「そう言えば北原さんから本を預かってないですか?」と聞くと、すっかり忘れていた小野氏が、奥の棚から持ち重りのする角封筒を取り出してくれた。その表には『物々交換のブツです。版元にご注目下さい。北原』と書かれている。…話の始まりは、先日「古本案内処」(2015/08/23参照)で手に入れた、春陽堂の日本小説文庫を何らかの理由で一部だけ改装したと思われる、叢文社の日本小説文庫である(2017/10/11参照)。略称“SBS”とあるこの謎の文庫本をブログで目にした、作家&ホームズ研究家&文庫本スキーの北原尚彦氏が「未知の文庫本なのでダブっているのなら一冊譲ってくれないか」と連絡をいただいたのである。この時以前買った「近代異妖篇(綺堂讀物集)/岡本綺堂」は、すでにいつかの古本市で販売してしまっていたのだが、読了しているし、こういうナゾの本は蒐集家&研究家の手元に嫁いだ方が幸せであろうと、即座にお譲りすることを決めたのである。だがただ譲り渡すのは味気ないので、北原蔵書の中から氏が選んだ推薦の本とのトレードをお願いしてみると、氏は面白がり快く承諾してくれたのであった。それから三週間…氏が足指を骨折していたり、神田古本まつりがあったりと、様々な障害をようやく乗り越え、本日無事に交換が成立したのである。なんだろうとワクワクしながら袋から取り出すと、予想外の箱入り本である。
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自警文庫24「捕物小説に学ぶ江戸用語の基礎知識」というA5版・ハードカバー・全415ページの本であった…そういえば版元に注目とあったな…自警文庫?…いやいや、このサイズで文庫を名乗るのは、どうかと思うぞ。もしかしたら北原さん、ホームズが江戸時代に出現して半七と知恵比べしてまうパスティーシュでも書こうと思って、資料としてのこの本をネットで見つけ、『文庫だしラッキー!』と思って注文したら、こんなデカイ本だった…というような経緯があったのではないだろうか。あぁ、警察関連の本なので、序文には『この文庫をそばにおいて目をとおされ、巡回連絡や聞き込みなどのときに活用されると、きっと街の人からも一目おかれ、おそらく良い成果が得られるものと思います』などと書かれている。やだなぁ、聞き込みの時に『科人』とか『主殺し』とか江戸用語をちょいちょい挟んでくる刑事…。何はともあれ北原さん、ありがとうございました!

その後家に帰り着くと、待ちに待った古本が逆に待ち構えてくれていた。先日の「くまねこ堂」さん(2017/10/29参照)訪問時に、値段調べになっていた一冊である。値段確定後交渉が成立し、本日無事に手元に届いたのである。ポプラ社「黒バラの怪人/武田武彦」(裸本)五千円也!倉庫内を探索していたとき、海野十三全集の間にしれッと挟まっていたのを発見。裸本だが状態はまずまずで、このチャンスを逃したら当分出会えないと覚悟を決めて、何が何でも手に入れて読みたかった残忍系少女探偵小説なのである。挿絵は北田卓史!あぁ、早く読まなければ!「くまねこ堂」さん。ありがとうございました!
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posted by tokusan at 20:36| Comment(2) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする