2016年10月03日

10/3『赤い殺意』と『他人の顔』と『天國の記録』

午前中に駅で仕事の受け渡しをし、些事を済ませてから“ええぃ!”とそのまま神保町に向かうことにする。だが歩き始めた本の街は、ちょっと前に強い雨が降ったようで、店頭は雨仕様だったり、午前十一時過ぎなのに開いていないお店もあり、ちょっと冴えない感じ。おまけにこの雨上がりの蒸し暑さが、体力と思考をじんわりと奪っているようで、古本心さえもダラダラと路上に溶け流れて行く。街もこちらもそんな調子なので、なかなか本を買うことが出来ない。だがエントランス内に隠れた「書肆高山本店」(2014/01/27参照)安売ワゴンで、端緒となる三冊をようやくつかむのに成功する。火の国の人々新社「びいどろ人国記/村上菊枝」東京漫画スケッチ会「漫画百年 33号」(漫画家集団の同人誌で、うしおそうじの『中村書店ものがたり』や『藤子・F・不二雄さんお葬儀に参列して』などを掲載)東方社「悪童武蔵/井口朝生」(献呈署名入り)を計600円で購入する。そんな風にエンジンにどうにか火が入り、信号が変わりかけの『神保町交差点』を走って渡り、「アムール」(2011/08/12参照)で講談社文庫「オフィス・ゲーム/草森紳一」白水社「標準佛蘭西會話/目黒三郎」シンフォニー楽譜出版社「ポケット民謡」(小富士という記名があり、芸者さんが使い込んだ形跡あり。手書きの十八番リストも挟まっていた)愛育社「ポケット米日實用辭典」改造社世界大衆文學全集「永遠の都/戸川秋骨」を計300円で購入する。そのまま『白山通り』を北上して、「日本書房」(2011/08/24参照)で店内右側通路に引き込まれた安売木製平台から、日活映画シナリオ「赤い殺意/原作:藤原審爾 監督:今村昌平 脚本:長谷部慶次・今村昌平」(日活もこんな新書サイズのシナリオ集を出していたのか)東宝シナリオ選集「他人の顔/原作+脚本:安部公房 監督勅使河原宏」を計千円で購入し、心中でどひゃっほう!とつぶやく。雨が降り始めてしまった。折り畳み傘を差しながら、ここもご多分に漏れず雨仕様の「有文堂書店」(2010/09/03参照)前を通りかかると、シートのかけられていない店内木製ワゴンに素晴らしき本が乗っている。函ナシだが中央公論社「天國の記録/下村千秋」じゃないか。竹中英太郎の装幀や挿絵が、心の粘膜に遠慮会釈なく引っ掻き傷を付ける一冊である。縦型の値段札帯に300円とあるので、喜び勇んで奥の帳場に持ち込むと、精算時に外された帯の下から、白い和紙で修復された痕が現れた…やるな、オヤジさん!安さに目が眩んで、まったく気付かなかった…だがそれでも、嬉しい!買った本を濡れないように、胸高に持ち上げて、完全に傘の庇護下に入れて駅へと向かい、本日の神保町パトロールは無事終了。
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「天國の記録」と「赤い殺意」と「他人の顔」。「他人の顔」は、表紙デザインから本文のレイアウトまで、抑制の効いたスタイリッシュな美意識が、絶妙に行き渡っている。
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2016年10月02日

10/2「LOFT9 BOOK FES 2016」を無事に完走し終える。

朝からダンボールにしこたま詰め込んだ古本塊をガラゴロ転がし、総武線→山手線と苦労して乗り継いで、午前中から人だらけの渋谷の繁華街を強行突破し、円山町の坂を上がって『LOFT9』(2016/06/28参照)に到着する。ガレージ的エントランスでは、すでにプロ古本屋さんによる古本市の準備中。段差をかろうじて乗り越えて中のカフェに入れば、そこでは半玄人の一箱常連者たちが、小さなお店を長テーブルの600mm×420mmの範囲に設営中であった。慌てて用意してきた古本を並べ始めるが…スペースがわりと小さく、気合い入れ過ぎて本を持ってき過ぎたことに気付く…ま、まぁいいか。昼飯後の正午、古本市がゆっくりとスタートする。奥のフロアでは断続的に四本のトークが行われ、こちらは午後六時半までの長丁場を販売に従事する行程である。最初はいつもの古本修羅たちが駆け付け賑わうが、その波が引き、やがてトークが始まると、時間の流れとお客さんの流れがゆったりとなる。そんなことを二時間スパンで三回ほど繰り返しながら、どうにかこうにかゴールまで完走する。とても楽しかったが、座って声を出しているだけなのに、どうしてこんなにも体力を消耗しているのだろう…だがその甲斐あって、売り上げは五十二冊を数え、ようやく先月の売り上げ八冊のトラウマから解放される。本をお買い上げのみなさま、言葉を交わして下さったみなさま、初めての方もいつもの方も、本当に本当にありがとうございました。そんな中久々にお会い出来た、「火星の庭」(2008/05/26参照)の前野さんや、普通にお客の中に紛れていた角田光代さんと言葉を交わすことが出来たのは、ほんわか幸せでした。それに、ネット環境につながっていない蕨の「古書なごみ堂」に、当ブログの記事(2016/08/14参照)をプリントアウトし朗読に行って下さった方の情が、殊更胸にしみました。そしてせっかくたくさんの古本に囲まれていたのに古本は一切買わず、その代わりに新刊本販売で参加していた、新潟から遠路遥々お越しの「北書店」さん(2015/05/06参照)から、もはやデッドストックとも言える盛林堂書房「野呂邦暢古本屋写真集」を定価で購入する。手持ちが後一冊となっており、予備が欲しいと常々思っていたのである。と言うわけで「野呂邦暢古本屋写真集」を渇望しているみなさま、まだ「北書店」には何冊か残っているようなので、喉から手を出してコンタクトしてみることをおススメします…。五十冊売れたとは言え、撤収して箱に詰めると、やはり残念ながら、カートは充分な重さを保ったままであった。会場のみなさんに別れを告げ、道玄坂方面から帰ろうと、百軒店を突っ切るコースを選択する。すでに夜の帳が降りたラブホテル街は、たくさんの若者が行き交い、当然夜はこれからという活気にみなぎっている。坂の途中で、底を地面に擦りそうな無様なダンボール古本カートを停め、一枚写真を撮ってみる。何の因果で、この享楽の街を古本引き摺り、ノロノロと進んでいるのか。それが、自分の選んでしまった古本人生だから、仕方ないと言えば仕方ないのであるが…。
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疲れ果てて家に帰り着くと、最新号のトマソン社「BOOK5 Vol.21」が届いていた。連載「古本屋ツアー・イン・ドリーム」は、『関東大震災直後の神田古本屋街』を歩きます。そして、あの考現学の大家に妄想で出会います。お楽しみに!
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2016年10月01日

10/1軽い気持ちで仮名垣魯文!

明日のブックフェスへの参加準備を、早朝から粛々と進め、作業はもはや佳境に。締めに備品を買いにコンビニに走るついでに、「帰って来たJ-HOUSE」(2015/12/26参照)の朝市を冷やかしてみる。すると、おっ!久々に100均和本箱が一箱出ているじゃないか。もう猛者どもがすっかり荒らし立ち去った後であるが、箱の中はキレイなもの。ゆっくりと落ち着いて、一冊一冊の品定めに入る。謡曲本や漢詩の本や書の本が多いのが、安売和本の常であるが、この箱も例外ではない。だが、面白そうな本が少しずつ、底の方から姿を現し始める。徳川家康や二宮尊徳の伝記もの。幕末の志士もの…ふむ、牛鍋屋の客の西洋かぶれについて聴き取った本…面白そうだな。蛸入道と竜宮城か…。歐洲小説?…いったいなんだろう?などと、挿絵の面白いものを三冊ばかりセレクトし、もう一冊の大正時代ガイド本とともに店内で精算。すると四冊なのに薄手の一冊を見逃して「300円ですね」と言われる。卑しくこのまま買っても良かったのだが、四枚の100円玉を出し「四冊だから400円ですよ」と伝える。すると平野啓一郎似の若旦那は「な、なんと正直な。ありがとうございます。ではその正直さのお礼として、100円お返しします」と結局300円で売ってくれたのだった。なんだかありがとうございます。と、ここまでは爽やかな話。その後買物を済ませて家に戻り、買ってきた本をペラペラ…おわっ!これ、二冊がメジャー戯作者・仮名垣魯文の本じゃないか!一冊は校閲してる本だ!と仰け反り驚く。存誠閣「大洋新話 蛸入道魚説教/仮名垣魯文著 河鍋暁斎画」(明治五年)「牛店雑談 安愚樂鍋 初編/仮名垣魯文」太誠堂「歐洲小説 哲烈禍福譚 巻八/仮名垣魯文閲 宮島春松譯」と、それに上田書店「能登半島/山田毅一」である。とにかく魯文関連の本が楽しい。知識の無さから文字の判読がところどころ難しく、なんとかかろうじてたどれる程度だが、とにかく挿絵が素晴らしいのだ。特に暁斎の竜宮城シーンは絶品中の絶品。こんなハイレベルなものが100円とは!と喜びつつ、やはりどのくらいするものなのか、値段が気になるので『日本の古本屋』でちょっと調べてみると、ななななななななななななななななな、なんだこの高値は!…あまりにも和本に対する知識が欠如しており、なんだか単純に喜びと素直に結びつかない…本当だろうか?何か間違いがあるのではないだろうか?…よってどひゃっほうとは、まだ叫べない…これはもうちょっと、ちゃんと調べてみることにしよう…。
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と言うわけでどひゃっほう判断保留の三冊は、左上の「安愚樂鍋」右上の「蛸入道魚説教」(蛤が竜宮城のビジョンを吐く“蜃気楼”の絵も美しいのだ!)右下の「哲烈禍福譚」。

そのしばらく後、何だか気になったのでもう一度箱を覗きに行くと、来た甲斐がありまくりの面白そうな二冊を発見。金松堂「義烈回天百首/染崎延房編」丸屋徳藏「粋興畸人伝/仮名垣魯文・山々亭有人編 一恵齊芳幾画」を計200円で購入する。両方とも人物画入りのミニミニ百科事典的構成。こちらもよく調べてみよう…。
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2016年09月28日

9/28古本屋ツアー・イン・ゲラ

ほとんど外に出ず、一心不乱に「古本屋ツアー・イン・京阪神」のゲラを読み込んでいる。入稿が間近に迫り、もはや編集さんもデザイナーさんも、まるで「首都圏沿線」を作っていた去年の今頃を見る如く、恐ろしく消耗してしまっている。だがおかげさまで、良い本に仕上がる予感がヒシヒシと、白く眩しいゲラから伝わって来るのである。今回の単行本は、いつもとちょっと趣向を変えたページもあり、バラエティに富んだ感じに仕上がるであろう。斯様な状態なので、今日は実際の古本屋さんには足を運べないのだが、己の書き連ねた、京阪神の古本屋さんの夢と体験を文中から掬い取るのも、非常に切羽詰まっているのだが、とても楽しいものである。京都、大阪、神戸、阪神間、奈良、滋賀……あぁ、楽しく苦しかった十ヶ月間のすべてが、ここに封じ込まれているようだ。これは、確かに古本屋の調査記録なのだが、私の長い一連の旅の足跡でもあるのだ。と言うわけで、間近に迫ったゴールに悔いなく飛び込むために、まだまだがんばって作業を続けます…。
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「古本屋ツアー・イン・京阪神」については→http://www.webdoku.jp/kanko/page/9784860112929.html

そして「梅田蔦屋書店」で一ヶ月に渡って開催された「夏の古書市2016」も、いよいよ本日9/28が最終日。遠く東京から送ったおかしな古本たちを、見に行って下さったみなさま、お買い上げ下さったみなさま、誠にありがとうございました!…でも、追加も含めてどっさり送ったので、それがドカカカっと戻って来ると思うと、ちょっと寒気が…ブルルル。

そして夕方、ちょっと雨のパラつく表に出て、ゲラの受け渡し。息抜きに「ゆたか書房。」(2008/10/19参照)の店頭を覗き、新宿区教育委員会「ガイドブック 新宿の文化財(7)建築」を300円で購入する。昭和58年刊で、その当時新宿に残っている文化財を中心に、寺社建築・住宅建築・公共建築・町なみについて、フィールドワークした全106ページの小冊子である。コリント式の柱がある法身寺や、西早稲田の下宿屋・スパニッシュ・スタイル旧小笠原伯爵邸・旧陸軍士官学校本館・四ツ谷駅・武蔵野館・天竜寺界隈などに激しくときめくが、慶応大学医学部に残る木造建築が秀逸で、特にこの『慶応大学医学部東門警備室』がミジメでエレガント!大変に激渋な、大正九年の木造小建築なのである!今でも残っていたら、すごいな…などとページを繰りつつ、しばしの現実逃避…さぁ古本は買った。ゲラだ、ゲラだ!
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2016年09月26日

9/26仕事の煮こごりから抜け出すように古本を買う

色々進行しているすべての仕事が待ち状態になり、なんだかにっちもさっちも行かない宙に浮いたような状況に陥る。まるで、仕事に煮こごられたみたいだ…。そんな中、原書房からの急なサイン本作成の依頼をこれ幸いに、思い切ってすべてを振り切るように表に飛び出し、新宿御苑前に急行する。「古本屋ツアー・イン・ジャパン」と「古本屋ツアー・イン・ジャパン それから」に識語署名捺印をする。出版から時間が経っても本を買っていただけるのは、誠にありがたいことである!

二冊の本の売り上げに刺激された、なけなしのプライドを胸に、『新宿通り』を西へ歩いて行く。途中には、閉店してしまった「昭友社書店」(2016/07/02参照)がある。立ち止まって二階部分を見上げると、小さな三角形が連続する美しい意匠があることに、初めて気付く。日除けの下の壁棚や硝子ウィンドウは、錆びたブリキ板で覆われてしまっている。もはや二度と開くことのない本の並ぶべき場所たち…ブリキ板に悪戯書きされたキン肉マンの超人が、通りに白い睨みを効かせている…。
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『靖国通り』に出て、『サブナード地下街』に転げ落ちるように下り、「古本浪漫洲」(2010/03/04参照)に立ち寄る。なんかいつもより端っこの方で整然としている古本市である。少年社「東京徘徊/冨田均」を見つけ、500円で購入する。そこから、サブナードから少し上がって地下通路を伝い、副都心線で西早稲田に向かう。曇り空の下の蒸し暑い空気を掻き分け、『早稲田通り』谷下の「古書現世」(2009/04/04参照)に顔を出す。呂古書房「呂古 古書の手帖6」日本小説文庫「武蔵野から大東京へ/白石實三」を計800円で購入しつつ、店主・向井氏といよいよ後六日と迫った「LOFT9 BOOK FES 2016」やイベントの楽しさ難しさについて意見をあれこれ交わす。一時間ほど話して出た結論は、時々『キク薬局ガレージ』で行う某アイドルアーティストの物販を、一度見た方が良いということであった。いつか勉強させていただくことを約束しつつ、日曜の再会を約してお店を辞去する。そしてみなさま、日曜渋谷の円山町でお待ちしておりますので、どうか若者の街を突破して、古本を買いに来ていただければ!豪華なトークも残席僅かとなっておりますので、こちらも併せてぜひ!

10/2(日)
BOOKS 9 × 鬼子母神通り みちくさ市 presents「LOFT9 BOOK FES.2016」
■LOFT9 Shibuya 〒150-0044 東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS(キノハウス) 1F
■OPEN 12:00 / START 12:30(終演:22:30予定 / 古本市は18:30まで)
■LOFT9の軒先では、全国から個性的な本屋さん10店舗が「いま、本当に売りたい本」を持って集結!店内では9店舗が一期一会の古本フリマを開催します。さらに、本ズキにはたまらない出演者をそろえたトークイベントを1日通して4本開催!
※ブックフェスは入場無料!
※トークイベントへの参加は前売り¥1,500 当日¥2,000(税込・要1オーダー500円以上)です。前売券は9/2(金)正午12時よりe+にて発売
詳しくは→http://www.loft-prj.co.jp/schedule/loft9/48398

そして家に帰ると、案の定なにひとつ進展していなかった…苦しい煮こごり状態に再び突入する…。
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2016年09月23日

9/23一日を目録から始め目録で素早く終える

昨日貰った『第122回 五反田遊古会』(2013/01/19参照)の目録をパラパラ捲っていると、「古書 赤いドリル」の見開きがある意味贅沢にぶっ飛ばしているため(なんたって12点しか載ってないのだ)、大いに触発されて『南部古書会館』に向かう。開始時間が午前十時からと思っていたら、なんと一階は午前九時半スタートだったのか…完全に出遅れた午前十時過ぎにその一階に突入すると、雨が一瞬上がったのを幸いに、外にちょっと古めの新書サイズ本を並べた平台二つと、雑誌だらけの平台が出されている。この雑誌だらけは、ガーレジフロアまでその触手を伸ばしているようだ。わりと緩やかな古本修羅の波に紛れ、おかしな新書サイズ本の波に揉まれつつ、久保書店「世界脱獄史/森川哲郎」日本教文社「尚武のこころ 三島由紀夫対談集」ベルブックス「ギャンブル風土記/大隈秀夫」を計600円で購入し、「赤いドリル」さんと「青聲社」さん(2011/10/17参照)にご挨拶。一旦表に出て横の階段から会館内に再突入し、荷物を預けて二階へくるっと上がる。おぉ、ここは各通路に修羅が溢れ、始まったばかりの熱気に満たされている。途中「古書一路」さん(2013/03/08参照)に挨拶し、遠目に首にタオルを下げた「月の輪書林」さん(2012/03/19参照)を見かけ、二階も妙な新書サイズ本が多いことに感心し、河出新書「當世怪談集/長谷健」冨山房百科文庫「世界童謡集/西條八十・水谷まさる共譯」報知新聞社「青い群島/藤島泰輔」久保書店「バケのかわ ふしぎ現象を解剖する/石川雅章」(これが今日一番の収穫か。魔術・手品・真剣白刃取り・ヨガ・心霊現象・テレパシー・占い・奇蹟、そしてさらには神にまで切り込み、怪し気なものを一刀両断暴露するノベルス本)を計1400円で購入する。何だか今日は新書ノベルスタイプの本ばかり買ってしまった。この大きさのソフトカバーの本には、まだまだまだまだ知らない見たことのない本ばかりで(しかもいかがわしくインチキ臭いものが多い)、心が盛大に萌えてしまう…。そしてとっとと家に戻ると、ポストに一冊の見慣れない目録が届いていた。これは、熊本の地元デパート『鶴屋百貨店』で開かれる「第四十七階 古書籍販売会」の目録か…ビニールを引き裂き、ページを紐解くと、その九割が「舒文堂河島書店」(2008/12/22参照)の出品物で占められていた。そうか、一度飲んだことのある「舒文堂」の若旦那が送ってくれたんだな。感謝しつつ、さらに目録を読み込んで行く。「月刊中京 推理小説特集」がものすごく気になる…地方出版社の雑誌だろうか?そして何が、誰が掲載されているんだろうか…?目録出品店は残りの一割が「天野屋書店」になっているが、最終ページの販売会参加店を見ると、二店に加え「ほると書房」「古本じざい屋」「エターナルブックス」の名が記されている。調べると「エターナルブックス」は実店舗があるみたいだ。どうにかしていつの日か見に行きたいものである。後は家でおとなしくお仕事に従事する…。
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2016年09月22日

9/22古本屋さんでちょっと仕事をする

雨の中、カメラを担いで西荻窪に出向き、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)の「フォニャルフ」棚に多少補充してから、小野氏に帳場周りを片付けてもらい三十分ほど秘密の仕事に従事する。これはいつもの『盛林堂ミステリアス文庫』の仕事ではなく、盛林堂さん本来の姿である古本屋に関わることである。出来上がったら、とても貴重&資料性の高いものになりそうな予感がヒシヒシと走っているので、どうか刮目して盛林堂さんからの何らかの発表をお待ちいただきたい。

パパパパパパッと素早く仕事を済ませつつ、十月発売の新刊「古本屋ツアー・イン・京阪神」の取扱をお願いしてから、西荻窪を離脱し一駅移動して荻窪下車。すると地下の改札前で、本の雑誌社編集長の浜本氏とバッタリ。慌てふためきながら挨拶するも、「これから「ささま」ですか?」と行動を一発で見抜かれてしまう。と言うわけで雨仕様の「ささま書店」(2008/08/23参照)。珍しく表に一本も本棚が出ておらず、左側通路手前に、二本の単行本棚がくの字に置かれている…う、裏側が、み、見難い…。結局表の315均棚から、。せりか書房「カリガリからヒットラーまで/S・クラカワァー」を購入する。そのまま阿佐ヶ谷まで歩き通し、「古書 コンコ堂」(2011/06/20参照)にも立ち寄る。講談社「海の墓標/水上勉」河出文庫「悪魔礼拝/種村季弘」早川書房「鉄の夢/ノーマン・スピラッド 荒俣宏訳」を計324円で購入する。店主天野氏に「仕事は進んでますか?」と聞かれたのを幸いに、ここでも新刊の取扱をお願いしておく。

そしてお知らせです。新刊発売の二日後(恐らくですが…)に、練馬の『南田中図書館』で講演させていただきます。『古書の世界』と題し、今までに樽見博さんや「ポラン書房」さんが登壇されていますが、畏れ多いことに今年は私にお鉢が回って来ました。しかし喜んでお受けしたからには、拙くとも全力でその役目を果たすつもりです。古本屋の面白さとその楽しみ方に加え、全国の素敵愉快な古本屋さんや練馬の古本屋さんを紹介し、もちろん新刊についてもお話しします。みなさま、お誘い合わせの上、練馬の片隅の美しい図書館(ここは本や古書についてのイベントを良く行っており、『練馬ブックマップ』という、近隣の新刊書店・古書店・図書館・こども図書館&文庫・閲覧出来る本が置いてある所を網羅した地図も発行している)においで下さいませ!

『古書の世界』
■第5回 古本屋ツアー・イン・練馬
■日時:平成28年10月23日(日)14時から15時30分
■会場:南田中図書館会議室 定員:40名 参加無料
■申し込み法:お電話または南田中図書館カウンターにてお申し込みください。
練馬区立南田中図書館  TEL:5393-2411
〒177-0035 練馬区南田中5-15-22
http://www.lib.nerima.tokyo.jp/institution/28
■講師:小山力也 氏
『古本屋ツアー・イン・ジャパン』など古本屋巡りの 本を出版されている小山力也氏に、 西武池袋線沿線と
その周辺の古本屋さんを紹介していただきます。 今は亡きあの古本屋が登場するかも!
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2016年09月21日

9/21『LOFT9 BOOK FES』開催当日渋谷古本屋ルート

来る10/2(日)に『LOFT9 Shibuya』で開かれる「LOFT9 BOOK FES 2016」に参戦し、先日の大惨敗「一箱闇市」+雨天中止「みちくさ市」での負け犬気分を、どうにか挽回したいと強く切望している。そこでまずは大いに先走り、当日足を運んでくれるはずの皆さんへのお礼として、渋谷の古本屋ツアールートをここに紹介する。だが調べてみると、開催日となる日曜日は、何と定休日の多いことか!宮益坂上の「中村書店」と「巽堂書店」、西口ロータリー裏の「渋谷古書センター(古書サンエー)」と「Flying books」(ここまでずべて2008/07/24参照)、それに南側の坂の途中にある「東塔堂」(2009/06/18参照)と代々木八幡駅近くの「SO BOOKS」(2010/10/06参照)などが、ことごとくお休みなのである。古本屋さんらしい古本屋さんがほとんどお休みか…だが、まだどうにかなるはずだ!と信じて、実地に渋谷の街を歩き始める…。

最初をフェスのある丸山町から始めるならば、坂を下って東急本店前を東に出て、ビルの間に入り込んで『宇田川交番』方面へ。そこでまずは「ブックオフ渋谷センター街店」で新しめの安売本を探すのも一興であろう。
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もし興味がなければ、さっさと『井の頭通り』に出て、ちょうど北側に当たる「まんだらけ渋谷店」の長く暗い地下への階段をヒタヒタ下る。
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コスプレした店員がステージでカラオケを歌う中、奥の古本売場に照れずに到着し、真剣に古本と対峙すべし。この日は角川文庫「海辺の広い庭/野呂邦暢」を見つけて800円で購入する。地上に出て北西へ向かい、『東急本店』脇から今は“奥渋”と呼び倣わされる神山町&富ヶ谷方面に入り込んで行く。『神山町交差点』脇のミニシアター『アップリンク』のロビー横には、かつては結構大きめな古本売場があったはずだが、いつの間にか今は昔となり、なんだか新刊やグッズに追い立てられ、机の下の一箱&直置きに寂しい姿を晒している状態に。
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さらに道を進んで行けば左手にお洒落本屋の「SHIBUYA BOOKSELLERS」(2010/06/17参照)が現れる。かつては古本も多く扱っていたが、今はそのほとんどが新刊となり、古雑誌やプレミア本に名残を留めるのみ。だが扱う本や選書には、若やいだ独特のセンスが貫かれているので、眺めるだけでも楽しめるはず。
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後は通りを代々木八幡駅方面にズンズン進み、大きくなった『井の頭通り』を越えた所にある、ビル一階奥の開業五周年を迎えた「リズムアンドブックス」(2011/08/10参照)へ。おぉ!平日昼間なのに、次々と人が中に吸い込まれて行く。すごくちゃんと認知されているぞ!と勝手に喜びながら、今日初めてのしっかりしたサブカル的小宇宙古本屋さんを満喫する。
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もしこの時点でまだ物足りなければ、駅方面に向かい、踏切を越え代々木上原まで元気に足を延ばし、坂の下の「Los Papelotes」(2008/07/14参照)へ。帳場横で寝そべるマスコット犬に目を細めながら、半地下階をギシギシ彷徨い楽しめること請け合い。この日は学研M文庫「ゴシック名訳集成 暴威幻想譚/東雅夫編」を1000円で購入し、仮想ルート設定の旅に終止符を打つ。では10/2にBOOK FESとともに、渋谷辺りの古本屋も、お楽しみ下さい。

そして、あっという間に会期があと一週間となりました、大阪『梅田蔦屋書店』での「夏の古書市2016」も、引き続きよろしくお願いいたします!
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2016年09月18日

9/18めげずに明日の準備を怠りなく進める

八冊…その悪魔の数字が、昨晩から頭の中をぐるぐる回り、柔い精神をキリキリ責め立てている。だがめげずに、手を動かして色々準備して、まずは西荻窪へテクテク向かう。途中、荻窪の雨対策モード「ささま書店」(2008/08/23参照)に立ち寄り、新人物往来社「怪奇・幻想・恐怖名作選 異端の文学T・U/中島河太郎編」(大御所&有名所に加えて、香住春吾・大坪砂男・氷川瓏・大河内常平・朝山蜻一・三橋一夫なども収録されている、素敵な仕事です、中島センセイ!)文化出版局「プーさんのお料理読本/ケーティ・スチュアート」八雲書店「小泉八雲選集 落穂/田部隆次譯」を計1260円で購入する。実は後もう一冊、店頭の均一本を買おうとしたのだが、それは元々三冊組で、バラバラになっていたうちの一冊を持って来てしまったらしい。店員さんに店頭棚を大捜索してもらうが、残念ながら後一冊しか見つからず、とりあえず購入をパスすることに。店主と店員さんの応対が物腰柔らかく誠に丁寧で、待たされながらも心和む瞬間であった。
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写真は「落穂」の中に挟まっていた、三角寛が開いた映画館『池袋(東口)人生坐』の上映予定ミニスケジュールチラシ。95mm×130mmで、映画リクエスト用紙付きの裏面は、九月第一週上映予定の『巨人ゴーレム』!

そして「盛林堂書房」(2012/01/06参照)にて、「フォニャルフ」にタスタスと補充する。そのままおとなしく家に戻り、明日の「みちくさ市」の準備に取りかかる。空模様が非常に怪しく、どうなるか分からない状況だが、本だけは揃えておかなければならない。晴れなくとも良いから、雨よ、11時〜16時まで止んでいてくれ!尚当日開催決行かどうかは、午前八時過ぎに「みちくさ市」のHPで発表予定。
http://kmstreet.exblog.jp/
それでは明日、お会い出来たら雑司が谷にて、お会いいたしましょう。
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9/17悪夢の惨敗

すでに昨日のことになってしまったが、『中野ブロードウェイ』にオープンするオマケ&紙物の店「こんぺいとう」を開店時間の正午に見に行く。新たな店舗を求めて四階を彷徨っていると、以前は鉄道関連のお店「流線型事件」(2014/06/05参照)だったところが、どうやら「こんぺいとう」になっており、すでにその店頭には長蛇の列が出来ていた…う〜ん、スパッと入れるかもと思っていたが、甘かったか…。しばらく「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)や「古書うつつ」(2008/06/18参照)で買物をしたりして三十分後に再びお店の様子を見に行くが、残念ながら行列が解消される気配はゼロ。後日またツアーすることにして、仕方なく家へ戻ることにする。そして午後六時前に家を出て、神奈川の白楽に向かい『ヤミ市場 一箱古本市』に参戦。細く長い闇市的アーケード商店街で開かれる、ライブと食と酒と古本の、たった二時間の祭である。
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結果から言うと、もう引退を覚悟するほどの惨敗で、八冊しか売れずに、古本心がバキバキバキバキ折れまくる。唐揚げとビールを手にして通過する人々をひたすら眺めながら、ビールを飲みながら立ち尽くし、時間の経過とともに青ざめ、砂のような惨敗具合を切なく噛み締めまくった次第。だがそれでも、本を買ってくれた天使たちには感謝である(中でも親に全身全霊を懸けてねだり、「ウルトラ怪獣図鑑」を手に入れることに成功した小学生には大大大感謝。願わくば、すばらしきウルトラ社会人になるんだよ)。同じく出店していた「たけうま書房」さん「Tweed Books」さん「雲雀洞」さんにも慰められ(この三人については、2016/07/22参照)涙がちょちょ切れそうになる。ついでに次回の『たけうま会』についても打診され、生きる楽しみまで与えてもらう。それにしても、往きとほぼ同じ重さの古本を持ち帰るのは、体力的にも精神的にも、刑罰のような苦役である。まるで刑務所で、囚人が深い穴を掘らされ、それを再び埋めることを繰り返すような不毛さである。おまけに新宿地下道は23時閉鎖と来たか…。地上に出て、楽し気にさんざめく若者たちの雑踏の中を、重い古本を引き摺りながら考える。19日の「みちくさ市」で巻き返してやる!と。…それにしても、重い…ガラゴロ、ガラゴロ…時刻は夜中の十二時を過ぎてしまった…ガラゴロ、ガラゴロ…。
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2016年09月16日

9/16神保町の地下で、雨宿り古本探し

早起きして一仕事終わらせてから、午前十一時の神保町パトロール。雨は降りそうで降らない、微妙な均衡を保っている。だから店頭も、どちらにでも対応出来るよう、半雨仕様状態。そんな街に水道橋から入り込んで行くが、何も買えずに、ただ「誠心堂書店」(2008/07/25参照)の店奥の上がり框に、可愛い雑種犬がスックと立っているのを硝子越しに確認した収穫だけで、もう『神保町交差点』にたどり着いてしまう。ところが『神田古書センター』前の「みわ書房」(2013/01/18参照)出入口販売ワゴンの一台が、ほぼ仙花紙本で埋まっているのを発見し、即座に色めきたってしまう。硬い本と『銭形平次』が多いことを感じ取りつつ、新潮社海外文學新選第廿九編「小さな町/フイリップ作 小牧近江譯」新潮社「幻想詩劇 死の島の美女/福田正夫」(カバーナシ。偶然にも共に大正十四年の本である)を計630円で購入する。その後は「小宮山書店ガレージセール」(2013/07/12参照)でも、何も買わずに出ようとした瞬間、一冊の薄手で妙に古い本が気になり、手を伸ばしてしまう。非賣品の大正十年刊「妹 安藝子の附録」とある。緑色の表紙にすずらんの花が浮き彫りされた凝った意匠で、内容は帝國飛行協會副會長・長岡外史の令嬢が、不慮の交通事故で死亡した事件の記事を集めた物である。後半は日本国中から集まった香典&弔電リストになっており、パラパラと見ただけでも、岩崎小彌太・澁澤栄一・犬養毅・大隈重信・大倉喜七郎・横河民輔などのビッグネームが散見。これは買わなければ!と後二冊をどうにか選び、光風社出版「おもしろ砂絵/都筑道夫」新潮社「二都物語・鐵仮面/唐十郎」とともに計500円で購入する。パタパタと雨が落ちて来たところに、昨日の打ち合わせ中に「明日の「趣味展」はいいですよ」と言われたことを思い出し、雨宿りついでに、ついつい「東京古書会館」の地下多目的ホールに潜り込んでしまう。
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荷物を預け、古本修羅で賑わうホールに進むと、おぉ!何だか古い本が多いな。ぎょえっ!「冒險世界」と「武侠世界」が裏表紙がなかったりするが、300〜500円で大量に並んでいるぞ。ぐぅっ、武田麟太郎の「暴力」が二千円か…などと各棚前で古本購買選択呻吟。結局懐に優しさを心がけ、春陽堂「風に立つ/藤澤桓夫」淡路書院「怪建築十二段返し/白井喬二」木村書房「コンサイス科學叢書91 世界の人種 上」を計800円で購入する。一階に上がると、ビルの外はますます酷くなった雨。さぁ、帰って明日の「闇市一箱」の準備でもするか…。
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嬉しい今日の収穫三冊。真ん中が「妹 安藝子の附録」。これは調べてみると、タイトル通り「妹 安藝子」という本の附録らしい。右は昭和七年刊の、主にアメリカ・アフリカ・環太平洋の人種図鑑。およそ六十種の民族性豊かな人間のモノクロ写真が掲載されている。

というわけで、明日の夜は白楽へ!恐らくビールを飲みながら立ち尽くして、古本とともにお待ちしております!
■ヤミ市場 一箱古本市
■開催日:9/17(土)20:00〜22:00
■場所:六角橋商店街(横浜市 東横線白楽駅下車徒歩2分)
詳しくは→http://www.rokkakubashi.jp/html/dokkiri_yamiichiba.html
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2016年09月13日

9/13ますく堂は優勝セール中!

雨が一時収まったので、バスと電車を乗り継いで椎名町へ。「古書ますく堂」(2014/07/20参照)が大胆にも、広島カープ優勝セールを行っているらしいのだが、本当なのだろうか?…いやその前に、お店はやっているのだろうか?失礼にも猜疑心を激しく昂らせながら店前に到着すると、うぉっ、幟がカープ色になっている。扉にもカープ関連の貼紙がペタペタ貼られ、ただでさえ小料理屋的店構えなのに、自ら古本屋から思いっきり遠ざかってしまっている…嗚呼…。さらにそこには『Vセール全品半額!!』の貼紙も。いやぁ、いくら嬉しくとも、普通だったら20%オフくらいに抑えるのではないだろうか。これではまるで、閉店セールのようじゃないかと、さらに失礼に不吉なことを考える。薄く開いた扉から中に入ると、暗闇の小上がりにはいつも通りの増田嬢の姿が、うっすら浮かび上がっていた。「広島カープ優勝おめでとうございます」と言うと間髪入れず満面の笑みで「ありがとうございます!」と力強く返して来た。あぁ、本当に喜んでいるんだなと、気持ちが真摯に伝わって来る。そしてここに来たのはおよそ十ヶ月ぶりだが、相変わらずの未整理+大雑把整理ぶりが、心を大いに和ませてくれる。低い明度の中、本を探しながら増田嬢とマシンガントーク。広島「アカデミイ書店」(2008/06/28参照)の支店が「文廬書店」(2008/06/28参照)跡地に入り、ちゃんとカープグッズを充実させているとの報告も受ける。それにしても、来年も優勝したらどうするのか?いやそれより、CS突破&日本シリーズで優勝したら、もう八割引とかやってしまうのだろうか?…リーグ優勝に浮かれる「ますく堂」の行く末を心配しながら、光文社「帽子と鉢巻/飯沢求v角川文庫「ぱなりぬすま幻想/大城立裕」自費出版「神戸昭和五十一年/写真・永田収」(これは去年、神戸「トンカ書店」で古本屋店主の写真展(これ、見たかった!)を開いた方の簡易写真集。昭和五十一年の三ノ宮駅を中心にして、高架下文化を活写したモノクロ写真が掲載されている。おぉ、モトコーまでも。素敵!)を計500円で購入する。この、もしかしたら東京で唯一、古本屋さんで唯一の優勝セールは、9/17まで開かれている。…あ、もしかしたら「アカデミイ」支店もやる可能性はゼロではないな…。
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只今必死にゲラ読み中ですが、次の単行本正式タイトルが決定。今月号の『本の雑誌』広告に出ていますが、「古本屋ツアー・イン・京阪神」となりました。広告通り十月下旬にみなさまの手に届きますよう、我武者らに作業を続けますので、どうか頭の片隅に、ひょいとこのタイトルを引っかけて、毎日をお過ごし下さい。よろしくお願いいたします!
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2016年09月09日

9/9昭和二十四年に『推理小説』は定着し始めていた

すべての仕事が連絡待ちとなり、何だかにっちもさっちも行かぬ、ただ待つ身はツライ状況となる。そんなモヤモヤを吹き飛ばすために、午後遅くに西武新宿線に飛び乗り、所沢で9/13まで開催中の「第79回 彩の国所沢古本まつり」の本の海に飛び込むことにする。とは言ってもあまり時間を取られぬよう、素早く見ることを心がけ、少し流し気味に一階からワゴンに並ぶ本の背に、視線をビュンビュン走らせて行く。その一階では大日本雄辯會講談社「新語社会語新辞典/キング編集部編」秋元文庫「アニメ・ハンドブック/杉山卓」を計324円で購入し、箱の大きな展望エレベーターで八階の本会場へ。相変わらずの常識外れの巨大さに、喜びとうんざりをないまぜにして、とにかくスパスパワゴンをクリアすることに、しばしの間命を懸ける。その途中仕事の電話が入り、会場の片隅でコソコソ長話したり、スッと近付いて来た大きなカメラを持つ男に「◯◯テレビですが、コメントを撮らせていただけないでしょうか。何故古本市に来たのかとか、どんな本を探しているのかとか…」と言われるが、私の場合理由が複雑骨折気味なので、ちょっと考えて丁重にお断りしたりしながら、それでもやっぱり全部見るのにたっぷり一時間半かかってしまう。なのに買った本はたったの三冊。中央公論社「忍び草/川崎長太郎」せらび書房「外地探偵小説集 満州篇/藤田知浩編」ホーチキ出版「妖怪学入門/佐藤友之編」を計1836円で購入し、夕暮れの所沢をビルの上から見下ろし、疲労を抱えて家へと戻る。

「新語社会語新辞典」は昭和二十四年発行の、新しい外来語や社会に浸透し始めた言葉を辞典としてまとめたもの。何か面白い言葉はないものかとページを繰っていると、目に留まったのは『推理小説』。「探偵小説のことで、戦後推理小説と呼ぶようになった」とざっくり書かれている。戦後、探偵の“偵”の字が当用漢字から外され(その後復活する)、“探てい小説”と間抜けな綴りになってしまったところに、木々高太郎が提唱する“推理小説”が定着し始め、さらにその後、いわゆる“社会派推理小説”の松本清張ブームとともに一気に『推理小説』の名が一般に広がったのであるが、この書き方から見ると、もう昭和二十四年には“推理小説”という言葉は、すっかり市民権を得ていたらしい。“探偵小説”の一語は廃れつつも、それでも昭和三十年代まではかろうじて“推理小説”と共存していたが、その後哀れにも時代の谷底へドロドロと流れ落ちてしまうのであった…。
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夜、新単行本の初校が一部届く。

そして日曜の「七七舎2号店」でのイベント、『岡崎武志×古本屋ツアー・イン・ジャパン一日古本屋丁稚奉公』を何とぞよろしくお願いいたします。お店は午後一時からオープン。当日は雨模様らしいですが、三鷹図書館での夏葉社・島田氏の講演後に、また国分寺古本屋巡りの終点に、どうぞ奮ってお越し下さい!首を激長にしてお待ちしております!
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2016年09月07日

9/7俺のジゴマ!

雨が上がったのを見極め早い時間から動き出し、正午前の西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)。店頭から一冊掴み、店内左側通路にてガサゴソ持って来た古本たちを「フォニャルフ」に補充する。講談社「魔境千里/野村愛正」(裸本)を100円で購入しつつ、先日購入してまだ読んでいない(というかなかなかのボロい状態で、そんな感じでは、とても読む気になれないのであった…)「探偵小説ジゴマ」(2016/09/05参照)の修繕を、店主・小野氏に依頼する。依頼内容は、『取れた表紙と口絵をくっつけ、尚且つ補強して普通に読めるようにしてもらうこと』『そしてその修繕方法は問わず一任すること』である。だが小野氏はその本を手に取った瞬間「これ、ジゴマの表紙じゃないよ」と意外なことを言い出した。「でもジゴマの本って、異装があったり、かなりしっちゃかめっちゃかだったって言うから、こういうのもあったんじゃないの。中身は本物だし…」「いや、ジゴマはね、あのカバーがそのまま表紙になってるんですよ」と言うと徐に立ち上がり、奥の事務所スペースへ。しばらくガサゴソやって小さな紙袋を持ち出して来た。するとその中から出て来たのは、ぎゃぁっ〜っ!「ジゴマ」!有倫堂「ジゴマ」の八版で、しかも超美本!うわぁ〜。目がー目がー!と大慌てしてしまう。そしてなるほど、カバーを捲ると本体はペーパーバック状で、カバーと同じデザインが印刷されていたのである。ということは、私が買った物は、恐らく以前の所有者がカバーナシで表紙も裏表紙もない本を買い、その哀れな姿があまりにも忍びなかったので、緑の厚紙表紙を取付けたのであろう。そんなことが分かったところで小野氏が「どうせならちゃんと直そうか」とニヤリ。それからの行動は素早かった。オリジナル本のカバーと表紙のカラーコピーを取り、偽表紙を引き剥がし、二枚残っていた口絵を本体に接合し、厚紙で補強したカラーコピー表紙を接着。背はオリジナルだったので補強しつつそのまま生かし、最後にカラーコピーカバーを掛ける。ぬぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっぉっ!あのボロボロの「ジゴマ」が、まるで本物のような端正さと、本としての物質感を獲得してしまった!中身は九版で表紙とカバーは八版だが、そんなことはもう関係ない。俺のジゴマは、素晴らしきオリジナル風の格式を纏い、大復活を果たしたのだ!これを800円で売っていた「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)に改めて感謝し、「盛林堂」に偶然美しい「ジゴマ」があったことに魂消つつ、午前中からジゴマ修繕に従事してもらった小野氏に大感謝する。よし、今日は大正の大衆労働者気分で、これを読み耽るぞ。
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本物なのだが、さらに本物っぽくなった我が「ジゴマ」。左は取り外した表紙の裏表。真ん中がコピー表紙を貼付けた本体。右はコピーカバーだが、何と「惡魔バトラ」の広告入りバージョンである。ちなみにこのような趣味的修繕は、やはりどこかに見ただけで修繕と分かる痕を、ちゃんと残すものらしい。

帰りに荻窪で途中下車して「ささま書店」(2008/08/23参照)参り。第一書房「戀の欧羅巴/ポオル・モオラン 堀口大學譯」小山書店「乗合馬車/中里恒子」(函付きで三版!嬉しい!)樺太叢書6「樺太史の栞/西鶴定嘉」(復刻版だがこれも嬉しい!)山田書店「山名の場合/梅崎春生」(裸本だがこれもまた嬉しい!)を計420円で購入する。
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2016年09月06日

9/6結果“あ”から始まるお店ばかりで古本を買う

一日のほとんどを仕事で家に閉じこもり過ごすが、午後二時過ぎに隙を見て外出し、近所の古本屋さんを急いで訪ね回ることにする。まずは南にタッタカ歩き、南阿佐ヶ谷の「あきら書房」(2016/03/28参照)へ五ヶ月ぶりにたどり着く。庭奥の店舗部分が開いているのを確かめ、庭を突破して店内に突入。一冊50円セールは現在も継続中である。棚の本はほとんど動いていないようだが、奥の床に積み上がる本タワーは、何処からが出現し補充されている模様。すぐに汗みどろになりながら棚の隅々まで目を凝らす。六冊を手にしてガラス障子の向こうに声をかけようとすると、庭から人の気配が伝わって来る。新手のお客かと思ったら、現店主の老婦人が草花の手入れを始めていた。庭に出て爽やかな風に身体を冷やされながら精算していただく。ほるぷ出版「日本漂流譚 一/石井研堂編著」サントリー博物館文庫「洋酒天国1 /開高健・監修」昭文社「新幹線ガイドマップ〈全国旅行〉」講談社ノベルス「知床岬殺人事件/皆川博子」カッパブックス「酒童伝/火野葦平」文化出版局「図解 戦後ファッションの移り変り」を計300円で購入する。一気にカバンを重くして、急ぎ足で高円寺に向かい「アニマル洋子」(2014/03/14参照)の店頭棚に首ったけ。福音館書店こどものとも「てがみのえほん/さく・え 堀内誠一」「三月 ひなのつき/石井桃子さく 朝倉摂え」河出文庫「吸血鬼幻想/種村季弘」を計300円で購入。最後に高架下の「藍書店」(2014/01/14参照)にたどり着き、かまくら春秋社「松竹大船撮影所覚え書/山内静夫」を300円で購入して、急ぎ自宅へ舞い戻る。何とも慌ただしい炎天下の古本屋ツアーであった。
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本日の収穫であるが、気が付けばすべて“あ”から始まるお店で、どこでも平等に300円の買物をした結果に終わる。この中でわりと嬉しいのは「三月 ひなのつき」で、全ページに展開する朝倉摂の色鉛筆とクレヨンで描かれたイラストがとにかくキュート。特に新宿街頭風景や、デパート内部の描写は、昭和世代の魂を鷲掴みにすること間違いなしのキリッとした上手さである。そしてちゃんと読んだらこれが、思わず目頭が熱くなるほどの素晴らしい佳品! この世界には、まだまだまだまだ上質な物語が潜んでいるのを、切に実感してしまう。
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2016年09月05日

9/5ジゴマが家にやって来た!

朝から家の古本山と小さく闘い、四十冊余りを真剣にセレクトした後、箱詰めして大阪に送り出す。現在「梅田蔦屋書店」で開催中の「夏の古書市2016」の追加補充である。明日本が到着し、優しい古書コンシェルジュが事務的作業を済ませてから、徐々に棚に並んで行くと思いますので、どうかこの古書市を引き続きよろしくお願いいたします!

その他にも色々済ませて、昼食を摂った午後に、少し長い散歩にフラッと出る。『早稲田通り』を闇雲に東に歩き、「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)店頭棚からペヨトル工房「WAVE19 サイバーシティ東京」「夜想21 天使」を計200円で購入する。街中には入り込まず、そのまま『早稲田通り』をさらに東へ。結局中野まで歩き通して「古本案内処」(2015/08/23参照)に入ると、何だか少し棚の様子が変わっている。手前左端の100均通路が文庫通路になり、何だか左右正反対になった感じ。奥の壁棚も戦争関連は変わらずだが、後は漫画&コミック関連と写真関連になっている。ふうむ、日々お店は試行錯誤を繰り返して変化し、成長して行くものなのだな、などと偉そうに結論付け光文社文庫「幻の名探偵/ミステリー文学資料館編」新潮新書「怪盗ジゴマと活動写真の時代/永嶺重敏」を計648円で購入する。いい加減通りを引き返し始めた途中で、無様に『中野ブロードウェイ』に吸い込まれ、長いエスカレーターと階段を使って四階の「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)へ。ここの右奥中央通路の探偵小説棚最下段で、ボロく妙な一冊の本を発見する。緑色の裸本の背にかろうじて残る、本のタイトルに目を凝らす…「探偵小説…ジゴ…マ」。あっ、これ、「ジゴマ」だ。下の半分消えた作者名は「佛國サージー…」とまでしか読み取れない。ビニールでパッキングされているので、一緒に封入されたデータ値段札を確認する。800円か。そして出版年などの記述は無く、ただ『落丁あり 現状品 ※要確認』とだけ書かれている。なに、大好きなジゴマ関連の本が、落丁ありとは言え800円で買えるんだ。何年の本かは分からぬが古そうだし、ここはひとまず買っておこう。そう決めてレジで精算する。帰りは駅から電車に乗って、たった六分間の道行き。その車内で「ジゴマ」をあたふた確認すると、有倫堂「探偵小説 ジゴマ/佛國サージー氏原作 桑野桃華氏譯」(大正元年の九版)であることが判明。台本と映画を基にしてわりと忠実にノベライズした、超初期のジゴマ本である(あのZの文字をバックにジゴマの顔がバンと大きく載ったやつである)。瞬間心がフワッと舞い上がるが、気になるのは落丁部分。だが後で丁寧に調べたところ、本文や奥付や目次や序文に落丁は見当たらない。これは嬉しい誤算だぞ。ちゃんと通して読めるのだから、買って大正解であった。ただ、どうやら本扉と口絵写真のほとんどが見当たらず、おまけに表紙と唯一残っていた『大團圓ジゴマの自滅』の口絵写真が取れてしまっている。よし、これはあの人に直してもらって、本の形に戻してもらおう。そうすれば、心置きなく憧れのジゴマを、家で寝っ転がりながら読めるんだ! そんな風に長い散歩の思わぬ成果を、大喜びする。
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※お知らせ
9/11(日)に国分寺の「七七舎」(2016/02/06参照)が、すぐ近くの一本東側の裏通りに2号店をオープン。それに合わせて大先輩の古本神・岡崎武志氏と『七七舎2号店オープン記念 岡崎武志×古本屋ツアー・イン・ジャパン一日古本屋丁稚奉公』という店番イベントを開催します。分かり易く言うと、古本好きのオッサン二人がお店の迷惑を顧みず、午後一時〜午後六時まで店番をするというものです。もしかしたらあまりの無能さに、店長に物凄く叱られているかもしれません。裏でただひたすら、本を縛っているかもしれません。恐らく商売の大変さを噛み締める一日となるでしょうが、どうかお誘い合わせの上、国分寺古本屋巡りのついでに冷やかしに来て下さい。お待ちしております!ちなみに岡崎氏は色々何か企んでいるようなので、それについてはこちらをご参照ください。→http://d.hatena.ne.jp/okatake/20160905
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2016年09月01日

9/1大阪にて「夏の古書市」スタート!

大阪「梅田 蔦屋書店」にて「夏の古書市2016」スタートしております。同時に古本屋ツアーフェアも開いていただいてますので、西の古本屋好きのみなさま、どうか一度冷やかしに訪れて下さい。岡崎武志氏と共著の「古本屋写真集」も販売予定。古本補充も気合い入れていたします!
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かつてないくらいお洒落にディスプレイしていただき感謝!

そんな西の催しに思いを馳せながら、今日は夜の松陰神社前での打ち合わせ飲みに照準を合わせ、台風一過でちょっと秋らしくなって来た夕方に家を出る。まず向かったのは「江口書店」(2010/03/29参照)。色々真剣に漁ってしまい、製菓実験社「意匠と實用向 煎餅百種/上田政男」キング音楽出版「冒険ダン吉 百萬ドルのハーモニカ/島田啓三」(背が補修してありますが間違いなくどひゃっほうです!)岩波少年文庫「太陽の東 月の西/アスビョルンセン」春陽文庫「君と行く途/北條誠」徳間文庫「船図鑑」「船キチの記」共に柳原良平、雪華社「世界の怪談/庄司浅水」書肆ユリイカ「ゴリラ/山本太郎」(裸本)を計1600円で購入する。
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とにかく嬉しいこの二冊!左が500円の「冒険ダン吉」、右が表紙のインパクト大な300円の「ゴリラ」。

大満足して三軒茶屋までテクテク歩き、後は世田谷線の線路沿いにひたすら歩く。外灯が所々にしかないので、何だか昭和的な暗さが心地良い。若林で「十二月文庫」(2014/11/22参照)に立ち寄るも、残念ながらお休み。松陰神社前では、かなり久しぶりの「nostos books」(2013/08/10参照)へ。相変わらずデザイン的に尖った品揃えだな、と棚に集中していると、何だか熱い視線が身体を貫いているのに気付く。さり気なく店内を見回すと、裏の事務所との境になっているスィングドアの隙間から、黒い中型犬がじっとこちらを眺めている。つぶらな切ない黒い瞳が、何とも愛くるしいワンコである。その眼が「古本買ってね〜」と明らかに訴えかけているので、リブロポート「ペンギンのペンギン/デニス・トラウト」を300円で購入する。
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2016年08月31日

8/31本郷〜神保町文庫狩り!

午前中に本郷方面で用事を済ませ、そのまま北から本郷古本屋街入り。ああっ!『本郷弥生交差点』にある『各官庁ご用・かばんのお医者さん 吉田屋』が、厚いカーテンをウィンドウに下ろし、閉店しているではないか。廃業したとなると、この素晴らしい建物の行方が、とても気になってしまう…一階はスクラッチタイル張りの店舗で、二〜三階は立体的なモルタル格子の中に縦長窓が美しく連続し、上部には陶器製の瓦が敷き詰められたモダンな屋根がちょこっとのぞいている。本郷の秘かなランドマークとして、いつまでも残っていて欲しいものだが…そんな思いを抱えつつまずは「第一書房」(2011/08/16参照)の外棚&外箱に目を付ける。物凄い強風が吹き荒れているのに腕を蚊に刺されながら、ちくま文庫「私の漱石と龍之介/内田百閨v徳間文庫「快男児 押川春浪/横田順彌 會田信吾」を計400円で購入する。そのまま南に下って行くが、何だか休んでいるお店が多く、結局何も買えずに『本郷三丁目交差点』脇の「大学堂書店」(2009/01/06参照)までたどり着いてしまう。一階通路の奥の奥に入り込み、店頭文庫台から創元推理文庫「獏鸚/海野十三」を350円で購入する。この文庫には、執事喫茶の栞のようなショップカードが挟まっており、虚を突かれてしまう。執事喫茶で海野十三か…「お嬢様、何を読んでいらっしゃるのですか?」「日本SFの先駆者・海野十三よ」「残念ながら存じ上げません。ではSFですか」「いいえ。これは、帆村荘六って言う『シャーロック・ホームズ』をもじった名探偵が活躍する、奇想科学ミステリなのよ!」なんて素敵な会話が店内で…。そんなくだらない妄想に耽りながら、そのまま南に街を進み、神田川を渡って続いて神保町入り。「田村書店」(2010/12/21参照)の店頭100均ダンボール箱前にしゃがみ込み、博文館文庫「武将感状記」を底の方から見つけ出して100円で買った瞬間に『今日は文庫狩りの日だ』と自覚する。そのまま街を縦横に行き来して、「神田書房」(2012/02/16参照)で新潮文庫「ドイル傑作集1 ミステリー編/コナン・ドイル」を100円で買い、「日本書房」(2011/08/24参照)で東宝シナリオ選集「風立ちぬ 堀辰雄作品より/脚本・桂一郎 村山俊郎」(東宝シナリオ選集は、通常は新書サイズなのだが、これは何故か文庫サイズ。巻頭には映画グラビアも付いていない。『高瀬興行株式會社直営名古屋劇場』のハンコあり)を手にするが、他に思潮社「若い荒地/田村隆一」(裸本)音楽之友社「むうびい・こんさあと/大林宣彦」と二冊の単行本を手にしてしまい、『文庫狩り』の禁をあっけなく破り計300円で購入する。
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すみません…大口叩いて、それほど狩れませんでした……。というわけで少ないが『文庫狩り』の成果だけをここに。計1050円であった。

※色々な古本市のお知らせ
いよいよ明日から大阪の「梅田 蔦屋書店」で「夏の古書市2016」がスタートします。掻き集めた古本をドバッと送り込んでいますので、ここは一発騙されと思って見に行って下さい!騙された!と思っても、他のお店の品揃えが、充分にフォローしてくれるはずです。と言うわけで西のみなさま、何とぞよろしくお願いいたします!
■梅田 蔦屋書店 夏の古書市2016
■会期:9/1(木)〜9/28(水)
■参加店:古書鎌田・ジグソーハウス・トンカ書店・森岡書店・小山力也 ほか
詳しくは→http://real.tsite.jp/umeda/event/2016/08/2016-51.html

さらに九月は、白楽の「ヤミ市場 一箱古本市」と雑司が谷の「みちくさ市」に連続参戦いたします。変な古本や良い古本ダメな古本も取り混ぜ用意しておきますので。お時間ある方はぜひとも覗きに来て下さい。両日の品揃えは、もちろん奇麗さっぱり変えてみせます!

■ヤミ市場 一箱古本市
■開催日:9/17(土)20:00〜22:00
■場所:六角橋商店街(横浜市 東横線白楽駅下車徒歩2分)
詳しくは→http://www.rokkakubashi.jp/html/dokkiri_yamiichiba.html

■鬼子母神通り みちくさ市
■開催日:9/19(月)11:00〜16:00
■場所:雑司が谷・鬼子母神通り 東京都豊島区雑司が谷2丁目・鬼子母神通り周辺(東京メトロ副都心線・雑司が谷駅1番出口または3番出口すぐ)
詳しくは→http://kmstreet.exblog.jp/

そしてさらに十月に参加予定の『BOOKS 9 × 鬼子母神通り みちくさ市 presents「LOFT9 BOOK FES.2016」』ですが、ベールに隠されていた豪華トーク陣がすでに発表になっております。どうか今のうちに、スケジュールに組み込んでおいていただければ嬉しいです!
詳しくは→http://www.loft-prj.co.jp/schedule/loft9/48398
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2016年08月29日

8/28八王子古本屋事情

二ヶ月前にすでに閉店しているのだが、やはり己の目で確かめ心と記憶に刻んでおかねばと、八王子の「まつおか書房 2号店」(正式名称“歴史館”。2012/08/30参照)の様子を見に行く。北口に出て足早に細路地に入り込み、かつては二店が仲睦まじく向かい合っていた「まつおか書房」(2010/01/05参照)前。くぅぅ、白いシャッターが下りてしまっている。袖看板は裏返され、店名はうっすらとした鏡文字となり、コンセントも抜かれてしまっている…何ともやるせない光景である。
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だが俺は、この光景を見に来たのだ。元々は支店だったわけであるが、それでもこの地の純粋な古本屋さんは、ついに二店になってしまったのである。八王子の古本屋事情が、一段と寂しくなったことを認識しつつ、改めて現存し続ける「一号館」と、近所の「佐藤書房」に敬意を表し、まずは外壁棚に食らいつく。一見何の変わりもないようだが、いつの間にか背に値札の付いた150・200・300円の本が所々に出現しているのに虚を突かれる。う〜ん、前からあったっけか?肝心の店内は以前と変わらず、しっかり「一号館」のスタイルを保っているようだ。角川文庫「戯曲 青森県のせむし男」を500円で購入する。続いて足早に「佐藤書房」(2009/08/26参照)へ向かう。店頭安売ゾーンで古本アンテナを鋭敏にして、岡本増進堂「岡本長編講談 西遊記/玉田玉秀齊」(大正十一年、大阪出版社の講談本)知恵の森文庫「少年探偵手帳/串間努」日本文芸社「図解二色刷カクテルハンドブック/浜田昌吾」を計420円で購入し、形だけでも八王子の古本屋さんに微かなエールを送っておく。

その後は西荻窪に移動して「盛林堂書房」(2012/01/06参照)にて緊急の打ち合わせをする。ここは古本屋さんのはずなのに、最近出版社として訪れる頻度が急上昇…まったく持って不思議なお店だ…。ついでに筑摩書房「新青年をめぐる作家たち/山下武」を100円で購入。打ち合わせ後は駅北側に移動して『第94回 西荻ブックマーク 柳澤健×沼辺信一トークショー「林美雄とパックインミュージックの時代」』を観覧。ノンフィクション作家の仕事の意義と仕方と、正史を作る自信に満ちあふれる強さに、己にはない眩しさを感じ、非常にためになり興味深かったのだが、逆に己のだらしなさと意志の弱さを突きつけられたようで、少しへこんでしまう。終演後、会場にいた岡崎武志氏と駅前で一杯。やはり楽しい古本屋話を肴にして酔っぱらい、現金にもすぐさま元気を回復する。よし、俺の急務は、古本屋関西ツアー本をまずは完成させることなのだ。とにかく地道に出来ることをして行くべし!
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2016年08月26日

8/26読めない「悪魔のキャンバス」に魅せられる

取材とパトロールを兼ねて正午前の神保町へ向かう。色々と行程があるので、いつもと違った感じで御茶ノ水駅『聖橋口』から出て即座に「三進堂書店」(2009/04/07参照)の店頭台に目を凝らすと、ちょっと古めの新書サイズ本が多数突っ込まれている。吟味して三冊掴み取り、ハミングを越えた鼻歌を演奏中の店主に精算していただく。弘済出版社こだまブック「影の白衣/麓昌平」四季新書「紳一郎捕物帳/渡辺紳一郎」ロマン・ブックス「黒の魅惑/藤島泰輔」を計300円で購入。ニコライ堂を左に見て坂を下って下って『靖国通り』に出て、「三茶書房」(2010/10/26参照)で春陽堂文庫「南蠻秘法箋/野村胡堂」を500円で購入し、『すずらん通り』の入口に立ち、取材をスタートさせる。ところが初っ端から珍しく洋書古書店の「大島書房」(2012/11/08参照)店頭のドイツ箱に吸引され、呆気なく寄り道。Fischer Cinema「Die damonische Leinwand/Lotte H.Eisner」を200円で購入する。その後は真面目に取材をこなし、街の西の果てまで行き着いた後に『靖国通り』を逆戻りし、今日も楽しい古本屋パトロール。ちょうど昼ご飯タイムなので、何処の道も溢れんばかりの勤め人がひしめいている。「澤口書店 東京古書店」(2014/12/17参照)店頭台では鳳鳴堂書店「醫事雜考 奇珍怪/田中香涯」淡交新社「邪鬼の性/水尾比呂司」(鬼の彫刻写真集)像を計600円で購入。さらに『白山通り』北側まで伸して行き、「日本書房」(2011/08/24参照)では日本評論出版社「労働詩集 どん底で歌ふ/伊藤公敬・根本正吉」(元版は大正九年刊。これは1967年の労働詩集刊行委員会複製本である。函ナシであろうか…)を500円で購入。その後は再び取材に戻り、最後に『九段坂』上から神保町方面を眺め下ろしに行く。
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というわけでこれが今日の収穫。マイナー医学界推理小説「影の白衣」と、実はポール・ボネでジャニー喜多川の義兄でもある藤島泰輔「黒の魅惑」が嬉しい。だがそれ以上に、「どん底で歌ふ」に出会えたのは、もっと嬉しい。そんな中異色なのは、ドイツ語本「Die damonische leinwand」である。何の気なしに表紙が気になったので手にしてみると、本文は当然読めないのだが、ドイツを中心とした1920年代の怪奇・幻想・犯罪・表現主義的映画のスチール写真のオンパレード!「カリガリ博士」「ファウスト」「ゴーレム」「ノスフェラトゥ」「M」「メトロポリス」「スピオーネ」「マブゼ博士」の他にも、知らない観たくなるようなモノクロ映画が盛りだくさん!本自体は、1955年のものを1980年に再刊したものらしい。タイトルを必死に調べてみると「悪魔のキャンバス」らしいことが判明。
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写真は影について集めたページである。あぁっ、素敵っ!
posted by tokusan at 16:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする