2021年01月06日

1/6三鷹〜吉祥寺古本屋ルートは2021年も豊潤哉!

本日は三鷹の南の下連雀に流れ着いてしまったので、住宅街の遥か遠くまで見える直線道を北に抜け、長い跨線橋を渡って線路の北側に出て、ツラツラ「りんてん舎」(2019/03/30参照)へ。おぉ、営業を開始している。店頭箱で一冊掴み店内へ。さらに店内でも手指消毒してから気になる一冊を掴んで帳場へ。うぁっ!差し出した古本で、レジ横に二羽いたペンギン像を突き倒してしまった…す、すみません。福音館書店《こどものとも302号》「サラダでげんき 角野栄子さく・長信太え」紫書房「雲よ恋と共に-忍術女騒乱記-/宮本幹也」を計990円で購入する。「雲よ恋と共に」は昭和28年刊のちょい上等な仙花紙本。本のことがよくわからないので後で調べてみると、なんと日本初の女忍者が主人公になった小説らしい。
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お店を出たら続いて「水中書店」(2014/01/18参照)へ…だがまだお休み中で、八日から営業とのことであった。だが、まだまだ古本は買いたいので、吉祥寺までの伸すことにする。テクテク『井の頭通り』を歩いて、高架脇のすでに四日から営業開始していた「一日」(2017/08/11参照)へ。鉄扉を開けて手指消毒してから、ビニールカーテンを潜ってガレージへ。ちょこちょことそこらに新入荷本の気配がた漂っている。おっ、筑摩書房 ちくま少年図書館37「のんのんばあとオレ/水木しげる」があるじゃないか。1977年初版でカバー付きで110円。喜んで買わせていただきます!とレジへ。すると20%引きセール中(1/11まで)で88円に。ありがとうございます。
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なんだか調子が出て来たので、次の「バサラブックス」(2015/03/28参照)では出版芸術社「天狗岬殺人事件/山田風太郎」を300円で購入し、さらに先に進んで「古本センター」(2013/07/01参照)では朝日新聞社「挑み燃え拓く-TARO展 岡本太郎」を80円で購入する。最後に井の頭線高架を潜って「よみた屋」(2014/08/29参照)にたどり着く。ほぅ、久しぶりに「こどものとも」「たくさんのふしぎ」箱が出ているぞ、と店頭にしゃがみ込み、薄手の中綴じ本を一冊一冊繰って行く。すると、たむらしげるの絵本らしきものを発見。だがこりゃなんだ?2020年と去年の出版らしいが、出版元は滋賀県近江八幡のお菓子屋さんになっている…どうやらお店の広報誌「ラ コリーナ」というのが、丸々一冊絵本になっているようだ。これは嬉しい出会いである。たねやグループ「キャンドル パカポコ/たむらしげる」を330円で購入する。やはりこの三鷹〜吉祥寺古本屋ルートは、2021年も早速豊潤だなぁ。
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2021年01月04日

1/4仕事初めの古本屋さんを巡る。

本日は午後一時半に桜上水に流れ着いたので、京王線と井の頭線を乗り継ぎ、吉祥寺に出る。今日からいくつかの古本屋さんは仕事初めをしているはずだ…。早速駅南口脇の「古本センター」(2013/07/01参照)が営業中なのを確認。店頭処分品棚から双葉社「幻の傑作ミステリー 怪奇探偵小説集/鮎川哲也編」を見付け、80円で購入する。この新書ノベルス版は、花輪和一と渡辺東の挿画が各小説にベストマッチしているのが魅力である。続いて「よみた屋」に足を向けると、おぉ、こちらも開いている。今年もよろしくお願いいたします!と店頭棚に情念深く張り憑き、福音館書店「あたまをつかった小さなおばあさん/ホープ・ニューウェル作 松岡享子訳 山脇百合子画」を手にすると、訳者・松岡享子からの1978年当時の自宅新築案内が挟まっていたので、面白い!と思いつつ110円で購入する。
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さらにこんな変わり種の正方形栞も挟まっていた。裏面は今は亡き渋谷『東急文化会館(渋谷ヒカリエになってしまった…)』2階の『文化特選街&味の特選街』の広告である。

さて、安く古本も買ったし、帰るか…と総武線に乗っていると、荻窪駅ホームに滑り込む寸前に、車窓に営業中の「竹陽書房」(2008/08/23参照)の姿が流れて行った…ぬぅ。荻窪の古本屋さんはまだ軒並みお正月休み中なのに、なんというアグレッシブな営業姿勢!と感銘を受け、途中下車する。半ドアの扉をグイッと開けて、いつもと変わらぬ店内に滑り込む。桃源社「肉の影/クロソウスキー 小島俊明訳」新潮選書「冗談音楽の怪人・三木鶏郎/泉麻人」を計800円で購入する。どうか今年も意外な本を棚に並べて、時々喜ばせていただければ幸いです。
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2020年12月31日

12/31 2020年の古本納め。

午前中にお風呂場を力の限りに掃除し、大晦日なのに古本神・塩山芳明氏から仕事が届いたりして、仰け反りながら心地良い疲労を抱え込む。午後に古本を買い納めるぞ!と意気込んで外出し、まずは荻窪「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)へ。店頭に普段より質の高い、買いでのある古本ばかりが並ぶ棚が一本出ていると思ったら、半額にある水色値札が貼付けられた、特別セール棚であった。均一じゃないのか。そりゃそうだよな、と思いつつも一冊セレクト。さらに均一棚から一冊掴み帳場へ。お店が出来てから五ヶ月で、お世話になりまくった感謝の念を込めまくり、リブロポート「ハリウッド・バビロンI/ケネス・アンガー著 海野弘・監修」角川書店「黒壁/水上勉」を計360円で購入する。来年も通い詰めますので、良き古本を安値でよろしくお願いいたします。続いて電車で西荻窪に移動し、年がら年中お世話になりまくっている「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に顔を出す。幻影城「日本探偵作家論/権田萬治」新読書社&プログレス出版〈ソビエトこどもの本シリーズ〉「いいてどんなこと?わるいってどんなこと?/マヤコフスキー作 キリロフ・ヴェ絵」を200円で購入すると、店主・小野氏は「今日ヒマだ〜スゴくヒマだ〜。大晦日ってこんなにヒマだったっけ?」と旗本退屈男のようにヒマを嘆いている。まぁいつも小野さんは、大晦日はコミケ出店で大忙しでしたからねぇ…。あまりにヒマ過ぎたのか、「何、今日は?また何か面白い本を安く売ってくれって来たの?」と向こうから嬉しい呼び水をドバリと注ぎ込んでくれた。これに便乗する手はないと「売って下さい売って下さい。喜んで買いますよ!」と受けて立つ。すると小野氏は、まるで良い暇つぶしが出来たかのようにバックヤードをゴソゴソし、様々な本を持ち出して来てくれた。ニヤニヤとそれらを吟味し、結果、あかね書房 少年少女世界推理文学全集NO.15「X線カメラのなぞ マルタの鷹/〈ガードナー〉〈ハメット〉」(箱ナシ)フレーベル館「トッパンの人形絵本しんでれら/構成・文 飯沢匡」「トッパンのカメラえほん せかいのおにんぎょう/文・まどみちお」トッパン「トッパンのお話えほん 六人のごうけつ」鈴木出版株式会社「チロリン村とクルミの木 よいこのゆうえんちの巻」舞台脚本「小林多喜二日記」を計千円で購入する。
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特に嬉しいのはこの二冊である。

するとすっかり満足したところに、「やぁやぁ」と陽気に北原尚彦氏が登場。しばらく氏が、お店が手ぐすね引いて用意していた小型本の束を前に懊悩するところを眺めたり(結局まとめ買いしていた…)、店頭に出ていた古雑誌「推理ストーリー」に長沼弘毅のホームズエッセイが掲載されているのを発見したりするのを眺め(二冊とも買った…)、楽しく過ごす。さらに次々と様々な人が現れ始め、お店は大忙しに。すっかり長居してしまったので、それを潮に、みなさんに年末の挨拶をして辞去する。その後高円寺に移動し、「都丸書店」の様子を偵察するが、閉店日の今日も開いてはおらず、ただ閉店案内の貼紙は消え、『謹賀新年』の縦長ポスターが『◯日から営業』の部分が横線で消された状態で貼り出されていた。何はともあれ、長年高円寺の顔として、ランドマークとして(高架ホームのすぐ脇にあった屋根の上の店名看板は、間違いなく高円寺のシンボルであった…)活躍して下さり、本当にありがとうございました。あっさりと寂しい別れをしてから、『庚申通り』を北上し、「DORAMA高円寺庚申通り店」に立ち寄る。秋書房「うみをあげるよ/やましたはるお さく●むらかみつとむ え」を110円で購入し、2020年の古本納めとする。今年は新型コロナのパンデミックのおかげで、大変な年になってしまいましたが、どうにかごまかし切り抜けて、大好きな古本屋さんと古本と戯れ、乗り切ることが出来ました。来年もどうにかして切り抜けて、野を越え山を越えウィルスを越えて、古本を買って暮らして行きたいと思いますので、引き続き当ブログをよろしくお願いいたします。それではみなさま、どうかどうかどうかどうか、よいお年を!
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2020年12月30日

12/30石神井公園駅で三店ハシゴする。

何故もういつの間にか12月30日で、2020年が終わろうとしているのか…そう愕然としながら、日が沈みかけた石神井町に流れ着く。駅西側の、以前は踏切だった西武池袋線の高架を南側から潜り(うぉっ!保健所前の高架下にPCRセンターが出来ているではないか!)、暫く歩くと、黄昏時のアスファルト道に仄かな光を投げ掛ける「久保書店」(2009/05/08参照)の姿を発見する…失礼ながら、まだちゃんと営業しててくれてたんだ!街の小さな昔ながらの古本屋さんが、店内の半分は倉庫と化しつつも、営業してくれているのは、本当にありがたいことである!と喜びつつ、店頭の百均文庫をを一冊掴んで極狭通路の小さな店内に身体を滑り込ませる。各古本に丁寧に掛けられた手書きの書名&値段帯を手掛かりに、顔の至近に迫らざるを得ない棚を彷徨う。集英社文庫「ハサウェイ殺人事件/平岩弓枝」細川書店「現代日本文學選集 第六巻」を、身体を横にして奥までズズッと入り込み、計600円で精算していただく。そのままバックして通路を引き返し、表まで出る。
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続いて高架南側に出て「草思堂書店」(2008/07/28参照9へ。荒地出版社「エンジンが唸る時/ジム・クラーク編」(1968年当時の世界一流のレーサーやモータースポーツジャーナリストによるレース随筆集。本文は横書きである)を300円で購入する。それなりに満足しつつバスも通る商店街を駅方面に向かうと、突然強い北風が吹き荒れ始め、街を凍りつかせるほどに、気温が急降下し始める。ブルブル震えながら駅ロータリー近くの横丁に視線を投げると、おっ、「きさらぎ文庫」(2009/01/21参照)もちゃんと営業中ではないか。ニヤリとしながらツツツとお店に近づき、店頭壁棚から講談社「非・文化人類学入門/豊田有恒」を200円で購入する。おぉ、これで見事に石神井公園駅の古本屋さん三店を、ちゃんとハシゴ出来たことになるな。うむ、良い年末だ!と納得しつつ、ロータリーで震えながらバスを待ち、夜の阿佐ヶ谷に帰宅する。
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2020年12月28日

12/28年が静かに押し迫る。

年がいよいよ静かに押し迫って来た十二月最後の月曜日。外れた雨の天気予報にホッとしながら、上祖師谷に流れ着く。ブラブラ歩いて仙川方面に出て、「文紀堂書店」(2015/03/31参照)を訪れる。ここに来るのも今年はこれが最後だなと思いつつ、潮文社新書「漂泊の俳人 山頭火の手記/大山澄太編」警視庁総務部広報課「●都民のまもり けいしちょう'76」を計300円で購入する。「けいしちょう」は子供ものでもないのに、何故かタイトルが漢字からひらかれている、多方面に渡る警察活動の写真豊富な広報冊子。表紙の赤煉瓦『旧警視庁』は、やはりインパクト大。最後に面白いものが買えてよかった。
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その足で次は「石本書店」(2017/07/02参照)に突入し、ベースボール・マガジン社「雪男探険記/レーフ・イサード」ペヨトル工房「血のアラベスク 吸血鬼読本/須永朝彦」至光社「こどものせかい ぼくはなんでもつくっちゃう/北田卓史・絵 佐久間彪・文」「こどものせかい のみのうた/北田卓史・絵 藤田圭雄・文」「こどものせかい ぼくたちのせかい/柿本幸造・絵 佐久間彪・文」を計800円で購入する。「こどものせかい」が激安なのだとにかく嬉しい。まだ籠の中にたくさんあったので、目立っていた柿本幸造の『どんくまさん』シリーズも、いずれ買い集めたいところだ。二店とも、どうか来年もよろしくお願いいたします。そんな風に程よい満足感を抱えて阿佐ヶ谷に帰り着くと、当然「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)の前で足を停める。窓には年末年始の営業予定が貼り出されている…12/29〜1/5までがお休みか…ということは今日が2020年の営業最終日!ならば、何かを買って、今年は大変にお世話になった(もちろん『探偵小説狂想曲』で探偵小説古本を買いまくったことである)お店にお礼を兼ねて、買い納めをしなければ…と店内にフラリと入り込む。そして選んだのは、秋田書店 世界怪奇スリラー全集3「世界のウルトラ怪事件/中岡俊哉」(1973年18版の、ただひたすらに、子供を恐がらせ、不安に陥れる、最低で最高な一冊。『地球はねらわれている』『世界の奇石・怪石』『人間蒸発』『恐怖の動物襲来』『襲いくる異次元人』『世界の怪人』などなど…いやぁ、ヒドい、素敵にヒドいなぁ…ウフフフ)で、1580円で購入する。店主・天野氏と年末の挨拶を交わすと、「今年は帰省しないんです。だからもしかしたら、早くお店を開けることもあるかもしれません」とのこと。わかりました。年始は毎日お店の前を通り、チェックいたします!と約束しておく。
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2020年12月27日

12/27「井草ワニ園」は年末年始も通常運転予定!

昨日はもはや西東京市の柳沢に夕方に流れ着いてしまうが、ここからなら何とか三鷹に徒歩でもたどり着けるだろうと信じて、テクテクテクテク歩き通し、どうにか「りんてん舎」(2019/03/30参照)に参上する。京都芸術大学「楽」編集室「楽叢書第三冊 表層は深層の皮膚」NTT出版「大阪モダン 通天閣と新世界/橋爪紳也」勉誠出版「ミステリーセレクション 罠の怪/志村有弘編」を計330円で購入するが、すでに体力ゲージが赤く点滅してしまっていたので、吉祥寺まで伸すのはあきらめて、おとなしく帰宅する。そして本日は井草の街に流れ着いてしまう。井荻駅北側の井草に丁目北部には、立派な教会があり、人影の皆無な静かな街に、彌撒の美しく厳粛で荘厳な賛美歌が響き渡っているのに、心をビシバシ打たれてしまう。…コロナウィルスが猛威を奮うこの瞬間に、まるで感染の終息を祈るかのような合唱……ついつい、東宝映画「ゴジラ」(1954年版)で女学生たちが祈り歌い、焦土に響き渡る『平和への祈り』のシーンのようではないか!などと妄想を逞しくしてしまう。そして賛美歌が終わると同時に、鐘楼の鐘が結構な大音量で、リンゴンリリンゴゴンと街中に長々と響き渡るのであった……すげぇな、井草二丁目。そしてここからなら上石神井の「井草ワニ園」(2019/01/05参照)に寄らぬ手はあるまいと、陽が既に傾き始め、青空にぽっかりと白い月が浮かぶ空の下をトボトボ歩き、無事にお店に到着。入口の左右に展開する100〜200円店頭本に食らいつき、まずは200円のニコンサロンブックス32「写真に帰れ 伊奈信男写真論集」を掴み取り、続いて絵本ゾーンに突入する。薄手の背を一冊一冊丁寧に追って行くと、古そうな絵本の背に『大石真』の文字を見つける。焦りながら引き出すと、小学館の創作童話シリーズ4「アーコのおみまい/大石真 安野光雅・画」であった。カバーナシだが、これは長年探していた絵本なのである!まさか、古本屋さんではないが、とても古本屋さんらしい「井草ワニ園」で出会えるとは!と大いに感動し、計300円で購入する。精算時に店主に「年末はいつまでですか?」と聞くと、「いや、もういつも通り開けてると思います」「えっ?じゃぁお正月は?」「そこも普通に開けてると思います」とのことであった。お正月に暇を持て余し、すぐにでも古本を買いたくなってしまった古本修羅は、ぜひとも感染対策を充分に施し、絵本の古本と「一角文庫」の古本が横溢するグラノーラ店「井草ワニ園」に向かうべきである!
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大石真×安野光雅、バンザ〜イ!
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2020年12月25日

12/25「都丸書店」閉店まで後六日。

暖かな日射しと冬の青空に誘われるようにして、午前十一時の荻窪へ。「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)に一番乗りして、久々に時間をかけて各棚を念入りに見て回る。所々ジャンルが何となく固まりかけているゾーンが出現しているのを感じ取る。山岳・ミステリ・海外文学・コミック・風俗・音楽・宗教・詩集などなど。が、それでも完全ではなく、依然として挙げたジャンルの本が店内のあちこちに点在しているのも事実である。東京創元社「現代映画講座1製作・歴史篇 3シナリオ篇」思索社「鼻行類/ハラルト・シュテンプケ」ペヨトル工房「クラッシュ/J・G・バラード」を計880円で購入する。続いて「藍書店」(2018/12/24参照)へ。岩波写真文庫「東京都―新風土記―」ほるぷ出版「愛の薔薇伝説 サン・ジョルディ物語/舟崎克彦+宇野亜喜良」(これはちょっとした拾い物である)を計220円で購入する。一旦家に戻って昼食を摂り、午後も暖かな日射しと青空に誘われて高円寺へ。「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)で、クリスマスに相応しいサンタが表紙で中身もクリスマスネタが連続するチャイルド本社「チャイルドブック 第20巻第12号」と国書刊行会「日本幻想文学集成3 夢野久作 怪夢/堀切直人編」を計200円で購入する。お店を出て『庚申通り』をひたすら南に下って『中通り』に入り、年末での閉店を宣言した「都丸書店」(2019/04/04&2010/09/21参照)参照)の様子を見に行く。あぁ、やっぱりシャッターが下りっ放しだ…ここ最近開いているのを見ないのだが、果たしてこれから開くことはあるのだろうか?そんな風に心配しながら、シャッターに貼られた閉店のお知らせに注目する。
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高円寺で88年間営業して来たことへの感謝と、12月31日をもって閉店することが書かれている…とその時、隣りに立つスーツ姿の男性がフレンドリーに声を掛けて来た。「今日、開かないんですかね?」…あぁ、この方も閉店を知りお店を訪ねて来たのか…「いや、最近開いてるのを見ないんですよ」「そうですかぁ〜。これから開くことありますかねぇ?」「う〜ん、31日閉店ですからね。それまでに何度かは開くんじゃないでしょうか」「じゃぁもう一回来てみるか…実は閉店を知って遠くから来たんですよ」「何処からですか?」「横浜からです。年末までに、もう一度来てみることにします。ありがとうございました」と笑顔で彼は去って行った。閉店まで後六日…こちらもめげずにチャレンジしてみなければ…そう決心しつつ、横断歩道を渡って駅前を通過し、劇場『座・高円寺』で開催されている「本の楽市」(2010/07/18参照)に滑り込む。先ほどサンカクヤマにイベントのカードが置かれていたのに気付き、今日が最終日であるのを知ったのである。手指消毒してエントランスへ進む。段々、絵本と児童文学と映画と演劇に特化した古本市に変化して来ている。今回児童文学本が多いのが嬉しいなぁと感じつつ、手に取ったのはその児童文学。函ナシの理論社日本の創作童話「ちびっこカムのぼうけん/神沢利子」である。1961年の初版で、何と児童文学作家への献呈署名入りで、600円!この本に出会うために、今日俺はここに来たのだ!と確信して即座に購入する。
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2020年12月20日

12/20ちょっと久々の「りんてん舎」へ。

午後にゆっくり動き出し、スタスタ歩いて「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)へ。真剣に棚とにらめっこしていると、入口方面から「こ〜や〜ま〜くん」と小学生の呼びかけのような声がかかる。屈んで棚の下の方を見ていた顔を上げると、マスク越しに微笑む岡崎武志氏の姿があった。「いやぁ〜、先日はありがとう。通路が一本空いただけで、仕事がはかどるはかどる…」と言いながら氏は、すでに三冊四冊と古本を手にして行く…また通路が埋まったら、再びお呼び下さいませ。そして他の通路も開通させて、より快適な書庫にいたしましょう!色々ちょこちょこお話ししつつも、目ざとく欲しい本を見つけて購入する。啓松堂「傳説と歴史/藤澤衛彦」を550円で。昭和八年刊の、世界と日本の伝説&伝承の論考集である。『怪異見世物譚』『生雛人形説話推移考』『蜘蛛伝説とアナンシ物語』『狐の嫁入考』などなど。氏に挨拶をしてお店を出る。面白い本に出会えたが、まだ何かもの足りぬ。そうだ、ここのところ少し足が遠退いている、三鷹の「りんてん舎」(2019/03/30参照)を見に行くことにしょう。中央線に乗って、休日運転のために西荻窪を石のように黙殺し(by・横光利一)、すぐに三鷹駅着。黄色い銀杏の葉が敷き詰めたように散らばる『三鷹通り』を北上し、これもたちまち「りんてん舎」着。店頭箱や棚を渡り歩くや否や、あっという間に五冊を手にしてしまう。ふぅふぅ、調子が良いな。そしてお客さんの多い店内に進み、いつの間にか動きまくり新鮮さ漂う棚を注視する。ふむ、三一書房「ドグラ・マグラの夢 覚醒する夢野久作/狩々博士」が二千円か…お買い得だ。そう言えばこの本、以前一箱猛者の「とみきち屋」さんが、どこかのブックオフで300円で抜いて来たのを見せられて、大変に羨ましかった思い出が…えぇぃ、買っちゃえ!と帳場に店頭本とともに突き出してしまう。あまとりあ社「名作鑑賞 風流艶色寄席/正岡容」東邦出版株式會社「結婚廣告/丸木砂土」誠信書房「箱庭療法/河合隼雄編」(カバーナシ)角川文庫「瓶詰の地獄/夢野久作」伊勢丹美術館「マッキントッシュとグラスゴー・スタイル展」を、「ドグラ・マグラの夢」とともに計2750円で購入する。ふぅ、やはりここは、店頭店内楽しめる良いお店ですなぁ。
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「ドグラマグラの夢」冒頭の序を読むと、新京極の玩具屋で「ドグラ・マグラ」のポケットブックと出会う話が載っていた。『それは店仕舞することもなく売れ残りの古本の上に土産物をつるし、人形を並べて玩具屋に変貌した新京極のもと古本屋なのである』…くぅ、そんな古本が店内遺跡化しているお店、訪れてみたかった!
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2020年12月16日

12/16小村雪岱装画の綺堂本。

夕方に吉祥寺の西北に流れ着いたので、駅方面に向かって行くと、やがて『中道通り』に出る。普段より少し人が少なめな感じがするが、やはりコロナ禍の影響だろうか。そんなちょっと寂し気な感じなのだが、通り沿いのお店が店頭にキャンドルをたくさん灯しており、幻想的な色味と暖かみが、行き交う人の心を和ませているかのようである。あっ!井の頭公園の入口近くにあった、店頭に山岳系古本箱を出している中古登山用品店「mounga」(2019/10/23参照)は、突然お店がもぬけの殻になったと思っていたら、こんなところに移転して来ていたのか。
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大体パルコ前から『中道通り』に入って、200mほどの場所だろうか。登山&山岳古本箱はしっかりと健在で、今は遭難記や登山ガイドブックなどを多く並べている。ひょんなことから、古本箱の無事を確認出来て、良かった良かった。そう思い何も買わずに、「古本センター」(2013/07/01参照)にたどり着き、店頭処分品棚に集中する。創藝社「赤裸の心・覚書/ボオドレエル」新生堂「ダンテ神曲画集/中山昌樹編」(函ナシ)を計330円で購入する。「ダンテ神曲画集」はギュスタヴ・ドレエの挿画百三十五枚を収録した昭和十七年第四版の大判本である。続いて「よみた屋」(2014/08/29参照)では、入口前の300〜500円棚から文藝春秋デラックス「宇宙SFの時代」を550円で購入する。だがいまいち物足りないので、総武線に乗り込んで荻窪駅下車。「竹中書店」(2009/01/23参照)に立ち寄ると、店頭木製二百均ワゴンに変化アリ!すぐさま春陽堂書店 綺堂讀物集「両國の秋」「ものがたり十八夜」の二冊を掴み出し、計四百円で購入する。共に昭和十四年刊の、小村雪岱装画(「ものがたり十八夜」は装幀も雪岱が担当している)の分厚い紙装本。うむ、これにて大満足!と見事憑き物を落とし、ようやく家に帰ることにする。
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2020年12月14日

12/14蘇る“探偵小説狂想曲”(最強)!

午後に溺れかけていた仕事の海から浮上し、息抜きにブラッと阿佐ヶ谷に出る。冬の晴れ間はいつの間にか姿を消し、いやらしい灰色の雲が空を覆い始め、天気予報にはなかった雨粒まで落ちて来る始末。まだお客は誰もいない「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に手指消毒して入店。お店に来る度に入念にチェックしてしまう、中央通路左側の古書探偵小説ゾーンに習慣として目を通す。もはや良い本がバンバン安値で並ぶ、狂喜の“探偵小説狂想曲”がフィナーレを迎え、ダブルアンコールさえも終えてから、ずいぶんと時間が経つ。いつしか棚並びは不動となり(それでも時々はポツリポツリと売れて行くようだ)、新鮮さは当然のごとく消え去ってしまった…だが、それでも油断は禁物である。いつ何時、確率は低いにしても、ひょんなことから新入荷があるかもしれないのだ。店主・天野氏も、探偵小説買取の束はほぼ出し切ったと言っていた…だが、この『ほぼ』が問題なのだ。これはまだ、その同じ買取の本が少しは残っていることを示唆している。なので、探偵小説が欲しければ、決して油断してはならぬのだ!辛抱強く、新たな探偵小説が並ぶ、その時を執念深く待つのだ!…などと常日頃から己に言い聞かせ、阿佐ヶ谷界隈をウロウロしているのである。今日もそんな単なる執念の日課の続きだったのだが、驚くべきことに、棚に変化が生じているのを感じ取ってしまう。うぉ、大正時代の春陽堂『綺堂讀物集』が四冊並んでいるじゃないか!三冊は裸本だが、一冊は函付きで、しかもそれも安い!おぉっ、その上の段の端には春秋社「Yの悲劇/バーナビイ・ロス」のテーブ補修アリの裸本が、これも激安で並んでいる!と続けざまに興奮する。だが、もっとスゴいのが、その段の右寄り真ん中辺に挿されていたのである!大日本雄瓣會講談社「評判小説 蜘蛛男/江戸川亂歩」(昭和五年刊)と六人社「眞珠郎/横溝正史」(昭和十二年刊)!!!!!!ともに函ナシ裸本で経年劣化の傷みはあるが、これは、これはスゴい!亂歩・大関級本&横溝・横綱級本の、夢の組み合わせだ!見た瞬間に『オレは、これを買わねばならない!』と確信した、憧れの分厚い本二冊なのである。だが、値段は…焦りながら手に取り、後見返しに鉛筆で書かれた数字を確認する…「眞珠郎」が5250円…「蜘蛛男」が5150円…………か、か、か、か、か、買うぞっ!ま、ま、ま、ま、まとめて、買うぞっ!そう即座に決心して、二冊の異なるクロス装の本を鷲掴んで帳場へ。計一万四百円で購入する…結果、「コンコ堂」での今までで一番高い買物になってしまった。だが、後悔はしていない。裸本とは言え、この二冊が手に入ることなんて、考えたこともなかったのだ。こんなに嬉しいことはない!よっしゃ、昔の話を、当時の本で時代の雰囲気に浸りながら、存分に楽しむぞ!そんな風に大興奮しながら、宝物の古本二冊を胸に抱えて、小走りに家路をたどる。
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2020年11月28日

11/28さらば「花鳥風月」!

今日は吹き抜ける風に美しく優雅に大量に落葉が舞い散る、幻想的な光景の『井の頭公園』の南に流れ着いたので、池を渡って最近縁あり過ぎる吉祥寺まで出る。というわけで、三日連続で通っていることになる古本屋さんを見て回り、足を停めたのは駅南口バス通りの「バサラブックス」(2015/03/28参照)。店頭300均プラ箱から国書刊行会「漫画雑誌博物館5 東京パック/監修清水勲」を抜き取り、三角形の極狭店内に進む。しばらく店頭を見るばかりだったので、棚の様子に結構変化が生まれているのを楽しみ、講談社「バカな役者め!!/殿山泰司」を選び出し、計1300円で購入する。そして恐ろしい人出から逃げ出すように家に帰り着き、メールで色々お仕事のやり取りをする。その過程で、西荻窪「花鳥風月」(2020/11/01参照)が、実は11/23で営業を終了していたことを知る。やはり昨日の時点でもうやっていなかったのか…閉店が決まってから、早く閉めたがっていたのはなんとなく知っていたが、まさかこんなに早く閉店してしまうとは…もっと買いたい本があったのに…戦前のドイツ・ベルリンの街の写真集とか、1930年代のイギリスのお城の写真集とか、丹那トンネル建設の資料本とか…くぅ、残念。結局最後にお店で買ったのは、古いドイツの絵本になってしまった(2020/11/19参照)…。もはや入店叶わぬお店を偲ぶため、マイ古本屋ファイルをガサゴソガサゴソ…あったあった、「花鳥風月」のチラシ。A4二つ折りで、右にはお店の営業案内、左には池ケ谷伊佐夫氏の店内詳細イラストが掲載されている(これを見るとお店の様子はほとんど変わっていないことがよくわかる)。西荻窪の西端で長年に渡り、古本を売って下さりありがとうございました!さらば「花鳥風月」。中央線古本屋銀河から、ひとつの星の瞬きが、そっと静かに消えてしまった…。
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お店のチラシと最後の買物を記念撮影。
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2020年11月08日

11/8お久しぶりです「祖師谷書房」!

小春日和と言うか、小初夏日和と言った感じの本日は、暖かさが持続している夕方に、祖師ケ谷大蔵の北に流れ着く。ならば!かなり久しぶりの「祖師谷書房」(2009/03/05参照)を見て行かなければ、とても古本心が治まらぬ!と意気込んでお店に向かう。やった、営業中だ。しかも店内には極狭通路店内にはお客さんがひとり…右側通路から左側通路に移動したので、右側のサッシ戸から店内に潜入する。前述した通りかなり久しぶりなので、平積み部分や棚の隙間に挿し込まれた本たちに、大いなる動きが発生している。一生懸命頭を横向きにして、棚前の児童文学山の背を、「ミルナの座敷」とか「アッカの斜塔」とかないだろうか…などと邪な思いを抱きつつ追いかけていると、先客さん(今日初めてお店に入ったとのこと。軽く興奮されており、店主さんにたくさん話しかけていた。素晴らしいことである)が本を買って退店したので、左側通路に移動する。文庫&新書も、手前の部分が随分と様変わりしている…そんな風に楽しみながら、そこから二冊を抜き取る。愛翠書房「怪奇探偵アルセーヌ・ルパン 金三角/モリス・ルブラン著 保篠龍緒譯」創藝社「巴里ひとりある記/高峰秀子」を計400円で購入する。女優・高峰秀子(愛称“デコちゃん”)の七ヶ月に渡る巴里滞在記「巴里ひとりある記」が嬉しい。新書サイズの昭和三十年三版。写真と本人によるイラストが豊富で、女優という職業から解放され、存分に異国を楽しむ直裁な文章が爽快である。奥付の検印が『DECO』とあるのもイカしてます。「祖師谷書房」はやっぱり良い古本がスルッと買える、良いお店だなぁ。
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おぉ、祖師ケ谷大蔵に、古いフランスの馨しい薫りが瞬間漂う。
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2020年11月01日

11/1「花鳥風月」がサヨナラ半額セール中。

今日は午後二時過ぎに西荻北に流れ着いたので、駅方面へテクテク進んで行くと、「中野書店」(2015/03/14参照)がガレージセールをやっているのに行き当たる。おやおや、今は奥のビル脇スペースだけではなく、表通り沿いに大量の百均プラ箱を並べているのか。こりゃあいい!と中腰になり、真剣に本の背を追いかける。
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ほとんどが文庫本なのだが、ふと紛れ込んでいた一冊の赤い古書に目が留まる。春秋社「天才論/ロンブロオゾオ著 辻潤譯」(大正十五年刊。函ナシ)である。背の上下に少し傷みがあり、冒頭に線引きもあるが、これが百円なら迷わず買わねばならぬだろう。そう信じてビル脇の臨時帳場で百円で購入する。大正時代の辻潤本が買えたのは、かなり喜ばしいことである。続いて住宅街の道を縫い。『女子大通り』まで出て、十二月閉店予定で閉店半額セール中の「花鳥風月」(2009/04/28参照)に行ってみる。げぇ!古本が半額とあって、店内は見事に大混雑である…こんな「花鳥風月」、初めて見るぞ…。思わずマスクの形と位置を整え、いざ入店。…小学生がエジプト関連の本を、ここぞとばかり買い漁っている…若いのに強者であるなぁ。かと思えばコミック棚と格闘する正統な小学生の姿も。とにかくどの棚の前も、お客さんが自分なりの何かを掘り出そうと、真剣にセレクトしているのだ。そんな人々の間をヌルヌルと縫い、結局たどり着いたのは、あまり人のいない右奥の自然関連ゾーン。函ナシの黒百合社「チロル傳説集/山上雷鳥」を選び、半額の500円で購入する。まだまだまだまだ良書や古書がたくさんあるので、また覗きに来ることにしよう。
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2020年10月27日

10/27「大河堂書店」で最後の掘り出し物を!

先日「江口書店」(2010/03/29参照)で買った太宰治の「水仙」を読んでいると、収録作の一編に『東京八景』があった。読むのは初めてで、惰性のように共産主義地下活動を務めながら、生活の目標を見出せない太宰と思われる主人公が、生を苦しみながらもダラダラと暮らしつつ、それでもよすがのひとつとして創作活動に打ち込み、東京内を転々と引っ越す私小説である。その中で、天沼の最下等の下宿に移ったところで、こんな描写が出て来た。無頼漢として誰にも相手にされなくなり、世間から『廢人の待遇を受けている』と感じるようになった主人公が、やがて下宿から一歩も出なくなり、『酒のない夜は鹽せんべいをかじりながら、探偵小説を讀むのが幽かに樂しかった』と。…夢も希望もなく、探偵小説を読むことで、孤独の夜から現実逃避していたのだろう。昭和十一年のことである。本格謎解きか、通俗猟奇的なものか、いったい、どんな探偵小説(恐らくは阿佐ヶ谷か荻窪の古本屋で求めたであろう)を太宰が読んでいたというのか…。

そんな八十四年前の、天沼の片隅の誰かのやさぐれた暗い夜と、それをかろうじて慰める一冊の古い探偵小説を想像しながら、午後に外出。先週火曜日の行動をなぞるように、これが恐らく最後の訪問となることを予感しながら、経堂の「大河堂書店」(2009/03/26参照)へ向かう。およそ四十分ほどで経堂に着き、賑やかな商店街の人の流れに乗って、坂の下の小さな十字路を過ぎた「大河堂」。店頭にも店内もお客さんがチラホラ。そしてみなしっかりと古本を購入して行く。なのに棚にはブランクがほとんど目立たないので(奥の農業&自然系くらい)、やはりまだまだ補充をこまめに行っているのだろう。そして店内の閉店お知らせの貼紙には、新たに『閉店セールはやりません』と追記されている。よほど閉店セールについて聞かれたのだろうか…。今日も精査に本の背を追いかけて行く。途中、一箱の猛者・M&M書店さんに会ったりしながら、左奥の壁棚へ。上段に古めの時代小説が固まっているのだが、そのうちの一冊に心臓が跳ね上がる!元泉社「神變呉越草紙/白井喬二」の、は、は、は、箱付きだっ!ついこの間「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)で箱ナシ本を発見して喜んでいたのだが(2020/10/10参照)、よもやその僅か十七日後に、まだ読み終わってもいないのに箱付き完品を発見してしまうとは!大正十二年七月に三上於菟吉や直木三十五が興した出版社から出された、白井の初長編伝奇小説なのだが、二ヶ月後の関東大震災により、そのほとんどが灰燼と化し、後編が出せなかった悲劇の本である。ついこの間「盛林堂書房」小野氏にこの本について聞いてみると、やはり幻本の類いであることを教えられた。棚から取り出し箱から取り出し、後見返しを見てみると値段は千円。やはりここは奇蹟に出会えるお店であったな、と改めて実感し、ダブるのなんか構うものかと、腕に優しく抱え込む。さらに右端通路の海外文学文庫棚から、少し汚れているが新潮文庫「奇跡のお茶事件/チャータリス 黒沼健訳」を見出し、喜びを倍加させる。ビニールカーテン越しに計1900円で購入。「大河堂書店」、最後の最後まで驚くほど楽しませてくれた、“おもしろ文庫”の名に相応しい、素晴らしいお店であった。本当に本当に今までありがとうございました。閉店の十月末日…つまり十月三十一日まで後四日…。
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2020年10月24日

10/24久方ぶりの「江口書店」。

本日は世田谷の奥深くの深沢の住宅街に流れ着く。時刻はすでに午後五時前である…せっかくこんなところに来たのならば、やはり池尻大橋の「江口書店」(2010/03/29参照)に寄って行くべきだろうな。そう決心して、暮れなずんで行く見慣れぬ街をトボトボ歩き始める。『駒沢公園通り』から『玉川通り』に出て渋谷方面へ。オレンジの光を落とす外灯と、詰まり気味の車列のライトが、夜の寂しさを多少なりとも軽減してくれている。そんなに時間はかからないだろうと思っていたら、一時間弱かかってしまった…だが、交差点の向こうには、古書を棚にたっぷりと湛えた「江口書店」の柔らかな姿が見えて来たではないか!
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下手をすればおよそ二年ぶりの訪問である。横断歩道を渡り、早速店頭の小さな木製ワゴンを、店内の灯りで必死に透かし見る。すぐさま気になる二冊を確保して店内に滑り込む。相変わらず本当に茶色い古書で満たされた空間である。棚よりその手前に積み上がる古本たちを見ると、ちゃんと古本屋さんとして動いている息吹が伝わって来る。しばらく熱心に眺めていると、本に囲まれた帳場には誰もいなかったのだが、やがて階段から老婦人が姿を現し着席した。お元気そうでなによりです。角川文庫「皇帝のかぎ煙草入れ/ディクスン・カー」文藝春秋社「文藝春秋選書4 水仙/太宰治」晋北政府「大同雲崗石佛寫真帖」を計500円で購入する。老婦人からはアルコールによる本の消毒を勧められるが、「いや、大丈夫です。ありがとうございます」と丁重にお断りする。
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「江口書店」、やっぱり面白い古書が売っていますな。本日の収穫もとてもとてもいい眺め。「皇帝のかぎ煙草入れ」の訳者は守屋陽一。創元推理文庫のレア本、旧訳「幽霊の2/3」の訳者でもある。「雲崗石佛寫真帖」は、大同陸軍特務機関検閲済で昭和十四年に京城(日本占領下のソウル特別市)で印刷されたものである。外地の出版物が現代の日本にある、この不思議さよ。
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2020年10月23日

10/23す、すまない「ますく堂」さん!

昨晩、Eテレの漫画家超絶技巧研究番組『漫勉neo』を観ていると、浦沢直樹とゲストの星野之宣の対談収録場所が、北海道札幌の「BOOK LAB.」という未知の古本屋さんであった。今時の洒落た店構えの壁棚も立派な広めなお店。いつか訪れてみたいものだ…。

本日は午前のうちに外出して、雨の降る中荻窪へ。「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)で、大正十一年四版の新潮社「タンホイゼル〔附〕ロオエングリン/ワグネル作 中島清譯」を550円で購入する。ちなみに後見返しに貼付けられている「古書ワルツ」の値段札は、「ささま書店」(2020/04/05参照)と同タイプの物を使用しているのだが、小さく入っているキャッチが「ささま」は『広くて楽しい古本屋』だったのが、「ワルツ」では『広い!楽しい! 早い!』になっている。『早い!』ってなんだろう?…精算?棚の回転?その後トボトボ阿佐ヶ谷に戻ると、今日明日と新型コロナ感染拡大予防対策を施した『阿佐谷ジャズストリート』が開催されるので、駅北口アーケード街の「千章堂書店」(2009/12/29参照)は、恒例のジャズ棚二本を店頭に出現させていた。この時期だけ出現する人気の期間限定棚である(ジャズストリート終了後も、二〜三日は残っている)。
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ところで本日は、大阪の「古書ますく堂」さんが上京して一箱古本市に参加するので、どうにかして駆け付けたかったのだが、本日締め切りの仕事が片付かず、どうにも身動きが取れない…す、すまない「ますく堂」さん。本日駒込のカフェ『ミドルガーデンコーヒースタンド』で、午後六時半〜九時と一箱古本市が開かれますので、お時間ある方はぜひ感染予防対策を施して、夜の一箱を楽しんで来て下さい!
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2020年10月20日

10/20愛しの「大河堂書店」の様子を見に行ってきた。

昨日から引き続き嬉しい大乱歩の「幻影の城主」であるが、詳しく調べてみたく、「落穂舎」の目録「落穂拾ひ通信」に当たってみると、「二〇一六年朝霧號」の巻頭カラーページに載っているのにたどり着く。ふぅむ、外装が無いと思っていたが、あの状態で完品なのか。手に入れたのは灰色の特製版で、他に普及版と思える白色表紙の値段(定價参拾圓)が入っているものが存在している。より嬉しさがアップする結果となる。
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白版もいつか手に入れたい…当然ガメつく安値で……。

そして本日は閉店情報が悲し過ぎた、愛しの経堂「大河堂書店」(2009/03/26参照)へ午後に出かけてみる。駅から出て、商店街の坂を下りて店前に付くと、店頭はいつもと変わらぬ感じである。ところが店内に進むと、所々の棚に『十月末日閉店』の貼紙が翻っていた…うぐぅ、やはり本当だったのか…。唇を噛み締めながら店内を徘徊すると、すでに閉店へのカウントダウンは始まっているらしく、棚にちょっとブランクが生まれていたり、棚下がもぬけの殻になっていたり、レジ周りがキレイに片付いていたりと、すでに片付けが始まっている模様である。この店内を楽しめるのも、もはや残り数回か…と激しく悲しみながら、朝日新聞社「木々高太郎全集 月報」の綴りを400円で購入する。特に閉店セールはしていないが、時々まだまだ補充が行われているようなので、また時間を作って見に来ることにしよう。

帰りに高円寺で途中下車し、「DORAMA高円寺庚申通り店」で河出書房新社「地図を作った人びと/ジョン・ノーブル・ウィフォード」を100円で購入。さらにその先の「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)では、芙蓉書房「心霊現象の科学/小池虎之助」を200円で購入し、『早稲田通り』で大量の警察官が軽自動車を囲んでいるのを目撃しながら家路をたどる。
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2020年10月19日

10/19「古書ワルツ荻窪店」で嬉しい大物を!

昨日は足の調子が良くなりつつあり、吉祥寺に流れ着く。当然駅に向かいながら古本屋さんを覗いて行く。「一日」(2017/08/11参照)では奇想天外社「魔法のお店/荒俣宏訳」を300円で。「バサラブックス」(2015/03/28参照)で草思社「名探偵ポオ氏/ジョン・ウォルシュ」を100円で購入し、サッサと帰宅する。ところで、「文學時代 世界獵奇讀物全集号」をチビリチビリ、とっておきのお菓子を少しずつ食べ進めるように読んでいるのだが、巻頭特集の『現代文學獵奇選集』の一編、橋本五郎の『貸家ノート』が面白かった。金欠の失業者が、暇つぶしに借りもしない貸家を内覧し、次々と記録して行くお話なのだが、これがもう“獵奇”というよりは、完全に今和次郎の“考現学”的アプローチなのである。つまりは『考現学小説』!まぁ考現学自体、その調査対象が雑踏を歩く人々だったり、生活している部屋だったり、夜店の一覧だったり、尾行して浮かび上がる行動だったりと、広義の“獵奇”好奇心を満たすような、現代風俗の表層を大真面目に研究する学問である(昭和初期にブームになり、展覧会も開かれた)。この非常に新しい学問が、当時の世相と深くリンクしてたのは当然のことであろう。

そして本日は、足の調子を確かめるように、お昼前に荻窪へ。「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)に飛び込むと、入口手前右脇に大判本棚が出現していたり、店内に上林曉群があったり、中央奥の棚に古書が多めに入っていたりと、ジワリと変化が巻き起こっている。色々眺めた後、中央手前壁棚の新書ゾーンから左にスライドして行き、今やミステリゾーンになりつつあるポケミス中心棚を注視する。平凡社の乱歩全集の裸本が550円か。などとちょっと食指を動かしながら下へ下へと視線を移す。すると本と棚板の隙間に横向きに突っ込まれた背文字の読み難い一冊にたどり着く。取り出してみると、かもめ書房「幻影の城主 随筆集/江戸川亂歩」であった。外装は無いが文字が色箔押しされた灰色の粗雑なクロス装で、安かったら買って行こうと思い、後見返しの値段札を見ると1100円である。いや、ところがなによりそれより、そこに『著者署名』と書かれているではないか。慌てて表の見返しを見ると、青のペンで筆圧強く、『著者』名での献呈署名が本当に入っているではないか!くぅおぉぉぉぉ、これが、大乱歩の直筆!それが、せ、せ、1100円!これを買わずして何とする!と頭に血を急激に上らせ、探偵小説の鬼を心中でを思うがままに踊らせ、即座に購入する。あ、あ、あ、ありがとう、「古書ワルツ荻窪店」!大乱歩の書いたものが、ふいっと手に入るなんて驚天動地の古本屋出来事!やはりこのお店は、引き続き定点観測せねばならぬ重要店であることを、物凄く再確認してしまう。
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2020年10月16日

10/16『探偵小説狂想曲』ダブルアンコール!

足の調子が少しずつ良くなっている気はするが、油断は禁物。今日も外出は午後イチに阿佐ヶ谷に出ただけで終わり。その帰り道、日射しは明るいが風は冷たい『旧中杉通り』をガックリガックリ歩いていると、当然「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)の前で立ち止まる。店頭棚に古い本が出ているな…四六書院「古今いかもの通/河原萬吉」と紫書房「黒ミサ異聞 淫夢女精の記/J・K・ユイスマン」を抜き出したところで天板上の隅に置かれた本にも視線を移すと、一番端にポプラ社「推理小説の読み方/中島河太郎」が潜んでいるのを発見する。箱ナシで線引きアリで後見返しの遊び紙が一枚無いが、これが110円なら安いものである。そしてこんな本が店頭に出ているのならば、店内にも異変が起こっているはず!そう確信して、まずは気持ちを落ち着け、手指消毒をしっかりしてから店内に進む。そして中央通路の目指す探偵小説棚前に立つと、並びに変化が生まれているのを即座に察知する。ついに『探偵小説狂想曲ダブルアンコール』(2020/08/19&09/06&09/19参照)の開幕である。香山滋「魔境原人」は売れちゃったのか…東方社の函入り横溝正史本が何冊か出現している。『由利・三津木探偵小説選』は食指がピクピクするなぁ…新潮社新作探偵小説全集「鐵鎖殺人事件/濱尾四郎」は函の天が欠損しているのが大変に惜しい!その代わり非常な安値となっている。おっつ、このちょっと背が傷んだ古い雑誌は…と引き出してみると、新潮社 昭和五年「文學時代11月 世界獵奇讀物全集号」であった。これは探偵小説魂が燃え上がる一冊である。「文學時代」は時々探偵小説関連を特集してくれたニクい文芸誌。それはこの時代に、探偵小説というジャンルが、勢いを持っていたことをも意味している。よもや『探偵小説狂想曲ダブルアンコール』で出会えるとは。これは『世界獵奇讀物全集号』となっているが、甲賀三郎『勇猛果敢の脱獄』横溝正史『ある女装冒険者の話』橋本五郎『貸家ノート』水谷準『白猫ユラ』佐左木俊郎『黒馬綺譚』などが掲載されており、かなり探偵小説的色合いが濃い。そして当然、世界の猟奇尖端風俗犯罪記事のオンパレード…エログロモダンナンセンスの颶風が顔にブワッと吹き当たり、しばし恍惚とする。先ほどの店頭本と合わせて計1910円で購入する。うぅ、幸せだ。お店の近所に住んでいるという地の利を生かし、こんなにも欲しい本を手に入れることが出来るなんて…。いずれトリプルアンコールもあったら、嬉しいなぁ。
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雑誌の後半には、短篇の翻訳探偵小説『バーネマウス事件/エドマンド・ビーアソン』と『アリバイ/トリスタン・ベルナール』が収録されているが、挿絵は両方とも竹中英太郎が担当し、豪勢にも六枚が掲載されている。
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2020年10月15日

10/15「一日」営業再開!

今日も安静にしていたいのだが、所用あって吉祥寺に出る。というわけでせっかく出たのなら、古本屋さんを見て行くに限る。と、まずはここしばらく休業していた「一日」(2017/08/11参照)へ。やった!予告通り営業再開している。だがガレージのパイプシャッターは相変わらず閉ざされているので、正式な入口から入店し、ギャラリーがホンマタカシ関連で埋められているのを横目に、ビニールカーテンを潜ってほぼ300均のガレージへ。新たな本たちが挿入されているのを肌で感じながら、奥の木箱をガサゴソ漁る。すると昭和十二年刊の大日本雄辯會講談社「少年倶楽部 第八號」附録の「痛快冒險事實物語 豪勇荒鷲艦長」という結構分厚い付録本を発見したので、さすが「一日」!と久々の買物を喜び、330円で購入する。
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この付録本、第一次大戦時に連合国から『海の魔王』と恐れられたドイツの伯爵フェリクス・フォン・ルックネル海軍大佐の冒険事實物語ではあるが、文・南洋一郎、画・松野一夫なのである。

その後は「よみた屋」(2014/08/29参照)にも立ち寄り、お馴染みの店頭百均棚から、初版の綺譚社「おともだち/高野文子」と小学館こども文庫 創作童話1「はさみが あるいた はなし/文・佐藤さとる 絵・村上勉」を抜き出し、計220円で購入する。黄金コンビの「はさみが あるいた はなし」は中綴じのペーパーバック。ハードカバーの絵本より残り難いこのタイプは、見つけたら確保しておくのが賢明である。
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