2017年02月28日

2/28三月四月も色々あります。

夕方にちょっと『五日市街道』の西荻窪に通りかかると、あっ!2016/08/06に店頭しか見られなかった古道具屋「CENTURY HOUSE」が、堂々開いているではないか。しかしお店の入口では、常連さんらしき男性と、初めて見るリサイクル的に砕けた植草甚一風店主が、熱心に話し込んでしまっている…ぐむぅ…お店の中も見てみたいのだが…。取りあえず店頭古本棚を熱心に眺めつつ、チャンスをうかがう。だが話が終わる気配はまったくない。仕方なく100円の創元選書「宿命/萩原朔太郎」を手にして、二人に近付く。すると会話が止まり、店主が手にした本に視線を移し「100円ね」と言われる。百円玉を渡しつつ、ここは思いっきり正攻法で「お店の中、見せてもらってもいいですか?」と聞いてみる。店主が移動して入口を開けながら「いいよいいよ」。ついでに「中にも本はありますか?」とさらに聞いてみると、何故か店主ではなく常連さんの方が「中にはないない」と答える。だがせっかくなので、入れてもらう。通路が二本の店内で、ケースや棚に様々な物品が詰め込まれている、まさに古道具屋的光景。棚だけ見ると、外からの印象と違い、わりとてが入っている感じ。だが!この通路に積み上がる古着の洪水はなんなんだ!入口から一メートル入ったら、もう進むことは出来ない。ちょうど通路の交差点を中心にして、古着が行く手を阻んでしまっている…とても踏み越えて行くわけにはいかないので、諦めて踵を返し、再び入口に立ちはだかっている店主の背に「ありがとうございました」と声をかける。振り返る店主。「中、入れないじゃないですか」と笑いながら言うと「そう。入れないんだよなぁ〜」と当然の如く返して来た。常連さんも、それを聞いてニヤついている。店頭前から、歩行者信号が青になった横断歩道を渡る途中で振り返ると、あ!店主が店の中に戻り、古着の山を踏み付けて奥に入って行くところ…あぁ、何かネジが緩んだような、おかしな夕暮れのひと時である。
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さて、三月四月も様々なイベントに参戦しますのでお知らせいたします。
1. 『本のフェス2017 本の雑誌商店街』
■日時:2017年3月12日(日)10時〜19時
■場所:日本出版クラブ会館
〒162-0828 東京都新宿区袋町6
http://www.shuppan-club.jp/
■主催:本のフェス実行委員会/読売新聞社
https://ja-jp.facebook.com/honnofes/
http://www.cpfine.com/honnofes.html
昨年、京都造形芸術大学外苑キャンパスで初開催した「本のフェス」ですが、今年もパワーアップして開催決定! 時は3月、場所は神楽坂に移し、街全体を本のイベントにする予定です。そして今回も会場の一室を「本の雑誌商店街」として、著者、古本屋さん、古本者さん、出版社などなど、本好きみんなが集まり、売りたい本を並べ、その場でコミニュケーションを取りながら販売いたします。

というわけで、著者&古本者として参戦いたしますが、古本+古本屋や古道具屋や骨董市で買ってしまった、買ったはいいが持て余し気味のおかしな物たちを持って行こうと考え中。ついついメーターを振り切り過ぎて、もしかしたらひとつも売れないかもしれません。そんなおかしなお店で、みなさまのお越しをまたもやお待ちしております。

2. 『鬼子母神通り みちくさ市』
■日時:2017年3月19日(日)11時〜16時
■場所:雑司が谷・鬼子母神通り
東京都豊島区雑司が谷2丁目・鬼子母神通り周辺
東京メトロ副都心線・雑司が谷駅1番出口または3番出口すぐ
■お問合わせ
michikusaichi●gmail.com(●をアットマークに変えて送信してください)
みちくさ市本部 携帯電話:090−8720−4241
http://kmstreet.exblog.jp/

こちらはどうにか、やはり古本だけで参戦するつもりであります。私の蔵書は、二月の大放出古本市ですっかり枯渇してしまっているのか?それともまだまだ古本鉱脈は有望なのか?どうかその目で確かめに来ていただければ!

3.「ある怪書好き会社員の軌跡」 トークイベントvol.1
■『怪書探訪』著者 古書山たかしさん、古本屋ツアーインジャパンの小山力也さん、盛林堂書房店主 小野純一さんによるトークイベントを開催!
http://www.kosho.ne.jp/news/news_info170213.html
■日時:2017年4月7日(金)開場18:00 開始18:30〜20:00
■場所:東京古書会館 7階会議室
〒101-0052 東京都千代田区神田小川町3丁目 東京古書会館
■入場料1000円(現金のみ) 事前申込 先着100名様
■3月6日(月) 午前10時 予約開始! http://www.kosho.ne.jp/event/2017/s/page2.html

あの天下の奇書「醗酵人間」が欲しいあまり、コピーをを手作り製本してしまった伝説の男が語る古本愛!…まぁ恐らく私は、古書山氏と小野氏の濃厚な話には、何光年も置いてけぼりを食らうと思うので、暴走する二人を御する司会的役目に徹する覚悟で臨みます。楽しそうだけど、疲れそうだなぁ…また、帯の話とか、カバー異装版の話とか、ず〜っとするのかなぁ…。何はともあれこちらもひとつよろしくお願いいたします!
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2017年02月27日

2/27 2DAYS

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一昨日は、一日目を終えたらすぐ家に帰り、ひたすら補充分の古本の堀り出しと値付作業に没頭する。何人ものお客さんに「明日は補充するんですか?」「どのくらい補充するんですか?」「全部入れ替えるんですか?」などと聞かれ、二日間開催という重圧を改めて感じてしまったので、その期待に応えるためにも、どうにかして本の量を増やすとともに新味を醸し出さなければいけない!と悲愴な覚悟を決めつつ、作業は深夜二時までにおよぶ。結局出来上がったのは大小十五本ほどの、ありったけの精鋭部隊(図録多め)であった。…これだけか…情けない…。布団の中にのめり込んで泥のように就寝し、二日目の朝に「盛林堂書房」(2012/01/06参照)小野氏に本と身体をピックアップしてもらう。相変わらず二月の冷え込みををシンシンと感じる西荻窪『銀盛会館』内で、独り補充分を棚につぎ込んで行く。気まぐれに新保博久教授が作った両サイドの『怪奇本コーナー』(こちらはわりと女性に売れて行ったので驚きました)『虫本コーナー』(香山滋の「悪魔の教科書」には『人間うじ』が載っているということで一員に)はそのまま維持し、午前十時半には設営完了。昨日同様館内の掃き掃除をし、今日はさすがに人は少なさそうだな…とボンヤリ考える。ところがそんな意に反して。十分前にはシャッター前に、あの頼もしい古本修羅&古本神が大集合してくれていたのだ!おぉ、みんな!みんなっ!と大きな感銘を受けてしまう。と同時に、彼らの古本を求める期待に応えられる棚を創り得たのか、まるで死刑執行を待つ絶望的気分にも陥ってしまう。シャッターがンガランガラ上がって行く途中で(上がりきったら入場可能になるシステム)、「本日二日目です。よろしくお願いします」と挨拶をすると、何故か暖かな拍手がバラバラと巻き起こった。私がなし得た、何かへの礼賛の拍手なのであろう。その奇妙な暖かさにここでも不覚にも、ちょっと感動してしまう(ちなみに拍手をしているのは、すべて見事なまでのオッサンなのである)。しかしその後はそんな感動を吹き飛ばす、昨日見た光景であるはずの、左奥での古本奪取戦闘シーン!…あぁ、でもこれでいいんだ。みんなが求める本を、どうにか再び並べることが出来たのだ。ホッと胸を撫で下ろし、死刑台からすっかり遠退き安堵する。その嵐が一時間ほどで過ぎ去ると、さすがに昨日とは違ったのんびりした時間が流れて行く。昨日今日での商店街の人の流れの違いもあるのだが、それでも通りすがりの人も陽気のせいかフラリと迷い込み、100・300・500均もそれなりに売れて行く。午後四時からは『500円以下100円タイムセール』も敢行し、最後にもうひと盛り上がり。ちょうど午後六時に流れが絶えたのを見計らい、冷たい夜気を断ち切るようにシャッターを下ろしてイベントを終える。ど、どうにかこうにか走り終えた…駆け抜けられた…。本当にみなみなさま、ありがとうございました!全国から集めて来た良書&駄書をお買い上げのみなさま、大事にしていた掘出し物を継承していただいたみなさま、何も買わずとも足を踏み入れてくれたみなさますべてに、心の底から感謝いたします。この二日間は、曲がりなりにも自分の夢である古本屋と言う店舗を持ったことになるのだが、そんな実感はさらさら皆無で、ただただ商品としての古本を掘り出し値付けすることと、それらをグルグル結束すること、会場に運び込むこと、並べること…これらだけで手一杯になってしまった感がある。本当はもっとしっかり本を吟味準備し、クリーニングにも手を施し、見せる棚造りもするべきだったのだが、時間がやはり圧倒的に足りなかったのだ。だからその時間の無さと手間の大変さから、当初は一回目に運び出した分プラス、キモの本をうまくディスプレイして、それっぽい会場にしようと、軽く考えていたのである。だが、今回のイベントの後援である盛林堂・小野氏から、常に「準備してる?」「これじゃあ本が足りない」「催事は甘くないよ」「思ったほど売れないよ」「もっとボリュームを」「この倍」「後二十本」「二日間とも補充しないと」「予備の本は?」「後何本作るの?」などとお尻をバンバン叩かれ続けた結果、あのそれなりの会場になったわけである。最初は「本職じゃないんだから」などと不遜に思い、そこら辺を巧く誤摩化そうとしていたのである。だが結果としては、誤摩化さないで良かったと、スパルタ的古本屋教育を施してくれた小野氏には、盛大に感謝している。何たってちゃんと売れた。会場内に人が長く足を留めてくれた。会場がちゃんと混み合った。そんな事柄がうまく重なり、二日間で計830冊を売る結果となったわけである。こうなると、もしかしたら頑張れば、これで食べていけるのではないか…などと愚かにも考えてしまうのだが、まぁそんな甘いものでないことは分かりきっている。だが、甘い夢を見ることは、とても楽しく幸福なのである。

市終了後は、フルスピードで撤収作業に入る。本を縛りやすい大きさに積み重ねて集め、縛って行く。同時に空きスペースを広げて行き、什器を片付けて行く。売れ残った本は、ほんの一部を除き、すべて買い取ってもらうことにしている。そんな風にして精算作業も含めすべてが終了したのは、午後八時前。二日間お世話になった会場に別れを告げ、駅近くで盛林堂夫妻とささやかに打ち上げる。

さて、それではこの古本市を開催した結果、肝心要の我が家は、『人間としての住居』を取り戻せたのであろうか?今回およそ二千冊余りの本を運び出したことで判明したのは、我が家の蔵書量である。消えた本は目算で、およそ四分の一くらいであろうか。つまり元は八千冊ほどで、現在はそれが六千冊くらいになったのではないだろうか。だが、これでは残念ながら、それほどの変化は起こらない。古本山は小さくなったり低くなったりしたが、山は山として厳然と存在しているのだ。取りあえずは小さくなった山を合体させて、少しは生活スペースをを奪還するようにしたいものである。…人としての住居が戻る日は、まだまだ遥か遠いようだ…。
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これは居間の西南角にある山。高度が下がりだいぶ安定性が増した。
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こちらは居間北東の山。扉の開け閉めがしやすくなった。
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キッチン隅の山。高度が下がり、圧迫感が消滅。
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仕事場の山1。「古本屋ツアー・イン・ジャパン それから」を見ていただければ分かると思うが、手前の文庫の壁が激減した。その後に隠れていた本体も少し低くなり、部屋の見通しが良くなった。だが、なんだがガタガタに採掘した採石山のような不格好さが悲哀を誘う。
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仕事場の山2。乱掘により、ガタガタのヒドい状況に。だが大きさにそれほど変化はないのが不思議である。まぁちゃんと整理すれば、それなりに縮小するのだろうと考えている。

とこんな風に本が減ったのに、朝一番で「ささま書店」(2008/08/23参照)に向かい気持ちよく買物してしまう。桃源社「極楽とんび(上)(下)/宮本幹也」(ともに帯付き)新潮社「ぬいぐるみさんとの暮らし方/グレン・ネイプ 新井素子・土屋裕共訳」K&Kプレス「光は新宿より/尾津豊子」となかなかの本たちと出会い、興奮。他に青林堂「「無能の人」のススメ/竹中直人責任編集」を手にして計525円で購入する。
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2017年02月25日

2/25 1DAYS

本当に、誰も来ないかとシャッターが開くまで、心は落ち着かず常にヒヤヒヤしていたのだが、午前十一時の開場とともに、素晴らしき古本修羅(いつものように古本神含む)がドドドと雪崩れ込み、古本が乱れ飛ぶ天国のような光景が目の前に見事に広がり、歓喜するとともにホッと胸を撫で下ろす。
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無事に旅立ち、収まるところに収まってくれた、全国から集めて来た古本たち。新しいお家で幸せになるんだよと、そっと心中でむせび泣く。本日会場にお越しのみなさま、切に大感謝いたします。だがしかし!今回の古本市は2DAYSなのである。無事にどうにか午後六時まで駆け抜けた後は、さっさと家に舞い戻り、補充分を準備して値付けする作業に没頭する。
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疲労も蓄積し、何度もアタックした自宅内の古本山から補充本を掘り出すのは困難を極めるが、明日のために、明日来られる古本修羅のために、良い古本をちゃんと準備しなければいけないのだ!そう自分に厳しく言い聞かせ、手を動かし続ける…というわけで、明日も西荻窪で手ぐすね引いてお待ちしております。そして明日は、二日間の感謝を込めて、市終了二時間前の午後四時から、500円以下の本をすべて100均とし、タイムサービスセールを敢行いたします!もうとにかく、人間としての住居空間を取り戻すために、最後の最後まであがく所存です。それにしても、もはや眠い…果たして無事に値付けを終えることが出来るのだろうか…催事ってものすごく大変だ…古本屋さんって大変な仕事だ…と言うわけでみなさま、明日も西荻窪にて、古本笑顔でお会いいたしましょう!

★人間としての住居を取り戻すための「古本屋ツアー・イン・ジャパンの大放出古本市」2DAYS!
■2/25(土)・26(日)
■両日共AM11:00〜PM6:00
■西荻窪「銀盛会館一階」(JR西荻窪駅南口徒歩五分 杉並区西荻南2-18-4)
■後援「盛林堂書房」
■古本市のお問い合わせは盛林堂書房 seirindou_syobou-1949@yahoo.co.jp 03-3333-6582
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2/24準備完了っ!

今日は朝早くから「盛林堂書房」(2012/01/06参照)小野氏の手を煩わし、第二弾の古本市用の本を二十本強運び出し、後はひたすら『銀盛会館』に缶詰になり、命を懸けて誠心誠意値付けする。だがその前にちょっと開店直後の盛林堂に立ち寄ると、最近まったく目を離すことが出来ない、本棚探偵の「ひとたな文庫」に、新たな補充が為されている。『本棚探偵シリーズ』の挿画原画がしれっと並んでいるのに度肝抜かれるが、一番心を鷲掴みにされたのは、常に恋い焦がれている九鬼紫郎のグルメ探偵・白井青児シリーズの一冊「魔女を探せ」がラインナップされていたこと!裸本だが構うもんか!すぐさま手に取り値段を確認すると、破格の二千円!喜んで今回も本棚探偵に膝を屈し、本日の盛林堂の一番客となって購入する。
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その後はちゃんと会館に閉じこもり、およそ八時間を底冷えするガレージで震えながら、値付けに大真面目に従事する。すっかり夜になって、艱難辛苦してすべてを終えたところに、お店の営業を終えた盛林堂夫妻が姿を現し、すぐさま会場の設営に取りかかる。その結果、こんな風な立派な光景となりました。
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本は雑本的ではありますが、100均・300均・500均を大量に取り揃え、探偵小説・文学散歩・建築・写真を中心に、わりと強固な本も安値でディスプレイしております。なので、なのでみなさま、明日明後日はどうか西荻窪の、たったひとりの古本市を冷やかしに来て下さい!よぅし、こうなったら明日、目玉商品として稲垣足穂の手紙も持ってくぞ!ではではみなさま、明日お会い出来るのを、心の底から楽しみにしております!

★人間としての住居を取り戻すための「古本屋ツアー・イン・ジャパンの大放出古本市」2DAYS!
■2/25(土)・26(日)
■両日共AM11:00〜PM6:00
■西荻窪「銀盛会館一階」(JR西荻窪駅南口徒歩五分 杉並区西荻南2-18-4)
■後援「盛林堂書房」
■古本市のお問い合わせは盛林堂書房 seirindou_syobou-1949@yahoo.co.jp 03-3333-6582
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2017年02月23日

2/23古本市2DAYSの準備はスパルタ式!

一週間前と同じく、国立で野暮用をこなすと、やっぱり陽の落ちた駅南口。当然の如く、ビルのエントランス通路を店舗としている「みちくさ書店」(2009/05/06参照)の明かりに吸い寄せられる。
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入口から奥までの壁棚を見た後に、地下一階の店舗にさらに吸い込まれる…相変わらず堅固な棚造りだ…。真ん中棚の上に500均の「古通豆本」が集まっているのを見付け、ちゃんと袋付きの日本古書通信社「明治の貸本屋/沓掛伊佐吉」を購入する。そしてユラユラと阿佐ヶ谷に戻り、「古書 コンコ堂」(2011/06/20参照)の店頭棚に目を凝らす。補充に出て来た若奥さまと挨拶を交わした後、入口右横の棚でコミックやソフト本に挟まれた、肩身の狭そうな古いハードカバーの裸本に目が留まる。引き出すと、アニメーションの専門書であった。ずっしりとしたその本を開くと、アニメ制作の理論と実践が横書きでしたためられているのだが、大量に掲載されているアニメの白黒写真がエクセレント!1930年代〜1950年代の見たこともない海外アニメのスチールばかりで、CMアニメを中心に劇場用CM&オープニングアニメや実験アニメや人形アニメまでもが余すところなく載っていて、見ているだけで楽しいのだ!と言うわけで、昭和三十八年刊の東京中日出版局「アニメーション 理論・実際・応用/ジョン・ハラス ロジャー・マンベル」を103円で購入する。…週末の古本市で売ろうと思っていたが、これはもうしばらく手元に置いて、じっくり愛でることにしよう…。
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家に帰ったらいよいよ今週末に迫った古本市の準備にしゃかりきになる。先ほども「盛林堂」小野氏から電話があり、第二弾として準備した本の大体の量を伝えると、あの会場でちゃんとした市にしたいのならば、もっともっと用意しなければいけないと、ビシビシ指示されてしまった。盛林堂は、わりとスパルタ式なのである。というわけで、もう何度目のアタックになるのか不明だが、自宅各所の古本山に挑み、根性で本を選り分けて行く…これも。これも。これも。これも。これも!完全に自分のキャパを超えた量の古本たち…まぁこのくらいやらないと、本は減らないし、確かに二日間古本を売ることもおぼつかないだろう。もっと、まだ、がんばるんだ!そんな風に作業をヒイヒイ進めながら、いよいよ明日は第二回目の本の搬入と、会場設営と相成ります。おかげで本の山はだいぶ標高を下げたが、まだまだ本が足りないって言われるかも……。古本市って、大変なんだな…。
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2017年02月19日

2/19「あやかしや」をもてなした後、「書原」に別れを告げに行く。

夜に、大市のために上京した広島の古本屋「あやかしや」さんをもてなすために荻窪へ向かう。おもてなしの発案者は古本神の森英俊氏である。午後七時が開始時間だったのだが、仕事が押して遅刻したのを幸いに、夜の「竹陽書房」(2008/08/23参照)をこっそりと訪れてみる。
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おっ、今日の店番は店主夫婦ではなく、時々帳場に座り留守を預かっている老紳士か。では、店主の鋭い視線を気にせず、おおらかに買物が出来るぞ。やけにすっきりした店内だが、通路には市で落札して札を入れる封筒が付いたままの古本束が積み上がっている。そんなものをちょっと気にしながら、扶桑社「大船日記 小津安二郎の思い出/笠智衆」日刊工業「宇宙2025年/パトリック・ムーア」を計800円で購入し、もてなし会場の串カツ屋に駆け付ける。もてなすとは言っても、当然のことながら古本者ばかりが集まっているので、延々果てることのない古本話に終始する。最終的には、いつまでも堂々巡りで出口の見えない帯の話にぐったりしてしまう…いや、確かに面白いのだが、よくもまぁ、帯だけで一時間以上も話せるものだ…。そしてドサクサに紛れて、野村宏平氏につい先日発掘に成功した(2017/02/16参照)動物推理小説「ピースランド殺人事件」に厚かましく署名していただく。
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やった!これで古本の格が急上昇!聞けばこれはゲームのノベライズで、編集部に無理矢理執筆を依頼され、苦しんで苦しんでどうにかでっち上げた小説ということであった。そんな黒歴史的著作に署名していただき、ありがとうございます!ちなみにこの文庫、誰も持っていないと思っていたら、同席した「古書いろどり」(2015/12/12参照)彩古氏が「ボク持ってるよ」とさらりと宣った。うぅむ、さすがは古本神…。

午後十時に散会した後は、通常の帰宅コースは採らずに、丸ノ内線に乗って南阿佐ヶ谷下車。すると大河のような『青梅街道』対岸に、古い昭和四十年代的ビルの「芝萬ビル」が、不夜城のようにそそりたっていた。
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思えばここはとても不思議なビルであった。屋上にフットサル場があり、かつてはアニメ制作会社の『MAD HOUSE』や、エロDVD制作会社が入ったりしていた、まさにキング・オブ・雑居ビルとして君臨した歴史が、杉並の一隅に存していたのである。そしてその一階には『靴流通センター』と、阿佐ヶ谷の文化をどっしり支え続けた新刊書店「書原」が入居していた。だが、その文化のリレーも、本日2/19日をもって、ビル取り壊しのための閉店を迎えてしまったのである…嗚呼。自転車留めの鉄柵が乱立する階段下を突破し、上に駆け上がると、『靴流通センター』はすでに営業を終え、ビルのエントランスは「書原」の天下となっていた。
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これは、一時期南阿佐ヶ谷に住んでいた者としては懐かしく、夜に本屋が開いているホッとする光景なのである。だが店内は当然の如く、平常時とは完全に異なる状況となってしまっていた。お店との別れを惜しむお客さんが大挙押し寄せ、いつもの五倍増しほどの混雑を見せていたのである。店内に突入し、人と擦れ違うのが困難なほどの通路を、どうにか擦り抜け棚を検分して行く。あっ!ちゃんと本屋&古本屋コーナーに『古本屋ツアー』シリーズが並んでいる!ちゃんと取り扱ってくれてたんだと、なんだかとても感激してしまう。そんな店内を楽しみながら彷徨し、最後に購入する一冊を吟味。結局大好きな“夢ちゃん”こと、平山夢明「デルモンテ平山の「ゴミビデオ」大全」を購入し、記念に原稿用紙モチーフの書皮を巻いていただく。感慨に耽りながら表に出て、柱に大きく貼られた閉店の挨拶に視線を走らせる。その閉店挨拶の書き出しは、『昭和四十二年の開業以来、約半世紀にわたり〜』…えっ!俺とまったく年が一緒ではないか!とさらに感慨を深くして、万感の思いを込め、ビルとお店に別れを告げる。
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2017年02月18日

2/18粛々と古本市の準備を進め、家に戻って佐藤さとるを弔う。

日々、身体も心も、2/25・26に開催する個人古本市のために追い詰められて行く。昨日は夜に仕事が終わった後に、古本市を後援していただく「盛林堂書房」(2012/01/06参照)小野氏に、第一弾の古本山を運搬しに来てもらう。文庫はどうにか運び出せ、二往復目の単行本山を台車の上に形作り、エレベーターに載せて階下へ。だが、箱から外に出ようとした時に、単行本の結束が無様に次々と緩んでしまい、入口付近で古本雪崩を巻き起こしてしまう。すべては私の結束が緩いために起こるべくして起きてしまった、情けない事態であった…。このままでは誰もエレベーターに乗れなくなってしまうので、急いで本を退かし、小野氏が本束の再生に猛スピードで勤しむ…本当に申し訳ないっす…。どうにか車に運び込んだ後、西荻までの移動間に、小野氏から古本結束の大事さを、切々と説諭される。私は本を簡単に一文字に縛り、少し持ち運ぶことしか想定していなかった。だが、古本束の積上げに加え、台車移動や車での運搬を経由するならば、移動距離や振動での緩みを計算に入れなければならないのである。おぉ、そうこうしているうちに、後に積み込んだ私の結束部分は、早速緩みつつあるのだった…。
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写真はマンションロビーにて、臨時結束作業中の小野氏である。…本当にすみません…。

そして本日は、会場となる西荻窪『銀盛会館』にお昼前から独り閉じこもり、運び込んだ古本の値付を、ただひたすらマシンとなって継続する。100均・300均・500均に分けた本に、それぞれの値札をペタペタ黙々と貼付け続けるのである。やはり古本屋さんは、商品をただひたすらにどんな時も、作り続ける職業であるな…。そんなことをボヤ〜ッと、値札貼り付けハイに陥りながら思い出し、午後六時までに三分の二を片付ける。次回は来週金曜に再び会館に閉じこもり、新しく運び込んだ本と共に値付を再開し、会場の設営までどうにか漕ぎ着ける予定である。というわけでみなさま、2/25・26は西荻窪で古本とともに心底お待ちしております。さらにたくさんの人々に来ていただけるようみなさまのお力も借り、情報拡散もお願いする次第であります。

★人間としての住居を取り戻すための「古本屋ツアー・イン・ジャパンの大放出古本市」2DAYS!
■2/25(土)・26(日)
■両日共AM11:00〜PM6:00
■西荻窪「銀盛会館一階」(JR西荻窪駅南口徒歩五分 杉並区西荻南2-18-4)
■後援「盛林堂書房」
■古本市のお問い合わせは盛林堂書房 seirindou_syobou-1949@yahoo.co.jp 03-3333-6582

…ふぅ、疲れた。そんな息が詰まるほど古本と対峙した本日のご褒美は、先日手に入れた背の消失した「地球盗難」(2017/02/13参照)の、健康を取り戻した姿である!値付作業の始まる前に、小野氏に危うくすべてのページが離ればなれになる寸前の「地球盗難」を手渡し、普通に読める程度の回復を望んだ修復をお願いしておいたのである。ところが、およそ四時間後の手術後の姿は、予想を遥かに超えた出来映えであった!さすがに糸かがりをするほど手間をかけるわけには行かなかったので、まずは背をボンドで固めた後、本をギュギュッと金槌等で圧縮し、無線綴じの要領で本としての形をまずは取り戻す。その後、お店にあった同じラヂオ科学社「地球盗難」の背をカラーコピーし、紙板でさらに背を補強してから、その上にコピー背を移植し、無事手術完了と相成ったのである。このビジュアルがフランケン的科学小説集……無事に読める!読めるぞ!本を開いても大丈夫だ!これで思う存分昭和十二年の風を、浴びることが出来るのだ!と喜んだ後に、早く読みたい気持ちを抑えながら値札貼りに邁進していると、気づかぬうちに「地球盗難」に値札を貼付けてしまいそうになる…危ない危ない。
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家に帰った後は、自主的な弔いをひとつ。今日の『朝日新聞』朝刊には、悲しい悲しい敬愛する佐藤さとるの訃報が掲載されており、大変にショックを受けてしまう。すでに今月九日に、八十八歳で亡くなられていたとのこと。とにかく私にとっては、昔住んでいた横須賀の“谷戸”を原風景として作品に生かした『コロボックルシリーズ』と「わんぱく天国」が、児童文学の忘れ得ぬ金字塔として輝いているのだ。悲しみに暮れながら、家にあった児童文学本を掻き集め、自主的に敬愛する作家を弔う。佐藤暁名義の本たちは特別な宝物であるが、コロボックルシリーズが『冒険コロボックル』としてアニメ化された時の帯が付いた「だれも知らない小さな国」(昭和四十八年の十四刷で、絵は村上勉)も即物的だが、とても嬉しい本なのである。『だれもの心の中に住む愛らしいコロボックルたち!!』『いま、日本中のテレビで大評判の「冒険コロボックル」その香り高い原作です!!』『土曜日の夜の人気者「冒険コロボックル」の主人公たち』『土曜のテレビで大人気!! 「冒険コロボックル」の名原作』などなどの惹句が、アニメキャラとともに踊っている。箱周りには、合計七つの『コロボックル』という言葉が散りばめられた事態に…とにかく佐藤さとる先生、素晴らしい物語をありがとうございました。私は多分老人になっても、「だれも知らない小さな国」と「わんぱく天国」を愛で続けると思います。
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2017年02月16日

2/15中央線重鎮の話に耳を傾ける。

午後に「中央線古本屋地図(仮)」の取材があり、そこに照準を合わせて始動する。テクテク歩き始めて「古書 コンコ堂」(2011/06/20参照)に立ち寄り、店頭棚から角川文庫「黄色い犬/ジョルジュ・シムノン」「箱舟時代/長田弘」新潮新書「SF魂/小松左京」を計315円で購入し、先日BSの番組『TOKYOディープ』に「コンコ堂」が出て来た感想をひとしきり伝える。そのまま荻窪までさらに進軍し、「ささま書店」(2008/08/23参照)でTRIAL Books「東京路線バスの旅」日本地歴企画調査会「わたしたちの文京区」(学校で配布された、郷土教材的副読本。本郷古本屋街の記述があり)を計210円で購入し、駅近くの喫茶店で岡崎武志氏と合流し、一時間半ほどたっぷり取材。紐解かれる中央線古本屋さんの歴史話に、うっとりと聞き惚れてしまう。…これは早くどうにかまとめて、みなさんにお伝えしなければ…というわけで鋭意編集作業中なので、どうかお楽しみに!

夜はある会合のために三宿に向かい、そのついでに「江口書店」(2010/03/29参照)に突入する。創元推理文庫「思考機械の事件簿V/ジャック・フットレル」ベースボール・マガジン社秘境探検双書「謎の山 アムネ・マチン/レナード・クラーク 水谷準訳」支那文献刊行會「迷樓記 外十一種/田村初」を計700円で購入する。嬉しかったのは大正十四年刊の「迷樓記」で、中国の珍談奇談怪談を集めたアンソロジー集。帳場前の本の山の底から背文字に惹かれて取り出すと、見事大好物な本だったのでニンマリ喜ぶ。
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2017年02月13日

2/13アニマル洋子〜反町茂雄〜海野十三

新高円寺での野暮用を済ませ、夜の兆候が頭上から舞い降りて来た『ルック商店街』を北へずんずん進んでいる。途中、緩やかな坂が始まる前の右手に、お店の入口すべてに防寒用ビニールを下げた「アニマル洋子」(2014/03/14参照)の冬の姿。店頭棚から、見たこともないシリーズ物B5版ムック、柳正堂書店「中部山岳放浪の記録 伝説と怪談」「甲・信・三河・秩父多摩・富士・昇仙峡をめぐる 伝説と怪談」共に泉昌彦を計200円で購入する。奥に座る店主と軽く挨拶を交わし、再び商店街を遡上して行く。
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ガード下の「都丸書店」(2010/09/21参照)では、店頭棚の隅に縦になっていた小冊子を引っ張り出すと、古書鑑定の権威であった反町茂雄の「弘文荘待賈古書目 第二十九號」であった。最近熊本より届いた「舒文堂河島書店」(2008/12/22参照)の目録に何冊か載っているのを見たばかりなので、素敵なめぐり逢いだと購入を決める。嬉しい三百円。門外漢な古文書や江戸版本が踊る目録なのだが、後学のために持っておくことにしよう。

そのまま歩いて家に帰り着くと、おぉ!ヤフオクの落札品が無事届いているではないか。多少息を荒くしながら封筒をひっちゃぶくと、現れたのは海野十三のラヂオ科学社「科学小説集 地球盗難」である!ふぅむ、こんなに厚い本だったのかと驚くと同時に、悲しみにも暮れる…予想外の安値で落札出来たのだが、もちろんそれには大きな理由があった。残念ながら背が消失しているのである。とは言ってもなんたって、戦前の海野のオリジナル本なのだ。松野一夫の無邪気とも言える装幀イラスト、横山隆一による著者シルエット、質感のある本文紙、そして活字で組まれた科学小説群…昭和十二年の風が本の中から吹き出してくるようではないか。小説は読んだことあるものばかりだが、この本でもう一度読めるのは、必ずや過分な幸福となるであろう。しかし本は、今にもバラバラに崩壊してしまいそうなほど、危うい状況。…これは、あの人に手術してもらうとするか。しっかり直ったら存分に読み込んで、さらに強く昭和十二年の風を浴びることにしよう。
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2017年02月12日

2/12必死に計三十六本の本束を縛り上げる。

今日は誠心誠意古本に一日を捧げることを決め、早朝午前七過ぎに家を出る。向かったのは門前仲町『富岡八幡宮』の骨董市である。『骨董市には開始時間の早朝から訪れるべし!』というのが猛者の定説であるが、時々当てはまらないことも起こり得る。それは!ゆっくり目に準備するお店がちょこちょこ見受けられるので、あまり早く着き過ぎると、目指すお店がまだ開いていないという悲惨な状況に陥ることがあるのだ。今日が案の定そんな日で、楽しみにしていた古本屋さんは、ダンボール箱すら開けていない悲しい状況であった開店を待ち望みつつ、冷た過ぎる早朝の空気を吸い込みながら、しばし境内フラフラ散策する。美術系古本のお店に、萩原朔太郎の「定本 青猫」が並べられているのに驚き、ある店では、家庭内ゴミ箱のような円筒ケースの中にソフビや人形消しゴムが詰め込まれているのを発見し、ガサゴソ漁ると、触角は折れて塗装も所々剥げているが、常に悲哀を誘う仲間外れライダー・ライダーマンをつかみ出すのに成功する。こんな状態だ、五百円くらいだったら喜んで買おうと思い、ちょっと高台にいる店主にソフビをグッと掲げ「これお幾らですか?」と聞くと「1500円」と苦虫を噛み潰したような顔で即答される。すまん、ライダーマン!と心の中で詫びながら、そっと円筒の中に人形を戻す。そんな風に楽しみながら時間を潰し、件のお店を再訪してみると、ダンボールは置かれているが、店主は他の店主と話し込んでしまっていた。主に雑誌付録や古い漫画が売れなくなって来たことを嘆いている。開いている箱の中を覗くが、紙物ばかりで収穫ナシ。早々にお店を離脱し、脇参道の開店中だったお店に行ってみる。すると先ほどより品物が増えており、見応えあり。古い郷土ガイド本の中から出版社も出版年月日も不明の「大東京百景寫眞帖」を千円で購入する。恐らく昭和十年代の、東京の名所や戦争記念物や街の様子を掲載した粗悪な写真集である。百景と謳っているが、実際に掲載されている写真は百六枚である。
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これはビルディングのページである。紙はわりと上質であるが、表裏で質感が異なっている。そこに戦争の影をユラユラと感じ取る…。

一旦家に戻って、再び外出。荻窪「ささま書店」を経由して、海文堂「帆船への招待/荒川博」朝日新聞社「ファディッシュ考現学/田中康夫」新潮文庫「昨日のツヅキです/都筑道夫」を計315円で震えながら購入してから、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ。古本市の準備もそうだが、「フォニャルフ」を放置するわけにはいくまいと、ほとほとと補充する。後は店主・小野氏と市の打ち合わせや「中央線古本屋地図(仮)」の話や、市場で仕入れた垂涎の新入荷などを見せていただいたりする。だが、ここでいつまでもウカウカと楽しく話しているわけにはいかないので、早々にお店を離脱して帰宅する。そこから馬力をかけて、ひたすら古本の準備に没頭する。結局昼過ぎから夜九時まで休み休み続け、計三十六本(およそ千冊)の古本の束を作成する。
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…つ、疲れた…手の油が、すべて紙に吸い取られてしまって、カサカサだ…縛って積上げた本は、家にあるにはなかなか凶悪な量となったが、まだまだ本の山は減りそうにないな…根性で後千冊は用意しなければ…後半戦は残りの500均本とちゃんと値付する本の作成に傾注だな…疲れた身体と頭でそんなこと思いながら、本日の発掘した一冊を紹介。集英社の学習漫画「シートン動物記4 裏町の野良ネコ」。2015/02/07に牛久の「高島書店」(2009/04/23参照)で入手した、急逝した谷口ジローの超初期単行本なのである(名義は『谷口治郎』)。私にとっての谷口ジローは、「事件屋稼業」と「LIVE!オデッセイ」と「飢狼伝」と「坊ちゃんの時代」に尽きる。そして恥ずかしながら、本当は「事件屋稼業」の主人公・深町丈太郎のような大人になりたかったんだが、やっぱり、なれず終いだったなぁ。それでも諦められずに、せめてあんな高潔な精神で格好良く無様に生きられたらとは、今でもまだ思っているのだが…。
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2017年02月11日

2/11妙なスライドを買ってしまい早速持て余してしまう。

色々片付けつつこなしつつ彷徨い、気づいたら陽が落ちる瞬間の西荻窪駅北側。駅方面へと戻る途中で、裏通りの週末営業古本屋さん「TIMELESS」(2012年06月30日参照)の灯火に引き寄せられる。
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店内で暖をとりながら、主に入ってすぐ右側の棚を吟味。中間上段にちょっとだけ古い本が増えているな…おっ!背が少し壊れているが、新潮文庫の甲賀三郎「犯罪発明者」が…三千円かぁ。とため息をつき、隣りの筑摩書房「眞昼の暗黒/アーサー・ケストラー 岡本成蹊譯」を引き出してみる。見返しに『書き込みあり』ということで400円か。古本エネルギーを補充するために購入する。あれ?帳場に座る人が、ハンチングに白髪のナイスミドルだが、店主はもっと若い人ではなかったっけ…いや、それだけいつの間にか、時間がギュンギュン流れたと言うことなのかな…。後でセロハン袋から本を取り出し開いてみると、『書き込み』というのは、譯者が歌人夫婦に送った、献呈署名であった…。

阿佐ヶ谷に帰り着き、今日は覗くこと叶わなかった「J-house」(2015/12/26参照)朝市の残滓とも言える、店頭100均ダンボール箱を、すっかりあきらめムードでガサリゴソリ。すると予想に反して、面白気な物をいくつか発見してしまう。泰光堂「たのしいおり紙ときり紙/高橋春雄」とフジカラーのスライド箱を計200円で購入する。スライドは箱が可愛かったのと、中にちゃんとマウントされたスライドが詰め込まれていたので、好奇心が勝り購入を決意。家に帰ってから一枚一枚電灯に翳して目を凝らしてみると、昭和四十年代の、オヤジと少年(二人とも日本人)のアメ車旅行を撮影したものであった。面白いは面白いのだが、私はこれをいったいどうするつもりなのだろうか…。
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そして夜にまた古本市の作業をコツコツ進める。そんな今日の再読したかった発掘本は、講談社X文庫「ようこそ雪の館へ ルピナス探偵団/津原やすみ」である。現在、津原泰水名義の創元推理文庫「ルピナス探偵団の当惑」に収録された一話の、原型少女推理小説版文庫。確かまだツアーブログを始める前の、2006〜2007年辺りに、今は亡き鹿児島の「満遊書店」で100円で購入したものである。倉庫型店内にエスカレーターのある、大きなリサイクル系のお店であった。
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2017年02月10日

2/10「うつぎ書房」にて雪宿りする。

今日は中野で長々とお仕事。雪が散発的に降り始めた午後四時前に完遂し、フラフラフラフラと、時折風とともに舞い来る雪片を惚けるように楽しみながら、やがて新井薬師駅前広場…「文林堂書店」(2008/08/04参照)が開いている。店頭に出された本の悉くが、『強風のため置いています』と書かれた板きれに押さえられている。そう言えば今日初めて気づいたのだが、今の日除けはいつの間にか新調されたものであるなと、変わらず今は入れぬ二階と一緒に見上げていると、店頭棚の下段に目を凝らす素敵なオヤジさんがいつの間にか出現。お店のカオスさとマッチした、これぞ見事なまでの古本屋的光景である。
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オヤジさんを邪魔せぬよう店頭から二冊を手にして、中へ。じっくりすべての棚を、コックピット式帳場に座る店主のチラ見視線をあっけらかんと受け流し、見て回る。だが中では何にも手が伸びず仕舞い。早川書房「定本 半七捕物帳」講談社文庫「その夏の今は・夢の中での日常/島尾敏雄」を計400円で購入する。お店を出たらそのまま改札を抜けて西武新宿線下りに乗り込み、鷺ノ宮駅下車。橋上改札を抜けて階段を下り、南の妙正寺川前に出ると、突然恐ろしく雪が降り始め、まるで吹雪のようになる。ちょっとだけ雪を避けるために『中杉通り』を渡り、「うつぎ書房」(2008/08/06参照)にてしばしの雪宿り。
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店主は店内入口近くで、買取したコミックと文庫と同人誌の整理真っ最中であったが、飛び込んで来た珍客のために、作業を一時中止して、奥の座敷でやむを得ない一休みに入る、その隙にこちらは棚をキョロキョロと、服にこびり付いた粉雪を融かしながら楽しみ、奥の本の壁裏の棚にちょっと隠れていた、櫻井書店「北風ぞ吹かん/寒川光太郎」をどうにか引きずり出し、500円で購入する。外に出ると、おや、もう雪は消えている。

家に帰ってちょっと休んでから、ジリジリ古本市の作業に取りかかる。しばらくは地道な100均本作り…と手を動かしていたのだが、同時に目玉本を各古本山から取り寄せる作業も進めてしまう…楽しいが、悲しい…これを本当にお前は売ってしまうのか?と自問自答しながら生木を裂くようなセレクトを続ける…だが、これらの本を手にして喜ぶ人がいれば、それはそれで本望なのである。あっ!椅子の下から、再読したかった講談社現代新書「ファンタジーの世界/佐藤さとる」を発見!こんなところに紛れていたのか。やはり安針塚の思い出から始まる導入部、グッと来るなぁ…。
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まだまだまだまだまだまだ序の口な光景。しばらくここで仕分けをした後に結束し、ドバッと『銀盛会館』に運び込む予定なのである。
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2017年02月08日

2/8「なごやか文庫」の古本市と今年最初の「たけうま会」!

今日は楽しみにしていた「なごやか文庫」の「大古本市」(2012/02/15参照)初日である。午前十時からの開催に照準を合わせて家を出て、午前九時三十五分に東村山駅に到着。タッタカ歩いて文庫の入る『社会福祉センター』に突入すると、入口付近にはすでに常連の古本修羅&レコード修羅&絵本修羅が十人ほど固まっていた。なんとなく列が出来ているだけなので、奥の古本市会場に向かう態の、古本修羅の塊に何となく身を寄せておく。開場五分前に、職員の指示により確固とした列が形作られ、ラジオの音が流れ始めたのを合図に、列が突入を開始する。後から走って来て追い抜く、傍若無人な修羅もあり。私が目指すのはもちろん、入って右側の四本の古書棚である。パッと見た感じ良さげな並びで、期待に胸を膨らませながら、早くライバルが多数出現する前に見極めて行かなければと、さらに焦燥胸に渦巻かせて棚に張り付く。すると隣りに老年修羅が現れた。こちらが気になる本をスパスパ抜き出すのを見て「あぁ、いいなぁ。眼鏡がないと見えない。こりゃあ眼鏡をかけないと、何も分からない。いいなぁ、すぐ見えて」とつぶやき始めたので、「がんばりましょう!」と無責任に励ましつつ、手と目を素早く動かし続ける。今年は仙花紙本が多い気がする…ソ連関連も目立つな…。すると腕の中には、たちまち二十冊ほどの本が積み上がってしまった。古書は一冊二百円なのだが、これはちょっと買い過ぎだ。端っこに寄りつつ、抱いた本を改めて吟味し、必要なさそうなものを棚に戻しながら、もう一度じっくりゆっくりと棚を眺めて行く。すると当然の如く見逃した本がチラホラと見つかり、結局本が増えることに…阿呆か、俺は。もう一度端に寄り、さらに吟味してみる。それにしても、これだけ抱えてこれだけ迷うということは、今回の古書棚の質はかなり良いものであることの証明であろう(私にとってという意味で)。途中二階のレコード市を経由して現れた岡崎武志氏に、古本を抱えた姿を見つけられ声をかけられる。その後メイン会場も回ってみるが、文庫も単行本も新古書的な並びで、ちょっと手が出なかった。結局古書十七冊を計3400円で購入する。市は12日(日)まで。外の硬く浅いソファでお茶を飲みながら、岡崎氏と例の「中央線古本屋地図(仮)」について軽く打ち合わせつつ四方山話。富士塚話で小さく無邪気に盛り上がる。ちなみに私のお気に入りは、『品川神社』『代々木八幡宮』『十条富士神社』にある富士塚である。氏と別れ、二階を一周してから正午前には帰宅する。本日の特に嬉しい収穫は、森書房「歌姫物語/W・サッカレエ 平井呈一譯」東光出版社「少女小説 乙女ごころ/片岡鐵兵」(仙花紙本なのに二色の挿絵ページが所々に挿入されている)萬里閣「外地の魅惑/大宅壮一」(昭和十五年の大宅による南支・満蒙探索記。銀座「三昧堂」の古書ラベルあり)弘道閣パレット文庫「ロマンスグレー/平野威馬雄編」(新書サイズで箱に穴が空けられた造本を、何処かで見た覚えがあることに気づく…そうか、乱歩邸で見た楠田匡介の「能率的な事務の執り方」と同シリーズなんだ。内容は『ロマンスグレー』をテーマにした特殊なエッセイ集。嬉しいことに楠田が参加しており、オッサンの夢のような四人のギャルたちとの熱海旅行妄想小説を載せている)昭星社「開化飛龍車/宇井無愁」日本電報通信社「魔法の窓 テレビジョン/フランク・デンマン」(テレビ普及黎明期の啓蒙児童書。図版豊富で、最後はテレビジョンのSF的発展章で幕を閉じる。表4の『原子爆弾と並んで、世紀が生んだ奇蹟、テレビ!』とあるのがスゴい)岩波書店「プー横丁にたった家/ミルン作 石井桃子譯」(昭和十七年の初版である)久保書店昭和三十一年「かっぱ3月号」の八冊であった。それにしても、本を減らすために古本市を開くと宣言したばかりなのに、早速こんなに買ってしまった…。
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夜…というか午後五時から渋谷にて、今年初めての『たけうま会』。第一回目(2016/05/10参照)と同じく「たけうま書房」稲垣氏と「古書 赤いドリル」那須氏とお酒を酌み交わす。飲めば飲むほど無礼講となり、自己検閲せざるを得ない、古本屋界のお話盛りだくさん。でも最終的には、『古本屋稼業は苦しくはあるけど、とても楽しく人生を賭けるに値する!』という格好良いところに落ち着く。これからも迷わず付いて行きますので、引き続き楽しくもあり苦しくもありの古本屋さんの生き様を見せていただければ幸いです!
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2017年02月04日

2/4夜の「バサラブックス」で一日の疲れを癒す

日中を吉祥寺近辺で仕事して過ごす。気づけばすっかり夜となり、疲れた身体から気力を絞り出してズルズルと歩み、週末の賑わいを見せる駅周辺にたどり着く。すると突如、古本が買いたくなり、中央線高架南側に出て、ついこの間訪ねたばかりだが、棚の印象がすこぶる良かった「バサラブックス」(2015/03/28参照)に立ち寄り、己を慰めることにする。
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三角形の店内に入り、集中力をすっかり欠いたまま、棚に漫然と視線を注ぐ。河出文庫「贋作吾輩は猫である/内田百閨v洋泉社「ボンクラ映画魂/杉作J太郎」「幻の怪談映画を追って/山田誠一」を計1600円で購入し、お店のオリジナルプラ袋に三冊を入れてもらい(結婚式を迎えた花婿&花嫁の間に天上への階段が伸び上がるシュールなイラスト。こんなのあったんだ)、フラフラと帰路に着く。

もうこの『映画秘宝コレクション』の単行本1と3を、私は何冊買ったことだろうか。ともにもう二十年前の本なのだが、未だにこの二冊は、我が心の中に作るべき本のバイブルとして、燦然と輝いているのだ。片や東映映画出演男優の極私的&偏執的エンサイクロペディア(後に徳間書店からA5版の増補本として復刻されるが、本としては断然こちらの方が素敵なのである)で、片や大蔵映画や新東宝の怪談映画をマニアックに追跡したノンフィクション。この人たちが取り上げなければ、きっと時代の片隅に永遠に忘れ去られたであろう人や事柄についての集積が、見事な本になっているのである。己の独自の視点で、まさにその己にしかまとめえない仕事…いつか、いつの日か、この二冊に比肩する本を作ってみたいと、常に目指し願っているのである。だがやはり、その道のりは、まだまだ果てしなく険しく遠い…。
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2017年01月30日

1/29「音羽館」の楽しくもハードな長い一日

まずは28日土曜日の話から。仕事を終えて午後六時半過ぎの中野に駆け付け、駅近くの居酒屋で古本怪気炎を上げまくっている、古本神&魔神であると同時にド級のミステリマニアたちの飲み会に、畏れ多くも参加させていただく。新保教授の難問、親指と人差し指で作る小さい丸に通るポケミスは存在するのか…答えは、マーガレット・ミラーの「狙った獣」が、驚くほどクナクナシナシナの軟体本で、キュキュッと丸めると容易に通ってしまうのである…こんなおかしな紙のポケミスが、存在していたとは…(ちなみに教授は、この本だけが特殊なのかと思い、もう一冊「狙った獣」を買ってみたところ、やはり同様にクナクナだったという)。さらに話は北原氏のホームズ狂に及ぶや否や、東京メトロのCMで、すぐ近くの『中野ブロードウェイ』を探索するホームズ姿の石原さとみポスターの話になったのだが、目の前の三人(新保博久氏・三橋暁氏・北原尚彦氏)の三人ともが、まったくその名を思い出せない事態に陥っていた!「ほら、あの『シン・ゴジラ』でアメリカ帰りの変な英語を話す女の子!」などと、名は思い出せないのに、イメージだけを共有し合い、納得しているのである。しかも何故かみんな笑顔で、とてつもなく楽しそうなのである。仕方なくヒントとして「石!」と一言叫ぶと、「あ〜!石原さとみだ!」と北原氏が満面喜悦で記憶を引きずり出すのに成功した。古本やミステリに関する話題は、即座に回路が直結するのに、疎いところは大いに疎い…全く持って愉快な方々である。楽しくビールを飲み過ぎたが、明日は西荻窪「音羽館」で一日バイトしなければ!と、遅れて来たのに早めに退散してしまう。
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明けて29日、西荻窪に向かう前に、道すがらの「J-house」(2015/12/26参照)に当然の如く立ち寄ると、むぅ、今日も古めの映画パンフが少々出ているではないか!と途端に色めきたち、急いで繰ってみる。すると「ウエストワールド」と「夜の大捜査線」に目が留まり、計200円で購入する。早速電車内でパンフを開いてみると、「夜の大捜査線」の方には様々な当時のものが、楽し気に挟み込まれているではないか。フランス映画のチラシ二種、吉祥寺東映のガリ版ニュース。中でも嬉しかったのは、「007カジノロワイヤル」(丸の内東宝)の三つ折りチラシである!すぐさま頭の中に、バート・バカラックのあの軽快な曲が流れ始める…今日は何だかいい日になりそうだ。

正午前に「音羽館」(2009/06/04参照)に到着すると、店はまだシャッターを下ろして沈黙しており、待っていたのは古本屋内装のエキスパートである中村敦夫氏だけであった。挨拶を交わしつつ、何故か去年の「七七舎」バイト時に続き、またまた頑丈な特製木箱をいただいてしまう。木箱の差し入れ…決して通常では体験出来ない、異常な出来事である…。そうこうするうちに、店主・広瀬氏が現れ、先輩バイト氏も自転車で颯爽と登場し、ついに長い長い「音羽館」の一日がスタートする。シャッターを上げ、まずは店の中から店頭棚や箱類を引きずり出し、開店準備が進められて行く。その間、私は店頭を掃き掃除し、その後店内の木床に掃除機を満遍なくかけるのを、初めての「音羽館」仕事とする。
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するとたちまち開店を待ちかねたお客さんが姿を見せ始め、半開店状態の店内を、鋭い目で容赦なく観察し、本を買って行く。その後もお客さんは、ひっきりなしに訪れ、分かっていたつもりなのだが、「音羽館」が凄まじい古本屋であることを、改めて思い知らされてしまう。いわゆる古本好きの方々も多いが、メインの客層は二十代〜三十代の男女なのである。そして100均だけではなく、惜しみなく高額の本を買う人もコンスタントに登場する。葱を提げた主婦も本を買って行く。このお店に寄らないと調子が狂うと言う方や、地方から訪ねて来た人も登場し、結局店内は、常に活気を見せているのである。そんな怒濤の営業時間の中、主に受け持った仕事は、広瀬氏が次々値付けする本を、店内と店頭に補充することであったが、これがキリなく間断なく継続し、営業中はずっとずっと果てしなく続くお仕事なのである、特に均一棚の補充は、入れても入れてもブランクが生まれて行く、恐るべき回転率を誇っていた(そして本を並べるところを間違うこと、多々あり。均一と店内を間違え、さらには店内でジャンルは何となく分かるも、微妙な本を何処に並べたらいいのか迷うことしきり。普段は偉そうに店内棚のジャンル分けなどをしているが、とても一筋縄では行かぬことに、お店というものの奥深さを切々と感じ取る…)。
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途中そんな作業をずっと続けながらも、外に出した買取本の山を、先輩バイト氏と連携プレイで見易く整理した上に、ちょっとこの中からすぐ棚に並べられそうな本と、100均に並べる本の選別作業をいきなり任され、面食らってしまう。
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だがその作業は当然の如く楽しく、軽く偉そうに疑似古本屋さん的気分を、充分に味わってしまう。「サヨナラだけが人生だ」や木村伊兵衛の戦後すぐの粗悪紙写真集「TOKYO FALL 1945」(ただいま驚異の7000円で販売中。ヒィ〜ッ!)などを見付けて、大いに興奮してしまう。選別したそれらを、すぐ値付けしてもらい店頭に並べると、「ミコのカロリーBOOK」や写真家・井上青龍の図録が瞬く間に売れたりして、小さな感動を体感する。その後は品出しを続けつつも、帳場で本のクリーニングにも従事。
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そこから次第に恐るべきレジ作業にも参加して、緊張しながら慎重に愚直に売買の基本を取り扱う。夕方十五分、夜に一時間の休憩を終えると、今日初めて、店内にお客さんが誰もいない一瞬が生まれる。その間に広瀬氏と古本屋さんについて大いに話し込む。高原書店時代や近所の過ぎ去っていた古本屋さんの話、新しく出来るお店の話、などなど。先輩バイト氏とは、故郷いわきの古本屋話で盛り上がる。晩ご飯が済んだ頃とおぼしき午後八時過ぎには、昼間ほどではないのだが、再び人の流れが生まれ始める。その人の波が再び凪いだところで、お店の横で本の結束作業。不器用&不手際ながら五本ほどをグルグル縛る。そんな風にまじめに仕事し、気づけばいつのまにやら午後十時半。広瀬氏と先輩バイト氏は、車への結束本積み込み作業に従事、その間だけ、たった一人で心細くありながらも、ひとりでレジを受け持つ。
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いやぁ、古本屋さんの仕事はとても興味深く肉体労働も存分に混じりながらも、やっぱり楽しいものであるな。最後のお客さんを無事に送り出し、午後十一時を過ぎ、ついに店頭を撤収してシャッター下ろして、本日の営業終了。
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バイト代をいただく前に、さり気なく抜け目なく目を付けていた本を買うことにして、バイト代から遠慮なくさっ引いてもらうことにする。函ナシだが、春秋社「浜尾四郎随筆集」を1000円で並べたのに頭をかち割られたようなショックを受け、棚に並べた時点から「どうか売れないでくれ!」「ミステリファンなど、今日は一切「音羽館」に来ないでくれ!」と真剣に願い、無事に売れずに誰の目にも留まらずに、十一時間を駆け抜けたのである。さらに函ナシの國際文献刊行會「怪奇草雙紙畫譜/尾崎久彌」(和本の幽霊&妖怪絵盛りだくさん!)と一緒に計2000円で購入する。当然高らかに、どひゃっほうと叫べる案件である。

本日お越しいただいたみなさま、言葉を交わしていただいたみなさま、差し入れをいただいたみなさま、本当にありがとうございました。今後とも新生と言いつつ、それほどの変化はないがスッキリとして良い本をドドドと次々品出しし始めている「音羽館」さんを、何とぞよろしくお願いいたします!というわけで本日の嬉しい収穫を、いただいた木箱の中に収めてみました。…でも、やっぱり疲れたな。毎日これをやるのは、身体が慣れるまでは、とても大変なことである。しばらくは身体の奥にこの疲労を抱え、日々を過ごすことになるだろう。
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2017年01月28日

1/27阿佐ヶ谷〜南阿佐ヶ谷〜神保町経由、トークイベント

夜の「古書現世」(2009/04/04参照)向井氏とのトークイベントに照準を合わせつつ、午後三時過ぎに家を出る。手始めに「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に立ち寄り、日曜の「音羽館」でのバイトに従事する旨を、先輩たる天野氏にお伝えする。講談社文庫「ブラックウッド怪談集」創元推理文庫「恐怖の愉しみ 上・下/平井呈一編訳」を計309円で購入する。その後は駅前に出て『中杉通り』をグッと下り、区役所で野暮用を済ませた後、地道に閉店セールを続けている「あきら書房」(2016/03/28参照)に顔を出す。誠文堂新光社「忘れえぬ広告人/森崎実」(電通創始者の評伝。最近話題となった『鬼十則』を提唱した人でもある)東都書房「翳ある落日/戸川幸夫」創元社「岡倉天心 東洋の理想」ヨネザワ「ギミア・ぶれいく 史上最強のクイズ王決定戦」(ファミコンカセット。ちゃんと箱と取説付)を計200円で購入し、夕暮れの神保町に乗り込む。ブラブラとすっかり陽の落ちた街をパトロールするも、なかなか古本に手が伸びず、何も買えない時間が過ぎ去って行く。そんな午後六時に、生物科学と工学の殿堂「明倫館書店」の前を通りかかると、お店にそぐわないケイブンシャの大百科別冊や、八十年代の飛び出す絵本が店頭台に置かれているのに出くわす。誰も見向きもしないそれらに飛びつき、サンリオポップアップえほん「めいろ スヌーピーのうちゅうたんけん」「めいろ キキとララのうみのぼうけん」を計500円で購入し、奇妙な満足感を得る。共に新品同様で、壊れている箇所は見受けられない。スヌーピーは300円、キキララは200円と、安くはあるのだが、しっかりと値付しているのがなかなかニクい。
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その後は「@ワンダー」(2009/01/21&2014/05/22参照)二階の「ブックカフェ二十世紀」にて、ちょっと声の掠れた向井氏と一時間半トーク。氏のスリリングなイベントに賭ける半生を、たっぷりとマシンガンのように語っていただきました。花の金曜日においで下さったみなさま、本当にありがとうございました。荻原魚雷氏と浅生ハルミンさんが列席下さったのも、大変に嬉しかったです!トーク終了後、ハルミンさんに『俳画カレンダー』という、ハルミンさんと南伸坊氏と嵐山光三郎氏のコラボによるカレンダーを「もう、一月が終わろうとしているのにすみません!」を謝られつついただきました。
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とまぁ、こんな風に楽しく一日を過ごさせていただきました。帰りは懇親会ですっかり酔っぱらい、阿佐ヶ谷に帰りたかったのに、中央特快に乗ってしまい、気がついたら三鷹駅で呆然としている始末…。ではみなさま、次回は1/29の「音羽館」バイトでお会いいたしましょう。ひとまずはおやすみなさい〜。
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2017年01月25日

1/25色々お知らせと、あるひとつの決意

今日は仕事で様々な所を駆けずり回っていたので、悔しいことに古本屋さんに行けず終い…。そこで代わりと言ってはなんですが、これからの活動予定を少々お知らせいたします。

まずは近いところで1/27(金)に、「古書現世」店主であり、本を触媒としてつながる組織『わめぞ(早稲田・目白・雑司が谷』の首領である向井透史とトークいたします。神保町の「ブックカフェ二十世紀」で定期的に開催されるトークイベント『古本屋的!』の一環ですが、私は主に聞き役を務め、向井氏が何故あんなにイベントを行うのか?あの凄まじい人脈とブッキング力の秘密は何か?古本屋バブル時代はそんなにすごかったのか?などなど、根掘り葉掘り聞きまくるつもりです。お店ではいつも楽しく長話させてもらってますが、向井氏と公の場で話すのは初めて。何処まで深く切り込めるか、大いに楽しみなのです!恐らく当日直接会場に来ていただいても大丈夫なので、お時間あれば是非ともお越しください!

連続講座 古本屋的!! 第五回「店から街へー広げる古本屋」
■向井透史(古書現世)×小山力也(古本屋ツアー・イン・ジャパン)
■1月27日(金)
■ブックカフェ二十世紀(@ワンダー2階) 東京都千代田区神田神保町2-5-4
■19:00〜20:30
■会費:1,500円(1ドリンク付) 懇親会1,000円(軽飲食20:30〜21:30 ※自由参加です)
■予約申込はブックカフェ二十世紀まで、メール(jimbo20seiki@gmail.com)か電話(03-5213-4853)にてお願い致します。お名前と参加人数をお知らせください。詳細はブックカフェ二十世紀サイト「EVENT」よりご確認いただけます。→http://jimbo20seiki.wix.com/jimbocho20c
「早稲田青空古本祭、外市、月の湯古本まつり、みちくさ市、LOFT9 BOOK FES. などなど、あれこれやってきた実感について話しますんでお願いいたします」とは向井氏の言。普段は早稲田に思いっきり腰を据え、出不精の向井氏を神保町で見るのもレアな機会ですので、私からも何とぞよろしくお願いいたします!

続いて1/29(日)に、本日25日にリニューアルオープンした西荻窪「音羽館」を自分なりに祝うために、お店で終日バイトさせていただきます!恐らく広瀬氏に鞭でピシンピシンしばかれながら労働していますので、みなさま新しく船出したお店と古本を楽しむとともに、哀れな私を冷やかしに来て下さい!あっ、良く考えれば、これで私は阿佐ヶ谷「古書コンコ堂」や三鷹「水中書店」の後輩となるわけか…。

名付けて「勝手に古本屋ツアー・イン・音羽館!」
■1/29(日)12:00〜23:00(予定)
■西荻窪「音羽館」東京都杉並区西荻北3丁目13−7 ベルハイム西荻窪 1F

そしてさらに、昨年十二月から続いている大阪・梅田の「梅田蔦屋書店」での『古ツアお蔵出しフェア』は、未だに奇跡的に継続中です!そろそろ良い本からポロポロ売れ始めていますが、まだまだまだまだ相場より安めの良書や変な本がたくさん揃っております。古書コンシェルジェが、停滞せぬよう棚に風を吹かせていますので、引き続きよろしくお願いいたします!

『古本屋ツアー・イン・ジャパン 小山力也のお蔵出しフェア』
■ルクア イーレ九階「梅田蔦屋書店」内カフェ『4thラウンジ』壁面

そして最後に、あるひとつの決意をお知らせします。大阪だけで『お蔵出しフェア』を行っていては、日頃お世話になりまくっている東京に申し訳ないので、二月の終り辺りに、超絶的な古本お蔵出しフェアを開こうと考えております。これは、自分自身への挑戦であり、また古本で埋まりつつある住居を、再び人間の住み易い空間に少しでも戻すための、決意なのであります。どこまで掘り起こせるか、どこまで値付出来るか、何処まで運び出せるか…すべては私の努力如何となるでありましょう。理想的には、掘れるだけ掘り出して、なるべく安値で販売しようと思っていますが、果たしてこの一月余で、何処まで出来るかが鍵…嗚呼!揺るがないでくれ、俺の決意!怠けないでくれ、本の準備!詳細は決まり次第お知らせいたします。そして、準備や古本発掘の様子は、当ブログでもお伝えしていくつもりである。…とこういう風に言ってしまえば、もうやるしかないので、粉骨砕身突き進みます!

閑話休題。お知らせだけでは味気ないので、先日買った古本「藝術寫真 作品と作法」(2017/01/20参照)の余話をひとつふたつ。伝説の写真家・安井仲治の写真技術論考掲載を大いに喜んでいたのだが、良く見るとちゃんと安井の写真も掲載されていた。しかも大胆な自画像が!その写真を使い、当時の最先端に近い加工技術を伝えているのである。これは、嬉しさ倍増である。
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もうひとつは久野久という作家について。目次に有名無名の作家の名が、ズラズラと羅列されいてるのだが、この名だけが妙に心に引っ掛かった。記憶を必死に探ったり、ネットで調べてみると、以前、日本の昭和初期の新興&前衛作家展のカタログで、この人の作品を見ていたことを思い出した。タイトルは確か『イルフ逃亡』となっており、腰まである草原の真ん中で、外に向かって円陣を組んだ背広姿の男たちが、四方に前傾して走り始める瞬間を捉えた、不思議で幻想的な味わいを持つモノクロ写真である。そのカタログを持っているはずなので必死に探したが、残念ながら見つからない…フェアのために掘り出して行けば、いずれ見つかるかも…。確か作家データは詳細不明で、ネットで調べても個人的な情報はほとんど浮かび上がって来ない。その代わりに、彼が所属していた九州の写真倶楽部は『ソシエテ・イルフ』ということが判明する。この倶楽部の結成は1939年。「藝術寫真 作品と作法」は1937年発行で、結成以前のものである。だからまだ尖る前なのか、写真に前衛的なところはなく、夜の家族団らん晩ご飯風景を写したほんわかした作品に仕上がっている。あの、まるでルネ・クレール監督の、シュルレアリストが大勢出演する実験映画「幕間」のような写真を期待していただけに、大いにがっかりしてしまう。だが、最後に掲載された『制作データ及び解説』を読むと、『展覧会用作品としてかねて考へて居た晩餐二部作の内の一枚である。小市民的な暖かい気分の晩餐と、シヤンデリア輝く豪華な然し冷たい上流家庭の晩餐とを以て二部作となすのであるが〜』などとあるではないか。おぉ!何だかやはり前衛が萌芽していたのではないだろうか!こうなると俄然その二部作で見たくなってしまう。ちなみにこの写真は、四晩通い詰め、ようやく撮れた一枚とのこと。背景は久野自身が手を入れているらしく、良く見ると、確かにこの日本間には似合わぬ、妙な写真や物体が、写り込んでいる。
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ああやっぱり、こんな風に昭和初期とダイレクトにつながれる古本は、素敵だな。まるで何時でも何処でも乗り込める、精神的タイムマシンじゃないか。
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2017年01月20日

1/19古本屋の買取を手伝い、古本市に行き、古本屋さんたちと呑む!

週ごとの慣例として、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)の「フォニャルフ」棚に色濃く補充(只今意外にレア本を相場より安く並べておりますので、みなさまぜひお誘い合わせの上西荻窪へお越しください)。角川文庫「中央アジア秘法発掘記」を100円で購入する。そして今日はそのままバイトとして盛林堂さんの買取を手伝うのである。やることと言えば、主に古本束の運び出しと積み込み。家から廊下に出し、台車に乗せてエレベータ−で一階に下ろし、その後車にバンバン積み込む。それを素早く三往復繰り返し、すっかり車のサスペンションを重くして、百本ほどの結束本を午後三時前には無事に運び終える。とてもスピーディーに仕事を終わらせても、しっかりとバイト代をいただき、そのまま中央線から丸ノ内線を乗り継いで銀座に急行する。昨日が初日だった「第33回 銀座古書の市」に、館内で迷いながらもたどり着き、例年より落ち着いた感のある古本市をのんびりと楽しむ。わりと厳かで上品な会場を巡回し、「えびな書店」さんから、朝日新聞社「藝術写真 作品と作法」を800円で購入。イベントスペース最奥の、壁際に設置された本棚の最下段で見付けたものであった。昭和十二年刊で、写真作品としては桑原甲子雄などが掲載されており、アマチュアとプロを交えた作家の作品をまとめた一冊なのである。それらの様々な写真も嬉しいのだが、この本を買った最大の目的は、なんと巻末の技術紹介ページに、伝説の写真家・安井仲治の論考が入っていたのである。いや、これは嬉しい。文自体が、二人の人物が軽妙に話す対話形式なのも嬉しい。
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カバーの背はボロボロで、かろうじて一部で繋がっており、油断すると蝶の羽のように開いてしまいそうだが、丁寧に丁寧に扱い、現状をどうにか維持しながら特設レジで精算する。応対してくれたデパートのご婦人は、最初そのまま本を袋に入れようとしたが、はたとその手を止め「これは私の技術では…」とつぶやいた後、危ういカバーが切れることを恐れ、まず本自体を薄紙で厳重に梱包した後、改めて袋に入れていただく。お気遣いありがとうございます!

そして夜、西荻窪に舞い戻り、「盛林堂書房」に「ただいま!」と帰り着き、買って来たばかりの本にパラフィンをかけてもらう。その後の夜は岡崎武志氏の発案で、「音羽館」(2009/06/04参照)広瀬氏や開店準備中の「むしくい堂」さんや国分寺の「七七舎」(2016/02/06参照。もうすぐ開店一周年である)さん、それに「盛林堂」夫妻を囲み、新年会を開催。というわけで、「音羽館」さんは1/25(水)に営業再開予定なのだが、それを祝って何故だが1/29(日)に一日店員となって労働し、ちょっとでもお店を盛り上げる所存であります。みなさまどうか、お誘い合わせの上、古本を買いに来ていただければ!

とこんな風に一日を、古本屋さんにどっぷりと関わり過ごしてしまう。…私は果たして、何処へ向かおうとしているのであろうか……。
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2017年01月16日

1/16実相寺饅頭本!

夕方まで三鷹で長仕事。無事に終わらせ、疲弊して夕暮れの街を行く。北口に出て「水中書店」(2014/01/18参照)に誘い込まれる。ここのテント看板は、いつ来てもキレイで、ピンと張っているな、と感じつつその下で店頭棚を眺めてから店内へ。木床をギチギチと鳴らして歩き、棚から棚へ。映画棚から探し求めていた一冊を抜き取り、帳場にて精算する。「星の林に月の舟/実相寺昭雄」を600円で購入。通路でお客さんにお薦め本を尋ねられ、懇切丁寧に応えている店主・今野氏に、失礼ながら割り込んでご挨拶。あることをお願いしているので、とにかくよろしくとお伝えする。外に出ると、釣瓶落としに暗くなって行く時間帯。夜になる前にと、慌てて買った本を取り出し、お店の前で記念撮影。
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この本、ただの「星の林に月の舟」ではないのである。装幀や内容はほぼ同じなのだが、実は出版社名が無く、薄めで軽め。それに新たな写真や年表が加えられているのだ。これは、ウルトラシリーズや『帝都物語』の映画監督・実相寺昭雄が死去した時に、記念として復刊されて配られた、いわゆる“饅頭本”なのである。この本をひょんなことから知ったのは、去年の「しのばずくんの本の縁日2016」(2016/11/03参照)であった。本の雑誌社ブースにて、必死に「古本屋ツアー・イン・京阪神」を販売していると、やって来たのは日本古典SF研究会会員の妖怪大大大大大大大好きナカネ君。本を買っていただき、ちょっと話し込んでいると、お互いの古本成果を見せ合うことになった。そこで彼から見せられたのが、この饅頭本だったのである。境内横の古本台で目にした記憶があり、よくある普通の「星の林に月の舟」だと思って、当然スルーしていた。だから最初は何故これを?と訝しんでいたのだが、手渡されると感触がおかしい。薄くて軽いのだ。そして「これを見て下さい」とページを開いて取り出したのは、実相寺夫人からの挨拶葉書であった。うわっ!完全にやられた!こんなスゴい本を見逃していたなんて!と大いに悔しがり、頭の中に古本傷としてしっかり刻み込まれていたのである。あれから二ヶ月…こちらは残念なことにハガキは無いが、それでも確かに同じ饅頭本!ようやく我が手に落ちた本を開き、新たに追加されたグラビアページの、円谷プロ・怪獣倉庫前の階段に座る実相寺のモノクロ写真に再会の喜びを覚え、感慨深く見入ってしまう。
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2017年01月15日

1/15昨日をなぞり、違う一日となる。

昨日と同パターンで行動を開始する。まずは午前十時に「J-house」(2015/12/26参照)にいそいそと駆け付け、朝市箱の中に大正四年の雑誌を見出す。大正天皇御大礼の特集本、富山房「新日本 御大禮特集号」である。表紙の杉浦非水デザインは美しいが、普段だったら食指の動くものでは決してない。だが、この本の目次を見た瞬間『これは買わねばなるまい!』と心を躍らせ、結局100円で購入する。B5サイズの古雑誌を自宅ポストに投函しておいてから、軽く走りながら高円寺へ向かう。今日は昨日より寒さが厳しい。そして今日は誰にも会うことなく、「西部古書会館 大均一祭」(2013/09/08参照)二日目の100均祭会場に到着する。始まったばかりの祭の人出は、昨日より遥かに落ち着いており、各棚を容易に見ることが出来る。まぁほとんどが昨日の残りなのだ。さもありなん。だが今日もカゴ一杯に古本を詰め込んでいる人は、たくさんいる。なんたって全品100円なのだ。見たことのある棚をチェックしながら、昨日『100円だったら買ってもいいな』と思った本を探すが、案の定そのほとんどが姿を消していた。野田宇太郎編集の雑誌「文学散歩」、やはり買っておけばよかった…。後悔の念をぐっと飲み込みながら、無理せず二冊を手にしてウロウロしていると、ミステリ評論家・新保博久氏と遭遇。さらにカゴ一杯に本を詰め込み「タガが外れちゃった」と言いながら松坂健氏も合流。二人のミステリの鬼に挟まれ、昼食を共にすることとなる。騒人社「名作落語全集 第六巻 滑稽道中篇」スポーツ新書「プロ野球三国志 青春篇/大和球士」を計200円で購入する。「コクテイル書房」(2016/04/10参照)狩野氏は、今日は帳場で大忙し。駅前のルノアールに場を移し、昼食を摂りながら古本&ミステリ四方山話に花を咲かせる。新保教授、何と先日宇都宮の古本市に行かれた際に、ついでにと雀宮の「すずめ書房」(2010/04/10参照)を、ちゃんと電話して訪問したとのこと。店頭で風雨にさらされた本の山は消え去り、キレイになっていたが、二階から下りてきた店主は、そろそろ閉店するようなことをつぶやいていたらしい。そんなことになったら、宇都宮近辺の古本屋事情は、より一層寂しくなってしまうであろう。それにしても、教授のアグレッシブな行動には感心してしまう。普通の人は、あのお店絶対に行かないですよ!さすがは古本神!その後も書庫の話や007の話やミステリの話を間断なく続ける。このミステリ深度の深いお二人の話しにはとても付いていけず、曖昧な笑みを浮かべたまま、話に加われず目を白黒させてしまう。なんたって、ある作家名が出ると、すぐに作品名が羅列され、次にそれぞれの物語の内容、さらにはトリックの種類までが、ツルツルと淀みなく排出されるのだ。しかもそれらを、ちゃんと共通の情報として、即座に認識し合うのである。いったいどれだけ本を読んだら、こんなことになってしまうのだろうか…。一時間半ほどで解放され、二人と駅で別れ、昨日と違いタッタカそのまま家へと戻る。そしてさらに昨日をなぞるように、ワンクッション置いて西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)を目指すのだが、昨日「フォニャルフ」棚がわりと減っていたので、補充の本を抱えて家を出る。もちろんテクテク歩いての「ささま書店」(2008/08/23参照)経由は欠かせない。すべて昭和二十五〜六年の岩谷書店「宝石」三冊を計315円で購入し、さらに行進して西荻窪へ。「にわとり文庫」(2009/07/25参照)店頭に正月均一祭の名残のような100均棚が設置されているのを目撃し、ようやく盛林堂に到着する。キリッと補充をすませ、ちょっと印象が変わる。レア本、そこそこ並べていますので、引き続きよろしくお願いいたします!店主・小野氏とひとしきりお話しした後、今日は何処にも寄らずに阿佐ヶ谷に戻り、そのまま帰宅する。昨日をなぞったような一日だったが、買った本も、出会った人も違う、これは、今日という日であった。

ここで話は冒頭の古雑誌に戻る。いったい何を目次に見つけ、買ってしまったのか。それは、こんな赤いハンコが、ペタリと捺されていたからである。
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雑誌とはまったく関係ない、他社のハンコ。しかもそれは探偵小説「フアントマ」三版出来の宣伝ハンコだったのである!『村上静人編 探偵奇談フアントマ 定價金四十五銭 郵便六銭 大好評三版出来 東京神田裏神保町 發行所芳文堂』とある。もしかしたら「フアントマ」が載っているのか?と色めきたってページを繰るが、もちろん載ってはいなかった。芳文堂の人が、たまたま手元にあった雑誌に、試し捺しでもしたのだろうか。とにかくこんなハンコが存在したのにまず驚き、続いてハンコ本体をかなり欲しいと思ってしまう(「フアントマ」のハンコ!それだけで、うっとり)。国立国会図書館のデジタルライブラリーで検索すると、大正五年の本で290ページ。デジタルデータ(モノクロ)で全文読むことが出来るようになっている。…あぁ、いつか何処かの古本屋さんで、本物の実物に、お目にかかりたいものだ。それにしてもこのハンコは、どのような用途で使われたのだろうか?出版案内の郵便物や広告に捺されていたのだろうか?それとも書店などで、袋にペタペタ捺していたとか…?その「フアントマ」つながりで、現在所持の「ファントマ」を集めてみた。とは言ってもコーベブックスのものは見つからなかったので(取り出せなかったとも言う)、二冊だけである。博文館「新青年」附録の「ファントマ」と博文館文庫の「フアントマ」である。もちろん美文文語体の久生十蘭譯。両方ともちゃんと松野一夫の素晴らしい挿絵入りで、博文館文庫は「第二ファントマ」も合わせた分厚いものとなっている。
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posted by tokusan at 17:28| Comment(4) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする