2020年06月15日

6/15「古書現世」で割と大物を。

午前中、仕事を進めつつ印刷所と電話でやり取り。現在鋭意制作中の綺想社のクラーク・アシュトン・スミス短篇集第二巻のカバーについて打ち合わせていると、印刷所の担当者が「スミスさんの背幅ですが…」と大真面目に発言したので、思わず携帯を握り締めながら笑いをこっそりこぼしてしまう。よもや、怪奇幻想作家クラーク・アシュトン・スミスも、二十一世紀の未来の日本で、“スミスさん”なんて親しみ込めて呼ばれているとは、想像もしなかっただろう。

そして午後に外出し、早稲田へと向かう。目的は6/8から営業を再開した「古書現世」(2009/04/04参照)である。店頭ワゴンに煉瓦の如く積み上がる、黒い三島由紀夫全集を横目に、手指を消毒して店内に入ると、おや?以前より通路がスッキリと広くなっている。帳場に座る、いつものようにちゃんと大きな向井氏と目が合ったので、棚も見ずにまずは帳場にズズッと向かい、再会の挨拶を交わす。「古ツアさんが来てくれて、これようやく本当の営業再開ですよ」と、涙が出そうなことを言ってくれる。ご無沙汰しました。お元気そうで何よりです!これはしっかり何かを買って行かなければ…と休業中に整理の格段に進んだ通路店内を一巡。「現世」にしては珍しく、レア漫画評論関連・同人系復刻漫画・豪華漫画が幅を利かせているのが愉快である。だが、私が最初から買おうと思っていた本は、実は決まっていた。去年からずっと狙いを付けていた、存在感デカく売れ残っていた一冊、春秋社「現代世界探偵小説傑作集/水谷準選・江戸川乱歩監修」(函ナシ)である。読みたかったんだ。欲しかったんだ。夢に観てたんだ。売れずにずっと俺に買われるのをけなげに待ってくれていて、ありがとう!と、再会&再開を祝う心積もりで五千円で購入する。念願の古本を買った後は、三島由紀夫全集がホイホイ売れて行くのを目撃しながら、休業中のお店のことや市場のことや古本屋業界のことや催事や早稲田大学の封鎖や買取のことや『本の雑誌スッキリ隊』のことや「みちくさ市」の今後や高円寺の自粛警察について、あれやこれやお話しする。そして向井氏は「これで書物蔵さんが来てくれれば、正真正銘の再開になりますよ」とのこと。というわけで「現世」では、書物蔵さんの来店を心よりお待ちしているようです。
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車通りの何だか少ない『早稲田通り』で、「現世」を遠望しながら記念撮影。

帰り道、『早稲田松竹』前を通りかかると、おぉ!6/20からはロメロの『ゾンビ』と『死霊のえじき』の二本立てが始まるのか。これは素晴らしい。今の感染症に脅かされる時代を、巧みに表現してくれる粋なラインナップである。
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2020年06月14日

6/14少年名探偵特集号!

午後二時過ぎに雨の経堂に流れ着いたので、もっけの幸いと「大河堂書店」(2009/03/26参照)に足を向ける。雨なので、店頭はすっかり布やビニールなどでガードされているが、しっかりと営業中である。およそ五ヶ月ぶりの訪問…うぅ、また来られて、感無量である。入店にはマスク着用が必須条件で、また店内滞留も三十分が目安となっている。久々の店内を、詳細な品切れ文庫棚を、帳場周りに散らばるお薦め本を存分に楽しみたいのだが、今はまぁ仕方ない。素早く見て回ることにしよう。ふむふむ、岡本喜八が多数入荷している…それに古い少年漫画雑誌も積み重なっている…とその山を漁っていると、まだまだ薄い時代の「少年マガジン」が目に留まる…おやっ、そのうちの一冊の背に『少年名探偵特集号』とあるではないか。無闇矢鱈な探偵物好きとしては、これをスルーしたら沽券に関わってしまうな。そうひとりごち、1000円で購入する。駅で急行を待つ間、講談社「週刊少年マガジン 昭和36年 少年探偵特集号」を引っ張り出す(ちなみに掲載の連載漫画は、吉田竜夫『マッハ三四郎』白土三平『狼小僧』石森章太郎『快傑ハリマオ』ちばてつや『ちかいの魔球』などである。全138ページで、漫画と読み物が半々の割合)。さて、どの辺りが少年名探偵となっているのか?まずは表紙写真が横浜港に怪しい黒眼鏡の男を追いつめた少年名探偵の特写(撮影協力は衣装提供の西武百貨店)。巻頭折り込みカラーグラビア『パトカーのすべて』(裏の一色グラビアは『犯人を見わける科学そうさ』)。特集物語『かた目の黒人形』(作者不明。目ざとい少年が、タクシー強盗事件の重要目撃証言をする、雰囲気はあるが緩めの少年探偵小説))。新百科事典『きみとぼくの探偵大学』。これらが特集内容である。『きみとぼくの探偵大学』は、犯罪やその捜査や探偵に関わる小さな五十のコラムが、雑誌全体に散らばっている形式である。専用目次には『この事典をおかきくださった先生』として、日本探偵作家クラブ副会長・中島河太郎のクレジットがあるではないか。河太郎先生、良いお仕事、ありがとうございます!
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阿佐ヶ谷では「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に立ち寄り、平凡社「世界探偵小説全集9 ブラウン奇譚/チエスタートン作 直木三十五譯」(箱ナシ)を530円で購入しつつ、店主の天野氏に六月二十日の開店九周年には、また古本購入特典イベントをやるのか聞いてみると、色々あってスケジュールがかなりズレ込み気味であるが、何かちゃんと用意するとのことであった。よっしゃ。楽しみに待つこととしよう。
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2020年06月11日

6/11今日もコンコ堂で大下宇陀兒を。

午後に永福町に流れ着き、今日は何処へ行こうかと思案する前に雨が降り始め、『井の頭通り』で猛威を奮う突風に傘をぐしゃぐしゃにされてしまったので、タッタカ浜田山まで進み、すぎ丸に飛び乗っておとなしく阿佐ヶ谷に帰還する。風は驚くほど強く吹いているが、どうにか雨はまだしのげる感じなので、家路を急ぐ。だが、店頭が雨仕様の「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に、あえなく呼ばれてしまう。手指消毒を適確に済ませ、最初に向かったのは、気になる中央通路ミステリゾーンの大下宇陀児コーナー(2020/06/03参照)。欲しい本が、まだまだたくさんあるのだ…良かった、まだ売れていないな。もうすぐ俺が買ってやるからな…むむむぅ、良く見れば新しいのが追加されているではないか。慌てて手にすると、一冊は興亞書房「探偵小説 鐡の舌/大下宇陀兒」(昭和十五年再版。背に傷みアリ)、もう一冊は岩谷書店「僞惡病患者/大下宇陀兒」(昭和二十六年。岩谷のB6版シリーズ)である。
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ぐぐぐぅおう、何と刺激的な!値段を見ると、ともにさらに刺激が強過ぎる530円なので、大慌てで購入する。古本の神様、そして「コンコ堂」よ、今日もありがとう!雨の中、お店に気のせいかもしれないが呼ばれて、本当に良かった。これからもこの大下コーナーから目を離すわけにはいかないようだ。ちなみにこの二冊、それぞれに古い古書店ラベルが貼り付いたままなのが嬉しい。「鐡の舌」は『書籍賣買貸本 柳島書店東京・淀橋・戸塚』。「僞惡病患者」は『DAIGAKUDORI SAPPORO南陽堂書店』(2014/11/14参照)である。
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そして家に帰り着くと、最新刊の「本の雑誌 水しぶきヘチマ号」が届いていた。今月の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』は、緊急事態宣言直前のギリギリセーフで、新井薬師前の「文林堂書店」を秘密取材しております…実は、番台脇のミステリ文庫小型ゾーンが、日々頭の何処かで気になっているのです…。そして特集『献辞の研究!』では、二人の古本神、新保博久教授と森英俊氏がそろい踏み!もちろんミステリ作品の献辞についての論考なのだが、こんな素晴らしいことをやってくれるのは、今や「本の雑誌」くらい。こちらも合わせてお楽しみいただければ幸いです!
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2020年06月10日

6/10店頭で手帖文庫を。

お昼過ぎに中野坂上の谷底に流れ着いてしまったので、ヒイコラ東中野に這い上がると、ここ最近で駅前が激しく変貌しているのに、呆然としてしまう。だがいつまでも新しい街の風景を眺めているわけにはいかぬので、総武線に乗り込んで勇躍三鷹へ向かう。今日からいよいよ「りんてん舎」(2019/03/30参照)も営業を再開するのである。駅から日盛りの中をしばらく歩き、ドキドキしながらお店にたどり着くと、店頭と店内は、再開を待ちかねた古本修羅や近所のおばちゃんや絵本目当ての子供さんや、果てはバーコードセドリまでが古本に群がっている。まるで新しいお店が開店したかのようだ。かく言う私もおよそ二ヶ月ぶりの「りんてん舎」である。じっくりと店頭と店内を見渡し、大和書房「夜ごとの円盤 怪獣夢幻館/実相寺昭雄」を550円で購入する。レジ前のコミックの山を膝で突き崩してしまい、申し訳ありませんでした。ですがまたこれからも、良い古本をよろしくお願いいたします!その後はテクテク吉祥寺に出て、近頃お世話になりまくりの「よみた屋」(2014/08/29参照)へ。路面に向いた店頭棚に近付き、まずは左端看板横の新書棚に目を向ける。すると、最上段に鋭い違和を感じ取る。少しブランクが出来て、ナナメになっている本のところに、小さな何処かで見たような本が…こ、これはっ!手帖文庫じゃないか!戦後すぐの、小さ過ぎて儚過ぎて粗雑でちゃちな、仙花紙本的文庫シリーズである。それ故、作家によっては希少価値の高い本が多いのである。上林曉「二閑人交遊圖」尾崎一雄「夏蜜柑」川崎長太郎「賣笑婦」大下宇陀児「決闘介添人」角田喜久雄「飛妖」などなど…。今見つけたのは「芭蕉名句集」であるが、それでもこんなものが店頭に出ているなんて、ちょっとした奇跡である。いつか「ささま書店」(2019/04/05参照)店頭で十銭文庫を見出した時と、同様の感激である(2019/05/27参照)。今日もしつこくここに足を向けて、本当に良かった。というわけで、地平社「芭蕉名句集」新潮社「エクソシスト/ウィリアム・ピーター・ブラッティ」ギンザ・グラフィック・ギャラリー「ブルーノ・ムナーリ」を計330円で購入する。かなり暑かったが、それでも良い古本日和と言えるような、成果であった。
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2020年06月09日

6/9次々営業再開中。

「太平洋ひとりぼっち/堀江謙一」をあっという間に読了してしまう。映画でもスリリングに描かれていた、ヨットに積み込む品物のリスト『〈マーメイド〉の財産目録』が13ページに渡るのは圧巻。中でも『書籍・雑誌』の項目に、「ヒッチコック・マガジン」「エラリー・クイーン・ミステリー・マガジン」「マンハント」が入っているのが愉快愉快。本日は中野に飛び出し、「まんだらけ海馬」(2014/02/15参照)で広済堂「獄門島/横溝正史」を110円で購入して、続いて西荻窪へ。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)でダヴィッド社「新版イラストレーション/河原淳」を100円で購入しつつ、「フォニャルフ」棚を景気づけに入替補充する。「盛林堂」営業再開とともに、「フォニャルフ」も元気に動き始めていますので、西荻窪にお寄りの際は、ぜひとも覗いてやって下さいませ。そして素早く阿佐ヶ谷に帰り、すっかり営業再開している「ネオ書房」(2019/08/11参照)にも立ち寄る。いつの間にか、ワンコの立看板が出現している。
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切通ご夫妻もお元気で何よりである。毎日放送アニメ「愛の戦士レインボーマン 第18話『分解消滅?! レインボーセブン』」台本(見返しに主題歌の『レインボーマン』『愛の戦士のレインボーマン』は載っているが、さすがに『死ね死ね団のテーマ』は載っていない。やはりアニメ版だからか…残念)とソニーマガジンズ「モービー・ディック航海記/たむらしげる」を計748円で購入する。「モービー・ディック〜」はちょっと読みたかった一冊なので、こういう何気ない出会いは嬉しい。そして数枚のポイントカードや仮のポイントを、親切に一枚のポイントカードにまとめていただく。ありがとうございます。また買いに来ます!
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2020年06月08日

6/8荻窪に異変アリ!

昨日の記事に、衝撃的なコメントをいただく。何と七月に4/5を持って閉店した「ささま書店」(2020/04/05参照)が営業を再開するというのだ。そ、そんなバカな…大変に嬉しいことではあるが、いったいぃ〜〜っ!と大いに混乱してしまう。そこで本日昼食後、押っ取り刀で荻窪に駆け付ける。徒歩で、二ヶ月前までよくたどっていたコースである。あぁ、『青梅街道』沿いの『100円ローソン』がいつの間にか閉店している。などと、足が遠ざかった故に、遅ればせながら気づいいた変化に驚きながら、未だ黄色い日除けが力強く貼り出している旧「ささま書店」前…白いバンが横付けされている…貼紙のようなものは何も見当たらない…奥のシャッターを見ると半開きである…そして一度スケルトンになった店内は内装作業中で、新たな本棚の増設が認められる!…左壁に細かく設置されているのは文庫本棚だろうか…確かに旧「ささま書店」に、何か新しい動きが始まっているのは間違いないようだ。ではいったいあの四月の閉店ラプソディは何だったんだ…などと思わぬでもないが、きっと色々色々色々あったんだろう。果たして閉店の意思を翻し、お店を継続することにしたのか、それとも誰かがお店を継ぐことになったのか、詳しいことは不明である。再開するにしても、以前の「ささま」とはまた違ったお店になる可能性も高いはずだ。うぅ、本当にどうなってしまうのだろうか?だが、中央線沿線者にとっては、古本好きにとっては、とてつもなくビッグな出来事なのは間違いない。すぐに詳しい情報が飛び交うことになるだろう。また、荻窪に通う日々が、スタートしそうな予感に、古本心がザワザワザワリ。

ちょっと興奮しながら「竹中書店」(2009/01/23参照)前に立つと、店頭木製ワゴンにちょっとした変化が起きていた。いままでは二台とも300均だったのに(2017/06/08参照)、いつの間にか、左は200均に、右は二冊で100均となっていたのだ。右の値段札は板に直接値段を書いたものだが、左の200均は文字を木彫し色づけまでされている…休業中に手慰みに製作したのだろうか…。
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そして久々の「竹陽書房」(2008/08/23参照)ではみのり書房「1977 オカルト時代一月号」を300円で購入する。日影丈吉『むかしのオカルト映画』(主にドイツの表現派&怪奇映画について)中島河太郎『幽霊談義』(幽霊の定義を大真面目に論考)が載っているのだ。改装作業中の旧「ささま書店」を車窓に眺めながら高円寺に出る。「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)にて河出書房新社文芸別冊「【総特集】夢野久作 あらたなる夢」「【総特集】澁澤龍彦 ユートピアふたたび」PHPグラフィックス4「新聞錦絵の世界 高橋克彦コレクションより」を計300円で購入し、ぬるま湯のような風を全身に浴びながら帰宅する。
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2020年06月05日

6/5「円居」が6/15まで閉店百均セール中!

昭和三十二年の学研「五年の学習3月号」掲載の連載ホームズ物『四つのなまえ/水谷準(文)』について、やはり北原尚彦氏はご存知であった。だが、この「五年の学習」は未所持と言うことなので、氏の元へ嫁ぐことが決定した。ふぅ、ひとまずお役に立てたようでよかった。そして氏からは、調布の「円居」(2009/03/02参照)が閉店セール中であることを教えられる。元々五月末に閉店の予定であったが、このコロナ騒ぎで駆け付けられなかったな…と秘かに嘆いていたら、6/15まで百均閉店セールを行っているとのことなのである。何はともあれ、店仕舞いに接することが出来るのは感慨深いことだ。そう考え、本日お昼過ぎに調布に急行する。すると、ビルの谷間の底のお店は、店内をすでにすっきり撤退一歩手前まで整頓し、まるで小さな古本市のように百均の文庫本・単行本・大判本・雑誌類を、ワゴンと壁棚と中央棚に並べているのであった。激しくスッキリしているが、何となくジャンルの位置に以前の棚造りの面影を留めている。店頭ワゴンには新書と文庫本、中央棚には文庫本、左壁棚には山岳・自然・海外文学・哲学・思想・歴史、右壁棚には日本文学・映画・音楽・美術と言った感じである。どうやら千円以下の値付の本を百円で大放出しているようだ。かなり思い切っている感じなので、並びの景色はスコブル良さげである。おぉ、店頭ワゴンに三一新書「殺人者の意思 列車爆破狂と連続射殺魔/鎌田忠良」があるじゃないか。と調子良く本を掴んで行く。グルグルと二周ほどして、Libro「恐怖/今村仁司監修」講談社「PUSH/横尾忠則」リブロポート「世界街頭広告図鑑/小田切慎平」シンコーミュージック「異人都市TOKYO/エスケン」などを選び、計500円で購入する。それにしても調布からこのお店がなくなってしまうのは、どう考えてもイタい…。
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帰りに明大前で途中下車し、「七月堂古書部」(2018/01/13参照)を見に行く。入口扉を半開きにして営業中なので、ホッとしながら美術出版社「おもちゃ/福田繁雄」を700円で購入しつつ、帳場にいた七月堂さんと再会を喜び合う。やはり七月堂も五月一杯は休業していたとのこと。しかも現在は不定期営業で、月・木が比較的良く開けているとのこと。「また買いに来ます!」と約束して、お店を後にする。
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2020年06月03日

6/3「ゆたか。書房」は七月末日閉店予定。

昨晩、ちくま文庫「紙の罠/都筑道夫」を思いの外読み進め、クライマックスに差し掛かったところで、どうしても日活映画『危いことなら銭になる』が観たくなってしまう。読めば読むほど、この原作の雰囲気を存分に生かした映画が素晴らしいことに気付き、読み終えるより、とにかく映画が観たくなってしまったのである。生憎とソフトは持っていないのだが、大昔に録画したVHSテープがその辺に転がっているはずだ…と、気持ちは一生懸命なのだが、わりと探し方は適当なので、見つかったのは『殺しの烙印』のテープだけであった…しかしこれも確か後の方にも何か録画しているはず。もしかしたら…と、デッキにガチャコンと放り込み、早送りする。…あぁっ!次に入っていたのは、同じ日活映画『拳銃(コルト)は俺のパスポート』(1967年)だったか。九十年代に日本テレビの深夜枠で放送されたのを録画したものである。ついついそのまま観始めてしまうと、たちまちVHSで滲みながらも硬質なモノクロ画面で進む、逃亡する殺し屋の物語に魅了されてしまう。原作は藤原審爾「逃亡者」である。うつむき加減の凄腕殺し屋・宍戸錠!弟分のジュリー藤尾!悪〜い内田朝雄!超絶可愛い小林千登勢!ラストの埋め立て地での、一人対四人+ほぼ装甲車ベンツ(悪者満載!)の銃撃戦は、間違いなく日本映画史に残るスピードと美しさとアイデア!そう言えばこのシチュエーションを、谷口ジロー+関川夏央の劇画「事件屋稼業」で、そのままいただいている回があったな。だが、あの深町丈太郎も、宍戸錠に負けず劣らず、しぶとく華麗であった…イカン、俺は何をやってるんだ…それにしても、映画内で宍戸錠の愛用している拳銃はベレッタなのに、なぜタイトルは『拳銃
(コルト)は俺のパスポート』なのだろうか…?

そして今日は「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)の、待ちに待った営業再開日である。午後三時にいそいそと駆け付けると、入口には当然消毒液、帳場にはビニールカーテン。マスクをしっかり装着し、手指消毒して店内に進む。フフフフ、やっぱりいいなぁ、楽しいなぁ。ぬぉっ、中央通路のミステリ系棚に、古めの大下宇陀児が十冊ほど並んでいるぞ。仙花紙本や昭和二十〜三十年代の単行本で、中には裸本や貸本仕様のものも。古本屋さんならではの、ワクワクワクワクする景色である…値段が安めで嬉しい……よし、今日はこっから思い切って何か買って行こう。そして選んだのは、あまり見かけたこのない、文芸図書出版社「どろんこ令嬢/大下宇陀児」である。明るいタッチの装幀函から本を取り出し、パラパラページを繰ってみると、どうやら明朗系のミステリらしい。帳場で久々に天野氏と顔を合わせ、お互いの無事を喜びつつ3150円で購入する。また今日からよろしくお願いいたします。
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ウキウキと家路をたどるが、その途中で衝撃的な貼紙を発見してしまう。「ゆたか。書房」(2008/10/19参照)のシャッターは相変わらず下がりっ放しなのだが、どうやら貼紙が変わっているようだ。近付いてみると『都合により七月末日にて閉店します。永い間のご愛顧ありがとうございました』と書かれていたのである。…くぉぉぉぉぉぉ、やっぱりそうなってしまったか…。だが、悲しんでばかりはいられない。まずはまたお店が一時でも開いて、古本が買える時が来ることを、楽しみにしておこう。
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2020年06月02日

6/2古本屋さんが開いていることは素晴らしき哉!

あるゲラのやり取りを光速で済ませ、午後に外出。始めは再開が待ち遠しい三鷹の「りんてん舎」(2019/03/30参照)の様子でも見に行こうと思っていたのだが、さすがに空振りすると阿呆らしいので念のため調べてみると、営業再開は6/10と告知されていた…危なかった。後一週間我慢することにしよう。そうだ、中村橋の「古書クマゴロウ」(2018/03/21参照)はどうだろうか?と調べてみると、嬉しいことに今日から営業再開だったので、関東バスに飛び乗り駆け付けることにする。人波がすっかり戻った商店街を進んで行くと、営業中の「クマゴロウ」だ。すぐさま店頭左の均一棚に張り付くと、久しぶりというようなブランク感は皆無で、たちまち楽しい古本探し感に、積み重なった休業中の時間の経過を麻酔されてしまう……ケイブンシャ文庫「世界一周ひとりぼっち/堀江謙一」をまずは発見…続いて石津謙介の見たこともない文庫本を最下段より引き出す。チクマ文庫「男の服装戦略/石津謙介著・中原幹生画」である。“チクマ文庫”はもちろん“ちくま文庫”とは関係なく、“千曲(ちくま)秀版社”という会社の文庫シリーズ。さらに単行本棚から八重岳書房「築地小劇場の時代/吉田謙吉」を掴み出し、感染予防のビニールシートが下がる帳場にて、計318円で購入。すると「古ツアさん!……しまった、古ツアさんが来るんだったら、棚を入れ替えておくんだった…」と後悔先に立たずの身悶えを店主が見せてくれた。こりゃぁ俄然、次来る時が楽しみだな。さらに、店主に世界遺産の本をせがむ先客のおばあさんが落とした一円玉に気づいて、拾って本の捜索を待つおばあさんに手渡しお礼を言われる。一円玉と言えど、大事なお金にかわりはないですからね。何はともあれ、古本屋さんが開いていることは素晴らしき哉!古本を買えることが、素晴らしき哉!
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2020年06月01日

6/1高円寺で今さら「星の王子さま」を。

朝から六月の雨を眺めながら、必死に連載の原稿書き。狙っていたお店の取材が、このコロナ禍で叶わなかったので、ちょっといつもと変わった形に仕上げてみる。正午ちょうどにヒイフウ原稿を送る。

そしておそらく今日からお店を開ける古本屋さんが多いと思うので、まずは地元阿佐ヶ谷を、傘を差し掛けパトロールする。ところが、「銀星舎」(2008/10/19参照)は下ろされたシャッターに『当面の間不定休の営業とさせていただきます』と貼紙が…そうか…まぁ、仕方ないな。早く開いているところに出くわしたいものだ。そう思いつつ『中杉通り』を渡り、細かな道に分け入って『旧中杉通り』の「古書コンコ堂」(2011/06/20参照。そうか、今月でもうすぐ九周年を迎えるのか!)へ。はぅぁ!以前から貼り出されていたシャッターの貼紙に、新たな貼紙が加えられ『6/3より営業再開(予定)』とあった…あぁ、では水曜日を楽しみにしておこう。そして残念ながら扉を閉ざした「ネオ書房」(2019/08/11参照)の前に立つと、すでに営業は再開しているのだが、営業時間が午後三時からとなっている。現在午後一時五十五分…後日改めて訪れることにしよう。ちょっと古本心が逸り過ぎたか。そう反省しながら高円寺までピシャピシャ歩き、「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)へ。店頭棚前に自転車を横付けし、時代小説に熱い情熱を注ぐおばあさんに遠慮しながらも、毎日新聞社「幕末明治の天才絵師 河鍋暁斎展」リッカー美術館「明治の反骨と風刺 河鍋暁斎版画版本展」平凡社「世界名画全集続巻16 ベン・シャーン」岩波書店「星の王子さま/サン=テグジュペリ作 内藤濯訳」(函ナシ)を計350円で購入する。ベン・シャーンが嬉しいなと思っていると、店主の粟生田さんが「なんで「星の王子さま」を買うの〜?読んだことあるでしょ?絶対にもういらないでしょ?」と畳み掛けられる。「いや、ほら、突然読みたくなるってことあるじゃないですか」「だって持ってるでしょ〜」「いや、ほら、どっかにあるんだけど、簡単に見つからないから。五十円だし…」「あははははははははははは、みんなそう言うよねぇ〜」と押され気味に楽しくやりとりし、しどろもどろ。ところがこの本、後で家でしげしげと眺めてみると、後見返しに記名と蔵書印があるが、昭和三十七年の第一刷なのであった。ふぅむ、予想外の嬉しい展開。買っておいて良かった。いずれ何処かで古めの函を手に入れ、被せて上げることにしよう。安い古本は何はともあれ買ってみるものだ。
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2020年05月31日

5/31「股旅堂」最新目録。

ともに昨日のお話。荻窪辺りで車窓に流れる、閉店した「ささま書店」旧店舗。しばらく変化がなかったのだが、久々にシャッターが全開になっており、内部がさびしいさびしいスケルトンになっているのを目撃する…『広くて楽しい古本屋』の黄色い日除けが撤去される日も、いよいよ近付いているようだ…。家では感銘を受け続けながら「第三の情事/園田てる子」を読了する。いやぁ、夢中になって読んでしまった。ラストが少しアレな感じであったが、それを差し引いても傑作と言える面白さであった。最終ページに『つねに読者と共に!』という編集部からの言葉があり、『お読みになって、感銘なさったら、知人にお勧めください。御意見、お叱りなどどしどしお寄せ下さい』とある。みなさま、機会がありましたら「第三の情事」を読んで見て下さい…良し!六十五年前の東京ライフ社編集部・岡村氏の言葉に従い、ちゃんと勧めたぞ!

そして本日は西武柳沢に正午に流れ着いてしまったので、「エーワンブック保谷店」(2011/03/03参照)の様子を見に行く。おぉ、入口に消毒液を置いたりして、感染予防に努めながら営業中であった。静かな店内にそっと滑り込み、本棚より、主に床から積み上がる本に意識を集中し、岩波文庫「新編百花譜百選/木下杢太郎画」を100円で購入する。わりと空いている西武新宿線で家に帰ると、待ってくれていたのは「股旅堂」さん(2018/10/01参照)の新目録「MATATABIDO23 june,2020」であった。ありがとうございます。相変わらず人間の純粋で黒い欲望が、238ページのペーパーバックにグルグルヌラヌラと、粘度高く渦巻いている。今回の巻頭特集は『戦後日本ストリップ黎明期〜浅草/新宿/池袋/銀座/渋谷/日劇ミュージックホール/その他』となっている。うぅむ、濃厚にノスタルジックにセクシーだ…そう思いつつページを捲りまくり、「愛慾行進曲/浅原六朗」「心霊の現象/福来友吉」「実話奇談 謎の竹笛/原賢之助」「戯曲 逮捕術/中川淳」「亡命の街 隠しカメラとペンで綴る密航路・魔窟の踏査記録/曽我部道太郎」(鈴木清順監督の映画『密航0ライン』の原作である!)などが気になってしまう。
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2020年05月29日

5/29古本屋さんを陣中見舞いする。

午前のうちに「犯罪の足音/岡田鯱彦」を読了する。伊豆の小村に療養に来ていた、何の役にも立たない、病み上がりのひ弱な学生素人探偵の、事件の出来に心も体も振り回されまくる、微妙な狂言回し的活躍を描いた、読みやす〜い長編探偵小説であった。他にも短篇が三編収録されており、最後の『雪の夜語り』が特に面白かった。ちょっと夢野久作を思わせる、子供時代の小さな犯罪から巻き起こる、悲劇と幸福かもしれない結末がリリカルに展開する。そしてすぐさま「第三の情事/園田てる子」に手を出してしまう。序文が江戸川乱歩で、『ラナ・ターナー事件(女優ラナの愛人を娘が殺害)を思わせる』とのこと。では読んでみましょう…。
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本日は午後に外出し、西荻窪に出たついでに営業開始準備中の「盛林堂書房」(2012/01/06参照)を陣中見舞い。電気の流れていない自動ドアを開けて、奥の帳場に座る店主・小野氏に声をかけてから、薄暗い通路を通って入り込んで行く。おっ、番台周りにはすでに感染予防のビニールシートが張り巡らされており、いつでもお店を開けられるようになっている。この休業の間、日々の些事を淡々とこなしながら、棚にも随分手を入れたとのこと。色々お互いの近況を報告し合い(何たって会うのは一ヶ月ぶり)、古本屋さんについてもあれこれ話し合う。さらにすっかり整理の進んだ裏の倉庫も見せてもらい、見慣れぬ在庫用の棚を堪能する。帰りはぐるっと迂回して「古書音羽館」(2009/06/04参照)を経由し、『お好きな本一冊お持ち下さい』木箱の中から、ほるぷ出版「海島冒険綺譚 海底軍艦/押川春浪」をいただくことにする。ありがとうございます。『女子大通り』を駅に向かっていると、「森田書店」の片方のシャッターが少し上げられている現場に出くわす。おぉっ!店内には、まだ古本がこんなに犇めいているのか…一度でいいから、店内に入って買物がしてみたかったなぁ…。
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2020年04月05日

4/5最後の定点観測と古本トレード。

お昼過ぎに本天沼で必要な所用をこなしたので、そのまま荻窪に足を延ばし、正真正銘最後の「ささま書店」(2018/08/20参照)の定点観測を行う。週末外出自粛要請で人気のない街を、マスクで息を荒げながら疾風のように進み、昨日とは逆に北から南に地下道を抜け、店頭雨仕様の「ささま」に到着。先客たちの隙を突き、棚をすべてしっかりとチェック。一冊手にして店内へ進む。ほぉ、持ち帰り自由の、お店の歴代カレンダーがたくさん置かれているではないか。それに棚が所々詰められ、開いた所に新たに蔵出し本が並んでいるようだ。そんな新鮮な部分を懸命にチェックし、一冊手にする。本当は、夜の閉店間際に訪れ、最後の瞬間を見届けようかとも思ったのだが、何もそこまで感傷的になり、ベチャベチャとお店に別れを告げなくとも良いだろう。いつも通りが、やはり一番だ。ということで、集英社「筒井康隆初期ショートショート あるいは酒でいっぱいの海」書肆山田「雷鳴の頸飾りー瀧口修造に」を計1090円で購入する。今までずっと、この線路上から見える広いお店で、たくさんの楽しい古本を売っていただき、本当にありがとうございました!「ささま書店」は、間違いなく中央線沿線の文化的至宝でありました。閉店は大変に寂しいことですが、これからは、きっと沿線の他のお店たちが、その意志と業績を大なり小なり受け継ぎ、更なる宝となり、輝いてくれることでしょう。

ついに最後の定点観測を終え、そのままテクテク西荻窪へ。おや、「にわとり文庫」さん(2009/07/25参照)が閉まっている。ちょっと奥まったガラスドアに近付くと、そこには小さな貼紙があり、当面の間『土〜火は休業日』になると書かれていた。新型コロナが猛威を奮うこのご時世では、致し方ないことであるな。そして「盛林堂書房」にたどり着き、小山書店世界大衆小説全集2「世界の恋人/A・デュマ 木村毅・大倉Y子訳」を百円で購入しつつ、北原尚彦氏からの届け物を受け取る。実は自分が所蔵していた青葉書房「ルパン怪奇探偵 怪紳士」がヘルロツク・シヨルムスが出て来る作品だと今さら気付き、これは北原案件だ!と慌てて氏に久しぶりの“古本トレード”(2018/09/05参照)を申し込んだのである。早速メールを送ると、『ルパンはあまりにも多いので積極的に買い集めはしていませんが、文庫サイズということなら話に乗りましょう!』と仙花紙ハードカバー的文庫本サイズなのが幸いし(北原氏は“小さい本スキー”なのである)、無事にトレードが成立したのである。新型コロナのせいで空気が重苦しい昨今、古本で面白いことでもしなければ、やってられるか!ということなのである。小野氏から袋を受け取り、中から本を取り出してみると、やややっややややっっ!博文館「海國冒険綺譚 新造軍艦/押川春浪」ではないですかっ!北原氏のことだから、何か変化球的な古本を出して来るとばかり思っていたのだが、まさか、よもや、直球ド真ん中のストライクなんて!予想外過ぎる!と大喜びする。小野氏によると「ダブってたんだって。「新造軍艦」がダブってるなんて、ありえないよ…」とのことであった。うひぃ、明治の本で春浪が読める喜び、ここにあり。トレードして、良かったなぁ。私にはルパンより、春浪の方がふさわしい!
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「新造軍艦」の衝撃的な折込口絵。男の人頭割れちゃってますよ!大丈夫ですかっ!?
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2020年04月04日

4/4閉店セール三日目…。

今日も家に閉じ篭るわけにはいかず、上連雀に午後イチに流れ着く。素早く古本屋さんを見て、素早く帰ることにしよう。まずは跨線橋を渡りながら雄大な『三鷹車両センター』を眺め、北にトボトボ向かい「りんてん舎」(2019/03/30参照)へ。新潮文庫 周五郎少年文庫「木乃伊屋敷の秘密 怪奇小説集/末國善己編」を330円で購入する。敏捷に駅に向かい、総武線で荻窪まで移動。「りんてん舎」の師匠である、「ささま書店」(2018/08/20参照)の閉店セール三日目を覗く。土日ともなると、開店してから随分経つのに人が多い。店内の棚にはだいぶブランクが生まれ始めている。こちらはいつもの定点観測のように、息を顰めて店頭棚を点検する…あぁ、この四日間はまるで、一ヶ月分の定点観測を凝縮するかのようだ…濃密過ぎる…。300均棚から、駿南社「異國叢書 ツンベルグ日本紀行/山田珠樹譯註」という未知の菊判本を見つけ出し、295円で購入する。スウェーデン人のツンベルグが1775年に来日し、一年強滞在した日記や博物学的調査をまとめた昭和四年の一冊である。またも素敵な本に安値で出会わせてくれたなぁ、「ささま書店」。そんな感謝を噛み締め噛み締めトボトボ歩いて帰宅し、手洗いうがい。
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今日は地下道を抜けて北側に出て、中央総武線線路越しの一枚。いよいよ後一日か…………。
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2020年04月03日

4/3「乗合馬車の犯罪」と閉店セール二日目。

昨日の夕方は西荻窪へ。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)である物の到着を待っていると、店頭で一箱古本市猛者の悪い奴ほどよくWるさんと遭遇。やはり「ささま書店」(2018/08/20参照)の帰りであった。しばらくすると目的の物がドサリと到着したので、店内への運び込みを手伝い、献本を受け取る。Re-Clam事務局「別冊Re-Clam 乗合馬車の犯罪/フォルチュネ・デュ・ボアゴベ」である。「鉄仮面」で有名なボアゴベの長編探偵小説を本邦初完訳したもので、別冊一冊目の「死の隠れ鬼」に続き、二冊目もデザイン全般を担当させていただいたのである。巴里の古地図をモザイク状に加工し、都市をガタゴト走り抜ける乗合馬車をイメージ。デザインを手掛ける前に、PDFで原稿をざっと読まさせてもらうと、何だかこの話、何処かで読んだ気がする?と「Re-Clam」主宰の三門優祐氏に訴えると、「多分それは、快楽亭ブラックの『車中の毒針』ですよ。翻案作品ですからね」と教えられた。あぁ、そうだ。確かにそうだ。と言うわけで、盛林堂店頭や通販でお求めいただけますので、クラシック・ミステリに目がない皆さま、よろしくお願いいたします!
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Re-Clam別冊シリーズは、なんとなくの緩い縛りで、デザインに共通点を醸し出しているつもり。

そして本日最初にしたことは、東京都庁に赴き免許の更新をすることであった。免許更新センターは第二庁舎の一階にあるのだが、入庁するわけではないので、別に体温を測られる事無く、フリーパスで中に入れてしまう。それにしても、受付のガードマンさんたちが、フェイスガードを装着しているのが、何とも物々しい。事務手続きと講習を一時間ほどで済ませ、長く人のいない未来的地下道をカンカン歩き、丸ノ内線で西新宿から荻窪まで出る。ちょうど時刻は午前十一時半前。昨日に続き「ささま書店」に向かっていると、元西荻窪の古本屋さん「興居島屋」(2008/09/12参照)「なずな屋」(2014/09/24参照)を経営していた石丸澄子さんに声を掛けられる。彼女は昨日も訪れ、本をたくさん買っているとのこと。「ささま書店」はここに出来た当初から通い続ける、想い出深いお店だそうである。店前にはすでに何人かの人が待っており、ほどなく開店。澄子さんは店内に直行してカゴを手に取り、文庫棚とにらめっこを始めた…カゴを持つということは、今日もたくさん買うつもりなのだな。こちらは、いつものように店頭に取り憑き、閉店セールに駆け付けたというよりは、定点観測をしている心持ちで本を見て行く…あぁ、こんなことが出来るのも、今日も含めて後わずか三日なのか…。そんな切ない思いに耽りながら、帯付きの創元選書「大手拓次詩集」大阪毎日新聞社「貢太郎見聞録/田中貢太郎」(函ナシ)理論社「ヒマラヤの真珠/フォスコ・マライーニ」(カバーナシ)早川書房 日本SFシリーズ5「人間そっくり/安部公房」を選び出し、計395円で購入する。まだ文庫棚に張り付き中の澄子さんに挨拶して表へ。その後はテクテク歩いて西荻窪へ。昨日来たばかりの「盛林堂書房」で白水社「世界選手/ポオル・モオラン」(函ナシだが装幀と挿絵が阿部金剛だ!)を100円で購入しつつ、北原尚彦氏への秘密の届け物を託しておく。家に帰ったら、今日もちゃんと手荒いうがい。
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帰りの車窓から見た「ささま書店」である。
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2020年04月02日

4/2これは悪夢か!? 「ささま書店」が閉店セール中!!!!!!!!!!

昨日はお昼過ぎに久我山に流れ着く。なので帰り道は井の頭線で吉祥寺まで出て総武線で折り返すことにして、ちょっと途中下車して「よみた屋」(2014/08/29参照)に向かう。街に人は出ているが、さすがにいつもより少ないようだ。私も古本を買って早く帰ることにしよう。雨のそぼ降る店頭。百均棚から二冊、三百均棚から一冊抜き取り、店員さん以外誰もいない店内で精算する。偕成社「サーカスの四月ばか/スロポトン作 白木茂訳」河出書房新社「ききちがい〈今様懸け詞〉/石津ちひろ・文 長新太・絵」河合総合研究所「殺人紳士録/J・H・H・ゴーテ ロビン・オーテル」を計550円で購入する。世界の幼年どうわ2「サーカスの四月ばか」は四月一日・エイプリルフールに相応しい買物で、何と児童文学界の巨人で訳者・白木茂の達筆献呈署名入り。こりゃあ素敵だ。
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そして古本界&古本好きの間に激震走る!中央線の至宝「ささま書店」(2018/08/20参照)が突然の閉店を宣言したのである!たちまち私のところにもたくさんの連絡が入ることとなり、ことの重大さが現実感を帯びて、ヒシヒシと押し寄せて来ることとなった。思えば岡崎武志氏と「中央線古本屋合算地図」を編んだ時に、「ささま」さんにもアンケートに答えていただいたのだが、様々な質問に『特になし』の素っ気ない回答ばかりだったのに、今後の抱負についてだけ『どうたたんでいくかが抱負というか課題』と答えていたのだ。…これがその課題をクリアした結果なのか…。4/2(木)〜4/5(日)までの閉店セールを行い、スパリと潔く閉店予定。なので本日、三鷹に午前十一時半に流れ着いたので、慌てて荻窪に駆け付けると、すでに店頭も店内も、古本を入れたカゴや古本を抱えた人でいっぱいなのであった。ひぇ〜!古本市の初日みたいな混雑だ…。
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貼紙を見ると閉店セールは10%オフで、一万円以上お買い上げの方は20%オフになるとのこと。遅ればせながら焦りつつ棚を眺めて行くが、とてもいつもの定点観測時のように落ち着いて眺めるわけにはいかず、譲り合いながら時に争いながら、店内を移動し続ける。その間に「本当は五月に閉めるはずだったんですが、コロナ騒ぎで予定を早めたんです」などの会話を耳にする…くっそぅっ!新型コロナのヤツめっ!それにしても、みんな本当に大量の古本を抱え込み、レジは戦場のような絶え間ない忙しさとなっている。壮絶な閉店セール…噫、悲しい悲し過ぎる。この、甘い水を常に湧き出し汲ませてくれた泉のような古本屋さんが、なくなることの大大大ショック!俺は、来週からどうやって暮らして行けば良いのか…そんなことを考え、何度もため息をつきながら、レジの列について順番をおとなしく待ち、日本青年教育會 青年文庫「海外雄飛」(函ナシ)パシフィカ「エラリイ・クィーンとそのライバルたち」を10%オフの595円で購入する。日曜の閉店までに、また何度か来ることになるだろう。トボトボと阿佐ヶ谷まで帰り、「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)の店頭棚を真剣な目つきで眺めていると、中から出て来た店主の天野氏に声をかけられる、ひとしきり、見て来たばかりの「ささま書店」の様子について話し、創元推理文庫「山師タラント/F・W・クロフツ」論創社「推理SFドラマの六〇年/川野京輔」を計1160円で購入する。家に帰ったら、手洗いうがいをしっかりと。
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2020年03月30日

3/30「都丸書店」がお休み中。

昨日は家にひたすら閉じこもり、原稿書きに集中する…おかげさまで捗りました。だが本日月曜日はじっとすること叶わず、代田橋に午後イチに流れ着く。『環七』でバスに乗り込み、新高円寺で下車。商店街を北に遡上しながら、帰り道の過程として古本屋さんを覗き込んで行く。最近開いているところに出くわさない「アニマル洋子」(2014/03/14参照)は、今日も閉まっていて残念。次の「大石書店」(2010/03/08参照)の店頭ワゴンでは、地方出版物の極みのような、北九州市立文学館文庫13「森鴎外小倉著作集」を見つけて、100円で購入する。小倉の地元新聞に寄稿した記事や、小倉から出した手紙などで構成されている。人影が皆無というのにはほど遠いが、それでも普段より人の少ないアーケード商店街を抜け、中央総武線の高架を潜り、「都丸書店」(2010/09/21参照)の前に出る。おや?月曜は営業日なのにシャッターが閉まっており、何やら貼紙が…ウィンドウのシャッターには『本日都合により休業致します』とある。どうしたんだろう?と思いつつ、入口シャッターにも小さな貼紙があることに気付く。近付くとそこには『しばらくの間休業致します』とあった。
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むむむぅ、新型コロナ騒動への対応であろうか。何はともあれ、このシャッターが再び上げられる日を、首を長くして待っております。多少ショックを受けながら『庚申通り』を北へ北へ。「DORAMA高円寺庚申通り店」で実業之日本社「あの人の眠る場所〜東京のお墓めぐり〜」を110円で購入する。続いて「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)で光芸出版「図鑑 刀装のすべて/小漥健一」を300円で購入し、必要最低限の寄り道を終えて帰宅する。帰ってからは、もちろん手洗いうがい。

そして志村けんが新型コロナに感染し、急逝したのがとにかくショックである。私にとっての志村けんは、ザ・ドリフターズの異端としての志村けんである。荒井注がドリフを抜け、突然現れた沢田研二風の、どこかギラついたコメディアン。子供にとっては、一番人気の加藤茶の存在を脅かす、危険な、だが笑わずにはいられない男であった。そんな偉大な男の訃報に接し、冥福を祈るべく、何か志村けんに関わるものを持っていないかと部屋を探してみる、ようやく出て来たのは、古のゲーム機“PCエンジン”ソフトの「カトちゃんケンちゃん」である。
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TBSのバラエティ番組『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』内で放送された、コメディ探偵ドラマを題材にした横スクロールのアクションゲームである。取扱説明書を繙くと、コンティニューの説明が、今やとてつもなく切ない。『死んだってダイジョ〜ブだぁ。1・2ボタン+ランボタンでコンティニューOK。』となっている…押しまくってあげたい…どうか安らかにお眠り下さい。
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2020年03月24日

3/24「BOOK・ノーム」がラストスパート!

今年に入ってから、日曜日深夜のお楽しみであったテレビアニメ『映像研には手を出すな!』が、最終回を迎えてしまいガックリ。しばらく胸にデカイ穴を開けながら、録画してある珠玉のオープニングや、出来の良過ぎる第一〜四話を繰り返し観賞し、どうにかその大穴を埋めるのに腐心するつもり。そして昨日古本箱を送った大阪「梅田蔦屋書店」の古書コンシェルジュから連絡あり。やはり新型コロナ騒動と様々な自粛要請で、お店の客足は減少傾向にあるとのことである。だがそれでも、先月送った本の中に忍び込ませた「野呂邦暢古本屋写真集」は無事に売れたとの嬉しい報告が。今月分も素敵な古本が多分に含まれているので、古本を求めて止まない方々は、感染対策をしっかりと施し、どうか大阪駅の大書店をお訪ね下さいませ。

本日は午後に連載の取材を済ませてから、三月末で閉店予定の東小金井「BOOK・ノーム」(2009/02/13参照)の様子を見に行く。あっ!もはや閉店まで一週間を切った今、店内全品50%オフになっているではないか。
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そそくさと店内に滑り込み、みすず書房「辻まことの世界/矢内原伊作編」を500円で購入する。相変わらず売れた分だけ、ちょこちょこと補充されているようなので、これはまた見に来ても良いかもしれない。お店を出た後は、テクテク歩いて武蔵境の古本屋さんをいつもなら巡っているところだが、あまりの冷たい風に心がポキンと折れ曲がり、震えながらそのまま帰宅してしまう…うぅ、寒い…。
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2020年03月17日

3/17杉並〜中野をぐるっと歩く。

午後にニョロニョロと動き出し、ブラブラ歩いて野方の未見の古本屋さんを目指す。だが、奇天烈な飾りに溢れるそのお店は、無情にも閉まっていた…レッツ・再チャレンジ!そう心に決めて、そんなら久しぶりに沼袋の「天野書店」(2008/11/14参照)を見に行こうと、西武新宿線の線路を伝うようにして東に歩き始める。何となく線路を近くに感じながら、見慣れぬ住宅街を朧げに進撃する。途中、今は営業していないのだが、理髪店とパン屋を兼業していた古い商店を見かけ、そのアナーキーさに感激する。
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左が理髪店で右がパン屋。屋号は両方とも同じである。

そして「天野書店」へ。店頭は文庫は100円だが、単行本類はしっかりとした値段が付けられている。教養文庫「ソロモンの桃/香山滋」を見つけられたので、お守り代わりに抜き出して店内へ進む。棚は以前と変わらぬ、教養深く良識が漲る並びを見せている。なんせ、棚に入っている文庫は岩波文庫だけなのである(その他は床や棚脇に横積みされている)。素敵過ぎる二つ名『昆虫翁』の本が気になるが、2800円か…おとなしく先述した文庫を買い、お店を後にする。
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さて、足にはまだ余裕があるし、もう少し古本を買っていきたいものだ。そう考え、駅から南に坂を上がってグングン進み、大きな『平和の森公園』横を撫で歩き、やがて『中野ブロードウェイ』に潜入する。やった、二階の「古書うつつ」(2008/06/18参照)が久しぶりに開いている。店頭箱に児童文学本がダカンダカン並んで行くのを楽しく眺めながら、偕成社版・名作冒険全集「海底人間/ドイル」(カバーナシ)六興出版「谷山浩子童話館」雄山閣「講談落語考/関根黙庵」(杉江松恋氏用に確保。未所持本かどうかは不明である)を選び、計300円で購入する。帰りもテクテクトボトボ『早稲田通り』を歩き詰め、午後四時の阿佐ヶ谷に帰還する。なんだかすでに夕方でも、春の陽気ですなぁ。
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2020年03月10日

3/10古本屋 帳場で何を する人ぞ

午後、西荻窪での打ち合わせに照準を合わせ、家を出る。雨降りがどうにも億劫なので、まずは電車で荻窪に出て「竹陽書房」(2008/08/23参照)に飛び込む。世間とは異なるゆっくりとした時間の中で棚を眺め、河出書房新社「宮本常一 旅する民俗学者 増補新版」を500円で購入する…残念ながら白水社の幻想小説シリーズは、追加補充されていなかった。ここからは歩いて西荻窪を目指すことにする。そのまま線路沿いを西に向かい、アンダーパスの環八の上を渡り、線路の気配を右に感じながらさらに歩き進む。道が善福寺川に向かって坂になる前に、ふと気が向いて線路の下を潜って北へ…おぉ、営業時間の極端に短い「絵本タイム猫タイム」(2016/02/19参照)が開いているじゃないか。かなり久々の再会を喜び、数段のステップを上がって傘をすぼめ、店内へ。すると棚の向こうから「いらっしゃいませ」の声が出迎えてくれるとともに、定期的にスト、トトン、スト、トトンと小さなくぐもった音が聞こえてくる…なんだろう?その前に、小さな空間ながらも充実した絵本棚&児童文学棚に集中し、カバーナシの盛光社「空とぶ自動車3/イアン・フレミングぶん ジョン・バーニンガムえ ときわしんぺいやく」が500円だったので見つけ出す。購入しようと背後の帳場に踵を返すと、そこには衝撃的な光景が展開していた!なんと店主が机の上を大きく利用して、機を織っていたのである…今まで古本屋さんを訪ね、店主さんや店番さんがいろんなことをしているのを目撃して来た。お仕事、読書、食事、居眠り、テレビ二台同時鑑賞、麻雀ゲーム、本の朗読、自作の歌を歌唱、ボタニカルアートを描く、横笛の練習…そこにあ新たに“機を織る”が加わったのだ。思わず「機を織ってるんですか?」と聞くと「エヘヘヘ、そうなのよ」とはにかむ店主。織り上げられつつある布は、大きな面に、美しい文様を描いていた。
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そして本日の目的地「盛林堂書房」(2012/01/06参照)では、難易度の高い仕事について色々打ち合わせる。うむむむむむむ、まぁいつかはどうにかなるだろう。

そろそろ発売になる「本の雑誌 旋毛曲り旅立ち号」(坪内祐三追悼大特集88ページ!)の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、関内の横丁古書天国「活刻堂」をご紹介。黒い本の断崖の底で、未知の安売本を求めて蠢いて来ました。お楽しみいただければ幸いです。
posted by tokusan at 17:47| Comment(2) | 古本屋消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする