背だけではどんな本か判り難いので、久々に目録擬きも作成!四十部ほど用意してあるので、新しく誕生した奇祭“裸本祭”の記念にどうぞ。お祭の記念に、大家の「盛林堂書房」(2012/01/07参照)で角川書店「愛についてのデッサン/野呂邦暢」を大胆購入する。
一旦家に戻って些事を済ませ、午後三時に出立。高崎線で埼玉県を北上し、熊谷から県の北端をなぞるようにして本庄駅着。駅の北一キロ強のお店に着くと、看板は健在だが、すでに営業している気配は感じられない…念のため、シャッター脇に近付き電気メーターを注視してみる…ぴくりとも動かない…やはり…。
以前から気になっていたお店ではあったのだが、これで去就がはっきりしたわけだ。重い足を引き摺り、駅へペタペタと戻って行く。雪駄で歩き詰めているので、足裏は火が点いたように熱くなっている。この暑さのためか、街中の様々な場所で、犬や猫が死体のように五体を投げ出している。やがて午後六時を迎え、街頭スピーカーから巨大な音量で『夕焼け小焼け』が流れ出す。見知らぬ土地で、寂しい曲を聴かされ、猛然と子供のように寂しさが湧き上がる。歩を早めて、足裏に熱を帯びながらペタペタ…古本に出会えなかった腹いせに、駅近くのお菓子屋『こまつや』で『ドラQ』と言う名の、キュウリ入りどら焼きを買い込む。パッケージに河童とキュウリの絵が描かれた、まったく食欲の湧かぬ一品である。味は、硬めの衣に甘じょっぱいみそあん。そしてその中に緑色のキュウリが…うぅ、何だか甘いお通しを食べているような…ポリ…明日こそはちゃんと古本屋に…ポリポリ…たどり着いて…ポリ…。


●「あぶり出し」
●「コクティ」
●「黒猫」
●「将棋愛」
●「気配ゼロ」
●「武田信玄」
先日、府中から国分寺に向かうバスの中で発見した古本屋さん、「books SANWA」(2010/03/09参照)。その日はシャッターが閉まっていたので、要再訪物件となっていた。そして再び府中を訪れた日、またまたバスに乗りながら、ついでにお店をチェック。すると…あっ!開いてる!しかも本棚らしきものが見えたぞっ!焦って降車ボタンを連打し、『東元町』で途中下車。カバンからカメラを取り出しながら、『やった、やったぞ!』『どんなお店なんだ?』『これはスゴイぞ』『もしや掘り出し物が』などと瞬時に考えながら、喜びと功名心が胸の中を飛び回る。狭過ぎる歩道で車をやり過ごし、車道に出て写真撮影開始…ってあ〜、古本屋じゃないっ!扉から覗く室内は何だか事務所っぽい…先ほど見えた本棚も、普通の書類が並ぶのみ…良く見るとパソコンスクールであった。あぁ〜っと肩を落とし、古本屋の名が残る日除けを、未練がましく見上げる始末…と言うようなことがあり、新たな古本屋遺跡発見の運びとなりました。
ある日の夜、渋谷円山町での仕事を終えて、疲れた足を引きずりながら『百軒店商店街』を抜けて行く。渋谷には仕事と古本屋以外では、もはや足を踏み入れなくなった。そんな街の道を歩いていると、商店街入口の前に道玄坂が現れる。いつもはすぐに左へ曲がってしまうのだが、この時はお腹がすいているせいか、向かいにあるはずのうどん屋を探し、正面を見据えていた。すると、道路の対岸に闇のように暗い廃墟…あれ?なんでだ?あの看板建築群は『マークシティ』の建設とともに取り壊されたはず……え〜っ!?残ってる!まだ残ってる!焦りながら左右を確認し、道路を飛鳥のように横断。三階部分にマンサール屋根が連続する、古めかしい看板建築群。往時の面影を充分に残しているが、壁面にはブルーシート、建物上階には剥落防止のグリーンネット、そしてシャッターは汚れまくっている。お店が次々と撤退したのは2000年前後。勝手に消滅していたものと記憶を捏造していたが、よもや現存しているとはっ!それならば何か残っているはずだ!と左から四軒目の店頭にダッシュ。ここは、現在は池ノ上に移転した「文紀堂書店」(2008/09/02参照)があった場所なのだ。な、何か痕跡は?まずは上階を見てみると、スクラッチタイルの壁面や窓ガラスには何も残っていない。右側に看板を取り外した跡がある。青とオレンジのだんだら日除けにも無し。シャッターにも無し。軒の看板を見ると、無残にも白い塗料で塗り潰されている…が、あった!右端に!そこには塗り残された『買入』と電話番号の一部。そして青い『全古書連加盟店』のシール!お店の名はないが、ここが確かに古本屋さんであったことを証明してくれる、小さな薄い遺跡である。あぁ、果たしていつまでこの姿を留めていてくれるのだろうか…。この喧しい渋谷の街に、残っていたエアポケット(今まで気付かなかった私がいけないのだが)。出来ればこのままひっそりと佇んでいて欲しいものである。なお、この看板建築群の現役時の雄姿は、三省堂選書「看板建築/藤森照信」の見開き写真で確認可能。もちろん古本がぎっしりと並んだ「文紀堂」も、バッチリ写り込んでいる。






