2020年03月30日

3/30「都丸書店」がお休み中。

昨日は家にひたすら閉じこもり、原稿書きに集中する…おかげさまで捗りました。だが本日月曜日はじっとすること叶わず、代田橋に午後イチに流れ着く。『環七』でバスに乗り込み、新高円寺で下車。商店街を北に遡上しながら、帰り道の過程として古本屋さんを覗き込んで行く。最近開いているところに出くわさない「アニマル洋子」(2014/03/14参照)は、今日も閉まっていて残念。次の「大石書店」(2010/03/08参照)の店頭ワゴンでは、地方出版物の極みのような、北九州市立文学館文庫13「森鴎外小倉著作集」を見つけて、100円で購入する。小倉の地元新聞に寄稿した記事や、小倉から出した手紙などで構成されている。人影が皆無というのにはほど遠いが、それでも普段より人の少ないアーケード商店街を抜け、中央総武線の高架を潜り、「都丸書店」(2010/09/21参照)の前に出る。おや?月曜は営業日なのにシャッターが閉まっており、何やら貼紙が…ウィンドウのシャッターには『本日都合により休業致します』とある。どうしたんだろう?と思いつつ、入口シャッターにも小さな貼紙があることに気付く。近付くとそこには『しばらくの間休業致します』とあった。
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むむむぅ、新型コロナ騒動への対応であろうか。何はともあれ、このシャッターが再び上げられる日を、首を長くして待っております。多少ショックを受けながら『庚申通り』を北へ北へ。「DORAMA高円寺庚申通り店」で実業之日本社「あの人の眠る場所〜東京のお墓めぐり〜」を110円で購入する。続いて「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)で光芸出版「図鑑 刀装のすべて/小漥健一」を300円で購入し、必要最低限の寄り道を終えて帰宅する。帰ってからは、もちろん手洗いうがい。

そして志村けんが新型コロナに感染し、急逝したのがとにかくショックである。私にとっての志村けんは、ザ・ドリフターズの異端としての志村けんである。荒井注がドリフを抜け、突然現れた沢田研二風の、どこかギラついたコメディアン。子供にとっては、一番人気の加藤茶の存在を脅かす、危険な、だが笑わずにはいられない男であった。そんな偉大な男の訃報に接し、冥福を祈るべく、何か志村けんに関わるものを持っていないかと部屋を探してみる、ようやく出て来たのは、古のゲーム機“PCエンジン”ソフトの「カトちゃんケンちゃん」である。
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TBSのバラエティ番組『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』内で放送された、コメディ探偵ドラマを題材にした横スクロールのアクションゲームである。取扱説明書を繙くと、コンティニューの説明が、今やとてつもなく切ない。『死んだってダイジョ〜ブだぁ。1・2ボタン+ランボタンでコンティニューOK。』となっている…押しまくってあげたい…どうか安らかにお眠り下さい。
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2020年03月24日

3/24「BOOK・ノーム」がラストスパート!

今年に入ってから、日曜日深夜のお楽しみであったテレビアニメ『映像研には手を出すな!』が、最終回を迎えてしまいガックリ。しばらく胸にデカイ穴を開けながら、録画してある珠玉のオープニングや、出来の良過ぎる第一〜四話を繰り返し観賞し、どうにかその大穴を埋めるのに腐心するつもり。そして昨日古本箱を送った大阪「梅田蔦屋書店」の古書コンシェルジュから連絡あり。やはり新型コロナ騒動と様々な自粛要請で、お店の客足は減少傾向にあるとのことである。だがそれでも、先月送った本の中に忍び込ませた「野呂邦暢古本屋写真集」は無事に売れたとの嬉しい報告が。今月分も素敵な古本が多分に含まれているので、古本を求めて止まない方々は、感染対策をしっかりと施し、どうか大阪駅の大書店をお訪ね下さいませ。

本日は午後に連載の取材を済ませてから、三月末で閉店予定の東小金井「BOOK・ノーム」(2009/02/13参照)の様子を見に行く。あっ!もはや閉店まで一週間を切った今、店内全品50%オフになっているではないか。
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そそくさと店内に滑り込み、みすず書房「辻まことの世界/矢内原伊作編」を500円で購入する。相変わらず売れた分だけ、ちょこちょこと補充されているようなので、これはまた見に来ても良いかもしれない。お店を出た後は、テクテク歩いて武蔵境の古本屋さんをいつもなら巡っているところだが、あまりの冷たい風に心がポキンと折れ曲がり、震えながらそのまま帰宅してしまう…うぅ、寒い…。
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2020年03月17日

3/17杉並〜中野をぐるっと歩く。

午後にニョロニョロと動き出し、ブラブラ歩いて野方の未見の古本屋さんを目指す。だが、奇天烈な飾りに溢れるそのお店は、無情にも閉まっていた…レッツ・再チャレンジ!そう心に決めて、そんなら久しぶりに沼袋の「天野書店」(2008/11/14参照)を見に行こうと、西武新宿線の線路を伝うようにして東に歩き始める。何となく線路を近くに感じながら、見慣れぬ住宅街を朧げに進撃する。途中、今は営業していないのだが、理髪店とパン屋を兼業していた古い商店を見かけ、そのアナーキーさに感激する。
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左が理髪店で右がパン屋。屋号は両方とも同じである。

そして「天野書店」へ。店頭は文庫は100円だが、単行本類はしっかりとした値段が付けられている。教養文庫「ソロモンの桃/香山滋」を見つけられたので、お守り代わりに抜き出して店内へ進む。棚は以前と変わらぬ、教養深く良識が漲る並びを見せている。なんせ、棚に入っている文庫は岩波文庫だけなのである(その他は床や棚脇に横積みされている)。素敵過ぎる二つ名『昆虫翁』の本が気になるが、2800円か…おとなしく先述した文庫を買い、お店を後にする。
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さて、足にはまだ余裕があるし、もう少し古本を買っていきたいものだ。そう考え、駅から南に坂を上がってグングン進み、大きな『平和の森公園』横を撫で歩き、やがて『中野ブロードウェイ』に潜入する。やった、二階の「古書うつつ」(2008/06/18参照)が久しぶりに開いている。店頭箱に児童文学本がダカンダカン並んで行くのを楽しく眺めながら、偕成社版・名作冒険全集「海底人間/ドイル」(カバーナシ)六興出版「谷山浩子童話館」雄山閣「講談落語考/関根黙庵」(杉江松恋氏用に確保。未所持本かどうかは不明である)を選び、計300円で購入する。帰りもテクテクトボトボ『早稲田通り』を歩き詰め、午後四時の阿佐ヶ谷に帰還する。なんだかすでに夕方でも、春の陽気ですなぁ。
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2020年03月10日

3/10古本屋 帳場で何を する人ぞ

午後、西荻窪での打ち合わせに照準を合わせ、家を出る。雨降りがどうにも億劫なので、まずは電車で荻窪に出て「竹陽書房」(2008/08/23参照)に飛び込む。世間とは異なるゆっくりとした時間の中で棚を眺め、河出書房新社「宮本常一 旅する民俗学者 増補新版」を500円で購入する…残念ながら白水社の幻想小説シリーズは、追加補充されていなかった。ここからは歩いて西荻窪を目指すことにする。そのまま線路沿いを西に向かい、アンダーパスの環八の上を渡り、線路の気配を右に感じながらさらに歩き進む。道が善福寺川に向かって坂になる前に、ふと気が向いて線路の下を潜って北へ…おぉ、営業時間の極端に短い「絵本タイム猫タイム」(2016/02/19参照)が開いているじゃないか。かなり久々の再会を喜び、数段のステップを上がって傘をすぼめ、店内へ。すると棚の向こうから「いらっしゃいませ」の声が出迎えてくれるとともに、定期的にスト、トトン、スト、トトンと小さなくぐもった音が聞こえてくる…なんだろう?その前に、小さな空間ながらも充実した絵本棚&児童文学棚に集中し、カバーナシの盛光社「空とぶ自動車3/イアン・フレミングぶん ジョン・バーニンガムえ ときわしんぺいやく」が500円だったので見つけ出す。購入しようと背後の帳場に踵を返すと、そこには衝撃的な光景が展開していた!なんと店主が机の上を大きく利用して、機を織っていたのである…今まで古本屋さんを訪ね、店主さんや店番さんがいろんなことをしているのを目撃して来た。お仕事、読書、食事、居眠り、テレビ二台同時鑑賞、麻雀ゲーム、本の朗読、自作の歌を歌唱、ボタニカルアートを描く、横笛の練習…そこにあ新たに“機を織る”が加わったのだ。思わず「機を織ってるんですか?」と聞くと「エヘヘヘ、そうなのよ」とはにかむ店主。織り上げられつつある布は、大きな面に、美しい文様を描いていた。
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そして本日の目的地「盛林堂書房」(2012/01/06参照)では、難易度の高い仕事について色々打ち合わせる。うむむむむむむ、まぁいつかはどうにかなるだろう。

そろそろ発売になる「本の雑誌 旋毛曲り旅立ち号」(坪内祐三追悼大特集88ページ!)の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、関内の横丁古書天国「活刻堂」をご紹介。黒い本の断崖の底で、未知の安売本を求めて蠢いて来ました。お楽しみいただければ幸いです。
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2020年03月05日

3/5「穂高」の残された本が消えていた。

バタバタした一日を過ごすが、一瞬の息抜きで、ご近所の阿佐ヶ谷をウロウロ。あああっ!いつの間にかというか、ついに「穂高書房」(2019/09/17参照)の本が徹底的に運び出され、スケルトンになり、テナント募集の看板が置かれてしまっている。…わかっちゃいるが、いざこうなると寂しいなぁ。店脇に寝そべっていたブリキ看板もなくなったか。この小さな空間に、山岳関連の古本がギュウギュウに詰まっており、そのためあまりお店として機能していなかったのだが、そこがまだ愉快で味のある、次元の隙間のような場所であった。いざさらば、小さな古本連峰「穂高書房」!
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続いて「銀星舎」(2008/10/19参照)にフラリ立ち寄り、河出文庫「蟇屋敷の殺人/甲賀三郎」を500円で購入しつつ、久々に奥さま店主と楽しく長話。古本に囲まれた空間で、足に根を生やしたように立ち尽くし、言葉をポツポツと交わす。そこで気になる古本の話なども出て来たので、いつか機会があればぜひ持って来て下さい、とお願いしておく。
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2020年02月18日

2/18「古書ますく堂」は西へ旅立つ。

中野に出て用事を一つ片付けた後、「古本案内処」(2015/08/23参照)で小学館文庫「ミステリー作家90人のマイ・ベストミステリー映画/テレパル編集部編」を275円で購入する。さて、ここから池袋方面に向かいたいのだが、中野駅に戻るのはめんどくさいし、何処からかバスが出ていないだろうか…と『早稲田通り』を東に歩き始める。ところがしばらくして見つかったバス停は、新宿駅西口行きのみである。仕方なく歩を少し早め、『山手通り』まで出ることにする。ここなら池袋行きが…そう信じて、広くキレイな歩道を、ダイナミックに下ったり上がったりしながら北へ。ところが、そんな風にして見つかったバス停は池袋行きなのだが、時刻表を見ると、ほぼ二時間に一本と言う異様な少なさなのであった…仕方ない、諦めて歩き続けよう。そう決めてテクテク歩いて椎名町駅着。線路を渡って住宅街の中を東に進み、ようやく「古書ますく堂」(2018/01/14参照)に到着する。ふぅ。相変わらず乱暴な店頭であるが、いつもと違うのは大きな貼紙が出されていること。
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『古書ますく堂 大阪へ移転!!3月上旬引越です。御来店頂いた方々、ありがとうございました。厚く御礼申し上げます。』と書かれている。そう、この池袋近辺に九年間『魔窟古本屋』として君臨したお店が(居抜きの元スナック店(2011/10/15参照)→元小料理屋店(2014/07/03参照)→現在の元事務所店と変化)、大阪へ移転してしまうのである。全く持って、東の人間としては寂しい限りである…だが、西の人間にとっては、あるいは朗報なのかもしれない…そんなことを思いながら雑然とした店内に進むと、そこには誰もいない…いったいますくさんは何処に行ってしまったのか?仕方ないのでしばらく棚にへばりつき古本を漁っていると、奥からガサゴソ物音がして、ますくさんが笑顔を見せながら登場し「忍者みたいに突然現れないで下さいよ」と言われたので「お店ほっぽらかしているからですよ」と言い返す。そしてさらに古本を漁りながら、今回の移転について色々質問を繰り出す。すると、営業は2/24くらいまでということ。隣りの保育園が拡張するので、円満に立ち退くこと(何と引っ越し代を出してくれるのだ!)。大阪に引っ越すのは知り合いが多いし、昔働いていた神戸も近いしとのこと。本は全部持って行くこと。場所は阿倍野で、今度の店舗は住宅街の平屋ということ。何かイベントがあれば、東京にも時々顔を出すこと。などなどが判明する。それにしても突然で驚いたが、まぁ遠くなるけどお店がなくなるわけではないのだ。いつか大阪に足を踏み入れることがあれば、必ず訪れることにしよう。と決めて、東京店での最後の買物をする。報知新聞社「やったるで!/巨人軍・金田正一著」を千円で購入する。ますくさん、西に行っても元気でね。帰りに駅前の「春近書店」(2009/02/24参照)に立ち寄るが、店頭棚を一渡り眺めた後、中に入ろうとすると、自動ドアの向こう側で放し飼いの小さなプードル犬が、ドアにガンガンぶつかりながら吠えまくっている。
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半狂乱で、飛び出して来そうな勢いだ…あまりの剣幕に、ドアが開いたら逃走してしまうことを怖れ、入店を諦めることにする。中村橋では「古書クマゴロウ」(2018/03/21参照)に立ち寄り、光文社「世界の自動車/高岸清」を110円で購入して帰宅する。
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2020年02月14日

2/14補充したり、古本買ったり、お話ししたり。

インスタントラーメンを食べてから(美味しかった…)古本を抱えて外出。西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)内の「フォニャルフ」に久々の補充を行う。驚くことにミッシリ並んでいた単行本がごっそり消えていたので、持って来た本がそこにピッタリ収まってしまった…ありがたやありがたや。帳場には今日は小野氏がひとりだけ。奥さまは大市の準備で神保町を駆け回っているそうである。その大市のおかげで、大量の古本荷を出品した盛林堂のバックヤードが異様にスッキリしている。どうせすぐにまた古本で埋まるので、束の間の珍しい光景と言えよう。氏と『盛林堂ミステリアス文庫』の出版スケジュール、TVアニメ『映像研には手を出すな!』、春陽堂の探偵小説『六角本』などについて熱く語り合うと同時に、少年少女講談社文庫「名探偵 明智小五郎 怪人二十面相/江戸川乱歩」リブロポート「ぼくの伯父さんの休暇/ジャック・タチ原案 ジャン=クロード・カリエール作」を計200円で購入する。お店を出て駅に向かう途中で、北側の「TIMELESS BOOK STORE」(2012/06/30参照)がマイナーチェンジしていたことを思い出し、早速向かうことにする。ほぉ、いつの間にか一人掛けソファと本を描いた電飾袖看板が設置されている。
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店名ロゴが描かれたガラスドアを開けて中に進むと、フロア中央に新たに棚が置かれている。その裏側には、お店のシンボルとなっている一人掛けソファがデンと置かれている。中央棚には主に文学が並び、以前より文学の割合が増した感がある。左奥の壁にも和洋文学が集まっているようだ。私は絵本棚の下に屈み込み、カバーナシの集英社 母と子の名作童話16「てん子ちゃんとアントン/ケストナー」を引っ張り出して330円で購入する。阿佐ヶ谷では帰り道の「ネオ書房」(2019/08/11参照)に吸い込まれる。帳場にお揃いの切通ご夫妻と挨拶を交わし、新しく出来た古本屋さんについてちょっと話し合いながら、主婦の友社 TOMOコミックス「名探偵シンキングマシン 完全脱獄/原作ジャック・フットレル 劇画桑田次郎」を1078円で購入する。家で本を開いていたら、帯が滑り出て来たので、嬉しさ倍増!
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2020年02月13日

2/13東小金井唯一の古本屋さんは三月末に閉店!

夕方前に下連雀の南に流れ着いたので、ちょっと遠いが頑張って「りんてん舎」(2019/03/30参照)までトボトボ向かう。アンダーパスで線路下を潜り、玉川上水を越え、トボトボ…だが、残念なことにお店は閉まっていた…ぉぉぉぉぉぉ、非常に楽しみにしていたのに…まぁこういうこともあるか…と、涙がちょちょ切れそうになりながらも、グッと堪えて「水中書店」(2014/01/18参照)に救いを求める。文春文庫「建築探偵述入門/東京建築探偵団」(永遠の名著!)集英社文庫「ショートショート全集 泥棒/結城昌治」を計500円で購入し、落ち着きを取り戻したところで、東小金井「BOOK ノーム」(2009/02/13参照)が三月末閉店を宣言し、セールをやっていることを思い出し、二駅移動して駆け付けることにする。いつの間にか時刻はすでに夕暮れ。ママさんたちが子供を引き連れ、商店街で買物をしている。そんな生活的に賑わう道を南下して行くと、「ノーム」がいつも通り営業している姿が見えて来た。嗚呼、ウィンドウには大きく『閉店SALE 全品30%オフ!』と貼り出され、他にも35年の愛顧に感謝を捧げつつ、三月末まで閉店セールを行う旨が貼り出されている。
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ここはそれほど特色のない、街の小さな新刊系古本屋さんであるが、こういう街の隙間と言うか、緩い柔らかさが消えてしまうのは、とても切ないことである。取りたてて何か買えたと言うわけではないのだが(それでも思い出を挙げるなら、オカルト系のレア本「七次元よりの使者 第0巻(大霊感)/五井野正」を100円で買ったことだろうか)、ふとした時に立ち寄れる、心休まる空間であった…さらに嗚呼…。願わくばこのひっそりと抜ける穴が、穴としてそのまま街に残ったり、スクエアなチェーン店で埋められないことを、祈るばかりである…。店頭店内をじっくり吟味して、東京創元社「推理小説の歴史はアルキメデスに始まる/フレイドン・ホヴェイダ」を30%オフの350円で購入する。閉店までまだしばらく時間があるので、またブラリと訪れます。
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2020年02月07日

2/7駅直上の古本屋さん。

朝の中央線混雑の洗礼をたっぷりと受けながら、午前九時五十分の御茶ノ水駅『聖橋口』。改札を抜けてすぐに西方向に進むと、駅直上の切り通し際に建つ「三進堂書店」(2009/04/07参照)が現れる。コメントタレコミでその突然の閉店を知り、慌てて見に来たのである。一月三十一日に閉店したので、シャッターはガッチリ下ろされている。
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そしてそこには『閉店のお知らせ』の貼紙が…昭和10年に創業し、この場所で昭和20年から営業して来たお店を、昨年春の店主の逝去に加え昨今の書籍を取り巻く厳しい状況を鑑み、一旦閉店すること。しかし3月末まで不定期営業を行い、次回の営業日は2月13日(木)で、店内全品50%オフセールを行うことなどが書かれていた。あのいつも、番台で貧乏を嘆く不思議な歌を唄っていた店主が、今となっては懐かしい。何処かの機会で店内セールには滑り込みたいものだ。そう思いながら、足を神保町方面に向ける。午前十時過ぎの神保町は、開店準備真っ最中のお店が多い。慌ただしく重々しい、様々な古本屋さんの店頭構築を眺めながら、すでに開店しているお店の店頭を覗いて行く。「慶文堂書店」(2012/01/14参照)では、お店にとっては専門外の、詩集や犯罪関連や新田次郎が投げ出されているのが目に留まる。偕成社「空の艦長/山岡荘八」講談社「道化師の森」「はがね野郎」共に新田次郎を計900円で購入する。「一誠堂書店」(2010/03/27参照)では開店準備意中の髯の番頭さんに挨拶をし、外で古本を持つとたちまち氷のように冷える話などを少しする。『神保町交差点』を経由して『白山通り』に入り、「日本書房」(2011/08/24参照)に到着。100均文庫ゾーンにサンリオSF文庫「解放された世界/H・G・ウェルズ」を見つけたので確保しつつ、柔柔和本タワーに神経を集中する。口絵がなくなっている明治小説本が多く放出されているようだ。切り取って飾りでもしたのだろうか。菊池幽芳の「乳姉妹」が800円…よっ!春陽堂「深山の美人/村井弦斎」が200円だぞ。とこれも確保し、計300円で購入する。「深山の美人」は、表紙にさらに手製らしき表紙が付けられているのだが、ちゃんと印刷文字で『村井弦斎著 深山之美人 春陽堂出版』とある。本が入っていた袋を貼付け作ったものだろうか…。
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これは手製表紙を開き、本来の表紙が見えているところ。
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2020年02月02日

2/2「ゆたか。書房」は暫くの間…。

昨日は調布の北に流れ着いたので、調布駅方面に戻りつつ、ビルの谷間の「円居」(2009/03/02参照)に参上する。店頭ワゴンを先客のオバさんとともにじっくり眺めていると、右側の一角にサンリオSF文庫が十冊ほど出されているのを見つける。というわけで、分厚い二冊の「ザ・ベスト・オブ・サキ/サキ」「ヴァリス/フィリップ・K・ディック」を、冬でもドアが開け放しの寒い店内で二百円で購入する。そして本日は上北沢に流れ着いたので、すぎ丸を乗り継ぎ阿佐ヶ谷に帰り着く。「千章堂書店」(2009/12/29参照)で新潮文庫「アシモフの雑学コレクション/星新一編訳」ハヤカワ文庫「スキズマトリックス/ブルース・スターリング」を計二百円で購入する。そのさらに帰り道で、一月三十一日までお休みすると宣言していた「ゆたか。書房」(2008/10/19参照)に立ち寄る。休み明けの昨日二月一日は、残念ながらお店が開くことはなかったのだ。ちょっと改めて心配になりながら店前に到達すると、残念ながらシャッターが下りてしまっている。うぅん、なんだか心配だなぁ…とここ二ヶ月ほど貼りっ放しの紙に目を移すと、いつの間にか新しいものに変わっているではないか。『2020.2.2 暫くの間お休みします ゆたか。書房』…な、な、な、なんだってぇ!ますますなんだか心配だなぁ。寂しいなぁ。早くオヤジさんに戻って来て欲しいなぁ。その時は復活を祝い、たんと古本を買うことにしよう…。
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2020年01月30日

1/30武蔵境古本屋トライアングル!

昨日に引き続き狂った陽気の中、午後に武蔵境の南に流れ着く。テクテク歩いて駅の北側に出て、まずは「浩仁堂」(2011/02/15参照)を覗く。店内は棚前に結束本の壁が出来上がり、多くの人が言葉を交わしながら作業している…何か大きな催事の準備だろうか?店頭に転がっていた、世界文庫 近代文芸資料復刻叢書1「新體詩抄 初編」を200円で購入する。昭和三十六年の復刻本で、ちゃんと帙入りで袋付き。そこからさらにフラフラと北西に進み、「おへそ書房」(2019/07/28参照)へ。緩やかな時が流れる知的な店内に身を浸し、短歌新聞社「歌集 未青年/春日井健」を260円で購入する。「浩仁堂」と「おへそ書房」を、初めて足で繋いで楽しむ。ここにさらに駅南側の「プリシアター・ポストシアター」(2015/01/03参照)も加え、『武蔵境古本屋トライアングル』として楽しみたいところだが、さすがにちょっと距離があるなぁ。などと楽しく古本屋さん巡りに浮かれつつ、天邪鬼にも足はそちらに向けずに、東にトボトボ歩いて、もっと遠いであろう三鷹「りんてん舎」(2019/03/30参照)を訪れてしまう。まだ店頭と店内の所々に「均一祭」(2020/01/26参照)の名残がカタチを留めているが、文庫棚に京極夏彦並みに分厚い旺文社文庫「反対尋問/ウェルマン」が並んでいるのを見つけてしまう。値段を見ると格安の五百円だったので、税を合わせた550円で購入する。いやぁ、ここまでトボトボ歩いて来た甲斐があるというものだ。
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夕陽に照らされた、今日のバラバラな収穫三冊である。
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2020年01月26日

1/26午後五時の「りんてん舎」均一祭。

超遅ればせながら、「りんてん舎」(2019/03/30参照)が突然敢行した「均一祭」の二日目に駆け付ける。しかも時刻は午後五時…何か残っているだろうか?そんな風に均一古本の在庫に不安を覚えながらお店に近付くと、うひゃぁ、まだたくさんの人が均一祭を楽しんでいる。店頭に直に並べられた古本を吟味した後の人たちが、店内各通路に目白押しだ。これは活気があるなぁ、と感心しながら店頭の本に視線を落とす。井伏鱒二の「夜ふけと梅の花」があるが、背が反り返って凹み、お尻のページが落丁している…惜しい、惜しいなぁ。と言うわけで、第一書房「牧野信一全集2」(函ナシ)を抜き出して店内に進む。…むぅ、何処の通路にも入り込む余地がない…だが、左端通路の窓際に大量の均一文庫が積み重なり、先客が吟味に吟味を重ねている。どうにかしてあそこにたどり着かねば。そう決めて、ジリジリ隙を見つけて近付いて行く。現在二人の古本修羅が文庫をたくさん抱えて場所を占有中なのだが、そのうちの一人がフイとその場を離れた。チャンス!と鰻のようにヌルヌルと人の間を進み、窓の前にたどり着く。そして文庫をガシガシ鷲掴みにして、高速で気になる文庫を確保して行く。集英社文庫「洲崎パラダイス/芝木好子」ふらんす堂「芥川龍之介句集 夕ごころ」集英社文庫コバルトシリーズ「怪奇ファンタジー傑作選/武田武彦選」光文社文庫「江戸川乱歩と13人の新青年〈論理派〉編・〈文学派〉編」「探偵小説の風景 トラフィック・コレクション上・下」を選んで、計880円で購入する。うふふふふ、ちゃんと買えたなぁ。「りんてん舎」よ、今日も古本をありがとう!
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2020年01月04日

1/4大遅刻かと思ったら!?

時間を動かせぬ所用をどうにかこなし終わったら、すでに午後一時過ぎ…泡を食いながら、なかば意気消沈しながら、西荻窪「にわとり文庫」(2009/07/25参照)の「100円均一大会」(2017/01/03参照)目指してひた走る…あぁ、もう良いものは売れちゃったんだろうなぁ…兵どもが夢の跡なんだろうなぁ…でも、でも、何か少しは残ってるかもしれないなぁ…たくさん補充されているといいなぁ…などと激しく古本的に心乱しながら、『平和通り』を進んで、大遅刻でお店にたどり着く。ありゃ?閉まってるぞ?もう本は売り切ってしまったので、店仕舞いしたのだろうか?…だが、店内には本の詰まった木箱が積み上がっている。そして、ウィンドウに何やら貼紙がしてある…何何、『店主、店員共にインフルエンザ発症のため、4日5日開催予定の100円均一大会は中止とさせていただきます』とあるじゃないか!
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げげぇっ、中止。ということは、俺は遅刻じゃなかったんだ……よ、よかっ…いや、よくないよくない。にわとりさんの速やかな快癒を、心からお祈りしております。大会は日程を改めて開かれるそうなので、今度は遅刻せぬよう、スケジュールを上手く調整しよう。というわけで、遅刻してもどっかり買うつもりだった気持ちのやり場を作らねばならない。足は自然と今日から営業始めの「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に向いてしまう。店頭で本を選んでいると、店主・小野氏が盛林堂ミステリアス文庫スタッフのひとり、PICOROCOさんと一緒に姿を現し、店頭に散らばるホームズ&ドイル関連本を掻き集めては、巧妙に押し付けている。すごい売り方だが、それをニコニコ喜んでいるPICOROCOさんもまたクレイジーで素敵だ。お二人に年始の挨拶をし、店内へ。店頭本だけではどうも気持ちが治まらないので、棚に熱い視線を向ける。右側通路奥の壁棚サンリオ文庫ゾーン前にしゃがみ込み、そうだ。日下三蔵氏邸で文庫島を整理中に見かけたあの本があればよいのだが…あぁ、あったあった。サンリオSF文庫「馬的思考/アルフレッド・ジャリ」である。過日、不覚にもこんな文庫が出ているのを知らず、興味を惹かれて作業の手を止め、ちょっとページを開いたら、中はシュルレアリスム的ショートショートに満ちあふれていたので、即座に読みたくて仕方なくなった一冊なのである。文春ビジュアル文庫「スーパーガイド 建築探偵術入門/東京建築探偵団」講談社「ミステリーの書き方/アメリカ探偵作家クラブ」とともに計2200円で購入する。ホッ。ひとまず気持ちが治まった。
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2019年12月27日

12/27昭和十四年と三十四年の古書目録。

昨日はまたもや国分寺の端に流れ着いたので、ブラブラ歩いて「古本 雲波」(2017/02/03参照)へ。ところがお店はシャッターが下ろされ、そこには一枚の貼紙が。
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冬休みか…まるで冬眠みたいだな。来年改めて訪れることにしよう。というわけで脇道をス〜ッと抜けて「七七舎」(2019/05/06参照)へ。早川書房「ペイパーバックの本棚から/小鷹信光」を100円で購入する。ペイパーバックの歴史や概要と言った話ばかりではなく、学生時代から古本屋を回り、安値で買い集める楽しさや苦労や、そこで出会う人たちの話などが載っていて、古本屋好きにとっても興味深い一冊である。そして西荻窪で下車して、トコトコ『青梅街道』を伝う。『八丁交差点』近くの本屋さん「Title」では、第四回目の「2階の古本市」(2016/12/27参照)が開かれているのだ。狭い急階段をギチギチ上がると、平日午後なのに多くのお客さんが、狭い空間で譲り合い、時に独占しながら犇めいている。本のセレクトは回を増す事に女子度も増し、より先鋭化している感じである。その中で、「一角文庫」さんが田中小実昌をドバドバッと並べているのが大変見物である。筑摩書房「未来生活風景/ジョルジュ・デュアメル」福音館書店「年少版こどものとも いろいろないぬ/石井桃子」を計550円で購入する。市は2020年1/7まで。夜、水谷準の「瓢庵先生捕物帖」を読み進めていると、“北原案件”(シャーロック・ホームズに関するイラストや小説などの二次創作物のこと。イラストは、ディアストーカー・インバネス・天眼鏡・パイプなどを基本ラインとして判定される)っぽい一編が載っていたので、ホームズ研究家の北原尚彦氏に注進しておくことにする…果たして判定は?

そして本日は午前九時半に家を出て、まだ早朝の部類の神保町へ。今年最後のパトロールと洒落込んだわけであるが、御茶ノ水駅からアプローチして「三茶書房」(2010/10/26参照)の店頭ワゴンにへばりつくと、左から二番目の300均ワゴンに、文学全集のパンフレットがまとめられていた。丁寧に薄手のリーフレットを繰って行くと、風変わりな二冊を発見する。昭和十四年の渋谷「玄誠堂書店」の目録「玄誠堂新蒐書目 明治大正詩歌俳書文學絶版特殊本」と、昭和三十四年の上落合「文学堂書店」(2016/01/27参照)の目録「明治大正昭和文学書及各雜誌目録」である。
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喜び勇んで計600円で購入し、お店のオヤジさんに包装紙で丁寧に梱包していただく。「玄誠堂新蒐書目」の表紙には、『澁谷區道玄坂』の文字がある。この時代は、宮益坂の上ではなく、道玄坂にあったのか。戦火をどうにか潜り抜け生き抜き、戦後に宮益坂に移ったのだろうか。それにしても昭和十四年と言ったら、軍靴の音がダッカンダッカン響き、のっぴきならぬ状況。あぁそれなのに、稀少詩歌書の売り買いがされていたなんて。啄木の献呈宛名入りの「あこがれ」が二十円!そして「明治大正昭和文学書及各雜誌目録」に目を落とすと、「文学堂書店」がどのようなお店だったのか、ようやく輪郭が朧げに見えて来た。しっかりした、文学稀少古書も扱うお店だったのか。作家五十音順に丁寧に並ぶ、本棚のような文字列を追いかけて行くと、見慣れぬ本がたくさん含まれている。ソログーブ「小悪魔」とか「捧腹絶倒 富村邸のクリスマス」、「家庭小説 小さなハート」、「全世界探検 爆裂艦隊」…「ヴェニスの商人」が「人肉質入裁判」という身も蓋もないタイトルに。明治の探偵小説も多数掲載。「ですぺら」はカバーなのか…。そんなものを見ていたら無性に古書が買いたくなって来たので、再び表に飛び出し、風の強さに逆らって逆らって、保谷の「アカシヤ書店」(2008/12/17参照)へ。店内に引き込まれた均一棚に蟹歩きで接しながら、文寿堂「未明童話 赤い魚と子供そのほか」青磁社「舊詩帖/ポオル・ヴアレリイ」実業之世界社「縮刷解説 宇宙/三宅雄二郎著 青柳有美解説」を計330円で購入する。「宇宙」は明治時代の全知識と思考を駆使し、この世界を解明して行く壮大な書。思考は他の星の生物(つまり宇宙人や宇宙生物!)にも及び、さらに地球の“超人”や他星の“超人”にまで飛躍して行く。くぅ、刺激的。
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2019年12月12日

12/12阿佐ヶ谷「ゆたか。書房」は来年一月末までお休みに。

昨日は西荻窪近くの松庵に流れ着いてしまったので、駅までヒョコヒョコ軽快に歩き、日曜の『西荻ブックマーク』でお世話になった「古書音羽館」(2009/06/04参照)へ。店頭右側の単行本棚上部で、まずは晩聲社「ぼくのジプシー・ローズ/原芳市」を掴み取るや否や、すぐその下に講談社「ギャグ&ギャグ/石上三登志+今村昭」を見つけたので、大切に抱え込む。“笑い”を引き起こす“ギャグ”という事象を、映画や漫画や小説やCMやテレビなどから集めまくり、考察分析する昭和六十年刊の好著である。店内に進み、帳場の本の壁の中に潜む先輩店員さん(2017/01/30参照)に挨拶しつつ、計600円で購入する。そして美しく黄色に染まった枯れ葉が舞い散る本日は、宮前に流れ着いたので、いつものように辛抱強く歩き続け荻窪に出る。「ささま書店」にブラリと立ち寄り、講談社 長編小説名作全集16「横溝正史」(カバーナシ)未来社「フィルムの裏側で/新藤兼人」を計220円で購入する。「横溝正史」には昭和三十四〜五年の『紀伊國屋書店』の原稿用紙の広告栞が挟まっていたのだが、これがかなり北園克衛っぽいクールなデザイン。
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いや、見れば見るほど北園なのである。北園は紀伊国屋の出していた文化的小冊子「机」の表紙やカットも担当していたし、可能性はかなり高いはずだ。これは大事に取っておこう。そんな楽しい想像に耽りながら阿佐ヶ谷に帰り着くと、おや?「ゆたか。書房」(2008/10/19参照)のシャッターが下ろされ、そこに貼紙が…『都合により一月三一日(金)までお休みします。』とあるではないか。二ヶ月弱の長期休店である。むぅ、いったい何があったんだ。とにかく来年の無事の営業再開を、切に願っております!
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2019年12月09日

12/9「モンガ堂」の展示と『世界怪奇叢書』。

晴れると思っていたのに、全然晴れなかった月曜日。午後一時に西荻窪北の桃井に流れ着く。それならば「古書西荻 モンガ堂」(2012/09/15参照)に寄らぬ手はない。静かにそっと店内に滑り込むと、企画展示ゾーン越しに座る、帳場のモンガさんが、顔を上げて「おほっ」と声を出す。ちょっとご無沙汰いたしました。店内窓際台と中央棚の一部で開かれている展示は、『個人名のついた『研究会誌』展』である。かわじ・もとたか氏が、長年に渡って古本市などでコツコツコツコツコツコツコツ集め歩いた、研究対象の人物の名が付けられた研究誌や同人誌を、展示販売する地味だが偉大な企画!上林暁・山口瞳・石川啄木・宮澤賢治・魯迅・尾形龜之助・坂口安吾・太宰治・夏目漱石・大塩平八郎・夢野久作・宮武外骨・織田作之助・若山牧水・高村光太郎・半村良、etcetcetc.............。薄く素っ気ない装幀の小冊子ばかりだが、物凄い量だ。
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日本文学関連だけではなく、海外文学や映画関連にも探索の手は及んでいる。おぉ、在野の知られざる英雄たちの手による、いぶし銀に輝く研究成果たち!大いに感心しながら、一瞬、夢野久作の研究誌「夢の久作のごとある」を買ってしまいそうになるが、『お前は研究会誌って柄じゃないだろ!』と脳内で己を叱咤し、我に返って店内を一周。さらに一瞬、戦前の「キンダーブック」復刻版に目を眩まされそうになるが、粘って粘ってかろうじて見破り、玄文社「世界怪奇叢書 聊齋志異/柴田天馬」私家版「講談研究/田邊南鶴」を計千円で購入し、事無きを得る。展示は12/22まで。モンガさん、今年もたくさん良い本をありがとうございました。ちょっと気が早いですが、来年もよろしくお願いいたします。
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大正十三年刊の「聊齋志異」に出会えたのは嬉しい。装幀は水島爾保布である。『世界怪奇叢書』…他にはいったいどんなラインナップが……。
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2019年11月24日

11/24「恐怖島」がやって来た!

しつこい雨に祟られながら、すっかり暗くなった午後五時に柳沢に流れ着く。西武新宿線駅に向かおうと『新青梅街道』を歩いていると、毒々しく節操のないきらびやかな灯りが目に飛び込んで来た。
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そうか、「エーワンブック保谷店」か(2011/03/03参照)!実に八年八ヶ月ぶりの再会である。窓枠にはイルミネーションが鮮やかに輝き、『令和最初のBIG SALE』『令和キャンペーン開催中』などの威勢のよい文字が踊っている。店頭に今出ているのは雑誌ラックのみ。だが店内へ進むと、古本ゾーンがしっかり健在なのが見て取れる。通路にずいぶん本が横積みされているなぁ…と思いつつ、雑本&新本的棚を見回して行く。先客に文化系カップルがおり、濁声のオヤジさんと楽しそうに値段交渉などしている。上の棚より横積み本に目を凝らし、講談社現代新書「夜の画家たち 表現主義の芸術/坂崎乙郎」を百円で購入する。

そして家に帰ると、嬉しい嬉しい久しぶりのヤフオク落札本が待ってくれていた。東方社「怪奇探偵長編小説 恐怖島/香山滋」である。何故かライバル出現せず、自主的上限の五千円で落札する。最初見かけたときは、国書刊行会の復刻本では?と下衆の勘繰りをしてしまったのだが、つぶさに見て行くと、間違いなく東方社のオリジナル本なのであった。色々経年の傷みはあるようだが、それでも五千円は激安!このまま誰も入札するな!と願っていたら、その通りに無事に落札出来たのである。いやぁ、本を手にしていると、ついついニヤニヤしちゃうなぁ。物語は秘境探検家・人見十吉が活躍する香山作品人気のシリーズである。とは言っても、読み始めると、いきなり人見が囚われの身に!それなのに美女と相変わらずイチャイチャ!人見がアステカ族王朝の末裔だって!?恐怖島に棲みつく、五百万年前の水棲恐龍!その恐怖島は、アトランティスの遺跡島!などなど、早速生物学的に探検的にロマンティックに、香山の筆はフルスロットル!…あぁ、この本は昭和三十年刊だから、中野区大和町ではなく、晩年の住処、田無で書かれたものか。田無と言えばまさに先ほどまで居た場所なのである。勝手に様々な因縁を感じつつ、ビールを飲みながら怪奇探偵長編小説を楽しくワクワク読み耽る。
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2019年11月03日

11/3かなり久々の「古本はてな倶楽部」

本日は武蔵小金井の遥か北西にある“回田(めぐりた)”という街に流れ着く。…住んでいる所からはそう遠くないのに、一度も足を踏み入れたことのない街…いや、そんな街は数え切れぬほどあるはずだ。さして珍しいことはない。だがここからは、「古本はてな倶楽部」(2013/12/18参照)が近いはずだ!そう気付いて、『玉川上水』をススッと渡り、南に歩いて行くと、横断歩道の前にお店が見えて来た。うわっ、ずいぶん来なかった間に、店頭が目覚ましく発展を遂げている。店頭右側には50均木箱と多数の100均箱が置かれ、左側にはとても立派で立体的な安売店頭棚が二本据えられている。しかもその棚の真ん中辺りには、看板同様のフォントの立体文字が、素敵に貼付けられているではないか!
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うぅん、これはイカしている。そんな風に古本屋さんのアピールに身悶えしながら、二冊を掴み取る。岩波書店「長いお長いお医者さんの話 チャペック童話集」(昭和三十八年二刷りの函入り本)と、東洋経済新報社「柳原良平の船の博物館」(献呈署名&自画像入り。献呈名部分は消されているが、これが二百円とはっ!)である。後は小さな木造りの店内をぐるぐるぐるり。各ジャンル、深くマニアックに掘り下げる棚造りが、古本心をジワジワ陶酔に導いて行く。古書が散見されるのも好ましい。詩集ゾーンから宝文館出版「稲垣足穂全詩集」を選び、先述の二冊とともに計1900円で購入する。ここは、ちゃんと定期的に見に来なければいけないお店だなぁ…。帰りの車内で早速タルホ詩集を繙きつつ、あっという間に阿佐ヶ谷。よし、「ネオ書房」(2019/08/11参照)に寄って行くかと、パラつき始めた小雨の中、『旧中杉通り』をズンズン突き進んで行くと、おや?お店の様子がなんだかおかしい。サッシ扉全面に暗幕が張り巡らされ、店内からは何か音声がゴニョゴニョ聞こえてくる。
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右上の貼紙を見ると、今日は「ネオ書房シアター」と銘打ち、自主制作映画を上映しているらしい。なので、古本屋さんとしての営業は、この瞬間はしていないらしい。がっかりしつつも、薄暗い古本屋さんの店内で、古本棚に囲まれながらの映画鑑賞を想像し、そのシチュエーションにちょっと憧れを覚えてしまう。それにしても、ネオ「ネオ書房」は、二階でワークショップを開いたりもするし、ハロウィンの時も子供用イベントを開催していたし、とにかく活動が多角的である。
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2019年10月25日

10/25「うつぎ書房」の行方を確認する。

昨日は上石神井に流れ着いたので、西武新宿線で帰路に着き、鷺ノ宮駅に降り立つと、自然と最近あまり開いていなかった妙正寺川沿いの「うつぎ書房」(2008/08/06参照)に足が向かってしまう。文庫とコミックとエロ以外にほとんど動きはないので、古本屋さんとしてそれほど好みではないのだが、それでもお店の動きが鈍くなると、気になって仕方ないのである。とぼとぼ歩いてお店に近付くと、おやおや、ちゃんとシャッターが開いている。良かった営業中だ。だが店内に電気は点いておらず、奥はかなり薄暗い模様。それでもせっかく足を運んだので、サッシ扉を開けて店内に滑り込む。入口近くの文庫やコミックは確認出来るが、やはり奥の不動の古書たちの背は、かなり読み難い。それでも一通り棚を見渡すことにする。店内の整頓は行き届いているが、なんでこんなに靴が多く蔓延っているのか!しかも上がり框下にまとまっているのではなく、そこかしこに!などと不思議に思いながら、玄関的古本屋さんをウロウロ。文春文庫「中野のお父さん/北村薫」を選び、丸見えの奥の住居空間に声を掛けると、「おっ、これは気付きませんでした。すみません」と長身の老店主が座敷テーブルを回り込み、ゆるゆると近付いて来る。なんだ、だから電気も暗かったのか。と300円で購入する。
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そして本日はヒドい雨の音を聞きながら、朝から懸命にお仕事。途中ちょっと古本の整理をしていると、角川文庫「ボロ家の春秋/梅崎春生」が出て来た。カバーがいい感じ…と思いつつ、何気なくそのカバーを剥がしてみると、驚くことに厚着本であった。帯とパラフィンだけの裸本角川文庫に、そのまま後刷りのカバーを掛けたものである。創元推理文庫以外にも、厚着本は存在したのか…。
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などなど色々やった後、雨と風が小康状態になった午後四時に駅頭で打ち合わせをする。超超スピードのカバーデザイン依頼だが、これはとても燃えるお仕事。家に帰るまでにデザインの骨子を固め、家に帰って机の前に座り、ゲラを読みむや否や早速デザインに取りかかる。……うむ、なかなか思った通りの、昭和三十年代スリラー小説風な、いかがわしいものが出来たぞ。と喜び、早速クライアントにラフを送付する。
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2019年10月21日

10/21旅からたちまち日常へ。

昨日は荻窪の西にお昼過ぎに流れ着く。たちまち戻って来た日常を、旅を楽しんだこの身に味わいながら、テクテク歩いて西荻窪へ。あっ、古本も売っていたアイス屋さん「BOBOLI」(2012/03/07参照)が閉店している。表には不要品を並べ『ご自由にどうぞ』。古本も詰み上がっていたが、残念ながら雑誌やムック本ばかりであった。そこからゆるゆると緩い坂を下って「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ、店主・小野氏に「お帰り」と言われながら、出来上がったばかりの表紙周りを担当した「Re-Clam eX vol.1」を受け取る。うむ、ちゃんと格好良いぞ!そして続いて、こちらも出来立てホヤホヤの盛林堂ミステリアス文庫「大阪圭吉単行本未収録作品集3 沙漠の伏魔殿」を献本していただく。うひゃぁっ、大阪圭吉の本なのに、表紙絵がプリティーさマックス!「まるで「あらしの白ばと」じゃあないですか」というと「だって、『沙漠の伏魔殿』がそう言う話なんだもん」と小野氏。10/25(金)から、盛林堂店舗と『神田古本まつり』の盛林堂ブースで販売開始とのこと。首を長くして刊行を待っていた人は、万難を排してどちらかに駆け付けるべし!日本出版協同株式会社「深夜の告白(原題 倍額保険)/ジェームス・ケイン」と新刊の新紀元社「幻想と怪奇傑作選 特別収録同人誌「THE HORROR」全巻復刻/紀田順一郎・荒俣宏監修」を計2500円で購入する。帰りの道中で、ちょっと気を抜いて昼ビールを飲みながらテクテク。阿佐ヶ谷では「千章堂書店」(2009/12/29参照)を覗き、パロル舎「いやなことは後まわし/パトリック・モディアノ」を100円で購入する。続いて混雑している「ネオ書房」(2019/08/11参照)を覗くが、ぐるりと一渡り棚を見ただけで、何も買わずに出て来てしまう。すると後から帳場にいた切通氏の奥さまが素早く駆け寄り「あの…」と声を掛けて来た。一瞬勝手に『いや、万引などしていません』と妄想を膨らませて身構えてしまうが、「小山さんですよね」と言われ、正体がばれていたことにようやく気付く。色々勝手にお店を取り上げたことについて、身に余るお礼などを伝えられ、大変に恐縮してしまう。せっかくなので店内に再突入し、切通氏にも名乗りを上げてご挨拶する。突然の展開に、ビールと恥ずかしさで顔を鬼のように赤くしながら、少しお話しさせていただく。これからもちょくちょく寄らせていただきますので、引き続き面白い本を阿佐ヶ谷に供給、よろしくお願いいたします!そして本日は朝から仕事をバリバリ進めた後、午前十一時に家を出て、荻窪「ささま書店」(2018/08/20参照)を定点観測する。店頭で三冊掴み、店内の棚下平台ミステリゾーンに目を落とすと、おっ!講談社「黒い白鳥/鮎川哲也」の函の背が、ピカリと輝いている!抜き出し値段を確認してみたら、各安の千円だったので迷うことなく購入を決める。沖積社「夢野久作ワンダーランド」時事通信社「活字狂騒曲/倉阪鬼一郎」講談社現代新書「東京情報コレクション」とともに、嬉しい5%引きの計1360円で購入する。また、古本買いの日常が戻って来たことを、強く実感する。
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ほうほう、「黒い白鳥」の装幀は池田竜雄(龍雄)なのかぁ。
posted by tokusan at 15:37| Comment(3) | 古本屋消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする