2017年10月13日

10/12「感情装飾」を「コクテイル書房」で読み耽る

昨日の話は、夕方に暑い外から帰って来ると、ヤフオクの落札品が届いていたところから始まる。封を切ると中から滑り出して来たのは、パラフィンに包まれた裸本である。背の下部の上皮が一部剥がれているが、それ以外は全体的に上々。表紙には粗いデッサン風の手の絵が、十三種ほど群青で刷られている。金星堂「感情装飾/川端康成」(大正十五年十月四版)である。嬉しい嬉しい1100円での落札。函ナシだし、復刻本は出ているし、小説自体は旺文社文庫で読めるのだが、やはり大正十五年の空気を封じ込めた元本の魅力は、とてつもなく絶大である。装幀を手掛けたのは、舞台美術家・吉田謙吉で、あの考現学の始まりの名著「モデルノロヂオ/今和次郎」の共著者でもある。しかも出版社は憧れの金星堂。この出版社の本を手に入れた時しなければならないのは、巻末の自社広告チェック!なぜなら幻想魔術師・イナガキ・タルホ単行本の広告が載っている可能性大だからである!パラパラと巻末に目を走らせると、2017/05/15に入手した「モダンガール」と同じ『一千一秒物語』の柱広告を発見。他には…とページを進めると、ぬぉっ!『星を賣る店』の一ページ広告がっ!と興奮が一気に最高潮に達する。
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真ん中にポツンと刷られた、三日月に煙草のもらい火をするシルクハットの紳士のシルエットも印象的だが、下の恐らく編集者が書いたであろう紹介文が、もうシュール過ぎる!『此の國際的魔術的作家は香り高いエヂプトの葉と嶄新な印度花火の多量とを以て精錬趣向を擬した巻煙草を製造し玩具のやうなお菓子のやうな綺麗なレツテルを貼つて賣出しました。どんな味がするか試しに一本吸つて見給へ!』…吸いたい!一本だけではなく、二本三本と!稲垣足穂の初期著作、「一千一秒物語」「第三半球物語」「星を賣る店」「鼻眼鏡」は永遠の憧れ古本であるが、まぁ大枚はたかないと手に入れるのは難しいだろう…ふぅ。そんな風に特殊な大正時代の終りに心を飛ばしながら、いつの間にか午後七時が近づいているの気付き、慌ててビーサンを足に引っかけ、暗くまだ暑い表に飛び出す。二十分後、高円寺「コクテイル書房」(2016/04/10参照)のカウンター席に久々に尻を乗っけている。大阪での古本販売でお世話になっている「梅田蔦屋書店」の古書コンシェルジュさんが上京しているので、ここで落ち合うことになっているのだ。だが、待てど暮せど現れないので、持参して来た「感情装飾」の文章にアルコールとともに酔い痴れる。二ページ〜五ページほどの掌篇が三十六収録されている。たちまち十三篇ほど読み進め、柔らかで削り取られた物語の中に、光る宝石のように埋め込まれた新感覚派的文章表現に、何度も鳥肌を立ててしまう。あぁ、今日俺は、ここでこの文章群を読むために過ごして来たのだな…などと大いに勘違いしてしまうほど、コクテイルのカウンターで若い川端を読み耽る。その後はすっかり先に酔っ払った状態で、隣りに腰を下ろした古書コンシェルジュさんと久闊を叙する。
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2017年10月11日

10/11再び叢文社の日本小説文庫に遭遇する。

家でみっちり仕事をしながら、合間に素早く古本に関して動きを見せる一日。早起きして第一弾の仕事を終え、霧がすっかり薄まり靄に変わった街を歩き、荻窪「ささま書店」(2008/08/23参照)を定点観測する。新潮社「浮気のすすめ/吉行淳之介」早川書房 日本SFシリーズ5「人間そっくり/安部公房」を計432円で購入し、すぐさま家に引き返す。集中して続いての仕事にメドをつけ、昼食を終えた後、地味に進めている蔵書整理の一環として、二十年ほど前によくカバーデザインしていたゲーム攻略本を百冊弱結束し、ゴロゴロカートでどうにか引き摺り中野の「まんだらけ三階買取処」に持ち込む。普通の古本屋さんでは、ゲーム攻略本など恐らく二束三文の買い取りとなるであろうが、ゲーム関連ショップ「MANDARAKE GYARAXY」(2011/06/09参照)を有するここならば、ある程度しっかりした特殊な査定を行ってくれるはずだ、との目論んでの行動である。指定されたレーンの上に本を積み上げると、査定はスムーズに進み十分ほどで終了。中には値の付かぬ本もあったが、案の定七千円・三千円などの高価買取攻略本が出現し、大いに喜び面食らう。今日持って来られたのは半分ほどだから、また近々持ち込むことにしよう。懐を暖かくして、せっかくなので『ブロードウェイ』内を見て回るが、特に収穫はナシ。そう言えば森英俊氏から、四階に古本も並べている「まんだらけ」新店舗が出来たと聞いていたので探してみるが、残念ながら見つけられず終い…これは後日正確な情報をインプットしてチャレンジしなければ…。結局『ブロードウェイ』を突き抜けて『早稲田通り』に出て、そのまま「古本案内処」(2015/08/23参照)に飛び込む。店頭の新書&文庫棚ともに古めの本が並んでいる素敵な景色。所々の棚脇には、結束した本が積み上がる光景…どこかで見た感じが…そうか、出身の「ささま書店」と同じスタイルなんだ!と気付いて腑に落とし、木村書房 コンサイス科学叢書82「温泉と地獄」(昭和九年刊の文庫サイズ科学写真集。巻末の自社広告の書き出し、『何と素晴らしい可愛らしい本でせう。』というのが奮っている。それしても凄いタイトルだ)叢文社 日本小説文庫「近代異妖篇(綺堂讀物集)/岡本綺堂」を計432円で購入する。以前沖縄の「ちはや書房」(2013/10/22参照)で購入したことのある「近代異妖篇」だが、姿形は春陽堂文庫にそっくりでも、やはり叢文社出版となっている…不思議だ。装幀はほぼ同じで、表1の飾り枠の中が通し番号ではなく『叢文社』の略である『SBS』となっている。裏表紙の春陽堂鳥マークは、お腹に書かれているはずの“春”の字が塗り潰されてしまっている。表の『日本小説文庫』の手書き風文字も、春陽堂のものと見比べてみると、似ているが違うものであることが判明する。おまけに奥付の検印紙には『BOKUSUI SHA』(『墨水社』であろうか)となっているではないか。もう何が何だかわからんぞ!戦後のドサクサで紙型がどうにかして譲り渡され、出版されたものなのだろうか?それとも『春陽堂書店』が一時期だけ社名を変えて出版していたのだろうか…だが、なぜここまでそっくりなんだ!
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2017年10月09日

10/9二作目なんてあったっけ?

昨夜からブログサービスに障害が発生していたようで、アクセス出来ない状況が長々と続いていたが、どうやら復旧。ということで、どうにか今日のブログもアップ出来るというわけである。「古書ますく堂」さん(2017/07/26参照)から「明日は東急池上線が1日無料です。あの沿線の古本屋巡りをされるならまさに最適な日ですね」という間接的タレコミメールが届いていたのだが、その優しさに応えることが出来ずに、今日は上北沢に流れ着く。下北沢に行きたくて、上北沢と下北沢は、歩いて行けるほど近いのか調べてみると、残念ながら四キロほど離れていることが判明したので、観念して電車で向かう。いつ来ても祭的賑わいを見せる街路を擦り抜け、まずは「ほん吉」(2008/06/01)へ。西東社「シティ・サバイバル/さいとう・たかを」(1995年発行の、巨大地震をサバイバルするコミック・ゲームブックである)学研少年少女ベルヌ科学世界名作全集「うごく島の秘密」を計200円で購入し、続いて『タウンホール』前で『茶沢通り』を素早く横断して「古書ビビビ」(2009/10/15参照)へ。店頭棚前でさんざめく女子たち越しに、熱い視線を古本に注ぎ、彼女らに眉根を寄せた不審の表情を発生させてしまう。賑わう店内では、世田谷ピンポンズさんが、ヘビー・ヘビーローテーションされているが、結局店頭に置かれた古い映画パンフを漁り、東宝株式会社「ソイレントグリーン」松竹株式会社「男はつらいよ 噂の寅次郎」(第二十二作で、マドンナは大原麗子)を計200円で購入する。実はこの「男はつらいよ」のパンフが欲しかったわけではないのだ。中に挟まっていた物に意表を突かれてしまったのである。それは当時の同時上映だった、吉幾三主演の松竹映画「俺は上野のプレスリー」のパンフレットならぬプレスシート!ふ〜む、「俺は田舎のプレスリー」の第二弾が製作されていたとは…知っていたのかもしれないが、完璧に忘れてしまっている。とてもインパクト大だったので、能天気な吉幾三&早乙女愛の切り抜き写真が印刷された表紙を路上で露出し、お店をバックに撮影する。イヒヒヒ、ビビビさん、おかしな物をありがとうございました!
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そして「さすらいの十年展」も後半戦に突入し、残すところあと一週間!未見の方は、どうにか時間を捻出してのご観覧を、何とぞ何とぞよろしくお願いいたします!
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2017年10月08日

10/8“古本”の看板を遠望する。

今日は擬スペイン風&擬地中海風&擬欧風建物が寄せ集まる猿楽町辺りに流れ着く。すっかり日も暮れているが、先ほど偶然見かけた『桜丘郵便局交差点』脇のブックカフェを見に行くことにする。どうも入口脇では、小規模だが古本を販売している気配なのだ。だがたどり着いてみると、まだ午後六時なのに店内は真っ暗闇であった…早く閉まってしまったのか、それともお休みなのか。取りあえず脳内古本屋地図にこの場所を刻み込み、坂を上がって渋谷駅方面に向かうことにする。円形の滑り止めが刻印された急坂を、上がって下って、駅近くの『玉川通り』に架かる、井桁型の歩道橋の階段を上がる。こうなったら「古書サンエー」(2008/07/24参照)か。そう決めて歩道橋を北側から東に回り込むと、すでに跡形もない『東急プラザ』の敷地越しに、目映い歓楽街の灯りが煌めいている。おっ、良く見ると「サンエー」の緑色の電飾“古本”看板も、その煌めきに力を貸しているではないか!
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地上に下りて敷地をぐるっと回り込み、お店が見える部分にたどり着くと、看板は輝いているのだが、シャッターはがっちりと下ろされてしまっていた…そうか、日曜が定休日であったか…宮益坂上の二店と同じであったか…。そんな風に、華やぐ夜の渋谷の街に見放され、電車に乗って阿佐ヶ谷へと逃げ帰る。すぐさま北口小アーケード街の「千章堂書店」(2009/12/29参照)店頭に食らいつき(あぁっ!お店の脇に『さすらいの十年展』ポスターが貼られ、チラシもぶら下がっているのに気付いてしまった。酷く恥ずかしいが、とてもありがとうございます!)、左の岩波・ちくま・講談社文芸・中公文庫ゾーンから、ちくま学芸文庫「なぜ。植物図鑑か 中平卓馬映像論集/中平卓馬」を500円で購入する。
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2017年10月07日

10/7かりそめの神保町ツアーコンダクター!

恥を忍んで開催中の『さすらいの十年展』を記念して、『古ツアと行く神保町体験ツアー』を本日敢行!昨夕から降り始めた結構激しい雨に、どうなることかと大いに気を揉んだが、午後になって雨はあがってくれたので、傘を差さずに神保町を巡れることに、ホッと胸を撫で下ろす。よし、今日は裏方に徹し、参加者のみなさんにとって古本塗れのよい一日にするぞ!…だがやはりツアーコンダクターになる前に、身に付いた性として、当然神保町を鵜の目鷹の目でパトロール。「日本書房」(2011/08/24参照)で講談社「親しい友人たち/山川方夫」(昭和四十年カバー版)を100円で購入し、「神田書房」(2012/02/16参照)では徳間書店「戦後初期日本SFベスト集成1/横田順彌編」を同じく100円で購入する。途中「山口書店」(2012/02/03参照)が店舗解体中なのに出くわし、面食らう。廃業だろうか、それとも跡地に新しい店舗を建てるのだろうか…今後の動向に気をつけなければ…。
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『靖国通り』を東進し、結局本日のツアーの出発点ともなる『東京古書会館』の地下に忍び入り、「城南古書展」へ。正午前であるが、開催二日目とあって非常に落ち着いた雰囲気である。「青梅多摩書房」(2013/02/16参照)の棚から越後屋書房「百万の目撃者/蘭郁二郎」(背表紙&裏表紙ナシで記名あり)光風社「赤い十字路/戸川幸夫」をともに1000円の計2000円で購入し、この時点ですでに役目を果たした錯覚に陥ってしまう。だが、ここで燃え尽きてはお集りのみなさまに大変失礼なので、そのまま会場である七階に上がり、まずは本日のプレゼントである展示物のひとつ、「青銅の魔人」の読書感想文をカラーコピーし、署名落款作業に従事する。

午後二時過ぎにイベントはスタート。まずは古書会館七階で軽く古本屋&神保町について焦り気味に話した後、いざ世界一の古本の街へ!コースは「三茶書房」(2010/10/26参照)からスタートし、そのまま『靖国通り』を西進。路面店について大声で解説しながら、「玉英堂書店」(2010/10/31参照)「一誠堂書店」(2010/03/27参照)「大雲堂書店」(2009/10/06参照)を店内まで巡り、『すずらん通り』を引き返して、最後に『三省堂書店』「三省堂古書館」(2012/11/21参照)でお買い物、というものである。さすが馳せ参じた十二人は(一人はなんと北海道から!)、こんなマニアックなイベントに応募して来ただけあって、古本屋に入った途端に店内に四散し、無言で本を探し手に取り、気に入った本が見つかれば購入する、もはや手間入らずの立派な古本修羅たちなのである。というわけでかりそめのツアーコンダクターを務めつつも、ある程度気楽に過ごすことが出来たので、みなさんを放置して、ブログのネタとしてどさくさに紛れて以前から気になっていた物たちを、本日の立場を最大限に利用して、写真に収めて行くことにする。最初は「三茶書房」で、毎回お店に入る度に目を奪われる『古書買受』と書かれた黒い三角錐!
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校長先生とか、偉い人の机にかつて置かれていたアレである。これを見ると即座に連想してしまうのは、京極夏彦の、民俗学探偵小説『京極堂シリーズ』で活躍する旧華族探偵・榎木津礼二郎が神保町に開いた、『薔薇十字探偵社』の机上に置かれた、『探偵』と書かれた三角錐である。息がかかるほど至近距離でためつすがめつ眺め、しばし任務を忘れて己の幸せにどっぷりと浸る。続いて「玉英堂書店」では、二階の著名作家の直筆原稿や色紙や短冊などがひしめく帳場横の壁に貼られた、本郷在店時代の小型店名ビラ。
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なんとその当時は「玉英堂書店」ではなく「玉英堂 齋藤書店」だったのである。う〜む、まさにお店に歴史ありの一枚。さらに続いて、今でもお店に入る度に緊張してしまう「一誠堂書店」で、常々『格好良いな、素敵だな』と感じていた、店員さんに支給されるユニホームである、胸に「一誠堂」の刺繍入りジャケットを接写!
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まさか、撮らさせてくれるとは、夢にも思いませんでした。今日は、今日はとても幸せな日です…。

その後は古書会館に戻り、広報さんが調達してくれた『近江堂洋菓子店』のガレットやマドレーヌに舌鼓を打ちつつ、しばし歓談…と思っていたら、これが予想外に長引き、「ビブリオ」(2010/10/03参照)小野氏を交えた古本&古本屋話で大いに盛り上がってしまい、延々と続きそうになったので午後五時前に強制終了となる。ご参加のみなさま、三時間の古本屋塗れ、おつかれさまでした!そして古書組合の広報のみなさまと、店内を快く見学させてくれた古書店に多大なる感謝を!
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というわけで本日の嬉しい収穫はこの二冊。蘭の「百万の目撃者」は、傷んでいても千円ならとても嬉しい。これはあの人に頼んで、もうちょっとマシな姿にお化粧してもらおう。昭和五年刊の「暗黒アフリカの聖者 リビングストン」は値段通りの価値であるが、探検モノ好きとしては見逃せない一冊なのである。
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2017年10月05日

10/5露卯蘭?

夕方に三鷹台の南側に流れ着く。以前のように「獏の店」(2015/08/10参照)の様子でも…と一瞬思ったが、思い直して古本とは全く関係ない、たまたま見かけて気になっていた小さなお店を見に行くことにする。駅踏切からちょっとだけ南下し、すぐの大きな脇道を西に進む。そこからしばらく歩き、あるかないかわからぬような商店街が途切れる所に、その気になるお店はやはり気になる感じで路上に店内の光を投げ掛けていた。
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店名は何処にも見当たらない、日除けは破れ気味で、建物の半分には蔦が絡まっている。大きく採られたウィンドウから見えるのは、小さな店内の小さな三段のショウケースに並ぶ、懐かしさ満点の洋菓子である。中に入るが、誰も出て来ない。なのでしばらくウィンドウの向こうのケーキたちを、じっと品定めする。大きなパウンドケーキ類以外は、だいたい200円〜350円。ちょっとだけ悩み、結局オーソドックスに、200円のプリンとエクレアを買うことにする。奥に声を掛けると、か細い声がすぐさま応え、ご婦人が一人出て来た。注文を伝え、箱に詰めてもらっている間に、初めて店内を見回してみる。すると驚くことに、ウィンドウ脇の高い所に大きな扁額が掛けられており、『露卯蘭 米寿 実篤』と墨痕鮮やかにしたためられているではないか。ここは実篤お気に入りのお店だったのだろうか…そしてこれが店名なのだろうか…“ろう・いん・らん”…いや、“ろ・う・らん”か。実篤のおかげで、洋菓子への期待が否が応にも倍増!達人のようなお店の佇まいに加え、作家に所縁あるお店と言うだけで、浅ましくも条件反射のように名店だと思い込んでしまうのは、いつものことなのである。その時包装が終わったので、代金を支払い箱を受け取ると、その上部は薄いアート紙に赤一色で図柄が刷られた、可愛いく古めかしい掛け紙で包まれていた。そこには『洋菓子店 ローラン』の文字が。おぉ、このお店はやはり『ローラン』と言う名か。そんな風にしばしの間、昭和的空間で昭和的洋菓子を購う、慎ましい幸福にとぷっと浸る。そのまま気分よく井の頭公園を抜けて吉祥寺まで歩き、このままでは『古本屋ツアー・イン・洋菓子店』になってしまうことを危惧して、夜の「よみた屋」(2014/08/29参照)に慌てて立ち寄る。表で一冊、店内入口横の50均文庫棚から一冊抜き取り、店内を探索する。手前通路右から二番目にある探偵小説棚はなかなか濃厚。十冊弱集まる値段しっかり目の日本小説文庫&春陽堂文庫が蠱惑的である。第三通路の児童文学棚も古書と裸本を交えており、何冊も手に取ってしまう。あっ!奥のガラスケースが無くなり、未整理本置場と化している!などと小さな動きにいちいち敏感に反応した後、鳩の森文庫「つくってあそぼう折り紙 その理論と発展/鳥居昭美編著」出帆社「汚れた顔の天使 ジェームズ・ギャグニー自伝」を計150円で購入する。電車に乗って家に帰り、待ちに待って晩ご飯後に食べた、エクレア(なんとチョコクリーム!)とプリンのおいしいことおいしいこと。よし、次回はケーキにチャレンジしてみよう。……結局洋菓子の話ですみません…。
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2017年10月03日

10/3東松原でバラバラな三冊を買う。

今日は代田の谷間に流れ着く。すぐ隣りの下北沢に行きたいが、火曜は「ほん吉」(2008/06/01)も「古書ビビビ」(2009/10/15参照)も定休日である。ならばと若者の街に敢然と背を向けて、谷から這い出て環七を越え、右側の井の頭線線路を意識して住宅街をニュルニュル進み、東松原に顔を出す。おぉ、駅からすぐの「古書瀧堂」(2014/05/01参照)は頼もしく営業中である。店主が常に磨き上げている、渋く知と好奇心とが鈍くギラリと輝く三通路の棚は、古書を交えて独特なお店の雰囲気を練り上げている。外棚では、100円の講談社「猟人日記/戸川昌子」の何故か奥付の重版版数が削り取られた一冊を引き出すと、元本はおよそ二十ページごとにストーリーに合わせたイメージ写真が挿入されているのが目に留まる。斬新な印象を受けたので小脇に抱え、文庫棚では200円の新潮文庫「日夏耿之介詩集」を選び取る。そして最後に絶版漫画棚で、TOMOコミックスが安値の500円で二冊並んでいるのを発見。迷った末に「マラコット深海/原作A・C・ドイル 劇画桑田次郎」を選択し(もう一冊は帯が付いているが、表紙&帯ともにメキョメキョッと折目が付いている石森プロの「自殺クラブ」である)、相変わらず超超丁寧な精算対応で、なんだかバラバラな三冊を計800円で購入する。変哲なく、既知の古本屋さんで古本を購入しただけなのだが、充分満足してこの辺りから帰る時のお決まりのコースとなっている、浜田山駅まで出てコミュニティバス・すぎ丸で阿佐ヶ谷へと帰還する。
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この「マラコット深海」、奥付では加納一朗が“翻案”となっているが、見返しの桑田次郎の『ひとこと』では「この劇画は原作どおりではない。同じテーマで、わたしならこう描くというつもりで脚色してみた」とある。加納一朗の翻案をさらに脚色したのか、それとも加納一朗翻案は取りあえず名前だけで、桑田次郎が原作からダイレクトに脚色したのか…本当にどうでもよいのだが、ちょっと気になってしまう。
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2017年09月29日

9/29午後七時、展示準備完了!

土曜日からいよいよ始まってしまう「さすらいの十年展」展示物の第二次搬入+展示場作りのために、午前十時に御茶ノ水駅に到着する。気合い充分に坂道を下り『東京古書会館』へ…と決めていたのだが、『駿河台下交差点』の向こうから、遥かなる古本の呼び声が聞こえて来るではないか。そのまま古書会館への道を素通りし、横断歩道を二度渡って、古書組合の広報さんを裏切るように、神保町に入り込んで行く。やがて「田村書店」(2010/12/21参照)前にたどり着くと、すでに古本修羅だかりが発生している血の騒ぐ光景。すかさず近寄り、重い荷物を地面に置いて、100均箱に手を掛ける…さほど欲しいものは見つからないが、古い文学本が混ざるのに、古本アンテナがビクビクと反応する。箱に素早く見切りをつけて、店頭右側の安売ワゴンに取り憑く。すると、函入り本の上林暁が何冊か安値で放出されているではないか。ぐむっ、函の背が抜けてなくなっているが、昭和十七年の文学随筆集、文林堂双魚房「小説を書きながらの感想/上林曉」が300円!ぐむむっ、その下からは函ナシだが昭和十五年の短篇集、砂子屋書房「夢ありし日/尾崎一雄」が出て来た。これも300円だ!と『早起きして神保町に向かうのは三文の得』を体感し、桃源社「平賀源内捕物帳/久生十蘭」とともに計700円で購入する。「小説を書きながらの感想」は双魚房良書の3番で、裏見返しには蒲田東六郷にあった古本屋「七辻書店」のラベルが貼り付いていた(後で調べてみると、京急糀谷駅近くには、七叉路の『七辻交差点』が存在する。お店はこの近くにあったのだろう。それにしてもいい名前だ)。古本の呼び声に導かれたのは、大正解というわけであった。
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嬉しい収穫をそっと鞄の中に隠し、今度は本当に慌てながら古書会館へ急行する。受付に挨拶をし、二階の情報コーナーへの階段を上がり、まだ何やら修理作業中の広い空間にたどり着く。広報さんと簡単に今日の作業行程を打ち合わせ、作業終了するのを見計らい、一気に展示場作りに突入する。まずはガラスケースを所定の配置に移動してから、パネル作りを進めながら、大量の展示物を試しにケースに収めて行く。とても地道な作業である。個々の感覚やバランスと、全体のバランスと、最終的な姿を予想し、微調整を繰り返しながら、ひたすら紙くずのような物たちを、ケース内に移動させる…こんなの本当に人は喜ぶのだろうか?当初からの疑心暗鬼に囚われながらも、それでもケース内に収めると、なんだか立派な物に見えて来るので、人間の心理と言うものは実に単純なのだなと、手をひたすら動かしながら考える。だが根を詰めて作業を続けていると、動きは小さく力仕事でもないのにとにかく消耗が著しいので、気晴らし&昼ご飯を摂りがてら一旦外出し、ついでに本の雑誌社にも立ち寄り、ひとつの打ち合わせをスピーディーに完遂。午後三時に帰館する。そこからまたひたすら展示物を並べる作業に没頭する。結局ガラスケースを拭くまでの、すべての作業が終了したのは午後七時…でも、でも、でも、これで会場は完成!文化祭の如き手作りな展示ではあるが、どうにか「古本屋ツアー・イン・ジャパン」の開始から十年のさすらいの歴史を、かろうじて感じ取りたどれるような、古本屋塗れの小宇宙が出現したはずである!明日からの二週間強、この他愛なくささやかな展示を、どうかみなさまよろしくお願いいたします!
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『古本屋ツアー・イン・ジャパン さすらいの十年展』
■9月30日(土)〜10月16日(月)
■10時〜17時 日曜・祝日休館
■東京古書会館 2F 情報コーナー 
■東京都千代田区神田小川町3-22
http://www.kosho.ne.jp

『小山力也と行く神保町体験ツアー トーク&ガイド』
■10月7日(土)
■最大12名 先着順 申込み制
■14時〜16時(予定)
■参加費1000円
■トークイベント(30分程度)後、小山さんに神保町を案内して頂きます。
※こちらは満員御礼となりました。
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2017年09月27日

9/27「さすらいの十年展」第一次搬入を行う

リュックに大量の紙を詰めて背負い、両手にも紙類を詰めたバッグを携え、午後に駅へと向かう。いよいよ9/30(土)から始まってしまう古本屋ツアー・イン・ジャパン最初で最後の展示になるであろう「さすらいの十年展」展示物の、第一次搬入を行うためである。途中、大きなリュックを背負い大きなサーフボードを抱えた、髪をお団子に結わえた小麦色の少女に、いとも容易く追い抜かれる…同じような格好で、同じように重いものを持って駅へと向かっているのだが、何だか見ている方向も生き方も全然違う気がする…。そんなことを瞬時に感じ、遠ざかる少女の背をぼんやり見つめながら、こちらは古本修羅のオーラを背から立ち上げて駅にたどり着き御茶ノ水へと向かう。『明大前通り』の坂を下り「東京古書会館」にたどり着くと、日常業務を粛々と行っている、とても静かな館内である。ひとまず受付前に荷を下ろし、広報の方と展示を行う二階の情報コーナーを実見する。うぉ!壁内に設置された巨大エアコンの修理中で、床には養生シートが貼付けられ、ガラスケースはすべて右側に寄せられてしまっている…こ、こんな状態で展示に間に合うのだろうか。
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修理は金曜までには終わるらしいので、その一日をこのコーナーに籠り、一気呵成に会場を仕上げるつもりなのであるが。まぁとにかく、金曜の展示物第二次搬入時に、去就ははっきりしているだろう。ひとまず六階に荷物を運び上げ(エレベーター前で「紙ばかりなのに、なんでこんなに重いんだ」と呟いたら、「ビブリオ」(2010/10/03参照)小野氏にすかさず「紙だから重いんですよ」と返される)、色々打ち合わせをする。

その後は軽く神保町を彷徨い、「日本書房」(2011/08/24参照)で学研中学三年コース昭和39年12月号第3付録「ヨットに乗った殺人者/G・ギャスキル原作 水沢伸六文」を300円で購入し、水道橋から一旦家に引き返す。雲行きがどうにも不穏な夕方に再び外出し、中野で用事をひとつこなした後、「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)で新潮社「空の旅・地の旅/鈴木文志朗」(函ナシ。昭和四年刊の東京朝日新聞連載記事をまとめたもので、新聞社航空部のサルムソン機で日本を上空からルポ。本には中落合にあった古本屋さん「新松堂書店」の手書き値段帯が挟まっていた)を108円で購入し、さらに二階の「古書うつつ」(2008/06/18参照)では潮文社新書「神秘術とは何か 催眠術から占いまで/イスマ・ヴィスコ」を100円で購入する。再び家に帰り着くと、ポストにヤフオク落札物が届いていた。それは大正十年刊、65mm×94mmで28ページの、小さな小さな探偵小説である。池川商店出版部 小供文庫第一編「探偵小説 覆面の鬼/浦上鷺洲」。多少の小競り合いはあったが、程よい値段で落札出来た。紙の色が経年変化しているだけで、デッドストック物のようにキレイである。造りは駄玩具的豆本なのだが、妙にちゃんとした書籍っぽいのが気になるところ。本は糸でしっかり綴じられ、本格的な奥付もしっかり存在し、表4は小供文庫シリーズの広告に充てられている(第四編の“小説”とある「呪ひの手」も気になる一冊!)。物語は、仏蘭西に横行する極悪非道な覆面強盗団の謎を、犬を連れた名探偵ハーマードが追いかけるというもの。まぁ全28ページで、一ページ17W×7Lしかないのだ。一直線な展開は、推して知るべしである。
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表紙の人物が名探偵ハーマードであろう。
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2017年09月26日

9/26「怪盗ラレロ」に理性を盗まれる。

今日は入間に漂着…とは言っても埼玉ではなく、仙川と成城に挟まれたれっきとした東京の調布市の一部である。一瞬成城学園か祖師ケ谷大蔵に出ようかと思ったが、「文紀堂書店」(2015/03/31参照に行きたい気持ちがムクムクと大きくなってしまったので、キラキラ日を照り返す野川を背にして、駅に向かって歩いて行く。途中の道路上で、烏とカマキリが闘うリアルな『昆虫物語』に手に汗を握り(追いすがる烏の嘴を鎌で撃退するカマキリ!だが、所詮虫が大きな鳥類に敵うわけはなく、その命は風前の灯火に!すると突然そこに車が通りかかり、烏は慌てて飛び立ってしまった。車が通り過ぎた後の道路に残るのは。まだ両の鎌を高く揃えて戦闘態勢を取っている、緑のカマキリの姿のみ…)、どうにか「文紀堂書店」に到着。今日の店番はご母堂のようだ。フムフムと、ちょっと棚の入れ替わった雰囲気を楽しみながら、奥へ奥へと進んで行く。やはり注目すべきは、帳場両側の古書を含む棚だろう。左の詩集類も見応えあるが、右には塔晶夫「虚無への供物」がちゃんと帯付きで一万円!「世界のスチュワーデス」も気になるなぁ…。裸本の「怪人二十面相」が千円か…あっ!ラレロ!「怪盗ラレロ」のかなりキレイな元本があるじゃないか!セロファンに包まれた本を素早く棚から取り出し、値段を見ると5000円…本としては高いのだが、ラレロとしては安いっ!と矛盾した衝撃を受ける。う〜む、う〜む、う〜む、う〜む、う〜む、う〜む、う〜む。う〜む、う〜む、う〜む、と悩みながら店内を一周した挙げ句、当然の如く思い切って買うことにする。…まるで安値のラレロに、理性をあっけなく盗まれてしまったかのようだ…と心を落ち着かせるために、卑怯にも衝動買いをラレロのせいにしてみたりもする。だが、とにかく嬉しいのだ!買ってしまったからには、この新たな箱入児童文学本(優等生児童文学ではなく、胡散臭いダメな方だが…)の幸福性を(2016/12/26「箱入り児童文学本の幸福性について」参照)、喜んで迎え入れることにしよう!講談社「怪盗ラレロ/加納一朗」を購入する。
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手に心地良い重さと物質感を誇る、五十年の長い時を越えて来た箱入り児童文学本が、夕陽をバックに美しく輝いているじゃないか…。
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2017年09月24日

9/24恐るべき展示のポスター&チラシを携え知り合いの古本屋さんを行脚する。

不必要にドギマギしている。今日は頑張って「さすらいの十年展」の宣伝を兼ね、出来上がって来たポスターとチラシを、知り合いの古本屋さんに渡して来なければならないのだ。引っ込み思案で内弁慶で、社会人として不適格な私にとっては、なんとも言えず苦手な行為なのである。だが、それでも展示を少しは成功させるために、努力しなければならないのだ!と覚悟を決めて昼食後に外出。テクテク歩いて最初に向かったのは高円寺の「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)である。店頭棚を吟味していると店主の粟生田さんが「こんにちは」と現れ、しばし「中央線古書展」の話などする。よし、これでちょっとお願いしやすくなったぞ。と三冊をつかみ店内に突入。さらに店内50均文庫棚から一冊抜き出し精算をお願いする。文藝春秋「マリリンモンロー・ノー・リターン/野坂昭如」青樹社「弔辞大全 レクイエム57 1・2」ともに開高健・編、集英社文庫「乙女島のおとめ/田中小実昌」を計350円購入しつつ、チラシを置いてもらえないかお願いする。すると「あ、古書会館で見ました〜。でも何を展示するんですかぁ〜」と当然の質問が返って来た。「いや、取材ノートとか、店内の見取り図とか、色々です…」とあやふやに答えると「うわぁ〜、自分が書いた字、人に見られるの恥ずかしいですよね〜」と素敵な話に発展。確かに私の書きつけた文字は、サイコな連続殺人犯が書き残したノートみたいなので、人様に見せられるもんじゃないんです!とこっそり思いながら同意する。と言うわけで、無事にチラシを託してお店を離れる。そのまま高円寺駅に向かい、休日の総武線で西荻窪へ。ここではまずはお馴染み「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に向かい、出来上がった盛林堂ミステリアス文庫新刊「怪人ジキル/波野次郎」を受け取りつつ、ポスターとチラシを渡すと、実はすでに東京古書組合から届いていたらしく、ピラリと広げられたポスター返しを食らってしまう。店主・小野氏には積み上がった本の間に横たわる写真を大いに笑われ「ちゃんとした写真、お店で撮らせて上げたのに」と言われるが、時すでに遅し!次の機会に何かあったら、ぜひとも利用させてもらおうと、心のメモにその言葉を刻んでおく。さらに氏からは、大森「山王書房」の古書店ラベルいただき、大喜び。関口正雄氏が鉛筆で書いたであろう書名は、上林暁の「珍客名簿」600円である。安い!
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写真は復刻の希書!「怪人ジキル」と「山王書房」古書店ラベルのあり得ぬ組み合わせである。
続いて高架下を潜って「古書音羽館」(2009/06/04参照)に赴き、店頭棚を必死に眺めていると、「ジャジャ〜ン」と言いながら店主・広瀬氏がニヤニヤして「さすらいの十年展」のポスターを手に入口から姿を現した。こちらにもすでに組合から届いていたのか…あぁっ!恥ずかしい!だがそれでも勇気を出して、さらにポスターとチラシを渡し、厚かましく宣伝をお願いしておく。するとすぐさま入口扉にポスターを貼付けてくれた。大変ありがたいことであります。あぁ、でもやっぱり恥ずかしい!そんな風に、嵐の海に浮かぶ小舟のように心を揺らしながら、中公文庫「ジゴマ/レオン・サジイ 久生十蘭訳」を400円で購入する。
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さらに三鷹に向かい、「水中書店」(2014/01/18参照)で山梨シルクセンター出版部「取経譚/天沢退二郎」文春新書「三遊亭圓朝/矢野誠一」を200円で購入しつつお願いしようとレジに向かうが、残念ながら店主・今野氏の姿が見えない。ちゃんとした大人ならば、バイトさんに姓名身分を明かし、ポスター&チラシを手渡しつつ今野氏への伝言をお願いするべきなのだが、愚かにも言い出す勇気なく古本を買っただけでお店を後にする…俺のバカ!そして最後は阿佐ヶ谷に戻り「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)へ。表でイレギュラーに古道具などが売られているのに驚きつつ、ついついVHSビデオ箱に興味を示してしまい、徳間コミュニケーションズ「名探偵ホームズ劇場版」を手にして店内へ。帳場に向かうと、そこにはマスクをした風邪っぴきの店主・天野氏。ビデオを103円で購入しつつ、ポスターとチラシを託すと、奥から現れた奥さんとともに広げたポスターを見て呆れ笑い。いや、そんな風に笑っていただけるだけで、このポスターを作った甲斐があるというものです。そんな風にどうにか使命を完遂し、ようやく家へと帰り着く。というわけでみなさま、展示と神保町ツアーを、引き続きよろしくお願いいたします!

『古本屋ツアー・イン・ジャパン さすらいの十年展』
■9月30日(土)〜10月16日(月)
■10時〜17時 日曜・祝日休館
■東京古書会館 2F 情報コーナー 
■東京都千代田区神田小川町3-22
http://www.kosho.ne.jp

『小山力也と行く神保町体験ツアー トーク&ガイド』
■10月7日(土)
■最大12名 先着順 申込み制
■14時〜16時(予定)
■参加費1000円
■トークイベント(30分程度)後、小山さんに神保町を案内して頂きます。
※お申し込みは展覧会会場かこちらのホームページからどうぞ。http://www.kosho.ne.jp/tour/index.html
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9/23古本屋さんの軒先に紙垂

昨日は午後五時半過ぎの世田谷区松原辺りに流れ着いたので、明大前に行こうか下高井戸に行こうか、それとも世田谷線に飛び乗って、豪徳寺まで出てしまおうかとしばし悩むが、結局オーソドックスに下高井戸に向かうことにする。すると駅周辺の商店街には、賑やかなお囃子が流れる、秋祭りの光景が広がっていた。人波を掻き分けて、駅前踏切を北に渡って、市場商店街のゲートを潜って、早暮れなずむ街の古本屋さん「豊川堂」(2016/07/04参照)に入り込む。…ふぅ、やはりこの古本屋然とした空間は、心地良く落ち着けるな…。静かな店内の空気を引っ掻き回さぬよう、息を詰めて棚を眺めていると、時折店の前を通る地元民の足音と衣擦れの音が聞こえ、思わずそちらに目をやると、ガラス窓の向こうは店の灯りに照らし出された暗闇で、まるで舞台を横切るように人の姿が過って行く。しばしうっとりしながら、完全に古本を買いに来たのではなく、“古本屋”という空間をただ楽しんでいる己をそこに発見してしまう…。だから慌てて岩波文庫「LIVING TOKYO 東京に暮す 1928-1936/キャサリン・サンソム」を300円で購入する。そのまま文庫本を受け取り表に出ると、秋祭りのためか、軒先には紙垂が下がり、色鮮やかな造花も取付けられていた。
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そんな特別な日の古本屋さんの写真を一枚撮って、阿佐ヶ谷へ戻る。帰り道の北口商店街「千章堂書店」(2009/12/29参照)ではアミューズエデュテインメント「物には心がある。田中忠三郎」を100円で購入。生活から消え行く民具を全人生を懸けて蒐集した誇り高い男のエッセイ集である。2009年出版だがこんな本知らなかった。ありがとう千章堂さん!ようやく家に帰ると、出来上がった展示のポスターとチラシ(改めて見るととても気恥ずかしい…)が届いているではないか…日曜はこれを携えお店を行脚するか…。
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2017年09月22日

9/22小型本家庭内比較浅薄論考

外出はしたのだが、雨に祟られてしまったので、古本屋さんに寄ることもなくスゴスゴと帰宅する。だが気分を落ち込ませることなく、濡れた服を着替えて始めたのは、昨日手に入れたばかりの、柿色市松模様の山本文庫を読み始めること。買ってから何度も優しく手にしているが、薄くて小さくて儚くて愛おしい小型本である。現代の通常の文庫本は、105mm×150mmほどが標準サイズだが、山本文庫は95mm×135mmと二回りほど小型なのである。いつかは同文庫にラインナップされている、佐藤春夫譯(本当は平井呈一譯)の「吸血鬼/バイロン」(本当はポリドリ作)を手に入れたいものだが、あからさまにド高嶺の花なので、今は我が手の文庫で我慢我慢…。ふと思うのは、昭和十一年刊なので、同時代の日本小説文庫や岩波文庫や新潮文庫は105mm×157mm〜159mmの、少し背の高いトールサイズが主流である。果たしてこの時代に、同じようなサイズの本は出版されていたのだろうか?そんなことを気にしてはみたが、今確かめる術もなく、また調査して掘り下げる真面目な探究心も、怠け者の私には湧いて来なかったので、ひとまずこの家庭内で浅薄に調査してみることに決める。よし、時代に関係なく似たサイズの本を集めてみよう。ドサドサ、ガサガサ、ゴソゴソと、いつものように疲労する本の山との闘い。だが今回の相手は、文庫山のみなので、比較的楽な展開を見せる。探し出したのは以下の本(豆本は除く)である。
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左上から昭和四十三年の「中学生傑作文庫」98mm×135mm、上段真ん中が昭和十一年「山本文庫」95mm×135mm、右上は大正十五年刊の復刻版「勞働放浪監獄より」95mm×131mm、左下は昭和二十一年の「手帖文庫」91mm×126mm、下段真ん中は昭和三十九年「黒い招待券」89mm×115mm、右下は平成八年の「角川mini文庫」86mm×111mmとなっている。どれも正式な用紙サイズに該当する寸法は見当たらない。無駄のない用紙裁断や、デザインなどの理由でしかるべきサイズに設定されているのだろうか…それにしても自由過ぎるではないか。また文庫より小さいと勝手に思っていた「アテネ文庫」は、薄いだけでサイズはしっかり文庫と同じであった。そりゃそうだ、文庫棚に収まってると、高さは変わらないもんな。蒼土社の「探偵小説文学撰」もちゃんと文庫本と同サイズだったか…。山本文庫に並んで貴重な文庫シリーズの「手帖文庫」は、イメージでは同じ大きさかと思っていたが、実は山本文庫より縦横ともに少し小さめであることが判明。この二種の小型本と文庫本とのサイズ感、しかと覚えておこう。いつ何時、古本市や古本屋さんで奇跡の如く出会うかわからぬのだ。あるかないかわからぬ背文字が超絶読み難いが、似たようなモノを見つけたら、そこは面倒くさがらずつまみ出し、しっかりチェックすることにしよう。そんな馬鹿なことをしていたら、外の雨が、ますます激しくなって来ている。途絶えぬ雨音を聞きながら、ひとつ正直に言っておこう。小型本は、文字が小さくて、夜だと読み難いなぁ。年かなぁ…。
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2017年09月21日

9/21バイトで足をガクつかせた後、95mm×135の小型文庫を手に入れる

今日は午後から「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に付き添い、とある住宅街の中での買い取りを、荷運びバイトとして手伝う。ミッションは、車が一台しか通れぬ路地に盛林堂号を停め、アパート二階から四十本強の本束と二十箱ほどのダンボールを階下に運び、素早く積み込むというもの。私はバイトなので、階段を駆け上がり本を下ろし、また駆け上がり下ろしを、ひたすら繰り返す役目を担う。他の車が来ぬ前に、何とか短時間ですべてを終えねばならぬのだ!と早速作業開始。本束を二本〜四本手にして、ひたすら階下に運び下ろす。その間、幸い車は登場せず、自転車を一台通すために、少しだけ車を動かすに留まる。鉄の茶色い階段を、カンカンカンカン上がり下り。たちまち全身から吹き出す汗。だが、時間と盛大に闘っている今は、足と手を休めるわけにはいかないのだ。そんな風に歯を食いしばり頑張り、およそ三十分強で本束をすべて積み込むことに成功する。ここで一旦作業を中止して、ひとまず西荻窪に舞い戻り、本束を倉庫に入れた後、再び現場に戻ってダンボールを積み込むことにする。往復の復路車内で、アイスクリームでクールダウン&栄養補給を行い、今度はダンボール下ろしに従事する。こちらは二十分弱で終えることが出来たが、気付いたら腕はワナワナ、足はガクガクとなっていた…ふぅ、おつかれさまです。荷を再び倉庫に下ろした後「盛林堂書房」に立ち寄り、「フォニャルフ」に補充したりしながら、帳場脇で労いの和菓子に舌鼓を打つ。そうして午後五時には出来上がって来るはずの、盛林堂ミステリアス文庫新刊「怪人ジキル」を待ち焦がれるが、何だか搬入時間が遅れているようなので、諦めてお店を辞去する。陽が落ちるのが早くなった表は、もはや寂し気な秋の夕暮れ。段々と濃くなる紺の中を歩き、北側に抜けて「古書音羽館」(2009/06/04参照)へ。表で二冊をつかみ、ギシギシ賑わう仄明るい店内に身を滑り込ませる。お店の中で個人的に一番注目している、左側部屋左奥の古書棚に近づき、目新しい本や珍しい本がないか目を光らせる。するとパラフィンに包まれた、薄手で小型の背文字が読めぬ本が気になって、そっとつまみ出すと、おぉっ!市松模様(色はオレンジ)の山本文庫じゃないか!初版の平田禿木譯「蜜月・幸福/マンスフイルド」である。ドキドキしながら値段を見ると、歓喜溢れる500円なので当然ながらいただくことにする。毎日新聞社「夢の放浪者 江戸川乱歩/牛島秀彦」光琳社「VISIONS of JAPAN SHIBATA Toshio」とともに計1000円で購入する。レジでは奥から無理矢理身を乗り出した笑顔の広瀬氏としばしお話し。
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山本文庫が嬉しかったので、お店の前で記念撮影。帰りの車中で95mm×135mm・60pの蝶のように軽い文庫を開くと、たちまち昭和初期の世界文学の世界に没入してしまい、危うく阿佐ヶ谷駅で乗り越しそうになる。紙の蝶が何処かに逃げぬよう、両の掌に、隠してしまうように優しく挟み込み、バタバタと降車する。
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2017年09月19日

9/19八十の大人向絵物語が待ってくれていた

早い時間に上石神井に流れ着いたので、まだまだ余力の残る身体を動かし、そのまま『早稲田通り』の流れに乗って、家に帰ることにする。何百台もの車に追い越されながら、三十分ほどで『中杉通り』へと近づく。せっかくなので古本を買って行こうと立ち止まり、通り沿いの「古本ブック流通センター」(2008/08/09参照)のサッシ扉を右にスライドさせる。
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16年一月の雪の日以来の来店ではないだろうか…。相変わらず棚にはブランクが存在し、本も不動の構えを見せているが、店内はなんだかスッキリとしている。ちょこちょこと片付けたのだろうか。かつてない薄めの清々しさが、店内に漂っている…。奥から「いらっしゃいませ」と飛び出して来たご婦人店主と挨拶を交わし、既視感の強い棚を見ながら店内を一周する。だが、所々に小さな小さな変化あり!というわけで、中公文庫「マイアミ沖殺人事件D・ホイートリー」(解決編未開封)ひるぎ社 おきなわ文庫「オキナワ・マイ・ラブ/黒川修司」(京都から本土復帰前の沖縄に乗り込み、のらりくらりと腕を磨いたフォークミュージシャンの沖縄エッセイ集)を計200円で購入する。

家に帰るとレターパックの包みが郵便ポスト内に収まっていた。内容物は久々のライバルなきヤフオク落札品。部屋の中でボール紙封筒を引きちぎると、意外に大判の付録冊子が滑り出て来た。「家の光」昭和三十四年新年号付録「明朗お楽しみブック」である。表紙は獅子舞の大川橋蔵で、中身は芸能情報満載(スター俳優・歌手・落語家・漫才師・野球選手&相撲取りが大挙登場している)なのだが、西條八十のスリラー絵物語「奇怪な贈物」が掲載されているのだ。“八十ぐるい(2016/21/31参照)”の私としては、是が非でも手に入れたかった代物である。当初てっきり子供用の冊子かと思っていたが、よく考えたら「こども家の光」ではなく「家の光」の付録なのだ。中身は当然大人向けなのである。ということは八十先生の絵物語も大人向け!堂昌一の二色刷りのリアルなイラストが冴えまくる誌面に目を細めながら、四段組六ページの短く他愛無い物語を、綿菓子を食べるように楽しんで行く…。あぁ、どストレートな◯落ちとは、八十先生!
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スリラー絵物語の面目躍如。六ページ内に描き文字題字も含め、計13点の美麗なイラストが配置されている。調べるとこのお話、どうやら初出は昭和二十四年の雑誌「天馬」に掲載されたものらしい。こちらも絵物語だったのだろうか…?
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2017年09月18日

9/18地味に蒸し風呂のような部屋で蠢く。

台風一過で気温がグングン急上昇する中、家に閉じこもり『さすらいの十年展』の準備を進める。とにかくちゃんと展示しなければならないので、暑い部屋の中でそこら中を引っ掻き回し、思いつく限りの主だった物を手元に集めて行く。この時ばかりは、整理能力と分類能力が皆無の己を、独り言の悪態をついて呪いまくる。『確かあそこにあれがあったはずだな…』と大体の検討で本の山(色んな物が本の山と融合しているので、何かを探す時は、結局古本を探す時のように本の山を切り崩さねばならないのだ…)に挑み、失望と発見を阿呆のように繰り返す。そんなことをしていたら、たちまち五時間が経過していた。だがまぁ変な物(一見はただの紙くず!)がたくさん集まった。初期のフリペや、最初に「古本屋ツアー・イン・ジャパン」として世間に姿を現したリトルプレスは、なかなか見物である。とは言ってもこんなものを展示して、果たして誰が喜ぶのだろうか?やっぱり何だか気が重い…。
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すっかり埃に塗れた肺腑を清浄に復すべく、日射しの強い表に飛び出す。ヒタヒタ歩いて「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)。文藝春秋社「裸の王様/開高健」(三版)新潮社「南氷洋/きだ・みのる」(きだの南洋捕鯨船同船記)を206円で購入しつつ、店主・天野氏となかなか開かぬ古本を扱う新店について言葉を交わす。それだけで、ふうわりと心が軽くなり『展示がなんだ!』と奇妙な威勢が湧き上がって来る。古本屋ってやっぱり良い所だ。すぐさま家に戻り、再び奇妙な宝探しに没頭する。そんな今日の嬉しい発掘物は、深川の人形師・石塚公昭氏(人形を実景の中で撮影し、物故した人間を現代に召還する魔術師である)のオリジナル・ミニプリント群。江戸川乱歩・怪人二十面相・谷崎潤一郎・中井英夫・永井荷風・泉鏡花などをコレクションしていた。確か一枚千円くらいで、旧サイトや『東京たてもの園』のイベントなどで、ちょこちょこ買い集めた物である。左上の銀座上空をアドバルーンで逃げる二十面相は、ホント最高だな。いつかちゃんと額装しなければ…。
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2017年09月15日

9/15さすらいの十年!

朝から諦めずに日曜の「みちくさ市」の準備を進める…台風なんかに、負けるもんか…。と同時に、しばらくほっぽらかしていた「フォニャルフ」補充の準備も進める。午前十一時に日射しが強くカラッとした空気を身に受け、駅前の銀行で市用の小銭などを捻出しつつ荻窪へ向かい、開店と同時に「ささま書店」(2008/08/23参照)店頭に到達。だが結局店内文庫棚から光文社日本文学選「酒ほがひ/吉井勇」を315円で購入する。そのまま西荻窪に向かい、途中神保町に向かう盛林堂・小野氏と出会ったりしながら、久々に「フォニャルフ」に補充する。一緒に引き返して来た小野氏とお店を出て、色々お話ししながら中央線で阿佐ヶ谷まで同道。「どう?展示の準備進んでる?」「まぁ展示する物はそれほど多くないし、近い日に搬入するつもりなんで。ポスターとチラシは作ったよ」……これはいったい何の話かというと、九月終りから十月上旬にかけて、恐るべきことに、今年でブログを開始して十年目に突入している私の展示が『東京古書会館』にて行われることになったのです!血迷ったか、東京都古書籍商業協同組合!私如き一介の市井人が、一体何を展示出来ると言うのか!と呆れ返りつつ戦きつつも、準備はカタツムリのようにジリジリと進み、焦りも大いに募らせ、早九月も半ばとなっているのです。恐らく私の人生で、最初で最後の展覧会となること必至なので、地下の古本市ついでに二階にも足を運び、鼻で笑っていただければ幸いです。10/7には展覧会開催を記念して神保町ツアーも行う予定なので、こちらも合わせてよろしくお願いいたします!ちなみにポスター&チラシは、林忠彦撮影の坂口安吾の写真を超えるべく、自演自作いたしました…。
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『古本屋ツアー・イン・ジャパン さすらいの十年展』
■9月30日(土)〜10月16日(月)
■10時〜17時 日曜・祝日休館
■東京古書会館 2F 情報コーナー 
■東京都千代田区神田小川町3-22
http://www.kosho.ne.jp

『小山力也と行く神保町体験ツアー トーク&ガイド』
■10月7日(土)
■最大12名 先着順 申込み制
■14時〜16時(予定)
■参加費1000円
■トークイベント(30分程度)後、小山さんに神保町を案内して頂きます。
※お申し込みは展覧会会場かこちらのホームページからどうぞ。http://www.kosho.ne.jp/tour/index.html

さらに午後二時過ぎになって高円寺を手ぶらで散策し、「ドラマ高円寺店」で光文社「新版 今日の芸術/岡本太郎」河出文庫「ジャンキー/ウィリアム・バロウズ」を計216円で購入し、『庚申通り』を北上して「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)では講談社「完全犯罪/加田伶太郎」を千円で見つけ、ささやかな喜びを抱く。
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2017年09月13日

9/13日曜の準備と打ち合わせ

早起きしたのを幸いに、日曜の「みちくさ市」のための古本準備を開始する。基本の骨子を組み上げて、後はあちこちの古本山から本を抜き出し、肉付け肉付け…そうして三時間ほどで、大体の形が完成する。ここまで漕ぎ着けてしまえば、後は微妙な入れ替えを繰り返しながら、クリーニングと値付けをすればいい。まぁその作業は、金曜辺りにするかと、一息入れる。日曜日、どうか台風が雨を降らせませんように。
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午後外出して神保町。普段通りにパトロールしているが、今日は「原書房」(2014/05/15参照)で岩波書店「田園銷夏漫録 並震後雜感/長岡半太郎」を300円で購入するに留まる。大正十三年刊の、物理学者が関東大震災の一年後に、神奈川・三浦で一夏を過ごす避暑随筆である。附録に「大震雑感」が付いているが、とにかく全体的に震災についての生々しい記述が多い一冊。そのたった一冊だけの成果を懐にして「東京古書会館」にてまたもや打ち合わせ。しばらくこちょこちょやっていたこちらについては、もうすぐ詳細が出せることになりますので、しばらくお待ち下さいませ!
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2017年09月10日

9/10緑色の古本に縁がある一日。

午後、友人の陶器展を見るために西小山へと向かう。道すがら、今日も阿佐ヶ谷の古本を扱うお店が開いていないのを確かめて、落胆しながらも西小山には直接向かわず、隣駅の武蔵小山で下車して二ヶ月ぶりの「九曜書房」(2009/03/26参照)にまずは寄り道。入口近くの500均棚にピタッと張り付き、すぐさま三冊を抜き出す。法政大学出版局「密林の神秘 熱帯に奇鳥珍獣を求めて/蜂須賀正氏」(カバーナシ)無明舎「最後のマタギ/朝日新聞秋田支局編」講談社「殿山泰司のミステリ&ジャズ日記」を計1500円で購入する。なんたって嬉しいのは侯爵の探検鳥類学者・蜂須賀正氏の著作が、500円で入手出来たなんて!と、カバーが無い故の緑の表紙をなで回しながら、高校グラウンド脇の小道で思わずスキップ!少し取っ付き難い、データ実見主義で独特な節回しの文章が、読み進めるほどに癖になる!足取り軽くそのまま西小山に徒歩で向かい、駅前商店街の「ハイカラ横丁まるや」(2015/02/18参照)にも寄り道。店内で店主と高校生が大橋巨泉について意見交換しているのに聞耳を立てながら、中央棚の奥側の棚脇で、雑誌列の中からとても良さげな一冊を発見する。これまた緑色の本の、大阪市動物園「大阪動物園アルバム」。昭和十一年の三版であるが、大阪市動物園の哺乳類〜鳥類〜爬虫類〜両生類〜魚類〜甲殻類までを、全56ページにモノクロ写真で収めた一冊である。『くろしやうじやう(チンパンジーである)』の人気者、リタとロイドが背広を着てクラシックなペダルカーに乗っている写真がワンダフル!1080円で購入する。たちまち鞄の中に収まった寄り道の収穫に、ウキウキしながら元カメラ屋の古びたギャラリーにたどり着き、本来の目的を果たしつつ、手に馴染んでくれたおちょこをひとつ購入する。
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「密林の神秘」口絵写真の蜂須賀侯爵尊影と「大阪動物園アルバム」。表紙もくろしやうじやう。一ページ目も樹陰に寝転ぶくろしやうじやうの群れの写真にトレーシングペーパーが重ねられ『樹蔭に嬉戯するくろしやうじやう』の言葉が刷られている。この当時はくろしやうじやう、つまりはチンパンジーが一推しの動物だったのだろうか。
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こちらがリタ&ロイド。調べてみると『天王寺動物園』には人気者だった二頭の象が建てられているとのことである。
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2017年09月09日

9/9当てが外れたので「銀星舎」でダベる。

今日はわりと早い時間に荻窪北の天沼辺りに流れ着いたので、「ささま書店」に寄って行こうかと考えるが、実は最近阿佐ヶ谷に古本を扱うお店が誕生したらしいので、そちらに大いに期待して、方向感覚を狂わせがちな迷路のような住宅街を擦り抜けて阿佐ヶ谷方面へ向かう。だが、そのお店はやっていなかった…昨日もやっていなかったが、土曜日に営業しないのはどういうわけなのか…こんなことなら「ささま」に寄って、店頭棚にかぶりついておくべきだった…。哀れにも後悔先に立たず!すっかり当てが外れてしまったので、慰めてもらうようなような心持ちで「銀星舎」(2008/10/19参照)へと向かう。角川文庫「カクテル・パーティー/大城立裕」を400円で購入し、奥さま店主と、火曜日が定休日になったことや、二万五千円の宮澤賢治の生徒たちの話を集めた本や(う〜〜〜〜〜ん、とても欲しい…でも、でも、二万五千円か…)、昨今の古本屋事情やamazon事情や、飼っている天才猫などの話題に花を咲かせる。

家に戻ってからは、仕事その他をおっぽり出し、いよいよ大詰めになってしまった黒白書房「トレント最後の事件/E・C・ベントリイ作 延原謙作(本扉には“譯”ではなく“作”と書かれているのだ。当時の価格は1.5円!)」を最後まで読む。ぐむぅ、探偵小説なのに、なんでこんなに切ない思いが胸に込み上げてしまうんだ!途中から探偵トレントが、衝撃の◯の告白をしたり、まさか英知の結晶である推理力が◯◯するなんて!二〇一七年九月九日午後六時十四分、読了。紛うことなき名作であった。読み終わってからこの松野一夫挿釘の函を見ると、読了時の感動と心地良さが、何度でも胸に去来してしまう!ありがとうベントリイ。ありがとう延原謙。ありがとうトレント!
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posted by tokusan at 18:56| Comment(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする