2017年09月16日

9/16ネコジャラ市の11人!

怪し過ぎる空模様がどうにかもってくれたことに感謝しながら、お洒落な人があらゆる路地を闊歩する奥沢に流れ着く。自由が丘周辺であるこの地区は、どうにかしてパリになろうとしているらしい…。そして同時に、明日の「みちくさ市」が中止になったことを知り、ションボリ肩を落とす…いや、その分、用意した古本も情熱のすべても、10/1の「LOFT9 BOOK FES.2017」にぶつけるしかない!と気持ちを新たにしながら、奥沢駅の南側に出て久しぶりの「PINNANCE BOOKS」(2012/06/11参照)を楽しむ。
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相変わらず海外文学と絶版文庫が絶景である。講談社文芸文庫「熊野集/中上健次」を300円で購入してから、お洒落人で賑わいの増す自由が丘方面に足を向ける。ちょっと迷った末に「西村文生堂」(2013/09/10参照)に到着。
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ビニールシートで守られた雨仕様の店頭を抜けて店内に入ると、なんだかとても慌ただしい雰囲気である。店内二通路には本と箱が積み上がり、若い衆がたくさん集まり、表にそれらを運び出して行く…だが、準備中というわけではないようなので、お仕事の邪魔をせぬよう通路に入り込み壁棚を眺めるが、二十秒に一度「すいません」と言われ、背後で荷物が激しく行き交っている…これはイカンと、集英社世界の文学16「黒猫/ポー作 福島正美訳」を500円で購入して、そそくさと退散する。

阿佐ヶ谷に帰り着き、例の新店の様子をうかがうが、今日も開店していない模様。だがきっといつかは見られるだろうと、さほど気は落とさずそのまま北に進んで古道具屋の「J-house」(2015/12/26参照)前に差し掛かる。最近店内リニューアルを行い、入口を二つにして、左が骨董・古道具・アンティークで、右が玩具関連と変化したのである。その右側部屋に入ると、新顔としてA4サイズの紙芝居が十種弱置かれているではないか。ほとんどがディズニー物だが、エポック社ファミリー紙芝居アイドルシリーズ「ムーミンと魔法使」「ネコジャラ市の11人(脚本は井上ひさし・山崎忠昭・山元護久)」(ともに箱型の紙芝居舞台とソノシートは欠品)を見つけたので計千円で購入する。「ネコジャラ市の11人」は、1970年から三年間NHKで放送された人形劇。残念ながら私は記憶にまったくない。放映時は三才〜六才なので、恐らく一度は見たことがあるはずなのだが…。紙芝居の一枚目がテーマ・ソングで始まっているのだが、この歌詞が本当に素晴らしく、達観と諦念と潔さと不安が単純な語彙の中にせめぎ合い、読み進めるほどに涙がこぼれ落ちそうになるくらいビリビリきてしまう!調べるとNHKアーカイブに幻のオープニング映像がアップされていたので、ご興味持たれた方はぜひご一聴あれ!
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2017年09月11日

9/11勝手にそろい踏んでもらう。

今日は国立と国分寺の間に流れ着いたので、丘の上から栗畑の間の道を抜け、国立駅を選択する。ここから向かうべきは南口駅前の「みちくさ書店」(2009/05/06参照)である。おっ!入口側左の壁棚が、下部が角度を持ったお揃いの棚になっており、収納力と見やすさがアップしている。
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そんなことに気付きながら、細長い一階通路店内を行ったり来たり…奥で箱に入れられ売られている、小さな不気味な像たちは何なのだろうか?個人的には鯨に足を絡み付かせて頭にかぶりついている蛸の像がとても気になってしまう(蛸と鯨が大幅に絡み合っているので、なんだかちょっとクトゥルーっぽい…値段は千円)…。だがぐっと我慢して無駄遣いはせずに角川文庫「寺山修司青春歌集/中井英夫解説」を200円で購入する。他には何処も寄らずに家に帰りつつ、阿佐ヶ谷で新店の様子を伺うが、今日もシャッターが下ろされたままであった。だがまぁ、そのうちに巡り会えるだろう。

家に帰ってからは色々片付けつつも、昨日手に入れた蜂須賀侯の「密林の神秘」に夢中になる。挙げ句、あるひとつのことを思い付き、大事な本が集まる特別古本タワーから、二冊を抜き取り、記念写真を一枚。
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大好きな探検家たちを勝手にそろい踏ませてみたのである。左から大谷光瑞探検隊の独り別動隊・橘瑞超「新彊探検記」(大正元年)、真ん中が探検建築家・伊東忠太(日本建築のルーツを実見すべく、中国〜中央亜細亜〜欧羅巴と経巡る)「余の漫画帖から」(大正十一年三版)、そして「密林の神秘」(昭和二十九年)である。う〜ん良い眺め。この中には、目的の違うそれぞれの命を懸けた旅路が、何千、何万キロに及び収められているのか。あぁ、これにいつの日か、自転車旅行家・中村春吉の一冊(確か「武侠世界」の別冊みたいなので出ていた気が…)を加えられれば最高なのだが…。こんなバカなことをしてうっとりしながら、愚かで幸せな古本の夜は更けて行く。
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2017年08月29日

8/29「地球堂書店」は寸分変わらない

今日は昼間の立川に流れ着く。ちょうど廣池秋子の文芸作品(残念ながら推理小説ではない)、戦後直ぐの立川が舞台の「愛と憎しみの街」をポツポツ読んでいるところなので、何かリンクする景色に出会えると思ったのだが、街は想像以上に変化発展しており、何の予備知識もない今の状態では、見事な直線の街割にしか、当時の面影を感じることは出来ない。たくさんのガードマンが早くから警備する『立川競輪場』近くから、住宅に挟まれたその真っ直ぐな細道を北へ向かう。『立川通り』に出ると、ちょうど横断歩道の向かいに、貴重なモルタル看板建築の「地球堂書店」(2008/08/30参照…ということは、ほぼ九年前の今日、このお店に初めて訪れたわけか…)が、もう何年も前から(いや、もっともっと以前から、この整然として静かな動かぬ状態なのかもしれない…)、寸分変わらぬ姿で建っていた。今日は特徴ある木製台には何も陳列されておらず、ただ大きな餅のような薄い白い直方体が、ペトリと置かれている。入口側の両壁棚を、大量の茶紙がゾロリと覆い、まるで古本屋とは異なる光景が出現している。
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帳場には誰もいないが、静かなパラフィン包みの本に囲まれた店内に入るとチャイムがピロピロ鳴り響き、いつの間にか髪をひっつめた女将さんが、帳場に横向きに座っていた。店内には入ったが、何も買わないつもりである…いや、正直に言おう。何も買えないのだ。だから一通りパラフィン越しの背を眺めただけで、静かに退店しようと思っていたのだが、棚最上段の大型本を取り出した時にアクシデントが発生。高過ぎて棚にうまく戻せないのだ。すると見兼ねた女将さんが「大丈夫ですよ」と笑顔でバトンタッチし、ヒラリと棚下の平台に飛び乗って、本を見事に戻してくれた。お手間かけてしまった…これは何か買わなければ…と言うわけでカッパ・ホームズ「この愛いつまでも/加山雄三」を350円で購入する。…まぁ、こんなこともたまにはあるだろう。さらに帰り着いた阿佐ヶ谷では「千章堂書店」(2009/12/29参照)の右側100均単行本台から桃蹊書房「年刊創作傑作集 第一篇/日本文藝家協會編」を100円で購入する。

夜になって再び家からペタペタ飛び出し、文芸寄りフォークミュージシャン・世田谷ピンポンズさんのワンマンライブ『都会、なんて夢ばかり』が開かれる『ザムザ阿佐ヶ谷』へ。当日券を求めて地下への階段を下りると、すでにかなりのお客さんが階段状の桟敷に座っているが、幸いにもチケットを手に入れることが出来、履物を脱いで会場に来合わせていた岡崎武志氏&山本善行氏古本黄金コンビの横に腰を下ろす。午後七時半から休憩を挟んで正味二時間強続いたフォークライブ。世田谷ピンポンズさんは、くどいと形容するのが相応しい演出とMCで会場を湧かせながら、初期の吉田拓郎を彷彿とさせるスタイルで歌うのだが、それはフォークと言うよりは、まるでフォークから脱却するために、常にもがいているようでもあった(しかも一曲一曲がパンクミュージックのように短くて潔い)。消え入り控え目そうなルックスとは裏腹の、魂を引きちぎって投げつけるような、驚くほど堂々たる低音の歌声は、聴き入る魂をビシリと客席に釘付けにする。フォークだから“ノスタルジー”というわけでは決してなく、まるで現代の都会の片隅の情景を、モノクロ写真でスナップしたような、奇妙な新鮮さor違和感を、その短い曲の間に、常にざらりと感じさせてくれるのだ。とにかくそれほどひねくれていて、ちょっと変わった現代的な、遅過ぎて大遅刻のフォークシンガー。興味ある方は、ぜひとも一度接触してみて下さい。
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この写真はライブ終了後の阿佐ヶ谷で、午後十時過ぎの路地裏に浮かび上がる岡崎&善行親友コンビ。この後仲間を引き連れて、夜のカラオケ大会に向かいましたとさ。
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2017年08月28日

8/28蠻島王現る!

夕方前に国分寺の北にある恋ケ窪に流れ着く。近くには「ブックセンターいとう 恋ケ窪店」(2012/03/25参照)があったのだが、実は8/6にあえなく閉店していたことが判明したので、慌てて西武国分寺線で国分寺駅に移動して、駅北口の「七七舎」(2016/02/06参照)を訪ねることにする。店頭には通りがかりの人が結構立ち止まるので、譲り合いながら本を眺める。コンパクトな間口のお店の右側に広がる、お休みの別店前に置かれた棚と裸文庫箱が良い感じ。
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一冊抜き取り涼しい店内に入ると、本の密度が以前より増した感があり、未知と知を探索する空間的としての心地良さもアップしている。日本小説文庫「陰獣/江戸川乱歩」を見つけてしまったので見境無く買ってしまいそうになるが、昨日も結構散財したじゃないか!と今日のところは我慢する。新潮社「笑学百科/小林信彦」を100円で購入する。

家に戻り、野暮用を済ますために再び外出し、中野へ。スパパパっと用事を片付けて本日二度目の帰宅を果たすと、鍵を開けたドアの向こうに宅配便の不在連絡票が落ちているではないか…これはもしやヤフオクの落札品!時間を見ると十分前の17:48分。しかも再配達依頼が出来るのは午後六時までとなっている。慌ててコールセンターに電話し、申し訳ないが再配達を手配。すると午後七時半前に、七冊ほどの様々な厚さ大きさの古書&古雑誌が詰められた、ちょっとした福袋のような物がようやく届いた。出品時は幾つかの雑誌名とともに『古書まとめ』などとされていたのだが、その中にどうも気になる一冊があったので、半ば博打のように入札してみたのである。ライバルは現れる事なく、無事に千円で落札。ガサゴソと袋を開け、その気になる一冊を手にしてみる。和本綴じで、表紙は貸本仕様の手作り物。貼付けられた題籖には手書きで「探檢小説 蠻島王 全」の掠れた文字が。詳細な情報は一切なかったので、つまりは写真の中のこの文字だけに賭けてみたのである。まぁ読めれば良いのだと思いつつ、和紙で固められた手作り表紙をめくってみると、おぉ!そこには意外なことに、美しいままのオリジナル表紙が現れたではないか!こ、これが『蠻島王』!
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どうやらボロいのは貸本仕様の和紙表紙だけで、中身はオリジナル表紙から四枚の口絵から本文まで、すこぶる状態が良い様子。これは嬉しい誤算である。物語はイギリスの冒険小説を翻訳したものらしく、英国の少年が、南洋→海軍軍人→太平洋→南亜米利加→鯨捕り→蠻島征伐者→漂流者→真珠採りなど様々な場所を様々な職種で冒険探検しつつ、最後はついにタイトル通りに『蠻島王』となるらしい。出版は明治三十九年六月に成功雑誌社(何という名の出版社だ)からで、譯者は堀内文麿。一ページ目には恐らく貸本屋の印である『笹尾』『金房堂』の文字が赤く捺されている。
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2017年08月22日

8/22一房の葡萄、そして手紙舎

今日は午後二時半過ぎにつつじヶ丘北側に流れ着いたので、そのまま駅へと向かい、いつの間にか古本も売る雑貨屋「mater」(2016/02/23参照)が消滅しているのを目撃し、結構長い五分間の踏切待ち。上り電車と下り電車が永遠に間髪入れず行き交う雰囲気に、待っている人々の眉間にいらだちの縦皺が深く刻まれて行く…。そしてたった二十秒の隙に南に渡り、そのまま『神代団地』の商店街にある「手紙舎」(2009/12/13参照)を久々に訪れることに決める。何となく方向をアバウトに定めて歩を進めて行くと、何の変哲もない礫敷き駐車場フェンスに絡まる葉っぱの大きな蔓草が目に留まる。あれ?おかしいぞ?おかしなものが、葉の裏にチラリと見えているぞ?といぶかしみ裏側を覗き込むと、そこにはたわわに実った、大きな大きな緑の葡萄の房がぶら下がっていた…これは、なんだ。辺りを見回しても、別に葡萄畑があるわけではなし、何故こんな駐車場のフェンスに、マスカット的な大きな葡萄が自生しているのか!
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とかなり大きな衝撃を受ける。衝撃を受けつつ、次に思ったのは「これは食べられるのだろうか?」ということ。写真を撮り、少しだけ逡巡した後、ついつい誘惑に負けて、大きな一粒をプチリともぎ取る。そして皮をむいて口に放り込むと、少し硬く酸味はあるが、立派な美味しい喉の渇きを潤すほどの葡萄であった…イカン、私は道端で何をしているのか。我に返って住宅街の中を抜け、『神代団地』の中庭的店舗ゾーンにたどり着く。「手紙舎」は商店街の一角で、その姿をよりシックに変化させ、しっかりと営業中であった。地元のマダム客が二人いる店内に入り、大テーブルの片隅に腰を下ろす。そしてここでも誘惑に負けて、調布ビールをオーダー。その間にも男子・女子の一人客が訪れ、スイーツと紅茶を注文している。壁棚の古本は、今は女性系雑誌がメインとなり、暮し・ファッション・パリ・料理などがきめ細かく収まっているようだ。なので今日は、グラス二杯分のビールを飲みつつ、白昼の団地風景を漫然と眺めて過ごす。
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風に揺れるヒマラヤ杉の枝と、家賃値上げ反対の幟。誰も座らぬ吹き曝しのベンチ。『30』の番号を持つ矩形の白い団地棟。自販機前の側溝蓋を外し、落ちた小銭を探す少年たち。隣りの薬屋の、安売のラップと洗剤が山積みされたワゴン。そんなものたちにボ〜ッと幸せに視線を泳がせているうちに、あっという間に飲み終わってしまったので、648円を支払い帰ることにする。

ビールに頬を染めて阿佐ヶ谷に帰り着き、今日は古本を買わぬ覚悟で『旧中杉通り』を歩いていると、あれ?定休日のはずの「古書コンコ堂(2011/06/20参照)」が開いているじゃないか。ついつい嬉しくなり店頭で三冊掴んで中に入ると、店主・天野氏とばったり。「今日は何で営業しているの?」「いや、先週休んじゃったんで…それで、ツライから…」…と言うわけで、先週のお盆休みの分を取り戻すために開けていたらしい。ファイト、我らのコンコ堂!角川文庫「能面の秘密/坂口安吾」北隆館「しだ・こけ・きのこ/牧野富太郎・監修」「新宿PLAYMAP 1969 12月号」を計309円で購入する。
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2017年08月19日

8/19古本屋さんで雨宿り

今日は石神井公園に流れ着いた途端、大粒の雨がボタボタ落ち始め、激しい本降りとなる。その雨にもめげず、シャボン玉を飛ばして遊び続ける親子三人が、次第にたがが外れたように奇声を上げ始め、土砂降りの中ではしゃぎまくり動物的に解放されて行くのを目撃…う〜む、何だか涙が出るほど美しい。てなことに見蕩れていると、傘を差していてもたちまちずぶ濡れになって来たので、急いで石神井公園駅方面に急行する。靴の中がたちまち海のようになり、頭上では雷光と雷鳴がタイムラグなく発生し続けている。仕舞いには巨大な神がまるで巨大な蛍光灯を点けたり消したりしているような、異常な状態に。練馬って、いっつもこんな感じなのか…。雷鳴がもはや“ゴロゴロ”ではなく、“ドッカン”“ガッシャン”と自動車事故のような音を立て始めたところで、駅南口の「草思堂書店」(2008/07/28参照)にたどり着く。
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びしょ濡れの下半身で店内に逃げ込み、冷房に震えながら一安心する。お客は私一人で、濡れた靴音を微かに響かせながら、店内をゆっくりと一周する。それでも、雨と雷は収まる気配がまったくない。辛抱してさらに二十分近く様子を見るが、表は雨に煙ったまま…。あきらめて評論社「ビッケと赤目のバイキング/ルーネル・ヨンソン」(箱ナシ)を300円で購入し、再び身体を派手に濡らしてしまい、雷に首を竦めながら石神井公園駅。駅前はたくさんの人が雨宿り&途方に暮れており、ちょっと非日常的な光景となっている。そんな中、駅舎下に滑り込んで来たバスに乗り込み、またもや冷房に震えながら無事に阿佐ヶ谷に帰り着く。
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2017年07月31日

7/31非情の京成本線!

朝早くから色々作業し、すべてが片付いたので大いなる開放感に包み込まれ、午後に外出。久々に千葉の名店「キー・ラーゴ」(2009/11/25参照)だ!と、すでに素晴らしい古本を見つけた気分になり、電車に揺られまくる。だが一時間四十分かけて到着した、午後四時前の長い商店街のお店は、冷たくシャッターを閉ざしていた…うぉぉぉぉぉ、「キー・ラーゴ」では初めてお店を訪ねて以来、一度もシャッターアウトはなかったはずなのに、ついにこの日を迎えてしまったか…。こぼれ落ちそうになる涙を我慢しながら、駅にサッサと引き返し、ならば八千代台の「雄気堂」(2009/05/30参照)だ!と二駅移動する。何事もなかったかのように胸をときめかせながらお店に向かうと、ぐぬぅ、無情のガラス戸アウト…よもや千葉の名店が二店ともお休みとは…考えもしなかった…。まだまだ強い日射しと、暑いアスファルトの照り返しに嬲られながら、これからどうするかを思案する。高根公団の「鷹山堂」(2009/05/17参照)…それともかなり引き返して京成八幡「山本書店」(2010/06/29参照)に…いや、そう言えばまだこの京成本線の先の駅に、古本屋があったはずだな…そうだ、志津の「日置書店」(2014/04/29参照)だ。おばあさんが切り盛りしている、街の小さな激安リサイクル系古書店であるが、その去就が気になるので、ここはひとつ良い本を買うという方針を変えて、消息を尋ねに行くとするか。そう決めて再び京成本線に乗り込み、意外なほど千葉の奥地へ来たのを実感しながら志津駅着。北口に出て、朧げな三年前の記憶と現実の街を縒り合わせ、小さな居酒屋ばかりが集まる鄙びた駅前を進む。すると駅から一本裏通りに、以前と変わらず閉店して自然に取り込まれつつある商店と肩を並べ、元気に立派に営業している黄色いお店が目に飛び込んで来た。正直に言うとその瞬間、閉店していないのが不思議なほど、寂しくちょっと荒れた通りで、よくも健気にお店が続いているものだと、大いに感心してしまったのである。嬉しくなって、コミックと文庫とエロ本ばかりの店内に入り込む。店主のおばあさんは健在で、帳場で大量のコミックの値付中。扇風機が涼風を流し込む、狭い通路にしゃがみ込み、棚を隅から隅までチェックして行く。さらには新しめの文庫の裏に、古く汚れた単行本が横積みになっているのを発見し、本を引き出し背をチェックして行く。集英社文庫「ダメをみがく/津村記久子・深澤真紀」NTT出版「第10回・NTTふれあいトーク大賞100選」ワニの本「恐怖びっくり毒本/ビートたけし編著」ニッポン放送出版「これが噂のヒランヤだ/三宅裕司のヤング・パラダイス編」情報センター出版「いちど尾行をしてみたかった/桝田武宗」を選び出し、おばあさんに差し出すと、たちまち本を仕分けた挙げ句、値段の付いていない四冊を積み重ねて「こっちは上げる!」と宣言。結局「ダメをみがく」の五十円だけを精算することに。う〜ん、たぶんこのお店には、時々来るだけでは分からない、何かが潜んでいそうな気がしてならない。地元民にしか分からぬ、このお店の役割と良さとお店の続く秘訣が、きっと何処かに隠れているのだろう。そんなことを思いつつ、相変わらず人影の無い表に出る。七月最後に訪れた古本屋さんは、まぶしく爽やかなレモン色で、小さな街に密やかに、大衆的雑本を振りまいていた。
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2017年07月26日

7/26「ますく堂」は引越し予定!

雨の降りしきる正午に西荻窪へ向かい、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)にて「フォニャルフ」に古本を補充する。夏の西荻窪にお寄りの際はぜひとも冷やかしてやってください。早川書房「海外探偵小説作家と作品/江戸川亂歩」を100円で購入しながら店主・小野氏より、ある作業のお礼として新潮社長編文庫「黄金草/岡田三郎」をいただく。「どうせ同じ岡田三郎なら、赤爐閣の「誰が一番馬鹿か?」が良かったなぁ」などと憎まれ口を叩くが、お店を出て移動の電車内でページを紐解くと、銀座のカフェーから始まる大衆的女給悲愁物語にぐんぐん取り込まれてしまう。そんな風に見事なくらいに「黄金草」に夢中になっていたので、あっという間に雨上がりの池袋着。西口に出て道すがらの「夏目書房」(2008/07/05参照)に立ち寄り、店内に引き込まれた安売棚から河出文庫「白骨の処女/森下雨村」を200円で購入。そこから裏町に入り込んで、大きな道路を渡って椎名町方面に向かって住宅街を進んで行く。「古書ますく堂」(2014/07/20参照)が近々三度目の引越しをするらしい噂を耳にしたので、様子を見に来たのである。わりといつでも人の流れがある生活道路から、ひょいと曲がり込むと、おっ!ちゃんと木枠の格子戸が開いているじゃないか。営業中だ。狭く開いた戸を潜り、箱の積み上がる店内に滑り込む。するとますく堂さんがいつも通りの元気な声を出し、先客さんとお喋りをしている。「あ、古ツアさん」と気付かれるや否や、即座にその先客さんを「「おひさまゆうびん舎」さんです」と紹介される。あの姫路の!と驚き挨拶を交わしつつ、まだお店に行けてないことを、思わずお詫びしてしまう…これで店主さんにも挨拶してしまった。いつか、絶対にツアーするぞ。などと秘かに決心しつつ、ますく堂さんに引越しについての探りを入れる。何と引越し先は、同じビルの一軒挟んでのほぼ隣りで、「駅に近くなった」とますく堂さんが虚しく喜ぶ超近距離。そこは普通の事務所状態で、飲み屋を居抜きで古本屋として使用して来た伝統が、ついに途切れてしまうこと。ただし前二軒と同じく住居付きなので、取りあえずますく堂さんは路頭に迷わなくて済むこと。引越し時期はアバウトにお盆前後になりそうなこと。現店舗とそのカウンターを名残惜しむために、8/5(土)に久々に「スナックますく堂」(2012/09/14参照。古本修羅や古本無頼や古本一匹狼たちが、夜の古本屋に酒を持ち寄り、楽しく怪気炎と雄叫びを上げるイベント…ご興味ある方はぜひ!)を開催すること。などを次々聞き出す。すでに店内には、次のお店のために様々な所から拾って来た什器が置かれ、ますく堂さんのやる気がヒシヒシと伝わって来る。もしかしたら、次のお店が「ますく堂」の歴史上、一番古本屋さんらしい古本屋さんになるのかもしれない…。ひばり書房「呪われたふたつの顔/さがみゆき」レモンコミックス「頭脳線甦ったミイラ/好美のぼる」を計400円で購入し、8/5に再び来店することをあやふやに約束し、お店を後にする。
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写真はお店がテレビ撮影に使われた時に使用された小道具を、ますく堂さんがスタッフにねだっていただいた物。これを店先に下げ「古本屋らしくなったでしょ」とご満悦なのである。逞しいというか何というか…いや、これでこそ「ますく堂」!まるで諸星大二郎の「生物都市」のように、様々な物品が融合し、『古本屋』という店舗の体を成しているのだ!なので来店時は、お店に取り込まれないよう、細心の注意が必要なのである!
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2017年07月17日

7/17夏の「あきら書房」

今日は早い時間に初台辺りに流れ着くが、古本屋さんを行動の基準とする私にとっては、どうにも動きの取り難い場所である…いや、いつの日からかそうなってしまったと言うべきか。ちょっと『甲州街道』に立ち尽くし、過ぎ行く車が巻起こす排ガス臭い風さえも涼しく感じながら、かつてはたどれた近辺のお店を思い出してみる。幡ヶ谷ではまずは『六号通り商店街』の「小林書店」(2008/07/09参照)。可愛い鳩的店名ロゴと、右側の隠し部屋的ゾーンが印象的であった。そして商店街を抜け、さらに『水道道路』も渡って坂を下ると「なつかし屋」(2008/09/28参照)。通路にうずたかく積み上がる本やプラモに苦心しながらも、勇気を胸に本の隙間を進む、そんなスリリングなお店であった。笹塚まで移動すれば、『甲州街道』沿いの「一新堂書店」(2008/06/24&2011/02/07参照)が、常に逸る古本心を優しく受け入れてくれたものだ。美術系に強かったが、私的には文庫でお世話になっていた…。この三店を巡るだけでも、だいぶ心は燃え上がるはずなのだが、今はもうそれも叶わない。現存する「BAKU」(2012/05/28参照)や「DORAMA」(2012/03/16参照)で代用しようにも、代用出来ない味が、なくなったお店には厳然と存在していたのである。右頬をツツッと流れたのは、汗かそれとも悲しみの涙か…。

いつまでも女々しく思い出に浸っていても仕方ないので、京王バスに乗り込んで阿佐ヶ谷方面へ戻り始める。だが終点の駅までたどり着くことなく、『青梅街道』沿いの『梅里中央公園入口』で途中下車し、北側の路地に入って、夏の「あきら書房」(2016/03/28参照)の様子を見に行くことにする。おぉ、この蒸し暑い中、草木の咲き誇る庭の向こうに、ちゃんと古本屋部屋が開放されているではないか。
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間髪入れず店内に入り込み、あまり動きの見られない手前ゾーンはササッと流して、右奥の床に置かれた本の山と本棚中段の古書ゾーンを集中的に漁る。その間に、俊敏な蚊にブスブス刺されてしまい、気がつけば右頬も刺されており、かゆみに悶絶してしまう。だが、牧神社「夢みる人 エドガー・アラン・ポーの生涯/マリー・N・スタナード」白鳳社「婦人職業戰線の展望/東京市役所編纂」(箱ナシで背は傷んでいるが、昭和七年発行の職業婦人についての資料集。巻頭のグラビア『婦人職業の尖端を往く女性』が最高!エアガール・ガソリンガール・マーリンガール・パラシュートガール・ニュースペーパーガール・マネキンガールなどなど)を見つけたので、計100円で購入することにする。奥のガラス障子前に立ち「すいませ〜ん」と何度か声を出すが、応答がまったくない。大丈夫だろうか…もしかしたらこの暑さで老婦人は…などと不吉なことを考えつつ、棚の横に大振りな鈴が下げられているのに気付く。そうか、呼ぶ時はこれを盛大に鳴らすのか。紐を引っ張りンガランガラ…するとすぐに障子が開いて、老婦人が元気な姿を見せてくれた。ホッとしながら百円玉を手渡し、「今日は暑いですね〜」「ええ、本当に」と他愛無い会話を交わし、庭に脱出する。家に帰ってからは、大阪へ再び送る古本の準備に手をつける。
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2017年07月08日

7/8閉店する無人店から追い出される

本日は広い広い世田谷区の僻地の如き『祖師谷公園』に流れ着く。生まれて初めて来た場所で、今年初めての蝉の鳴き声を耳にして夏を実感するが、公園の北側部分に、あの『世田谷一家殺人事件』の事件現場となった住宅が、緑色の防護シートに包まれて保存されているのに気付き、慄然としてしまう。しかし家屋に接する公園では、子どもたちが遊具で無邪気に遊ぶ光景が展開している…凄惨な未解決事件の記憶とほのぼのとした日常が混ざり合う奇妙な状態に戸惑いながらも、しばしの黙祷を捧げて、バスで京王線の千歳烏山駅へと向かう。

駅北側に出て、もう午後七時前だがまだやっているだろうか?と、無人で素敵にクレージーな古本屋「イカシェ天国」(2008/09/23参照)に足を向ける。まだ営業中だ!と喜び飛び込み、ほぼ動かぬ態の棚に視線を注ぎ始めると、渡辺竜王のようなネクタイ姿の男性が、表の小ワゴンを中に運び入れてきた。どうやら斜向いの本の料金を支払う不動産屋の方らしいのだが、この様子ではどうやらもう閉店らしい。「お店、終りですか?」と聞くと「ハイ、閉店です」ともはや本を買わせてくれぬ模様である。「そうですか、すみません」とそのまま表に出ると、竜王は音楽を止め、電気を消し、立看板を素早く取り込み、あっという間に閉店してしまった。古本を買えなかったのは残念であるが、無人古本屋で店員さんと接するレアケースに出会えたので、今日のところは良しとしておこう。
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その後阿佐ヶ谷に帰り、「千章堂書店」(2009/12/29参照)にて光文社知恵の森文庫「冒険手帳/谷口尚規著・石川球太画」を100円で購入する。
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2017年07月06日

7/6そして十二人目の太宰が登場する

「江戸川乱歩の本名って知ってる」「…乱歩?」「太郎って言うの」「…じゃぁ、江戸川太郎?」「ギャハハハ、ちげーよ!」などと、登校中の女子高生が交わす奇跡の会話を耳にした後、一日を過ごす。…それにしても、期末試験で乱歩の問題でも出るのであろうか…。そして本日流れ着いたのは上連雀…おぉっ!偶然にも目の前に「book&cafe Phosphorescence」(2008/08/01参照)が現れたではないか。何か買うというよりも、今日は珍しく何かを飲みたい気分である。外の壁沿いに点在する安売箱たちを覗き込んだ後、小さな店内に入り古本の背を追いかけて一回り。相変わらず非売品の太宰初版本棚がスゴいことになっている。ぬ?その棚の新しい住人として、先日取り壊されてしまった(大分県に移築される予定)、太宰が一時下宿した天沼の『碧雲荘』の欠片が仲間入りしているではないか!茶色の蜂の巣型タイルが何とも可愛らしい…俺も拾いに行けば良かったなぁと、棚前で羨みながら後悔する。そしてその棚裏の小さな机席に腰を下ろし、せっかくなので『太宰ラテ』なる飲み物を注文する。いったいどの辺りに太宰要素が入っているのであろうか?もしや玉川上水の水を蒸留して……。そんな想像を巡らしながら、ちょっと薄暗い棚の裏に視線を据える。そこには、太宰に関わる新聞や雑誌の記事が多数貼り出されており、たくさんの太宰の肖像写真や似顔絵が視界に入り込んで来る。壁の写真や肖像画も合わせると、総勢十一人の太宰が、主に頬に手を当て憂い顔を晒しているのだ。そんな記事群を読みながら待つこと十分。「お待たせしました」とカップが机に置かれる。「なるほど、こういうことだったんですね」「ウフフ、そうなんです」…カップの中にはラテアートで描かれた太宰の瓜実顔が、フワフワと浮かんでいたのである。正面を向いた太宰の顔に意表を突かれ、しばしにらめっこするが、いつまでもそうしているわけにはいかないので、砂糖を入れてスルスルっと啜り込む。あっという間に十二人目の太宰はお腹の中へと流れ落ち、疲れた身体を労り癒し始めてくれた。椅子に深く沈み込み、夕方の三鷹の古本カフェの本棚の裏で、気持ちよく弛緩する。何だか、珍しく古本を買わずとも、幸せになってしまった…。
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2017年07月03日

7/3俺にとっては開かずの「えびな平和書房」

午後に思い立ち、湿った熱い空気を掻き分けて、鮎川哲也「黒いトランク」を頭を懸命にフル回転させて読書しながら神奈川県・海老名に向かい、バスで丘に上がってそして下る途中の、移転後の「えびな平和書房」を見に行く。だが「今日こそは!」と期待度満点でたどりついたお店は、店頭のワゴンや棚にブルーシートが掛かったままで、『本日の営業は終了しました』の看板が立ちっ放しの状態なのであった。…うぅ、俺はいつになったらこのお店に入れるのだろうか。もう四回は見に来ているはずだが、毎回見事なまでに袖にされているのだ。くそぅ、だがいつか開いている時に巡り会わせて、しっかりと古本を買ってやる!と、丘の上の住宅街に圧し掛かるような雲の多い青空に、遠吠えする。そして潔く丁度来たバスに乗り込み、たちまち馬鹿みたいに駅へと引き返す。小田急線上りに乗り込むが、悶々とした気持ちを鎮めるために町田駅で途中下車し、ビル一杯の古本屋さん「高原書店」(2009/05/03参照)に急行する。
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ほほぅ、今は100均本を50均でサービス中なのか。というわけで店頭小庭&店内の100均棚&ワゴンを集中的に漁り、ますます古本の山でカオス化が進む室内&店内に好意を抱きながら、講談社「透明な季節/梶龍雄」面白半分12月号臨時増刊号「さて、田村隆一」を計108円で購入する。再び電車に乗り込み、あっさりそのまま帰るつもりだったのが、シートの上で段々とまだ何か買いたい気持ちが膨れ上がってしまい、衝動的に下北沢駅で下車。「ほん吉」(2008/06/01参照に一直線に向かい店頭にむしゃぶりつく。
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やっぱり良い本が挿し込んであるなぁ。得に今日は左の300均本にそれが多い。ここはやはり古本を求める気持ちをちゃんと受け止めてくれる…そんな風に感じて喜び二冊を手にする。講学館 日本の子ども文庫1「たぬき学校/今井誉次郎」(カバーナシ。そうてい・さしえが安泰なので、動物的プリティーさが大爆発!)東京・大阪朝日新聞社 アサヒカメラ臨時増刊「人物寫眞術」(表紙に丸窓があるデザインで昭和十二年刊。木村伊兵衛・中山岩太・野島康三・岡本東洋・堀野正雄の写真も掲載され、それぞれの技術記事もアリ)を計600円で購入する。途中下車で古本を購い、空振りした気持ちをどうにか鎮めた、三時間余の小田急線行であった。
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2017年07月02日

7/2いつの間にやら「石本書店」

重苦しく暑苦しい空気の中、仙川の南西にある若葉町に流れ着く。ここは意外に高低差のある土地で、谷底には緑陰濃く涼しい『武者小路実篤公園』があったりする。近くには実篤の記念館もあり、その案内版がふと目に留まる。下部に『桐朋学園』前にある書籍と文具の『神代書店』の広告があるのだが、そこに実篤から書店に送られた識語が書かれているのだ。『雨が降った それもいいだろう 本がよめる』…なんだか七十年代CMのコピー的だが、今の時期にピッタリなので見事に胸に沁み入ってしまう。もしかしたら、この言葉が書皮に印刷されているのではないかと思い、記念に文庫でも一冊買って行こうとお店を探し当てるが、残念ながら定休日であった。当てが外れながらも、そのまま「文紀堂書店」(2015/03/31参照)に向かい、チャイルド本社 おはなしチャイルド26号「まいごのロボット/作・大石真 絵/北田卓史」を500円で購入する。そのまま西にスライドするようにして、いつの間にか全滅してしまった「ツヅキ堂書店グループ」(2016/11/11参照)の最後の生き残りとも言える、裏路地の元「ツヅキ堂書店 仙川店」(2009/08/20参照)である「石本書店」を訪ねる(何だか文章がややこしくてすみません…)。店名の入っていた黄色いテント看板を見上げると、何もかも旧店のままであるが、元の店名だけは黒テープで消されている。
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そして自動ドアにのみ「石本書店」の名が掲げられている。店頭に立っていると、すぐさま店主の石本氏に発見され、挨拶を交わしてポツポツお話しさせていただく。「それにしてもお店が賑わってるじゃないですか」と見たままの感想を伝えると「今日は選挙だからたまたまですよ。いつもは閑古鳥が…」などと返される。いやいや、これだけの人が、この分かり難い裏路地に入り込んでくるんだから、地元に充分認知されている証拠ですよ。そのまま店内を回遊し、最奥の良書が紛れ込む充実雑本棚を楽しむが、値段になかなか隙が見つからぬので、何を買うか決め切れない。しかし美術棚にてようやく国文社「ダダ論考/山中散生」(帯&崩壊寸前の元セロ付)を900円で発見したので、よっしゃっ!と購入する。

家に帰ってしばらく身体を休めた後に、日が暮れ切る前に都議選の投票へ向かう。
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2017年07月01日

7/1あっ!「BASARA BOOKS」が開いている!

雨に湿った街を彷徨い、吉祥寺の北に流れ着く。バスには乗らずに『吉祥寺通り』を南下して駅方面を懸命に目指す。途中「午睡舎」(2009/09/10参照)前を通りかかるが、案の定シャッターが下りている。午睡どころか、もはや冷凍冬眠の域に突入している…恐らくもう、開くことはないのかもしれない。そう言えば「百年」(2008/09/25参照)が、今度新しいお店を開くんだっけ。もしかしたらお店周りに何か新店の情報が出ているかも知れない!と向かってみるが、一階の立看板にも二階の店内にも情報はナシ。店主も不在なので為す術無く、ただただ若者で賑わう店内を楽しみ、ちょっと表紙が傷んだ小峰書店少年少女のための世界文学選(5)「鍛冶屋と悪魔/ゴーゴリ」を1080円で購入して退散する。このままL字を象るように、古本屋さんを訪ねて行くか。そう決めて駅南口へ切り込んで行くバス通りに曲がり込むと、小さな打ちっ放しコンクリビルの前に人の気配が漂っている…おっ!久々に「BASARA BOOKS」(2015/03/28参照)が開いてるじゃないか!感激しながら近寄ると、店頭も店内も相変わらず三角形で小規模ながら、「百年」に負けず劣らず若者で賑わっている、扉横には『店内で本を一冊でも買った方には、店頭の均一本を一冊プレゼント』なんて貼紙も。そんな五ヶ月ぶりの再会を喜び、熱心なカップル客に割り込むようにして、店頭の箱や棚を覗き込む。すると棚の上段で、浪速書房「好色党奮迅録 紅雲の巻 緑雨の巻/宮本幹也」の二冊を発見。中巻の「紫山の巻」が見当たらないのは残念だが、ちゃんと箱付き(広告には『上製函入』とあるが、完全にホチキス留めのボール紙である)元セロ付きである。買取本が山と積まれた帳場にて計200円で購入。ここで充分満足してしまったので、早く家に帰って昨日の続きとばかり、百年前の巴里にファントマの暗躍を見物しに行くことにする。
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※追伸
先日大阪の「梅田蔦屋書店」に補充分の古本を送付。近日中に古書コンシェルジェの手により、棚がジワッとリフレッシュする予定なので、お近くの方や大阪に立ち寄る予定のある方は、ぜひとも巨大駅ビル『ルクア イーレ』九階をお訪ね下さい!
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2017年06月24日

6/24街と一体化した古本屋さんと本屋さん。

今日は豪徳寺で外仕事をしており、どうにか解放されたのは午後六時前。「靖文堂書店」(2011/09/06参照)に行きたいのはやまやまだが、それではあまりにも能がないので、南下して世田谷の住宅街に分け入り、上町の「林書店 上町店」(2008/12/04参照)に至る。
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およそ九年前に訪れた時と変わらぬ佇まいで(世田谷ボロ市の出張店舗では毎年お世話になっているが(2011/12/16&2013/01/15参照)、店舗を訪れるのは本当に久しぶりである)アダルト&文庫&コミックを中心に、純粋に地元民のための街の古本屋さんとして、変わらず機能しているようだ。だがまだ六月なのに、この店内の蒸し暑さは異常である。まるでサウナに入ったかのような、日本の夏的不快さに懸命に耐えつつ、ちくま文庫「木村伊兵衛 昭和を写す 1 戦前と戦後」を400円で購入する。表に出て斜向いを眺めると、同じく古くから街に溶け込んでいる焼肉屋さん『双葉』があり、お店同様昭和的に古めかしい安値の食品サンプルが並ぶウィンドウに、目とともに空きっ腹と連結した舌が釘付けとなる…いつか入ってみるか…。
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さて、ではこの後は豪徳寺の「靖文堂書店」に…あぁ!もう午後六時を三分過ぎているので、入店を店主に厳しく止められるのが関の山である。おとなしく帰るとするか…、だが代わりと言っては何だが、みなさんは世田谷線『山下』駅前の小さな小さな『山下商店街』にある「暁星堂書房」をご存知であろうか?
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本当に小さな新刊書店なのだが、機能しているのはほぼ新刊雑誌を並べた店頭だけで、店内はいつも小さな佐々敦行風店主が表に立ちはだかっているために、ちょっと時の経った文庫やコミックや雑誌が放置されている中には、未だかつて一度も入れていないのである。今日は入れるかも…と思って店頭に立つが、やはり店主のプレッシャー厳しく、スゴスゴと尻尾を巻いて、武蔵野方面へ逃げ帰ることにする。
と言うわけで、いよいよ明日は西荻窪にて、古本販売とトークの日!みなさま、ぜひとも「盛林堂書房」(2012/01/06参照)での少数精鋭個人的古本販売と、夜のトークに照準を合わせ、恐らく空模様の怪しい西荻で楽しく元気にお会いいたしましょう!
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2017年06月10日

6/10気付いたらアイス屋になっていた

本日は疲労困憊し、祖師ケ谷大蔵に流れ着く。だがこの地には、大好きな「祖師谷書房」(2009/03/05参照)があるのだ!と、最後のエネルギーを振り絞り、駅からだいぶ離れた『祖師谷通り』沿いの店前に立つと、あぁ!オヤジさんがサッシ戸を全開にして、本の山や棚にはたきを掛けまくっている!…もしかしたら本日の営業は終了なのか?と思ったら、古本の埃を払ったオヤジさんは、戸を閉めた後に帳場にチンマリと収まったのであった。良かった。ただ掃除をしていただけだったのか。改めて思うと、古本屋さんがはたき掛けをしているシーンって、なかなかお目にかかれないような気がする。などとマニアックな喜びに浸りつつ店内に潜入し、本が押し迫る短い通路を丹念に行き来する。光栄「18人の金田一耕助/山田誠一」を千円で購入する。『必殺FCとらの会』の元締めによる、歴代金田一演者本…元締めは、こんな本も出していたのか…。
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写真は丁寧に包んでいただいた本。その包装紙は、草原と一部が刳り貫かれた大木と本の、朴訥なイラストが描かれている。

せっかくなので駅の南側まで足を延ばし「文成堂書店」(2012/09/11参照)の行く末をこの目で確かめることにする。横目で「ツヅキ堂書店祖師ケ谷大蔵店」(2015/06/19参照)の跡地がヤマハの音楽教室になっているのを目撃した後、「文成堂書店」が大繁盛のアイス屋に成り代わっているのを目撃してしまう。そうか、お店は辞めてしまったのか…寂しいなぁ…。
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2017年06月09日

6/9東京の片隅の変哲のない古本屋さん

仕事をパパッと済ませてから、午後にのんびりと外出。久々に大崎広小路の古本を売る町工場に再々チャレンジしてみるかと、山手線大崎駅で下車する。だがなんだか見覚えのない景色が続くことから、前回降りたのは五反田駅だったことにハッと気付き、街路地図を見つけて行動修正。少し迷いながら記憶した地図と己の動物的勘を頼りにして、結構急な坂道を上り下りし、どうにか自然の谷でもあり巨大ビル群の谷間でもある目的地にたどり着く。だが、町工場は森閑としており、あまつさえ古本棚のある片側のシャッターが下ろされてしまっている…むぅ、鉄とガラスを挟んではいるが、数センチ先に古本が並んでいるというのに、掴み取ることの出来ぬこの理不尽さよ…と嘆きながら、ここはもう古本を売っていないのかも知れないという疑いが、心の中にジリジリ広がって行く。またいつか、思い出した時にでも見に来ることにしようと、結局は空振りだったことを心の中にそっと静かに折り畳み、早速近くの古本屋さんを見に行くことにする。だが近くと言っても、それはニキロほど南東にある、下神明の「星野書店」(2009/06/11参照)である。地名的に言えば、大崎から西品川を抜け二葉へと至るコースを採ることになる。この辺りの街路は細かく高低差もあり、延びる方向も不規則なので、一本道を間違えれば、たちまち方向感覚を失い、迷うこと必至な迷路的地帯となっている。だが、大崎の非人間的なサイズの大通りから離れた途端、身体にぴったりと合う服を纏ったように、歩くのも見回すのも人間サイズに変化したことに、心なしかホッとする。そして、家や建物は新しいが、道の在り方と小さな神社や、痕跡のように現れかろうじてつながる商店街とに、昔の街の面影を感じ取ることが出来る。人影は少なく、熱い午後の初夏の街は凪いでいるが、広範囲に『貴船神社例祭』の幟が立ち、目に見えぬ地域の絆が網の目のように張り巡らされていることを実感する。大崎の丘から一旦戸越銀座の谷に下り、また丸い急坂を上がって西品川を抜け、東海道線と東急大井町線がクロスする下神明にたどり着く。小さな変哲のない「星野書店」は、静かな東京の片隅で、今日もしっかり営業中であった。薄暗いコンクリ土間の店内に滑り込むと、奥からガラス障子を開けてご婦人が現れ、帳場に腰を下ろして新聞を読み始める。こちらは、半分は時の停まり気味な棚を読み続け、街の古本屋を存分に楽しんで行く。講談社「影を燃やせ/黒岩重吾」を500円で購入。明るく小さな歩道から、この薄暗い空間に入る瞬間、何故こんなにも期待がドロドロ轟いてしまうのか…全く持って魔法のような不思議さと不可解さに満ちた境目である。
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2017年06月07日

6/7セイレーンの歌声が消える日

どよんとした雲に覆われた空の下、正午前に家を出てまずは店頭が雨仕様の荻窪「ささま書店」(2008/08/23参照)へ。文藝春秋「ぼくが狼だった頃/寺山修司」TBSブリタニカ「街に顔があった頃/吉行淳之介vs開高健」雄山閣「講座日本風俗史別巻七 妖異風俗」平凡社「世界猟奇全集3 女怪/ゴーチェ著 江戸川亂歩譯」(函ナシ)カッパノベルス「日本アパッチ族/小松左京」(10版だが帯付き)集英社「コバルト文庫'92解説目録」を計840円で購入し、荷物を増やして西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ。判で捺したようなお決まりの、徒歩で切り抜けるマイ・古本ロードである。「フォニャルフ」に補充した後(今回特に奇妙な本あり。果たしてあれは売れるのだろうか…)、小野氏に色々市場での仕入本を特別に見させてもらいながら、色々打ち合わせる。店内ショウウィンドウでは『水玉蛍之丞のお仕事展』が慎ましく濃密に開催されており、生きているような気持ちの良い線と鮮やかな原色の色合いに、しばし見惚れてしまう。
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お店を出たらコメントタレコミに導かれ、バスで上石神井まで移動した後、西武新宿線で武蔵関駅下車。南口側にあるリサイクル系古本屋さん「古本工房セイレーン」(2008/10/18参照)が六月一杯で営業を終了してしまうらしいのだ。集合住宅の間の道路をカクカク抜けて、久々のお店をようやく探り当てると、営業前のガラス扉には、情報通り閉店のお知らせが貼り出されていた。…うむむ、残念。しかし正直に言うと、私はこのお店を愛したわけではなく、入口上に架かる恰好良い看板文字を愛したのである。…あぁ、この他には類を見ない、大きくヒーロー番組的な『SiREN』の文字…見よ、“S”の頭もお尻も華麗な曲線を描き、触れたら血が出そうなほど鋭く尖っているではないか。
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白いビルにまったく不釣り合いな、この看板が下ろされる時、街から『古本セイレーン』の歌声も、フッと消えてしまうのだろう。そんなちょっと狂ったような思考に走りながら、開店時間の午後三時まで、見知らぬ街をグルグル歩いて時間を潰す。午後三時十分に店前に戻って来ると、店内の蛍光灯が点いていた。即座に中に滑り込み、アダルトゾーン手前の左端古本通路に入り込む。棚の各所から『半額』の札が大きく飛び出している。コミックとアダルトメインのお店なので、古本棚は気が抜けたようになっているが、100均棚から三冊を選び、まだ閉店まで三週間強あるのだが、恐らく最後の買物とする。創元推理文庫「ブラックウッド傑作選/A・ブラックウッド」「M・R・ジェイムズ傑作選/M・R・ジェイムズ」「怪奇小説傑作集5/エーベルズ他」を計150円で購入する。さようなら、セイレーン。愛しの看板文字よ。
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2017年06月06日

6/6雨仕様はより欧風であった。

本日は新代田〜代田橋辺りに流れ着くが、またもや小田急線沿線を楽し気に巡っても能がない気がするので、天の邪鬼に渋谷方面に向かい、駒場東大前で下車。ヒタヒタ歩いて「河野書店」(2008/09/08参照)前に到着すると、その店頭はどんよりした曇り空を警戒したのか、日除けをグンと張り出してすっかり雨仕様になっている。
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普段から西洋を感じさせる瀟酒なお店であるが、なんだか今日はより一層欧風で、まるでフランスの古本屋の店先を覗き込んでいるような錯覚に、見事に陥ってしまう。だがそれはあくまでも雰囲気を味わうだけで、読めぬ右側店頭の洋書ゾーンはあっけなくスルーし、左側の単行本や文庫本に神経を集中する。いつ来ても、小さなお店一軒分に相当する濃密な店頭に感心し、通路をじっくりと回遊し、岩波文庫「かくれんぼ 白い母/ソログープ」実業之日本社「ハリガミ考現学/南伸坊」を計300円で購入する。帰りは浜田山まで出て、小型コミュニティバス『すぎ丸』にて阿佐ヶ谷に帰還。今回も運転手さんは『すぎ丸』のテーマソングに合わせ歌うのかと(2017/06/01参照)車中でドキドキしながらその時を待つが、残念ながら歌声唱和はナシ…あの運転手さんが、特別な人だったのか…。その代わり、途中で降りた五人の少女が、降車時に全員で声を合わせて「ありがとうございましたっ!」と叫んだのに、心和んでしまう。あぁ、人間はこんな簡単で他愛ないことで、幸せになれるのだな。などと純粋な行動にすっかり降伏しながら帰宅する。

※お知らせ
もはや開催まで二週間を切っている「みちくさ市」に出店いたします。二月にたくさん本を売りましたが、まだまだ家にはたくさんたくさんたくさん古本が犇めいているので、雑司が谷まで運び込み、汗水垂らして販売いたします!
■第37回 鬼子母神通り みちくさ市
■2017年6月18日(日)11:00〜16:00
■雑司が谷・鬼子母神通り 東京都豊島区雑司が谷2丁目・鬼子母神通り周辺 東京メトロ副都心線・雑司が谷駅1番出口または3番出口すぐ
■お問合わせ michikusaichi●gmail.com(●をアットマークに変えて送信してください) みちくさ市本部 携帯電話:090−8720−4241
http://kmstreet.exblog.jp/
■雨天中止
特典などはまだまったく考えていませんが、何か作れるようであれば、追って発表いたします。どうか、雨天中止になりませんように!…もしなったらその時は「盛林堂」さんの通路でも厚かましく間借りして、たったひとりの市を開かせてもらおうか…。
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2017年05月31日

5/31小さな「ブックサーカス」と壹圓札

今日で「ブックサーカス 戸塚モディ店」(2010/09/20参照)が閉店するのを思い出し、午前中の湘南新宿ライナーに乗って、わりと早い時間に駆け付ける。ビルの山脈に挟まれたような戸塚駅のホームに立つと、東口側のビル壁面には、すでに『古本閉店セール中』の横断幕が看板横に掲げられ、大変に寂しい光景を作り出している。お店は目の前に横っ腹を見せているのだが、遠回りするように深めの地下改札を抜けると、そこにも柱広告に『掘り出し物チャンス!売り尽くし古本セール』とあるではないか。下部に小さく書かれた『トツカーナ店は平常営業しております』の文字に、少し救われる。地上に出て、さらにビル二階の白いデッキ通路に上がると、お店全面を『閉店』と『50%OFF』の文字と、これももちろんセール対象のラックが覆い尽くしている。
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店内の様子は、何だか暗くてよく見通せない…。だが店内に進むと、まだ午前十時半過ぎだと言うのに、多くの人で賑わっているではないか。その客層は、若者と主婦と古本修羅である。ここはコミックや文庫に強い、どちらかというとリサイクル店的な色合いの強い小さなお店であったが、それでも絶版文庫棚があったりして、マニアックな古本好きも多少楽しめるようになっていた。だが今はどうだ、100均棚にチラホラ古書が混ざり、右奥通路の単行本にも多く古書が進出し、大体410均の値付がされているのである…いつのまにこんなことになっていたのだろうか。古書的変化を知らずに過ごしていた己をちょっとだけ呪いつつ、「さぁ、50%オフだ。古本を買って行こうじゃないか」と棚に神経を集中させる。春陽文庫「鍔鳴浪人 前後編/角田喜久雄」(昭和三十年初版)講談社文庫「ミステリイ・カクテル/渡辺剣次」ちくま文庫「イギリス恐怖小説傑作選/南條竹則編訳」三崎書房「幻想と怪奇 創刊号」を計665円で購入し、お店との別れと為す。さらば、小さな「ブックサーカス」!

そのまま橋上駅舎を西に渡り、大きな「トツカーナ」に潜り込み、四階の「ブックサーカス トツカーナ店」へ向かう。こちらは駅の閉店ポスター通りに、平常営業中である。むむ、右奥古本ゾーンの第一通路が、いつの間にか100均通路になっており、かなり見応えがある。元々奥の通路に古書は多かったが、ここにもだいぶ蔓延っているようだ。以前はDVD+映画・戦争通路のはずだったが、いつの間に転身を遂げていたのだろうか?やはり本店が閉店(2015/12/29参照)してから、その機能の一部を移植されたのではないだろうか…などと考えつつ、その魅力の虜となり、心と時間を奪われて行く。櫻井書店「植物記/牧野富太郎」(函ナシ)大日本雄辯會講談社「百萬兩の秘密/白雲齊樂山編著」を計715円で購入する。「百萬兩の秘密」は昭和二十年十一月発行の、見たこともない文庫サイズの本。文庫レーベル名などは何処にもなく、装幀は恩地孝四郎が手掛けている。だが購入した本は貸本仕様で、その華麗であろう装幀図案もすっかり掠れて悪夢のようにボンヤリしてしまっているのが残念。そして「植物記」を帰りの車中でパラパラ捲っていると、おぉ!ページの間から、二宮尊徳の壹圓札が登場!古本にお金が挟まっていた話はよく聞くが(そういえば野呂邦暢「愛についてのデッサン」にもそんなエピソードがあった)、自身で体験するのは初めてのことである。ウフフフフ、一円か…。
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