2018年03月18日

3/18次は土曜日『本のフェス』!

本日は雑司が谷「みちくさ市」に、衣装ケース一箱+リュック一杯の文庫を背負って見参。春の暖かさの中、最初から終りまで満遍なく老若男女に古本が緩やかに売れて行く幸せなひと時を過ごす。だが次第に下がり始めた気温にやられたのか、体調も仲良く下降線をたどってしまう。…花粉症だと思っていたら、どうやら風邪をひき始めた模様。体調の変化にブルーになりながらも、計四十四冊を売り上げたことには大いに気を良くする。道端でふれ合ったみなさま、ありがとうございました!勝手に個人的な独断で今日のお買い上げベストを決めると、ワイルドな風貌にイメチェンしたハニカミ王子の「自殺直前日記/山田花子」と「氷の海のガレオン/木地雅映子」(元本)であろうか。疎外と孤独と他者への嫌悪と恐怖が入り交じる、切なく切実な本のコンボ買いであった。かく言う私は一冊の古本も買わずに、隣りで古本を紙袋に包みぶら下げて販売していた奇天烈なブースから、手作りの文庫カバーを購入したのみであった。だがこれは素晴らしいブツ!暖簾に“古書”と染め抜かれた図案が入る、紛う事なき古本グッズ!この世の中に古本屋さんのノベルティは数多くあれど、純粋な商品としての古本屋&古本グッズはそう多くない。こういうのは、古本好きとしては見かけたら買っておかねばならぬのだ!
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そして本日に続いて、今週土曜は神楽坂で『本のフェス』に見参いたします!こちらはいつもと多少趣を変え、久々に「フォニャルフ古書部」と銘打ち、古い古書(何だかクドい表現)を中心にラインナップする予定。みなさまのご来場を、またも心よりお待ちしております!

■日時:2018年3月24日(土)10時〜19時
■場所:日本出版クラブ会館
〒162-0828 東京都新宿区袋町6
http://www.shuppan-club.jp/
■本の雑誌商店街@3階パピロス:古書ますく堂、盛林堂書房、古書いろどり、小山力也、北原尚彦、森英俊、東京創元社、国書刊行会、酒とつまみ社、140B、しまぶっく、カンゼン、古本と手製本 ヨンネ、コトノハ、東京美術、あうん堂本舗、本の雑誌社の17店舗が出店
■主催:本のフェス実行委員会/読売新聞社
https://ja-jp.facebook.com/honnofes/
http://www.cpfine.com/honnofes.html
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2018年03月16日

3/16日曜日は雑司が谷で。

朝、置きた瞬間から『えぇい!面倒くさいが一気に片付けてしまえ!』と気合いを入れて、日曜「みちくさ市」に並べる古本の準備に取りかかる。ある程度準備していた本を、固めて背を上にして並べ、そこに新たにあちこちから本を加えたり外したりして、小さなお店としての形を整えて行く。そんな風にして決まったら、本をクリーニングし、その後に値札を作り、本に挟み込んで行く。気合いを入れたおかげで、午後にはすべての準備が完了し、急降下して行く気温とともに、心に安寧が訪れる。ミステリ・文学・児童書・付録本・絵本・漫画・おかしな本・最近買った本・昔から持っていた本と揃えていますので、日曜日の雑司が谷で、午前十一時から、古本好きの皆様の来訪を、心よりお待ち申し上げております!
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『第41回 鬼子母神通り みちくさ市』
◆2018年3月18日(日)
◆11:00〜16:00(雨天中止。当日8:00に天候による開催の有無を決定)
◆雑司が谷・鬼子母神通り(東京都豊島区雑司が谷2丁目・鬼子母神通り周辺・東京メトロ副都心線・雑司が谷駅1番出口または3番出口すぐ)
◆お問い合わせ michikusaichi●gmail.com(●をアットマークに変えて送信してください)
みちくさ市本部 携帯電話:090−8720−4241
http://kmstreet.exblog.jp/
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2018年03月15日

3/15角川文庫の久生十蘭

今日は八幡山近辺に流れ着いたので、駅近くの「グランマーズ」(2011/12/23参照)を覗きに行くと、残念ながらお休み。すっかり疲弊していたので、さらに何処かに寄る元気なく、おとなしく家へと帰り着く。するとまたもや懲りずにヤフオクで落札した本が、疲れを吹き飛ばすために届いてくれていた。小ぶりのダンボール箱に詰められた、旧角川文庫十六冊である。…その中の、たった一冊が欲しいがために、ライバル不在の2400円で落札してしまったのである。その一冊とは「母子像・鈴木主水/久生十蘭」(帯付き)…角川文庫から久生十蘭が出ていたとは…。昭和三十四年の初版で、表題作以外に『姦』『西林圖』『春雪』『無月物語』『湖畔』を収録し、解説は亀井勝一郎が担当している。今でこそ、岩波文庫や河出文庫から短篇集が奇跡のようにドシドシ出されているが、ちょっと前までは、講談社文芸文庫以外のちくま文庫・朝日文芸文庫・教養文庫・中公文庫は絶版となっており、わりと文庫化からは遠ざかっていた作家と言えよう。だがこの各社ラインナップを見ると、時代時代で忘れ去られるところまでは行き着かず、細々と文庫的命脈を保って来た印象を持つ。そして考えるに、「ジゴマ」「ルレタビーユ」「ファントマ」など戦前の翻案文語調探偵小説の博文館文庫と、戦後の春陽文庫「顎十郎評判捕物帖」からバトンを受け取ったのが、この角川文庫の「母子像・鈴木主水」なのではないだろうか(新潮社から『小説文庫』と銘打ち「母子像」が昭和三十年に出されているが、これは新書サイズである)。いやとにかく、ヤフオクでこの一冊を十六冊の中に見出すまでは、恥ずかしながら存在すら知らなかった文庫である。見付けた瞬間から欲しくなり、その欲望通り、無事に手に入れることに成功したわけである。緑の帯が掛かった、168ページの薄手の六十年前の文庫本を、ニヤニヤしながら慈しむ…後は読むだけか……。
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2018年03月14日

3/14映画『顔役暁に死す』を観る。

昨日は千歳船橋に流れ着いたので、テクテク歩いて経堂にたどり着き、「大河堂書店」(2009/03/26参照)を楽しむ。角川文庫「鮎の歌/立原道造」池田書店「龍を撫でた男/福田恆存」を計900円で購入する。角川文庫の、昭和三十年代カバーナシで帯のみの時代は、とても奥が深い。巻末の目録を見てもそれは明らかで、一度もお目にかかったことのない文庫本がズラズラと続いて行く…「鮎の歌」も遅ればせながら初めて知った一冊である。詩と物語が、入り交じる、静かなミュージカルのような展開に唖然とする。

本日は午前中の隙を生かして、神保町パトロールに出かける。水道橋から攻め始め、「丸沼書店」(2009/12/17参照)で講談社大衆文学館「奇想小説集/山田風太郎」を100円で購入し、「アムール」(2011/08/12参照)では角川文庫「人口楽園/ボードレール」文春文庫PLUS「ザ・マン盆栽/パラダイス山元」を計100円で購入。「原書房」(2014/05/15参照)では立風書房「これが霊の世界だ/丹波哲郎」(「大霊界」の児童書バージョン…こんなものまで出していたとは…)を300円で見つけ、最後に「文庫川村」(2008/11/20参照)で中公文庫「お艶殺し/谷崎潤一郎」を100円で購入し、三十分ほどの早足スピードパトロールを終えて帰宅する。日中は仕事をボチボチ進めつつ、同時並行で天気予報から雨マークが消えた日曜「みちくさ市」の準備もノロノロ進める。午後六時半過ぎ、早めの夕食を食べて外出。暖かな夜を喜びながら歩き、「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)百均棚に角川文庫「人外魔境/小栗虫太郎」を見付けて素早く購入した後、『ラピュタ阿佐ヶ谷』の特集上映『ミステリ劇場へようこそ』を観に行く。午後七時からの上映作品は、岡本喜八監督作品の東宝映画『顔役暁に死す』である。原作は大藪春彦の「火制地帯」(浪速書房)。盗作騒ぎで絶版となった曰く付きの小説である(ロス・マクドナルド「ブルーシティ」が元ネタ。出版は1960年で、盗作騒ぎが起こったのは翌年の四月。映画の公開も同年四月だったので、どうにもならなかったらしい。尚「ブルーシティ」はアメリカでも1985年に映画化されており、あらすじを読むとやはりそっくりなのである)。一時間三十六分の映画は、まるでダンス熟練者のステップのように、華麗に物語と会話とアクションが進行して行く。そこには、ロス・マクドナルドも大藪春彦も不在で、ただ岡本喜八の華麗なるテンポとリズムと軽妙さが、スクリーンの中を走り抜けて行くのみである。オープニングに踊る『原作「火制地帯」(浪速書房刊)』の文字、イカしたセリフの連続、小気味よく自在に走る自動車、加山雄三のしなやかなアクション、ギャングたちのリリシズム、運送ヤクザ中丸忠雄と麻生太郎のファッションの酷似、情報屋新聞記者ミッキー・カーチスの似非病人七変化。観終わった後に、持参した原作本(函ナシ)を劇場前で記念撮影。すみません、こういう古本遊びが、相変わらず好きでたまらないんです…。
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2018年03月12日

3/12さて、おしらせです。

早朝から花粉と闘いながら、どうにか確定申告の書類を作り上げ、昼食後に外出する。嚔を連発しながら税務署への道をたどり、途中「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)では平凡社「モダン都市文学\ 異国都市物語」を103円で購入する。混み合う税務署で書類提出を済ませ、かなりスッキリしつつも相変わらず嚔を連発しながら高円寺方面へ。久しぶりの「アニマル洋子」(2014/03/14参照)では角川文庫「狂人は笑う」「空を飛ぶパラソル」共に夢野久作、ソノラマ文庫「まぼろしの魔境ムー/山村正夫」フレーベル館キンダーブック付録キンダーずかん「ねこ」「そらののりもの」「じどうしゃ」「むかしのおもちゃ」を計1000円で購入する。おぉ!帳場カウンターには、パッキングされた角川文庫「八つ墓村/横溝正史」初版が置かれているではないか!果たしてもう売れてしまったのか、それともこれから棚に並ぶのか…。うんざりするほど止まらぬ嚔に、次第に体力を奪われながら、線路の下を潜り抜けて北に向かい、「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)に到着。扶桑社「東京国際ファンタスティック映画祭'87公式カタログ」ハヤカワポケミス322「夜の闇のように/ハーバート・ブリーン」を計200円で購入する。粟生田さんに「花粉のせいで、もう何も考えられません」と言うと「マスクとかしないんですかぁ」と聞かれる。「いや、日によって花粉の影響力がまるで違うんで、薬も飲んでないしマスクもしないんですよ」「そうなんですかぁ。でも多分、マスクくらいした方がいいですよぉ」と優しく諭される。りょ、了解しました!
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「ねこ」の見開きページ。やっぱり“ねこ”と言えば、この高所から落下時の分解写真が定番!

さて、おしらせです。今度の日曜日、『鬼子母神通り』の古本イベント「みちくさ市」に面白い本を携えて定例参戦しますので、春の日曜日に、どうか花粉に負けずに古本を買いに来て下さい!お待ちしております!

『第41回 鬼子母神通り みちくさ市』
◆2018年3月18日(日)
◆11:00〜16:00(雨天中止。当日8:00に天候による開催の有無を決定)
◆雑司が谷・鬼子母神通り(東京都豊島区雑司が谷2丁目・鬼子母神通り周辺・東京メトロ副都心線・雑司が谷駅1番出口または3番出口すぐ)
◆お問い合わせ michikusaichi●gmail.com(●をアットマークに変えて送信してください)
みちくさ市本部 携帯電話:090−8720−4241
http://kmstreet.exblog.jp/

そしてそろそろ発売の「本の雑誌 たんぽぽ一番乗り号」の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、三宿の「江口書店」を秘密取材。雑然とした古書の山とハッシハッシと斬り結び、最終的には驚くべき明治時代の探検雑誌を卒倒の価格で手に入れております。手に汗握ってお楽しみいただければ!
http://www.webdoku.jp/honshi/
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2018年03月11日

3/11ガリバーと6500円。

基本的には麗らかな日曜日であるが、陽が翳ると途端に幽霊でも出たかのように寒くなるのに辟易し、荻窪の住宅街に流れ着く。『大田黒公園』の賑わいと『西郊ロッヂ』の変わらぬ風体を横目にしながら、「ささま書店」へ、店頭棚を眺め始めようとした時、丁度午後二時四十六分を迎えたので、しばし瞑目。目を開けると目の前には佐藤さとるのコロボックルシリーズが三冊並んでいる。講談社「だれも知らない小さな国/佐藤さとる・作 村上勉・絵」だけを抜き取り、棚の裏側からは朋文堂「氷河の山旅/田中薫」(カバーなし)を抜き取り、とても賑わう店内で計216円で購入する。トボトボ歩いて阿佐ヶ谷まで戻り、『中杉通り』の古道具屋「J-house」(2015/12/26参照)前で足を止める。おっ、久々に古そうな映画パンフレットが、一カゴ分出されているではないか。七十〜八十年代のアクション・SF・フランス映画が多い。丁寧に繰って行くと、最後の方で思わぬ大物が出現した。東映動画第八作目の宇宙冒険SF『ガリバーの宇宙旅行』(1965年)である!
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表紙には『色彩長編漫画』とあり、計十ページの中身はパンフレット言うよりは、ほとんど絵本である。最終ページにはアフレコの決めカット写真が掲載されており、総天然色に着色された坂本九・宮口精二・小沢昭一の姿が確認出来る。キャッチが『キャラクターの声をふきこむおじさんやおねえさんたち』とあるのが何とも可笑しい。
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他にも『チャイナタウン』と『スターウォーズ』のパンフを選び、計324円で精算する。そして家に帰ってから、「だれも知らない小さな国」を箱から取り出し、ページを開いて行くと、扉ページに五百円札が挟まっていたので、大いに驚く。子供がお年玉でも隠して、忘れちゃったのかなぁ…おや?一枚だけじゃない。二枚…三枚…それどころか、伊藤博文の旧千円札も続いて現れるではないか!さらに驚きながら数えてみると、計六千五百円が本に挟まっていたことが判明する。すべてたった今銀行から下ろして来たような、ピンピンのピン札である。この本、今まで色んなところを流通して来たはずなのに、誰も開いてなかったのか。恐らく四十年近くは、この状態だったのだろう。突然の過去からの意外なプレゼントに面食らいながら、古本の思わぬ楽しみ方を知ってしまう。長〜く古本屋さんに通っていると、色んなことが起こるもんです。
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2018年03月10日

3/10俺の九鬼紫郎は裸本ばかり。

今日は東京の端っこの成増に流れ着いたので、一駅移動して下赤塚に向かい「司書房」(2009/06/07参照)に突撃する。外の箱を眺めていると、自転車で通りかかったオッサンが「ないよ、いいものなんてなにもないよ。ほら、ここにあるのなんか、ふるいのばっかりじゃん…あれ?でもこれ、いいやつじゃないか?あれ?おかしいな?…」と騒ぎ出す一幕あり。店内ではオヤジさんがテレビで法医学ドラマ「アンナチュラル」を鑑賞中。スイスイと店内を一巡し、福音館書店こどものとも「まじょのすいぞくかん/佐々木マキ」大日本雄辯會講談社キング第六巻第一號新年號附録「科學的運命判断」日本小説文庫「星旗樓秘聞/木村毅」を計900円で購入する。「星旗樓秘聞」はすでにこの同じお店で、作者校正本を手に入れているのだが(2013/06/17参照)、発行が昭和六年十二月の春陽堂日本小説文庫最初期の物なので、思わず購入してしまう。しかも当時のスリップが挟まっているではないか。巻末の広告もまだ五十三冊までしか出ておらず、文字が大きくシンプルである。
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そして成増から吉祥寺行きのバスと西武新宿線を乗り継ぎ家に帰り着くと、またも待望のヤフオク落札品が届いていた。白峰社「受話器を刺す銃声/九鬼紫郎」(裸本)である。落札価格は「海から来た使」に続き、血迷い頑張り過ぎの9250円……いや、これでいいのだ!何たって、“九鬼周造”や“九鬼水軍”の名を見てもドキドキしてしまうほど大好きな九鬼紫郎だ!これをヤフオク・サーフィンで見つけた瞬間、まったく未知の本だったので、是が非でも手に入れなければならない!と即座に己に厳命を下し、「幾らまで出す?て言うか、お店で見つけたら幾らまでなら買う?」と自問自答し「一万円までなら!」と解答。ハラハラドキドキしながら入札し、ライバルとの多少の争いはあったが、どうにか無事に落札に至る。これで、ようやく三冊目の九鬼紫郎である。…しかもすべて裸本…そして購入値段が段々上がってしまっている。最初の「犯罪街の狼」は奇跡の50円。次の「魔女を探せ」が、これも奇跡の2000円。そして今回が9250円…あぁぁぁぁっ!この先いったいどうなってしまうのか?そして、カバー付きの本を手に入れる日は来るのだろうか?まぁ今は、この本が手に入ったことを祝うことにする。初めての丸背の九鬼紫郎。昭和三十年代にしか存在出来ない、限界ギリギリスタイリッシュなアクションスリラー推理小説。さて、どんな格好良い主人公が登場しているのだろうか。ページを開くと、六十年前の硝煙漂う都会の闇が、頭の中に立ち現れる。
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これがウチの裸の九鬼本たちである。
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2018年03月07日

3/7一時間ほぼただカーペットを踏むに留まる。

午前中は「ささま書店」(2008/08/23参照)に詣で、開店直後の賑わう店頭から中央公論社「旅中日記 寺の瓦/志賀直哉・木下利玄・山内英夫」農村社「藥草案内」を計216円で購入し、タッタカ家に戻って昼食を摂る。腹ごなしに一休みした後再外出し、西武新宿線急行で一直線に所沢を目指す。新しく大きくなりつつある駅舎から北口に吐き出されると、ロータリーの向こうに聳え立つガラスの『西武第二ビル』では、今日から「第85回 彩の国 所沢古本まつり」(2010/06/02参照)がスタートしていた。まずは一階ロビーを周回し、高文社「アポロと空飛ぶ円盤/平野威馬雄・荒井欣一」を324円で購入してから、展望エレベーターに乗り込んで八階の『くすのきホール』へ。カーペットを踏み締めストスト巨大会場に入り込むと、市初日に気合いを入れて駆け付けた古本修羅の群れが、カゴをしっかりと持った、あるいは会場隅に中継基地としてカゴを置き、いくら見てもキリがない大量の古本島にしっかと取り憑いている。静かなる熱気と多少の殺気が漂う通路を素早く歩き、会場に取り込まれないよう素早く本を見て行くことにする。ストスト再び歩き始める。途中、水玉螢之丞研究家でもあるすけきよ氏(ただいま神保町の東京古書会館二階情報コーナーでは『水玉螢之丞おしごといろいろ展』が開催中!)と遭遇し、乏しい所沢近辺古本屋事情について言葉を交わす。その後もストストキョロキョロ歩き続けるが、なかなか心に引っ掛かる本には出会えない。「れんが堂書店」(2013/03/31参照)の雪男本は、雪男の頭の皮を、ポーズを決めて被った男の写真が載っていたりする愉快な本だが、2500円か…。「岡田書店」では松本竣介装幀本の南北書園「人生の書/プーシキン」(この本、同じタイトルで別作家の論集を出しているようだ。調べると他にユーゴーもある)を発見。やった!と一瞬色めき立つが、値段を見ると3000円…うむむむ、いくら松本竣介の表紙絵とは言え、そのために3000円はさすがにちと悩むなぁ…最近値の張る本を買い続けてしまっているので、今更ながら財布の紐をキュッと締めている最中なのである。というわけでセコくそのままスルーしてしまう。そんな風に結局一時間強を歩き詰めるが、なんと一冊の本も手にせずすべてを見終えてしまう。あぁ、こんなにあらゆる種類の本がたくさんあるのに、一冊も手に出来ぬとは、これは明らかに俺の方に問題があるのだ…深く反省し、額に縦じわを刻みながら、壁際に並んだ文庫列を検分して行く。そして途中で、ハッと気付く。そうか、俺は今、古く茶色い本を強く求めてしまっているのだな。今回好みの古書が少なめなので、何も手に出来なかったのだろう。そして今、文庫にも古書を求めてしまっている。これでは残念ながら、目玉に引っ掛からないはずだ…とこちらも結局最後まで到達してしまってから、もうとにかく何か買ってから帰ろうと「アート文庫」の文庫コーナーに引き返し、創元推理文庫「凶悪の浜/ロス・マクドナルド」(白帯四版)を引き出して1080円で購入する。…古書探しモードではなく、新刊系にもちゃんと熱い視線を丁寧に注いでいたら、もっと買うべき本は見つかっていただろう。まぁそれだと滞在時間が、余裕で倍以上になってしまうのだが…この市は3/13まで。
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2018年03月06日

3/6松本竣介がやって来た!

本日は石神井に流れ着き、駅からバスに乗って一気に阿佐ヶ谷まで帰ろうと『富士街道』を遡上して行く。すると途中で、久々に開店しているところを見た「エコキーパーズ」(2013/01/29参照)が現れた。…ずいぶん店頭の様子が変わり、古本ではなく物品が蔓延っているなぁ…。
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先客に外国人が二人おり、その物品を喜びながら買い漁っている。そんな彼らと狭い通路を譲り合いながら移動し、創元推理文庫「ポオ小説全集3」大和書房「怪獣ゴジラ/香山滋」(岩谷書店版「怪獣ゴジラ」の復刊版。1983年当時の竹内博の解説によると「原本は、B六判でカバー付き、ページ数二五九ページで、巻頭に映画「ゴジラ」のスチール八葉を収めてある。定価は二八〇円であるが、今日では滅多に古書市場にも出ない稀購本で、仮に古書市場に出たとしても数万円はするしろものである」…数万円かぁ。それが今や数十万円なのかぁ…)を計500円で購入する。

そして計画通り駅前からバスに乗って家に帰り着くと、待ちに待ったヤフオク落札品がポストに投函されていた。南北書園「未明童話選集 海から来た使/小川未明」である。落札価格は、私のヤフオク入札ラインを遥かに超えてしまった破格の一万円!だが、この本は、何としてでも手に入れなければならなかったのだ!これを逃したら、もう二度と出会えぬ恐れがあったのだ!そして、一万円でも絶対に安いはずなのだ!何故ならこの本は、昭和二十二年発行の仙花紙本であるが、画家・松本竣介が装幀と挿絵を手掛けた一冊なのである。思えば、松本竣介の装幀本があることを知ったのは、林哲夫氏のブログ『daily sumus』であった。確かに画家が本の装幀や絵本に携わるのは稀ではないが、あの松本竣介の作品も存在しているとは、思ってもみなかった衝撃の事実であった。そして知ってしまうと、欲しくなるのは当然のことである。その多くは南北書園という出版社のもので、「ふらんす短篇集1」「一粒の葡萄/林芙美子」「人生の書/ハーディ」「パリの揺籠/芹沢光治良」「僕の通るみち/小川未明」などを担当している。だが欲しいと言っても、やはり安く買いたいのが人情で、『日本の古本屋』や『ヤフオク』で「パリの揺籠」や「一粒の葡萄」を見かけることはあっても、松本竣介装幀というレアアイテムは、そのほとんどが高値であり、またたちまち値が吊り上がってしまう運命にあった。ただ「ふらんす短篇集1」だけは、千〜三千円ほどの値で見かけることがあり、ほどなく入手することが出来たのである。だがこの本は、表1の貴婦人カットと表4の花カット、それにタイトルのレタリング文字だけの、かなりシンプルなもの…嬉しいが、何か物足りない。挿絵のある「一粒の葡萄」や、竣介タッチの街の絵が装画となっている「パリの揺籠」か、表紙絵がザ・松本竣介な「僕の通るみち」がやっぱり欲しいなぁ…などと思いつつ、常に古本屋の店先で探し求めていたのだが、ついに一度も出会うことなく、あっという間に五年余りが経過してしまった。だが、出会いは突然訪れた。福島県いわき市の古本屋さん「阿武隈書房」が、「僕の通るみち」と同じ小川未明の童話集「海から来た使」を出品しているのを発見したのである。しかも添付の写真によると、カラー口絵や挿絵も入っている!だが、値段は一万円…かなり悩んだ末に、もうちょっと安くならないだろうかと、値下げが行われるかどうか、入札を何度かセコく見合わせる。だが、誰も入札しない代わりに、一万円の値が変わることもなかったのである…、ならばもう、ええぃ!入札しちゃえ!と福沢諭吉一名を掴んで清水の舞台から飛び降り、無事に本日家にやって来たわけである。封筒から取り出した本は、想像以上に状態が良く、まるでデッドストックのようである。
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扉裏の竣介の名は贅沢に青色で刷られ、向かいのカラー口絵は、街の上に透過して頬杖を突く少女が描かれている。…おぉ、これ一枚でも充分過ぎるほどの贅沢な絵画作品ではないか!
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さらに本文中には、わざわざこれまた贅沢に紙質を変えた三枚の水彩が挿入されている。一枚目の、アナザー・松本竣介とも言えそうな、ダイレクトな美少女の絵には、即座にノックアウトされてしまう…買って、買って本当によかった。
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…こうして、ひとつの古本的夢が、今夜叶った。叶ったからには、夢の続きもまた叶うはずと信じ、引き続き松本竣介装幀本を、追いかけるつもりである。

そんな最後に、装幀本を追いかける過程で見つけた、想像以上の大物をご紹介。「下井草書房」(2011/07/27参照)が所蔵する、松本竣介のお蔵入りオリジナル装幀画である。なななななんと値段は四百八十万円!もはや恐るべき宝物の域である…。絶対に無理なのは分かっているが、それでもボソリと呟いてみる……欲しい…。
http://www.kosho-shimoigusa.jp/catalogue/01ArtMatu.htm
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2018年03月03日

3/3小さなお話色々

本日は成田東の住宅街に流れ着いたので、『青梅街道』まで出て「あきら書房」(2016/03/28参照)に忍び寄る。いつの間にか色んな貼紙が増えているな。『ご用の方はベルを押して下さい』『戸は閉めて下さい』…庭からサッシ戸を開けて上がり込み、戸を指示通りに閉める。奥の小スペースには、いつになく結束本の山が築かれている。そこにも貼紙があり『紐からご自由に外してご覧下さい』とある。本はほとんどが将棋と戦争関連である。左のガラス障子近くには映画パンフの山もアリ。岩波書店「西洋拝見/辻二郎」と西部劇場「ストックホルム・マリオネット劇場公演 星の王子さま」を計100円で購入する。「西洋拝見」の函と見返しには、何だか驚くべき寄贈印がある…『岩波茂雄氏寄贈』…会社からではなく、社長個人からの寄贈なのだろうか…全く持って不思議なハンコだ。
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「星の王子さま」は、スウェーデンのマリオネット劇場が昭和49年に西部劇場で公演した時のパンフレットである。掲載の写真が悪夢のように幻想的。これは観劇してみたかったなぁ。
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家に帰ってからは、大阪の「梅田 蔦屋書店」に二十冊ほどの粒よりの古本を送る。引き続き『4thラウンジ』壁面にて古本販売しておりますので、西の皆様、可愛い古本たちをよろしくお願いいたします!

最後の話題は、昨日買ったばかりの「黒い東京地圖/蘭郁二郎」について。短篇集の一編である、表題作の防諜探偵小説「黒い東京地圖」を読み進めていると、時計を使ったアリバイトリックが出て来るのだが、途端に既視感が電光のように頭を掠める。…これは、何処かで読んだことがあるぞ…知っているトリックだ…そうだ、S・A・ドウーゼ「スミルノ博士の日記」だ!そのトリックを、大手を振るっていただいているんだ!…あぁ、何の役にも立たない小さな小さな気付きだが、こんなこともまた、本を読む素敵な楽しさなのである。
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2018年02月26日

2/26映画『点と線』を観る。

花粉によるくしゃみを寝床で連発して目覚め、だがまだ春は遠いような曇天下の冷たい空気を潜り抜けて、午前十一時四十五分の「ささま書店」(2008/08/23参照)に古本を買いに行く。ハヤカワポケミス「バスカヴィル家の犬」「シャーロック・ホームズの回想」ともにコナン・ドイルと北海道新聞社「北海道 探そうビルの化石」を震えながら店頭で掴み出し、店内では《リキエスタ》の会「東京カフェー探訪/松崎天民」を見付け、計1188円で購入する。

そして午後四時半過ぎに再び外出し、ラピュタ阿佐ヶ谷の特集上映『ミステリ劇場へようこそ』を観に行く。午後五時から『点と線』が上映されるのである。先日吉祥寺の「バサラブックス」(2015/03/28参照)で、十四版だが当時の原作本を手に入れ(2018/02/15参照)一気に読了してしまった経緯で、俄然本の出版年と同じ昭和三十三年に速攻で製作された映画に興味を持ってしまったのである。いや、裏切られたように面白かったです。日本列島の鉄道路線図を、東京から博多、そして事件の端緒となる情死事件の起こる香椎まで赤いラインが進行するオープニング。新人・南廣(『殺しの烙印』のアル中の殺し屋・春日!)のド真っ直ぐな演技。博多弁を巧みに操り活動する饒舌で快活な加藤嘉。悪過ぎモテ過ぎ自信あり過ぎの山形勲。頼りになる係長・志村喬(時刻表のことを時間表と言う)。本当に美し過ぎる高峰三枝子。まさに原作当時の香椎の侘しい駅前商店街。昭和三十年代の蒸気機関車での旅。カラー映像だが灰色にくすんだ東京の都市風景。そして東京駅での『四分間の間隙』シーン(情死事件の片割れ・佐山は『ウルトラセブン』でプロテ星人を演じていた俳優だ!)。物語はだいたい原作通りに進み、多数のアリバイ崩しに奔走する三原刑事(南廣)の地道な捜査を中心に描かれて行く。鉄壁のアリバイにぶち当たる度に、三原がズズ〜ンと落ち込むのが、観ていて可哀想だが愉快。だが上映時間八十五分の制限故か、すぐさまその突破口が見つかり、悩んでいたのが嘘のように元気を取り戻すのが、またおかしい。原作が松本清張の後の代名詞とも言える『社会派推理小説』というよりは、純粋な『推理小説』に近いため、かなりしっかりとしたエンタメ作に仕上がっている。また清張は単行本のあとがきで『謎解きの方にウエイトを置いて、動機の部分は狭くした』と書いているのだが、映画ではこの動機を終盤で細やかに描いているため、犯人の言葉に意外なほどのカタルシスを感じてしまう。それにしても単行本は二月発売で、映画は十一月公開である。雑誌「旅」での連載が終わったのも同年の一月…超スピードで製作されたことが伺える映画である(そのせいか分からないが、ロケは福岡と東京のみ。北海道や熱海は恐らくB班の撮影した景色をセットシーンと巧くつないでいる)。
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ラピュタ前で原作本を手に記念撮影。すみません、こういう古本遊びが、好きでたまらないんです…。
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2018年02月20日

2/20是政から武蔵境へ。

昼過ぎに大名のような名の土地、是政に流れ着く。武蔵境から出る、杏仁豆腐のような白い電車の西武多摩川線の終点である。遠くでは、多摩川をコンクリ橋で渡る、南武線の走行音。新旧の集合住宅で出来た比較的新しい街並。残念ながら古本屋はゼロである。ブラブラと駅の横から歩き始め、長い塀の続く線路沿いの殺風景な直線道を東へ向かう。工場の塀は、途中から、高いスチールの『多摩川競艇場』の塀にすり替わり、時折ボートの独特なエンジン音が聞こえるようになる。やがて競艇場前駅にたどり着き、陸橋の上で競艇場を遠望する人たちとしばらく肩を並べ、大きなスタンド前に満々と湛えられた黒い水の上を、ミズスマシのように滑って行く小さなボートを目で追いかける。ここから多摩川線に乗り込み、『今日は火曜だから新小金井「尾花屋」(2017/06/15参照)はお休みかもしれない…一気に武蔵境まで行くか』と、武蔵境駅をガタゴト目指すことにする。その昔、途中の多磨駅には、小さな駅前ビルの二階に「にしがはら書店」(2009/04/02参照)があったのだが…と思い出しながら、恐らく古本屋が新しく出来なければ二度と降車しないであろう光景を、目を細めて懐かしく見つめる。およそ十五分で到着し、JR連絡改札を抜けずに、通常改札を抜けて北口に出る。トコトコ歩いて「浩仁堂」(2011/02/15参照)へ。店頭絵本ラック裏側の、木棚を立ったりしゃがんだりを繰り返し、つぶさに調べて行く。すると下段の端にあった、古めな紙質の本が気になってしまう。スッと抜き出すと、おぉ!月曜書房「ある晴れた日に/加藤周一」が帯付きで!と俄に興奮する。素早く浅ましく値段を確認すると、200円が100円に直されている!この本が200円で売られていたのもスゴいことなのだが、さらに驚愕半額の100円とは!大事に抱え込んで暖かい陽の差し込む店内に進み、全日本交通安全協会「運転のエチケット」(昭和38年刊の、イラストや写真に味があり過ぎる交通安全小冊子)新潮社「扉のかげの男/大岡昇平」東京都交通局「ひとりぼっち荒川線」とともに計600円で購入する。面倒くさがらずお店に足を向けたおかげで、良い本が買えた買えた。
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2018年02月19日

2/19『ラジオ・スターの悲劇』とJ・G・バラード

色々乗り切った昨晩、BS-TBSの音楽ドキュメンタリー番組『SONG TO SOUL』を見ていると、特集はイギリスのバンド・バグルスの『ラジオ・スターの悲劇』。聴く度に魂がキュンキュンしてしまう名曲であるが、常々『ビデオがラジオ・スターを殺してしまった』の部分に得体の知れぬ悲哀と難解さを感じていた(『新しいビデオ文化が古いラジオ文化を衰退させた』ことを歌っているなどの説はあったが)。だが番組中メンバーのインタビューで、この曲はJ・G・バラードの短篇SF『音響清掃』をベースに作られていると、驚くべきことを語っているではないか!知らなかった!そしてSF小説を元に楽曲を作るとは、なんてロマンチック!と即座に大いに盛り上がり、原作を読むことを決意する。調べると創元推理文庫SF「時の声」に収録されているようだ。と言うわけで本日午前、早々と神保町入りし、いつものようにパトロールしながら「時の声」を探すことにする。読みたい古本を探しに神保町に来る純粋行動は、何だかとても久しぶりである。まずは「田村書店」(2010/12/21参照)店頭100均箱に引っ掛かり(ちょっと箱の置き場所が変わり、以前は通りに面した左側店頭に出されていたが、今は入口アプローチの左側に集められている)、河出文庫「群集の中のロビンソン/江戸川乱歩」ウェッジ文庫「東海道品川宿/岩本素白」を計200円で購入する。続いて「明倫館書店」(2012/04/04参照)では鱒書房「ろんどん怪盗伝/野尻抱影」を200円で購入し、『白山通り』をずっと北にたどって「丸沼書店」(2009/12/17参照)で静山社文庫「名探偵クマグスの冒険/東郷隆」を100円で購入する。通りをバカみたいに引き返して『靖国通り』に舞い戻り、「@ワンダー」(2009/01/21&2014/05/22参照)で、横丁を吹き抜ける冷た過ぎる風が長時間の鑑賞を許さぬ外壁棚からアルス日本児童文庫「飛行機/富塚清編」を抜き出して店内へ。中央通路の創元推理文庫SFゾーンに目を凝らすが「時の声」は見当たらず、「飛行機」を216円で購入する。ならばとこれもバカみたいに『靖国通り』を引き返して裏通りに入り、「羊頭書房」(2014/05/02参照)へのコンクリステップを上がる。すると創元推理文庫SFコーナーに、無事「時の声/J・G・バラード 吉田誠一訳」(4版)を見つけたので600円で購入する。「羊頭書房」、そして神保町よ、ありがとう。
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『音響清掃』は、超音波音楽の発明により落ち目となって潰れたラジオ局に住むプリマドンナと、物に残留してしまう音の滓を特殊な掃除機で掃除する口のきけぬ若者の物語。読み進めて行くと、物語の設定やシーンが、『ラジオ・スターの悲劇』の歌詞(私が読んでいるのは訳詞である)に、かなりダイレクトに使われているのが分かって来る。歌に感じていた世界観がクルリとひっくり返る!こりゃあ面白い!だからと言って、歌詞の意味をすべて理解できるわけではないのだが、その由来にたどり着いただけで、あの楽曲がより印象深く素晴らしいものに変容して行く読書の瞬間を味わい、気分が高揚する。

家に帰ると、本の雑誌社新刊「絶景本棚」が届いていた。連続する本棚写真を見ていると目眩を起こすほど楽しい。多くの方が意外にも棚の一部をミステリに割いているんだな…。私の巻末エッセイ『家に本棚がない曖昧な理由』とともにお楽しみいただければ幸いです!
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2018年02月16日

2/16今日もただ古本を買う。

ちょっと今週に入ってから、精神的にも時間的にも余裕のない日が続いてしまっている。ただ、そんな状況でも変わらぬのは、古本を買いたいという気持ちに忠実に従い、しっかり古本を買って帰ること…。今日は荻窪の静かな住宅街・清水に夕方前に流れ着いたので、まずは『四面道交差点』近くの「象のあし」(2014/11/26参照)をかなり久々に訪れてみる。リサイクル系+軽マニアックの珍妙なコンボは相変わらず。右端通路中央のラック古書棚にしゃがみ込んで挑みかかり、二見書房「秘境ヒマラヤ/大森栄」を525円で購入する。組写真で克明に紹介する“鳥葬”の章はかなり衝撃的だなぁ…。そのまま駅方面に向かい、かなり賑わっている地元デパート『タウンセブン』で買物をした後、地下一階から駅コンコースを通り抜け、南口に顔を出し、いそいそと「ささま書店」(2008/08/23参照)へ。珍しく店頭単行本棚で何も掴めなかったが、店頭新書棚上段に集まる大判ムック&冊子列から、キネマ旬報社「キネマ旬報別冊 日本映画シナリオ古典全集 第一・二・三巻」(このシリーズ、別冊が特に欲しかったりする。なんたって谷崎潤一郎脚本のドタバタ喜劇『アマチュア倶楽部』が掲載されているのだ)を迷いなく抜き取り、さらにその裏側の文庫本ゾーンで講談社 国枝史郎文庫「神州纐纈城 上・下/国枝史郎」を見つけたので迷わず救出し、計540円で購入する。…今日もただ普通に楽しくささやかに古本が買えて、よかったよかった。
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家に戻って色々片付けながら、昨日手に入れたばかりの松本清張「点と線」を、昭和三十年代に浸りながら豪快に摘み読み…と思っていたら、やがて摘むどころかガッツリした読書時間に遷移。読み進めながら、いつか福岡方面に行くことがあったら香椎駅には絶対立ち寄らなければと、奇妙な決意が頭をもたげて来てしまう。
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2018年02月15日

2/15三店三様の100均棚。

吉祥寺と三鷹の間に横たわる、御殿山の住宅街に流れ着いたので、自然と吉祥寺の古本屋さんを巡ることにする。まずは最近しっかり開いている「バサラブックス」(2015/03/28参照)店頭ラックの前にしゃがみ込むと、サブカル本の多い最下段の二重棚の奥に違和感…ちょっと古い単行本を引っ張り出すと、オリジナルの「点と線」であった。う〜む、十四版だが(初版は二月。三ヶ月で十四版!)ジワジワと喜びが込み上げて来る!これでようやく昭和三十年代の息吹を感じながら、この名作を読み始められるぞ!意外に混み合う店内にて、光文社「長編推理小説 点と線/松本清張」を100円で購入する。続いて「よみた屋」(2014/08/29参照)に突撃すると、100均棚にワケアリ難アリの児童文学が一列ほど出されている。おっ、箱の背が壊れているが、偕成社 世界のこどもの本6「ムーミン谷は大さわぎ/トーベ=ヤンソン作 矢崎源九郎訳」はちょっと珍しい本。表紙絵や挿絵がトーベ=ヤンソンではなく、赤星亮衛という日本人の作家が描いており、スナフキンは『かぎタバコ屋くん』、ミムラ姉さんとミーは『ミュムラとミュー子』になっていたりするのだ。ドングリ眼のムーミントロルたちも意外や意外、魅力的!さらに毎日新聞小年少女シリーズ・ジュニア「ふしぎめがねのかんちゃん/宇山次雄」(巻末広告の同シリーズの一冊「消えたカナリヤ/窪田昭三ほか」がとても気になる。『消えたカナリヤを追う、たのしく愉快な推理小説』とあるのだ)を掴み、店内でも光風出版社「コミマサにっぽん博物誌/田中小実昌」を掴んで、計700円で購入する。そして阿佐ヶ谷に帰り着き、「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)の100均棚に引っ掛かると、最新入荷の部分に句集や歌集が多い…するとたちまち、あっ!山崎方代!石川桂郎!と抜き出してしまう。不識書院「迦葉/山崎方代」牧羊社「高蘆/石川桂郎」を計206円で購入すると、天野氏が居合わせた娘さんに「ほら、小山さんにお釣りを渡すんだよ」とレシートとお釣りを手渡している。娘さんは難しい顔をして、まるでこちらを見ようとせずに、レシートとお釣りをじっと見つめている。だが突然、腕をぐいんとカウンター上に伸ばし、まずお釣りをピシリ!続いてレシートをファサリ!天野氏が思わず「愛想悪いなぁ」と笑う。だが娘さんは、渡し切ると同時に、はにかみの笑みを浮かべ、顔を手で隠し気味にして身を捩っていた。全く持って子供は、可愛くて不可解で愉快な生き物である。
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2018年02月11日

2/11毎月発行、探偵小説!

本日は午後の早いうちに梅ヶ丘に流れ着いたので、テクテクと東松原まで歩き、「古書 瀧堂」(2014/05/01参照)を覗こうとするが、うぉっ!お休みか。おとなしく京王線とすぎ丸を駆使して阿佐ヶ谷まで帰り着き、さらにおとなしく机に向かって仕事する。だが、これで終わっては読んで下さる皆様に申し訳ないので、昨日届いたヤフオク落札品についてひとくさりお話しを。

さほど争わずに落札した明治の探偵小説、大川屋書店「探偵文庫 生殺自在 一名毒殺事件/丸亭素人譯」駸々堂「探偵小説第十集 美人殺/嶋田美翠」が、送料含めて2330円で我が手に届く。やれ、嬉や嬉や。丸亭素人の本は、同じ探偵文庫の「死人の掌」に次いで二冊目。だが同じ『探偵文庫』シリーズなのに、「死人の掌」は今古堂、「生殺自在」は大川屋書店が発行元となっている。ただし編者は共に瀧川民治郎で、「死人の掌」は明治三十六年の六版、「生殺自在」は明治四十一年の十版なので、この年月の間に出版社がシリーズごと異動した可能性が考えられる。そしてもう一冊の「美人殺」は、関西の書店&出版社・駸々堂が明治三十三年に出したもの。明治三十三年…つまりは1900年か…118年前の本が目の前にあるなんて…。駸々堂の古本は今までに多数購入しているが、探偵小説を見たのは初めてである。奥付ページには二十冊を数える六銭の『探偵文庫』の広告があるのだが、表4はさらにスゴいことになっていた!読切り雑誌として月一回発売される『探偵小説』が、もはや第四十四集まで到達しているのである!うぉぉぉぉぉぉぉぉ、欲しい!読みたい!集めたい!「薄皮美人」(まったく内容が想像出来ない!)「鬼美人」(コワい!)「大蛇美人」(もっとコワい!)「七人の惨殺」「六人の死骸」「妬み男」「拳銃自殺」「幽靈船」「妖怪寺」「X光線」「地下鐵道の女賊」(日本の地下鉄は専用&一般用が大正と昭和の開通なので、翻訳物なのは明らかである)などなど、探偵小説だけでなく、怪談っぽいものやSFっぽいものまで、魅惑的なタイトルが連続している。また脇に細かく書かれた説明文が奮っている。一部を書き写すと『他に類のない探偵小説、奇想妙案、神出鬼没、午睡の伽に、旅行の伴、内外嫌はぬ重寶品、紙数は毎も百頁以上、代價は僅か銅貨八枚、之を買はぬは損、之を讀まぬは痴』とある。良し、早速「美人殺」から読み始めてみよう。
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2018年02月10日

2/10決戦は土曜日!

今日は毎年ずーっと楽しみにしている、東村山「なごやか文庫」(2012/01/10参照)の「初売り大古本市」(2012/02/15参照)初日である。午前七時に起床し、万全の体勢を整えて、西武新宿線で決戦の地へ!午前九時半にたどり着くと、すでに会場入口前には十五人ほどの古本&レコード猛者たちが、開始時間を今か今かと待ち構えている。その列の最後尾に付き、寒さに震えながら三十分を耐え忍ぶ。土曜日が初日というためか、例年より訪れる人が多いようで、列はどんどんどんどん後へと伸びて行く。やがて午前十時を迎え、会場にドドッと雪崩れ込み、入ってすぐの右手に集まる古書棚にとにかく食らいつく。すると目に飛び込んで来たのが、橘外男の「酒場ルーレット紛擾記」!途端に血液を沸騰させ、まずはその一冊を抱え込む。その後も目を血走らせながら、次々と古書を抱え込み続ける。何だか探偵小説が多くて嬉しいなぁ!と夢中になっていると、後から腰の辺りをやたらと小突かれる。誰だ!この至福の時を邪魔するのは!と眉間に皺を寄せて振り返ると、岡崎武志氏の柔和な瞳がそこにあった。まったく、イタズラ好きなんだから。その瞬間に氏と色々言葉を交わし、進めたいプロジェクトの打ち合わせも軽く行う。そして今日はこの後に大事な用が控えていたので、後ろ髪引かれながらも古書棚だけに集中して会場を離脱する。それでもとっても良い買物ができました。春秋社「酒場ルーレット紛擾記/橘外男」(カバーナシで強烈な貸本仕様)地球社慰問文庫「飯食ひ地蔵/国枝史郎」高志書房「怪奇探偵小説 魔童子/小栗虫太郎」警醒社書店「三人の告白/山中峯太郎」(会津蔵書の印あり)紫書房「現代女豪珍譚/宮本幹也」京文社「殺人論/小酒井不木」(函ナシ)六月社「妖花イレーネ/橘外男」羽田書店PTA文庫「象のワンヤン/豊島與志雄」同盟出版社「大東亞少年軍/山中峯太郎」(カバーナシ)旺文社こどもの本「よわむしなおばけ/きたもりお わだまこと・え」滿鐵社員會「ウスリー地方探検記/ウェ・カー・アルセニエフ」を計2050円で購入する。この市は2/14(水)まで。
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まず第一に嬉しかったのは「酒場ルーレット紛擾記」であるが、とにかく壮絶な本なのである。貸本として使用されていたらしいのだが、その補強の仕方がとにかく独特。銅線で縢ってあるので、何だか奇妙な芸術作品のようになっているのである…本当に嬉しいのだが、改めて見るとちょっと恐い本でもある。
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だがこの日とにかく一番嬉しかったのは「ウスリー地方探検記」である。滿州鐵道の関連会社が発行した満州本で、黒澤明が映画化した『デルス・ウザーラ』の大元の原作本なのである。しかも極美!見よ、この洗練された装幀を!今夜はこれを枕頭に置きながら、安らかな眠りに着く予定です。おやすみなさい。
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2018年02月06日

2/6外でも家でも古本と格闘する。

早起きして色々こなしていると、今日から池袋の『三省堂書店』で「古本まつり」(2016/02/09参照)が始まるのを思い出す。素早く家を飛び出して、『池袋西武 別館二階』に着いたのが午前十時十分。エスカレーターを上がった入口からチラリと見える会場には、それほど人影が見えない…わりと空いてるのかな?と中に入ると、左に広がる会場には、すでに恐ろしいほど大量の古本修羅が、静かに静かにひしめいていた…そうか、そうだよね。そうじゃなきゃおかしいもんね。修羅に混じり、神の姿もチラホラ…。すっかり出遅れているのを認識し、古本を前にして、半径十センチほどの縄張りがぶつかり火花を散らす光景に気圧されてしまい、まつりに馴染めずに無目的に通路をウロウロ…。取りあえずはワゴン脇に掲げられた店名を頼りにめぼしいお店に近寄るが、どこも人気があり過ぎて押すな押すなのおしくらまんじゅう状態である。隙間や足下の箱を眺めたりするが、たちまち縄張りアタックを食らい弾かれてしまう…もうしばらくしたら見に来ることにしよう。というわけで、古書の影を求めてあっちこっちと流浪していると、たちまち体力が奪われてしまった。だが、手の中にはどうにかこうにか二冊の本が!春陽堂文庫「男兒出生/尾崎一雄」新潮社 現代脚本叢書第四編「髑髏舞/吉井勇」(大正十一年五版。表題の「髑髏舞」は、田端の癲狂院を舞台に、入院している落語家が弟分の講釈師に、魂の仕組みと魂製造機発明とを説明し、機械製造後の死者が蘇る世界を幻視するお話)を計1080円で購入し、一時間弱滞在した会場を後にする。このまつりは2/12まで続く。
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家に帰ってからは、仕事の待ち時間の間に、蔵書減らしの一環として古本の山を掘削する。仕事部屋の三ヶ所を、本を地道に移動させて掘り起こした後に戻すことを繰り返し、およそ三十冊の重〜い重〜い写真集・アートブック・図録を手に入れる。アリ・マルコポロスなんて持ってたのか…。よし、これでまた各山が少し体積を減らし、通路が通り易くなったぞ。本は明日早速、「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に売りに行くことにしよう。
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2018年02月02日

2/2雪の神保町

仕事の返事待ちを利用して、雪の神保町を見に行くことにする。午前十時過ぎに家を出ると、まだ雪は降り続けており、電車のダイヤが乱れるとともに、車内は大変に混み合ってしまっている。確保した自分のスペースで春陽文庫「船富家の惨劇」を読み進めていると、理解不能な一文に出会ってしまう。『電柱をさくさくと踏み砕きながら庭におりて…』(225ページ一行目)…で、電柱?なんだろう、縁側として電柱を横向きに置いているのだろうか…それにしても『さくさく』?……あぁ、なんだ。これは、『霜柱』の誤植なんだ。などとやっていると、遅れながらも御茶ノ水駅に到着。だが神保町に雪の気配はそれほどなく、ほとんど雨の時と変わらぬ様相である。ただし、人影は物凄く少ない。
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わかってはいたが、店頭台も雨仕様で店内収納気味になっているので、いつものように100均ハントも出来ずに、ただただ濡れた舗道を歩いて行く。『白山通り』に入って、ようやく「アムール」(2011/08/12参照)で教養文庫「愛と苦悩の人生〈太宰治の言葉〉/檀一雄・野原一夫編」集英社文庫「谷崎潤一郎犯罪小説集」を計100円で購入する。おや、珍しく「神田書房」が開いていない、とさらに北に進んで「日本書房」(2011/08/24参照)前。木製ワゴンは一台だけ外に出ており、後の二台は店内左右の通路に収納されてしまっている。すると右側通路の台に、新潮社の新興藝術派叢書の一冊「神聖な裸婦/楢崎勤」が挿さっているではないか!水ヌレのためにたわんではいるが(全体はわりとキレイ)、値段は500円!うむむむむ、痛快だ!と購入し、雪の日にわざわざ出て来た自分を、盛大に褒めそやす。
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水道橋駅からは、早速「神聖な裸婦」を摘み読みしながら西荻窪まで移動。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)の「フォニャルフ」棚に、寒さよ吹き飛べとばかりに細々と補充する。斜め上を見上げれば、本棚探偵の「ひとたな書房」が、いつの間にか探偵小説仙花紙本をズラリと並べているではないか!即座に薄く妖しい並びの虜になり、千代田書林「怪奇小説 獣愛/橘外男」を3800円で購入してしまう。本棚探偵に、感謝感謝。
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2018年01月31日

1/31知らなかった……

突然仕事が詰まり過ぎて、身動きの取れぬ時間が続く。本日隙を見出し、阿佐ヶ谷「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)で青土社「悪霊論/小松和彦」を103円で購入してから、古本を抱えて西荻窪に飛び、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)で久しぶりに「フォニャルフ」に補充する。店主・小野氏とは新保博久教授邸お片づけの感想戦を行いつつ、仕事や次回の『盛林堂イレギュラーズ』の活動についても打ち合わせる。思えばこのお店も以前とはだいぶ様相が変わっているので、そろそろ再々ツアーするのも良いかもしれない。お店を出た後は、一昨日出来なかった取材をするために某店へ。今日はしっかりと開いていたので、無事に秘密取材を終える。ボロいが驚くべき雑誌が買えた。詳細はまだかなり先ですが、三月発売の「本の雑誌」連載にて。げ、原稿は、こ、これから一生懸命書きます!

仕事の合間に三冊の本を息抜きに読み進めている。息抜きなので、みなライトに楽しめるものばかりである。移動中に読んでいるのは春陽文庫「船富家の惨劇/蒼井雄」。重厚で、多少過剰な装飾がされた文体で、地味に詳細に事件の捜査を直線的に追い続けるのだが、飽きそうで飽きない、不思議な魅力を持った推理小説である。作業中の合間に摘み読みしているのは原書房「石上三登志スラップブック 日本映画ミステリ劇場」。面白くてためになります。そして寝る前に読んでいるのはポプラ社名探偵シリーズ3「魔術師/江戸川乱歩」。これは昨日読了し、続いて同シリーズの「呪いの指紋」に突入している。ともに氷川瓏による少年少女向けリライト作品であるが、計り知れない乱歩的魅力と読みやすさに、子供の時と変わらずすぐさま物語に没入出来るのが恐ろしい。そして「日本映画ミステリ劇場」を読んでいて、氷川瓏の弟が渡辺剣次であることを初めて知る。さらに渡辺剣次のことをアンソロジーも編むミステリ評論家と勝手に思っていたが、乱歩「十字路」の原案者であり、その映画化作品『死の十字路』の脚本家であることも知る…し、知らなかった…。
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これは「魔術師」の印象的な一シーン。不気味な犯罪の予告が、何者かの手により、標的の身辺に数字として現れ、一日ごとにカウントダウンされて行く。いつの間にかヘッドライトに書かれた数字が塀に映し出される!…だが実際は、ヘッドライトの灯りは拡散するように設定されているので、こんな風に幻灯機のようにちゃんと映るはずがない。いや、だが、そんな理屈はどうでも良いのだ!これは確かに意表を突かれ、ドキッとするのだから!大乱歩バンザイ!
posted by tokusan at 20:49| Comment(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする