2017年04月29日

4/28「たけうま会」と「推理小説ブック」

すでに昨日のことである。昼過ぎに家を出て、荻窪「ささま書店」(2008/08/23参照)で岩波写真文庫「本の話」小学館「アダンの画帖 田中一村伝/南日本新聞社編」を計210円で購入し、毎度お馴染み西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ。「フォニャルフ」に補充した後、帳場脇に席を作っていただき、オレンジ色の表紙が艶やかで眩しい「中央線古本屋合算地図」に、一心不乱にサインを入れ続ける。その数二百五十冊。およそ二時間かけて書き終えると、岡崎武志氏が「どぅも〜」と軽快に登場。交代して帳場脇に腰を下ろして、サインをさらりさらりと書いて行く。は、早い。相変わらず早い。「バランスがとれててええのよ。こっちはさらさら軽く書いて、古ツア君は紙に彫るみたいに書いて」とのこと。あっという間に五十冊が終わったところで「ほな、後は詩集にハンコ捺していくわ」とすっかり一仕事終えたつもり。すかさず盛林堂・小野さんが「何言ってるんですか。あと二百冊あるんですよ」と切り込むと「えぇ〜!まだそんなに!もう終わったと思ったんやけどなぁ〜」とオトボケ返答。そんなこんなでいよいよ本日発売ですので、どうかよろしくお願いいたします!「盛林堂」以外では、今のところ椎名町「ますく堂」国分寺「まどそら堂」八王子「むしくい堂」神保町「古書いろどり」京都「善行堂」大阪「梅田蔦屋書店」で販売予定。
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西荻窪を離脱して神保町に至り、夕方の本の街をパトロールする。「丸沼書店」(2009/12/17参照)でちゃんと著者紹介ペーパー入り(書いているのは高木彬光と植草甚一)の桃源社書下ろし推理小説全集「ぺてん師と空気男/江戸川乱歩」を500円で購入。「アムール」(2011/08/12参照)では改造文庫「ダーウィン傳/駒井卓」創元推理文庫「血の収穫/ダシール・ハメット」(再版。元パラ付き)を計100円で購入。さらに「ブンケン・ロック・サイド」(2014/08/28参照)の店内レジ前の付録山の中から、小学館小学五年生昭和四十二年12月号ふろく「犯人当て推理小説ブック」を表紙絵に惹かれて1080円で購入し、パトロール終了。チラホラ閉店準備が進み始める『靖国通り』を東に向かい、「東京古書会館」(2010/03/10参照)一階ロビーで「たけうま書房」さんと落ち合う。今日は神保町で『たけうま会』が開かれるのである。お相手は意外な人選、鎌倉「公文堂書店」さん(2010/03/28参照)と調布「古本 海ねこ」さん(2012/12/17参照)!古本屋さんなのに古書会館に緊張気味のたけうまさんが、たけうまさんらしくておかしい。しかし金曜午後六時の会館は、確かにたくさんの古本屋さんが目の前を通過して行くので、何となくその気持ちが分かる気もする。やがて姉御二人と合流して、近くのラーメン屋なのに夜は飲み屋になるお店に飛び込む。「何でこの四人?」と最初は言っていた海ねこさん。だが、全員三月生まれということで意気投合し、次第にお酒も進めばメートルが上がり、陽気な楽しい場と化して行く。公文堂さんは笑顔の眩しい『哭きの竜』みたいな方だが、旅と古本屋と樺太の話が面白い。いつか訪れた日野店(2009/11/07参照。現在は倉庫となっているそうである)の話をすると、恥ずかしそうに顔を伏せ「なんであんなとこまで来るのぉ〜。あの後、チキンラーメンの時計は本当におかしいんで外しました」とのこと。何か…すみません。でもまた今度、入れてもらおう。あのお店は、何かありそうな予感がプンプンするのだ。海ねこさんは目録製作と、あのレベルの高い本集めの苦しみを、世間話のように話してくれる。その中で外国の古本屋さんでの仕入れは、同業者ということなら(そのための英字名刺を作っている)、ちゃんと値引してくれるという事実にビックリしてしまう。へぇ〜、同業者割引は、世界万国共通なんだ。二人はたくさん日本酒を飲みながら、たけうまさんの私生活にもズバズバ切り込んだりして行く。フフフフ、愉快愉快。そんな風に神保町の夜は更け、明日のためにたけうまさんに後を任せて、一足先に失礼する。
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素敵に酔っ払う姉御二人と、何故かピースサインの陽気なたけうまさん。

すっかり酔っ払って乗り込んだ中央線車内では、気になっていた「推理小説ブック」を引っ張り出し、ビニールをもどかしく破って目次を開く。うわっ!宮敏彦!梶竜雄!氷川瓏!やった、当たりだ!岡田圭右風の男が描かれた石原豪人のイラストに惹かれ、一か八か買ってみたのだが、これは嬉しい!冒頭に『この本には、長編の推理小説が七本のっています』とあるが、みな18ページほどの短篇である。楽しい飲み会と収穫の余韻に浸り、電車は東京の夜の町を西にガタゴト走って行く。
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2017年04月27日

4/27買取バイトからの帰還を「中央線古本屋合算地図」に出迎えられる。

本日は早起きして「盛林堂書房」(2012/01/06参照)の軽井沢買取に、下っ端バイトとして同行する。その役割は、道中の眠気を吹き飛ばすお喋り相手と、大量の本を素早く移動させる肉体労働者である。午前七時半に西荻窪を出発し、高速道路を経由して、順調に北関東の山奥へと分け入って行く。途中、六年前に北軽井沢の「麦小舎」(2011/05/14参照)ツアー時に、自転車で苦しみに苦しみ抜いて上がった山道を、なぞるようにたどっているのに気付き、車でもハードな勾配とカーブを筋肉でクリアした、六年前の自分に戦慄を覚えてしまう。白い水蒸気噴煙をポカポカ上げる浅間山や、鬼押出しの奇岩に歓声を上げたりしながら、三時間ちょっとの車旅で目的の別荘地に到着。勤勉にすぐに書庫内の査定と整理に取りかかる。涎を垂らしても垂らし足りない探偵小説類に蕩けながら、まだ必要な本と買取本に分けた後、書庫の片付けや拭き掃除にも従事し、玄関にダンボール箱詰めした本と結束した本をキッチリ積上げ一段落。ドライブインで買って来た釜飯で昼食を摂りながら、宅急便の到着を待ちわびる。今回すべての本を一度に持ち帰るのではなく、キモの本だけは盛林堂号に載せて帰り、後のそれなりの本が詰まったダンボール十三箱は宅急便に運んでもらうことにしたのである。ほどなくして時間通りにトラックが到着。手続きをした後に、ダンボールの運び出しを手伝うと、そのドライバーさんは重さ15〜20kgのダンボール箱をひとつ持った後「上にひとつ載せて下さい」と笑顔でお願い。遠慮なくドスリと載せると、涼しい顔で二箱を抱え、あまつさえ階段を駆け下り小走りにトラック荷台へと向かうのであった…す、すげぇ。そして何度も「ひとつ上に載せて下さい」を繰り返し、運び出して行く。まるで江戸時代の拷問、『石抱き(別名・算盤責め)』を涼しい顔で受け流しているみたいに…。そんな風にして無事に三時間ほどで買取作業は終了し、すぐさま東京への帰路に着く。
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写真は別荘のベランダからの枯れ林の景色である。軽井沢はまだ雪もちょっとだけ残っているし、桜はキレイに咲いているし、やはりまだ寒かった…。

往きと同様に三時間強で西荻窪に無事たどり着き、荷物の運び出しを済ませて無事に買取バイト終了。番台のあちらとこちらでお互いに、さすがに疲れを溜めながらも、本日の総評や汲めども尽きぬ古本話など。さらに最近の入荷本を見せてもらっていると、おぉ!東京ライフ社「亡霊怪猫屋敷/橘外男」の帯付きが!と興奮。私も裸本だけは所持しているので、即座にカバーと帯のコピーを懇願してしまう。帯背の『新東宝天然色超大作映画化』の惹句が素晴らしい。
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家に帰って本にコピーを巻いたところ。完品モドキ本であるが、やっぱりジワジワ嬉しいぞ。黒猫ニャニャニャ〜ン!

とそんなことをやっていると、印刷所から待望の「中央線古本屋合算地図」が届けられた。いゃっほう!ついに出来たんだ!包み紙を剥がして一冊取り出して、うっとりと眺める。思った以上に表紙の中央線カラーが美しく再現されているではないか。中央線沿線古本屋のみなさま、執筆者のみなさま、そして古本屋を愛してくれるみなさまのおかげで、ついにこんなマニアックな本が、この世界に生まれ落ちました。本当にありがとうございます!4/29(土)の発売をお楽しみに!
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巻末には復刻の地図グラビアが!どうです、段々と欲しくなって来たでしょう!

追伸
先日購入した山田風太郎「風眼抄」(2017/04/24参照)は、やはり署名本であることが判明しました。改めて高らかに叫ばせていただきます!どひゃっほう!
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どひゃっほう記念に、署名ページから裏の写真ページを透かして撮影。
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2017年04月26日

4/26最初は「キュノポリス(犬狼都市)」であった。

本日色々終えて流れ着いたのは、武蔵関と吉祥寺の中間辺りであろう関町…というか、自分が今どこにいるのかいまいち理解していない状態…。取りあえずは吉祥寺駅を目指して、何となく当てずっぽうに住宅街の中を南に向かって歩いて行く。すると、突然背後から声をかけられる。おっ!やけに実用的な自転車に乗ったトマソン社社主の友泉君じゃないか。聞けば車を駐車場に置き、お店に戻るところらしい。そうか、この辺りは「松田書店」(2016/11/27参照)の近くなのか。渡りに船と吉祥寺までの道のりを何となく教えてもらい、お互いにちょっと人見知りしながらも二言三言言葉を交わして、スッと別れる。かなり長く歩き詰め、やがて見覚えのある『五日市街道』に出たので、久しぶりに「すうさい堂」(2009/05/02参照)に寄ろうとするが、残念ながらお休み。仕方なく繁華なアーケード商店街に足を向け、私とはそれほど相性の良くない「外口書店」(2010/02/22参照)に入り込む。
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お店の雰囲気は昔ながらだが、棚に並ぶ本は新古書が多いので、古本心がそれほど燃え上がらないのである。ぐるっと一回りして、講談社文庫「探偵小説辞典/中島河太郎」を400円で購入すると、帳場の老婦人は立ち上がりながら本を受け取り、ピンク色のオリジナル書皮を丁寧に掛けてくれる。背の折目は爪でピシッと付けて、文庫との一体化を図る。そして最後に「ありがとうございました」と深々とお辞儀。今や東京では珍しくなった感のある、賑わいの巨大アーケード商店街の古本屋さんは、今日も元気に営業中であった。

阿佐ケ谷に帰り着き、習慣として「古書 コンコ堂」(2011/06/20参照)の前で足が止まる。珍しく左側のムック&絵本&雑誌箱に引き寄せられると。丸善発行の古い季刊文芸雑誌「聲」(1958年創刊。全十巻。大岡昇平・中村光夫・福田恆存・三島 由紀夫・吉川逸治・吉田健一編集)が五冊ほど放り込まれているのを発見する。一冊一冊目次を確認して行くと、1960・春の7号に、澁澤龍彦の『犬狼都市』が掲載されているのに目が留まる。
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初出は『犬狼都市(キュノポリス)』じゃなく、『キュノポリス(犬狼都市)』なんだ。文字のような前衛的カットは、福澤一郎の仕事である。私は澁澤の書くものは、評論やペダンチックなエッセイより、小説の方が断然好きなのである。言葉や文章は美しいが、物語の流れ方が、まるで硬質で正確な歯車で押し出されるように、大きくギクギク、小さくキクキクと、機械的に動くところに陶然としてしまうのである。言わば、非小説家が書く小説というところに、物凄くときめいてしまうのである。そんなことを瞬時に店頭で思いながら、103円で購入する。

そしてちょっとお知らせ。
岡崎武志氏との渾身の古本屋本第三弾「中央線古本屋合算地図」は、絶賛予約受付中ですので、何とぞよろしくお願いいたします!店頭発売日は4/29(土)となっております。
http://seirindousyobou.cart.fc2.com/ca11/304/p-r-s/

そしてその岡崎武志氏の、5/6(土)還暦祝いトーク&ライブですが、予約がズンズン増えてしまったので、会場が『ビリヤード山崎』から、同じ西荻窪の『こけしや別館2階』に変更となりました。さらにたくさんの人で祝えるようになりましたので、ぜひ面白いお祭りと思って奮ってご参加ください!

★《緊急開催!》第98回西荻ブックマーク 山本善行presents 岡崎武志還暦記念トーク&ライブ 「風来坊 ふたたび」東京篇
■日時:2017年5月6日(土曜日)
■開場:15時30分
■開演:16時
■終演:18時30分 (予定)
★【ご注意ください!】予約者多数のため会場が変更となります。
× ビリヤード山崎 2階 (東京都杉並区西荻北3-19-6、西荻窪駅北口徒歩1分)
                ↓↓↓
〇こけし屋 別館2階 (東京都杉並区西荻南3-14-6、西荻駅南口徒歩2分、TEL03‐3334−5111)
  地図はコチラ 
*本館横のみずほ銀行の後ろにお回りください
■出演:岡崎武志 山本善行 荻原魚雷 小山力也 島田潤一郎
■特別ゲスト:世田谷ピンポンズ
■料金:2,000円 (おみやげ付き)
■定員:50名
http://nishiogi-bookmark.org/2017/
☆ 緊急開催! 東京でもやります!!! ☆
西荻ブックマーク最多出演の岡崎武志還暦記念。
京都から山本善行さんを迎え、さらに古本者三人衆もお呼びいたします。
また特別ゲストに世田谷ピンポンズさんが参戦!
みなさまもこの機会にお祝いにいらっしゃいませんか?
すてきなお土産もご用意いたします。
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2017年04月24日

4/24神奈川・藤沢本町 藤沢本町で古書市。

『関東学院大学図書館』で卒業生でもある佐藤さとるの展示が行われているのを知り、逃すまじ!と午前のうちに、相変わらず古い変電所がホーム向かい側に建つ京浜急行・金沢八景駅に駆け付ける。駅から離れて、細長く人工的な平潟湾沿いに出た途端、冷やっとする海風と潮の匂いが顔にぶつかって来る。歩き始めると、すぐに橋でつながった小さな弁天島が姿を現わすと同時に、遥か昔の子供時代の記憶が甦る。母の親戚を近くに訪ねた折、家族全員でこの島に渡ったことがあるのだが、橋を渡った途端に、木陰で熱烈な抱擁を交わすアベックがいることに全員が気付く。母はその気まずさからすかさず「もう行きましょう」と言うのだが、父は徐に煙草を取り出し「まぁいいじゃないか。せっかくだから色々見て行こう」などとほざき、海に向かって腰を下ろしてしまったのである。動くに動けぬアベックに(向こうも当然こちらに気付いている)、島に釘付けになった五人家族…計七人が、小さな島の中に立ち尽くしていた…。そんなことを思い出しながら、湾沿いに長く歩き続けて現代的でピカピカな大学に到着。正門で守衛室に案内を乞い、校舎ビルに囲まれたまだ人影の少ないキャンパス中庭を突っ切り、図書館へ。だが入口から中に入ると、自動改札の如きゲートが立ちはだかり、学外人間の侵入を拒んでいる。そこでちょっと離れた場所にある受付のお姉さんに必死に合図を送り、展示を見に来た旨を告げると、シュパ〜ンと未来的な音を響かせてゲートが開き、二階への案内と手続きをレクチャーしてくれた。言われるがままに二階カウンターで入館手続き(もう入館しているのだが…)を済ませ、二階入口の三台のガラスケースに収まった、こじんまりとした展示を鑑賞する。一番大きなケースには、図書館所蔵の新しめの著書が飾られている…これならケースに入れずに、手に取って読めるようにした方が良いのでは…。他には「だれも知らない小さな国」の初版本、『すべては空想からはじまる』と書かれた直筆色紙、按針塚周辺の地図など。一番目を惹いたのは1970年発行の「わんぱく天国」の元本である。思えば今まで文庫版しか見たことがないので、おおっ!と感動してしまい、いつか絶対に手に入れてやる!とガラスケースの中に勝手に誓ってしまう。このようにすぐに見終わってしまったので、2006年の学報に掲載された佐藤さとるインタビューページのカラーコピーをいただき、受付のお姉さんに挨拶して図書館を出る。そしてちょっと時間は早いが、学食に潜入してカツ丼で昼食を摂る。満腹した後、再び潮風を楽しみながら駅に戻り、京浜急行→根岸線→東海道線→小田急線と細かく乗り継ぎ、藤沢本町まで一時間で移動する。

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単純なホーム端の改札を出ると、小さな駅前広場に地元的商店街が直結している。藤沢の名を冠し、一駅離れただけだが、あの大きな都会的街並とは正反対の、静かで長閑な郊外である。そんな緩めの街並とお店の並びをキョロキョロ見回しながら東に進むと、大きな県道に行き当たる。そこを北に進んで行くと、すぐに正面に立派な『白旗神社』の鳥居が臨め、その交差点脇には白いショッピングセンター『トレアージュ白旗』。ここで八月までの長期間、200円均一の古本市が開かれているのである。うまいこと何か買えるであろうか…。一階は塾や飲食店なので二階へ迷わず上がると、早速『神奈川県古書組合』の赤い古本まつり幟があったので、まずは一安心。中に入るとそこは催事場のような空間で、主に文具のワゴンが場を占めている。だが右奥には、やっぱり嬉しい古本棚の凛々しい姿が見えているではないか!近寄ると、二本の背中合わせの棚が並び、五本×四面の計二十本に、神奈川のお店が送り込んだ200均の古本が収まっている。まぁ200均だから…と失礼ながらさほど期待はせずに棚に視線を走らせるが、これがなんとなかなかに上質なのである。こ、これは!買える、買えるぞ!と、期待以上の本を見つける喜び(言い換えれば『200円でこの本が買える喜び』である)を味わいながら、たちまち腕の中に本が集まる。「海風舎」(2010/09/25参照)「文雅堂書店」「高村書店」が特に良い感じ。市が八月まで続くということは、補充も入れ替えも定期的に行われるのだろう。もしこれが家の近くだったら、相当マメにチェックを入れることになりそうだ…でもここは藤沢…本町…くぅ。雲井書店「日の果て/梅崎春生」六興出版「風眼抄/山田風太郎」中央公論新社「懐かしい未来/長山靖生編著」「砂の城/鮎川哲也」文藝春秋「諫早菖蒲日記/野呂邦暢」を計1000円で購入する。

「諫早菖蒲日記」は、見返し裏に『諫早花菖蒲』の言葉とともに署名落款が。さらに章扉には、この本の最初の購入者により『昭和五十二年十一月二十五日 長崎、諫早の街にてこの本を求む』と書かれている。「諫早菖蒲日記」の初版は五十二年四月で、これは八月発行の第三版。ということは、諫早では新刊書店で野呂のサイン本が売られていたのであろうか…そんなことを考えるのも楽しい一冊である。さらに「風眼抄」は写真ページ裏に毛筆署名入り。最初は本扉に作家名が入っていないので、ここに作家名が印刷されているのかと思ったが、細部を良く見ると、印刷では出せない墨の濃淡や掠れを確認し確信。でも実はまだ半信半疑…同じ本をお持ちの方、冒頭写真ページ裏に名が入っていますか?ご教授いただければ幸いです。というわけで今のところ、半どひゃっほう!
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2017年04月23日

4/23東京・用賀 RYUSENKEI

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風は冷たいが、それでも陽気は春模様の日曜に流れ着いたのは、千歳船橋と用賀の中間の上用賀…さて、これからどう動くか?用賀に戻って高津まで出て、「小松屋書店」(2009/08/15参照)の動静を探るか、それとも千歳船橋から豪徳寺まで移動して「靖文堂書店」(2011/09/06参照)で安値の古い文庫を漁りまくるか…だが待てよ、ちょっとさっき見かけたお店が気になるので、取りあえずそこをチェックしてからでも遅くはないな…。駅からは北口から地上に出て西に向かい、桜並木で煉瓦敷き歩道の『西用賀通り』を北北西にひたすら進む。800mほど来たら、お蕎麦屋のある交差点で『用賀六条通り』を西に曲がり込むと、ほどなくして住宅街の中の右手に、民家に増築されたような、チープな三角破風を持つ小さなお店を発見出来るだろう。表には立看板が出されており、それには『BUS』とローマ字の店名が書き出されている。ガラス窓からチラチラ中を覗き込むと、どうやらバス関連のお店らしい。そして左の壁際には、明らかに古本らしき姿が並んでいるではないか!これは、かなり偶然の出会いのめっけ物!どんなジャンルであれ、古本が売っていれば、それでいいのだ!と扉を開ける。中は六畳ほどの小さな空間で、左に二本の本棚と飾り棚、真ん中にはガラスケースと飾り棚、右壁には大きなラックとガラスケースが置かれている。奥は帳場になっており、白髪短髪の佐伯泰英風店主が「いらっしゃいませ」と呟き天井の明かりを点けてくれた。むぅ、やはりここはバスと車の専門店。主にミニカーと本を扱っているようだ。入って直ぐの左には、名車の単行本&ムックが並び、下には「CAR GRAPHIC」や「モーターマガジン」などの車雑誌が多種集まっている。続いてレース関連・車開発エピソード・車小説・車関連ノンフィクション…荒地出版社って結構車の本を出していたんだ…。その奥にはF1や車会社などの関連書籍が収まり、下はいよいよ古本から離れ、日本の立派な工芸品とも言えるミニカーのオンパレードである。そう言えば帳場は、色々な細かい手作業が行えるよう、ミニカーのレストア工房的布陣になっており、何だか職人の仕事場的様相を呈しているのが格好良い。真ん中のガラスケースには、バスのミニカーが大集合。そしてその裏側には、バス関連の書籍(マニアックな車種本から懐かし昭和バス本やバス旅までを幅広く)とムックが集められている。下には「バスマガジン」という名の、そのものズバリな専門誌がズラリと並んでいる。右壁のガラスケースには、ボンネットバスなどの懐かし系ミニカー&モデルカーが飾られ、下を支えるのは車カタログを恭しく収納したマップケースである。その横のラックには、バス関連の新刊やミニコミがディスプレイされている。バスと車に特化した、趣味性の高いお店である。本の値段はしっかり目だが、ミニカーには安い物もあるので(箱無しトミカとか)、お店は狭くとも車&ミニカー好きなら、かなり楽しめるであろう。それにしても、こんな住宅街に何故こんなお店が?と単純に思ってしまうのだが、実はここからさらに西に進んで『環八』に出ると、車のディラーショップやパーツショップが並んでいたりするので、“車”という大きな括りで捉えれば、充分関連性の高いお店と言えるのかもしれない。せっかくなのでやはりバスの本を買っておこうと、トラベルジャーナル「大阪路線バスの旅」を購入する。
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2017年04月22日

4/22「ささま」を出たら雨が降る。

曇り空の下の夕方、荻窪北の妙正寺近くに流れ着く。ここまで来たならばと、荻窪の街を南に切り裂くように歩き出し、『日大二高通り』も『青梅街道』突破して、線路下を地下道で潜れば、そこはもはや大好きな「ささま書店」(2008/08/23参照)の至近である。さすがは土曜の夕方で、雨仕様の店頭もいつも通りの店内も、古本を求める人で賑わっている。のんびりと寛ぐように店頭と店内で古本の背を追いかけ、今日も古本に触れられる幸せにブクブクと溺れる。早川書房「古き良きスペース・オペラ時代 SF英雄群像/野田昌宏」人間の科学社「樺太と日本の悪縁/太田典礼」日本経済新聞社「俳優になろうか/笠智衆」を計525円で購入。だが表に出ると、いつの間に降り始めたのか、本降りの冷たい雨がお出迎え。春なのに春雨という感じではなく、ちょっと冷たく寂しい夕方の雨である。
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街がたちまち水気に覆われてしまった、その激変ぶりにしばし呆然としてしまうが、覚悟を決めてそのまま阿佐ケ谷目指して歩き始める。五十メートルも進まぬうちに、たちまちメガネは雨粒に覆われてしまったので、降り掛かる雨を避けるように下を向いて歩み続ける。視界の大部分を占めるアスファルトは、雨水で鈍い鏡のようになり、低解像度の見上げた空と建物の影をボンヤリと映し出し、濡れ鼠となった私の侘しい魂を、嘲笑っている。…早く家に帰って、暖かくしてから、読みさしの古本を紐解こう…家に帰り着くまで、後五百メートル弱…。
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2017年04月21日

4/21爆心地発行の写真集を手に入れる

昨日は下高井戸に流れ着き、フラリと駅踏切際のアーケード市場を潜り抜け、サッシ扉になってしまったが、それでも昔ながらの営業スタイルを保持している「豊川堂」(2016/07/04参照)へ。
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漂着の疲れを癒すために一冊を選び、ご婦人の座る番台に差し出す。第二書房「花とメノコと/竹内てるよ」(献呈署名入り。300円。アイヌ系ロマンス小説…)である。本を受け取るや否やご婦人は「あら?野坂さんかしら?」「いえ、竹内…」「あっ!てるよさん!てるよさんの本じゃなぁい。てるよさんね、この近所に住んでらしたのよ。ウチにも良く来ていただいて、奥で一休みしてもらったりしてたわぁ。わぁ〜懐かしい。晩年は身体壊して、で、拝み屋さんになっちゃってね〜」などと、一冊の本から飛び出す、予想もしなかった文学者話。瞬時に心と身体が、シュワッと癒されてしまう。

本日は野暮用で西東京方面に出没。帰途、西八王子に立ち寄り、以前素敵な本が安値で買えた「ガレージランドHarps」(2017/01/24参照)を訪ねてみる。だが、右から三列目通路に集まる古本は、すっかり枯れ果てた状態である。三ヶ月前の高揚を虚しく未練たらしく反芻しながら、諦め悪く薄暗い店内をウロウロ。すると、左奥の壁際のアイドル写真集コーナーに、違和感バリバリの一冊を発見してしまう。「HIROSHIMA 戦前 原爆 復興 写真輯録」である。昭和三十年発行の、42ページに『被爆前の広島』『原爆をうけた広島』『復興の広島』『原爆をうけた長崎』の写真を掲載したモノクロ写真集である。戦前と復興後の姿は平和そのものだが、やはり原爆投下後の写真は、ただただ街と人が被った恐るべき惨状ばかりで、まさに原民喜が言うような『新しい地獄』が克明に映し出されている。450円で購入し、帰りの電車内で改めて写真と対峙して行く。そして奥付を見ると、発行者の名に“吉川清”とある。あれ?これ特殊な閃光火傷をした背中を見せている写真の被写体が、この人ではなかったか…。気になり色々調べてみると、吉川清氏は『原爆一号』と呼ばれた被爆者で、戦後は原爆ドーム側で土産物屋を営み、訪れる観光客に背中の火傷を見せ、原爆の非道さを訴えていたそうである。写真集の奥付住所を良く見ると、『広島市 細工町 爆心地』となっている。もしやこの写真集、自費出版し土産物屋で販売されていたものではなかろうか…。
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そんな物を手に入れて、西荻窪で途中下車する。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に立ち寄り、ある緊急作業の打ち合わせ。その報酬は……古本…買おうと思っていた古本、春陽堂 世界大都會最尖端ジャズ文學第四巻「モン・パリ變奏曲・カジノ/フィリップ・スーボウ フランシス・ミオマントル」(カバーナシ)である。分かりました。やりましょう。早急に一日で仕上げてみせましょう。がんばります!
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2017年04月19日

4/19「中央線古本屋合算地図」!

午前中に宣言通り、どうにか「中央線古本屋合算地図」のフルデータを入稿し、ホッと一息。だが間髪入れず夕方に、早速印刷所が神速で出してくれた簡易刷り出しを見るために外出。日射しと風の強い中、ついつい「古書 コンコ堂」(2011/06/20参照)前に立ち止まり、パロル舎「贖罪のアナグラム 宮崎勤の世界/蜂巣敦」金剛出版「木々高太郎詩集 渋面」を計618円で購入し、西荻窪へと急ぐ。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)では素早く「フォニャルフ」に付録本を多数補充し(須知徳平のジュニアミステリや加納一朗のミステリ&スリラー小説や翻訳ジュニアミステリなど!)、帳場横で刷り出しをチェックする…いやぁ、ついに岡崎武志氏と二人三脚で、今年もここまで漕ぎ着けたか!と言うわけで、「中央線古本屋合算地図」は4/29(土)から販売開始!みなさま、何とぞ新たなこの古本屋本を、よろしくお願いいたします!

★「中央線古本屋合算地図」
中央線の一部である三十七キロの鉄路には、いつの頃からか常に古本屋さんが寄り添い、沿線の特徴ある文化的色合いを、どっしりと支える役目を担って来た。担うことで町と複雑に絡み合い、更なる“中央線カラー”を生み出し、沿線と人を深く育んで行った。それは今でも変わらず、またこれからも変わらないであろう。この本は昭和三十年から平成二十九年までの、新宿〜八王子間に出現したほとんどの古本屋を、長い長い時を飛び越え、駅ごとに一枚の地図に収めた“古本屋合算地図”である。様々な大小のお店の栄枯盛衰は、同時に中央線沿線のひとつの重要な歴史でもあり、現存するお店たちは、その膨大な積み重ねの上に成り立っているのである。本を紐解き、見たことのない過去の店舗群と、思い出のお店を楽しみ、現在と重ね合わせてそれぞれの町を見透かせば、朧げながら未来の町と古本屋の姿が、そこに見えてくるのかもしれない。

■岡崎武志×古本屋ツアー・イン・ジャパン編著
■B6版 全114ページ モノクロ 定価1300円(税込)
■2017年4月29(土)発売
■発売:盛林堂書房

驚異の「古本屋合算地図」に加え、竹中書店×岩森書店と水中書店×古書サンカクヤマの「古本屋座談会」、「中央線古本屋アンケート」、八王子「佐藤書房ものがたり」、「阿佐ケ谷 千章堂書店のアルバムより」、「青春の中央線古本屋」(荻原魚雷・北原尚彦・十松弘樹・南陀楼綾繁・林哲夫・北條一浩)、古ツアによる「中央線百均の旅」、すでに姿を消したお店の写真を集めた「中央線古本屋レクイエム」、岡崎による思い出エッセイ「つれづれなるままに中央線愛をつづりて」、それに「中央沿線古書店案内図 昭和三十年六月」を付録グラビアとして掲載。

「書肆盛林堂」での通販予約開始は4/23(日)17時より。盛林堂購入特典あり!また、「古本屋写真集」に続き、今回ものこの古本屋本をたくさんの方にお届けしたいと切に願っていますので、取り扱っていただけるお店も絶賛募集中!詳しくは「盛林堂書房」にお問い合わせ下さい!
『書肆盛林堂』→http://seirindousyobou.cart.fc2.com/
『盛林堂書房』→TEL:03−3333−6582 MAIL:seirindou_syobou-1949●yahoo.co.jp (●を半角@にして下さい。)
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2017年04月17日

4/17まだまだ見つかる未知の古本屋

『中央線古本屋地図(仮)』改め『中央線古本屋合算地図』の制作作業が、本当に本当の大詰めとなる。恐らく水曜日には入稿し、そして四月最終週には本が刷り上がってくる予定である。というわけで詳細情報もここ二三日で発表出来ると思うので、どうかご期待下さい!とまぁ、朝からそんな細かい作業をしていたので、息抜きに外出。ブラブラ歩いてたどり着いたのは阿佐ケ谷駅近くの「穂高書房」(2009/02/15参照)である。店主のオヤジさんは、相変わらずビルの横っ腹の出入口を開け放し、そこに陣取って色々作業中である。半ば放置されたような店頭台を順繰りに覗き込んでいくと、左端の台にちょっと古い本が並んでいるのが目に入る。
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歴史・発掘・人類創世史などなど…その中から函ナシの新光社「人類物語〜書き直された世界史〜上巻/ヘンドリック・ウイレム・ヴァン・ルーン 神近市子譯」を400円で購入する。表見返しを開くと、そこには見慣れぬ古書店ラベルが一枚。利休鼠の地色に白抜きで文字や絵が刷られている。上部にはエジプト古代絵文字であるヒエログリフ(手持ちの資料で懸命に調べてみると、どうやら『マンポウ』と書いてあるらしい…)があり、その下にはローマ字表記の店名。“マンポウショボウ”…おそらく「萬宝書房」と書くのではなかろうか。さらにその下に小さく“Kichijoji・Kunitachi”とあるではないか。これは両方の駅にお店があったと考えるのが自然だろう。だが、家に帰ってあらゆる資料をひっくり返しても、そんなお店の記述はどこにも見当たらない…いったいいつ頃のお店なのだろうか?調べても調べても調べ尽くせずに、ポロッと未知のお店が出現してしまうのが、恐ろしき古本屋天国とも言える、中央線沿線の実態である。いったい時代の陰に、どれだけの古本屋さんが一瞬の光跡を残し、流星のように燃え尽きてしまったのか…。今回の本は、昭和三十年以降のお店を扱っているが、いつの日か戦前の沿線古本屋に対しても、調査の触手を伸ばしてみたいものだ…。
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さて、話は変わりイベント出演のお知らせです。来る5/6(土)に『西荻ブックマーク』にて、岡崎武志氏の還暦祝いトーク&ライブイベントが開催されます。何と当日は、氏の親友であり京都の古本屋さんでもある「善行堂」(2012/01/16参照)古本ソムリエ・山本善行氏も勇んで上京。私は荻原魚雷氏・島田潤一郎氏とともに末席トークゲストとして参加予定。世田谷ピンポンズさんも風のように現れ、ミニライブを開催いたします。GWの一日に、詩と歌と本と古本ヨタ話に身を委ね、お土産をもらって過ごしましょう!

《緊急開催!》第98回西荻ブックマーク 山本善行presents 岡崎武志還暦記念トーク&ライブ 「風来坊 ふたたび」東京篇
■日時:2017年5月6日(土曜日)
■開場:15時30分
■開演:16時
■終演:18時30分 (予定)
■会場:ビリヤード山崎 2階 (東京都杉並区西荻北3-19-6、西荻窪駅北口徒歩1分)
■出演:岡崎武志 山本善行 荻原魚雷 小山力也 島田潤一郎
■特別ゲスト:世田谷ピンポンズ
■料金:2,000円 (おみやげ付き)
■定員:50名
☆ 緊急開催! 東京でもやります!!! ☆
西荻ブックマーク最多出演の岡崎武志還暦記念。
京都から山本善行さんを迎え、さらに古本者三人衆もお呼びいたします。
また特別ゲストに世田谷ピンポンズさんが参戦!
みなさまもこの機会にお祝いにいらっしゃいませんか?
すてきなお土産もご用意いたします。
http://nishiogi-bookmark.org/2017/
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2017年04月16日

4/16交差点際で「三茶書房」の実体的な幻を見る。

素晴らしき春の日曜に漂着したのは、神泉と池尻大橋の間に挟まれた『氷川神社』。近くの小さな高台の小公園で、高低差の激しい谷底の景色を慈しんだ後、その谷に階段を下って入り込み、246号を伝って「山陽書店」(2014/04/09参照)をまずは目指すが、ややっ!オレンジ色の日除けの下のお店は、残念ながらシャッターを下ろしてお休みであった。踵を返して『三宿交差点』を南に渡り「江口書店」(2010/03/29参照)に助けを求めると、小さな百均台をしっかり表に出し、頼もしく営業中であった。
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サッシ扉を開けて中に滑り込むと、意外なことに数人のお客さんが店内通路を行き来しているではないか!…このお店にはちょくちょく寄らせてもらっているが、こんな賑やかな光景は初めて見るぞ。他のお客の邪魔にならぬよう、譲り合い気をつかい合い、主に右側通路で発掘作業を進める。講談社文庫「シャーロック・ホームズの冒険/コナン・ドイル 鮎川信夫訳」創元推理文庫「ポオ小説全集4/エドガー・アラン・ポオ」こども世界第五巻第六号附録こども世界文庫(5)「りゃく画と工作の本」(昭和二十五年刊の全32ページA5サイズ小冊子。そのすべてがチープでプリティ)を計300円で購入する。

そんな300円で得られた小さな幸福を胸に抱えて、交差点を東北に曲がり込んだ時、何度も通っている道なのだが、今初めて心と記憶に引っ掛かるものが、前のめりの足をピタッと止める。振り返ると、交差点際にひっそりと建つ、古い三階建てのビルが目に留まる。今まで何気なく見過ごしていただけの建物である。営業感や生活感は遥か昔に遠退いた雰囲気で、タイル張りの壁には剥落防止のネットが掛けられている…私はこの建物に、いったい何を感じたというのだろうか。元は店舗らしいのだが…と気にかけながら、引き込まれるように横道に入り込み、建物の側面も観察していく…するとあぁっ!陶製の小さな表札らしきものが奥の壁に埋め込まれているのだが、そこに書かれた名に『岩森亀一』とあるではないか!ということは、荻窪「岩森書店」(2008/08/23参照)創業者のお兄さんであり、「三茶書房」(2010/10/26参照)の創業者!つまりここは、三軒茶屋時代の「三茶書房」ということになるのか。その表札だけに、かろうじて痕跡が残っているのだが、まさか元店舗が現存しているとは…。突然の奇妙な出会いに興奮しながら、しばらくお店のシャッター前に佇み、勝手に当時のお店の様子を夢想する。遅過ぎる出会いであったが、今日始めてこの偉大な古本屋遺跡に気付けたことを、ただただ嬉しく思ってしまう。
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2017年04月15日

4/15昭和四年の川端康成に一刀両断される。

本日色々こなして漂着したのは吉祥寺の北…武蔵野の風景の真っただ中と言えば聞こえは良いが、風が吹く度に黒土が舞う畑の間である。口の中をじゃりつかせながらそこを抜け出し、幸福そうな住宅街の中を長い間潜り抜け、どうにか吉祥寺の繁華街にたどり着く。思いついて寄ったのは、東急デパート脇の二階の古本屋さん「百年」(2008/09/25参照)である。
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先日のトークでも店主さんにはお世話になったのだが、今日は帳場の中に姿は見えず。たくさんのお客さんと通路を譲り合いながら、講談社現代新書「明日、機械がヒトになる/海猫沢めろん」を432円で購入する。好きな作家の一人だが、いつの間にこんな科学系の新書を出していたんだ…。階下におりて駅に向かい、駅ビルの『LEMON DROP』で今夜の贅沢なデザート・チーズケーキを購入して帰路に着く。

家に帰り着くと今日もヤフオク落札本が到着している。新潮社「文學時代 昭和四年七月特集探偵小説号」である。191ページ以降が落丁し、表紙にも穴が開いているジャンク本なのだが、国会図書館にも所蔵されていないようなので資料用に購入したのである。なんたって今秋に編集予定の探偵小説集の、目当ての作家の未知の小説が掲載されているのだ。だがそれ以外にも、『探偵小説座談会』『探偵劇のポスタア』『探偵小説發達史』などが載っており、大変に読み応えあり。惜しむらくはやはり、落丁部分の探偵小説、甲賀三郎「發聲フィルム」内田百閨u影」(ともに竹中英太郎畫!)が読めないことであろうか。だが嬉しい誤算もあり、川端康成の小品「都會の手帳」「逗子・鎌倉 ロマンス以前」は、まさに新感覚派の真骨頂とも言える、ギリギリまで尖った意味喪失寸前の文章で、現実を麻酔するほどの力を発揮している!詩が小説となり、小説が詩と化す、才気の暴走が、文章に感化され鋭敏になった心を、一刀両断!他にも龍胆寺雄の映画評や浅原六朗のエッセイなどがあり、当分この一冊で昭和初期を楽しめそうな予感を、ヒシヒシと感じている。
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2017年04月14日

4/14東京・五反田 第四二回 本の散歩展

早起きして、まるで夏の朝のような日射しが鋭い五反田の裏町を縫って歩き、『南部古書会館』へ向かう。「第四二回 本の散歩展」に、「聖智文庫」さん(2013/05/16参照)と「古書一路」さん(2013/03/08参照)に誘われての行動である。午前九時四十分に会館に到着すると、すでに一階ガレージは開場され、安売本を求めてたくさんの古本修羅が本を抱えて活発に蠢いている。うむ、やはり古書会館の光景は、こうじゃなくちゃ!と同時に、二階へ上がる脇の階段入口から、修羅の整列が次第に長さを増していく。こちらは二階に命を懸ける者たちが、午前十時の会場を、今や遅しと静かに待ち構えているのだ。この様子だと、結局一階にも二階にも出遅れている感があるので、焦らずのんびり構えて、シンプルに読みたい本だけを買うことに決める。というわけで修羅化せずに、修羅に揉まれ修羅越しに本を見て、何も買わずにあっさりとカバンを預けて二階へ上がる。入口から静かな熱気と殺気と本気が交錯する会場に踏み込むと、右の帳場にいた「古書 赤いドリル」さんから陽気に声を掛けられる。その後も棚を見ながら「一路」さんと挨拶を交わし、会場をスルスル巡回。「聖智文庫」棚を眺めていると、いつの間にか背後を店主・有馬氏に取られており、「なにやってんだよ」と話しかけられびっくりする。そして徐に棚にあった横溝正史「変化獅子」を手に取り、「安くしてあげるから買いなよ」とその場で値段を半額に直してしまった…おぉ!逆植草甚一的値段修正!と喜び、もちろん買わせていただくことにする。さらにその後も突然近くに現れる有馬氏とポツポツお話しする。今度、なんだか面白い倉庫に連れてってくれると言うので、喜んで同行をお願いし、今から激しく楽しみに思ってしまう。三洋出版社「変化獅子/横溝正史」春陽堂文庫「宵待草/武田麟太郎」創元推理文庫「百万長者の死/G・D・H&M・コール」(三版)長崎文學社「長崎昔噺集/歌川龍平」を計2500円で購入する。この会館展は明日土曜も開催される。
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写真は実は新刊書店と向かい合っている南部古書会館。

そして家に戻って午後三時に、奇妙な依頼を果たしに近所のある店舗へ向かう。このお店のオヤジさんとは、日頃挨拶を交わしたり、時々立ち話をするご近所的間柄なのだが、会話の端々で私が古本好きなのを知ってから、度々自宅の本の整理について相談されていたのである。本を売るのだったら、私などに相談せずに直接古本屋さんに来てもらうのが良い、と常々助言していたのだが、どうも踏ん切りがつかないのと、どうしたら良いか決まらないらしい。だからなのか、今日古本市に出掛けのところを話しかけられ、「ちょっと本の様子を見てくれないか」と頼まれてしまったのである。無碍に断るわけにもいかないので、とにかく一度その蔵書と対面することになってしまった…なんだかますます人生が、古本のためにおかしな方向に進みつつあるな。漫画「ジョジョの奇妙な冒険」で第四部から『スタンド使い同士は引き寄せ合う』というようなコンセプトが出現するが、それと同じで『古本修羅は古本修羅と引き寄せ合う』運命にあるようだ…。それに私に出来ることなどたかがしれているのだが(何となく売れそうな本があるか蔵書をチェックし、合いそうな古本屋さんを紹介するのが関の山…)、まぁ何かの気休めにはなるのだろうと、お店の前に立ち、住宅部分への扉をノックしている。招き入れられ、本が多くあるという二階部分に付いていくと、確かに壁際に結束された本の山が築かれている。ジャンルは主に美術・建築をメインとしているようだが、不思議なことにあまり本は見せてくれないのでその全貌は結局分からず終いな上に、まだ他の部屋や一階奥にも本はたくさんあると言う。そして結局話を詳しく聞いてみると、整理したいことは整理したいのだが、何も具体的には考えていないらしく、溢れる話はただただ古本にまつわるエピソードと生き様について。あぁ、私は人の家でいったい何をしているんだ。だがとにかく何故だか、その本の整理分類から処分までを、私に頼みたいとのことなのである。古本屋さんに依頼した方がスピーディで適確なことを伝えても、「そこは君に」の一点張りなのである。恐らく私は、奇妙に気に入られているのだ。そして、恰好の話し相手に選ばれているのだ…。なので説得される形になったが、●時間のあるときに作業●それには時間がかかること●まずどこにどんな本があるのか確認を進めたい、などを条件に出すと「では一部屋に私が本を家中から厚め、そこを作業部屋にしよう」と提案がある。それなら多少なりとも楽なのと(気の方も…)、その本を集める作業は恐らくなかなか進まないだろうと意地悪く確信し、とにかく準備ができたら連絡してくれと伝えておく。…まったく奇妙なことになったものだ。自分の家もままならぬのに、人の家の蔵書整理を手伝うことになった、愚かな私。こうなったら、素晴らしい稀本でも出て来ることを期待するしかないか…でも、どんな本があるのか全然分からないんじゃ、まだ海のものとも山のものともなんともかんとも。それに本当に着手まで至るのだろうか…ふぅ、古本好きには、やっぱり変わった人が、多いなぁ。
posted by tokusan at 17:00| Comment(3) | TrackBack(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月12日

4/12青空の下の青梅で別れを告げる。

ポカポカ陽気の街に弛緩しながら、補充用の古本を携え、テクテク歩いて荻窪「ささま書店」(2008/08/23参照)を定点観測する。店頭棚前をニジニジ移動し、単行本を二冊掴んだ後、文庫棚の前にしゃがみ込む。表側には欲しい本は何もナシ。ビル袖壁との間の裏側に潜り込み、再びしゃがみ込む。中段辺りの文庫列の上に置かれた横置きの黒い文庫が二冊…講談社文庫の昭和五十年代推理&SF小説シリーズである。ともに風見潤編訳。おっ、一冊はE・D・ホックじゃないかと手に取ると、開いた扉部分に訳者の献呈箋が挟み込まれていた。しかもちゃんと署名入り。もう一冊は著者献呈カードのみであるが、二冊一緒に抱え込んで店内で精算する。浪速書房「非情の顔/佐賀潜」河出書房新社「私語/田村隆一」講談社文庫「こちら殺人課!/E・D・ホック」「ユーモアミステリ傑作選/風見潤編」を計420円で購入する。ヘヘッとほくそ笑みながら西荻窪に向かい、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)「フォニャルフ」棚に補充する。森村誠一のジュニアミステリ付録本など並べて来ましたので、読みたい方は西荻窪へ!補充を終えて顔を上げると、本棚探偵の「ひとたな書房」に憧れの春陽堂探偵双書が何冊か並んでいるのが目に入ってしまう。逸る気持ちで震える手を、エメラルドグリーンが特徴的な小型本に伸ばし、徐に値段を見てみると、ウギャッ!千円!「悪霊島/香山滋」を即座に購入してしまう。
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その後は中央線→青梅線と乗り継いで、山塊が迫る東京の西へ。河辺駅で下車し、雲が光る広い空の下を歩いて、4/16(日)に閉店してしまう「ブックセンターいとう 青梅店」(2012/07/21参照)にたどり着く。五年前のツアーで一度来たきりの巨大倉庫型店舗だが、地域外から来る人間にはともかく、地元の人にとってここがなくなるのは、大きな痛手ではないだろうか…。駐車場内の入口横には白いテントが建てられ、中ではセットコミックの大量販売が行われている。閉店セールは20%オフである。広大な横長の店舗に入ると、♪てってれてるるる〜てるれ〜♪の『いとうグループ』お馴染みの曲とともに、閉店のアナウンスが繰り返し放送されている。それに加えて上階からは、ドスンドスンと大きな振動音が響いてくる…恐らく閉店撤収作業が、すでに始まっているのだろう。そんな中で、左奥の長い長い古本通路を、幽鬼のようにユラユラと彷徨い続ける。すでに荻窪と西荻窪で満足行く獲物を手に入れているためか、文庫にも単行本にもなかなか手を伸ばせず、ただ時間だけがゆるゆると過ぎ去っていく。最奥の文学・映画・音楽・紀行ゾーンで、ようやく軽いスイッチが入り、雄山閣「妖怪学入門/阿部主計」を20%オフの320円で購入する。精算を済ませ、駄菓子コーナー脇を抜けて、外に出る。駐車場から出て、道路際でお店を見上げると、青空の下には大きな大きな『本』の文字。こののんびりとした光景も、しばらくしたら呆気なく消え去ってしまうのだろう。これでさらば、青梅のリサイクル系巨大古本屋さん。
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2017年04月11日

4/11雨の日に行った俺が馬鹿だった

外は四月とは思えぬ冷たい土砂降りの雨。そういえば本川越の『PePe』前では「小江戸川越 ペペ古本まつり」(2015/11/19参照)が開かれているはずだが、この雨の中どんな大変なことになっているのであろうか。もしかしたらライバルがほとんどおらず、雨さえ我慢すれば、ウハウハの入れ喰い状態になるのかもしれない…。そんな都合の良い淡い期待を抱いて、西武新宿線で一路埼玉へ。ホーム北端の改札を抜け、ほぉ!西側に抜けられるように新しく出口が出来たのか。これで東武東上線・川越市駅に向かうのが、劇的に便利になったな。などと感心しつつ駅前の広場に向かうと、ああっ!居並ぶすべてのテントが、ブルーシートとビニールカーテンで、厳重に梱包されてしまっているではないか!
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外側のテントにノートの切れ端が貼付けてあるので、近寄って確認してみると『4/11(火)古本まつり雨天のため中止致します』と書かれていた…。淡い期待は、無惨にも春の氷雨に打ち砕かれてしまったのである。古本のまったく見えないテント群と対照的な、雨に濡れそぼった赤い『古本市開催中』の幟を虚しく眺める。だがそれでも、どうにかしてこの地で古本を買っていきたいものだ。そう即座に決意して、すでに純粋な古本屋さんの消え去った地を、諦め悪く歩き始める。こうなったら、リサイクル系のお店に助けを求めよう。駅から東に向かい、川越の近代的メインストリートでもある長い長い商店街『クレアモール』を南進する。そしてたどりついたのは、「古本市場」のチェーン店である「ふる1 川越クレアモール店」である。
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ゲームやコミックのお店であるが、明るく白く奥深い店舗の左壁には、これもまた奥深い古本壁棚が続いている。93円単行本・一般単行本・実用本・一般文庫・93円文庫と棚の数は多いのだが、かなり白っぽいのが連続するので、茶色い本好きとしてはあまり気分が乗って来ない。それでもどうにか最後の93円文庫棚で、講談社文庫「津和野の殺人者/中町信」を見つけ出し、税込の100円で購入する。…よし、今日はこれでいだろう!と己に言い聞かせ、足元をビシャビシャに濡らしながら、たった一冊の文庫本を携え、再び西武新宿線にたくさんの学生とともに乗り込んで、早々と帰路に着く。
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2017年04月10日

4/10大正時代の北園克衛!

本日午前中、ようやく「中央線古本屋地図(仮)」のレイアウト作業を終える。そしてここに至り、初めて全ページ数が判明…思えば本作りの基本を無視した、不安定な長い闘いであった…。後は一括校正をして修正を反映させ、いよいよ入稿となる。これまで作業工程ばかり綴ってきたが、完成まであともう少し!刮目して待たれよ、全国の愛しき古本修羅たちっ!

他にも色々作業していたら、すでに時刻は夕方である。所用のために中野に外出するとともに、ちょっとした開放感に包まれつつ『中野ブロードウェイ』に吸い込まれる。二階の「古書うつつ」(2008/06/18参照)前に立つと、通路のミニ100均コーナーには、映画パンフ・「こどものとも」・「面白半分」などが多めに並んでいる(ただし100円以上もあり)。「こどものとも」を丁寧に繰り、二冊を選び出して店内へ進む。こちらでも入って直ぐ左のほぼ100均コーナーにへばりつく。福音館書店「ごろごろにゃーん/長新太」「かわとかくれんぼ/司修」角川文庫「ロールスロイスと銀の銃/チェスター・ハイムス」学風書院「笹をたずねて/高嶋雄三」(笹が好きで好きでたまらない文学者の、笹そのものや笹に関する伝説類を集めた紀行集である、千葉『八幡の薮知らず』潜入記もあり!)を計600円で購入する。そのままブロードウェイを通り抜けるようにして『早稲田通り』に脱出。相変わらず客気の多い「中野古本案内処」(2015/08/23参照)へ。やっぱり店頭左側の新書サイズ本は、大いに好みであるな!と改めて確信して一冊抜き取り、明るい店内に進む。奥側中央通路の文学棚からも一冊。カッパノベルス「大怪盗/九鬼紫郎」かたりべ叢書17「牧野信一と結城信一/保昌正夫」を計540円で購入する。安値の本ばかりで無邪気な古本心を満足させて帰宅すると、そこには一冊のハードカバー本が届いていた。最近敗退癖のついているヤフオクで、久々に落札出来た古本である。大正時代の俳句を核に据えた文藝雑誌「鹿火屋」の合本…もちろんそれだけだったら、いくら大正時代好きとは言え、とても入札などしなかったのだが、執筆陣の中に『橋本健吉』の名があったのでドキリ!とし、即座に出せる金額をキーボードで叩き込み、数人のライバルは現れたが、どうにか無事に2520円で落札出来たのである。青い布表紙の本はズシリと重く、大正十二年の一月號〜四月號の合本となっている。急いで各冊の目次をチェックしてみると、橋本健吉の詩が一月號に『毒薬』三月號に『火葬場』四月號に『電柱』が掲載されている。『橋本健吉』とは、詩人・北園克衛の本名である。つまりここに載っている詩は、二十一歳の北園が書いた初期作品ということ!モノが俳句雑誌であり、北園も俳句を作っていたので、てっきり載っているのは俳句作品だと思っていたのだが、これは実に嬉しい誤算である。別に新発見とかいうわけではなく、きっと何処かの本で読めるのだろうが、やはり当時の雑誌で、時代の手触りと活字を味わい読む文章は、とても感慨深いものがある。各詩は、後の北園作品から想像出来ぬ程の、オーソドックスな抒情詩風。これが進化に進化を遂げて、プラスティックポエムにたどり着くのだから、人間とはなんとも底知れぬ生き物である。そんなことを偉そうに考え、いつものように古い本を楽しみながら、次第に夜は更けていく…。
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2017年04月08日

4/8奇跡のゼッケンそろい踏みと“五人だけのジキル”!

すでに昨日のことである。朝起きて、夕方の古本トークのことを思うと、いてもたってもいられなくなってしまったので、午前十一時過ぎに家を出て荻窪「ささま書店」(2008/08/23参照)に向かい、古本を買って心を鎮める。河出書房新社「アインシュタイン・ショック 1・2/金子務」電電公社「もしもし文化史 電信電話発達と九州」世田谷区俳句連盟「世田谷名所俳句集」(昭和三十四年の世田谷の名所をモチーフにした俳句集。東宝撮影所・野犬抑留所・球体瓦斯溜・団地地区なども含まれており楽しい。西東三鬼の句もあり!)を計420円で購入する。一旦家に戻ってから、午後三時過ぎに神保町へ向かう。だが水道橋駅に総武線が滑り込んだ時は、頭の中にあったのは楽しい楽しい『神保町パトロール』のことばかり。思わず『白山通り』でスキップしそうになる足を押さえ込みつつ、「日本書房」(2011/08/24参照)で幸先良く、春江堂「滑稽茶ばなし」(従軍将士慰問用の恤兵本!)を千円でまずは購入。さらに「小宮山書店 ガレージセール」(2013/07/12参照)では、講談社「孤独のアスファルト/藤村正太」と朝日新聞社「ゼッケン8年/金子徳好」を計500円で購入する。この「ゼッケン8年」は、以前持っていた本なのだが、読了後にいつかの古本市であっさりと手放してしまった。だが先日、続編とも言える「反核でゼッケン」を手に入れたことから(2017/03/20参照)、『あぁ!売らなければよかった!』と今更ながら大後悔していたのである。それが一ヶ月も後悔の念に塗れぬうちに、再び我が手に収まってくれるとは!やはり古本の神は、何処かに実在するに違いない!と大いに確信する。
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これが決して他では見られぬ、奇跡のゼッケン本ツーショットである。

そしてパトロールの終りに「三茶書房」(2010/10/26参照)の店頭ワゴンに張り付くと、右端の百均ワゴンに、何だか能天気な中文児童書の仙花紙本「太陽系警察」を発見してしまう。読めるわけもないしそれほど欲しかったわけでもないのだが、何気なく手に取り見返しを開くと、そこには1991年当時の石川英輔への謹呈署名が入っているではないか!このままここに転がしておくわけにはいかぬと、心を入れ替え喜んで購入する。
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その後、午後六時半からの『東京古書会館』での古書山たかし氏&盛林堂・小野氏とのトークを無事完遂。とにかく古書山氏の、探偵小説と怪書への底無しな愛と所有欲に圧倒されっ放しの、楽しく泥沼のように深過ぎる一時間半でありました。ご静聴いただいたみなさま、ありがとうございました!そして嬉しいことに、古書山氏の著書「怪書探訪」で「醗酵人間」の次辺りに位置するであろう怪書、清華書房「怪人ジキル/波野次郎」のカラーコピー手製本をプレゼントしていただく。今回のトーク登壇相手と、展示紹介の文をしたためた、新保博久氏・喜国雅彦氏・北原尚彦氏・小野純一氏、そして私の五人の男に送られた、スペシャルな『五人だけのジキル本』なのである。元は仙花紙本なのに、堅い!厚い!所々のページの隅に古書山氏の指が映り込んでいる!と、色んな意味でとことん楽しめる一冊なのである。でもこれ本当に読みたかったので、古書山氏にひたすら感謝感謝である。
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2017年04月06日

4/6エルヴィスと明治探偵小説

昨夜は打ち合わせ飲みのため、閉店間際の「盛林堂書房」(2012/01/06参照)を訪れ、閉店作業を見守りつつ、何となく左側通路の「古本ナイアガラ」棚を眺めていると、ぬぬっ!塩山芳明氏の棚に、晶文社「エルヴィスが死んだ 小林信彦のバンドワゴン1961→1976」がひっそりと挿さっているではないか。まぁちゃんとした値付なのだろうと、はなっから諦めながら取り出して後見返しの特徴ある字で書かれた値段札を見ると、これが千円!五六ヶ所にボールペンによるラインが入っているようだが、この値段なら問題ナシ!読めればいいんだ!と遠慮なく買い上げることにする。実は去年の大阪での取材時に、「善行堂」(2012/01/16参照)山本善行氏から、その昔千林「山口書店」(2016/08/21参照)で400円でこの本を釣り上げた、羨まし過ぎるエピソードを聞いた時から、秘かに欲しくて読みたくてしょうがなくなっていたのである。塩山さん、ありがとうございます!おかげで夢が叶いました!

本日は流れ流れて三鷹に漂着。だが、すっかり疲労を蓄積してしまい、古本屋に立ち寄ることもなくスゴスゴと阿佐ケ谷に引き揚げてしまう。帰り道にどうにか「銀星舎」(2008/10/19参照)に足を留め、花粉症に苦しむ旦那さんと近況報告&古本屋話をしながら、集英社文庫「壺中庵異聞/富岡多恵子」ちくま文庫「日本探偵小説傑作選4 城昌幸集」を計700円で購入し、蓄積した乳酸を少しだけ分解する。こんな体たらくで、すみません。まぁ一日にが無事に過ぎて、良かった。そして明日はいよいよ、「怪書探訪」著者・古書山たかし氏と盛林堂・小野氏との三つ巴三竦みトーク!どうか四月初めの金曜日に、古本と怪書と古本屋と古本マニアと探偵小説に興味のある方は、ぜひともお越しください。恐らく当日受付でも大丈夫ですので、思い立ったら吉日でよろしくお願いいたします!ちょっとトークにかこつけて、この際だから色々聞いてみなければと、家にあった明治探偵小説を集合させる。この謎の多い本たちを明日持参して、いったい何が聞き出せ話がどう広がるのか、さぁさぁお立ち会い!
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「ある怪書好き会社員の軌跡」 トークイベントvol.1
■『怪書探訪』著者 古書山たかしさん、古本屋ツアーインジャパンの小山力也さん、盛林堂書房店主 小野純一さんによるトークイベントを開催!
http://www.kosho.ne.jp/news/news_info170213.html
■日時:2017年4月7日(金)開場18:00 開始18:30〜20:00
■場所:東京古書会館 7階会議室
〒101-0052 東京都千代田区神田小川町3丁目 東京古書会館
■入場料1000円(現金のみ) 事前申込 先着100名様
■予約 http://www.kosho.ne.jp/event/2017/s/page2.html
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2017年04月05日

4/5吉田謙吉に喜び、古本殿上人の痕跡をたどる。

早起きして、昨日からエンジンフル回転でやっつけている「中央線古本屋地図(仮)」のレイアウト作業。どうにか完成率八割くらいには達した感じがするので、少し安心する。今回の本は、かなりイレギュラーな作り方をしてしまったので、常に気が気じゃなくフワフワしていたのであるが、やっとそんな軛からも解放されたようだ。詳しいことは、近々に迫って来た情報解禁とともにお知らせする予定。モニターから視線を剥がしとり、ウンと椅子の上でひとつ背伸びする。そして今回も面白そうな本に仕上がりそうだと手応えを感じつつ、頭の中ではすでに『次はどんな古本屋の本を岡崎氏と作ろうか』などと考えてしまっている。中央線沿線が出来たのなら、他の古本屋街である『早稲田』や『本郷』も面白そうだ。だが『早稲田古本屋街』に関しては「古書現世」(2009/04/04参照)の向井氏が、すでに二冊の名著をものしている。ならば、『本郷』…いや、ものすごくアカデミックな本となりそうな上、様々な高いハードルが立ちはだかる予感がする。いや、そもそも『本郷古本屋街』に、まったく造詣が深くないのが大きな難点であるな…。そんな風に、あてどもない思考に耽りながら、ふと机の横の本の山に目をやると、ちょうど目線の辺りに背を向けていた「弘文荘待賈古書目 第二十九號」が目に留まる。古本神…いや、もはや古本殿上人である古書鑑定の権威・反町茂雄が出した昭和三十二年の目録である。引っ張り出してパラパラ捲っていると、巻末のお店の地図が目に飛び込んでくる。それは、『本郷古本屋街』に向かい合った、まだ都電が走っている『本郷通り』沿い『東大正門前』からの案内図であった。突然ムラムラとそこに行きたくなってしまったので、関係各位への連絡を済ませてから、すっかり春めいた四月の屋外に飛び出す。南北線で『東大前下車』。北から『本郷通り』を南下する形で、途中「第一書房」(2011/08/16参照)の外棚にへばりつく。すると、美術出版社「絵本ヨーロッパ 舞台装置家の眼/吉田謙吉」を発見する。
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築地小劇場から出発した舞台装置家であり、また考現学者・今和次郎と「モデルノロヂオ」を著した著者が、1950年代のヨーロッパを、紀行・演劇・都市・町・風俗・雑貨類から紹介して行くビジュアル本である。大量の著者撮影のモノクロスナップ、堀内誠一を先取りしたような洒落たデザイン、日用雑貨や紙物の紹介が、古本心をいとも容易く穴だらけにしてしまう。値段は2000円だが、相場よりは遥かに安め。少し迷っただけで、あっさり購入してしまう。早々に満足して『東大正門前』。件の目録を徐に取り出し、地図通りに街の中に分け入って行く。
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まずは通りから西に向かい、少しさびしい商店街らしきものを奥に進むと、広場のような五叉路が待っている。昔はここに交番があったのか…う〜ん、この道と街の形、何処かで見たことあるような…湧き上がって来たのはかなり強い既視感だったので、しばらく記憶の検索を路上で行ってしまう…あっ、そうだ!確か木村伊兵衛の『本郷森川町』だ!これから進む道は、まさにあの写真の奥へと進んで行くことになるんだ。道に立つ人&道行く人の物語が勝手に頭の中で交錯する名作白黒写真と目の前の景色を重ね合わせ、予想外の出会いにちょっと感動しながら北西に進路を採る。五叉路に、昔の街の面影は残っているが、進む地の両側はほとんどがマンションなとなり、なんだか味気ない風景。そして進行方向は下り坂になっているのに、地図では陸橋の上を通過することになっている。不思議に感じながら坂道を下って行くと本当に陸橋が現れ、さらにその下に道と街が存在していた。この辺りの高低差は、こんなにも激しいのかと今更思いながら、やがて上り坂となる道をスタスタ突き進むと、街は途端に高級住宅街と化して行く。そして道の先に、地図では『児童遊園』と書かれた『西片公園』が姿を現す。子どもたちが嬌声を上げながら、全力で遊んでいる。ここでは『大椎樹』というかなりロマンチックでユニークな目印が、地図上に葉っぱマークでプロットされているが…そこで公園の豊かな植栽を順繰りに確認して行く。まずは杉、そして満開の桜、さらにその横に確かに椎の木!うわ、本当にあった。残ってるんだ。スゴいぞ!と、かつて「弘文荘」を目指して来た人たちも見上げたであろう樹の下に立ち、無邪気に喜びまたもや感動してしまう。この後、無事に「弘文荘」の跡地である反町邸にもたどり着くのだが、それよりなにより今日のクライマックスはやはり、今から六十年前の地図に引き寄せられて出会うことになった『大椎樹』だったのである。フフフフフ。やっぱり、街をちゃんと歩いて現地に来てみると、何か色々面白いことに出会えるものなんだな。
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2017年04月03日

4/3東京・都立大学 近所に引越し「ROOTS BOOKS」!

朝から百冊弱の古本を詰めたダンボールを担ぎ出し、大阪に送る。なんとその重さ、二十九キロ!フェア用の補充本で、今回値段がお安めなものが中心。現地に届き次第「梅田蔦屋書店」の古書コンシェルジェが商品化し、棚に並べてゆきますので、西の古本好きのみなさま、折りを見て梅田駅ビル『ルクア イーレ』九階『古ツアフェア棚』を冷やかしにどうぞいらしてくださいませ。

さらに朝から、岡崎武志氏より怒濤の「中央線古本屋地図(仮)」原稿が届いたので、他の仕事と並行しながらレイアウトを進める。夕方に一段落着いたところで、都立大学にノロノロと向かう。コメントタレコミにより「ROOTS BOOKS」(2010/03/25参照)が移転作業中であるのを知ったので、そろそろ様子を見に行ってみるかと、重い腰を上げたわけである。高架下の改札を抜け、すぐに北西へ。道沿いの、古く昭和なショッピングセンター『トリツセンター』は、すでにその役目を終え全面的に閉鎖されてしまっている。このセンターの横っ腹に「ROOTS BOOKS」は格好良くへばりついていたのだが、その店舗のシャッターもがっちり下ろされてしまっている。だがその前には立看板が置かれ『移転します』と簡素な地図が書かれていた。
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壁には2009年からこの地で営業して来た思いが軽く語られ、ウィンドウの向こうにはダンボールに書かれた『I♥都立大』の言葉が掲げられている。相変わらず都立大学という場所に、熱い気持ちを持ち続けておられるのだな。そして地図を参考にして、そのまま『中根小通り』を『目黒通り』に抜ける。交差点から北を見ると、確かにすぐに『ジョナサン』がある。横断歩道を渡り、屋外自転車置場横の『ジョナサン』の入ったビル手前の小道に入り込む。前方には、左に小坂、右に小階段があり、その先には緑道に美しく咲き誇る桜の樹がのぞいている。階段をトントン上がって右を見ると、そこに古本屋さんの姿が地図通りに輝いているではないか。失礼ながら、以前のお店より、しっかりした今時の古本屋さんっぽいぞ!と思ってしまう。
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店頭にはアンティークな木製キャビネットや箱が並び、その上や中に安売本が並べられている。100均文庫&単行本&雑誌、洋書&絵本、それに300〜500円本も左側に並んでいる。中に入ると、思ったより少し狭い空間である。壁には棚がしっかり張り巡らされ、右奥が深くなる構造。だが、今はかなり雑然としている。引っ越したばかりだからだろうか?それともこれがスタイルだからだろうか…?疑問深めながら進入可能な通路に入り込んでみる。とは言っても見られるところは、入って直ぐの正面文庫棚(新しめの本中心)と、横向きフロア棚とガラスケース間の手前通路だけのようである。フロア棚にはCDやビジュアル本が並び、奥に入り込むと入口側壁棚に美術系大判作品集が収まっている。そのさらに奥には、積み上がった本や日用品で進めぬのだが、大きな壁棚を見ることは可能である。何だかノンジャンルで並んでいる感じなのだが、歴史・近代史・文学に良さげな本が紛れている。だが左奥は横積みゾーンとなってしまい、フロア棚の裏側も横積みゾーンになっている。ふ〜むと秘かに唸りながら、積み上がった本に面白そうなものがありそうなのだがあまり手を出せずに、移動出来る範囲をウロウロ行き来してしまう。値段は普通で、良い本にはしっかりプレミア値が付けられている。結局右壁棚から、爪先立って手を伸ばし、どうにか本を一冊抜き取る。ぐるっとフロア棚を回り込み、隠れ家のような小さな帳場で精算する。とにかく引越し、ご苦労さまでした。これからも都立大学で古本屋の灯を、常夜灯のように煌めかせていただければ幸いです。新潮社「上海租界映画私史/清水晶」を購入する。
posted by tokusan at 19:49| Comment(2) | TrackBack(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月02日

4/2歩行者天国と小村雪岱

今日の漂着地は白昼の新宿二丁目…特徴ある繁華街は、まだ夜の余韻を引き摺りつつ、穏やかな日射しに照らし出されている。裏道を伝い、閻魔像のある太宗寺脇から、元「昭友社書店」(2016/07/02参照)前に出る。未練たらしく来てしまったが、もはやここで古本を買うことは出来ないのだ。なのでセカセカ新宿駅方向に歩みを進めると、『新宿通り』が途中から開放感満ちあふれる歩行者天国となっている。ここぞとばかりに車道の真ん中を歩きながら、新宿で気軽に古本を買っていきたいなと考える。だが「ブックオフ」では味気なさ過ぎるし、「Brooklyn Parlor」(2010/02/25参照)「エジンバラ」(2015/01/19参照)ではちょっと気軽にというわけにはいかない…そうか、「bookunion SHINJYUKU」(2011/11/10参照)なら、どうにかなるだろと、『新宿通り』沿いの、昭和なビルの三階に駆け上がる。お店ではどうやら、ロックやプログレ本の放出セールらしい。音楽本がずいぶん進攻していると感じつつ、その上音楽関連紙物(レコード会社が出していたカタログ類や、コンサートチケットなどなど)がずいぶん集められているマニアックさに、軽い驚きを覚えてしまう。お店はどうやら、かなり音楽的に進化している模様。というわけで何だか小さくなったフロア棚のサブカルゾーンに神経を集中すると、むっ!講談社「ニューヨークの次郎長/篠原有司男」が、ちゃんとプラカバー&トレペ帯付きで、350円!安い!と即購入し、歩行者天国で記念撮影した後、開放感を持続させつつ地下の『ベルク』にて、黒ビールで古本に乾杯してしまう。
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阿佐ヶ谷に着いて、フラッと「古書コンコ堂」82011/06/20参照)に立ち寄ると、右端日本文学通路棚で黒い本を発見する。函ナシの國文堂書店「亜米利加紀念帖/水上瀧太郎」であるが、隠しても隠し切れないたおやかさと上品さを併せ持つこの本は、小村雪岱装なのである!雪岱フォントの金背文字、黒い表紙に薄く浮かび上がるさらに漆黒な繊細植物群、そして本扉前には再び雪岱フォントで『永井荷風先生にささく』の言葉が!これが515円なんて!とコンコ堂に感謝しながら両手に大事に抱えて喜び、購入する。ちなみに雪岱フォントのタイトル以外は、すべて「亜米利加記念帖」となっている。
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posted by tokusan at 17:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 古本屋消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする