2019年06月23日

6/23ダブリの「SINKER」!

朝から色々こなしながら、大阪へ送る古本の準備も進める。取りあえず十五冊ほど集まったので、まぁ後は折々にゆるゆると加え、今月中には発送に漕ぎ着けることにしよう。そしてそんな過程で掘り出された二冊のノベルスがある。トクマノベルス「SINKER 沈むもの/平山夢明」1996年刊。平山夢明の小説デビュー作で、その当時、映画『羊たちの沈黙』とその原作者であるトマス・ハリスが起こした“サイコキラー”ブームに乗った作品である。だが、似たようなサイコキラー&連続殺人物が、雨後の筍のように出版されていた中で、この小説は遥かに群を抜く一級品なのである。顔を背けたくなるような悍ましい犯罪が、高い知性に裏打ちされ行われ、息をもつかせぬ緻密なプロットが、一般人の心理を軽々と超え、展開して行く素晴らしさ…あぁ、何度読んでも面白い。…と読んだ当時から思っていたので、他の人にもこの法外な面白さを伝えたくて、古本を売るようになってから何度も安値で並べていたのだが、残念ながら一度も売れた試しがない。だがそれなのに、常に名作と思っているので、安値で見かけたらどうしても手が伸びてしまうのだ。結果、家に何冊もの「SINKER」がストックされることになってしまったのだ。だが最近、ふとしたきっかけでこの本について調べてみると、その面白さと絶版になっているからなのか、エラい高値が付けられていることに気付いてしまう。アマゾンでは驚きの三万円弱。フリマサイトでもおよそ一万円前後で売り買いされているようだ。知らぬ間に手持ちのなんてことなかった本の価値が、ズドンと上がっている…いやぁ、喜ばしいことである。それだけどうしても読みたいと思う人が増えたってことか。こりゃあどうにかして、家の中からダブりを発掘しておかなければ!と思い、取りあえずの二冊確保となったわけである。まだ後二〜三冊はあるはずだが…。こういうチャンスは逃してはならぬので、一冊は近々値付(手心加えて)して「フォニャルフ」にでも並べておこうと思う。
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そして絶賛楽しみ中の、我刊我書房 誌面覆刻「彩色ある夢/石野重道」だが、誌面が本当に美しくてうっとりしてしまう。聞けば誌面の元本は、西條八十の旧蔵書らしい。読み進める度に、『イナガキタルホ「一千一秒物語」の兄弟のような本だ』というような思いを深めてしまう。思わず作家社覆刻本「一千一秒物語」を取り出し、試しに見比べてみる。すると、二冊がやっぱり似ていることを感じ取る。ゆったりとした本文レイアウトも似ているし(「一千一秒」は25ワード×10ライン、「彩色ある」は20ワード×10ライン)、扉なんて瓜二つだ。
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出版は、「一千一秒」が1923年(大正12年)の一月で、「彩色ある」が同じく1923年の八月である。ともにタルホが装幀を手掛けていることだし、まぁ兄弟的に似通うのは当然か。覆刻だからこそ見出せる、小さな嬉しい発見である。
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2019年06月21日

6/21東京・西荻窪 トムズボックス

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改札を抜けて駅北口に出たなら、そのまま駅前から抜け出さずに西に向かい、高架下の『西友』内を失礼ながら抜け道にする。西端の出口から吐き出されると、高架から徐々に離れるようにして、一本の直線道が北西に延びて行く。「忘日舎」(2015/09/28参照)の前を通り過ぎ、さらに「古書音羽館」(2009/06/04参照への脇道もやり過ごす。そこからさらに百五十メートルほど進んで行けば、左手の曲がり角手前の店舗の軒下に、箱に“T”“B”のイニシャルとともに可愛らしい熊が顔を出す木の看板が下がっているのを発見出来るだろう。脇道に入り込み店舗前に回り込むと、白と赤枠の洒落た小さなお店である。吉祥寺にあった絵本の名店『トムズボックス』が、古本屋さんとして、ここ西荻窪で復活を遂げたのである。ガラス戸を開けて中に入ると、横長のこじんまりとした空間である。手前の窓際には新刊が入った小さな棚と、カードや雑貨類の棚が設えられている。フロア中央には新刊類を並べた大きなテーブルが置かれている。右奥には洋書の絵本&児童文学棚があり、それに続き帳場が造られている。そこに座るの二人の男性で、なんだかはるき悦巳の漫画に出てくる人たちみたい…「外をたくさんの女子高生が通って行きますよ。チラシでも巻きましょうか?」などと嬉しそうに会話中。入って直ぐの左壁はラックになっており、戦前戦中の古い絵本やお薦め絵本が飾られている。その奥から棚になっており、さらに奥壁は一面の棚。児童文学関連・イラスト・作品集・アート・絵本関連図録・絵本・漫画関連・絵本・児童文学・紙芝居・文庫本・長新太・和田誠・今江祥智などが並んで行く。所々にレアな児童文学と絵本が顔を出すのがスゴい上に、七十年代〜八十年代辺りの日本のイラストレーター&イラストアート関連が深く集められているのが面白い。値段はビシッとスキ無しである。福音館書店かがくのとも「ふしぎなきかい/安野光雅ぶん・え」を購入する。開店おめでとうございます!…あぁ、考えてみれば、これで三日連続で絵本の古本を買っていることになるのか…。

この後は駅南側に出て「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ。「フォニャルフ」に補充した後、帳場横で出来立てホヤホヤの本と地図を受け取る。我刊我書房 覆刻「彩色ある夢」と盛林堂ミステリアス文庫「不思議な宝石」はともに石野重道の作品。稲垣足穂の盟友だった、知られざる作家の自費出版本の誌面覆刻と、同作家の新たに発見された童話をまとめた文庫本である。読みたくとも読みたくとも読めなかった作品たちが、二十一世紀に新刊として蘇った!二冊同時に石野重道本のカバーデザインを手掛けられる日が来るとは、全く持って驚きで、人生は何が起こるか分からない奇怪な楽しいものである、と改めて思う。「彩色ある夢」オリジナル本の装幀者は稲垣足穂なので、私が新しいデザインを施すなど余りにおこがましいのだが、巡って来たチャンスを思いっきり甘受し、まったく違うものを創ることを念頭に、依頼を受けたのである。大正十二年刊のオリジナル本は、タルホの無邪気とも言える図形や英単語や線形を散りばめた、シンプルでファンタジックなデザインであった。そこから離脱するために、本文から勝手に読み取った、『黄色』『孔雀』『三角』を素材にし、眼底に飛び込んで来る光彩のような文章のピーキーでクレイジーなな感覚を折り込み、ある種の読み難さを孕む特徴ある文体を追いかけ、デザインを組み上げて行った。「不思議な宝石」は、同じく素材のひとつである『黄色』の感覚を拡大し、大正末期のモダニズム感覚を、シンプルに包み込んだつもりである。フフフフフフ、しばらくはこの二冊で、文学史の地下深くに埋没していた、忘れ去られた宝石のような、1920年代の特異なモダニズム&アヴァンギャルドを、たっぷりと慈しめそうだ(「彩色ある夢」のアンカットも、不器用ながらに全部切り裂いたぞ!)。明日から盛林堂店頭でも販売されるので、気になる方はお早めに!
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そしてさらに受け取った地図とは、構成を担当したA4サイズ『西荻窪古本屋マップ』である!西荻窪の十六店の愛すべき古本屋さんを地図と文章でご紹介!こちらも明日辺りから、西荻窪の各店舗で無料配布される予定なので、是非とも手に入れ、各店舗を経巡り、古本をバンバン買い漁っていただければ!
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2019年06月20日

6/20どうなるの?えほんやるすばんばんするかいしゃ!

午後一時の『ラピュタ阿佐ヶ谷』に、『添えもの映画百花繚乱SPパラダイス2019』特集の一本、『怪談一つ目地蔵』を観に行く。1959年公開の東映お盆用おばけ映画で、上映時間は六十六分。あぁ、面白かった。主演・若山富三郎の軽薄な御家人っぷりも良いし、後半の呪いまくり祟りまくりの展開も凄まじい。怨霊が遠慮呵責なく出現し、因縁ある人たちが工夫を凝らした仕掛けと演出で死んで行く…むむ、まるで旧『サスペリア』のようだ。人を不安にさせる特殊撮影もふんだんに使われ、狂乱して刀を振り回すトミーの後で江戸の街がぐるんぐるんと回転する演出は、まるでヒチコック映画を観ているよう。世の中には、まだまだ色んな映画があるもんだ。次はまたもや怪談映画の『執念の蛇』と『青蛇風呂』を観に来よう。そんな映画館の暗闇を飛び出し、中央総武線の高架下を伝って高円寺へ向かう。「えほんやるすばんばんするかいしゃ」(2014/09/11参照)が6/25(火)まで、『2階おしまい改装セール』を行っているので偵察に向かう。どうやら2階から1階のギャラリーにお店を移すらしいのだが…。高架下から離脱し、横路地の店前に到着すると、階段横にはロシア児童本や絵本や「かがくのとも」「こどものとも」の箱が出されている。一階窓ガラスの貼紙を見ると、『3冊…3割引 5冊…5割引』となっている。どうやら複数冊買わないと、セール対象にはならないらしい。二階への狭く急峻な赤い階段をミシギシ上がり、絵本と児童文学が集まる小宇宙をしばし楽しむ。この二階での買物も最後となるので、何か記念になるものを…と悩んで選んだのが、中央の箱に集まる、またもやの「かがくのとも」「こどものとも」。横長縦長中綴じ冊子を丁寧に繰り、欲しかった一冊を見つけ出す。福音館書店こどものとも282号「よるのびょういん/谷川俊太郎作 長野重一写真」。名作写真絵本の1979年オリジナル版である!1800円で購入しながら、店主さんに「お店、一階に移るんですか?」と聞いてみると、「いや〜、まあ、そういえばそうなんですけど…」と、大いに悩みながら、言葉を選び選び話し始める。それは、ただ一階に古本屋を移すということではなく、古本との、現在の安心し切った“なぁなぁ”とも言える関係を、古本が大好きだからこそ正すために、一階の改装はほとんどタッチせず人に任せ、在庫も倉庫の本をドシドシ出して、十年もやって慣れ切った古本屋稼業に刺激を与え、何か化学反応を起こしたい…というようなことを、ポツポツと教えてくれた。だから現在は、まだ一階がどうなるか、まったく分からないそうである。つまりは、環境をリセットし、自分にはなるべく未知のベールを被せ、新たに生まれる新鮮さを困難も含めて楽しんで行きたい…と言ったところだろうか。まぁ店主がうまく説明出来ないのを、そう簡単に理解出来るはずもないわけだが、相変わらず愉快で素敵な方であることに変わりはない。所詮我々お客に出来るのは、一階の新奇なお店を、出来上がり次第ただ楽しむのみなのである。嬉しい「よるのびょういん」初版を手にして、最後の急階段を下りようとすると、見事に階段うえの梁におでこをゴチンとぶつけてしまう。うぅ、小さな星が目の前に散った。
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2019年06月19日

6/19水濡れ本の誕生。

憎むべきは水濡れ本である。紙が波打ち、何ページにも渡り醜いシミがのさばり、本の価値を貶めるあの状態。何故こんな本が生まれてしまうのか。何故気をつけて取り扱わないのか。確かに、突然の豪雨に本が濡れることもあるだろう。家内に水漏れが起こることもあるだろう。風呂場で読書することもあるだろう。夏場に薄手のリュックに本を入れていたら、背中の汗で濡れることもあるだろう。藏に入れっ放しにしておいたら湿気と雨漏りでやられることもあるだろう。だがそれでも、気をつけてさえいれば、本をあんな悲しくヒドい状態に貶めることは決してないはずである。俺は、水濡れ本など、一生涯絶対に生み出さない!…傲慢にもそう思っていた。今朝の午前六時までは…。早起きして色々こなそうと、布団から抜け出し、まずはお湯を沸かす。大振りのカップ一杯に緑茶を入れ、欠伸をしながら仕事部屋へ向かう。毎朝の恒例行事である。台所から、本の山が造り出す通路を、いつものように巧みな身のこなしでクリアしようと、足を踏み入れた時、入口横の壁に立て掛けてある、大きなカッター板(紙を切る時に下に敷くラバー製の板)に足先を引っかけ、身体が前方にぶわっと泳ぐ。て、転倒だけは何としてでも避けなければならないっ!と冷や汗をかきながら瞬時に判断し、同時に手にしたカップの地面との平行を維持しなければならないっ!とも判断し、手に力を入れつつ引っかけたのと逆の足を大きく前に踏み出し、泳いだ身体を押しとどめる。何とか転ばずには済んだ。だが、前に飛び出そうとするカップの力線を急激に止めた事により、カップ内のお茶が慣性の法則により、そのまま前方へ飛翔してしまう!量はおよそカップの四分の一。だがそんな少ない量でも、目の前に聳える文庫軍艦の下部に、水濡れ本を生み出すには充分な量であった…。慌ててカップを床に置き、お茶がかかったと思しき部分に手を伸ばす。手の感触と目視で、素早く水の掛かった本と掛かっていな本を分離しつつ、濡れた本はティッシュで拭いまくる。あぁ、それでも掛かったお茶は、たちまちに何冊かに浸透し、たちまち紙を波打たせてしまっている。紙が水を吸い上げるとともに、恐ろしい数のカバーと表紙の隙間やページの隙間に、お茶が毛細管現象で吸い上がって行く……や、や、や、やってしまった。あぁ、こんなちょっとした不注意で、あの忌まわしき水濡れ本が誕生してしまうのかと、反省することしきり。幸い被害を受けたのは、大した本と冊数ではなかったので、精神的ダメージは少なかったのだが、己の愚かな不注意で、水濡れ本が即座に誕生してしまうことに、恐れをなす。うぅむ、これからは本の近くでは、水物の取り扱いには、細心の注意を払わなければ。
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などと愚かな早朝の己を戒めながら、昨日は赤堤に流れ着いたので、経堂に南下して「大河堂書店」(2009/03/26参照)に立ち寄る。「ミクロの決死圏」映画パンフ・光の友社「ちえのわクラブ 小学初級/ラジオ東京編 たきざわ・ゆずる著」集英社文庫「洲崎パラダイス/芝木好子」を計1400円で購入する。そして本日は下連雀に流れ着いたので、そのままツラツラ吉祥寺に出て「よみた屋」(2014/08/29参照)の店頭を楽しむ。すると右側に、またもや福音館書店「かがくのとも」「こどものとも」カゴが出されているではないか(2019/01/27参照)。薄手の中綴じ本を一冊ずつ丁寧に繰って行くと、最初に「かがくのとも みんなのき/ぶん岸田衿子 え掘内誠一」を発見し、未知のコンビ仕事なので胸に抱きしめる。そしてさらに「かがくのとも みち/五味太郎」を見つけ、気持ちがグググンと上がる。1973年刊の、この世界に存在する様々なものたちが通る様々な道を丁寧に描いた、ダイナミックでカラフルな絵本である。最後のページにビジュアル的カタルシスあり。素晴らしいお仕事だ!この二冊を計400円で購入する。実は他にもかなりアーリーな安野光雅の絵本も数冊あったのだが、中の絵やページが切り取られていたので、泣く泣く購入を断念する。
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そういえば、カバーデザインを担当した二十一世紀の奇跡とも言える、知られざるモダニズム作家・石野重道の新発見の童話集「不思議な宝石」と誌面覆刻の「彩色ある夢」の予約が「盛林堂」さんの通販サイトでスタートしております。何とこの二冊を同時予約すると、特典として探偵小説「ある猶太人の話」がついてくるとのこと。この話、あまりにもゲスいので、童話集への収録を断念した曰く付きの物語なのです。気になる方は是非同時注文を!
http://seirindousyobou.cart.fc2.com/
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2019年06月17日

6/17東京・三鷹 蓬BOOKS

昨日帰宅してからほったらかしていた、ゴロゴロ持ち帰った古本の整理を終え、頭上に晴れ渡る空と同じようなスッキリした気持ちで、古本を買いに街へ出る。荻窪「ささま書店」(2018/08/20参照)で月曜定例の定点観測…表で二冊を選んで店内へ。壁棚から中央通路棚に移ったミステリゾーンに視線を落とす。おぅっ!日影丈吉のノベルス数種とともに、岩谷書店「わが一高時代の犯罪/高木彬光」が並んでいるじゃないか。値段を見ると、とても嬉しい800円なので、迷うことなく東西文明社「假面と素顔 日本を動かす人々/大宅壮一」徳間文庫「猫に関する恐怖小説/フレドリック・ブラウン他」と合わせて、計1080円で購入する。ちょっと「わが一高時代の犯罪」を移動の車内で読み始めると、冒頭が駒場にあった『第一高等學校』の校風や寮生活(バンカラなのである)の説明に費やされ、それがなかなかに味わい深いので、ぐいぐい引き込まれてしまう…お、面白い。
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表紙写真は昭和十二年に撮影された、現在『東京大学 駒場教養学部1号館』として現役の『第一高等學校 時計台』である。格好良い!

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と言うわけで、荻窪駅から電車に飛び乗り三鷹へ移動する。昨日ママ猫の古本やさんにいただいた『ミタカフルホンヤマップ』に載っていた、古本も扱う絵本と本のお店へと向かう。南口を出て、空中デッキから幅狭なエスカレーターで地上に降り立つ。そこから繁華な直線道の『中央通り』を、ただひたすら南下して行く。東側の歩道に乗り、『三鷹駅前交差点』→『三鷹産業プラザ東交差点』とやり過ごして、さらに南へ南へ。途中には、三鷹に所縁ある三木露風や山本有三の作品にちなんだ銅像が建てられている。やがてハローワークの手前に、巨大な白い集合住宅が現れるのだが、その一二階が洒落たショップが集まる『三鷹プラーザ』となっている。二階…と言うか、一階が微妙に半地下なので二階の高さも中二階と言った低さである。お店の立看板が下に置かれた、宮殿的アプローチを見せる外階段を上がると、バルコニーのような場所である。そこから建物内の通路に入ると、左手奥が目指すお店であった。ほほぅ、店頭に古本棚がちゃんとあるではないか。近付くと、上部に絵本箱が二つ置かれ、下の棚に文庫本・石井桃子・「サザエさん」・単行本・ソフトカバームックなどが、安値で並んでいる。恐らく古本はここだけなのだろうな。そう感付いて、一冊の絵本を抜き取り店内へ進む。壁の半分は『ためしよみ』の絵本ラックになっており、絵の展示なども行われている。壁際の棚やフロア台には、さらに絵本・雷鳥社本・夏葉社本・児童関連本・ネイチャー関連などが新刊で並んでいる。帳場背後の高い壁棚に圧倒されながら、岩崎書店「図書館のすべてがわかる本2/監修・秋田喜代美」を購入する。
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2019年06月16日

6/16夏空の下の「みちくさ市」

爽やかな風が吹き抜ける夏空の下で、「みちくさ市」が無事に開催される。午前十一時のスタートとともに古本猛者が群がり、あっという間に三十冊余が売れる。「觀光船殺人事件」や津原泰水+津原やすみは瞬殺…まさか津原泰水がこんなに売れる日が訪れるとは、思ってもみなかった。…ずっとファンでいて良かった!などと喜びながら、スタートダッシュの後は強い日射しの下で、ビールを隠れ飲みながらゆるゆると古本を売り続ける。途中「みちくさ市」初出店の杉江松恋氏が現れ、何と弓月光付録本二冊をお買い上げいただくとともに、一瞬古本屋話に花を咲かせる。また、小村雪岱研究家の真田幸治氏には先日の「日本橋檜物町」百円ゲット(2019/06/05参照)を褒められ大いにはにかむ。またトークに登壇する本の雑誌社営業・杉江氏も立ち寄っていただき、本の片付けに奔走する『本の雑誌スッキリ隊』について聞きただし、入隊を志願したりする。ママ猫の古本やさんには出来たばかりの「ミタカフルホンヤマップ」をいただき、既知のお店なのだが実は古本を売っていることを初めて知り、色めきたったりする。そんなことをして、楽しく時を過ごして酔っぱらい、午後四時までに計六十五冊を売り上げる。おぉ!これは最近ではかなりの好記録である。古本を買っていただいたみなさま、言葉をかけていただいたみなさま、暑い中足を留めて下さったみなさま、差し入れを下さったみなさま、わめぞのみなさま、本当にありがとうございました!この大きな喜びと売り上げを糧に、また明日から歪な古本道をドドドドと邁進する所存です。
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案の定、真善美社「死靈1/埴谷雄高」は売れ残ったのだが、ただひとり、ある紳士がふと足を留め、「おぉ!もしかしたらこれは「死靈」の最初の本ですか。初めて見ました。手に取っていいですか?いやぁ、五章までは読んだんですけどねェ。こんな本なのか…」と感動しながらページを捲ってくれた。もちろん買わなかったから売れ残っているのだが、持って来て良かった!と思う幸福な瞬間であった。
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2019年06月15日

6/15雑司ケ谷で待ってます。

ドバドバ降り続く雨を憂いながら、明日の古本をまとめあげる。ふぅ、まぁ、こんな感じか。
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相変わらず古い本や変な本が混ぜこぜだが、これが私の性を反映した古本の世界なのだ。仕方ないだろう。誰も興味を示さないかもしれないが、ついこの間手に入れた、奥付ナシの真善美社「死靈1/埴谷雄高」には、コピーの奥付+人物表+付録を付けて並べます。また最近何かと話題の、津原泰水+津原やすみ本なども思い切って放出。まだまだ雨は止まぬようだが、明日はどうにか上がりそうなので、雑司が谷にみなさまのご来店をお待ちしております。よろしくお願いいたします!…さぁ、一段落着いたので、「觀光船殺人事件」の続きを読むとするか。不思議なもので、今までず〜〜っと昨年末から放置していたのに、函が手に入ったら途端に読みたくて仕方なくなってしまったのだ。まったく現金なものである…。

■「第47回 鬼子母神通り みちくさ市」
■6月16日(日)11:00〜16:00 雨天中止(当日午前八時に天候による開催の有無を決定)
■東京都豊島区雑司が谷二丁目・鬼子母神通り周辺
https://kmstreet.exblog.jp/
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2019年06月14日

6/14觀光船殺人事件!

朝から日曜「みちくさ市」の本格的な準備に取りかかる。セレクトした古本を集め、ラインナップの調整を行いつつ、古本をクリーニングして行く。途中外出し、釣り銭の準備にも奔走。家に戻り再び古本と組んず解れつしていると、ピンポンと玄関チャイムが鳴り響く。鉄扉を開けて受け取ったのは、ゆうパックの四角い塊である。準備中の古本をほっぽり出し、バリバリと厳重な包装を破ると、中から出て来たのはヤフオクで落札した四冊の古本であった。『昭和十年代古書』という括りで出品されていたもので、吉屋信子・片岡鐡兵・伊東忠太などが並んでいたが、残りの一冊に目が留まり、これは是が非でも手に入れなければ!と入札したのである。多少の競り合いはあったが、戦火はさほど拡大せず、無事にお手頃な2400円で落札となったのであった。さて、その残りの一冊とは、春秋社「觀光船殺人事件/ビガース作 露下ク訳」である。ちゃんと函付きではあるのだが、本体の背は補修されているようで、モニター越しに見ても状態が悪そうであった。だが、この函が私はとても欲しいのだ!何故なら去年の「神田古本まつり」に於いて(2018/10/26参照)、盛林堂ブースで激安の裸本「觀光船殺人事件」を読む用に買っていたからである!その本に、この函を合わせれば、完品の「觀光船殺人事件」が誕生するではないか(慷概栞はないが…)!落札前から激しく興奮し、もう何度手元の本をまだ見ぬ函に収める妄想を繰り返しただろうか…だが、それが今現実になるのだ!届いた「觀光船殺人事件」は函も経年劣化で褪色している部分もあり少し傷み気味だが、それでも吉田貫三郎の渋い装幀の特殊な芸術性が揺らぐことはない。
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本体の背を見ると、左側に補強のため和紙が貼付けられている。だが本文を読むにはまるで問題はなさそうだ。
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本体二冊を改めて並べて比べてみる。補強されている方が表紙の赤が鮮やかであるが、所持していた本の方が、綴じも何もかもしっかりしている。
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…これは、思った通り素晴らしいことになるぞ…。ドキドキしながら、ヤドカリが新しい巣を得るように、本を函に挿入してみる。当然だがピッタリだ。
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うぉぉぉぉ!ここに、私の「觀光船殺人事件」が、誕生した!まさかこんな風に函が手に入るなんて、思ってもみなかった。何処かにおわします古本の神さまよ、ありがとう!よし、この傷んでいる「觀光船殺人事件」裸本は、「みちくさ市」に安値で出すことにしよう。この本には、実は本文以外の盛大なお楽しみが巻末にある。それは錚々たる春秋社探偵小説の自社広告!「ドグラマグラ」「われは英雄」「地獄横丁」「白魔」「人間豹」「オフェリヤ殺し」「火葬国風景」などなど、一作一ページの広告が十九ページも続くのである。気になる方はぜひとも日曜に雑司が谷へおいで下さいませ。
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2019年06月13日

6/13八雲の家紋。

ちょうど吉祥寺と三鷹の中間辺りの下連雀に流れ着いたので、さてどちらに行こうかと迷っていると、北にある中央線高架下のアンダーパスが目に飛び込んで来た。取りあえず足を向け、思いの外スピードを出す自転車たちに脅かされながら潜り抜けると、おやここは、西に向かえば「水中書店」(2014/01/18参照)に通じる道ではないか。と言うわけで、暑いが爽やかな強い日射しを気持ちよく浴びながら、テクテク歩いてすぐにお店に到着。店頭ではオジさんが腕組みをし、店頭棚とにらめっこ中。強めの風に、蚊取り線香の煙が吹き散らされている。不動のオジさんの横から手を伸ばし、二冊を抜き取る。店内に進んで、お客さんのいない通路を選んで帳場前に立ち、松江八雲會「出雲における小泉八雲 再改訂増補版/根岸磐井」文藝春秋「推理作家の発想工房/南川三治郎」を計200円で購入する。小泉八雲の本は昭和十四年九版。以前の持ち主が松江を旅行した際に購入したものか、見返しに八雲旧邸のスタンプが捺されている。
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二種あるがともに右書きで『ヘルン旧居』となっている。下はその旧居のイラストだが、上は帰化したハーンの家紋の鷺である。お店を出た後は、さらに西に歩いて「りんてん舎」(2019/03/30参照)へ。おぉ!こちらも平日昼間なのにお客さんがチラリホラリ。負けじと店頭&店内を楽しみ、日本マクドナルド「ムーミンやしきのなぞ めいろ/リーナ&サミ・カーラ」ちくま文庫「ヘイ!マスター/上村一夫 関川夏央」新潮文庫「ビュビュ・ド・モンパルナス/フィリップ」を計400円で購入する。やはりこの新しい、「水中」→「りんてん」のコンボはかなり楽しめるな。家にヒィハァ帰り着いてからは、日曜の「みちくさ市」の準備をジリジリ進める…何とぞ雨が降りませんように!

そして昨日ギャラの一部としていただいた、医者とその新妻の一風変わった新婚旅行の物語、「新婚無銭旅行」を読み進めているのだが、思った通り規格外で面白い。段々と東海道を西に向かっているのだが、大森→川崎→小田原→箱根と来た時点で、早速商売道具の医療器具を盗まれてしまっている。新妻は泊る木賃宿の余りの汚さに、吐き気さえ催す始末。だが夫婦はめげることなく、この先は取りあえず妻の編み物で糊口を繋いで行く予定…あぁ、まだお話は序盤なのに、いったいこの先どんな艱難辛苦が夫婦を待ち受けているのだろうか(とは言っても、この二人は望んでこのような状況に飛び込んでいるのだ)?
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「新婚無銭旅行」の味のある一色口絵。夫は診察し、妻は編み物中…新婚旅行中です…。
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2019年06月12日

6/12「新婚無銭旅行」!

昨日は西荻窪の古本屋さんのために一肌脱ぎ、あるものを半日掛けて形にする。その後、夕方にフラッと外出し、『早稲田通り』を伝って「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)へ。店頭の三冊を、珍しくバイトさんがいる帳場に差し出すと、「600円です」と言われる。百均だとばかり思っていたので、「これ、表から持って来たんですけど」と返すと、本の裏表紙の値段ラベルを指し示し「ここに値段がありますよ」と指摘される。あぁ!ホントだ!一冊は100円、一冊は200円、一冊は300円となっていた…す、すみません、今まで表の本は百均だとばかり…。と言うわけで反省しながら、国書刊行会「日本怪談大全第二巻 幽霊の館/田中貢太郎」大陸書房「ポルノ監督奮戦記/山本晋也」文藝春秋新社「おとなのオモチャ/境田昭造」(拳銃漫画「ショック氏」などを描いた作者の、ほぼ拳銃エッセイ集…本当に拳銃が好きなんだろうな…)を購入する。

そして本日は西荻窪の南に流れ着き、そのままの足で「盛林堂書房」(2012/01の/06参照)に向かう。一肌脱いだものについて打ち合わせるついでに、そのギャラの一部を古本で前払いされる。大學館「家庭小説 新婚無銭旅行/千葉天舞」という、見たことも聞いたこともない、激しく面白そうな明治四十一年の本である。『はしがき』に目を落とすと、大磯辺りで一週間ほど大金を使っていちゃつく新婚旅行など何するものぞ!と、医師と新妻が無銭の新婚旅行を企て、様々な目に遭いながら、様々な知恵と工夫や人の情で切り抜け旅行し続ける、だいぶクレイジーなお話らしい。これが『家庭小説』……。まぁ藤田まことと中村玉緒の名作時代劇ドラマ『夫婦旅日記』(仕官の口を求めて諸国を旅する、腕は立つが人が良すぎる侍と、その夫を敬い信じともにさすらう妻の物語。泣ける!原作は山本周五郎)みたいなもんか。しかしこんな本まで出ていたとは、明治時代の無銭旅行ブーム恐るべし!である。巻末の自社広告に似た本を探すと、「貧乏旅行」「無銭旅行」「乞食旅行」「野宿旅行」などが認められた。みんな無闇に面白そうだ。
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2019年06月10日

6/10お知らせしたいこと、いくつか。

朝から雨が土砂降っているが、構わずいつものように月曜の定点観測に向かうことにする。歩を進めるごとに、傘に当たる雨音のリズムの変化を、催眠術に罹ったように聞き惚れながら、荻窪「ささま書店」(2018/08/20参照)へ。強い雨風のためか、何と店頭に棚が一本も出ていない。傘の雫を払って置き、店内に進むと、左右の通路に単行本棚も文庫棚も二本ずつ縦列してしまっている。おまけに壁棚に付けられるように並んでいるので、棚の裏側も、壁棚の一部も見ることが出来ない…それでも見ることの出来る露出した部分には、必死で目を通して行く。ちなみに先客はゼロである。途中、単行本棚一本が入口の際に出され、見られる部分が少し増える。早川書房 日本SFシリーズ5「人間そっくり/安部公房」ちくま文庫 明治探偵冒険小説集1「黒岩涙香集」マルヨンプロダクション「シナリオ1975・10」(高林陽一監督のATG作品「本陣殺人事件」のシナリオ掲載。併せて横溝正史が『本陣殺人事件映画化』という一文を寄稿し、映画『オリエント急行殺人事件』と比較して『本陣殺人事件』を褒めまくっている…)を計972円で購入する。おや、いつの間にか店内はお客さんがたくさんに。阿佐ヶ谷にビシャビシャと戻り、開店したばかりの「銀星舎」(2008/10/19参照)に立ち寄る。ここは緑の日除けテントが大きく張り出しているので、店頭は雨でもいつもの通りである。
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角川文庫「大藪春彦マインド 荒野からの銃火」文春文庫「ジーブスの事件簿 才智縦横の巻」(帯文には当時の皇后陛下の粋な誕生日回答『ジーヴスも二、三冊待機しています』が使われている。それにしても最高の宣伝文句ですな)を計400円で購入し、帰宅する。さて、と言うわけで古本的話題に乏しいので、様々なお知らせを伝えて、この後お茶を濁す算段。

1. 先頃から当ブログで、楽しみなデザイン仕事として呟いていた本について、版元より情報が公開されました東都我刊我書房「彩色ある夢」と盛林堂ミステリアス文庫「不思議な宝石」の二冊で、ともに著者は石野重道。稲垣足穂の友人として知られ、幻想ファンタジーモダニズム作家として、作品を物していた人物。「彩色ある夢」は大正十二年刊の稀少自費出版本を誌面覆刻。「不思議な宝石」は愛蘭文学研究家の未谷おと氏が新発見した雑誌掲載の童話を新編したもの。こんな二冊が同時に刊行されるなんて、これは二十一世紀の奇跡です!また手元に改めて本として届いた時に、デザイン制作の過程など、熱くご紹介する予定。
現時点での詳細情報は⇒http://seirindousyobou.cart.fc2.com/

2. 6/16(日)の「みちくさ市」に、おかしな本や文学本や探偵小説を携えて参加いたします。どうかどうか、遊びに来て下さい!そして雨よ、この日だけは降らないでくれ!(今のところ予報は晴れのち曇り。そのまま〜!)今回驚きの素晴らしい方達が参加されるようなので、そちらも楽しみにして、どうか梅雨時の日曜日の雑司が谷へ足をお運び下さい!
■「第47回 鬼子母神通り みちくさ市」
■6月16日(日)11:00〜16:00 雨天中止(当日午前八時に天候による開催の有無を決定)
■東京都豊島区雑司が谷二丁目・鬼子母神通り周辺
https://kmstreet.exblog.jp/

3. そろそろ発売の「本の雑誌 ほうき星蒸発号」の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、神保町パトロールに行く度にお世話になりまくっている「日本書房」をこっそり取材。本当にあの店頭では良い本を安く買わせてもらっています。それにあの椅子の上に乗った、柔柔和本ツインタワーに帳場のワンちゃん…あぁ、今直ぐにでも駆け付けたい!
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2019年06月08日

6/8モンチッチとチキチキバンバン。

ひょっとしたら雷雨に襲われるかもと覚悟していたが、そんな目には遭わずに、無事に晴れ間の下の下石神井に流れ着く。踏切を南に越え、一気に「井草ワニ園」(2019/01/05&2017/02/22参照)を目指すと、店頭が勢いのある緑に包まれながら営業していた。店内に入ると、相変わらず何処からどう見ても古本屋さんである。しかも中央に新しく本棚二本がL字型に立ってしまっている…。一通りすべての棚を見て回るが、やはり素晴らしいのは左手前隅の絵本&児童文学である。しゃがみ込んで薄手でカラフルな背を追っかけていると、ほぅ!「チキチキバンバン」!サイズが盛光社「空とぶ自動車」より一回り小さく、出版社は冨山房になり訳者は常盤新平から渡辺茂男にチェンジしている。だが装幀などは、ぼぼすべて盛光社版を踏襲しているようだ。こんな本が出ていたのか…と早速抱え込む。くぅ、さらにモンチッチの人形絵本発見!共箱入りの二冊で、モンチッチ人形(セキグチが出している玩具人形。猿に見えるが実は妖精とのこと)を使った写真で全ページ構成されている。これはイカしている!と抱え込み、奥のカウンター帳場へ。
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冨山房「チキチキバンバン まほうのくるま ぼうけんその3/イアン・フレミング作 ジョン・バーニンガム画 渡辺茂男訳」CBS・ソニー出版「おはなしモンチッチ ふた子のモンチッチ1 星のくにのモンチッチ/鈴木悦夫作・加藤晃美術」を計1150円で購入する。
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「チキチキバンバン」(1991年2刷)を「空とぶ自動車」(1967年初版)と比較すると、縦横ともに一回り小さいことが分かる。挿絵は全て同じものを使用。常盤新平は『です・ます調』、渡辺茂男は『だ・である調』。
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2019年06月06日

6/6東京・柴崎 tegamisha

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強い暑さにすっかりうだりながら、柴崎に流れ着く。途中、自販機で清涼飲料水を購入すると、ルーレットくじでもう一本当たってしまう…嬉しいのだが、こういうところで運は使いたくないものだ。出来れば古本屋さんの店頭で発揮したいものだ…そんなことを考えながら京王線の駅へ向かっていると、以前から知ってはいたのだが、なかなか足が向かなかった「手紙舎」(2009/12/13参照)の支店を偶然発見してしまう。駅からは東端の改札出口を出て、踏切から道なりに北東へ進んで行く。すると『甲州街道』に出る手前左手に、洒落た二階建てレトロビルのお店を見つけることが出来るだろう。二階は「手紙舎2nd STORY」という雑貨と喫茶のお店だが、一階が「tegamisha」という書店+カフェとなっている。むぅぅぅ、カフェと喫茶の違いがよく分からぬが、とにかく突撃するのは一階だけで大丈夫だろう…と、お洒落な木戸を開けると、木材で形作られたナチュラルモダンな空間が、奥へ奥へと続いている。手前が書店ゾーンで奥がカフェゾーンとなっており、大手を振るって本が見られるので、まずは一安心である。それにしても、書店もカフェも女性で混み合っている…というか、お店の人以外は女性しかいない…。そんな風にちょっとだけ臆しながらも、古本を求めて眼をギョロギョロと血走らせる。書店ゾーンは右側と真ん中が文具や雑貨で占められており、主に右壁棚に大量の本が並んでいる。だがそれらは、とても丁寧にテーマごとや作家ごとにセレクトされた真っ直ぐで美しく優しく幸福そうな新刊群で、古本は見当たらない…間に混ざり込んでいるかと疑うが、本の天から飛び出しているスリップを見ると、やはりどれも新刊なのである。…ふ、古本は、な、ないのか…と焦りながら奥へ奥へと入り込んで行く。すると最後の最後のカフェーゾン手前の壁棚に、「古書モダン・クラシック」の棚があるのに気付く。あったぁ〜!と喜んだのも束の間、古い良さげな切手絵本の揃いがドバッと置かれ、分売は不可…よって手も足も出ずに、申し訳なさを胸に携え、コソコソとお店の外へ脱出する。駅へ一直線に向かい、電車に飛び乗り仙川へ移動して「文紀堂書店」(2015/03/31参照)にむしゃぶりつく。小学館「まんが家インタビュー オレのまんが道(2)/少年サンデー編集部編」講談社「鉄の城 マジンガーZ解体新書/赤星政尚編」など、決して「tegamisha」には並ばぬだろう本を反動のように計800円で購入する。
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2019年06月05日

6/5保谷で小村雪岱を!

今月中旬の「みちくさ市」出店に備えて、朝から家内各所にある古本山のチェック整理をする。何となくの選別を進め、みちくさ市用・フォニャルフ用・大阪用と細分化して行く。そしてお昼過ぎ、そんな作業過程で生み出される副産物「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)買取用の本をカバン一杯に携え、両腕で捧げ持ちお店に向かう。査定をしばし店内で待ち、無事に交渉成立。今年の開店八周年記念グッズについて天野氏に訪ねたりしていると、レジの小銭ケースの下から何か取り出し「これどうぞ」と渡してくれた!おぉっ!『ラピュタ阿佐ヶ谷』の招待券ではないですか!「いただいても観ることないんですよ。だからどうぞ」。無邪気に喜び、ありがたく受け取り財布の中に収め、ニコニコ顔でお店を後にする。そしてそのまま『中杉通り』に飛び出し、関東バスに飛び乗り、一路中村橋へ。バスを飛び降りたら駅前を通り過ぎ、「古書クマゴロウ」(2018/03/21参照)に飛び込む。店頭棚では、山鳩出版「三億円強奪容疑者ついに殺される/大雪山人」という新書サイズの奇妙な自費出版本を見つける。フィクションかノンフィクションか判別不能の、身近にいた犯人を特定し、独特過ぎる奇怪な文体の小説仕立てでその解明に迫って行くものである…うぅ、意味のわからない言葉の使い方!途切れぬ文章!名前の呼び合いから始まる馬鹿丁寧過ぎる会話のやり取り!なんか恐い!…でも面白そうだから買っておこう。店内では左側通路がようやく奥の帳場前まで延び、左壁棚には探偵小説と幻想文学ゾーンが出現している。双葉社「恐怖推理小説集/鮎川哲也編」を抜き出し、先ほどの奇妙な新書とともに計562円で購入する。駅に戻って西武池袋線に飛び乗り、続いて保谷へ。相変わらずのあるかなしかの歩道で車に脅かされながら「アカシヤ書店」(2008/12/17参照)へ。店頭の100均棚に食らいついて行くが、視線を細かく右から左へ上へ下へと動かしても、どうも芳しくない…これは珍しく今日は何も買えないかも…そんな風に落胆モードに入りかけた時、下から二段目の右端の見難いところにあった青磁色の本が目に留まる…日本橋…小村………高見澤木版社「日本橋檜物町/小村雪岱」だぞ!驚き本を抜き出すと、実は函がかなりボロい。背が抜け底も無くなっている。だが本体はしっかりと無事だ。うひょ〜う、木版口絵もちゃんとある昭和十八年五月の重版本である。これが百円玉と交換なら、何の文句もありません!と、JICC出版局「宝島 1985 OCTOBER」とともに計216円で購入する。やっぱりスゴいぜ「アカシヤ書店」!
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とにかく口絵木版が嬉しい。函については、あの人に相談してみるか…。
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2019年06月04日

6/4猫マークのドラキュラ。

最近訪れる度に駅舎に変化が起こっている下北沢に流れ着く。またもやいつの間にか、旧来の地上線路上部分に、巨大な小田急線&京王線の中央改札口が出来ていて驚く。仮設っぽさは見当たらないので、ついにこれが最終形態か…。そして火曜日は愛しの「ほん吉」(2008/06/01参照)も「古書ビビビ」(2009/10/05参照。そう言えば三月に閉店した「マニタ書房」の棚(2019/03/29参照)が店内に出現しているはずだ。こちらも見に来なければ)も定休日…だが、「古書明日」(2017/01/31参照)は月曜定休なので営業しているはずだ!と勇躍『下北沢一番街』へ。まずは店頭を舐めるように見回した後、左側入口から店内へ進む。通路棚の文庫をチェックしながら、端のミステリ棚に注目…読みたい本が何冊もあるのだが、ちょっと懐が寂しいので手が出ない…あっ!猫マークの「吸血鬼ドラキュラ」だ。抜き出してみると嬉しい百円なので、当然の如く家に連れて帰ることにする。奥壁棚の古書を楽しんだ後、左側通路の古書棚も引き続き楽しむ。するとこちらでは春陽堂少年文庫に遭遇する。値段も折り合いがつく500円だったので、こちらも連れ帰ることにする。創元推理文庫「吸血鬼ドラキュラ/ブラム・ストーカー 平井呈一訳」(十版猫マーク。「ドラキュラ」は最初は『SF』マーク、次に『猫』マーク、最後に『帆船』マークと変遷)春陽堂少年文庫「なつかしき故郷/宇野浩二」を計600円で購入する。
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「ドラキュラ」にはささやかな贈物として、1967年6月の創元推理文庫二つ折り広告が挟まっていた。最新刊とエラリ―・クイーン(国名シリーズ)、ヴァン・ダイン(ファイロ・ヴァンス・ミステリ)、アガサ・クリスチィ(クリスチィ短篇全集)を、作家や文庫の写真入りで紹介している。
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2019年06月03日

6/3東京・早稲田 「丸三文庫」が一階路面店に!

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早起きして原稿をまとめ上げ、早めの昼食を摂ってから外出する。まずはテクテク歩いて荻窪に赴き「ささま書店」(2018/08/20参照)にて定点観測。店頭に詩歌関連が多く、店内文学棚に大量の長谷川四郎ゾーンが出現し、ちょっとした新鮮な風が吹いている。土曜美術社「評論集 機械的散策/関根弘」天平出版部「詩集 夜陰/北川冬彦」青英舎「楽園紀行/松山猛」日本近代文学館「死刑宣告/萩原恭次郎」を計432円で購入する。そのまま荻窪駅で電車に飛び乗り、総武線→東西線と乗り継いで早稲田に出る。地下駅から上がり、『早稲田通り』を西に進んで坂をグングン上がる。『西早稲田交差点』を過ぎ、100メートルも南側の歩道をさらに進めば、おぉ!ビル一階の「谷書房」(2018/02/28&2011/07/04参照)があったところに、「丸三文庫」(2010/05/31参照)が引っ越して来ている!九年間の二階店舗営業から、堂々一階路面店に出世したわけである。青い真新しい看板には、店名が艶やかに輝いている。広々とした店頭には、「鉄道ジャーナル」箱・少女漫画雑誌付録箱・安売文庫ワゴン・大判本ラック・単行本&漫画ラックが並ぶ。値段は100〜300円が中心である。店内は壁際にスチール棚が張り付き、中央に背中合わせのこれもスチール棚があり、広々とした日本の回遊式通路を造り出している。奥にはこれもスチール棚に囲まれた帳場があり、お手伝いの男性がパソコンとにらめっこ中である。入口左横には手塚治虫全集と児童文学が集まり、折れ曲がった部分には時代劇文庫や一般文庫が集められている。そのまま日本文学・竹中労・ミステリ・充実の映画関連(特に台本)・近代風俗・鉄道・歴史と奥に続いて行く。向かいには郵便&通信関連・講談社学術文庫・岩波文庫・ちくま文庫・新書が揃い、入口正面の棚脇には新刊の「名画座手帳」とともに、古めの奇妙な雑貨が集められている。右側通路はアメコミ箱を下に置きながら、通路棚に図録・美術作品集・アートが並び、向かいに海外文学・世界・社会・思想関連が続く。奥の帳場脇には、何枚も漫画の原画が張り出されている…などと観察していたら、帳場から「あぁっ!」という声が上がる。驚いてそちらを見ると、ついこっちも「あぁぁっ!」と声を上げてしまった。何とそこに立っていたのは、二月に閉店した「古書信天翁」(2019/01/25参照)の店主・山崎氏だったのである。聞けば閉店後の失意の日々から脱却し、他にもお仕事をしながら、ここで週三日働いているとのことであった。いやぁ、まさかまた古本屋さんでお会い出来るとは、何とめでたい!山崎氏はとても元気そうで、今は都電でここまで出勤しているとのこと。車中の読書も、面影橋駅からお店までの道のりも、そしてあれほど苦しかった古本データのパソコン入力作業も、すべてが楽しくてしょうがないと笑顔で語る。醒めてしまった愛が、一旦距離を置いたことにより、再び燃え上がったようなものだろうか。あぁ、それにしても驚いた。文春文庫「諫早菖蒲日記/野呂邦暢」創元推理文庫「文豪怪談名作選/東雅夫編」を計400円で購入する。その後はテクテクさらに西に歩いて谷へと下り、「古書現世」(2009/04/04参照)へ。新しく左側に据え付けられた催事の時は運び出される安売棚から、林書店「モデルガンの楽しみ/川野京輔・郡正史」(川野はテレビマンの推理小説作家。ひたすら本物気分を味わうためのモデルガン論が面白い!こんな本を出していたとは)を見つけて喜び、300円で購入する。向井氏から新宿支部新店の情報などをタレ込んでいただきながら、ニャオニャオ鳴きまくる店猫のコトにも挨拶し、いつものように楽しく愉快に長話する。
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2019年06月01日

6/1西荻窪から古本のざわめきが。

お昼過ぎに八幡山に流れ着いたので、遥か西荻窪方面から聞こえる古本的ざわめきを調査するため、徒歩で高井戸駅まで向かい、京王線で久我山駅まで出て、また徒歩でトボトボ西荻窪を目指す。街は今日明日と『ニシオギチャサンポー』という、街歩きを楽しむとともにと様々なお店が振る舞う様々なお茶を味わうイベントが開かれており、いつもより賑わっている。『西荻南中央通り』を遡上し、いつも年末に古本市でお世話になる『銀盛会館』にたどり着く。
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一階で盛大にガレージセールが開かれているのだが、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)もガレージの左壁を占拠し、全品百円の本を大量に並べている。前掛けを着けた盛林堂・小野氏の百均押し売りを巧みに拒みながら、カワデベストセラーズ「探偵ゲーム 怪盗Xより七つの挑戦状/藤原宰太郎」フレーベル館「キンダーブック どうぶつのちえ/えとぶん・武井武雄」(全ページ武井武雄によるキンダーブック。こ、これは素晴らしい!)「キンダーブック のりもの」(近藤東の世田谷線に添えられた可愛い電車詩『きれいなでんしゃ』に、茂田井武の見開きあり)を計300円で購入する。続いて「盛林堂書房」に移動し、講談社文庫「記憶のなかに/吉行理恵」子供マンガ新聞社「われわれは来た、そして見た/ピーター・キャリシャー」を計200円で購入しつつ、先月の「フォニャルフ」の売り上げを受け取る。次に目指すのは、高架下を潜って「古書 音羽館」(2009/06/04参照)。なんと『チャサンポー』に合わせ、店主・広瀬氏の出身店である町田「高原書店」(2009/05/03&2019_05_19参照)の閉店を偲ぶとともに感謝を込めて、これも今日明日と『店内全品15%オフセール』を行っているのである。店頭には人が既に鈴なりに。店内に入っても、何処の通路もギュウギュウギュウ…いや、こりゃスゴい。先客の波と位置を譲り合いながら、「音羽館」にも、もちろん「高原書店」にも敬意を表し、何か記念になる本を買って行きたいな…としばらく悩んだ末に、右部屋の棚で洋書のように瀟洒な装幀の書肆ユリイカ「詩劇 森の美女/ジュール・シュペルヴィェル 三井ふたばこ・柳沢和子共訳」を見つけたので、古本の塹壕と化している帳場に持ち込み、2000円なのを15%オフの1700円で購入する。
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2019年05月31日

5/31そうか、奥付紙がないのか…。

昼過ぎに中野に出て用事をこなすとともに、『中野ブロードウェイ』四階の「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)の赤い通路棚に視線を注ぐ。すると百均棚ではなく、レジ寄りの安売棚にどうも見覚えのある深緑の一冊が…気になって引き出してみると、真善美社の「死靈1/埴谷雄高」であった。
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値段を見るとゲゲゲゲッ!の300円!カバーは無いし、背も上部と縁が傷んではいるし、人物カードも『死靈への言葉』も入っていないが、それでもこの値段はおかしい…疑り深くビニールからそっと取り出し、中を確認してみる…あぁ!奥付紙がない!どうやら剥離してしまったようだ…くぅぅぅ、残念だなぁ。いや、でもでもそれでも、この「死靈1」を300円で買えるなんて、そうそうないことだ。しっかりと確保しておくことにしよう。
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左が奥付紙が貼りついた正しい本の姿。右の300円本は、上部で留められていた跡が筋のように残っているだけ。まぁ豪華風な造りになってはいるが、紙も何もかも粗悪な本だからなぁ。

その後は先日先延ばしした取材を無事にこなし、帰りに三鷹の「水中書店」(2014/01/18参照)に立ち寄る。店頭ではもう蚊取り線香が焚かれる季節になってしまった。懐かしくもある永遠の匂いを嗅ぎながら店頭台を眺め、その後店内へ。中公文庫「日本歓楽郷案内/酒井潔」を400円で購入した後、棚の補充をしていた店主の今野氏に声をかける。しばらく、「りんてん舎」(2019/03/30参照)が出来てジワジワ相乗効果が生まれ始めていることや、「水中」「りんてん」ともに詩歌句に強いので三鷹が詩歌句に強い街になったことや(今野氏が「もし市場で欲しかった詩歌本を落とせなかったとしても、恐らく「りんてん舎」さんが落としてくれると思うので、そうすれば結局三鷹にその本が並ぶというわけなんですよ」と嬉しそうに語るほど)、棚の入替の話などに花を咲かせる。相変わらず真っ直ぐで真面目で、古本屋稼業を全力で楽しんでいる心持ちが伝わって来る。家に帰ってから二十二冊の古本を箱詰めして、大阪に送り出す。しばらくしたら『梅田蔦屋書店』の古書壁棚に並ぶはずである。
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2019年05月30日

5/30『時計』マークの初版じゃないか!

昨日は夕方に「フォニャルフ」に補充しようと、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に駆け付けると、店前で台車をゴロゴロ押して来た、いつもお世話になっている印刷所の方とバッタリ。即座に一肌脱いで、台車の上に山を成している盛林堂ミステリアス文庫の「実歴奇談 真澄大尉/吾妻隼人」の納品を手伝う。この作品は、山中峯太郎別名儀の初単行本化軍事探偵小説である。いつもの如くカバーデザインを担当したので献本分をいただきつつ、帳場周りに集まる盛林堂ミステリアス文庫ブレーンの方と芦辺拓氏と、著者近影の歴史についてそこはかとなく意見を交わす。
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そして本日は午後に吉祥寺の北に流れ着く。すると長らく開いていなかった「午睡舎」(2009/09/10参照)が開いている!と思って近づくと、小さな店内はすでにカウンターのある飲食店のように改装されており、まさに今も改装作業中なのであった…あぁ、いざさらば「午睡舎」よ…。そこから南にブラブラ歩いて「藤井書店」(2009/07/23参照)へ。ちくま文庫が安値で並ぶ店内右壁棚に目をキラリと光らせ、ちくま文庫「横井軍平ゲーム館/横井軍平 牧野武文」を200円で購入する。『サンロード商店街』を必死に通り抜け、JRと井の頭線の高架を潜り、つい先日慰めてもらったばかりの「よみた屋」(2014/08/29参照)へ。入口手前の新書棚下段端から、集英社「りぼん」ふろくの弓月光物二冊を抜き出す。「弓月光ワンマンショー」(本人も写真で登場しまくり、単行本未収録作『ヨットどっこい!』(夫婦が新婚旅行で核実験を見学に行くアナーキーな漫画)の他にも履歴書や漫画家入門を収録)「天使のような悪魔チャン」を握り締めて店内へ。50均文庫棚には先客が張り付いているので、店内をブラブラする。すると右から二番目通路の海外ミステリ文庫棚で、創元推理文庫「ゲー・ムーランの踊子/ジョルジュ・シムノン」が袋に入って並んでいるのを見つける。元パラで帯がちゃんと付いている…と引き出すと、ぬおっ!帯の作風分類マークが『時計』ではないか!初期創元推理文庫のバイブル、湘南探偵倶楽部の「初期創元推理文庫書影&作品目録 新訂増補版」によると、発見難易度『B』の代物である。この『時計』が初版最初のバージョンで、その後同じ初版で『猫』に変化し、さらにその後同じ初版の『猫』マークでカバーが掛けられることになる…まるで複雑怪奇な出世魚…。ちなみに『時計』マークは『その他の推理小説(法廷もの・倒叙ものetc)』で、『猫』マークは『スリラー サスペンス』を表している。同文庫で出されているシムノンは『猫』マークに分類されているが、この「ゲー・ムーランの踊子」と同じ昭和34年に出された「男の首」「黄色い犬」の初版は『時計』マークとなっている。つまりシムノンは、最初はその他の推理小説だったのだろう…。値段を見ると超お手頃な千円だったので、握り締めていた二冊と合わせて千二百円で購入する。あぁ、今日も「よみた屋」
に良くしてもらった。
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2019年05月28日

5/28取材は後日に先延ばしするか。

頭の中で組み上げていたものを、集中してモニター内にカバーデザインとして仕上げる。この仕事は、先日格闘したモダニズムデザインと同じ作家のものなのだが、幾つかの共通点は持たせながらも、まったく別な物に仕上がってしまった。しかしこれもまた楽しい楽しい名誉あるお仕事であった。もとより本文内容に及ぶべくもないのだが、物語に新たな命を吹き込むつもりで、懸命に打ち込んだデザインである。早く本になって、二冊を並べてエヘラエヘラと愛玩したいものだ。詳しい情報については、今しばらくお待ちくださいませ…。そして午後になって外出。強く湿った風に嬲られながら連載の取材に向かうが、なんと目的のお店が運悪く臨時休業。がっくりと肩を落としながら吉祥寺に立ち寄り、「よみた屋」(2014/08/29参照)に慰めてもらうことにする。店頭で大判のUFO本三冊を買ってしまいそうになるが、その重さに思い直し、ソッと棚に戻して店内へ。入口右横の50均文庫棚に、無駄足の無念を晴らすために意識を集中する。すると思いが古本の神さまに通じたのか、最上段で珍しい文庫を一冊見つける。教養文庫「ファイディングファンタジー ゲームブックの楽しみ方/安田均」である。教養文庫『アドベンチャーゲームブックシリーズ』の評論本!ゲームブック自体も特殊なジャンルなのに、さらにそれを詳細にゲームシステム含め評論するとはマニアックな!だがそんな本も、いつの間にか高値となり、今や三千〜四千円はする代物であろうか。というわけで「よみた屋」さんに見事慰めて貰い、岩谷選書「烙印/大下宇陀兒」とともに計550円で購入する。取材は後日に先延ばしとするか。
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ところでミニシアター『ラピュタ阿佐ヶ谷』では、昭和三十年代の中編日本映画を特集した『添えもの映画百花繚乱 SPパラダイス2019』という企画上映が始まっている。時間の短い併映作品ばかりなので、観たことのないものや、まったく未知のフィルムが、わんさかスケジュールに並んでいるのだ。三つ折りのチラシを眺めていると、大好きなジャンルなのになんだか知らない本ばかりが並んでいる、驚きの古本目録でも見ている気分になってくる。萩原秀夫原作の『俺は情婦を殺す』、島田一男原作の『トップ屋取材帖シリーズ』、怪談&スリラー映画の『怪談一つ目地蔵』『執念の蛇』『青蛇風呂』、香住春吾原作の『化け猫御用だ』(田中徳三初監督作とのこと)は最低でも観ておきたいなぁ。少しでも安く観るために、3回券でも購入しておくべきか。
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