2019年09月17日

9/17さらば「穂高書房」!

ヒドい残暑にブツクサ言いながら、まずは古本を抱えて西荻窪へ。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)の「フォニャルフ」棚にザクザクと補充する。飛鳥部勝則の良いところを並べて来ましたので、目がキラリと輝いた方はぜひ。忙しい店主・小野氏と少しお話しをし、その忙しさのひとつである、横田順彌追悼展「ヨコジュンのびっくりハウス」の案内ハガキをいただく。若き日の横田さんの写真は、神保町の一角で撮られたものである。十月に横田さんが、神保町に帰って来る!
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そして阿佐ヶ谷に戻り、いきなりの店主の訃報に驚いた「穂高書房」(2009/02/15参照)の様子を見に行く。…やはりお店は開いていない。おまけにこの間の強風台風のせいか、お店のシンボルであった灰色のブリキ看板が剥がされ、壁沿いに横たわっている。ここでは、小さな店内の古本山脈を構成する専門の山岳書というよりは、店頭に安く出されていた、門外の古本をよく買わせてもらった。基本的には凪いでいるのだが、その凪ぎの中に微かな動きを見出すように足繁く通い、地元民として大いに楽しませてもらった。暑くなると、ビル横手の鉄扉を開け放し、上半身裸で古本と静かに格闘していた、横向きのオヤジさんの崇高な姿も忘れ難い(見るたびに、分かっているのに、一瞬ギョッとしてしまうのだ)。ここが開くことは、もうないのか。うぅ、安らかにお眠り…いや、どうか、どれでも好きな山に登りまくって下さい。今まで阿佐ヶ谷の古本文化の一角を支えていただき、本当にありがとうございました。
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家に帰り、ダンボール一箱分の古本を大阪に送り出す。しばらくしたら「梅田蔦屋書店」の古本壁にツラツラ並び始めると思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。
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2019年09月10日

9/10青春18きっぷ古本屋への旅2019・夏

古本神・岡崎武志氏に誘われ、『青春18きっぷ』の残り一枠をいただき、一緒に古本屋を訪ね回る小さな旅に出ることにする。言わば去年出版した「青春18きっぷ古本屋への旅」の外伝といったところか。ところが朝、出かける準備を進めていると、氏から着信が入る。「おはようございます!」と元気よく挨拶すると、氏は笑いながら「財布が見つからんのよ」と衝撃の報告!とにかく今必死に探しているので、見つかったらまた電話する、ということになる。あぁ、岡崎氏は、必死に地下の古本山を掘り返したりしながら、その周りを二匹の猫が「ナニシテルンデスカ。ナニシテルンデスカ」と鳴きながらじゃれついているんだろうなぁ…などと楽しく想像していると、再び電話があり、無事に財布が見つかったとの報告。それならばスケジュール通りに行動出来るはずだ!と、氏と午前九時二十分に阿佐ヶ谷駅で待ち合わせる。18きっぷにすでに捺された氏の分のハンコに加え、私の分を改めて捺してもらい、二人連なり有人改札を抜ける。中央線→湘南新宿ライン→両毛線と順調に進むはずが、湘南新宿ラインが遅れ、両毛線への乗り継ぎが上手くいかず、一時間ほど足止めを食らう。仕方ないので炎天下の街を少しだけ散策し、駅で昼食を摂り、ようやく両毛線に乗り込み、十分ほどで栃木駅着。高架下の駐輪場でまずはレンタサイクルを借り、駅前ロータリーの山本有三碑に挨拶。
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その後、駅近くのハンコ屋+古本屋の変わり種「長谷川枕山堂」(2011/03/02参照)に向かう。その激渋な佇まいは昔と変わらず、巨大なブリキ看板も健在。今でも果たして古本を売っているだろうか…と恐る恐るドアのガラスを透して店内の様子をうかがうと、おぉっ!まだちゃんと古本棚が並んでいるじゃないか!岡崎氏に「古本、売ってますよ」と報告すると、すぐさまドアを開けて入店してしまった。続いてスルリと滑り込むと、入ったところはハンコ屋スペースだが、右側に古本棚が見え、奥の二本の通路も古本が並んでいるのである。岡崎氏が、入店と同時にハンコ屋スペースのレジに座る店主に、このお店について、さり気なく色々な質問を投げ掛けて行く(これが非常にうまいのである)。たちまち店主とお客の垣根が楽しく取り払われて行き、自然と「今日はどうしここに?」の質問に行き着いてしまった。そして話には参加せずに、ひたすら古本を眺めていた私を氏が紹介したので、「古本屋ツアー・イン・ジャパン」ですと遅まきながら挨拶をする。実はこのお店をブログで取り上げた時に、店主といくらかのやり取りがあり、すでに交流を持っていたのである。店主は取り上げてくれたおかげで、お店の知名度が上がったことを盛大に感謝してくれ、大いに恐縮してしまう。こちらも改めて、今でもしっかり古本を扱われていることを感謝したりしながら、並んでいる本の核となっている世界関係の本は、世界史の教師であったお父様の蔵書であることを知る。なるほど、そうだったのか。そして奥の片隅にしっかり健在の推理小説コーナー前に跪くと、一冊の素晴らしい本を発見する。むぅ、今日はここに来て、本当に良かったぞ。ついでに時々サロンとして開放する二階のスペースも見せていただくと、美術全集や大判全集とともに、ハヤカワポケミスやクリスティーが多く並んでいるのが目に留まった。推理小説もまたお父様の好きなジャンルで、まだまだ自宅には色々あると聞いてしまったので、ぜひともお店に並べて下さいと、強くお願いしておく。これは二階から見た、巨大看板の裏側!
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その後、店主のお母様も現れ、来栃を大いに歓迎される。挙げ句、本の普及活動をこの地でされている知り合いや、「吉本書店」(2010/12/25参照)に「あの、今、古本屋ジャパンさんともうひとりの方が来ていてね、挨拶したいって言ってるの」などと慌てながら電話を掛けられ、次々に会う仕儀となる。…お母様はとてもパワフルである。栄光出版社「長編推理小説 死者の木霊/内田康夫」を500円で購入する。というわけで三人で自転車に乗り、炎天下の栃木の街を疾走して行く…お母様のスピードはとても早い。
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最初に向かったのは近所の市民活動推進センターで働き、そこで本に関する活動を展開している「読み書き堂」さんにお会いする。お仕事中にお邪魔してしまった形だが、岡崎氏との対面を喜んでいただき、ホッと胸を撫で下ろす。様々な活動のパネルを眺めながら、話の中に「駄々猫さん」「脳天松さん」「レインボーブックス」さんなど、一箱猛者たちの名前が挙がり、驚いてしまう。これからも本を武器に、頑張って下さい!再び街に出て三人で自転車を疾駆させ、「吉本書店」へ。
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ずいぶん中心部から離れた住宅街なのに、今日もしっかり営業中である。九十を越えた店番のお母様や、倉庫からわざわざ駆け付けてくれた姉妹店主のお一人と、お店の来歴や古本屋についての昨今や、猫の話に花を咲かせる。三一書房「デザインの発見/粟津潔」を300円で購入する。お店を後にして、「ここからは巴波川沿いに帰っていただきたい」との提案に従い、軽やかに自転車を走らせる。走りながら、お母様は色々とガイドしてくれるのだが、距離があり、風と前を向いて声を出しているので、良くは聞き取れない。「栃木高校です」「新しい幼稚園です」「市役所跡地です」「この旧庁舎は文学館になります」「駐車場です」「お壕です」「鯉です」「遊覧船です」「一方通行です」「鯉です」……あ、あ、ありがとうございます!などとやっていると、あっという間に二時間経ってしまった。「家はこっちなんです」と駅近くでお世話になったお母様と別れ、レンタサイクルを規定時間内に返却する。ふぅ、と駅のホームで一息入れる。
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岡崎氏は、リポビタンDでエネルギーチャージ!

ところがこの後乗り込んだ電車は、何と下りの高崎行き…途中でそれに気付き、佐野駅で下り電車を乗り捨て、引き返すことにする。待ち時間は四十分余り。もはや街を散策する余裕もなく、駅前の噴水前で、二人でガリガリ君をガリガリ齧り、涼をとる。ついでに本日の嬉しい獲物を噴水前で記念撮影。
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この内田康夫の処女作は文庫でも読めるのだが、栄光出版社の単行本は自費出版でなかなかに珍しいのである。枕山堂さん、ありがとうございます!

帰りの車中、気付けば茶色い電気機関車に牽かれた特別急行列車カシオペアが、銀色の車体を夕陽に光らせ、スルスルとスピードを上げながら車窓を長く横切って行く。何という美しい、夢のような光景。こんな風にして、栃木への短い旅は、美しく終わりを告げたのであった。
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2019年08月31日

8/31北原さん、案件です!

午後イチに上荻に流れ着いたので、夏に戻り始めた街から逃れるようにして「古書西荻モンガ堂」(2012/09/15参照)へ。珍しくご婦人二人の先客あり。ソワソワしているハーフパンツのモンガさんを見て微笑みながら、店内をジリジリと一周する。無事にご婦人客が古本をお買い上げになった後、『若い人がやっている古本屋さんと年配の人がやっている古本屋さんの違い』『中央線の新古本屋さん、「おへそ書房」(2019/07/28参照)「BOOK MANSION」(2019/07/17参照)「りんてん舎」(2019/03/30参照)「ネオ書房」(2019/08/11参照)』『一億五千万円の詩集』などについて、狭い通路で熱く語らう。そして今日の値切り買いは、長らく動かずに棚下に残っている講談社「少年少女科学冒険全集」の中から、「ぼくらの宇宙旅行/原田三夫」(貸本仕様)を千円で購入する。モンガさん、いつもありがとう!
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そして十二月に、かわじもとたかさんの企画で開催される店内展示『個人名のついた研究会会誌の世界展』のちらしをいただく。かわじさんが集めた240誌や、賛同者が提供する研究誌(上林暁・太宰治・宮澤賢治・木山捷平・山口瞳・草野心平・井伏鱒二…etcetcetcetcetcetcetcetc!)を展示し、販売もされるとのこと。まだ展示は三ヶ月も先なのに、すでにレジ周りに山を成し始めている…。その後は駅までも戻るのがめんどくさいので、結局ダラダラと住宅街を伝い、阿佐ケ谷まで徒歩で帰り着く…良く考えたら、こっちの方が遥かにめんどくさいはずだ…。しかし真っ直ぐ家には帰らずに、歩いている途中にふと思い出したあるギャラリーに寄ることにする。それは三日前の夜のこと。「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)でサンコミックス「仮面ライダー3巻/石森章太郎」を103円で購入すると、驚くことに店主の天野氏から北原案件(ホームズ研究家の氏が常に探し求めている未知のホームズ関連創作物の情報)をタレ込まれたのである。『中杉通り』にある小さなギャラリー『VOID』で、イラストレーター・木内達朗の個展が行われているのだが、左壁は装画や広告画などのポップな色合いの作品が陳列されているのだが、右壁は一面シャーロック・ホームズのシックな油絵とドローイング・ペインティングで覆われているのだと言う。…まさか…と疑問に思いながらギャラリーのガラス扉を潜ると、うわっ!ホントだ!右壁の80枚ほどの絵は、シャーロック・ホームズばかりじゃないか。それにしてもこれは何のための絵なのだろう?かなり挿絵っぽいが…と疑問を持つと、フロア真ん中にある木のベンチに置かれた小冊子が目に留まる。1995年の「NHK英会話」のテキストである。なるほど!ここでテキストとして取り上げられているのがホームズで、そのための番組用イラストに描いたものなのか。うぅむ、完全なるどっしりとした北原案件だ。絵はすべて二万〜五万で販売されている。案件ハンターとして、早速北原氏に報告しなければ…と急ぎ足で帰る途中、「J-house」(2015/12/26参照)の土日市プラ箱の中をついつい覗き込んでしまい、近代映画社「スクリーン一月号増刊 キングコング大特集号」を108円で購入する。
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これが重厚な案件ホームズ壁!(撮影可)
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2019年08月16日

8/16横田氏の文庫から北原案件が出現する。

今日もダラダラだらしなく過ごすはずだったのが、古本の山の片付けに早朝から着手してしまい、様々な不要本が手元に積み上がる。風はまだ強いが、気温が上がり始めた午後に、古本をバッグに詰めてカートに括り付け、ゴロゴロと「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)へ向かう。帳場にスックと立つ天野氏に、バッグ二つ分の買取査定をお願いし、しばし店内で結果を待つ。十五分ほど古本棚を楽しく眺めて過ごし(映画棚に欲しい本一冊あり。今度買おう)、「お待たせしました」と声がかかり交渉成立。いつもありがとうございます。外に出て空のカート引き摺り始めると、これじゃあ遠くには行けないなと、すぐ近くの「ネオ書房」(2019/08/11参照)に飛び込んでしまう。棚の様子はこの一週間弱でだいぶ変わり、本が入れ替わって詰まり、工夫したディスプレイも増え始めている。それに値付がだいぶ進んでいるようだ。気になる本を次々手にしながら、結局今日は文庫本を二冊選ぶ。新潮文庫「SF映画の冒険/石上三登志」集英社文庫「日本SFこてん古典〔1〕宇宙への夢/横田順彌」を計1350円で購入する。いつもいただいていた、お店のマスコット犬が描かれた栞は枚数限定だったようで、今回は店名ハンコが捺された名刺大の紙片を本に挟み込んでいただく。そしてこの横田順彌氏の文庫「日本SFこてん古典」であるが、中にオリジナルの集英社文庫の栞が挟み残されており、何とそれがホームズ姿の都筑道夫を描いた、立派な北原案件(ホームズ研究家である北原尚彦氏が、日々追い求めるシャーロック・ホームズに関する創作物。イラストに関して認定されるには、ディアストーカー・拡大鏡・パイプ・インバネスの要素を二つ三つ満たすことが必要)だったのである。おぉ!北原氏のお師匠さんである横田順彌氏の文庫から案件が出現するとは(しかもモデルが都筑道夫!)!勇んでガラガラ家に戻り、北原氏に案件報告メールを送ると、『ああ、この絵は見覚えが……と思ったら、「日本SFこてん古典〔1〕」と同時発売の「名探偵が八人」の表紙だと思います』と返信があり、早速氏が書庫の、当時出ると同時に買った「日本SFこてん古典」を確認すると、栞は残念ながら挟まっていないことが判明。よって未所持の案件と認定され、この栞が氏の元に嫁ぐことに決まったのである。いやぁ、これは、めでたいめでたいと新発見を言祝ぎ、これからも“北原案件”に心を砕いて行こうと、ついつい硬く硬く誓ってしまうのであった。
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2019年08月08日

8/8当然のように「りんてん舎」に足を向ける。

午後に三鷹に流れ着いたので、自然と足が六日前に訪れたばかりの「りんてん舎」(2019/03/30参照)に向いてしまう。探偵推理大衆小説棚の動きが気になるのと、もしかしたら別の「きりんの本」(すっかり読了。本当に面白く刺激的な本で会った)が店頭に出ていたり、もしくは詩の棚に並んでいるかもしれない、と目論んでの行動である。しばらく歩いて信号前のお店にたどり着き、店頭箱や棚の中を丁寧に覗いて行く…だが「きりんの本」はナシ。代わりに函&カバーナシだが、平凡社「新進傑作小説全集12 瀧井孝作集 牧野信一集」を見つける。店頭に牧野信一が転がっているのは放っておけないので、買って行くことにする。口絵写真の思い詰めたような顔が、たまらんです!店内に入り、まずは特設の探偵推理大衆小説棚を見る。最上段が一段分消えているが、それだけ動きがあったということだろうか。前は見なかった(もしくは興奮し過ぎて前回は目に入らなかったか?)ノベルス系が増えているように感じる。おぉ、鮎川哲也の「白の恐怖」は、ちゃんと月報入りじゃないか。などとやりながら、全体に目を通した後、右奥の詩歌棚を精査する…だが、残念ながら「きりんの本」は並んでいない…あれ一冊だったのか…。早々に諦めて探偵推理大衆小説棚に舞い戻り、お値段の優しい文藝春秋新社「死刑台へどうぞ/飛鳥高」を抜き取り、計1188円で購入する。まだ欲しい本が何冊もあるので、恐らくまた買いに来ることになるであろう…。
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2019年08月04日

8/4下北沢で失敗する。

池の上の谷底にお昼過ぎに流れ着き、炎熱のために青色吐息。だがユラユラと西に進路を採り、「由縁堂」(2008/09/02参照)前に着けば店休日。めげずにさらに西の谷に下って下北沢『茶沢通り』へ。「古書ビビビ」(2009/10/05参照)の涼しく薄暗い店内に逃げ込み、ようやく生きた心地を取り戻す。そうだ、「マニタ書房」(2019/03/29参照)の棚は何処に…と店内を探索すると、帳場横の棚の最上段にマニタ棚を発見。棚の一段が『マニタ書房』と書かれたテープで縁取られ、いつかあのお店で見た本たちが、濃厚に特殊に肩を寄せ合っている。良く見ると『期間限定』とあるが『終了日は未定』ともある。何はともあれ、ここに「マニタ書房」の魂が一部移植されているのは良いことだ。そう思いつつ、店内中央辺りのコミック棚に、貸本漫画が大増殖しているのに引き込まれてしまう。そう言えば表の棚にも何冊か出ていたし、帳場下横にもダダッと並んでいる。最近たくさん仕入れたのだろうか。何か面白いものはないだろうか…と視線をせわしなく移動させていると、貸本漫画の隅っこに、ちょっと異質な一冊を見つける。薄手のハードカバーの講談社「なかよし」付録本である。「けっさく物語 まりのゆくえ なかよし十月号ふろく」…ビニール包装されているので中は見られないのだが、当然中身は少女漫画なのであろう。そしてタイトルが「まりのゆくえ」か…なんだかミステリーっぽいな…“まり”という名の女の子が行方不明になるのか、それとも大事な“鞠”が無くなってしまい探し出す話なのか…むぅ、どっちにしろ「まりのゆくえ」が気になってしかたない…というわけで思い切って千五百円で買うことにする。帰りの涼しい車中でビニールをひっちゃぶき、開いてみると『佐藤紅緑・原作』と大きく書かれていたので、この時点でミステリーではないことが分かってしまった。佐藤紅緑少女小説のコミカライズなのである。「まりのゆくえ」というのは、新しく学校に赴任して来た先生がする啓蒙話で、子供の時に妹と鞠遊びをしていると、ふとした瞬間に鞠が無くなってしまい、これがいくら探しても見つからない。そこに現れたおばあさんが、額に“鞠”という文字を三度書いて、三べん回って目を開けばすぐに見つかるよと実演し、たちまち鞠を見つけてしまう。つまりは『物を探すには足元からじっと気を落ち着けて探すものですよ。あなたたちは、焦ってせかせかしているから足元にある物も見えないのです』ということなのであった…ハイ、気をつけます…。
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ところで先日買った都筑道夫「燃えあがる人形」を読了したのだが、怪奇小説というよりは「幻魔大戦」や「エスパイ」のようなサイキック小説なので、意表を突かれてしまった。東京大空襲後の、関口・小日向・目白台・護国寺・大塚・江戸川橋などの狭い地域を舞台にしており、その描写がとにかく事細かく、思わず東京地図と首っ引きで楽しんでしまった。同じ日に買った「きりんの本 5・6ねん」(1959年刊)はまだ読んでいる最中だが、とにかく掲載作品の上手さと瑞々しさに舌を巻きっ放しである。日々の暮らしと生活に根付く、観察力と表現力がどれも半端なく上質で、いわゆる優等生的な作品や、掲載傾向を研究して書いた作品を超える文章が連続するのだ(当然そこには選者や編者の思いや干渉が存在しているのだが)。いやぁ、この素晴らしい詩や文章を書いた子供たち、今何をしているんだろう。とにかく読めば読むほど衝撃の連続なので、いつか『3・4ねん』と『1・2ねん』も読んでみたいものである。ちなみに本の元になった雑誌「きりん」は大阪の「尾崎書房」が発行していたので、掲載作品は関西弁でかかれているものが圧倒的に多い。だからなのか、作品の落ちが絶妙なツッコミで終わることが多く、それがとても新鮮で鮮烈な印象を齎している。まだ少しだけ「きりん」を齧っただけなのだが、すっかりぞっこんになってしまった。
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2019年08月02日

8/2「燃えあがる人形」!

「人間豹」にフハフハ興奮していると、古本神・森英俊氏より電子来信あり。なんと三鷹「りんてん舎」に、探偵小説・推理小説・大衆小説の特別棚が一本出現しているというのだ。タレコミに激しく感謝しつつ、それにしてもいつも情報が早いなと感心しつつ、本日炎熱など切り裂いて「りんてん舎」(2019/03/30参照)に泡を食って駆け付ける。その探偵&大衆徴候は、やはり店頭の棚にも顕現しているようだ。フムフムと楽しみながらも、結局は他ジャンルの本に嬉しいものを見つける。涼しい店内に進み、左端通路の通路棚を見て行くと、以前よりかなり充実して来ている。風俗関連や田中小実昌、喫茶喫煙趣味関連の古書…おぉ!確かに最奥の一本が、素晴らしい探偵推理大衆棚になっているじゃないか!喜ぶと同時にその質の高さにたちまち血が騒ぎ、上段から一冊一冊丁寧にチェックして行く、…確かに値段は安めでお手頃価格だ…うぅ、たくさん買ってしまいそう…それではイカンイカン。ここはしっかり自重して、安い本や本当に読みたい本を買うことにしよう…とかやってると、たちまい手の中に二冊が収まる。そしてしゃがみ込んで最下段を見ていると、うわぁ!都筑道夫のジュニア怪奇小説があるじゃないか!学校図書「パンドラの匣・創作選2 燃えあがる人形/都筑道夫」…新保博久教授の旧書庫で見かけてから、読みたくてしょうがなかった一冊である。値段を見ると800円なので、天にも舞い上がる気持ちで購入を決意する。他に理論社「きりんの本 5・6ねん/日本童詩研究会編」日本文芸社「催眠誘導法/小菅一男」(裸本)カッパノベルス「白いめまい」「白昼の曲がり角」ともに島内透、講談社「忍法月影抄/山田風太郎」を計1944円で購入する。りんてんさんは、やはり良いお店だ。そして我が古本メフィストフェレスにも大感謝。それにしてもまだまだ欲しい本読みたい本がたくさん…また買いに来ることとしよう。

家に帰り、大阪に三十冊弱の本を送り出す。早い者勝ちの良い本をポロポロ含ませていますので、数日後に「梅田蔦屋書店」古書コンシェルジュの手を経て、『4thラウンジ』の壁棚に並ぶのを、首を長くしてお待ち下さい。
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「燃えあがる人形」と、子どもの詩とつづり方の雑誌「きりん」から高学年の作品を収録した「きりんの本」。「きりんの本」の後見返しにはエンジ色の「中央書房」のラベルがあり、さらに『吉祥寺 大踏切横』とある。
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2019年07月06日

7/6梅雨のモンガ堂で卑しく笑う。

この一週間をとてもハードに乗り切った感じで、今日は松庵の南端に流れ着く。ここは吉祥寺と西荻窪の間…ならば脇目も振らずに一気に歩き通して、西荻北端にある「古書西荻 モンガ堂」(2012/09/15参照)を目指すことにしよう。そして値切って本を買うことにしよう【2018/03/31参照)。そうと決まればセカセカと高速の早足で住宅街の丘から谷を通り抜け、『青梅街道』まで到達してモンガ堂着。雨仕様かと思っていたら、表にはがっつり本が出されている…こjの量で、突然の雨降りに対応出来るのだろうか…?店内へ進むと珍しく先客さんがおり、早くも今年末の店内展示の打ち合わせなどしている…なんだかスゴいぞ、モンガ堂!何故か棚上に展示されている仁木悦子の文庫本を一渡り眺めてから、店内を散策。ほとんど変わっていないようだが、良く見るとついぞ見かけなかった本が、ひっそりと挿さっていたりするので油断がならない。まずは貸し棚の「幻影文庫」からmiki HOUSE「ももたろう/絵・湯村輝彦文・川崎洋」を。そして右端通路に分け入り、本棚と対峙していると、モンガさんがスルスルと近寄り「値引しますよ」と珍しく向こうから交渉を仕掛けて来た。「もちろんそのつもりです!」とすぐさま返し、俄然やる気が湧いて来る。するとモンガさんが「この真鍋博の「植物園」は持ってますか?」…持ってません。そして確かに欲しいです。だが、すでにさらに欲しい本を見つけてしまっていたのである。中央公論社「世界怪奇實話全集 第三篇 戦争とは何だ/牧逸馬」。1932年刊の、牧が欧米旅行中に拾って来た、怪奇な事件逸話集である。函が少し汚れ、本体は背にわずかな痛みがあるが、それでもなかなか美しい本である。おぉ、ドュッセルドルフの通り魔・ピイタア・ケルテルが跋扈する『街を陰る死翼』が載っている。見返しの金庫破りの七つ道具図版もすこぶる素敵だ。「モンガさん、こ、これをじゃあ安くして下さい!」とお願いすると、札の値段を二秒ほど見て「じゃあ四千円でどうですか」「ハイ、それで結構です」と瞬く間に交渉成立。モンガさんのおかげで欲しかった憧れの本が、相場より安く手に入りました。本当にありがとうございます!またしばらくしたら買いに来ますので、その時もぜひともよろしくお願いいたします。エへエヘエヘヘヘ………そんな風に喜びをダダ漏れにして卑しく笑いながら、お店を後にする。
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2019年07月02日

7/2「芳林文庫古書目録 探偵趣味」

今日は下高井戸南の松原に流れ着いたので、テクテク歩いて東松原まで移動し、「瀧堂」(2014/05/01参照)で新潮社「松本竣介とその友人たち/村上善男」を500円で購入する。夭折の洋画家・松本竣介を都会や有名画家を搦めての既存の論考ではなく、岩手・盛岡と東北の美術家や友人達を通し捉え直すルポルタージュである。帰りの車中でちょっと読み進めると、昭和十四年に竣介の絵の売却先が書かれているのだが、何とその中に吉行あぐりの美容室が含まれているではないか。昭和初期のあぐりの美容室と言えば、村山知義が設計したダダ建築!あの異様で斬新な船の艦橋のような建物に、松本竣介の絵が飾られいたなんて!二つの尖った才能が、ひとつの空間の中で共鳴し合っていたなんて!としばし想像を膨らませ、うっとりとする。

さて、話は変わり、最近ひょんなことから前から欲しかった「芳林文庫古書目録 探偵趣味」を、七冊手に入れることに成功した。私は今までほとんど「芳林文庫」(すでに閉店。2018/02/09参照)とは縁なく過ごして来て、本も一冊も購入したことはない。だから探偵小説に強いお店だと言うことも、最近までそれほど意識はしていなかった。だがツアーでは事務所店の前まで行ったことはあるが、怖じ気づいて入れず(2009/02/15参照)、神保町にあった「古書かんたんむ」(2011/12/31参照)で貸し棚の「芳林文庫」を見て涎を垂らしたくらいが、関の山なのである。それでも探偵小説好きとして日々暮していると、自然とお店の情報と接触する機会も増えて行くものである。例えば「盛林堂書房」(2012/01/06参照)では、店主・小野氏に虎の巻として使用している目録を良く見せてもらったり、また稀代のミステリアンソロジスト・日下三蔵氏の邸宅整理を進めていた時、不要の目録が何冊も出現したので「欲しかったら差し上げますよ」と言われ、その中に「芳林文庫古書目録(確か乱歩特集だった)」が一冊あったので、「じゃあこれいただいていいですか?」と氏に見せると「それはダメです」と即答されたり、本棚探偵・喜国雅彦氏に「芳林さんに本を買取してもらおうとダンボールに詰めて(それなりの本がちゃんと入っている)送ると、いつも電話で「喜国さん、開けてがっかりしたよ」と必ず怒られる」という面白話を聞いたり、はたまた盛林堂・小野氏が資料を受け取りに事務所店を訪れた折り、中には入れたが入口付近で「そこを動くなよ、本には触るなよ!」と厳命され直立不動で後に手を組み待機した話や、ミステリ評論家・新保博久氏旧邸の片付けのお礼としてやんわり強奪した日本公論社「紙魚殺人事件/バアナビイ・ロッス」が実は芳林さんで購入したものだったりと(教授、大事にしてます!)、遅ればせながらお店の魅力に触れることが多くなって行った。だから今回手に入れた七冊は、本格的に自分自身が「芳林文庫」の幻影と渡り合う、未知の世界への入口なのである。第十三号から終刊号となる第十九号までの後期七冊だが、やはり巻頭の特集がマニアックで微に入り過ぎ細に入り過ぎ重箱の隅突つき過ぎで、無類に面白い。『HPB』『小酒井不木』『内容見本・月報』『捕物帳』『児童書(高木彬光の児童書)』『へんな本』『終刊号(鮎川哲也について)』など、どの特集も勉強になるなる。おまけにこの特集を読んでしまうと、特集ページが終わった後に始まる目録掲載の本が、とっても欲しくなって来る魔法が盛大に掛けられているのだ。いやぁこれは、悪魔の目録ですな。だから、逆に知らなくても良かったのかもしれない。これじゃあ、お金がいくらあっても足りなくなるのは必至……いや、そんなのは、やっぱりただの負け惜しみなんだろうな。あぁ、買っていた人たちが、ただただ羨ましい〜〜〜〜っ!
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2019年06月29日

6/29「コンコ堂」は8周年!

日中雨に祟られながら関町に流れ着いたので、混み合うバスに乗って吉祥寺に出てから西荻窪へ。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に一直線に向かい、帳場で組版仕事中の小野氏に声を掛け、色々と打ち合わせる。すると「こんなもんでいいい?」と一冊の本を手渡される。つい四日前に修繕をお願いした、取材の過程でちょい安値で入手した、赤爐閣書房「殺人小説集/濱尾四郎」である。函ナシカバーナシで、綴じも傷んでいたからの安値であったが、小野氏に「読めるようにしてくれればいい」と修繕を依頼し、見事に復活。おぉ、いくら開いても大丈夫だ。良く見ると、脆弱だった背の下に新たに一枚和紙が挿入され、本の強度を高めている。
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ありがとうございましたっ!この本の入手の経緯については、次々号の「本の雑誌」連載『毎日でも通いたい古本屋さん』をお待ち下さい。

西荻窪を離脱して阿佐ヶ谷に戻り『旧中杉通り』を北へ遡上する。すると当然、半雨仕様の「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)店頭棚に惹き付けられる。ややややや、福音館書店「それ ほんとう?/松岡享子さく 長新太え」があるではないか。棚から引き出し、箱から本体を抜き出し、奥付を確認してみると、1973年の初版であった。ラッキーである!と喜びながら上のガラス窓まで視線を上げると、『コンコ堂8周年!!』というタイトルの貼紙があり、6/28〜7/28の期間に二千円以上古本を買うと、記念手拭がプレゼントされると書かれている。おぉ、毎年恒例の記念品プレゼント!八百円で手拭は購入出来るようだが、ここはやはり古本を買ってお祝いしつつ、記念品を入手しなければ!…あと千九百円分か…。店内に進み、『そう言えば棚の隙間に二千円の「新青年」があったはずだが…くわぁ、売れてしまっている!』などとやりながら、店内をグルグル。最初に入口右横のお薦め最近刊本コーナーで、講談社「 大伴昌司〈未刊行〉作品集 大伴昌司エッセンシャル/紀田順一郎」を見つけ、これが千百三十三円…あと八百円か…とさらに店内をウロウロ。映画棚で中央社「私の二十年/長谷川一夫」を手にすると、これが千三十円。少し二千円をオーバーするが、まぁいいかと帳場に持ち込む。奥さまに「いつもありがとうございます」と煌めく笑顔とともに精算していただき、記念手拭も無事入手する。8周年、おめでとうございます!そしてさらにこれからも阿佐ヶ谷の古本文化の一翼を、何とぞ何とぞ何とぞ担い続けて下さいませ!
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2019年06月20日

6/20どうなるの?えほんやるすばんばんするかいしゃ!

午後一時の『ラピュタ阿佐ヶ谷』に、『添えもの映画百花繚乱SPパラダイス2019』特集の一本、『怪談一つ目地蔵』を観に行く。1959年公開の東映お盆用おばけ映画で、上映時間は六十六分。あぁ、面白かった。主演・若山富三郎の軽薄な御家人っぷりも良いし、後半の呪いまくり祟りまくりの展開も凄まじい。怨霊が遠慮呵責なく出現し、因縁ある人たちが工夫を凝らした仕掛けと演出で死んで行く…むむ、まるで旧『サスペリア』のようだ。人を不安にさせる特殊撮影もふんだんに使われ、狂乱して刀を振り回すトミーの後で江戸の街がぐるんぐるんと回転する演出は、まるでヒチコック映画を観ているよう。世の中には、まだまだ色んな映画があるもんだ。次はまたもや怪談映画の『執念の蛇』と『青蛇風呂』を観に来よう。そんな映画館の暗闇を飛び出し、中央総武線の高架下を伝って高円寺へ向かう。「えほんやるすばんばんするかいしゃ」(2014/09/11参照)が6/25(火)まで、『2階おしまい改装セール』を行っているので偵察に向かう。どうやら2階から1階のギャラリーにお店を移すらしいのだが…。高架下から離脱し、横路地の店前に到着すると、階段横にはロシア児童本や絵本や「かがくのとも」「こどものとも」の箱が出されている。一階窓ガラスの貼紙を見ると、『3冊…3割引 5冊…5割引』となっている。どうやら複数冊買わないと、セール対象にはならないらしい。二階への狭く急峻な赤い階段をミシギシ上がり、絵本と児童文学が集まる小宇宙をしばし楽しむ。この二階での買物も最後となるので、何か記念になるものを…と悩んで選んだのが、中央の箱に集まる、またもやの「かがくのとも」「こどものとも」。横長縦長中綴じ冊子を丁寧に繰り、欲しかった一冊を見つけ出す。福音館書店こどものとも282号「よるのびょういん/谷川俊太郎作 長野重一写真」。名作写真絵本の1979年オリジナル版である!1800円で購入しながら、店主さんに「お店、一階に移るんですか?」と聞いてみると、「いや〜、まあ、そういえばそうなんですけど…」と、大いに悩みながら、言葉を選び選び話し始める。それは、ただ一階に古本屋を移すということではなく、古本との、現在の安心し切った“なぁなぁ”とも言える関係を、古本が大好きだからこそ正すために、一階の改装はほとんどタッチせず人に任せ、在庫も倉庫の本をドシドシ出して、十年もやって慣れ切った古本屋稼業に刺激を与え、何か化学反応を起こしたい…というようなことを、ポツポツと教えてくれた。だから現在は、まだ一階がどうなるか、まったく分からないそうである。つまりは、環境をリセットし、自分にはなるべく未知のベールを被せ、新たに生まれる新鮮さを困難も含めて楽しんで行きたい…と言ったところだろうか。まぁ店主がうまく説明出来ないのを、そう簡単に理解出来るはずもないわけだが、相変わらず愉快で素敵な方であることに変わりはない。所詮我々お客に出来るのは、一階の新奇なお店を、出来上がり次第ただ楽しむのみなのである。嬉しい「よるのびょういん」初版を手にして、最後の急階段を下りようとすると、見事に階段うえの梁におでこをゴチンとぶつけてしまう。うぅ、小さな星が目の前に散った。
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2019年06月05日

6/5保谷で小村雪岱を!

今月中旬の「みちくさ市」出店に備えて、朝から家内各所にある古本山のチェック整理をする。何となくの選別を進め、みちくさ市用・フォニャルフ用・大阪用と細分化して行く。そしてお昼過ぎ、そんな作業過程で生み出される副産物「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)買取用の本をカバン一杯に携え、両腕で捧げ持ちお店に向かう。査定をしばし店内で待ち、無事に交渉成立。今年の開店八周年記念グッズについて天野氏に訪ねたりしていると、レジの小銭ケースの下から何か取り出し「これどうぞ」と渡してくれた!おぉっ!『ラピュタ阿佐ヶ谷』の招待券ではないですか!「いただいても観ることないんですよ。だからどうぞ」。無邪気に喜び、ありがたく受け取り財布の中に収め、ニコニコ顔でお店を後にする。そしてそのまま『中杉通り』に飛び出し、関東バスに飛び乗り、一路中村橋へ。バスを飛び降りたら駅前を通り過ぎ、「古書クマゴロウ」(2018/03/21参照)に飛び込む。店頭棚では、山鳩出版「三億円強奪容疑者ついに殺される/大雪山人」という新書サイズの奇妙な自費出版本を見つける。フィクションかノンフィクションか判別不能の、身近にいた犯人を特定し、独特過ぎる奇怪な文体の小説仕立てでその解明に迫って行くものである…うぅ、意味のわからない言葉の使い方!途切れぬ文章!名前の呼び合いから始まる馬鹿丁寧過ぎる会話のやり取り!なんか恐い!…でも面白そうだから買っておこう。店内では左側通路がようやく奥の帳場前まで延び、左壁棚には探偵小説と幻想文学ゾーンが出現している。双葉社「恐怖推理小説集/鮎川哲也編」を抜き出し、先ほどの奇妙な新書とともに計562円で購入する。駅に戻って西武池袋線に飛び乗り、続いて保谷へ。相変わらずのあるかなしかの歩道で車に脅かされながら「アカシヤ書店」(2008/12/17参照)へ。店頭の100均棚に食らいついて行くが、視線を細かく右から左へ上へ下へと動かしても、どうも芳しくない…これは珍しく今日は何も買えないかも…そんな風に落胆モードに入りかけた時、下から二段目の右端の見難いところにあった青磁色の本が目に留まる…日本橋…小村………高見澤木版社「日本橋檜物町/小村雪岱」だぞ!驚き本を抜き出すと、実は函がかなりボロい。背が抜け底も無くなっている。だが本体はしっかりと無事だ。うひょ〜う、木版口絵もちゃんとある昭和十八年五月の重版本である。これが百円玉と交換なら、何の文句もありません!と、JICC出版局「宝島 1985 OCTOBER」とともに計216円で購入する。やっぱりスゴいぜ「アカシヤ書店」!
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とにかく口絵木版が嬉しい。函については、あの人に相談してみるか…。
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2019年05月30日

5/30『時計』マークの初版じゃないか!

昨日は夕方に「フォニャルフ」に補充しようと、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に駆け付けると、店前で台車をゴロゴロ押して来た、いつもお世話になっている印刷所の方とバッタリ。即座に一肌脱いで、台車の上に山を成している盛林堂ミステリアス文庫の「実歴奇談 真澄大尉/吾妻隼人」の納品を手伝う。この作品は、山中峯太郎別名儀の初単行本化軍事探偵小説である。いつもの如くカバーデザインを担当したので献本分をいただきつつ、帳場周りに集まる盛林堂ミステリアス文庫ブレーンの方と芦辺拓氏と、著者近影の歴史についてそこはかとなく意見を交わす。
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そして本日は午後に吉祥寺の北に流れ着く。すると長らく開いていなかった「午睡舎」(2009/09/10参照)が開いている!と思って近づくと、小さな店内はすでにカウンターのある飲食店のように改装されており、まさに今も改装作業中なのであった…あぁ、いざさらば「午睡舎」よ…。そこから南にブラブラ歩いて「藤井書店」(2009/07/23参照)へ。ちくま文庫が安値で並ぶ店内右壁棚に目をキラリと光らせ、ちくま文庫「横井軍平ゲーム館/横井軍平 牧野武文」を200円で購入する。『サンロード商店街』を必死に通り抜け、JRと井の頭線の高架を潜り、つい先日慰めてもらったばかりの「よみた屋」(2014/08/29参照)へ。入口手前の新書棚下段端から、集英社「りぼん」ふろくの弓月光物二冊を抜き出す。「弓月光ワンマンショー」(本人も写真で登場しまくり、単行本未収録作『ヨットどっこい!』(夫婦が新婚旅行で核実験を見学に行くアナーキーな漫画)の他にも履歴書や漫画家入門を収録)「天使のような悪魔チャン」を握り締めて店内へ。50均文庫棚には先客が張り付いているので、店内をブラブラする。すると右から二番目通路の海外ミステリ文庫棚で、創元推理文庫「ゲー・ムーランの踊子/ジョルジュ・シムノン」が袋に入って並んでいるのを見つける。元パラで帯がちゃんと付いている…と引き出すと、ぬおっ!帯の作風分類マークが『時計』ではないか!初期創元推理文庫のバイブル、湘南探偵倶楽部の「初期創元推理文庫書影&作品目録 新訂増補版」によると、発見難易度『B』の代物である。この『時計』が初版最初のバージョンで、その後同じ初版で『猫』に変化し、さらにその後同じ初版の『猫』マークでカバーが掛けられることになる…まるで複雑怪奇な出世魚…。ちなみに『時計』マークは『その他の推理小説(法廷もの・倒叙ものetc)』で、『猫』マークは『スリラー サスペンス』を表している。同文庫で出されているシムノンは『猫』マークに分類されているが、この「ゲー・ムーランの踊子」と同じ昭和34年に出された「男の首」「黄色い犬」の初版は『時計』マークとなっている。つまりシムノンは、最初はその他の推理小説だったのだろう…。値段を見ると超お手頃な千円だったので、握り締めていた二冊と合わせて千二百円で購入する。あぁ、今日も「よみた屋」
に良くしてもらった。
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2019年05月25日

5/25「鬼の言葉」がモンガ堂への道を阻む。

昨日仕事の待ち時間に「不知火奉行」を宣言通りに読み進めていると、表題作の次に『どくろ検校』という中編が収録されていた。勢いに乗ってさらに読み進めると、なんだか様子がおかしいアナーキーなストーリー展開。長崎近くの絶島から、不知火検校と名乗る謎の総髪の男が江戸に現れ、夜な夜な美女を襲って行く。襲われたものは、血を求める浅ましい吸血鬼となって蘇り、さらに犠牲者をねずみ算式に増やしていく…おかげで江戸は吸血鬼だらけに…って、これ、ブラム・スト―カーの『吸血鬼ドラキュラ』そのままじゃないか!やるなぁ、知らなかったなぁ。横溝センセイがこんな伝奇作品を書いていたなんて。江戸に吸血鬼がたくさん蔓延る章のタイトルが『江戸地獄変』だもんなぁ。不意打ちでシビレまくってしまった。そんなことを思い出しながら、今日は暑い太陽が二つ輝いているような西荻窪に流れ着く。そのままダラダラと「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に向かい、店頭に犇めく人々に紛れて、新装店頭の様子を窺う。きっちりした統一感を漂わせる多種の新品什器に、いつも以上に古本が収まっているようである。ふむふむと、什器と古本を眺めながら、何も買えるものがなかったら、このまま店を離れることにしよう…などと薄情なことを思っていると、均一本の補充に来た店主・小野氏にたちまち発見され、店内に引き込まれ、二十二歳の若者が訳したリトルプレスの「万象綺譚集/アルジャナン・ブラックウッド 渦巻栗訳」を激推しされ、あえなく購入する。「フォニャルフ」棚がだいぶ歯抜けになっているので、近々補充しなければ。しばらく色々お話ししてから、お店を後にする。テクテク北に歩き、駅も越えてさらに北へ北へ。一度谷に下り、再び上がって「benchtimebooks」(2019/03/09参照)にたどり着く。前回来た時は、まだ一階部分しか開いていなかったが、そろそろ奥の中二階も開いていることだろう。店内に入ると、額縁棚も相変わらずで、以前より少し本が増えている印象。ただし入口横が雑貨類になり、製本関連は奥の階段横に移動している。その階段に足をかけ、トトトと数段上がると、ちょっと薄暗い雰囲気のある空間である。右は太宰本や「グスコーブドリの伝記」などが飾られたショウケースと帳場兼作業場で、今日は可憐な女性が店番中である。左側には小さな棚や台が不規則に連続し、寿岳文章・谷崎潤一郎・民芸関連などが並んでいる。奥の押入れのような台には、日本文学古書がディスプレイ。なかなか素敵な景色である。などと思っていると、突然お腹がグゥグゥ恥ずかしいほど鳴り始めてしまう。…おかしい、さっきパンを食べたばっかりなのに…一歩足を踏み出すごとに“グゥ”と鳴ってしまうのだ。恥ずかしさのあまり、帳場に背を向け外に逃げ出そうとすると、壁の飾り棚にも古書が飾られているのに初めて気付く。藤森成吉・坂口安吾…おっ!春秋社「鬼の言葉/江戸川亂歩」も飾られている!ワクワクしながら手に取ると、2800円だったので恥ずかしさも忘れ購入を即決する。
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嬉しかったので、お店の前で記念撮影。そして本来はこの後「モンガ堂」さん(2012/09/15参照)にも寄る予定だったのだが、予定外の散財をしてしまったので、そのまま『青梅街道』を東に向かい、徒歩で帰路に着いてしまう。モンガさん、すまなんだ!
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2019年05月16日

5/16「ねこじたゴリラ堂」健在!

今日は午後二時過ぎに、巨大な相輪のような武骨な鉄骨組の『田無タワー(正式名称スカイタワー西東京)』の足元に流れ着く。すでに初夏のような暑さと日射しに、すっかり体力を削られてしまったが、やはり古本は買って帰りたい…よし、ここなら花小金井がわりと近いはずだ。およそ六年ぶりに、絵本専門の古本屋さん「ねこじたゴリラ堂」(2013/12/03参照)を訪ねることにしよう。そうと決まれば、早速西に向かってテクテク歩き始める。ところがちょっと予測を誤ったのか、花小金井が意外に遠く、なかなか近付いて来ない。その代わりに『田無タワー』はいつまでも背後に高く聳えており、なんだか西東京の罠に嵌り込んだ気分である。だが歩き続ければ、いつかはお店にたどり着くものである。そんな風にして記憶をたどりながら店前に到着すると、店頭に安売絵本や児童文学を並べ、堂々営業中である。うむ、素晴らしい。最初は街の奥に落ちた一滴の古本の雨粒が、いつの間にやらコンコンと湧き出る泉と化し、必死に街に古本の潤いを与えているようである。そんなけなげさとしぶとさに感謝しながら、店頭で一冊を手にして中へ進む。主に中央棚の絶版ゾーンに意識を集中する。むっ?背の一番上に『ディアストーカー』が描かれた児童文学が…思わず気になり取り出すと、大日本図書「ぼくはめいたんてい1 きえた犬のえ/マージョリー・W・シャーマットぶん マーク・シマントえ」というシリーズ物の日常系探偵児童文学であった。すわ!北原案件か!?と色めき立つが、主人公の少年の絵は、ディアストーカーは被っているが、コートはトレンチで、パイプも天眼鏡も持っていない(裏表紙に天眼鏡は描かれているが…)…これでは条件を満たさない、案件モドキである。だがすでに愛着を覚えてしまったので、文研出版「かさ/太田大八」(珍しく、文章のない全編絵だけで構成された絵本である。雨が降りしきる街の中に咲く、傘の叙情性が心を掴んで離さない)とともに計900円で購入する。
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ところで先日手に入れた島田一男先生の「七色の目」を楽しく愉快に読み進めているのだが、主人公の探偵助手・五郎少年の憧れの存在である香月名探偵の駄目っぷりが、本当に笑える。悪党にあっけなく眠り薬を飲まされ無様に眠りこけるわ(本当にただ眠らされている)、悪党にグルグルに縛られ捕まった五郎の前に現れるわ(本当にただ捕まっている)、大事な少女をすぐに見失うわ攫われるわで、どこが名探偵なんだっ!と読み進める度に、ニヤニヤしながら激しく突っ込みまくっているのである。また、『黄金紳士がギョッとした顔で立っていた。ツツッと、机にかけより金をながしこんだかたへ手をのばしたが、ハッと手をひっこめるーーまだあついのだ』とか『そのようすを、とおくから、黄金紳士が見ていた。じつは、ねらっている五郎とイズミを、ひとあしちがいで、不良につれて行かれ、黄金紳士はいらいらしていたのである……。』などと楽しい文章も頻出!あぁ、未知のマイナー・ジュニア探偵小説は、予想外の荒い乱暴で強引な展開をたくさん見せてくれるので、本当に面白いなぁ。
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左上が凛々しいが、かなりアレな香月名探偵。手前がスーパー名助手五郎。後は黄金紳士の変装姿である。伊勢田邦彦絵。


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2019年05月09日

5/9店前でバッタリ!

本日は西調布の南に流れ着いたので、ブラブラと坂を上がり、京王線の踏切を越え、『調布インターチェンジ』近くの「不思議屋」(2018/10/05参照)をまずは見に行く。入口右横の激安古本棚前に身を屈めると、荒れた本しか見当たらず、収穫なしに悄然とする。あっさりとお店を離脱して、西調布駅北口の『西調布一番街』に向かう。北側から両側に渋い店舗の連なる裏道に入り込む。おっ、「Folklora」(2018/03/09参照)前にはちゃんと白い立看板が出ているので、営業中の気配…ずいぶんと久しぶりの入店になるなと思いつつお店に近付くと、突然前から歩いて来た、プリティなお子様を連れた丸眼鏡&おかっぱ頭の女性が立ち止まり、驚きながら「古ツアさんですか?」と声を掛けて来た。レンズ越しのびっくりした大きな目に見つめられ、慌てて「ハイ、そうです」と答えるが……だ、誰だっけなぁ、と瞬時に思い出せないので焦りまくる。すると「玉椿です」!!!!!!!あぁぁぁぁっ!「古書玉椿」さん(2013/08/16参照)だ!そうだ!本当にお久しぶりです!…およそ、六年ぶりの邂逅である。少し店前でお話ししながら「東京にお帰りなさい」などと言っていると、プリティなお子さまが、不審気な視線をこちらに投げ掛けている。というわけで、お店に入り、およそ一年ぶりの店内を見学する。平日の昼間だと言うのに、中央の大テーブルではワークショップが開かれ、右壁の大棚前には、手芸ファンらしきご婦人たちが張り付いている。その棚は、今は右端の絵本棚以外は、いつの間にか多種多様な世界の手芸&工芸本に占領されてしまっている。これは壮観!だが尖り過ぎて凄過ぎて、門外漢の私はまったく手が出せない状況である。帳場下の民藝&美術ファッション関連や左奥の民藝関連文庫&新書箱くらいが、食指の伸ばせるゾーンであろうか。だが、絵本棚でブッキング「白いレクイエム/作・大海赫 絵・西岡千晶」を見つけたので、1080円で購入する。改めて玉椿さんと挨拶を交わし、今週末に参加される「東京蚤の市」(2012/05/16参照。あれ?開催場所が『大井競馬場』になっているのか。いつから何だろう…)の話など聞き、お店を後にする。
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いやぁ、それにしても、帽子を被り、何だかストーンウォッシュされたようなボロ目の格好をしていたのに、よく擦れ違い様に気付いたなぁ…と鋭い洞察力に大いに感心する。京王線で浜田山まで出て、すぎ丸で阿佐ヶ谷へ向かう車内で、買ったばかりの「白いレクイエム」を繙く。すると、見返し裏にオリジナルスタンプが捺され踊るような署名も入っていたのであった。うひょう、やった!
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そして今、東京・町田の「高原書店」(2009/05/03参照)が閉店した悲報が、ネットを駆け巡っている。一週間ほど前のブログコメント欄に、『高原書店が一ヶ月ほど休業してしまっている』との情報が入っていたのだが、まさかすでに閉店してしまっていたとは…。時代は、ゲームの強制スクロールのように、背後へと流れて行く。あの、古本屋ビルの、右側手前の児童文学部屋、奥へと続く安売本通路、二階のミステリ部屋、奥の絶版文庫スペース…それらもまた、二度と戻れぬ背後へと、スルスルと流れて行ってしまった。町田の偉大な古本屋ビルよ、長い間おつかれさまでした。
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2019年05月08日

5/8『アポロ作戦ワールドゲーム』を薦められる。

GW明け早々、ちょっと嬉しいデザイン仕事が舞い込み、朝からアタフタと過ごす。午後に昼食を摂ってから中野に外出。所用を済ませてから「古本案内処」(2015/08/23参照)に飛び込む。店内のそこかしこに結束本の山が生まれ、レジ台には値段札が散乱している。何か大きな催事の準備中であろうか…。壁面文庫棚の夏目漱石の並びに、春陽文庫「若き日の漱石/小泉譲」が挿さっているのを発見。値段を見ると嬉しい300円だったので、即購入する。お店を出たら『早稲田通り』を渡り、地面がツギハギだらけの商店街『薬師あいロード』へ。おっ、今日は「Anteiqueスピカ」(2015/11/04参照)が開いてるじゃないか。久しぶりに洒落た古い物品が飾られた通路的店内に飛び込んでみる。奥の年代物ガラスケース帳場前の古本ゾーンは健在。なんだかいつの間にやら、つげ義春が幅を利かせているな。一通り目を通した後に紙物棚をガサゴソ漁る。旅行案内・絵葉書・附録本・説明書などなど。その中から、洋書パンフレットSCIENCE SERVICE「MOON」というのを見つける。1970年に出版された、写真豊富な月のガイドブックである。写真以外にも月面上の想像図が色々掲載されており、なかなかに楽しい。中でも『Locke Moon Hoax』という物語を描いた、有翼人たちが暮らす月面の様子は初めて見るもの。400円で購入する。「どうも〜」とお店を出ようとすると、店主が後からついて来て「アポロとかお好きなんですか?」とにこやかに聞いて来た。「いや、そう言うわけでもないんですが、この時代の宇宙の絵とかって独特で格好良いじゃないですか」と返すと、棚の上を指差し「こんなのがあるんですよ。エポック社の『アポロ作戦ワールドゲーム』。アポロ計画当時に販売されてたものです」「ど、どんなゲームなんですか?宇宙飛行士を操作したりとか?」「ボードゲームですよ。地球から出発して月に行き、帰還するらしいです」。おぉ、それは素敵。だがそれほど宇宙に目がないわけではないので「お金が貯まったら買いに来ます」とお茶を濁して、お店を後にする。
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下が『Locke Moon Hoax』の月面の様子。水もあり、目を凝らすとフラミンゴの様な鳥類や偶蹄目みたいな動物も確認できる。
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2019年05月04日

5/4明日の準備と「落穂舎」の「古書目録0号」!

家に閉じこもり色々進める。午後にちょっとだけ外出し、しつこく南阿佐ヶ谷住宅街の休業中の「あきら書房」(2019/01/30&2016/03/28参照)を見に行くと、やっぱり開いていない。そして『青梅街道』沿いの材木置場に掛けられていた、『古本と益子焼』のお店案内看板もついに取り払われてしまっていた。
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これは、もう…。ちょっとだけブルーのなりながら、家に戻って明日の古本販売の準備を終える。まぁ、こんなところ。これに少々隠し球もプラスするつもりである。それでは明日、国分寺の古本屋さん「七七舎」でお会いいたしましょう!(蔵書古本販売開始時間は、一日店長勤務開始の午後一時から)
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おまけ
押入れを整理していて見つけたのは、「古書・落穂舎」の文庫サイズ目録「古書目録0号」である。表1には『Little Book』とあり、ルドンの目玉気球の絵が刷られている。表4には『1992春』とあり、ミレーの落ち穂拾いが刷られている。それにしても二十七年前か…。パラパラページを繰ると、所々に蛍光マーカーラインが入っている。チェックが入っているのはほとんど香山滋で、もう、欲しくてたまらない感じが如実に伝わって来る。おまけに書き込んだ注文ハガキも挟み込まれいるではないか。『第二ファントマ 12,000』『魔境原人 7,000』『魔法医師ニコラ 2,000』…何故出さなかったのだろう?それにしてもこの当時は、戦前探偵小説が最強の値段で、今高値になっている昭和三十年代の探偵・推理小説は、特別な作品以外はボロボロ安値で売られている。渡辺啓介「東京ゴリラ伝」が2,000円、三橋一夫が概ね四桁、北町一郎「鐡十字架の秘密」が6,000円、楠田匡介「地獄の同伴者」が3,500円、大河内常平や日影丈吉も四桁、大倉Y子「笑ふ花束」が7,500円、守友恒「幻想殺人事件」が9,000円、木村生死「秀吉になった男」が16,000円…ふぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜、心底“タイムマシン”という機械が欲しい…。
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2019年04月26日

4/26「東京書房 自由が丘店」移転まであと十六日。

午後に外出し自由が丘へ。今月で移転閉店するという「東京書房」(2018/02/23参照)の様子を見に行くためである。東横線高架ホームから、一旦大井町線ホームに下り、南口に吐き出される。『マリクレール通り』沿いの、小さな雑居ビルの階段入口に立つと、「東京書房」の小さな案内には、『全商品10%オフ』と『東京書房自由が丘は移転します』と書かれている。
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急な階段を、テントン上がって行く。途中の階段脇には、四階から流れ出したように、500均単行本や100均文庫本が並んでいる。四階に着くと、開かれた扉には『5/12閉店』と書かれていた。そうか、GW明けもちょっと続くのか。古本が端正に犇めき気味の店内に進むと、前回訪れた時にお話しした、ほわわん女性店員さんが「あっ!お久しぶりです」と即座に気付いてくれた。あれから一年も経つのに、すごいなぁ。ギクシャクと挨拶し、ほわわんとしながらもキビキビ仕事を進める気配を感じながら、古本細道を一周する。そして河出書房新社「塩一トンの読書/須賀敦子」を10%オフの540円で購入しながら、お店のこれからについて色々聞き込む。移転先は宮崎台の倉庫兼事務所で、今でもすでに天気の良い日にはガレージセールをしていること。四階からの引っ越しが大変なこと。お店の本を運び出した後の本棚をどうするか悩んでいること(欲しい方がいたら恐らく譲っていただけるでしょう)。などなどを話しつつ「お渡ししたいものがあるんです」と以前一号をいただいた、手書きでお店と個が素敵に混ざり合う『東京書房通信』の第2号〜第9号を手渡される。だが「あぁ!8号がない」と心苦しい様子なので、「宮崎台に行きますので、その時に」と約束する。
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超丁寧に見送られお店を後にして、すぐさま東横線に飛び乗り渋谷駅下車。『宮益坂』上の「中村書店」(2008/07/24参照)に寄り道してみるが、お店は閉まっている。だがシャッターは下りておらず、ただドアに『15時に開店します』と貼付けてある。現在15時15分…まだ当分開く気配がないので、あきらめて駅へと戻り西荻窪へ向かう。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)「フォニャルフ」棚にひょいひょいと補充し、表紙デザインを担当したクラシックミステリ評論誌「Re-Clam vol.2」を受け取る。特集テーマは『論創海外ミステリ』で、いきなり分厚くなった全156ページが編者の気合いと充実具合を物語っている。店主・小野氏とちょこちょこ打ち合わせをする。

ところで明日からついにゴールデンウィークに突入。私はそんな祝祭的休日にまったく関係なくいつも通りに過ごす予定でありますが、ただ5/5(日)だけは、そのいつもと異なる非日常を、思いっきり働きながら味わう所存です。国分寺「七七舎」での、岡崎武志氏との一日店長&古本トーク。二人の古本蔵書販売もあり。古本打ち上げもあり。東京の西に、古本行楽にぜひともお越しください。もはや古本漫談の域のトークでは国分寺を中心にして古本屋と古本について語り合い、私が初めて国分寺を知ったのは何であるか?という他愛無い秘密も曝け出す予定。皆様のお越しとご参加を、心より心より心よりお待ちしています!
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『七七舎リニューアルオープン記念 オカタケ&古ツア1日店長+トークショー ゴールデンウィーク、ラス前は古本日』
■5/5(日)店番:午後一時〜午後五時五十五分 トーク:午後六時〜
■七七舎 東京都国分寺市本町3-11-16(営業時間:午前十一時〜午後十時)
■トーク参加費:1000円(要予約)
■予約:七七舎にメールか電話でご予約下さい。『5/5のトーク予約』である旨を告げ、お名前、参加人数をお知らせください。MAIL 7777777sha@gmail.com TEL 042-359-0830
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2019年04月17日

4/17別れに行ったらお休みだった。

昨日は世田谷の赤堤に流れ着いたので、テクテク歩いて明大前まで出て、「七月堂古書部」(2018/01/13参照)…ぬぉっ!小さなシャッターが下りてしまっている。お休みか…と言うわけでそのまま歩き続けて東松原まで出て、「瀧堂」(2014/05/01参照)へ。良かった。やってる。白昼の店内を執拗に探索し、名著刊行会 初版復刻「愉快な鐡工場/大城のぼる」を千円で購入する。そして本日はお昼過ぎに家を出て、中央線→総武線と東へ一時間ほど電車に揺られ、4/23(火)に閉店してしまう、激安・街の古本屋さん「鈴木書房」(2009/07/26参照)の様子を見に行く。駅から長い直線道を進み、ここに来るのは三年ぶりくらいではないだろうか…などと感慨に浸ろうとしていると、うひゃぁっ!シャッターが下りちゃってる!定休日に来てしまったのか!こりゃぁ思いっきり、やっちまったなぁ…だがその悲しみのシャッターには二枚の貼紙がされているので、近付いて目を凝らす。一枚は閉店のお知らせである。
suzuki0419.jpg
続いて左の紙に目をやると、4/19(金)〜4/23(火)に、全品半額セールを行うと書かれていた。う〜む、これはもう一度来るべきだろうか…それにしても、店内の本は通常でも激安だったのに、それが半額になるとは、超激安になるということか…う〜ん、また来たいなぁ…来られるかなぁ…。帰りの車中で創元推理文庫「ペテン師まかり通る/ヘンリ・セシル」を読了する。その見事で愉快で素敵な落ちに、無駄足で落込んでいた心が、フワリと軽く浮かび上がる。
posted by tokusan at 16:32| Comment(2) | 古本屋消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする