2019年04月17日

4/17別れに行ったらお休みだった。

昨日は世田谷の赤堤に流れ着いたので、テクテク歩いて明大前まで出て、「七月堂古書部」(2018/01/13参照)…ぬぉっ!小さなシャッターが下りてしまっている。お休みか…と言うわけでそのまま歩き続けて東松原まで出て、「瀧堂」(2014/05/01参照)へ。良かった。やってる。白昼の店内を執拗に探索し、名著刊行会 初版復刻「愉快な鐡工場/大城のぼる」を千円で購入する。そして本日はお昼過ぎに家を出て、中央線→総武線と東へ一時間ほど電車に揺られ、4/23(火)に閉店してしまう、激安・街の古本屋さん「鈴木書房」(2009/07/26参照)の様子を見に行く。駅から長い直線道を進み、ここに来るのは三年ぶりくらいではないだろうか…などと感慨に浸ろうとしていると、うひゃぁっ!シャッターが下りちゃってる!定休日に来てしまったのか!こりゃぁ思いっきり、やっちまったなぁ…だがその悲しみのシャッターには二枚の貼紙がされているので、近付いて目を凝らす。一枚は閉店のお知らせである。
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続いて左の紙に目をやると、4/19(金)〜4/23(火)に、全品半額セールを行うと書かれていた。う〜む、これはもう一度来るべきだろうか…それにしても、店内の本は通常でも激安だったのに、それが半額になるとは、超激安になるということか…う〜ん、また来たいなぁ…来られるかなぁ…。帰りの車中で創元推理文庫「ペテン師まかり通る/ヘンリ・セシル」を読了する。その見事で愉快で素敵な落ちに、無駄足で落込んでいた心が、フワリと軽く浮かび上がる。
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2019年04月12日

4/12六十七年の幕を降ろすことになった「遠藤書店」を見に行く。

昨日はまたもや三鷹と仙川の間に流れ着くが、今回はすんなりと吉祥寺へ向かうことにする。住宅街を必死に北に伝って行くと、いつの間にか『井の頭公園』近くにある「book obscura」(2018/01/12参照)前。店頭の均一棚を一応覗き込んでみると、三冊500円の単行本に、欲しい本を一冊発見してしまう…うぅ、これを一冊500円で買ってもよいのだが、まぁ他にも選んだ方が得だろうと、懸命に『むぅ〜ん』と唸りながら後二冊をセレクト(同じようなことを、前回2019//02/15に訪れた時もやっている。ということは、ここの均一にはよく面白い本がちゃんと混ざっているということであろう)。創樹社「定本 薔薇は生きてる/山川弥千枝」(欲しかったのはこれ。昭和八年に十六才の若さで病没した少女の遺稿集。当時、女性文芸誌「火の鳥」で百ページ超えの特集が組まれるほど、天才との呼び声が高かった。おぉ。小山清の批評文も掲載されている)王国社「ふしぎの国のアリス/ルイス・キャロル」暮しの手帖社「「暮しの手帖」とわたし/大橋鎮子」を計500円で購入する。その後は、『井の頭公園(自然園では『春のリスまつり』が開催中!)』を縦切りながら「よみた屋」(2014/08/29参照)に至る。店内均一文庫棚で、「盛林堂」さんに持って行けばよいことが起こりそうな、ある一冊の裸本を見つけたので、50円で購入しておく。上手く事が運べばお慰み…。

曇天の本日は正午過ぎに外出。向かったのは経堂で、駅北側にナナメに走る『すずらん商店街』の「遠藤書店」(2008/10/17参照)の様子を見に行く。今月末で、この老舗店が閉店してしまうという情報をキャッチしたからである。かつては駅南側に支店を出していたこともあったそうだが…。一車線で、昔ながらのお店も所々に残る商店街を遡上し、お店にたどり着くと、店頭はいつも通りだが、やはり買取停止のお知らせと『閉店のご挨拶』が貼り出されてしまっている。
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そこには、4/30に健康上の理由から閉店すること、六十七年に渡り経堂で営業して来たこと、ご愛顧への感謝などが綴られている。文章最後の『本当に、本当にありがとうございました。』に、古本屋さんとしての万感の思いが込められているようだ。閉店セールなどは別に行われておらず、それ以外は、本当にいつも通りである。店内を回遊すると、今更ながら左端通路棚一面の岩波文庫が存在感を発揮している。そして帳場ではお手伝いの女性と入れ替わり、店主が店番を始めている。そこにご常連さんらしき人が本を売りに現れ、店主と会話を始めた。「実は4/30に店を閉めることになったんです」「へぇ〜そう…えっ!閉めるの?どうして?」「目が悪くなってしまいまして。だから買取ももうこれで最後ですね」「そりゃぁ…いい本屋さんなのに…寂しくなるなぁ…」。そんな話を聞くともなく聞いていると、月末になったらもしかして在庫処分セールのようなことをやるかもしれない、という情報を得る。よし、月末にまたサヨナラを言いに来ることにしよう。芳賀書店「ロボットSF ロボット文明/福島正美編」福音館書店 ちいさなかがくのとも「ゆき ゆき ゆき/たむらしげる」を計320円で購入する。その後は駅南側に出て、本日開店の「ブックオフ」の買取窓口(店内にはちゃんと古本棚アリ)を横目に、坂を下って「大河堂書店」(2009/03/26参照)へ。赤瀬川原平本が大量に入荷しているなと、帯付きのPARCO出版「東京ミキサー計画」を抜き出すと、なんと安値の600円。ついこの間「コンコ堂」さん(2011/06/20参照)に読了して売り払ったばかりだが、これだけ安いと買わぬわけにはいかぬ!と、文春文庫「諫早菖蒲日記/野呂邦暢」とともに計1080円で購入する。
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2019年04月04日

4/4「都丸書店」の高架側がっ!?

午後二時過ぎに浜田山に流れ着いたので、いつものようにコミュニティバス『すぎ丸』に乗り込むと、善福寺川の花見客で大混雑。たくさんのおばあさんたちとおしくらまんじゅうをしながら、『青梅街道入口』で下車し、しばらくの間の閉店宣言をした「あきら書房」(2019/01/30&2016/03/28参照)の様子を見に行く。…やはり開いていないか。すでに事情説明の貼紙もなく、ただ庭に、可憐な白い花が咲き誇っているばかり…あぁ、この様子だと、ここも「ネオ書房」(2019/03/10参照)に続き、再開店の望みは薄そうだな…まぁまた気が向いたら、様子を再度見に来ることにしよう。
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そう思いながら、大きな寂しさを抱きつつ、それを解消するために、トボトボ高円寺へと足を向ける。「アニマル洋子」(2014/03/14参照)はシャッターを下ろしていたので、まずは「大石書店」(2010/03/08参照)の店頭ワゴンにピタッと取り憑く。六興出版「風眼抄/山田風太郎」を100円で購入する。そのまま駅方面に向かい、高架下の商店街を進む。あれ?「都丸書店」(2010/09/21参照)が閉まってる?と不思議に思いつつ、『中通り』に顔を出すと、あれ?「都丸書店」がちゃんと開いている?これはいったいどう言うわけだ?自動ドアから店内を透かし見ると、おや!お店の奥が途中から白いシートで仕切られ、その前に空の棚が置かれているようだ。これはどうやら店舗を三分の二ほどに縮小し、高架側の三分の一スペースを明け渡す動きらしい。慌てて高架側に駆け付けると、シャッターは半分下りているが、すでに外壁棚は撤去され、中の棚も消え去っており、現状復帰普請中である。
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…あぁ、こりゃぁ、「あきら書房」に引き続き、ちょっと寂しい事態である。ではあの高架側にあった古書棚の行方は、いったいどうなってしまうのか?またもや慌てて『中通り』側に戻り、店内に入って通路を一巡してみるも、高架外壁棚に相当する安売り古書棚は見当たらない。なくなっちゃうのかなぁ?どうにか復活させて欲しいなぁ…そう激しく願いつつ、『庚申通り』を北上して「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)に縋り付く。武井武雄や安泰のイラストが嬉しいフレーベル館の「キンダーブック」三冊と、光文社文庫「「探偵文藝」傑作選」「「探偵クラブ」傑作選」共にミステリ文学資料館編を計500円で購入し、トボトボ『早稲田通り』を阿佐ヶ谷へと、侘しく引き返す。
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2019年03月29日

3/29お店は消えても「マニタ書房」の名は残る!

今日も早朝から仕事にかかりっきりだったのだが、取りあえずすべてを形にして仕事先に投げ、その答え待ちの間にススッと外出する。正午前に家を出ると、気温が想像以上に低いではないか…春の装いで出て来たのは、完全に失敗であった。震えながら水道橋駅で下車し、さらに震えながら古本屋さんをパトロールして行く。「日本書房」(2011/08/24参照)が当たりで、冨山房 新譯繪入模範家庭文庫「ガリバア旅行記/平田禿木譯 岡本歸一画」四季社 みみずく新書「設計図の上の消ゴム/永井龍男」を計900円で購入する。素晴らしき出会いに、大いに満足してしまったので、このまま踵を返して帰りたいところだが、そういうわけにはいかない。今日は3/30(土)でお店を閉める「マニタ書房」(2012/10/27参照)の様子と「さくらみちフェスティバル」をチラリと見て行きたいのだ。相変わらず厳しい寒さに脅かされながら、『神保町交差点』に向かい歩を進める。そして交差点近くの小ビルの入口に『全品半額』と貼られた「マニタ書房」の看板が出ているのを確認。
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狭い階段を、カタコト四階まで上がると、扉が全開になっており、マニアックで特濃な本棚が姿を現していた。店内に進み、ラーメンを啜っている店主・とみさわ昭仁氏と挨拶を交わす。蛍光灯がフリッカー現象を起こして忙しなく明滅する中、催眠術に罹ったように、最後の「マニタ書房」を楽しむ。いつ見ても『人食い』とか『ハンディキャップ』とか『特殊配偶者』とか、ついぞ他店では見かけなかったジャンルが輝いている。講談社HOW=TO BOOKS「アフリカ困難旅行/羽仁進」を500円で購入しながら、色々お話を伺う。今回の閉店は、物書き業に専念するためのものだそうである。この神保町にお店を開いたことにより、新たな人脈が出来たり、昔の人脈が復活したりして、いつしか仕事が増えたため、思い切って閉めることにしたとのこと。そして少なくなり始めている、棚の本の行方を聞くと、最初は全部「ブックオフ」に売りに行くという美しい辞め方も考えたそうだが(とみさわ氏は稀代の「ブックオフ」マニアであり、棚の本もそのほとんどは「ブックオフ」行脚で買い集めたものなのである)、何とお客さんのひとりが残った本をすべて引き取り、自分の蔵書もプラスして、近々に越谷で古本屋さんを開くという事実が判明する。また、とみさわ氏は、古本屋稼業から足を洗っても「マニタ書房」の名は残したいということで、下北沢の「古書ビビビ」(2009/10/15参照)に棚を借り、そこに変わらず特殊な古本を並べて行くとのことであった。何はともあれひとまずおつかれさまでした。六年四ヶ月の間、楽しい唯一無二のお店を開いてくれて、ありがとうございました。ぜひまた『せんべろ古本ツアー』をやりましょう!と約束し、お店を後にする。その後は『靖国通り』に出て、各ブースを震えながら覗き込んで行く。だがあまりにも寒過ぎるので、集中力がそれほど続かない。お店は確認しなかったが、東京創元社「殉教カテリナ車輪/飛鳥部勝則」(初版帯付き。袋とじ未開封)を300円で購入。そして「盛林堂書房」(2012/01/06参照)の春陽堂文庫・日本小説文庫・博文館文庫の50%オフほどの値付に舌を巻きながら、東京創元社「ペテン師まかり通る/ヘンリ・セシル 平井呈一訳」(初版。帯ナシ)を500円で購入し、早々に帰宅する。
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本日の収穫。「ペテン師まかり通る」を読み始めると、ところどころに江戸言葉が出現し、流れるように読みやすく面白い。
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2019年03月28日

3/28刹那の西荻で「女獸心理」を!

本日も仕事でキュウキュウ。だが午後に一瞬外出し、西荻窪で受け渡しを一つする。昨日同様一刻も早く家に戻らねばならぬのだが、ちょっとだけ古本屋さんを見て行こうと決め、北口『西友』の中を通り抜け、まずは「古書音羽館」(2009/06/04参照)へ…と思ったら、手前の「忘日舎」(2015/09/28参照)の外棚に見事に引っ掛かる。何だか推理小説関連の評論が多いな。そう感じつつ、一冊二冊と手にして行く。そして最下段左隅に目をやると、そこに落葉色の古い裸本が一冊…背の上部が剥がれており、作品タイトルが一部欠けてしまっている。「●●心理」…そ、その下には『野溝七生子』とあるではないか!ということは、この本は「女獸心理」!この古さは、オリジナル本ではないかっ!と途端に色めき立ち、本をソッと抜き出す。八雲書林「女獸心理(新和壘の手記)/野溝七生子」(函ナシ。蔵印アリ。昭和十五年刊)である。
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くぉぉ。まさか西荻窪で昭和十五年の野溝七生子に出逢えるなんて!と思い切り胸を弾ませ、物語の書き出しに目を落としてみる。『不意に、なにかに唆されるやうな氣持で新橋で列車を降りてしまった。一晝夜乗りつづけて來て、東京驛まで最後の六分間がどうしても我慢ができなかったのである』……あぁ、講談社文芸文庫で読んだことのある書き出しだが、もう、オリジナルの紙と活字で読むと、魂がこの時代の磁力にビンビン惹き付けられてしまっているのを、激しく感じる!店内に飛び込み精算をお願いしようとすると、身体を向けていた右側には棚しかないではないか。慌てて振り返ると、左側窓際に帳場が移動していた。帽子を目深に被ったまま精算をお願いすると、たちまち忘日舎さんには正体を見破られてしまった。他にダイヤモンド社「推理小説と暗号/長田順行」研究社「推理小説の美学/H.ヘイクラフト」とともに計300円で購入しながら、古本屋のこれから・在り方・生き方・生き残り方など、ディープで真面目な話題に花を咲かせる。阿佐ヶ谷に戻り家路を急いでいると、昨日に続き「ネオ書房」(2019/03/10参照)の激しい変遷が目に飛び込んでくる。何と店内の本はすべて運び出され、九十一才のオヤジさんが知り合いと話しながら、バリバリと本棚を解体しているではないかっ!?…あぁ、これでは選挙後の閉店セールの再開は、望み薄かなぁ……。
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2019年03月27日

3/27「空家の美人」は探偵小説だった。

本日は仕事場に朝からギュギュウと雪隠詰め…各所に新しい古本屋さんが出来ているのに、出かけられぬもどかしさを骨身にしみ込ませながら、目の前の細かい仕事に打ち込む。そこで昨日の話をして、まずはお茶を濁すことにする。午後に一瞬立ち寄れた吉祥寺で「よみた屋」(2014/08/29参照)に飛び込み、ユニコン出版「名探偵ホームズ1 のろいの魔犬/[原作]アーサー・コナン・ドイル [構成]加納一朗 [劇画]ムッシュー・田中」(こういう見慣れないホームズ物を即座に買ってしまうのは、完全に北原尚彦氏に感化されているからである。それにしても開きの悪い硬い本だ…)ハヤカワポケミス「死者の中から/ポアロー ナルスジャック 日影丈吉訳」交通新聞社「ウルトラあいうえお」を計1200円で購入する…というわけで、本日も古本屋さんに行きたいのはやまやまだが、とてもその時間が作れない。そこで慰みに、手が空いた合間合間に、昔の古書目録を捲り、渇を癒す…そして「落穂舎」の古書目録「落穂拾い通信 2011年春光號」を見ていると、嬉しい発見がひとつあった。2019/02/11「古書狩り2019」で、200円で購入し、妙に気になっていた明治本が掲載されていたのである。しかも『探偵小説』のグラビアに!大川屋書店「空家の美人/松林伯知講演 今村次郎速記」である(目録にあったのは、表紙が異装で出版社も『吾妻屋』と異なる初版。手元にあるのは、講演者・筆記者ともに同じだが出版社が違い再版となっている)。意味ありげなタイトルがどうにも引っ掛かり『探偵小説ではないだろうか?』と都合良く疑っていたのであるが、幾ら調べても、これがどんな小説かわからない。まぁ、読めば分かる話なのだが、そこまでの気概が実はなかったのである。だがこれが探偵小説の一種だと分かると、俄然読みたくなって来る。人とは、全く自分勝手で、都合の良い生き物である…。
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そんなことがあったりしながら、午後に一瞬家を抜け出し、駅頭で仕事の打ち合わせをひとつする。これはちょっと楽しみな仕事。ウキウキしながらも急いで家に帰る途中、「ネオ書房」(2019/03/10参照)の前に人がたくさん集まり、たくさんのダンボール箱を組み立てている…どうやら中の古本を運び出す準備をしているらしい…いったいどうなってしまうんだろう?お店としては、もう復活しないのだろうか?まったく閉店後(一応)も、やきもきさせてくれる、お店だなぁ。
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2019年03月10日

3/10「ネオ書房」最期の日(一応)。

午後になって、昨日春一番が吹いた後の街に出て、今日が最後の営業日の「ネオ書房」(2019/01/06参照)前。まだオヤジさんが、左側店頭棚のブルーシートを畳んでいる真っ最中である。その、貸本屋と古本屋で世間を渡って来た後姿に、こっそり『ありがとうございました』と感謝の念を捧げる。開店準備が整ったので、早速店頭棚に近付き目を凝らす。すると通りを歩いていた人たちも、たちまち近寄り本を吟味し始める。そこでオヤジさんが顔を出し、にこやかに「今日が最後の営業日です。本は全部半額です。だからたくさん買って行ってね」と開店宣言。それを聞き、一番乗りで通い慣れた店内に滑り込む。閉店セールが始まってからの二ヶ月間、たっぷりと楽しませていただきました。そんな風にくどいほど感謝しながら感慨深く、店内を他のお客さんと通路を譲り合い、一周する。最後の買物は、ひばりコミックス三冊!ひばり書房「杉戸光史怪談シリーズ 亡霊の里/杉戸光史」「ひばりの怪談シリーズ 赤子葬送曲/池川伸一」「GOGO赤ヘル軍団/杉戸光史」(広島カープメインの漫画と思いきや、その広島カープを親子二代で愛し支えた、早川鯉平・通称カープさん激動の物語。こんな漫画が存在していたなんて…)のを計1500円で購入する。ひとまず今日でこのお店とはひとまずお別れである。選挙事務所が一段落した後、再開してくれれば本当に嬉しいのだが。何はともあれ、楽しい古本をたくさんありがとうございました!
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※お知らせ三つ
1. 月曜日辺りから発売になる「本の雑誌 三色団子くるくる号 No.430」の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、高円寺の「古書サンカクヤマ」をレポート。店頭で北原案件を発見し、当の北原尚彦氏に報告するが、その顛末や如何に。そして今号の特集は、何と嬉しい『昭和ミステリー秘宝館』。ミステリ界の重鎮たる、お歴々に混ざり、五十二才なのに若輩ながら私も原稿を書かせていただいております!名付けて『昭和ミステリーの装丁コレクション』。これまで古本屋さんについてばかり、マシーンのように書いて来ましたが、ついにこのような原稿を書ける日がやって参りました!本の雑誌社さんに誠心誠意大感謝です。どうか書店で手に取っていただければ幸いです。
2. 3/17(日)のみちくさ市に、掘り出した古本をたくさん携え参加いたします。春になった三月の雑司が谷に、どうかみなさま古本を買いに来ていただければ。面白い本、奇怪な本、古い本、取り揃えておきますので!
■「第46回 鬼子母神通り みちくさ市」
■3月17日(日)11:00〜16:00 雨天中止(当日午前八時に天候による開催の有無を決定)
■東京都豊島区雑司が谷二丁目・鬼子母神通り周辺
https://kmstreet.exblog.jp/
3, そして連続で、3/23(土)の『本のフェス』の『本の雑誌商店街』にも参加します。対応できるほどの本を家で掘り出せたので、どうにか大丈夫なはずです!場所が去年と変わりますが、参加者のみなさんが相変わらずゴージャスなので、ぜひとも遊びに来ていただければ幸いです。ついでに古本も買っていただければ、もっともっと幸いです!
■2019年3月23日(土)10:00〜19:00(私はこの日だけの参加となります)
■2019年3月24日(日)10:00〜17:00
■会場:DNP市谷左内町ビル (東京都新宿区市谷左内町31-2) (本の雑誌商店街)
■参加者:140B/岡崎武志/荻原魚雷/カンゼン/北原尚彦(3月23日のみ)/キリンストア/国書刊行会/古書いろどり/古書ますく堂/コトノハ/小山力也(3月23日のみ)/酒とつまみ社/星羊社/盛林堂書房/旅と思索社/八画文化会館/ホシガラス山岳の会/本の雑貨社/本の雑誌社/森英俊/山と渓谷社(店名五十音順)突発的にまだまだ増えるかもしれません。
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2019年03月05日

3/5「ネオ書房」がいきなり『3月10日マデ』に!

本日は正午にいつか来た北府中に流れ着くが、この辺りはもうすっかり古本屋砂漠となっているので、武蔵野線で素早く離脱し、中央線に乗り換えて武蔵境で途中下車。「浩仁堂」(2011/02/15参照)に立ち寄り、従業員のみなさんがお昼ご飯中で和やかな賑やかさを湛える店内にしばらく居座り、新潮社「メモリーズ・オブ・アメリカン・ドリーム」角川選書「地球観光旅行 博物学の世紀/荒俣宏」講談社「わたしのえほん/いわさきちひろ」を計400円で購入する。一旦家に戻り、午後三時過ぎに再び外出して阿佐ヶ谷「ネオ書房」(2019/01/06参照)の様子を見に行く。すると驚くことに、サッシ扉に貼られた『閉店半額セール』横断紙の上に、『3月10日マデ』の貼紙が出現しているではないか!扉から店内に身を滑り込ませると、棚を整理中のオヤジさんとバッタリ。思わず「お店、三月十日までなんですか?もっと続けると思ってましたよ」と声を掛けると「いや、私も続けるつもりだったんだけどね。実は区議さんに、ここを選挙事務所として貸してくれ、って言われちゃってね。急遽こうなっちゃったんだよ」「ほ、本はどうするんですか?」「通路は空けるけど、棚の本は取りあえずこのままかな」「じゃあ、選挙が終わったら、またやるんですか?」「う〜ん、やるかもしれないし、やらないかもしれないなぁ。もう九十一才と七ヶ月なんで、その時の体調次第だよ」「お元気でいて、どうにか再開してください!」と言うようなやり取りをする。なんてこった。突然閉店日が決まってしまった。あと五日しかないじゃないか。こんなに毎日楽しく通っていた場所が、無くなってしまうことを考えると、とても恐ろしくなってくるじゃないか!…などとカウントダウンの恐怖に震えつつも、棚に動きがあるようなので、眼は血眼。おかげで素晴らしい一冊を発見する。実業之日本社JNコミックス1『名探偵ホームズシリーズ 4人のサイン/コナン=ドイル原作 アレンジャー・望月三起也 プレイヤー・たなべ節雄』である。ヒゲで垂れ目のホームズと、ワトスンの甥・ビギンスが活躍する推理快作コミックである。ウヒョウヒョと250円で購入し、「また来ます!」「待ってますよ」とやり取りする。やはりここはまだまだ何か出て来るお店なのだ。
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2019年02月23日

2/23十三は青葉に乗艦していた。

今日はお昼過ぎに東府中に流れ着いたので、一駅だけ都心から離れるように府中に移動し、およそ九年ぶりの「夢の絵本堂」(2010/03/14参照)を目指すことにする。果たして営業しているだろうか?とドキドキしながら、旋風吹き荒れる『甲州街道』を経由して、まだまだ冬木の桜並木を通って、ちゃんとお店に到着する。おぉ、昔と寸分変わらぬ姿で営業中ではないか!店主が表に出て均一台の整理をしていたので、ペコリとお辞儀してから、百均絵本ラックやその下の単行本を眺め始める。二冊を手にして、風に背中を押されるようにして店内に進む。本がピシッと棚に収まる、整理整頓の行き届いた空間である。その中に『As Time Goes By』がエンドレスで流れ続けている。う〜ん、良いお店だなぁ〜と改めてひとしきり感心しながら入口入って直ぐの雑多雑誌棚や中央棚の古書&児童文学ゾーンに魂をグイグイ引っ張られる。4回目の『As Time Goes By』を聴きながら、全日本家庭教育研究会「子そだてゆうれい/平林英子文 木村円香絵」ワニブックス「またまたあぶない刑事シナリオ写真集」ナイトスポット社「ナイト・スポット 昭和四十四年SUMMER」(大人のための夜遊びガイド雑誌。富永一朗の横浜穴場めぐりや吉行淳之介のコールガールエッセイとか、キャバレーやナイトクラブや連れ込み宿の広告がイカしてる!)誠文堂新光社「人形劇・影絵芝居/藤城清治・町田仁・田中清之助編」(地味に探していた本なので嬉しい。人形劇&影絵芝居をするためのハウツー本なのだが、藤城の人形造りや人形劇に対する姿勢が厳し過ぎ、一切の手抜きを許さないスパルタ文章が連続して行く)を計2250円で購入する。ここはこれからも来ることにしよう。
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そして家に帰ると、久々のヤフオク落札品が到着していた。誠文堂新光社「僕らの科學文庫 僕らのラジオ/佐野昌一」である。昭和十七年初版のカバーナシで1900円であった。海野十三のもうひとつの顔(というか本名)が著した、ラジオの仕組みや電波や真空管についてやラジオの作り方などの、少年用ハウツー本である。センセイがラジオについて軽妙に講釈しながら、話が脱線するとどこからかハガキが届きそれを戒め、本線に戻すという奇怪なビートで各章が展開して行く。粗末な二色刷りのラジオ受信機グラビアの裏面には、ポツリと佐野昌一(海野十三)の海軍報道員服を着た姿が、ボンヤリと掲載されている。そうか、海野は確か南方に巡洋艦の青葉に乗って作家として従軍したんだよな…あれ?『青葉』……そうか、映画『この世界の片隅に』で、主人公すずさんの幼なじみ・水原哲が乗っていたのが『青葉』だったはず。じゃあもしかしたら、甲板に洗濯物を干しているシーンとかで、何処かに海野が登場しているかも!と思いつき(何故かと言うと、戦後の広島で、子供時代のアニメーター大塚康生らしき男の子が、一心不乱にジープをスケッチしていている嬉しいシーンがあったりするので、もしや!と思ってしまったのだった…)、録画してある映画をちょっと観てみるが、該当するような人物は見当たらなかった…フフフ、どうやら妄想が過ぎたようだ。
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これが妄想を加速させた、折込グラビア裏の、何だか映画『悪魔の手鞠唄』の小道具的な、ぼんやりとした海野の写真。
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2019年02月22日

2/22「古書ほうろう」千駄木ありがとう!! 移転セール!

午前中をぐずぐず過ごし、午後一時過ぎに外出。新宿で中央線から山手線に乗り換えて、上部をぐるっと回り込んで西日暮里駅下車。昭和の暗い雰囲気がわだかまる駅舎から外に出て、巨大な切り通しの中を、微妙な傾斜を足裏に感じながら東南へ歩んで行く。自転車の警察官が目を光らせる『道灌山下交差点』にたどり着けば、「古書ほうろう」(2009/05/10参照)はもう「不忍通り」沿いに見えている。只今四月の店舗移転に向けて、『移転セール古本全品3割引ッ!!』を行っているのである。横断歩道を渡ってお店に近付くと、立看板やガラス扉にその旨が貼り出されている。
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店内に進むと、ほぉっ、賑わっている。早速負けじと棚に視線を走らせて行くと、まだまだ良い本が居残っている。彌生書房「黒い終点」とか野口赫宙の推理小説とか恩地孝四郎デザインの「書窓」とかサンリオSF文庫の千円の「ノヴァ急報」とか創元推理文庫「怪盗レトン」とか…などと久しぶりの棚をじっくりと楽しむが、結局食らいついたのは右端通路の500均棚である。角川書店「逃亡将校/桶谷繁雄」(昭和三十五年刊。乱歩と木々に薦められ、『宝石』に連載した推理小説集。作者曰く、パリの半七捕物帳を目指したとのこと)ゆまに書房 復刻版新興藝術派叢書「僕の標本室/川端康成」「夜ふけと梅の花/井伏鱒二」を選んで、店主の宮地氏(2016/10/18参照)がお客さんに接する度に、移転場所とお店の広さと移転理由を説明している帳場へ赴く。挨拶を交わし「めっちゃ移転先説明してるじゃないですか。地図作ればいいじゃないですか」「家賃アップで移転することになったとか、めっちゃ明け透けじゃないですか」と冷やかすと、実は地図はちゃんと作ってあり、それでもなおかつ丁寧に説明しているのであった。そして移転理由を明け透けに話すのは、移転することによりお店が『近くなった』と喜ぶ方もいれば『遠くなった』と不便に思う方もいるので、しっかりと事情を説明しておきたいとのことであった。あぁ、なんという真摯な対応をされているのか!と冷やかしたことを恥じ入り、深く心中で頭を垂れる。「もう、今までで一番話しをしている感じです。顔見知りのお客さんとも、話すことにより関係性が新たになって、自分でも驚いています」「四月にはオープンしたいのですが、こちらの撤収と新店舗の造作次第がまだ不確定なので、はっきりと移転日を決められないんですよ。でも、4/28の「一箱古本市」には、絶対に間に合わせなければなりません!」などと忙しそうだが楽しげに語る宮地氏であった。先ほどの三冊を1050円で購入し、池之端の新店舗地図もいただく。このセールは3/3(日)まで。この後は古本神よりタレコミのあった、あるお店を見に行ってみるが、残念ながらお休みの模様。仕方ない、「バンゴブックス」(2011/07/28参照)に寄ってからブラブラ帰るかと『へび道』に向かう。ところが小さな店内に踏み入ると、いつの間にか中央の棚は姿を消し、店内中央に本の低山に渦巻かれた帳場が出現しているではないか。なので見られる棚は、店頭と右壁棚だけの状態になっていた。掘り返したらいつも通り面白そうな古本がザクザク出て来そうだが、少し勇気が必要なので、今日は萎縮してそのまま何も買わずにお店の外に脱出してしまう。また別の日にチャレンジしよう…。
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2019年02月19日

2/19二冊目の大海赫

お昼過ぎに、気まぐれにパラつく雨に軽く打たれながら、阿佐谷南に流れ着く。ならば、天岩戸古本屋状態(2019/01/30参照)の「あきら書房」を偵察に行くかと、住宅街を縫い歩き、勘を頼りにお店の横手に到着する。だが、お店部分である部屋のシャッターは下りたままで、貼紙もそのままの状態である。…まだまだ開くには、時間がかかりそうだ。がっくりしながら中央線高架までたどり着き、高円寺へと足を向ける。そして『庚申通り』の「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照。いつの間にか、開店四年目を迎えている!)へ。店内は若者たちでいやに賑わっている。おうっ!「遊」の稲垣足穂&野尻抱影追悼号が3200円か。相場より安くて欲しいのはやまやまだが、ちょっと考えちゃうなぁ…などと囚われ、店内を一周しながら逡巡していると、児童文学棚でじっくり探しているうちの一冊をぽかっと見つける。ブッキング「メキメキえんぴつ/大海赫 作・絵」である。私は幸か不幸か、この奇怪な童話を書き(描き)紡いでいた大海赫を、まったく知らずに生きてきてしまった。だから出会いは「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)で同じくブッキングから復刊された「クロイヌ家具店」(カバーナシ)を515円で買ったのが、ファーストコンタクトである。以来、すっかり大人なのにその魅力にボワッと取り憑かれ、見かけたら手に入れるようにして行こうと思っていたのである。値段は2000円…少しだけ迷ってから帳場に持って行く。こういう出会いは、古本修羅としては大事にしなければいけないのだ。己から関わり気にしていれば、いつの日か復刻本ではなく、オリジナル本と出会える日も、きっと来ることだろう。そんな風に能天気に希望しながら、ダラダラ阿佐ヶ谷へと戻り始める。
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2019年02月18日

2/18さらば、竜ケ崎 古書モールよ!

月曜日、午前十一時の東京駅常磐線七番線ホーム、五号車前で岡崎武志氏と待ち合わせる…と思ったら、その前にホーム下のトイレ前で鉢合わせてしまい、顔を見合わせ苦笑い。「青春18きっぷ古本屋への旅」再び!という感じで始まった小さな旅の目的は、2/20に閉店してしまう「竜ヶ崎古書モール」(2009/12/26参照)の最後を見届けに行くこと!思えばおよそ九年前にこのモールにたどり着いて以来、さほど近くはない茨城県の竜ヶ崎に何度足を運んだことだろうか。その度にドッサリと古本を買い込み、常に古本購買欲を満足させてくれた、偉大な古書モールであった。その巨鯨が、ついに倒れてしまうのである。こんなに悲しいことはない…と思いつつ、半額閉店セールに卑しく心惹かれ、今日も面白い本が買えると良いのだがという胸算用を抱き、常磐線は荒涼とした枯れ野の関東平野を進んで行く。佐貫駅に着き。関東鉄道に乗り換える。固い赤いクッションに腰を下ろすと、「もうこれで、この路線に乗ることもないんやろな」と岡崎氏が呟く。十分ほどで竜ヶ崎に到着し、まずは駅前のフォークライブハウス兼リサイクルショップを岡崎氏に紹介すると、残念ながら定休日だったのだが、氏は“フォーク”に激しく反応し、「これは素晴らしい!」と興奮しながら店頭を激写しまくる。「いつかここでライブやるといいですよ」「遠いわ。誰も来ぃへんやろ」などと笑いながら話し、いざ巨大ショッピングモールへ。人気が少なく、虚しく無駄にゲームコーナーの音楽が響き渡っている。あっ!一階の古本売場は、『CDコミック館』になったのか。などと驚きながら、コミックはすっ飛ばして奥へ進む。するとそこには、動かぬエスカレーターが、二階への階段の役割を果たしているではないか。
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ベルト手すりの下には『階段の上り下りの際は、手すりにおつかまり下さい』の貼紙があり、正真正銘階段扱いされている。だがそこに足をかけると、エスカレーターは動くものと脳が認識しているので、どうにもガクガクアタフタしてしまう。「なんか転びそうやなぁ」としっかり手すりを掴んだ岡崎氏。ようやく二階に上がると、寒々しく撤退した店舗空間の向こうに、愛しの巨大古書モールが、ぼんやりと見えていた。
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急いで近付くと、『古書モール全品50%OFF』の立看板が置かれ、通路各所にも『全品半額』の貼紙が乱舞している。
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即座に岡崎氏と別れ、間引かれた蛍光灯の下の十本の通路を、じっくりと検分して行く。ここでの古本探しの流儀は、しっかり見ることと、途中で投げ出さないことである。本の並びは完全に玉石混淆なので、すべての棚に辛抱強く目玉を走らせて行く地道な探し方が、一番効果的なのである。そして、絶対に何かあるはずだと、信じること!そう自分に言い聞かせ、荒れた棚や箱をのぞき込んで行く。暖房はほぼ効いていない状態なので、段々に身体と手が冷えて行く。途中、岡崎氏が箱棚の向こうから「焦らずに、ゆっくり見ていいで」と優しく声をかけてくれる。奥のアダルトコーナーでは、ひとりの若者が笑顔で雑誌類と大格闘を続けている…。結局一時間強滞在し、五冊を手にする。鏡浦書房「いのち愛し/淡谷のり子」(函ナシ)六合書院「大江戸捕物秘帖/阪東逸平」無限十周年記念翻刻版「氷島/萩原朔太郎」戰旗社「定本日本プロレタリア作家叢書 蟹工船 改訂版/小林多喜二」新潮社「ボクは好奇心のかたまり/遠藤周作」(これは北原案件として購入。果たして持っておられるかな?)を計1150円で購入する。
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やはり「蟹工船」が嬉しい。復刻版ではないのに(昭和四年四刷)、この表紙の鮮やかさはどうだ!こんな本がひっそりと転がっている、この古書モールが、私は大好きだったんだ!知ってからの九年間、本当にありがとうございました!

帰りもアタフタと動かぬエスカレータを下り、関東鉄道で佐貫に引き返し、日高屋にて昼食を摂る。武蔵野線で帰る岡崎氏とは柏駅で別れ、「氷島」を読み耽りながら東京へ戻る。
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関東鉄道車内の岡崎氏。体内に静電気を激しく帯電しながら(金属製の手すりなどに触る度、『バチッ』と放電している…)、現在書き下ろし単行本と格闘中。三月には氏と何かやるかもしれないので、正確に決定したらお知らせいたします。古本好きのみなさま、のんびりとお待ちください。
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2019年02月16日

2/16掛紙は大浦天主堂

本日は国立の南に午後三時四十分に流れ着く…東村山には、到底間に合わないな…。涙を飲んで臍を噛み、至近の「ユマニテ書店」(2009/06/22参照)で慰めて貰うことにする。右側の扉から中に入ると、通路棚の文庫ゾーンが二重になっているのが気になってしまったので、遠慮せずに掘り出してみることにする。左手で手前の文庫を六冊ほど鷲掴みにし、四十五度ほど手前に傾けて、奥の文庫を確認して行く。そんな作業を、執拗に丁寧に三十回ほど繰り返す。その結果、春陽文庫「信濃・甲州路殺人事件/萩原英夫」徳間文庫「サドン・デス/高橋泰邦」(ゴルフ推理…水谷準が喜びそうだ…)教養文庫「デザインハンドブック1 インダストリアルデザイン/GKインダストリアルデザイン研究所編」を計650円で購入する。めっけものは「デザインハンドブック」全三冊の内の一冊だが、昭和三十年代のミッドセンチュリーな工業製品の写真が満載!ちなみに今日は棚を見ている間に二人もお客さんが訪れ、少しびっくりする。一人目は若い女性で、結構棚をじっくり見ながら通路を一巡し、「ありがとうございました」と何も買わずに出て行った。その礼儀正しさに感心する。二人目は中年の男性で、右側通路に入って棚を見るなり「うわぁ、古い懐かしい本がいっぱいですねぇ」と帳場のご婦人に豪快に話しかけていた。その真っ直ぐな態度がちょっとだけ眩しかった。
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三冊にまるっと掛紙を巻いてもらった。図柄は見難いが『大浦天主堂』である。この愛すべきちょっとしたお土産感が嬉しい。

阿佐ヶ谷では当然の如く「ネオ書房」(2019/01/06参照)に寄り道する。今日は普通に文藝春秋「少女外道/皆川博子」を250円で購入する。そして昨日入手した「初稿半七捕物帳六十九話集」を読み始めているのだが、やはり抜群に面白い。江戸を舞台にした捕物帳なのに、このモダンさとスマートさは、どうだ!面白過ぎて格好良過ぎて、憧れて、段々半七になりたい願望が、中学生の時のように頭をもたげて来てしまう…あぁ、もうとっくに五十を過ぎていると言うのに、俺はいったい何を考えているんだ…。
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2019年02月11日

2/11古書狩り2019!

午前七時に起床し、祝日だと言うのにバタバタと色々慌ただしく手掛けて、午前九時前に外出する。眦鋭く、冷たい空気を切り裂いて目指すのは、待ちに待った東村山「なごやか文庫」(2012/01/10参照)の「初売り大古本市」(2012/02/05参照)である。今日が祝日であることを警戒し、いつもより一本早い電車で現地へ向かう。早くも午前九時半には『社会福祉センター』にたどり着くと、すでに二十人ほどの古本修羅&レコード修羅がセンター内から列を作っており、その最後尾に張り付くと、入口からははみ出した寒い位置。震えつつ、身体を動かしつつ、三十分を耐え忍ぶ。今年も良い古書が買えるだろうか?…そんな不安に怯えながら、もしかしたらあんな本やこんな本が…などの妄想が心の中に錯綜する。もちろん目指すは、大会場入ってすぐ右の古書棚である。とにかく、良さげな本が気になったら、ガシガシ取り出し抱きしめて行こう…そんな風に決意し、忙しなく身体を動かし、突入に備える。開始一分前、革ジャンのジッパーをジャッと下ろし、機動性を確保した後、午前十時に会場へ突入する。「走らないでくださ〜い」の注意を守り、反則ギリギリの早足で、チャップリンのような直角カーブを二度繰り返し、夢にまで見た200円均一古書棚前へ。とにかくとにかく腕の中だ!と目玉と指先と腕を素早く活動させ、古書を確保して行く。いつの間にか、古書棚にも人垣が出来ている…これは、例年よりヒートアップしているぞ!と驚きつつ、ハートは熱く、頭脳と目玉は冷静に古書を精査して行く。結果、左壁の洋書コーナーにも一部食い込んだ古書ゾーンを、およそ十分弱で見終わった時には、腕の中には十五冊の古書が積み重なっていた。では、落ちついて吟味してみようと、隅っこで一冊一冊己に必要かどうか検分する。結果、棚に戻したのは一冊だけで、欲しい本を適確に抜き取っていたことが判明した。それらを抱え、会場内をさらに経巡るも、一瞬の古書狩りに魂を懸けてしまっていたので、もはや他に買う物はなし。その十四冊を計2800円で購入する。
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龍星閣の「詩集 智恵子抄/高村光太郎」はボロいがちゃんと函付き。昭和十七年の三刷というのが非常に惜しい。さらには、講談を速記した大川屋書店「空家の美人/松林伯知」落語家が論述した新聞小説の弘文館「渡る雁が音/鴬亭主人」後編しかないが金愼堂「都新聞探偵實話 海賊房次郎/」などの明治本が、予想外で嬉しい。そして狩りの顕著な成果はこの二冊。
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光文社 少年文庫「正義熱血 浮城の白銀王/鷲尾雨工」(貸本仕様。背だけカバー貼付。意外にキレイ。高畠華宵の美麗なイラストが眩しい!)實業之日本社「十人十話/森鴎外譯」(函ナシ)である。その後は重い古書袋をぶら下げ、奥のレコード&全集&大判本室や児童文学&漫画室も見て回るが、何も買わずに撤収する。あぁ、楽しい充実した古書狩りだった。この市は2/17まで。その後、「なごやか文庫」は十二月まで、長い長い休養に入ってしまう。
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2019年02月07日

2/7色々見て色々知った一日。

春が来たような暖かさに、無闇に焦りを覚えてしまいながら(春はクラス替えや入学や卒業や就職などを繰り返してきたため、心に環境が変わる時期!というのがすっかり刷り込まれているのだ…)北府中に流れ着く。ならばと『国分寺街道』に出て、特殊新刊書店「メリル」(2011/08/04参照)の無事は確認したが、その先の「BOOK-1府中店」(2011/08/04参照)はついに泡と消えてしまったようだ…せめてもう一回くらい入店し、古本を買いたかった…。力無く武蔵野線→中央線と乗り継ぎ、高円寺で下車する。コメントタレコミで、駅西側のガード下(マクドナルド向かい)に、「渡り鳥文庫」という名の、小さな小さな謎の本屋さんがあることを知ったからである。青のガードは何度も通っているけど、そんなの一度も気付いたことはないなぁ…と半信半疑で北口を出て西に向かい、早速ガード下に潜り込むと、おっ!そのガード始まりの壁際の、ほんの少しの出っ張りスペースを利用して、店名看板と二冊の本が並んでいるのが目に留まった。
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本当にあったぞ!どうやらゲリラ的にこの隅っこを利用しているようだが、こういう無意味な場所が小さな知恵により、意義ある場所にチェンジする行為には感心してしまう。都会には、こんな出来事が、もっともっと必要なのではないか!などと秘かに興奮してしまう。並んでいたのは、岩波文庫の「ガルガンチュア」と「美味しんぼ」のコンビニコミックのみである。どうやら古本らしいのだが、このお店のシステムがまったく不明なので、手を出すことが出来ない。恐らく自由に持って帰り、読み終わったら返却するか、別の本を並べるかすればよいのだろうが…。これから通りかかる度に、気にすることにしよう。そう誓いつつ、足は自然と『ルック商店街』の「アニマル洋子」(2014/03/14参照)へと向かう。店内で棚を見ていると、高円寺女子二人が「古本屋だぁ〜」「いいよね。こんなお店」「アタシ、本あんまり読まないけど好き!」「確かに欲しい本探すのも大変だよねぇ〜」「でもここは面白そう」「知ってる?神保町の古本屋ななか、超ガッツ入ってる感じなんだよ」などのイカす会話を耳にしながら、彰国社「マッキントッシュ/神代雄一郎」偕成社「星からきた人フュティノ/パトリス=ギロウ作 那須辰造訳」大日本図書「こびとのピコ/寺村輝夫」を計300円で購入する。「マッキントッシュ」と「星からきた人フュティノ」はなかなかの拾い物である。
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阿佐ヶ谷に戻り、当然「ネオ書房」(2019/01/06参照)に向かうが、残念ながら今日はお休みらしい。お楽しみはまた明日かな。
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2019年02月05日

2/5「藤子文庫」は三年振りだった。

晴れてるんだか曇ってるんだか雨が降っているんだかいないんだかな時間を乗り越え、午後二時半の三鷹の北西・西久保に流れ着く。今日は「水中書店」(2014/01/18参照)は定休日か…そうだ、「藤子文庫」(2016/03/27参照…ということは、およそ三年ぶりの来店である…)はどうだろうか。タッタカ交通量の多い通りに向かってみると、ちゃんと白い暖簾が風に翻っていた。いつの間にか入口右側に100均店頭棚が設えられている。以前より、古本屋さんっぽくなっている!
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では失礼いたしますと、その暖簾を潜って引戸を開けて店内へ。文庫と単行本が混ざり合うディスプレイ方式は相変わらずで、空間全体に整理整頓が行き届き、端正さが保たれている。ラジオから流れて来る、NHK大河ドラマ『いだてん』のオープニングテーマと、TVアニメ『スーパージェッター』の主題歌(名曲!作詞は加納一朗で作曲は山下毅雄)が似ているというオモシロ検証に膝を打ちながら、角川文庫「フランケンシュタイン/シェリー夫人」ベストブック社「暗号手帳 作り方・解き方の初公開/長田順行」を計500円で購入する。その後は阿佐ヶ谷まで戻り、「千章堂書店」(2009/12/29参照)に立ち寄る。じゃこめてぃ社「小さな花物語/立原えりか」を100円で購入し、ようし!執拗に「ネオ書房」(2019/01/06参照)の観測に向かうか!と、期待にブワッと胸を膨らませてお店に着けば、残念ながら今日はお休み。うわぁん、がっかり。明日が午後五時から営業との貼紙アリ。タイミングが合えば、観測に訪れるか…。家に戻ってからは、書き上げたある古本関連原稿を見直した後に送信。大いにスッキリする。
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2019年02月02日

2/2仁木悦子旧蔵書ハンティングは今日も続く…。

今日は武蔵小金井南の国分寺崖線下にある前原町に流れ着く。ここには、『車屋坂』『念仏坂』『質屋坂』など、多彩な名の坂が南北に走り、崖上と崖下の困難な移動を助けている。その崖線の裾野を沿うようにして、東へトボトボ歩いて行く。途中の野川沿いに現れる『武蔵野公園』は、いつ見てもここが東京都は思えぬ、遥かな古代のイメージを引き摺っている。明るい夕陽を浴びる萱が何とも美しい…。
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西武多摩川線に突き当たった所で急坂を上がり、新小金井の街に入り込む。そして「尾花屋」(2017/06/15参照)へ。講談社「ガキのころから漫画マンガまんが/夢枕獏」講談社「シャーロック・ホームズ 生誕100年記念/アラン・アイルズ著」を計500円で購入する。心地良い疲労と古本を抱えながら、西武多摩川線と中央線と総武線を乗り継ぎ、阿佐ヶ谷に帰着する。足は自然と、今日も閉店セール中の「ネオ書房」(2019/01/06参照)に向いてしまう。店内には三人の先客が。よし、今日も素敵な古本を買うぞ!と気合いを入れ、ふぅ〜と深く息をつき、棚を眺め始める。左側通路で見つけた一冊目は、徳間書店「大藪春彦の世界1 狼はしなやかに跳ぶ/大藪春彦」。そして右側通路の棚下児童文学ゾーンで、見事に素敵な本を発見する。学研ジュニア世界の文学8「さすらいのジェニー/ポール・ギャリコ作 矢川澄子訳」である。その素敵さの要因は、見返しに続く遊び紙に、仁木悦子への『訳者』名義献呈署名が入っているのだ!これもまた仁木旧蔵書か!と唸り、思わずハフンハフン興奮してしまう。こんなに素敵なことが連続すると、もうこのお店から一瞬たりとも目が離せないじゃないか!今日もオヤジさんに盛大に感謝しながら、二冊を計1300円で購入する。
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2019年01月30日

1/30「あきら書房」の再開を願う!

朝から一本の原稿と首っ引き。どうにか必死に書き上げ、昼食を摂ってから、頭を冷やすためにブラブラ散歩に出る。ご近所の住宅街を彷徨い歩き、挙げ句向かった先は、最近閉まってばかりの「あきら書房」(2016/03/28参照)である。お店を継いだ奥さまがご高齢だったので、その去就がどうにも気になって仕方ないのだ。開いていることを祈りつつ、『青梅街道』から小道に入る。だが、左手に見える塀の向こうの自宅の一部である店舗部分は、冷たくシャッターを下ろしていた…今日もダメか…む?何だかサッシの門扉に貼付けられているぞ。あれは以前はなかったものだ。静かに、庭に向かって折り込まれた門扉にそっと近寄ると、そこには現在営業していない理由が、一月二十八日の日付けで、赤字で切々と書かれていた。いらない器(このお店は益子焼も商っているのだ)を当初は『ご自由にお持ち下さい』としていたが、去年全国各地で災害が頻発したことを憂い、器をひとつ十円とし、その売り上げを寄付することにしたのである。ところが値段を十円とした後も、お金を料金箱に入れずに持ち去る人が多かったため、一時閉店して今後どうするか考えたいとのことだったのである。う〜む、悲しいなぁ、切ないなぁ。こんなことで、「あきら書房」が閉まったままになるのは、阿佐ヶ谷古本界にとっても、大いなる損失である。こういうのが無人販売の難しさであるが、どうか憂いが消え、心が解け、営業を再開してくれることを、ひたすらに願うばかりである。もちろんその時には、器に十円を払うことが、しっかりと履行されなければならない。なにはともあれ、奥さまがご健在であることがわかったのは、大きな収穫であった。また偵察に来ることにしよう。
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この看板の奥にあるお店が、どうか、また開きますように。
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2019年01月26日

1/26「豊川堂」にようやく再会する。

夕方近くになって、突然冷たい風が吹き荒れる中、下高井戸の南の松原に流れ着く。…今日は土曜日。ということは、週末営業になった「豊川堂」(2016/07/04&2008/09/09参照)の開いているところを目撃できるかもしれない。そう信じて北に歩を進め。地下道で京王線をクリアし、駅前市場内を通過して『甲州街道』へつながる侘しい商店街に入ると、右手前方に見事に営業中の「豊川堂」が見えて来た。
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…あぁ、この景色が失われずに済んで、本当に良かった!店主さんが亡くなられ、一時はお店の存亡が危ぶまれたのだが、奥さまが週末営業形態でお店を継ぐことになっていたのである。ようやく本日、それを確かめることが出来た。奥さま、ありがとう!と心の中で高らかに叫びながら、サッシ扉をカラリと開ける。そこは以前と変わらぬ店内…いや、何か、キレイさに磨きがかかった感じがする。番台に座るのは、奥さまではなく娘さんだろうか?本の並びは以前とほとんど変わりない感じだが、じっくりと眺めて行く。岩波文庫「死者の書・口ぶえ/折口信夫」を250円で購入する。駅の近くに古本屋さんがあるって、全く持って素晴らしいなぁ。

家に一旦戻った後、エイヤ!と気合いを入れて、より寒くなった表に、古本をドッサリ抱えて飛び出す。すでに夕闇に包まれ始めた西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)にたどり着き、「フォニャルフ」を入替補充する。12月と1月はガレージセールとみちくさ市にかまけていたので、かなり本格的に入れ替えました。今年も「フォニャルフ」と、盛林堂で買えるまだまだ絶賛発売中の「青春18きっぷ古本屋への旅」をよろしくお願いいたします!補充後はしばらく番台横に陣取り、不要本を買い取ってもらったり仕事の打ち合わせをしたりスゴい本を見せてもらったりして、世間のしがらみををしばし忘れ、陽気に楽しく過ごす。
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2019年01月25日

1/25谷中の「古書 信天翁」は二月三日まで。

白い曇り空の下の日暮里駅西口は、傾斜を持った橋の真ん中辺りにある。橋を南西に渡り切ると、道は『御殿坂』となる。そこを上がり切り、束の間の尾根を横断して行く。散歩中の白い雑種犬に目を取られていると、たちまち道はまた下り始め、左は『七面坂』右は『谷中銀座』の二叉となる。迷わず右に下って行くと、『夕やけだんだん』が見え始める前に、左側に古本が並んでいるのが見えて来る。その横の小ビルを見上げると、二階には「古書 信天翁」(2010/06/27参照)…八年半、この坂の上で古本を商って来たのだが、もうすぐ閉店してしまうのである。この路面の棚には、すでに『SALE 1万円までの商品→半額 1万円以上の商品→5000円値引』とある紙が貼り出されている。二階への外階段をカツコツ上り、同様にSALE紙が貼られた入口から店内へ。すると目の前には早速本を抱えた女性の姿が。さらに奥にも先客アリで、閉店セールで盛り上がっているようだ。入口の通路部分で児童文学や海外文学を眺め、続いて奥の文庫ゾーンに入り込んでいると、店主の山崎氏に挨拶される。そしておもむろに「ということになりまして…」と超短縮で事情を説明される。いや、もう、ただ、『お疲れさまでした。ありがとうございました』と言うしかありません。「まぁ何か掘り出して行って下さい」と言われてしまったので、まずは古本に集中する。おっ、夏に見かけた園田てる子の本がまだ残っているじゃないか。これはいただいて行こう。と小脇に抱え込み、人々と通路を譲り合いながら棚に目を凝らす。「山名文夫新聞広告集」がある。二万七千円が二万二千円になるのか…だがさすがに手は出ないな…。などとやりながら、ウロウロウロウロし、「信天翁」との別れを惜しむ。東京信友社「園田てる子青春論 恋愛ダイヤル」国書刊行会「香山滋名作選 蜥蜴夫人」の二冊を計972円で購入する。すると山崎氏が丁寧に領収書を書いた後に、後の棚から岡崎武志氏との共著「青春18きっぷ古本屋への旅」を取り出して来た。「ウチに取材に来た時に、『メトロポリス』のちらしを紹介してたじゃないですか(お持ちの古本好きのみなさま、P45参照!)」「ええ。あれ、格好良いですもんねぇ」「売れたんですよ。この「青春18きっぷ」を見て、買いに来てくれたんですよ」「えぇ〜っ!そりゃスゴい。そんなことがあるんですね。嬉しいなぁ。少しはお役に立てたってことですかね」。実は今日は、そのチラシを再び見ることも楽しみにしていたのだが、壁に飾られていないので、引っ込めたのかな?などと思っていたのだ。そんなことを話し、「ではまたどこかで」とお店を後にする。外階段に出ると、柵に掛けられた木の店看板の裏側が見えている。階段から身を乗り出し、看板を見下ろすと、白い鳥影が優雅に滑空している。もうすぐ、この坂の上から、一羽の信天翁が、何処かへ旅立とうとしている。みなさま、遥か上空に白い影が舞い上がる前に、お店の棚を見に行きましょう。尚最新情報では、2/3(日)までは営業する心積もりとのことである。
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