2017年07月07日

7/7七夕に春浪と出会ってしまったのが運の尽き

そろそろ大阪の「梅田蔦屋書店」に追加の新入荷本が並び始める頃なのだが、再び三たびと大阪に古本を送るために、朝から部屋のあちこちを引っ掻き回している。それにしもよくもまぁ、相変わらずこれだけちゃんと本が出てくるもんだ…。改めてそんな風に己に呆れ返りながら、臨時のセレクト古本タワーをニョキニョキ生み出していく。この行動についての詳細は、また後日お知らせ予定。さて、そんな風に旅立つ古本を見ていると、やはり心の中には一抹の寂しさがが萌え出てきてしまうので、古本を買いに池袋で7/10(月)まで開催の「三省堂書店 池袋本店 古本まつり」(2016/02/09参照)に向かうことにする。湘南新宿ラインで池袋入りし、地下からエスカレーターで二階へ上がって、会場の見取り図を受け取り中へ進む。午前十時半前の場内は、ほどほどのお客さんが静かにジリジリ蠢いている状態。二十四のお店が造り出している古本通路を、何故かかなりの余裕を持って、散歩道をたどるように歩いて行く。もうすでにまつりが始まってから二日が経過しているのだ。物凄い本(この場合は安値の掘出し物くらいの意味である)など残っているわけがない。そんな風に高を括って歩を進めるが、。それでも「ハーフノートブックス」「かぴぱら堂」「ハナメガネ商会」(2014/04/26参照)「にわとり文庫」(2009/07/25参照)の棚造りには、たちまち古本の血が沸騰してしまう。特ににわとりさんの古書だらけっぷりは凄まじいな…。だが、欲しい本はたくさん見つかるが、腕には一冊も抱え込まずに、そのまま次のゾーン次のゾーンと進んで行く…まぁ最後まで回ってから、懐と相談しつつ吟味しよう。そうダラリと決めたところで「九曜書房」(2009/03/26参照)の台に差し掛かる。雑本的な並びの中にギラッと光る古書やおかしな本が紛れ込む、発見の喜びを得る確率が高い棚造りが為されている。だが、値段はわりとちょい安〜ジャストのしっかり目…う〜むと迷いながら裏側に回ったところで、台に並ぶ背の中にセロハン袋に入った背文字のない本が目に留まる。ズボッと抜き出してみると、げぇ!押川春浪の明治本!しかも八千円!これは、高いが安いじゃないか!と矛盾した結論に頭脳を白熱させながら(つまり古本としては高いが春浪本としては安値なのである)、瞬時にこの本の虜となってしまう。…ほ、欲しい…この本の形でこの話を読み耽りたい…でも八千円か…高いなぁ…財布の中には六千円しかないなぁ…でも『世界怪奇譚』だもんなぁ…普通に春浪本と出会うことってないもんなぁ…と他のワゴンを見ながらも、頭の中はすでに春浪でいっぱい。そのまま夢遊病者のようにフラフラと会場を抜け出て、灼熱の太陽光が降り注ぐ『明治通』をメタンガスの匂いを嗅ぎながら移動して、銀行のATMでお金を下ろして回れ右。だがもしかしたら、この会場を離れた隙に、もう売れてしまっているのかもしれない。何せ生き馬の目を抜くような古本修羅界の厳しさだ。そうなっていたら、スッパリ諦めることにしよう。そう考えつつフラリフラリと会場に戻ると、本は元の状態でそのままワゴンに収まっていた。よし、買うぞ!と意を決して抜き出し、奥の特設レジで精算する。大學館「日歐競事 空中大飛行艇/押川春浪」を税込の8640円で購入する。…あぁ買ってしまった。これで家に春浪本がやって来ることになってしまった。こんな高い買物をするはずじゃなかったのに。それにしてもこの表紙絵の可愛らしさはどうだ。口絵の飛行艇のクラシックなガジェット感はワンダフル!はしがきでは、全世界空中小説中最高の面白さであると春浪が自画自賛!明治の活字に巻末の広告に目を凝らす楽しさ!やっぱり思い切って買ってよかった!というわけでこれもまた、どひゃっほうなのである。
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2017年07月06日

7/6そして十二人目の太宰が登場する

「江戸川乱歩の本名って知ってる」「…乱歩?」「太郎って言うの」「…じゃぁ、江戸川太郎?」「ギャハハハ、ちげーよ!」などと、登校中の女子高生が交わす奇跡の会話を耳にした後、一日を過ごす。…それにしても、期末試験で乱歩の問題でも出るのであろうか…。そして本日流れ着いたのは上連雀…おぉっ!偶然にも目の前に「book&cafe Phosphorescence」(2008/08/01参照)が現れたではないか。何か買うというよりも、今日は珍しく何かを飲みたい気分である。外の壁沿いに点在する安売箱たちを覗き込んだ後、小さな店内に入り古本の背を追いかけて一回り。相変わらず非売品の太宰初版本棚がスゴいことになっている。ぬ?その棚の新しい住人として、先日取り壊されてしまった(大分県に移築される予定)、太宰が一時下宿した天沼の『碧雲荘』の欠片が仲間入りしているではないか!茶色の蜂の巣型タイルが何とも可愛らしい…俺も拾いに行けば良かったなぁと、棚前で羨みながら後悔する。そしてその棚裏の小さな机席に腰を下ろし、せっかくなので『太宰ラテ』なる飲み物を注文する。いったいどの辺りに太宰要素が入っているのであろうか?もしや玉川上水の水を蒸留して……。そんな想像を巡らしながら、ちょっと薄暗い棚の裏に視線を据える。そこには、太宰に関わる新聞や雑誌の記事が多数貼り出されており、たくさんの太宰の肖像写真や似顔絵が視界に入り込んで来る。壁の写真や肖像画も合わせると、総勢十一人の太宰が、主に頬に手を当て憂い顔を晒しているのだ。そんな記事群を読みながら待つこと十分。「お待たせしました」とカップが机に置かれる。「なるほど、こういうことだったんですね」「ウフフ、そうなんです」…カップの中にはラテアートで描かれた太宰の瓜実顔が、フワフワと浮かんでいたのである。正面を向いた太宰の顔に意表を突かれ、しばしにらめっこするが、いつまでもそうしているわけにはいかないので、砂糖を入れてスルスルっと啜り込む。あっという間に十二人目の太宰はお腹の中へと流れ落ち、疲れた身体を労り癒し始めてくれた。椅子に深く沈み込み、夕方の三鷹の古本カフェの本棚の裏で、気持ちよく弛緩する。何だか、珍しく古本を買わずとも、幸せになってしまった…。
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7/5東京・西荻窪 MAROGE

すでに昨日のことである。正午過ぎに家から出て、テクテク歩いて「ささま書店」(2008/08/23参照)。岡本綺堂「半七捕物帳」をベースに、昭和三十年代の刑法や捜査方法を紹介する警察系の新書、万歴書房「刑訴捕物帖 第一巻」を105円で購入。その後は西荻漥「盛林堂書房」(2012/0106参照)で「フォニャルフ」に補充した後(現在面陳中の麻耶&風太郎は署名本!)、ホームズ研究家&作家の北原尚彦氏と店内で落ち合い、店主の小野氏とともに三人で都内某所某宅の蔵書整理に向かう。三時間ほどのハードワークを熱中症に気をつけながらこなし、午後六時に西荻窪に帰還。店頭箱の中から新建築社「新建築 創刊號」(大正十四年の住宅研究雑誌。写真や図面やモダンな広告が豊富で、武田五一の寄稿が!)この後は小野氏がお店を閉めた後に労働の打ち上げを行う予定なのだが、ひとりひとまずお店を離脱して、駅の北側へと足を向ける。

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駅北口から東寄りの『北銀座街』に入り、東側歩道を北進する。ちょこちょこ歩いて、歩道アーケードを抜けて、緩やかな坂道を下り始める。二本の脇道をやり過ごせば、居並ぶ二階家うちの黒い建物二階階段口に、ヒラヒラと微風にさえも翻る婦人服が飾られているのが目に留まる。立看板に近づくと『古着・雑貨・本』の文字があり、店長は猫である旨が書かれている。A級情報屋の「やまがら文庫」からタレコミのあったお店だが、完全に女子向けのお店ではないか…。怖気を震わせながら赤いカーペット敷きの階段を上がると、こちらに開くサッシ扉が待ち構えている。狭い踊り場で身を引きながら扉を開け、ジャズの流れる店内に踏み込む。そこは階下同様、たくさんのヒラヒラした柔らかな洋服たちが集まっている。だが幸いにも、入って直ぐ左に小さな古本棚を発見する。なので洋服には目もくれずに棚前に屈み込む。セレクト海外文学を中心に、カルチャーを混ぜ込んである模様。一冊文庫を掴んで奥に進むと、押入れの如きディスプレイ棚があり、8ミリ撮影機などとともに、映画・テレビ・ジャズの本が飾られている。本の冊数はそれほど多くなく、お洒落寄りの少数精鋭主義である。値段はちょい安〜ちょい高と様々。本を見ている間に、古着の隙間をかいくぐるようにして、奥の帳場のロングヘアーの女性から「いらっしゃいませ」と声を掛けられていたので、精算をするためにそちらへ進む。本を差し出すと、値段を確認した後「900円ですがいいんですか?」とこの値段で文庫を買う私を気遣う発言。「本は別の者がやっているので」と笑顔で理由を教えてくれる。というわけで、サンリオSF文庫「ナボコフの一ダース/ウラジミール・ナボコフ」を900円で購入する。猫が店長さんのためか(この時は姿は見えず)営業日と営業時間がかなり変則的なので、来店時は注意が必要である。
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2017年07月03日

7/3俺にとっては開かずの「えびな平和書房」

午後に思い立ち、湿った熱い空気を掻き分けて、鮎川哲也「黒いトランク」を頭を懸命にフル回転させて読書しながら神奈川県・海老名に向かい、バスで丘に上がってそして下る途中の、移転後の「えびな平和書房」を見に行く。だが「今日こそは!」と期待度満点でたどりついたお店は、店頭のワゴンや棚にブルーシートが掛かったままで、『本日の営業は終了しました』の看板が立ちっ放しの状態なのであった。…うぅ、俺はいつになったらこのお店に入れるのだろうか。もう四回は見に来ているはずだが、毎回見事なまでに袖にされているのだ。くそぅ、だがいつか開いている時に巡り会わせて、しっかりと古本を買ってやる!と、丘の上の住宅街に圧し掛かるような雲の多い青空に、遠吠えする。そして潔く丁度来たバスに乗り込み、たちまち馬鹿みたいに駅へと引き返す。小田急線上りに乗り込むが、悶々とした気持ちを鎮めるために町田駅で途中下車し、ビル一杯の古本屋さん「高原書店」(2009/05/03参照)に急行する。
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ほほぅ、今は100均本を50均でサービス中なのか。というわけで店頭小庭&店内の100均棚&ワゴンを集中的に漁り、ますます古本の山でカオス化が進む室内&店内に好意を抱きながら、講談社「透明な季節/梶龍雄」面白半分12月号臨時増刊号「さて、田村隆一」を計108円で購入する。再び電車に乗り込み、あっさりそのまま帰るつもりだったのが、シートの上で段々とまだ何か買いたい気持ちが膨れ上がってしまい、衝動的に下北沢駅で下車。「ほん吉」(2008/06/01参照に一直線に向かい店頭にむしゃぶりつく。
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やっぱり良い本が挿し込んであるなぁ。得に今日は左の300均本にそれが多い。ここはやはり古本を求める気持ちをちゃんと受け止めてくれる…そんな風に感じて喜び二冊を手にする。講学館 日本の子ども文庫1「たぬき学校/今井誉次郎」(カバーナシ。そうてい・さしえが安泰なので、動物的プリティーさが大爆発!)東京・大阪朝日新聞社 アサヒカメラ臨時増刊「人物寫眞術」(表紙に丸窓があるデザインで昭和十二年刊。木村伊兵衛・中山岩太・野島康三・岡本東洋・堀野正雄の写真も掲載され、それぞれの技術記事もアリ)を計600円で購入する。途中下車で古本を購い、空振りした気持ちをどうにか鎮めた、三時間余の小田急線行であった。
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2017年07月02日

7/2いつの間にやら「石本書店」

重苦しく暑苦しい空気の中、仙川の南西にある若葉町に流れ着く。ここは意外に高低差のある土地で、谷底には緑陰濃く涼しい『武者小路実篤公園』があったりする。近くには実篤の記念館もあり、その案内版がふと目に留まる。下部に『桐朋学園』前にある書籍と文具の『神代書店』の広告があるのだが、そこに実篤から書店に送られた識語が書かれているのだ。『雨が降った それもいいだろう 本がよめる』…なんだか七十年代CMのコピー的だが、今の時期にピッタリなので見事に胸に沁み入ってしまう。もしかしたら、この言葉が書皮に印刷されているのではないかと思い、記念に文庫でも一冊買って行こうとお店を探し当てるが、残念ながら定休日であった。当てが外れながらも、そのまま「文紀堂書店」(2015/03/31参照)に向かい、チャイルド本社 おはなしチャイルド26号「まいごのロボット/作・大石真 絵/北田卓史」を500円で購入する。そのまま西にスライドするようにして、いつの間にか全滅してしまった「ツヅキ堂書店グループ」(2016/11/11参照)の最後の生き残りとも言える、裏路地の元「ツヅキ堂書店 仙川店」(2009/08/20参照)である「石本書店」を訪ねる(何だか文章がややこしくてすみません…)。店名の入っていた黄色いテント看板を見上げると、何もかも旧店のままであるが、元の店名だけは黒テープで消されている。
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そして自動ドアにのみ「石本書店」の名が掲げられている。店頭に立っていると、すぐさま店主の石本氏に発見され、挨拶を交わしてポツポツお話しさせていただく。「それにしてもお店が賑わってるじゃないですか」と見たままの感想を伝えると「今日は選挙だからたまたまですよ。いつもは閑古鳥が…」などと返される。いやいや、これだけの人が、この分かり難い裏路地に入り込んでくるんだから、地元に充分認知されている証拠ですよ。そのまま店内を回遊し、最奥の良書が紛れ込む充実雑本棚を楽しむが、値段になかなか隙が見つからぬので、何を買うか決め切れない。しかし美術棚にてようやく国文社「ダダ論考/山中散生」(帯&崩壊寸前の元セロ付)を900円で発見したので、よっしゃっ!と購入する。

家に帰ってしばらく身体を休めた後に、日が暮れ切る前に都議選の投票へ向かう。
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2017年07月01日

7/1あっ!「BASARA BOOKS」が開いている!

雨に湿った街を彷徨い、吉祥寺の北に流れ着く。バスには乗らずに『吉祥寺通り』を南下して駅方面を懸命に目指す。途中「午睡舎」(2009/09/10参照)前を通りかかるが、案の定シャッターが下りている。午睡どころか、もはや冷凍冬眠の域に突入している…恐らくもう、開くことはないのかもしれない。そう言えば「百年」(2008/09/25参照)が、今度新しいお店を開くんだっけ。もしかしたらお店周りに何か新店の情報が出ているかも知れない!と向かってみるが、一階の立看板にも二階の店内にも情報はナシ。店主も不在なので為す術無く、ただただ若者で賑わう店内を楽しみ、ちょっと表紙が傷んだ小峰書店少年少女のための世界文学選(5)「鍛冶屋と悪魔/ゴーゴリ」を1080円で購入して退散する。このままL字を象るように、古本屋さんを訪ねて行くか。そう決めて駅南口へ切り込んで行くバス通りに曲がり込むと、小さな打ちっ放しコンクリビルの前に人の気配が漂っている…おっ!久々に「BASARA BOOKS」(2015/03/28参照)が開いてるじゃないか!感激しながら近寄ると、店頭も店内も相変わらず三角形で小規模ながら、「百年」に負けず劣らず若者で賑わっている、扉横には『店内で本を一冊でも買った方には、店頭の均一本を一冊プレゼント』なんて貼紙も。そんな五ヶ月ぶりの再会を喜び、熱心なカップル客に割り込むようにして、店頭の箱や棚を覗き込む。すると棚の上段で、浪速書房「好色党奮迅録 紅雲の巻 緑雨の巻/宮本幹也」の二冊を発見。中巻の「紫山の巻」が見当たらないのは残念だが、ちゃんと箱付き(広告には『上製函入』とあるが、完全にホチキス留めのボール紙である)元セロ付きである。買取本が山と積まれた帳場にて計200円で購入。ここで充分満足してしまったので、早く家に帰って昨日の続きとばかり、百年前の巴里にファントマの暗躍を見物しに行くことにする。
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※追伸
先日大阪の「梅田蔦屋書店」に補充分の古本を送付。近日中に古書コンシェルジェの手により、棚がジワッとリフレッシュする予定なので、お近くの方や大阪に立ち寄る予定のある方は、ぜひとも巨大駅ビル『ルクア イーレ』九階をお訪ね下さい!
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2017年06月30日

6/30幻賊!

午後、雨が薄くなり明るくなってきたのを見計らって、ダンボールに詰めた古本をカートで転がして外出。だが途中から、本降りではないが大粒の雨が落ち始め、茶色いダンボールに斑が浮かび上がるので、ンゴロンゴロとスピードアップして「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に駆け込む。増え過ぎた蔵書整理の一環として、古本販売や個人古本市ではあまり捌けないデザイン関連・アートブック・写真集を持ち込んだのである。天野氏が「こんな本も持ってるんですね〜」と何やら感慨深げに大型本を箱から取り出して行く。まぁ日頃の行いが行いなので『探偵小説狂い』と思われるのは仕方のないことであるが、残念ながらこの記事も後半は探偵小説絡みとなってしまうので、やはり根は『探偵小説狂い』なのであろう…。「まだ家にはドバドバこんなのが残っているので、色々諦めがついたらまた売りにきますよ」「では早く諦めて下さい」などと客と店主の会話を軽妙にに交わし、無事に交渉成立する。その後は中野に向かって野暮用をこなした後、当然の如く『中野ブロードウェイ』に潜入する。四階に至り、久々に開いているところに出会えた「ワタナベ古書」(2008/08/28参照)では角川文庫「ゲバラ日記/高橋正訳」を100円で購入。そして通路を曲がり込み、本命の「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)へ。またあの時の「ジゴマ」のように(2016/09/05&2016/09/07参照)、何か意外な面白い本が見つからないだろうか…そんな風にいつまでも十ヶ月前の甘い幻想に引き摺られながら、棚を上から下まで丹念に見つめて行く。すると一冊の日に焼けた、分厚く少し大きめな裸本が目に留まる。焼けた背の下方に「幻賊」とタイトルがあり、そのさらに下に『田中早苗譯』の文字がある。ビニールパッケージされた本を取り出すと、モダンな表紙の右上隅には小さく装幀者名の『SEIZI TOGO』の文字、裏表紙には同様な扱いで出版社名の『HAKUSUISHA』の文字が。本の状態や基本スペックが表示された紙には、本についての情報は『1931年』『カバー欠』『装幀:東郷青児』としか書かれていない。そしてその紙が、何か作品名や作家名が書かれている部分を、隠してしまっているのだ。…探偵小説だよな。田中早苗譯だもんな。…あれ?「幻賊」って、もしや「ファントマ」のこと?「ファントマ」と言えば久生十蘭の美麗過ぎる文語譯が名作であるが、田中早苗なら、これはもしかしたらノーマル口語訳の「ファントマ」ではないだろうか。そうすると1931年(昭和六年)だから、十蘭譯(昭和十二年)より前の作と言うことになるのか。まぁこのような時はレジに向かい、中身を確かめたい旨を伝えビニールから取り出して確認すれば良いのだが、私はいつの間にかこれは「ファントマ」だ!と妄信してしまっているので、そのまま買うことにする。三千円である。ブロードウェイから抜け出し、歩道で立ち止まってビニールから本を取り出し、ページを繰り始める。本文に目を凝らすと『幻賊』に『ファントマ』のルビが振られていた。やった「ファントマ」だ。カバー欠でもこれは嬉しい。それにしても白水社が探偵小説の訳本を出しているとは、ちょっと意外な印象である。

家に早く帰って早く読み始めようと決心し、早足で『早稲田通り』を阿佐ヶ谷へと向かう。途中高円寺で「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)に立ち寄り、ゆまに書房「暴露讀本/貴司山治」和楽屋「東京案内図」(昭和四十年代の大判東京地図。裏面には銀座・新宿・渋谷・池袋・上野・浅草の盛場案内図付き。もしや古本屋も載っていないか目を凝らしてみると、新宿盛場案内図に「鈴平書店」を発見!)出版社不明の明治時代の東京地図復刻版「明治卅八年三月改正 コンベナイント式 東京最新全圖」を計300円で購入する。そんな愉快で安値な買物をして家に帰り着き、荷物を放り出して「幻賊」を取り出す。さらにウキウキしながら、読み出す前に一枚の地図を目の前に広げておく。恐らく昭和初期に商社の『伴野商店』が、来仏する日本人のために配布していた地図『巴里 伴野商店小賣部』である。花の都・パリなど遥か未踏の地なので、当時の地図で物語を存分に補強して楽しむつもりなのである。それではいざ、百年前の巴里に『幻賊』の大活躍を見に行くことにしよう!
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2017年06月29日

6/29古本屋ツアー・イン・せんべろ古本ツアー 都電荒川線編

六月二十八日水曜日午前十一時三分前の、小雨の池袋である。東口の『明治通り』から一本東に入った通りにある、二十四時間営業の『鳥良商店』に傘を畳んで入り、店員さんに待ち合わせであることを告げる。店内を見回すまでもなく、奥の窓際席ですでに聞こし召している、とみさわ昭仁氏(特殊古書店「マニタ書房」(2012/10/27参照)店主&ライター)・柳下毅一郎氏(特殊翻訳家&映画評論家)・安田理央氏(ライター&アダルトメディア研究家)が視界に飛び込んで来た。
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近づき挨拶を交わすと、もう一杯目を飲み終わるところ…は、早い、時間通りに来たのに、何だか遅刻した気分である。「ウチらはこの時だけはちゃんと時間守るんだよね。しかも時間通りというか、もっと早い」ととみさわ氏。「やっぱり飲んで古本買いに行くとなるとね」と安田氏。そして柳下氏からは扇形に並べた名刺の中から一枚を引き抜くよう勧められる。真ん中辺りのを引き抜くと…『無』と墓碑銘が刻まれた墓の写真であった…何故!?「それは小津のお墓の写真です。すごくいいお墓なんですよ」…うぅ、何故なんだ…。そんな風にせんべろ古本トリオに迎え入れられ、こちらも追いつくためにグイグイビールを呷り始める。プッハァ〜!これは幸せだ。安い酒場でお酒を楽しみつつ、古本屋を巡り倒す『せんべろ古本ツアー』に参戦する夢が、ついに叶ったのである。午前十一時から飲酒など、非常識も甚だしいのだが、もはやトキメキはノンストップ!たくさん本を買ってしまいそうな予感がするので、どうにか財布の紐は固く締めて行こう。しかし古本トリオは、すでに二杯三杯とアルコールをたんまりと身体に補充し続けている。俺は、果たして旅の最後まで同行出来るのだろうか?楽しさ嬉しさに任せて杯を重ねれば、恐らくアルコールの過剰摂取で昏倒してしまうだろう…こちらもペース配分をしっかり考えて行かなければ…。今回のツアーは、都電荒川線沿線の古本屋さんを巡る計画で、その第一歩は正午開店の「古書往来座」(2009/01/09参照)となっている。古本を買うことより、まず飲むことからスタートするこの集まりの志しに共鳴しながら、古本屋の話はもちろんのこと、『長ネギ=南蛮』説や日本に於けるグラマーの歴史や『ナポリタン』の起源について熱く話していると、あっという間に正午となり、周囲はランチ客だらけとなっている。すでに『せんべろ』を逸脱している一人頭二千円を支払い、早速重くなり始めた腰を上げ「往来座」へと向かう。テクテク歩いて店前に着くが、あれ?開いてない。臙脂色のシャッターが冷たく下がっている…「ここは時間通りに開いてる、盤石の店のはずなのに」と一同驚愕しながら初っ端から途方に暮れる。
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とみさわ氏はシャッターに耳を当て「人の気配がするんで、もうすぐ開くのでは…」などと小さな希望を抱いているが、まだまだ先は長いので、諦めて次のお店に向かうことにする。後で乗るはずの都電荒川線線路を越え、雑司が谷に入り込んで行く。すると目に入ったのが開店している「旅猫雑貨店」(2008/07/19参照)であった。三人とも初見のようなので、ちゃんと古本も売っていることを説明すると、躊躇なく店内に吸い込まれてしまう。うむ、さすが古本トリオ。古本を求める情熱には、とことん忠実なのであるな。
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まだ壁際に並んでいた撤収寸前の「猫ノフルホン市」(2017/06/16参照)に食いつく三人を尻目に旅猫さんにご挨拶し、ここでは「レティシア書房」さんから、新建築社「光跡 モダニズムを開花させた建築家たち/池原義郎」を900円で購入する。とみさわ氏は古本以外にも、雑貨店の魅力に魅せられ和雑貨も一点購入していた。続いてそのまま商店街の先に進み、途中肉屋のプラ看板の恰好良いフォントに感激しながら「ジャングルブックス」(2010/08/20参照)。今日はユキさんもケンさんも不在の日らしい。アイヌの観光写真絵葉書「熊を柵内に入れんとす」を500円で購入する。都電荒川線方面に引き返しながら、お煎餅屋の工場直売店にフラリと入ったり、昭和な『雜二ストアー』に吸い込まれたり(柳下氏が「そうか、雑司が谷二丁目だから『雜二』なんだ!」と謎を解明するシーンもあり)、
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公園のトイレでスッキリした後に、ようやく鬼子母神駅から都電に乗車する。
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全員『一日乗車券』を購入しようとするが、運転席には一枚しかないというので、次の乗車時に買うことにして、全員で安田氏購入のおせんべい(ミックス)を摘みながら、車内ではそれぞれがそれぞれの場所で自由に過ごす(とみさわ氏は文庫を読み、安田氏はスマホを操作、柳下氏は軽く睡眠)。イレギュラーで『滝野川一丁目』で下車し、三人にはぜひとも体験していただきたかった「龍文堂書店」(2009年07月08日参照)へご案内する。営業しているかどうか不安だったが、ちゃんと店頭雨仕様で営業しているではないか!
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そして目論みはズバリ的中し、古本トリオ全員がお店の佇まいに感動した後、すぐさま店内に突入し、狭い通路を忙しなく行き来し始めたのである。このお店をこんなにも楽しむなんて、『古本トリオ』どころか『古本三銃士』と呼ばせて下さい!と思考を酔いに任せてスパークさせつつ、遅ればせながら店内に突入する。すでに安田氏が、エロ本&写真集のコーナーを縦に深く深く掘り下げている(この状態を後に柳下氏は「ゾーンに入った」と表現)。とみさわ氏は私が棚からつかみ出した黒木香の「フルーツ白書」を受け取ると「300円か…これは店に並べられるな」と抱え込む。ウハハハ、何だかとても楽しい、楽しいぞ!と私は函ナシの三陽堂出版部「麒麟/谷崎潤一郎」を300円で購入する。再び都電に乗り込み『一日乗車券』を買おうとするが、今度も一枚しかないと言う。なんだ、都電は各車両に一枚しか『一日乗車券』を常備してないのか?と疑問に思いつつ、取りあえずその一枚を私が購入し、三人は運転手の提案により、ICカードに『一日乗車券』のデータを書き込むことにする。これで全員が乗り降り自由となり、続いて王子駅で下車。開店時より本の増えた感のある「コ本ヤ」(2016/07/19参照)では学研昭和49年「中学一年コース新年特大号」第3付録「なぞのゆうれいイヌ/エラリー・クイーン(原作)福島正美(文)」を500円で購入する。
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対岸に渡りつつ「山遊堂 王子店」(2008/08/31参照)へ。リサイクル書店の皮を被った狼であるが、欲しい本は値付がわりとしっかりしていたので、早々に退散する。三人は一階二階と存分に楽しんだ模様。
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さて、ここら辺でアルコールも尽き、小腹も空いてきたので二軒目の飲み屋に入ろうとするが、とみさわ氏提案の「立ち飲みのおでん屋なんだけど」の発言に柳下氏&安田氏が「えっ!?」…実は微妙に疲れていたので、全員が腰を落ち着け足を休めたかったのである。なのでそんなお店を探し、王子の街をゾロゾロうろつくが、結局午後四時開店の大衆酒場「山田屋」で再び飲み始める。いやぁ、広くてメニューが安くて味があって、感激のお店である。
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みなそろそろチューハイや日本酒に流れて行くが、俺はそれをやったら即沈没しそうなので、グッと我慢してビール一辺倒で過ごすことにする。半熟卵・ハムカツ・ウィンナー・磯辺揚げ・生揚げなどを摘みながら、準完全密封弁当箱『フードマン』の話で大いに盛り上がる(とみさわ氏と安田氏が企画し、三つのゾーンに分かれたその新型弁当箱に、美味しいお酒のおつまみをびちっとセンス良く詰め込む大会を開いたとのこと。自分の持ち寄ったつまみコースには、「ジョジョの奇妙な冒険」のスタンド的な名を付けることが義務づけられたそうである。あぁ、この人たちは、仕事と遊びを絶妙にゴッチャにして、人生をとことん謳歌しているのだな…。そんな風に楽しく飲んでいたら、午後五時半に『梶原駅』の「梶原書店」(2008/08/31参照)。
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店頭100円棚で津軽書房「北津軽群東京村/三上寛」を発見して喜びながら店内に進むと、とみさわ氏が「スゴいの出てきた」とつぶやきつつ、うらやましい「ロールプレイングハンドブック」(パソコンRPGに至る前の、本やテーブルトークRPG時代の本!)を手にしているのを目撃する。私はさらに店内で萬葉堂書店「図説 陸前のオシラサマ/三崎一夫」を見つけて300円で購入。この後は一気に『三ノ輪駅』まで移動。車中、椅子に座っていない俺以外は全員夢の中に落ち込んでいた。短い束の間のリフレッシュ時間となる。降車するや否や、トイレに駆け込むオヤジたち…いや、だいぶ王子で飲んでいたんで、仕方ありません。「古書ミヤハシ」(2009/08/09参照)は、もはやレジに立っているのが、最近のコンビニ事情の如き中国人なのに面食らいながら、店内が異様に鉄道的に充実しているのに目を瞠る。
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ここではアムステルダムの街を紹介する洋書パンフレット「Starring Amsterdam」を300円で購入する。写真館のミニアーケードを抜けて、地元的書店ともはや生きた化石とも言える猫の寝転ぶCD屋に足を運ぶが収穫ナシ。都電で折り返して本日のツアー最後の目的地である『庚申塚駅』下車。すでに午後七時を過ぎているのだが、おぉ!予想に反して昭和遺産の「かすみ書店」がしっかりと営業しているではないか!夜の帳の中に浮かび上がる古本屋さん!その中に蠢く古本三銃士の惚れ惚れする勇姿!
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あぁ、この写真が間違いなく、本日のベストショットである。そして最後の最後に、都電駅のホームに直結した居酒屋「御代屋」で打ち上げ&総評を行う。
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いやぁ、本当にハードでやはりとことん酔っ払ってしまいましたが、楽しかったです。このツアーを別な視点から見た様子は、安田氏のブログ『ダリブロ』をご覧ください。
http://rioysd.hateblo.jp/entry/2017/06/29/160831
いやぁ、古本屋さんには、様々な楽しみ方があるものです。
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2017年06月28日

6/28十時間飲みながら古本を買った日

現在6/28の午後十一時十五分…大変に酔っ払っております。それは何故なら、本日午前中から、2012/4/29の「古本ゲリラ」以来憧れていた「せんべろ古本ツアー」に参加させていただいたからなのです!とみさわ昭仁氏+柳下毅一郎氏+安田理央氏が、酒場で安く飲み歩きながら、ついでに古本屋を巡り倒す、楽し過ぎるが意外に過酷でハードなツアー!おかげさまで、すっかり廃人のように酔っ払って酔っ払っててりらりてりらい…という感じで、もはやまともに文章を紡ぐことがままなりません。と言うわけで、詳しい報告は明日に回すことにして、三人と巡った証拠にこの写真を掲げておきます。
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この本は、1996年発行の柳下氏の訳書以外の初単行本、ぶんか社「世界殺人鬼百選/ガース柳下」。発売以来、私の心のバイブルの一冊であり、この本にお三方のサインをいただけるとは、果報者以外の何者でもありません。本日はこれを枕頭に置き、早々と就寝したいと思います。みなさま、おやすみなさい。

※6/29(木)の「日本経済新聞」『ひと』欄に、聞き書きモドキの私の記事が掲載予定。いつもの古本屋を巡る話ですが、ご興味ある方はどうか紙面をパラリパラリと繰ってみてください!
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2017年06月26日

6/26トークと幽靈

昨日は日中からの「盛林堂書房」(2012/01/06参照)内での完全に小判鮫的古本販売を経て、夜は『銀盛会館』にて岡崎武志氏とゲストに北原尚彦氏を迎え「中央線古本屋合算地図」のトークを行う。

古本販売は開店時間の午前十一時過ぎからほぼ同時にスタート。帳場右側の捕物帳&時代劇&ポケミス&SFに囲まれた小空間に、いつもの衣装ケースを台車上に載せ、吟味持参した古本を並べる。
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こうすると出入り+棚を見たいお客さんに、即座に対応出来るわけである。なので基本は奥に丸椅子を置き、なるべくスペースを取らぬよう、身動きして棚の本を擦らぬよう、行儀よく身を縮込ませているのだ。隣りには正式な帳場があり店主の小野氏が座っているので、今日の販売を知らぬ人にとっては、とても異様な光景であろう。私もちょっと低い視線で右側通路を通して曇り空の外界をボ〜ッと眺めていると、何か座敷童のようなお店の守り神にでもなったような、甚だしい勘違いに襲われる。
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最初の記念すべきお客さんは「風書房」さんで、裸本の海野十三「海底旅行」と大城のぼるの名作漫画「ロケットパンチスター」を購入していただく。その後は四時間で五冊ほどを売り上げ、最後は颯爽と現れた森英俊氏が、お店の春陽文庫チェックのため、目の前でたくさんの結束本と格闘し始め、途中からチェックの終わった結束本を、私の臨時販売台上に積み重ねたため、その重量に耐えられず台とケースが瓦解。丁度トークのセッティングに向かう時間にもなったので販売終了とする。お買い上げのみなさま、ありがとうございました!そして異様な店内対面古本販売を快く許可してくれた「盛林堂書房」にも大いなる感謝を!

そのまま何冊かの本を「フォニャルフ」棚に突っ込んで、「銀盛会館」に駆け付け、席やプロジェクターのセッティングを、トークを聴きにきてくれた南陀楼綾繁氏や編集さんとともに行う。参加者は無事に中央線の古本屋さんを愛して止まない二十二人が集まり、盛況となる。岡崎氏と本の成り立ちを話した後、スライドショー時に北原氏にも参加していただき、主に吉祥寺以西の古本屋さんについてお話していただく。さらに途中から筆者の一人でもある南陀楼氏にも飛び入り参加してもらい、ステージはなかなかレアな四人の並びとなる。後半は会場も参加し、「合算地図」の補填大会に突入。知らない古本屋さんが、出てくるわ出てくるわ!という状態になったので、楽しいのだが、作った方としては少し反省してしまう。いや、だが、これでいいのだ。ただ地図の瑕疵を気にするより、今日この場で、たくさんの情報が溢れたことの方が、大いに意義あることなのだ!そうポジティブシンキングして、新たな合算地図に変化して行く、地図コピーの束を握り締める。ちなみにこのトークの私の最大の収穫は、高円寺『庚申通り』の『早稲田通り』間際にあったお店が「@ワンダー」系の「まんが市」だと分かったことと、北原氏と話している過程で、吉祥寺『伊勢丹』向かいの雑居ビル二階にあった、ビデオと古本を売っていたお店を突然電光のように思い出したことである。いやぁ、人間って不思議なメカニズムを内包しているんだなぁ。ご来場のみなさま、本当にありがとうございました!

明けて本日は、午後六時前に吉祥寺の北側に流れ着いたので、そのまま駅方面に向かい、昨夜のトーク時に「完全に不定期営業になってしまった」との情報を得た「バサラブックス」(2015/03/28参照)前を通るが、案の定閉まっている。そのままバスが背後から迫る前に駅前に移動して「古本センター」(2017/03/06参照)に飛び込み、入口右側の古書棚から函ナシの「奇蹟の書-心霊不滅の実証-/岡田建文」を千円で購入する。昭和十一年刊の、心霊の不滅を証明するために国内と海外から採集した幽霊&幽霊現象話集。目次を見ているだけでゾクゾクしてしまうではないか!
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2017年06月24日

6/24街と一体化した古本屋さんと本屋さん。

今日は豪徳寺で外仕事をしており、どうにか解放されたのは午後六時前。「靖文堂書店」(2011/09/06参照)に行きたいのはやまやまだが、それではあまりにも能がないので、南下して世田谷の住宅街に分け入り、上町の「林書店 上町店」(2008/12/04参照)に至る。
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およそ九年前に訪れた時と変わらぬ佇まいで(世田谷ボロ市の出張店舗では毎年お世話になっているが(2011/12/16&2013/01/15参照)、店舗を訪れるのは本当に久しぶりである)アダルト&文庫&コミックを中心に、純粋に地元民のための街の古本屋さんとして、変わらず機能しているようだ。だがまだ六月なのに、この店内の蒸し暑さは異常である。まるでサウナに入ったかのような、日本の夏的不快さに懸命に耐えつつ、ちくま文庫「木村伊兵衛 昭和を写す 1 戦前と戦後」を400円で購入する。表に出て斜向いを眺めると、同じく古くから街に溶け込んでいる焼肉屋さん『双葉』があり、お店同様昭和的に古めかしい安値の食品サンプルが並ぶウィンドウに、目とともに空きっ腹と連結した舌が釘付けとなる…いつか入ってみるか…。
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さて、ではこの後は豪徳寺の「靖文堂書店」に…あぁ!もう午後六時を三分過ぎているので、入店を店主に厳しく止められるのが関の山である。おとなしく帰るとするか…、だが代わりと言っては何だが、みなさんは世田谷線『山下』駅前の小さな小さな『山下商店街』にある「暁星堂書房」をご存知であろうか?
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本当に小さな新刊書店なのだが、機能しているのはほぼ新刊雑誌を並べた店頭だけで、店内はいつも小さな佐々敦行風店主が表に立ちはだかっているために、ちょっと時の経った文庫やコミックや雑誌が放置されている中には、未だかつて一度も入れていないのである。今日は入れるかも…と思って店頭に立つが、やはり店主のプレッシャー厳しく、スゴスゴと尻尾を巻いて、武蔵野方面へ逃げ帰ることにする。
と言うわけで、いよいよ明日は西荻窪にて、古本販売とトークの日!みなさま、ぜひとも「盛林堂書房」(2012/01/06参照)での少数精鋭個人的古本販売と、夜のトークに照準を合わせ、恐らく空模様の怪しい西荻で楽しく元気にお会いいたしましょう!
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2017年06月23日

6/23パトロール中に発見とお願いをする。

午後三時過ぎに水道橋から遅めに神保町入りして、久々の本の街をパトロール。初っ端の「丸沼書店」(2009/12/17参照)では名著刊行會「天使/須永朝彦」の署名入り本を見つけたので(いっぱいあるんだろうが…)千円でまずは購入。続いて「日本書房」(2011/08/24参照)で、講談社世界名作童話「ふしぎなたから/久米元一」扶桑堂涙香譯縮刷叢書「捨小舟/ミツス・ブラツドン原著 黒岩涙香譯」(箱ナシ)を計800円で購入し、今日は何だか好調で財布の紐も緩みがちだぞ!と感じつつ、蒸し暑い通りを勇ましく前進して、いつの間にやら「アムール」(2011/08/12参照)前。すでにすっかり荒らされた態の棚を、立ち読み人の背越しに懸命にチェックして行く。すると、入口左側棚の下から三段目真ん中辺に、違和を感じる古く緑っぽい文庫が目に留まる。手を伸ばして掴み取ってみると、あぁ!これは2017/05/31に「ブックサーカス トツカーナ店」(2012/12/02参照)で見つけた、謎の文庫サイズ本と同シリーズじゃないか!しかもあの時買った「百万兩の秘密」の作者と同じ人だ…これはもしかしたら、この人の文庫全集として出されていたのだろうか…いや、そんなばかな…。何だか謎は深まるばかりだが、思わぬお店での謎文庫発見に、大きな大きな満足を得る。大日本雄辯會講談社「復活/白雲齊樂山編著」國家地方警察本部「教材 救急法」(昭和二十四年の長野県の巡査が元の持ち主。猛勉強の書き込みアリ)を計100円で購入する。
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「アムール」前で記念撮影。貸本のため悪夢のよう掠れてにじんだ「百万兩の秘密」と違い、恩地孝四郎の装幀と色合いがハッキリと美しく残っている。「復活」は文豪トルストイの「復活」を、舞台をロシアのまま登場人物をすべて日本人に置き換えた講談物語。なので長編の原作小説とは裏腹に、話が超絶スピードで展開して行きます…。予想するにこの文庫サイズシリーズは、明治〜大正期に出していた講談本を、書籍不足の戦後すぐに、文庫化して発売していたものではないだろうか。

『白山通り』を歩いただけで、とても良い買物が出来てしまったので、そのまま対岸に渡り「マニタ書房」(2012/10/27参照)への鉄板階段を上がる。忙しそうな店主・とみさわ氏と挨拶を交わし、店内をじっくり一巡。東京創元社イエローブックス「死のリフレイン/ジャン・マイケルズ」啓正社文庫「明治の炎 『警察手眼』の世界/武藤誠」を計900円で購入した後、とみさわ氏にあるお願いごとをする。すると即座に快諾してくれたので、ホッと胸を撫で下ろす。今はまだ詳しいことは話せぬが、来週がとても楽しみである。
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2017年06月22日

6/22風は頁をめくるが読むことはできない

本日は上井草近辺に流れ着くが、疲弊が酷いので駅前のガンダム像に軽く会釈だけして、倒れ込むように阿佐ヶ谷駅に次ぎ、自宅最寄り駅でもある鷺ノ宮駅へ向かう。…だが、どこかで古本エネルギーを補充して行かなければ、禁断症状を引き起こしてしまう…そうなったら向かうべきお店はひとつ。妙正寺川沿いの「うつぎ書房」(2008/08/06参照)である。すっかりコンクリで護岸されているので、風情はゼロに等しいが、それでも川面を吹き抜ける風は、涼しく爽やかである。
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お店のシンボルでもある迷言『風は頁をめくるが読むことはできない』が刻まれたプラ製日除けを潜って、薄暗い店内に身を落ち着かせる。文庫とコミックとエロ関連以外は、すっかり時の停まった店内である。奥の生活空間では、壁にもたれてオヤジさんがすっかり寛いでいる。主に時の停まった部分を注視して左側通路にも久々に入り込み、西荻書店学習科学文庫(8)「地下の資源/竹田修」を200円で購入する。謎の西荻書店の本が、また我が手に落ちた!徐々に集まり始めた(とは言っても三冊目だが)のは、コンプリートを示唆する宿命なのか!?その真意は古本の神のみぞ知る!買った本の貼付けられた奥付紙は、裏を見ると検印紙の再利用なのである…昭和二十八年に、すでに色々苦しかったのだろうか、西荻書店…。
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ちなみに日曜のトークですが、第二部の古本屋の思い出を参加者で語るコーナーは、有志の発言になりますので、語るつもりがなくとも、思い出がなくとも、参加することに何の問題もありません。とにかくともに、新たな中央線古本屋史作成の目撃者になっていただければ!引き続きみなさまのご参加を、心よりお待ちしております!

「中央線古本屋合算地図」刊行記念イベント
『オカタケ・古ツア中央線の古本屋を語る』
■開催日:2017年6月25日(日)
■出演:岡崎武志、小山力也(古本屋ツアー・イン・ジャパン)、北原尚彦(ホームズ研究家&作家)
■開場:17時
■開演:17時30分(19時30分終了予定)
■定員:25名
■参加費:1,000円
■場所:西荻窪・銀盛会館 JR西荻窪駅南口徒歩5分 杉並区西荻南2-18-4
※参加費は当日会場受付にてお支払いいただきます。
■予約受付→http://seirindousyobou.cart.fc2.com/ca13/318/p-r-s/
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2017年06月21日

6/21雨中の補充と六周年

酷い雨風の中、わざわというわけでもないのだが、古本を抱えて西荻窪に向かう。水滴が乱れ舞う車窓には、店頭均一棚を完全に店内に引き込んだ「ささま書店」(2008/08/23参照)の姿が一瞬流れる。そして「盛林堂書房」(2012/01/06参照)の雨除けカーテンも、バタバタバタンと大暴れ中。その隙間に身体を滑り込ませて「フォニャルフ」に補充する。そして今週日曜に「中央線古本屋合算地図」のトークイベントが迫っているわけだが、当日はトーク前の時間を「盛林堂書房」にて『古本屋ツアー・イン・ジャパン』として、店内特別古本販売をすることが決定!店内の一部を借り受け、お店とお客さんの邪魔にならぬよう、持参した古本をレジとは別精算で直接販売!お店の開店から午後四時くらいまで、少数精鋭古本を携え、小商いさせていただきますので、みなさまぜひとも冷やかしに西荻窪までおいで下さい。ついでに販売時間中は「フォニャルフ」棚の古本を一割引といたします(こちらはレジ精算)。さらには夜のトークも(6/24に宝島SUGOI文庫「シャーロック・ホームズ 秘宝の研究」を発売される北原尚彦氏も、溢れる中央線古本屋の思い出を迸らせて登壇予定!)引き続きまだまだ参加者募集中ですので、まとめてよろしくお願いいたします。

「中央線古本屋合算地図」刊行記念イベント
『オカタケ・古ツア中央線の古本屋を語る』
■開催日:2017年6月25日(日)
■出演:岡崎武志、小山力也(古本屋ツアー・イン・ジャパン)
■開場:17時
■開演:17時30分(19時30分終了予定)
■定員:25名
■参加費:1,000円
■場所:西荻窪・銀盛会館 JR西荻窪駅南口徒歩5分 杉並区西荻南2-18-4
※参加費は当日会場受付にてお支払いいただきます。
■予約受付→http://seirindousyobou.cart.fc2.com/ca13/318/p-r-s/

雨風に激しく嬲られているカーテンの隙間から雨中にエイヤと飛び出し、阿佐ヶ谷に舞い戻る。そしてびしょ濡れになりながら「古書 コンコ堂」(2011/06/20参照)へ。記念すべき開店六周年である昨日は、残念ながら定休日。なので一日遅れで記念グッズに期待しながらの、雨中来店となったわけである。ウィンドウに貼り出されていた六周年記念グッズは、帳場のあるお店右半分をイラストにした手拭である。
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力の抜けたような青い線で描かれたパノラマ的に広がる店内には、良く見ると店主の家族が紛れ込んでいるようだ。それにしても、節目節目にこのようなグッズを律儀に作成するのは、感心すべき事柄である。古本を二千円以上買うと入手出来るので、買う気満々で店内へ進み、ウキウキしながら古本を吟味する。…一冊で二千円とするか、数冊で二千円とするか…購入候補本を店内のあちこちに見出しながら、右側通路棚手前の旅&地理系の棚に差し掛かる。そこで一冊の大判グラフ誌を発見。引き出してみると、背はちょっと傷んでいるが、昭和十三年刊の満州の写真集で、値段がちょうど2060円なのである。これ安過ぎだろ!と軽く興奮しつつページを繰ると、『芦屋カメラクラブ』のハナヤ勘兵衛が写した一枚があるのを発見。これを買って手拭をいただくことを心に決める。朝日新聞社「カメラ風景 新満洲 關西學生冩眞聯盟渡満作品集」双葉社「帰ってきた怪獣魂」を計2163円で購入する。開店六周年おめでとうございます。
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2017年06月20日

6/20東京・つつじヶ丘 むうぷ舎新川リサイクルショップ

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本日は三鷹と京王線つつじヶ丘駅の中間辺りにある、中原という所に流れ着く。両方の駅からはだいぶ離れているが、なんだか団地の多い地帯である。家に戻るには…『新川団地』から吉祥寺にバスで向かうのがベストか…そう確信して『新川5丁目交差点』から北東に歩を進め、団地中央のバス停を目指す。そういうことなら、今日は吉祥寺の古本屋さんを巡り倒して行くべきか…そんなあやふやなプランを立てながら下り坂に足を掛けようとした瞬間、右手の福祉系施設に違和を敏感に感じ取る。建物の右側にリサイクルショップが併設されているのだが、見え難いガラス戸の向こうに、古本が並んでいる気がする!と、矢も楯もたまらず飛び込んでしまう。静かな飾り気の無いお店で、右壁には食器類が多く並び、真ん中には古着などの衣料品類、左壁には雑貨類が置かれているのだが、左壁上段二列分に麗しの古本が二列分並んでいるのを無事発見!おぉ、俺の古本的野生の勘は、やはり正しかったのだ!そんな風に盛大に喜んでしまうが、並んでいる古本はそれほど多くはない、日本の景色&旅関連の箱入本が二十冊ほど。それにハードカバーが十冊前後に、文庫本が二十冊くらいの、ささやかな布陣なのである。だがそんなことはどうでも良い!小さくとも偶然古本販売に出会えた感激はとにかくひとしおで、ハードカバー100円文庫本50円の激安値付けにも感心してしまう。ちょっとだけ吟味して、岩波文庫「ロボット(R.U.R.)/チャペック」公益信託佐倉町づくり文化振興基金「椿咲く丘の町-島尾敏雄『死の棘』と佐倉-/高比良直美」(序文は島尾ミホ)を計100円で購入する。

そんな突然の古本販売と出くわした幸せを噛み締めながら、バスに揺られて吉祥寺駅着。せっかくなので「古本センター」(2017/03/06参照)にも飛び込むと、創元推理文庫アルセーヌ・リュパン・シリーズ「水晶の栓/モーリス・ルブラン」(3版)の紺背バージョンが棚に挿されているのを見出し、100円だったので喜んで購入させていただく。濃紺で見難いことこの上ない猫マーク(分類はスリラー&サスペンス)がたまりません!
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2017年06月19日

6/19仕事部屋の軍艦に挑む!

午前中に新宿まで買物に出る。目的の物を手に入れてすぐに中央線で踵を返すが、一駅越して荻窪で下車し、明るい初夏の空の下の「ささま書店」(2008/08/23参照)店頭に紛れ込む。日本情報センター「安くてうまい店 飲みある記/泉欣七郎・五十嵐一平」JICC出版局「映画宝島 発進準備イチかバチか!号」(もう何度読んだか分からないが、何度読んでも面白い!執筆陣の多量さと多彩さと、彼らが吐き出す玉石混淆の、ある意味見捨てられて来た映画情報の魅力が満載!)を計210円で購入して、途中で焼き団子&海苔団子を買いつつ歩いて家に帰り着く。

仕事に一段落を着けた後、意を決して仕事部屋の真ん中に偉そうに大きく鎮座する、古本と元新刊で出来た“軍艦”の切り崩しに取りかかる。およそ二十五本(一本が百冊弱〜五十冊くらいで出来ている。だから軍艦全体でおよそ千五百冊強…)ほどの本のタワーが、自立しつつも結局は微妙にお互いを支え合い、軍艦のような巨体を安定して保っているのだ。二月に開催した「人間としての住居を取り戻すための「古本屋ツアー・イン・ジャパンの大放出古本市」2DAYS!」の準備のために、手前の文庫部分はだいぶ切り崩すことに成功したのだが(2017/02/27参照)、右の奥側は重なり過ぎて深過ぎるのに絶望し、ついには手を出せなかったのである。今日はある一冊の本を求めて気合いを入れて掘り進むのだが、果たして見つかるかどうか…。まずは外側を囲う文庫タワーを低くして行く…とは言っても部屋の空きスペースは少ないので(もちろん古本に占領されているからだ)、小分けにして通路的に細く空いている床や、机と椅子とスキャナーの上、はたまた別の山の本の上にうまく移動させて積上げて行く。掘り進んでも他の部分が崩れぬよう、なるべく平面に軍艦を低下させて行くことを心がけて作業。膝上くらいで安定したところで、今度は奥に向かって手を伸ばし、手前から順に本を掴み取り、縦に三列分の文庫ゾーンもようやくクリア。右手をスチールキャビネットの角に掛けて身をグッと不安定に乗り出し、さらに奥の単行本&大型本ゾーンを掘削し始める。
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(発掘中の写真。周囲のタワーを崩さぬよう、奥を掘り進めている最中である)
体制がツラく、左手だけで重い本を掴み取るのは難儀だが、二冊三冊単位で慎重に作業を続ける。いつの間にか周囲には圧迫感のある本の壁が立ち上がってしまっている…お、恐ろしい。本がこんなにたくさん…。ほどなくして底の方で目的の本を無事に発見するが、その時にはもうこの作業…と言うか懐かしい本や覚えのない本が見つかるのが面白くて、さらに奥まで掘り進むことを決意する。ハァハァドサドサと、大量の本を狭い部屋の中で移動させる苦行…だが楽しい。そして幸せである。結果様々な本が見つかるが、亀鳴屋の「稚児殺し/倉田啓明」ホンマタカシの今見てもあり得ない物質感過剰な写真集「TOKYO SUBURBIA」柴田敏雄の写真集「日本典型」大伴昌司のマガジンカラーグラビアを集めた「復刻少年マガジンカラー大図解」が特に嬉しい再発見の発掘本であった。ちなみにこれらはみな発刊当時に新刊で購入したものである。よって家の中で熟成され、古本化が進んだと言えようか。そんなもはやズレてしまった労働の成果を眺めてニヤニヤウフウフするが、心の底まではまだ楽しめない状況…何故なら視界には、チラチラと大量の本が見えている。部屋のあちこちに移動させた本たちは、当然軍艦に戻さなければならないのだ…さぁ、あきらめてもうひとがんばりしてみるか…。そして疲れ果てた一時間後。ちょとだけ低くなって形を変えた“軍艦”は、また偉そうに部屋の真ん中で、ドッシリ停泊中なのである。
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2017年06月18日

6/18本日「みちくさ市」開催!

曇り空ですが、どうやら昼の間は天気が保ちそうです。というわけで雑司が谷での「みちくさ市」開催です。たくさん古本持って行きますので、どうぞお誘い合わせの上、古本を買いにお越しください!急遽今朝方、フリーペーパー『古本屋への道すがら』を作製しましたので、ドバドバ配布いたします。それでは後ほどお会いいたしましょう。あ、「盛林堂」さんでの店内販売、今日は残念でしたがいつかやりたいと考えております…。

というわけで重過ぎる古本をエッチラオッチラ担いで引き摺り、午前十時半過ぎの雑司が谷へ。市の一番端っこで開店準備を進めていると、最初に現れたのは古本中学生ケンタロウ君であった。挨拶を交わすや否や、彼が敬愛する森英俊氏と同じように、貪欲に古本のチェックを進めて行く。そしてようやく開店準備が終り、椅子に腰を下ろした瞬間「座ったら開店ということですかね?」と確認した後、気になった古本を掻き集めて買い上げたのであった。…末恐ろしい…もはや古本的大人物であるが、大人になったらもっとスゴいことになる、大器である…。
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空模様は最初から怪しく、明るくなったり暗くなったり暑くなったり涼しくなったりを繰り返す、不安定な展開を見せている。だが、そこから順調に古本は売れて行った。お客さんも午後の雨を警戒してか、早い時間から出張り、古本を買っているようである。急遽作製したフリペ目当てのお客さんもいて、大変喜ばしい次第。古本が売れるとともに、様々な情報も入手する。未知の古本屋の情報は言わずもがなだが、以前「ささま書店」(2008/08/23参照)で入手した河出書房市民文庫「心理試験/江戸川乱歩」(学生サーヴィス版カバー装。2016/11/21参照))は、河出書房が潰れた後に流出したゾッキ本として、神社などの即売会で販売されていたものであることを、常連さんに教えられる。う〜む、勉強になるなぁ。ライター&アダルトメディア研究家の安田理央氏とも「古本ゲリラ」(2012/04/29&11/10&11参照)以来の出会いを果たし、色々お話しさせていただく。そんな風に楽しくわりと忙しく過ごし、「中央線古本屋合算地図」も三冊が売れる。だが午後二時前になると、いよいよ空模様は我慢の限界で、ポツリポツリ雨が落ち始めてしまう。慌てて主催者が万が一の時に用意していた、斜向いの屋根付きスペースにドタバタ引越しをする。
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移って十分ほど経つと、次第に雨も強くなり客足もパタッと途絶えてしまったので、午後三時には諦めて撤収作業に入る。だがその一瞬に、パパッとすっかり寂しくなってしまった会場を回り、「暢気文庫」で外国マッチを元にした手作りキーホルダーを400円で、さらに「幻想博物館」で講談社「小鷹信光・ミステリー読本」を千円で購入し、「モロ古書店」では亞細亞社「明治還魂紙/笹川臨風」を800円で購入。そんな風に今回の参戦を締めくくり、結果としては、スタートダッシュが快調で計56冊を売り上げることに成功する。お買い上げのみなさま、足を留めてくれたみなさま、そしてわめぞスタッフのみなさま、梅雨の楽しい一日をありがとうございました。いそいそと古本をまとめると、これがやはり重たい!売れ残った重さと、それを引き摺る哀しみを携えながら、電車を乗り継いでエッチラオッチラ帰宅する。
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2017年06月16日

6/16「猫のフルホン市」と本の準備

午前中にひとつ取材を受け、そのまま外出。日曜の釣り銭の準備などを終わらせ、焦りながら雑司が谷方面へ向かう。一箱系の猛者である駄々猫舎さんが主催する“猫”の文字が屋号に入っているお店を集めた、「第肆回 猫のフルホン市」を見にいかなければならないのだ。一ヶ月ほど前、確か不忍一箱の時だと思うが、路上で駄々猫さんとバッタリ出会い、「「猫のフルホン市」(2014/04/11参照)またやるから、絶対来てね。早めに来てね」と恫か…いや、お願いされていたのである。だが市が始まったのは10日…もう六日も過ぎてしまっている!と焦りながら、ギラリと光る駄々猫さんの目と爪を脳裏に閃かせて雑司が谷着。日曜もまたここに来るはずなのだが…などと考えながらごちゃっとした人間サイズの街に分け入り、会場である「旅猫雑貨店」(2008/07/19参照)に到着する。奥の帳場に立つメガネが換わったと思しき旅猫さんに挨拶をして、入口右横から右壁に並ぶ、ドラ猫たちの古本響宴を眺める。様々な柄の猫たちが、それぞれの古本の並びで、猫なで声を上げたり、爪で引っ掻いたり、ゴロゴロすり寄って来たり、恋鳴きしたり、シャーッと威嚇したり、居眠りしたり、ゴハンを食べたり、グルーミングしたり、猫パンチしたり、毛玉が舞うほど猫キックしたりと、まぁ十一店がとにかく千差万別なのである。全体を俯瞰すると、真面目な本から不真面目な本まで振れ幅が大きいので、猫の目のような変化があるとも言えよう。私は「猫企画」の棚から、ベースボール・マガジン社「フォーク・ヒーロー モハメド・アリ/バッド・シュルバーグ」(線引きあり。そして『フォーク・ヒーロー』って何だ?と戸惑っていたら、どうやら『民衆の英雄』という意味らしい)を500円で購入する。おっ、「旅猫雑貨店」のショップカードが、いつの間にか騙し絵トランク風の素敵なものになっている!と喜び手にして、『弦巻通り』を風のように吹き抜けて帰る。市は25日(日)まで開催されている。
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家に帰り着いて仕事を片付けた後、日曜の準備に取りかかる。すでに選別した本をチェック&軽くクリーニング。そしてさらにキモになるべき本を何冊か、改めて家の中から探し集める。というわけで、日曜の「みちくさ市」をみなさま何とぞよろしくお願いいたします。首を殊更長くしてお待ちしております。
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だが今現在、日曜の天気にちょっと不穏な動きが見られるのが、とても心配である。万が一、万が一雨天中止なんてことになれば、準備した古本がもったいないので、その時は西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)内で厚かましくしめやかに古本を販売予定。場所は帳場右横の時代劇&SF棚前。もちろん棚を見たいお客さんが現れれば、邪魔をせぬよう速やかに場所を空けるつもりであります。ついでなので雨の日サービスということで、店内「古本ナイアガラ」の「フォニャルフ」棚の本も、一割引で販売いたします。さぁ、みちくさ市か店内独り販売か、その行く末は神のみぞ知る!日曜当日朝八時の発表にご注目あれ!頼む、お願いだから雨よ、降らないでおくれ!

■第37回 鬼子母神通り みちくさ市
■2017年6月18日(日)11:00〜16:00
■雑司が谷・鬼子母神通り 東京都豊島区雑司が谷2丁目・鬼子母神通り周辺 東京メトロ副都心線・雑司が谷駅1番出口または3番出口すぐ
■お問合わせ michikusaichi●gmail.com(●をアットマークに変えて送信してください) みちくさ市本部 携帯電話:090−8720−4241
http://kmstreet.exblog.jp/
■雨天中止(当日8:00に天候による開催の有無を決定します)
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2017年06月15日

6/15東京・新小金井 古本・雑貨 尾花屋

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本日は武蔵境と三鷹の間にある巨大な『境浄水場』近くに流れ着く。『中島飛行機 武蔵製作所社』の工場引込み線跡が、遊歩道として残っているのか…などと感心していたが、武蔵境が近いのを幸いとして、今日もあの新しい古本屋さんを目指すことにする。今日こそは、開いていてくれ!そう激しく祈りながら、『境浄水場』をクリアして玉川上水を渡り、トコトコ歩き続けて駅に着き、西武多摩川線に無事乗り込む。住宅の間を走り抜ける単線は、二分ほどで次の駅に到着する。ホームから下りて突端の踏切前に立ち、乗って来た電車が通り過ぎるのを待って、遮断機の上がった踏切を渡る。改札を抜けると、小さな可愛らしい駅前である。ちょっと歩いて徐に振り返ると、そこにはさらに可愛らしい駅舎が建っている。まるで映画『パンダコパンダ』に出て来る郊外の駅ではないか!東京にこんなプリティーな風景がひっそりと存在していることに小さく拍手し、西へ向かって歩き始める。すぐに『新小金井西口商店会』のゲートが出迎えてくれるが、そこには入らずに一本南の杭が林立した道に進む。するとそこは鄙びた小さな商店街で、多数の電灯のカバーを広告として利用する電器屋に虚を突かれながら西に進んで行くと、おぉ!右手中華屋さんと薬屋さんの間に、古本屋さんが堂々誕生していた。スクエアな日除けには店名とともにシンボル化された尾花(ススキ)が描かれている。その下右には三本の100均単行本棚(「暮しの手帖」など雑誌もあり)があり、左には絵本棚が置かれている。単行本は硬めだが良い感じ…おっ、宝石社の仁木悦子が!と幸先の良いファーストコンタクトを果たし店内へ進む。小さめだが余裕のある空間作りが為されており、シックである。そして誰もいない…。右壁は古着から始まり、下には洋書ファッション雑誌とファッション関連が固まっている。その奥には木製のガラス戸付きキャビネットが三本続き、中を覗き込むとどうやら貸し棚らしい(下記のコメントにある通り、ここは“貸し棚”ではなく厳然たるお店の棚で、紙に書かれているのは買取先の情報とのことである。古本の元の持ち主のプロファイルが見られる棚!斬新である)。名刺大の紙に出店者の職業と年齢や情報やメッセージが記されている。現在は十二人が出品しており、吉本隆明・鳥類・ゴルフ・囲碁・共産主義・歴史・宗教・スタジオジブリ関連などが収まっている。フロア中央には棚とテーブルで島が造られており、文学復刻本・ごはん&料理とともに、店内同様シックな雑貨類が飾られている。左壁には大きな棚が連続して張り付き、絵本・洋書絵本・食・美術・美術図録・グラビアムック類・200均文庫&新書を並べている。奥には難解の極みである埴谷雄高棚もあり。そして正面奥に帳場があり、いつの間にか奥から姿を現した、何だか“冬”と言ったイメージの青年店主が立っている。本の数はそれほど多くはないのだが、これはこれですでに完成されたような、不思議なスタイルのお店である。そしてもう何年もこの場所にあるかのように、いきなり街に溶け込み始めている。値段は安め。みすず書房「鬼道/眞殿皎」(丹羽文雄への謹呈署名入り)宝石社「刺のある樹/仁木悦子」を購入する。精算時に、帳場前に古い電話機(受話器と送話器が別れているやつ)が取付けられているのにようやく気付く。ここにも名刺大の説明書きがあるので読んでみると、お店に人がいないときは、これを使って呼び出すことになっているらしい。つまりはインターホンなのであるが、いつか必ず使ってみたいほど魅力的な代物である。お店の外に出ると、自転車で通りかかった母娘が「ほら、古本屋さんできたんだ」と話し、斜向いの豆腐屋さんの女将さんも「100円の本があんなに…」と話題にしている。開店おめでとうございます!
posted by tokusan at 20:39| Comment(2) | TrackBack(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月14日

6/14見事な空振りだったので「獄門台の屋敷」を熟読してしまう

朝から日曜の「みちくさ市」と大阪へ送る補充古本の準備に勤しむ。午後に外出して直接西荻窪入りし、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)で「フォニャルフ」棚に補充する。本棚探偵の「ひとたな文庫」が相変わらず探偵小説的に凄まじい並びを見せているので、無意識のうちに大枚をはたいてしまいそうになるが、今回はググッと我慢して新刊の湘南探偵倶楽部叢書臨増版「怪奇小説 獄門台の屋敷/橘外男・作 伊勢田邦彦・え」を2100円で購入する。
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「おもしろブック」に連載された全十二回の残虐化け猫大活躍小説復刻本である。四回分が『懸賞付き怪奇小説』となっているが、そのうちのひとつの穴埋め問題の答えが『いぬの五郎は、芹沢博士にばけたばけねこにころされた』っていうのが酷過ぎる!などと悶えつつ、色々打ち合わせし、日曜に配布する予定の「中央線古本屋合算地図」トークイベントちらしを受け取る。まだまだ参加者募集中ですので、どうか心に秘する思い出の古本屋を携えてお集まり下さい。6/25(日)はぜひとも古本屋話に熱く火をつけまくりましょう!

「中央線古本屋合算地図」刊行記念イベント
『オカタケ・古ツア中央線の古本屋を語る』
■開催日:2017年6月25日(日)
■出演:岡崎武志、小山力也(古本屋ツアー・イン・ジャパン)
■開場:17時
■開演:17時30分(19時30分終了予定)
■定員:25名
■参加費:1,000円
■場所:西荻窪・銀盛会館 JR西荻窪駅南口徒歩5分 杉並区西荻南2-18-4
※参加費は当日会場受付にてお支払いいただきます。
■予約受付→http://seirindousyobou.cart.fc2.com/ca13/318/p-r-s/

お店から離脱し、中央線から西武多摩川線と乗り継ぎ、ついに昨日開店したという新しい古本屋さんに勇躍向かう。小さな駅前の鄙びた商店街にそのお店は…あぁ!し、閉まってる!肩を落としながら近づくとシャッターには貼紙があり、哀し過ぎる『本日休業』のお知らせが…タイミングが悪かったか…いや、これはこの先に楽しみがずれ込んだだけなんだ…全く持って、焦らすのが巧みなお店だぜ…そんな風に明るく変態的に思考を展開させ、つい先日来たばかりの東小金井駅へ。ホームに上がり、丁度滑り込んで来た高尾行きの電車を見た途端、衝動的にちょっと遠くに行きたくなってしまう。即座に西を目指す車両に乗り込み、後は一心不乱に買ったばかりの「獄門台の屋敷」を読み耽る。物語もスカッと残酷に進んで行くが、伊勢田邦彦の絵に本当にゾッとしてしまうほどの迫力があり、当時これを読んだ子供たちの暗い夜を、本気で心配してしまう。すると車窓に黒々とした山塊が近づき、三十分ほどで高尾駅着。跨線橋から改札を抜け、『高尾名店街』に入り込み、通路の奥を曲がって久々の「文雅堂書店」(2009/11/18参照)前に立つ。…うわぁ!定休日だ!古いアコーディオンシャッターの向こうに、剥き出しで本が見えているが、触れることも買うことも出来ないなんて…。
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だが哀しいはずなのに、ショッピングセンター内でシャッターが閉まっていると、即座に映画『ゾンビ』を連想してしまう、愚かな自分がそこにいた。脳がそんな風に仕上がっているので、もはや仕方のないことなのである。まぁ残念なお休みの光景で、そんなことを少しでも思えたのなら、来た甲斐があるというものじゃないか…。またもや思考をアクロバチックに幸福寄りにして、すぐさま中央線の人となり、気になっていた「獄門台の屋敷」の続きを、中央特快のスピードに同調して高速で読み進める。空振りしたおかげで、クレージーな怪奇小説の世界にどっぷり浸りながら、夕方の阿佐ヶ谷着。私はただただ、この小説を読むためだけに電車に乗っていたかのようだった。楽しかったが、心に沈殿してしまった空振りの空虚さを埋めるために「ゆたか。書房」(2008/10/19参照)に立ち寄り、青弓社「電子的迷宮 電子テクノロジーの神話学/志賀隆生」を500円で購入する。羽良多平吉の造本設計が尖った一冊で、ウィリアム・ギブスン、P・K・ディック、「2001年宇宙の旅」、「トロン」、「ブレードランナー」などを引き出しにした、電子テクノロジー+SF論である。
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写真はビルの間から差し込む夕陽を受けるお店の看板である…美しい。
posted by tokusan at 19:42| Comment(4) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする