2017年06月28日

6/28十時間飲みながら古本を買った日

現在6/28の午後十一時十五分…大変に酔っ払っております。それは何故なら、本日午前中から、2012/4/29の「古本ゲリラ」以来憧れていた「せんべろ古本ツアー」に参加させていただいたからなのです!とみさわ昭仁氏+柳下毅一郎氏+安田理央氏が、酒場で安く飲み歩きながら、ついでに古本屋を巡り倒す、楽し過ぎるが意外に過酷でハードなツアー!おかげさまで、すっかり廃人のように酔っ払って酔っ払っててりらりてりらい…という感じで、もはやまともに文章を紡ぐことがままなりません。と言うわけで、詳しい報告は明日に回すことにして、三人と巡った証拠にこの写真を掲げておきます。
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この本は、1996年発行の柳下氏の訳書以外の初単行本、ぶんか社「世界殺人鬼百選/ガース柳下」。発売以来、私の心のバイブルの一冊であり、この本にお三方のサインをいただけるとは、果報者以外の何者でもありません。本日はこれを枕頭に置き、早々と就寝したいと思います。みなさま、おやすみなさい。

※6/29(木)の「日本経済新聞」『ひと』欄に、聞き書きモドキの私の記事が掲載予定。いつもの古本屋を巡る話ですが、ご興味ある方はどうか紙面をパラリパラリと繰ってみてください!
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2017年06月26日

6/26トークと幽靈

昨日は日中からの「盛林堂書房」(2012/01/06参照)内での完全に小判鮫的古本販売を経て、夜は『銀盛会館』にて岡崎武志氏とゲストに北原尚彦氏を迎え「中央線古本屋合算地図」のトークを行う。

古本販売は開店時間の午前十一時過ぎからほぼ同時にスタート。帳場右側の捕物帳&時代劇&ポケミス&SFに囲まれた小空間に、いつもの衣装ケースを台車上に載せ、吟味持参した古本を並べる。
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こうすると出入り+棚を見たいお客さんに、即座に対応出来るわけである。なので基本は奥に丸椅子を置き、なるべくスペースを取らぬよう、身動きして棚の本を擦らぬよう、行儀よく身を縮込ませているのだ。隣りには正式な帳場があり店主の小野氏が座っているので、今日の販売を知らぬ人にとっては、とても異様な光景であろう。私もちょっと低い視線で右側通路を通して曇り空の外界をボ〜ッと眺めていると、何か座敷童のようなお店の守り神にでもなったような、甚だしい勘違いに襲われる。
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最初の記念すべきお客さんは「風書房」さんで、裸本の海野十三「海底旅行」と大城のぼるの名作漫画「ロケットパンチスター」を購入していただく。その後は四時間で五冊ほどを売り上げ、最後は颯爽と現れた森英俊氏が、お店の春陽文庫チェックのため、目の前でたくさんの結束本と格闘し始め、途中からチェックの終わった結束本を、私の臨時販売台上に積み重ねたため、その重量に耐えられず台とケースが瓦解。丁度トークのセッティングに向かう時間にもなったので販売終了とする。お買い上げのみなさま、ありがとうございました!そして異様な店内対面古本販売を快く許可してくれた「盛林堂書房」にも大いなる感謝を!

そのまま何冊かの本を「フォニャルフ」棚に突っ込んで、「銀盛会館」に駆け付け、席やプロジェクターのセッティングを、トークを聴きにきてくれた南陀楼綾繁氏や編集さんとともに行う。参加者は無事に中央線の古本屋さんを愛して止まない二十二人が集まり、盛況となる。岡崎氏と本の成り立ちを話した後、スライドショー時に北原氏にも参加していただき、主に吉祥寺以西の古本屋さんについてお話していただく。さらに途中から筆者の一人でもある南陀楼氏にも飛び入り参加してもらい、ステージはなかなかレアな四人の並びとなる。後半は会場も参加し、「合算地図」の補填大会に突入。知らない古本屋さんが、出てくるわ出てくるわ!という状態になったので、楽しいのだが、作った方としては少し反省してしまう。いや、だが、これでいいのだ。ただ地図の瑕疵を気にするより、今日この場で、たくさんの情報が溢れたことの方が、大いに意義あることなのだ!そうポジティブシンキングして、新たな合算地図に変化して行く、地図コピーの束を握り締める。ちなみにこのトークの私の最大の収穫は、高円寺『庚申通り』の『早稲田通り』間際にあったお店が「@ワンダー」系の「まんが市」だと分かったことと、北原氏と話している過程で、吉祥寺『伊勢丹』向かいの雑居ビル二階にあった、ビデオと古本を売っていたお店を突然電光のように思い出したことである。いやぁ、人間って不思議なメカニズムを内包しているんだなぁ。ご来場のみなさま、本当にありがとうございました!

明けて本日は、午後六時前に吉祥寺の北側に流れ着いたので、そのまま駅方面に向かい、昨夜のトーク時に「完全に不定期営業になってしまった」との情報を得た「バサラブックス」(2015/03/28参照)前を通るが、案の定閉まっている。そのままバスが背後から迫る前に駅前に移動して「古本センター」(2017/03/06参照)に飛び込み、入口右側の古書棚から函ナシの「奇蹟の書-心霊不滅の実証-/岡田建文」を千円で購入する。昭和十一年刊の、心霊の不滅を証明するために国内と海外から採集した幽霊&幽霊現象話集。目次を見ているだけでゾクゾクしてしまうではないか!
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2017年06月23日

6/23パトロール中に発見とお願いをする。

午後三時過ぎに水道橋から遅めに神保町入りして、久々の本の街をパトロール。初っ端の「丸沼書店」(2009/12/17参照)では名著刊行會「天使/須永朝彦」の署名入り本を見つけたので(いっぱいあるんだろうが…)千円でまずは購入。続いて「日本書房」(2011/08/24参照)で、講談社世界名作童話「ふしぎなたから/久米元一」扶桑堂涙香譯縮刷叢書「捨小舟/ミツス・ブラツドン原著 黒岩涙香譯」(箱ナシ)を計800円で購入し、今日は何だか好調で財布の紐も緩みがちだぞ!と感じつつ、蒸し暑い通りを勇ましく前進して、いつの間にやら「アムール」(2011/08/12参照)前。すでにすっかり荒らされた態の棚を、立ち読み人の背越しに懸命にチェックして行く。すると、入口左側棚の下から三段目真ん中辺に、違和を感じる古く緑っぽい文庫が目に留まる。手を伸ばして掴み取ってみると、あぁ!これは2017/05/31に「ブックサーカス トツカーナ店」(2012/12/02参照)で見つけた、謎の文庫サイズ本と同シリーズじゃないか!しかもあの時買った「百万兩の秘密」の作者と同じ人だ…これはもしかしたら、この人の文庫全集として出されていたのだろうか…いや、そんなばかな…。何だか謎は深まるばかりだが、思わぬお店での謎文庫発見に、大きな大きな満足を得る。大日本雄辯會講談社「復活/白雲齊樂山編著」國家地方警察本部「教材 救急法」(昭和二十四年の長野県の巡査が元の持ち主。猛勉強の書き込みアリ)を計100円で購入する。
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「アムール」前で記念撮影。貸本のため悪夢のよう掠れてにじんだ「百万兩の秘密」と違い、恩地孝四郎の装幀と色合いがハッキリと美しく残っている。「復活」は文豪トルストイの「復活」を、舞台をロシアのまま登場人物をすべて日本人に置き換えた講談物語。なので長編の原作小説とは裏腹に、話が超絶スピードで展開して行きます…。予想するにこの文庫サイズシリーズは、明治〜大正期に出していた講談本を、書籍不足の戦後すぐに、文庫化して発売していたものではないだろうか。

『白山通り』を歩いただけで、とても良い買物が出来てしまったので、そのまま対岸に渡り「マニタ書房」(2012/10/27参照)への鉄板階段を上がる。忙しそうな店主・とみさわ氏と挨拶を交わし、店内をじっくり一巡。東京創元社イエローブックス「死のリフレイン/ジャン・マイケルズ」啓正社文庫「明治の炎 『警察手眼』の世界/武藤誠」を計900円で購入した後、とみさわ氏にあるお願いごとをする。すると即座に快諾してくれたので、ホッと胸を撫で下ろす。今はまだ詳しいことは話せぬが、来週がとても楽しみである。
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2017年06月22日

6/22風は頁をめくるが読むことはできない

本日は上井草近辺に流れ着くが、疲弊が酷いので駅前のガンダム像に軽く会釈だけして、倒れ込むように阿佐ヶ谷駅に次ぎ、自宅最寄り駅でもある鷺ノ宮駅へ向かう。…だが、どこかで古本エネルギーを補充して行かなければ、禁断症状を引き起こしてしまう…そうなったら向かうべきお店はひとつ。妙正寺川沿いの「うつぎ書房」(2008/08/06参照)である。すっかりコンクリで護岸されているので、風情はゼロに等しいが、それでも川面を吹き抜ける風は、涼しく爽やかである。
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お店のシンボルでもある迷言『風は頁をめくるが読むことはできない』が刻まれたプラ製日除けを潜って、薄暗い店内に身を落ち着かせる。文庫とコミックとエロ関連以外は、すっかり時の停まった店内である。奥の生活空間では、壁にもたれてオヤジさんがすっかり寛いでいる。主に時の停まった部分を注視して左側通路にも久々に入り込み、西荻書店学習科学文庫(8)「地下の資源/竹田修」を200円で購入する。謎の西荻書店の本が、また我が手に落ちた!徐々に集まり始めた(とは言っても三冊目だが)のは、コンプリートを示唆する宿命なのか!?その真意は古本の神のみぞ知る!買った本の貼付けられた奥付紙は、裏を見ると検印紙の再利用なのである…昭和二十八年に、すでに色々苦しかったのだろうか、西荻書店…。
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ちなみに日曜のトークですが、第二部の古本屋の思い出を参加者で語るコーナーは、有志の発言になりますので、語るつもりがなくとも、思い出がなくとも、参加することに何の問題もありません。とにかくともに、新たな中央線古本屋史作成の目撃者になっていただければ!引き続きみなさまのご参加を、心よりお待ちしております!

「中央線古本屋合算地図」刊行記念イベント
『オカタケ・古ツア中央線の古本屋を語る』
■開催日:2017年6月25日(日)
■出演:岡崎武志、小山力也(古本屋ツアー・イン・ジャパン)、北原尚彦(ホームズ研究家&作家)
■開場:17時
■開演:17時30分(19時30分終了予定)
■定員:25名
■参加費:1,000円
■場所:西荻窪・銀盛会館 JR西荻窪駅南口徒歩5分 杉並区西荻南2-18-4
※参加費は当日会場受付にてお支払いいただきます。
■予約受付→http://seirindousyobou.cart.fc2.com/ca13/318/p-r-s/
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2017年06月21日

6/21雨中の補充と六周年

酷い雨風の中、わざわというわけでもないのだが、古本を抱えて西荻窪に向かう。水滴が乱れ舞う車窓には、店頭均一棚を完全に店内に引き込んだ「ささま書店」(2008/08/23参照)の姿が一瞬流れる。そして「盛林堂書房」(2012/01/06参照)の雨除けカーテンも、バタバタバタンと大暴れ中。その隙間に身体を滑り込ませて「フォニャルフ」に補充する。そして今週日曜に「中央線古本屋合算地図」のトークイベントが迫っているわけだが、当日はトーク前の時間を「盛林堂書房」にて『古本屋ツアー・イン・ジャパン』として、店内特別古本販売をすることが決定!店内の一部を借り受け、お店とお客さんの邪魔にならぬよう、持参した古本をレジとは別精算で直接販売!お店の開店から午後四時くらいまで、少数精鋭古本を携え、小商いさせていただきますので、みなさまぜひとも冷やかしに西荻窪までおいで下さい。ついでに販売時間中は「フォニャルフ」棚の古本を一割引といたします(こちらはレジ精算)。さらには夜のトークも(6/24に宝島SUGOI文庫「シャーロック・ホームズ 秘宝の研究」を発売される北原尚彦氏も、溢れる中央線古本屋の思い出を迸らせて登壇予定!)引き続きまだまだ参加者募集中ですので、まとめてよろしくお願いいたします。

「中央線古本屋合算地図」刊行記念イベント
『オカタケ・古ツア中央線の古本屋を語る』
■開催日:2017年6月25日(日)
■出演:岡崎武志、小山力也(古本屋ツアー・イン・ジャパン)
■開場:17時
■開演:17時30分(19時30分終了予定)
■定員:25名
■参加費:1,000円
■場所:西荻窪・銀盛会館 JR西荻窪駅南口徒歩5分 杉並区西荻南2-18-4
※参加費は当日会場受付にてお支払いいただきます。
■予約受付→http://seirindousyobou.cart.fc2.com/ca13/318/p-r-s/

雨風に激しく嬲られているカーテンの隙間から雨中にエイヤと飛び出し、阿佐ヶ谷に舞い戻る。そしてびしょ濡れになりながら「古書 コンコ堂」(2011/06/20参照)へ。記念すべき開店六周年である昨日は、残念ながら定休日。なので一日遅れで記念グッズに期待しながらの、雨中来店となったわけである。ウィンドウに貼り出されていた六周年記念グッズは、帳場のあるお店右半分をイラストにした手拭である。
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力の抜けたような青い線で描かれたパノラマ的に広がる店内には、良く見ると店主の家族が紛れ込んでいるようだ。それにしても、節目節目にこのようなグッズを律儀に作成するのは、感心すべき事柄である。古本を二千円以上買うと入手出来るので、買う気満々で店内へ進み、ウキウキしながら古本を吟味する。…一冊で二千円とするか、数冊で二千円とするか…購入候補本を店内のあちこちに見出しながら、右側通路棚手前の旅&地理系の棚に差し掛かる。そこで一冊の大判グラフ誌を発見。引き出してみると、背はちょっと傷んでいるが、昭和十三年刊の満州の写真集で、値段がちょうど2060円なのである。これ安過ぎだろ!と軽く興奮しつつページを繰ると、『芦屋カメラクラブ』のハナヤ勘兵衛が写した一枚があるのを発見。これを買って手拭をいただくことを心に決める。朝日新聞社「カメラ風景 新満洲 關西學生冩眞聯盟渡満作品集」双葉社「帰ってきた怪獣魂」を計2163円で購入する。開店六周年おめでとうございます。
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2017年06月19日

6/19仕事部屋の軍艦に挑む!

午前中に新宿まで買物に出る。目的の物を手に入れてすぐに中央線で踵を返すが、一駅越して荻窪で下車し、明るい初夏の空の下の「ささま書店」(2008/08/23参照)店頭に紛れ込む。日本情報センター「安くてうまい店 飲みある記/泉欣七郎・五十嵐一平」JICC出版局「映画宝島 発進準備イチかバチか!号」(もう何度読んだか分からないが、何度読んでも面白い!執筆陣の多量さと多彩さと、彼らが吐き出す玉石混淆の、ある意味見捨てられて来た映画情報の魅力が満載!)を計210円で購入して、途中で焼き団子&海苔団子を買いつつ歩いて家に帰り着く。

仕事に一段落を着けた後、意を決して仕事部屋の真ん中に偉そうに大きく鎮座する、古本と元新刊で出来た“軍艦”の切り崩しに取りかかる。およそ二十五本(一本が百冊弱〜五十冊くらいで出来ている。だから軍艦全体でおよそ千五百冊強…)ほどの本のタワーが、自立しつつも結局は微妙にお互いを支え合い、軍艦のような巨体を安定して保っているのだ。二月に開催した「人間としての住居を取り戻すための「古本屋ツアー・イン・ジャパンの大放出古本市」2DAYS!」の準備のために、手前の文庫部分はだいぶ切り崩すことに成功したのだが(2017/02/27参照)、右の奥側は重なり過ぎて深過ぎるのに絶望し、ついには手を出せなかったのである。今日はある一冊の本を求めて気合いを入れて掘り進むのだが、果たして見つかるかどうか…。まずは外側を囲う文庫タワーを低くして行く…とは言っても部屋の空きスペースは少ないので(もちろん古本に占領されているからだ)、小分けにして通路的に細く空いている床や、机と椅子とスキャナーの上、はたまた別の山の本の上にうまく移動させて積上げて行く。掘り進んでも他の部分が崩れぬよう、なるべく平面に軍艦を低下させて行くことを心がけて作業。膝上くらいで安定したところで、今度は奥に向かって手を伸ばし、手前から順に本を掴み取り、縦に三列分の文庫ゾーンもようやくクリア。右手をスチールキャビネットの角に掛けて身をグッと不安定に乗り出し、さらに奥の単行本&大型本ゾーンを掘削し始める。
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(発掘中の写真。周囲のタワーを崩さぬよう、奥を掘り進めている最中である)
体制がツラく、左手だけで重い本を掴み取るのは難儀だが、二冊三冊単位で慎重に作業を続ける。いつの間にか周囲には圧迫感のある本の壁が立ち上がってしまっている…お、恐ろしい。本がこんなにたくさん…。ほどなくして底の方で目的の本を無事に発見するが、その時にはもうこの作業…と言うか懐かしい本や覚えのない本が見つかるのが面白くて、さらに奥まで掘り進むことを決意する。ハァハァドサドサと、大量の本を狭い部屋の中で移動させる苦行…だが楽しい。そして幸せである。結果様々な本が見つかるが、亀鳴屋の「稚児殺し/倉田啓明」ホンマタカシの今見てもあり得ない物質感過剰な写真集「TOKYO SUBURBIA」柴田敏雄の写真集「日本典型」大伴昌司のマガジンカラーグラビアを集めた「復刻少年マガジンカラー大図解」が特に嬉しい再発見の発掘本であった。ちなみにこれらはみな発刊当時に新刊で購入したものである。よって家の中で熟成され、古本化が進んだと言えようか。そんなもはやズレてしまった労働の成果を眺めてニヤニヤウフウフするが、心の底まではまだ楽しめない状況…何故なら視界には、チラチラと大量の本が見えている。部屋のあちこちに移動させた本たちは、当然軍艦に戻さなければならないのだ…さぁ、あきらめてもうひとがんばりしてみるか…。そして疲れ果てた一時間後。ちょとだけ低くなって形を変えた“軍艦”は、また偉そうに部屋の真ん中で、ドッシリ停泊中なのである。
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2017年06月18日

6/18本日「みちくさ市」開催!

曇り空ですが、どうやら昼の間は天気が保ちそうです。というわけで雑司が谷での「みちくさ市」開催です。たくさん古本持って行きますので、どうぞお誘い合わせの上、古本を買いにお越しください!急遽今朝方、フリーペーパー『古本屋への道すがら』を作製しましたので、ドバドバ配布いたします。それでは後ほどお会いいたしましょう。あ、「盛林堂」さんでの店内販売、今日は残念でしたがいつかやりたいと考えております…。

というわけで重過ぎる古本をエッチラオッチラ担いで引き摺り、午前十時半過ぎの雑司が谷へ。市の一番端っこで開店準備を進めていると、最初に現れたのは古本中学生ケンタロウ君であった。挨拶を交わすや否や、彼が敬愛する森英俊氏と同じように、貪欲に古本のチェックを進めて行く。そしてようやく開店準備が終り、椅子に腰を下ろした瞬間「座ったら開店ということですかね?」と確認した後、気になった古本を掻き集めて買い上げたのであった。…末恐ろしい…もはや古本的大人物であるが、大人になったらもっとスゴいことになる、大器である…。
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空模様は最初から怪しく、明るくなったり暗くなったり暑くなったり涼しくなったりを繰り返す、不安定な展開を見せている。だが、そこから順調に古本は売れて行った。お客さんも午後の雨を警戒してか、早い時間から出張り、古本を買っているようである。急遽作製したフリペ目当てのお客さんもいて、大変喜ばしい次第。古本が売れるとともに、様々な情報も入手する。未知の古本屋の情報は言わずもがなだが、以前「ささま書店」(2008/08/23参照)で入手した河出書房市民文庫「心理試験/江戸川乱歩」(学生サーヴィス版カバー装。2016/11/21参照))は、河出書房が潰れた後に流出したゾッキ本として、神社などの即売会で販売されていたものであることを、常連さんに教えられる。う〜む、勉強になるなぁ。ライター&アダルトメディア研究家の安田理央氏とも「古本ゲリラ」(2012/04/29&11/10&11参照)以来の出会いを果たし、色々お話しさせていただく。そんな風に楽しくわりと忙しく過ごし、「中央線古本屋合算地図」も三冊が売れる。だが午後二時前になると、いよいよ空模様は我慢の限界で、ポツリポツリ雨が落ち始めてしまう。慌てて主催者が万が一の時に用意していた、斜向いの屋根付きスペースにドタバタ引越しをする。
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移って十分ほど経つと、次第に雨も強くなり客足もパタッと途絶えてしまったので、午後三時には諦めて撤収作業に入る。だがその一瞬に、パパッとすっかり寂しくなってしまった会場を回り、「暢気文庫」で外国マッチを元にした手作りキーホルダーを400円で、さらに「幻想博物館」で講談社「小鷹信光・ミステリー読本」を千円で購入し、「モロ古書店」では亞細亞社「明治還魂紙/笹川臨風」を800円で購入。そんな風に今回の参戦を締めくくり、結果としては、スタートダッシュが快調で計56冊を売り上げることに成功する。お買い上げのみなさま、足を留めてくれたみなさま、そしてわめぞスタッフのみなさま、梅雨の楽しい一日をありがとうございました。いそいそと古本をまとめると、これがやはり重たい!売れ残った重さと、それを引き摺る哀しみを携えながら、電車を乗り継いでエッチラオッチラ帰宅する。
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2017年06月16日

6/16「猫のフルホン市」と本の準備

午前中にひとつ取材を受け、そのまま外出。日曜の釣り銭の準備などを終わらせ、焦りながら雑司が谷方面へ向かう。一箱系の猛者である駄々猫舎さんが主催する“猫”の文字が屋号に入っているお店を集めた、「第肆回 猫のフルホン市」を見にいかなければならないのだ。一ヶ月ほど前、確か不忍一箱の時だと思うが、路上で駄々猫さんとバッタリ出会い、「「猫のフルホン市」(2014/04/11参照)またやるから、絶対来てね。早めに来てね」と恫か…いや、お願いされていたのである。だが市が始まったのは10日…もう六日も過ぎてしまっている!と焦りながら、ギラリと光る駄々猫さんの目と爪を脳裏に閃かせて雑司が谷着。日曜もまたここに来るはずなのだが…などと考えながらごちゃっとした人間サイズの街に分け入り、会場である「旅猫雑貨店」(2008/07/19参照)に到着する。奥の帳場に立つメガネが換わったと思しき旅猫さんに挨拶をして、入口右横から右壁に並ぶ、ドラ猫たちの古本響宴を眺める。様々な柄の猫たちが、それぞれの古本の並びで、猫なで声を上げたり、爪で引っ掻いたり、ゴロゴロすり寄って来たり、恋鳴きしたり、シャーッと威嚇したり、居眠りしたり、ゴハンを食べたり、グルーミングしたり、猫パンチしたり、毛玉が舞うほど猫キックしたりと、まぁ十一店がとにかく千差万別なのである。全体を俯瞰すると、真面目な本から不真面目な本まで振れ幅が大きいので、猫の目のような変化があるとも言えよう。私は「猫企画」の棚から、ベースボール・マガジン社「フォーク・ヒーロー モハメド・アリ/バッド・シュルバーグ」(線引きあり。そして『フォーク・ヒーロー』って何だ?と戸惑っていたら、どうやら『民衆の英雄』という意味らしい)を500円で購入する。おっ、「旅猫雑貨店」のショップカードが、いつの間にか騙し絵トランク風の素敵なものになっている!と喜び手にして、『弦巻通り』を風のように吹き抜けて帰る。市は25日(日)まで開催されている。
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家に帰り着いて仕事を片付けた後、日曜の準備に取りかかる。すでに選別した本をチェック&軽くクリーニング。そしてさらにキモになるべき本を何冊か、改めて家の中から探し集める。というわけで、日曜の「みちくさ市」をみなさま何とぞよろしくお願いいたします。首を殊更長くしてお待ちしております。
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だが今現在、日曜の天気にちょっと不穏な動きが見られるのが、とても心配である。万が一、万が一雨天中止なんてことになれば、準備した古本がもったいないので、その時は西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)内で厚かましくしめやかに古本を販売予定。場所は帳場右横の時代劇&SF棚前。もちろん棚を見たいお客さんが現れれば、邪魔をせぬよう速やかに場所を空けるつもりであります。ついでなので雨の日サービスということで、店内「古本ナイアガラ」の「フォニャルフ」棚の本も、一割引で販売いたします。さぁ、みちくさ市か店内独り販売か、その行く末は神のみぞ知る!日曜当日朝八時の発表にご注目あれ!頼む、お願いだから雨よ、降らないでおくれ!

■第37回 鬼子母神通り みちくさ市
■2017年6月18日(日)11:00〜16:00
■雑司が谷・鬼子母神通り 東京都豊島区雑司が谷2丁目・鬼子母神通り周辺 東京メトロ副都心線・雑司が谷駅1番出口または3番出口すぐ
■お問合わせ michikusaichi●gmail.com(●をアットマークに変えて送信してください) みちくさ市本部 携帯電話:090−8720−4241
http://kmstreet.exblog.jp/
■雨天中止(当日8:00に天候による開催の有無を決定します)
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2017年06月14日

6/14見事な空振りだったので「獄門台の屋敷」を熟読してしまう

朝から日曜の「みちくさ市」と大阪へ送る補充古本の準備に勤しむ。午後に外出して直接西荻窪入りし、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)で「フォニャルフ」棚に補充する。本棚探偵の「ひとたな文庫」が相変わらず探偵小説的に凄まじい並びを見せているので、無意識のうちに大枚をはたいてしまいそうになるが、今回はググッと我慢して新刊の湘南探偵倶楽部叢書臨増版「怪奇小説 獄門台の屋敷/橘外男・作 伊勢田邦彦・え」を2100円で購入する。
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「おもしろブック」に連載された全十二回の残虐化け猫大活躍小説復刻本である。四回分が『懸賞付き怪奇小説』となっているが、そのうちのひとつの穴埋め問題の答えが『いぬの五郎は、芹沢博士にばけたばけねこにころされた』っていうのが酷過ぎる!などと悶えつつ、色々打ち合わせし、日曜に配布する予定の「中央線古本屋合算地図」トークイベントちらしを受け取る。まだまだ参加者募集中ですので、どうか心に秘する思い出の古本屋を携えてお集まり下さい。6/25(日)はぜひとも古本屋話に熱く火をつけまくりましょう!

「中央線古本屋合算地図」刊行記念イベント
『オカタケ・古ツア中央線の古本屋を語る』
■開催日:2017年6月25日(日)
■出演:岡崎武志、小山力也(古本屋ツアー・イン・ジャパン)
■開場:17時
■開演:17時30分(19時30分終了予定)
■定員:25名
■参加費:1,000円
■場所:西荻窪・銀盛会館 JR西荻窪駅南口徒歩5分 杉並区西荻南2-18-4
※参加費は当日会場受付にてお支払いいただきます。
■予約受付→http://seirindousyobou.cart.fc2.com/ca13/318/p-r-s/

お店から離脱し、中央線から西武多摩川線と乗り継ぎ、ついに昨日開店したという新しい古本屋さんに勇躍向かう。小さな駅前の鄙びた商店街にそのお店は…あぁ!し、閉まってる!肩を落としながら近づくとシャッターには貼紙があり、哀し過ぎる『本日休業』のお知らせが…タイミングが悪かったか…いや、これはこの先に楽しみがずれ込んだだけなんだ…全く持って、焦らすのが巧みなお店だぜ…そんな風に明るく変態的に思考を展開させ、つい先日来たばかりの東小金井駅へ。ホームに上がり、丁度滑り込んで来た高尾行きの電車を見た途端、衝動的にちょっと遠くに行きたくなってしまう。即座に西を目指す車両に乗り込み、後は一心不乱に買ったばかりの「獄門台の屋敷」を読み耽る。物語もスカッと残酷に進んで行くが、伊勢田邦彦の絵に本当にゾッとしてしまうほどの迫力があり、当時これを読んだ子供たちの暗い夜を、本気で心配してしまう。すると車窓に黒々とした山塊が近づき、三十分ほどで高尾駅着。跨線橋から改札を抜け、『高尾名店街』に入り込み、通路の奥を曲がって久々の「文雅堂書店」(2009/11/18参照)前に立つ。…うわぁ!定休日だ!古いアコーディオンシャッターの向こうに、剥き出しで本が見えているが、触れることも買うことも出来ないなんて…。
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だが哀しいはずなのに、ショッピングセンター内でシャッターが閉まっていると、即座に映画『ゾンビ』を連想してしまう、愚かな自分がそこにいた。脳がそんな風に仕上がっているので、もはや仕方のないことなのである。まぁ残念なお休みの光景で、そんなことを少しでも思えたのなら、来た甲斐があるというものじゃないか…。またもや思考をアクロバチックに幸福寄りにして、すぐさま中央線の人となり、気になっていた「獄門台の屋敷」の続きを、中央特快のスピードに同調して高速で読み進める。空振りしたおかげで、クレージーな怪奇小説の世界にどっぷり浸りながら、夕方の阿佐ヶ谷着。私はただただ、この小説を読むためだけに電車に乗っていたかのようだった。楽しかったが、心に沈殿してしまった空振りの空虚さを埋めるために「ゆたか。書房」(2008/10/19参照)に立ち寄り、青弓社「電子的迷宮 電子テクノロジーの神話学/志賀隆生」を500円で購入する。羽良多平吉の造本設計が尖った一冊で、ウィリアム・ギブスン、P・K・ディック、「2001年宇宙の旅」、「トロン」、「ブレードランナー」などを引き出しにした、電子テクノロジー+SF論である。
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写真はビルの間から差し込む夕陽を受けるお店の看板である…美しい。
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2017年06月12日

6/12悪の華文庫に高架下で出会う

どうやら小金井方面に新しい古本屋さんの胎動があるらしいので、何はともあれ見に行くことにする。その前に駅に向かう道すがら「銀星舎」(2008/10/19参照)に立ち寄り、ダンナさん店主と「文成堂書店」(2012/09/11参照)閉店の話など。作品社 日本の名随筆64「怪談/高橋克彦編」徳間文庫「世界のインスタント食品/森枝卓士」を計200円で購入し、中央線で西に向かい、ある私鉄駅近くの商店街へ…だが探し当てたお店は、武骨なシャッターを下ろしてしまっていた…う、む…貼紙も何もないので、結局詳しいことは不明なまま…まぁ場所が分かっただけでも、良しとしておこう。フラフラと小さな商店街から離脱して、そのまま住宅街を突き抜けて東小金井方面に向かうと、意外な脇道に「BOOK・ノーム」(2009/02/13参照)が鼻面を向けているのを発見。それは違った角度から見る、街の新しい顔である!
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そうか、ここに出るのかとフラフラ吸い寄せられ、路面より高いコンクリステップに上がり、一冊50均三冊100均台とにらめっこ。角川文庫「黒いトランク/鮎川哲也」(初版)河出文庫「恐怖通信/中田耕二編」の二冊を百円で購入。帳場の優しいご婦人は「三冊百円ですよ。もう一冊いかがですか?」と二度も優しく勧めてくれるが、笑顔で固辞する。いや、もうこれらが買えれば充分なのです。その後は駅まで歩き、さらに高架脇の新しい道を東に向かって歩き続けてしまう。高架下には洒落た商店が連なっており、中には一瞬『古本屋か?』と思ってしまったフリーペーパーの専門店も出来ていたりする。道と高架は、直線とは言い難い、微妙なうねりを見せながら、遥か彼方の燐駅まで続いている。そこをテクテク辛抱強く歩き通し、武蔵境駅に到着。ではここまで来たなら当然「浩仁堂」(2011/02/15参照)だろうと足早に向かい、誠文堂新光社「発砲スチロールのアイデア工作集/堂本保」潮出版社「狐のだんぶくろ わたしの少年時代/澁澤龍彦」を計300円で購入する。
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隣駅同士とは言え、「BOOK・ノーム」と「浩仁堂」をつないでしまうとは、我ながらマニアックなツアールートを開拓してしまったものだ。とニヒルにニヤつきながら中央線でさらに東へ。なんだか気分が乗って来たので、阿佐ヶ谷を通り越して高円寺駅で下車。年季の入った高架下の「都丸書店」(2010/09/21参照)通路側外棚に張り付くと、好みの古い本をチラホラと確認。函ナシの「東京朝日新聞社小観」は昭和二年発行の新社屋竣工記念出版である。社屋内の写真がたくさん掲載されているのが嬉しい!と掴み取る。萬里閣書房 悪の華文庫「聖代暗殺事件/高田義一郎」は函が傷んではいるが、装幀がとてもいかがわしい、明治・大正・昭和・海外の暗殺事件を集めた一冊である。
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それにしても『悪の華文庫』とは、何たるネーミングセンスであろうか。爛熟し過ぎた文化の饐えた匂いが漂うかのよう。巻末の広告を見ると、『怪奇・戦慄・悽惨・嬌艶』とあり、他に「スパイ跳梁」「身の毛のよだつ話」「ジプシイの明暗」「刺青を剥ぐ」「支那艶秘録」「春の辭典」などがラインナップされている。と言うわけで昭和初期の息吹を吸収するために、この二冊を計1000円で購入する。何度も繰り返すようだが、それにしても『悪の華文庫』とはなぁ…ほんのちょっと格好良いなぁ…。
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2017年06月08日

6/8『中央線古本屋合算地図』トークイベント詳細!

本日は曇り続きで雨が降るはずだったのに、少しだけの雨と気持ち良く晴れ渡った空に弄ばれ、夕方の南荻窪に流れ着く。…ここからなら…とりあえず荻窪方面に向かうか…そうだ、『善福寺川』近くの古本も少々扱っている古道具屋「田中商店」(2013/07/26参照)でも覗いてみるか。だがお店はシャッターが下ろされており、小さなメモのような貼紙が一枚…『6/8は市場のためにお休みします』…何てこった。しかしちゃんと営業と仕入れをしているようなので、偉そうに安心してお店の前を離れる。とにかく荻窪駅に向かおうと、ごちゃついた道を切り抜けて行くと、いつの間にか『南口仲通り』に出て、「中央線古本屋合算地図」でとてもお世話になった「竹中書店」(2009/01/23参照)前。そんなにお世話になっているのに、私は店頭300均台の本にしか手を出さない不忠者なのである。同型の木製台が二つ並び、単行本を背を上にして、およそ一列二十五冊×四列×2で、二百冊の古本の小さなプールが出来ている。上部には独特なプラ板製の値段札があり、ちょっと果物屋のような素敵な色合いで値段を示している。
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そして“均”の文字の可愛く独特なこと…あぁ、私は二日続けて、古本屋に関わる変わった書体について語ってしまっているのだな。だがこういう時代を感じさせる、独特な細部を愛でることは、私にとっては古本屋を楽しむ、大事なエッセンスのひとつなのである。リブロポート「TRAVERSES 4 恐怖/今村仁司監修」を300円で購入する。

そんな「竹中書店」さんも対談ページで登場する「中央線古本屋合算地図」のトークイベントのもろもろがバタバタと決定!みなさま、中央線沿線の古本屋を愛するみなさま、たくさんの古本屋を知っているみなさま、幻の古本屋を胸に秘めているみなさま、中央線の古本屋について知りたいみなさま、どうか奮ってご参加下さい!今のところの予定では二部構成を想定しており、一部は編著者二人で語り合い、二部は会場にご参加のみなさんも交え、思い出の古本屋や本に掲載されていない古本屋などについて語り合いたいと考えています。うまく情報が集まれば、合算地図がより強固なものへと進化するはず!楽しみだ〜!

「中央線古本屋合算地図」刊行記念イベント
『オカタケ・古ツア中央線の古本屋を語る』
■開催日:2017年6月25日(日)
■出演:岡崎武志、小山力也(古本屋ツアー・イン・ジャパン)
■開場:17時
■開演:17時30分(19時30分終了予定)
■定員:25名
■参加費:1,000円
■場所:西荻窪・銀盛会館 JR西荻窪駅南口徒歩5分 杉並区西荻南2-18-4
※参加費は当日会場受付にてお支払いいただきます。
■予約受付→http://seirindousyobou.cart.fc2.com/ca13/318/p-r-s/
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2017年06月05日

6/5寂しい懐なぞ突き破れ!

愚かにも、また同じことを繰り返している。昨日買い逃した本を、慌てて翌日に買い急ぎに向かっているのだ。あれだけ先日、『欲しい本を見つけたら、その場で買え!』と心に固く刻み込んだはずなのに。しかもまた同じ「大河堂書店」(2009/03/26参照&2017/05/15参照))でである…。実は昨日は経堂に流れ着ついたので、早めの定点観測風に「遠藤書店」(2008/10/17参照)と「大河堂書店」を訪い、古本を購入。そして「大河堂」で精算をしている時に、帳場下の棚に、初めて見る探していた本が並んでいるのを、発見したのである。弘文堂フロンティア・ブックス「団地七つの大罪/竹中労」である。精算の短い合間にフヌッ!と抜き出し、カバーに一瞬だけ見蕩れる。そして急いで値段を見ると2500円であった…精算と包装が終わりそうなので、瞬きするような短い時間の間に、思考をビュビュンと巡らす。今、寂しい懐には四千円しかなく、買った本の出費にさらにこれを合わせると、小銭だけになってしまう。…ちょっと使い過ぎじゃないか…。この「団地七つの大罪」は、レア本と言っても、どうせ五〜六千円だろう。安いは安いが、今無理に買わなくとも良いのではないか。一旦お店を出て銀行でお金を下ろし、再び買いに来れば…いや、それは何だか決まりが悪いな…。などと思考し、結局棚に戻して、買わずにそのままお店を出てしまったのである。だがやはり、商店街の帰り道で、そして電車のシートに座って考えるのは「団地七つの大罪」のことばかり…挙げ句家に戻って本の相場を調べてみると、勘違いも甚だしく、同じ竹中労の他のフロンティア・ブックスより、遥かにレアだったのである。さぁ、そんなことが分かってしまうと、もう欲しくて欲しくてたまらくなってしまう。ただただ読みたいという崇高な気持ちと、レア本を安く買えるという卑しい心持ちが強力に合体し、古本修羅の頭脳と体内に力と欲望を無闇に漲らせるのだ!己の不明を恥じるより、欲望の方が俄然強さを発揮してしまうのだ!というわけで本日、売れてないことを無様に祈りながら、開店時間十五分過ぎのお店に駆け付けたわけである。ご婦人が店内の清掃中であるが、もうなんにも目もくれずに帳場へ直行すると、あった!よかった!181ぺージの薄手の新書サイズ本を素早く取り出し、精算して我が物とする。『欲しい古本は見た時に買え!』『寂しい懐なぞ突き破れ!』『銀行で金を下ろすことを、店に再入店することを、臆するな!』と色々心に刻み込んだ、気持ちの良い六月の明るい正午である。
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嬉しくてお店の前で記念撮影。千葉の高根台団地に住み、自治会長まで務める三十六歳・竹中の異色ルポルタージュである。膨大な団地人たちからの聞き書きとデータと自らの体験を元に、ルポライター&自治会長としての独自の視点で構成されており、読み始めると当時の団地ブームの裏側が、猥雑に立ち上がって来る。幸福の足元に底無しの不安が埋まっている、新しい白い世界、団地!1964年の出版だが、同年に早くも東宝で喜劇として映画化されている。
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2017年06月03日

6/3残り物には福がある!

夕方にどうにか仕事が一山越えたので、先週の意趣返しに今日こそはと、西荻窪土曜のみ営業の古本屋さんを目指す。北口に出て、砂州のように突き出している東北端の駅前から横断歩道を渡り、歩道にアーケードの架かる『にしおぎ北銀座街』西側を北へ進んで行く。やがてアーケードを抜け出し、カツ丼の美味しい『坂本屋』前を過ぎると、道は緩やかな下りになり始める。対岸ではやしきたかじんのようなオヤジさんが高歌放吟し、みごとなまでの酔っぱらいぶりで街に不穏なさざ波を起こしている。次の脇道手前で通りから奥まっている古いビルに入り込み、二階へ。廊下を右に進むと、突き当たりの部屋のドアが開け放たれ、ギャラリーのような空間が見えている。
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中におずおず入り込むと、おやおや本当にギャラリーの様相で、紙箱のワークショップが開かれている…間違ったのか?と一瞬思うが、右側の窓下ボックス棚に、ちゃんと古本が並んでいるではないか。喜び近づくと、台湾語本・台湾本・旅・本・街歩き・デザイン&装幀・古本・出版などが多く並んでいる。新しい本が多いが、値段は総じてお安めである。子どもが六角形の箱を組み立てているのを尻目に本を選び、レジ前に立つが、人はたくさんいるのに誰も興味を持ってくれない…。「すみませ〜ん」と帳場奥からギャラリー全体に回転しつつ声を掛けると、帳場奥の文化系北島康介風青年が振り返り、応対してくれた。どうやらこの方が「文青堂」店主のようだ。精算しつつ「普段は『BOOK SHOP LOVER』の屋号で活動しています」と自己紹介される。そしてさらに、今日は『ニシオギチャサンポー』という街のお祭りなので、いつもの営業形態と違い本も少なめなことを知らされる…うわ、そうだったのか。こりゃまた通常営業の時に来てみなければ…つくづく私とは巡り合わせの悪いお店であることを確信し、文藝春秋「文学全集を立ちあげる/丸谷才一 鹿島茂 三浦雅士」を購入して、今日のところは引き上げることにする。

そのまま駅南側に出て『銀盛会館』にたどり着き、チャサンポーに合わせて開かれているガレージセールを覗くことにする。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)が文庫を大量にかなりの安値で放出しているのだ。すでに時間は遅いのだが、何か残っているだろうか?店頭ワゴンとガレージ内の長い三列の文庫群をたっぷり凝視し、創元推理文庫「連鎖反応/フレッド・カサック」(カバー背下部イタミ)ソノラマ文庫「北北東を警戒せよ/光瀬龍」を計800円で購入して、それなりに満足する。

阿佐ヶ谷に帰り着き、『中杉通り』をトボトボ北上中に、「J-house」(2015/12/26参照)土曜市の『兵どもが夢の跡』状態の100均箱に、一応視線を走らせてみる。すると右端の箱に、なにやら薄手で大型の本を数冊発見。さほど期待せず取り出してみると、朝日新聞社「佛展 1926」(大正十五年のフランス絵画展のパンフレット。表紙の凝った丸窓もしっかり残っている)BYRON HARMON「Rocky Mountains of Canada」(ロッキー山脈の写真集。出版はイギリスで、恐らく戦前以前のもである。表紙は着色写真だが、中身はセピアの写真オンリー)「Vallee de chamonix Mont-Blanc」(こちらはフランス出版のモンブラン写真集。こちらも戦前以前なのは確実)であった。う〜む、スゴいじゃないか。残り物に、福はちゃんとあるのだなと、この古本的幸福をガジガジ噛み締め、計300円で購入する。
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2017年06月02日

6/2伊東忠太!萬寶書房!左川ちか!

「東京古書会館」(2010/03/10参照)での打ち合わせのため、午前十時半に神保町入りするが、打ち合わせを控えて焦る心が目を濁らせたのか、ボウズのまま古書会館へたどり着いてしまう。そしてあるプロジェクトについて広報の方々と一時間弱打ち合わせた後、「ビブリオ」(2010/10/03参照)小野氏のご好意により、特別に開始前の市場の様子を見せていただく。経営員さんが汗をかきながら動き回る2フロアには、入札を待つ本たちが大量に並べられている。普段はとても近付けない場所なので、緊張しながらもワクワクしつつ会場をギクシャク一巡。物凄い本たちが所々で目につくので、何度も小さく叫び声を上げてしまう…あぁ、なんと欲しい本の多過ぎる刺激的な空間であろうか。最後に『最終台』の札が下がる赤い布で飾られた机にたどり着くと、さらに物凄いモノが並ぶ光景にクラリ…いやぁ、べ、勉強になりました。すっかり上質な古本オーラにあてられてしまったので、そのまま地下階に下り「城南古書展」を徘徊し古本を物色。集英社おもしろブック昭和三十一年二月号ふろく「熱血柔道絵物語 風雲講道館 嵐の大菩薩峠編/梶原一騎・作 湯浅利八・え」(背コワレ)新風出版社「笑わない人は笑わない 金語楼落語 名作劇場上巻/柳家金語楼」を計800円で購入する。だがこれだけでは物足りないので、もう一回神保町をパトロールしてみるかと覚悟を決めて『三省堂書店』の前を通りかかると、店内の「古書市」が初日であることを知り、自然に扉に吸い込まれてエレベーターで八階へ昇る。そして吸い込まれて良かった!と思える一冊と邂逅!實業之日本社「余の漫畫帖から/伊東忠太」である。函ナシだが600円だったので、ひゃっほうと購入する。建築家&建築史家である伊東が、明治〜大正に七回海外出遊したときのエピソード集で、タイトル通り伊東本人による挿絵が多数掲載されている。伊東は自身の建築作品に、プリティーな怪物意匠を施すことで有名。
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写真は口絵(神々の争い…それも肉体的で無邪気で乱暴な…)と巻末の旅の軌跡を記した地図である。

一旦家に戻り夕方に外出して西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ。「フォニャルフ」に補充しつつ、店内にいらっしゃった古典&奇天烈SF研究師弟名コンビ・横田順彌氏と北原尚彦氏にご挨拶した後、帳場横で五十冊ほどの「中央線古本屋合算地図」に署名を入れる。他店からの追加注文ということだが、この本がしっかり売れてくれていることに、大きな大きな喜びを覚える。そしてそんな喜びを持続させるために、来る6/25(日)に西荻窪で、合算地図のトークイベントを岡崎武志氏と開催することが決定!詳細は来週には発表出来ると思うので、しばしお待ちいただきたい。どうにか署名を終えると、北原氏から一冊の小型本をプレゼントされる。改造社日本探偵小説全集3「江戸川亂歩集」であるが、何故だろう?と考えつつまずはセオリー通りに扉を開くと、すかさず北原氏が「あぁ、そこじゃないそこじゃない。これはぜひとも渡さなければと思っていたんです。最後の見返しを…」と言われて裏表紙から開くと、むっ?左上隅に群青色の古書店ラベル…あぁ!これは吉祥寺や国立にあったらしい、「萬寶書房」のラベルじゃないか!以前(2017/04/17参照)阿佐ヶ谷「穂高書房」(2009/02/15参照)で買った本に、謎の「MAMPO-SHOBO」のラベルがあり、どうやら戦前の中央線古本屋さんらしいことまでは判明していたのだが、こんな別のラベルもあったとは。しかも吉祥寺バージョンである。“宝”は旧字だったが、やはり漢字はこう書くのか。「正解だったんですよ」と北原氏が、問題をようやく解いた生徒を褒める教師のように、優しく微笑んでいる。北原さん、貴重なものをありがとうございます!と喜んでいると、表紙デザインを担当した「新編 左川ちか詩集 前奏曲」が大量に店内に運び込まれて来た。ふむ、自画自賛だが、良い仕上がりじゃないですか。今夜はゆっくり、伊東忠太の世界漫遊に親しみ、未知の古書店のラベルの凹凸に酔い、左川ちかの詩に溺れるとしよう…何だか忙しない夜となりそうだ…。
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2017年06月01日

6/1エーワンで凌ぎ、明治の連發拳銃圖で細部を補強する。

本日流れ着いたのは永福町と西永福の中間辺り…この辺りはいつの間にやら、すっかり古本屋的に寂しくなってしまった。永福町・浜田山・久我山・高井戸…何処でもいい!古本屋さんが一軒でも、誕生しないものだろうか。そんな小さな願望を心の片隅に抱えながら、それでも古本は買って行こうと『井の頭通り』に出て、もはや数少ないチェーン店のひとつとなった「エーワンブック永福町店」(2011/01/21参照)に取りあえず飛び込む。
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しばらく訪れていない間に店内の様相は変化し、ほとんどコミックとアダルトのせめぎ合いが行われている状態となっている。一般的な古本は、入って左コミックゾーンの二棚の一部に、その残滓をかろうじて認めるのみである。それでも、サトウサンペイの見たことない新書サイズ本や、水木しげる児童書などがプレミア値で並んでいるのは、せめてもの古本屋の矜持であろうか。少ない文庫と単行本の背を何度も行き来して、パロル舎「牧歌メロン2 特集・神通力」を250円で購入する。

お店を出たら浜田山までトボトボ歩き、小型のコミュニティバス『すぎ丸』に乗り込んで、小さな座席に腰を沈める。バスは健気に狭い住宅街の道を擦り抜け、善福寺川を越え、味気ない現代集合住宅群に成り果ててしまった『阿佐ヶ谷住宅』を通り抜ける、途中車内放送で、突如児童が合唱する『すぎ丸』のテーマソングらしきものが流れ始める。そしてサビである部分に合わせて、運転手がマイクを通して「♪すっぎっまっる〜」と無邪気に歌ったので、車内の乗客が一斉に顔を上げ、運転席に視線を集中させる一幕が発生。…あぁ、ちょっとビックリした…。およそ二十分で阿佐ヶ谷駅に到着する。

家に帰ってから、久々にヤフオクで落札出来た本を眺めてニヤリニヤリ。明治三十年に横浜の『金丸銃砲店』が出した「各種雛形 精密圖入 銃砲正價報告書 上」である。英国・米国・国産の護身用新型ピストル銃と猟銃のカタログ的冊子なのだが、当時のピストルと猟銃の細密画が、ふんだんに掲載されているのが興味深く面白くてたまらない。
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ピストルを普通に買える時代なのも恐ろしくて驚異だが、この一冊があれば、大好きな明治探偵小説にも頻繁に登場するピストルを、ぼんやりとしたものではなくリアルな像として脳内に結ぶことが出来るようになったのだ。なんたって三十五種類のピストルに加え、三十七種の猟銃(マタギが使う名銃として知られる『村田銃』も載ってる!)と、弾丸やホルスターや銃器の扱いなども詳しく解説されている。本来は、人を殺したり傷つけたり脅したり制圧したりするための酷い武器なのだが、それが何故こんなにも魅力的で、心を捉えて離さぬのだろうか…。この本の最後には、お店の簡略的な地図が掲載されているのだが、それが桜木町近くにあった『横濱停車場』を起点にしており、すぐの『大岡川』を『弁天橋』で渡り、『馬車道』を通り越してたどり着くようになっている。また、鶴見には射撃場もあった模様。まったく知らなかった、明治の横濱の一面を一瞬垣間見た思いである。
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2017年05月29日

5/29五月はブックハントの季節だった

六月の色々に備えて、ちょっと本を安値で手に入れておこうと、パトロールを兼ねて東村山「なごやか文庫」(2012/01/10参照)に向かう。午後三時前の文庫内は、静かな無人販売時間帯で、たったひとりの先客であるオヤジさんが文庫の背を横に連続で撫で、本を確認しまくる音だけが、間断なく響いている。さて、今日は何が見つかり、どのくらい買えるであろうか…と懸命に棚に張り付いて行くが、ちょっとなんだか芳しくない…。単行本に欲しい本ナシ、函入り文学本もナシ、一般文庫もナシ、児童文学もナシ…というように左端の通路に簡単に追い詰められてしまう。だがようやく新書サイズコーナーで、カッパブックス「秘境インド探検記 ヨガの楽園/沖正弘」日本電氣株式會社「1時間で読めるコンピュータの話」(昭和41年発行の、コンピュータの生い立ちと仕組みと活躍ぶりと未来について優しく書かれた小冊子。ライプニッツの計算機もバベッジエンジンも載っている!それに当時の最新式の大型コンピュータたちも!)などを見つけてホッとする。そして最後に外国文学の文庫ゾーンに目を走らせて行くと、角川文庫の白背が少し固まっているのに目が留まる。くぉっ!その中に帯付きの「魔法入門/W・E・バトラー」が燦然と輝いているではないか!今日俺がここに来たのは、きっとこの文庫に出会うためだったんだな!そんな風に喜びつつ思い込み、なんだかんだで計十冊を480円で購入する。
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斜向いの『諏訪神社』参道で、幸運を喜び記念撮影。

思えばこの五月は、幸運で実りの多いブックハントの季節となったようだ。まずは5/9に驚愕の学生運動ドキュメント写真集「10・21とはなにか」、続いて5/12の付録本の乱歩「幽霊塔」、5/15には金星堂の「モダンガール/清澤洌」、それにこの「魔法入門」である。合計1250円でこれらを手に入れた、2017年の夏のような五月を、当分忘れることは出来ないだろう。

そしてそのまま線路を渡って、古本棚のある駄菓子屋の「きりん館」(2013/11/17参照)を見に行く。いや、棚がまったく動いていないのは重々承知であるが、あの駄菓子&駄玩具の向こうに古本の並ぶ光景を、気まぐれに鑑賞したくなったのである。開け放しのサッシ扉から中に入ると、古本棚は七十〜九十年代の一般的コミックを、相変わらず時を停めて収めていた。でも、前来た時より少しブランクが生まれている気がする。もしかしたら少しは売れているのかもしれないな。しばらくその気持ちの良い光景を眺めてみるが、その光景は光景として、欲しい本は見つかるわけもなく、70円のメロンシャーベットとバニラアイスが合体した『エルコーン』を買い求め、美味しくいただきながら駅へと戻る。
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2017年05月27日

5/27巡り合わせの悪い古本屋

午前中の早いうちから仕事に従事し、一日仕事になりそうな大勢だったのだが、予想以上のスピードで捗ってしまい、午後四時前には見事に完遂する。これなら、土曜しか開いていない古本屋に行ける!なかなかタイミングが合わず、情報だけは手に入れてやきもきしていた、あの週一営業のお店を目指して、レッツゴー!とあっという間に西荻窪。件のお店を探し当て、鉄扉のドアノブを握ってみると、鍵がガッチリ掛けられている…お、お休みなのか…なんという切ない巡り合わせの悪さ。いつかの土曜日に、ここに入れる時が、果たして訪れるのだろうか…。華やいでいた古本心がたちまち虚脱し、目標を見失った身体は、西荻窪の街を疾走する。こうなったら、古本を買ってこの傷を癒さねば!と「音羽館」(2009/06/04参照)に駆け付けると、左側店舗左奥の古書棚に、昭和五十一年にに小田原で牧野信一の文学碑(2009/05/06参照)が建立された際に出版された文集を発見する。牧野逝去当時の昭和初期の追悼文と、文学碑建立を祝して寄せられた文章で構成されている。浅原六朗・岡田三郎・尾崎一雄・川崎長太郎・下村千秋・坂口安吾・中原中也など、好みのメンツが盛りだくさんなので、たちまち購入を決意する。帳場でバイト先輩と広瀬氏にご挨拶。牧野信一の文学碑を建てる会「サクラの花びら」を二千円で購入する。すると広瀬氏に「「中央線古本屋合算地図」、良く動いてますよ。と言うわけでサインを入れて下さい」と依頼されたので、右側部屋の最近刊台の一部を借り、脚立を椅子にして十冊にサインを入れる。
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みなさま、このオレンジ色の古本屋塗れの本を、引き続き何とぞよろしくお願いいたします!氏には別れ際に「また買取や店のバイト、お願いしますよ」と言われたので速攻で快諾し、続いて南口側に出て「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ。修繕の終わった「ワイルド童話集」を受け取り、函ナシの第一書房「近代劇全集25 愛蘭土/松村みね子譯 」を100円で購入しつつ、色々と打ち合わせる。そして本日も涎の垂れまくる昭和初期モダン小説群や探偵小説を特別に見せていただき、本を見る度に黄色い歓声を上げながら、さり気なく頭にインプットして勉強する。いやぁ、五十になっても、まだまだまだまだ学ぶばきことは多いんだなぁ…。
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2017年05月24日

5/24左川ちかをデザインする幸せ

早起きして仕事を終えて、ダラッとした心持ちで午後に外出。ストスト地元の道を歩いて「古書コンコ堂」(2011/06/20参照…あっ!あと一ヶ月弱で開店六周年じゃないか。今年は記念に何を作るのだろうか?楽しみである)店頭棚に視線を据える。国立民族学博物館「月刊みんぱく 2016 9月号 特集・見世物大博覧会」太田出版「BLOW UP」(1998年にサニーデイ・サービスと若松孝二がコラボした異色イベントの小冊子)を計206円で購入する。見慣れない小冊子類を店頭にサラッと出してくれるのに、毎度ながら感謝して、そのまま歩いて荻窪へ。今日は珍しく「ささま書店」(2008/08/23参照)で何も買わなかった代わりに、駅前の商店街をちょっと入り込んで「竹中書店」(2009/01/23参照)の300均店頭台から、草思社「世界変人型録/ジェイ・ロバート・ナッシュ」を購入し、しっかりとお店オリジナルの鳥獣戯画書皮を奥さまに掛けていただく。この後はさらに西に向かい、武蔵小金井で野暮用をこなした後に、三年半前にネット専門店に鞍替えした「伊東書房」(2009/01/04&2013/07/29参照)の緑の店舗前を通過して、かなり久々の「中央書房」(2009/03/11参照)へ。おぉ!ちゃんと営業しており、頼もしいことこの上ない。均一ではなく半安売と言ったところの、足の長い店頭ワゴンには新書ばかりが並んでいる。店頭にも店内通路にも結束本が蔓延っているのは相変わらず。
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結束本に紛れ込んでいる牧野吉晴が気になってしょうがないじゃないか…。結局岩波新書「ペスト大流行/村上陽一郎」を100円で買い、スゴスゴと通路から引き下がる。そして東に戻り西荻窪で下車し、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)内「フォニャルフ」に、長い時間持ち歩いていた古本をテキパキ補充する。小野氏と打ち合わせたかったのだが、今日は真っ当な古本屋さんらしく、買取で不在とのことであった。

ところで、同店出版の『盛林堂ミステリアス文庫』の表紙周りデザインを手掛けているおかげで、同文庫のブレーンの一人でもある善渡爾宗衛氏主宰の『東都我刊我書房』から六月に出る「新編 左川ちか詩集 前奏曲」の表紙デザインを手掛けさせてもらった。ミステリアス文庫のデザインも、いつも憧れの作家ばかりを担当させていただき、毎月天にも昇る気持ちで仕事をこなしているのだが、この左川ちかの仕事もそれらに比肩する喜びに満ちあふれている!彼女の詩には、詩が個の極地であることを徹底的に思い知らされる。そして、小さな宇宙の心理が精密に織り込まれた、モダニズムの神の筆跡がそこに現れるのを、追跡することが出来る。それはまるで、絶対零度の孤高さを保っており、小動物たる人間の魂は、その表現にただ震え戦くのみなのである…。そんな才人の世界に、届かずとも必死に手を伸ばし、デザインさせていただきました。実は最初は、この後に出るはずの「左川ちか資料集成」(左川のすべての詩・散文・翻訳を初出紙面のとおりに収める予定)だけをデザインする予定だったのだが、急遽その前に詩集を緊急出版することになったのである。どうやらこの詩集の売り上げを、資料集成製作の予算の一部に当てるらしい、蛸が自分の足を食らう的目論み…。ガンバレ、零細出版社!資料集成も、姉妹の如く引き続きデザインしたいので、ご興味ある方は何とぞよろしくお願いいたします!本は盛林堂にて委託販売予定。
http://seirindousyobou.cart.fc2.com/ca4/317/p-r-s/
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2017年05月23日

5/23小林信彦の誤認

本日は五月にしては強い日射しに炙られた挙げ句、代田辺りに流れ着く。まだ土日の疲れが抜け切っていないが、下北沢まで伸して「ほん吉」(2008/06/01参照)で店頭に執着しようと思ったのだが、気付けば今日は定休日なのである。途端に背中に疲労が覆い被さって来たので、おとなしく満員電車に乗って阿佐ケ谷まで帰り、昔も今もほぼ寸分変わらぬ(「中央線古本屋合算地図」の『阿佐ヶ谷 千章堂書店のアルバムより』を参照)「千章堂書店」(2009/12/29参照)にフラリと入り、集英社新書「僕の叔父さん 網野善彦/中沢新一」を200円で購入して、古本屋好きのプライドをどうにか維持して帰宅する…。

だがこれだけでは余りにもそっけないので、古本屋話をひとつご披露。先日の買取バイトで手に入れたボーナス本「東京のドン・キホーテ」を、まだ「東京のロビンソン・クルーソー」も読了していないのに、パラパラとツマミ読みし始めてしまっているのだが、やはりこの時代の小林信彦は滅法面白い。サブカル&カウンターカルチャーが花開き始めた、同時代ならではの鋭い視線と感性が、様々なハードとソフトを、切っ先の鋭い活人剣で遠慮会釈なく膾斬りにして行く様が、とにかく痛快なのである。で「ドン・キホーテ」であるが、冒頭近くの『ヨコハマ・グラフィティ』は、小林信彦が昭和三十年代前半に一時期暮らしていた横浜を、進駐米軍文化を通じて語る思い出と論考である(この本を手にするまでは、私は表紙写真をアメリカの劇場の外観風景だと思っていた。ところが豈図らんや!これは横浜・本牧ベースにあった『ビル・チカリング劇場』ということを知り、唖然としてしまう。その本牧ベースは返還され、バブル期に『マイカル本牧』となった後に当てが外れて衰退し、今は『イオン本牧』と成り果ててしまって面影ゼロに…何ともったいない)。この中に、山手の奇跡の古本屋さん「一寒堂書店」(2011/10/29参照)の記述を見付け、大喜びしてしまう。このお店について書いているのを見付けたのは、植草甚一に次いで二人目である。麦田のトンネルを抜けた大和町電停近くにあった、貸本も扱う古本屋として紹介しており、米軍兵士から流れたハードカヴァ&ペーパーバック&雑誌を求めて、一日一回は立ち寄ったと書かれている。だが最後に『このお店も。今や、ない。(あるいは、ほかで営業しているのかも知れないが、元の場所にはない』と書かれてしまっている。だが今も「一寒堂書店」は、同じ場所で健在なのである。恐らくいつからか、夕方五時〜六時からの特殊な営業開始時間となったので、閉店もしくは移転してたと誤認してしまったのであろう(まぁ私も訪ねた当初は見つからず、お店は無くなったものとして判断したので、偉そうなことは言えませんが…)。自由気ままな古本屋さんの営業形態として、まま起こる出来事である。…あぁ、こんなことを書いていたら、「一寒堂書店」に、とても行きたくなって来てしまった…どうしよう…。
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写真は「東京のドン・キホーテ」の裏表紙で、『ビル・チカリンング劇場』の前に煙草をふかしながら立つ、物凄く格好良い小林信彦である。
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2017年05月22日

5/22これが一泊二日の買取バイトだ!

昨年の十一月、ひょんなことから神保町「@ワンダー」(2009/01/21&2014/05/22参照)で体験アルバイト(2016/11/14〜19参照)をさせてもらった時に、鈴木社長に「今度はぜひ買取にも連れて行って下さい」とお願いしていたのだが、これが本当に実現してしまう。古本屋さんに汲めども尽きぬ興味を持っている私としては、とても嬉しいことである。聞けば社長の地元である静岡の買取で、エレベーターのない三階書庫から大量の本を下ろすことがすでに決定しており、そのため一泊二日の行程を採る強行軍スケジュールを告げられるが、一も二もなく承諾してしまう…ちくしょう、かなり大変そうだが、楽しそうだな…。

■一日目
午前九時に神保町「@ワンダー」前に待機していると、銀色の幌を付けた1.5tの普通車トラックが、目の前にピタリと停まった。
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(写真は静岡の駐車場で撮った@ワンダー号である)
高めの運転席から飛び出して来たのは、鈴木社長と、ともに買取を手伝うバイト一号のご子息(通称・たっちゃん。大学院生で特殊ドローン研究開発中)である。挨拶を交わし、一事に力を合わせて従事する契りを即席に交わして、三人並んで車に乗り込み一路静岡へ。車中の会話は主に古本屋さんについてなのだが、社長とご子息が話し始めると、たちまち席内は家族的プライベート空間(二人はとても仲良しで、会話のテンポも入力と出力を繰り返すような独特さに満ちている)に変化するので、なんだかほのぼのとしてしまう。道はさほど混んでおらず、十二時過ぎには新清水出口から新東名を無事に下りるが、そこがランドマークも何もない蜜柑畑に囲まれた山の中なので、市街地にたどりつくのに大いに手間取ってしまう。『コメダ珈琲店』でメニューの写真より大振りなサンドイッチで昼食を摂った後、静岡鉄道の小駅に近い、三階建ての買取宅にたどり着く。

午後二時、家主と挨拶を交わし、目標の三階書庫を偵察する(社長はすでに下見済みなのだが、作戦のブリーフィングをするために必要不可欠なのである)。本の量は八畳間に壁一面の鉄製本棚、背の高い木製戸棚が一本、ポケミスぎっしり棚(二重)、ガラス戸棚、文庫&単行本軍艦島、文庫山テーブル、雑誌山多数と言ったところ。物凄い量である。棚が二重になっているところも散見されるので、見た目より遥かに多いことが予想される。他に二部屋に大きめの本棚が一本ずつ置かれている。ジャンルは、ミステリ(日本&海外)・冒険小説・野球(プロ野球&大リーグ)・歴史・戦記・平家物語・「ミステリマガジン」・「EQ」・歴史雑誌・野球雑誌などである。作戦としては、縛っているとキリがない量なので、取りあえずダンボール箱を大量に組み立てて、それに本をサイズを揃えて詰めまくり、後は階段に板を渡して滑り落として行くことに決める(階段は、三階〜二階は室内で折り返しは一回、二階〜一階は外階段で三回の折り返しがある)。
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トラックから必要なものを荷下ろしし、玄関前にスタンバイ。
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ダンボール・ベニヤ板・ロープ・ブルーシート・台車・プラ箱など。
と言うわけで三階の広い一室に籠り、まずはバカみたいに恐ろしい数の箱をガムテで留めて組み上げて行く。
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部屋はたちまち立体的にダンボールに覆われてしまうので、五十ほど作った時点で本を体裁よく詰め始め、下ろしやすいよう階段室に運んで積上げて行く。地道な箱内の隙間を埋めるマシーンと化し、作業を進めて行くが、幾ら詰めても本はその数を減らさず、徐々に身体と心が疲弊し始める。箱を運び出して部屋に戻ると、厳然たる大きな本の山…あぁ、本を溜め込むってこんなに恐ろしいことなんだ…と己を思いっきり棚に上げてため息をつく。だが掘り出し続けていると、この部屋のかつての主の読み筋が見えて来るのが、たまらなく面白くなって来てしまう…というか、それを楽しまなければ、この作業に長時間耐えられそうにないのだ。それにしても、ずっとミステリや冒険小説を老齢まで現役で読み続けていた方である。普通は年を取れば、読書の範囲は狭まって行くものだが、最近の若手の著作にまで触手を伸ばしているところがスゴい。しかも手当り次第という感じではなくて、確実に己の嗅覚を信じて選択し、棚を編み上げているのである。とか手を動かしながら考えていると、うぉっ!「東京のドン・キホーテ」が帯付きで出て来た!角川文庫リチャード・スターク「カジノ島壊滅作戦」も。
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そして棚の上の方から、古いモデルガンを三丁発見。一丁は古いマテル社のコルト・ピースメーカーで箱付きだ。ミステリや冒険小説を読みながら、ズシリと重い銃を手にして、時折見えない敵に狙いを定めたりして、主人公気分をスリリングに味わっていたのだろう…あぁ、素敵な人じゃないか。

午後三時半、私は箱詰め作業を継続しながら、二人は階段で箱を下ろし始め、一階階段下に接岸させたカーゴに積上げる作業に入る。一番長い三階〜二階の階段は、傾斜も強くそのまま下ろすと危険極まりないので、ロープを通してジリジリ滑らして行く。
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午後五時半まで汗水垂らして作業を続け、ダンボール詰めは七十パーセントが完了し、どうにか先が見えて来た。カーゴは二台分を積み込んだところで、今日の作業を終えることにする。
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これで明日はほぼ荷下ろし作業に専念することが出来るはずだ。そうなれば作業スピードは格段にアップすることになる(はず)。結局作業したのは四時間ほどだが、すでに疲労困憊。依頼主が「あら、もう帰っちゃうの?」と残念そうな口ぶりで引き止めるが、明日また早くに来ることを約束し、簡単な撤収作業を行った後、現場を離れる。

午後六時半、静岡城の北側にある、本日の宿泊場所である鈴木社長の実家に到着する。平屋の築八十二年の小ぶりな日本家屋で、緑濃い縁側に立った瞬間、身も心もバラッと解きほぐれてしまう。お風呂を頂いた後、近所のお蕎麦屋さんで晩ご飯。ビールがことの外美味しいのだが、すぐに酔いが回ってしまい、午後十時にはスヤスヤと就寝してしまう。

■二日目
皆早速痛む身体で起き出し、静岡おでんの朝食を頂いた後、勇躍トラックに乗り込み出発。午前九時半に現場に到着し、作業を開始する。今回選別箱詰めを社長が行い、バイト二人はひたすら箱を下ろす作業に従事する。およそ六十箱を、熱中症に気をつけながら計五回で一階へ運び出すことに成功する…滑り落ちて来る重い荷物を受け止めていると、なんだか港ででも働いていうような気分に…波止場の哲学者、エリック・ホッファーってすごいんだなぁ。もう俺なんか、何も考えられない…などと、疲労で頭のネジが緩んで来てぼんやり。最後にプラケース十箱弱を残したところで、午後十一時半に近所の『スシロー』で昼食。多少元気を回復して現場へ戻り、腹ごなしをしながら本の無くなった部屋を、感慨深く眺める。ゆ、床の絨毯には、積み上がった本の痕跡が、芸術的に柄のように残されているではないか。なんだか重森三玲が作庭したモダンな飛石に見えなくもない…。
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午後一時から最大の難事、重いプラ箱を三人掛かりで徐々に慎重に階下へと運んで行く。
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だが数はそれほど多くないので、午後二時には作業終了。と同時に撤収作業も素早く進行し、二日間の作業は任務完了となる。結局トラックの荷台はギチギチとなり、カーゴ七台分でダンボールおよそ九十箱、約三千冊の本が収まったことになった。
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そして特別ボーナスとして、晶文社「東京のドン・キホーテ/小林信彦」を役得でいただく。涙が出そうになるほど嬉しい。

午後二時半、支払いも済ませて一路東京へ出発する。トラックはやはりだいぶその身を重くしているが、これならわりと早く神保町にたどり着くだろうと、新東名高速に入ると、タイヤから突然バラバラバラバラと異音が響き、一同騒然となる。山の中の『新清水サービスエリア』に入り、後輪を確かめていると、泥よけがちぎれかけ、一本のゴムが盛大に剥がれてしまっていた。
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バースト一歩手前の危機一髪!これは古本の呪いなのか!まさかこのまま運転するわけにもいかないので、JAFに連絡し色々聞いてみると、その場で修理は出来ないが、修理出来る場所まで箱ぶ車を寄越してくれるとこのことであった。一同ひとまず安心しながらも、果たしてこの古本を満載したトラックを運べる車が存在するのだろうか?と心配が胸を掠めたりする。一時間ほどその到着を待ちかねていると、大きな大きな車載専用車が姿を見せる。運転手は一人で、さほどの苦労もなく、素晴らしいチェーンベルト機構のメカを駆使し、三人の杞憂を吹き飛ばすように、あっけなくトラックをその荷台に短時間で搭載してしまった…すげぇ。
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車高に注意しながらガソリンスタンドまで運んでもらい、一時間半ほどでタイヤ交換終了。大幅に遅れてしまったが、再び東京に向けて出発する。

午後七時、渋滞情報とパンクへの慎重さが相まり、わりとスムーズに流れる『国道一号』を疾走していたのだが、無謀にもそのまま国道で箱根越えに突入してしまう。ウネウネのたうつ国道を、重い荷物を枷に喘ぎながら、時速三十キロで@ワンダー号は天下の険に挑んで行く…いったい、なにをやっているのだ…。ただ、左の車窓に現れた、暮れなずむ芦ノ湖が、とても美しかったことだけは確かである…。

午後九時半、神保町に到着。トラックをそのまま倉庫に入れ、居酒屋にて晩飯。難事を無事に成し遂げたことを労い合い、無事に到着出来たことを喜ぶ。鈴木社長、たっちゃん、お疲れさまでした!また買取ありましたら、ぜひとも声掛けて下さい!
posted by tokusan at 09:51| Comment(8) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする