2017年02月16日

2/16またもや夕暮れの最中の古本屋

国立近辺で野暮用をこなしていると、いつものように夕暮れを迎えてしまう。家路をたどる途中に、『旭通り』の東南端から駅へ向かっていると、都合の良いことに夕暮れの中の「ユマニテ書店」(2009/06/22参照)前を通りかかる。最近、夕暮れの古本屋に行き着くことが多くなっているが、どのお店もなんだかホッとする、昼間のお店とは微妙に異なる、美しい店頭光景になっていると感じてしまうのは、古本屋好き故の贔屓な視点のせいであろうか…。
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歩道が狭いために100均ラックしか出ていない侘しい店頭。だが中に進むと、古書多めの棚がふわりと古本心を気前よく受け止めてくれるのだ。帳場付近に近付くと初めて「いらっしゃいませ」と小さく声をかけるご婦人に、ぺこりとお辞儀しながら静かな静かな二本の通路を行き来する。ここは値段はしっかり目だが、所々鉛筆で値段が書き換えられた値下げが敢行されているので、そこに望みを賭けて、面白そうな本を手に取って行く。十分ほど滞店した結果、千円から五百円に値下げされた弘文堂世界文庫「樺太島紀行(上)/チエホフ」(ちなみにこの文庫、(上)とあるが(下)は未刊行である)を購入する。ご婦人は帳場下をガサゴソしながら、「すいません、ウチの袋じゃないんですが…」と照れながら、『国際交流海外視察団派遣計画』という袋に文庫を収めていただく。帰りの電車でボヤボヤしながらも、18ページまで読み込む。まだ樺太に着いてもおらず、『樺太は島ではなく半島説』という過去の誤りを列挙している段階で阿佐ヶ谷駅に着いてしまう。

家では色々やりつつ、相変わらず古本市用古本束の作成に勤しむ。ようやく四十本を越えたところだが、どうせ盛林堂さんには「全然まだまだ足りないよぉ〜」と怒られるに違いない…。そんな風に打ちひしがれながらの今日の発掘本はこちら。私のバイブルでもある「ミステリーファンのための古書店ガイド」作者である野村宏平氏の異色推理小説、エニックス文庫「ピースランド殺人事件」である。動物たちの楽園で、大富豪であるキタキツネが殺され、真相解明のため動物たちが珍騒動を繰り広げる…と折り返しの解説にはある…すみません、まだ読んでいません。だが『あとがき』だけチラッと見てみると『それにしても動物の世界を舞台にした推理小説というのはむずかしい。だって、動物の世界には、人間の世界とは違ったルールがあるでしょ。そこをちゃんと説明しておかないと、推理小説のフェアプレー精神に反することになっちゃうもんね』と、とてもファンシーな設定なのに、ミステリマニアとしての筋を通そうとしているところが、真面目で何かおかしい。実はこの本、ちょっとしたレア本なのであるが、近々野村氏にお会いする予定があるので、さらなるレア本にしてもらおうといやらしく画策中なのである。
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2017年02月14日

2/14「神楽坂サイクル」は健在であった。

珍しく雑誌対談の仕事が入ったので(もちろん古本屋についてである)午後に神楽坂へ向かう。『1番出口』から地上に出ると、対談場所に指定されたブックカフェ『神楽坂モノガタリ』はすでに目の前なのだが、まだそちらには足を向けずに、逆側の西へテクテク。するとすぐに古びた自転車屋「神楽坂サイクル」(2012/07/10参照)が見えると同時に、うほっ!店頭には未だ頼もしく継続している、小さな古本販売箱が視界に飛び込んでくる。近付き見下ろすと、相変わらず硬めと言うか、融通の利かなさそうな函入本のラインナップ。
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だがせっかく足を留めたのだ。何か買っておきたいと、潮出版「透明な時の中で/島尾敏雄」を200円で買おうとすると、料金缶に放り込むべき小銭がないことに気づく。慌てて先のコンビニまで足を延ばし、チョコを買ってお金を崩す。そして自転車屋まで戻り、百円玉二枚を缶に落とし込む。そうこうしいるうちに、対談の時間が近付いて来てしまったので、さらに慌てながら『モノガタリ』へ。古本屋や書店について、ペラペラと熱く楽しく語り合ってしまう。当対談については後日詳細をお知らせしますので、どうか発売日に書店に駆け付けていただければ幸いです。

帰りは『神楽坂』を東に下り、飯田橋より帰路に着く。家に帰ってからは、仕事をしながら再びの古本束作り。だが、500均〜自由値付けゾーンに入ってからは、本の選択に時間がかかり、あまり山を切り崩せない状況が続く。仕方ないので、再び均一本候補をある程度掘り出しつつ、そのスピードと勢いでアンコになりそうな古本をジワジワッと選び続ける。結局二本の束を作ったところで、あっという間に疲労してしまったので、本日の作業を終了とする。今日の再読したかった発掘本は、ちょっと手こずっている、なかなか高さの減らない仕事部屋左側の山から出て来た二冊を紹介しよう。一冊目は港雄一の「犯し屋ブルース」。最低のタイトルだが(“犯し屋”は港の男優としての異名でもある)、ポルノ映画男優・港の駆け抜けて来たマイナー映画世界の貴重な記録であり、抜群な面白さを誇っている。大和屋竺の名作『荒野のダッチワイフ』主演時のエピソードが載っているのも高得点。二冊目は薄手の自費出版本で、有名切手マニアが、切手を題材にした珍しい小説と言うことだけで昭和六十三年に復刻した「探偵小説 切手の奇遇」である。昭和三年に講談社「キング」に掲載された、ゆったりとした二段組み十ページの短篇で、大阪と東京を舞台に『キ半銭』という稀少なエラー切手を巡るストーリー。作者の此木久山は切手マニア界重鎮のペンネームで(他に『洒落録保留無寿』という筆名も)、挿絵は松野一夫。解説は基本的に、コレクターとしての作者と切手のことばかりなのが、ただただ素敵である。
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2017年02月06日

2/6「澤口書店 小川町店」は閉店セール20%off中!

午前十一時過ぎに水道橋駅に降り立ち、古書街のパトロールに取りかかる。ガード下から『白山通り』を南下し始め、初っ端の「有文堂書店」(2010/09/03参照)でまだ開店準備真っ最中のオヤジさんから宝文館「随筆集 植物學九十年/牧野富太郎」を500円で購入する。そのまま南に早足で下り続け、愛しの「日本書房」(2011/08/24参照)では先客のライバルが店頭和本タワーに執拗に挑んでいるのを目撃し、ハラハラしてしまう。彼が退いた後に慌てて飛びつくと、ちょっと良さげな仙花紙本が、しっかり残っていたじゃないか。良文堂書店「江戸自慢 風流伊達姿/桑野桃華」(桑野は探偵小説「ジゴマ」の訳者でもある。この本は二代目市川團十郎の小説で、装幀や口絵を伊藤晴雨が担当している)を300円で購入する。
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そのまま通りを下り、今日はいやに長い焼肉屋の行列横を通過しながら、「アムール」(2011/08/12参照)でコロナ社コロナ・シリーズ「人工衛星/新羅一郎」「渦/鬼頭史城」を計100円で購入。『靖国通り』では西に東にと行き来するが、結局何も買えずじまいだったので、すぐさま古書街から離れるようにして『靖国通り』を東へ東へ…。そうしてようやく『小川町交差点』を過ぎると、地下鉄出入口の横のビルの谷間に挟まれた、コメントタレコミ近々の閉店を知った「澤口書店 小川町店」(2008/08/14参照)が見えて来た。あっ、確かに店頭新書棚の脇には、赤い『閉店セール20%off!!』の貼紙がある。セールは二月末まで…今後は、神保町の「神保町店」(2011/08/05参照)「巌松堂ビル店」(2014/04/12参照)と「東京古書店」(2014/12/17参照)に、すべての機能を集中させるということだろうか。ビルの谷間の青空をバックにした、『安い本』やドデカい『本』の看板を仰ぎ見て、四角い洞窟のような店内に足を踏み入れる。右には文化系の専門書が並び、左は文庫を中心に文学や歴史が続く。主に文庫棚に意識を集中して、恐らく最後になるであろうお店での買物を楽しむ。店内には「巌松堂ビル店」の詳しい店内見取り図あり。しかし、入口近くと、奥の曲がり込み少し上がり込んだアダルトコーナーの、蛍光灯の明滅具合は、なかなか激しいものがある。大都会のど真ん中なのに、無闇に場末感を覚えてしまうほどである。…今がこの状態ということは、恐らく閉店までこのチカチカ状態で、乗り切るつもりだな…。新潮文庫「幻花/梅崎春生」を20%オフの160円で購入する。そしてこのお店での心残りと言えば、今はもう入れぬアダルトだらけの二階に、一度くらい勇気を出して上がってみるべきだったかなということ。いったい外から様子をうかがえぬ階上は、どんな構造になっていたのだろうか…。
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2017年02月03日

2/3「雲波」復活!久米元一!! 中川信夫!!!

昨年店主の急逝により、休店を余儀なくされていた国分寺の「古本 雲波」(014/09/05参照)が、いよいよ本日から奥さまが店を継がれ、再始動!新たなるお店の門出を目撃するために、中央線で西へ。巨大タワーマンション建築の槌音が響く北口を抜け、商店街を通って『国分寺街道』の坂道に出る。北にグイグイと向かい、ベーグル屋の前を通り、右手前方に今日も「才谷屋書店」(2012/05/07参照)が開いていないのを確認すると、青い日除けの下の「雲波」は、以前と同じ姿で営業中であった。
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均一壁棚を眺めてから店内に上がり込むと、すでに先客が三人ほど。恐らく本日の再開を待ち望んでいた方々ではないだろうか。棚には変わりなく本が詰まり、安値で良書を並べていた雲波らしさを保持している。つまりは、左側の絵本や児童文学関連(絶版漫画が繁殖中…)以外は、元のままなのである。だがこれからは、奥さまが棚を整理したり補充したり買取したりして、古本屋を営んで行くことにより、ゆっくりゆるゆると変化し続け、新たな雲波の展開を見せて行くのだろう。それにしても、いつの間にか店内には、本棚や床板の木の香りではなく、古本の匂いが満ち満ちている。…う〜む、とても良い香りだ…。じっくりと店内を一周している間に、先客はみな古本を買っていく。奥さまは活版印刷について聞かれたり、「これからもう、ずっと開いてるの?」などと聞かれたりしながら、新たな営業日と営業時間を伝えている(12:30〜19:00で金土日月営業。夏休み&冬休みあり)。くさぶえ文庫「子どものための科学の本/吉村証子」毎日新聞社「餓鬼一匹/山中恒」を計650円で購入し、新たな門出をささやかに祝う。

再び中央線の人となって、西荻窪下車。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に立ち寄り「フォニャルフ」に補充する。すると同じ「古本ナイアガラ」の「本棚探偵のひとたな書房」が、入替補充したばかりなのにもはやスカスカになっている、背筋も凍る状況が目に留まる。だが!スカスカでもそこには、素晴らしき本がナナメになりつつも、まだ並んでいた!偕成社「白髪鬼/久米元一」である!貸本仕様で、落書き(文字の落書きで『ガンテツ』『くそたれ』『ニクリロ』などの言葉が見返しに書かれている)はあるが、それでもカバーはキレイだし、見返しがテープで補強してあり、糸かがりされているとは言え、本文ページはいたってまとも。それが値段を見ると、何と2000円なのである!本棚探偵に膝を屈するように、購入を決意する。聞けば棚には同様のジュニア探偵小説が並んでいたそうだが、二人の古本神が神速でかっさらっていったとのこと。ところがこの「白髪鬼」は、神たちがすでに所持していると言う理由で、奇跡的に残されていたのであった。
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というわけでお店に許可を採り、本棚探偵棚札とともに、喜び悶えながら記念撮影。

その後は帳場にて店主・小野氏と、仕事の打ち合わせや月末に予定している個人古本市(近日中に詳細発表いたします)の話をしていると、先日手伝った買取本が、整理も値付も終わって棚に並んでいるというので、より充実した映画棚を、わが子を見るように観察する。ところがその中の一冊に、おかしな気を感じ取る。映画監督・中川信夫の詩集?中川信夫が詩集を出していた?思わず苦笑いしながら、その詩集を手にして開いてみると、途端に本扉裏に筆で書かれた識語署名が現れた。それを隣で見ていた小野氏が「あっ…」と微かな声を上げる。こちらも「これ…」と、思わず時間が停まる。値段は激安の千円なのだが、このまま購入してよいものか逡巡すると、小野氏は即座に覚悟を決め「いいよ、千円で。いいよ」と男気を見せてくれた。ありがとうございます!雑草社「中川信夫詩集 業(ごう)」を購入する。奥付を見てみると、発行所と著者である中川信夫の住所が一緒なので、ほぼ自費出版本であることが分かる。ビニカバが付いて、何故か小豆色と紺色の帯二種(表1表4のアオリやキャッチが異なる)が巻かれている。長らく絶版だったらしく(自費出版本だから当然か…)、2009年に『中川信夫偲ぶ会酒豆忌』により復刻されたことを後で知る。
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再び喜び悶えながら記念撮影。今日は何だか、素晴らしい古本日和であった。
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2017年02月01日

2/1小山清に喜び六本木に古本屋さんの幻を視る。

午前から細かい仕事に集中していたら、ムラムラと古本が買いたくなってしまい、キリの良いところで家を飛び出し、早足で開店直後の荻窪「ささま書店」(2008/08/23参照)に駆け付ける。店頭はそれほどでもないが、店内にはすでに多数の古本修羅の侵入を許してしまっている…。買うぞ買うぞと意気込んで、店頭で四冊を掴んでから店内文庫棚にベタづきする。どこかに動きはないものかと、一棚ごとに視線をゲーム『ドンキーコング』の樽のように左から右→一段下→右から左と走らせることを繰り返し、結構下方の“こ”のコーナーに小山清の文庫が二冊並んでいるのを発見する。共に新潮文庫の「落穂拾ひ・聖アンデルセン」なのだが、一冊は平成復刻版でカバーに汚れがあるため420円。あれ?こっちは…元パラ&白帯…ということはオリジナル版か!そっと手に取り奥付を見ると、昭和三十年十一月二十日の初版である!初めて古本屋さんで出会ったぞ!では値段は?最終ページに貼付けられた値段札を見ると、これが525円!もちろん遠慮会釈なく買わさせてもらいます。今日もありがとう、「ささま書店」!桃源社「黄金バット 天空の魔城 彗星ロケット/永松健夫」芳賀書店「破滅SF 破滅の日/福島正美編」未来社「すねこ・たんぱこ 第二集 岩手の昔話/平野直編」大陸書房「日本の妖怪/早川純夫」山と渓谷社「現代の探検 創刊号」等とともに計1365円で購入する。
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喜びを記録しておくために、向かい側の歩道からお店とともに記念撮影。

満足したのでスタスタ家に戻り、しばらく真面目に仕事する。午後に再び外出し、先日の古本神と古本魔神の響宴に参加した折に耳にした、六本木にあった「竦書店誠志堂」(2008/12/16参照)が秘かにビル階上で営業しているらしいという情報を確かめに行く。深い深い大江戸線ホームから地上の『六本木交差点』に脱出し、早速交差点近くの古本屋さんのあったビルを見に行く。ビル入口や壁面には、店舗については何も情報が出ていない。だが、細く昭和の通路に踏み込み、ビルの案内板に目を凝らすと、五階部分に「竦書店誠志堂」の表示があるではないか。せっかくここまで来たんだ。とりあえずエレベーターで向かってみようと、通路奥のこれまた昭和なカゴに乗り込んで上階へ。扉が開くと、静かで人の気配はない。階段室から左側の通路の様子をうかがうと、奥に確かに古本屋さんが存在していた。
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壁に立て掛けられているのは、何処かで使っていた看板を外し、そのまま使用しているようだ。でもやっぱり、これは明らかに事務所店である。常連さんや、予約をしてから入店するのが、正しい作法であろう。忍び足でエレベータに引き返し、階下へ。

せっかくここまで来たので、歩いて渋谷方面を目指し、『宮益坂』上の古本屋さんを観測して行くことにする。交差点近くの『六本木通り』は、街にも道行く人にも生活感はにじんでおらず、ただリッチでハイソなライフスタイルの潤いのみに満ちあふれている。北側の歩道を西に歩いて行くと、首都高越しにかろうじて日光が降り注ぎ、少しだけ暖か。テクテクテクテク大都会を、蟻になった気分で歩き詰め、結構急な『霞坂』を下れば、そこが西麻布。谷底から、これも角度のきつい急坂を上がってさらに西に進み、化粧品広告ばかりがディスプレイされた『富士フィルム』ビル前を過ぎ、およそ一キロの『骨董通り』に入り込む。途中、現代的なビル一階に小さな本屋があるのに気付き、いそいそと近付いてみると、「BIBLE HOUSE」という、多種多様な聖書を集めて販売しているお店であった。そして七車線の『青山通り』を渡り、左に『青山学院大学』キャンパスを臨みながら渋谷方面に進んで行くと、まずは「巽堂書店」(2008/07/04参照)が出現。いつもとは逆のルートなので、なんかちょっと新鮮なアプローチである。牧神社「鳥葬 梅原彬暉詩集」講談社「燃える薔薇/中村真一郎」(函ナシ)能登印刷出版部「ふるさと文学探訪 鏡花・秋声・犀星」日本出版協同株式会社「ミッキー・スピレーン選集3 復讐は俺の手に」(元パラ帯付きで、帯文と解説は大下宇陀児である)を計400円で購入。続いて「中村書店」(2008/07/24参照)に飛び込み、角川文庫「JAMJAM日記/殿山泰司」朝日文庫「魔都/久生十蘭」を計830円で購入する。後は『宮益坂』をグングン下り、人が渦巻く谷底の駅へと向かう。
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2017年01月18日

1/18侘しい古本屋犬走り

高円寺近辺でお仕事。本当は今日から始まる銀座『松屋』の「第33回 銀座古書の市」に行くべきなのだが、残念ながら疲れて、踵が軽やかに地を蹴られぬのだ。なので日和ってあきらめて、高円寺の古本屋を彷徨おうと思ったのだが、折り悪く今日は定休日の多い水曜日。だが、あそこならば盤石の営業をしているはずだと、『あづま通り』を進んで「越後屋書店」(2009/05/16参照)前。もうここ十年ほどは、お店も店主も、いつ来てもそのままの変わらぬお店である。ほとんどの人が立ち止まることなく、お店の前を素通りして行く。だが珍しいことに、木の文庫ワゴンを眺めていると、隣りでアグレッシブに若者が身を突然乗り出し、本を眺め始めたのだ…もしかしたら定点観測店なのだろうか…あ、何も買わずに離脱した。店頭をすぐに見終わり、店舗兼住宅脇の犬走り的通用口への細道に滑り込む。ここに入ると、途端に世俗から離れ、近距離に外棚が迫ってくる。ほとんど動かぬ並び、奥へ行くほど薄暗くなる住宅と住宅の隙間、奥から聞こえるテレビの音、吹き抜ける冷たい風、一瞬で通り過ぎるスリット状に切り取られた通行人の姿…ここの侘しさは本当に格別で、じっと望みの薄い古本ばかり眺めていると、世間から脱落した背徳感さえ漂ってくる…あっ!、だが今日は、立風書房「じんじろげの詩/愛川欽也」を発見!これはちょっとした拾い物である。外棚は三冊買っても200円なので、他に岩波新書「明治大正の民衆娯楽/倉田喜弘」(生人形師・松本喜三郎の章が!)関東図書株式会社「盆栽捷径/日本盆栽会編」を掴んで店内へ。久々にすべての通路を見て回ると、ブランクの部分が徐々に増えてきているような気が。老店主は相変わらず時々唸り声を上げ、帳場で小さくなっている。精算をお願いすると、天眼鏡で本の地を確認。そこにペンで付けられた×印を確認すると「200円ですね」。お金を払い、袋を断り、「大丈夫ですか。ありがとうございます」の声に送られ通りに戻る。ここの古本犬走りで本を買うのは、月に一二度だが、もしかしたら私が一番多く、この外棚から古本を買っているのかもしれない。決してオアシスではないのだが、心がプルプルゼリーのように震える、なくてはならない、大都会の侘しいエアポケットである。
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2017年01月12日

1/12早稲田で古本屋さんと打ち合わせる

正午を目標に外出し、早稲田駅で学生の波に揉まれながら地上に出る。『早稲田通り』を西に進んで坂を上がって、最初に見に行ったのは、『早稲田大学』西門前の「畸人堂 W大学西門前店」(2012/09/14参照)。コメントタレコミですでにもぬけの殻であることを教えられたので、ダメ押しに確かめに来たのである。…あぁ、本当に空っぽだった…。「畸人堂」は、ツアーを始めてから新宿南口のお店は間に合わなかったが、新大久保の「古書畸人堂 百人町店」(2008/07/22参照)と同じ早稲田の「畸人堂 ガレージ店」(2012/10/17参照)は滑り込めている。変転の多いお店であったが、今は果たしてどうなっているのであろうか。
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そのまま『早稲田通り』を西に進み、「三幸書房」(2012/09/05参照)で今日の話題社「「七人の刑事」と幻の刑事ドラマ 1960-1973/羊崎文移」を100円で買ったりしながら、「古書現世」(2009/04/04参照)に到着。本を真剣に選びながら次第に帳場に近付き、店主・向井氏に気づかれたところで挨拶を交わす。実は来る1/27(金)に神保町「@ワンダー」(2009/01/21&2014/05/22参照)二階の「ブックカフェ二十世紀」で氏とトークをすることが急遽決まったので、挨拶がてら軽く打ち合わせに来たのである。思えば最近の向井氏は、イベントの司会や聞き手で登壇することはあったが、自身についてメインで話すのは、実に実に久しぶりのことなのである。なのでいったい何を話したら聞いたら良いのやらと、直接聞きに来たのだが、たちまち話はボインボイン弾み、何も心配する必要はないことが判明する。どうやら二代目としての古本屋稼業の始まりや、驚異の古本屋バブル時代の話や、古本屋なのに全力で手広く定期的に開催するイベント類について語ることになる予定。「NG話はありません!」とのお墨付きもいただく。恐らく、いつまでもいつまでも話せることでしょう。私はそのブレーキ役を、楽しく務めるつもりである。詳細は追ってお知らせするが、みなさま1/27金曜夜のスケジュールを、ぜひぜひ空けておいてください!向井氏も、ずっと「@ワンダー」鈴木氏の口説きを躱し続け、ようやく二年がかりで口説き落とされたところで「ひとりじゃとても喋れない」と言っていた筈なのに、突然大きく出て「四十人くらいは集まって欲しいな」とつぶやいております。二見書房「機動戦士ガンダムプラモ改造法」光書房「プロデューサーの仕事/高瀬広居」双葉社「推理ストーリー 昭和三十八年10月号」を計700円で購入する。
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2017年01月10日

1/10古本屋本第三弾制作始動!

「盛林堂書房」出版部より、2015年に「野呂邦暢 古本屋写真集」2016年に「岡崎武志×古本屋ツアー・イン・ジャパン 古本屋写真集」と、岡崎武志氏と共編で出してきた、超マニアック古本屋本を今年も出版するために、アイデアを固めてすでに動き始めている。前二作とは違ったタイプの、古本屋愛に塗れた本になるはずなので、古本屋好きのみなさまは刮目してお待ちください。発売は今のところ春先になる予定。
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制作作業の一環として、このようなガイドブックを駆使し、様々な古本屋さんと日々格闘中である。

そんなガイドブックの山から、ふと目を上げて、ちょっと実地に地図上の古本屋さんを見たくなり、作業のスピンオフとして中央線で西へ向かう。まぁただ、久しぶりの古本屋さんに、会いたいだけなのだが…。武蔵境で下車して、北口の「浩仁堂」(2011/02/15参照)に向かうと、店頭にラックや細長台を出し、健康的に営業中。ラックから一冊抜き出し、店内でも二冊を抜き取り精算する。すると応対してくれた女性が、「まぁ!この本懐かしいわね。あら、訳が渡辺茂男じゃない!」と本を見て大喜び。渡辺茂男…スゴいピンポイントだな…。学研「サムくんとかいぶつ」(函ナシ)裳華房「犯罪鑑識の科学/小沼弘義」ヤマハ音楽振興会「だれも知らなかったポール・マッカートニー」を計300円で購入する。そのまま西側にあるはずの「BOOKS VARIO」(2011/01/18参照)に立ち寄ると、嗚呼!すでに現代的ピンク色の鍼灸院になりぬるか…さらば。コンクリの高架を南に潜って「境南堂書店」(2009/02/11参照)も見に行くが、やはりいつも通りシャッターを下ろしたままである…このお店に限っては、もはや営業している時より、シャッターを下ろしている時を見た方が遥かに多い。またいつか、ガシャリと上げてくれると良いのだが。さらに果樹園のある通りを南に下り、「プリシアター・ポストシアター」(2015/01/03参照)前。残念ながら店舗営業はお休みであったが、ドアに営業日が貼り出されているので、だいたい水〜金辺りに営業しているのを把握する。そのまま西に歩き続けて、見たこともない住宅街の中の間延びした商店街を踏破し、東小金井駅。『くりやま通り』の駅前商店街にある「BOOK・ノーム」は、テント看板の店名文字を、よりおどろどろに劣化させながらも、元気に営業中であった。小さな町の古本屋感も相変わらずで、リサイクル的棚造りも健在である。帳場のご婦人は、薄暗い帳場の奥で、仕入れた本を丁寧にチェック中である。講談社「青い鳥文庫ができるまで/岩貞るみこ」を400円で購入する。武蔵境から武蔵小金井までは、数は少ないが古本屋がちゃんとあるのに、中央線的には余り途中下車せぬ“古本屋間隙地帯”のイメージが強い。まぁ中野〜三鷹間の光が強烈過ぎて、うっすら霞んでしまうのも確かに仕方のないことである。だからこそ時々、とても見に行きたくなってしまうのである。何か素晴らしい獲物が、スヤスヤと人知れず眠っているのではないかと、愚かに楽しく妄想して…。
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2017年01月08日

1/8やはり「プラハ書房」は不動の良質を誇っていた。

今日も午前十時に部屋着に厚着して外に飛び出し、「帰ってきたJ-house」(2015/12/26参照)の朝市へ。鈍い曇天の下の、雨が降り始める前の店頭は寒過ぎるのか、猛者もなんだか少なめである。南雲堂「映画&英会話 駅馬車」を100円で購入する。懇切丁寧な解説入りの英和シナリオと、映画から直接録られた音楽(つまりセリフも効果音も入っている)カセット一本が付いている。1973年刊で、当時の値段が2500円……。

ちゃんと着替えて午後に外出し、大好きなはずなのに、あまりに足を運んでいない至宝の古本屋さん「プラハ書房」(2010/12/22参照)を訪ねることにする。もう一年以上もほったらかしているなんて、なんと愚かな!その間に、どれほど良い本が売れてしまったのかと考えると、身体がたちまち古本嫉妬の業火に包まれてしまう。そして、久々にあの空間を堪能出来る期待と、ちゃんと開いているだろうか?という不安をないまぜにしつつ、もしかしたらあんな本やこんな本が並んでたりして…などと都合の良い妄想全開の愚かな男を乗せ、高架列車は冷たい雨の中を北へ走り続けている…。東武スカイツリーラインの、立派なのにとても寂しい蒲生駅で下車し、駅東口の巨大自動車教習所の向こうに、テクテク回り込む。ガレージの柱に取付けられた『本』の文字が見えてきた。そのガレージには車が停められており、外棚は既になく、ワゴンすら出ていない。だが、お店の中には、黄金の明かりが煌煌と輝いているではないか!
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サッシ扉を開けて中に入ると、左の帳場に座るオヤジさんは、手を擦り合わせて指先の暖を取っている。なんだか店内に本とダンボールのタワーが、かなり増殖している。正面の100均文庫台上のほとんどは横積み単行本タワーに覆われてしまっており、右側通路の手前はダンボールや本の山に塞がれ、通行不可となっている。それにしてもこの大量の本は、いつもいったい何処から買い入れてくるのであろうか…本タワーの中には古い大衆小説がチラホラし、その無尽蔵とも錯覚する豊かさに、盲目的に感心してしまう。早速そんなお店の雰囲気に飲まれながら、各棚を検分して行くと、どこもしっかり風が吹いており、やっぱりとても良い感じ。狭い通路にも入り込み、積み重なる本の背にも目を凝らし、楽しい時間があっという間に過ぎ去って行く。気になる本を何冊も何冊も手にして行くと、冷たい本の表面温度に体温を奪われ、終いにはオヤジさんと同じように、手を擦り合わせて暖をとる、自分がそこにいた。そして中央通路の棚下平台に、大日本雄辯會講談社「無敵日本軍/武藤貞一」が千円で売られているのを発見する。昭和十三年刊の、主に中国大陸での進撃を、大日本帝国の偏った視点のみから取り上げた、旧日本軍礼賛の児童書である。補修はしてあるが、ちゃんとカバーも付いている。こんな本が、ポロッと安値で置かれてるんだもんな。そんな風に、久々の「プラハ書房」に大いに感心しながら、その一冊を購入する。やっぱりここには、もう少し、マメに足を運ぶべきだな。
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2016年12月30日

12/30恐らく今年最後の古本屋さんの閉店を看取りに行く。

コメントタレコミにより、三十日で閉店のお店を知る。今年ラストとなるであろうお店への挽歌を歌い上げるには、ぜひともその最後の姿を見届けておかねばならない!と、埼京線で板橋駅下車。西口に出て、まずは道すがらの「板橋書店」(2009/07/18参照)を開いてるかな?と見に行くと、嬉しいことに営業中。静謐で混然とした店内通路を彷徨って、縦横に積まれた本の中から抜き出した、気になる薄手の一冊は、やった!嬉しいことに書肆ユリイカ本!もしかしたらこれが、今年最後の素晴らしい獲物かもしれないと喜び、さらに一冊。書肆ユリイカ「蒼い馬 滝口雅子詩集」(カバーナシ)新潮社「黒い顔の男/新田次郎」を計500円で購入する。早速路上で128mm×172mmの鼠色小型変型本を慈しみニヤニヤしながら、おぼつかない足取りで裏路地を西に向かって進んで行く。やがて板橋区役所前の『高田道』に入れば、半地下の「いのいち」(2010/01/09参照)が、『閉店のおしらせ』や『文庫&マンガ105均セール』の貼紙を、階段やドアに貼り出しているのに行き当たった。
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均一文庫棚に視線を走らせ、階段を下りきって店内に入ると、そこは通常と変わらぬ、コミックと文庫とアダルトが元気な、古本的に凪いだ世界。奥の単行本棚や右側手前の絶版漫画棚は時間を停めっ放しなのだが、ここにもセールは適用されるのだろうか…あっ、袋入りの本はセール対象外のようだ。奥のレジではお客である若者が、古本屋人生の越し方を店主から拝聴中。床板をギチギチいわせながら、店内105均棚から一冊抜き取り、さてこれだけでは何だか寂しいと思うので、思い切って袋入りのコミックを一冊セレクトする。話に割り込み精算をお願いすると、袋入りのコミックを見たオヤジさんは「おっ!いいの?買うの?」と軽く驚く。「ハイ」と答えると「ん〜、じゃあもう店じまいだから、全部で千円でいいよ」と大胆に値下げを断行してくれた。「ありがとうございます。そしておつかれさまです」と喜びながらも、ちょっと文章のような言葉でお礼を伝えてしまう。すると「これ、初版だからね。初版っていうのはね、一番最初に刷られたものってこと。だから価値があるの。汚したり、お茶こぼしたりしちゃダメだよ。大事にしてね」と教えられる。函館春秋社「3等客■アメリカを■鈍走/村上卿」講談社コミック金田一探偵シリーズ3「悪魔の手鞠唄/いけうち誠一」(こちらがその初版本コミック。帯が付いており『横溝正史の世界に挑戦しよう』『金田一名探偵はどうさばく!』などのキャッチがたまらない)を購入する。半地下の板橋的NYスタイルのお店がここにあったことを、忘れません!

夕方に再び外出し、今年最後の「ささま書店」(2008/08/23参照)店頭にかぶりつく。が、寒さに震えながら何も見つからず。代わりに店内奥のミステリ関連棚から、朝日文化手帖3「誰にも言えない/大下宇陀児」を525円で見つけ、ささやかな幸せを噛み締める。その後は西荻窪に赴き、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)内の「フォニャルフ」棚に強力な本を補充する。何たって、来春から、本棚探偵が「古本ナイアガラ」に参戦されるのだ。ウカウカしているわけには、決していかない!と思っていたら、すでに喜国雅彦氏の本棚探偵棚が出現していたので、大いに驚いてしまう。…やっぱりすげぇ…。みなさま、様々な古本マニアの棚とともに、「フォニャルフ」を引き続きよろしくお願いいたします!さらにその後は、某編集氏宅である『本の家』に向かい、岡崎武志氏・盛林堂小野氏ご夫妻とともに作戦会議忘年会。来年も古本屋世界に精一杯のさざ波を起こすべく、年の瀬ギリギリまで奮闘する。だが途中から、何故か東映動画アニメーションの話題にはまり込み、岡崎氏の『わんわん忠臣蔵』への愛が、ダダ漏れになってしまう。
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2016年12月26日

12/26驚きの閉店延期理由に接する!

さて、今年閉店してしまうお店として、最後に気になっていたのが新中野〜東高円寺間の「プリシラブックス」(2012/02/14参照)である。今日はもう二十七日…年内にお店を閉めるという話だったので、もしかしたらもうやっていないかもしれない。そんな遅刻の危惧を抱きつつ、阿佐ヶ谷から冷たい冬の中をトボトボ歩き始め、五十分ほどかけて東高円寺着。『青梅街道』から住宅街の中に入り込んで、街の中に隠されたような生活道路に面した、お店の前に到着する。ウィンドウのブラインドは、すべて下ろされている…間に合わなかったか…おや?中には本棚やラックが残っており、ちゃんとそこに本も並んでいる。看板もそのままか…そして何処にも閉店のアナウンスはなく、変わった物と言えば、ドアの上に吊るされたてるてる坊主のみ…これはいったいどういうことなのか?お休みなのか、もはや閉店後なのか?考えても答えは出ないので、お店の動向をちょっとネットで調べてみることにする。来た道を戻りながら、小さな画面を注視していると、驚くべきお店の現状が発覚!なんと店主のツイッターによると、十二月閉店予定を公言していたが、閉店するための資金が不足してしまっているので、今しばらく営業を続けることになった、と書かれていたのだ。…スゴい、スゴい理由だ。スゴい現状だ。喜んでいいんだか悲しんでいいんだか、まったく混乱してしまう営業状態だ。客が本を買えば買うほど、恐らく閉店は早まるのだろう。とにかく、が、がんばれ!プリシラブックス!しかしということは、今日はお休みということになるのか。これはまたしばらくしたら、ちゃんと様子を見に来なければ…。

狐につままれたようになりながら、高円寺へ足を向ける。「アニマル洋子」(2014/03/14参照)で六興出版「料治熊太の見直し文庫◉日本の雑器五十章◉」を100円で購入すると、『ルック商店街』のスクラッチカードをプレゼントされる。削ってみたら外れであったが、裏面を見ると加盟店印の枠に、ちゃんと「アニマル洋子」の判が捺してあったので、古本屋ファンとして少し嬉しくなってしまう。『庚申通り』の「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)では、店頭で「らく N0.2 APRIL1989/都市のフォークロアの会」を見つけて100円で購入する。民俗学者・大月隆寛が出していた民俗学同人誌である。『バックミラーの中の都市 タクシー・ルポルタージュの視線』『女子プロレスの戦後史・序説』『浅羽通明×大月隆寛対談』『「消えるヒッチハイカー」ブックレビュー』などなど、なかなかバラエティに富んで刺激的。突然こんな物と出会える古本屋さんの店頭も、とても刺激的なのである。最近この「サンカクヤマ」店頭では、見知らぬ、だが、グンと興味を惹く小冊子に出会うことが多く、ちゃんと探せば何か見つかるので、もはや欠かせぬ定点観測店と化している気が。
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「らく」とスクラッチカード裏面。
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2016年12月24日

12/24「立石書店」はやがて“兄弟倉庫”となる。

今日もわめぞ忘年会でのタレコミを基に動き始める。東西線に乗って早稲田駅下車。地上の『早稲田通り』坂下から西に歩いて行くと、『穴八幡宮』がお祭りの賑わいなので、無抵抗に吸い寄せられて急階段を上がり、露店の屋根が被りトンネル状と化した狭い参道を、クリスマスイブ気分をぶっ飛ばすように情緒を楽しみ、勢いで行列に並び参拝した後に『一陽来復御守』も勢いで購入してしまう。参道に戻って、甘酒を飲みながら、清酒ケースで作られた露店の椅子に腰を下ろし、屋台の向こうを行き交う人を、漫然と眺めてしばらく過ごす…服装やスマホなどにギュッと目をつぶれば、江戸時代とそう変わらぬ、一場面のようだ。『みぎひだり 楽しみ行く顔遥かなる 時間をねじ曲げ 未知既知投影』…ダメだ。デタラメ過ぎるな。もっとこう、ちゃんとスムーズにてらいなく気持ちを……ハッ!俺は、いつまでも、こんな現実逃避の世捨て人モードに浸っているわけにはいかないのだ。あの古本屋さんを、見に行かなければ!甘酒を飲み干し立ち上がり、「ごちそうさま」と大きなゴミ箱に紙コップを投げ入れ、西寄り奥の社横の坂道から『早稲田通り』に舞い戻る。そして少しだけ道を引き返すと、あぁ、店主本人の口から笑いながら教えられた通り、「立石書店」(2009/12/11参照)は看板を撤去済みで、すでに店舗を閉店していたのであった。
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それはそれは、清々しいほどの撤収っぷり。早稲田から、またひとつの星が、流れ落ちたか…。そして店主が言うところ、弟さんが経営する「古書英二」(2012/06/15参照)も近々早稲田のお店を畳んでしまうらしい。その後は兄弟で大きな倉庫を借り、倉庫事務所の「立石書店」「古書英二」としての活動を予定しているのだ。よし、決まって落ち着いたら、どうにかしてツアーさせてもらおう。それにしても兄弟で倉庫…兄弟倉庫…なんだか鳥羽一郎の『兄弟船』みたいな…♪駅から遠いが、在庫は豊富〜♪。

そのまま『早稲田通り』を西に歩き続け、「ブックス・アルト」(2016/01/13参照)もついにその面影をすっかりなくしているのを確認して、「江原書店」(2011/02/22参照)。増田精神顕彰会「巡査大明神全傳/内田守」(明治時代のコレラ流行時に、その防疫のために身を呈して決死の活動をし、ついに自身がコレラに倒れてしまった警察官の伝記と、その警察官を神として祀る神社由来記)を100円で購入する。冷たく通りを吹き荒れる風に喘ぎ喘ぎ抗いながら、続いて「二朗書房」(2011/03/14参照)で桃源社「捕物そばや 十手往来の巻/村上元三」晶文社「黄色い部屋はいかに改装されたか?/都筑道夫」を計300円で購入。それにしても、今日は早稲田古本屋巡りをしている人がたくさんいるような…そんなことに気づきながら、さらに冷たくなった風に吹かれていると、いつしか体力を奪われてしまい心も折れてしまい、後は数店の店頭を撫でるだけで呆気なく敗走してしまう…うぅ、ガタブルガタブル…。今日は昨日に比べて、なんて寒い日なんだ。
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2016年12月15日

12/15車窓に流れた「一信堂書店」最後の繁盛の勇姿!

先日買った藤子不二雄「二人で少年漫画ばかり描いてきた」を楽しく読み進めているのだが、途中意外な人物の名を文中に見つけてしまい、驚いてしまった。ある一ページに、絵物語全盛期の昭和二十八年の芸能者(ここでは絵描き・挿絵画家・漫画家など)の課税番付が、表で掲載されている。
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一位が「少年ケニヤ」などの山川惣治で、二位が挿絵の大家「岩田専太郎」。他横山泰三や清水崑や小松崎茂などが続き、漫画家の手塚治虫はまだ十位に留まっている。ところがなんと九位には、花森安治の名があるではないか!「暮しの手帖」のイメージばかりが先行しがちだが、それだけ装釘・挿画やカットなどの仕事を、驚異的にこなしていた証と言えよう。それにしても、恐ろしく稼いでたいんだなと、あまりスポットの当たらぬ金銭的一面を見出したことに、読書する喜びをじんわりと実感する。

そして今日十二月十五日は、練馬「一信堂書店」閉店の日(2016/10/26参照)なので、様子を見がてら最後の古本を買いに行くことにする。関東バスに乗り込んで中村橋に向かい、西武池袋線で練馬駅下車。二階東側の改札を抜けると、エスカレーター脇に大きな「一信堂書店」の看板があり、そこにもすでに閉店のお知らせが貼り出されていた。
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南口に出て、消防署の前を通過してお店にたどり着くと、店頭棚には何人かの人が張り付いている。おっ!店内にも各通路&スペースに二三人の人の姿があり、寂しくも賑やかな営業最終日の花道を歩んでいる真っ最中!棚にまだ本はしこたま並んでおり、以前の営業時からそれほど変わっていない模様。だが、通路のそこかしこに、見慣れぬ質の良さげな古書の古本タワーが出現しているので、そこを集中的にチェックして行くことに決める。しゃがみ込んで覗き込んで、時たま本を移動させたりして、一冊一冊書名をチェックする…このお店で、こんなにアグレッシブに血眼になるのは、初めてだな。値段の付いてないものが散見されるが、これは帳場で勇気を持って値を聞くことにしよう。ご婦人の座る帳場では、精算するお客さんがそれぞれに、労いつつお礼を述べているので、タイミングを見計らって本を差し出す。「これ値段が付いていないんですが…」するとご婦人はインターホンで、階上の店主を呼び出してくれた。すぐさまワイルドな店主が現れ、パラパラと本を観察…「こっちは1500でこっちは500」と、己の知識と勘と心意気だけで、値を即座に叩き出してくれた。「いただきます!」と快く了承し、最後の精算に入る。光文社文庫「少年探偵手帳/串間努」日新閣「燈影奇談/村松梢風」(函ナシ。大正九年刊の怪談奇談集)信濃郷土史刊行會「信濃怪奇傳説集 全」を二割引の計1620円で購入する。駅に戻ってバスに乗り込むと、高架下を潜って消防署の通りに曲がり込み、車窓には別れたばかりの一信堂が流れて行く。壁棚の前には、さっきよりたくさんの人。これで練馬駅近辺からは、純粋な古本屋さんは、ついに姿を消してしまうのだ。こんな眺めは、もしかしたらここいらでは二度と見られなくなるのかもしれない。そんな絶望と、もしかしたら誰かが何処かで小さな古本屋さんを始めるかもしれないじゃないかという微かな希望を胸に抱えて、バスは青い排ガスをを吐き出し、練馬をブルブル離れて行く。

※お知らせ
昨日より、「夏の古書市」(2016/09/01参照)や関西トークツアー(2016/11/13参照)でお世話になった、大阪の『梅田蔦屋書店』にて『古本屋ツアー・イン・ジャパン 小山力也のお蔵出しフェア』が、ひっそりと華々しくスタートしました。実は細々と販売され続けていた「夏の古書市」の残りに加え、新たに厳選した古本百冊強を迷惑にも送りつけ、壁棚を占領する勢いで展開していただいております!今年盛大に世話になった関西で、ちょっと大きな古本市を開けるのは、望外の幸せであります!ミステリ・文学・映画・漫画・美術・建築・おかしな本・雑本を中心に、フレッシュな並びを見せているはずなので、どうか西のみなさま、『ルクア イーレ』九階まで足を運び、競技場型書店片隅のカフェ『4thラウンジ』の超絶分かり難い壁面にどうにかたどり着き、周りの賑わいをものともせずに、古書の世界に耽溺していただければ!
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近日中にさらにフレッシュな新ネタも投入しますので、同居する新刊書の『古本屋ツアー』シリーズ単行本ともに、よろしくお願いいたします。
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2016年11月29日

11/29海老名で空振りして小田急下り方面を彷徨う

早くから動き始め、ラッシュアワーの中央線を経由して、小田急線で神奈川県入りする。海老名駅で下車し、すでに午前九時から営業し始めているはずの、移転した(とは言っても元のお店の対面である)「えびな平和書房」(2010/08/06参照)へと向かう。たまにはバスで行ってみるかと、東口ロータリーで幅を利かせている相鉄バスに勇躍乗り込む。駅前を離れた途端に急坂をぐんぐん上がり、広大な広場の相模国分寺跡や間近に迫る丹沢山系を車窓に眺め、丘の上の住宅街を下って、目的の『国分寺台ショッピングロード』に到着し、お店をすぐに探り当てる…だが無情にも、お店はぴしゃんと閉じていたのである…もう正午過ぎなのに。定休日でもないのに…。しばし現役感に満ち、社会闘士としてパワーアップした店頭をボンヤリ眺め、バスで来た道を徒歩でトボトボ引き返して行く。途中「さがみ国分辻書房」(2015/12/09参照)前を通りかかるも、こちらもまだお店は開いていなかった。こうなったら、近くのご無沙汰しているお店をハシゴしていくかと、駅に戻ってまずは相武台駅へ。

北口の商店街から少し離れたところにある「青木書店」(2009/12/12参照)は、小公園前でしっかりと営業中…あの紫色の日除けを見るのも、本当に久しぶりだ。こんな永谷園『ごはんですよ』的色合いの古本屋さんは、もしかしたら唯一無二…。
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よく滑るサッシ扉から店内に入り、大衆+文化+技術書+人文+戦争の空間に目を凝らして行く。高知発行の涙香資料本には盛大に心惹かれるが、四千円だったのであっさりと諦める。その代わりに映画棚で、あまり見かけぬ本を発見。新書サイズのケイブンシャ「決定版キング・コング/ゴードナー ターナー ウォーレス クーパー」は、ケイブンシャにしては珍しくそれほど粗い作りではなく、1933年版映画「キング・コング」のメイキングエピソード集と翻訳小説で構成されている。写真もスチールやメイキングやイメージボードが盛りだくさんなのが嬉しい。これが400円だったので迷わず購入する。

続いて小田急相模原に移動し、まずは「ツヅキ堂書店相模原ビデオ店」(2011/03/09参照)の様子を見に行くと、閉店のタレコミ通りに、看板はまだそのままだが、やはりシャッターがガッチリ下ろされてしまっている。
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合掌してすぐさま「二の橋書店」(2015/08/30参照)に足を向けると、ありゃりゃ、定休日でもないのにお休みか。潔く諦めて駅に引き返し、最後は町田駅で下車。北口から出て、そのまま『まほろ通り』を伝って古本ビル「高原書店」(2009/05/03参照)に到着すると、ほほぅ!いつの間にか、階段を上がった所から横に広がる小さな前庭に、古本が並ぶようになっているじゃないか。100均文庫棚・100均単行本棚・線引きアリ100均単行本棚(五所平之助の本、惜しいなぁ。本当に物凄く青のボールペンで、線引きが…)、それに長テーブルに展開された学術系全集群である。
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そしてビル内に進むと、床置きされた横積み本タワーの、各通路&各部屋の侵食具合がじわっと過激で、だいぶ倉庫感が増した状況に驚くと同時にニヤリ。全方位に注意を奪われながら、主だった部屋を観察して行く。やはりここに入ると、自然と…いや強制的に長居することになるなぁ。というわけでのめり込むとたくさん買ってしまいそうなので、古本心にセーブを掛けに掛けて、大同書房 犯罪實話新年號附録「世界犯罪隠語大辭典/西山光・黒沼健編」文藝春秋「壺中庵異聞/富岡多恵子」を計1188円で購入する。
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2016年11月25日

11/25「ふるほん横丁」はひっそりと五階に

中央線の人となり、まだ雪を被る屋根並を眩しく眺めながら新宿へ向かい、午前八時と、驚異的に早い時間からスタートする「第二十九回 新宿西口古本まつり」(2008/11/28参照)の初日に駆け付ける。地下改札を抜けると、日影の寒さが服をなんなく通り抜け、沁み入って来る始末。会場であるドーナツ形の『東京都交通広場』は、所々にガラスウィンドウと柱があるとは言え、ほぼ吹き曝しの通路状態である。広場前を足早に歩き去る多くの勤め人の向こうには、多数の古本ワゴンとそこに早速取り憑いている、頼もしき古本修羅の姿がチラホラ…たった数メートルの距離なのに、あちらとこちらでは完全に、次元と時間の流れが異なっているようだ。
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早速私も人の流れから抜け出し、古本の世界に身を投じる。このまつりは会場が円形なので、本に夢中になり過ぎ、ワゴンからワゴンへ懸命に飛び移って行くと、確実に自分の位置を見失い、ぐるぐると永遠に回り続ける『古本轆轤地獄』に陥ることが稀にある。なので私はそれを防ぐために、円を分かり易く四つのゾーンに分け、一辺ずつクリアして行くのを常としている。二重に並ぶワゴンを、外側から片面ずつ攻略して行く。途中、出勤前の工作舎I氏と、超久しぶりの「中島古書店」さん(2015/04/05参照)に声をかけられる(両方とも無様にしゃがみ込み、ワゴン下を必死に覗いている時であった…)。そんな風にして、寒さに震えながら一辺を見終わり、良し、では底辺の方へと向かうと、あれ?途中から厳然と仕切られ、バッグ売場に変貌…中途半端な長さの辺を見終わり、反対の天辺方面に駆け付けると、そちらも途中からバッグ売場になっているではないか。ということは、まつりは以前の円形ではなく、半分の半円になってしまっているのか。現在地を見失わなくなったことに、少しだけホッとしつつも、古本の量が減ってしまったのは、やはり何だか寂しいものである。國際文献刊行會 世界奇書異聞類聚第十一巻「女天下/エドアルド・フックス 村山知義譯」(鉄鋲付の函に入っており、本文は削除された部分に改めて原文が貼り込まれている…)少年少女講談社文庫「トンネル脱走作戦/ウィリアムズ」アルス「危險信號/大木惇夫」(函ナシ)を計1944円で購入する。このまつりは30日まで。

再び人波に飲み込まれ、山手線に乗って高田馬場へ。実はこの二三日、当ブログの検索ワードに『ふるほん横丁閉店』『ふるほん横丁撤退』などの不穏な語句が紛れ込んでいたため、気になって見に来たのである。東口駅前の雑居ビルにある『芳林堂書店』四階には、早稲田の古本屋さんを中心として古本を並べた「ふるほん横丁」(2010/04/14参照)が居候しているはずなのである。雑居ビルのエスカレーターを上がり、二階からは階段で上へ…むっ?四階が大幅な改装を施されており、書店スペースが半分になってしまっているではないか。確かに横丁は、影も形も見当たらない…。情報は正しかったのか?だが念のため五階のコミック売場にも足を運んでみる。すると華やかな明るい色味の世界の中で、入ってすぐの右奥の方に目をやると、煤けた古本を並べたコーナーが、ちんまりと存在しているではないか!おぉ!「ふるほん横丁」は、五階に移転し縮小しながらも健在だった!
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一応閉店のお知らせなどを探してみるが、何処にも見当たらない。あるのは「ふるほん横丁」は外税であることを訴える貼紙ばかりである。現横丁は、短い三本の通路が、四十本の棚と二台のワゴンで作られている。以前と違うのは、「藤井書店」(2009/07/23参照)の古書、「アート文庫」のミステリ&児童文学、「畸人堂」(2012/09/14参照)のミステリ関連が増えているところだろうか。何はともあれ、古本売場がちゃんとあったのは、嬉しいことである。「虹書店」(2010/08/24参照)の棚から琉球文庫「琉球の平等所 捕物控/石川文一」を540円で購入する。この本、舞台の脚本をノベライズしたものらしいのだが、中を見ると『双生児奇談』『巫女(ユタ)の殺人予言』『空手殺人事件』などのタイトルが、探偵小説的興味をグラグラと湧き上げてくれる!

そしていよいよ一週間後に迫ってしまった、「盛林堂書房」小野氏と古本屋と言う不思議な職業について語り合う、神保町「@ワンダー」でのトークイベント。お席がまだまだございますので、楽しい古本屋世界への入口を、どうか覗きに来ていただければ!
『連続講座 古本屋的!!』第4回「古本屋の光と影」
七月の同講座のトークに引き続き、その時の立場を逆転し、盛林堂・小野氏が聞き役を務め、大好きな古本屋さんについて、様々に縦横無尽に語り尽くします。ほぼ、何処が終点か分からないフリートークとなりそうですが、意外に真面目に話すことの方が、多いかもしれません。およそ半月後に迫っていますが、スケジュールをやりくりしていただき、ぜひともお越しいただければ。もちろん「古本屋ツアー・イン・京阪神」の苦労話なども!
■12月2日(金)
■ブックカフェ二十世紀(@ワンダー2階) 東京都千代田区神田神保町2-5-4
■19:00〜20:30
■会費:1,500円(1ドリンク付) 懇親会1,500円(軽飲食20:30〜21:30 ※自由参加です)
■予約申込はブックカフェ二十世紀(jimbo20seiki@gmail.com)までメールにてお願い致します。お名前と参加人数をお知らせください。詳細はブックカフェ二十世紀サイト「EVENT」よりご確認いただけます。→http://jimbo20seiki.wix.com/jimbocho20c
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2016年11月23日

11/23話を聞く古本屋、話しをする古本屋。

午後に古本を買いに東へ。久々に行きたくなった大好きな二店を、コンボ急襲するつもりなのである。今日が祝日なので、多少開いているかどうかの不安はあるのだが、構わず東へグングン進み、やがて千葉県へ。まずは京成大久保駅で下車して、本来は装飾であるはずの地面タイルの割れが、もはや荒廃した状態にしか見えない商店街『ゆうろーど』を北に突き進んで行く。道沿いにあったブックオフは、建物老朽化のために閉店してしまった。だが、道の遥か先の「キー・ラーゴ」(2009/11/25参照)は、営業中の勇姿をしっかりと商店街に晒していた…実に九ヶ月ぶりの再会か。
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今日はいったいどんなめくるめく古本世界を見せてくれるのだろうか。抑えられれぬ笑みを顔に浮かべながら、先客のある100均店頭棚に取り憑くと、くっ!早速新装版2刷の「光車よまわれ!」を見つけてしまい、やはりここは素晴らしいお店だったと、恒例行事のように認識する。他にも一冊抜き取り店内に進むと、前室ゾーンに、以前は奥にあったミステリ&ポケミス・吸血鬼・黒澤明・美術四面棚が移動して来ている。すべての棚をチェックしつつ、左壁手前棚の古書ゾーンに神経を集中する。それにしても、先客のオヤジさんが白髪の武満徹風店主を相手に、際限なく喋り続けているようだ。声高にする“俺は大物”話を、店主は柳に風と聞き流し、時々「ふぅん」と綿埃のような相槌を打っている。奥の映画ゾーンに入ると、こちらもその話を間近で強制的に聞かされながら、本を見ることとなる…やはり古本屋さんは、色んな人を惹き付けて止まない、謎のパワーを秘めているのだな…。大物のため常に警察にマークされている話を聞きながら、古い邦画パンフやプレス類の入った箱を静かに漁る。筑摩書房「光車よまわれ!/天沢退二郎」講談社「美徳のよろめき/三島由紀夫」東方社「浅草のマノン/菊田一夫」春陽堂復刻版「屋根裏の散歩者/江戸川乱歩」大映ヂャーナル社「大映ヂャーナル No.14」を計2200円で購入する。精算から袋入れまでの間、ここだけはオヤジさんは静かに口を閉じていた…。
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これが粗悪な紙に刷られた「大映ヂャーナル」(昭和二十二年十二月発行)。横溝正史原作の映画、「三本指の男(原作「本陣殺人事件」)」「蝶々失踪事件(原作「蝶々殺人事件)」が掲載されていたので、思わず購入してしまった。

続いて八千代台駅で下車し、最近は午後三時あたりに開店すると言う、千葉の名店「雄気堂」(2009/05/30参照)へ。ワハハハハ、硝子ウィンドウに『定休日 水曜日』とあるのに、思いっきり開いてるじゃないか。こいつは嬉しい誤算である。早速店内通路に跪き、棚の下までじっくり観察。先客の奥さまが店主と話しているのを漏れ聞くと、どうやらこの夏にはちょっと体調を崩されていたらしい…そして、さらに女性のお客さんが飛び込んで来て、赤ちゃんの写真を見せ始めた…おぉ!このお店にも、ちゃんと女性ファンがいるなんて!驚き面食らいながら、実に一年六ヶ月ぶりの挨拶を店主と交わし、春陽文庫「人生の阿呆/木々高太郎」桃源社「歌手の視力/戸板康二」を計1300円で購入しながら、果てしのない話をいつものように拝聴し始める。古本屋の嘆きと矜持、若手古本屋へのエールと苦言、出版文化への敬愛と意見、デジタル機器の即時性と弊害、伝統文化の継承と形骸化、憲法改正への大いなる怒りなどなどなどなど、パイプから良い香りの紫煙を上げながら、四方山話は留まるところを知らず、走り続ける…取りあえずは、文化的怪気炎を上げる元気そうな様子に安心し、キリの良い所で辞去して表に出れば、いつの間にか真っ暗で、厳しい寒さが服の隙間から忍び入ってくる始末。さて、そろそろ重い古本を抱えて帰るとしようか。
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2016年11月11日

11/11ツヅキ堂チェーンの終焉を目にした後、古本屋ツアー再び西へ!

コメントタレコミにて、ついに「ツヅキ堂書店」の全店が閉店したことを知る。思えば小田急線沿いに、ちょっと深めな棚のリサイクル系店舗を何店も展開し、東京〜神奈川の古本屋文化の一端を支えてくれていたのだが…唯一仙川のお店だけが「石本書店」(2009/08/20参照)として生き残り、梅ヶ丘(2008/10/08参照)・祖師ケ谷大蔵(2010/07/15参照)・登戸(2010/04/05参照)・鶴川(2009/09/16参照)・小田急相模原(2011/03/09参照)のお店は、無念にも消滅してしまったのである。天気予報通りには降り止まなかった霧雨を浴び、取りあえず登戸店だけでも、現在どうなっているか確認してみようと、小田急線でガタゴト。高架駅を飛び出て、下がって行く高架線路沿いに西に歩いて行くと、あぁ!無惨にも登戸店はすでに何もかもが撤去され、広い壁棚があったとは信じられぬほどの、大きな硝子ウィンドウが、爽やかに露出してしまっていた…。
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すっかり現状復帰されたがらんどうの店内では、中田翔似のお兄ちゃんが、至極真面目に壁を塗り直していた…はぁ、せめてはもう一度、あの『古書キャビネット』(2015/06/03参照)を慎重に漁ってみたかった…。

小田急相模原のお店はまた後日看取ることにして、メガネを細かい水滴で濡らしながら早足で駅に引き返し、古本を買って閉店したお店を勝手に弔うために、経堂駅で下車。「大河堂書店」(2009/03/26参照)に雨宿りし、入ってすぐの右壁棚新入荷コーナーから新潮社「二青年図ー乱歩と岩田準一/岩田準子」(署名入り)を抜き出して900円で購入する。再び小田急線に乗り込んで豪徳寺駅で下車し、「靖文堂書店」(2011/09/06参照)にさりげなく入店。粗相のないよう、だがしつこく棚に食らいつき、広済堂出版「現代任侠道入門/栗原裕 滝川和巳」婦人公論昭和46年11月号特別付録「あなたとどこかへ/永六輔」小峰書店 少年少女のための世界文學選(6)「キイゲスと魔法の指輪/ヘッベル 中谷博・著」(昭和26年刊のカバーナシ文庫サイズ本。巻末の広告を見ると「ガリヴァ旅行記」を書いているのは小沼丹!これ欲しい!読みたい!)を計600円で購入する。時刻は午後四時になろうとしているが、お昼過ぎに止むはずだった雨は、まだシトシト東京に降り続いている。

そして明日から、新刊「古本屋ツアー・イン・京阪神」発売ミニミニキャンペーンのために、再び関西へ!12日(土)は午後七時から大阪「梅田蔦屋書店」にてトークイベント(満員御礼になりました。ありがとうございます!)。13日(日)は京都の「古書善行堂」(2012/01/16参照)にて、正午〜午後五時まで滞店し、一日店員として労働予定!当日、善行氏の仕事を間近で見られる上に、今は夢広がり様々な方にお会い出来るのも本当に楽しみなのだが、結局一番楽しみにしているのは、店員として一番に飛び込んだ善行堂で、どんな本が買えるのかドキドキしている、愚かで哀れな私なのです…。ではみなさま、関西にてお会いいたしましょう!
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2016年11月08日

11/8今日もフライング気味に閉店予定のお店に向かう。

ex「猫額洞」さん(2014/05/10参照)よりいただいた、悲しいコメントタレコミ…十二月をもって、孤高の「プリシラ古書店」(2012/02/14参照)が閉店してまうというのである。「伊呂波文庫」(2016/09/30参照)が店を潜めた今、この辺りの孤塁の古本屋さんとして、今後の孤軍奮闘を期待していたのだが、まさかほぼ同時期にお店を閉めてしまうなんて…来年には、丸ノ内線の中野坂上〜新中野近辺は、ついに古本屋さんが皆無となってしまうわけか…。というわけで閉店にはまだ早いのだが、気が急いてしまい、ついつい偵察に向かってしまう。東高円寺〜新中野のほぼ中間に位置する、『女子美術大学』近くの坂の上のお店にたどり着く。一応生活道路沿いではあるのだが、ほとんど住宅街と言っても過言ではない立地である。しかし、今日も立派に営業をしている。そしてやはり早過ぎたためか、閉店のアナウンスは店外にも店内にも見受けられない。どうせまた十二月に見に来るのだが、もしかしたら色々事情が変わり、このまま来年も何事もなく営業し続けてるかもしれない…そんな不確実な妄想に囚われながら、主に右側の文学棚に集中する。朝日新聞社「紀信快談 篠山紀信対談集」を500円で購入する。
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裏道を伝って東高円寺方面に向かっていると、先日訪れたばかりの「「女と本のあるふうけい」1day bookstore」(2016/10/30参照。実はその後も小さな古本市は継続中らしい)の開かれていた『喫茶店[ε]』前を通過し『青梅街道』が近付いてくると、右手にビル建築の『新中野キリスト教会』が現れ、その入口前で手作り雑貨類とともに、絵本や児童文学のチャリティー販売が行われていた。
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三箱ほどに、絵本・「こどものとも」・新書サイズ児童文学が並んでいる。だがそのほとんどが九十年代以降の新しいものだったので、食指動かず、何も買わずにおとなしく離脱する。

思わぬところで古本と出会ったせいか、ちょっと古本が買いたくなってきた。そのまま新高円寺まで歩き、さらに商店街を遡上して「アニマル洋子」(2014/03/14参照)に到達。店長さんと挨拶を交わしつつ新潮社「随筆集 苺酒/尾崎一雄」を100円で購入する。さらに遡上して「大石書店」(2010/03/08参照)の屋根付き店頭ワゴンから、映画秘宝コレクションの初期の名作のひとつである、洋泉社「幻の怪談映画を追って/山田誠一」を300円で購入する。よし、それなりに満足だ。家に帰って原稿の続きを書くことにしよう。
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2016年11月01日

11/1十一月と十二月に閉まるお店をフライング気味に観察に行く

冷たく暗い雨が上がって、嘘のように陽が射し始めたので、下北沢へ向かう。この十一月と十二月に、お店を閉めてしまうという情報のある古本屋さんの様子を、探るためである。深い地下駅から地上の雑踏に出て、北側の『下北沢一番街』へ。元踏切近くの「白樺書院」(2008/06/01参照)は何事もないように、あくまで日常的に営業中である。閉店が年内ということだからか(つまりは十二月いっぱいだろうか?)、まだそのアナウンスなどは何処にもなく、当然セールなども行われていない。従っていつものように店頭を見て、店内の棚をただ見て行く…それにしても、ある意味このお店の主でもある小鳥の姿が、今日は見られないのが心配だ。帳場裏の鳥籠や、啄まれてノドだけになった文庫本の残骸はあるが、さえずりも羽ばたきも、聞こえて来ないのである…何か、寂しい…。奥の通路に入ると、棚にブランクが生まれているのも、また寂しい。だが、棚下台にサバト館の久生十蘭を安く見出し、様子を探りに来て良かったと切に思ってしまう。中公文庫「怪/網淵謙錠」三笠書房「孤獨の人/藤島泰輔」サバト館「美国横断鉄路/久生十蘭」を店主に差し出すと「え〜と、830円ですが800円にしておきましょう」と嬉しい値引。感謝です。それにしても、ここが閉まるとしたら、「幻游社」(2008/10/03参照)に続いて、昔ながらの古いお店が、ついに下北沢から消えることになる…また十二月頭にでも、様子を見に来ることにしよう。
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そのまま商店街の坂をテクテク上がり、十一月いっぱいでお店を閉めて、営業形態を事務所店に変化させる「July Books」(2011/11/28参照)へ。あっ、真っ暗…ドア横に下げられた週間営業スケジュールを見ると、月・火はお休みであった。うむ、しくじったか。近々要再訪。
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もうちょっと古本を買いたかったので、坂を下って来た道を戻り、二階の「CLARIS BOOKS」(2013/12/01参照)への階段を上がる。ディスプレイは整頓され美しく、アート・海外文学・SF・ミステリのマニアック度を清らかに上昇させている店内。中公文庫「どんたく/竹久夢二」PHP文庫「イギリス怪奇探訪/出口保夫」日本推理作家協会「推理小説研究20号 日本推理作家協会四十年史/中島河太郎編」を計1700円で購入する。協会史が嬉しい。ちょっと読んでいてギョッとしたのが、昭和62年の『第四十二回土曜サロン』のゲストが村西とおるで『裏ビデオの演出』という講義をしている。何故…異質だ…。
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2016年10月26日

10/26練馬から古本屋が消える日

昨日の短い西荻彷徨で、開いているのにちょっと遠いから行かなかった「モンガ堂」さん(2012/09/15参照)よりタレコミが入る。店に来たお客さんから、練馬の「一信堂書店」(2008/07/08参照)が閉店セールを行っているのを、聞き込んだのである。それは由々しき事態と、本日昼食を食べてから練馬へ急行する。駅南側の警察署近くのお店にたどり着くと、おっ!ビルエントランス横の扉が開き、その前には大量の古本山が放置され、奥には初めて目にするバックヤードの様子が垣間見えていた。…むむ、本当に由々しきことになっているようだ…店頭壁棚を流しながら入口に近付くと、そこにはたくさんの白い『閉店のお知らせ』が貼り出されていた。
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七十二年の営業に十二月十五日に幕を下ろすこと、二割引の閉店セール(除外品あり)を十月十五日より初めていたことなど、が書かれている。ついこの間、講演の調査のために訪れ、その講演でも『練馬に君臨する盤石の古本屋』として紹介したばかりだったのに…盤石じゃなくなってしまった…。それにしても、先ほど目にした表に置かれた古本が、古い大衆小説や児童文学だったので、どうにも気になってしまう。しかしそれらは、すでに仕分けが開始され、縦長のカーゴに積上げられ始めていた…もはや閉店の準備は始まっているということか。あきらめて中に入ると、そこにも閉店のお知らせがペタペタと貼られている。そして今まで見たことがないほど、雑然さが消え、通路がスッキリしている。棚はほとんど通常通り。帳場からどの通路も見通せるようになっている、パノプティコン方式もどきの行き止まりを通路を三本精査し、最後の右奥の広めゾーンに入ると、あっ!真ん中がごっそりと片付けられ、かつてない広さで棚の本をスッキリと見せている…。私にとってここは、それほど相性の良いお店ではなかったが、それでも近くに来たら足を向け、棚をチェックせざるを得ない蔵書量と深さを誇っていた。そして勝手に、何だかいつまでもあるような気がしていたのだが、後一月半で閉店か…途中、玄関マットを換えに来た三十代の営業さんが「閉めちゃうんですか。僕が会社に入った時から、ずっと担当して来たのに…もう十年以上ですよ」などと帳場で話している。私も七十二年の長きに渡る営業を心中で労いながら、イザラ書房「マリリン・モンローはプロパガンダである/平岡正明」新潮文庫「聖ヨハネ病院にて/上林暁」を計720円で購入。と同時に、戦慄の事態に思い至る。このお店が閉店したならば、ついに練馬駅周辺からは、純粋な古本屋さんが一軒も無くなってしまうのだ!なんという恐るべき古本屋エアポケットが誕生してしまうのかっ!こんな大きな街に「ブックオフ」一軒では、古本屋好きはどうにもやり切れない。果たしてこの空虚さが解消される日は、やって来るのだろうか…。
posted by tokusan at 18:09| Comment(5) | TrackBack(0) | 古本屋消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする