2019年11月10日

11/10百円ばかりで古本を買う。

昨日は家の近くの面白古物ショップ「J-house」(2015/12/26参照)に夕方出向く。兵どもがすっかり荒らしまくった百均プラ箱を漁ると、おぉ、ちょっと古めの函入り本が二冊出て来た。舞臺すがた社「坂東三津五郎舞臺写真集」舞臺展望社「市川寿海舞臺写真集」を計220円で購入する。そして本日は午後二時過ぎに荻窪に流れ着いてしまったので、一日早く「ささま書店」(2018/08/20参照)を定点観測する。ほぅほぅ、店頭棚に光文社「点と線/松本清張」があるじゃないか…四刷だが、やはりこれは買っておかねばと110円で購入する。するとなんと、中にちゃんと帯が挟まっていた。喜び取り出し、本に巻き付けると、何とも言えない素敵な発売当時の姿に!こりゃあいい。おかげでウキウキしながら阿佐ヶ谷までテクテク歩く。『ラピュタ阿佐ヶ谷』では石井輝男特集が始まるようだ。『地帯(ライン)』シリーズは『セクシー地帯』だけか…『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』はちゃんとラインナップに入っている…これは観に行かなければ…などと心に刻みながら『旧中杉通り』に入って行くと、通りの北側では、フリーマーケットの『ゆうやけ市』(2019/05/12参照)が、賑々しく開催中であった。人波を掻き分け掻き分け進みながら、ついつい道の両側に広がったシートに視線を落とし、習性として古本の姿を追い求めてしまう。すると若いカップルのお店が文庫本をたくさん並べている。立ち止まり、うう〜んと選んで、角川文庫「〈吸血鬼〉の影/L・G・ブッファリーニ」を100円で購入する。さらに通りを遡上して行くと、今度はヒッピー風な熟年カップルが、一冊〜四冊100円で本を売っているのに遭遇する。すかさず立ち止まり、むむ〜んと選び、ちくま文庫「夜の終る時/熱い死角」「あるフィルムの背景」ともに結城昌治、創元推理文庫「猫のまぼろし、猫のまどわし/東雅夫編」を計200円で購入する。これはなかなか良い買物が出来たぞ!とお店を離れて行くと、後から「すいません」と声を掛けられる。振り返ると、先ほどのヒッピー風店主ではないか。「あの、本は四冊まで100円だったんですよ。なのですみません、200円受け取ってしまったので、100円お返しします」。な、なんと律儀な!「わざわざありがとうございます」と感動&恐縮しながら百円玉を受け取る。さらにまたもや「J-house」に立ち寄ると今日も古本が出されていたので(それにしても兵や一般の人は、古本に見向きもしないのだ)求龍堂「美しい本 ケルスティン・ミウラの製本装幀芸術入門」を110円で購入する。あぁ、百円前後で本を、買った買った。家に戻ってからは、「みちくさ市」のための本や、新たに大阪に送り出す本を、少しずつ準備し始める。
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2019年11月08日

11/8「冷蔵庫の中の屍体」は「張り込み日記」と一緒に読め!

正午過ぎに家を出て、かなり久しぶりの武蔵小山「九曜書房」(2009/03/26参照)へ。表に山田風太郎文庫箱が出ているのを確認してから、店内の五百均棚に縋り付く。右上から左下まで三本の棚を三度ほど見返し、弘學社「空の話題/伊原俊夫」(昭和十七年の飛行機エッセイ本だが、冒頭に80ページの「小説 見えざる翼(成層圏未來航空戰記)」アリ)九藝出版「大衆小説の世界 幻想怪奇・探偵・SF/荒俣宏・石上三登志 小隈黎・谷口高夫」を計千円で購入する。続いて電車を乗り継ぎ、高田馬場駅下車。テクテク東に歩いて『早稲田古本屋街』入りし、「古書現世」(2009/04/04参照)へ。山雅房「吉田一穂詩集 羅甸薔薇」(カバーナシ)を購入しつつ、いつものように店主・向井氏と長話。本の雑誌スッキリ隊のこと、古本の値段のこと、来週月曜から始まる「早稲田青空古本市」のこと、「みちくさ市」のこと、原一男のことなどを話していると、店猫・コトがニャオニャオ鳴きながら姿を現し『お前らいい加減うるさいんだよ!』って感じで裏のトイレに行き、スッキリして再び寝床に収まったりする。あぁ、可愛い。そして夜、阿佐ヶ谷駅頭で善渡爾宗衛氏と落ち合い、出来立てホヤホヤのカバーデザインを担当したNoir Punk Press「事実探偵小説 冷蔵庫の中の屍体/楠田匡介」を受け取る。昭和二十七年に「読物と講談」に連載されたシリーズを、当時の単行本「犯罪の眼」とは異なり連載順に並べた、ベテラン刑事と若手刑事の名コンビが、巷で次々湧き起こる生々しく陰惨な殺人事件を、聞き込みして張り込みして推理して捜査して解決する短編小説集。なのでデザインコンセプトは、昭和二十〜三十年代の、いかがわしいスリラー小説風とした。この時代の同種の本は、写真を印象的に使うか、どぎつい抽象画で怪しい雰囲気を醸し出すかのどちらかである。最初は都会の写真をモチーフにして…と思っていたのだが、実は同時進行の別デザインでそのパターンを採用してしまったので、こちらは抽象画風で乗り切ることに決めたのである。だが、勝呂忠みたいな素敵な絵が、早々簡単に作れる訳が無い…それっぽくするには、さて、どうする?と悩んでいた時に、ボヤ〜ッとBSの映画を見ていたのだが、外では物凄く強い雨が降っていたので、突然画面がガジガジ激しく乱れ始めた…その瞬間に、これだ!と閃き、ガバと跳ね起き、慌ててそのぶっ壊れたようなデジタル画面を撮影する。その不気味な写真を基にして、さらに昔撮った『根岸競馬場』の廃墟スタンド写真を合成。そしてさらにゴニョゴニョ色々と調整…おぉ、なんだかそれらしくなったぞ!と、プリ・コラージュなデザインを施した訳である。うぅ、楠田匡介のデザインが出来るなんて、生きてて良かった。そしてこの事実探偵小説の楽しみ方であるが、思いついたことがひとつある。それは渡部雄吉の写真集「張り込み日記」を近くに置きながら読み進めれば、当時の風俗や世界観をより楽しめるということである。「張り込み日記」は昭和三十三年の撮影で、ちょっと年月に開きはあるが、なんたってバラバラ殺人事件の捜査をする二人の刑事(警視庁捜査一課のベテラン刑事と茨城県警の若手刑事)を密着して追いかけた、フォトルポルタージュなのだ。もはや二つの世界には差異など認められず、まるで楠田の小説を写真化したかのような、臨場感しか感じられなくなってくる。発売は明日からで、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)店頭や通販サイトでお求めくださいませ。
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「冷蔵庫の中の屍体」と「張り込み日記」(これはギャラリー出版の図録である)の、魂の震える最強コンボ。

そしてお知らせをふたつ。
1. もうすぐ発売の「本の雑誌 積ん読すす払い号」の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では上井草のグラノーラと古本を商う異色店「井草ワニ園」を潜入レポート。もはや古本に美しく占拠されている店内には、素敵な絵本がたくさん犇めいていた!お楽しみに!
2. 今年最後の「みちくさ市」に、いつも通り大喜びで参上いたします。探偵小説・変な本・面白い本・古い本・珍しい本・誰もいらない本・ブログに載った本などを掻き集め販売いたしますので、買う気満々で秋の雑司が谷に来ていただければ!
■「第49回 鬼子母神通り みちくさ市」
■11月17日(日)11:00〜16:00 雨天中止(当日午前八時に天候による開催の有無を決定)
■東京都豊島区雑司が谷二丁目・鬼子母神通り周辺
https://kmstreet.exblog.jp/
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2019年11月07日

11/7「きりんの本」、揃う!

暖かい風が吹く秋の正午過ぎに、高井戸に流れ着く…この付近に古本屋さんはないのだが、京王線に乗り込み、安値で古本を買い漁って行こう!とまずは東松原の「瀧堂」(2014/05/01参照)へ。表にいやにポケミスが並んでいたので、中に入るとやはり中央通路にもポケミスの姿が。むむむむ、と目を凝らし、ハヤカワポケミス「メグレと老婦人/ジョルジュ・シムノン 日影丈吉訳」を300円で購入する。滑り出しはまずまずな感じなので、再び京王線の人となり、次は下北沢にて下車。愛しの「ほん吉」(2008/06/01参照)に一直線に向かうと、店頭棚にPHP「子どもの言いぶん/竹中郁」が輝いているではないか!詩人・竹中郁が、伝説の児童詩雑誌「きりん」とともに並行して行っていた『こども詩の教室』の授業と作品を元にして編まれた本である。こりゃあ素晴らしい。そう喜び手にして、視線をそこから左に流して行くと、うわぁ〜〜〜〜〜〜イ!探しに探していた「きりんの本」も、豪気に並んでいるじゃないか。しかも、一冊…二冊…三冊…!全部揃ってる!大慌てでドサドサと抱え込む。欲しかった本が、信じられない安値で手に入った、高揚しまくる瞬間であった。前述の竹中郁の本とともに、理論社「きりんの本 1・2年/坂本遼序」「きりんの本 3・4年/竹中郁序」「きりんの本 5・6年/井上靖序」(5・6年のみカバーナシ)「おかあさん/きりん編集部編」学研「少年少女サスペンス 赤いUの秘密/W=マッティーセン」を計880円で購入する。大・大・大・大満足!「ほん吉」最高!下北沢バンザイ!
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この後はさらに「古書明日」(2017/01/31参照)にも足を延ばし、ペヨトル工房「夜想 参 夢野久作/竹中英太郎」を安値の千円で購入する。
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家に帰り、以前「りんてん舎」で購入した「きりんの本 5・6年」(2019/08/02参照。本の感想は2019/08/04に詳しい)のカバーを、今回の購入本に移植する(本の状態は、今回の裸本の方が良かったのだ)。これで三冊パーフェクト。「1・2年」をパラパラ読み始めると…やはりスゲェ。純真さがもはや文中にバリバリと張り裂けている!それは、ページを捲るごとに、80%の確率でゾッとするほど、感動を覚えてしまうほどである。…こうなると、次は本誌の「きりん」が見たくなって来たぞ…。
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2019年11月05日

11/5謎の署名について二人で考えてみる。

つい先日、中野ブロードウェイの「古書うつつ」(2008/06/18参照)で、見返しに何やら書かれている講談社「ミステリアーナ/長沼弘毅」を見つけた。1500円で購入し、どうにか己で解読を試みようとしたのだが、どうにもこれが難しい。
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写真のように書かれているのだが、一番右端のちょっと花押のようなものは、長沼氏の超変形サインである。これは別の署名本を所持しているので、特徴を確認済みである(“長”と“沼”の二文字が流れるように絡み合っているのだ)。問題はその左に書かれた二つの名前である。名字が無く、名前だけと言うのもおかしいが、二つあるのもまたおかしい。中央のものは『◯光』、左端は『清張』と読める気も。だが調べてみると、『清張』のサインは、ペンでも筆でもこんな感じに書かれたものは見つけることが出来なかった…よし、ここは専門家に聞いてみることにしよう。というわけで数冊の古本を抱え、毎度毎度の西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ。まずは、ちょっと売れていて嬉しい「フォニャルフ」に軽快に補充を行った後、まつりの撤収本に囲まれた、疲れ切った態の店主・小野氏に近付き、二三の用事をこなした後に、件の「ミステリアーナ」を取り出す。「これ、ちょっと見てもらえます?なんて書いてあるんでしょうね?右端の小さなヤツは、長沼さんのサイン」「うん、そうだね」「後のやつは、なんで名前が二つも?真ん中の下の字は“光”って書いてるように見えるんだけど…」「あぁ、これはね、“兄”って書いてあるんだよ。“御兄”って書いてあるの」「ええっ!?」「目上の人に献呈する時に、付ける言葉だよね。ほら、この上のところをよく見てご覧。毛羽立ってるでしょ。献呈名部分が消してあるんだよ」「あああああぁっ!ホントだ。全然気付かなかった!」…さすがはプロである。なるほど、献呈署名本の名前が消されたものだったのか…もしかしたら『高木彬光』の『彬光』って書いてあるんじゃないかと、都合よく夢見ていたのだが、残念!だが、謎はもう一つある。何故、その献呈署名本に、もうひとつ名が書かれているかだ…。「じゃあ、この左端のはいったい何だろうね……あの、ちょっと『清張』って読めるんだけど…」「それは確かに。ぼくも最初は『清張』って書いてるように思った。でも、こんなサインじゃないんだよなぁ。書いている筆も違うみたいだから、後から書いたんじゃないかなぁ…」「ここに書いてあるのも良くわからないよねぇ」「でももしかしたら、清張がもらった本を、為書みたいに入れて、他の誰かに譲ったのかもね。稀にそういうことする人、いるんだよ」「いや、それが本当だったら、献呈名部分が消されていても、凄く嬉しいけど…」などと、一冊の本の上に額を寄せ集め、しばし笑いながら語り合う。結局そこまで詳しいことは分からなかったが、一冊の古本で、ここまで想像出来るのが、なんともはや楽しい限りである。さすがは古本!そして古本屋さん!これだけでも、この本を買った甲斐があるというものだ。
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2019年11月04日

11/4まつりの最終日と定点観測。

朝、布団の中でパッチリ目を開けて思う。そう言えば今日は「神田古本まつり」の最終日ではないか。始まるのは午前十時からだから、月曜定例の定点観測の前に覗けるな…そう決めて、午前九時過ぎに家を出る。日射しは眩しく熱いほどだが、風は冬のように冷たい。中央線で御茶ノ水駅まで出るが、長年の習慣で車両の最後尾に乗ってしまう…もう、ホーム端の階段はないというのに…。エレベータでホーム上に上がり、改札を抜けて信号が変わりそうなスクランブル交差点を走って横断し、神保町へと向かう。午前十時過ぎと始まったばかりなのに、まつりはすでになかなかの人出である。ブースとお店を交互に覗きながら、『靖国通り』を西へと向かう。まずは「慶文堂書店」(2012/01/14参照)の地べたに置かれた小さなダンボール箱から、鹿島出版会SD選書「モデュロール?/ル・コルビュジエ」を見つけて百円で購入する。続いて「小宮山書店ガレージセール」に久々に出会ったので、無条件に惹き付けられる。長テーブルにズラリと並んだ古本の背に視線を落とすと、早速、東都書房「すれすれ探訪/吉行淳之介」(吉行がジャーナリストの如く様々な場所に出没・潜入して書いた探訪ルポ。もちろん色っぽい方面が多い)を見つけたので、これは買わなければ!と掴み取る…ということは後二冊…だがその後、なかなか欲しい本が見つからない。こんなに本がたくさんあるのに、何故だ!とジワジワ焦りを覚えながら、ようやく国書刊行会「ク・リトル・リトル・神話集/H・P・ラヴクラフト他」を抜き出すが、ここでギブアップ。二冊を500円で購入する。「一誠堂書店」(2010/03/27参照)脇の硬い本が犇めく駐車場で、お茶目に手を振る番頭さんと挨拶を交わし、まつりのお話アレコレ。その後は目の前の「盛林堂書房」(2012/01/06参照)ブースに張り付き、文芸評論社「臨時ニュースを申上げます/山田風太郎」(カバー痛み)朝香屋書店「血の記録/ジヤツク・ロンドン」を計3000円で購入し、盛大に満足してしまう。なんたって、ブースとブースの間の帳場にはまり込んだような店主・小野氏が、目の前で値札を書き換え、本を安くしていくのだ。これは買わないわけにはいかない!などと、ひとしきり興奮する(思い出せば毎年同じように興奮している気が…)。さて、そろそろ時間だ。足を早めて水道橋駅に向かい、総武線に乗り込んで、各駅停車で荻窪を目指す。車中読書は買ったばかりの「臨時ニュースを申上げます」。第三次世界大戦が始まってしまった、大変気になるところで駅に着いてしまったため、後ろ髪引かれながら本を閉じ、「ささま書店」(2018/08/20参照)へ。おっ、こっちも人がたくさん来ているじゃないか。そう感心しながら、みすず書房「世界シナリオ選集1」大昭印刷株式会社「国際社交エチケットについて/外務省講師 友田二郎編」(東京オリンピック開催や、海外旅行自由化に合わせて出された、世界標準の西洋マナー&エチケット集)あかね書房「科学のアルバム19 食虫植物のひみつ/清水清」(献呈署名入り)を計330円で購入する。実は店内でも気になる本を見つけたのだが、まぁ今日はもうだいぶ買っている。もし次来た時に残っていたら、それを運命として買うことにしよう…。
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嬉しい本日の獲物たち。まさか「臨時ニュースを申上げます」を買うとは思わなかった。そして大正時代のジャック・ロンドンが殊更嬉しい!
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2019年11月01日

11/1二冊の「恐怖の〜」

やたらとやる事が多い金曜日。アタフタと過ごしながらも、神保町の「第60回神田古本まつり」に超遅ればせながら一瞬駆け付け、どうにか「一誠堂書店」(2010/03/27参照)前の「盛林堂書房」(2012/01/06参照)ブースを覗き込む。うぅぅぅっ、もうまつりが始まって一週間経つのに、良書が気持ち悪いほどの安値でまだ売られている…そう驚きながら、渾身の一冊を探して古本・アイをビカビカと光らせる。すると右端の棚に、怪し気な翻訳探偵小説を発見。文園社「探偵小説 恐怖の假面/アーサー・リーヴ」。こ、これは大正時代に刊行された『探偵文藝叢書』(2018/05/23参照)の、戦後仙花紙復刊版ではないか。状態はあまり良くないが、それでも千円は安いはず。そう信じてブースとブースの間で精算してもらっていると、さっきまでは影も形も見えなかった盛林堂・小野氏が、いつの間にか姿を現す。そして買っている本を見るなり「ごめんね。状態があまり良くなくて。でもそれ、横田順彌さんの旧蔵書だから」と教えてもらう。そう聞かされると、途端に本の魅力が倍増した感じである。ブースの裏に足を運び、少しの間立ち話する。まつりは11/4(月・祝)まで。帰り道、高円寺「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)に立ち寄ると、店頭棚に蔵印はあるが久保書店Q-TブックスSFシリーズ「恐怖の火星争奪戦/リイ・ブラケット」が出されていたので、迷わず百円で購入する。店主の粟生田さんと「今日あったかいですよね〜。あたし、半袖で来ちゃいましたよ」「夜、絶対に寒くなりますよ!風邪引かないように気をつけて下さいね」「アハハハハハ〜〜〜〜」などと他愛もない会話をする。気付けば今日買った二冊は、両方ともタイトルが『恐怖の〜』であった…。
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家に戻ってから、少々の古本を抱え、夕暮れ時に再び家を出る。もはや十一月になったので、西荻窪「盛林堂書房」『フォニャルフ』棚にストトトと補充を行う。貸本仕様のカバーナシだが、島田一男の強烈少年探偵小説「七色の目」など並べてありますので、お近くにお立ち寄りの際は、ぜひとも小さな棚を覗いてみて下さい。
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2019年10月31日

10/31「洋酒天国」再び!

今日はお昼過ぎに国立に流れ着くが、疲労の蓄積がすぐさま足を駅に向かわせる。ほぉ!赤い三角屋根の駅舎が見事に復元され、優雅な姿を見せ始めているではないか!と感じながら中央線の人となる。だが途中、先頭車両辺りが、荻窪駅のホームに滑り込み始めた電車の車窓から、開店している「竹陽書房」(2008/08/23参照)が見えてしまったので、思わず途中下車してしまう。ほどなくしてお店にたどり着き、新潮社「現代脚本叢書 第三編 法成寺物語/谷崎潤一郎」を800円で購入する。大正十年刊の谷崎脚本集で、表題作の他に『十五夜物語』『春の海邊』を収録。そこからテクテク歩いて阿佐ヶ谷に帰り着き、思いついて再び「千章堂書店」(2009/12/29参照)店頭台の「洋酒天国」井戸(2019/10/28参照)を掘り進む。『SF特集号』以外にも、もう一冊欲しい号があったのを思い出したのである…目指すは26号。稲垣足穂のエッセイが掲載されている号である!掘り進む途中から、冊子が号数順に積み重なっているのに気付く…36,37,38…ありゃ、もう通り過ぎちゃってるなぁ…あ、でも、改めて23・24合併号が出て来た。ということは、,25…26号!あったぁ〜!セロファン袋から取り出しページを開き、足穂の見開きエッセイ『ダンセーニ卿の「酒壜天国」』(目次は“ダンセーニ”だが、本文タイトルは“ダンセニー”になっており、本文中では“ダンセーニ”となっている…)を確認。900円で購入する。そしてこの「洋酒天国」、目次部分に青インキの丸スタンプが捺されている。『阿佐ヶ谷トリスバー マン 一番街』…どうやら阿佐ヶ谷にかつてあったトリスバーで売られていたものらしい。それが地元の古本屋さんで、長い年月を経て売られているなんて、ロマンチック!とひとり興奮する。興奮ついでに、駅東の高架南側にある、闇市的雰囲気を素敵に引き摺る『阿佐ヶ谷一番街』に足を向け、「洋酒天国」を里帰りさせる。さぁさぁ、ここが、お前の故郷なんだよ!
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2019年10月30日

10/30古本屋さんからの絵ハガキ

お昼過ぎに上連雀に流れ着いてしまったので、この時間ならもう開いているなと、いつものように「りんてん舎」(2019/03/30参照)に足が向いてしまう。すると店頭箱を覗き込むと、たちまち四冊が腕の中に飛び込んで来た。創元社「シャガール自傳 夢のかげに/中山省三郎訳」現代思潮社「ニジンスキーの手記」(口絵モノクログラビアが豊富で嬉しい。晩年に部屋内で高く跳躍するあの写真も載ってる!)文藝春秋「夢の街 その他の街/小林信彦」(解説が野呂邦暢!)リブロポート「ワイルド・ウェスト物語/海野弘」を計440円で購入する。…ぬぅぅぅ、イカン。古本魂に火が点いてしまった…欲しい、古本が欲しい!もっと欲しい!…これはちょっとやそっとじゃ治まりそうにないので、思い切って保谷まで出ることにする。そう、保谷と言えば「アカシヤ書店」である。ほほぅ。今日は表のテーブルに、たくさんの児童学習グラビア雑誌「よいこのがくしゅう」(昭和五十年代)が積み重なっているなぁ、と興味深気に一冊一冊捲って行く。この鉄道特集の『ふろくずかん』は買っておこう…おや、変なものがその下から出て来たぞ。フライシャー兄弟の漫画映画を、英和対訳付きで絵本化した冊子である。これも買っておこう。続いて棚からは面白そうな日本の洋食器の歴史本と、おや!大正時代の「ホトトギス」!という感じで色々喜び、学習研究社「でんしゃがいっぱい」世界文庫「彩色長編漫画 ガリヴァー旅行記」(絵はバタ臭いが日本人が描いている)ほととぎす發行所「ホトトギス 大正十二年八月號」(表紙は小川芋銭だ!)叢文社「日本洋食器史 燕が歩いた六十年/捧吉右エ門」(著者献呈署名入り)を計440円で購入し、満足を得る。
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そして家に帰ると、ポストに一枚の古めかしい絵ハガキが舞い込んでいた。おぉ、これは熊本行でお世話になった「舒文堂河島書店」(2008/12/21参照)若旦那からの、礼状ではないか。古い古い、昭和十五年の参拝スタンプが捺された、阿蘇山の写真ハガキとは、古本屋さんらしい粋な演出である。
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2019年10月28日

10/28探していた「洋酒天国」!

昨日は夕方にブラリと地元の「千章堂書店」(2009/12/29参照)を何気なく覗く。店頭には、土曜日に終わった『阿佐ヶ谷ジャズストリート』仕様のジャズ専用棚が、まだ燦然と輝いている。いつものように均一文庫台を見て、均一単行本台を見て…おっ、中央の均一台の後に、大量の「洋酒天国」が重なっているのに気付く。どうやら三十冊ほどあり、値段は一律900円の適価である。以前から探している号があるので、もしかしたら…と丁寧に一冊ずつ掘り返して行く。すると十冊目くらいで、探し求めていた表紙にたどり着いた。洋酒天国社「洋酒天国 numero10」(昭和三十二年刊。編集兼発行人はもちろん開高健)…『ミステリー特集号』なのである。早速900円を支払い購入し、ようやくの出会いを記念して、お店の前で写真撮影。
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『アモンティラッドの樽/E・A・ポウ 谷崎精二訳』『顔を知られていない貴族/E・C・ベントリー 長谷川修二訳』『二人のピーター卿/D・セイヤーズ 黒沼健訳』の、ぶどう酒を扱ったミステリー三作を収録。なかでもベントリーは、江戸川乱歩推薦の初訳とのこと。すでにすべて読了してしまったが、柳原良平のそれぞれの作品のテイストに合わせたイカしたカットと相まり、お酒を飲みながらも楽しめる軽めの佳品たちであった。よし、次は『SF特集号』の「洋酒天国」を見つけるぞ!

本日は朝から仕事をタラタラ進めつつ、月曜定例午前十一時に家を出て、荻窪「ささま書店」(2018/08/20参照)を定点観測する。するとこの日の店頭は、早くも素晴らしき賑わいを見せており、何かあったのかと思うほど。岩波写真文庫「日本の映画」弓書房「一角獣・不死鳥・魔女/船戸英夫」をまだまだ5%引きの計210円で購入する。
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2019年10月26日

10/26今日の「よみた屋」は買えたっ!

久々と思える穏やかな秋の午後に、吉祥寺北町に流れ着く。吉祥寺北町と言っても随分広く、今いる場所はほとんどもう三鷹である。ならば「りんてん舎」(2019/03/30参照)に顔を出して行くかと『三鷹通り』を南へ下る。昨日の大雨のために、今日から開催の気分である『神田古本まつり』の午前十時スタートに駆け付けられなかった己を呪い、腹いせに店内でミステリー棚に目を血走らせる…よし、今日はこれを買って行こう。東都ミステリー「湖上の不死鳥/野口赫宙」を1650円で購入する。結局そのままテクテク吉祥寺まで歩き、つい先日来たばかりの「よみた屋」(2014/08/29参照)店頭にも、まつりに駆け付けられなかった思いをぶつける。すると店頭棚が、そんな虚しい気持ちに素晴らしく呼応してくれ、今日はなんだかとても買えるぞ!買えるぞ!とかなり興奮。店頭棚をバックにポーズをとりまくり、モデル風写真を撮りまくっている中国人女子二人を尻目に、恐らくファインダー内に見切れながら本をズバズバ抜き出して行く。木材新聞社「ジェットに乗って/国吉大」(昭和三十六年に派遣された『第一回日本航空 全日本産業人欧米視察団』の一人が書き上げたジェット機による世界一周旅行記)ガゼット出版社「ボクシング展望/川島清」(カバーナシ。昭和三十三年刊の、会話形式ボクシング啓蒙書)集英社「ニューヨークひとりぼっち ミュージカル留学記/松島トモ子」(水ヌレ痕アリ。昭和四十年再版。可憐な少女歌手の、まだこの時は将来ライオンやヒョウに襲われることなど微塵も知らぬ、無邪気なアメリカ見聞録。当時の音楽関連の話が面白い)福音館書店「かがくのとも170号 とんとんとん/あまのゆうきち さく」「かがくのとも201号 こんなおみせしってる?/藤原マキ さく」「こどものとも いかだはぴしゃぴしゃ/岸田衿子さく・堀内誠一え」を計990円で購入する。
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やはり嬉しいのは松島トモ子。寄宿舎のテレビで『エド・サリバンショー』に出るビートルズを観る話とか、ビートルズが来米し大旋風が吹き荒れる話など、時代性がたまりません。藤原マキの絵本も頬が緩む拾い物であった。…あっ、しまった!吉祥寺では本棚探偵・喜国雅彦氏の個展が始まってたんだっけ…寄ればよかった…ら、来週駆けつけることにしよう…。
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2019年10月22日

10/22昨日は大乱歩の誕生日。

雨降りの朝から仕事のための読書に埋没する。昼になって雨が上がり始め、皇居の方角から遠く響いて来る礼砲の音を耳にしてから、気晴らしに少し表に出る。ブラブラと、文字を詰め込んだ頭を冷やしながら、近所をウロウロ。高円寺「大石書店」(2010/03/08参照)でビニールシートを掛けられたダンダラ屋根の安売ワゴンに、先週に引き続き講談社のゴールド絵本が補充されているのを認める。シートを捲って手を入れ、「セロひきのゴーシュ/絵・黒崎義介 文・槇本ナナ子」を100円で購入する。帰りは高架下を伝い阿佐ヶ谷方面へ。潰れてしまってもぬけの殻の元『阿佐ヶ谷アニメストリート』を抜け、駅へ至る前に高架から離脱する。閉店した「穂高書房」(2019/09/17参照)の前を通りかかるが、まだ店内に本は、ギッシリ残されたままとなっている。…行方が気になるなぁ…。

そういえばボ〜ッとしていたが、昨日十月二十一日は、探偵小説界の巨人・江戸川乱歩の誕生日であった。もし生きていれば125歳か…いや、乱歩の探偵小説“魂”と探偵小説の“鬼”は、今でもそこかしこで、人の心の中に息づいているのだ。もちろんこの私の中にも。記念に何か珍しいものでもアップしておこうか…と思ったのだが、乱歩に関してはさして珍しいものなど持っていない。チープではあるが、河出市民文庫の学生サーヴィス版カバーが掛けられた「心理試験」(2016/11/21参照)くらいであろうか。そんな風に思いながら、机の前でふと目を上げると、そこには小さな乱歩の姿が…おぉ、そうか、これがあったか。壁に飾られているのは、随分前に思い切って購入した、人形作家で写真家・石塚公昭氏のオリジナルプリントである。仕事場の一角に雑然と収納された、乱歩人形・黒蜥蜴人形・二十面相人形・黄金仮面マスク、人間椅子、それに『三人書房』の模型看板などを写したものである。あぁ、これを疲れた時に見ると、乱歩世界がたちまち頭の中に立ち上がり、ニュルッと癒されるんだよなぁ。江戸川乱歩先生、125歳+一日の誕生日、おめでとうございます。
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2019年10月17日

10/17いざ熊本へ!

午前五時四十分起床。旅の準備をわちゃわちゃと進める。荷物は小さなリュック一つにまとめ、結局持って行く本は二冊にする。先述通りのハヤカワポケミス「ゆがめられた昨日/エド・レイシイ」と春陽堂文庫「メリメの手紙/平井呈一譯」。というわけで、これから一路羽田へ向かい、そこで岡崎武志氏と合流し、久しぶりに九州に上陸予定。それでは今晩の出張古本屋トーク、みなさまよろしくお願いいたします!
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■オカタケ&古ツアの古本屋を語り尽くす夜 in 熊本
■10月17日(木)19時より
■くまもと県民交流館パレア10階 第7会議室 熊本市中央区手取本町8-9
■入場無料・申し込不要
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2019年10月16日

10/16装幀:岸田衿子

日が短くなったのもあるが、朝から何だか薄暗い一日であった。夕方近くに国立近辺に流れ着くが、すぐに中央線に飛び乗り三鷹駅に向かってしまう。駅北口を出て北に進み、その道すがらビルの間の空を仰ぎ見ると、重そうな雲の所々に歪な穴が空き、青空がのぞいている…まるで忍野八海を地面の下から仰いでいるみたいだ…そんなことをぼんやり考えていたら、いつの間にか「りんてん舎」(2019/03/30参照)前。珍しく表では何も掴めずに、さらっと店内へ進む。各通路を楽しみながらゆっくり眺めていると、詩集の棚が凄みを増しており、ついつい真剣に一冊ずつ薄い背を追いかけてしまう。藤富保男の素敵なところが…古めの谷川俊太郎も…などとやりながら、さらに古い詩集ゾーンに差し掛かる。ユリイカ 双書 種まく人1「現代詩のイメージ/安藤次男」が献呈署名入りで三千円か…欲しいなぁ、読みたいなぁ…と目次を見ていると、あれ?この本、装幀が岸田衿子なの!?ぐわぁ、ますます欲しくなって来た…だが三千円はちょっと…あれ?端っこにもう一冊同じ本がある。急いで取り出してみると、こっちは献呈署名ナシで、カバーも痛み気味…だが、値段が千円!買います買います!というわけで1100円で購入する。
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思いっきりジャケ買いしてしまったが、最初の論考が志賀直哉の呪いから始まり、とっても面白そう!そんな風に思わぬ岸田衿子関連の一冊を入手し、足取り軽く「水中書店」(2014/01/18参照)へ。こちらでは店頭均一棚から抜き出した、自由国民社「一杯のむときの事典」を百円で購入する。
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表紙の清水崑の絵は何だかセクシー系だが、中身はすべてお酒に関する本。世界の酒場グラビアから始まり、各界通人百人がお酒に関するエッセイを寄稿(谷口千吉・佐野繁次郎・志村立美・北村小松・大下宇陀児・古川緑波・スタルヒン・村山知義・トニー谷・岡本太郎・三木鶏郎などなど、なかなかたまらないラインナップに加え、本文内のカットと漫画はすべて辻まことが手掛けている)と、興味津々読ませる内容。三鷹で途中下車して良かった!とニヤニヤしながら帰宅する。

ところで、ついこの間、岡崎武志氏と訪れたばかりの栃木の「吉本書店」(2010/12/25&2019/09/10参照)が、先日の台風十九号による水害に遭い、古本がかなり犠牲になってしまったとのこと。現在大変な片付けに追われているが、近場の古本屋仲間が力を合わせ、復旧に向けて奮闘の真っ最中である。だが実店舗は残念ながら、これを機に閉店されるらしい。ネットに上がった写真を見ると、もはや諦めざるを得ない、仕方のない惨状である。こんな閉店の仕方は決して本意ではないでしょうが、それでも長い間本当にお疲れさまでした。店番を続けてくれていた、ご高齢のお母さまにも感謝である。もちろん「吉本書店」自体は残り、ネット販売や催事は続けて行かれるので、今後ともバッタリ何処かでお見かけしたら、古本を購入していくつもりである。ファイト、吉本書店!
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2019年10月15日

10/15待ちながら古本と戯れた一日。

今日はデザイン仕事にかかりっきりになるつもりで、素材が到着したり連絡があったりを朝から待っているのだが、どこからも何の音沙汰もない…すべては俺の妄想なのか?と思うくらい未だに連絡がないのである。というわけでジリジリと家でじれまくっていても仕方ないので、野暮用を済ませがてら高円寺までテクり、古本屋さんを覗いて行く。「大石書店」(2010/03/08参照)では店頭ワゴンに講談社の絵本シリーズが出ていたので、何かあるかなと探ってみると、おっ!「ドリトル先生アフリカ行き/絵・矢車涼 文・土家由岐雄」が出て来たので、喜んで百円で購入する。ちょっとバタ臭いブタ鼻のドリトル先生だが、これはこれで人間臭くて味わい深い。あぁ、良い古本を安値で買えば、モヤモヤや杞憂が見事に霧散して行く。何という不可思議な精神安定剤か…そんなことを考えながら『庚申通り』を北へ進み、「DORAMA高円寺庚申通り店」では、朝日新聞社「村上朝日堂の逆襲/村上春樹・安西水丸」を110円で購入。何故か外国人客が店内ではしゃいでいる「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)では、白川書院「聞書アラカン一代 鞍馬天狗のおじさんは/嵐寛寿郎+竹中労」を200円で購入する。そんな風に古本を買って過ごし、気分よく家に戻っても、仕事関連は相変わらず何の音沙汰もなし。仕方ないので押入れをちょっと掘り返して、一体何冊持っているのかと思ってしまう、野呂邦暢「海辺の広い庭」を見つけたりして、瞬間楽しむ。それに飽きたら、いよいよ後二日に迫った熊本行きのために、機中&車中読書のために持って行く本を選ぼうと大いに悩む。…ううぅ〜ん、そうだ!ここはタイちゃん(殿山泰司)の顰に倣い、旅先でもフハフハとミステリを読むことにしよう…となると、ポケミス辺りが最適か。そう決めて、何冊かのペーパーバック本を古本の山の中から掘り出す。よし、田中小実昌訳の「ゆがめられた昨日/エド・レイシイ」に決めた!まぁ、旅行中に読了出来るかは分からないし、旅先では何冊の古本を買ってしまうか不明だが、この本を中心にして楽しんで行くことにしよう…などとしていても、結局連絡はひとつも来ない…こりゃぁいったいどうなってるんだ…。
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余談をひとつ。昨日から群馬県沼田の古本屋さん「レン太くん」(2013/02/10参照)の検索が急上昇している。不審に思って調べてみると、なんと14日に店内で殺人事件が発生したらしい。うひゃぁ、古本屋殺人事件…一日も早く真相が解明され、犯人が捕まることを、心の底から願うばかりである。
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2019年10月14日

10/14古本に温められる。

何だか週末の台風とつながっているような、雨降りの月曜日。突然の秋の寒さに震えながら、午後に南荻窪に流れ着く。早く家に帰って暖をとりたいのはやまやまだが、やはり古本は買って帰らねばなるまい。というわけで駅方面にピタピタと向かい、均一台にブルーシートを掛けた雨仕様の「竹陽書房」(2008/08/23参照)に立ち寄る。そのブルーシートを捲り、七十年代のスヌーピー雑誌を二冊抜き取り、暖かな店内に滑り込む。壁棚&通路棚をゆっくり何も見逃さぬよう落ち着いて見て行くと、すぐに購入候補本が何冊もリストアップされる。だが、左側通路の奥に達した時に、壁棚上段にちょっと古い本が少し並んでいるのが目に留まる…古本オーラが放たれている…と勝手に感じ取り、その中の深海のような濃紺革装釘の本を抜き出す。おっ、第一書房「ポオル・フオル詩抄/堀口大學譯」か。
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何と可愛らしく手に馴染む美しい本なのか。そう感心しながらページを開くと、うぎゃっ!扉の前の遊び紙に、堀口大学の墨書署名が入っているじゃないかっ!
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函はないが、これは何が何でも買わねばならぬ!と慌てて後見返しの値段を確認すると、これが奇跡の800円。先ほどのツル・コミック社「SNOOPY OCTOBER NOVEMBER」とともに計1000円で購入する。すると帳場の奥さまに「表の本、シートで塞いじゃってて、すみません。今日は雨がね…」と丁寧に言われるが、すでに大物を手に入れた私は、今や何を言われてもえびす顔なのである。そんな風に、お店と古本ですっかり温まり、どうにか阿佐ヶ谷に帰り着くと、「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)店頭棚の雨除けビニールシート越しに、気になる少女漫画を見出してしまう。集英社りぼんマスコットコミックス「おじゃまさんリュリュ/大矢ちき」じゃないか。カバーが少し傷んでいるが、110円で大矢ちきが読めるのなら安いものだ。クリップを外してビニールシートを捲って、横合いから手を伸ばして本を取り出し、店内で今日はバイトさんが店番中のレジにて購入する。
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2019年10月12日

10/12和田誠についてちょっと考える。

巨大台風により、一日中家に雪隠詰めになることが決定しているので、当然古本屋さんには行くことが出来ない(臨時休業のお店も多い)。だから思う存分読書でもして過ごすつもりなのだが、昨日、偉大なイラストレーター・和田誠が天に召されてしまったので、勝手にその莫大な仕事の恩恵を浴び続けた者として、少し書き付けておくことにする。和田誠は、あらゆる形で常に身近に存在していた。一番大きな形はイラストレーターとしてであるが、その他にも文筆家として(「銀座界隈ドキドキの日々」は素晴らしい半自伝的作品。だが七十年代にライバルとも言えるデザイナーやイラストレーターやアーティストに自ら行ったインタビューをまとめた「デザイン街路図」が白眉であろうか)、映画監督として(私にとってのベストを挙げるとしたら、初々しく尖り映画好きとして力瘤の入りまくっている『麻雀放浪記』。折りに触れて何度か観て、最終的に好きになった)、デザイナーとして(水色と白抜き文字が鮮烈な煙草『ハイライト』のパッケージは永遠の名作である。あっ!そう言えば代々木上原の古本屋さん「ロスパぺロテス」(2008/07/14参照)の看板犬をモチーフにしたロゴは、和田誠のデザインであった)、装幀家として(自ら描くイラストとともに、『和田フォント』と言えるような独特の文字で描くタイトルは、秩序あるフリーハンドで作り上げられた、静かで穏やかな小宇宙である。余談になるが、映画『蒲田行進曲』を観ていると、ラストのメタ的展開を見せる大団円時に掲げられる『蒲田行進曲』のパネル文字を見る度に「あっ!和田誠の字だ!」と愚かにも喜んでしまうのだ)、作曲家として、活躍し続け作品を生み出していたのだから、当然のことである。作家性を大量の仕事で突き詰め過ぎ、もはや“和田誠”という職人の域に達していたかのようで、その結果獲得した多くの人たちが見知る、マンネリとは異なる安心感とも言えるような普遍性を思うと、何だか恐ろしくなって来る。そんなことを考えながら、身の回りを見てみると、私が持っている和田誠の作品は、児童文学や絵本が圧倒的に多い事が分かる。目に付いた本を手近に引き寄せてみると、「ぼくのおじさん」「よわむしおばけ」「しのはきょろきょろ」「このえほん」…前二作は北杜夫、後二作は谷川俊太郎とのコンビで生み出された作品である。
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どれも七十年代のもので、すでに現在の和田誠と変わらぬタッチとクオリティが展開されているのがまた恐ろしい。あ、この土屋耕一の文庫本「軽い機敏な仔猫何匹いるか」も装幀が和田誠か…とたちまち手元に積み上がって行く。とここで、脳内に何か引っ掛かる言葉が、淀んだ記憶の底の方から浮かび上がって来た…それは“アーリー和田誠”…………そうか、あれがあった!と児童文学ゾーンから、さらなる一冊の裸本を引き出す。理論社「ノコ星ノコくん/寺村輝夫・作 和田誠・絵」である(2017/10/26参照)。1965年刊のSF風物語で、その挿絵が、和田誠のイラストでありながら、ちょっとスヌーピーのシュルツ風であったり、レオ・レオーニ的構成であったりと、あまり見たことのないプリティーな感じなのである。1965年と言えば、和田はまだ独立しておらず、ライト・パブリシティに勤めている時代。グラフィックデザイナーとしての自分が、恐らく活動の中心であったはずである。これが私の持っている、一番古い和田誠の作品であることは間違いない。これからも、大事に愛でて行くことにしよう。
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こんな風にして、これからもこの世界には、和田誠の何かの作品が、色々な形で、長く普く存在し続けるのだろう。巨人は旅立ったが、彼の手から生まれた線は、生き生きと残っていくのだ…。外の風雨が段々と激しくなって来た。そろそろ読書に没頭しよう。まずは、「ノコ星ノコくん」でも、挿絵を楽しみながらもう一度読むことにするか。
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2019年10月11日

10/11台風が来る前に横田順彌追悼展を観に行く。

巨大台風接近に伴い、段々雲行きが怪しくなって来た、十月の金曜日の午前九時。神保町パトロールを兼ね、「東京古書会館2F情報コーナー」で今日からスタートする、『横田順彌・ヨコジュンのびっくりハウス 横田順彌追悼展』を観に行くことにする。新宿まではすし詰めの中央線に乗り、途中四ツ谷駅で総武線に乗り換え、水道橋駅に午前九時四十九分着。少し雨粒の落ちる『白山通り』を南へ歩いて行く。銀杏が白く踏み潰された歩道をさらに踏み締め、テクリテクリ。今のところ古本は買えていない…『靖国通り』に入る。「明倫館書店」(2012/04/04参照)は、珍しく店頭ワゴンがスカスカな光景を見せている。どうやらこれからドカドカと補充するようだ。結局「田村書店」(2010/12/21参照)店頭台に早くも行き着いてしまう。まだあまり人が手を付けていないようだ。その上人の気配もない…で、じっくりと見る。日本文学が多い…そう感じながら、薄手の詩集を一冊抜き出す。大正十五年刊の新潮社「情艶詩集/佐藤惣之助」である。背の金文字もピカピカで美しく、表紙の青赤の波模様もバタ臭く鮮烈である。中の数編に目を通すと、選ばれた言葉たちが、美しく尖りながら、都会の中を跳梁跋扈している。これは俺の求めていた佐藤惣之助だ!と即座に確信し、1200円で購入する。続いて「慶文堂書店」(2012/01/14参照)に立ち寄ると、端っこのワゴンに明治&大正の雑誌がちょっと放り出されていた。大正十一年刊の趣味の雑誌、土の鈴會「土の鈴 第十二輯(地蔵號)」を手に取る。文字通り“地蔵”を特集しており、表紙は地蔵の胸掛を再現した凝った仕様。その上カラー口絵があり、絵葉書が挟み込まれたり、折り込み図解があったりと、ただならぬ編集者の意気込みを感じながら目次に目を通すと、おぉぉぉっ!何と南方熊楠が寄稿しているではないか!良く見たら佐々木喜善も!と大喜びで300円で購入する。
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後は「東京古書会館」(2010/03/10参照)に一直線。二階への階段をカタコト上がると、受付には『日本古典SF研究會』会長の北原尚彦氏と会員の一人である「盛林堂書房」小野氏が座っており、にこやかに浅田飴を渡してくれた。横田氏の名駄洒落フレーズ『朝だ。雨だがふっている。朝だ雨だ。』に因む、株式会社浅田飴の粋な計らいである。さらに受付脇の長テーブルには、まるで書店のように横田氏の著作が山と積み上げられている。遺族からご好意で、一冊好きなものをいただけるとのこと。うむむ、こりゃスゴい(飴も本もなくなり次第終了)。そして展示もスゴいことになっている。ハチャハチャSF作家、古典SF研究家、押川春浪&天狗倶楽部研究家、SFファン、落語&野球ファンなど、様々な方角からの濃密な展示で、横田順彌という偉人を炙り出している。「宇宙塵」がぁ!「冒険世界」がぁ!天狗倶楽部の資料がぁ!「超革命的中学生集団」平井和正識語献呈署名本が泣ける…などと一渡り眺めたところで、北原氏に中央テーブルに置かれたスケッチブックに横田氏へのメッセージを書くよう促される。まだ誰も書いていないので、火付け役に任命されたようである。もにゃもにゃとどうにか書き付け、本はピラールプレスの「近代日本奇想小説史 入門編」をいただくことにする。さらに小野氏からは日本古典SF研究會「未来趣味 増刊 横田順彌追悼號」(ぶ、分厚い!盛林堂の店頭&通販サイトで発売中)をいただく。この展示は10/19(土)まで。そのまま地下の会館展に向かい、しゃがんで古書の棚を眺めていると、いつの間にかついさっきまで二階受付に座っていたはずの北原氏に、後を取られてしまっていた!どうやらというか当然というか、早く見に来たくてしょうがなかったらしい。「昼から小野さんが入札があるんで、今のうちに、ね…」。たちまち本を一冊二冊と抜き取って、奥の古本修羅ゴミに紛れて行った…。こちらもじっくりと棚を見て回るが、実は地上で買った佐藤惣之助と熊楠論文掲載の冊子で大いに満足してしまっているので、あまり古本心ががっつかないのだ。結局、宝文館「現代詩の実験」に北園克衛の論考が掲載されていたので、これを200円で購入し、地上へと帰還する。
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2019年10月10日

10/10つながる古本。

段々と空が曇り始めた午後に吉祥寺に流れ着いたので、古本屋さんを伝いながら駅へと向かう。まずは「バサラブックス」(2015/03/28参照)で角川書店「甦る「幻影城」?」を300円で購入し、最終的にいつもの如く「よみた屋」(2014/08/29参照)にたどり着く。おっ、早速面白い本発見!毎日新聞社「社会の窓/えのきどいちろう」は1990年に刊行された『サンデー毎日』連載のエッセイをまとめたもの。アーリー・えのきどいちろうな単行本である。本文の挿絵は、これもアーリーなナンシー関の消しゴム版画。こういう本は、手に入れようとすると、意外に苦労するんだよな。というわけで迷わず確保すると、続いて表紙の取れたカバーナシの本が目に留まる。朝日新聞社「ロンドンー東京 五万キロ 国産車ドライブ記/辻豊・土橋一」は朝日新聞社の記者とカメラマンがトヨペットに乗り込み、特派員としてロンドンから東京までを旅する旅行記である。実はこの旅行記、先日同じ吉祥寺の「一日」(2017/08/11参照)で掘り出した、「東京―パリ バイク無銭旅行」(2019/09/04参照)とリンクしているのだ。
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同じ昭和三十一年に、片や東京からバイクでパリを目指し、片やロンドンからトヨペットで東京を目指し、それぞれの道をひた走る、そして偶然にも、無銭旅行のバイク乗り兄弟と、国産車で東を目指す特派員記者&カメラマンは、トルコのホテルで偶然にもその旅路を交錯させていたのである。この出会いは、それぞれの単行本のトルコ国の項目に、ちゃんと記されているのだ。おぉ、六十年前の無謀な旅路の交錯が、現代の吉祥寺で偶然つながったのである。さらに続いて偕成社「雨の動物園 私の博物誌/舟崎克彦」を手にする。作者の子供時代〜青春時代を自然や動植物を核に描く随筆集であるが、これは完全に朝日新聞社「わたしの博物誌/串田孫一」へのリスペクト単行本ではないか。現物を手にして初めて感じ取れる確信である。解説は矢川澄子。と言うわけで以上の三冊を計330円で購入し、ニコニコと帰宅する。
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左が昭和三十八年刊の「わたしの博物誌」。装幀や挿絵は辻まことである。

さて、お知らせです。
1. そろそろ発売の「本の雑誌 ナス天にらめっこ号」の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、阿佐ヶ谷に見事復活した「ネオ書房」を早速取材。復活した途端にお店にハマってしまった顛末が描かれていますので、皆様もこれを読んで、どうか「ネオ書房」に向かって下さい!

2. そしていよいよついに、後一週間後となりました。まだ熊本に行くなんて実感がありませんが、一週間後には九州の大地に立っていることでしょう。よろしくお願いいたします!
■オカタケ&古ツアの古本屋を語り尽くす夜 in 熊本
■10月17日(木)19時より
■くまもと県民交流館パレア10階 第7会議室 熊本
市中央区手取本町8-9
■入場無料・申し込不要
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2019年10月08日

10/8十月の盛林堂・イレギュラーズ

朝から一仕事をテキパキ片付けて、午前十時半に外出。涼しいんだか暑いんだか分からぬ街を進み、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ。今日は2019/09/24の続きの、盛林堂・イレギュラーズとしての任務遂行日なのである。店頭&店内を眺めていると、店前にレンタカーの白いワンボックスが滑り込んで来た。盛林堂号に代わり、古本をよりたくさん運んでくれる強力な助っ人である。いつものように店主・小野氏がハンドルを握り、午前十一時過ぎに千葉県某所に向けて出発。前回のような首都高渋滞地獄を避けるために、素早く行動し、素早く帰還しようという目論見なのである。早速そんな作戦が功を奏し、午後一時には現場に到着する。依頼主と二週間ぶりの挨拶を済ませたら、すぐさま作業に取りかかり、小野氏は残りの本の結束に集中し、私は通路奥に溜めていた本束や新しく出来上がる本束を、まずは書庫の入口にプールし、その後台所や直角に曲がる廊下を経由して、運び出しやすいように玄関に本束を積み上げて行く作業を進めて行く。動線の確保が難しいのだが、そこは上手く呼吸を合わせ、お互いの作業を邪魔せぬよう黙々と仕事する。午後三時にはスムーズにそれらの作業が終了し、およそ七千冊の本をドシドシと荷台に積み上げて行く。もう少し余裕があるかと思ったら、あっという間に上部を残して満杯に…やはり立派な書庫を持っている人の本の量は凄まじいものがある。棚に入っている時と、まったく物量としての規模が合わないのが、本という物体の不思議なところである。
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猛烈に重い本たちと闘ったので、身体の各所に乳酸を溜めながら、午後四時には現場を無事に離れる。渋滞に巻込まれぬことを祈りながら、早くも首都高に入ると、これが奇跡のように車が流れており、首都“高速”道路の名に恥じぬ、スピードが出せるスムーズさなのである。おかげで今回はそれほどバカ話に興じることなく、何と一時間弱で西荻窪着。倉庫に最後の力を発揮して、古本をドカドカと下ろしまくり、午後六時前に任務を終了する。ふぅ、お疲れさまでした。レンタカーを返し、「盛林堂書房」に向かうと、そこでは二冊の今日の作業を労うご褒美本が待ってくれていた。一冊はちょっと背が危うくてボロいが、大正二年刊の磯部甲陽堂「少年軍事探偵/三津木春影」である。ふぉぅ!三津木春影が我が手に!序文は押川春浪で、予備陸軍少尉と紅顔の中學生と海軍大佐の令嬢が、東京に潜む間諜團と横濱に空中に雪中高田に横須賀に北京にと、縦横無尽に活躍するお話らしい。うひょぅ、面白そう。早く読みたいっ!そしてもう一冊は、盛林堂ミステリアス文庫の新刊、ショートショート作家・高井信氏の単行本未収録作品集「見知らぬ他人」である(しかしこの本は、ショートショート集ではなく短篇集という意外な展開)。心の意表を突くような物語たちが並んでいるが、巻末に並ぶ解説者たちの名も意表を突いて来る。井上雅彦、江坂遊、草上仁…なんだ、この無闇に物凄い豪華さは!また、YOUCHAN氏が手掛けるカバーデザインが、イラスト含めどうにもコケティッシュで、一デザイナーとして畏れ多くも大いに嫉妬する。
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2019年10月03日

10/3熊本行まで二週間!

昨日は午後二時過ぎに東小金井の南に流れ着いたので、久々の「尾花屋」(2017/06/15参照)を楽しもうと新小金井に向かうと、シャッター半開きの刑…これは、ちょっと待っていたくらいでは開かないようだ。スパッと諦め、進路を東に採る。テクテクテクテク武蔵境まで歩いて、「プリシアター・ポストシアター」(2015/01/03参照)へ。やった、開いている。道路側の百均ワゴンに近付くと、そのほとんどがペーパバック。
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良く見ると、007やクリスティやフリーマンが混ざっているので、表紙を見ているだけでちょっと楽しい。その中に「ドゥリトル先生物語」と言う英和対訳本も含まれていたので取り出してみると、おぉ!やはり「ドリトル先生」ではないか。これはぜひ買っておこうと抱え込んで店内へ。店主さんに「おや、久しぶり」と笑顔で迎えられる。消費税が上がったので、打刻に戸惑うレジ操作で精算していただく。南雲堂不死鳥文庫「ドゥリトル先生物語/ロフティング・成田成寿訳」河出文庫「澁澤龍彦初期小説集」大日本図書「よるのねこ/ダーロフ・イプカー」を計575円で購入する。家に戻った後は即座に再び外出し、「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に不要本を売りに行く。「もう単行本くらいは持てるようになりましたよ」と骨折からの回復ぶりを店主・天野氏に嬉しそうにアピールされ(もうすぐ全快。良かった!)、消費税の話や今まで悩まされて来た大量の一円玉の話などなど。そして本日は吉祥寺に午後二時に流れ着いたので、いつものように「よみた屋」(2014/08/29参照)へフラリ。灰谷健次郎がたくさん出されている店頭棚から、河出書房「ブラキストン線を越えて/森澤昌輝」(カバーナシ)のら書店「うみぼうやとうみぼうず/山下明生作 長新太絵」岩谷書店「宝石 昭和三十一年二月号」を選び、計330円で購入する。「宝石」の表2広告には、東映映画の「拳銃対拳銃」が載っている。『地獄の街角に佇む 仮面のギャング ウェスタンの秀!!』『妖艶・赤い服の女!抱擁のかげに光る復讐の眠!』などとB級感漂う胡散臭いキャッチが踊っているのだが、あれ!原作は山田風太郎&高木彬光「悪魔の群」(と広告にはあるが「悪霊の群」が正しいはず)なのか。…途端に無性に観たくなって来たぞ!
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いよいよ熊本行まで後二週間。みなさま、10/17(木)の夜は、古本屋の話ばかりのトークショーを、どうにかして聴きに来て下さい!よろしくお願いいたします!
■オカタケ&古ツアの古本屋を語り尽くす夜 in 熊本
■10月17日(木)19時より
■くまもと県民交流館パレア10階 第7会議室 熊本市中央区手取本町8-9
■入場無料・申し込不要
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