2019年09月22日

9/22古本屋で伝説のアニメーターを目撃する!

当たらぬ天気予報に翻弄されながら、お昼過ぎに吉祥寺の北に流れ着く。駅方面にトボトボ向かいながら、先日ガレージで良い本が買えた「一日」(2017/08/11参照)にまずは向かってみることにする。カップルが古本デートを楽しんでいる空間に割り込み、気合いを入れて本の背を眺めて行く。自然と古めかしい本を求めてしまう目は、昭森社「大切な雰圍気/小出楢重」を発見する。函ナシだが昭和十一年の四刷。後見返しには荻窪「岩森書店」(2008/08/23参照)の古い古書店ラベルあり。ビニールカーテンを潜り、店内レジで324円を支払うと、ギャラリー部分ではNHK朝の連続テレビ小説『なつぞら』主人公のモデルとなった、アニメーター・奥山玲子の銅版画展が開かれていた。思わず引き寄せられ、アニメとは違う作家性の強いシニカル・ファンタジーな世界をしばし眺める。するとそこに「あっ、今日もいらっしゃったんですか」と店員さんに言われ、ひとりの老紳士が姿を現した。げげぇっ!アニメーターで奥山玲子の旦那さんの小田部羊一じゃないか!すかさず他のお客さんが話しかけると、丁寧に優しく応対している。うひぃ、伝説のアニメーターが、今目の前に!ついつい頭の中で、ハイジが「おじいさんに知らせて来るぅ〜」と、血相を変えて何度も駆け出してしまう…。はぁ、畏れ多くてとても話しかけられないが、ご尊顔を拝謁出来ただけで、なんだか光栄である。
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ポヤ〜ッとしながらお店を出た後は、「バサラブックス」(2015/03/28参照)の外の安売箱から、弥生書房「詩集帰郷/金井直」を300円で購入。さらに足を延ばし「よみた屋」(2014/08/29参照)で、冒険&ハードボイルド小説がたくさん並ぶ店頭棚から、立風ノベルス「ゴールド/ウィルバー・スミス」を見つけ出し100円で購入する。
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2019年09月18日

9/18水曜日の定点観測。

今日は午後前にようやく雨の降り始めた吉祥寺に流れ着く。傘を差しながらブラブラと古本屋さんを巡るが収穫ナシ。そう言えば月曜は定点観測が出来なかった…荻窪に移動して「竹陽書房」を覗いてから「ささま書店」(2018/08/20参照)に向かおう。そう決めて、総武線で二駅移動。荻窪到着前に上半身を南側の車窓に捻り、「竹陽書房」が開いているかどうか確認する…あれ、シャッターが下りっ放しだ。時刻は午後一時である。まだ少し早いのかな…と早々に諦めて、「ささま書店」へ一直線。雨が強くなり始めた。店頭はもちろん雨仕様。ビルの庇に守られた均一単行本棚二本に、じっくり視線を走らせる。ここ最近で何度も見ている本の間々に、昭和三十年代の大衆小説がふわりと浮かび上がる。二冊を確保して店内へ。左側通路に均一文庫棚が一本引き込まれ、奥の帳場斜め前にもう一本が置かれている。おっ、詩集棚の下では、つい先日逝去した池内紀特集が組まれている。それを横目に文庫棚からも一冊抜き取る。光文社「長編推理小説 蒼い描点/松本清張」(初版)東方社「はだか太平記/北町一郎」角川文庫「土屋耕一回文集 軽い機敏な仔猫何匹いるか」を計324円で購入する。
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うっとうしく降り掛かる雨も吹き飛ばす、なかなかの収穫である。テクテク歩いて帰宅すると、筑摩書房から何か届いている。どうやら本らしいのだが、筑摩から本が届く覚えなどないはずだが…とボール紙の封筒を開けると、出て来たのは岡崎武志氏の新刊、ちくま文庫「上京する文學」であった。岡崎さん、ありがとうございます!パラパラとページを捲ると、18の作家上京話に加え、新たに二編が追加されている。その内の一編が野呂邦暢の上京物語で、本文内では氏とともに編集した「野呂邦暢古本屋写真集」についても触れられている!…そうだ、東京と言えば、今楽しみにジワジワ読み進めている春陽堂「大東京・インターナシヨナル」は、やはりとてつもなく面白い。徳田直『裏切者』は、バクチ好きの写植工が、無意識の密告や警察への収監を経て、共産黨員として目覚めて行く物語。橋本栄吉『ゼネ・スト』は、印刷所での労働争議を組織の目から忠実に描いた物語。…ここまではまぁプロレタリア的に普通である。ところが、三人目の窪川いね子に突入すると、ギアがぐいっと何段か上がる。「東京一九三〇年物語」は、黨の通信員として働く少女が、当局に目をつけられぬよう、東京の様々な場所で手紙を投函するスケッチ風の物語なのだが、少女が東京内を細々と移動するとともに、自然と東京の街の風景も文章の中を流れて行くという、素晴らしい仕掛けが施されている。他に、乗合自動車のバスガールが変装して、ストライキをする同士と密会する物語。監視入院している若者が、病院から脱走する物語。王子の街の描写と、女工の暮らしが美しく絡み合う物語。そして、銀座のデモ行進で使われた催涙瓦斯を起点に、共産黨員の地味な草の根行動を描く物語。そんな小さな物語たちが連なり固まり、大きな一つの物語となっているのだが、労働者というよりは、東京のあちこちの街を主人公としているような展開に、シビレまくってしまう。窪川いね子は「私の東京地図」も名作だが、この小品も、負けないほどの東京への愛おしい情感が込められている!そして次の山田清三郎『求人廣告』はちょっと奇天烈なユーモア風(期せずしてそうなってしまった感あり)プロレタリア小説だが、そこから続く未読の、小島勗『アスファルト』、藤澤桓夫『首府の欲情』、武田麟太郎『淺草・餘りに淺草的な』黒島傳治『お化ケ煙突』、片岡鐡兵『アスファルトを往く』は、さらにボルテージがアップして行くようだ。特に最後の片岡作品は、まるで詩というか、プロレタリア新感覚派と言ってもいいような(ある意味めちゃめちゃである。何たってプロレタリア文学の隆盛が、新感覚派を衰退させたのだから…)、言葉が文章から先走りギラギラと煌めく掌編のようである。あぁ、スゴい!色んな昭和五年の大東京を渉猟して、早くここまでたどり着かなければ…。
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2019年09月16日

9/16亂歩全集見本をカラーコピーさせてもらう。

昨日日曜は予想以上の良い天気になり、そのため少し暑過ぎたが、楽しい一日となる。余裕を持って出かけたはずが、受付を済ませて開店準備を始めていると、いつの間にか午前十一時が近付いて来ていた。最初は誰もいなかったので、ノンビリ本を出して並べ始めていたのだが、開始三分前くらいになると、いつの間にか背後が黒山のひとだかりに…まるで群狼に狙われている気分。激しいプレッシャーを感じながらも、振り向かないようにして、午前十一時を過ぎてようやく準備完了。「準備終わりました。さぁどうぞ」と言うと、たくさんの手が伸び、それぞれ狙いの古本を掴み取って行く。そんな順調な滑り出しでそのまま突っ走り続け、午後四時までに六十九冊を旅立たせることに成功する。いやぁ、皆々様、毎度ありがとうございました。これからも良い本を流通させて行く所存ですので、引き続きご愛顧のほど、よろしくお願いいたします!途中、今回も参加していた杉江松恋氏が顔を出してくれたので、しばらく古本屋話と古本屋情報交換に、楽しくうつつを抜かす。氏の、細かく虱潰しに古本屋を探索する姿勢は、古本屋ツーリストとして大いに尊敬してしまう。。目的のお店のためには、聞き込みも辞さないのである。それにしても探求書が、浪曲関連やユースホステル関連とは…とても難易度の高い世界である。また「古書現世」(2009/04/04参照)向井氏から、出来立てホヤホヤのタレコミをいただき、近日中にツアーすることを約束する。疲労と売れ残りの古本を引き摺ってヒィハァ帰宅してから、良し!次は大阪へ送る古本の準備だ!とまめまめしく働く。

そして本日は代田橋に流れ着いたので、東松原「瀧堂」(2014/05/01参照)を覗き、大和書房「火の柱/レイ・ブラッドベリ」を500円で購入する…だが、こんな風に古本屋さんに寄っている場合ではないのだ!今日はミステリ研究家の松坂健氏が、同好の士を集め、『アンティーク ミステリ共和国』なる会を立ち上げるのだ。錚々たるメンバーの末席に、こっそり私も連ねていただいたので、東京の東に駆け付けねばならないのだ。急いで一旦家に戻り、色々片付け再び外出。およそ三十分遅れで、会場である松坂健氏書庫(2019/03/08参照)にどうにか駆け込む。するとそこはもはやミステリとアルコールに酔い痴れている空間で、高度でマニアックなミステリ話が、普通の人の1.5倍ほどの早さで語られまくる、恐るべき空間であった。ビールをグイグイと呷り、三十分の遅れを取り戻しながら、飛び交う話に耳を傾け、フムフムと勉強させていただく。途中、当然書庫に飛び込み、素晴らしい本たちをウットリと見学する。
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その時目についたのが、一枚の全集見本…くぉっ!額に青筋を立てながら半眼で口を三日月にして笑う、黄金仮面のマスク!そう、平凡社「江戸川亂歩全集」の全集見本である。こ、こんなものまであったのか…かぁぁ、スゴいなぁ。と開いて見ていると、紙のサイズはA3ほど。ここでピンと閃いた。そうだ、コピーさせてもらおう。一枚でこのサイズなら、時間もかからずにコンビニでコピー出来るはずだ。早速松坂氏に進言し、嬉しいことに許可を貰う。慌てて夜の街にひとり飛び出し、ほどなくして昼のように明るいコンビニ内のコピー機前に到着。丁寧に全集見本をガラスの上に広げると、あれ?ちょっとA3より大きいのか…では98%でコピーするか…ンガァ〜…おぉ、どうにか収まった。取ったコピーを裏返し、下部のA3トレイにセットする。そして裏面をコピー…やった!上手く両面がコピー出来て、一枚の全集見本が完成。俺の「亂歩全集見本」!もう、これが手に入っただけで、今日、この会合に参加して本当に良かった…と思いながら、その大事な会合をほっ放り出す不遜な行動を取りつつも、楽しい夜は更けて行くのであった。
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これは表面のコピー。裏面『内容總覧』の書き出しが、『江戸川亂歩氏の探偵小説は阿片の妖気である。一度これを呼吸したが最後、生涯治癒する事なき亂歩患者になって了ふ』とある。いや、まさにその通りで、私は完全な亂歩患者なのである。
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2019年09月14日

9/14明日日曜は久しぶりの「みちくさ市」!

涼しい何だかすっかり秋の屋外で用事を片付け、急ぎ帰宅して、ひたすら明日の「みちくさ市」の準備に没頭する。…どうやら明日は天気が保つらしい…ならば、存分に嫁がせる古本を準備するぞ!と、自主的に八面六臂の大活躍。いつものように、おかしな本も探偵小説も文学本も混ぜ込みました。またもや掘り出された津原やすみ&泰水も持って行きます。ちょっと傷んだ平山夢明の今やレア本「SINKER」も安値で放出。裸本の特価本も準備万端。ブログに載っけた本も幾冊か惜しみなく持って行きます。「西荻窪古本屋マップ」も配ります。まぁとにかく見に来て下さい。古本を買いに来て下さい。それでは明日、雑司が谷でお会いいたしましょう!
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■「第48回 鬼子母神通り みちくさ市」
■9月15日(日)11:00〜16:00 雨天中止(当日午前八時に天候による開催の有無を決定)
■東京都豊島区雑司が谷二丁目・鬼子母神通り周辺
https://kmstreet.exblog.jp/
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2019年09月13日

9/13パトロールと大東京。

栃木から戻ってから、数日を忙しくバタバタと過ごす。そんな中、「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に重い本や厚い本を買い取ってもらおうと持ち込むと、驚くことに店主・天野氏が左腕に怪我をしている。「ど、ど、どうしたんですか?」と意気込んで聞くと、恥ずかしそうに「骨折です。スケボーで…」と返って来た。あぁ、そんな時に、重い本を持ち込んでしまってすみません…。「でも、折ったのが左腕で良かったです。一応店も開けられますし、本も縛れるんですよ」とのこと。「しばらくは、重い本を持って来ないようにしましょう」と言うと、慌てて「いや、遠慮しないで下さい。持って来て下さい。大丈夫です」と、肉体的逆境に古本屋魂が燃え上がっている模様。とにかくお大事に!

そして本日は、日曜日の「みちくさ市」用の釣銭をジャラリと作ってから、午前十時に水道橋から神保町入りし、パトロールに精を出す。ご近所のラーメン仕込み中の美味そうな匂いを嗅ぎながら、まずは「日本書房」(2011/08/24参照)店頭台に釘付け。おっ、箱ナシだが、新潮社「幽霊はここにいる/安部公房」(昭和三十四年初版)があるぞ!と千円で購入する。続いて『靖国通り』をフラフラ流していると、歴史&民俗学に強い「慶文堂書店」(2012/01/14参照)が店頭に三島由紀夫本を放出しているのが目に留まる。こういう専門外のモノが出ているときは、注意しなければ…おっ、牧羊社「戯曲 黒蜥蜴/三島由紀夫」も混ざってる!と喜び、300円で購入する。早起きの神保町は、やはり古本心を限り無く優しく受け止めてくれるなぁ、と感心しながら帰宅する。
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そして家に帰ると届いていたのは、久々のヤフオク落札品。3260円で落とした、春陽堂 世界大都會尖端ジャズ文學「大東京インターナシヨナル/プロレタリア作家十人」である。水濡れ跡があったり、表紙が少し変形していたりと傷んではいるが、ちゃんと読めるのでこの値段なら申し分ない状態である。表紙の青が鮮やかな港湾のイラストが素晴らしい。黒々としたキリンクレーン、海に浮かぶランチ、煙を薄く伸ばし走る機関車。見返しには斬新なメーデーの群集写真。そして、徳永直・橋本英吉・窪川いね子・山田清三郎・小島勗・藤沢桓夫・武田麟太郎・黒島傳治・片岡鐵兵と…あれれ?九人分しか載ってないよ?別に落丁があるわけじゃなし…これはいったいどういうわけだ?一人の作家が間にあわなかったのか、それとも削られでもしたのだろうか?…そんな謎に気付いてしまったが、ひとまず横に退けておいて、この本の素晴らしさを存分に楽しむとしよう。ページを開くと、先鋭的で攻撃的な言葉たちが、脳にグサグサ突き刺さって来る。おぉ、この中に詰まっているのは、空前のプロレタリアブームに沸く、昭和初期の大東京だ!
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2019年09月09日

9/9色々お知らせ

昨晩、BS12の面白音楽番組『ザ・カセットテープ・ミュージック』を観ていて、長年頭の奥底にこびりついて離れず、ことあるごとに口ずさんでいたカセットのCM曲が、村田和人の「一本の音楽」であることを知る。思いっきり驚きスッキリしたところで、YouTubeで検索すると、目的のマクセルのCMが一発で浮かび上がった。再生とともに一緒に歌い始めると、そのCMに出演していたバイク乗りが、まるで山賊のような風貌の『都市探検家・松山猛』なのに気付き、二度目のビックリ…。夜中、あまりに強い風雨に目を覚ましてしまう。西側の窓を叩く雨風の音が凄まじ過ぎる。今にもガラスが破けてしまいそうで、窓際の枕元に固めている古本の行方を心配してしまう。夜中の不安事は、目を冴えさせ、さらに無駄に不安を深めて行く…思わず暗い中で身を起こし、窓際から古本をセッセと別の場所に移動させる…夜中に俺はいったい何をしているの
だ…。もちろん窓は破れること無く、無事に朝を迎える。
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これが枕元。復旧しているが、右の窓際の古本山を、暗い中移動させたのであった…バカ。

午前十一時過ぎに家を出て、街路樹の葉と枝が一面に散らばる道を歩き、定点観測に向かう。「ささま書店」(2018/08/20参照)では、講談社文庫「ノックの音が/星新一」(青カバー帯付き)白水社「妖姫二コティン/ジェー・エム・バリイ」を計216円で購入する。ちょっと歩いて「藍書店」(2018/12/29参照)では筑摩書房リュミエール叢書1「小津安二郎物語/厚田雄春・蓮實重彦」ハヤカワポケミス「おんな/カーター・ブラウン 田中小実昌訳」を計500円で購入する。

さて、色々お知らせです。

1. もうすぐ発売の「本の雑誌 さるかに合戦開始号」の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、荻窪の中央総武線から身見える「竹陽書房」をご紹介。ブログ同様、めげずに北原案件にチャレンジしております。案件認定なるか!? その顛末は本屋さんでお確かめ下さい。

2. 三ヶ月ぶりの「みちくさ市」に元気一杯に参加させていただきます!三ヶ月ぶりなので、面白い本がたくさん溜まっております。ぜひとも逃さず良い&おかしな古本を買いに、秋の気配が滲み始めた雑司が谷に遊びに来て下さい!
■「第48回 鬼子母神通り みちくさ市」
■9月15日(日)11:00〜16:00 雨天中止(当日午前八時に天候による開催の有無を決定)
■東京都豊島区雑司が谷二丁目・鬼子母神通り周辺
https://kmstreet.exblog.jp/

3. 十月に熊本の老舗古本屋さん「舒文堂河島書店」(2008/12/21参照)さんの尽力にて、熊本地元デパート展での『第50回 鶴屋古書籍販売会』開催を記念し、古本先輩・岡崎武志氏とともに、トークすることが決まりました。二人で来熊します!そして、古本屋さんについて、二人の知識と経験を総動員して、喋って喋って喋りまくります!九州のみなさま、古本屋狂いの二人を、何とぞ暖かい目で見守ってやって下さい!…あぁ、楽しみ楽しみ。
■オカタケ&古ツアの古本屋を語り尽くす夜 in 熊本
■10月17日(木)19時より
■くまもと県民交流館パレア10階 第7会議室 熊本市中央区手取本町8-9
■入場無料・申し込不要
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2019年09月04日

9/4今日は何だか良い吉祥寺。

午後イチに下連雀に流れ着いたので、井の頭公園の森を抜け吉祥寺へ。そう言えば「一日」(2017/08/11参照)では、吉祥寺の出版社・夏葉社誕生十周年を記念して『夏葉社の10年展』が開かれているはずだ。観に行こう、と中央総武線ガードを潜り、斜めの裏道にあるお店へ。まずは安売ガレージを覗き込み、組合書店「東京-パリ バイク無銭旅行/高橋昭次・高橋雄次」(昭和三十二年刊の、若い兄弟がタイトル通り、バイクで無一文で東京→パリを走破するノンフィクション。写真も豊富で、こういう本大好き!)を見つけ、ビニールカーテンを潜ってガレージから店内へ。展示は窓際の小スペースでささやかに開かれているが、あっ、社主の島田潤一郎氏がちゃんといる。そうか、今日は初日なのか…と気配を殺し、壁に飾られた高橋和枝さんの「さよならのあとで」のアウトテイクイラストや、得地直美さんの細かく描き込まれた本屋イラストを眺める。低いテーブルには夏葉社のこれまでの本が、面陳&ブックエンドに挟まれ勢揃いし、まるで島田氏がこれまで作り上げて来た、誠実で静謐で独特な世界の地図や、街を見ているようである。特にブックエンドに挟まれた本が造り出す景色は、家並みの、小さな可愛いジオラマを連想させ、それぞれが個性的で優しく、歪な人間の心の様々な営みをジワジワと滲ませている。帽子も被り気配も殺していたのに、あっさり島田氏に気づかれてしまったので、改めて挨拶をし、ちょっとだけお話しさせていただく。出すのに二年も掛かった「さよならのあとで」の心温まる話や進行具合のヒドい話、七年越しでとあるお店の倉庫に眠っていた「故郷の本箱」が返品されて来て驚いたこと、本を千部売ったり増刷したりすることの大変なことなどなど。どうぞこれからかも、古本関連の本を作ってくださいね!会場では記念のTシャツやトートバッグの販売もあり。テイクフリーの中綴じ文庫サイズ小冊子「10年34冊」をいただき、芳名帳の一番最初に記名して、会場を後にする。展示は9/8(日)まで。先述の本は324円で購入する。
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その後は「バサラブックス」(2015/03/28参照)に寄り、外の安売箱の中からキネマ旬報社「時代劇映画の詩と真実/伊藤大輔 編・加藤泰」を掘り出せたので300円で購入する。そのままの勢いで「よみた屋」(2014/08/29参照)に向かい、店頭で美術出版社「幻想の画廊から/澁澤龍彦」講談社「サユリ・マイ・ミステリー/山村正夫編」を抱え込んでいると、入口前の棚でちょっとカバーはボロいが、毎日新聞社「宇宙旅行/原田三夫」がソッと並んでいるのを見つけ、心中で大いに快哉を叫ぶ。先日の「モンガ堂」に続き、またもやの原田三夫宇宙関連児童書である(2019/08/31参照。でも内容はわりと難解な部分も)。ウフフフと店内に進み、計900円で購入する。いや、今日は何だか良い吉祥寺であった。
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2019年09月03日

9/3西荻窪→早稲田と動き回る。

早めの昼食を摂って西荻窪へ。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)店頭で二冊を掴み取ってから店内に進み、「フォニャルフ」に大量に補充する。だいぶ景色が変わったので、来西荻の際は是非とも足を向けてみてください。早川書房「ハヤカワミステリ図書目録 1959」角川文庫「闘いの詩/戸井十月」を計200円で購入し、この度「盛林堂書房」と「古書いろどり」(2015/12/11参照)が合同でで出した目録「707目録」をいただく。うひょ〜〜〜〜〜〜、涎の出まくるレアな高額探偵小説と創元推理文庫と古い漫画がいっぱいだぁ〜。蘭郁二郎の署名入り「夢鬼」とか江見水陰の「滑稽童話集」「愛国童話集」とか…あぁ!谷譲次の「モダーン讀本」がっ!とカラーページに興奮する。その後は高田馬場に移動し所用をこなした後、「ブックオフ高田馬場北店」(2012/11/15参照)で平凡社カラー新書「香りへの旅/中井英夫」を210円で購入し、ヒタヒタと、ビル裏の谷間にある神田川沿いを歩き詰め、「古書現世」(2009/04/04参照)にたどり着く。珍しく閉まっている扉を開けて店内へ。現在左壁棚前には、催事用の棚が重なるように置かれている。じっくりと十五分ほど棚に集中し、ようやく奥の帳場に向かうと、向井氏が「今日は最初から気付いてましたよ」とニヤリ。古本屋放置プレイ、ありがとうございます!日本評論社「日米戦争夢物語/佐藤鋼次郎」を1800円で購入する。氏とは、今度の『みちくさ市』(また出ます!詳しい告知は後日に)や『本の雑誌スッキリ隊』や代々木「東豊書店」(2015/10/27参照)などについて語り合い、しばし楽しい時間を過ごす。「日米戦争夢物語」は大正十年刊の、日本と亜米利加の未来予測戦記である。だが、物語の構成が奇妙奇天烈で、ある町で開かれた将軍の講演を聴いた民衆が、その夜それぞれに日米開戦の夢を見て、それを町の有志家の家に宿泊している将軍に、語りに来るという形を採っているのだ。最初に話し出すのは有志家の親戚に当たるオールド・ミスで、女性が男性より地位も体格も優位に立つパラレルワールド的日本に国難が迫り来るという、早速ヘンテコな展開を見せ始めている。こりゃあ素敵だ。挿画は樺島勝一の美しく硬質なペン画である。あれ、なんか挟まってるぞ…古い名刺だ。肩書きが『所澤陸軍航空學校研究部』となっている。軍人さん(とは限らない。研究者かもしれない)もこんなSFモドキの小説を読んでいたのか。栞代わりに名刺をつかっていたのだろうが…よし、受け継いで、この本を読む間栞として使っていこう。函には亜米利加国旗と何故か赤とんぼがモチーフになっており、青い表紙には並べて掲揚されている三角形の亜米利加・日本国旗の上で、二羽の軍鶏が戦闘態勢に入ったレリーフが施されている。
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2019年08月30日

8/30『ウエスタン』のパンフ!

昨日は武蔵境に流れ着いたので、「おへそ書房」(2019/07/28参照)を見に行こうと思ったら、シャッターが下りており、残念ながら木曜は定休日。そのまま「浩仁堂」(2011/02/15参照)に足を向け、たくさんの本束がたくさんの人の手により搬入されつつある活気溢れる小さな店舗部分で、懸命に影を薄くしながら棚を眺める。文潮社「幻花行/今官一」を400円で購入する。そして本日は取材をひとつ済ませてから、ご近所をブラブラ。南から高円寺を遡って行くが、結局古本を手にしたのは「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)にたどり着いてから。店頭文庫本棚から早速河出文庫「フランス怪談集/日影丈吉編」を抜き出してから、単行本棚すべてに目を通した後、足元の木箱をチェックして行く。暮しの手帖社の「暮しの手帖索引」という小冊子が労作で可愛い。他にはちょっと古めの絵本など。最後に入口横の木箱前にしゃがみ込むと、お!古めの映画パンフが集まっているではないか。六十年代の戦争映画や西部劇がほとんど…ややっ!セルジオ・レオーネ監督の「ウエスタン」(原案はレオーネとダリオ・アルジェントとベルナルド・ベルトリッチである)があった!私の心の映画・ベストテンに確実にランクインする超名作興奮映画である。これは絶対に買わねばなるまい、と先ほどの文庫と共に計200円で購入する。嬉しいパンフを家に持ち帰り、まずしたことは、以前「水野書店」(2009/01/07&2015/05/20参照)で購入した二色刷りチラシと並べて飾ること。
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おぉ〜、こりゃ格別な魂が燃える景色だ。「水野書店」オヤジさんの連呼する決め台詞『決して映画は無くならない!』が頭の奥に谺する…。パンフは『新宿プラザ劇場』(コマ劇場に隣接していた映画館)のもので、なんとこの『ウエスタン』がこけら落としらしい。巻末にはピンク色の『新宿プラザ劇場ごあんない』の紙が挟み込まれ、非常口案内・淀橋警察署のお達し・上映スケジュールなどが書かれている…映画料金は一般が500円か。パンフ表4には、かつて『コマ劇場広場』に面したモデルガンショップ『MGC BONDSHOP』の広告がドバンと格好良く出稿されている。くぅ、泣ける。これは映画見た後に、ついつい立ち寄って衝動買いしちゃうかも。パントラインスペシャルが4500円、ピースメーカーが4200円、コルトネービーが5000円…せ、1500円のデリンジャーがいいかな…。
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2019年08月26日

8/26いつもの月曜と違うコース。

午前十時過ぎに家を出て、いつもの月曜定点観測とは洒落込まずに、吉祥寺へ一直線に向かい、昨日から始まっている「吉祥寺パルコの古本市」(2017/01/22参照)を見に行くことにする。涼しいまだ人影の少ない晩夏の『PARCO』に入り込み、エスカレーターで地下一階へ。反対の上がり口近くに足を運ぶと、脇の一角で立体的な古本ワゴンが小ぶりな会場を造り出していた。ビジュアル・お洒落系・ポップカルチャー・ファッション・マニアック系・可愛い系が絡み合う、若やいだ古本市である。ちゃんとそれぞれの本の背に目を通しながらジリジリ移動し、時折現れる古書に敏感に反応するが、手にしては戻すを繰り返している。やがて目についたのは、この会場にやけに多い福音館書店「こどものとも」「かがくのとも」のペーパーバック箱である。ひとつのお店が出しているものではなく、複数のお店があちこちに出しているのだ。時には台の上で、時には台の下にしゃがみ込み、一冊一冊繰って行く。どのお店も安値なのが嬉しい。百冊以上の絵本を繰った結果、「こどものとも243号 たぬきのくるむら/岸田衿子さく 中谷千代子え」「こどものとも年中向き そらとぶおうち/槇ひろしさく 前川欣三・槇ひろしえ」(名作「カポンをはいたけんじ」コンビの2007年の作品)を計324円で購入する。精算していると横合いから「古ツアさん」と声をかけられる。あっ、「rythm_and_books」さん(2011/08/10参照)だ。どうやら、複数のトートバッグに古本を大量に詰め、補充に現れたようだ。「もう補充ですか。そんなに初日に売れたんですか」「補充…といういよりは、棚造りです。いっつも初日から時間をかけて、段々と完成に近付くパターンなんですよ」などとノンキなことを言っているのがおかしい。この分なら、また見に来た方がよさそうだ。再訪を約束して、会場を後にする。市は長めの9/16まで。その後は荻窪で途中下車し、いつもの月曜の「ささま書店」(2018/08/20参照)。ありゃ、店頭が雨仕様のフォーメーションだ。それになんだかお客さんが多いなぁ。などと感じながら、角川文庫「狂人は笑う/夢野久作」を324円で購入し、ちょっと変則的になった月曜の活動をスパッと終えて帰宅する。これは岸田衿子の「たぬきのくるむら」。岸田は詩人として大好きなのだが、やはり童話類も見過ごすことは出来ないのだ。
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2019年08月25日

8/25大正時代の白水社本について取り留めもなく考える。

バタバタしていて古本屋さんに行けていないので、楽しくチビチビと読み進めている最近の収穫、白水社「極光をたづねて/塚本慶十郎」について、ボソボソと語ることにしよう。現在は少数の同行者たちと、極寒の地を追いやられたようにさすらう漂泊者の切なさと寂しさと厳しさを胸に、凍ったユーコン河を下り中。アラスカはもうすぐそこだが、旅はまだまだ続くのである。文中にはジャック・ロンドンが、憧れと敬愛の念を持って登場したり、『右はアラスカ左はカナダ 此処は思案のサンミット』などの歌が頻繁に挿入されたり、なかなかサービス精神に溢れているので、想像以上に百年以上前の冒険を、近しく感じながら楽しく読まさせてもらっている。そんな本文の内容はさておき、この本の装幀に何処か見覚えがあるなと、入手した時から思っていたのだが、その答えは寝床の上の本の山の中にひっそりと埋もれていた…。似た本を求め、記憶をたどり本を山から五冊ずつ上からひっぺがして行くと、あっ!これだ!出て来た!同じだ!もう一年以上前、新保博久教授のトランクルームの片付けを手伝っている時に、教授が棚から取り出し「これなんか、だいぶ小山さんの好みでしょ。どうぞお持ちになって下さい」と、微笑みとともにいただいた二冊である。白水社「青銅のメダル/ウージューヌ・シュウ 上・下」。当初は己の無知から、『こんな白水社の翻訳名作小説をいただいても、読む機会はないだろうな…』などと不遜な考えを抱き、そのため寝床上の積ん読本にしばらく仲間入りしていたのだが、しかし今はその時と見る目が違っている!今は見える!これは、冒険探偵寄りの名作小説なのである。だから教授は、古い翻訳探偵小説好きの私を見越して、この本を与えてくれたのであった…。先祖の迫害される運命を引き継いでしまった子孫七人が、伝えられる秘密文書と謎の青銅のメダルによって、それを覆そうとする壮大な物語!あぁ、良く見たら、この二冊の本の巻末広告も、冒険探偵小説の広告ばかりだ…アカデミックな白水社から出された本と言うことで、勝手に当時の世界名作小説みたいなものだろうと思い込み、まったく教授が薦めてくれた意味を理解していなかった己を、呪わしく思う!よし、「極光をたづねて」を読了したら、次は「青銅のメダル」に取りかかることにしよう。ところでこの「極光をたづねて」と「青銅のメダル」を並べて見ると、造本が瓜二つなのである。ともに函ナシ本なので、その違いを確認することは出来ないのだが、とにかく表紙の装幀がそっくりなのである。表紙の大部分を占める紙は水色で、背から表紙の一部を覆うクロス部分は木賊色で、表紙の文字色は赤で、背は金文字…大正時代の白水社は、これを自社本装幀の基本としていたのだろうか?だが、異なる部分も幾つか認められる。クロス装の模様、クロスと紙の間の銀模様の装飾(「極光をたづねて」はただのラインだが「青銅のメダル」には細やかな美しい銀の模様が入っている)、「極光〜」の背は金文字だけだが「青銅〜」は上下に装飾模様が入っている(しかも上下巻でその模様が異なっている)、などなど不思議がいっぱい。これはいつか是が非でも、他の大正時代の白水社の探偵小説を手に入れて、見比べてみなければならないな…。あぁ、またなんだかどうでも良い、人生の目標がひとつ出来てしまったような気がする。これだから冥府魔道の古本人生は、八幡の藪知らずのように、不可思議で奥深く楽しいものである。
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2019年08月23日

8/23良い古書を買う。

むずむずと、古本と言うか、古書が無性に買いたくなって欲しくなって、西武池袋線方面に向かう。中村橋では「古書クマゴロウ」(2018/03/21参照)に立ち寄り、角川mini文庫「私のいちばん好きなアルバム/小室哲哉・松任谷由実・奥田民生・草野マサムネ・KOO・吉本ばなな 他」徳間文庫「新・日本SFこてん古典/横田順彌・會津信吾」を計378円で購入する。外は雨が降ったり止んだり陽が照ったり曇ったり。続いて保谷に向かうと、雨は一応上がっている。「アカシヤ書店」(2008/12/17参照)にぐんぐん接近して行くと、あっ!店頭棚が出ていない!と慌てて近付くと、入口入ったすぐの所に、狭い通路を圧迫するように横向きに置かれている。よかった。まぁこのコロコロ変わり過ぎる天気じゃ、こうしておくのが一番楽だもんな。そう思い、身体を横向きにして、百均棚に鋭い燃えるような視線を投げ掛けて行く。上の方にはあまりめぼしい物が見つからないので、いくらか落胆しながら視線を下に落とし、腰も自然と落として行く。すると残り二段で面白そうな古書が増え始め、気になる本を次々手にし、結果棚に戻すこと少なく、五冊を最後のスパートで掴み取ってしまう。新ロマン社「虹のファンタジア/辻美沙子」(箱ナシ献呈署名入り)立風書房「世にも不思議な心霊体験/佐藤有文」新潮社「愛慾變相圖/近藤經一」(函ナシ)金星社「温泉周遊 西乃巻/田山花袋・中澤弘光」(函ナシ背傷み)白水社「極光をたづねて/塚本慶十郎」を計540円で購入する。後半三冊が大正〜昭和初期の本で、今日も来た甲斐があったと大いに高揚してしまう。中でも嬉しいのは大正十年刊の「極光をたづねて」。
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大正時代に亜米利加を流浪している青年が、北米→カナダ→アラスカとハードな旅をし、タイトル通りオーロラを見に行く写真もたっぷりの冒険紀行文集である。古書は当然買えると思っていたが、まさかこんな大好物の本と百八円で出会えるとは!と、大好きなお店に感謝を捧げ、大いに喜び、帰りの車中で早速溺愛していると、巻末の自社広告に掲載されているのが、冒険探偵小説ばかりであるのに気付く。『近代世界快著叢書』と名付けられたそのシリーズには、ルブラン「二重眼鏡の秘密」「巨盗の告白」、ドイル「恐怖の谷」「名馬の行方」、マーシェ「甲蟲の怪」、ホワイト「黒い自働車」などなど。うぉっ!泉斜汀の「亂刀」もあるっ!そうか、これが七月に我刊我書房から復刊された本(2019/07/22参照)の元本なのか!と突然の巡り会いに妙に感激してしまう。『何れも艶麗と波瀾に富める探偵実話で、欧米のそれにも比すべき場面の変化を極め、而も其間に本邦独特の優雅なる情趣あり、讀者をして恍惚として夢幻の境に彷徨せしむるあたり、著者得意の傑作である』と説明文にある。他のシリーズが翻訳ばかりなので、この「亂刀」が異色の本であることが頷ける。
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2019年08月22日

8/22細々と買い込む。

全般的に曇り空の空の下、午後に関町北に流れ着いたので、すぐさま西武新宿線に飛び乗り、「井草ワニ園」(2019/01/05参照)を目指すことにする…隣駅の上石神井で下車…あれ?なんか駅前の風景が全然違うぞ。ガンダム像も見当たらないし…ハッ!「井草ワニ園」は下井草だった!と、ボケた頭に喝を入れながら再び電車に飛び乗り隣駅へ。おぉ、ここだここだ。南口駅前通りをテクテク東に歩けば、すぐに緑に彩られたお店が見えて来た。中に入り、早速絵本児童書コーナーに食らいつく。一冊目はカバーナシの金の星社「まいごのきょうりゅうマイゴン/小暮正夫作・永島慎二絵」。永島慎二がこんな絵本の絵を担当していたとは。原始人の家族と恐竜の子供の交流の物語だが、お母さんが胸丸出しなので、子供にとってはちょっと刺激的。やるな、永島慎二である。二冊目は福音館書店のペーパーバック絵本「あかずきん/グリム兄弟編・大塚勇三やく・堀内誠一え」。あかずきんちゃんのタッチが、ちょっと宇野亜喜良っぽいのが珍しい。三冊目は同じく福音館書店「ばけくらべ/松谷みよ子さく・瀬川康男え」。英題は『How the badger bewitched the fox』…『狸が狐を魔法にかける方法』と言った感じだろうか。四冊目はおまけの日本文芸社「仮面ライダーカード/堤哲也編」を選び、合計で1050円のお買い物。安い!と喜び、笑みを浮かべて帰路に着く。
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四冊を扇のように開いて写真を撮ると、さすがに指がエグエグしてしまう。だが古本を、決して落とすわけにはいかないのだ!
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2019年08月21日

8/21茂田井武装画。

昨日は雨がドシャバシャ降り始めた夕方の井の頭公園にたどり着いたので、雨粒で煙る池を眺めながら公園内を突っ切り、雨仕様の「よみた屋」(2014/08/29参照)へ。ちょっとの雨ではあまりたじろがぬ大きな庇の下の店頭棚も、この激しい雨の前にはやはりビニールを掛けざるを得ないようだ。ビニール越しの、多少歪んで滲んだ本の背を眺め、端の大クリップを外し、月曜書房「目で見る世界の名作映画/岩崎昶・瓜生忠夫」をそっと取り出して100円で購入する。今日はバタバタと過ごしている中、一瞬だけ西荻窪に外出し、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)内の「フォニャルフ」棚に、誠心誠意補充する。そして早くもビニールカーテンに包まれた店頭棚から、春秋社「猫は猫同士 動物小説集1/乾信一郎」を100円で購入する。箱ナシだが、装画とカットを茂田井武が務めているので、決して見逃す訳には行かなかった。茂田井は私の中では、安泰と並ぶ動物絵の上手い画家である。安泰は動物そのものの可愛らしさをリアルから少し逸らした感じで表現するのが巧みだが、茂田井は円空や仙崖のように単純な線でモデルを崩しながらも獣感を決して損なわずに可愛く仕上げることに長けている…あぁ、やっぱり可愛い。その可愛さに引き摺られ、茂田井の装幀本はいつでも気になっているのだが、いつか手に入れたい本としては、小栗虫太郎の「地中海」「魔童子」「航續海底二万哩」「二十世紀鉄仮面」などが直ぐ頭の中に浮かんで、ぐるぐる回り始めてしまう。だが、それらを弾き出すほどさらに欲しいのが、新太陽社「魔都/久生十蘭」である。カバーと表紙に描かれた、事件の舞台となる夢のような銀座の街頭風景!軽妙洒脱で絢爛豪華で博覧強記な探偵小説と見事ににゅるりと絡み合い、一級品のオブジェと化してしまっているのだ…こんな素敵な物が存在してしまうから、人間の欲望は尽きることを知らないのだ…あぁ、欲しくなって来た。あの本で「魔都」が読みたい読みたい…。
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2019年08月19日

8/19「糸の乱」!

昨日は西荻窪に流れ着き、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)にて涼みながら、預け物をひとつして、筑摩書房「光車よ、まわれ!/天沢退二郎」(新装版第一刷)を100円で購入する。本日は蒸し暑くあるが、涼風に助けられながら荻窪に定点観測に赴く。「ささま書店」(2018/08/20参照)では、日本工業新聞社「世界のロケット/五代富文」福音館書店「かがくのとも202号 ふゆめがっしょうだん/冨成忠夫・茂木透=写真 長新太=文」を計216円で購入する。「ふゆめがっしょうだん」は写真絵本で、“人面”に似ている冬芽のクローズアップ写真を集めた、楽しい驚異の一冊である。人は何故こんなにも、人の顔に見える物が好きなのか…。「藍書店」(2018/12/29参照)では窓際の安売棚から、背が補修された謎の本、講談社「糸の乱(いとのみだれ)/前田曙山」を500円で購入する。大正十一年刊の、幕末〜明治の戊辰戦争を舞台に、美男の小姓・吉彌とお玉が池の美女お貞が活躍する大衆小説らしいのだが、イラストを高畠華宵が担当している。
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美しく息づいているような線だ…。カラー口絵の他に、本文にも別紙で五枚の絵が挟み込まれている。惡獸の狼を拳銃で眉間を撃ち抜き蹴散らすお貞!とか、なかなかたまらない展開を見せている。
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家に帰ってからどんな本なのか調べてみるが、情報がほとんど見当たらない…。古本屋さんと言うところは、忘れ去られた未知の世界に、ふいと橋渡ししてくれる、相変わらず刺激的な空間である。
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2019年08月13日

8/13今日もだらしなく過ごす。

今日もノンビリとだらしなく過ごしているので、午後になってゆっくりと「ネオ書房」(2019/08/11参照)を見に行く。「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)はお盆休み中である。店頭に新たに、百均籐籠に代わり、百均カラーボックス棚が二本出現している。一本は漫画雑誌棚となっている。店前に屈み込み、単行本棚を覗き込むと、ぐおっ!一番上に大伴昌司が構成したウルトラマン&ウルトラセブン絵本が挿さっているじゃないか!と色めき立ち取り出すが、ボール紙のページをパラパラめくると、だいぶ各ページの下部が乱暴に切り取られている代物であった…そうそううまい話は無いか…そっと棚に戻して店内へ。だいぶ本が売れたようで、だいぶ棚に変化が生じている。う〜む、すごいなぁ…と通路を一周。その後、棚下平台の面白さに気付き、掘り起こしながらジリジリ移動する。古い「宝島」や昆虫関係・映画パンフ・特撮関連…むぅ?なんだこの「東映まんがまつり」の絵本型パンフレットは。二冊あって、一冊は『仮面ライダー』もう一冊は『人造人間キカイダー』がメインになっている。これいいなぁ〜…と思ったので値段をたずねてみると、何と二冊とも店主・切通氏が子供時代に買った蔵書とのことである。だがこれは残念ながら値段の折り合いがつかず、購入を辞退する(いや、妥当な安値の値段だったのですが、情けなくも懐が寂しかったもので…)。続いて福音館書店 福音館の科学シリーズ4「ありとしろあり/グイン・ビーバーズぶん コリン・スレッソドコールえ 古川晴男やく」を差し出すと、最初に「1500円」「えっ、すみません、では止めときます…」「じゃあ1200円では?」「あっあ、うぅ〜ん」「じゃあ1000円切って980円では?」「わ、わ、わかりました。いただきます」と畳み掛けられ購入する。何だか不可思議な面白い古本屋さんとして歩み始めているなぁ。また来ようっと。「ありとしろあり」は秘かに集めようかと思っている『福音館の科学シリーズ』の一冊。すでに「ぴかっごろごろ」「くうきはどこにも」を手に入れているが、この「ありとしろあり」とは、サイズもデザインも大きく異なっている。
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「ありとしろあり」は1967年刊で、「くうきはどこにも」は1968年刊。この間に何かあったのだろうか。「くうきはどこにも」の帯袖には既刊の46冊の小さな広告が掲載されているが、ちゃんと「ありとしろあり」は四冊目にナンバリングされている。それにしても“あり”の絵が、夢に出て来そうなほどリアルでゾクゾクしてしまうが、どうしても目を離すことが出来ない。あれ?見返しに氏名のハンコが捺されているが、これも元は切通氏の蔵書ではないか。

おまけ:二枚目の実家から持ち帰ったレコード
1988年公開のオーストリア映画『ミュラー探偵事務所』のサントラレコードである。だからレコードもオーストリア製。ハードボイルドの探偵が活躍する、名作探偵映画のパロディ&ミュージカルで、そこにミックスされる独特な中欧の感覚にうまうまと乗せられ、劇場で笑い転げたのを覚えている。ミュージカル部分の出来がよかったからこそ、サントラを我慢出来ずに購入したのであろう。もう一度観たいのだが、調べてみるとなんと映画はDVD化されていないようだ。VHSが出されていたが、わりと高値になってしまっている。
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2019年08月12日

8/12実家から持ち帰ったLPレコード。

最近激しくたて込んでいたので、今日はノンビリ過ごすことに決める。だがそれでも、久しぶりの雨上がりの『早稲田通り』をフラフラと長めに彷徨い、『中野ブロードウェイ』の「古書うつつ」(2008/06/18参照)の百均棚に、以前は店内に並んでいた有馬頼義本が大量に放出されているのに気付き、野球推理小説の角川書店「黒いペナント」を100円で購入する。さらに高円寺の「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)では、カバーのちゃんと付いている平凡社「怪奇探偵ルパン全集第八巻 妖魔の呪/ルブラン原作 保篠龍緒譯」を見つけたので100円で購入する。さぁ、古本は買った。早く家に帰って「科學小説 四百年後」の気になる続きを読み耽ることにしよう。物語は、火星人を滅ぼした金星人と人類の闘いに突入する局面を迎えており、大正拾五年のスペースワイドな展開に、目を白黒させまくっているのだ。

そして古本とは関係ないのだが、先日実家に戻った時、家に残されていたレコードを『もう捨てる』と言われたので、恐らく聴くことはないのだろうが、捨てるに忍びない一部をセレクトして持ち帰って来てしまった。「劇場版 名探偵ホームズ オリジナルサウンドトラック」のLPも見つかり、中に入っていたカラーグラフに目を細めてしまう。宮崎駿と近藤喜文による初期イメージボードが掲載されており、宮崎駿の方のホームズは、ディア・ストーカーが赤と白のチェック柄で、ホームズは耳の垂れたバセット・ハウンド系になっている。さらに大瀧詠一プロデュースのヴォードヴィリアン・トニー谷のアルバム「ジス・イズ・ミスター・トニー谷」も救出。ジャケットデザインは平野甲賀。インナーの哀切漲る解説を小林信彦が書き、厚家羅漢(大瀧詠一)が曲解説を担当している。それにしてもこのLPサイズのジャケットは、やはり迫力があって見応えがある。中の音楽が伝わって来る騒々しく楽し気な良いデザインだなぁ。
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2019年08月09日

8/9三冊目の石野重道!

今日も酷暑の辛酸を舐め尽くして家に戻ると、我刊我書房主宰の善渡爾宗衛氏から架電あり。例の本が出来上がって来たと言う。慌ててちょっと涼しくなった夕方の阿佐ヶ谷駅頭に駆け付けると、えびす顔の氏からピカピカの瀟酒な本を手渡される。東都 我刊我書房「重道庵夜話 壱阡壱秒譚 ネクタイピン物語/石野重道」である。何と、「彩色ある夢」「不思議な宝石」に続く(2019/06/21参照)、奇跡とも言える三冊目のモダニズム著作集が、現代の文学界に浮上したのである!今回も表紙デザインを担当し、タルホの「一千一秒物語」的コント集の『ネクタイピン物語』と、小品小説『老婆ひとり』を、外国の洋菓子を包装するように仕上げさせていただきました!もちろん基本スタンスは、自己流の表現主義であります。全52ページの短さではあるが、昭和初期の都会の裏路地の小さな洋酒バーで、様々なカクテルを飲み比べるような楽しさあり!西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)や中野「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)では、本日辺りから店頭販売が始まっている模様。また盛林堂通販でも、14日辺りから取り扱われるようなので、モダニズム成分が日頃から不足している方はぜひともお買い求め下さい!
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そう言えばそろそろ店頭に並び始める「本の雑誌 大根おろし奮発号」の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、その「まんだらけ海馬」を秘密取材。何故この有名店に抗えずに通ってしまうのか…その思いの一部を隠さずに吐露したあげく、高い本を買ってしまっている顛末を、お楽しみ下されば幸いです。ちなみに本号の特集は、私がこっそりイレギュラーズを務めている『本の雑誌スッキリ隊』となっております。
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2019年08月07日

8/7「續 細菌の國」!

午前九時半過ぎに家を出て、すでに灼熱の街を行く。水道橋駅に降り立ち、いつもより人影の少ない夏休みの『白山通り』を南へ進み、神保町パトロール。時刻は午前十時二十分。パトロールにはこのくらいの時間がちょうどいい。午前九時から開いているお店もあるのだが、このくらいに通りに姿を見せていれば、各店頭に一番乗りというわけにはいかないが、結構早い順位で目を通せるはずなのだ。午前十一時を過ぎてしまうと、早めのお昼休憩などで人が街路に流れ出し、競争率も高くなってしまうので、やはり店頭を回るにはこのくらいの時間がちょうどいいのだ。そんなことを思いつつ、銀杏並木の葉陰に守られたアスファルト歩道を歩き進む。だがそんな思惑に反し、なかなか食指の動く本には出会わない。いつもより行列が短い人気焼肉屋の前を通り過ぎ、やがて『靖国通り』に至る。最初は西に足を向け、東へ戻って行く。『神保町交差点』を渡り、「明倫館書店」(2012/04/04参照)前。店頭ワゴンは、まだほとんど手がつけられていない状態で、本が詰まった上に本が横積みでダカダカとだいぶ積み重なっている。一瞬、「一誠堂書店」(2010/03/27参照)前での、車椅子のお客さんに手を貸す番頭さんと店員さんの素早い行動に目を奪われるが、再びワゴンに視線を戻した時、その本は目に飛び込んで来た。おぉっ!時代社「續 細菌の國/福島伴次」!昭和十八年刊の科學童話の続編である!全174ページの仙花紙本で、細菌に対する正しい科学的知識を子供に植え付けるために、ミクロな世界の生態や威力や繁殖力や恐ろしさが、あらゆる例え話や科学寓話で展開して行くのである。後見返しを見ると破格の200円だったので、ここで会った百年目!と中に飛び込み百円玉二枚と交換する。ウフフフ、これだから早い時間のパトロールはやめられない。「細菌の國」も、いつかは同じような感じで手に入れてやる!
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夕方にまたもや外出して、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)で「フォニャルフ」に入替補充。店内で岡崎武志氏と待ち合わせ、その後は打ち合わせ飲み。実は二人セットの嬉しい依頼が舞い込んで来たので、それについてニヤニヤしながら話し合うためである。特に岡崎氏はもう子供のようにはしゃいでいるので、見ているだけでおかしい。まるっきり遠足前夜の小学生なのである。これについての詳細はまた後日にお知らせいたします。打ち合わせを終えた後、ブラブラ夕涼みがてら歩き「古書音羽館」(2009/06/04参照)へ。ハヤカワポケSF「マラコット海淵/コナン・ドイル」を百円で買って表に出ると、お店横の通路では、店主の広瀬氏が壁一面に積み上がった買取本と、汗をかきながら大格闘中。嗚呼、古本と格闘する古本屋さんの姿は、厳しく、そして美しい…。
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2019年08月05日

8/5「武蔵野夫人」を少し読む。

朝からゴソゴソして、定期的なミニ蔵書整理の小さな古本の山をひとつ作った後、荻窪に向かい午前十一時半の「ささま書店」(2018/08/20参照)…と思ったら、午前十一時二十七分とちょっと早く着いたのでシャッターがまだ開いていない。踵を返して裏通りをぐるっと回り込んで、先に「藍書店」(2018/12/29参照)を見ることにする。しばらくこちらに足を向けていなかったので、店頭も店内も景色がかなり変わっている。講談社「武蔵野夫人/大岡昇平」を300円で購入する。続いて今度は開いている「ささま書店」へ。珍しく店頭では何も掴まず、店内文庫棚から新潮文庫「メイン・ディッシュはミステリー」「ミステリーは私の香水」ともに小泉喜美子を計400円で購入する。一旦家に戻り、古本の山を抱えて再外出。汗をかきながら古本を運んでいると、知り合いの野鳥&中西悟堂研究家(古本好き)と出会ったので、しばらくの間同道し会話する。「高く売れるといいですね〜」とにこやかなエールをいただき、そんな風にして運んだ古本を「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に持ち込むが、店主の天野氏が不在だったので、夜にもう一度訪ねることを約し、お店を後にする。またもや家に戻り、「武蔵野夫人」を少し読み進めるが、冒頭の武蔵野の描写が細かく興味深く、読むのを止めるに止められず、ぐいぐいアリ地獄のように意識を文章内に引きずり込まれてしまう。古い河岸段丘、野川、古代武藏原生林、関東ローム、砂礫層、湧水、はけ(武蔵野台地の崖地)…そんな自然の描写と土地の成り立ちから始まり、文章は至極なめらかにその地に住む人々に推移して行く…美しい流れの文章だなぁ。カバー絵は猪熊弦一郎の手によるもので、武蔵野の野川から眺められる雑木林を描いたものであろうか。細かく描き分けられた樹木の植生が楽しい。現在も、武蔵小金井から南に下り野川に至れば、似たような変わらぬ景色を見ることが出来る(2019/02/02参照)。
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夕食を摂り、涼みがてら夜の街に出て「古書コンコ堂」へ向かう。暗い裏路地では、夏らしくない「火のよ〜じん、空き巣用心、火のよ〜うじん」と拍子木を叩くボランティアパトロールに出会う。家路をたどるたくさんの人たちと擦れ違い、お店前。夜の古本屋さんは、昼間とは違う、何だか柔らかな表情を見せている。本の山の向こうに座る天野氏に挨拶し、買取のお金を受け取る。
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