2017年07月15日

7/15 KITKAT!!

本日は上祖師谷の奥地に漂着したので、住宅街から『祖師谷通り』に脱出して、当然のように「祖師谷書房」(2009/03/05参照)に駆け付ける。どうしたことか店内に迷い込んでいた勇気ある母子と交代するように、極狭の店内へ。そしてそのまま集中的に右側ゾーンの児童文学コーナーを攻め、牧神社「パタシュ星をとる/トリスタン・ドレーム」を300円で購入する。本文挿絵ともに青一色刷りの洒落た児童文学本である。「ありがとうございました」の甲高い聲に送られ表に出て、そのまま通りを下って行くと、「DORAMA祖師ケ谷店」のド派手な100均&五冊400円ワゴンに惹き付けられる。丁寧に各ワゴンに視線を走らせると、ぬっ!創元推理文庫「火葬国風景/海野十三」が紛れてしまっているではないか!と小さく喜ぶ。このようなリサイクル店では、分相応なこのような小さな喜びに巡り会えるものなのだ…と充分に満足して、他に買う本を見出せずにその一冊だけを108円で購入する。
kasoukoku_dorama.jpg

小田急線に乗り込み、疲労の溜まった身体をシートに落ち着け、ホッと一息。そのままのんべんだらりと新宿に運ばれるはずだったのだが、急に何かのテレパシーを感じ取り、気まぐれに経堂で途中下車してしまう。すると水飲み場に、一羽の鳩がジッと止まっているではないか…水が飲みたいのであろうか。この暑さである。まったく以てしょうがないと、ゆっくり近づいて蛇口を捻ると、鳩は逃げもせずに、流れ出た水に嘴を押し付け、一心不乱に水を吸い始めた。
hato.jpg
おうおう、存分に飲むが良い。その代わり。しっかりと私に渇きを癒した恩返しをするのだぞ。と呪いのような念を鳩に送り、ほどほどのところで蛇口を閉める。そして駅構外に出て、南の商店街の坂を下って「大河堂書店」(2009/03/26参照)へ。店頭で美濃の蜜蜂養蜂業者の小型本を一冊掴んで、店内を徘徊。右から左へと巡り、いまいち色めきたつ本が発見出来なかったので、来たルートをなぞるようにして右側へと戻って行く。あの流氷の絵本でも買って行こうかと、微妙な諦めムードが流れていたところに、通路棚手前側最下段の詩集コーナーにも丁寧に屈みながら目を凝らすと、無造作に本の列の上に突っ込まれていた本に、『北園克衛』の名を見出す!これはっ!と興奮しながら取り出すと、宝文館「北園克衛詩論集 黄いろい楕圓」であった。値段を見ると驚愕の五百円!どひゃっほう、どひゃっほう!と心の中で連呼しながら、ありがたく購入させていただく。これはあの駅にいた鳩の恩返しなのか?いや、最近本当にスゴいぞ「大河堂書店」!!!!!!!そして憧れの垂涎のKITKAT(北園克衛)、どうかこのままお家へおいで下さいませ!
kiiroi_daen.jpg
posted by tokusan at 20:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月14日

7/14勝地涼のブロマイドが挟まっていた

涼しいうちから能率よく進めて行こうと、早起きして猛烈に仕事する。気温の上昇と競るようにして、どうにか午前十一時前には一段落。昼食後にノンビリした後、猛烈に仕事したご褒美にと古本を買いに外出する。目指すは本日が初日の「五反田遊古会」(2013/01/19参照)である。だが電車に乗っているとき以外は、強烈な日脚にけたぐり回されているような錯覚を覚え、体力をざっくり削り取られて『南部古書会館』に命からがらたどり着く。会館がすでに日影なのにホッとしていると、表の台で「黒死館殺人事件」研究の大家・素天堂氏に声をかけられる。抽選で本が当選したらしく、笑顔である。会場の人影は、すでに嵐が通り過ぎた午後なので、パラパラという感じ。こんなに落ち着いた雰囲気で本を見られるのは、『南部古書会館』では初めての経験である。それにしても今回は、何だかとても古雑誌が多い。安部公房スタジオ上演台本「改訂版 友達 黒い喜劇二幕/安部公房作・演出」を200円で購入し、「古書 赤いドリル」さんと「青聲社」さん(2011/10/17参照)に挨拶し、二階へ移動する。上も雑誌がよく目につく上に、全体的に硬さが漂っている。少し苦しみながらも、河出新書「太宰治の手紙/小山清編」新感線文庫「金田真一耕助之介の冒険」を計800円で購入する。ここでは「月の輪書林」さん(2012/03/29参照)と「古書一路」さん(2013/03/08参照)にご挨拶。

さて、「金田真一耕助之介の冒険」は公演『犬顔家の一族の陰謀』のパンフレット同梱品の、横溝パロディ文庫である。そのパロディレベルはかなり高い上に、執筆陣も戸梶圭太・大倉崇裕・ほしよりこ・笹公人・喜国雅彦など豪華。安く売られているのを見かけたら、ついつい買ってしまう癖がついているのだが、今回の本はいつもとちょっと違っていた。本を開くと、これもパロディ栞が挟まれており(小さく『おしりとしてお使いください』と書かれている…)、さらに古写真風の勝地涼(劇には犬顔家の居候役として出演)のブロマイドが挟み込まれていたのだ…これは今までに見たことのない代物だ。ブロマイドも同梱品なのかどうか不明だが、ちょっと得した気分である。いや、全く必要は無く、正直言って嬉しくはないのだが、ただ何となく得した気分なのである…栞とともに、ちゃんと本に挟んでおくことにしよう。
inugaoke.jpg
posted by tokusan at 21:46| Comment(2) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月13日

7/13ラコステと岡田三郎!

本日は夕暮れを迎える前に武蔵境の南に流れ着いたので、これ幸いとまだ高い日に照らされ店頭の本が熱している「浩仁堂」(2011/02/15参照)へ足を運ぶ。その熱い店頭では珍しく何も手に出来ずに、涼しくホッとする店内へ。大好きな児童文学作家・大石真の「ぼくたちの緑の時間」の続編を見つけて喜び、さらに床の木箱からポロシャツで有名なラコステのビジュアルブックを見つけてニンマリ。偕成社「ミス3年2組のたんじょう会・大石真」大沢商会「LACOSTE」計300円で購入する。『LACOSTE』はその歴史と由来から、商品のイラストカタログ+商品用カラーチャートまでを掲載したプロモーションブックである(大沢商会が日本版ラコステを売り始める1986年辺りの出版。ちなみになぜラコステはワニをトレードマークにしているかと言うと、創始者のテニスプレーヤー、ルネ・ラコステがワニのように粘り強く頑固に戦っていたことに由来するそうである…ワニって、粘り強く頑固なのだろうか…。この本は充分楽しんだ後に「Tweed Books」さん(2015/07/10参照)に持ち込むのがベストだろうなぁ…)。疲れてはいるが興が乗って来たので、そのまま強い日射しの下をテクテクトボトボヒタヒタ歩き通し、三鷹の「水中書店」に喘ぎ喘ぎたどり着く。店頭で見つけた学生援護会「POST CARD/安西水丸」名著刊行会さみっと双書「新感覚派の文学世界/紅野敏郎編」を、クーラーの動作音が妙に心地良いリズムを刻んでいるのに気付きながら、計200円で購入する。「新感覚派の文学世界」は、もしや!と思って目次に視線を走らせると、追っかけている岡田三郎のコントについての論考を発見。三鷹でもニンマリ出来たことに満足して、ようやく電車に乗って帰宅する。
0713syukaku.jpg
posted by tokusan at 18:36| Comment(2) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月12日

7/12春浪の続きを一応探しに行ってみる

午後にひとつの取材を受けた後、そのまま外出継続。先日大阪に新たな古本を大量に送り出したばかりなのだが、まだまだ不足気味なので良さげな本を手配しなければならないのだ。…まったく、私自身が大阪に行きたいのに、本ばかりが大阪に出向いているこの状況…。そしてさらに、先日の「古本まつり」で手に入れた押川春浪「日歐競事 空中大飛行艇」(2017/07/07参照)が、楽しくあっという間に読み進めたことにより、続き物であることが判明してしまう。物語中盤まで、肝心の飛行艇は説明だけでなかなか完成に至らず、妙な痴話話を中心に展開して行くのに大いに戸惑いながら、最後に悪玉博士の飛行艇を追って、善玉の飛行艇が出発するところで、本は終わってしまったのである。巻末の広告を見ると、『世界怪奇譚』シリーズの六遍目に「續空中大飛行艇」があるではないか。これは是が非でも続きを読まなければ!…とは言っても、おいそれと手に入る本ではない。恐ろしいことにその巻末広告の説明文には、これからのストーリーが超短く要約されてネタバレも甚だしいのだが、物語の結末をあっさり知ってしまった今でも、この同じ明治の本で読み耽りたい気持ちは変わらないのである。というわけで、足はまつりで「空中大飛行艇」を出していた武蔵小山の「九曜書房」(2009/03/26参照)へと軽やかに向かっている。いや、片割れがないことは百も承知なのだが、万が一ということもあるかもしれない。見つけたならば、またATMに走って…。蒸されたような熱さの駅前は、珍しく人影が少なく白っぽい。そんな中でも元気に高校球児が練習するグラウンド脇の小道に入り込み、暑さにやられながらお店に到着する。表に出されている本も、かなり熱を帯びてしまっている。二冊掴んで店内に入り、まず麗しの500均棚の観察に入る。相変わらずグッと来る本をさり気なく並べてくれていて、期待を本当に裏切らないなぁ。そう言えば表のウィンドウに、恐らくお店オリジナルのイラストポスターが貼られているのだが、『心をくすぐる古書の店』のキャッチフレーズが書かれ、古書を取り出す白猫が、横から飛び出す三本の虎猫の足に『古書 古書 古書』とくすぐられているのだ。私にとっても、まさにここは『心をくすぐられるお店』であるな!と激しく同意して一冊本を掴み取る。そして左側通路に入って、押川春浪の幻を追いかけ始める。だが春浪本でみつかったのは、博文館文庫の二冊のみ…いや、分かっていたんだ、最初から無いのは。だが大いなる難関ではあるが、いつかは見つけなくちゃならない…しかも、いやどうしても安値で…。ちょっと周りがすっきりした帳場に向かい、講談社少年少女世界探偵小説全集15「ポッツ家の怪事件/クイーン」(カバーナシ)国書刊行会「私が選ぶ国書刊行会の三冊」美術公論社「キキ エコル・ド・パリ追想」を計900円で購入する。
kyuuyou0712.jpg
何だかすでに暑さにめげ始めているが、どうにか気力を振り絞ってもうちょっと古本を買いたいと、高円寺駅で途中下車。だがいつになったら私は、高円寺は水曜定休の古本屋さんが多いことを覚えるのか!と激怒したくなるほどお店のシャッターは下りまくっていた。最後に「あづま通り」に向かうと、午後五時に「古書十五時の犬」(2011/11/22参照)は開店準備を始めており、「越後屋書店」(2009/05/16参照)はなんと臨時休業。残念ながら気力尽き果て、「十五時の犬」の開店さえも待ち切れずに、暑い夕陽を正面から浴びてヒタヒタ帰宅する。
posted by tokusan at 19:22| Comment(2) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月11日

7/11元古本屋さんの写真展を見に行く。

本日流れ着いたのは永福町駅の北側。この後どうしても高円寺に行きたいのだが、東京のへそ『大宮八幡宮』前から出ている京王バスが来るのは二十三分後…よし、歩こう!とテクテクテクテク午後七時の杉並の住宅街を、北に向かって切り裂いて行く。道の途中の松ノ木にて、古本も商うリサイクルショップ「AMANAYA AI2」(2009/06/12参照)に飛び込み、
amanaya0711.jpg
若木書房「隼/望月三起也」を200円で購入しつつ、レジ前に置かれた昭和四十年代のガメラのブロマイドが気になったので、店番を任されいたであろうご婦人に、値段について追求する。そのブロマイドには、千円と三百円の異なる値付がされていたのだ。「300円なら買います」と伝えるが、ご婦人はとても嬉しそうに「うわ、値段が二つ、なんでだろ」と笑顔を浮かべまくっている。結局謎は解明されず。店長さんの判断待ちというところに落ち着いたので、「また来てね、その時までに調べときます」と言われる。さらに北へ北へと歩き詰め、途中「アニマル洋子」や「大石書店」の閉店風景を目撃しつつ、駅前の『富士そば』で腹ごしらえをしてから、高架脇の『屋根裏酒場 ペリカン時代』の狭く急な階段を上がる。
perican_jidai.jpg
本日から7/29(土)まで、元西荻窪の古本屋さん「なずな屋」(2014/09/24参照)の石丸澄子さんが、『1990年 道東』という写真展を開いているのである。古本屋さんに関することなら、何処までも顔を突っ込んで行こうと酒場の扉を開けると、石丸澄子さんは当然のこと、暢気文庫さんや『三省堂書店 神保町店』のOさんがお出迎え。恐縮しながらみなさんにご挨拶し、壁に貼られた六十枚余のモノクロ写真を、ビールやキューバ・リブレを飲みながら、じっくりと堪能する。ホンダのベンリィに跨がり、北海道を旅した奇蹟である。写真の間間には、原稿用紙に書かれた朴訥な当時の思い出が出現。思えばこの写真を撮っている澄子さんは、まだ「興居島屋」(2008/09/12参照)も開いていない時代なのであるな。無意識なのか、乗物の写真が多い事に気付きつつ、三十分ほどで楽しい酒場を後にする。
posted by tokusan at 22:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月10日

7/10本郷でレジスターの歴史を遡る

東大近くでひとつの用事をこなし、そのまま北から『本郷古本屋街』に突入する。灼熱の陽光を浴びる通りは、車の通行以外はいつもの静けさを保っている。うわっ!楽しみにしていた「第一書房」(2011/08/16参照)がお休みだ…。本郷に来て、ここの外棚を見られないのは、だいぶショックが大きい。だが開いてないものは仕方ない。手ぶらでそのまま南下を続けて「棚澤書店」(2009/10/08参照)にたどり着き、外に並んだ100均箱に希望を託す。
tanasawa0710.jpg
小学館学習百科図鑑「化石と岩石・鉱物」晶文社「子どもたちを犯罪から守るまちづくり/中村攻」中公新書「ル・コルビュジエを見る/越後島研一」を計300円で購入する。今まで気付かなかったが、薄いエメラルドグリーンのレジは鉄製で、だいぶ古風である。精算はガシャコンとレバーで行い、前面に集まる数字ボタンが、まるで柱状節理のように段々に美しく密集しているのだ。珍しい木製バルコニーを備えるお店とともに、長い年月を働いて生き延びてきたのであろう。店内を吹き抜ける生温い風を浴びながら、そんなことを考える。外に出て、再び暑い街路を歩き始めるが、身体が早くも水分の補給を求めているようだ。『東大正門前』で脇道に曲がり込み、思い切って憧れの『万定フルーツパーラー』に飛び込んでしまう。
mansada_fruits-parer.jpg
店内には客は一人もなく、ただただ昭和の喫茶&食堂風景を凍り付かせたような空間が存在している。内装は焦げ茶の木材を基調にしており、茶と白の市松模様タイルの床上には、細い鉄脚を持ったテーブル席が窓際に広がる。そして何と言っても一番目を惹くのは、入って正面左にある、円形のカウンター席…あぁ、懐かしいという言葉だけではすまないこの感じ、秩父のカフェーの生きた化石『パリー』(2011/06/07参照)とまったく同種の味わいではないか!と大いに喜び、勧められた窓際の涼しい席に陣取り、レモンスカッシュを注文する。すると壁には写真家・高梨豊の、大きなオリジナルプリントが掛かっているではないか。写っているのはお店の巨大な木製レジスターで、もはやアンティークの域に突入してしまっている、とてつもなく素晴らしい物である。棚澤のレジも格好良かったが、こりゃあ格が違い過ぎるな…。そんなお店でたっぷりと昭和初期空間に浸かった後(メニューにあったカレースパゲッティとハヤシスパゲッティはいつか絶対食べに来よう…)、レモンで元気を得たのでさらに南を目指し「大学堂書店」(2009/01/06参照)へ。色々ゴソゴソと漁るが、奥の大型雑誌箱から探し出した一冊の俳句雑誌を購入することに決める。東炎山房「東炎 第九巻 第十一號」を350円で。俳句には縁遠い身なので、中身にはほとんど興味がないのだが、なんと表紙が織田一磨の自刻木版画なのである!『ランプ』とタイトルが付き、裏表紙にはそのランプに火を灯したであろうマッチも刷られている。表紙は印刷ではなく、その木版が直接刷られているようだ。さすがに織田一磨が刷ったわけはないだろうが、どんな形であれ、これは立派な織田一磨の版画作品と言えるだろう!中を見ると、谷中安規のカットも発見したので、即嬉しさ倍増となる。
touen.jpg
posted by tokusan at 17:54| Comment(2) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月07日

7/7七夕に春浪と出会ってしまったのが運の尽き

そろそろ大阪の「梅田蔦屋書店」に追加の新入荷本が並び始める頃なのだが、再び三たびと大阪に古本を送るために、朝から部屋のあちこちを引っ掻き回している。それにしもよくもまぁ、相変わらずこれだけちゃんと本が出てくるもんだ…。改めてそんな風に己に呆れ返りながら、臨時のセレクト古本タワーをニョキニョキ生み出していく。この行動についての詳細は、また後日お知らせ予定。さて、そんな風に旅立つ古本を見ていると、やはり心の中には一抹の寂しさがが萌え出てきてしまうので、古本を買いに池袋で7/10(月)まで開催の「三省堂書店 池袋本店 古本まつり」(2016/02/09参照)に向かうことにする。湘南新宿ラインで池袋入りし、地下からエスカレーターで二階へ上がって、会場の見取り図を受け取り中へ進む。午前十時半前の場内は、ほどほどのお客さんが静かにジリジリ蠢いている状態。二十四のお店が造り出している古本通路を、何故かかなりの余裕を持って、散歩道をたどるように歩いて行く。もうすでにまつりが始まってから二日が経過しているのだ。物凄い本(この場合は安値の掘出し物くらいの意味である)など残っているわけがない。そんな風に高を括って歩を進めるが、。それでも「ハーフノートブックス」「かぴぱら堂」「ハナメガネ商会」(2014/04/26参照)「にわとり文庫」(2009/07/25参照)の棚造りには、たちまち古本の血が沸騰してしまう。特ににわとりさんの古書だらけっぷりは凄まじいな…。だが、欲しい本はたくさん見つかるが、腕には一冊も抱え込まずに、そのまま次のゾーン次のゾーンと進んで行く…まぁ最後まで回ってから、懐と相談しつつ吟味しよう。そうダラリと決めたところで「九曜書房」(2009/03/26参照)の台に差し掛かる。雑本的な並びの中にギラッと光る古書やおかしな本が紛れ込む、発見の喜びを得る確率が高い棚造りが為されている。だが、値段はわりとちょい安〜ジャストのしっかり目…う〜むと迷いながら裏側に回ったところで、台に並ぶ背の中にセロハン袋に入った背文字のない本が目に留まる。ズボッと抜き出してみると、げぇ!押川春浪の明治本!しかも八千円!これは、高いが安いじゃないか!と矛盾した結論に頭脳を白熱させながら(つまり古本としては高いが春浪本としては安値なのである)、瞬時にこの本の虜となってしまう。…ほ、欲しい…この本の形でこの話を読み耽りたい…でも八千円か…高いなぁ…財布の中には六千円しかないなぁ…でも『世界怪奇譚』だもんなぁ…普通に春浪本と出会うことってないもんなぁ…と他のワゴンを見ながらも、頭の中はすでに春浪でいっぱい。そのまま夢遊病者のようにフラフラと会場を抜け出て、灼熱の太陽光が降り注ぐ『明治通』をメタンガスの匂いを嗅ぎながら移動して、銀行のATMでお金を下ろして回れ右。だがもしかしたら、この会場を離れた隙に、もう売れてしまっているのかもしれない。何せ生き馬の目を抜くような古本修羅界の厳しさだ。そうなっていたら、スッパリ諦めることにしよう。そう考えつつフラリフラリと会場に戻ると、本は元の状態でそのままワゴンに収まっていた。よし、買うぞ!と意を決して抜き出し、奥の特設レジで精算する。大學館「日歐競事 空中大飛行艇/押川春浪」を税込の8640円で購入する。…あぁ買ってしまった。これで家に春浪本がやって来ることになってしまった。こんな高い買物をするはずじゃなかったのに。それにしてもこの表紙絵の可愛らしさはどうだ。口絵の飛行艇のクラシックなガジェット感はワンダフル!はしがきでは、全世界空中小説中最高の面白さであると春浪が自画自賛!明治の活字に巻末の広告に目を凝らす楽しさ!やっぱり思い切って買ってよかった!というわけでこれもまた、どひゃっほうなのである。
kuchyu_daihikoutei.jpg
posted by tokusan at 14:50| Comment(6) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月30日

6/30幻賊!

午後、雨が薄くなり明るくなってきたのを見計らって、ダンボールに詰めた古本をカートで転がして外出。だが途中から、本降りではないが大粒の雨が落ち始め、茶色いダンボールに斑が浮かび上がるので、ンゴロンゴロとスピードアップして「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に駆け込む。増え過ぎた蔵書整理の一環として、古本販売や個人古本市ではあまり捌けないデザイン関連・アートブック・写真集を持ち込んだのである。天野氏が「こんな本も持ってるんですね〜」と何やら感慨深げに大型本を箱から取り出して行く。まぁ日頃の行いが行いなので『探偵小説狂い』と思われるのは仕方のないことであるが、残念ながらこの記事も後半は探偵小説絡みとなってしまうので、やはり根は『探偵小説狂い』なのであろう…。「まだ家にはドバドバこんなのが残っているので、色々諦めがついたらまた売りにきますよ」「では早く諦めて下さい」などと客と店主の会話を軽妙にに交わし、無事に交渉成立する。その後は中野に向かって野暮用をこなした後、当然の如く『中野ブロードウェイ』に潜入する。四階に至り、久々に開いているところに出会えた「ワタナベ古書」(2008/08/28参照)では角川文庫「ゲバラ日記/高橋正訳」を100円で購入。そして通路を曲がり込み、本命の「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)へ。またあの時の「ジゴマ」のように(2016/09/05&2016/09/07参照)、何か意外な面白い本が見つからないだろうか…そんな風にいつまでも十ヶ月前の甘い幻想に引き摺られながら、棚を上から下まで丹念に見つめて行く。すると一冊の日に焼けた、分厚く少し大きめな裸本が目に留まる。焼けた背の下方に「幻賊」とタイトルがあり、そのさらに下に『田中早苗譯』の文字がある。ビニールパッケージされた本を取り出すと、モダンな表紙の右上隅には小さく装幀者名の『SEIZI TOGO』の文字、裏表紙には同様な扱いで出版社名の『HAKUSUISHA』の文字が。本の状態や基本スペックが表示された紙には、本についての情報は『1931年』『カバー欠』『装幀:東郷青児』としか書かれていない。そしてその紙が、何か作品名や作家名が書かれている部分を、隠してしまっているのだ。…探偵小説だよな。田中早苗譯だもんな。…あれ?「幻賊」って、もしや「ファントマ」のこと?「ファントマ」と言えば久生十蘭の美麗過ぎる文語譯が名作であるが、田中早苗なら、これはもしかしたらノーマル口語訳の「ファントマ」ではないだろうか。そうすると1931年(昭和六年)だから、十蘭譯(昭和十二年)より前の作と言うことになるのか。まぁこのような時はレジに向かい、中身を確かめたい旨を伝えビニールから取り出して確認すれば良いのだが、私はいつの間にかこれは「ファントマ」だ!と妄信してしまっているので、そのまま買うことにする。三千円である。ブロードウェイから抜け出し、歩道で立ち止まってビニールから本を取り出し、ページを繰り始める。本文に目を凝らすと『幻賊』に『ファントマ』のルビが振られていた。やった「ファントマ」だ。カバー欠でもこれは嬉しい。それにしても白水社が探偵小説の訳本を出しているとは、ちょっと意外な印象である。

家に早く帰って早く読み始めようと決心し、早足で『早稲田通り』を阿佐ヶ谷へと向かう。途中高円寺で「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)に立ち寄り、ゆまに書房「暴露讀本/貴司山治」和楽屋「東京案内図」(昭和四十年代の大判東京地図。裏面には銀座・新宿・渋谷・池袋・上野・浅草の盛場案内図付き。もしや古本屋も載っていないか目を凝らしてみると、新宿盛場案内図に「鈴平書店」を発見!)出版社不明の明治時代の東京地図復刻版「明治卅八年三月改正 コンベナイント式 東京最新全圖」を計300円で購入する。そんな愉快で安値な買物をして家に帰り着き、荷物を放り出して「幻賊」を取り出す。さらにウキウキしながら、読み出す前に一枚の地図を目の前に広げておく。恐らく昭和初期に商社の『伴野商店』が、来仏する日本人のために配布していた地図『巴里 伴野商店小賣部』である。花の都・パリなど遥か未踏の地なので、当時の地図で物語を存分に補強して楽しむつもりなのである。それではいざ、百年前の巴里に『幻賊』の大活躍を見に行くことにしよう!
fantoma_paris.jpg
posted by tokusan at 21:20| Comment(2) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月28日

6/28十時間飲みながら古本を買った日

現在6/28の午後十一時十五分…大変に酔っ払っております。それは何故なら、本日午前中から、2012/4/29の「古本ゲリラ」以来憧れていた「せんべろ古本ツアー」に参加させていただいたからなのです!とみさわ昭仁氏+柳下毅一郎氏+安田理央氏が、酒場で安く飲み歩きながら、ついでに古本屋を巡り倒す、楽し過ぎるが意外に過酷でハードなツアー!おかげさまで、すっかり廃人のように酔っ払って酔っ払っててりらりてりらい…という感じで、もはやまともに文章を紡ぐことがままなりません。と言うわけで、詳しい報告は明日に回すことにして、三人と巡った証拠にこの写真を掲げておきます。
senbero_furuhon_trio.jpg
この本は、1996年発行の柳下氏の訳書以外の初単行本、ぶんか社「世界殺人鬼百選/ガース柳下」。発売以来、私の心のバイブルの一冊であり、この本にお三方のサインをいただけるとは、果報者以外の何者でもありません。本日はこれを枕頭に置き、早々と就寝したいと思います。みなさま、おやすみなさい。

※6/29(木)の「日本経済新聞」『ひと』欄に、聞き書きモドキの私の記事が掲載予定。いつもの古本屋を巡る話ですが、ご興味ある方はどうか紙面をパラリパラリと繰ってみてください!
posted by tokusan at 23:30| Comment(2) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月26日

6/26トークと幽靈

昨日は日中からの「盛林堂書房」(2012/01/06参照)内での完全に小判鮫的古本販売を経て、夜は『銀盛会館』にて岡崎武志氏とゲストに北原尚彦氏を迎え「中央線古本屋合算地図」のトークを行う。

古本販売は開店時間の午前十一時過ぎからほぼ同時にスタート。帳場右側の捕物帳&時代劇&ポケミス&SFに囲まれた小空間に、いつもの衣装ケースを台車上に載せ、吟味持参した古本を並べる。
seirindou_hanbai1.jpg
こうすると出入り+棚を見たいお客さんに、即座に対応出来るわけである。なので基本は奥に丸椅子を置き、なるべくスペースを取らぬよう、身動きして棚の本を擦らぬよう、行儀よく身を縮込ませているのだ。隣りには正式な帳場があり店主の小野氏が座っているので、今日の販売を知らぬ人にとっては、とても異様な光景であろう。私もちょっと低い視線で右側通路を通して曇り空の外界をボ〜ッと眺めていると、何か座敷童のようなお店の守り神にでもなったような、甚だしい勘違いに襲われる。
seirindou_hanbai2.jpg
最初の記念すべきお客さんは「風書房」さんで、裸本の海野十三「海底旅行」と大城のぼるの名作漫画「ロケットパンチスター」を購入していただく。その後は四時間で五冊ほどを売り上げ、最後は颯爽と現れた森英俊氏が、お店の春陽文庫チェックのため、目の前でたくさんの結束本と格闘し始め、途中からチェックの終わった結束本を、私の臨時販売台上に積み重ねたため、その重量に耐えられず台とケースが瓦解。丁度トークのセッティングに向かう時間にもなったので販売終了とする。お買い上げのみなさま、ありがとうございました!そして異様な店内対面古本販売を快く許可してくれた「盛林堂書房」にも大いなる感謝を!

そのまま何冊かの本を「フォニャルフ」棚に突っ込んで、「銀盛会館」に駆け付け、席やプロジェクターのセッティングを、トークを聴きにきてくれた南陀楼綾繁氏や編集さんとともに行う。参加者は無事に中央線の古本屋さんを愛して止まない二十二人が集まり、盛況となる。岡崎氏と本の成り立ちを話した後、スライドショー時に北原氏にも参加していただき、主に吉祥寺以西の古本屋さんについてお話していただく。さらに途中から筆者の一人でもある南陀楼氏にも飛び入り参加してもらい、ステージはなかなかレアな四人の並びとなる。後半は会場も参加し、「合算地図」の補填大会に突入。知らない古本屋さんが、出てくるわ出てくるわ!という状態になったので、楽しいのだが、作った方としては少し反省してしまう。いや、だが、これでいいのだ。ただ地図の瑕疵を気にするより、今日この場で、たくさんの情報が溢れたことの方が、大いに意義あることなのだ!そうポジティブシンキングして、新たな合算地図に変化して行く、地図コピーの束を握り締める。ちなみにこのトークの私の最大の収穫は、高円寺『庚申通り』の『早稲田通り』間際にあったお店が「@ワンダー」系の「まんが市」だと分かったことと、北原氏と話している過程で、吉祥寺『伊勢丹』向かいの雑居ビル二階にあった、ビデオと古本を売っていたお店を突然電光のように思い出したことである。いやぁ、人間って不思議なメカニズムを内包しているんだなぁ。ご来場のみなさま、本当にありがとうございました!

明けて本日は、午後六時前に吉祥寺の北側に流れ着いたので、そのまま駅方面に向かい、昨夜のトーク時に「完全に不定期営業になってしまった」との情報を得た「バサラブックス」(2015/03/28参照)前を通るが、案の定閉まっている。そのままバスが背後から迫る前に駅前に移動して「古本センター」(2017/03/06参照)に飛び込み、入口右側の古書棚から函ナシの「奇蹟の書-心霊不滅の実証-/岡田建文」を千円で購入する。昭和十一年刊の、心霊の不滅を証明するために国内と海外から採集した幽霊&幽霊現象話集。目次を見ているだけでゾクゾクしてしまうではないか!
kisekinosyo.jpg
posted by tokusan at 20:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月23日

6/23パトロール中に発見とお願いをする。

午後三時過ぎに水道橋から遅めに神保町入りして、久々の本の街をパトロール。初っ端の「丸沼書店」(2009/12/17参照)では名著刊行會「天使/須永朝彦」の署名入り本を見つけたので(いっぱいあるんだろうが…)千円でまずは購入。続いて「日本書房」(2011/08/24参照)で、講談社世界名作童話「ふしぎなたから/久米元一」扶桑堂涙香譯縮刷叢書「捨小舟/ミツス・ブラツドン原著 黒岩涙香譯」(箱ナシ)を計800円で購入し、今日は何だか好調で財布の紐も緩みがちだぞ!と感じつつ、蒸し暑い通りを勇ましく前進して、いつの間にやら「アムール」(2011/08/12参照)前。すでにすっかり荒らされた態の棚を、立ち読み人の背越しに懸命にチェックして行く。すると、入口左側棚の下から三段目真ん中辺に、違和を感じる古く緑っぽい文庫が目に留まる。手を伸ばして掴み取ってみると、あぁ!これは2017/05/31に「ブックサーカス トツカーナ店」(2012/12/02参照)で見つけた、謎の文庫サイズ本と同シリーズじゃないか!しかもあの時買った「百万兩の秘密」の作者と同じ人だ…これはもしかしたら、この人の文庫全集として出されていたのだろうか…いや、そんなばかな…。何だか謎は深まるばかりだが、思わぬお店での謎文庫発見に、大きな大きな満足を得る。大日本雄辯會講談社「復活/白雲齊樂山編著」國家地方警察本部「教材 救急法」(昭和二十四年の長野県の巡査が元の持ち主。猛勉強の書き込みアリ)を計100円で購入する。
fukkatsu.jpg
「アムール」前で記念撮影。貸本のため悪夢のよう掠れてにじんだ「百万兩の秘密」と違い、恩地孝四郎の装幀と色合いがハッキリと美しく残っている。「復活」は文豪トルストイの「復活」を、舞台をロシアのまま登場人物をすべて日本人に置き換えた講談物語。なので長編の原作小説とは裏腹に、話が超絶スピードで展開して行きます…。予想するにこの文庫サイズシリーズは、明治〜大正期に出していた講談本を、書籍不足の戦後すぐに、文庫化して発売していたものではないだろうか。

『白山通り』を歩いただけで、とても良い買物が出来てしまったので、そのまま対岸に渡り「マニタ書房」(2012/10/27参照)への鉄板階段を上がる。忙しそうな店主・とみさわ氏と挨拶を交わし、店内をじっくり一巡。東京創元社イエローブックス「死のリフレイン/ジャン・マイケルズ」啓正社文庫「明治の炎 『警察手眼』の世界/武藤誠」を計900円で購入した後、とみさわ氏にあるお願いごとをする。すると即座に快諾してくれたので、ホッと胸を撫で下ろす。今はまだ詳しいことは話せぬが、来週がとても楽しみである。
posted by tokusan at 18:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月22日

6/22風は頁をめくるが読むことはできない

本日は上井草近辺に流れ着くが、疲弊が酷いので駅前のガンダム像に軽く会釈だけして、倒れ込むように阿佐ヶ谷駅に次ぎ、自宅最寄り駅でもある鷺ノ宮駅へ向かう。…だが、どこかで古本エネルギーを補充して行かなければ、禁断症状を引き起こしてしまう…そうなったら向かうべきお店はひとつ。妙正寺川沿いの「うつぎ書房」(2008/08/06参照)である。すっかりコンクリで護岸されているので、風情はゼロに等しいが、それでも川面を吹き抜ける風は、涼しく爽やかである。
utsugi0622.jpg
お店のシンボルでもある迷言『風は頁をめくるが読むことはできない』が刻まれたプラ製日除けを潜って、薄暗い店内に身を落ち着かせる。文庫とコミックとエロ関連以外は、すっかり時の停まった店内である。奥の生活空間では、壁にもたれてオヤジさんがすっかり寛いでいる。主に時の停まった部分を注視して左側通路にも久々に入り込み、西荻書店学習科学文庫(8)「地下の資源/竹田修」を200円で購入する。謎の西荻書店の本が、また我が手に落ちた!徐々に集まり始めた(とは言っても三冊目だが)のは、コンプリートを示唆する宿命なのか!?その真意は古本の神のみぞ知る!買った本の貼付けられた奥付紙は、裏を見ると検印紙の再利用なのである…昭和二十八年に、すでに色々苦しかったのだろうか、西荻書店…。
nishiogi_shoten.jpg

ちなみに日曜のトークですが、第二部の古本屋の思い出を参加者で語るコーナーは、有志の発言になりますので、語るつもりがなくとも、思い出がなくとも、参加することに何の問題もありません。とにかくともに、新たな中央線古本屋史作成の目撃者になっていただければ!引き続きみなさまのご参加を、心よりお待ちしております!

「中央線古本屋合算地図」刊行記念イベント
『オカタケ・古ツア中央線の古本屋を語る』
■開催日:2017年6月25日(日)
■出演:岡崎武志、小山力也(古本屋ツアー・イン・ジャパン)、北原尚彦(ホームズ研究家&作家)
■開場:17時
■開演:17時30分(19時30分終了予定)
■定員:25名
■参加費:1,000円
■場所:西荻窪・銀盛会館 JR西荻窪駅南口徒歩5分 杉並区西荻南2-18-4
※参加費は当日会場受付にてお支払いいただきます。
■予約受付→http://seirindousyobou.cart.fc2.com/ca13/318/p-r-s/
posted by tokusan at 18:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月21日

6/21雨中の補充と六周年

酷い雨風の中、わざわというわけでもないのだが、古本を抱えて西荻窪に向かう。水滴が乱れ舞う車窓には、店頭均一棚を完全に店内に引き込んだ「ささま書店」(2008/08/23参照)の姿が一瞬流れる。そして「盛林堂書房」(2012/01/06参照)の雨除けカーテンも、バタバタバタンと大暴れ中。その隙間に身体を滑り込ませて「フォニャルフ」に補充する。そして今週日曜に「中央線古本屋合算地図」のトークイベントが迫っているわけだが、当日はトーク前の時間を「盛林堂書房」にて『古本屋ツアー・イン・ジャパン』として、店内特別古本販売をすることが決定!店内の一部を借り受け、お店とお客さんの邪魔にならぬよう、持参した古本をレジとは別精算で直接販売!お店の開店から午後四時くらいまで、少数精鋭古本を携え、小商いさせていただきますので、みなさまぜひとも冷やかしに西荻窪までおいで下さい。ついでに販売時間中は「フォニャルフ」棚の古本を一割引といたします(こちらはレジ精算)。さらには夜のトークも(6/24に宝島SUGOI文庫「シャーロック・ホームズ 秘宝の研究」を発売される北原尚彦氏も、溢れる中央線古本屋の思い出を迸らせて登壇予定!)引き続きまだまだ参加者募集中ですので、まとめてよろしくお願いいたします。

「中央線古本屋合算地図」刊行記念イベント
『オカタケ・古ツア中央線の古本屋を語る』
■開催日:2017年6月25日(日)
■出演:岡崎武志、小山力也(古本屋ツアー・イン・ジャパン)
■開場:17時
■開演:17時30分(19時30分終了予定)
■定員:25名
■参加費:1,000円
■場所:西荻窪・銀盛会館 JR西荻窪駅南口徒歩5分 杉並区西荻南2-18-4
※参加費は当日会場受付にてお支払いいただきます。
■予約受付→http://seirindousyobou.cart.fc2.com/ca13/318/p-r-s/

雨風に激しく嬲られているカーテンの隙間から雨中にエイヤと飛び出し、阿佐ヶ谷に舞い戻る。そしてびしょ濡れになりながら「古書 コンコ堂」(2011/06/20参照)へ。記念すべき開店六周年である昨日は、残念ながら定休日。なので一日遅れで記念グッズに期待しながらの、雨中来店となったわけである。ウィンドウに貼り出されていた六周年記念グッズは、帳場のあるお店右半分をイラストにした手拭である。
konkodou6th.jpg
力の抜けたような青い線で描かれたパノラマ的に広がる店内には、良く見ると店主の家族が紛れ込んでいるようだ。それにしても、節目節目にこのようなグッズを律儀に作成するのは、感心すべき事柄である。古本を二千円以上買うと入手出来るので、買う気満々で店内へ進み、ウキウキしながら古本を吟味する。…一冊で二千円とするか、数冊で二千円とするか…購入候補本を店内のあちこちに見出しながら、右側通路棚手前の旅&地理系の棚に差し掛かる。そこで一冊の大判グラフ誌を発見。引き出してみると、背はちょっと傷んでいるが、昭和十三年刊の満州の写真集で、値段がちょうど2060円なのである。これ安過ぎだろ!と軽く興奮しつつページを繰ると、『芦屋カメラクラブ』のハナヤ勘兵衛が写した一枚があるのを発見。これを買って手拭をいただくことを心に決める。朝日新聞社「カメラ風景 新満洲 關西學生冩眞聯盟渡満作品集」双葉社「帰ってきた怪獣魂」を計2163円で購入する。開店六周年おめでとうございます。
shin_mansyu.jpg
posted by tokusan at 17:33| Comment(2) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月19日

6/19仕事部屋の軍艦に挑む!

午前中に新宿まで買物に出る。目的の物を手に入れてすぐに中央線で踵を返すが、一駅越して荻窪で下車し、明るい初夏の空の下の「ささま書店」(2008/08/23参照)店頭に紛れ込む。日本情報センター「安くてうまい店 飲みある記/泉欣七郎・五十嵐一平」JICC出版局「映画宝島 発進準備イチかバチか!号」(もう何度読んだか分からないが、何度読んでも面白い!執筆陣の多量さと多彩さと、彼らが吐き出す玉石混淆の、ある意味見捨てられて来た映画情報の魅力が満載!)を計210円で購入して、途中で焼き団子&海苔団子を買いつつ歩いて家に帰り着く。

仕事に一段落を着けた後、意を決して仕事部屋の真ん中に偉そうに大きく鎮座する、古本と元新刊で出来た“軍艦”の切り崩しに取りかかる。およそ二十五本(一本が百冊弱〜五十冊くらいで出来ている。だから軍艦全体でおよそ千五百冊強…)ほどの本のタワーが、自立しつつも結局は微妙にお互いを支え合い、軍艦のような巨体を安定して保っているのだ。二月に開催した「人間としての住居を取り戻すための「古本屋ツアー・イン・ジャパンの大放出古本市」2DAYS!」の準備のために、手前の文庫部分はだいぶ切り崩すことに成功したのだが(2017/02/27参照)、右の奥側は重なり過ぎて深過ぎるのに絶望し、ついには手を出せなかったのである。今日はある一冊の本を求めて気合いを入れて掘り進むのだが、果たして見つかるかどうか…。まずは外側を囲う文庫タワーを低くして行く…とは言っても部屋の空きスペースは少ないので(もちろん古本に占領されているからだ)、小分けにして通路的に細く空いている床や、机と椅子とスキャナーの上、はたまた別の山の本の上にうまく移動させて積上げて行く。掘り進んでも他の部分が崩れぬよう、なるべく平面に軍艦を低下させて行くことを心がけて作業。膝上くらいで安定したところで、今度は奥に向かって手を伸ばし、手前から順に本を掴み取り、縦に三列分の文庫ゾーンもようやくクリア。右手をスチールキャビネットの角に掛けて身をグッと不安定に乗り出し、さらに奥の単行本&大型本ゾーンを掘削し始める。
gunkan_hakkutsu.jpg
(発掘中の写真。周囲のタワーを崩さぬよう、奥を掘り進めている最中である)
体制がツラく、左手だけで重い本を掴み取るのは難儀だが、二冊三冊単位で慎重に作業を続ける。いつの間にか周囲には圧迫感のある本の壁が立ち上がってしまっている…お、恐ろしい。本がこんなにたくさん…。ほどなくして底の方で目的の本を無事に発見するが、その時にはもうこの作業…と言うか懐かしい本や覚えのない本が見つかるのが面白くて、さらに奥まで掘り進むことを決意する。ハァハァドサドサと、大量の本を狭い部屋の中で移動させる苦行…だが楽しい。そして幸せである。結果様々な本が見つかるが、亀鳴屋の「稚児殺し/倉田啓明」ホンマタカシの今見てもあり得ない物質感過剰な写真集「TOKYO SUBURBIA」柴田敏雄の写真集「日本典型」大伴昌司のマガジンカラーグラビアを集めた「復刻少年マガジンカラー大図解」が特に嬉しい再発見の発掘本であった。ちなみにこれらはみな発刊当時に新刊で購入したものである。よって家の中で熟成され、古本化が進んだと言えようか。そんなもはやズレてしまった労働の成果を眺めてニヤニヤウフウフするが、心の底まではまだ楽しめない状況…何故なら視界には、チラチラと大量の本が見えている。部屋のあちこちに移動させた本たちは、当然軍艦に戻さなければならないのだ…さぁ、あきらめてもうひとがんばりしてみるか…。そして疲れ果てた一時間後。ちょとだけ低くなって形を変えた“軍艦”は、また偉そうに部屋の真ん中で、ドッシリ停泊中なのである。
gunkan_hakkutsuhin.jpg
posted by tokusan at 20:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月18日

6/18本日「みちくさ市」開催!

曇り空ですが、どうやら昼の間は天気が保ちそうです。というわけで雑司が谷での「みちくさ市」開催です。たくさん古本持って行きますので、どうぞお誘い合わせの上、古本を買いにお越しください!急遽今朝方、フリーペーパー『古本屋への道すがら』を作製しましたので、ドバドバ配布いたします。それでは後ほどお会いいたしましょう。あ、「盛林堂」さんでの店内販売、今日は残念でしたがいつかやりたいと考えております…。

というわけで重過ぎる古本をエッチラオッチラ担いで引き摺り、午前十時半過ぎの雑司が谷へ。市の一番端っこで開店準備を進めていると、最初に現れたのは古本中学生ケンタロウ君であった。挨拶を交わすや否や、彼が敬愛する森英俊氏と同じように、貪欲に古本のチェックを進めて行く。そしてようやく開店準備が終り、椅子に腰を下ろした瞬間「座ったら開店ということですかね?」と確認した後、気になった古本を掻き集めて買い上げたのであった。…末恐ろしい…もはや古本的大人物であるが、大人になったらもっとスゴいことになる、大器である…。
0618-1.jpg
空模様は最初から怪しく、明るくなったり暗くなったり暑くなったり涼しくなったりを繰り返す、不安定な展開を見せている。だが、そこから順調に古本は売れて行った。お客さんも午後の雨を警戒してか、早い時間から出張り、古本を買っているようである。急遽作製したフリペ目当てのお客さんもいて、大変喜ばしい次第。古本が売れるとともに、様々な情報も入手する。未知の古本屋の情報は言わずもがなだが、以前「ささま書店」(2008/08/23参照)で入手した河出書房市民文庫「心理試験/江戸川乱歩」(学生サーヴィス版カバー装。2016/11/21参照))は、河出書房が潰れた後に流出したゾッキ本として、神社などの即売会で販売されていたものであることを、常連さんに教えられる。う〜む、勉強になるなぁ。ライター&アダルトメディア研究家の安田理央氏とも「古本ゲリラ」(2012/04/29&11/10&11参照)以来の出会いを果たし、色々お話しさせていただく。そんな風に楽しくわりと忙しく過ごし、「中央線古本屋合算地図」も三冊が売れる。だが午後二時前になると、いよいよ空模様は我慢の限界で、ポツリポツリ雨が落ち始めてしまう。慌てて主催者が万が一の時に用意していた、斜向いの屋根付きスペースにドタバタ引越しをする。
0618-2.jpg
移って十分ほど経つと、次第に雨も強くなり客足もパタッと途絶えてしまったので、午後三時には諦めて撤収作業に入る。だがその一瞬に、パパッとすっかり寂しくなってしまった会場を回り、「暢気文庫」で外国マッチを元にした手作りキーホルダーを400円で、さらに「幻想博物館」で講談社「小鷹信光・ミステリー読本」を千円で購入し、「モロ古書店」では亞細亞社「明治還魂紙/笹川臨風」を800円で購入。そんな風に今回の参戦を締めくくり、結果としては、スタートダッシュが快調で計56冊を売り上げることに成功する。お買い上げのみなさま、足を留めてくれたみなさま、そしてわめぞスタッフのみなさま、梅雨の楽しい一日をありがとうございました。いそいそと古本をまとめると、これがやはり重たい!売れ残った重さと、それを引き摺る哀しみを携えながら、電車を乗り継いでエッチラオッチラ帰宅する。
posted by tokusan at 09:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月16日

6/16「猫のフルホン市」と本の準備

午前中にひとつ取材を受け、そのまま外出。日曜の釣り銭の準備などを終わらせ、焦りながら雑司が谷方面へ向かう。一箱系の猛者である駄々猫舎さんが主催する“猫”の文字が屋号に入っているお店を集めた、「第肆回 猫のフルホン市」を見にいかなければならないのだ。一ヶ月ほど前、確か不忍一箱の時だと思うが、路上で駄々猫さんとバッタリ出会い、「「猫のフルホン市」(2014/04/11参照)またやるから、絶対来てね。早めに来てね」と恫か…いや、お願いされていたのである。だが市が始まったのは10日…もう六日も過ぎてしまっている!と焦りながら、ギラリと光る駄々猫さんの目と爪を脳裏に閃かせて雑司が谷着。日曜もまたここに来るはずなのだが…などと考えながらごちゃっとした人間サイズの街に分け入り、会場である「旅猫雑貨店」(2008/07/19参照)に到着する。奥の帳場に立つメガネが換わったと思しき旅猫さんに挨拶をして、入口右横から右壁に並ぶ、ドラ猫たちの古本響宴を眺める。様々な柄の猫たちが、それぞれの古本の並びで、猫なで声を上げたり、爪で引っ掻いたり、ゴロゴロすり寄って来たり、恋鳴きしたり、シャーッと威嚇したり、居眠りしたり、ゴハンを食べたり、グルーミングしたり、猫パンチしたり、毛玉が舞うほど猫キックしたりと、まぁ十一店がとにかく千差万別なのである。全体を俯瞰すると、真面目な本から不真面目な本まで振れ幅が大きいので、猫の目のような変化があるとも言えよう。私は「猫企画」の棚から、ベースボール・マガジン社「フォーク・ヒーロー モハメド・アリ/バッド・シュルバーグ」(線引きあり。そして『フォーク・ヒーロー』って何だ?と戸惑っていたら、どうやら『民衆の英雄』という意味らしい)を500円で購入する。おっ、「旅猫雑貨店」のショップカードが、いつの間にか騙し絵トランク風の素敵なものになっている!と喜び手にして、『弦巻通り』を風のように吹き抜けて帰る。市は25日(日)まで開催されている。
neko_no_furuhonichi0616.jpg

家に帰り着いて仕事を片付けた後、日曜の準備に取りかかる。すでに選別した本をチェック&軽くクリーニング。そしてさらにキモになるべき本を何冊か、改めて家の中から探し集める。というわけで、日曜の「みちくさ市」をみなさま何とぞよろしくお願いいたします。首を殊更長くしてお待ちしております。
0618jyunbi.jpg
だが今現在、日曜の天気にちょっと不穏な動きが見られるのが、とても心配である。万が一、万が一雨天中止なんてことになれば、準備した古本がもったいないので、その時は西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)内で厚かましくしめやかに古本を販売予定。場所は帳場右横の時代劇&SF棚前。もちろん棚を見たいお客さんが現れれば、邪魔をせぬよう速やかに場所を空けるつもりであります。ついでなので雨の日サービスということで、店内「古本ナイアガラ」の「フォニャルフ」棚の本も、一割引で販売いたします。さぁ、みちくさ市か店内独り販売か、その行く末は神のみぞ知る!日曜当日朝八時の発表にご注目あれ!頼む、お願いだから雨よ、降らないでおくれ!

■第37回 鬼子母神通り みちくさ市
■2017年6月18日(日)11:00〜16:00
■雑司が谷・鬼子母神通り 東京都豊島区雑司が谷2丁目・鬼子母神通り周辺 東京メトロ副都心線・雑司が谷駅1番出口または3番出口すぐ
■お問合わせ michikusaichi●gmail.com(●をアットマークに変えて送信してください) みちくさ市本部 携帯電話:090−8720−4241
http://kmstreet.exblog.jp/
■雨天中止(当日8:00に天候による開催の有無を決定します)
posted by tokusan at 20:56| Comment(2) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月14日

6/14見事な空振りだったので「獄門台の屋敷」を熟読してしまう

朝から日曜の「みちくさ市」と大阪へ送る補充古本の準備に勤しむ。午後に外出して直接西荻窪入りし、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)で「フォニャルフ」棚に補充する。本棚探偵の「ひとたな文庫」が相変わらず探偵小説的に凄まじい並びを見せているので、無意識のうちに大枚をはたいてしまいそうになるが、今回はググッと我慢して新刊の湘南探偵倶楽部叢書臨増版「怪奇小説 獄門台の屋敷/橘外男・作 伊勢田邦彦・え」を2100円で購入する。
gokumondai_no_yashiki.jpg
「おもしろブック」に連載された全十二回の残虐化け猫大活躍小説復刻本である。四回分が『懸賞付き怪奇小説』となっているが、そのうちのひとつの穴埋め問題の答えが『いぬの五郎は、芹沢博士にばけたばけねこにころされた』っていうのが酷過ぎる!などと悶えつつ、色々打ち合わせし、日曜に配布する予定の「中央線古本屋合算地図」トークイベントちらしを受け取る。まだまだ参加者募集中ですので、どうか心に秘する思い出の古本屋を携えてお集まり下さい。6/25(日)はぜひとも古本屋話に熱く火をつけまくりましょう!

「中央線古本屋合算地図」刊行記念イベント
『オカタケ・古ツア中央線の古本屋を語る』
■開催日:2017年6月25日(日)
■出演:岡崎武志、小山力也(古本屋ツアー・イン・ジャパン)
■開場:17時
■開演:17時30分(19時30分終了予定)
■定員:25名
■参加費:1,000円
■場所:西荻窪・銀盛会館 JR西荻窪駅南口徒歩5分 杉並区西荻南2-18-4
※参加費は当日会場受付にてお支払いいただきます。
■予約受付→http://seirindousyobou.cart.fc2.com/ca13/318/p-r-s/

お店から離脱し、中央線から西武多摩川線と乗り継ぎ、ついに昨日開店したという新しい古本屋さんに勇躍向かう。小さな駅前の鄙びた商店街にそのお店は…あぁ!し、閉まってる!肩を落としながら近づくとシャッターには貼紙があり、哀し過ぎる『本日休業』のお知らせが…タイミングが悪かったか…いや、これはこの先に楽しみがずれ込んだだけなんだ…全く持って、焦らすのが巧みなお店だぜ…そんな風に明るく変態的に思考を展開させ、つい先日来たばかりの東小金井駅へ。ホームに上がり、丁度滑り込んで来た高尾行きの電車を見た途端、衝動的にちょっと遠くに行きたくなってしまう。即座に西を目指す車両に乗り込み、後は一心不乱に買ったばかりの「獄門台の屋敷」を読み耽る。物語もスカッと残酷に進んで行くが、伊勢田邦彦の絵に本当にゾッとしてしまうほどの迫力があり、当時これを読んだ子供たちの暗い夜を、本気で心配してしまう。すると車窓に黒々とした山塊が近づき、三十分ほどで高尾駅着。跨線橋から改札を抜け、『高尾名店街』に入り込み、通路の奥を曲がって久々の「文雅堂書店」(2009/11/18参照)前に立つ。…うわぁ!定休日だ!古いアコーディオンシャッターの向こうに、剥き出しで本が見えているが、触れることも買うことも出来ないなんて…。
bungadou_teikyubi.jpg
だが哀しいはずなのに、ショッピングセンター内でシャッターが閉まっていると、即座に映画『ゾンビ』を連想してしまう、愚かな自分がそこにいた。脳がそんな風に仕上がっているので、もはや仕方のないことなのである。まぁ残念なお休みの光景で、そんなことを少しでも思えたのなら、来た甲斐があるというものじゃないか…。またもや思考をアクロバチックに幸福寄りにして、すぐさま中央線の人となり、気になっていた「獄門台の屋敷」の続きを、中央特快のスピードに同調して高速で読み進める。空振りしたおかげで、クレージーな怪奇小説の世界にどっぷり浸りながら、夕方の阿佐ヶ谷着。私はただただ、この小説を読むためだけに電車に乗っていたかのようだった。楽しかったが、心に沈殿してしまった空振りの空虚さを埋めるために「ゆたか。書房」(2008/10/19参照)に立ち寄り、青弓社「電子的迷宮 電子テクノロジーの神話学/志賀隆生」を500円で購入する。羽良多平吉の造本設計が尖った一冊で、ウィリアム・ギブスン、P・K・ディック、「2001年宇宙の旅」、「トロン」、「ブレードランナー」などを引き出しにした、電子テクノロジー+SF論である。
yutaka_yuhi.jpg
写真はビルの間から差し込む夕陽を受けるお店の看板である…美しい。
posted by tokusan at 19:42| Comment(4) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月12日

6/12悪の華文庫に高架下で出会う

どうやら小金井方面に新しい古本屋さんの胎動があるらしいので、何はともあれ見に行くことにする。その前に駅に向かう道すがら「銀星舎」(2008/10/19参照)に立ち寄り、ダンナさん店主と「文成堂書店」(2012/09/11参照)閉店の話など。作品社 日本の名随筆64「怪談/高橋克彦編」徳間文庫「世界のインスタント食品/森枝卓士」を計200円で購入し、中央線で西に向かい、ある私鉄駅近くの商店街へ…だが探し当てたお店は、武骨なシャッターを下ろしてしまっていた…う、む…貼紙も何もないので、結局詳しいことは不明なまま…まぁ場所が分かっただけでも、良しとしておこう。フラフラと小さな商店街から離脱して、そのまま住宅街を突き抜けて東小金井方面に向かうと、意外な脇道に「BOOK・ノーム」(2009/02/13参照)が鼻面を向けているのを発見。それは違った角度から見る、街の新しい顔である!
book_norm0612.jpg
そうか、ここに出るのかとフラフラ吸い寄せられ、路面より高いコンクリステップに上がり、一冊50均三冊100均台とにらめっこ。角川文庫「黒いトランク/鮎川哲也」(初版)河出文庫「恐怖通信/中田耕二編」の二冊を百円で購入。帳場の優しいご婦人は「三冊百円ですよ。もう一冊いかがですか?」と二度も優しく勧めてくれるが、笑顔で固辞する。いや、もうこれらが買えれば充分なのです。その後は駅まで歩き、さらに高架脇の新しい道を東に向かって歩き続けてしまう。高架下には洒落た商店が連なっており、中には一瞬『古本屋か?』と思ってしまったフリーペーパーの専門店も出来ていたりする。道と高架は、直線とは言い難い、微妙なうねりを見せながら、遥か彼方の燐駅まで続いている。そこをテクテク辛抱強く歩き通し、武蔵境駅に到着。ではここまで来たなら当然「浩仁堂」(2011/02/15参照)だろうと足早に向かい、誠文堂新光社「発砲スチロールのアイデア工作集/堂本保」潮出版社「狐のだんぶくろ わたしの少年時代/澁澤龍彦」を計300円で購入する。
koujindou0612.jpg
隣駅同士とは言え、「BOOK・ノーム」と「浩仁堂」をつないでしまうとは、我ながらマニアックなツアールートを開拓してしまったものだ。とニヒルにニヤつきながら中央線でさらに東へ。なんだか気分が乗って来たので、阿佐ヶ谷を通り越して高円寺駅で下車。年季の入った高架下の「都丸書店」(2010/09/21参照)通路側外棚に張り付くと、好みの古い本をチラホラと確認。函ナシの「東京朝日新聞社小観」は昭和二年発行の新社屋竣工記念出版である。社屋内の写真がたくさん掲載されているのが嬉しい!と掴み取る。萬里閣書房 悪の華文庫「聖代暗殺事件/高田義一郎」は函が傷んではいるが、装幀がとてもいかがわしい、明治・大正・昭和・海外の暗殺事件を集めた一冊である。
akunohanabunko.jpg
それにしても『悪の華文庫』とは、何たるネーミングセンスであろうか。爛熟し過ぎた文化の饐えた匂いが漂うかのよう。巻末の広告を見ると、『怪奇・戦慄・悽惨・嬌艶』とあり、他に「スパイ跳梁」「身の毛のよだつ話」「ジプシイの明暗」「刺青を剥ぐ」「支那艶秘録」「春の辭典」などがラインナップされている。と言うわけで昭和初期の息吹を吸収するために、この二冊を計1000円で購入する。何度も繰り返すようだが、それにしても『悪の華文庫』とはなぁ…ほんのちょっと格好良いなぁ…。
posted by tokusan at 19:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月08日

6/8『中央線古本屋合算地図』トークイベント詳細!

本日は曇り続きで雨が降るはずだったのに、少しだけの雨と気持ち良く晴れ渡った空に弄ばれ、夕方の南荻窪に流れ着く。…ここからなら…とりあえず荻窪方面に向かうか…そうだ、『善福寺川』近くの古本も少々扱っている古道具屋「田中商店」(2013/07/26参照)でも覗いてみるか。だがお店はシャッターが下ろされており、小さなメモのような貼紙が一枚…『6/8は市場のためにお休みします』…何てこった。しかしちゃんと営業と仕入れをしているようなので、偉そうに安心してお店の前を離れる。とにかく荻窪駅に向かおうと、ごちゃついた道を切り抜けて行くと、いつの間にか『南口仲通り』に出て、「中央線古本屋合算地図」でとてもお世話になった「竹中書店」(2009/01/23参照)前。そんなにお世話になっているのに、私は店頭300均台の本にしか手を出さない不忠者なのである。同型の木製台が二つ並び、単行本を背を上にして、およそ一列二十五冊×四列×2で、二百冊の古本の小さなプールが出来ている。上部には独特なプラ板製の値段札があり、ちょっと果物屋のような素敵な色合いで値段を示している。
takenaka_tentou.jpg
そして“均”の文字の可愛く独特なこと…あぁ、私は二日続けて、古本屋に関わる変わった書体について語ってしまっているのだな。だがこういう時代を感じさせる、独特な細部を愛でることは、私にとっては古本屋を楽しむ、大事なエッセンスのひとつなのである。リブロポート「TRAVERSES 4 恐怖/今村仁司監修」を300円で購入する。

そんな「竹中書店」さんも対談ページで登場する「中央線古本屋合算地図」のトークイベントのもろもろがバタバタと決定!みなさま、中央線沿線の古本屋を愛するみなさま、たくさんの古本屋を知っているみなさま、幻の古本屋を胸に秘めているみなさま、中央線の古本屋について知りたいみなさま、どうか奮ってご参加下さい!今のところの予定では二部構成を想定しており、一部は編著者二人で語り合い、二部は会場にご参加のみなさんも交え、思い出の古本屋や本に掲載されていない古本屋などについて語り合いたいと考えています。うまく情報が集まれば、合算地図がより強固なものへと進化するはず!楽しみだ〜!

「中央線古本屋合算地図」刊行記念イベント
『オカタケ・古ツア中央線の古本屋を語る』
■開催日:2017年6月25日(日)
■出演:岡崎武志、小山力也(古本屋ツアー・イン・ジャパン)
■開場:17時
■開演:17時30分(19時30分終了予定)
■定員:25名
■参加費:1,000円
■場所:西荻窪・銀盛会館 JR西荻窪駅南口徒歩5分 杉並区西荻南2-18-4
※参加費は当日会場受付にてお支払いいただきます。
■予約受付→http://seirindousyobou.cart.fc2.com/ca13/318/p-r-s/
0625_event.jpg
posted by tokusan at 20:58| Comment(6) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月05日

6/5寂しい懐なぞ突き破れ!

愚かにも、また同じことを繰り返している。昨日買い逃した本を、慌てて翌日に買い急ぎに向かっているのだ。あれだけ先日、『欲しい本を見つけたら、その場で買え!』と心に固く刻み込んだはずなのに。しかもまた同じ「大河堂書店」(2009/03/26参照&2017/05/15参照))でである…。実は昨日は経堂に流れ着ついたので、早めの定点観測風に「遠藤書店」(2008/10/17参照)と「大河堂書店」を訪い、古本を購入。そして「大河堂」で精算をしている時に、帳場下の棚に、初めて見る探していた本が並んでいるのを、発見したのである。弘文堂フロンティア・ブックス「団地七つの大罪/竹中労」である。精算の短い合間にフヌッ!と抜き出し、カバーに一瞬だけ見蕩れる。そして急いで値段を見ると2500円であった…精算と包装が終わりそうなので、瞬きするような短い時間の間に、思考をビュビュンと巡らす。今、寂しい懐には四千円しかなく、買った本の出費にさらにこれを合わせると、小銭だけになってしまう。…ちょっと使い過ぎじゃないか…。この「団地七つの大罪」は、レア本と言っても、どうせ五〜六千円だろう。安いは安いが、今無理に買わなくとも良いのではないか。一旦お店を出て銀行でお金を下ろし、再び買いに来れば…いや、それは何だか決まりが悪いな…。などと思考し、結局棚に戻して、買わずにそのままお店を出てしまったのである。だがやはり、商店街の帰り道で、そして電車のシートに座って考えるのは「団地七つの大罪」のことばかり…挙げ句家に戻って本の相場を調べてみると、勘違いも甚だしく、同じ竹中労の他のフロンティア・ブックスより、遥かにレアだったのである。さぁ、そんなことが分かってしまうと、もう欲しくて欲しくてたまらくなってしまう。ただただ読みたいという崇高な気持ちと、レア本を安く買えるという卑しい心持ちが強力に合体し、古本修羅の頭脳と体内に力と欲望を無闇に漲らせるのだ!己の不明を恥じるより、欲望の方が俄然強さを発揮してしまうのだ!というわけで本日、売れてないことを無様に祈りながら、開店時間十五分過ぎのお店に駆け付けたわけである。ご婦人が店内の清掃中であるが、もうなんにも目もくれずに帳場へ直行すると、あった!よかった!181ぺージの薄手の新書サイズ本を素早く取り出し、精算して我が物とする。『欲しい古本は見た時に買え!』『寂しい懐なぞ突き破れ!』『銀行で金を下ろすことを、店に再入店することを、臆するな!』と色々心に刻み込んだ、気持ちの良い六月の明るい正午である。
danchi_7taizai.jpg
嬉しくてお店の前で記念撮影。千葉の高根台団地に住み、自治会長まで務める三十六歳・竹中の異色ルポルタージュである。膨大な団地人たちからの聞き書きとデータと自らの体験を元に、ルポライター&自治会長としての独自の視点で構成されており、読み始めると当時の団地ブームの裏側が、猥雑に立ち上がって来る。幸福の足元に底無しの不安が埋まっている、新しい白い世界、団地!1964年の出版だが、同年に早くも東宝で喜劇として映画化されている。
posted by tokusan at 13:30| Comment(2) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする