2020年11月28日

11/28さらば「花鳥風月」!

今日は吹き抜ける風に美しく優雅に大量に落葉が舞い散る、幻想的な光景の『井の頭公園』の南に流れ着いたので、池を渡って最近縁あり過ぎる吉祥寺まで出る。というわけで、三日連続で通っていることになる古本屋さんを見て回り、足を停めたのは駅南口バス通りの「バサラブックス」(2015/03/28参照)。店頭300均プラ箱から国書刊行会「漫画雑誌博物館5 東京パック/監修清水勲」を抜き取り、三角形の極狭店内に進む。しばらく店頭を見るばかりだったので、棚の様子に結構変化が生まれているのを楽しみ、講談社「バカな役者め!!/殿山泰司」を選び出し、計1300円で購入する。そして恐ろしい人出から逃げ出すように家に帰り着き、メールで色々お仕事のやり取りをする。その過程で、西荻窪「花鳥風月」(2020/11/01参照)が、実は11/23で営業を終了していたことを知る。やはり昨日の時点でもうやっていなかったのか…閉店が決まってから、早く閉めたがっていたのはなんとなく知っていたが、まさかこんなに早く閉店してしまうとは…もっと買いたい本があったのに…戦前のドイツ・ベルリンの街の写真集とか、1930年代のイギリスのお城の写真集とか、丹那トンネル建設の資料本とか…くぅ、残念。結局最後にお店で買ったのは、古いドイツの絵本になってしまった(2020/11/19参照)…。もはや入店叶わぬお店を偲ぶため、マイ古本屋ファイルをガサゴソガサゴソ…あったあった、「花鳥風月」のチラシ。A4二つ折りで、右にはお店の営業案内、左には池ケ谷伊佐夫氏の店内詳細イラストが掲載されている(これを見るとお店の様子はほとんど変わっていないことがよくわかる)。西荻窪の西端で長年に渡り、古本を売って下さりありがとうございました!さらば「花鳥風月」。中央線古本屋銀河から、ひとつの星の瞬きが、そっと静かに消えてしまった…。
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お店のチラシと最後の買物を記念撮影。
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2020年11月08日

11/8お久しぶりです「祖師谷書房」!

小春日和と言うか、小初夏日和と言った感じの本日は、暖かさが持続している夕方に、祖師ケ谷大蔵の北に流れ着く。ならば!かなり久しぶりの「祖師谷書房」(2009/03/05参照)を見て行かなければ、とても古本心が治まらぬ!と意気込んでお店に向かう。やった、営業中だ。しかも店内には極狭通路店内にはお客さんがひとり…右側通路から左側通路に移動したので、右側のサッシ戸から店内に潜入する。前述した通りかなり久しぶりなので、平積み部分や棚の隙間に挿し込まれた本たちに、大いなる動きが発生している。一生懸命頭を横向きにして、棚前の児童文学山の背を、「ミルナの座敷」とか「アッカの斜塔」とかないだろうか…などと邪な思いを抱きつつ追いかけていると、先客さん(今日初めてお店に入ったとのこと。軽く興奮されており、店主さんにたくさん話しかけていた。素晴らしいことである)が本を買って退店したので、左側通路に移動する。文庫&新書も、手前の部分が随分と様変わりしている…そんな風に楽しみながら、そこから二冊を抜き取る。愛翠書房「怪奇探偵アルセーヌ・ルパン 金三角/モリス・ルブラン著 保篠龍緒譯」創藝社「巴里ひとりある記/高峰秀子」を計400円で購入する。女優・高峰秀子(愛称“デコちゃん”)の七ヶ月に渡る巴里滞在記「巴里ひとりある記」が嬉しい。新書サイズの昭和三十年三版。写真と本人によるイラストが豊富で、女優という職業から解放され、存分に異国を楽しむ直裁な文章が爽快である。奥付の検印が『DECO』とあるのもイカしてます。「祖師谷書房」はやっぱり良い古本がスルッと買える、良いお店だなぁ。
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おぉ、祖師ケ谷大蔵に、古いフランスの馨しい薫りが瞬間漂う。
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2020年11月01日

11/1「花鳥風月」がサヨナラ半額セール中。

今日は午後二時過ぎに西荻北に流れ着いたので、駅方面へテクテク進んで行くと、「中野書店」(2015/03/14参照)がガレージセールをやっているのに行き当たる。おやおや、今は奥のビル脇スペースだけではなく、表通り沿いに大量の百均プラ箱を並べているのか。こりゃあいい!と中腰になり、真剣に本の背を追いかける。
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ほとんどが文庫本なのだが、ふと紛れ込んでいた一冊の赤い古書に目が留まる。春秋社「天才論/ロンブロオゾオ著 辻潤譯」(大正十五年刊。函ナシ)である。背の上下に少し傷みがあり、冒頭に線引きもあるが、これが百円なら迷わず買わねばならぬだろう。そう信じてビル脇の臨時帳場で百円で購入する。大正時代の辻潤本が買えたのは、かなり喜ばしいことである。続いて住宅街の道を縫い。『女子大通り』まで出て、十二月閉店予定で閉店半額セール中の「花鳥風月」(2009/04/28参照)に行ってみる。げぇ!古本が半額とあって、店内は見事に大混雑である…こんな「花鳥風月」、初めて見るぞ…。思わずマスクの形と位置を整え、いざ入店。…小学生がエジプト関連の本を、ここぞとばかり買い漁っている…若いのに強者であるなぁ。かと思えばコミック棚と格闘する正統な小学生の姿も。とにかくどの棚の前も、お客さんが自分なりの何かを掘り出そうと、真剣にセレクトしているのだ。そんな人々の間をヌルヌルと縫い、結局たどり着いたのは、あまり人のいない右奥の自然関連ゾーン。函ナシの黒百合社「チロル傳説集/山上雷鳥」を選び、半額の500円で購入する。まだまだまだまだ良書や古書がたくさんあるので、また覗きに来ることにしよう。
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2020年10月27日

10/27「大河堂書店」で最後の掘り出し物を!

先日「江口書店」(2010/03/29参照)で買った太宰治の「水仙」を読んでいると、収録作の一編に『東京八景』があった。読むのは初めてで、惰性のように共産主義地下活動を務めながら、生活の目標を見出せない太宰と思われる主人公が、生を苦しみながらもダラダラと暮らしつつ、それでもよすがのひとつとして創作活動に打ち込み、東京内を転々と引っ越す私小説である。その中で、天沼の最下等の下宿に移ったところで、こんな描写が出て来た。無頼漢として誰にも相手にされなくなり、世間から『廢人の待遇を受けている』と感じるようになった主人公が、やがて下宿から一歩も出なくなり、『酒のない夜は鹽せんべいをかじりながら、探偵小説を讀むのが幽かに樂しかった』と。…夢も希望もなく、探偵小説を読むことで、孤独の夜から現実逃避していたのだろう。昭和十一年のことである。本格謎解きか、通俗猟奇的なものか、いったい、どんな探偵小説(恐らくは阿佐ヶ谷か荻窪の古本屋で求めたであろう)を太宰が読んでいたというのか…。

そんな八十四年前の、天沼の片隅の誰かのやさぐれた暗い夜と、それをかろうじて慰める一冊の古い探偵小説を想像しながら、午後に外出。先週火曜日の行動をなぞるように、これが恐らく最後の訪問となることを予感しながら、経堂の「大河堂書店」(2009/03/26参照)へ向かう。およそ四十分ほどで経堂に着き、賑やかな商店街の人の流れに乗って、坂の下の小さな十字路を過ぎた「大河堂」。店頭にも店内もお客さんがチラホラ。そしてみなしっかりと古本を購入して行く。なのに棚にはブランクがほとんど目立たないので(奥の農業&自然系くらい)、やはりまだまだ補充をこまめに行っているのだろう。そして店内の閉店お知らせの貼紙には、新たに『閉店セールはやりません』と追記されている。よほど閉店セールについて聞かれたのだろうか…。今日も精査に本の背を追いかけて行く。途中、一箱の猛者・M&M書店さんに会ったりしながら、左奥の壁棚へ。上段に古めの時代小説が固まっているのだが、そのうちの一冊に心臓が跳ね上がる!元泉社「神變呉越草紙/白井喬二」の、は、は、は、箱付きだっ!ついこの間「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)で箱ナシ本を発見して喜んでいたのだが(2020/10/10参照)、よもやその僅か十七日後に、まだ読み終わってもいないのに箱付き完品を発見してしまうとは!大正十二年七月に三上於菟吉や直木三十五が興した出版社から出された、白井の初長編伝奇小説なのだが、二ヶ月後の関東大震災により、そのほとんどが灰燼と化し、後編が出せなかった悲劇の本である。ついこの間「盛林堂書房」小野氏にこの本について聞いてみると、やはり幻本の類いであることを教えられた。棚から取り出し箱から取り出し、後見返しを見てみると値段は千円。やはりここは奇蹟に出会えるお店であったな、と改めて実感し、ダブるのなんか構うものかと、腕に優しく抱え込む。さらに右端通路の海外文学文庫棚から、少し汚れているが新潮文庫「奇跡のお茶事件/チャータリス 黒沼健訳」を見出し、喜びを倍加させる。ビニールカーテン越しに計1900円で購入。「大河堂書店」、最後の最後まで驚くほど楽しませてくれた、“おもしろ文庫”の名に相応しい、素晴らしいお店であった。本当に本当に今までありがとうございました。閉店の十月末日…つまり十月三十一日まで後四日…。
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2020年10月24日

10/24久方ぶりの「江口書店」。

本日は世田谷の奥深くの深沢の住宅街に流れ着く。時刻はすでに午後五時前である…せっかくこんなところに来たのならば、やはり池尻大橋の「江口書店」(2010/03/29参照)に寄って行くべきだろうな。そう決心して、暮れなずんで行く見慣れぬ街をトボトボ歩き始める。『駒沢公園通り』から『玉川通り』に出て渋谷方面へ。オレンジの光を落とす外灯と、詰まり気味の車列のライトが、夜の寂しさを多少なりとも軽減してくれている。そんなに時間はかからないだろうと思っていたら、一時間弱かかってしまった…だが、交差点の向こうには、古書を棚にたっぷりと湛えた「江口書店」の柔らかな姿が見えて来たではないか!
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下手をすればおよそ二年ぶりの訪問である。横断歩道を渡り、早速店頭の小さな木製ワゴンを、店内の灯りで必死に透かし見る。すぐさま気になる二冊を確保して店内に滑り込む。相変わらず本当に茶色い古書で満たされた空間である。棚よりその手前に積み上がる古本たちを見ると、ちゃんと古本屋さんとして動いている息吹が伝わって来る。しばらく熱心に眺めていると、本に囲まれた帳場には誰もいなかったのだが、やがて階段から老婦人が姿を現し着席した。お元気そうでなによりです。角川文庫「皇帝のかぎ煙草入れ/ディクスン・カー」文藝春秋社「文藝春秋選書4 水仙/太宰治」晋北政府「大同雲崗石佛寫真帖」を計500円で購入する。老婦人からはアルコールによる本の消毒を勧められるが、「いや、大丈夫です。ありがとうございます」と丁重にお断りする。
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「江口書店」、やっぱり面白い古書が売っていますな。本日の収穫もとてもとてもいい眺め。「皇帝のかぎ煙草入れ」の訳者は守屋陽一。創元推理文庫のレア本、旧訳「幽霊の2/3」の訳者でもある。「雲崗石佛寫真帖」は、大同陸軍特務機関検閲済で昭和十四年に京城(日本占領下のソウル特別市)で印刷されたものである。外地の出版物が現代の日本にある、この不思議さよ。
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2020年10月23日

10/23す、すまない「ますく堂」さん!

昨晩、Eテレの漫画家超絶技巧研究番組『漫勉neo』を観ていると、浦沢直樹とゲストの星野之宣の対談収録場所が、北海道札幌の「BOOK LAB.」という未知の古本屋さんであった。今時の洒落た店構えの壁棚も立派な広めなお店。いつか訪れてみたいものだ…。

本日は午前のうちに外出して、雨の降る中荻窪へ。「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)で、大正十一年四版の新潮社「タンホイゼル〔附〕ロオエングリン/ワグネル作 中島清譯」を550円で購入する。ちなみに後見返しに貼付けられている「古書ワルツ」の値段札は、「ささま書店」(2020/04/05参照)と同タイプの物を使用しているのだが、小さく入っているキャッチが「ささま」は『広くて楽しい古本屋』だったのが、「ワルツ」では『広い!楽しい! 早い!』になっている。『早い!』ってなんだろう?…精算?棚の回転?その後トボトボ阿佐ヶ谷に戻ると、今日明日と新型コロナ感染拡大予防対策を施した『阿佐谷ジャズストリート』が開催されるので、駅北口アーケード街の「千章堂書店」(2009/12/29参照)は、恒例のジャズ棚二本を店頭に出現させていた。この時期だけ出現する人気の期間限定棚である(ジャズストリート終了後も、二〜三日は残っている)。
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ところで本日は、大阪の「古書ますく堂」さんが上京して一箱古本市に参加するので、どうにかして駆け付けたかったのだが、本日締め切りの仕事が片付かず、どうにも身動きが取れない…す、すまない「ますく堂」さん。本日駒込のカフェ『ミドルガーデンコーヒースタンド』で、午後六時半〜九時と一箱古本市が開かれますので、お時間ある方はぜひ感染予防対策を施して、夜の一箱を楽しんで来て下さい!
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2020年10月20日

10/20愛しの「大河堂書店」の様子を見に行ってきた。

昨日から引き続き嬉しい大乱歩の「幻影の城主」であるが、詳しく調べてみたく、「落穂舎」の目録「落穂拾ひ通信」に当たってみると、「二〇一六年朝霧號」の巻頭カラーページに載っているのにたどり着く。ふぅむ、外装が無いと思っていたが、あの状態で完品なのか。手に入れたのは灰色の特製版で、他に普及版と思える白色表紙の値段(定價参拾圓)が入っているものが存在している。より嬉しさがアップする結果となる。
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白版もいつか手に入れたい…当然ガメつく安値で……。

そして本日は閉店情報が悲し過ぎた、愛しの経堂「大河堂書店」(2009/03/26参照)へ午後に出かけてみる。駅から出て、商店街の坂を下りて店前に付くと、店頭はいつもと変わらぬ感じである。ところが店内に進むと、所々の棚に『十月末日閉店』の貼紙が翻っていた…うぐぅ、やはり本当だったのか…。唇を噛み締めながら店内を徘徊すると、すでに閉店へのカウントダウンは始まっているらしく、棚にちょっとブランクが生まれていたり、棚下がもぬけの殻になっていたり、レジ周りがキレイに片付いていたりと、すでに片付けが始まっている模様である。この店内を楽しめるのも、もはや残り数回か…と激しく悲しみながら、朝日新聞社「木々高太郎全集 月報」の綴りを400円で購入する。特に閉店セールはしていないが、時々まだまだ補充が行われているようなので、また時間を作って見に来ることにしよう。

帰りに高円寺で途中下車し、「DORAMA高円寺庚申通り店」で河出書房新社「地図を作った人びと/ジョン・ノーブル・ウィフォード」を100円で購入。さらにその先の「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)では、芙蓉書房「心霊現象の科学/小池虎之助」を200円で購入し、『早稲田通り』で大量の警察官が軽自動車を囲んでいるのを目撃しながら家路をたどる。
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2020年10月19日

10/19「古書ワルツ荻窪店」で嬉しい大物を!

昨日は足の調子が良くなりつつあり、吉祥寺に流れ着く。当然駅に向かいながら古本屋さんを覗いて行く。「一日」(2017/08/11参照)では奇想天外社「魔法のお店/荒俣宏訳」を300円で。「バサラブックス」(2015/03/28参照)で草思社「名探偵ポオ氏/ジョン・ウォルシュ」を100円で購入し、サッサと帰宅する。ところで、「文學時代 世界獵奇讀物全集号」をチビリチビリ、とっておきのお菓子を少しずつ食べ進めるように読んでいるのだが、巻頭特集の『現代文學獵奇選集』の一編、橋本五郎の『貸家ノート』が面白かった。金欠の失業者が、暇つぶしに借りもしない貸家を内覧し、次々と記録して行くお話なのだが、これがもう“獵奇”というよりは、完全に今和次郎の“考現学”的アプローチなのである。つまりは『考現学小説』!まぁ考現学自体、その調査対象が雑踏を歩く人々だったり、生活している部屋だったり、夜店の一覧だったり、尾行して浮かび上がる行動だったりと、広義の“獵奇”好奇心を満たすような、現代風俗の表層を大真面目に研究する学問である(昭和初期にブームになり、展覧会も開かれた)。この非常に新しい学問が、当時の世相と深くリンクしてたのは当然のことであろう。

そして本日は、足の調子を確かめるように、お昼前に荻窪へ。「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)に飛び込むと、入口手前右脇に大判本棚が出現していたり、店内に上林曉群があったり、中央奥の棚に古書が多めに入っていたりと、ジワリと変化が巻き起こっている。色々眺めた後、中央手前壁棚の新書ゾーンから左にスライドして行き、今やミステリゾーンになりつつあるポケミス中心棚を注視する。平凡社の乱歩全集の裸本が550円か。などとちょっと食指を動かしながら下へ下へと視線を移す。すると本と棚板の隙間に横向きに突っ込まれた背文字の読み難い一冊にたどり着く。取り出してみると、かもめ書房「幻影の城主 随筆集/江戸川亂歩」であった。外装は無いが文字が色箔押しされた灰色の粗雑なクロス装で、安かったら買って行こうと思い、後見返しの値段札を見ると1100円である。いや、ところがなによりそれより、そこに『著者署名』と書かれているではないか。慌てて表の見返しを見ると、青のペンで筆圧強く、『著者』名での献呈署名が本当に入っているではないか!くぅおぉぉぉぉ、これが、大乱歩の直筆!それが、せ、せ、1100円!これを買わずして何とする!と頭に血を急激に上らせ、探偵小説の鬼を心中でを思うがままに踊らせ、即座に購入する。あ、あ、あ、ありがとう、「古書ワルツ荻窪店」!大乱歩の書いたものが、ふいっと手に入るなんて驚天動地の古本屋出来事!やはりこのお店は、引き続き定点観測せねばならぬ重要店であることを、物凄く再確認してしまう。
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2020年10月16日

10/16『探偵小説狂想曲』ダブルアンコール!

足の調子が少しずつ良くなっている気はするが、油断は禁物。今日も外出は午後イチに阿佐ヶ谷に出ただけで終わり。その帰り道、日射しは明るいが風は冷たい『旧中杉通り』をガックリガックリ歩いていると、当然「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)の前で立ち止まる。店頭棚に古い本が出ているな…四六書院「古今いかもの通/河原萬吉」と紫書房「黒ミサ異聞 淫夢女精の記/J・K・ユイスマン」を抜き出したところで天板上の隅に置かれた本にも視線を移すと、一番端にポプラ社「推理小説の読み方/中島河太郎」が潜んでいるのを発見する。箱ナシで線引きアリで後見返しの遊び紙が一枚無いが、これが110円なら安いものである。そしてこんな本が店頭に出ているのならば、店内にも異変が起こっているはず!そう確信して、まずは気持ちを落ち着け、手指消毒をしっかりしてから店内に進む。そして中央通路の目指す探偵小説棚前に立つと、並びに変化が生まれているのを即座に察知する。ついに『探偵小説狂想曲ダブルアンコール』(2020/08/19&09/06&09/19参照)の開幕である。香山滋「魔境原人」は売れちゃったのか…東方社の函入り横溝正史本が何冊か出現している。『由利・三津木探偵小説選』は食指がピクピクするなぁ…新潮社新作探偵小説全集「鐵鎖殺人事件/濱尾四郎」は函の天が欠損しているのが大変に惜しい!その代わり非常な安値となっている。おっつ、このちょっと背が傷んだ古い雑誌は…と引き出してみると、新潮社 昭和五年「文學時代11月 世界獵奇讀物全集号」であった。これは探偵小説魂が燃え上がる一冊である。「文學時代」は時々探偵小説関連を特集してくれたニクい文芸誌。それはこの時代に、探偵小説というジャンルが、勢いを持っていたことをも意味している。よもや『探偵小説狂想曲ダブルアンコール』で出会えるとは。これは『世界獵奇讀物全集号』となっているが、甲賀三郎『勇猛果敢の脱獄』横溝正史『ある女装冒険者の話』橋本五郎『貸家ノート』水谷準『白猫ユラ』佐左木俊郎『黒馬綺譚』などが掲載されており、かなり探偵小説的色合いが濃い。そして当然、世界の猟奇尖端風俗犯罪記事のオンパレード…エログロモダンナンセンスの颶風が顔にブワッと吹き当たり、しばし恍惚とする。先ほどの店頭本と合わせて計1910円で購入する。うぅ、幸せだ。お店の近所に住んでいるという地の利を生かし、こんなにも欲しい本を手に入れることが出来るなんて…。いずれトリプルアンコールもあったら、嬉しいなぁ。
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雑誌の後半には、短篇の翻訳探偵小説『バーネマウス事件/エドマンド・ビーアソン』と『アリバイ/トリスタン・ベルナール』が収録されているが、挿絵は両方とも竹中英太郎が担当し、豪勢にも六枚が掲載されている。
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2020年10月15日

10/15「一日」営業再開!

今日も安静にしていたいのだが、所用あって吉祥寺に出る。というわけでせっかく出たのなら、古本屋さんを見て行くに限る。と、まずはここしばらく休業していた「一日」(2017/08/11参照)へ。やった!予告通り営業再開している。だがガレージのパイプシャッターは相変わらず閉ざされているので、正式な入口から入店し、ギャラリーがホンマタカシ関連で埋められているのを横目に、ビニールカーテンを潜ってほぼ300均のガレージへ。新たな本たちが挿入されているのを肌で感じながら、奥の木箱をガサゴソ漁る。すると昭和十二年刊の大日本雄辯會講談社「少年倶楽部 第八號」附録の「痛快冒險事實物語 豪勇荒鷲艦長」という結構分厚い付録本を発見したので、さすが「一日」!と久々の買物を喜び、330円で購入する。
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この付録本、第一次大戦時に連合国から『海の魔王』と恐れられたドイツの伯爵フェリクス・フォン・ルックネル海軍大佐の冒険事實物語ではあるが、文・南洋一郎、画・松野一夫なのである。

その後は「よみた屋」(2014/08/29参照)にも立ち寄り、お馴染みの店頭百均棚から、初版の綺譚社「おともだち/高野文子」と小学館こども文庫 創作童話1「はさみが あるいた はなし/文・佐藤さとる 絵・村上勉」を抜き出し、計220円で購入する。黄金コンビの「はさみが あるいた はなし」は中綴じのペーパーバック。ハードカバーの絵本より残り難いこのタイプは、見つけたら確保しておくのが賢明である。
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2020年10月03日

10/3「藍書店」の小さな変化。

本日は千歳烏山の北の給田という街に流れ着く。さて、どうやって帰ろうか。千歳烏山駅までトボトボ歩き続けて、久しぶりの無人古本屋「イカシェ天国」(2008/09/23参照)を見に行くのもいいな…などと考えていたら、目の前に関東バスが停まる。おっ、高井戸駅経由の荻窪駅南口行きだ。ならばこれに乗ってしまえ!と、あっさり「イカシェ天国」計画を捨て去り、バスのシートにお尻を埋める。三十分弱で荻窪着。フェンスが続く線路際を離れ、商店街に入って昨日来たばかりの「竹中書店」(2009/01/13参照)へ。思潮社「ボードレールからシュールレアリスムまで/マルセル・レイモン」六法出版社「琥珀貴公子/塚本邦雄」を計400円で購入する。賑わう商店街から横道に入り、ちょっと久しぶりの「藍書店」(2018/12/24参照)へ。店内の様子が、なんだか少し変化している。入口横の安売棚は、文庫と新本が増えたようだ。そして奥へ進んで行くと、帳場前の小スペースから、新たにL字型に奥へと延びる、行き止まり通路が出現しているではないか。天井が一部少し低く、九本の棚が壁際に並んでいる。詩集や文学系が多いのが特徴か。そのゾーンの棚上に横向きに置かれていた、未来工房「歳月 結城昌治句集」を550円で購入する。この本、昭和二十四年の句から始まるのだが、この年、結城は清瀬の療養所に肺結核で入院しており、同時期の入院患者に石田波郷と福永武彦がいたとある(結城は五番室、石田は六番室、福永は八番室)。
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2020年09月13日

9/13油断ならない「竹中書店」。

本日は午後に芦花公園近くに流れ着いたので、関東バスに飛び乗り、環八を北上して荻窪へ。駅南口線路際の終点でバスを降り、フラフラと「竹中書店」(2009/01/23参照)へ。店頭の二冊100円ワゴンには、大量の映画&ミュージカルパンフが追加されているようだ。辛抱強く丁寧に、商店街を行き交うたくさんの人に背を向けて、薄手のアート紙冊子と曇り空の下で格闘する。ケイブルホーク「戦慄的サスペンス映画 フリッツ・ラング スペシャル「M」「マンハント」」をまずは確保。続いて東映「金田一耕助の冒険」を見つけたので計100円で購入する。「金田一耕助の冒険」は先日逝去した大林宣彦監督のナンセンス外伝的横溝映画。低予算ではあるが、わりと豪華なスタッフ&キャストが画面狭しと無闇に暴れ回る、映画業界のお祭り騒ぎ映画でもある。だが実は、角川文庫的探偵&推理小説お祭り騒ぎ映画の側面も持っているのだ。何たって、横溝正史先生が角川春樹からジュラルミンケース一杯の印税を貰ってほくそ笑むシーンがあるし、床屋の客として高木彬光が。またテレビ局のゲスト役で笹沢左保(凛々しいイケ面である)も顔を出しているのだ。同時上映は、村川透監督・松田優作主演のハードボイルド映画『蘇る金狼』(ただしクセの強過ぎる共演者たちが、よってたかって面白演技を展開しているので、優作が真面目にハードボイルドを演じれば演じるほど、周囲とのギャップが際立つ非常に楽しい映画となってしまっている)。ちなみにパンフ表4の『横溝正史フェア』の広告は、映画原作の文庫「金田一耕助の冒険1・2」とジュブナイル作品のみがラインナップされている。いやぁ、最近の「竹中書店」さんは、油断がならないなと感心しつつ、「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)へ。おぉっ、店内中ほど新書棚の横に、大量のポケミス棚が出現しているではないか。これは何か他にも動きがありそうだ…と察した矢先に、むぅ、新書棚にて古い新潮文庫「奇蹟の扉/大下宇陀兒」発見!多少疲れ気味だが、頑張って補強すれば、頼りになる手応えを取り戻してくれそうだ!と550円で購入する。
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2020年09月12日

9/12早稲田通りでちょっと結城昌治を。

雨が降ったり止んだりの中、所用あって下井草を訪れたので、やはりいつでも気になる元「芳林文庫」の前を戀に通りかかると…あぁっ、ついに店名木看板が無くなり(2018/02/09参照)、ここがマニアックなミステリ古本の供給源であったことは、もはや感じ取れない。だが中にはまだ、見たら涎が止まらなくなるような、探偵小説が渦巻いているのだろうな。相変わらずそんな愚かな妄想に囚われながら、トボトボ歩いてお家を目指す。途中『早稲田通り』沿いの小さな小さな『大鷲神社』にお参りして、「古本ブック流通センター」(2008/08/09参照)前で足を停める。視線を落としたのは漫画やノベルスの多い店頭ワゴンである。そのノベルの中に、一冊古めの本が混ざっている。文華新書138「狙った女 推理小説/結城昌治」である。こういうあまり見かけぬマイナー新書は、出会った時に買っておかなければ、次にいつ出会えるのかまったく予想がつかない。というわけで握り締めて店内に進むと、帳場には誰もいない。だがすぐに家の何処かからドタドタと動く音が聞こえ始め、しばらくすると、奥の引戸から奥さまが「お待たせしてすみません!」と姿を現した。いいえ、全然待ってないですよ。「あぁ、古い本ですね。拭きます拭きます」と丁寧にカバーを拭っていただき、百円で購入する。
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2020年09月04日

9/4探偵小説狂想曲はひとまず一段落。

朝から色々駆けずり回り、些事をこなす。午後もそんな調子で動き回り、荷物を持ってちょっと前を通りかかった「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)の店頭棚を見て息抜きしていると、店頭文庫棚補充のために店主・天野氏が姿を現したので挨拶を交わす。そして「夕方に、また本を売りに来ますね」と約束し、一旦お店から姿を消す。暑さが少しだけ収まり、西から迫る雲に太陽が隠れ気味で、妙に薄暗い午後四時過ぎに、バッグ一杯の古本を抱え持って、再びの「古書コンコ堂」。帳場の天野氏に本を預けたら、査定結果が出るまで店内をジリジリグルグル。おっ、お馴染みの探偵小説ゾーンに、微妙な変化アリ。香山滋の復刻版「怪龍島」と柳香書院「世界探偵名作全集5 陸橋殺人事件/ロナルド・ノックス作 井上良夫譯」(函ナシ)が出現している。すぐさま「陸橋殺人事件」を確保し、査定終了の声がかかるとともに530円で購入する。「いやぁ、ここ最近、売るにも買うにも大変お世話になってますなぁ。ありがとうございます」と言うと「せっかく来られるんで、少しだけ補充しておきました。でもさすがにそろそろネタが尽きかけていますが、ちょくちょくプレッシャーをかけてもらってよかったです。そうでなければ、あの探偵小説の山は、きっと何年も放置していたと思います」とのことであった。どうやら大きな塊はあらかた片付いたとのこと。でもまだ少し残っているらしいので、今後はゆっくりお店での出会いを待つことにいたします…というわけで楽しかった夢のような『探偵小説狂想曲』も一段落か。いや、それでもここ三ヶ月の日参するクセは、なかなか抜けずに、期待に胸躍らせて、店頭&店内を偵察してしまうのだろうな。
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柳香書院・世界探偵名作全集は全三十巻の出版予定だったが、何と六巻目で挫折。楽しみにしていた人たちをかなりがっかりさせたという。巻末の見開き自社広告がまた壮観である。こりゃ確かに、期待しちゃうよなぁ。
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2020年09月03日

9/3九月になって思うこと。

本日は武蔵小金井に流れ着いてしまったので、昨日同様突然の雨に傘を差しかけながら、あるひとつの情報を確かめに駅の北側に出る。……うぁっ!本当だ。「中央書房」(2009/03/11参照)隣りの焼き鳥屋が火事になり、別に焼け落ちてはいないのだが、「中央書房」も被害を免れなかった様子…まだ辺りに漂う焦げ臭い匂いを嗅ぎながら、長い間営業していると、本当に色んなことがあるのだなと実感する。
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そして噂では、「中央書房」さんはもうすでに新店舗の準備に動いているらしいとのこと。おぉ、新しいお店!怪我の功名と言うか、棚から牡丹餅と言うか、とにかくその素早い行く末が楽しみである。と言うわけで、何も古本を買わずに阿佐ヶ谷に舞い戻る。だが今日もいつものように古本は買っておきたいので、「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に滑り込む。麗しの探偵小説ゾーンには、新たに香山滋の「魔境原人」と「木乃伊の恋」が出現!相場よりかなりお安めだが、やはりそこは香山滋のオリジナル本。ちょっとおいそれと手は出ない。なので以前から狙っていて売れ残っている本で、古本心を慰撫することにする。平凡社「建設者/國枝史郎」(函ナシ)530円である。ちょっと傷んでいるが、これはいつものように、木工用ボンドでちょちょいのちょいするとして、「建設者」は昭和四年刊の、國枝初の現代物長編小説である。その内容は、赤裸々な自伝的浪漫小説!言わば己の東京出奔後を伝奇小説的に展開する斬新な小説。中一弥の上手過ぎる挿絵が、浪漫小説に艶やかな花を添えております。
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…そう言えば九月と言えば、本来ならまだ暑い秋の「みちくさ市」の季節。残念ながら今回もコロナ禍ということで中止が決まっております。いつも古本を買いに来てくれるみなさま、話しかけてくれるみなさま、お変わりありませんか?またいつの日か、この騒動が終息に向かったら、その時はいつものように選んだおかしな古本をたちを介して、楽しく愉快にお話しいたしましょう。
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2020年09月02日

9/2帯から『冒険コロボックル』を思い出す。

午後二時過ぎに東小金井に流れ着いたので、突然の豪雨に土砂降られながら、平面で直線的な住宅街を縫い縫い、新小金井の「尾花屋」(2017/06/15参照)へ。着いたところで、ちょうど雨が通り過ぎて行った。傘を畳んで店頭で一息。やはりこのお店での注目ポイントは、左側店頭の安売絵本棚だろう。店頭カゴは雨のために店内に引き入れられているようで、これは後で見ることにする。すると最下段で、佐藤さとるの大判絵童話があるのを発見する。講談社 児童文学創作シリーズ(幼年版)「タツオのしま/佐藤さとる・作 村上勉・絵」。名コンビの昭和46年の作品である。これは47年の第2刷だが、帯が付いているのが素晴らしい。子供のために買われた児童文学や絵本で、帯が生き残る確率は、かなりの低さであろう。箱やカバーさえ、子供たちの激しい活動には、耐えられないのだ。華奢な帯なんて、すぐさまビリビリグシャグシャに。というわけで四十八年前の帯が残っているのを祝福して店内へ。ややや、いつの間にか中央に洋服掛けが出現し、洋服が売られている。こりゃいったいどうしたことだ。と驚きながら棚やカゴを見ていると、短時間に三人のお客さんが訪れ、みな本を買って行った…「尾花屋」さんが、すっかり地元に定着している様を目にしながら、「タツオのしま」を300円で購入する。佐藤さとる作品は、その人気のせいか、後年に様々なタイプの全集や作品集や選集などにまとめられていることが多いのだが、やはり出版当時のオリジナルが一番魅力的である(全集では「タツオの島」と漢字になっている)。

家に帰り、絵童話なのでスパッと楽しく読了し、唯一ある棚(一段だけだが)児童文学棚に挿そうとしたところで、おっ!これもそう言えば帯がちゃんと付いていたな、と気付く。講談社「コロボックル物語1 だれも知らない小さな国/佐藤さとる」である。もはや新版なので絵は若菜珪ではなく、村上勉にバトンタッチしてからの本である。しかも昭和48年の第十四刷と別にめずらしくもないのだが、当時コロボックル物語を原作としたテレビアニメ『冒険コロボックル』の宣伝帯が巻かれているのだ。このアニメ、うっすら見てた覚えがあるなぁ。せいたかさんは原作と同じだが、コロボックルはボックル・クスクス・ラブラブという、わかりやすく現代的な名前になっていた。帯の惹句『「冒険コロボックル」の名原作』『いま、日本じゅうのテレビで大評判の「冒険コロボックル」その香り高い原作です!!』が泣かせてくれる。
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2020年08月29日

8/29「おへそ書房」は明日から開店予定!

凶悪に気温が上がり始めた午後に、武蔵境の南に流れ着く。砂漠を歩くような心持ちでアスファルトの上をズリズリ進み、中央線高架を潜って久々の「浩仁堂」(2011/02/15参照)へ。激安本の並ぶ店頭&小さな店内を一巡し、中央公論社「悪魔のいる天国/星新一」を買おうとすると、少し傷んでいるので、200円を100円にしていただく。ありがとうございます!外に出て、さらに気温が上がったのを実感しながら、「おへそ書房」(2019/07/28参照)にも足を延ばしてみる…あれ、閉まってるぞ。シャッターの貼紙を見てみると、何と店主が怪我をされたそうで、しばらく休業中だったらしい。だが、その貼紙の下に新たな貼紙が出現しており、明日8/30(日)から営業を再開する予定らしい。お店には入れなかったが、何はともあれよかったよかった。そして阿佐ヶ谷に戻り。「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)を偵察。元々社のSF全集が新たに出現しているな…ややっ!「虚無への供物」が売れてしまっているな…安かったもんなぁ…買っとくべきだったかなぁ…まぁいいや。まだ狙っている本は売れずに残っている。まだまだ売れそうにないが、そろそろ買っておいた方がいいかな…などと探偵小説棚の前で腕組みして思案する。…まるっきりの阿呆ですが、こんなこともまた、楽しいものなのです。

そういえばここで買った春秋社「山峡の夜/ジヨルヂユ・シメノン」を早々に読了。表題作の『山峡の夜』はアルザスのホテルで起こる盗難事件をきっかけに、宿泊客・地元民・警察・ホテル&旅館経営者&従業員が、国際的詐欺師の影に苛まされるお話。何と主要登場人物全員が、なんやかんやと片がつくのだが、決して◯◯にはならない、激シブで切な過ぎるな終わり方。思わず『ハチミツとクローバー』か!と突っ込んでしまったが、シメノンの素晴らしさを改めて認識する。併録の『北氷洋逃避行』ハンブルクから出航し、ノルウェーの淋しい港を伝って行く船の中で殺人事件が起こるお話。唇が紫になりそうなほどの、極寒旅情が全編に吹き荒れている…。
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これはデザイン的に素晴らし過ぎる扉。いよっ、探偵小説デザイン千両役者、吉田貫三郎!
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2020年08月28日

8/28お帰りなさい「アカシヤ書店」!

午後にテクテク歩いて取材を一本。そのままの足で西武池袋線に乗り込み、「アカシヤ書店」(2008/12/17参照)の消息を尋ねてみることにする。前回訪問時は、まだ休業中の様子だったので(2020/06/29参照)、その行く末がとても気になって気になってしょうがないのだ(お店のツイッターも休業宣言のまま更新されていないのだ)。なのであまり期待せずに、保谷駅南口に出て歩道の極狭な交通量の激しい道路を伝い、お店のあるビルへ…あぁ、やってる!やった!…と思わず本当に叫んでしまう。
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しかし恥ずかしさより嬉しさが断然強く、早足で店頭棚に向かう。店頭台は大量の「サザエさん」と中国の孫悟空漫画で埋め尽くされている。期待の店頭百均棚は、ちゃんと入替補充が行われているようで、何が出て来るかワクワクしながら、一冊一冊の背に視線を注ぐ。六列見終わった時点で、腕の中には五冊の本が抱かれていた。店内に進み、一応入口前の大量横積み古書ゾーンもチェックする。ガサゴソガサゴソ嬉しいな!楽しいな!久しぶりだな!名曲堂「アメリカ映画/双葉十三郎」太平社「隨筆 この一球/福田雅之助」(大正時代にアメリカにテニス留学した選手のテニス随筆集である)毎日新聞社「マンガ亡国/藤島宇策」(カバーナシ)大日本雄弁會講談社 日本小説新書「小泉八雲/岡戸武平」ダヴィッド社「ぶっつけ本番 ニュース映画の男たち/水野肇・小笠原基生」を計550円で購入する。「アカシヤ書店」よ、お帰りなさい!また以前のように定期的に通うことを、ここに誓います!
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小酒井不木の弟子岡戸武平と、映画にもなったニュースカメラマンの縦横微塵な活動を活写した「ぶっつけ本番」が嬉しい。
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2020年08月22日

8/22やはり日参「コンコ堂」!

午後三時前に、都市の周縁に積乱雲がニョキニョキ湧き上がっているのを遠望しながら、南荻窪に流れ着く。徒歩で家路をたどりつつ、「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)に立ち寄る。どの通路にも棚前にも人が立つような、かなりの賑わいを見せている。店内BGMは何故か北野武監督の映画『ソナチネ』のサントラがエンドレスでかけられている。なので当然沖縄気分…もはや「古書ソナチネ」と言った感じである。そんな下らぬ思いに囚われながら、宝石社「別冊宝石 日本推理小説自選代表作集 1962.2」を330円で購入する。大乱歩の紫綬褒章受章記念号で、小説以外にも乱歩に関するエッセイや座談会が収められている。大河内常平の『うつし世は夢』は、飲み会をハシゴしながら、様々な人に乱歩が色紙を求められる話。大河内自身も、所持する愛刀に『うつし世はゆめ 夜の夢こそまこと』と鞘書き(白鞘の側面に書かれる)と書いてもらい、大河内家の重要文化財に指定したとのこと…おぉ、紡ぎ出す物語と同じく素敵にクレイジー!植草甚一の『ミアンダリング』は、乱歩を相談役として田村隆一とともにハヤカワポケミスを始動させる話。そのポケミスの元となる原書を漁る古本屋として、六本木「誠志堂」と福吉町(赤坂)「河野」が挙げられている。

そして阿佐ヶ谷に帰り着き、今日も当然「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)を覗き込む。店頭では民友社「外交奇譚/蘆花生講演」という明治本を発見。当時の外交に関する面白話を集めた本を小説的に翻訳したものらしい。怪談なども入っているので、これは面白そうだ!と出会いを喜ぶ。店内では、もちろん探偵小説棚前に馬鹿みたいに屹立し、『おんどりみすてりい』や『ぶらっく選書』に混ざって、汎書房「Gストリング殺人事件/ジプシー・ローズ・リー 黒沼健訳」(裏表紙に紙テープ補修アリ。ジプシー・ローズは有名なストリッパー。そんな彼女が書いたこのバーレスク界を舞台にした探偵小説は、ベストセラーに。あとがきに二作目「お母さんが死骸を発見する」を執筆中とある。口絵にはタイプライターを叩いて執筆中の写真も。ただし代作説あり)が並んでいるのに気付いたので、先ほどの一冊とともに計640円で購入する。あまり毎日来て買って行くので、店主の天野氏が「なるべく品出しがんばります」とポツリ。いや、もうこうなったら、徹底的に買いますよ。全然読むのが間に合ってないけど、買いますよ!
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2020年08月13日

8/13「千章堂書店」が営業再開していた。

昨日は午後に井草に流れ着いたので、ちょっと線路伝いに西に歩いて「井草ワニ園」(2019/01/05参照)へ。あかね書房「けんはへっちゃら/谷川俊太郎・和田誠」を900円で購入する。店主と「外は雨降ってますか?」「まだです。でも恐ろしく黒い雲が近付いて、雷が鳴り始めています」などと話したそばから表に出ると、あっという間に土砂降りに。仕方なくマンションの軒先で、激しい水しぶきを呆然と眺めながら、三十分ほど雨宿りする…。「けんはへっちゃら」は六十年代出版の新装版だが、中身はそのままアーリー和田誠なので、すこぶる尖ってグラフィック的に洗練された絵本なのである。団地に住む少年の、現代的わらしべ長者物語なのだが、その過程で登場する拳銃『コルト・スナブノーズ・リボルバー。三二こうけい・六れんぱつ、ながさ一七センチ、おもさ五九五グラム』に目を奪われる。独特な機能美を、存分に顕在化させている、グラフィカルなイラストなのである。手元にある同時代の拳銃本、大藪春彦「世界拳銃百科」矢野庄介「拳銃図鑑」に当たってみると、スペックの詳細や図柄からして、どうやら宝石社の「拳銃図鑑」を参考にしている節がある。当時のGUNブームは絵本にも及んでいたのか。
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そして本日は所用を片付けて阿佐ヶ谷に戻ると、「千章堂書店」(2009/12/29参照)が豪雨ダメージから復活し、しれっと営業再開中であった。店内は巧みに修復され、何がどう変わったのかまったく見当がつかない…何はともあれ、阿佐ヶ谷古本屋事情がこれで安定した。そう喜んで、河出文庫「薔薇の供物/中井英夫」を150円で購入する。お店を出たところで、今日は定休日の「ネオ書房」(2019/08/11参照)の切通ご夫妻とバッタリ遭遇したので、慌ててご挨拶する。
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posted by tokusan at 16:19| Comment(0) | 古本屋消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする