2022年01月21日

1/21サンカクヤマで二度買う。

相変わらず効果の希薄そうな『まん延防止等重点措置』が始まった本日、急激に気温が下がり始めた午後四時に高円寺南に流れ着く。疲れ果てた足を引き摺り、容赦なく吹き付ける冷たい風に震えながら、どうにか駅にたどり着き、『庚申通り』を北上して、この間来たばかりの「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)へ。だが、短い期間にちゃんと店頭棚に動きが見られるので、私は嬉しい!と、棚から一冊、木箱から一冊を確保し、入口のビニールカーテンを潜って店内で精算する。東京創元社「危険な斜面/松本清張」大日本雄弁會講談社「若い女性 1956.11」(遠藤周作の推理小説クイズなんてのが載ってる!)を計300円で購入する。「危険な斜面」は昭和三十四年の初版。カバーが少し傷んでいるが、百円なら御の字だ。
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こうして写真に撮ると、何だかデカい創元推理文庫に見えなくもない。

このように満足して店先から立ち去ろうとすると、何故かさっきは目に留まらなかった、右上に固まった以前からある古い山岳雑誌に集中してしまう…やっぱりちょっと変なのが混ざっているぞ。と取り出してみると、くくぅ、大正〜昭和初期の築地小劇場のパンフレットじゃないか。これはいいぞ!だが、あまりにもキレイ過ぎるので、どうやら復刻版のようだ(後で調べてみると、不二出版というところから、函入りで全六十三冊が復刻されていることを知る)。臨時號・第三號・第五巻第二號を見つけたので、もう一度店内に突入し「すみません、これも買います」とまたまた300円で購入する。
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考現学者でもある吉田謙吉デザインの表紙が、復刻版と言えどもモダンで眩しい。
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2022年01月19日

1/19ミステリ本の聖地「待乳庵」へ。

本日はある秘密のお仕事で、ミステリ評論家の故・松坂健氏の書庫『待乳庵』(2019/03/08参照)へと午後に向かう(東陽町で途中下車し、古本も売る写真屋さん「写真屋さんホックス」(2014/02/06参照)を訪ねるが、お店は開いてるけども、肝心の古本はプラケースに封入されたまま、店頭に積み上げられていた…これでは手が出せない。残念!と今日のところは退散する)。その前に最寄り駅の改札にて、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)小野氏と、イラストレーター&装幀家のYOUCHANさん(実はちゃんとご挨拶するのは初めてであった)と待ち合わせ、ツラツラ肩を並べ、松坂氏の思い出など語りながら、感慨深い道行き。そして書庫では、それぞれにそれぞれの仕事をしていたら、あっという間に三時間が経過する。その仕事の合間に、遺著となった「二人がかりで死体をどうぞ」がちゃんと棚に入っているのを目撃し、感謝しながらカバーに使った洋書棚をバックに記念撮影する。
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そして午後六時半に西荻窪「盛林堂書房」に戻ると、ハッ!素晴らしい古本はたくさん目にしたが、肝心の古本を買っていないではないか!と気付いたので、小野氏に何か売ってくれとお願いすると、出て来たのは見返しや扉前に落書きの甚だしい、仙花紙本のポプラ社「地中魔/海野十三」であった。落書きアリ故にリーズナブルな値段を提示され、即購入する。いやぁ、とっても幸せです。
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この落書きは想像するに鞍馬天狗ではないかと…。
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2022年01月18日

1/18今度は“ほか”だった。

色々片付けて、冷たい風が酷く吹き荒れ始めた夕暮れに、ここ最近すっかりお馴染みの高田馬場に出たので、いつものように「ブックオフ高田馬場北店」(2012/11/15参照)で古書を漁る。光文社文庫「幻のNHK名番組 私だけが知っている 第二集」作品社「素直な容疑者/原田康子」を計660円で購入する。1980年刊の「素直な容疑者」は、大ベストセラー「挽歌」の作者による、唯一の推理小説短篇集である。先にズルして『あとがき』に目を通すと、乱歩から『推理小説書くように』と勧める手紙を受け取ったエピソードが綴られている。感激しつつもその時は推理小説を書く自信がまったく湧かなかったそうで、この本に収められたのは、後年(1957〜78年)に編集者に誑かされて書かされたものとのこと。ちょこちょこ読み進めることにしよう。そして家に帰るとヤフオク落札品が届いていた、日高有倫堂「火中の女/江見水蔭」である。明治四十四年刊で蔵印ありで裏表紙欠けだが、1200円で落札。江見水蔭がこの値段で読めるのなら、私はとにかく幸せだ。…東京〜横浜間の子安の焼場に幽霊のように現れた、緋色の服を纏った少女。西洋魔術団から逃亡して来たのだが、ひょんなことから前科十三犯の謎の男と道行きに…こりゃいったいどんなお話なんだ。早く読み耽りたいので、「夜鳥」を読了したら早速取りかかることにしよう。
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可愛い表紙と口絵である。

※筑摩書房の編集さんより連絡があり、「野呂邦暢 古本屋写真集」が1/15(土)の毎日新聞書評で取り上げられたことを知る。文庫本なのに物凄く大きく取り上げていただき感謝である。だが俺は、前回の読売書評の“ら”に続き、今回は“ほか”か…まぁ“古本屋ツアー・イン・ジャパン”は長いからな。あ、その記事はチラッとだけこちらで読めるようです。
https://mainichi.jp/articles/20220115/ddm/015/070/034000c
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2022年01月16日

1/16だがその前に古本を。

今日は一日真面目に原稿書き…という決心のもとに、午前中はその下準備を念入り時に行い、昼食後にさぁ書き始めよう!…だがその前に古本を買いに行くとするか。風は冷たいが暖かな陽光にかろうじて救われつつ、テクテク歩いて高円寺へ。「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)の店頭木箱を漁り、松本清張原作・野村芳太郎監督の松竹映画『砂の器』のパンフを選び取り、手指を消毒して店内へ。すると入って直ぐ右側の文学系棚に、古そうな単行本が入荷しているのを敏感に察知する。くぅ、函ナシだが竹村書房「市井事/武田麟太郎」なんてのが千円で並んでいるじゃないか(昭和十年刊で、名作の『日本三文オペラ』『釜ヶ崎』などが収録されている短篇集。中に検閲によって削除された、各所の文章を補完する前所有者のメモ書き一枚が挟まっていた)。やっぱり原稿書きを放り出して、古本を買いに来たのは決して間違いではなかった!そう確信して計1100円で購入する。
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函ナシ本の写真では寂しいので、竹村書房のシンボルフクロウが民藝的で可愛らしい本扉の写真を。

よし、俺の欲望は満たされた、と早足で帰路に着くが、一旦駅方面の『中通り』まで出て、「ホワイトハウスのクリーニングまるや店」(2021/05/10参照)に立ち寄る。本を見ている途中に上階から店主の奥さまがお粧しした格好で現れたので、細い通路をサッと譲ると「まぁまぁ、退かしちゃってすみませんね」と丁寧にお辞儀しながら出かけて行った。現代書館「アホウドリの仕事大全/阿奈井文彦」(様々な仕事人の聞き書きを蒐集した一冊。『古本屋の周辺』というタイトルで、早稲田の「二朗堂」というお店が載っているのだが、これは「二朗書房」(2011/03/14参照)の間違いではないだろうか)を200円で購入し、ようやくとっとと家に戻って、憑物が落ちたように原稿書きに心血を注ぎ始める。
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2022年01月15日

1/15虎ではなくて猫だった。

昨日よりはマシだが、それでもやっぱり冷たい土曜日の午後一時に、桜上水の寒風が吹き抜け続ける『甲州街道』に流れ着く。そのまま風に吹かれ続けて下高井戸にたどり着き、「豊川堂」店内に避難する。帳場で女性店主が、本を磨く音だけが微かに聞こえる静謐な空間。訪れる度に棚の整理がビシッと進み、本の動きを見てとれるのが何とも好ましい。岩波書店「おもかげ/永井荷風」を千円で購入する。函ナシで昭和十四年三版の小説随筆集である。この本の素晴らしいところは、荷風自らが二眼ローライで撮影した写真が、二十四枚収められていること。恐ろしいことにこれらの写真はどれも完璧と言えるほど、荷風の小説世界や散文の世界を、まるで挿絵の如く表現しているのだ。
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一言で言えば『なんで荷風はこんなに写真が上手いんだ!』ということである。モチーフも構図の取り方もトリミングも、プロ顔負けの腕前。自身の望む世界を完璧に捉えたそれらを見ていると、望む世界を捉え切れずに焦燥する同じ作家である野呂邦暢の素人写真を対照的に思い浮かべてしまい、何故だかホッとする自分がいる。写真は、現実世界をそのままの姿で紙に定着させるテクノロジーなのだが、現実と画像の間を人間が媒介することによって、こんなにも世界が多様化してしまうものなのかと、つくづく思ってしまう。いや、それがいいんですよ。などと思考しながら阿佐ヶ谷に戻り、一旦帰宅してから再び外出。今年初めての「ネオ書房(2019/08/11参照)」に顔を出す。じっくりぐぅるり一回りし、福音館書店「ぐりとぐらのおきゃくさま/なかがわりえことやまわきゆりこ」を200円で購入し、店番の奥さまにこの間店先に出現していた雪像群(2022/01/07参照)について聞いてみると「猫の像です」とのことであった。虎と言う予想は、あながち間違っていなかったと言えよう。そして「ぐりとぐらのおきゃくさま」であるが、1968年の4刷だが、ビニールカバーと帯がばっちり残っているのが何より嬉しい。
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2022年01月14日

1/14「兼高かおる 世界の旅」!

午後イチに上祖師谷に流れ着いたので、仙川に出て「文紀堂書店」(2015/03/31参照)へ。年末時と比べて棚に動きが見られるので、じっくりと見る。その間にお客さんが三人四人と訪れ、皆しっかりと古本を買って行った。良きことである。面白半分「開高健の全略対談」を百円で購入する。そのまま駅に向かい、京王線と井の頭線でカクッと北西に移動して吉祥寺着。古本屋さんを見て回るが、最初は残念ながら収穫ナシ(唯一の収穫は、「一日」(2017/08/11参照)の店内からガレージへの入口が、ビニールカーテンから立派な木の扉になったのを知ったことである)。ツラツラと「よみた屋」(2014/08/29参照)に向かい、店頭棚をグッと睨んで均一本の背文字を狩って行く。するとその甲斐あって四本目の棚に、うぉっ!講談社「兼高かおる 世界の旅」がビニカバ帯付きで並んでる!しかも奥付を確認すると昭和38年11月の初版じゃないか!やったやった、こりゃすばらし…ぬぉぉっ!一段飛ばしたその下には、実業之日本社「兼高かおる 世界の旅 オセアニア編」までもがあるじゃないか!こちらはベストセラーの講談社「兼高かおる 世界の旅」に先駆けること一年と四ヶ月前に発売された、ニューギニア・ニュジーランド・オーストラリア・フィジ諸島の旅をまとめたものである(才色兼備な兼高かおるが、まだ海外旅行が珍しかった昭和三十年代に、世界各国を旅する東京放送のテレビ番組、それが「兼高かおる 世界の旅」なのである。スポンサーは、三井物産と系列八社、それにパン・アメリカン航空会社!)俺は今、興奮している。今やわりとレアな「兼高かおる 世界の旅」本が、コンボで店頭で手に入るなんて!…いや、まだ買っていなかったのだ。そう気付いて慌てて店内に駆け込み、毎度お店に感謝しつつ計220円で購入する。寒さも吹っ飛ぶ幸せが、身体をふっさりと包んでいる。そのまま幸福に「古本のんき」(2021/03/31参照)に向かい、集英社「船乗りクプクプの冒険/北杜夫」(箱傷み)を千円で購入し、古本的幸福を持続させながら帰宅する。
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2022年01月11日

1/11新刊色々。

冷たい雨の中の夕方に外出。その途上で雨粒の付いたメガネを拭こうとすると、信じられないことに片方のレンズが突如外れ、アスファルトに落下して高い音を立てて割れてしまった。しばし呆然とする。そして仕方なく片方のレンズがないコントの小道具のようなメガネをかけ続け、阿佐ヶ谷駅駅頭で編集さんと落ち合い、カバー&表紙デザインを担当した二冊の新刊を受け取る。綺想社「K兀鷹は飛んでいる―砂漠の殺人―/トッド・ダウニング」えでぃしおん うみのほし「左川ちか文聚 詩歌 譯詩 散文」である。「K兀鷹は飛んでいる」はここ最近埋もれたクセのある古典ミステリを連発出版している『黒色翻訳叢書』の最新刊で、テキサスから動乱のメキシコに向かうブルマン寝台列車の中で起こる連続殺人を巡る一冊である。というわけで、乾いたアメリカ南西部の写真を、血のように赤い昭和初期のアメリカ地図で飾るデザインとなりました。「左川ちか文聚」は、先に出た「左川ちか資料集成」の別巻として作られた、彼女の詩歌・譯詩・散文を厳選して活字化した、アンカットの可愛いペーパーバックである。どちらも1/15(土)より、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)の店頭&通販サイトや中野「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)で発売となるので、変わった知られざる古典ミステリや、モダニズム詩が大好物な方々はご注目下さい!そして視界を狂わせたまま家に帰ると、筑摩書房からちくま文庫「第8監房/柴田錬三郎 日下三蔵編」が届いていた。わぁ〜い、ありがとうございます!シバレンによる、現代ミステリ短篇集である。
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本日辺りから発売になる「本の雑誌 大根おろし雪辱号」の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、板橋の禁断とも言える古本修羅の強敵(天敵?)店、「坂本書店」に決死の突撃取材を敢行!お店に入ったのはこれで二度目だが、やはりブルブルコワかった……。そして日下三蔵氏の集中連載『断捨離血風録』では、今回から盛林堂・小野氏と私が本格的にお手伝いに参上し、活躍する回となっております。こうして客観的に見てみると『よくまぁこんなことやってるよ』という世界ですが、やってると時は必死&貴重な本が飛び出しまくりなので、楽しくてならないのです。実は明日も……。
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2022年01月06日

1/6雪の日にラッキー!

正午にはもうちゃんと降り始めてしまった雪に驚きつつ、梅ヶ丘の街に流れ着く。身体に吹き付けすぐに固まる雪を払い落としつつ、下北沢に移動して「ほん吉」(2008/06/01参照)へ。今年も何とぞよろしくお願いいたします!と心の中で挨拶し、店頭棚と雪のために店内に避難した木箱を漁る。店頭からは教養文庫「ジャック・ロンドンセレクション 試合 ボクシング小説集」大日本雄辯會講談社 昭和十年「キング新年號附録 繪ばなし世間學」を抜き出し、店内通路木箱からはハヤカワポケミス「そそっかしい暗殺者/ルネ・レヴァン 日影丈吉訳」と白水社「現代東欧幻想小説/徳永康元他訳」を見つけ出し、計660円で購入する。「現代東欧幻想小説」が330円の値段で木箱の底に沈んでいたなんて、全く持ってラッキーでありました。
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家に帰ってから雪景色をバックに記念撮影。カバーの緑が映えますな。

その後は京王線で西にちょっと移動して、「古書瀧堂」(2014/05/01参照)にも顔を出す。左端通路の並びが少し変化しており、文学類が壁棚に移動し、映画の一部や思想哲学や精神関連が通路棚に並んでいる。ハヤカワ文庫「日本SF古典集成〔U〕/横田順彌編」筑摩書房「天文屋渡世/石田五郎」を計410円で購入する。今年も良い古本をよろしくお願いします!と心の中でお願いし、お店を出る。雪は、より激しく降りしきっている。傘なしで歩き始めると、たちまち雪が身体前面に吹き付け固まり始める。それにしても、こんなに雪が降るとは。背負っているリュックにも、容赦なく雪が積もって行く。古本を濡らさぬよう、気をつけて帰らねば。
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2022年01月05日

1/5二日目でも買えました。

午前十一時に一抱えの古本とともに家を出て、外気の冷たさに震えながら西荻窪へ。まずは「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に顔を出し、「フォニャルフ」をしっかり補充入替しつつ、早川書房「怪盗ルパンの時代/和田英次郎」春陽堂日本探偵小説全集「短篇集 山田風太郎・夢野久作」(カバーナシ。良く考えれば、この二人とも昨日の一月四日が誕生日。ようするにこの本はお誕生日本だったと言うわけか)新潮社 新ロシヤパンフレット4「新ロシヤ美術大觀/昇夢編」眞善美社「青春群像」イケダブックス212「狩猟 基本と実猟/北晴夫」月曜書房「母の手紙/岡本太郎」(ちゃんとカバーも付いている!)講談社「影の座標/海渡英祐」を計700円で購入する。そして店主・小野氏に本を預けたり、イレギュラーズや仕事の話をしたり、昨日手を入れたと言う棚に新たに入った新顔古本を紹介してもらったりして、時は過ぎ行く。気付けば午前十一時五十五分である。「それでは!」とお店を飛鳥のように飛び出し、正午丁度に高架際の「にわとり文庫」(2009/07/25参照)に到着する。「帰って来たニワトリブンコ新春100円均一大会」二日目である…すでに先客あり…。多少補充されているとは言え、すでに昨日の古本神&古本修羅の猛攻に晒された『兵どもが夢の跡』状態なのはわかっているが、昨日その猛攻に参加出来なかった身としては、渋く輝く棚や箱たちである。創元推理文庫「ビッグ・ヒートW・P・マッギヴァーン」光文社「少年探偵 怪人二十面相/江戸川乱歩」(カバーナシ)を掴み、もうすぐ全体を見終わるので二周目に入るか…と思っていると、素晴らしい一冊が目に飛び込んで来てくれた。暮しの手帖社「暮しのなかで考える/浦松佐美太郎」である。暮しの手帖社単行本の中でも、取り分けレアな一冊!経年劣化の傷みはあるがカバーも付いており、残り物には福がある!の諺を俄然信じさせてくれる出会いである。計300円で購入する。ありがとう「にわとり文庫」さん!そして昨日に続き今日も猛攻に来た、森英俊氏・北原尚彦氏・嵩平何氏らと年頭の挨拶を交わす。
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そんな風に満足して家に戻ると、一昨日古本屋に行けぬ腹いせに落札した古本が無事に届いていた。東都書房「彼・幻影の城/江戸川乱歩」である。ライバルナシで喜びの1385円で落札す。『産經新聞』と『ぷろふいる』に連載した自伝的文章を一冊にまとめたもの。あぁ今日も古本屋と古本に喜びあり!
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2022年01月04日

1/4明日こそはいざゆかん!

昨日今日と原稿書きとデザイン仕事に真面目に従事。昨日は何処にも出られなかった腹いせに、ヤフオクで読みたかった本を安値で見つけたので落札し、どうにか溜飲を下げる。今日は夕方まで動けずにいたので、西荻窪「にわとり文庫」(2009/07/25参照)の「帰って来たニワトリブンコ新春100円均一大会」に参加出来ず、手を動かしながら臍を噛んだ上に歯噛みして、どうにか耐え抜く(明日は必ずや参上して古本を買うぞっ!)。そして午後五時過ぎに高田馬場の仕事先に顔を出した後に、寒風に身を縮めながら、夜目に照明の明るい「ブックオフ高田馬場北店」(2012/11/15参照)に手指消毒して入り込む。おっ、今日まで本が全品20%オフなのか。と入口付近で有意義な情報を仕入れて、奥の古書コーナーへ。プラカゴを持ったライバルたちに囲まれながら、角川文庫「よろしく、ベイシティ/戸井十月」日本青年出版社 青年文庫「働くものの空手/川元規久」(1967年出版。世間に蔓延る乱暴者の空手経験者を批判するところから始まる、労働者のための正義の空手啓蒙&技術書。調べても情報が一切出て来ない謎の文庫本である。巻末自社広を見ると、他に「働くものの登山」「働くもののスキー・スケート」「働くものの水泳教室」があるようだ)毎日新聞社「うらおもて人生録/色川武大」を選んでレジへと向かう。するとその途中の詩歌棚に、面白い本が並んでいるじゃないか。名著刊行会 シュルレアリスム稀覯詩誌「薔薇魔術學説(復刻)」である。北園克衛が印刷やレイアウトをし(寄稿も本名の橋本健吉でしている)、イナガキタルホや石野重道が寄稿していた昭和初期雑誌四冊の函入り復刻本である。ちゃんと北園克衛が回想文を寄せたペーパー入り。1380円で売られているので、20%オフなら大体千円じゃないか!と脇に抱え込み、先述の三冊とともに計1440円で購入する。
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とここまで書いたところで、北原尚彦氏からメールが届き『わたしは今日、にわとり文庫さんの100円均一大会で古本初めをして参りました。(その後、盛林堂さんへも。)やっぱり古本はいいですねえ』とのこと。うぉぉぉぉっ、こちらも明日こそは「帰って来たニワトリブンコ新春100円均一大会」へ、いざゆかん!
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2022年01月01日

1/1去年同様“ジゴマ”に驚かされる。

昨晩は八紘社杉山書店「劔の系図/横溝正史」(横溝の戦中昭和十九年出版の、戦意高揚防諜ミステリ短篇集。銃後の護りを推奨する「玄米食夫人」「ナミ子さんの一家」がミステリ+明朗小説のカタチを採っており、ギャグも冴えているので、横溝にこんな一面があったのかと感心してしまう)を読了後、やはり年越しは詩だろうと、読みかけのアルス「槐多の歌へる」に手を伸ばす。1917年の日記部分からスタートすると、たちまち十二月に差し掛かり、百四年前の年末と現在の年末が重なり合い、ツラツラ続く記述に奇妙な親近感を覚える。そして1918年。『ある嵐』という詩を読み進めていると、『惡者は薔薇の園に隠れて泣けり 美しく可愛ゆく照る物の中に その身を埋めてひた泣きに泣く この惡物こそわれなりき ジゴマよりも惡き者』という一節が出現する。おぉっ!これこそは、村山槐多も大正時代初めの『ジゴマブーム』に巻込まれた証拠!……って、あれ?以前にも同じような気付きを体験した覚えが…なんだこのデジャビュは…と感じてしまったので“ジゴマ”をキーワードにおのがブログに検索をかけてみると、なんと去年の大晦日に、まったく同様な体験をしていたことが判明する。2021/01/01『2021年の古本始め。』に、創元文庫「宮澤賢治童話劇集」を読んでいると『なるほどヂゴマと書いてあります。』というセリフを見つけ『うひゃっ!宮澤賢治の作品に、“ヂゴマ”なんて探偵小説の主人公が出て来るなんて!賢治も大正時代初めの、いわゆる『ジゴマブーム』にちゃんと巻込まれていたことを想像させる一節である』などと感想を漏らしているのだ。こんなことがあってよいのだろうか。何という一年越しのシンクロニシティ…それにしてもやはり『ジゴマ』恐るべし。宮沢賢治と村山槐多の作品に登場しているなんて、非常に羨ましい強烈な悪漢ぶりである。

などと楽しく年を越し、今日はお屠蘇ですっかり酔っ払ってから、中野の「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)に向かう。もちろん古本初めをするつもりなのだが、すっかりアルコールに酩酊している状態は、古本を買うには危険と言わねばならない。何故なら意識が緩まって気が大きくなり、『いいやいいや、買っちゃえ!』と財布の紐を盛大に緩めてしまい、素面では葛藤躊躇するはずの本を、勢いで買ってしまう恐れがあるからだ。まぁそれがわかっていたら古本など買いに行かなければよいのだが、これが私にかかった呪いであるからしょうがない。そんな気持ちをフワフワ心の中に漂わせながら、『中野ブロードウェイ』四階の、赤い棚の間をフワフワ飛び回る。『どうしても読みたい本を買おう。どうしても読みたいヤツを…』と呪文を唱えながら、二周ぐらいして目に留まったのは、六興出版局「遺書と銀鉱/F・グルーバー」である。綺想社「パルプ地獄變/フランク・グルーバー」を読んで以来、グルーバーの作品をとにかく読みたくてしょうがなくなっていたところである。日下三蔵氏の書庫で、見たこともない「叛逆者の道」なんてレア本がダブっていて、『読みたぁ〜〜〜〜〜い!』と心底で欲望が沸騰してしまったほどである。値段を見ると四千円……ふぅ、まずは落ち着いて…いや、もうそんなことは必要ない。もう読みたいなら買っちゃえばいいんだ。なんたって目出度いお正月だよ。よし、買うぞ!と予想通りに恐れていた結果となり、税込の4400円で購入する。さぁ、年が明けました。古本も買いました。今年もよろしくお願いいたします!
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※「日本古書通信 2022年1月号」のリレー連載『ミステリ懐旧三面鏡』は一周して、盛林堂・小野氏が東京書籍「幻影の蔵 江戸川乱歩探偵小説蔵書目録」について、思い出と考察を重ねております。そしてさらに岡崎武志氏の長期連載『昨日も今日も古本さんぽ』に驚くほど私が登場しておりますので、合わせてお楽しみいただければ幸いです!
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2021年12月30日

12/30まだ納めずに古本を買う。

午後にゆっくりと動き出し、昨日のハードワークの疲れをたっぷりと身体に纏いつつ、まずは荻窪までテクテク歩いて「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)で古本吟味。なんと店内全品10%オフ中なのか。これはちゃんと何か買って行こう…と店内を彷徨い、中央公論社「金の鍵の函/里見ク」を10%オフの495円で購入する。昭和十一年刊の「婦人公論」連載の短篇小説集でちゃんと箱付き。里見クと言えば条件反射のように、観劇帰りに一緒に歩いていた志賀直哉が、電車に跳ね飛ばされたのを思い出す…。そして西荻窪に移動して、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に顔を出し、毎日新聞社「鑑識捜査三十五年/岩田正義」を百円で購入しつつ、店主・小野氏と負傷中の奥さまと、年末年始の挨拶を交わしつつ、来年のイレギュラーズについて打ち合わせる。そして最後に「何か買ってく?今年最後の買物してく?」と小野氏。スルッと差し出したのは、裸本の誠光堂新光社「アメージング・ストーリーズ 怪奇小説叢書 第2集 恐怖城他4編」だった。「カバーもないし帯もないし、500円でいいよ」「買わさせていただきます!」と迷うことなく購入する。今年もデザインにイレギュラーズにフォニャルフに、色々お世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。お店を出たら西荻窪の街を北に遡上し、「古書音羽館」(2009/06/04参照)を経由して教養文庫「ウォー・ヴェテラン ディック中短篇集/フィリップ・K・ディック 仁賀克雄」を300円で購入しつつ、やがて『青梅街道』も越えて「古書西荻モンガ堂」(2012/09/15参照)へ。扉を開けて中に入ると、帳場に何故か立ち尽くしているモンガさんが「うわっ、来てくれた。誰もお客さんが来ないんですよ。誰も来ないんですよ。もう見捨てられたんですよ〜」と嘆き節で迎えてくれた。「もう年末だからしょうがないじゃないですか」などと慰めるも「いよいよ来年は十周年だけど、閉店セールかな」などと拗ね続けている。「モンガさん、ちゃんと棚から本買って行きますから。お店辞めないでください」と、まずは店内で開催中の良質激安本が並ぶ一箱系猛者の「M&M書店」新春フェアから一冊抜き取り、さらに宣言通りにモンガ堂の本を一冊。モンガ堂さん、お正月もしっかり営業されるそうなので、三が日に古本エネルギーが切れてしまった人は、ぜひともお訪ね下さいませ!岩崎書店 エスエフ世界の名作1「宇宙少年ケムロ/エリオット作 伊坂芳太良画」毎日新聞社「日本絵日記/バーナード・リーチ 柳宗悦訳」を計2500円で購入する。するとモンガさんが「売れた、二千円売れた…」と魂の切ないつぶやき。また来年も古本を買いに来ますので、営業継続でよろしくお願いいたします!
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こんな二冊が計2500円で手に入るなんて、2021年最後のニシオギバンザイ!
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2021年12月28日

12/28入手難度が“A”だった。

昨日は夕方に高田馬場に出たので、「ブックオフ高田馬場北店」(2012/11/15参照)に立ち寄り、ウィリアム・カット主演の特撮面白ヒーロードラマ『アメリカン・ヒーロー』の主題歌が有線から流れて来たのに色めき立ち、角川文庫「怪物はだれだ/平井和正」を110円で購入。その帰りに新井薬師前で途中下車して「文林堂書店」(2008/08/04参照)にも寄ろうとしたが、お店の灯りが消えた閉店状態だったので、がっかりして出たばかりの改札を再び中に入り、帰宅する。そして本日はお昼前に動き始め、吉祥寺で所用を片付けた後、「古本センター」(2013/07/01参照)に飛び込んで、酣橙社航空情報別冊「プラモ・ガイド1974 飛行機キット1000」を80円で購入する。飛行機プラモデルの完成写真&箱絵とスペック&評価がこれでもかと掲載されたプラモデルガイドブックである。そんな収穫に足取りを軽くして「よみた屋」(2014/08/29参照)へ。店頭で二冊掴んだ後に、店内文庫棚で創元推理文庫「ウインター殺人事件/ヴァン・ダイン」の1962年初版カバーを見つけたので、徳間書店「新井素子の?教室」徳間オリオン「川北紘一特撮ワールド 君もゴジラを創ってみないか/冠木新市」とともに計770円で購入する。最後に高円寺まで移動して「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)にて東京創元社「イラストレイテッドSF 魔法の国が消えていく/ラリー・ニーヴン エステバン・マロート絵」を300円で購入する。

そして家に歩いて帰り、湘南探偵倶楽部「初期創元推理文庫書影&作品目録 新訂増補版/奈良泰明編」を繙き、「ウインター殺人事件」について調べていると、予想外のあることが判明する。この「書影&作品目録」には、編者の奈良氏の個人的評価で、特に入手に時間のかかった文庫には入手難易度が“A〜C”で示されているのだが、先日何気に「古本屋さいとう」(2021/12/24参照)百均で買った「完全殺人事件」の初版白帯が、何とランク“A”となっているのだ。気まぐれな出会いが、時にこのような結果を生み出すことがあるから、古本買いは止められませんな。
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「ウインター殺人事件」のカバーには贅沢にも銀の特色が使われている(小父さんマークさえも銀!)。
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2021年12月25日

12/25少し早い「来年もよろしくお願いします」。

午後三時に南荻窪に流れ着いたのだが、いつものように荻窪方面には向かわず、住宅街を北に直進して『青梅街道』方面を目指す。今日からスタートの「Title 2Fの古本市」(2016/12/27参照)が目的なのだが、その前に『環八』から一本西のガード下を潜って、極端に営業時間が短い「絵本タイム猫タイム」(2016/02/19参照)がやっていたら覗いて行こう。ラッキーなことに営業中だったので、数段のステップを軽やかに上がって暖かな店内に飛び込み、絵本や児童文学を見つつも、奥の隙間に集まる200均文庫に惹き付けられてしまう。三冊を選んで帳場に向かうと、店主の本日の手仕事はお裁縫であった(女性店主はいつも必ず何か手仕事をされているのだ。一度なんかは機織をしてて度肝を抜かれたことも)。サンリオSF文庫「フレドリック・ブラウン傑作集/ロバート・ブロック編 星新一訳」講談社文庫「時の過ぎゆくままに/小泉喜美子」光文社文庫「不思議の国の猫たち/仁木悦子編」を計600円で購入する。お店を出ると、東京上空を寒気が覆いつつあるのか、さっきより気温が低下している。負けずに早足で歩き出し、『青梅街道』に行き当たって、やがて「Title」到着。一階は書店にもカフェにもお客さんが滞留中で、二階にギシギシ上がると、こちらも数人の方が滞留中。熱心に絵本を漁る女性や、ひそひそ声で話すカップル、立ち読みする青年…彼ら彼女らと上手く場所を譲り合いながら、古本と空間を味わう。中原淳一の戦前「少女の友」付録本や、岩崎書店ボニー・ブックス復刻版などに古本心がよろめくが、「一角文庫」ゾーンで、天や小口にシミがあるため激安300円の青林堂「空想探偵漫画 薔薇と拳銃/谷弘兒」を見つけたので、階下で購入する。
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そしてすっかり暗くなってしまった阿佐ヶ谷に帰り、今年最後の「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)営業を名残惜しみながら堪能し、講談社ロマン・ブックス「妖異金瓶梅/山田風太郎」を420円で購入し、店主・天野氏と「今年もお世話になりました。来年もよろしくお願いします」と、年の瀬の挨拶を交わす。
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2021年12月23日

12/23こっそり革ジャンが偵察されていた。

日射しがとても暖かな午前十一時過ぎに家を出て、各所で雑事を片付けながらジリジリと西荻窪へ近づいて行く。そして「盛林堂書房」(2012/01/06参照)の裏手で“盛林堂・イレギュラーズ”に変身。裏口から出て来た店主・小野氏とともに書評家&古本ライターの古本神・岡崎武志邸へと向かう。武蔵野の面影を残す樹木を青空をバックに眺めながらドライブし、一時間後に現地着。小野氏が車を停める間に「盛林堂で〜す」とピンポンを鳴らす。すると部屋着でくつろいだ態のの岡崎氏が現れ「おぉ〜、来てくれたか。もう本の片付けし過ぎで、頭の中が真っ白や」と宣った。毎度のように地下書斎への階段に積み上げられた本の山を見ると、およそ五百冊ほどか。濃度の高い、お笑い・タレント・芸能本が多い。どれも資料として読み込まれた形跡があり、付箋がたくさん挟まっている。「もうお笑いは辞めた。充分書いたから、書くこともあらへんやろ。で、売ることにした」とのこと(でも重要なネタになる本はしっかりと残されていた)。小野氏が階段でそれを縛り、私が階上でそれを引き上げ、玄関辺りにプールして行く。この量なら、あまり時間はかからぬだろう…だがそれにしても、今日は二匹の猫の姿が見えないのはさみしいなぁ…。と小一時間ほど軽作業し、車にも無事に積み込み完了。小野氏と岡崎氏が外でそのまま立ち話を始めたので、この隙に荷物や上着を取って来ようと、岡崎邸の玄関に引き返して扉を開ける。すると『ドタタタ』と奇妙な音が…ややっ!階段に置いていた私の革ジャンパーを、虎猫が偵察に来ているではないか!
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そしてそのまま大きく目を瞠りつつ硬直してしまったので、そっと慎重に近付き、人差し指をさらにそっと近付けて匂いを嗅いでもらい、ほんのちょっとだけ触らせてもらう。うぅ、かわいいかわいい。目はビックリしたままだが…。そして今日の報酬にと、岡崎氏から数冊の古書を拝受するが、特に嬉しかったのはこの二冊。大正八年刊の春江堂「凸ちゃんの世界見物」と昭和十六年刊の不二出版社「繪物語 世界一周飛行/八島みどり」(裸本で『繪物語』とあるが、中身はいわゆる漫画である。なんと贅沢にも全ページ色刷り)である。岡崎さん、ありがとうございます!
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その後は渋滞に巻込まれながら午後四時に西荻窪に帰り着き、装幀を担当した盛林堂ミステリアス文庫新刊「幽霊の接吻 他九編/宮野村子」を受け取る。今回何故か表題作を私が決定する光栄に浴したので、十編の中から、宮野にしては異色作の明朗怪談的な『幽霊の接吻』をセレクト。それに合わせてウキウキと華やか〜な感じに仕上げてみました。いや『幽霊の接吻』は、何だか久生十蘭的味わいがあって、本当にいいんですよ。25日土曜日から盛林堂店頭&通販サイトで発売開始予定。そして家に帰ると、性懲りもなく落札してしまったヤフオク落札品が無事に届いていた。いや、カバーが傷んでいるとは言え、ちょっと大物なので、落ちるとは思っていなかったのである。そこそこ入れて、高値更新されたらスッパリ諦めようぐらいの、サバサバした気持ちでいたのである。ところが、結果は四千円で落札…やったぁ!和同出版社「見なれぬ顔/日影丈吉」である。表題作以外にも三つの短篇を収録した分厚い一冊である。全集が出て容易に読めるようになったとは言え、やはり元本で物語に接するのは、古本好きにとって重要な読書体験なのである。よし、お正月はこれを読むことにするか。
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2021年12月19日

12/19「ALFRED HITCHCOCK'S MYSTERY SAMPLER」

日曜日なのに早朝から緊急のデザイン仕事と激しく斬り結ぶが、早々に決着を着け、お昼前には休日ノンビリモードに移行する。昼食を摂ってから、ブラブラと外出。高円寺までテクテク歩いてまずは「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)を覗く。すると店頭に茶色い古書が五冊ほど固まっていたので、腰を下ろしてゆっくりと吟味に入る。話の友社「常識百科 話の事典 宇宙の神秘/木村小舟」(物知り先生と彼の元に集う十二人の生徒が繰り広げる、物語形式の科学問答集)三杏書院「隨筆 寄席風俗/正岡容」(カバーナシで表1の題籖が剥がれているが、本体は美)を計200円で購入し、店主の粟生田さんと「寒いですね」「寒過ぎですよ」と他愛無い会話を交わす。店頭でこのような古書が安値で買えるのは、誠に贅沢至極である。その後は網の目のように広がる商店街を突っ切り、北口繁華街の東側外れにある『座・高円寺』に赴き、17日から始まった「本の楽市」を覗く。厳戒態勢な入口消毒ゲートを通過し、平台と木箱で造られた古本島々に、存分にうつつを抜かす。くるくると島から島へ渡り歩き、「丸三文庫」(2019/06/03参照)島で美術出版社「12人のグラフィックデザイナー 第1集 宇野亜喜良・永井一正・福田繁雄・細谷巖」が300円なのを見つけて喜び、満足しながらも「古書みすみ」(2020/11/23参照)島の木箱に並んだ洋雑誌「ALFRED HITCHCOCK'S MYSTERY MAGAZINE」に、ろくに読めもしないのに惹き付けられる。1957〜70年辺りのもので、新し目のものは500円、古いものには1000円の値が付けられている。表紙のヒッチコックの写真がどれもいかがわしくてそそる!そして左隅にあった、殊更背幅のある一冊を手にすると、どうやら「ヒッチコック・マガジン」二冊分の合本のようだ。1957年秋の「ALFRED HITCHCOCK'S MYSTERY SAMPLER」である。表紙写真の実験器具の前でコック帽を被るヒッチコックの写真が気に入り、ジャケ買いすることにする。二冊を計1300円で購入。この市は12/26まで。
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2021年12月18日

12/18今日は吉祥寺の別ルートを。

霜柱も立った極寒の土曜日、三鷹台南の牟礼に流れ着いたので、テクテク歩いて昨日に引き続き吉祥寺に出ることにする。だが、昨日とは違う感じで古本屋さんを巡って行こうと、まずは「一日」(2017/08/11参照)へ。ビニールカーテンを捲ってガレージに入り込み、日本評論社 日本プロレタリア傑作選集「氷河/黒島傳治」を330円で購入する。お店を出て、寂しい高架沿いの裏通りから賑やか過ぎる表通りに出て、次は二階の古本屋さん「百年」(2008/09/25参照)へ。若者たちが滞留する店内をゆっくり味わい、珍しく美術本棚に心を捉えられる…いやに背文字の読めぬ古い本が多いのだ。そして選び出したのは、野澤如洋後援會「豪侠画人 野澤如洋/薄田斬雲」という昭和六年刊の、未知の画家の評伝である。
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欧米を漫遊し、日本画の伝道師となりつつも、異様なほどの武勇伝を生み出し続けた奇人のお話。と、これだけでも面白うそうなのだが、口絵ページをパラパラ見ていると、口絵のキャプションで、この画家の絵を所蔵しているある人物の名が目に留まり、ハタと膝を打つ。“中山忠直”…この名は早過ぎたSF詩集「地球を弔ふ」の作者ではないか!後で調べてみると、中山忠直は野澤如洋の画集を編集しているらしく、だいぶ親しい間柄のようだ。この本の何処かに登場するかもしれないなと期待しつつ、1100円で購入する。お店を出たらさらに北上し、裏通りの「Main Tent」(2015/03/26参照)に到着する。バラエティ豊かな児童本が、寒空の下に花開く店頭を一通り眺めて、店内に入り児童文学棚に意識を集中する。すると最下段棚の端っこに、朝日ソノラマ ヤングシリーズ「SFロマンヤング 暁はただ銀色/光瀬龍」の函ナシが1100円で売られているのを見つけ、これだ!と購入する。光瀬の小説タイトルは、いつだって凛としていて、心の奥にヒュンと突き通って来るね。
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2021年12月17日

12/17ホンドー!

午後に高井戸の南に流れ着いたので、トボトボ北に歩いて荻窪に出ようか、それとも高井戸駅から電車に乗って吉祥寺に出ようか、しばし路上で考えあぐねるのを乗り越えて、吉祥寺向かうことにする。駅南口のまずは「古本センター」(2013/07/01参照)へ。店頭処分棚では気になる本一冊あるが、450円か…としばし悩みながら店内に流れ込む。すると右端文庫&漫画通路の奥に、ずらっと『ハヤカワ・ファンタジイ』が並んでいるのに気付く。その列の上の棚にも同シリーズとポケミスが混ざりながら横積みされている…だがあの一番上のヤツは何だ?そう違和感を覚え、背伸びして取ってみると、雄鶏社 おんどり・ぽけっと.ぶっく102「ホンドー/ルイズ・ラムア」であった。
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ジョン・ウェイン主演で映画化もされた西部小説である。お値段は550円なのでさっさと購入する。巻末自社広にある『おんどり・ぽけっと・ぶっく101』の「アスファルト・ジャングル/W・R・バーネット」が気になるなぁ…。続いて「バサラブックス」(2015/03/28参照)に向かうと、何とシャッターが下ろされお休みであった。素早く踵を返して「よみた屋」(2014/08/29参照)へ。店内古書棚をササッと漁り、雄鶏社 推理小説叢書8「海象に舌なきや/小栗虫太郎」を550円で購入し(私の前に老紳士が大量の五十均文庫を購入しており度肝を抜かれる。すげぇ、すげぇ量だ。だから棚はガタガタになっていた)、最後に「古本のんき」(2021/03/31参照)へ。すると店頭棚で帯付きの新書館「暗いクラブで逢おう/小泉喜美子」が輝いていたので300円で購入し、今日は何だか雄鶏社との縁に感謝し、満足して帰宅する。
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2021年12月16日

12/16二日連続のイレギュラーズ!

ちくま文庫「野呂邦暢 古本屋写真集」は、神保町『東京堂書店』文庫売り上げで今週も第二位をキープ!発売からすでに一ヶ月以上経つが、これは嬉しい快進撃である。もうこうなったら、素人が撮った写真集として、一番売れて欲しいと切にねがってしまう。

そして本日は昨日の疲労を抱きつつ、クリスマスに間に合うよう大阪「梅田蔦屋書店」に無事に緊急補充古本を発送した後、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に赴き、二日連続の盛林堂・イレギュラーズ。小野氏とともに駐車場に移動し、盛林堂号で移動すること一時間弱。我々の姿は、広いキャンパスを誇る、某大学構内にあった。目的は大学教授研究室の書棚整理で、学術系の函入り本や大判本を、天井までの壁棚四本分運び出すこと。研究室の片付けを手伝い、キャッキャとさんざめくヤングな若者たちを尻目に、本を壁棚から素早く下ろし、素早く結束して行く。そして縛り上がったものから、借り受けた台車に積み上げ、校舎内の廊下を静かに静かに運び、エレベーターで外に出て、急な坂をウンコラセ!と馬力をかけて押し上げて、駐車場の盛林堂号に積み込んで行く。
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本は重いが函入り&大判がほとんどなので、冊数はそれほどではないのが幸いし、一時間弱でスムーズに作業を終える。教授とヤングな若者たちに見送られて研究室を後にし、一路西荻窪へ。素早い行動が功を奏し、多少時間がかかりながらもヒドい渋滞に巡り会わずに帰還する。お店にふぅと落ち着くが、今日はこれまで一冊も古本を手に入れていないので、帳場に疲れた身体を沈めた小野氏に、「何か好みの本はないか?」とリクエストする。すると背後の未整理棚から抜き出したのは春陽堂書店 探偵双書「美しき山猫/香山滋」であった。「それはヒドいシリーズだよ。春陽文庫からの紙型の無理矢理な流用だし、奥付に日付けの記載はないし、日下さんちにたくさんあるし。三千円でどう?」「買います!」と言い値で購入する。
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そして家に帰ると「日本古書通信 2021年12月号」が届いていた。リレー連載『ミステリ懐旧三面鏡』は満を持して北原尚彦氏が登場。ケイブンシャの『ヒッチコック スリラー・シリーズ』について、思い出と論考を重ねておられます…おや?一ページで文章が終わらない…つ、次のページに一段分はみ出している!初っ端から飛ばしてるなぁ、北原さん。
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2021年12月13日

12/13途中下車して絶版探偵小説文庫を。

すっかり暗くなった夕方の高田馬場で仕事を済ませた後、西武新宿線各駅に乗り込みガタゴト…そうだ、新井薬師前駅前の「文林堂書店」(2008/08/04参照)がやっていたら、途中下車しようか。なるべく前の車両に移動して、駅に停まった時に見えるだろうか……くくぅ、駅前再開発の工事用フェンスが邪魔して何も見えん。なので思わず下車してしまう。家路を急ぐ人波に乗り、改札を抜けて小さな駅前へ出る。西の踏切方向へ向かうと、おぉ、やっているやっている。やはりこんな駅前至近に古本屋さんがあるのは、とても幸福なことだ。そして夜の昔ながらの古本屋さんは、殊更ノスタルジックで叙情的だ。そんな感傷に浸りながら、人々が行き交う至近で腰を屈め(なんたって工事用フェンスが背後に迫っているので、駅前は少し狭くなっているのだ)、店頭棚を注視して行く。店内には先客が二人おられたが、うまくタイミングを計らい、それぞれの進路を妨害せぬよう上手く立ち回りながら古本を眺めて行く。そして最終的に行き着いたのは、古本コックピット的帳場の前面に少し固まる、ミステリ文庫群。その中に以前から気になっている新潮文庫「ブルクリン家の惨事/コール 加島祥造訳」(昭和三十五年初版)があるのだが、帯ナシで少し傷み気味で三千円と言う安いは安いが微妙なお値段なので、いつだって躊躇してしまっていたのである。もちろんこの時も躊躇を継続させつつ『どうしようかなぁ〜』と己を説得する材料を探しながら、ちょっと手にしてみる。すると、うわっ!値下げされてる!三千円が千五百円となっている!半額だ!これなら躊躇せず買いますとも!と素早く店主に差し出す。「おっ」と、その無駄な勢いに意表を突かれた店主だったが、すぐさま立ち直り精算してくれた。う〜む、これは嬉しい。新潮文庫の、この本じゃなきゃ読めない絶版探偵小説の一冊だからね。途中下車して良かった。
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posted by tokusan at 19:00| Comment(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする