2017年04月17日

4/17まだまだ見つかる未知の古本屋

『中央線古本屋地図(仮)』改め『中央線古本屋合算地図』の制作作業が、本当に本当の大詰めとなる。恐らく水曜日には入稿し、そして四月最終週には本が刷り上がってくる予定である。というわけで詳細情報もここ二三日で発表出来ると思うので、どうかご期待下さい!とまぁ、朝からそんな細かい作業をしていたので、息抜きに外出。ブラブラ歩いてたどり着いたのは阿佐ケ谷駅近くの「穂高書房」(2009/02/15参照)である。店主のオヤジさんは、相変わらずビルの横っ腹の出入口を開け放し、そこに陣取って色々作業中である。半ば放置されたような店頭台を順繰りに覗き込んでいくと、左端の台にちょっと古い本が並んでいるのが目に入る。
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歴史・発掘・人類創世史などなど…その中から函ナシの新光社「人類物語〜書き直された世界史〜上巻/ヘンドリック・ウイレム・ヴァン・ルーン 神近市子譯」を400円で購入する。表見返しを開くと、そこには見慣れぬ古書店ラベルが一枚。利休鼠の地色に白抜きで文字や絵が刷られている。上部にはエジプト古代絵文字であるヒエログリフ(手持ちの資料で懸命に調べてみると、どうやら『マンポウ』と書いてあるらしい…)があり、その下にはローマ字表記の店名。“マンポウショボウ”…おそらく「萬宝書房」と書くのではなかろうか。さらにその下に小さく“Kichijoji・Kunitachi”とあるではないか。これは両方の駅にお店があったと考えるのが自然だろう。だが、家に帰ってあらゆる資料をひっくり返しても、そんなお店の記述はどこにも見当たらない…いったいいつ頃のお店なのだろうか?調べても調べても調べ尽くせずに、ポロッと未知のお店が出現してしまうのが、恐ろしき古本屋天国とも言える、中央線沿線の実態である。いったい時代の陰に、どれだけの古本屋さんが一瞬の光跡を残し、流星のように燃え尽きてしまったのか…。今回の本は、昭和三十年以降のお店を扱っているが、いつの日か戦前の沿線古本屋に対しても、調査の触手を伸ばしてみたいものだ…。
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さて、話は変わりイベント出演のお知らせです。来る5/6(土)に『西荻ブックマーク』にて、岡崎武志氏の還暦祝いトーク&ライブイベントが開催されます。何と当日は、氏の親友であり京都の古本屋さんでもある「善行堂」(2012/01/16参照)古本ソムリエ・山本善行氏も勇んで上京。私は荻原魚雷氏・島田潤一郎氏とともに末席トークゲストとして参加予定。世田谷ピンポンズさんも風のように現れ、ミニライブを開催いたします。GWの一日に、詩と歌と本と古本ヨタ話に身を委ね、お土産をもらって過ごしましょう!

《緊急開催!》第98回西荻ブックマーク 山本善行presents 岡崎武志還暦記念トーク&ライブ 「風来坊 ふたたび」東京篇
■日時:2017年5月6日(土曜日)
■開場:15時30分
■開演:16時
■終演:18時30分 (予定)
■会場:ビリヤード山崎 2階 (東京都杉並区西荻北3-19-6、西荻窪駅北口徒歩1分)
■出演:岡崎武志 山本善行 荻原魚雷 小山力也 島田潤一郎
■特別ゲスト:世田谷ピンポンズ
■料金:2,000円 (おみやげ付き)
■定員:50名
☆ 緊急開催! 東京でもやります!!! ☆
西荻ブックマーク最多出演の岡崎武志還暦記念。
京都から山本善行さんを迎え、さらに古本者三人衆もお呼びいたします。
また特別ゲストに世田谷ピンポンズさんが参戦!
みなさまもこの機会にお祝いにいらっしゃいませんか?
すてきなお土産もご用意いたします。
http://nishiogi-bookmark.org/2017/
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2017年04月15日

4/15昭和四年の川端康成に一刀両断される。

本日色々こなして漂着したのは吉祥寺の北…武蔵野の風景の真っただ中と言えば聞こえは良いが、風が吹く度に黒土が舞う畑の間である。口の中をじゃりつかせながらそこを抜け出し、幸福そうな住宅街の中を長い間潜り抜け、どうにか吉祥寺の繁華街にたどり着く。思いついて寄ったのは、東急デパート脇の二階の古本屋さん「百年」(2008/09/25参照)である。
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先日のトークでも店主さんにはお世話になったのだが、今日は帳場の中に姿は見えず。たくさんのお客さんと通路を譲り合いながら、講談社現代新書「明日、機械がヒトになる/海猫沢めろん」を432円で購入する。好きな作家の一人だが、いつの間にこんな科学系の新書を出していたんだ…。階下におりて駅に向かい、駅ビルの『LEMON DROP』で今夜の贅沢なデザート・チーズケーキを購入して帰路に着く。

家に帰り着くと今日もヤフオク落札本が到着している。新潮社「文學時代 昭和四年七月特集探偵小説号」である。191ページ以降が落丁し、表紙にも穴が開いているジャンク本なのだが、国会図書館にも所蔵されていないようなので資料用に購入したのである。なんたって今秋に編集予定の探偵小説集の、目当ての作家の未知の小説が掲載されているのだ。だがそれ以外にも、『探偵小説座談会』『探偵劇のポスタア』『探偵小説發達史』などが載っており、大変に読み応えあり。惜しむらくはやはり、落丁部分の探偵小説、甲賀三郎「發聲フィルム」内田百閨u影」(ともに竹中英太郎畫!)が読めないことであろうか。だが嬉しい誤算もあり、川端康成の小品「都會の手帳」「逗子・鎌倉 ロマンス以前」は、まさに新感覚派の真骨頂とも言える、ギリギリまで尖った意味喪失寸前の文章で、現実を麻酔するほどの力を発揮している!詩が小説となり、小説が詩と化す、才気の暴走が、文章に感化され鋭敏になった心を、一刀両断!他にも龍胆寺雄の映画評や浅原六朗のエッセイなどがあり、当分この一冊で昭和初期を楽しめそうな予感を、ヒシヒシと感じている。
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2017年04月11日

4/11雨の日に行った俺が馬鹿だった

外は四月とは思えぬ冷たい土砂降りの雨。そういえば本川越の『PePe』前では「小江戸川越 ペペ古本まつり」(2015/11/19参照)が開かれているはずだが、この雨の中どんな大変なことになっているのであろうか。もしかしたらライバルがほとんどおらず、雨さえ我慢すれば、ウハウハの入れ喰い状態になるのかもしれない…。そんな都合の良い淡い期待を抱いて、西武新宿線で一路埼玉へ。ホーム北端の改札を抜け、ほぉ!西側に抜けられるように新しく出口が出来たのか。これで東武東上線・川越市駅に向かうのが、劇的に便利になったな。などと感心しつつ駅前の広場に向かうと、ああっ!居並ぶすべてのテントが、ブルーシートとビニールカーテンで、厳重に梱包されてしまっているではないか!
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外側のテントにノートの切れ端が貼付けてあるので、近寄って確認してみると『4/11(火)古本まつり雨天のため中止致します』と書かれていた…。淡い期待は、無惨にも春の氷雨に打ち砕かれてしまったのである。古本のまったく見えないテント群と対照的な、雨に濡れそぼった赤い『古本市開催中』の幟を虚しく眺める。だがそれでも、どうにかしてこの地で古本を買っていきたいものだ。そう即座に決意して、すでに純粋な古本屋さんの消え去った地を、諦め悪く歩き始める。こうなったら、リサイクル系のお店に助けを求めよう。駅から東に向かい、川越の近代的メインストリートでもある長い長い商店街『クレアモール』を南進する。そしてたどりついたのは、「古本市場」のチェーン店である「ふる1 川越クレアモール店」である。
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ゲームやコミックのお店であるが、明るく白く奥深い店舗の左壁には、これもまた奥深い古本壁棚が続いている。93円単行本・一般単行本・実用本・一般文庫・93円文庫と棚の数は多いのだが、かなり白っぽいのが連続するので、茶色い本好きとしてはあまり気分が乗って来ない。それでもどうにか最後の93円文庫棚で、講談社文庫「津和野の殺人者/中町信」を見つけ出し、税込の100円で購入する。…よし、今日はこれでいだろう!と己に言い聞かせ、足元をビシャビシャに濡らしながら、たった一冊の文庫本を携え、再び西武新宿線にたくさんの学生とともに乗り込んで、早々と帰路に着く。
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2017年04月10日

4/10大正時代の北園克衛!

本日午前中、ようやく「中央線古本屋地図(仮)」のレイアウト作業を終える。そしてここに至り、初めて全ページ数が判明…思えば本作りの基本を無視した、不安定な長い闘いであった…。後は一括校正をして修正を反映させ、いよいよ入稿となる。これまで作業工程ばかり綴ってきたが、完成まであともう少し!刮目して待たれよ、全国の愛しき古本修羅たちっ!

他にも色々作業していたら、すでに時刻は夕方である。所用のために中野に外出するとともに、ちょっとした開放感に包まれつつ『中野ブロードウェイ』に吸い込まれる。二階の「古書うつつ」(2008/06/18参照)前に立つと、通路のミニ100均コーナーには、映画パンフ・「こどものとも」・「面白半分」などが多めに並んでいる(ただし100円以上もあり)。「こどものとも」を丁寧に繰り、二冊を選び出して店内へ進む。こちらでも入って直ぐ左のほぼ100均コーナーにへばりつく。福音館書店「ごろごろにゃーん/長新太」「かわとかくれんぼ/司修」角川文庫「ロールスロイスと銀の銃/チェスター・ハイムス」学風書院「笹をたずねて/高嶋雄三」(笹が好きで好きでたまらない文学者の、笹そのものや笹に関する伝説類を集めた紀行集である、千葉『八幡の薮知らず』潜入記もあり!)を計600円で購入する。そのままブロードウェイを通り抜けるようにして『早稲田通り』に脱出。相変わらず客気の多い「中野古本案内処」(2015/08/23参照)へ。やっぱり店頭左側の新書サイズ本は、大いに好みであるな!と改めて確信して一冊抜き取り、明るい店内に進む。奥側中央通路の文学棚からも一冊。カッパノベルス「大怪盗/九鬼紫郎」かたりべ叢書17「牧野信一と結城信一/保昌正夫」を計540円で購入する。安値の本ばかりで無邪気な古本心を満足させて帰宅すると、そこには一冊のハードカバー本が届いていた。最近敗退癖のついているヤフオクで、久々に落札出来た古本である。大正時代の俳句を核に据えた文藝雑誌「鹿火屋」の合本…もちろんそれだけだったら、いくら大正時代好きとは言え、とても入札などしなかったのだが、執筆陣の中に『橋本健吉』の名があったのでドキリ!とし、即座に出せる金額をキーボードで叩き込み、数人のライバルは現れたが、どうにか無事に2520円で落札出来たのである。青い布表紙の本はズシリと重く、大正十二年の一月號〜四月號の合本となっている。急いで各冊の目次をチェックしてみると、橋本健吉の詩が一月號に『毒薬』三月號に『火葬場』四月號に『電柱』が掲載されている。『橋本健吉』とは、詩人・北園克衛の本名である。つまりここに載っている詩は、二十一歳の北園が書いた初期作品ということ!モノが俳句雑誌であり、北園も俳句を作っていたので、てっきり載っているのは俳句作品だと思っていたのだが、これは実に嬉しい誤算である。別に新発見とかいうわけではなく、きっと何処かの本で読めるのだろうが、やはり当時の雑誌で、時代の手触りと活字を味わい読む文章は、とても感慨深いものがある。各詩は、後の北園作品から想像出来ぬ程の、オーソドックスな抒情詩風。これが進化に進化を遂げて、プラスティックポエムにたどり着くのだから、人間とはなんとも底知れぬ生き物である。そんなことを偉そうに考え、いつものように古い本を楽しみながら、次第に夜は更けていく…。
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2017年04月08日

4/8奇跡のゼッケンそろい踏みと“五人だけのジキル”!

すでに昨日のことである。朝起きて、夕方の古本トークのことを思うと、いてもたってもいられなくなってしまったので、午前十一時過ぎに家を出て荻窪「ささま書店」(2008/08/23参照)に向かい、古本を買って心を鎮める。河出書房新社「アインシュタイン・ショック 1・2/金子務」電電公社「もしもし文化史 電信電話発達と九州」世田谷区俳句連盟「世田谷名所俳句集」(昭和三十四年の世田谷の名所をモチーフにした俳句集。東宝撮影所・野犬抑留所・球体瓦斯溜・団地地区なども含まれており楽しい。西東三鬼の句もあり!)を計420円で購入する。一旦家に戻ってから、午後三時過ぎに神保町へ向かう。だが水道橋駅に総武線が滑り込んだ時は、頭の中にあったのは楽しい楽しい『神保町パトロール』のことばかり。思わず『白山通り』でスキップしそうになる足を押さえ込みつつ、「日本書房」(2011/08/24参照)で幸先良く、春江堂「滑稽茶ばなし」(従軍将士慰問用の恤兵本!)を千円でまずは購入。さらに「小宮山書店 ガレージセール」(2013/07/12参照)では、講談社「孤独のアスファルト/藤村正太」と朝日新聞社「ゼッケン8年/金子徳好」を計500円で購入する。この「ゼッケン8年」は、以前持っていた本なのだが、読了後にいつかの古本市であっさりと手放してしまった。だが先日、続編とも言える「反核でゼッケン」を手に入れたことから(2017/03/20参照)、『あぁ!売らなければよかった!』と今更ながら大後悔していたのである。それが一ヶ月も後悔の念に塗れぬうちに、再び我が手に収まってくれるとは!やはり古本の神は、何処かに実在するに違いない!と大いに確信する。
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これが決して他では見られぬ、奇跡のゼッケン本ツーショットである。

そしてパトロールの終りに「三茶書房」(2010/10/26参照)の店頭ワゴンに張り付くと、右端の百均ワゴンに、何だか能天気な中文児童書の仙花紙本「太陽系警察」を発見してしまう。読めるわけもないしそれほど欲しかったわけでもないのだが、何気なく手に取り見返しを開くと、そこには1991年当時の石川英輔への謹呈署名が入っているではないか!このままここに転がしておくわけにはいかぬと、心を入れ替え喜んで購入する。
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その後、午後六時半からの『東京古書会館』での古書山たかし氏&盛林堂・小野氏とのトークを無事完遂。とにかく古書山氏の、探偵小説と怪書への底無しな愛と所有欲に圧倒されっ放しの、楽しく泥沼のように深過ぎる一時間半でありました。ご静聴いただいたみなさま、ありがとうございました!そして嬉しいことに、古書山氏の著書「怪書探訪」で「醗酵人間」の次辺りに位置するであろう怪書、清華書房「怪人ジキル/波野次郎」のカラーコピー手製本をプレゼントしていただく。今回のトーク登壇相手と、展示紹介の文をしたためた、新保博久氏・喜国雅彦氏・北原尚彦氏・小野純一氏、そして私の五人の男に送られた、スペシャルな『五人だけのジキル本』なのである。元は仙花紙本なのに、堅い!厚い!所々のページの隅に古書山氏の指が映り込んでいる!と、色んな意味でとことん楽しめる一冊なのである。でもこれ本当に読みたかったので、古書山氏にひたすら感謝感謝である。
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2017年04月06日

4/6エルヴィスと明治探偵小説

昨夜は打ち合わせ飲みのため、閉店間際の「盛林堂書房」(2012/01/06参照)を訪れ、閉店作業を見守りつつ、何となく左側通路の「古本ナイアガラ」棚を眺めていると、ぬぬっ!塩山芳明氏の棚に、晶文社「エルヴィスが死んだ 小林信彦のバンドワゴン1961→1976」がひっそりと挿さっているではないか。まぁちゃんとした値付なのだろうと、はなっから諦めながら取り出して後見返しの特徴ある字で書かれた値段札を見ると、これが千円!五六ヶ所にボールペンによるラインが入っているようだが、この値段なら問題ナシ!読めればいいんだ!と遠慮なく買い上げることにする。実は去年の大阪での取材時に、「善行堂」(2012/01/16参照)山本善行氏から、その昔千林「山口書店」(2016/08/21参照)で400円でこの本を釣り上げた、羨まし過ぎるエピソードを聞いた時から、秘かに欲しくて読みたくてしょうがなくなっていたのである。塩山さん、ありがとうございます!おかげで夢が叶いました!

本日は流れ流れて三鷹に漂着。だが、すっかり疲労を蓄積してしまい、古本屋に立ち寄ることもなくスゴスゴと阿佐ケ谷に引き揚げてしまう。帰り道にどうにか「銀星舎」(2008/10/19参照)に足を留め、花粉症に苦しむ旦那さんと近況報告&古本屋話をしながら、集英社文庫「壺中庵異聞/富岡多恵子」ちくま文庫「日本探偵小説傑作選4 城昌幸集」を計700円で購入し、蓄積した乳酸を少しだけ分解する。こんな体たらくで、すみません。まぁ一日にが無事に過ぎて、良かった。そして明日はいよいよ、「怪書探訪」著者・古書山たかし氏と盛林堂・小野氏との三つ巴三竦みトーク!どうか四月初めの金曜日に、古本と怪書と古本屋と古本マニアと探偵小説に興味のある方は、ぜひともお越しください。恐らく当日受付でも大丈夫ですので、思い立ったら吉日でよろしくお願いいたします!ちょっとトークにかこつけて、この際だから色々聞いてみなければと、家にあった明治探偵小説を集合させる。この謎の多い本たちを明日持参して、いったい何が聞き出せ話がどう広がるのか、さぁさぁお立ち会い!
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「ある怪書好き会社員の軌跡」 トークイベントvol.1
■『怪書探訪』著者 古書山たかしさん、古本屋ツアーインジャパンの小山力也さん、盛林堂書房店主 小野純一さんによるトークイベントを開催!
http://www.kosho.ne.jp/news/news_info170213.html
■日時:2017年4月7日(金)開場18:00 開始18:30〜20:00
■場所:東京古書会館 7階会議室
〒101-0052 東京都千代田区神田小川町3丁目 東京古書会館
■入場料1000円(現金のみ) 事前申込 先着100名様
■予約 http://www.kosho.ne.jp/event/2017/s/page2.html
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2017年04月05日

4/5吉田謙吉に喜び、古本殿上人の痕跡をたどる。

早起きして、昨日からエンジンフル回転でやっつけている「中央線古本屋地図(仮)」のレイアウト作業。どうにか完成率八割くらいには達した感じがするので、少し安心する。今回の本は、かなりイレギュラーな作り方をしてしまったので、常に気が気じゃなくフワフワしていたのであるが、やっとそんな軛からも解放されたようだ。詳しいことは、近々に迫って来た情報解禁とともにお知らせする予定。モニターから視線を剥がしとり、ウンと椅子の上でひとつ背伸びする。そして今回も面白そうな本に仕上がりそうだと手応えを感じつつ、頭の中ではすでに『次はどんな古本屋の本を岡崎氏と作ろうか』などと考えてしまっている。中央線沿線が出来たのなら、他の古本屋街である『早稲田』や『本郷』も面白そうだ。だが『早稲田古本屋街』に関しては「古書現世」(2009/04/04参照)の向井氏が、すでに二冊の名著をものしている。ならば、『本郷』…いや、ものすごくアカデミックな本となりそうな上、様々な高いハードルが立ちはだかる予感がする。いや、そもそも『本郷古本屋街』に、まったく造詣が深くないのが大きな難点であるな…。そんな風に、あてどもない思考に耽りながら、ふと机の横の本の山に目をやると、ちょうど目線の辺りに背を向けていた「弘文荘待賈古書目 第二十九號」が目に留まる。古本神…いや、もはや古本殿上人である古書鑑定の権威・反町茂雄が出した昭和三十二年の目録である。引っ張り出してパラパラ捲っていると、巻末のお店の地図が目に飛び込んでくる。それは、『本郷古本屋街』に向かい合った、まだ都電が走っている『本郷通り』沿い『東大正門前』からの案内図であった。突然ムラムラとそこに行きたくなってしまったので、関係各位への連絡を済ませてから、すっかり春めいた四月の屋外に飛び出す。南北線で『東大前下車』。北から『本郷通り』を南下する形で、途中「第一書房」(2011/08/16参照)の外棚にへばりつく。すると、美術出版社「絵本ヨーロッパ 舞台装置家の眼/吉田謙吉」を発見する。
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築地小劇場から出発した舞台装置家であり、また考現学者・今和次郎と「モデルノロヂオ」を著した著者が、1950年代のヨーロッパを、紀行・演劇・都市・町・風俗・雑貨類から紹介して行くビジュアル本である。大量の著者撮影のモノクロスナップ、堀内誠一を先取りしたような洒落たデザイン、日用雑貨や紙物の紹介が、古本心をいとも容易く穴だらけにしてしまう。値段は2000円だが、相場よりは遥かに安め。少し迷っただけで、あっさり購入してしまう。早々に満足して『東大正門前』。件の目録を徐に取り出し、地図通りに街の中に分け入って行く。
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まずは通りから西に向かい、少しさびしい商店街らしきものを奥に進むと、広場のような五叉路が待っている。昔はここに交番があったのか…う〜ん、この道と街の形、何処かで見たことあるような…湧き上がって来たのはかなり強い既視感だったので、しばらく記憶の検索を路上で行ってしまう…あっ、そうだ!確か木村伊兵衛の『本郷森川町』だ!これから進む道は、まさにあの写真の奥へと進んで行くことになるんだ。道に立つ人&道行く人の物語が勝手に頭の中で交錯する名作白黒写真と目の前の景色を重ね合わせ、予想外の出会いにちょっと感動しながら北西に進路を採る。五叉路に、昔の街の面影は残っているが、進む地の両側はほとんどがマンションなとなり、なんだか味気ない風景。そして進行方向は下り坂になっているのに、地図では陸橋の上を通過することになっている。不思議に感じながら坂道を下って行くと本当に陸橋が現れ、さらにその下に道と街が存在していた。この辺りの高低差は、こんなにも激しいのかと今更思いながら、やがて上り坂となる道をスタスタ突き進むと、街は途端に高級住宅街と化して行く。そして道の先に、地図では『児童遊園』と書かれた『西片公園』が姿を現す。子どもたちが嬌声を上げながら、全力で遊んでいる。ここでは『大椎樹』というかなりロマンチックでユニークな目印が、地図上に葉っぱマークでプロットされているが…そこで公園の豊かな植栽を順繰りに確認して行く。まずは杉、そして満開の桜、さらにその横に確かに椎の木!うわ、本当にあった。残ってるんだ。スゴいぞ!と、かつて「弘文荘」を目指して来た人たちも見上げたであろう樹の下に立ち、無邪気に喜びまたもや感動してしまう。この後、無事に「弘文荘」の跡地である反町邸にもたどり着くのだが、それよりなにより今日のクライマックスはやはり、今から六十年前の地図に引き寄せられて出会うことになった『大椎樹』だったのである。フフフフフ。やっぱり、街をちゃんと歩いて現地に来てみると、何か色々面白いことに出会えるものなんだな。
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2017年04月01日

4/1「盛林堂書房」均一の聖戦!

昨日の話から始めると、色々終わらせつつ午後からの早過ぎる雨に祟られて、濡れ鼠で流れ着いたのは夜の荻窪。疲れて冷えた身体を引き摺るようにして、看板の灯の消えた「竹陽書房」(2017/02/19参照)にズルリと入り込む。
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奥の帳場では、助っ人の老男性が何かをボリボリ齧りながら、ラジオの野球中継に耳も身体も傾けている。微かな暖をとりながらお店を一周し、小学館文庫「実録・死体農場/ビル・バス&ジョン・ジェファーソン」東京出版センター「東京の文学散歩/電電東京文藝同好会」を計300円で購入し、北口に出てバスにて帰宅。そして家では身体を伸ばしながら、いよいよ迫って来た4/7(金)のトークの予習を兼ねて「怪書探訪」を読み込み、気になるところに付箋を貼付けて行く。みなさま、金曜夜にお時間ありましたら、ぜひとも夜の神保町にお越しください!ともに古本と探偵小説に溺れる夜を過ごしましょう!
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そして本日は、四月とは思えない、冷たくなかなか止まない雨の中、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ向かう。資料の返却を兼ねて、土日に行われているという店頭均一祭を、この目で現認し体感するためである。だが残念ながら今日は、このしつこい雨模様である。店頭は恐らく雨仕様になっているはずなので、目当てに押し寄せる古本修羅の数も少なく、もしかしたら祭など開いていない、通常営業状態なのでは…などと憂慮しながら店先に到着する。思った通り、厚く重いビニールカーテンが巡らされた雨仕様だ。だが、そのカーテンの影に、もこもこと何かが蠢く気配!
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そっと通りから覗き込んでみると、うぉっ!カーテンの中にも、今日は店内通路に配置された100均箱&棚にもたくさんの人…いや古本修羅が取り憑いている!そこには悪天候などに臆することのない、修羅たちの聖戦が展開していたのであった!まだ開店したばかりの午前十時三十五分なのに、この完全に出遅れた気分はどうだ。慌ててカーテンの中に潜り込み、朱に交われば赤くなり、本に目を血走らせて行く。確かに良い本が並んでいる。恐らくダブり本や瑕疵のある本を、惜しみなく投入しているのだろう。相場が千〜二千円クラスの本がゴロゴロ。むむむむと心の中で唸りながら、店内外で三冊を手にする。帳場で小野氏と挨拶を交わし、精算。文藝春秋新社「親馬鹿始末記/尾崎一雄」桃源社「バック・ミラー/新章文子」新潮社ヱルテル叢書「海の嘆き ポオルとヴルジニイ/サン・ピエル」を計300円で購入。ふと帳場横に積み上がった本の山を見ると、乱歩本などが含まれた、わりと上質な古本の山。新しい買入本かと思ったら、先客が大量に買った均一本だと言う。そりゃ目当てに修羅が来るはずだと納得しつつ、あまりの大盤振る舞い加減に寒気が走る…俺も、来週から参戦しようかな…。

帰りは、まだしつこくポツポツ落ちる小雨に対抗するように荻窪まで歩き、「ささま書店」(2008/08/23参照)で白水社「墓地/中井英夫」を105円で購入。さらに意地になって阿佐ヶ谷まで歩き、家まで後一歩というところで「J-House」(2015/12/26参照)の土日100均朝市に捕まってしまう。よっ!アニメ系ソノシートとともに、古い地図類が出されているじゃないかと、即座に喜色満面。ところがソノシートにはすべて800円の値段が付けられているのでサッサと諦め、地図類のみを掴む。成文社「東京都管内粁程図」(昭和二十四年出版の、東京各地の鉄道を基準にした距離表である。折込の距離入り鉄道路線図や東京全図付き)日本研究社・日本旅行社「東京及近郊交通詳図」(昭和二十二年発行。まだ物質が豊かではない時代の、粗悪な紙なりに地図を丈夫に作り、懸命な色刷りが涙ぐましい薄っぺらな交通地図である。その交通の中心が都電であることが、さらに時代を感じさせてくれる)京都市役所「京都 KYOTO」(昭和二年出版。表紙には太田喜二郎の版画が貼付けられ、中はコロタイプ印刷・全三十九枚の京都名所写真で構成された、手帖サイズの写真集である)を計300円で購入する。
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やはり嬉しいのは「京都」。寺社仏閣だけではなく、新京極の街頭風景や、近代建築も挿入されている。写真は蹴上インクラインの風景で、まだ現役バリバリで使用されている。

というわけでこちらも何とぞ、次の日の喜国雅彦氏&北原政彦氏のトークとともに、よろしくお願いいたします!「醗酵人間」と大阪圭吉話が炸裂必至!
「ある怪書好き会社員の軌跡」 トークイベントvol.1
■『怪書探訪』著者 古書山たかしさん、古本屋ツアーインジャパンの小山力也さん、盛林堂書房店主 小野純一さんによるトークイベントを開催!
http://www.kosho.ne.jp/news/news_info170213.html
■日時:2017年4月7日(金)開場18:00 開始18:30〜20:00
■場所:東京古書会館 7階会議室
〒101-0052 東京都千代田区神田小川町3丁目 東京古書会館
■入場料1000円(現金のみ) 事前申込 先着100名様
■予約 http://www.kosho.ne.jp/event/2017/s/page2.html
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2017年03月30日

3/30「浩仁堂」で科学絵本に目尻を下げる。

道を歩いていると、擦れ違った老人が引き返して来て「突然すみません。不躾ですみません。その頭で結んであるのは、髪の毛ですか?」(私は長過ぎる髪を常日頃から頭の上に丸く結び上げているのである)と突然聞かれて面食らうが、素直に「はい」と答えると「では相当長いんですな。いや、髪を大事にするのは良いことです。昔の人も、髪を大事にしたもんです。いやいや、ありがとう。これからも切らずに大事にして下さい」と笑いながら去って行った…なんだ、この昔話のようなひと時は…そんなことがありながら、今日は夕方の武蔵境に流れ着く。昔話の余韻を引き摺りつつ、午後六時前の「浩仁堂」(2011/02/15参照)。ビル越しの薄く儚い夕陽を、店頭の絵本ラックが浴びている。
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今日は果たして100円で何が買えるのか、期待しながら絵本の列をギロリと眺める。新刊系に対抗するように、大好きな絶版絵本も個性豊かに自己主張している。五冊ほど欲しいものが見つかるが、セコく三冊に絞って店内へ。小さな店内の棚と足元の箱を一巡し、さらに古書を二冊。福音館書店「くうきはどこにも/ブランリー文・ガルスター画」「うみのがくたい/大塚勇三さく・丸木俊え」「月刊たくさんのふしぎ79号 ノラネコの研究/伊澤雅子 文・平出衛 絵」矢貴書店「愛染かつら/川口松太郎」警醒社書店「星座の親しみ/山本一清」(函ナシ。大正十五年五版。見返し裏に鉛筆で『昭和二年九月上旬、城志堂ニテ買フ』と記述あり)を計500円で購入する。帰りの中央線の中でシートに腰を下ろし、五十歳のオッサンが絵本のページを次々紐解いて行く。「うみのがくたい」は、おはなしも絵も珠玉の名品。船乗りの楽隊に感化され、ついに楽器を口にして演奏する魚類の未知のシンフォニーシーンは、紙面から音が湧き上がって来る臨場感!そして「くうきはどこにも」は、独特の六十年代センスを発揮する児童用翻訳科学絵本である。イラスト・色彩・デザインがとにかくスタイリッシュ!帯の見返しを見ると、シリーズは他に二十二冊出ており、中でも「地球はまるい」「たねのりょこう」「ダーウィンの世界一周」「つきのせかい」などが特に気になってしまう。
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2017年03月28日

3/28原稿の合間の空振りを年季の入った回転ラックに癒してもらう

本日は「中央線古本屋地図(仮)」のレイアウトではなく、原稿書きに腰を据えて挑みかかる。一気にドバッと書き上げたいところだが、集中力が途中で途切れ、心が古本屋を欲してしまう。と言うわけで午後に発作的に外出し、前回空振りした大崎広小路の古本を売る電機製品小工場(2017/03/01参照)を見に行くことにする。今回は東急池上線には乗らずに、五反田駅から歩いて目指すことにする。良く考えれば、わざわざ電車に乗らずとも良いほどの短い距離なのだ。暗緑色の目黒川を越えながら、池上線の高架が普通より高いことに目を瞠る。あっという間に件の工場の前に到着するが、あっけなく空振りしてしまう。今日も扉は閉じられ、ガラス戸の向こうに本棚を見せているだけなのだ…これは、もしかしたら案内を乞うてから、買わなければならないのだろうか。それとも古本販売は、すでに辞めてしまっているのだろうか。いつまでも坂の途中で考えていてもしょうがないので、トボトボ歩いて五反田駅へ戻る。そのまま山手線外回りに乗って、渋谷駅で途中下車。宮益坂に足を掛け、ついに『宮益坂ビルディング』の巨体が姿を消したことを改めて寂しく感じ、坂の上の「中村書店」(2008/07/24参照)。空振りの虚しさとビルが消えた悲しさを紛らわすために、今、どさくさに紛れて告白しよう。実は俺は、このお店の金属製回転ラックを、心から愛しているのだ。思いっきり人様の物なのだが、愛して止まないのだ。
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年季が入って傷んで歪み、アルミニウム合金と思われる表面には白サビさえ浮かんでいる。軽やかなフォルムだが、装飾性など皆無なシンプル過ぎる姿形。機能性重視のはずなのに、ラック部分全面中心に太いフレームパイプが縦に走る残念さ。中心のパイプを軸にして、上下それぞれ二段ずつで四面に分かれたラックは、重心がすでに不安定になりながらも、キィキィと細かな軋みを立て、わりとスムーズに回ってくれるのだ。このラックから100均文庫を買ったことは一度もないが、いつでも店先で、もしくは店内でしっかりと回し、数多の古本を搭載して、長い年月を回転しながら飛び越えて来たその偉大さを味わうことに、腐心してしまうのだ。今日も上段をくるくる回し、見覚えのある文庫で一周を判断し、続いてしゃがんで下段も一回し。まるで、公園にあった『回転ジャングルジム』を、巨人になって手の中で回しているようだ。人間は何故こうも、回転する物が好きなのだろう…。それから隣の100均台と箱をゆっくりと漁るのが、いつもの流れなのである。俺だけかと思ったら、次にラックの前に立ったオジさんも、上下共しっかりクルクル回している。やはり楽しいのだろう。世の中に回転ラックは数あれど、俺にとってはこのラックが、この世で一番の物なのだ。と、そこまで思考を暴走させ満足したところで、中央公論社「忘れられた日本〈沖縄文化論〉/岡本太郎」(裸本)を100円で購入する。見返しに『沖縄観光協會之印』があるのが感慨深い。昭和三十六年の初版なので、復帰前の沖縄にあった本なのだろう。それを東京で手に入れる、この不思議さ!そんな風に色々満足した後、家に戻って原稿を無事に書き上げる。これが終わったなら、さぁ、再びレイアウトだ。
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2017年03月27日

3/27まだまだ古本準備中。

雨上がりの夕方に流れ着いたのは永福町である。七色の職種に新たに『プリントハウス』というのが加わっており、もう完全に古本屋の原型を留めていない「ドエル書房」(2015/07/16参照)をバスの車窓に眺め、高円寺駅まで移動する。昨日来たばかりなのだが、永福町から杉並区を家の近くまで縦に切り裂いてくれるのだ。一駅離れているが致し方ない…。そのまま西側の高架下に吸い込まれ、「藍書店」(2014/01/14参照)の外壁棚と対峙する。
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思えば、この外にある壁棚とは不思議なもので、本来は商品を内蔵する店舗の一部なのだが、店舗空間を拡張するために裏返り、まるでゴシック建築のように内部が露出してしまっているのだ。店内に入ればそこは、古本と向かい合いつつも、店主の視線や存在が加味される、独特な緊張感の漂う空間である。だがこの外壁棚(外に出されている棚やワゴンもそうだ)は、これから始まる店主との関係を心の中で準備し意識しながらも、まだ今だけは、ただただ古本とだけ向き合える開放感に包まれた、淡い境界なのである。開放感があるということは、店主の視線が届き難いということである(時に監視カメラというテクノロジーを通して、視線を感じることはままあるが)。だからリリースされたように境界に大量の本が並んでいると、開放感とともにお得感が倍増するのであろう。とりとめもなくそんなことを思考しながら、二冊を掴んで店内へ。中央通路の文学棚を観測した後、女性店員さんに精算していただく。有斐閣「物語の迷宮 ミステリーの詩学/山路龍夫・松島征・原田邦夫」新潮社「絵のなかの散歩/洲之内徹」を計500円で購入する。

夜道を歩いて家まで帰り、夕飯を食べる。その後は腹ごなしに、いつか見た光景のような古本の準備に取りかかる。近日中に「フォニャルフ」棚を大幅入替するためと、月末までに(もう月末だ!)大阪「梅田蔦屋書店」のフェア用追加本を大量に準備しなければならないのである。必死に山を掘り起こしてソファーに積み上げて行くが、道はまだまだ半ば…今年はもしかしたら、古本を売って売って売りまくる年なのだろうか…。
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2017年03月26日

3/26三庫文色!

寒く冷たい雨降りの日曜日なので、終日机に齧りついて仕事を進めるのが今日の主な予定。だが、古本を買って心の安定を図っておきたいので、細かい雨に傘を差しかけ、ヒタヒタ濡れた路面を踏み締め踏み締め、午前十時二十分に高円寺の「西部古書会館」へ。
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昨日今日と開催されているのは「中央線古書展」(2014/01/25参照)である。ガレージに古本修羅の影はなく、静かに古本が集まり、雨垂れの音と古本屋さんの話し声だけが聞こえてくる。たったひとりで、白い息を吐きながら、畳んだ傘を杖として、足元に並ぶ古本を眺めて行く。途中「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)さんと挨拶を交わし、続いて館内へ。こちらには修羅影がチラホラ。そして、二日目ということと、雨が腰を重くしていたのか、時間の経過とともに館内は通常の賑わいを取り戻し始める。だがそれでも各棚を、じっくり時間を掛けてみることが出来たので、いつもより長時間滞留してしまう。選びに選んだ計六冊を1600円で購入。春陽堂「科學探偵/小酒井不木」(函ナシ)武侠社「犯罪科学 1931 五月號」西荻書店三色文庫「野球の科学(上)ピッチングの手引/三石巖」日本出版協同株式會社「よしわら/大河内昌子編」書肆ユリイカ「鋼鉄の足 滝口雅子詩集」(カバーナシ)文書堂「最新手工 趣味の厚紙建築/岡山秀吉」(函ナシ)。嬉しかったのは「趣味の厚紙建築」で、大正十五年出版の、タイトル通り厚紙で簡易住宅・小學校假校舎(何故“假”なのだろうか。その理由は本文にも書かれてはいない)・食料雑貨店・三階建大商店・或る學者の住宅・某実業家の別荘・消防署・旅館兼洋食店・停車場・瓦斯製造所などなどの模型の作り方が、展開図と作例と完成図で丁寧に解説されているのだ。住宅に付属する犬小舎なんか、可愛くてもう!元々は小学校の教材として作られたものらしいが、その細工はなかなか精緻で大掛かりである。もう一冊の収穫は、西荻窪にあった出版社「西荻書店」が出していた子ども用の文庫・三色文庫である。
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昭和二十六年の出版で、住所が西荻窪2-69とあるから、北口を出てすぐの辺りにあったのだろうか。レーベル名通り、赤・青・スミの三色(もしかしたらスミは赤と青の掛け合わせかもしれないが)で刷られた、恩地孝四郎デザインの表紙が愛らしい。だが、巻末の広告を見ると、何だかとんでもないことが起こっていた!
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ああっ!すごい誤植だ。間違っていないようで盛大に間違っていて、もはや芸術性すら感じてしまう…。
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2017年03月23日

3/23「死人の掌」の到着を歓迎する。

色々終えて流れ着いたのは、三鷹『禅林寺』の塀の前。この長く白い塀の向こうの何処かに、太宰治が眠っているのかと想像しつつも、足は自然と『中央通り』へ向かい、夕方の「古書上々堂」(2008/07/17参照)に滑り込む。100・300・500均一本とネット管理本(ビニールに包まれ値はほぼ書かれていないが販売中である)と「岡崎武志堂」の三ゾーンに大きく分かれる静かな店内を、静かに静かにうろつき回る。日本エディタースクール出版部「書店ほどたのしい商売はない/上村卓夫」(「書原」社長の本!)桃源社「東洋武侠団/押川春浪」を計600円で購入する。
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阿佐ヶ谷に帰り着き「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に立ち寄り、店頭では購入&読了メモが扉に書かれているため103円のフィルムアート社「天使のまなざし ヴィム・ヴェンダース映画を語る」を。店内ではこちらは裏表紙裏に日付け記入アリだが激安とも言える講談社青い鳥文庫「消えたおじさん/仁木悦子」を309円で購入する。

気持ち良く古本を買って帰宅すると、二冊の本が届いている。一冊は「散歩の達人」4月号『大特集:東京ディープ案内』である。屋敷直子さんと楽しく対談しておりますので、書店でお見かけの際はぜひ手に取っていただければ。そしてもう一冊は、待ちに待ったヤフオク落札本!今古堂分店「探偵文庫 死人の掌/丸亭素人譯」(明治三十二年六版)である。明治探偵小説本にしては安値の三千円スタートだったのだが、入札すると結局ライバルは一人も現れず、そのままラッキーにも落札してしまったのである。そして出品者と取引連絡を取ってみると、何とお相手は旧知の「聖智文庫」さん(2013/05/16参照)であった…。うわっ!と思い、早速こちらの正体を明かし、恐縮しつつ取引を進めると、昨日携帯に店主・有馬氏から「発送したよ」の連絡をわざわざいただきつつ、「なんであれが三千円なんだよ〜」とボヤかれ「表紙に“こんちくしょう”って書いといたから」と毒舌を吐かれてしまう。いや、もう本当にありがとうございます!憧れのひとつである丸亭素人の探偵小説を読める日を迎えることが出来たのは、紛うことなき「聖智文庫」のおかげです!…というようなことがあり、本日夕方、「死人の掌」到着を大歓迎しているわけである。本はザラ紙A5変型の、まるで漫画雑誌のような分厚さで、私にとっては初めて見るタイプの明治本である。それにしてもこの色刷り鮮やかな表紙が素敵!『探偵文庫』の文字も素敵!下に小さく描かれた大変な事件の様子も素敵!巻末の今古堂(恐らく「コンコ堂」なのである!)広告を見ると、他に九冊の『探偵文庫』が出ている。くぅ、読みたいなぁ〜手に入れたいなぁ〜どこかで三千円で売ってないかなぁ〜………。
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2017年03月22日

3/22深く静かにデザイン潜航中…

早起きして、必死に「中央線古本屋地図(仮)」のデザイン作業を進める。これをちゃんと完遂しなければ、本当の春はやって来ないのだ!とばかりに、家に閉じこもって地味な作業をチクチクと。お昼前にちょっと気晴らしに、荻窪までタッタカ歩き、開いたばかりの「ささま書店」(2008/08/23参照)店頭を楽しむ。手にしたのは一冊だけだったが、実はこれが満足に値する一冊なのであった。サッポロビール株式会社「サッポロ納涼特集号」(昭和四十三年八月刊)を105円で購入する。名前の通り、サッポロビールのPR小冊子である。五十人ほどのビールやお酒にまつわるエッセイを掲載しているが、驚くほど文学度が高いのである。しかも、城昌幸・鹿島孝二・城戸禮・萩原秀夫・大林清・宮本幹也などが、堂々と紛れ込んでいるのだ。特に城の「哀れ」は、かつての恋人を巡るエッセイとも怪談ともつかぬ佳品である。編集後記にも和服でビヤホールに出入りする城のエピソードが登場している。うむ、この表紙だけ見ると、なんだか札幌の郷土冊子みたいだが、騙されずに中を開いてみて、本当に良かった。
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帰りは北口に出て、ビルの間から小さな『教会通り』をたどる。かつてこの通りには何軒かの古本屋さんがあったはずなのだが、残念ながら私はすべて未見なのである。頭の中に作った地図を立ち上げ、あったはずの小さなお店たちを幻視しながらの、帰り道。家に戻って再びデザイン作業に従事。そして夕方に再び気晴らしに外出。高円寺までタッタカ歩き、「越後屋書店」(2009/05/16参照)で草思社「ビートルズ/ハンター・デヴィス」を100円で購入する。この『あづま通り』でも、出現しては消えて行った、数々のお店たちを幻視してしまう。なんだ、中央線沿線は、古本屋さんの亡霊だらけじゃないか。だから今、岡崎武志氏と、お店の魂を慰め記憶に留めるために、本を作っているのではないだろうか。では、早く帰って作業の続きに取りかかるとするか。
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2017年03月17日

3/17『気まぐれプレゼント』を受け取る。

本日夕方の漂着地は、千歳船橋と用賀の間にある桜丘。見たこともない住宅街から脱出を試み、いつの間にか経堂駅へと向かう『農大通り』の学生の流れに便乗している。と言うことはこのまま真っ直ぐ北に進んで行けば…おぉ!やはり学生が流れる河の途中には、「大河堂書店」(2009/03/26参照)という名の古本屋が、暗くなり始めた商店街に存在していた。店頭を入念に探った後、まずは右側通路に潜入し、新入荷本や古い単行本に集中する。ロシアの綺譚&妖怪譚を集めた資料本に激しく心が揺さぶられてしまうが、結局は中央通路の超充実文庫棚にしがみつく結果となり、あっという間に六冊が手の中に収まってしまう。講談社文庫「グリーン車の子供/戸板康二」文春文庫「諫早菖蒲日記/野呂邦暢」「原色スポーツ図鑑/浅井慎平」角川文庫「美女の青い影/平井和正」八重洲ブックセンター「ティファニーのテーブルマナー」酣燈社「詩人全書 東西古今集/日夏耿之介」(これが本日一番の掘出し物。帯付きで300円にニンマリ)を計1230円で購入すると。白髪ソバージュのご婦人が、笑みを浮かべながら帳場横の小箱を指差し、「千円以上お買い上げの方にプレゼントです」と宣う。見れば箱の中には、袋に入れられた文庫本が並んでいる。その表には『気まぐれプレゼント 謎の文庫本』のハンコが捺されている…。「何が入ってるか分からないんですか?」「分からないんですよ〜」と再びニヤリ。せっかくなのでちょと迷いつつ、薄手の一冊をいただくことにする。さほど興味も喜びもなかったのだが、貰ったとなると中に何の文庫が入っているのかとても気になってしまう。駅にたどり着き、電車のシートに腰を下ろして、ペリペリと開封してみる。袋の中に入っていたのは、原稿用紙に包まれた新潮文庫「津軽/太宰治」であった…も、持っている文庫だな…脱力しながら、ダブりの文庫本を手にして、夜の電車にガタゴト揺られている…。
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2017年03月16日

3/16「江口書店」で夜の始まりに安らぎを得る。

色々こなして本日漂着したのは、すでに暗くなってしまった『世田谷公園』。薄闇の中で憩う人々が集う、擂り鉢状の噴水広場を抜けて『三宿通り』に脱出する。ここまで来たなら、向かうところはただひとつ!「雜本 雜書 江口書店」(2010/03/29参照)だっ!いそいそと早足で北に向かえば、交差点近くで、歩道に店内蛍光灯の明かりを投げ掛ける、ホッとする古本屋さんの姿が見えて来た。
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その店内の明かりで可愛い店頭台を漁り、何冊か選り抜き出す。左側扉から入店し、コンクリ土間の上をゆっくり滑りながら、古本の間で古本を見て行く。それに何だかとても古本に溺れたくて、普段はあまり手を伸ばさない、中央棚を珊瑚礁のように囲む古本山や、右側通路の床に置かれた、ビジュアル本ラックまでを探る。静かな古い店内でしゃがみ込み、一冊一冊薄い冊子を確かめる…時間と空間が温いゼリーのように凝り、それらに包まれるようにして、次第に心が安らいで行く。そんなお店の雰囲気に乗せられたのか、多めの六冊を帳場の老婦人に差し出す。大学書林「巷のフランス語(1)(2)」共に松尾邦之助、講談社文庫「細い赤い糸/飛鳥高」みやま書院「わたしたちの北海道史/蒲田順一」主婦と生活社「にっぽん芸人図鑑/神津友好」ぴあ株式会社「ぴあ FILM FESTIVAL 1981 OFFICIAL CATALOG」日本評論社「陸軍讀本/大久保弘一」(裸本。昭和十三年刊で、兵器写真が驚くほど豊富に掲載されている)を計1200円で購入する。

幸せな重さを腕に感じて家に帰り着くと、一冊の献本が届いていた。先日の『本のフェス』で先行販売されていた、本の雑誌社最新刊「おじさん三人組が行く!」である。以前販売された簡素な本ではなく、A5版でカバーも掛けられて、本誌連載六年分をすべて収録している。ということは、私が参加した日下三蔵邸訪問(この記事に対応するブログ記事は2014/12/10参照)や、万歩書店ツアー(対応するブログ記事は2015/01/09参照)の記事も収録されているのだ。うひゃっ!うれしいことに冒頭の『登場人物紹介』で、錚々たるメンバーに混じって、私も紹介されているではないか!嬉しや嬉しや。だがやっぱり、この「万歩書店」で何度も声優の小山力也に間違われるくだりは、面白いのだが、小っ恥ずかしいなぁ…。
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2017年03月15日

3/15「中央線古本屋地図(仮)」は微速前進中

突然冷蔵庫に押し込められた水曜日。午前十一時過ぎに古本を抱えて家を出て、震えながら荻窪「ささま書店」(2008/08/23参照)に向かう。表に出たばかりの店頭棚を、寒さと闘いながら血眼チェック。すると、隣り合った老古本修羅が「ここは、寒いねぇ〜。本当に、寒いねぇ〜」と話しかけて来た。確かに常時冷風が容赦なく吹き付けて来るので、「今日は、格別な寒さですよね」と、その寒さに顔をこわばらせながら答えると、「寒い寒い。おぉ〜寒い」と歌うように再びぼやき、古本をしっかりと手にして行く。おまけに、棚の整理までして行く。次第に右にジリジリ移動する彼と、素早く場所を入れ替えて、こちらも負けじと古本を手にして行く。早く店内に逃げ込みたいが、もちろん最後の最後まで棚を見ないと気が済まない。おまけにすでに見終わったゾーンに、店員さんが新しい本をドカドカと並べ始めたりする。もう一度補充本を見るために元の場所に戻ったりして、結局三冊を手にする。暖かい店内で、人心地つきながら精算。albatros「Kretek a podzim」(黒いモグラが主役の、チェコの蛇腹型絵本)筑摩書房「退屈なパラダイス/山崎浩一」東京國民書院「詩集 旅と涙/勝田春月」(函ナシ。昭和二年十四刷。表紙に金で箔押しされた『TRAVEL AND TEARS』にグッと来て中を開くと、旅情と哀愁と寂寥を漂わせる読みやすい大正時代の詩が、小さな本からこぼれ落ちてくる)を計315円で購入する。この後は本来ならそのまま西荻窪まで歩くべきなのだが、寒さに敗走して電車に乗ってしまう。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)では店頭100均文庫台から創元推理文庫「暗黒大陸の怪異/ジェームズ・ブリッシュ」旺文社文庫「高島忠夫の洋食劇場」を計200円で購入しつつ「フォニャルフ」にひとまず補充するが、そろそろ大幅な入替時期に来ている予感が、ヒシヒシと背中を走る。一山超えたら、また家の古本山と、がっぷり四つに組み合わなければ…。そして店主・小野氏と色々打ち合わせつつ、「中央線古本屋地図(仮)」用の重い資料を受け取る。編集制作作業は、ちょっと微速前進状態ですが、どうにか四月には発売に漕ぎ着ける予定で、これから遮二無二働きます!岡崎武志氏も、フットワーク軽く筆も軽やかに、様々な企画を文章化中であります!どんな本になるのか楽しみにしていただいているみなさま、もうしばらくお待ち下さい。

寒さと重い荷物を抱えているせいで、古本屋ツーリストの矜持などは軽く折れてしまい、遠くの古本屋に行く気が失せてしまう。駅前で暖かい立食い蕎麦を啜った後、ガード下を潜ってかなり久しぶりの「忘日舎」(2015/09/28参照)に足を踏み入れる。変わらぬ硬派な店内は、まるで欧州田舎の小さな教会のようである。入口左横の円弧棚の上に乗った本の列から、法政大学出版局「海の歳時記/宇田道隆」を350円で購入する。海の蘊蓄エッセイをまとめた一冊なのに、何故か表紙には河童が描かれている。だが、よくよく調べてみると、海に河童が出没する地域もあるらしい。勝手に河童は川に出るものと思っていたが、妖怪には柔軟な多様性があることを、一冊の本の表紙から改めて知る。
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2017年03月14日

3/14ついにトム・ブラウン・ジュニアを捕まえる!

午前六時に起床し、確定申告書類の、最後の仕上げに奔走する。神経をすり減らして午前九時半過ぎに家を出て、税務署の列に並び、どうにか滑り込みで申告を済ませる。すっかり現代的な集合住宅群になってしまった『阿佐ヶ谷住宅』跡地を切なく横目にして、阿佐ヶ谷駅までトコトコ戻り、そのままの足で高田馬場へ向かう。「ブックオフ高田馬場北店」(2012/11/15参照)の入口付近に、古い漫画が集まっているとのコメント情報にそそられての行動である。坂道を下ってコンクリで固められた神田川を渡り、石のステップを上がってお店の中へ。むっ、確かに正面右側の本棚脇ラックに、古い漫画本と漫画雑誌が一棚集められている。「ヤングコミック」・70年代劇画・手塚治虫・少年漫画・復刻漫画・漫画研究&評論・週刊誌の漫画特集…ビニールに包まれた雑誌以外は、古びたパラフィンが掛かったままなので、異様に古書店的雰囲気を醸し出してしまっている。確かに面白い光景ではあるが…とレジ脇の新入荷棚に何気なく視線を移すと、おっ!そこにも同様な古びたパラフィン本の壁が出来ているではないか。近づくとこれが映画本ばかりで、単行本・ムック・雑誌が結構な量で並んでいる。パラフィンの古び方がみな一様なので、恐らく漫画もこちらも一人の方の蔵書だったのだろう。それにしても、ピンク映画・成人映画・ロマンポルノ関連の本が大充実しているではないか!当時本がほとんどなので、恐ろしく貴重な資料と言えよう。ちなみにこの高田馬場北店は古書も扱う変わり種店舗なので、どれも値段はしっかりと付けられている。だが熱心に探すと、割安な本も見つけられるので、決して諦めない方が良いだろう。レジ前の平台には少量だが、貸本漫画系のコーナーまで出来ている。こんなにたくさんの買取…これは奥の古書コーナーにも同一の蔵書が紛れ込んでいるのでは…と足早に向かってみると、梶山季之・川上宗薫・青森郷土本などがパラフィンに包まれ紛れ込んでいた。しかしこの蔵書群、まだ出していないのかもう売れてしまったのかは分からぬが、かなり筋の良い本が含まれていたのではないだろうか…。一番最初に棚を見られなかったことが、返す返すも残念である。それでも熟考して、櫂書房「甦る名優たち 戦後映画史 新東宝編」津軽書房「北津軽郡東京村/三上寛」を計3120円で購入する、映画史の方はジャスト値だが、三上寛の方は安めで嬉しかった。
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そして映画史の方には、大河内常平原作の『九十九本目の生娘』や大坪砂男『私刑』橘外男『女吸血鬼』『亡霊怪猫屋敷』『怪猫お玉が池』などを筆頭に、妖しい貸本小説や時代小説を原作にした、キメキメで刺激的なスチール写真が満載なので、もう辛抱たまりません。写真は『九十九本目の生娘』の、若き日の菅原文太の勇姿。

家に戻って昼食を摂った後、日曜の「みちくさ市」に備えて、箱にイレギュラー的要素も加えておきたいので、東村山の激安福祉系古本屋「なごやか文庫」(2012/01/10参照)を偵察に行く。結果としては十一冊を計960円で購入し、まぁまぁの成果。だがそんなことより驚いたのは、本日気まぐれにここに来たおかげで、長年探していた本と出会う感激を味わうことになったのである。それは、徳間書店「ハンテッド/トム・ブラウン・ジュニア」!トム・ブラウン・ジュニアはアパッチ族の古老から、サバイバルやトラッキング(足跡を観察してたどることにより、何処へ向かっているのかということから、その動物や人間の心理状態や体調までを見通すを技術)を伝授され、時に行方不明者や犯罪者の捜索に携わることもある“トラッカー”である。この人が書いたトラッキングの本は、他に同じ徳間書店の「トラッカー」があるが、これらが読みたくて探し続けていても、ずっとずっと見つからず仕舞いで、探書リスト・ベストテンに常にランクインし続けて早六年…(他にスピリチュアルな本も出しているのだが、そちらにはまったく興味がない)。2000年代初めの新しめの本なのだが、ネットではわりと高値で取引されており、とにかく常日頃から注意していても、一度も古本屋で見かけることはなかったのである。つまり自分的には古本心の中で、次第にレア度が上昇してしまった本なのである。それが今日、150円の安値で手に入ったのだ!こちらは映画原案本で、トラッキングで扱った事件を、五編収録したものである。これは、蕨の「春日書店」(2010/06/19参照)外棚で、ブルース・チャトウィン「ソングライン」を見つけた時の感激と、似たものがあるな。古本屋さんに足を運び、本を掘り出す喜び、ここにあり!生きていると色々なことがあるが、私は今日、とても幸福である。
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2017年03月12日

3/12第2回『本のフェス』をどうにか完走する。

本日は神楽坂での第2回「本のフェス」内「本の雑誌商店街」に参加するため、早朝から準備OK…と思っていたら、ピックアップしてくれる盛林堂号が、思いの外早く午前八時前に到着し、本を木箱からダバダバこぼしながら、泡を食って車に乗り込む羽目になる。同乗者は北原尚彦氏と善渡爾宗衛氏である。すると神楽坂へ向かう三十分弱の間、トップギアで古本について声高に話し合うことになり、早速貴重なエネルギーを無駄遣いしてしまう。ほどなくして神楽坂の裏町といった場所に建つ『日本出版クラブ会館』に到着し、重い木箱をエッチラオッチラ二階の一室に運び込み、売場を設営する。「本の雑誌」のみなさまや、荻原魚雷氏や「古書いろどり」(2015/12/12/参照)彩古氏や「ますく堂」さん(2014/07/20参照)や「古本と手製本」のヨンネさん等と挨拶を交わした後は、しばし会場内の売場を偵察。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)は壁の如き売場を築き上げ、古本長者としての地位を盤石なものにしている。さらに森英俊氏は、あまりに大量の本を搬入してしまったため、無人売場が二つに分かれる結果となってしまっている。…加減を知らぬ、恐るべき古本神たちよ!午前十時の開始とともに、その恐れ&畏れは現実のものとなり、ただただ神たちの古本だけが売れて行く時間が吹き荒れて行く…唯一それに対抗出来ているのは、自著である新刊文庫を先行販売している北原尚彦氏くらいのものか…。しかしそんな神たちの超ハイペースを見て見ぬフリすれば、自ずから選んだアウェイジャンル(アニメ&特撮中心)ではあったが、ボチボチっと売れてくれていて、途中からビールを飲みながらも長丁場の午後七時を迎えた時点で、なんとか計39冊を売り上げることとなったのである。…まずは形になって、よかった。お買い上げのみなさま、おかしなジャンルに懊悩し手を出せなかったみなさま、そして通りかかって下さったみなさまに感謝である。特に印象的なお客さんを挙げると、コミック「装甲騎兵ボトムズ」を買ってくれたうら若き女性、SF映画パンフ三冊を歓声を上げながら購入したフランス人、怪談本&ゾンビ本&怪奇まんがを悉く立ち読み読破し去って行った小学生女子、「ぬいぐるみとの暮らし方」を存分に吟味して買って行ったお嬢様、「古本屋写真集」が改めて売れたこと、そして寄せては返す波の如く本を手に取り戻し手に取り戻しを繰り返した挙げ句(ボヤき付き)購入してくれた彩古氏に拍手喝采を送りたい。また、最後の最後に金沢から参戦していた古本カフェ「あうん堂」さんと挨拶を交わし、まだお店に行けていないことを詫びつつ、いつかは必ずうかがうことを約束する。そんな楽しい一日であったが、もちろん古本を買うことを忘れてはいなかった。次第に売れる古本で得られる懐具合に合わせ、会場内の古本を少しずつ時間差で、購入してしまっていたのである。北原尚彦氏からは大日本雄辯會講談社「怪奇境探検記/小山荘一郎」(裸本)、「盛林堂書房」では学風書院「劇書ノート/古川緑波」、森英俊氏からは光風社「童貞先生青春記/宮下幻一郎」東京ジュニヤー協会「火事の百科 東京文庫1」を……たくさんの古本を売ってまたもや古本を買う…なんて清々しくも馬鹿らしい行為なんだ…あぁだが、俺はこのために、きっと生きているのだな。そんな感慨に耽りながら愚かな私は、来週日曜にも「みちくさ市」に参戦いたします。こちらは今回の変態的並びではなく、いつものほどよい文学&ミステリ&変な本に戻る予定なので、何とぞ引き続きよろしくお願いいたします。今宵はこれにて、おやすみなさい…。
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ちなみにこれは、ほぼ終了間近の私のブースである。本以外はほとんどが売れ残り、シャプレー星人も仮面ライダーも、無事に家に出戻ることになりました…。
posted by tokusan at 23:34| Comment(2) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月11日

3/11明日の準備を進めたらやはりヘンテコなことになる。

朝から明日の「本のフェス」参戦の準備を進めるが、やればやるほどヘンテコになって行く…なんだか全然売れない気がして来た…いや、どうせ明日は神楽坂中が本まみれになるのだ。ならば変態的性格を持つ俺は、変態的に猛進して、構わないだろう…でも売れないのはなぁ…。などと思考の隘路に嵌ってしまった感があるので、息抜きに午後に外出し、今月末でお店を閉店してしまうという下北沢の「オムライス」(2013/09/19参照)を偵察に行くことにする。深過ぎる地下ホームからようやく南口に出て、ガード前の明るい陽光に目を細め、まずは肩ならしに裏路地の「ほん吉」(2008/06/01参照)へと向かう。店頭棚を熱心に見ていると、左斜め後ろでガゴガゴと不穏な音が響き渡る。うぉっ!店頭の木箱を停車しようとした乗用車が、バンパーの下に巻込んでいる。不注意だなぁ…すぐさま車から助手席の人が出て来て、木箱を下から引きずり出し、元の位置に戻す。そんな出来事に気を取られながらも、金剛社「逆進化/辻野勤」(前にも買ったことがある、ダーウィンの進化論を逆にたどる珍SF小説である)朝日ソノラマ「狼少年ケン」(ソノシートナシ。だがやはり、森やすじの狼は、身悶えするほど可愛過ぎるのだ…)を計300円で購入する。お店を出て、気になっていたので轢かれた木箱を確認すると、おぉっ!何ともない!その武骨なタフネスさに拍手喝采しながら、テクテク若者だらけの商店街を抜けて、街の端にある「オムライス」に到着。ドアには3/26閉店のお知らせが貼り出されてしまっている。
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中に入れば、そこはいつもと変わらぬ懐かしい玩具だらけの光景。基本的に膝下に集まる、古本・漫画・紙物を丁寧に繰って行く。先客が一人おり、古本棚の前に立ち尽くし、懸命にカードを選り分ける作業に没頭しているので、なかなか棚を見ることが出来ない。それでも左右から回り込んでのぞき込み、結局博文館「少年少女譚海 昭和十一年十一月號」(裏表紙トレ)学習研究社「中をのぞいたら」を閉店セール価格の計500円で購入する。これからまだまだ面白そうなモノが出てくる予感がするので、26日までにまたどうにか訪ねることを決意する。

家に戻ったら、フェス準備のラストスパート。本はいつもとは大幅に異なり、特撮アニメ関連&変な本と粋な本を揃えつつ、その他には本以外のブツを掻き集めてしまう。ファミコンカセット・仮面ライダーソフビ・シャプレー星人ソフビ・成田亨フィギュア・パンナムトランプ・柳原良平団扇・ジャングル大帝紙芝居・キャプテンスカーレット小旗・王貞治&森永コラボ下敷き・駅馬車カセット教材・とびだす絵本・堀内誠一カレンダー・etcetc……。本を見るのに疲れたら、どうか『本の雑誌商店街』の当ブースをお訪ね下さい!古本屋+古道具屋の様相で、お待ちしております!
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『本のフェス2017 本の雑誌商店街』
■日時:2017年3月12日(日)10時〜19時
■場所:日本出版クラブ会館
〒162-0828 東京都新宿区袋町6
http://www.shuppan-club.jp/
■主催:本のフェス実行委員会/読売新聞社
https://ja-jp.facebook.com/honnofes/
http://www.cpfine.com/honnofes.html
昨年、京都造形芸術大学外苑キャンパスで初開催した「本のフェス」ですが、今年もパワーアップして開催決定! 時は3月、場所は神楽坂に移し、街全体を本のイベントにする予定です。そして今回も会場の一室を「本の雑誌商店街」として、著者、古本屋さん、古本者さん、出版社などなど、本好きみんなが集まり、売りたい本を並べ、その場でコミニュケーションを取りながら販売いたします。
posted by tokusan at 20:38| Comment(2) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする