2012年07月05日

7/5古本屋遺跡をドラQで補填

お昼に『古本ナイアガラ』の入替に向かう。今回のテーマは『裸だワッショイ!裸本だワッショイ!』の裸本祭!カバーや箱が無いだけで不遇な目に遭う、剥き出しのブルブル震えている本たちを、一瞬でもスターダムに!の思いを込めて、最下段にギュッとセッティング!…ぬぬっ、意外にも重厚な棚になってしまった…。
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背だけではどんな本か判り難いので、久々に目録擬きも作成!四十部ほど用意してあるので、新しく誕生した奇祭“裸本祭”の記念にどうぞ。お祭の記念に、大家の「盛林堂書房」(2012/01/07参照)で角川書店「愛についてのデッサン/野呂邦暢」を大胆購入する。

一旦家に戻って些事を済ませ、午後三時に出立。高崎線で埼玉県を北上し、熊谷から県の北端をなぞるようにして本庄駅着。駅の北一キロ強のお店に着くと、看板は健在だが、すでに営業している気配は感じられない…念のため、シャッター脇に近付き電気メーターを注視してみる…ぴくりとも動かない…やはり…。
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以前から気になっていたお店ではあったのだが、これで去就がはっきりしたわけだ。重い足を引き摺り、駅へペタペタと戻って行く。雪駄で歩き詰めているので、足裏は火が点いたように熱くなっている。この暑さのためか、街中の様々な場所で、犬や猫が死体のように五体を投げ出している。やがて午後六時を迎え、街頭スピーカーから巨大な音量で『夕焼け小焼け』が流れ出す。見知らぬ土地で、寂しい曲を聴かされ、猛然と子供のように寂しさが湧き上がる。歩を早めて、足裏に熱を帯びながらペタペタ…古本に出会えなかった腹いせに、駅近くのお菓子屋『こまつや』で『ドラQ』と言う名の、キュウリ入りどら焼きを買い込む。パッケージに河童とキュウリの絵が描かれた、まったく食欲の湧かぬ一品である。味は、硬めの衣に甘じょっぱいみそあん。そしてその中に緑色のキュウリが…うぅ、何だか甘いお通しを食べているような…ポリ…明日こそはちゃんと古本屋に…ポリポリ…たどり着いて…ポリ…。
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2012年06月07日

6/7古本屋遺跡・ガード横の幻影

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代々木駅前の交差点から、西に坂を下って行く。下り続け、たくさんの人々と行き交い、やがて道は平坦になる。行手には道路を跨ぐ、低い小田急線のガード…皆足早に駅へと急ぎ、ガードの傍らに建つ、古本屋には無関心だ。「白紙堂書店」。調べてみると、1967年出版の「古書店地図帖」では、現在と同じ場所ですでに営業しているのが確認出来、それは2001年出版「全国古本屋地図」でも同様である。私がこのお店の存在を知ったのは、2008年のツアー初期であるが、お店が開いているのを一度も見たことは無い。と言うことは、2001年〜2008年の間に、お店を閉めてしまったのだろうか?このお店にシャッターは無く、ガラス戸の向こうを、小さな青い花柄のカーテンが隠している状態。端には、棚の一部がチラリと見えたりしている…これがまた、いつか開くことがあるんじゃないかと、淡い幻想を抱かせるのだ。だから、小田急線の下りに乗っている時は、いつも左側のドアに張り付き、一瞬の車窓に目を凝らしている。万が一開いていたなら、次の駅で即座に途中下車し、ダッシュで駆け付けるために…。
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2011年10月05日

10/5磯子の近接古本屋遺跡『痕跡と幻影』

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根岸湾の形をなぞる『国道16号』を、磯子駅から北に向かって600mほど進むと『磯子旧道入口交差点』に到る。ここに二種の古本屋遺跡の姿。ひとつめの「池田書店」は交差点手前の16号沿い、時間の停まった古い商店建築群の中に沈んでいる。閉ざされっ放しの錆びたブリキの雨戸。その表面は丹念に育てられているのか、繁茂したほおずきに覆われてしまっている。小さな店頭が、在りし日の古本屋稼業の様子を伝えることはもはや無さそうだ。唯一の痕跡は、軒のモルタル壁に染み残る、看板文字だけ…。目を凝らして、その古代壁画のような白と灰色の模様を解読すると、『池 田 書 店』の四文字が浮かび上がった。2005年あたりまでは確実に営業されていたようだが、今はその役目を終え、静かにほおずきを育てている…。そして二つめは、交差点を北に越えると左手に賑やかに現れる闇市の名残り『浜マーケット』。この中にあった「磯子文庫」と言う名のお店である。光文社文庫「ミステリファンのための古書店ガイド/野村宏平」によると、元は貸本屋さんで昭和二十〜四十年代の小説や漫画が、かつては並んでいたと言う。こんな出会った瞬間に気絶してもおかしくない状況で、2007年まで現存していた。しかし!2007年4月にマーケットが火災に見舞われ、その後は仮店舗で営業されていたようだったのが、いつかお店を畳んでしまったのである。よってこの場には痕跡すら残っていないのだ。しかし、賑やかな入口から、狭く少し坂になって左右に角度を付ける、そのマーケット内を遡上して行くと、『あぁ、この先にはまだ古本屋さんがあるのではないか…』と心の中の幻影に繰り返し幻惑される。およそ200mほどのアーケードを抜けると、今度は『私は隙間にあったお店を見逃しているのではないだろうか…』の疑惑に捉われ逆戻り…。永遠に古本屋さんを求めて行きつ戻りつ…しかしいくら歩いても、その幻にたどり着くことは出来ない。今その痕跡を確認出来るのは、『浜マーケット』公式HP内の『店舗紹介』で、『2007年4月頃』のマップにある「磯子文庫/折紙」の文字。そこをクリックして、歩いてたどり着けなかった、在りし日の店内と店主の姿を、モニターに浮かび上げることだけなのである…。
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2010年07月06日

7/6夏の古本屋遺跡

歩いた果てに見つけたモノと、ふとした偶然に気付いたモノをひとつずつ。その労力は違えども、私の中では遺跡として等価値なのである…。


book_land.jpg●「あぶり出し」
東武伊勢崎線新町駅の一キロほど東方にある。暑い日差しに炙られ、街道を驀進するトラックにホコリを浴びせられ、ベンチに半裸で座る地元老人に不審の目を向けられながら、お店があったであろう場所に立つ。もぬけの殻であった。不動産会社の人がシャッターを開け、空気を入れ替えていた。『ブックランド草加』と言う名とは不釣合いな小ぶりな店舗で、リサイクル古書店の残り香がフワリ。潔くあきらめて踵を返すと、店前の駐車場横に複合看板を発見。その一部のほぼ白の部分に近付くと、薄〜くあぶり出しのような店名が残っていた。『本の国』は果たして何処へ姿を消したのか…この儚い極薄な遺跡も、強い紫外線に焼かれ、いずれスゥ〜っと消える運命か…。


cocuty.jpg●「コクティ」
夜に飲み屋から出て徒歩で家路に着く。高円寺駅北口、東寄りのタクシー乗り場に差し掛かった時、柵に取り付けられた町内地図を発見。古本屋ツアーにとってこの手の地図は重要な情報源!容易に時間を飛び越えられたりするので、見ることがすでにクセになっているのだ。ほろ酔いでグッと覗き込むと、『あづま通り』を含んだ地図であることが判明。…もしや!?と思い視線を通り沿いに滑らせて行く。おっ!先日『中通り』沿いに移転した「コクテイル」の名がしっかりと残っている!これも立派な遺跡であるな!とひとりごち、しゃがみ込んでカメラを向けた瞬間に、店名がおかしいことに気付く。そこには建物を象った枠線の中に「古本酒場コクティ」の文字……“ミキティ”みたいになっちゃってます!文字数が入りきらなかったのだろうか?その割にはちょっと余裕があるし、“イ”は完全に“ィ”だ。…ウフフフ、面白い。とタクシー乗り場でタクシーに乗り込むことなく、しゃがみながら地図を連写する男がひとり…あぁ、いい夜だ。

古本屋ツアーの副産物である哀しい遺跡類だが、その輝きはいぶし銀で、やはり捨て難い魅力を持っている…と言うか、もはや打ち捨てられた状態なので、さらに捨てることなど到底出来ません!当ブログをご覧の皆様も、もし遺跡を見つけることがあれば、記録と保全に務めていただくよう、お願いいたします。
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2010年04月28日

4/28春の古本屋遺跡フェアー

また少し遺跡が貯まったので、まとめてご報告。


f_iseki_suzuran.jpg●「黒猫」
川崎の武蔵白石、『国道一号』を越えた住宅街の中にある。見つけた時は『開いている!』と思ったが、近付いてよく見てみると、すでにお店ではない。看板・日除けは健在だが、お店の前面が壁で埋められている…。かつてはガラス戸の入口だったのだろうが、その枠にピッタリはまるカタチで、新たな壁が設置されているのだ。出入口は無く窓のみの、まさに壁なのである。さながら古本屋を隠すために、壁を埋めてしまったかのよう!おぉ、これではまるでポーの「黒猫」!壁の向こうからドサドサと古本の落ちる音が…。元のお店は「すずらん古書店」。側壁の店名看板は、住宅街にあるまじきドデカさです。


f_iseki_aikidou.jpg●「将棋愛」
足立区の大師前にある。去年の夏に見付けた物件であるが、再訪してみたら変わらぬ姿で佇んでいた。麗しい名のお店「愛書房」が、ただ閉店しているだけのように見えるが、シャッターにグッと近寄ると、『棋道館西新井道場』の文字が!恐らく現在は将棋道場なのであろう。一度開いているところを見てみたいのだが、その夢は未だ叶わず。頭の中では。ガラス窓の向こうで熱心な棋士たちが、盤上で静かに愛ある棋道を突き進んでいるのだが…。



f_iseki_soubundo.jpg●「気配ゼロ」
十条から東に下ると東十条。すでに先ほど見付けた古本屋は、日除けがボロボロで営業している気配はゼロ。もう一軒を求めて夜の街をウロつくが、影も形も見当たらない。住所の場所を行ったり来たりして、万策尽きて天を仰ぐと…そこに『本』の文字!雑居ビルの壁看板の頂点である。『本』とあるからには、何処かで本を商っていなければならない!元のビルをじっくり眺め、郵便受も見てみるが、古本屋さんの気配はゼロ…「宋文堂書店」は忍者のように気配を絶っている…私の能力ではもはや追跡出来ず。ただポカンと口を開け、暗闇で夜空にうっすら浮かぶ『本』を眺めている。


f_iseki_furinkazan.jpg●「武田信玄」
千葉の妙典にある物件。元の名、「風林火山」に相応しく勇ましい幟が林立する店頭だが、現在はマンガ喫茶と化している。お店の名残りは軒に残る看板のみで、そのほとんどが白く塗り潰されているが、左端に『本』の文字が雄々しく残っている。十中八九リサイクル古書店だったのであろう。
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2010年03月16日

3/15古本屋遺跡・車窓に流れた幻


books-sanwa.jpg先日、府中から国分寺に向かうバスの中で発見した古本屋さん、「books SANWA」(2010/03/09参照)。その日はシャッターが閉まっていたので、要再訪物件となっていた。そして再び府中を訪れた日、またまたバスに乗りながら、ついでにお店をチェック。すると…あっ!開いてる!しかも本棚らしきものが見えたぞっ!焦って降車ボタンを連打し、『東元町』で途中下車。カバンからカメラを取り出しながら、『やった、やったぞ!』『どんなお店なんだ?』『これはスゴイぞ』『もしや掘り出し物が』などと瞬時に考えながら、喜びと功名心が胸の中を飛び回る。狭過ぎる歩道で車をやり過ごし、車道に出て写真撮影開始…ってあ〜、古本屋じゃないっ!扉から覗く室内は何だか事務所っぽい…先ほど見えた本棚も、普通の書類が並ぶのみ…良く見るとパソコンスクールであった。あぁ〜っと肩を落とし、古本屋の名が残る日除けを、未練がましく見上げる始末…と言うようなことがあり、新たな古本屋遺跡発見の運びとなりました。
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2010年03月02日

3/2古本屋遺跡・繁華街の盲点


bunkido_dogenzaka.jpgある日の夜、渋谷円山町での仕事を終えて、疲れた足を引きずりながら『百軒店商店街』を抜けて行く。渋谷には仕事と古本屋以外では、もはや足を踏み入れなくなった。そんな街の道を歩いていると、商店街入口の前に道玄坂が現れる。いつもはすぐに左へ曲がってしまうのだが、この時はお腹がすいているせいか、向かいにあるはずのうどん屋を探し、正面を見据えていた。すると、道路の対岸に闇のように暗い廃墟…あれ?なんでだ?あの看板建築群は『マークシティ』の建設とともに取り壊されたはず……え〜っ!?残ってる!まだ残ってる!焦りながら左右を確認し、道路を飛鳥のように横断。三階部分にマンサール屋根が連続する、古めかしい看板建築群。往時の面影を充分に残しているが、壁面にはブルーシート、建物上階には剥落防止のグリーンネット、そしてシャッターは汚れまくっている。お店が次々と撤退したのは2000年前後。勝手に消滅していたものと記憶を捏造していたが、よもや現存しているとはっ!それならば何か残っているはずだ!と左から四軒目の店頭にダッシュ。ここは、現在は池ノ上に移転した「文紀堂書店」(2008/09/02参照)があった場所なのだ。な、何か痕跡は?まずは上階を見てみると、スクラッチタイルの壁面や窓ガラスには何も残っていない。右側に看板を取り外した跡がある。青とオレンジのだんだら日除けにも無し。シャッターにも無し。軒の看板を見ると、無残にも白い塗料で塗り潰されている…が、あった!右端に!そこには塗り残された『買入』と電話番号の一部。そして青い『全古書連加盟店』のシール!お店の名はないが、ここが確かに古本屋さんであったことを証明してくれる、小さな薄い遺跡である。あぁ、果たしていつまでこの姿を留めていてくれるのだろうか…。この喧しい渋谷の街に、残っていたエアポケット(今まで気付かなかった私がいけないのだが)。出来ればこのままひっそりと佇んでいて欲しいものである。なお、この看板建築群の現役時の雄姿は、三省堂選書「看板建築/藤森照信」の見開き写真で確認可能。もちろん古本がぎっしりと並んだ「文紀堂」も、バッチリ写り込んでいる。
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2010年02月04日

2/4東京最奥部古本屋

2009/12/06へのコメント&その後の情報提供者とのやり取りを基に、奥多摩方面へ向かうことを決意。目指すは『日向和田駅』近くにあると言う、恐らくは東京最奥部の古本屋「はらしょう古書店」である!『土間部分に本棚を置いた狭いお店で、古い本も多く表の均一文庫にも珍しいものが混ざっていた』とのこと…何と胸躍る説明であろうか!googleストリートビューでお店の姿を確認した時は、何だかゲームの隠しダンジョンを見つけたように興奮!しかし五年前に訪れた時はシャッターを閉ざしていたそうで、無論閉店している可能性も…しかしそんなことで怯んではいられない。もし何らかの痕跡が残っていれば、「古本屋遺跡」に認定出来るはずだっ!と言うわけで、青梅線は山間を走っている。『青梅駅』からは四両の電車に乗り換え、ドアの開閉も乗客自らがボタンを押して乗降する。駅は片側ホームのみの無人駅で、目の前には小さく山道のようになった『青梅街道』。そこを北へ向かい、すぐに西に現れる『神代橋』を渡る。眼下では多摩川が、深い谷底を『ゾゾゾ』と音を立て流れている。橋を渡り街を進むと『吉野街道』に行き当たるので、そこを北へ。もうすぐにお店の場所である。急ぎ足に歩道を進む……が、お店は無かった。古本屋は無かった。ただ普通の住宅が建っているだけであった。あぁ…やっぱり間に合わなかったのか…今回はとにかく遅かった、大遅刻であった。その住宅の周りと近所をウロウロキョロキョロするが、何の痕跡も発見出来ない…谷間を吹き抜ける風が、ことさら肌を凍てつかせる。…私は一体ここで何をしているのか…いや、まぁ確認しただけでも良しとしなければ…。トボトボと来た道を戻って行くと、『梅郷四丁目交差点』の向こうに“へそまんじゅう”と言う看板が見えている。せめて古本が買えなかった腹いせに、まんじゅうを買って行こうと思い立ち、寂しい売店で八ヶ入り(帰宅後に食すと超美味なのでビックリ!)を購う。再び交差点に戻り信号待ち。その時何気なくまんじゅう屋の方を振り返ると、金網に取り付けられたボロい手描きの町内地図が目に入った。もしや!と思い近付いてみると、酷いシミから逃れたギリギリの部分に「はらしょう古書店」の名を発見!ああぁぁぁぁっ!あったんだ!ちゃんとあったんだ!と汚らしい地図の前で、小さな感動に打ち震えてしまう。これが現在、東京の西・最奥部にある、脆く儚い古本屋遺跡なのです。

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2010年01月11日

1/11古本屋遺跡・生きた化石編

先日板橋で出会った物件を紹介するために、予想以上に早い第二回目。あまりにもインパクトある都市の異次元…以下三店をご紹介。


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●「跡形も無く…」
根津にあった木造商店の貸本屋「なかよし文庫」である。その凛とした姿は、時代を高く飛び越え過ぎていた。私はこのお店が営業しているのを見た事が無い。扉には貸本屋を閉店し、在庫を放出して古本屋として再スタートすると宣言した、立派なプレート掲げられていた。しかしこの宣言は中々実現することなく、時は坦々と過ぎて行った…。そして去年の9月に訪れてみると、そこは杭に囲まれた更地と化していた。ガラスのカケラがキラキラと輝く…古本屋として開店したところをぜひとも見てみたかった…そして古本を買いたかった!お店の跡地が、それでも昭和の風景に見えるのは、まだお店の魔力がかろうじて効力を発揮しているのだろうか…。お疲れさまでした。


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●「柳丁木書」
市谷柳町の交差点近くに佇むその姿は、異様な迫力に満ちている。肌色の壁が風雨のために、斑に黒く変色。一階店舗のシャッターも雨戸も閉ざされたままである。かろうじて生活の気配があるような…。そして軒下にあるボロボロの欠落した看板文字…これが無ければ、この建物が書店と言うことには到底気付かなかっただろう。元は「柳町 鈴木書店」だったのが「柳丁 木書」と成り果てた、造作の美しい木製の看板文字。“鈴”“店”の文字の運命や如何に?ある日突然店頭に落ちていて、無事に回収されたことを願いたい。


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●「塵芥箱」
板橋の大山駅から板橋区役所前駅に向かう途中、『中山道』手前の氷川神社前で偶然発見。その崩壊寸前の建物が、在りし日の古書店の姿であることに気付き、激しい衝撃を覚えた。平屋の側面を見ると、剥がれ落ちる下見板、垂れ下がる雨樋、歪んだ根太、傾いたガラス戸…そして壁際に懐かしいコンクリ製の塵芥箱…随分と人の手から離れた雰囲気なのである。表に回るとピッチリと閉じられた木枠のガラス戸。中もカーテンが閉め切られている。そして板ガラスに、古風な「末広書房」の文字。かつては金色に光輝いていたことを伺わせる。それにしても何と旧世代の古本屋の姿を、見事に留めていることかっ!外の塵芥箱も含め、「東京たてもの園」に移築する価値ありなのは間違いない!

「なかよし」文庫以外は、ネット検索にしっかり引っ掛かるので、この建物の内部で、今もしっかり営業中なのかもしれない。過去の古本屋地図では「鈴木書房」は“即売会が中心”、「末広書房」は“閉まっていることが多い。倉庫形式”などと書かれている。今回の物件は、完全なる店舗の姿なので“生きた化石”ということにしておこう。それにしても「東京たてもの園」さん、そろそろ園内に古本屋(もしくは本屋)を移築しませんか?不景気なので予算は苦しいと思いますが、建物は姿を消して行く一方です!
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2010年01月01日

1/1古本屋遺跡

古本屋さんを巡っていると、自然と数多くの閉店したお店にも出会うことになる。辛く切なくガックリと肩を落とす瞬間…。しかしそんな中でも、時たま面白い光景を目にすることがある。お店はすっかり跡形も無いのに、その名残りが輝きを放っているのだ!徒労と悲哀が、わずかな喜びとおかしさに変化する!古本は手に入らないが、この“古本屋遺跡”と呼べるモノたちは、幾許かの満足感をもたらせてくれるのである……。


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●「本 買 い ま す」
東急東横線大倉山駅近くの、『大倉山交差点』脇のお店に残る日除けの文字である。『店名じゃなくキャッチコピーだから消さなくてもいいか…』そんな投げやりな思いが感じ取れる光景である。元は「大倉山古書店」、今は洋服屋さん。どうか本が持ち込まれませんように。


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●「自転車置場?」
以前も紹介した、東武亀戸線東あずま駅前の物件。辺りをグルグルと徘徊しても「雄文堂書店」を発見することは出来なかった。それにしてもこれは何のために!?あまりにも立派な造りである。もしやこの下に平台を置いていたとか…。


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●「上を見よ」
池袋駅西口の池袋仲通り商店会にひっそりと佇む。この商店会共通のお店の標示板である。もちろんお店はすでに無く、ここに存在していたことを、頭上高くで教えてくれているのが何だかいじらしい。思わず「正林堂書店」に電話したくなってしまうアピール力がある。







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●「夜に輝く」
阿佐ヶ谷駅の北、中杉通り沿いのビルに残る看板。夜の方が輝きを放ち、存在感がいや増す。お店は今は電子部品の会社となっている。ところでこの「石田書房」は神保町の綿華通り沿いに移転したのだが、そこも今はもぬけの殻…一体何処に?




別にこれらの物件を残して欲しいと言う訳ではない。と言うか限りなく見過ごされがちな透明な存在で、やはりいずれは消滅するモノたち…。しかし目にしてしまったからには、この中途半端な状態を記録に残したくなってしまった。数はあまり多くないだろうが、これからも発見次第ご報告して行くつもりである。
posted by tokusan at 14:05| Comment(4) | TrackBack(0) | 古本屋遺跡 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする