2019年06月20日

6/20どうなるの?えほんやるすばんばんするかいしゃ!

午後一時の『ラピュタ阿佐ヶ谷』に、『添えもの映画百花繚乱SPパラダイス2019』特集の一本、『怪談一つ目地蔵』を観に行く。1959年公開の東映お盆用おばけ映画で、上映時間は六十六分。あぁ、面白かった。主演・若山富三郎の軽薄な御家人っぷりも良いし、後半の呪いまくり祟りまくりの展開も凄まじい。怨霊が遠慮呵責なく出現し、因縁ある人たちが工夫を凝らした仕掛けと演出で死んで行く…むむ、まるで旧『サスペリア』のようだ。人を不安にさせる特殊撮影もふんだんに使われ、狂乱して刀を振り回すトミーの後で江戸の街がぐるんぐるんと回転する演出は、まるでヒチコック映画を観ているよう。世の中には、まだまだ色んな映画があるもんだ。次はまたもや怪談映画の『執念の蛇』と『青蛇風呂』を観に来よう。そんな映画館の暗闇を飛び出し、中央総武線の高架下を伝って高円寺へ向かう。「えほんやるすばんばんするかいしゃ」(2014/09/11参照)が6/25(火)まで、『2階おしまい改装セール』を行っているので偵察に向かう。どうやら2階から1階のギャラリーにお店を移すらしいのだが…。高架下から離脱し、横路地の店前に到着すると、階段横にはロシア児童本や絵本や「かがくのとも」「こどものとも」の箱が出されている。一階窓ガラスの貼紙を見ると、『3冊…3割引 5冊…5割引』となっている。どうやら複数冊買わないと、セール対象にはならないらしい。二階への狭く急峻な赤い階段をミシギシ上がり、絵本と児童文学が集まる小宇宙をしばし楽しむ。この二階での買物も最後となるので、何か記念になるものを…と悩んで選んだのが、中央の箱に集まる、またもやの「かがくのとも」「こどものとも」。横長縦長中綴じ冊子を丁寧に繰り、欲しかった一冊を見つけ出す。福音館書店こどものとも282号「よるのびょういん/谷川俊太郎作 長野重一写真」。名作写真絵本の1979年オリジナル版である!1800円で購入しながら、店主さんに「お店、一階に移るんですか?」と聞いてみると、「いや〜、まあ、そういえばそうなんですけど…」と、大いに悩みながら、言葉を選び選び話し始める。それは、ただ一階に古本屋を移すということではなく、古本との、現在の安心し切った“なぁなぁ”とも言える関係を、古本が大好きだからこそ正すために、一階の改装はほとんどタッチせず人に任せ、在庫も倉庫の本をドシドシ出して、十年もやって慣れ切った古本屋稼業に刺激を与え、何か化学反応を起こしたい…というようなことを、ポツポツと教えてくれた。だから現在は、まだ一階がどうなるか、まったく分からないそうである。つまりは、環境をリセットし、自分にはなるべく未知のベールを被せ、新たに生まれる新鮮さを困難も含めて楽しんで行きたい…と言ったところだろうか。まぁ店主がうまく説明出来ないのを、そう簡単に理解出来るはずもないわけだが、相変わらず愉快で素敵な方であることに変わりはない。所詮我々お客に出来るのは、一階の新奇なお店を、出来上がり次第ただ楽しむのみなのである。嬉しい「よるのびょういん」初版を手にして、最後の急階段を下りようとすると、見事に階段うえの梁におでこをゴチンとぶつけてしまう。うぅ、小さな星が目の前に散った。
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2019年06月05日

6/5保谷で小村雪岱を!

今月中旬の「みちくさ市」出店に備えて、朝から家内各所にある古本山のチェック整理をする。何となくの選別を進め、みちくさ市用・フォニャルフ用・大阪用と細分化して行く。そしてお昼過ぎ、そんな作業過程で生み出される副産物「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)買取用の本をカバン一杯に携え、両腕で捧げ持ちお店に向かう。査定をしばし店内で待ち、無事に交渉成立。今年の開店八周年記念グッズについて天野氏に訪ねたりしていると、レジの小銭ケースの下から何か取り出し「これどうぞ」と渡してくれた!おぉっ!『ラピュタ阿佐ヶ谷』の招待券ではないですか!「いただいても観ることないんですよ。だからどうぞ」。無邪気に喜び、ありがたく受け取り財布の中に収め、ニコニコ顔でお店を後にする。そしてそのまま『中杉通り』に飛び出し、関東バスに飛び乗り、一路中村橋へ。バスを飛び降りたら駅前を通り過ぎ、「古書クマゴロウ」(2018/03/21参照)に飛び込む。店頭棚では、山鳩出版「三億円強奪容疑者ついに殺される/大雪山人」という新書サイズの奇妙な自費出版本を見つける。フィクションかノンフィクションか判別不能の、身近にいた犯人を特定し、独特過ぎる奇怪な文体の小説仕立てでその解明に迫って行くものである…うぅ、意味のわからない言葉の使い方!途切れぬ文章!名前の呼び合いから始まる馬鹿丁寧過ぎる会話のやり取り!なんか恐い!…でも面白そうだから買っておこう。店内では左側通路がようやく奥の帳場前まで延び、左壁棚には探偵小説と幻想文学ゾーンが出現している。双葉社「恐怖推理小説集/鮎川哲也編」を抜き出し、先ほどの奇妙な新書とともに計562円で購入する。駅に戻って西武池袋線に飛び乗り、続いて保谷へ。相変わらずのあるかなしかの歩道で車に脅かされながら「アカシヤ書店」(2008/12/17参照)へ。店頭の100均棚に食らいついて行くが、視線を細かく右から左へ上へ下へと動かしても、どうも芳しくない…これは珍しく今日は何も買えないかも…そんな風に落胆モードに入りかけた時、下から二段目の右端の見難いところにあった青磁色の本が目に留まる…日本橋…小村………高見澤木版社「日本橋檜物町/小村雪岱」だぞ!驚き本を抜き出すと、実は函がかなりボロい。背が抜け底も無くなっている。だが本体はしっかりと無事だ。うひょ〜う、木版口絵もちゃんとある昭和十八年五月の重版本である。これが百円玉と交換なら、何の文句もありません!と、JICC出版局「宝島 1985 OCTOBER」とともに計216円で購入する。やっぱりスゴいぜ「アカシヤ書店」!
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とにかく口絵木版が嬉しい。函については、あの人に相談してみるか…。
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2019年05月30日

5/30『時計』マークの初版じゃないか!

昨日は夕方に「フォニャルフ」に補充しようと、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に駆け付けると、店前で台車をゴロゴロ押して来た、いつもお世話になっている印刷所の方とバッタリ。即座に一肌脱いで、台車の上に山を成している盛林堂ミステリアス文庫の「実歴奇談 真澄大尉/吾妻隼人」の納品を手伝う。この作品は、山中峯太郎別名儀の初単行本化軍事探偵小説である。いつもの如くカバーデザインを担当したので献本分をいただきつつ、帳場周りに集まる盛林堂ミステリアス文庫ブレーンの方と芦辺拓氏と、著者近影の歴史についてそこはかとなく意見を交わす。
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そして本日は午後に吉祥寺の北に流れ着く。すると長らく開いていなかった「午睡舎」(2009/09/10参照)が開いている!と思って近づくと、小さな店内はすでにカウンターのある飲食店のように改装されており、まさに今も改装作業中なのであった…あぁ、いざさらば「午睡舎」よ…。そこから南にブラブラ歩いて「藤井書店」(2009/07/23参照)へ。ちくま文庫が安値で並ぶ店内右壁棚に目をキラリと光らせ、ちくま文庫「横井軍平ゲーム館/横井軍平 牧野武文」を200円で購入する。『サンロード商店街』を必死に通り抜け、JRと井の頭線の高架を潜り、つい先日慰めてもらったばかりの「よみた屋」(2014/08/29参照)へ。入口手前の新書棚下段端から、集英社「りぼん」ふろくの弓月光物二冊を抜き出す。「弓月光ワンマンショー」(本人も写真で登場しまくり、単行本未収録作『ヨットどっこい!』(夫婦が新婚旅行で核実験を見学に行くアナーキーな漫画)の他にも履歴書や漫画家入門を収録)「天使のような悪魔チャン」を握り締めて店内へ。50均文庫棚には先客が張り付いているので、店内をブラブラする。すると右から二番目通路の海外ミステリ文庫棚で、創元推理文庫「ゲー・ムーランの踊子/ジョルジュ・シムノン」が袋に入って並んでいるのを見つける。元パラで帯がちゃんと付いている…と引き出すと、ぬおっ!帯の作風分類マークが『時計』ではないか!初期創元推理文庫のバイブル、湘南探偵倶楽部の「初期創元推理文庫書影&作品目録 新訂増補版」によると、発見難易度『B』の代物である。この『時計』が初版最初のバージョンで、その後同じ初版で『猫』に変化し、さらにその後同じ初版の『猫』マークでカバーが掛けられることになる…まるで複雑怪奇な出世魚…。ちなみに『時計』マークは『その他の推理小説(法廷もの・倒叙ものetc)』で、『猫』マークは『スリラー サスペンス』を表している。同文庫で出されているシムノンは『猫』マークに分類されているが、この「ゲー・ムーランの踊子」と同じ昭和34年に出された「男の首」「黄色い犬」の初版は『時計』マークとなっている。つまりシムノンは、最初はその他の推理小説だったのだろう…。値段を見ると超お手頃な千円だったので、握り締めていた二冊と合わせて千二百円で購入する。あぁ、今日も「よみた屋」
に良くしてもらった。
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2019年05月25日

5/25「鬼の言葉」がモンガ堂への道を阻む。

昨日仕事の待ち時間に「不知火奉行」を宣言通りに読み進めていると、表題作の次に『どくろ検校』という中編が収録されていた。勢いに乗ってさらに読み進めると、なんだか様子がおかしいアナーキーなストーリー展開。長崎近くの絶島から、不知火検校と名乗る謎の総髪の男が江戸に現れ、夜な夜な美女を襲って行く。襲われたものは、血を求める浅ましい吸血鬼となって蘇り、さらに犠牲者をねずみ算式に増やしていく…おかげで江戸は吸血鬼だらけに…って、これ、ブラム・スト―カーの『吸血鬼ドラキュラ』そのままじゃないか!やるなぁ、知らなかったなぁ。横溝センセイがこんな伝奇作品を書いていたなんて。江戸に吸血鬼がたくさん蔓延る章のタイトルが『江戸地獄変』だもんなぁ。不意打ちでシビレまくってしまった。そんなことを思い出しながら、今日は暑い太陽が二つ輝いているような西荻窪に流れ着く。そのままダラダラと「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に向かい、店頭に犇めく人々に紛れて、新装店頭の様子を窺う。きっちりした統一感を漂わせる多種の新品什器に、いつも以上に古本が収まっているようである。ふむふむと、什器と古本を眺めながら、何も買えるものがなかったら、このまま店を離れることにしよう…などと薄情なことを思っていると、均一本の補充に来た店主・小野氏にたちまち発見され、店内に引き込まれ、二十二歳の若者が訳したリトルプレスの「万象綺譚集/アルジャナン・ブラックウッド 渦巻栗訳」を激推しされ、あえなく購入する。「フォニャルフ」棚がだいぶ歯抜けになっているので、近々補充しなければ。しばらく色々お話ししてから、お店を後にする。テクテク北に歩き、駅も越えてさらに北へ北へ。一度谷に下り、再び上がって「benchtimebooks」(2019/03/09参照)にたどり着く。前回来た時は、まだ一階部分しか開いていなかったが、そろそろ奥の中二階も開いていることだろう。店内に入ると、額縁棚も相変わらずで、以前より少し本が増えている印象。ただし入口横が雑貨類になり、製本関連は奥の階段横に移動している。その階段に足をかけ、トトトと数段上がると、ちょっと薄暗い雰囲気のある空間である。右は太宰本や「グスコーブドリの伝記」などが飾られたショウケースと帳場兼作業場で、今日は可憐な女性が店番中である。左側には小さな棚や台が不規則に連続し、寿岳文章・谷崎潤一郎・民芸関連などが並んでいる。奥の押入れのような台には、日本文学古書がディスプレイ。なかなか素敵な景色である。などと思っていると、突然お腹がグゥグゥ恥ずかしいほど鳴り始めてしまう。…おかしい、さっきパンを食べたばっかりなのに…一歩足を踏み出すごとに“グゥ”と鳴ってしまうのだ。恥ずかしさのあまり、帳場に背を向け外に逃げ出そうとすると、壁の飾り棚にも古書が飾られているのに初めて気付く。藤森成吉・坂口安吾…おっ!春秋社「鬼の言葉/江戸川亂歩」も飾られている!ワクワクしながら手に取ると、2800円だったので恥ずかしさも忘れ購入を即決する。
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嬉しかったので、お店の前で記念撮影。そして本来はこの後「モンガ堂」さん(2012/09/15参照)にも寄る予定だったのだが、予定外の散財をしてしまったので、そのまま『青梅街道』を東に向かい、徒歩で帰路に着いてしまう。モンガさん、すまなんだ!
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2019年05月16日

5/16「ねこじたゴリラ堂」健在!

今日は午後二時過ぎに、巨大な相輪のような武骨な鉄骨組の『田無タワー(正式名称スカイタワー西東京)』の足元に流れ着く。すでに初夏のような暑さと日射しに、すっかり体力を削られてしまったが、やはり古本は買って帰りたい…よし、ここなら花小金井がわりと近いはずだ。およそ六年ぶりに、絵本専門の古本屋さん「ねこじたゴリラ堂」(2013/12/03参照)を訪ねることにしよう。そうと決まれば、早速西に向かってテクテク歩き始める。ところがちょっと予測を誤ったのか、花小金井が意外に遠く、なかなか近付いて来ない。その代わりに『田無タワー』はいつまでも背後に高く聳えており、なんだか西東京の罠に嵌り込んだ気分である。だが歩き続ければ、いつかはお店にたどり着くものである。そんな風にして記憶をたどりながら店前に到着すると、店頭に安売絵本や児童文学を並べ、堂々営業中である。うむ、素晴らしい。最初は街の奥に落ちた一滴の古本の雨粒が、いつの間にやらコンコンと湧き出る泉と化し、必死に街に古本の潤いを与えているようである。そんなけなげさとしぶとさに感謝しながら、店頭で一冊を手にして中へ進む。主に中央棚の絶版ゾーンに意識を集中する。むっ?背の一番上に『ディアストーカー』が描かれた児童文学が…思わず気になり取り出すと、大日本図書「ぼくはめいたんてい1 きえた犬のえ/マージョリー・W・シャーマットぶん マーク・シマントえ」というシリーズ物の日常系探偵児童文学であった。すわ!北原案件か!?と色めき立つが、主人公の少年の絵は、ディアストーカーは被っているが、コートはトレンチで、パイプも天眼鏡も持っていない(裏表紙に天眼鏡は描かれているが…)…これでは条件を満たさない、案件モドキである。だがすでに愛着を覚えてしまったので、文研出版「かさ/太田大八」(珍しく、文章のない全編絵だけで構成された絵本である。雨が降りしきる街の中に咲く、傘の叙情性が心を掴んで離さない)とともに計900円で購入する。
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ところで先日手に入れた島田一男先生の「七色の目」を楽しく愉快に読み進めているのだが、主人公の探偵助手・五郎少年の憧れの存在である香月名探偵の駄目っぷりが、本当に笑える。悪党にあっけなく眠り薬を飲まされ無様に眠りこけるわ(本当にただ眠らされている)、悪党にグルグルに縛られ捕まった五郎の前に現れるわ(本当にただ捕まっている)、大事な少女をすぐに見失うわ攫われるわで、どこが名探偵なんだっ!と読み進める度に、ニヤニヤしながら激しく突っ込みまくっているのである。また、『黄金紳士がギョッとした顔で立っていた。ツツッと、机にかけより金をながしこんだかたへ手をのばしたが、ハッと手をひっこめるーーまだあついのだ』とか『そのようすを、とおくから、黄金紳士が見ていた。じつは、ねらっている五郎とイズミを、ひとあしちがいで、不良につれて行かれ、黄金紳士はいらいらしていたのである……。』などと楽しい文章も頻出!あぁ、未知のマイナー・ジュニア探偵小説は、予想外の荒い乱暴で強引な展開をたくさん見せてくれるので、本当に面白いなぁ。
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左上が凛々しいが、かなりアレな香月名探偵。手前がスーパー名助手五郎。後は黄金紳士の変装姿である。伊勢田邦彦絵。


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2019年05月09日

5/9店前でバッタリ!

本日は西調布の南に流れ着いたので、ブラブラと坂を上がり、京王線の踏切を越え、『調布インターチェンジ』近くの「不思議屋」(2018/10/05参照)をまずは見に行く。入口右横の激安古本棚前に身を屈めると、荒れた本しか見当たらず、収穫なしに悄然とする。あっさりとお店を離脱して、西調布駅北口の『西調布一番街』に向かう。北側から両側に渋い店舗の連なる裏道に入り込む。おっ、「Folklora」(2018/03/09参照)前にはちゃんと白い立看板が出ているので、営業中の気配…ずいぶんと久しぶりの入店になるなと思いつつお店に近付くと、突然前から歩いて来た、プリティなお子様を連れた丸眼鏡&おかっぱ頭の女性が立ち止まり、驚きながら「古ツアさんですか?」と声を掛けて来た。レンズ越しのびっくりした大きな目に見つめられ、慌てて「ハイ、そうです」と答えるが……だ、誰だっけなぁ、と瞬時に思い出せないので焦りまくる。すると「玉椿です」!!!!!!!あぁぁぁぁっ!「古書玉椿」さん(2013/08/16参照)だ!そうだ!本当にお久しぶりです!…およそ、六年ぶりの邂逅である。少し店前でお話ししながら「東京にお帰りなさい」などと言っていると、プリティなお子さまが、不審気な視線をこちらに投げ掛けている。というわけで、お店に入り、およそ一年ぶりの店内を見学する。平日の昼間だと言うのに、中央の大テーブルではワークショップが開かれ、右壁の大棚前には、手芸ファンらしきご婦人たちが張り付いている。その棚は、今は右端の絵本棚以外は、いつの間にか多種多様な世界の手芸&工芸本に占領されてしまっている。これは壮観!だが尖り過ぎて凄過ぎて、門外漢の私はまったく手が出せない状況である。帳場下の民藝&美術ファッション関連や左奥の民藝関連文庫&新書箱くらいが、食指の伸ばせるゾーンであろうか。だが、絵本棚でブッキング「白いレクイエム/作・大海赫 絵・西岡千晶」を見つけたので、1080円で購入する。改めて玉椿さんと挨拶を交わし、今週末に参加される「東京蚤の市」(2012/05/16参照。あれ?開催場所が『大井競馬場』になっているのか。いつから何だろう…)の話など聞き、お店を後にする。
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いやぁ、それにしても、帽子を被り、何だかストーンウォッシュされたようなボロ目の格好をしていたのに、よく擦れ違い様に気付いたなぁ…と鋭い洞察力に大いに感心する。京王線で浜田山まで出て、すぎ丸で阿佐ヶ谷へ向かう車内で、買ったばかりの「白いレクイエム」を繙く。すると、見返し裏にオリジナルスタンプが捺され踊るような署名も入っていたのであった。うひょう、やった!
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そして今、東京・町田の「高原書店」(2009/05/03参照)が閉店した悲報が、ネットを駆け巡っている。一週間ほど前のブログコメント欄に、『高原書店が一ヶ月ほど休業してしまっている』との情報が入っていたのだが、まさかすでに閉店してしまっていたとは…。時代は、ゲームの強制スクロールのように、背後へと流れて行く。あの、古本屋ビルの、右側手前の児童文学部屋、奥へと続く安売本通路、二階のミステリ部屋、奥の絶版文庫スペース…それらもまた、二度と戻れぬ背後へと、スルスルと流れて行ってしまった。町田の偉大な古本屋ビルよ、長い間おつかれさまでした。
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2019年05月08日

5/8『アポロ作戦ワールドゲーム』を薦められる。

GW明け早々、ちょっと嬉しいデザイン仕事が舞い込み、朝からアタフタと過ごす。午後に昼食を摂ってから中野に外出。所用を済ませてから「古本案内処」(2015/08/23参照)に飛び込む。店内のそこかしこに結束本の山が生まれ、レジ台には値段札が散乱している。何か大きな催事の準備中であろうか…。壁面文庫棚の夏目漱石の並びに、春陽文庫「若き日の漱石/小泉譲」が挿さっているのを発見。値段を見ると嬉しい300円だったので、即購入する。お店を出たら『早稲田通り』を渡り、地面がツギハギだらけの商店街『薬師あいロード』へ。おっ、今日は「Anteiqueスピカ」(2015/11/04参照)が開いてるじゃないか。久しぶりに洒落た古い物品が飾られた通路的店内に飛び込んでみる。奥の年代物ガラスケース帳場前の古本ゾーンは健在。なんだかいつの間にやら、つげ義春が幅を利かせているな。一通り目を通した後に紙物棚をガサゴソ漁る。旅行案内・絵葉書・附録本・説明書などなど。その中から、洋書パンフレットSCIENCE SERVICE「MOON」というのを見つける。1970年に出版された、写真豊富な月のガイドブックである。写真以外にも月面上の想像図が色々掲載されており、なかなかに楽しい。中でも『Locke Moon Hoax』という物語を描いた、有翼人たちが暮らす月面の様子は初めて見るもの。400円で購入する。「どうも〜」とお店を出ようとすると、店主が後からついて来て「アポロとかお好きなんですか?」とにこやかに聞いて来た。「いや、そう言うわけでもないんですが、この時代の宇宙の絵とかって独特で格好良いじゃないですか」と返すと、棚の上を指差し「こんなのがあるんですよ。エポック社の『アポロ作戦ワールドゲーム』。アポロ計画当時に販売されてたものです」「ど、どんなゲームなんですか?宇宙飛行士を操作したりとか?」「ボードゲームですよ。地球から出発して月に行き、帰還するらしいです」。おぉ、それは素敵。だがそれほど宇宙に目がないわけではないので「お金が貯まったら買いに来ます」とお茶を濁して、お店を後にする。
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下が『Locke Moon Hoax』の月面の様子。水もあり、目を凝らすとフラミンゴの様な鳥類や偶蹄目みたいな動物も確認できる。
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2019年05月04日

5/4明日の準備と「落穂舎」の「古書目録0号」!

家に閉じこもり色々進める。午後にちょっとだけ外出し、しつこく南阿佐ヶ谷住宅街の休業中の「あきら書房」(2019/01/30&2016/03/28参照)を見に行くと、やっぱり開いていない。そして『青梅街道』沿いの材木置場に掛けられていた、『古本と益子焼』のお店案内看板もついに取り払われてしまっていた。
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これは、もう…。ちょっとだけブルーのなりながら、家に戻って明日の古本販売の準備を終える。まぁ、こんなところ。これに少々隠し球もプラスするつもりである。それでは明日、国分寺の古本屋さん「七七舎」でお会いいたしましょう!(蔵書古本販売開始時間は、一日店長勤務開始の午後一時から)
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おまけ
押入れを整理していて見つけたのは、「古書・落穂舎」の文庫サイズ目録「古書目録0号」である。表1には『Little Book』とあり、ルドンの目玉気球の絵が刷られている。表4には『1992春』とあり、ミレーの落ち穂拾いが刷られている。それにしても二十七年前か…。パラパラページを繰ると、所々に蛍光マーカーラインが入っている。チェックが入っているのはほとんど香山滋で、もう、欲しくてたまらない感じが如実に伝わって来る。おまけに書き込んだ注文ハガキも挟み込まれいるではないか。『第二ファントマ 12,000』『魔境原人 7,000』『魔法医師ニコラ 2,000』…何故出さなかったのだろう?それにしてもこの当時は、戦前探偵小説が最強の値段で、今高値になっている昭和三十年代の探偵・推理小説は、特別な作品以外はボロボロ安値で売られている。渡辺啓介「東京ゴリラ伝」が2,000円、三橋一夫が概ね四桁、北町一郎「鐡十字架の秘密」が6,000円、楠田匡介「地獄の同伴者」が3,500円、大河内常平や日影丈吉も四桁、大倉Y子「笑ふ花束」が7,500円、守友恒「幻想殺人事件」が9,000円、木村生死「秀吉になった男」が16,000円…ふぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜、心底“タイムマシン”という機械が欲しい…。
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2019年04月26日

4/26「東京書房 自由が丘店」移転まであと十六日。

午後に外出し自由が丘へ。今月で移転閉店するという「東京書房」(2018/02/23参照)の様子を見に行くためである。東横線高架ホームから、一旦大井町線ホームに下り、南口に吐き出される。『マリクレール通り』沿いの、小さな雑居ビルの階段入口に立つと、「東京書房」の小さな案内には、『全商品10%オフ』と『東京書房自由が丘は移転します』と書かれている。
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急な階段を、テントン上がって行く。途中の階段脇には、四階から流れ出したように、500均単行本や100均文庫本が並んでいる。四階に着くと、開かれた扉には『5/12閉店』と書かれていた。そうか、GW明けもちょっと続くのか。古本が端正に犇めき気味の店内に進むと、前回訪れた時にお話しした、ほわわん女性店員さんが「あっ!お久しぶりです」と即座に気付いてくれた。あれから一年も経つのに、すごいなぁ。ギクシャクと挨拶し、ほわわんとしながらもキビキビ仕事を進める気配を感じながら、古本細道を一周する。そして河出書房新社「塩一トンの読書/須賀敦子」を10%オフの540円で購入しながら、お店のこれからについて色々聞き込む。移転先は宮崎台の倉庫兼事務所で、今でもすでに天気の良い日にはガレージセールをしていること。四階からの引っ越しが大変なこと。お店の本を運び出した後の本棚をどうするか悩んでいること(欲しい方がいたら恐らく譲っていただけるでしょう)。などなどを話しつつ「お渡ししたいものがあるんです」と以前一号をいただいた、手書きでお店と個が素敵に混ざり合う『東京書房通信』の第2号〜第9号を手渡される。だが「あぁ!8号がない」と心苦しい様子なので、「宮崎台に行きますので、その時に」と約束する。
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超丁寧に見送られお店を後にして、すぐさま東横線に飛び乗り渋谷駅下車。『宮益坂』上の「中村書店」(2008/07/24参照)に寄り道してみるが、お店は閉まっている。だがシャッターは下りておらず、ただドアに『15時に開店します』と貼付けてある。現在15時15分…まだ当分開く気配がないので、あきらめて駅へと戻り西荻窪へ向かう。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)「フォニャルフ」棚にひょいひょいと補充し、表紙デザインを担当したクラシックミステリ評論誌「Re-Clam vol.2」を受け取る。特集テーマは『論創海外ミステリ』で、いきなり分厚くなった全156ページが編者の気合いと充実具合を物語っている。店主・小野氏とちょこちょこ打ち合わせをする。

ところで明日からついにゴールデンウィークに突入。私はそんな祝祭的休日にまったく関係なくいつも通りに過ごす予定でありますが、ただ5/5(日)だけは、そのいつもと異なる非日常を、思いっきり働きながら味わう所存です。国分寺「七七舎」での、岡崎武志氏との一日店長&古本トーク。二人の古本蔵書販売もあり。古本打ち上げもあり。東京の西に、古本行楽にぜひともお越しください。もはや古本漫談の域のトークでは国分寺を中心にして古本屋と古本について語り合い、私が初めて国分寺を知ったのは何であるか?という他愛無い秘密も曝け出す予定。皆様のお越しとご参加を、心より心より心よりお待ちしています!
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『七七舎リニューアルオープン記念 オカタケ&古ツア1日店長+トークショー ゴールデンウィーク、ラス前は古本日』
■5/5(日)店番:午後一時〜午後五時五十五分 トーク:午後六時〜
■七七舎 東京都国分寺市本町3-11-16(営業時間:午前十一時〜午後十時)
■トーク参加費:1000円(要予約)
■予約:七七舎にメールか電話でご予約下さい。『5/5のトーク予約』である旨を告げ、お名前、参加人数をお知らせください。MAIL 7777777sha@gmail.com TEL 042-359-0830
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2019年04月17日

4/17別れに行ったらお休みだった。

昨日は世田谷の赤堤に流れ着いたので、テクテク歩いて明大前まで出て、「七月堂古書部」(2018/01/13参照)…ぬぉっ!小さなシャッターが下りてしまっている。お休みか…と言うわけでそのまま歩き続けて東松原まで出て、「瀧堂」(2014/05/01参照)へ。良かった。やってる。白昼の店内を執拗に探索し、名著刊行会 初版復刻「愉快な鐡工場/大城のぼる」を千円で購入する。そして本日はお昼過ぎに家を出て、中央線→総武線と東へ一時間ほど電車に揺られ、4/23(火)に閉店してしまう、激安・街の古本屋さん「鈴木書房」(2009/07/26参照)の様子を見に行く。駅から長い直線道を進み、ここに来るのは三年ぶりくらいではないだろうか…などと感慨に浸ろうとしていると、うひゃぁっ!シャッターが下りちゃってる!定休日に来てしまったのか!こりゃぁ思いっきり、やっちまったなぁ…だがその悲しみのシャッターには二枚の貼紙がされているので、近付いて目を凝らす。一枚は閉店のお知らせである。
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続いて左の紙に目をやると、4/19(金)〜4/23(火)に、全品半額セールを行うと書かれていた。う〜む、これはもう一度来るべきだろうか…それにしても、店内の本は通常でも激安だったのに、それが半額になるとは、超激安になるということか…う〜ん、また来たいなぁ…来られるかなぁ…。帰りの車中で創元推理文庫「ペテン師まかり通る/ヘンリ・セシル」を読了する。その見事で愉快で素敵な落ちに、無駄足で落込んでいた心が、フワリと軽く浮かび上がる。
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2019年04月12日

4/12六十七年の幕を降ろすことになった「遠藤書店」を見に行く。

昨日はまたもや三鷹と仙川の間に流れ着くが、今回はすんなりと吉祥寺へ向かうことにする。住宅街を必死に北に伝って行くと、いつの間にか『井の頭公園』近くにある「book obscura」(2018/01/12参照)前。店頭の均一棚を一応覗き込んでみると、三冊500円の単行本に、欲しい本を一冊発見してしまう…うぅ、これを一冊500円で買ってもよいのだが、まぁ他にも選んだ方が得だろうと、懸命に『むぅ〜ん』と唸りながら後二冊をセレクト(同じようなことを、前回2019//02/15に訪れた時もやっている。ということは、ここの均一にはよく面白い本がちゃんと混ざっているということであろう)。創樹社「定本 薔薇は生きてる/山川弥千枝」(欲しかったのはこれ。昭和八年に十六才の若さで病没した少女の遺稿集。当時、女性文芸誌「火の鳥」で百ページ超えの特集が組まれるほど、天才との呼び声が高かった。おぉ。小山清の批評文も掲載されている)王国社「ふしぎの国のアリス/ルイス・キャロル」暮しの手帖社「「暮しの手帖」とわたし/大橋鎮子」を計500円で購入する。その後は、『井の頭公園(自然園では『春のリスまつり』が開催中!)』を縦切りながら「よみた屋」(2014/08/29参照)に至る。店内均一文庫棚で、「盛林堂」さんに持って行けばよいことが起こりそうな、ある一冊の裸本を見つけたので、50円で購入しておく。上手く事が運べばお慰み…。

曇天の本日は正午過ぎに外出。向かったのは経堂で、駅北側にナナメに走る『すずらん商店街』の「遠藤書店」(2008/10/17参照)の様子を見に行く。今月末で、この老舗店が閉店してしまうという情報をキャッチしたからである。かつては駅南側に支店を出していたこともあったそうだが…。一車線で、昔ながらのお店も所々に残る商店街を遡上し、お店にたどり着くと、店頭はいつも通りだが、やはり買取停止のお知らせと『閉店のご挨拶』が貼り出されてしまっている。
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そこには、4/30に健康上の理由から閉店すること、六十七年に渡り経堂で営業して来たこと、ご愛顧への感謝などが綴られている。文章最後の『本当に、本当にありがとうございました。』に、古本屋さんとしての万感の思いが込められているようだ。閉店セールなどは別に行われておらず、それ以外は、本当にいつも通りである。店内を回遊すると、今更ながら左端通路棚一面の岩波文庫が存在感を発揮している。そして帳場ではお手伝いの女性と入れ替わり、店主が店番を始めている。そこにご常連さんらしき人が本を売りに現れ、店主と会話を始めた。「実は4/30に店を閉めることになったんです」「へぇ〜そう…えっ!閉めるの?どうして?」「目が悪くなってしまいまして。だから買取ももうこれで最後ですね」「そりゃぁ…いい本屋さんなのに…寂しくなるなぁ…」。そんな話を聞くともなく聞いていると、月末になったらもしかして在庫処分セールのようなことをやるかもしれない、という情報を得る。よし、月末にまたサヨナラを言いに来ることにしよう。芳賀書店「ロボットSF ロボット文明/福島正美編」福音館書店 ちいさなかがくのとも「ゆき ゆき ゆき/たむらしげる」を計320円で購入する。その後は駅南側に出て、本日開店の「ブックオフ」の買取窓口(店内にはちゃんと古本棚アリ)を横目に、坂を下って「大河堂書店」(2009/03/26参照)へ。赤瀬川原平本が大量に入荷しているなと、帯付きのPARCO出版「東京ミキサー計画」を抜き出すと、なんと安値の600円。ついこの間「コンコ堂」さん(2011/06/20参照)に読了して売り払ったばかりだが、これだけ安いと買わぬわけにはいかぬ!と、文春文庫「諫早菖蒲日記/野呂邦暢」とともに計1080円で購入する。
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2019年04月04日

4/4「都丸書店」の高架側がっ!?

午後二時過ぎに浜田山に流れ着いたので、いつものようにコミュニティバス『すぎ丸』に乗り込むと、善福寺川の花見客で大混雑。たくさんのおばあさんたちとおしくらまんじゅうをしながら、『青梅街道入口』で下車し、しばらくの間の閉店宣言をした「あきら書房」(2019/01/30&2016/03/28参照)の様子を見に行く。…やはり開いていないか。すでに事情説明の貼紙もなく、ただ庭に、可憐な白い花が咲き誇っているばかり…あぁ、この様子だと、ここも「ネオ書房」(2019/03/10参照)に続き、再開店の望みは薄そうだな…まぁまた気が向いたら、様子を再度見に来ることにしよう。
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そう思いながら、大きな寂しさを抱きつつ、それを解消するために、トボトボ高円寺へと足を向ける。「アニマル洋子」(2014/03/14参照)はシャッターを下ろしていたので、まずは「大石書店」(2010/03/08参照)の店頭ワゴンにピタッと取り憑く。六興出版「風眼抄/山田風太郎」を100円で購入する。そのまま駅方面に向かい、高架下の商店街を進む。あれ?「都丸書店」(2010/09/21参照)が閉まってる?と不思議に思いつつ、『中通り』に顔を出すと、あれ?「都丸書店」がちゃんと開いている?これはいったいどう言うわけだ?自動ドアから店内を透かし見ると、おや!お店の奥が途中から白いシートで仕切られ、その前に空の棚が置かれているようだ。これはどうやら店舗を三分の二ほどに縮小し、高架側の三分の一スペースを明け渡す動きらしい。慌てて高架側に駆け付けると、シャッターは半分下りているが、すでに外壁棚は撤去され、中の棚も消え去っており、現状復帰普請中である。
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…あぁ、こりゃぁ、「あきら書房」に引き続き、ちょっと寂しい事態である。ではあの高架側にあった古書棚の行方は、いったいどうなってしまうのか?またもや慌てて『中通り』側に戻り、店内に入って通路を一巡してみるも、高架外壁棚に相当する安売り古書棚は見当たらない。なくなっちゃうのかなぁ?どうにか復活させて欲しいなぁ…そう激しく願いつつ、『庚申通り』を北上して「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)に縋り付く。武井武雄や安泰のイラストが嬉しいフレーベル館の「キンダーブック」三冊と、光文社文庫「「探偵文藝」傑作選」「「探偵クラブ」傑作選」共にミステリ文学資料館編を計500円で購入し、トボトボ『早稲田通り』を阿佐ヶ谷へと、侘しく引き返す。
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2019年03月29日

3/29お店は消えても「マニタ書房」の名は残る!

今日も早朝から仕事にかかりっきりだったのだが、取りあえずすべてを形にして仕事先に投げ、その答え待ちの間にススッと外出する。正午前に家を出ると、気温が想像以上に低いではないか…春の装いで出て来たのは、完全に失敗であった。震えながら水道橋駅で下車し、さらに震えながら古本屋さんをパトロールして行く。「日本書房」(2011/08/24参照)が当たりで、冨山房 新譯繪入模範家庭文庫「ガリバア旅行記/平田禿木譯 岡本歸一画」四季社 みみずく新書「設計図の上の消ゴム/永井龍男」を計900円で購入する。素晴らしき出会いに、大いに満足してしまったので、このまま踵を返して帰りたいところだが、そういうわけにはいかない。今日は3/30(土)でお店を閉める「マニタ書房」(2012/10/27参照)の様子と「さくらみちフェスティバル」をチラリと見て行きたいのだ。相変わらず厳しい寒さに脅かされながら、『神保町交差点』に向かい歩を進める。そして交差点近くの小ビルの入口に『全品半額』と貼られた「マニタ書房」の看板が出ているのを確認。
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狭い階段を、カタコト四階まで上がると、扉が全開になっており、マニアックで特濃な本棚が姿を現していた。店内に進み、ラーメンを啜っている店主・とみさわ昭仁氏と挨拶を交わす。蛍光灯がフリッカー現象を起こして忙しなく明滅する中、催眠術に罹ったように、最後の「マニタ書房」を楽しむ。いつ見ても『人食い』とか『ハンディキャップ』とか『特殊配偶者』とか、ついぞ他店では見かけなかったジャンルが輝いている。講談社HOW=TO BOOKS「アフリカ困難旅行/羽仁進」を500円で購入しながら、色々お話を伺う。今回の閉店は、物書き業に専念するためのものだそうである。この神保町にお店を開いたことにより、新たな人脈が出来たり、昔の人脈が復活したりして、いつしか仕事が増えたため、思い切って閉めることにしたとのこと。そして少なくなり始めている、棚の本の行方を聞くと、最初は全部「ブックオフ」に売りに行くという美しい辞め方も考えたそうだが(とみさわ氏は稀代の「ブックオフ」マニアであり、棚の本もそのほとんどは「ブックオフ」行脚で買い集めたものなのである)、何とお客さんのひとりが残った本をすべて引き取り、自分の蔵書もプラスして、近々に越谷で古本屋さんを開くという事実が判明する。また、とみさわ氏は、古本屋稼業から足を洗っても「マニタ書房」の名は残したいということで、下北沢の「古書ビビビ」(2009/10/15参照)に棚を借り、そこに変わらず特殊な古本を並べて行くとのことであった。何はともあれひとまずおつかれさまでした。六年四ヶ月の間、楽しい唯一無二のお店を開いてくれて、ありがとうございました。ぜひまた『せんべろ古本ツアー』をやりましょう!と約束し、お店を後にする。その後は『靖国通り』に出て、各ブースを震えながら覗き込んで行く。だがあまりにも寒過ぎるので、集中力がそれほど続かない。お店は確認しなかったが、東京創元社「殉教カテリナ車輪/飛鳥部勝則」(初版帯付き。袋とじ未開封)を300円で購入。そして「盛林堂書房」(2012/01/06参照)の春陽堂文庫・日本小説文庫・博文館文庫の50%オフほどの値付に舌を巻きながら、東京創元社「ペテン師まかり通る/ヘンリ・セシル 平井呈一訳」(初版。帯ナシ)を500円で購入し、早々に帰宅する。
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本日の収穫。「ペテン師まかり通る」を読み始めると、ところどころに江戸言葉が出現し、流れるように読みやすく面白い。
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2019年03月28日

3/28刹那の西荻で「女獸心理」を!

本日も仕事でキュウキュウ。だが午後に一瞬外出し、西荻窪で受け渡しを一つする。昨日同様一刻も早く家に戻らねばならぬのだが、ちょっとだけ古本屋さんを見て行こうと決め、北口『西友』の中を通り抜け、まずは「古書音羽館」(2009/06/04参照)へ…と思ったら、手前の「忘日舎」(2015/09/28参照)の外棚に見事に引っ掛かる。何だか推理小説関連の評論が多いな。そう感じつつ、一冊二冊と手にして行く。そして最下段左隅に目をやると、そこに落葉色の古い裸本が一冊…背の上部が剥がれており、作品タイトルが一部欠けてしまっている。「●●心理」…そ、その下には『野溝七生子』とあるではないか!ということは、この本は「女獸心理」!この古さは、オリジナル本ではないかっ!と途端に色めき立ち、本をソッと抜き出す。八雲書林「女獸心理(新和壘の手記)/野溝七生子」(函ナシ。蔵印アリ。昭和十五年刊)である。
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くぉぉ。まさか西荻窪で昭和十五年の野溝七生子に出逢えるなんて!と思い切り胸を弾ませ、物語の書き出しに目を落としてみる。『不意に、なにかに唆されるやうな氣持で新橋で列車を降りてしまった。一晝夜乗りつづけて來て、東京驛まで最後の六分間がどうしても我慢ができなかったのである』……あぁ、講談社文芸文庫で読んだことのある書き出しだが、もう、オリジナルの紙と活字で読むと、魂がこの時代の磁力にビンビン惹き付けられてしまっているのを、激しく感じる!店内に飛び込み精算をお願いしようとすると、身体を向けていた右側には棚しかないではないか。慌てて振り返ると、左側窓際に帳場が移動していた。帽子を目深に被ったまま精算をお願いすると、たちまち忘日舎さんには正体を見破られてしまった。他にダイヤモンド社「推理小説と暗号/長田順行」研究社「推理小説の美学/H.ヘイクラフト」とともに計300円で購入しながら、古本屋のこれから・在り方・生き方・生き残り方など、ディープで真面目な話題に花を咲かせる。阿佐ヶ谷に戻り家路を急いでいると、昨日に続き「ネオ書房」(2019/03/10参照)の激しい変遷が目に飛び込んでくる。何と店内の本はすべて運び出され、九十一才のオヤジさんが知り合いと話しながら、バリバリと本棚を解体しているではないかっ!?…あぁ、これでは選挙後の閉店セールの再開は、望み薄かなぁ……。
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2019年03月27日

3/27「空家の美人」は探偵小説だった。

本日は仕事場に朝からギュギュウと雪隠詰め…各所に新しい古本屋さんが出来ているのに、出かけられぬもどかしさを骨身にしみ込ませながら、目の前の細かい仕事に打ち込む。そこで昨日の話をして、まずはお茶を濁すことにする。午後に一瞬立ち寄れた吉祥寺で「よみた屋」(2014/08/29参照)に飛び込み、ユニコン出版「名探偵ホームズ1 のろいの魔犬/[原作]アーサー・コナン・ドイル [構成]加納一朗 [劇画]ムッシュー・田中」(こういう見慣れないホームズ物を即座に買ってしまうのは、完全に北原尚彦氏に感化されているからである。それにしても開きの悪い硬い本だ…)ハヤカワポケミス「死者の中から/ポアロー ナルスジャック 日影丈吉訳」交通新聞社「ウルトラあいうえお」を計1200円で購入する…というわけで、本日も古本屋さんに行きたいのはやまやまだが、とてもその時間が作れない。そこで慰みに、手が空いた合間合間に、昔の古書目録を捲り、渇を癒す…そして「落穂舎」の古書目録「落穂拾い通信 2011年春光號」を見ていると、嬉しい発見がひとつあった。2019/02/11「古書狩り2019」で、200円で購入し、妙に気になっていた明治本が掲載されていたのである。しかも『探偵小説』のグラビアに!大川屋書店「空家の美人/松林伯知講演 今村次郎速記」である(目録にあったのは、表紙が異装で出版社も『吾妻屋』と異なる初版。手元にあるのは、講演者・筆記者ともに同じだが出版社が違い再版となっている)。意味ありげなタイトルがどうにも引っ掛かり『探偵小説ではないだろうか?』と都合良く疑っていたのであるが、幾ら調べても、これがどんな小説かわからない。まぁ、読めば分かる話なのだが、そこまでの気概が実はなかったのである。だがこれが探偵小説の一種だと分かると、俄然読みたくなって来る。人とは、全く自分勝手で、都合の良い生き物である…。
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そんなことがあったりしながら、午後に一瞬家を抜け出し、駅頭で仕事の打ち合わせをひとつする。これはちょっと楽しみな仕事。ウキウキしながらも急いで家に帰る途中、「ネオ書房」(2019/03/10参照)の前に人がたくさん集まり、たくさんのダンボール箱を組み立てている…どうやら中の古本を運び出す準備をしているらしい…いったいどうなってしまうんだろう?お店としては、もう復活しないのだろうか?まったく閉店後(一応)も、やきもきさせてくれる、お店だなぁ。
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2019年03月10日

3/10「ネオ書房」最期の日(一応)。

午後になって、昨日春一番が吹いた後の街に出て、今日が最後の営業日の「ネオ書房」(2019/01/06参照)前。まだオヤジさんが、左側店頭棚のブルーシートを畳んでいる真っ最中である。その、貸本屋と古本屋で世間を渡って来た後姿に、こっそり『ありがとうございました』と感謝の念を捧げる。開店準備が整ったので、早速店頭棚に近付き目を凝らす。すると通りを歩いていた人たちも、たちまち近寄り本を吟味し始める。そこでオヤジさんが顔を出し、にこやかに「今日が最後の営業日です。本は全部半額です。だからたくさん買って行ってね」と開店宣言。それを聞き、一番乗りで通い慣れた店内に滑り込む。閉店セールが始まってからの二ヶ月間、たっぷりと楽しませていただきました。そんな風にくどいほど感謝しながら感慨深く、店内を他のお客さんと通路を譲り合い、一周する。最後の買物は、ひばりコミックス三冊!ひばり書房「杉戸光史怪談シリーズ 亡霊の里/杉戸光史」「ひばりの怪談シリーズ 赤子葬送曲/池川伸一」「GOGO赤ヘル軍団/杉戸光史」(広島カープメインの漫画と思いきや、その広島カープを親子二代で愛し支えた、早川鯉平・通称カープさん激動の物語。こんな漫画が存在していたなんて…)のを計1500円で購入する。ひとまず今日でこのお店とはひとまずお別れである。選挙事務所が一段落した後、再開してくれれば本当に嬉しいのだが。何はともあれ、楽しい古本をたくさんありがとうございました!
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※お知らせ三つ
1. 月曜日辺りから発売になる「本の雑誌 三色団子くるくる号 No.430」の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、高円寺の「古書サンカクヤマ」をレポート。店頭で北原案件を発見し、当の北原尚彦氏に報告するが、その顛末や如何に。そして今号の特集は、何と嬉しい『昭和ミステリー秘宝館』。ミステリ界の重鎮たる、お歴々に混ざり、五十二才なのに若輩ながら私も原稿を書かせていただいております!名付けて『昭和ミステリーの装丁コレクション』。これまで古本屋さんについてばかり、マシーンのように書いて来ましたが、ついにこのような原稿を書ける日がやって参りました!本の雑誌社さんに誠心誠意大感謝です。どうか書店で手に取っていただければ幸いです。
2. 3/17(日)のみちくさ市に、掘り出した古本をたくさん携え参加いたします。春になった三月の雑司が谷に、どうかみなさま古本を買いに来ていただければ。面白い本、奇怪な本、古い本、取り揃えておきますので!
■「第46回 鬼子母神通り みちくさ市」
■3月17日(日)11:00〜16:00 雨天中止(当日午前八時に天候による開催の有無を決定)
■東京都豊島区雑司が谷二丁目・鬼子母神通り周辺
https://kmstreet.exblog.jp/
3, そして連続で、3/23(土)の『本のフェス』の『本の雑誌商店街』にも参加します。対応できるほどの本を家で掘り出せたので、どうにか大丈夫なはずです!場所が去年と変わりますが、参加者のみなさんが相変わらずゴージャスなので、ぜひとも遊びに来ていただければ幸いです。ついでに古本も買っていただければ、もっともっと幸いです!
■2019年3月23日(土)10:00〜19:00(私はこの日だけの参加となります)
■2019年3月24日(日)10:00〜17:00
■会場:DNP市谷左内町ビル (東京都新宿区市谷左内町31-2) (本の雑誌商店街)
■参加者:140B/岡崎武志/荻原魚雷/カンゼン/北原尚彦(3月23日のみ)/キリンストア/国書刊行会/古書いろどり/古書ますく堂/コトノハ/小山力也(3月23日のみ)/酒とつまみ社/星羊社/盛林堂書房/旅と思索社/八画文化会館/ホシガラス山岳の会/本の雑貨社/本の雑誌社/森英俊/山と渓谷社(店名五十音順)突発的にまだまだ増えるかもしれません。
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2019年03月05日

3/5「ネオ書房」がいきなり『3月10日マデ』に!

本日は正午にいつか来た北府中に流れ着くが、この辺りはもうすっかり古本屋砂漠となっているので、武蔵野線で素早く離脱し、中央線に乗り換えて武蔵境で途中下車。「浩仁堂」(2011/02/15参照)に立ち寄り、従業員のみなさんがお昼ご飯中で和やかな賑やかさを湛える店内にしばらく居座り、新潮社「メモリーズ・オブ・アメリカン・ドリーム」角川選書「地球観光旅行 博物学の世紀/荒俣宏」講談社「わたしのえほん/いわさきちひろ」を計400円で購入する。一旦家に戻り、午後三時過ぎに再び外出して阿佐ヶ谷「ネオ書房」(2019/01/06参照)の様子を見に行く。すると驚くことに、サッシ扉に貼られた『閉店半額セール』横断紙の上に、『3月10日マデ』の貼紙が出現しているではないか!扉から店内に身を滑り込ませると、棚を整理中のオヤジさんとバッタリ。思わず「お店、三月十日までなんですか?もっと続けると思ってましたよ」と声を掛けると「いや、私も続けるつもりだったんだけどね。実は区議さんに、ここを選挙事務所として貸してくれ、って言われちゃってね。急遽こうなっちゃったんだよ」「ほ、本はどうするんですか?」「通路は空けるけど、棚の本は取りあえずこのままかな」「じゃあ、選挙が終わったら、またやるんですか?」「う〜ん、やるかもしれないし、やらないかもしれないなぁ。もう九十一才と七ヶ月なんで、その時の体調次第だよ」「お元気でいて、どうにか再開してください!」と言うようなやり取りをする。なんてこった。突然閉店日が決まってしまった。あと五日しかないじゃないか。こんなに毎日楽しく通っていた場所が、無くなってしまうことを考えると、とても恐ろしくなってくるじゃないか!…などとカウントダウンの恐怖に震えつつも、棚に動きがあるようなので、眼は血眼。おかげで素晴らしい一冊を発見する。実業之日本社JNコミックス1『名探偵ホームズシリーズ 4人のサイン/コナン=ドイル原作 アレンジャー・望月三起也 プレイヤー・たなべ節雄』である。ヒゲで垂れ目のホームズと、ワトスンの甥・ビギンスが活躍する推理快作コミックである。ウヒョウヒョと250円で購入し、「また来ます!」「待ってますよ」とやり取りする。やはりここはまだまだ何か出て来るお店なのだ。
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2019年02月23日

2/23十三は青葉に乗艦していた。

今日はお昼過ぎに東府中に流れ着いたので、一駅だけ都心から離れるように府中に移動し、およそ九年ぶりの「夢の絵本堂」(2010/03/14参照)を目指すことにする。果たして営業しているだろうか?とドキドキしながら、旋風吹き荒れる『甲州街道』を経由して、まだまだ冬木の桜並木を通って、ちゃんとお店に到着する。おぉ、昔と寸分変わらぬ姿で営業中ではないか!店主が表に出て均一台の整理をしていたので、ペコリとお辞儀してから、百均絵本ラックやその下の単行本を眺め始める。二冊を手にして、風に背中を押されるようにして店内に進む。本がピシッと棚に収まる、整理整頓の行き届いた空間である。その中に『As Time Goes By』がエンドレスで流れ続けている。う〜ん、良いお店だなぁ〜と改めてひとしきり感心しながら入口入って直ぐの雑多雑誌棚や中央棚の古書&児童文学ゾーンに魂をグイグイ引っ張られる。4回目の『As Time Goes By』を聴きながら、全日本家庭教育研究会「子そだてゆうれい/平林英子文 木村円香絵」ワニブックス「またまたあぶない刑事シナリオ写真集」ナイトスポット社「ナイト・スポット 昭和四十四年SUMMER」(大人のための夜遊びガイド雑誌。富永一朗の横浜穴場めぐりや吉行淳之介のコールガールエッセイとか、キャバレーやナイトクラブや連れ込み宿の広告がイカしてる!)誠文堂新光社「人形劇・影絵芝居/藤城清治・町田仁・田中清之助編」(地味に探していた本なので嬉しい。人形劇&影絵芝居をするためのハウツー本なのだが、藤城の人形造りや人形劇に対する姿勢が厳し過ぎ、一切の手抜きを許さないスパルタ文章が連続して行く)を計2250円で購入する。ここはこれからも来ることにしよう。
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そして家に帰ると、久々のヤフオク落札品が到着していた。誠文堂新光社「僕らの科學文庫 僕らのラジオ/佐野昌一」である。昭和十七年初版のカバーナシで1900円であった。海野十三のもうひとつの顔(というか本名)が著した、ラジオの仕組みや電波や真空管についてやラジオの作り方などの、少年用ハウツー本である。センセイがラジオについて軽妙に講釈しながら、話が脱線するとどこからかハガキが届きそれを戒め、本線に戻すという奇怪なビートで各章が展開して行く。粗末な二色刷りのラジオ受信機グラビアの裏面には、ポツリと佐野昌一(海野十三)の海軍報道員服を着た姿が、ボンヤリと掲載されている。そうか、海野は確か南方に巡洋艦の青葉に乗って作家として従軍したんだよな…あれ?『青葉』……そうか、映画『この世界の片隅に』で、主人公すずさんの幼なじみ・水原哲が乗っていたのが『青葉』だったはず。じゃあもしかしたら、甲板に洗濯物を干しているシーンとかで、何処かに海野が登場しているかも!と思いつき(何故かと言うと、戦後の広島で、子供時代のアニメーター大塚康生らしき男の子が、一心不乱にジープをスケッチしていている嬉しいシーンがあったりするので、もしや!と思ってしまったのだった…)、録画してある映画をちょっと観てみるが、該当するような人物は見当たらなかった…フフフ、どうやら妄想が過ぎたようだ。
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これが妄想を加速させた、折込グラビア裏の、何だか映画『悪魔の手鞠唄』の小道具的な、ぼんやりとした海野の写真。
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2019年02月22日

2/22「古書ほうろう」千駄木ありがとう!! 移転セール!

午前中をぐずぐず過ごし、午後一時過ぎに外出。新宿で中央線から山手線に乗り換えて、上部をぐるっと回り込んで西日暮里駅下車。昭和の暗い雰囲気がわだかまる駅舎から外に出て、巨大な切り通しの中を、微妙な傾斜を足裏に感じながら東南へ歩んで行く。自転車の警察官が目を光らせる『道灌山下交差点』にたどり着けば、「古書ほうろう」(2009/05/10参照)はもう「不忍通り」沿いに見えている。只今四月の店舗移転に向けて、『移転セール古本全品3割引ッ!!』を行っているのである。横断歩道を渡ってお店に近付くと、立看板やガラス扉にその旨が貼り出されている。
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店内に進むと、ほぉっ、賑わっている。早速負けじと棚に視線を走らせて行くと、まだまだ良い本が居残っている。彌生書房「黒い終点」とか野口赫宙の推理小説とか恩地孝四郎デザインの「書窓」とかサンリオSF文庫の千円の「ノヴァ急報」とか創元推理文庫「怪盗レトン」とか…などと久しぶりの棚をじっくりと楽しむが、結局食らいついたのは右端通路の500均棚である。角川書店「逃亡将校/桶谷繁雄」(昭和三十五年刊。乱歩と木々に薦められ、『宝石』に連載した推理小説集。作者曰く、パリの半七捕物帳を目指したとのこと)ゆまに書房 復刻版新興藝術派叢書「僕の標本室/川端康成」「夜ふけと梅の花/井伏鱒二」を選んで、店主の宮地氏(2016/10/18参照)がお客さんに接する度に、移転場所とお店の広さと移転理由を説明している帳場へ赴く。挨拶を交わし「めっちゃ移転先説明してるじゃないですか。地図作ればいいじゃないですか」「家賃アップで移転することになったとか、めっちゃ明け透けじゃないですか」と冷やかすと、実は地図はちゃんと作ってあり、それでもなおかつ丁寧に説明しているのであった。そして移転理由を明け透けに話すのは、移転することによりお店が『近くなった』と喜ぶ方もいれば『遠くなった』と不便に思う方もいるので、しっかりと事情を説明しておきたいとのことであった。あぁ、なんという真摯な対応をされているのか!と冷やかしたことを恥じ入り、深く心中で頭を垂れる。「もう、今までで一番話しをしている感じです。顔見知りのお客さんとも、話すことにより関係性が新たになって、自分でも驚いています」「四月にはオープンしたいのですが、こちらの撤収と新店舗の造作次第がまだ不確定なので、はっきりと移転日を決められないんですよ。でも、4/28の「一箱古本市」には、絶対に間に合わせなければなりません!」などと忙しそうだが楽しげに語る宮地氏であった。先ほどの三冊を1050円で購入し、池之端の新店舗地図もいただく。このセールは3/3(日)まで。この後は古本神よりタレコミのあった、あるお店を見に行ってみるが、残念ながらお休みの模様。仕方ない、「バンゴブックス」(2011/07/28参照)に寄ってからブラブラ帰るかと『へび道』に向かう。ところが小さな店内に踏み入ると、いつの間にか中央の棚は姿を消し、店内中央に本の低山に渦巻かれた帳場が出現しているではないか。なので見られる棚は、店頭と右壁棚だけの状態になっていた。掘り返したらいつも通り面白そうな古本がザクザク出て来そうだが、少し勇気が必要なので、今日は萎縮してそのまま何も買わずにお店の外に脱出してしまう。また別の日にチャレンジしよう…。
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2019年02月19日

2/19二冊目の大海赫

お昼過ぎに、気まぐれにパラつく雨に軽く打たれながら、阿佐谷南に流れ着く。ならば、天岩戸古本屋状態(2019/01/30参照)の「あきら書房」を偵察に行くかと、住宅街を縫い歩き、勘を頼りにお店の横手に到着する。だが、お店部分である部屋のシャッターは下りたままで、貼紙もそのままの状態である。…まだまだ開くには、時間がかかりそうだ。がっくりしながら中央線高架までたどり着き、高円寺へと足を向ける。そして『庚申通り』の「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照。いつの間にか、開店四年目を迎えている!)へ。店内は若者たちでいやに賑わっている。おうっ!「遊」の稲垣足穂&野尻抱影追悼号が3200円か。相場より安くて欲しいのはやまやまだが、ちょっと考えちゃうなぁ…などと囚われ、店内を一周しながら逡巡していると、児童文学棚でじっくり探しているうちの一冊をぽかっと見つける。ブッキング「メキメキえんぴつ/大海赫 作・絵」である。私は幸か不幸か、この奇怪な童話を書き(描き)紡いでいた大海赫を、まったく知らずに生きてきてしまった。だから出会いは「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)で同じくブッキングから復刊された「クロイヌ家具店」(カバーナシ)を515円で買ったのが、ファーストコンタクトである。以来、すっかり大人なのにその魅力にボワッと取り憑かれ、見かけたら手に入れるようにして行こうと思っていたのである。値段は2000円…少しだけ迷ってから帳場に持って行く。こういう出会いは、古本修羅としては大事にしなければいけないのだ。己から関わり気にしていれば、いつの日か復刻本ではなく、オリジナル本と出会える日も、きっと来ることだろう。そんな風に能天気に希望しながら、ダラダラ阿佐ヶ谷へと戻り始める。
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