2017年05月19日

5/19盤石の江口で和み、明日から出張古本屋バイト。

本日は三軒茶屋と学芸大学の中間である下馬に流れ着いたので、少しだけエネルギーの残る身体に鞭打って、三宿までヒタヒタどうにか歩き通す。…輝き過ぎてジワジワ体力を奪う太陽が、今はとても憎い…。そして交差点近くの「江口書店」(2010/03/29参照)に飛び込み、古書エネルギーたっぷりと乳酸の蓄積した身体に注入する。目玉を楽しく棚前で左右上下に動かして、三省堂「柳田國男編 全國昔話記録 阿波祖谷山昔話集/武田明」「軍事小説 戦塵 復刻版/尾上新兵衛〈久留島武彦〉著」(函ナシ)を計1100円で購入し表に出ると、通りかかった白髪&白髯の紳士がお店の佇まいに惹き付けられる瞬間を目撃。恐る恐る小さな店頭台に近づいた後は、左右のサッシ扉から店内の様子を窺いつつ、視線の届く棚の本を懸命にチェックしている。何も恐くないはずだから、もう入っちゃえばいいじゃん!と、心の中で先輩面して勝手にエールを送る。
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写真は少し傷んで落書きもされた書店のテント日除けである。
二日連続で、こんなあっさりした報告で申し訳ありません。しかし明日から日曜まで、謎の出張古本バイトに従事する予定なので、次こそは何らかの愉快な報告が出来るかもしれません。まずは真面目にバイトしてきます!
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2017年05月18日

5/18ポランでラレロを。

今日は流浪の果てに大泉学園に流れ着く。すぐさま北口に出て「ポラン書房」(2009/05/08参照)に一直線。店頭の55円「こどものとも」箱をまずは漁り、未知の一冊を抜き取る。店内に進めば、壮大なクラシック音楽に迎えられ、その心地良い空気の振動で疲れを解きほぐす。フワフワしながら全通路を踏破し、結局文庫本を一冊。ソノラマ文庫「怪盗ラレロ/加納一朗」福音館書店「こどものとも ぼくはへいたろう「稲生物怪録」より/小沢正・文 宇野亜喜良・絵」を計555円で購入する。「ポラン書房」で「怪盗ラレロ」…ポランでラレロ…いや、意味はそれほどないのだが、三文字&“ラ”を含む語感が疲れているせいか、ちょとだけ不可解なツボに…。存在を知らなかった1994年8月発行の「ぼくはへいたろう」はご存知『稲生物怪録』の翻案絵本である。宇野亜喜良描く妖怪が、とにかくモダンでポップで『不思議の国のアリス』的である。英題が「KAIDAN-HEITAROU MEETS MONSTERS」なのがまたニクい。
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北口空中広場のアニメキャラ像(矢吹丈・メーテル&鉄郎・鉄腕アトム)前を擦り抜けて帰路に着く。
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2017年05月14日

5/14経堂から豪徳寺へ

今日は世田谷の『馬事公苑』近くに流れ着いたので、迷わず経堂方面へ足を向ける。賑やかな商店街である『農大通り』を北に進んで二ヶ月ぶりの「大河堂書店」(2009/03/26参照)。
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するとやはり、棚がジワジワ動いている良い気配。結構欲しい本が次々と見つかるが、素早く見回り素早く決心する。春陽文庫「虹男/角田喜久雄」妙義出版「白い血の獵人/扇屋亜夫」を計830円で購入する。お店を出たら駅にちょっと接近し、後は東にひょろひょろ続く商店街的生活道路をたどりながら、徒歩で豪徳寺を目指す。テクテク歩き詰めたら、あっという間に世田谷線の踏切に行き当たる。あっさりとした駅間にホッとして多少驚きながら、踏切を渡って豪徳寺駅方面へ。するとあっという間に「靖文堂書店」(2011/09/06参照)に到達。
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相変わらず薄暗い店内に進むと、以前と少し様子が変わっている。入口右横の児童文学棚が一本増え、右側通路壁棚下には100均文庫列が形成され、奥には新たな文庫&洋書&辞書棚が据えられている。そういえば表の貼紙に『Many English Foreign Books Here』とあったが、このことだったのか。そんな小さなお店の変化を楽しみつつ、結局100円文庫本を二冊買う。小峰書店 少年少女のための世界文學選「二都物語/ディケンズ」学習研究社 中学生名作文庫「めくらの音楽家/コロレンコ(原作)那須辰造(文)」を購入。
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写真は昭和三十二年の同性愛小説集(広告では『異色作品』『第三の性』などと表現されている)「白い血の獵人」。買った本は背に補修痕がある。それが古い包装紙を使っており、パリの裏町と言った感じの表紙絵とまったく相容れないのだが、長い時を経たことにより、逆に何だかいい感じに仕上がってしまっているのが面白い。昭和四十年代辺りを彷彿とさせる包装紙のデザインは、スプーンや急須などの日用品がデザイン性高く配置されたもの。また何でこんなのを貼付けたのだろうか。そしてどうしても補修したかったのだろうか。大事な本ならば、もうちょっとマシな補修をすると思うのだが…古本には時々、何だか理解出来ぬ謎が秘められている。
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2017年05月12日

5/12二つの古本市をハシゴしてどひゃっほう!

今日は二つの古本市をハシゴするつもりで、午前九時半に家を出る。高田馬場駅からトボトボ歩いて向かったのは、早稲田大学構内で開催中の「第23回青空古本掘出市」(2012/05/19参照)。その名の通り青空の下、校舎と緑陰濃い植樹の谷間に、白く大きく横長なテントが陽光をキラキラはね返している。
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テントからはみ出した文庫ワゴンを見ていると、照り返しが眩し過ぎて、“雪目”ならぬ“文庫目”になってしまいそう。その代わりテント下は涼しく、時折温い風が古本の中を走り抜けて行く。ジリジリと一周し、途中帳場に接近した折りには、「三楽書房」さん(2012/07/19参照)と「立石書店」さん(2016/12/24参照)と笑顔で挨拶を交わす。講談社「探偵小説五十年/横溝正史」(帯付き。見返しに蔵印アリ)を800円で購入し、函入り本を包装紙で包んでもらう。市は明日13日(土)まで。本を小脇に抱えてしばらくキャンパスを彷徨った後、開き始めた『早稲田古本街』をたどりながら高田馬場駅へと戻る。そして新宿から京王線特急に乗り込み、二駅目で調布に到着する。地上に上がって駅前の『調布パルコ』に乗り込み、五階の「第2回 調布の古本市」(2016/02/24参照)会場へ。う〜む、段々この市の古書率が上昇している気がするのだが…。特に「にわとり文庫」(2009/07/25参照)「かぴぱら堂」「リズムアンドブックス」(2011/08/10参照)「ハナメガネ商会」(2014/04/26参照)は、そういう意味で先鋭的なラインナップである。だが市も今日で三日目なので、少し落ち着いた棚になっているんだろうと、あきらめムードを胸に湛えながらも、古書の列にそれでも何か残っていないかと、古本眼を血走らせる。そして気になる本は片っ端から手に取って確認して行く。すると「ハナメガネ商会」の上段木箱に、薄汚れた薄手の新書を見出したので、引き出してみる。ひゃあっ!付録本の乱歩「幽霊塔」じゃないか!なんでこんなスゴいのが残っているんだ!と目を疑い慌てふためき値段を見てみると、300円!表紙には『探偵小説』と言う文字、裏表紙には住所、そして扉には陸上自衛隊所属部隊名が記入されているのだが、そんなことはこの際どうでもいい!欲しくて読みたかったジュニア探偵小説乱歩付録本が、破格の300円なのだ。「ハナメガネ商会」さん、本当にありがとう!間違いなくどひゃっほうです!と、小学館「中学生の友」昭和三十一年四月号 中学生新書3「探偵小説 幽霊塔/江戸川乱歩」を購入する。この市は5/23(火)まで。いつ何時でも、諦めずに来てみるものだなぁ。
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パルコ一階入口前の、古本市看板の前で記念撮影。建物に吸い込まれて行く人が、コイツいったい何をしてるんだ?と訝し気な顔をして通り過ぎまくるが、嬉し過ぎて全然気にならないもんね!
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2017年05月10日

5/10今日も別のサイン本を作る

薫りの良い上等な酒に酔っ払い続けているかの如く、昨日の大物掘り出し体験の余韻に、まだ浸っている。だがそれも次第に薄まり、明日からはまた餓鬼のように古本を探し求めるのであろう。その奇妙な余裕が為させるワザなのか、珍しく古本を買わずにテクテク歩いて西荻窪へ。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)で『フォニャルフ』棚にビシッと補充を済ませる。南澤十七や日夏耿之介など並べましたので、ご興味ある方はぜひとも覗いてやって下さい。
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帳場脇には博覧強記の素天堂さんがいらしたのでご挨拶。そして店主・小野氏に、最近入荷したという明治大正の見たこともない冒険小説・怪奇小説・探偵小説・SF小説を次々と見せていただき、うわうわうわうわ言い続ける。あぁ、欲しい!読みたい!羨ましい!決して買わないと分かっているのに、本と作家の細かいデータやバックボーンに加え、最終的に大体の相場まで教えていただき、大いに楽しく涎を堪えながら勉強させてもらう。知らない本というのは、まだまだまだまだあるものだ。そんな風に馬鹿みたいに大量の古書を見せてもらいながら一時間ほど過ごしてしまった後、「中央線古本屋合算地図」五十冊ほどにサインを入れる。マニアックな一鉄道路線を基準にした古本屋本なのに、ちゃんと順調に売れてくれているようで、まずは一安心である。取扱店もジワジワ増えているようなので、オレンジ色の表紙を見かけたら、チャンスを逃さず手にしていただければ!と切に願います。
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2017年05月09日

5/9高円寺で大物を掘り当てる!

今日は早めに高円寺北側の大和町辺りに流れ着いたので、ブラブラ高円寺を目指して歩き、やっぱり古本屋をたどって行くことにする。まず『庚申通り』北端近くの「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)では、店内文庫棚からソノラマ文庫「謎の環状列石/藤村正太」「海底牢獄/香山滋」を計800円で購入し、幸先の良い成果にほくそ笑む。続いて駅に到達し、高架下商店街の「藍書店」(2014/01/14参照)では外壁棚から、旺文社中三時代昭和47年5月号第3付録「中三文庫 海外推理名作 ルビーは知っていた!(他1編)」読売新聞社「超能力探検/吉川美雄編」を計300円で購入。よもやここの壁棚で、こんな付録本が買える日が来るとは…と小さな満足に小さく打ち震える。この小さな喜びに満足して、もう家へ帰っても良かったのだが、飛石を軽やかにリズム良く飛んでいるような成果に、もうちょっと先も見て行こうと、『高円寺パル商店街』を南に下り、アーケードから抜けて遊歩道を越えたところで「大石書店」(2010/03/08参照)と出会う。可愛いテント屋根の付いた安売ワゴンに張り付くと、左側でA5版の薄い小冊子を発見する。気になりつまみ出してみると、うわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわ!これ、一時期値段が超高騰して話題になった、1960年代終りの学生運動ドキュメント写真集じゃないかっ!今でも確か高値をキープしているはずだが、ひゃ、100円っ!本の表にも裏にも100円の値札っ!大どひゃっほう!興奮しながら路上でページを紐解くと、まるで「プロヴォーク」のような粗いアレブレボケのモノクロ写真(複数の撮影者がいるようだが、撮影者の名は一切掲載されていない)を中心にして、『御堂筋奪還デモ』『新宿騒乱』などの熱く激しい政治の季節の躍動が、次々と展開して行く。興奮する心を押し隠せずに店内に突入し、百円玉と写真集を交換する。「10・21とはなにか」を出版する会「10・21とはなにか」を購入。「大石書店」でこんなに盛り上がる日が来るとは、失礼ながら考えたこともなかった…きっと本棚の上にいる古本神は、予想以上に気まぐれで、それでいて平等なのだろう。
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やはり大物を掘り出したからには、お店の前で記念撮影。道行く人が本を掲げ持った私を見て『こいつ何してるんだ?』という顔で通り過ぎて行くが、全然気にならないもんね!

無闇矢鱈と妙な勢いがついたまま、坂を上がって「アニマル洋子」(2014/03/14参照)にも向かい。新潮社「階段のあがりはな/小島信夫」を100円で購入し、ここでエネルギーが切れ、ついに家に帰ることにする。いやでも、南側までフラフラ来て、本当に良かった。
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2017年05月08日

5/8神保町でサイン本を作る

正午過ぎに家を出て、神保町『本の雑誌社』での緊急サイン本作りに向かう。もちろんそのたどるべき行程は、神保町パトロールによりしっかりと彩られている。水道橋駅で下車し、『白山通り』を、幅広ゆっくりそぞろ歩きの学生たちとともに下って行く。「日本書房」(2011/08/24参照)ではいつもの古書ではなく、東信社「神田神保町とヘイ・オン・ワイ/大内田鶴子・熊田俊郎・小山謄・藤田弘夫」を100円で購入する。タイトル通り、神保町とヘイ・オン・ワイを『本の街』として様々な角度から比較検証する論文的な本である。続いてはちょっと時間と距離が空いて、「田村書店」(2010/12/21参照)の店頭ダンボールから旺文社文庫「四十歳のオブローモフ/後藤明生」ともだち文庫「おとのあさまざま/栗原嘉名芽」を計200円で購入し、『駿河台下交差点』までパトロールした後、ようやく『本の雑誌社』。ところが社にたどり着くと、担当のH嬢は「わ、忘れてました…」と素敵なGWボケ発言。うむ、黄金週間だったからなぁと、そんなアクシデントを笑い飛ばして、急遽セッティングされた白木の机に向かう。計五十冊の「古本屋ツアー・イン・神保町」「古本屋ツアー・イン・首都圏沿線」「古本屋ツアー・イン・京阪神」にスタンプを捺しまくり、八種の識語と署名を一心不乱に書きまくって行く。真面目に息を詰めて作業しまくったので、およそ二時間で作業は終了し、本は即座に箱詰めされて行った。解放された後は、再び神保町をパトロール。今度は夕方の長い光がまぶしい裏路地を中心にうろついていると、跪いた「アカシヤ書店」(2011/10/13参照)の100均外箱から、探していた真善美社「映画論入門/今村太平」を発見してニヤリ。別に珍しい本ではないが、探している本に出会う瞬間は、何度味わっても格別である。そのまま同様に裏路地にあるお店をたどりつつも何も買えず、往きに見た「有文堂書店」(2010/09/03参照)で朋文社「浅草紳士録/野一色幹夫」(カバーナシ)を300円で購入し、ようやく諦めをつけていい加減帰ることにする。
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というわけで作成したサイン本は、今月末に大阪で開かれるブックマーケットの『本の雑誌社』ブースで販売されますので、西のみなさま何とぞよろしくお願いいたします。そういえば「梅田蔦屋書店」では、古ツア棚で新入荷本が続々販売されているはずなので、こちらも引き続きよろしくお願いいたします。

『KITAGAYA FLEA & ASIA BOOK MARKET』
■日時:2017/05/27(sat)12:00-20:00・28(sun)11:00-20:00
■場所:CCO 1F・2F・3F(クリエイティブセンター大阪)大阪市住之江区北賀屋4-1-55 名村造船跡地
■入場料:500円
http://kitakagayaflea.jp/
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2017年05月07日

5/6酔眼で良書をつかむ。

すべては昨日のことである。テクテクとまずは朝の高円寺に向かい、開場三十分後の「西部古書会館 大均一祭」初日。混み合う館内を尻目に、まずはガレージのちょっと量の少ない雑誌類に目を落としていると、背後から「こーやーまーさん」と声をかけられる。振り返ると、宇宙海賊キャプテンハーロックのような立ち姿で、「風書房」さんがユラリと立っている。そしておもむろに「スゴいの見つけましたよ」と言うのだ。「スゴいの?スゴいのってなんですか?」と慌てふためき近寄り、二人で入口のステップに並んで腰を下ろす。ガサゴソと風書房さんが取り出したのは、ポプラ社ジュニア探偵小説「美しき魔人/久米元一」であった。ふぉぉぉぉぉぉ!これが200円!しかもちゃんとカバー付き!…あぁ、古本市にも、まだ夢は充分転がっているのだな…人の狩った獲物を物欲しげに手にしながら、改めてそう思った、羨みの瞬間であった。その後こちらも館内に突入し奮闘するも、あのジュニア探偵小説の鮮やかさが頭にこびり付き、何もかも色褪せて見えてしまう病に悩まされる。途中「マニタ書房」(2012/10/27参照)とみさわ氏と言葉を交わしたりしながら、それでも五冊を選んで帳場にて精算。「コクテイル書房」(2016/04/10参照)狩野氏に「中央線古本屋合算地図」ご協力のお礼を伝える。ブエナ・ビスタ映画「ジャングル・ブック」光文社「長編推理小説 夜を探がせ/石原慎太郎」青木文庫「装甲列車No.14,69/フセェウォロド・イワノフ」教養文庫「撮影所 映画のできるまで/川和孝」三省堂「原色甲蟲圖譜/神谷一男・安立綱光」を計1000円で購入する。「原色甲蟲圖譜」は函ナシで『慶応義塾幼稚舎』の蔵書である。廃棄本などのハンコは捺されていないので、誰かが返すことなく、いつの日か古書界に流れ出たものであろうか。昭和十二年刊の十二版で、図版はすべて実物標本の原色写真である。本体表紙の、図案化された兜虫の箔押しが美しい!
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一旦家に戻り、午後二時過ぎに外出。西荻窪「盛林堂書房」(2012/0106参照)に立ち寄り、芦辺拓氏への預け物を託す。その後は『こけし屋別館』に向かい、岡崎武志氏の還暦祝いである『第98回西荻ブックマーク』に参加する。多くの古本者が馳せ参じた会は大盛況で、始終爆笑&和やかムードで進行。氏の人柄を存分に感じさせる楽しいイベントとなる。最後のプレゼント大会が、抽選プレゼントながらも会場中の人にプレゼントが行き渡り、ほぼ配給と化していたのが愉快であった(ひたすら当選番号を読み上げる善行堂さんが、段々役所の人に見えて来る始末)。また独自な私小説的フォークソングを熱唱した世田谷ピンポンズさんの、普段使いのメガネが、黒ブチ眼鏡からガリ勉的スポーツタイプに変わっているのに気付き質問すると「いや、昔の羽生善治みたいなメガネが掛けたくて…」と非常に分かり易い答えが返って来た。歌もMCもライフスタイルも、独自のスタイルを貫く素敵なアーティストである。

打ち上げ参加後、午後九時半過ぎに阿佐ケ谷に帰り着く。おっ、夜道にはまだ「古書 コンコ堂」(2011/06/20参照)の看板が明るく輝いているではないか!と大喜びで飛び込む。ビールと日本酒で酔っ払った酔眼をカッと見開き、文学棚から一冊、ミステリ棚から一冊引き抜き精算する。店主・天野氏、「中央線古本合算地図」の『古本屋レクイエム』のページが懐かし過ぎるとのこと。どうやら古本屋になる前に、巡っていた思い出のあるお店が多数掲載されているらしい。作成した側としては、何とも嬉しい話である。カイガイ出版「地底に蠢く/草野唯雄」第一書房「事變下の文學/板垣直子」を計3090円で購入する。
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マニアックなちょっとレア本であるカイガイ・ノベルスも嬉しいが、昭和十六年刊の「事變下の〜」はさらに嬉しい。論考は『戦争文學』『農民文學』『大陸文學』『生産文學』『海洋文學』『癩文學』『植民地文學』『移民文學』『労務社会文學』『歴史文學』『都會文學』などに大別されている(さらに各章内では『開拓文學』『女給文學』『ルンペン文学』『市井事文學』など細かく分類されて行く…)。おっ、岡田三郎についても考察されてるじゃないか。これはいい、これはいいぞ〜と酔っ払いながら、後少しの帰り道をたどる。
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2017年05月05日

5/5おれがにくむよこの本を。

こどもの日に流れ着いたのは東小金井。「BOOK・ノーム」(2009/02/13参照)の新古書的並びに弾かれて、為す術なく阿佐ケ谷に帰り着いてしまう。フラフラ『旧中杉通り』を北に向かい、いつものように「ネオ書房」(2010/02/09参照)の店頭を精細にチェックする…ここのところ五ヶ月ほど動きはまったく見られないが、突然山が動く可能性があるので、恐らくもう一生このお店から目を離せないであろう…。そして100円の朝日新聞社「地震列島」を手にして、久しぶりに店内も一応流しておくかと入口部分でお店に正対すると、目の前の棚脇に置かれたラックが、必然的に視界に入ってしまった。その中に気になる一冊の少女漫画、若木書房「にくいあいつは二十面相/高上早苗」を発見する。に、二十面相だと!と即座に心がざわついてしまい、ビニール梱包された、表紙がちょっと陽に焼けたコミックスをつかみ上げる。先日の乱歩「吸血鬼の島」発売記念トーク時に、特典として配られたA5サイズ全12ページの「乱歩漫画コレクション」は、全く持って素晴らしいものであった。昭和五十年代後半〜最近までのコミカライズは除外してあるが、黎明社版(+廉価版)・あかしや書房版・別冊漫画付録に加え、恐らく乱歩未許可のパチ物の書影まで掲載された、魅惑の小冊子なのである。会場でそんな乱歩漫画について話を聞いている時に、確か細野不二彦も明智小五郎の娘が中年刑事になった小林少年と事件を解決する読切り作品を描いてたな(これは面白かった)などと突然思い出したりしていたのである。そんな流れがあり、いつもなら気にもとめないのだろうが、この未見の少女漫画がとても気になってしまう。値段は980円…微妙にプレミア値が付いているな…だがしかし、知られざる乱歩漫画なのかもしれない…。そう都合良く決めてかかり、二冊を計1080円で購入する。家に帰って読み始めると……………やっぱり、やっぱりただの少女漫画であった。簡単に要約すると、女子校に赴任することになったハンサム英語教師が、女生徒にナメられたりカモられたり(?)しないために、伊達メガネと付け鼻&眉毛で変装して超絶な野暮天を装い教壇に立つ…という他愛もないお話である。二十面相はまったく関係ありません。顔も本来の顔と合わせて二つだけの、つまりは二面相である。かろうじてそれらしきセリフが出て来る場面が、初めての変装を下宿で完了し「がっはっはっわかるかね明智くん!」と感極まって叫ぶところと、変装姿をたしなめる校長先生が「あのねきみ…二十面相じゃあるまいしふざけてるとしか」のところだけ。明らかにタイトルにつなげるための、取って付けたようなセリフである。あぁ、俺は何故五十にもなって、二十面相の名に釣られて、こんな漫画を買ってしまったのか。にくい!今更ながらこの漫画が憎くてたまらない!
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2017年05月03日

5/3やはり島田一男先生を選んでしまう。

テクテク中野まで春の道を歩いて、にぎわう『中野サンプラザ』に潜入し、まんだらけ『大まん祭』会場へ。コスプレ娘が歌って踊り、稀少な物品とマニアが犇めく、私にはちょっと縁遠い感のあるオークション会場である。目的は乱歩・少年探偵団外伝とも言える、幻の読者への挑戦状小説を編纂した「吸血鬼の島/江戸川乱歩著 森英俊・野村宏平編」先行販売&トークである。販売ブースで本を購入し、特典の小冊子「「譚海」掲載 『犯人あて大懸賞』セレクション 出題・江戸川乱歩」と「乱歩漫画コレクション」も無事に手に入れる。トークは一時間強を乱歩&乱歩漫画で埋め尽くす、予想通り狂気の絶対乱歩タイム。だが一番面白かったのは、トークにも列席した「まんだらけ」店長・辻中氏と森氏の、貸本小説を巡る血の雨が降りそうなバトルの歴史であった。今は確執はないらしいが、笑顔で敗北のエピソードを次々語る辻中氏に、マニアの矜持と恐ろしさを、会場の後方から遠望する。

トーク後は会場にいた「盛林堂書房」(2012/01/06参照)小野氏とともに西荻窪に向かい。先月の「フォニャルフ」売り上げを受け取りつつ、刷り上がった岡崎武志氏還暦祝いの小冊子百冊を「古書 音羽館」(2009/06/04参照)に運ぶ仕事を仰せつかる。そんなことをしている間に、目の前で「中央線古本屋合算地図」が売れる瞬間を目撃し、ついつい幸福になる。取りあえずスタートダッシュはまずまずのようだ。みなみなさま、引き続きこのオレンジ色の本を可愛がってやって下さい!と心の中で大いにに念じつつ、「フォニャルフ」棚の動きをチェックするために左側通路入口側へ。ところが自分の棚を見る前に、本棚探偵「ひとたな書房」の並びに目が釘付けになってしまう。あぁあぁあっ!またなんて本を並べているんだ!そこにはポプラ社の海野十三・大下宇陀児・島田一男・高木彬光のジュニアミステリが、分厚くしれっと整列しているではないか。三冊はカバーがカラーコピーだが、それでも相変わらず安値なのである。ポケットの中の受け取ったばかりの売上金をギュッと握り締め、頭の中はたちまちどれを買おうか?ということで一杯になる…あぁ、たくさんの古本を売って得たお金が、たちまち一冊の古本にすり替わってしまうのか…などと多少は嘆息しつつも、一瞬の逡巡の後、やはりここは島田一男先生しかないだろうと、ポプラ社探偵冒險小説「青い魔術師/島田一男」(カバーカラーコピー)を五千円で購入してしまう。五千円の背徳感に襲われつつも、何たって島田先生の執筆に加え、挿絵は北田卓史なのだ!と結果的に喜び、本棚探偵に盛大に感謝を捧げてしまう。

多幸感に包まれながら「古書 音羽館」に移動し、新宿駅西口側にかつてあった「天下堂書店」のラベルが貼り付いた南北社「文学青春群像/小田嶽夫」(函ナシ)を100円で購入し、店主・広瀬氏に小冊子を引き渡して、5/6のイベントについて少し打ち合わせる。嬉しいことにこちらでも「中央線古本屋合算地図」の動きは順調とのことであった。
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本日の、少年探偵小説に重心を傾け過ぎた嬉しい収穫たちである。これらを買うお金で、何処か遠出でもすれば良かったのだが、すみません!やはり買わずにはおられなかったんです!欲しかったんです!仕方なかったんです!…うぅ…。
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2017年04月30日

4/30「東京のロビンソン・クルーソー」と「わんぱく天国」!

「第19回不忍ブックストリート一箱古本市」のプレゼンターを、今年も一箱王(南陀楼綾繁氏)より仰せつかったので、午後に外出。いつもなら、往復逆打ち・二往復・タイムトライアル・渦巻き回りなどの苦行を己に課すのだが、今日は両足が極度の筋肉痛に襲われており、日和って普通に見に行くことにする。そしてプレゼンターとしてではなく、色々なしがらみをかなぐり捨てて、純粋に古本を買って楽しもうと心に決める。ただし条件を三つ設定。1. ちゃんと本当に欲しい本を見つけること 2. たまには高い本を買ってみること 3. いつの間にか意外にも知り合いが多くなってしまったので気付かれぬよう隠密に活動すること…純粋に楽しむのなら、こんな条件はまったく必要ないのだが、残念ながらこんなことに容易く燃えてしまう性格が、そうさせるのである…。午後一時過ぎに根津駅に着き、まずは今年の地図を手に入れるために「タナカホンヤ」(2012/05/29参照)へと足を向ける。スタンプラリーのハンコ押印テーブルで無事に地図を入手し、およそ三時間をかけて十四ヶ所の六十八箱を見て回る。今年は谷である『不忍通り』を核にして箱が出店されている印象で、とてもスムーズで回りやすい。まずは三番目の条件については、その成功率は半々であった。なるべく人垣を利用して箱を盗み見たり、店主が視線を落としている時に気配を殺して素早く箱に接近して検分するなどしたのだが、本に夢中になると発見率が飛躍的にアップしてしまうのが難点だったのである…。二番目の条件については、特別擁護老人ホームに出店していた「文庫善哉」さんに晶文社「東京のロビンソン・クルーソー/小林信彦」が並んでいるのを発見し、一気に憧れが所有欲に移行してしまう。うぅんと会場内を一周して悩むフリをしながら、意を決して購入。かつてない、一箱古本市での最高値の買物となる(ただし6000円を5000円にしていただく。ありがとうございます!)。一番目の条件については、同じ会場の「RAINBOW BOOKS」箱で、ついこの間金沢八景で、佐藤さとるの展示ケースに『必ず手に入れてやる!』と誓ったばかりの(2017/04/24参照)講談社「わんぱく天国/佐藤さとる」を奇跡のように発見し、600円で購入する。まさか、まさか、こんなに早く手に入るなんて…古本の神様が、きっとにっかり微笑んでくれたんだ!と都合良く解釈し、途端にお客としてはチリチリ燃え尽きてしまう。だがその後も使命感に駆られてペースを落とさず回り、午後四時前にはすべての箱を見終える。坂の途中の池のある『須藤公園』の階段に腰を下ろし、ビールを飲みながら古ツア賞受賞者を決めつつ、木漏れ日の下で「東京のロビンソン・クルーソー」をツルツル読み進める。そして細かい文字群に飽きたら、「わんぱく天国」を箱から取り出し、横須賀の谷戸の小道を一緒に駆け回ったりしてしまう。そんな風に午後六時前まで過ごし、『谷中防災センター』での受賞式に臨む。今年の私の一位は「◯×文庫」さんで、昭和というすでに懐かしくなった時代を、古い本〜新しい本、それに絵本からガイドブックまでと、様々な角度から捉えた気持ち良さを、古本を買うお客として最大限に評価する(21世紀ブックス「おもちゃの作り方/石川球太」を300円で購入)。二位は探偵小説&ミステリのプロ的充実+恐るべき安さが毎年続く「幻影文庫」(光文社「少年探偵 少年探偵團/江戸川乱歩」を1000円で購入。傷んでいるところはあるが、カバーがちゃんとツヤツヤ!)、三位は一箱古本史上かつてないはずの殺人や連続殺人をテーマに据えた蛮勇の「幻想博物館」であった。一箱店主のみなさま、助っ人のみなさま、そして南陀楼氏を筆頭とする主催者のみなさま、今年も楽しい楽しい古本の飛び交う場をありがとうございました!

だがそれ以外にも、当地の古本屋「bango books」(2011年07月28日参照)に古本心を大いに切り刻まれてしまう。へび道端のお店では、圭文館「ダイヤル風流譚/穴吹義教」有終會「米國武官の見たる日米未来戦/海軍大佐 廣瀬彦太」(米軍スパイが横須賀海軍工廠に潜入する場面からスタート!)を計800円で購入した後も、丘の上の同店無人販売百均箱から大日本雄辯會「人肉の市/窪田十一」(カバー貼付)コンノ書房「大正会夜話」の二冊を計200円で購入してしまう。あぁ、色々まとめて、古本塗れな面白おかしい一日であった。幸せである。
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今日の嬉しい収穫トップ4。須藤公園の階段にて。
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こちらは木漏れ日の下で、「わんぱく天国」の見開き扉を開いたところ、ページから横須賀の匂いが、如実に流れ出し止まらない!
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2017年04月29日

4/28「たけうま会」と「推理小説ブック」

すでに昨日のことである。昼過ぎに家を出て、荻窪「ささま書店」(2008/08/23参照)で岩波写真文庫「本の話」小学館「アダンの画帖 田中一村伝/南日本新聞社編」を計210円で購入し、毎度お馴染み西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ。「フォニャルフ」に補充した後、帳場脇に席を作っていただき、オレンジ色の表紙が艶やかで眩しい「中央線古本屋合算地図」に、一心不乱にサインを入れ続ける。その数二百五十冊。およそ二時間かけて書き終えると、岡崎武志氏が「どぅも〜」と軽快に登場。交代して帳場脇に腰を下ろして、サインをさらりさらりと書いて行く。は、早い。相変わらず早い。「バランスがとれててええのよ。こっちはさらさら軽く書いて、古ツア君は紙に彫るみたいに書いて」とのこと。あっという間に五十冊が終わったところで「ほな、後は詩集にハンコ捺していくわ」とすっかり一仕事終えたつもり。すかさず盛林堂・小野さんが「何言ってるんですか。あと二百冊あるんですよ」と切り込むと「えぇ〜!まだそんなに!もう終わったと思ったんやけどなぁ〜」とオトボケ返答。そんなこんなでいよいよ本日発売ですので、どうかよろしくお願いいたします!「盛林堂」以外では、今のところ椎名町「ますく堂」国分寺「まどそら堂」八王子「むしくい堂」神保町「古書いろどり」京都「善行堂」大阪「梅田蔦屋書店」で販売予定。
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西荻窪を離脱して神保町に至り、夕方の本の街をパトロールする。「丸沼書店」(2009/12/17参照)でちゃんと著者紹介ペーパー入り(書いているのは高木彬光と植草甚一)の桃源社書下ろし推理小説全集「ぺてん師と空気男/江戸川乱歩」を500円で購入。「アムール」(2011/08/12参照)では改造文庫「ダーウィン傳/駒井卓」創元推理文庫「血の収穫/ダシール・ハメット」(再版。元パラ付き)を計100円で購入。さらに「ブンケン・ロック・サイド」(2014/08/28参照)の店内レジ前の付録山の中から、小学館小学五年生昭和四十二年12月号ふろく「犯人当て推理小説ブック」を表紙絵に惹かれて1080円で購入し、パトロール終了。チラホラ閉店準備が進み始める『靖国通り』を東に向かい、「東京古書会館」(2010/03/10参照)一階ロビーで「たけうま書房」さんと落ち合う。今日は神保町で『たけうま会』が開かれるのである。お相手は意外な人選、鎌倉「公文堂書店」さん(2010/03/28参照)と調布「古本 海ねこ」さん(2012/12/17参照)!古本屋さんなのに古書会館に緊張気味のたけうまさんが、たけうまさんらしくておかしい。しかし金曜午後六時の会館は、確かにたくさんの古本屋さんが目の前を通過して行くので、何となくその気持ちが分かる気もする。やがて姉御二人と合流して、近くのラーメン屋なのに夜は飲み屋になるお店に飛び込む。「何でこの四人?」と最初は言っていた海ねこさん。だが、全員三月生まれということで意気投合し、次第にお酒も進めばメートルが上がり、陽気な楽しい場と化して行く。公文堂さんは笑顔の眩しい『哭きの竜』みたいな方だが、旅と古本屋と樺太の話が面白い。いつか訪れた日野店(2009/11/07参照。現在は倉庫となっているそうである)の話をすると、恥ずかしそうに顔を伏せ「なんであんなとこまで来るのぉ〜。あの後、チキンラーメンの時計は本当におかしいんで外しました」とのこと。何か…すみません。でもまた今度、入れてもらおう。あのお店は、何かありそうな予感がプンプンするのだ。海ねこさんは目録製作と、あのレベルの高い本集めの苦しみを、世間話のように話してくれる。その中で外国の古本屋さんでの仕入れは、同業者ということなら(そのための英字名刺を作っている)、ちゃんと値引してくれるという事実にビックリしてしまう。へぇ〜、同業者割引は、世界万国共通なんだ。二人はたくさん日本酒を飲みながら、たけうまさんの私生活にもズバズバ切り込んだりして行く。フフフフ、愉快愉快。そんな風に神保町の夜は更け、明日のためにたけうまさんに後を任せて、一足先に失礼する。
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素敵に酔っ払う姉御二人と、何故かピースサインの陽気なたけうまさん。

すっかり酔っ払って乗り込んだ中央線車内では、気になっていた「推理小説ブック」を引っ張り出し、ビニールをもどかしく破って目次を開く。うわっ!宮敏彦!梶竜雄!氷川瓏!やった、当たりだ!岡田圭右風の男が描かれた石原豪人のイラストに惹かれ、一か八か買ってみたのだが、これは嬉しい!冒頭に『この本には、長編の推理小説が七本のっています』とあるが、みな18ページほどの短篇である。楽しい飲み会と収穫の余韻に浸り、電車は東京の夜の町を西にガタゴト走って行く。
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2017年04月27日

4/27買取バイトからの帰還を「中央線古本屋合算地図」に出迎えられる。

本日は早起きして「盛林堂書房」(2012/01/06参照)の軽井沢買取に、下っ端バイトとして同行する。その役割は、道中の眠気を吹き飛ばすお喋り相手と、大量の本を素早く移動させる肉体労働者である。午前七時半に西荻窪を出発し、高速道路を経由して、順調に北関東の山奥へと分け入って行く。途中、六年前に北軽井沢の「麦小舎」(2011/05/14参照)ツアー時に、自転車で苦しみに苦しみ抜いて上がった山道を、なぞるようにたどっているのに気付き、車でもハードな勾配とカーブを筋肉でクリアした、六年前の自分に戦慄を覚えてしまう。白い水蒸気噴煙をポカポカ上げる浅間山や、鬼押出しの奇岩に歓声を上げたりしながら、三時間ちょっとの車旅で目的の別荘地に到着。勤勉にすぐに書庫内の査定と整理に取りかかる。涎を垂らしても垂らし足りない探偵小説類に蕩けながら、まだ必要な本と買取本に分けた後、書庫の片付けや拭き掃除にも従事し、玄関にダンボール箱詰めした本と結束した本をキッチリ積上げ一段落。ドライブインで買って来た釜飯で昼食を摂りながら、宅急便の到着を待ちわびる。今回すべての本を一度に持ち帰るのではなく、キモの本だけは盛林堂号に載せて帰り、後のそれなりの本が詰まったダンボール十三箱は宅急便に運んでもらうことにしたのである。ほどなくして時間通りにトラックが到着。手続きをした後に、ダンボールの運び出しを手伝うと、そのドライバーさんは重さ15〜20kgのダンボール箱をひとつ持った後「上にひとつ載せて下さい」と笑顔でお願い。遠慮なくドスリと載せると、涼しい顔で二箱を抱え、あまつさえ階段を駆け下り小走りにトラック荷台へと向かうのであった…す、すげぇ。そして何度も「ひとつ上に載せて下さい」を繰り返し、運び出して行く。まるで江戸時代の拷問、『石抱き(別名・算盤責め)』を涼しい顔で受け流しているみたいに…。そんな風にして無事に三時間ほどで買取作業は終了し、すぐさま東京への帰路に着く。
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写真は別荘のベランダからの枯れ林の景色である。軽井沢はまだ雪もちょっとだけ残っているし、桜はキレイに咲いているし、やはりまだ寒かった…。

往きと同様に三時間強で西荻窪に無事たどり着き、荷物の運び出しを済ませて無事に買取バイト終了。番台のあちらとこちらでお互いに、さすがに疲れを溜めながらも、本日の総評や汲めども尽きぬ古本話など。さらに最近の入荷本を見せてもらっていると、おぉ!東京ライフ社「亡霊怪猫屋敷/橘外男」の帯付きが!と興奮。私も裸本だけは所持しているので、即座にカバーと帯のコピーを懇願してしまう。帯背の『新東宝天然色超大作映画化』の惹句が素晴らしい。
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家に帰って本にコピーを巻いたところ。完品モドキ本であるが、やっぱりジワジワ嬉しいぞ。黒猫ニャニャニャ〜ン!

とそんなことをやっていると、印刷所から待望の「中央線古本屋合算地図」が届けられた。いゃっほう!ついに出来たんだ!包み紙を剥がして一冊取り出して、うっとりと眺める。思った以上に表紙の中央線カラーが美しく再現されているではないか。中央線沿線古本屋のみなさま、執筆者のみなさま、そして古本屋を愛してくれるみなさまのおかげで、ついにこんなマニアックな本が、この世界に生まれ落ちました。本当にありがとうございます!4/29(土)の発売をお楽しみに!
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巻末には復刻の地図グラビアが!どうです、段々と欲しくなって来たでしょう!

追伸
先日購入した山田風太郎「風眼抄」(2017/04/24参照)は、やはり署名本であることが判明しました。改めて高らかに叫ばせていただきます!どひゃっほう!
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どひゃっほう記念に、署名ページから裏の写真ページを透かして撮影。
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2017年04月26日

4/26最初は「キュノポリス(犬狼都市)」であった。

本日色々終えて流れ着いたのは、武蔵関と吉祥寺の中間辺りであろう関町…というか、自分が今どこにいるのかいまいち理解していない状態…。取りあえずは吉祥寺駅を目指して、何となく当てずっぽうに住宅街の中を南に向かって歩いて行く。すると、突然背後から声をかけられる。おっ!やけに実用的な自転車に乗ったトマソン社社主の友泉君じゃないか。聞けば車を駐車場に置き、お店に戻るところらしい。そうか、この辺りは「松田書店」(2016/11/27参照)の近くなのか。渡りに船と吉祥寺までの道のりを何となく教えてもらい、お互いにちょっと人見知りしながらも二言三言言葉を交わして、スッと別れる。かなり長く歩き詰め、やがて見覚えのある『五日市街道』に出たので、久しぶりに「すうさい堂」(2009/05/02参照)に寄ろうとするが、残念ながらお休み。仕方なく繁華なアーケード商店街に足を向け、私とはそれほど相性の良くない「外口書店」(2010/02/22参照)に入り込む。
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お店の雰囲気は昔ながらだが、棚に並ぶ本は新古書が多いので、古本心がそれほど燃え上がらないのである。ぐるっと一回りして、講談社文庫「探偵小説辞典/中島河太郎」を400円で購入すると、帳場の老婦人は立ち上がりながら本を受け取り、ピンク色のオリジナル書皮を丁寧に掛けてくれる。背の折目は爪でピシッと付けて、文庫との一体化を図る。そして最後に「ありがとうございました」と深々とお辞儀。今や東京では珍しくなった感のある、賑わいの巨大アーケード商店街の古本屋さんは、今日も元気に営業中であった。

阿佐ケ谷に帰り着き、習慣として「古書 コンコ堂」(2011/06/20参照)の前で足が止まる。珍しく左側のムック&絵本&雑誌箱に引き寄せられると。丸善発行の古い季刊文芸雑誌「聲」(1958年創刊。全十巻。大岡昇平・中村光夫・福田恆存・三島 由紀夫・吉川逸治・吉田健一編集)が五冊ほど放り込まれているのを発見する。一冊一冊目次を確認して行くと、1960・春の7号に、澁澤龍彦の『犬狼都市』が掲載されているのに目が留まる。
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初出は『犬狼都市(キュノポリス)』じゃなく、『キュノポリス(犬狼都市)』なんだ。文字のような前衛的カットは、福澤一郎の仕事である。私は澁澤の書くものは、評論やペダンチックなエッセイより、小説の方が断然好きなのである。言葉や文章は美しいが、物語の流れ方が、まるで硬質で正確な歯車で押し出されるように、大きくギクギク、小さくキクキクと、機械的に動くところに陶然としてしまうのである。言わば、非小説家が書く小説というところに、物凄くときめいてしまうのである。そんなことを瞬時に店頭で思いながら、103円で購入する。

そしてちょっとお知らせ。
岡崎武志氏との渾身の古本屋本第三弾「中央線古本屋合算地図」は、絶賛予約受付中ですので、何とぞよろしくお願いいたします!店頭発売日は4/29(土)となっております。
http://seirindousyobou.cart.fc2.com/ca11/304/p-r-s/

そしてその岡崎武志氏の、5/6(土)還暦祝いトーク&ライブですが、予約がズンズン増えてしまったので、会場が『ビリヤード山崎』から、同じ西荻窪の『こけしや別館2階』に変更となりました。さらにたくさんの人で祝えるようになりましたので、ぜひ面白いお祭りと思って奮ってご参加ください!

★《緊急開催!》第98回西荻ブックマーク 山本善行presents 岡崎武志還暦記念トーク&ライブ 「風来坊 ふたたび」東京篇
■日時:2017年5月6日(土曜日)
■開場:15時30分
■開演:16時
■終演:18時30分 (予定)
★【ご注意ください!】予約者多数のため会場が変更となります。
× ビリヤード山崎 2階 (東京都杉並区西荻北3-19-6、西荻窪駅北口徒歩1分)
                ↓↓↓
〇こけし屋 別館2階 (東京都杉並区西荻南3-14-6、西荻駅南口徒歩2分、TEL03‐3334−5111)
  地図はコチラ 
*本館横のみずほ銀行の後ろにお回りください
■出演:岡崎武志 山本善行 荻原魚雷 小山力也 島田潤一郎
■特別ゲスト:世田谷ピンポンズ
■料金:2,000円 (おみやげ付き)
■定員:50名
http://nishiogi-bookmark.org/2017/
☆ 緊急開催! 東京でもやります!!! ☆
西荻ブックマーク最多出演の岡崎武志還暦記念。
京都から山本善行さんを迎え、さらに古本者三人衆もお呼びいたします。
また特別ゲストに世田谷ピンポンズさんが参戦!
みなさまもこの機会にお祝いにいらっしゃいませんか?
すてきなお土産もご用意いたします。
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2017年04月22日

4/22「ささま」を出たら雨が降る。

曇り空の下の夕方、荻窪北の妙正寺近くに流れ着く。ここまで来たならばと、荻窪の街を南に切り裂くように歩き出し、『日大二高通り』も『青梅街道』突破して、線路下を地下道で潜れば、そこはもはや大好きな「ささま書店」(2008/08/23参照)の至近である。さすがは土曜の夕方で、雨仕様の店頭もいつも通りの店内も、古本を求める人で賑わっている。のんびりと寛ぐように店頭と店内で古本の背を追いかけ、今日も古本に触れられる幸せにブクブクと溺れる。早川書房「古き良きスペース・オペラ時代 SF英雄群像/野田昌宏」人間の科学社「樺太と日本の悪縁/太田典礼」日本経済新聞社「俳優になろうか/笠智衆」を計525円で購入。だが表に出ると、いつの間に降り始めたのか、本降りの冷たい雨がお出迎え。春なのに春雨という感じではなく、ちょっと冷たく寂しい夕方の雨である。
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街がたちまち水気に覆われてしまった、その激変ぶりにしばし呆然としてしまうが、覚悟を決めてそのまま阿佐ケ谷目指して歩き始める。五十メートルも進まぬうちに、たちまちメガネは雨粒に覆われてしまったので、降り掛かる雨を避けるように下を向いて歩み続ける。視界の大部分を占めるアスファルトは、雨水で鈍い鏡のようになり、低解像度の見上げた空と建物の影をボンヤリと映し出し、濡れ鼠となった私の侘しい魂を、嘲笑っている。…早く家に帰って、暖かくしてから、読みさしの古本を紐解こう…家に帰り着くまで、後五百メートル弱…。
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2017年04月21日

4/21爆心地発行の写真集を手に入れる

昨日は下高井戸に流れ着き、フラリと駅踏切際のアーケード市場を潜り抜け、サッシ扉になってしまったが、それでも昔ながらの営業スタイルを保持している「豊川堂」(2016/07/04参照)へ。
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漂着の疲れを癒すために一冊を選び、ご婦人の座る番台に差し出す。第二書房「花とメノコと/竹内てるよ」(献呈署名入り。300円。アイヌ系ロマンス小説…)である。本を受け取るや否やご婦人は「あら?野坂さんかしら?」「いえ、竹内…」「あっ!てるよさん!てるよさんの本じゃなぁい。てるよさんね、この近所に住んでらしたのよ。ウチにも良く来ていただいて、奥で一休みしてもらったりしてたわぁ。わぁ〜懐かしい。晩年は身体壊して、で、拝み屋さんになっちゃってね〜」などと、一冊の本から飛び出す、予想もしなかった文学者話。瞬時に心と身体が、シュワッと癒されてしまう。

本日は野暮用で西東京方面に出没。帰途、西八王子に立ち寄り、以前素敵な本が安値で買えた「ガレージランドHarps」(2017/01/24参照)を訪ねてみる。だが、右から三列目通路に集まる古本は、すっかり枯れ果てた状態である。三ヶ月前の高揚を虚しく未練たらしく反芻しながら、諦め悪く薄暗い店内をウロウロ。すると、左奥の壁際のアイドル写真集コーナーに、違和感バリバリの一冊を発見してしまう。「HIROSHIMA 戦前 原爆 復興 写真輯録」である。昭和三十年発行の、42ページに『被爆前の広島』『原爆をうけた広島』『復興の広島』『原爆をうけた長崎』の写真を掲載したモノクロ写真集である。戦前と復興後の姿は平和そのものだが、やはり原爆投下後の写真は、ただただ街と人が被った恐るべき惨状ばかりで、まさに原民喜が言うような『新しい地獄』が克明に映し出されている。450円で購入し、帰りの電車内で改めて写真と対峙して行く。そして奥付を見ると、発行者の名に“吉川清”とある。あれ?これ特殊な閃光火傷をした背中を見せている写真の被写体が、この人ではなかったか…。気になり色々調べてみると、吉川清氏は『原爆一号』と呼ばれた被爆者で、戦後は原爆ドーム側で土産物屋を営み、訪れる観光客に背中の火傷を見せ、原爆の非道さを訴えていたそうである。写真集の奥付住所を良く見ると、『広島市 細工町 爆心地』となっている。もしやこの写真集、自費出版し土産物屋で販売されていたものではなかろうか…。
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そんな物を手に入れて、西荻窪で途中下車する。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に立ち寄り、ある緊急作業の打ち合わせ。その報酬は……古本…買おうと思っていた古本、春陽堂 世界大都會最尖端ジャズ文學第四巻「モン・パリ變奏曲・カジノ/フィリップ・スーボウ フランシス・ミオマントル」(カバーナシ)である。分かりました。やりましょう。早急に一日で仕上げてみせましょう。がんばります!
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2017年04月19日

4/19「中央線古本屋合算地図」!

午前中に宣言通り、どうにか「中央線古本屋合算地図」のフルデータを入稿し、ホッと一息。だが間髪入れず夕方に、早速印刷所が神速で出してくれた簡易刷り出しを見るために外出。日射しと風の強い中、ついつい「古書 コンコ堂」(2011/06/20参照)前に立ち止まり、パロル舎「贖罪のアナグラム 宮崎勤の世界/蜂巣敦」金剛出版「木々高太郎詩集 渋面」を計618円で購入し、西荻窪へと急ぐ。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)では素早く「フォニャルフ」に付録本を多数補充し(須知徳平のジュニアミステリや加納一朗のミステリ&スリラー小説や翻訳ジュニアミステリなど!)、帳場横で刷り出しをチェックする…いやぁ、ついに岡崎武志氏と二人三脚で、今年もここまで漕ぎ着けたか!と言うわけで、「中央線古本屋合算地図」は4/29(土)から販売開始!みなさま、何とぞ新たなこの古本屋本を、よろしくお願いいたします!

★「中央線古本屋合算地図」
中央線の一部である三十七キロの鉄路には、いつの頃からか常に古本屋さんが寄り添い、沿線の特徴ある文化的色合いを、どっしりと支える役目を担って来た。担うことで町と複雑に絡み合い、更なる“中央線カラー”を生み出し、沿線と人を深く育んで行った。それは今でも変わらず、またこれからも変わらないであろう。この本は昭和三十年から平成二十九年までの、新宿〜八王子間に出現したほとんどの古本屋を、長い長い時を飛び越え、駅ごとに一枚の地図に収めた“古本屋合算地図”である。様々な大小のお店の栄枯盛衰は、同時に中央線沿線のひとつの重要な歴史でもあり、現存するお店たちは、その膨大な積み重ねの上に成り立っているのである。本を紐解き、見たことのない過去の店舗群と、思い出のお店を楽しみ、現在と重ね合わせてそれぞれの町を見透かせば、朧げながら未来の町と古本屋の姿が、そこに見えてくるのかもしれない。

■岡崎武志×古本屋ツアー・イン・ジャパン編著
■B6版 全114ページ モノクロ 定価1300円(税込)
■2017年4月29(土)発売
■発売:盛林堂書房

驚異の「古本屋合算地図」に加え、竹中書店×岩森書店と水中書店×古書サンカクヤマの「古本屋座談会」、「中央線古本屋アンケート」、八王子「佐藤書房ものがたり」、「阿佐ケ谷 千章堂書店のアルバムより」、「青春の中央線古本屋」(荻原魚雷・北原尚彦・十松弘樹・南陀楼綾繁・林哲夫・北條一浩)、古ツアによる「中央線百均の旅」、すでに姿を消したお店の写真を集めた「中央線古本屋レクイエム」、岡崎による思い出エッセイ「つれづれなるままに中央線愛をつづりて」、それに「中央沿線古書店案内図 昭和三十年六月」を付録グラビアとして掲載。

「書肆盛林堂」での通販予約開始は4/23(日)17時より。盛林堂購入特典あり!また、「古本屋写真集」に続き、今回ものこの古本屋本をたくさんの方にお届けしたいと切に願っていますので、取り扱っていただけるお店も絶賛募集中!詳しくは「盛林堂書房」にお問い合わせ下さい!
『書肆盛林堂』→http://seirindousyobou.cart.fc2.com/
『盛林堂書房』→TEL:03−3333−6582 MAIL:seirindou_syobou-1949●yahoo.co.jp (●を半角@にして下さい。)
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2017年04月17日

4/17まだまだ見つかる未知の古本屋

『中央線古本屋地図(仮)』改め『中央線古本屋合算地図』の制作作業が、本当に本当の大詰めとなる。恐らく水曜日には入稿し、そして四月最終週には本が刷り上がってくる予定である。というわけで詳細情報もここ二三日で発表出来ると思うので、どうかご期待下さい!とまぁ、朝からそんな細かい作業をしていたので、息抜きに外出。ブラブラ歩いてたどり着いたのは阿佐ケ谷駅近くの「穂高書房」(2009/02/15参照)である。店主のオヤジさんは、相変わらずビルの横っ腹の出入口を開け放し、そこに陣取って色々作業中である。半ば放置されたような店頭台を順繰りに覗き込んでいくと、左端の台にちょっと古い本が並んでいるのが目に入る。
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歴史・発掘・人類創世史などなど…その中から函ナシの新光社「人類物語〜書き直された世界史〜上巻/ヘンドリック・ウイレム・ヴァン・ルーン 神近市子譯」を400円で購入する。表見返しを開くと、そこには見慣れぬ古書店ラベルが一枚。利休鼠の地色に白抜きで文字や絵が刷られている。上部にはエジプト古代絵文字であるヒエログリフ(手持ちの資料で懸命に調べてみると、どうやら『マンポウ』と書いてあるらしい…)があり、その下にはローマ字表記の店名。“マンポウショボウ”…おそらく「萬宝書房」と書くのではなかろうか。さらにその下に小さく“Kichijoji・Kunitachi”とあるではないか。これは両方の駅にお店があったと考えるのが自然だろう。だが、家に帰ってあらゆる資料をひっくり返しても、そんなお店の記述はどこにも見当たらない…いったいいつ頃のお店なのだろうか?調べても調べても調べ尽くせずに、ポロッと未知のお店が出現してしまうのが、恐ろしき古本屋天国とも言える、中央線沿線の実態である。いったい時代の陰に、どれだけの古本屋さんが一瞬の光跡を残し、流星のように燃え尽きてしまったのか…。今回の本は、昭和三十年以降のお店を扱っているが、いつの日か戦前の沿線古本屋に対しても、調査の触手を伸ばしてみたいものだ…。
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さて、話は変わりイベント出演のお知らせです。来る5/6(土)に『西荻ブックマーク』にて、岡崎武志氏の還暦祝いトーク&ライブイベントが開催されます。何と当日は、氏の親友であり京都の古本屋さんでもある「善行堂」(2012/01/16参照)古本ソムリエ・山本善行氏も勇んで上京。私は荻原魚雷氏・島田潤一郎氏とともに末席トークゲストとして参加予定。世田谷ピンポンズさんも風のように現れ、ミニライブを開催いたします。GWの一日に、詩と歌と本と古本ヨタ話に身を委ね、お土産をもらって過ごしましょう!

《緊急開催!》第98回西荻ブックマーク 山本善行presents 岡崎武志還暦記念トーク&ライブ 「風来坊 ふたたび」東京篇
■日時:2017年5月6日(土曜日)
■開場:15時30分
■開演:16時
■終演:18時30分 (予定)
■会場:ビリヤード山崎 2階 (東京都杉並区西荻北3-19-6、西荻窪駅北口徒歩1分)
■出演:岡崎武志 山本善行 荻原魚雷 小山力也 島田潤一郎
■特別ゲスト:世田谷ピンポンズ
■料金:2,000円 (おみやげ付き)
■定員:50名
☆ 緊急開催! 東京でもやります!!! ☆
西荻ブックマーク最多出演の岡崎武志還暦記念。
京都から山本善行さんを迎え、さらに古本者三人衆もお呼びいたします。
また特別ゲストに世田谷ピンポンズさんが参戦!
みなさまもこの機会にお祝いにいらっしゃいませんか?
すてきなお土産もご用意いたします。
http://nishiogi-bookmark.org/2017/
posted by tokusan at 18:23| Comment(8) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月15日

4/15昭和四年の川端康成に一刀両断される。

本日色々こなして漂着したのは吉祥寺の北…武蔵野の風景の真っただ中と言えば聞こえは良いが、風が吹く度に黒土が舞う畑の間である。口の中をじゃりつかせながらそこを抜け出し、幸福そうな住宅街の中を長い間潜り抜け、どうにか吉祥寺の繁華街にたどり着く。思いついて寄ったのは、東急デパート脇の二階の古本屋さん「百年」(2008/09/25参照)である。
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先日のトークでも店主さんにはお世話になったのだが、今日は帳場の中に姿は見えず。たくさんのお客さんと通路を譲り合いながら、講談社現代新書「明日、機械がヒトになる/海猫沢めろん」を432円で購入する。好きな作家の一人だが、いつの間にこんな科学系の新書を出していたんだ…。階下におりて駅に向かい、駅ビルの『LEMON DROP』で今夜の贅沢なデザート・チーズケーキを購入して帰路に着く。

家に帰り着くと今日もヤフオク落札本が到着している。新潮社「文學時代 昭和四年七月特集探偵小説号」である。191ページ以降が落丁し、表紙にも穴が開いているジャンク本なのだが、国会図書館にも所蔵されていないようなので資料用に購入したのである。なんたって今秋に編集予定の探偵小説集の、目当ての作家の未知の小説が掲載されているのだ。だがそれ以外にも、『探偵小説座談会』『探偵劇のポスタア』『探偵小説發達史』などが載っており、大変に読み応えあり。惜しむらくはやはり、落丁部分の探偵小説、甲賀三郎「發聲フィルム」内田百閨u影」(ともに竹中英太郎畫!)が読めないことであろうか。だが嬉しい誤算もあり、川端康成の小品「都會の手帳」「逗子・鎌倉 ロマンス以前」は、まさに新感覚派の真骨頂とも言える、ギリギリまで尖った意味喪失寸前の文章で、現実を麻酔するほどの力を発揮している!詩が小説となり、小説が詩と化す、才気の暴走が、文章に感化され鋭敏になった心を、一刀両断!他にも龍胆寺雄の映画評や浅原六朗のエッセイなどがあり、当分この一冊で昭和初期を楽しめそうな予感を、ヒシヒシと感じている。
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posted by tokusan at 20:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月11日

4/11雨の日に行った俺が馬鹿だった

外は四月とは思えぬ冷たい土砂降りの雨。そういえば本川越の『PePe』前では「小江戸川越 ペペ古本まつり」(2015/11/19参照)が開かれているはずだが、この雨の中どんな大変なことになっているのであろうか。もしかしたらライバルがほとんどおらず、雨さえ我慢すれば、ウハウハの入れ喰い状態になるのかもしれない…。そんな都合の良い淡い期待を抱いて、西武新宿線で一路埼玉へ。ホーム北端の改札を抜け、ほぉ!西側に抜けられるように新しく出口が出来たのか。これで東武東上線・川越市駅に向かうのが、劇的に便利になったな。などと感心しつつ駅前の広場に向かうと、ああっ!居並ぶすべてのテントが、ブルーシートとビニールカーテンで、厳重に梱包されてしまっているではないか!
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外側のテントにノートの切れ端が貼付けてあるので、近寄って確認してみると『4/11(火)古本まつり雨天のため中止致します』と書かれていた…。淡い期待は、無惨にも春の氷雨に打ち砕かれてしまったのである。古本のまったく見えないテント群と対照的な、雨に濡れそぼった赤い『古本市開催中』の幟を虚しく眺める。だがそれでも、どうにかしてこの地で古本を買っていきたいものだ。そう即座に決意して、すでに純粋な古本屋さんの消え去った地を、諦め悪く歩き始める。こうなったら、リサイクル系のお店に助けを求めよう。駅から東に向かい、川越の近代的メインストリートでもある長い長い商店街『クレアモール』を南進する。そしてたどりついたのは、「古本市場」のチェーン店である「ふる1 川越クレアモール店」である。
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ゲームやコミックのお店であるが、明るく白く奥深い店舗の左壁には、これもまた奥深い古本壁棚が続いている。93円単行本・一般単行本・実用本・一般文庫・93円文庫と棚の数は多いのだが、かなり白っぽいのが連続するので、茶色い本好きとしてはあまり気分が乗って来ない。それでもどうにか最後の93円文庫棚で、講談社文庫「津和野の殺人者/中町信」を見つけ出し、税込の100円で購入する。…よし、今日はこれでいだろう!と己に言い聞かせ、足元をビシャビシャに濡らしながら、たった一冊の文庫本を携え、再び西武新宿線にたくさんの学生とともに乗り込んで、早々と帰路に着く。
posted by tokusan at 19:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする