2021年03月01日

3/1結局下北沢で古本を買う。

昨晩、無事に分厚い岩谷書店「名作捕物小説集/捕物作家倶楽部編」を読了する。これで心置きなく北原直彦氏とトレード出来る…と言いたいところだが、実は心残りがあるのだ。それは、巻頭モノクログラビアに掲載された、『捕物祭り』の舞台で、遠山の金さんに扮した江戸川亂歩の写真!もはや“金さん”と言うよりは、歌川豊国描く初代・歌川広重の肖像画のようであるが、このかなりやる気に満ちた大亂歩の表情に、なんとも言えないおかし味が漂っているのだ……ええええぃ、だがさらばだ、遠山の金さん亂歩よ!
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ちなみに隣りの女形姿は志村立美である…。

そして本日は明大前と下高井戸に挟まれた松原に午後に流れ着いたので、「七月堂古書部」(2018/01/13参照)はやっているかな?と、トボトボと近づいて行くと、入口にはシャッターが下ろされ、その脇には貼紙が…しばらくの間、月火水が定休日か…仕方なく気持ちを切り換え、東松原に向かう。踏切を渡って「古書瀧堂」(2014/05/01参照)に接近すると、そうか、今日は定休日か…。魂が抜かれたようになり、東松原駅の島式ホームにボ〜ッと立ち尽くす。もう面倒くさいからこのまま帰ってしまおうか…そうだ。次の電車が早く来た方に乗ることにしよう。吉祥寺行きが来たら帰る。渋谷行きが来たら下北沢に出よう。そう決めた途端に、渋谷行きがホームに滑り込んで来た。と言うわけで、下北沢「ほん吉」(2008/06/01参照)の店頭に嬉しく立っているわけである。そんな弾む古本心に合わせてたちまち三冊を掴み、手指を消毒して店内へ進む。勢いに乗って中でも一冊。福武書店「清貧の実践/平成ビンボーの会編」小山書店「李陵/中島敦」大陸書房「世界の秘話/陶山密」福永書店「内地雑居 未来之夢 附京わらんべ/春のやおぼろ戯」を計1440円で購入する。大正十五年刊の「内地雑居未来之夢」は、坪内逍遥描く近似値の未来世界の日常である。坪内曰く『能ベル(novel)といはむよりは。寧ろ亞レゴリイ(allegory寓意小説)ともいふべき者なり。』とのこと。そして実はこのハードカバーのボール紙表紙本、明治の本を『明治文化研究會』なる団体が復刻したものなのである。明治の本を大正時代に復刻…昔から熱い魂をゴウゴウ燃やすマニアの方々が存在したんですねぇ…。
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2021年02月27日

2/27今日も古本を買いながら帰る。

午後三時前に久我山の北に流れ着いたので、思い切って荻窪まで進み、今日も古本屋さんを巡りながら帰ることにする。ウラウラと三十分ほど歩き、最初に訪れたのは「竹陽書房」(2008/08/23参照)。店頭台に六十年代の古い絵本が出ているが、どれも潮出版社の宗教系絵本…若菜珪が絵を描いているのが一冊あるが…まぁこれはいいか…とスルーして店内へ。中公文庫「七つの街道/井伏鱒二」を200円で購入する。次はビル街裏の道を巧みに縫い、見事「竹中書店」(2009/01/23参照)の前に出る。番町書房「ウスバカ談義/梅崎春生」を200円で購入する。そして最後は「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)へ。アップリンク「天井桟敷新聞1号ー26号 全縮刷版」(VHSビデオ ヴィデオ・アンソロジー「演劇実験室「天井桟敷」」の付録らしい)をまずは確保しつつ、店内道路側フロアに置かれている、ミステリ&SF中心文庫棚に没入する。すると文庫本と文庫本の間に挟まった、水色の中綴じ小冊子が目に留まる。指をそっとかけて引き出してみると、東京創元社「東京創元社 創立50周年」という2004年に出された全32ページの記念冊子であった。『東京創元社関連年譜』『記念鼎談 東京創元社の50年 紀田順一郎×北村薫×戸川安宣』『東京創元社主催 文学新人賞 受賞作一覧』『作家・評論家が選んだそれぞれの一冊』を収録。先日の松坂健氏邸書庫で、こういう細かな紙物の重要さを思い知らされていたので、即座に先ほどのビデオ付録とともに計770円で購入する。
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ところで、国立の老舗洋書古書店「銀杏書房」(2011/11/14参照)が二月一杯で閉店してしまうというので、明日連載の取材を行いつつ訪ねようと思っていたのだが、コメントタレコミによると、2/28を待たずに本日で閉店してしまうらしいとのこと。くわぁ、やってしまった…。そう言えば日曜日はもともと定休日だもんなぁ…でもせっかくだから、一応見に行ってみるか…。
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2021年02月26日

2/26スパスパ古本を買いながら帰る。

薄曇りの空の下、次第に寒さを増す午後に吉祥寺の北に流れ着く。というわけで、帰路をたどりつつ、ゆるゆる古本を買って行くことにしよう。まずは「一日」(2017/08/11参照)へ。110均〜330均ガレージに忍び入り、児童文学の評論&研究本関連が新たに品出しされているのを目の隅に捉え、研究社「わたしのなかの童話随想集」を330円で購入する。植草甚一の随想は、子供の時に『駿河台下交差点』近くにあった「中西屋」で初めて児童文学の原書を買う話から、古本屋や古書即売会で出会う古本を媒介とした奇縁に、いつものように軽やかに、話がフワリフワリと流れて行く。次は「バサラブックス」(2015/03/28参照)。店頭百均棚からサンリオギフト文庫「愛のメルヘン/立原えりか」中央公論社「東光金蘭帖/今東光」を掴んでから、小さく歪な三角形の奥の過度に入り込み、牧神社「こわい話・気味のわるい話 第三輯/平井呈一訳編」が千円ポッキリと少しお安めだったのでこれも掴み、計1200円で購入する。「こわい話・気味のわるい話 第三輯」は、目次の後に刷られた『『こわい話・気味のわるい話』は平井呈一氏白玉楼中の人となられたため、本巻を以て終巻いたします』の文字が切ない。平井は1976年5月19日に逝去。この本は同年の6月25日初版発行となっている。そして次は駅前を通過して「よみた屋」(2014/08/29参照)へ。河出書房新社「盛り場のフォークロア/神崎宣武」を110円で購入し、駅に立ち帰って電車に乗り、阿佐ヶ谷に帰り着く。そして最後に「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)へ。店頭110均棚の上で、「高丘親王航海記」と仲が良さそうに肩を並べていた幻想文学出版局「澁澤龍彦回想と批評」を見つけ、澁澤邸で撮影された篠山紀信の写真をコラージュした野中ユリの表紙にたちまち魅了され、110円で購入する。
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2021年02月25日

2/25俺の「鬼の言葉」!

午前十一時半の西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)である。白水社「バイエルン犯科帳/アンゼルム・フォイエルバッハ」を100円で購入し、ちょっと腰を傷めてしまった店主・小野氏とともに盛林堂号が停めてある駐車場へと向かう。盛林堂・イレギュラーズ…というほどの仕事ではない手伝いと、デザイナーとしての打ち合わせのため、東京東部にミステリ評論家・松坂健氏の書庫(2019/03/08参照)を訪ねるのである。渋滞に捕まることなく都心を通過し、非常にスムーズに現場着。ダンボール四箱を書庫まで運び上げ、三時間ほど滞在する。処分のダブり本を受け取ったり、ある本の打ち合わせをしたり、当然のごとくなんでもある、欲し過ぎる本や素晴らしいミステリ系紙物が蒐集された書庫をウハウハと楽しむ。午後五時前には、またも渋滞には引っ掛からず無事に帰り着き、恙無く任務を完了する。そして!帳場にて平身低頭してお願いしておいた、貴重なカバーカラーコピーを拝受する。春秋社「感想集 鬼の言葉/江戸川亂歩」の初版アンカット版を、新たに裁断した後の再出荷分に巻かれたと思しき、春秋社探偵小説本の異装共通パターンカバーである。先日見せてもらった瞬間に、まさかこんなものが存在していたのかっ!と激しく衝撃を受けた、驚天動地のカバーなのである。優しく家に持ち帰り、そっと持っていた「鬼の言葉」に巻き付ける(幸いこの「鬼の言葉」も裁断版であった)。ピッタリだ。やった!俺の「鬼の言葉」よ、お前はこの瞬間、かりそめにも美しく装われたのだ!と、小さいながらも俺の心にも巣食っている“探偵小説の鬼”とともに小躍りする。はぁ、幸せだ。あ、本体定價は【金壹圓】なのに、カバーでは【特價・.80(八十銭)】になっている(外地定價は鮮・滿・台が.88(八十八銭)となっている)。値下げして、売り出したのだな…。
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そして昨日記事にした、岩谷書店「名作捕物小説集(昭和二十八年度年鑑)/捕物作家倶楽部編」に収録されたホームズ翻案作品『謎三味線/佐々木壮太郎』について、ホームズ研究家の北原尚彦氏に報告すると、『うわあ。それは知りませんでした』との嬉しい言葉が返って来た。というわけで未知の北原案件と認定され、読了後に久々のトレードで、研究資料として氏の元に輿入れする予定。その様子はまた改めて。
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2021年02月23日

2/23今日は祝日であったか…。

午後に古本を一抱え携えて西荻窪に向かい、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)「フォニャルフ」棚に真面目に補充する。このところ棚の動きがどうも鈍く、気を揉んでいるのだが、まぁ地道に清く正しく棚に空気を入れ続けることにしよう。店主・小野氏とは帳場脇で色々打ち合わせしつつ、春秋社「鬼の言葉/江戸川乱歩」の異装カバー付きを見せられ、目眩を起こす。本の角に欠けはあるが、読むのに支障のない、ちょっと安値の創元推理文庫「三つの道/ロス・マクドナルド」(初版)を二千円で購入する。いいカバーだねぇ〜。お店を辞し、冷たい風が吹き始めた西荻窪を縦に突破し、『青梅街道』まで出て「古書西荻モンガ堂」(2012/09/15参照)へ。おぉ!店内に二人も先客がいて、その二人とも本を買って行った!「モンガ堂」ばんざい!と他人事ながら喜び、店内をウロウロ。帳場近くでこちらの出現にようやく気付いたモンガさんと、色々古本話古本屋話。そして「やまがら文庫」さんより届いた委託販売本が、帳場前の棚上平台にドバッと並べられれ、安値のつげ義春や田中小実昌が唸りを上げている。学研少年少女・新しい世界の文学9「オルリー空港22時30分/ポール=ベルナ作」(昭和43年初版箱入り。「首なし馬」の作者によるフランスの児童推理小説。挿絵は長尾みのる)朝日新聞社「ソンブレロは風まかせ メキシコ旅日記/長尾みのる」墨水書房「豫言大東亜戦争/高田知一郎」(昭和十七年刊。機械箱入り。明治四十二年に報知新聞に連載された、独逸人の著書を翻案した架空戦記である)の三冊を、いつものように少し安くしてもらい、計1100円で購入する。モンガさん、サンキュー!その後は二駅分を家まで歩いてテクテク戻り、荷造りした古本箱を大阪に送り出そうと郵便局へ……噫々、そうか。今日は祝日であったのか…。
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2021年02月22日

2/22怪猫(かいびょう)。

午前のうちから春めいた気持ちの良い戸外に飛び出し、「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)を観察す。店内BGMの軽快なフュージョンに乗せられるようにして、わりとじっくり棚を見て回る。途中、古本サンタのベレー帽を粋に被ったイソガイ氏に声尾をかけられたりしながら、およそ四十分ほど滞店。めるくまーる社「パタゴニア/ブルース・チャトウィン」JICC出版局「ザ・インタビュー'85 宝島ロング・インタビュー集」日活映画シナリオ「帝銀事件 死刑囚/脚本・監督 熊井啓」を計1100円で購入し、一旦帰宅する。そして午後により麗らかな陽気に唆されて、高円寺へテクリテクリ。「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)で、朝日ソノラマ「破嵐万丈 薔薇戦争/富野由悠季」みき書房「占星王をぶっとばせ!/梶尾真治」日本公論社「趣味の科學/橋爪檳榔子」を計700円で購入する。「趣味の科學」は昭和十二年刊の、当時の最先端科学を通俗的な隨筆に落とし込んで紹介する、わりとライトな科学啓蒙書。出版元の日本公論社は探偵小説を多く出しており、巻末の自社広には「スタイルズの怪事件」「沈黙の環」「マギル卿最後の旅」「文化村の殺人」「絹靴下殺人事件」「霧中殺人事件」「變装の家」「消ゆる女」「アリ・ババの呪文」などのタイトルが並んでいる。そして後見返しには古い購入店のラベルが貼付けられているのだが、これが何とも軽やかに素敵な代物なのであった。
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さて、今日は2月22日で、ニャン・ニャン・ニャンで“猫の日”とのことである。何か面白い猫の本でも紹介するか…と考えて引っ張り出して来たのは、ポプラ社「怪猫屋敷」(カバーナシ)東京ライフ社「亡霊怪猫屋敷」(カバー帯カラーコピー)ともに橘外男の著作である。驚くことに、片や児童用、片や大人用なのに、内容はまったく同じ小説なのであります。ひどいや、橘センセイ……。
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左が「亡霊怪猫屋敷」で、右は「怪猫屋敷」のモノクロ扉。
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2021年02月21日

2/21『ウォットサン』と『和登サン』

昨日は夕方四時に世田谷の奥地・深沢に流れ着いたので、暖かなのを幸いとして辛抱強く北東に歩き続け、『駒沢公園』の空が広い大階段前を通過し、どうにか明るいうちに三宿の「江口書店」(2010/03/29参照)に到達する。だが店内で古書漁りに時間を忘れていると、あっという間に外は真っ暗になってしまった…。結局店内のそこかしこに積み上がる、戦前戦中の岩波文庫と格闘し、「シャーロック・ホームズの冒險」「シャーロック・ホームズの囘想」「シャーロック・ホームズの歸還」すべてコナン・ドイル作 菊池武一譯を見つけ出し、残念ながら赤帯は付いていないが、岩波文庫ホームズ初期出版が三冊一気に揃ったぞ!と仄かに喜び、相模書房「家政のあり方/今和次郎」とともに計600円で購入する。
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「冒險」は昭和十六年の七刷で「囘想」は昭和十六年の五刷だが、「歸還」は昭和十三年の初版。戦前戦中出版なので、旧字の混ざるタイトル含め、右書きになっております。そして本文の『ワトソン君』の表記は、『ウォットサン君』になっております。手塚治虫の名作古代史オカルトSF漫画『三つ目がとおる』の主人公・写楽保介の相棒であり庇護者でもある女子中学生『和登サン』の語感にかなり近いですな。

そして本日は午後イチに吉祥寺の南の牟礼に流れ着いたので、春のような陽気に誘われて集まった人々でごった返す『井の頭公園』を早足で突破し、「よみた屋」(2014/08/29参照)へ。店頭棚からは、研究社「この大陸は種子なのだ アメリカ文明のゆくえ/諏訪優」(『早稲田大学政治経済学部蔵書』印アリ)ツクダオリジナル「Here's the solution Rubik's CUBE」を引っ張り出し、店内では村山書店「抵抗クラブ 青春のカレンダー/飯沢匡」に目を留めて、計550円で購入する。「Here's the solution Rubik's CUBE」は、立体パズル『ルービックキューブ』の基本解き方集で、1981年当時に380円で売られていたもの。この本は第3刷…パズルも売れて解答集も売れて、ツクダオリジナル大もうけ!そして「抵抗クラブ」は昭和三十一年刊の、銀座新橋辺りを舞台にした青春小説らしいが、表紙絵の可愛らしさにクラリと来る。
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古本を携え家に戻ったら、大阪に新たに送る古本の準備をいそいそと始める。
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2021年02月18日

2/18向井潤吉がホームズを!

本日は午後二時半に吉祥寺南に漂着したので、そのまま素直に吉祥寺の古本屋さんを訪れる。まずは『井の頭通り』を伝って「よみた屋」(2014/08/29参照)へ。すると店頭棚に昭和三十年代後半刊の『岩波少年少女文学全集』が数冊並んでいるのが目に留まる。岩波少年文庫から精選した作品を、箱入りハードカバーにアップデートした全30巻の全集である。第3巻「シャーロック・ホウムズの冒険/コナン・ドイル」を手にして箱から引き出し、パラパラと眺めてみる。おぉぉ!口絵や挿絵が、古民家の絵で有名な洋画家・向井潤吉の仕事じゃないか!と驚き喜び確保する。隣りの「海底二万里/ヴェルヌ」も試しに見てみると、こちらも口絵&挿絵が向井潤吉であった。二冊を手にして店内に進み、入口右横の五十均文庫棚を見つめていると、またも目に溜まったのはホームズ本。新潮文庫「シャーロック・ホームズの冒険/コナン・ドイル」は昭和四十四年の三十四刷だが、赤茶色のカバーが見たこともなかった長尾みのるの仕事だったので、これも確保し、計275円で購入する。
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岩波「シャーロック・ホウムズの冒険」には月報的な『岩波少年少女文学全集だよりNo.27』が挟まっており(左下)、福永武彦のホームズ物語
解説『頭脳の体操』や、教師によるホウムズ物語の読書指導や、生徒の読書感想文が掲載されており、大変に興味深い構成になっている。

お店を出たら駅に近づき、「古本センター」(2013/07/01参照)の処分棚から講談社「ロックの子 桑田佳祐インタビュー」太田出版「電波系/根本敬+村崎百郎」を計130円で購入する。そしてさらに「バサラブックス」(2015/03/28参照)の店頭300均箱から婦人之友社 復刻「子供之友」大正13年3月号・大正14年4月号を引っ張り出し、計600円で購入する。そんなこんなで阿佐ヶ谷にようやく帰り着き、喉が渇いたので缶ジュースを購い、顎マスクでクピクピ喉を潤しながら、人気のない裏道をたどっていると、三十メートルほど離れた道を偶然横切る「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)天野氏に見事発見され、遠距離会釈される。
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2021年02月15日

2/15謎の古本屋地図、ひとまずラストスパート!

今日明日は、謎の古本屋地図のラストスパートにすべてを捧げるつもりで、朝から叩き台作りに集中しまくる。窓を叩く雨風に集中力を削がれる事無く、頭とモニターの中とノートの上で百軒以上の古本屋さんを彷徨いまくり、夕方までにどうにか目標としていた地点までたどり着く…ついにぬかるみ地獄の向こうに、固そうな大地が見えて来た!よし、これで後はデータ化するだけだ。
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ノートにはこんな手描きの地図がもう二十ページほど…我ながら常軌を逸した労作であるな。

そうひとまず安心して油断して、幸い雨も上がり太い虹も出ていたので、ちょっと「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に不要&読了古本を売りに行く。ところが店主の天野氏が不在だったので、帳場にいた奥さまに本を預け、夜に再訪することを約束し、ひとまずお店を離れる。ええぃ、外出ついでだ!と冷たい風がゴウゴウと道を駆け抜けるのをものともせず、荻窪まで歩き「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)を覗く。中央奥の児童書ゾーンで、古い箱入り児童文学二冊とカバー装本を一冊手にする。理論社*どうわの本棚「こぶたのブウタ/神沢利子=作・え」学研「ちびくろおじさん/レナート=ランシェル・さく」ポプラ社の創作童話4「トン子ちゃんのアフリカぼうけん/谷真介作・赤坂三好絵」を計990円で購入する。「こぶたのブウタ」は1971年の初版で、表記通りに神沢自身がカバー装画から物語舞台の地図から挿絵から多数の絵を玄人はだしに手掛けた、ちょっと珍しい作品。2006年に復刻されているが、やはりオリジナル版にはそこはかとない良さがある。
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そんな昔の子どもの本を背に抱え、すっかり空気が冷たくなった夜道を阿佐ヶ谷まで引き返し、「古書コンコ堂」で店に戻っていた天野氏と楽しく無駄話し、古本を売った代金を受け取り、古本屋地図の待つ我が家に帰宅する。
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2021年02月13日

2/13『明智探偵事務所』のステッカーが眩しかった。

本日は夕方に上連雀に流れ着いたので、ボチボチ歩きながら古本屋さんを巡る。「水中書店」(2014/01/18参照)では店頭で池田書店 イケダブックス210「クレー射撃・付狩猟/北晴夫」を見つけて血流を早める。初心者でもわかるクレー射撃のガイドだが、こいつはなかなかのレア本なのである。店内では講談社 現代推理小説大系別巻2「ミステリ・ハンドブック/中島河太郎」(別紙の末尾にある『編集部からのお詫び』がさり気なく壮絶。『当巻は執筆編集に手間どり、当初の予定より六年余も遅くなりました……』)を選んで、計600円で購入する。そのまま夕闇迫る中を吉祥寺までトボトボ歩き、「バサラブックス」(2015/03/28参照)の店内へ。すると最奥のミステリ棚に、春陽文庫版「江戸川乱歩名作全集 全7冊」が、セット箱入りでちんまり並んでいるのが目に留まる。箱の表面には『明智探偵事務所 NHK総合テレビ放映』の金ステッカーが貼られている。1巻巻末に書かれた値段を確認すると、激安の800円だったので迷わず購入を決める。
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この「江戸川乱歩名作全集」箱入り、他に全9冊版もあるのだが、やはり1972年放送のNHKドラマ『明智探偵事務所』のステッカーが眩しく、足りない二冊を補って余りあるものがある。

最後に「よみた屋」(2014/08/29参照)にたどり着き、警察関連の資料本が固まって並んだ店頭棚から、その中の一冊、警察庁警務局教養課「制服を着た紳士 警察官の話し方」を110円で購入する。『受付と応対』『巡回連絡』『地理案内』『職務質問』『拾得物の受理』『少年補導』『酔っぱらいの取扱い』『参考人との面接』などなど、ロールプレイングとともに実例も載っており、かなりリアルで楽し気な非売品本である。
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2021年02月12日

2/12クレイジー・八十の少女探偵小説(おそらく)!

午前のうちから荻窪を一回りし、結局開店二十分後の「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)に流れ着く。なんだかお客さんが多いなと感じつつ、店頭で二冊を掴んでから店内へ。先日じっくりモードで見たばかりなので、今日は少し流しめの中速スピードで棚の間をウロウロ。すると中央右奥の絵本棚に、先日記事に書いたばかりの『artback』シリーズの一冊に遭遇する(2021/02/09参照)。CBS・ソニー出版「カラスのリヒャルト/ヘルメ・ハイネ作 北杜夫訳」である。ビニカバはナシだが440円なので、ここで会ったが百年め!と喜んで抱え込む。もしや他にも…と思いつつ、さらに左にスライドしながら絵本棚に目をピカピカ光らせるが、さすがにそう甘くはなかった。軽くため息をついて、立ち上がり腰を伸ばす。すると上段の児童文学ゾーンが自然と視野を占めることになる…その一角に違和感……ほほぅ、カバーはないが、ポプラ社の少女小説「流れ星の歌/西條八十」があるじゃないか。早速手に取って値段を見ると、激安の330円なので、こちらも素早く抱え込む。ニヤつきながらページを捲ってみると、本扉の絵が非常に不穏なシチュエーション…注射器をバックにして怯える少女…な、なんだこれは。これはもしかしたら悲劇と感動の少女小説ではなく、もしや少女探偵小説なのでは…慌てて目次に目を通す。『少年院へ』『ふしぎな手紙』『魔法の家』『三人の悪漢』『なぞの小石』『うごく仏像』『なぞの男』『おそろしいひみつ』『おそろしい注射器』『ねずみ地獄』『かくごしろ!』『闇の中の銃声』…章タイトルの半分以上がこんな調子である。これは完全に、やり過ぎな八十のクレイジーな一面が噴出した、少女探偵小説だ!そう確信し、ハヤカワポケミス「十二人の評決/R・ボストゲート」新潮社「百物語 参/杉浦日向子」とともに計990円で購入する。わぁ〜い、今や読むことの難しい西條八十の少女探偵小説(おそらく)がヒョイッと手に入るなんて、これは読むのがとにかく楽しみである。そそくさと家に戻り、午後はまだまだ続けている謎の古本屋地図作製に根を詰めまくる。
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2021年02月10日

2/10「新しい中学造形3」!

本日は午後三時過ぎに祖師ケ谷大蔵の北の果ての谷に流れ着いてしまったので、坂を上がって駅方面に向かい、開店中の「祖師谷書房」(2009/03/05参照)とご対面する。すぐには中に入らずに、サッシ扉ギリギリに横積みされた文庫本から見て行く。すると左側棚上に、古いがキレイな角川文庫が固まっているのに気付く。ちょっとだけサッシを開けて、文庫に手を伸ばす。昭和三十三年初版の「白鷺/泉鏡花」はカバーを外すと、元パラフィン&緑帯付きの厚着本だったので確保。続いて昭和三十七年初版の「フライパンの歌/水上勉」も掴み出す。先日買った署名入りの「霧と旗」の宇野浩二の序文に、この「フライパンの歌」についての言及があり、気になっていたのだ(水上は昭和二十三年に「フライパンの歌」を出した後、十年余り沈黙するが、突然昭和三十四年に長編推理小説を引っさげて文壇に復活したのである。宇野の序文にも新作が推理小説であることへの驚きが記され、また「フライパンの歌」の十返肇の解説にも『まさか氏が推理作家としてカム・バックしてこようとは夢想だにしなかった』と書かれている)。二冊を手に今度はサッシを大きく引き開けて店内に進む。狭い通路でギラギラと四方に足元に視線を走らせ、最終的に右側通路の美術棚の上部隙間に差し込まれていた、東京書籍株式会社「新しい中学造形3」という文部省検定教科書である、計35ページの薄手のビジュアルブックを手にする。題名通り、中学生のための美術解説書なのだが、『空間構成』『機械製品と手工製品』『近代建築(掲載されている建築が、グロピウス、ライト、コルビュジェ!)』『都市計画』『舞台美術』なども含み、“美術”の懐をガバッと広げているのに感心する。表4にクレジットが載っていたので目を通すと、『編集に携わった人』の中に滝口修造の名があり驚くが、さらに驚いたのは『写真』のクレジットである。カメラマン五人の中に大辻清司と石元泰博が含まれているではないか!大辻清司は商業写真家ながら、滝口とともに前衛集団『実験工房』を立ち上げ、シュールな作風を追求。石元泰博は「シカゴシカゴ」や「桂離宮」の写真集が有名なバウハウスの流れを汲む写真家である…なんと豪勢な教科書。印刷が昭和三十二年で発行が昭和三十三年だから、実験工房華々しく難解に活躍し、石元は桂離宮を撮影している頃…つまりバリバリに尖っている時期なのに、このような教科書に携わっていたとは…。どの写真が二人の作品か特定は難しいが、椅子や工業製品や日用品、モビールや彫塑の写真が、実に怪しい……というわけで計200円で購入する。
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2021年02月09日

2/9 絵本叢書『artback』!

今日は朝から、まだまだ作り続けている古本屋地図の制作に没頭する…ふぅぅぅぅぅ、何処まで続くぬかるみぞ…。午後にちょっとだけ外出し、高円寺へ。「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)店頭棚に、白水社「彼等の昭和 長谷川海太郎・潾二郎・濬・四郎/川崎賢子」を見出して300円で購入する。長谷川四兄弟(長男・海太郎は谷譲次・牧逸馬・林不忘の筆名を使い分けた流行作家。次男・潾二郎は眠る鯵虎猫の絵で有名な洋画家で、幻の探偵小説作家・地味井平造でもある。三男・濬は満州映画協会に勤務したりロシア語通訳として活躍しながら小説を執筆。四男・四郎は作家・翻訳家として活躍)に材を取った、サントリー学芸賞受賞の評論書である。谷譲次が好きで好きでたまらないのに未読…不覚っ!と恥じ入りつつも、良い本と店頭で出会えたことに感謝しながら帰路に着く。

とまぁ、こんな短いご近所古本屋訪問だったので、最近何だか手元に集まって来た絵本叢書について無駄話をひとつ。先日渋谷の「中村書店」(2008/07/24参照)で購入した絵本二冊が、その発端である(2021/01/30参照)。「6人のガールフレンド/萩原朔美・文 石田光於・絵」「都会という名の船/奥村茂雄」は、CBS・ソニー出版の『ARTBACK』というシリーズから出されており、絵本の体裁は採っているが、七十〜八十年代のスノッブで軽薄で、空虚さと透明感に溢れ、カッターナイフのような鋭さを見せるアート作品集である。「6人のガールフレンズ」に愛読者カードが挟み込まれており、『artbackはCBS・ソニーから出版されている新しい絵本です』と欄外に書かれていた。私はこの時代の空気は決して嫌いではないので迷わず購入したのだが、あれ?家にあるあいつらも、同じ絵本叢書ではなかったか?と思い至る。家に帰って確かめてみると、先日岡崎武志氏から譲り受けた「ALONG V・A・C・A・T・I・O・N/大瀧詠一作・永井博絵」と、連載の取材で「井草ワニ園」(2019/01/05参照)で購入した「ヒトニツイテ /五味太郎」が、二冊とも版型は大きく違えど、まさに同じ叢書であった。レコード会社の出版部門が、こんな贅沢な本を出していたなんて、ずいぶん儲かっていたのだなと気づかされる。俄然興味が湧いたので、他にはどんな絵本が出ていたのか調べてみると、大友克洋・和田誠・浅井慎平・寺山修司・谷川俊太郎・大橋歩・矢吹申彦らが手掛けており、また海外作家物を星新一・北杜夫・遠藤周作らが翻訳しているものがあるらしい。この叢書はあまり見かけぬし、ハードルが高そうな物も含まれているが、何処かでハタと出会って、値段と折り合いがつくものから、コツコツ買い集めてみることにして行こう。決意固くと言うわけではなく、何となくダラッとしているが、こういう密やかな目標を胸に秘していると、古本屋さん巡りが、また一層楽しくなるものなのだ。
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2021年02月08日

2/8またもやの署名本と小石清。

午前のうちにサササッと荻窪に向かい、「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)を偵察する。今朝は頭が痛くなるほどの冷徹な寒さを誇っているので、店内ではアルコール消毒した手がずっと氷のように冷たいまま。その手をそすそすと擦り合わせながら、わりとじっくり棚を見て行く。すると本の場所が変わっているところ多々あり、ジャンルで固まり気味のところ少々あり…などと気付く。そして帳場前通路の下段で、昭和三十五年刊の長編推理小説を発見する。新潮社「夜、生きるもの/菊村到」(初版帯付き)である。和田浩治主演の日活映画『俺は死なないぜ』の原作本である。手に取りパラッと捲ると、おぉ!本扉裏に献呈署名が入っているではないか。最近署名本づいてるなぁと思いつつ、献呈相手が絵画コレクターのキャバレー王の福富太郎であることに気付く。ちおみに「夜、生きるもの」は、夜の街を舞台にバンドマンが、父の死因を探る推理スリラーで、長尾みのる装幀のカバーや表紙は、夜の飲屋街に題を採っている。実にキャバレー王に相応しい献呈署名本ではないだろうか!そんな風に喜び、440円で購入する。
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そしていくらか寒さが和らいだ午後、一冊のヤフオク落札本が到着する。揚子江社「詩集・遺書/西村皎三」(函付き)である。ライバルナシの千円にて落札。軍人が書き残した戦争詩が主であるが、いわゆる国威発揚大政翼賛的な無闇矢鱈と勇ましいものではなく、最前線で闘う兵士としてのやるせない心情や、生と死の狭間で獲得する詩情を綴っている、この時代としては珍しいニュアンスの詩集である。だが、私にとってこの本の眼目はそこではないのだ。挿入されている口絵写真が、前衛写真家・小石清によるものだと知ったからなのである。小石は、表紙を亜鉛板にした尖り過ぎで攻め過ぎの写真集「初夏神経」が有名(古書価ン十万円…)。その昔、『神奈川県立近代美術館』の図録「日本の写真1930年代展」で、夜の街の空に浮かびがある大時計の文字盤が悪夢的な『泥酔夢・疲労感』や、連作『初夏神経』を目にして、その現在でも通じる独創性に、いっぺんで虜になってしまったのである。その写真家の作品が、この詩集には七枚収められているのである(その他にも一枚あるのだが、それは何故か映画監督・衣笠貞之助撮影)。口絵写真は、従軍した時に撮影した連作『半世界』と共通の世界観を持っているようだ。う〜む、こんな本が存在していたなんて、今の今まで知らなかった…。
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さて、そろそろ書店に並び始める「本の雑誌 お馬ちゃかぽこ春風号」の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、西荻窪の北の外れにある古本屋さん「古書西荻 モンガ堂」を取り上げております。店主のモンガさんにはいつも優しくしてもらい、私は非道にも本を値切って買ったりしていますが、それにはある理由が…。どうぞ本誌を手にしてその真意を確かめつつ、そのためなのか計り知れませんが、ひとつの大きな罰が当たったようなので、失笑していただければ幸いです。それでもめげずに、モンガさん、また本買いに行きますね!
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2021年02月07日

2/7仙花紙文庫本!

一日をあれこれ忙しく立ち回り過ごしてしまい、最後を見届けたかった「ポラン書房」(2009/05/08参照)にはもう一度行けず終い…ちくしょう!そしてさらば、西武池袋線の雄、「ポラン書房」実店舗よ!ありがとう!などと感謝つつ、すっかり暗くなり、寒い風が吹き始めた下北沢に流れ着いたので、「ほん吉」(2008/06/01参照)に足を向ける。すると薄闇の中でも、棚に古書が多めに挿さっているのが目に入る。古書のところだけ、闇が深まる…と感じつつ、アルス普及版「北齋/織田一磨」六文館「傳説民話考/長尾豊」を計220円で購入し、続いて「古書明日(2017/01/31参照)へ。店頭の絵本箱から福音館書店「かがくのとも117号 おなら/長新太」(英題は「A Story of Fart,」である)を引っ掴み、なかなかお客さんの多い店内に進む。そして右側通路の古書ゾーンで、見慣れぬ…と言うか見たことのない文庫本を手にする。富士出版株式會社・富士選書「あそび・妄想・外四篇/森鴎外森於菟解説」である。昭和二十三年刊の仙花紙文庫本で、外四篇は『金毘羅』『蛇』『心中』『百物語』となかなか不穏なラインナップで、表紙紙も本文並にペラペラ。タイトル文字は手書きのレタリングという味のあるチープさ。だが解説は鴎外の息子森於菟がしっかりと担当している正統派さ…なかなか謎な文庫本だ(家に帰ってから調べても、情報は皆無。日本の古本屋では一点引っ掛かったのみ)。「おなら」とともに計600円で購入する。
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2021年02月06日

2/6今日も素晴らしい署名本を入手する!

暖かで、雲ひとつない青空がちょっと恐かった二月初めの土曜日。夕方近くに下石神井に流れ着く。…石神井公園を越えて、西武池袋線で「ポラン書房」に行くべきか…いや、今日はなんだかさすがに疲れた…日和って上石神井駅に行くことにしよう…そして西武新宿線に乗り込み、最寄り駅の鷺ノ宮を乗り過ごし、都立家政駅で下車する。駅前商店街を南に歩いて、すっかりご無沙汰の『♪駅から〜1分、走れば4秒』の「ブックマート都立家政店」(2011/12/13参照)の店頭棚前に屈み込む。下部に固まる300均古書や古雑誌を丁寧に漁って行く。ぬぬぅ、大正四年刊の國民文學社・抒情詩社「濁れる川/窪田空穂」がちゃんと函付きで出て来たではないか。し、しかも扉前のページに“空穂”の署名とともに、『その心抂ぐなといへば教へ子のこのをとめ子の涙こぼすも』の一首が書かれている。密やかに喜びながら330円で購入する。函は素っ気ない機械箱だが、本は文庫サイズで革装で天金の豪奢な造りである。嗚呼、古本屋さん、ばんざいっ!
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身近な濁れる一級河川『妙正寺川』のか細い流れをバックに記念撮影。

そして南にズンズン歩いて、高円寺『庚申通り』の北口に到達し、「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)にも立ち寄る。明日まで千円以上お買い上げの場合、6周年記念2割引セール中。福音館書店「たくさんのふしぎ第321号 これ、わたし/さわだともこ」を300円で購入し、残念ながら割引ならず!
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2021年02月04日

2/4実は栞が目当てだった。

立春の次の日に春一番が吹くなど、矢継ぎ早な感じで目出度いな…とは思いつつも、何だ!?この冷たい春一番はっ!とすっかり閉口して、武蔵境南の井口に流れ着く。すぐさま駅に向かい、中央線に飛び乗るが、何処かで古本を買って行かねば!と不必要な使命感を燃やし、荻窪駅で途中下車する。「竹中書店」(2009/01/23参照)の店頭二百均木製ワゴンを覗き込み、美術出版社「日本の彫刻 平安時代」「日本の彫刻 鎌倉時代」を計200円で購入する。編集者に瀧口修造が名を連ねており、「平安時代」は土門拳撮影。「鎌倉時代」には北園克衛が『文殊五尊像』について寄稿しているのだ。そんな大判な昭和二十七年の彫刻写真集をリュックに上手く納めてから、続いて「古書ワルツ荻窪店」(2019/07/30参照)へ。店内でミリオン・ブックス「推理小説ゼミナール ミステリー解読術/長沼弘毅」に目を留める。ポオの『モルグ街の殺人』『マリー・ロージェの怪事件』『おまえが犯人だ』『黄金虫』『盗まれた手紙』を、微に入り細に入り分解解読講義する、ちょっと不思議な昭和三十七年刊のミステリ研究本である。真鍋博描く挿絵やカットがポオ色満点で大変に小気味良い。これは面白い本に出会ったぞ!と手の中にキープしつつ、店内中央手前の『なんとなくミステリ棚』にさらに意識を集中する。するとすべて函ナシだが、東京創元社のクライム・クラブが五冊ほど並んでいるのに気付く。みな330〜550円ほどだが、ある理由で「歯と爪/B・S・バリンジャー」を買うことに決める。二冊で計1210円であった。実は「歯と爪」には読書カード係行きのハガキとともに、創元推理文庫の栞が挟まっていたのだ。…本よりこれが欲しかった…。生成りの厚紙には、十三作のラインナップとともに、文庫は毎週金曜日に発売されることや、四つのマークの説明が書かれている。裏面は小林秀雄のエッセイ集「感想」の広告である。ちなみに湘南探偵倶楽部の「初期創元推理文庫 作品&書影 目録 新訂増補版」に栞についてあたってみると、書影6P下の『創元推理文庫メモ』に「歯と爪」に挟まる栞についての記述あり。あぁ、これとおんなじヤツだ!
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2021年02月03日

2/3ヨセフ・チャペック箱付き!

夕方になる前に上井草に流れ着いたので、ウキウキと「井草ワニ園」(2019/01/05参照)に立ち寄る。早速店頭から楽しみ始めると、すぐに古本が手に吸い付いて来る…桃源社「黒魔術の手帖/澁澤龍彦」(函に痛みアリ)ペヨトル工房「ライターズ・アット・ワーク/ジャン・コクトー L・F・セリーヌ イーヴリン・ウォー ノーマン・メイラー W・バロウズ A・ギンズバーグ」ちくま文庫「歪み真珠/山尾悠子」…おそろしいことに全部百円なのである。そんな古本精神を高揚させる収穫を小脇に抱えて店内へ。各棚を時間をかけて精査して行くと、欲しい本が結構見つかるが、購入決定打までには至らない…だが棚並びがだいぶ豊潤で、値付も想像を下回ってくれるので、『コレもいいな、アレもいいな』と、次点的購入候補がひたすら増殖して行く、楽しいカタチなのである。そして中央辺りの左壁棚で、それらの候補を完全に後回しにしても惜しくない一冊を発見する。童心社「こいぬとこねこはゆかいななかま/ヨセフ・チャペックぶんとえ いぬいとみこ・井出弘子やく」である。ちゃんと箱付きで昭和四十三年の初版!これはいいぞ!と一瞬本を頭上に上げて掲げ持った後、先ほどの店頭本と合わせて計1250円で購入する。店主さんとは「ポラン書房」店舗閉店(2021/01/31参照)の話をひとくさり。ともに残念がりつつ、週末にもう一度行こうと思っていることを伝えると「元気ですねぇ〜」と感心されつつ呆れられる。
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ヨセフ・チャペックの絵がとにかく素朴で可愛いのだが、犬はともかく猫が独特なフォルムである…何かイタチみたい…。ちなみにヨセフはラストネームからビビッと来る通り、カレル・チャペックの兄である。
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2021年02月02日

2/2木村生死の仕上がりに満足を覚える。

朝から連載の原稿書きに精を出し、午後には無事に形に仕上げる。そして一息つきながら、本の山の端から顔を出していた豆本を手にする。ヨンネ豆文庫「お茶の湯満腹談/夢野久作」である。久作がひょんなことから、財界の大立物&茶の湯の大家である益田孝男爵邸を訪れるお話。ヒョイヒョイ読み進めていると、その中に横浜で西洋人が裃を着て『フクワアウチ…オニワソト』と、日本研究のために豆をまく話が出て来た。偶然にも今日2/2はスライド節分の日であった。こういう奇妙なシンクロは、何か世界の様々な伏流と接続した感じを味わえるので、大好きである。
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というわけで、豆本と今晩まく豆を記念撮影する。

北風が昼間の温暖さを吹き飛ばし始めた夕方に家を出て、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ。「フォニャルフ」にほんの少し補充しつつ、出来上がって来た盛林堂ミステリアス文庫新刊「秀吉になった男 木村生死傑作集」の店内搬入を手伝い、献本を受け取る。カバー&表紙デザインを担当。ちょっとジャパネスクな美しい仕上がりに満足を覚える。装画は山下昇平氏で、最初に三パターンのラフを提示されたとき、迷わずこのお姫様が何だか「スキゾマトリックス/ブルース・スターリング」風な一枚を選んだのであった。あまけに何となく、オリジナル本で超稀少本の「科学小説 秀吉になった男」をリスペクトした感じも漂うのであります。
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盛林堂の目録「盛林堂の本棚2016年10月」の木村生死ページと記念撮影してみる。

肝心の内容はと言えば、日本SF黎明期の牽引者のひとりでもある木村生死の、五百ページ越え(六作品)作品集である。恐らく完全に忘れ去られた作家である木村生死のヘンテコなSF小説が復刻されるのは、これが最初で最後であろう。2/6から盛林堂店頭や通販サイトで販売が開始されるので、日本SFの歴史の一端を掴みたい方々は、是非とも我先にとご購入いただければ幸いです。
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2021年02月01日

2/1カストリ雑誌の増刊長編怪奇読切!

そう言えば今日は午後にNHKBSで、ジョージ・A・ロメロの映画『ゾンビ』を放映してるんだっけ…今の新型コロナウィルスが蔓延した世界に、皮肉過ぎるほどぴったりじゃないか…そんな戯れ言を頭に浮かべつつ、経堂に流れ着いてしまう。去年閉店してしまった「大河堂書店」(2020/10/27参照)前を通りかかると、お店のテント看板はそのままに、前面はシャッターでガッチリ鎧われてしまっている。わかってはいたが、やはり悲しい姿だ…おや?そのシャッターに何か小さな紙が張り付いている。閉店のお知らせなどであろうか?と興味を持って近づいてみると、なんとそれは、ご近所の常連さんからの、お店への感謝のメッセージであった。二十年間、店頭の映画パンフを見るのが日課であったそうである。そんな、古本屋さんの無くなってしまった悲しみの街・経堂に背を向けて、東北にテクテク歩き続ける。やがて世田谷線の踏切を渡り、豪徳寺の「靖文堂書店」(2011/09/06参照)へ。『科捜研の女』をご婦人が観ている店内に潜り込み、鑑賞を邪魔せぬよう静かに動き、そこかしこから古本を手にして行く。河出文庫特装版「黒猫/E・A・ポウ」光文社カッパブックス「科学捜査 犯人を割りだす九つの推理法」立風書房 現代の推理小説第1巻「本格派の系譜(I)」(別に珍しい補ではないのだが、鷲尾三郎『文殊の罠』大河内常平『クレイ少佐の死』香住春吾『蔵を開く』水谷準『ある決闘』岡田鯱彦『噴火口上の殺人』などが含まれ、かなり素敵なラインナップである)オール・キング社「猖奇臨時増刊 長編怪奇読切 獸欲の鬼/覆面作家」を計700円で購入する。「獸欲の鬼」は、岡山の出版社が出すカストリ雑誌の増刊号で、戦後焼跡の魔都・大阪を舞台にした、夜に跋扈する謎の百面相殺人強姦魔を、京都から招聘された名探偵検事が追う、エロエログログロ探偵小説である。
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表紙は何故だかこんないかがわしい時代小説風だが、中身はちゃんと昭和二十三年の現代劇なのである。ちなみに「靖文堂」にはもう一冊同じものがあり、そちらの値段は700円…もちろん安い200円の方を買わせていただきました。
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