2020年01月01日

1/1ムズムズ古本を買いに行く。

昨晩は予告通りに、大晦日に賭けで購った「血耶肉耶」を読みながら過ごす。その賭けは、勝ちか負けかと問えば、一気に午後十時には読了してしまったので、まぁ読みやすかったとは言え、勝ちの部類に入ると言えよう。露西亜を舞台に、ロマノフ王朝を倒そうとする“虚無黨”(別名・赤心臓倶楽部)の、破壊活動・暗殺・破獄・間諜戦・警察との闘いを、大仰な冒険小説的筆致で描いた娯楽作品であった。しかし、こんなものを読んで年を越すのか…などと言うまともな思いも頭の隅にあり、逃げるようにテレビのリモコンに手を伸ばす。ところが分かってはいたのだが、何処に回してみても、長尺の目出度気な年越し番組ばかりである。結局たどりついたのは、CSでやっていた名作アニメ映画『ルパン三世 カリオストロの城』。冒頭の強盗シーンが始まったところだったが、何度も何度も観ているのに、その素晴らしい神業と面白さとある種の恥ずかしさに一瞬で心を絡め取られ、結局最後まで観続けてしまう…阿呆か、俺は。そう言えば最後のシーンで出て来る銭形のセリフ『あなたの心です』は、故・吾妻ひでおが漫画内の不条理ギャグに取り込んでいて、最高に面白かった。名台詞ではあるが、『ルパン三世』を子供っぽい作品に変質させてしまった罪でもあることを、敏感に感じ取っている、嗜虐的な笑いなのである。TVアニメ『新ルパン三世』をファンタジックで荒唐無稽なナンセンスコメディにしてしまった大和屋竺の罪も大きいが、その後のルパンの在り方(もはや泥棒ではなく正義の味方)を決定付けてしまった宮崎駿の罪もまた大きい。だが、その二つの“罪”が、『ルパン三世』を長生きさせ、国民的なアニメに成長させたのは、紛れもない事実である。“罪”などと書いてしまうのは、私が『旧ルパン三世』原理主義者だからなのだが、だがそれでも、『カリオストロの城』には、無条件降伏してしまうような面白さと素晴らしさが、見事に封じ込められているのだ…などと観る度に考えてしまう。映画終了後、NHK Eテレの『2355-0655年越しSP』に滑り込むと、そのまさに年を越えようと言う部分で、東京の夜景を空撮しながら、名作アニメ映画『AKIRA』の名曲“KANEDA”を流す演出に、シビビビと痺れてしまう…阿呆か、俺は。夜中、近所の鷺ノ宮八幡宮に初詣に行く。

本日は午前七時前に起床し、ベランダからかろうじて初日の出を拝む。午前十時を過ぎた辺りで、早速ムズムズと古本が買いたくなって来てしまったので、素早く身支度をし、静かな外に出て、あそこならこの時間でももう開いているだろうと、『早稲田通り』を伝って高円寺に向かう。突然切られてしまい、無惨な切り口を晒しているプラタナス並木を悲しく眺めながら歩き続け、『庚申通り』に進入する。「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)は、四日は午後四時からの営業で、五日から通常営業か。そしてその先の「DORAMA高円寺庚申通り店」へ。看板の電飾がビカビカと輝き、やはりすでに営業を開始している。ここの店頭安売ワゴンは、結構質の良い本を並べることが多いので、最近注目しているのである。工作舎「形の文化誌[5]形を遊ぶ」講談社文庫「にっぽんほら話/和田誠」を計220円で購入する。「にっぽんほら話」は、和田誠が作ったショートストーリーに、当代人気のイラストレーターたちが挿絵を提供しているカタチ。こういう本は、再刊する時、許諾を得るのが結構大変になることが多い。と、このように“古本初め”を目論見通りに済ませ、トボトボと帰宅する。本年もよろしくお願いいたします!
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2019年12月31日

12/31大晦日は賭けで買った古本を読み耽ろう!

いつの間にやら大晦日である。古本屋と古本に塗れた二〇一九年が、もはや暮れようとしている…。午前のうちに大掛かりな風呂掃除などを済ませ、すっかり体力を使い果たしてしまう。だが、早めのオヤツを食べて気力を取り戻した後、部屋内から古本を掻き集めて外出。とても暖かで穏やかな陽気である。向かった先は西荻窪で、もちろん足を向けるのは「盛林堂書房」(2012/01/06参照)である。まずは店頭棚を眺め、朝日新聞社「バンビ・ブック 鉄道・自動車なんでも号」六月社「ヨーロッパ三等旅行/戸塚文子」を掴み出すと、店内から店主・小野氏が姿を現し、ニコニコと来年早々の盛林堂・イレギュラーズの活動を依頼される。一も二もなく承知し、店内へ進み「フォニャルフ」棚に補充する。裸本の「白蝋の鬼/高木彬光」や「僕らのラジオ/佐野昌一」など並べてありますので、年明けにでも冷やかしていただければ幸いであります。先ほどの二冊を200円で購入しながら、「アメージング・ストーリーズ1」(2019/12/11参照)のカバーコピーを受け取ったり、イレギュラーズ&デザインの打ち合わせや、今年を高速で振り返る思い出話などをひとしきり。いつの間にか外では風が強くなり始めている。恐らく気温も下がり始めているのだろう。そしてここ盛林堂が、今年の古本屋さん納めとなるのだ。均一だけではなく、何かちゃんと買って行こうと氏に相談すると、本郷書院「鬼哭神 血耶肉耶/内藤昌樹」という明治の小型本を差し出される。押川春浪が序を記した、世界探検家の露西亜を舞台とした政治暗闘冒険小説らしい…「面白いかどうか分からないけど、まぁこういう本は、ある種の賭けだよね」と小野氏。面白い!いただきましょう!その賭けに勝つか負けるか、大晦日はこれを読み耽り、早速決着を着けることにしよう!と、この手の本としては格安の二千円で購入する。
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当ブログをお読みの皆さま、今年も色々お世話になりました。また来年も古本屋さんに赴き古本を駆使し、毎日を遊び渡って行きますので、引き続きご愛顧のほどよろしくお願いいたします。それではよいお年を!
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2019年12月30日

12/30店猫は年末年始も店の中。

午後にフラフラと動き出し、珍しくバスで中野に乗り込んで、『中野ブロードウェイ』四階の「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)へ。東京創元社「本格一筋六十年 想い出の鮎川哲也/山前譲編」を1100円で購入すると、情報ラベルの備考欄に『書店ラベル貼付』の文字あり。新井薬師前駅から西武新宿線に乗り込んで本を取り出してみると、最終ページ右上隅に貼付けられたのは、見覚えのある、お馴染み「盛林堂書房」(2012/01/06参照)のラベルであった…。そのまま高田馬場に出て、まずは坂を下って「ブックオフ高田馬場北店」(2012/11/15参照)へ。奥の古書棚を入念に見回すと、龜鳴屋「したむきな人々 近代小説の落伍者たち」が860円から330円に値下げされているのを発見したので、迷うことなく購入する。その後は谷を越え丘を越え、「古書現世」(2009/04/04参照)へ。今年最後の挨拶をするつもりだったのだが、何とシャッターが下りてしまっている…ガ〜ン。もう閉めてしまったのだろうか…と途方に暮れながら歩き始めると、自転車で現れた店主・向井氏に行き合う。偶々郵便局に行っていたとのこと。「会えて良かったぁ〜」とシャッター上げ、招き入れてもらう。岩波文庫「竹久夢二画集/石井桂子編」を500円で購入しつつ、今年を振り返ったり、本の雑誌スッキリ隊について話したり、高田馬場駅前の変貌と新刊書店の行方について憂えたりしていると、いつものように店猫・コトがニャオニャオ鳴き始め、姿を見せてくれた。普段は店奥の事務所ゾーンだけで移動を完結するのだが、珍しく店舗側通路にもスタスタと進み出てくれた。あぁ、すげぇ可愛い!だが上半身を出しただけで素早く向井氏の脇に陣取り、気持ちよさそうに撫でられている気配のみが、こちらに微かに伝わって来るのであった。コトは年末年始もお店の中で過ごすとのこと(エサやトイレの世話を向井氏とお母様が折りを見てしに来るのである)。まさに店猫!
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バックヤード移動するコトを素早く激写。

とここで、夜用にハイボールを買っていたことを思い出し、バッグから取り出し向井氏に差し入れる。どうせもう誰もお店には来ないだろうと、二人でプシュッと開缶して、飲みながら先ほどの話しの続きに打ち興じる。…あぁ、古本屋さんでお酒が楽しく飲めるなんて、なんて幸せな年の瀬なんだ。「古書現世」よ、今年も色々ありがとう!と感謝しながら、古本に囲まれて顔を赤くし、ゲハゲハと楽しく笑う。そして心に一つの誓いを立てる。よし、来年はあの古本を、買いに来ることとしよう。
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2019年12月29日

12/29今日も古本と戯れる。

昨晩は昼間に持込買取をお願いしていた「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に赴き、買取金を受け取りつつ店主・天野氏と少しお話し。昼間も買取で、営業終了後も夜間買取が一件入っているとのこと。大忙しである。「銀行がもう閉まっているのに、お金が…」と笑いながら一抹の不安を感じているよう。29日の2019年の最終営業日を、何とか乗り切るんだコンコ堂!今年も一年古本を介して大変お世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。

本日は、今年特にお世話になった感のある三鷹「りんてん舎」(2019/03/30参照)が、今年の営業最終日なので、挨拶に行くことにする…とは言っても、ただ古本を買うだけなのであるが…。昨日より少し暖かであることを感じ、ふいに反射して襲いかかって来る冬の陽を眩しく思いながら、スパッとお店に到着する。腰を少し落とし、両膝に両掌を添えながら、店頭木箱を覗き込む。まずは浪漫「東光毒舌経 おれも浮世がいやになったよ/今東光」を取り出し、続いて入口横の均一棚を座り込んで眺めながら鹿島出版会「インテリア・ウォッチング/押野見邦英」を。最後にいつもはあまり見ない、離れ小島のような入口ステップした大判本木箱も覗き込む。すると、みすず書房「現代美術5 エルンスト」が妙に気になったので、取り出しページを開いてみる。
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フフフフフ、やはり滝口修造がテキストを担当しているじゃないか。朝から「books moblo」(2019/06/30参照)で最後に買ったアトリエ社「ダリ/瀧口修造」を読んでいたのが功を奏したのだろうか。古本屋さんで偶然に読んでいた古本と何かがつながる感じは、嬉しくたまらないものがあるな。勝手に大いなる運命みたいなものを感じてしまうのだ。そんな大仰なことを考えながら、店内で他にも欲しい本を多数見つけるが、ひとまずぐっと我慢して計330円で購入する。また来年も買いに来ますので、引き続きよろしくお願いいたします。その後はトコトコ歩いて吉祥寺に出て「バサラブックス」(2015/03/18参照)。店内文庫棚で安めの600円のサンリオSF文庫「枯草熱/スタニスワフ・レム」を見つけたので、迷わず購入する。いよいよ年が押し迫っていますが、こんな風にまだまだ、古本と戯れているのです。
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2019年12月28日

12/28来年早々「九十九本目の生娘」が放映される!

昨晩、『日本映画専門チャンネル』で、樹下太郎原作のモノクロ映画「散歩する霊柩車」を観る。ミステリーと言うよりは、被害者と加害者がクルクル入れ替わる、巧妙でアンモラルなサスペンス・スリラー映画であった。不安を煽るための、小刻みに揺れたり斜めになったりするカメラワークが、過剰で最高。西村晃がベッドの上で格闘したり、やたらとポンと飛び込んだりする、奇妙でプリティなベッド・アクション。渥美清の震えるほどの名演。西村晃が自ら作曲し歌う、奇怪な主題歌。ヒチコック的演出も多分に登場し、一時間四十分をたっぷりと楽しむ。ふぅ〜っと堪能のため息をつき、未知の世界を垣間見られた幸福感にどっぷり浸っていると、次回のこの時間の予告が始まる。そこで思わず「うぎゃ〜っ」と叫び声を上げてしまった。次回の放映予定は、新東宝カルト映画の名作『九十九本目の生娘』だと言うのである。あの観ようとも観られない珍作が、ついに久方ぶりに日の目を浴びる時が訪れたのだ!原作は大河内常平の「九十九本の妖刀」である。その昔『大井武蔵野館』で観た時に、その素っ頓狂なストーリーとセリフに、館内は何度爆笑の渦に包まれたことか!うひひひひ、これは来年一月の放映が物凄く楽しみでしょうがない!
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これは櫂書房「甦る名優たち 戦後映画史 新東宝編」に載ってる『九十九本目の生娘』の紹介ページ。主演は一応若かりし頃の菅原文太なのである。

そして本日は早朝から仕事に一つ取りかかる。胸に温めていたイメージを素早く形にし、メールで先方に送るとたちまちOKが。年を跨ぐと思っていた仕事が、あっという間に片付きスッキリ。というわけで、午前九時半に家を出て、高円寺「西部古書会館」の「好書会」を覗く。たくさんの人が押し寄せている。みな買い納めに来たのだろうか。入口で久しぶりに会う「古書 赤いドリル」さんと挨拶を交わす。お元気そうで何よりである。押し合いへし合う通路をジリジリ進みながら古本の背を懸命に追って行く。その過程で、「なごみ堂」さん(2010/02/12参照。すでに面白そうな本がカゴいっぱいに!)やミステリ研究家・松坂健さんらとお会いし、挨拶を交わす。鹿島出版会「アジアの都市と建築/加藤祐三編」新潮社「イカロスの墜落/パブロ・ピカソ 岡本太郎訳」博文館「歐米漫遊雑記/鎌田榮吉」を計450円で購入する。この市は明日29日まで。午後は突然来たタレコミを基に連載の取材に出かける。なかなか素敵な本が手に入ったので、ウホウホと喜ぶ。
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2019年12月27日

12/27昭和十四年と三十四年の古書目録。

昨日はまたもや国分寺の端に流れ着いたので、ブラブラ歩いて「古本 雲波」(2017/02/03参照)へ。ところがお店はシャッターが下ろされ、そこには一枚の貼紙が。
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冬休みか…まるで冬眠みたいだな。来年改めて訪れることにしよう。というわけで脇道をス〜ッと抜けて「七七舎」(2019/05/06参照)へ。早川書房「ペイパーバックの本棚から/小鷹信光」を100円で購入する。ペイパーバックの歴史や概要と言った話ばかりではなく、学生時代から古本屋を回り、安値で買い集める楽しさや苦労や、そこで出会う人たちの話などが載っていて、古本屋好きにとっても興味深い一冊である。そして西荻窪で下車して、トコトコ『青梅街道』を伝う。『八丁交差点』近くの本屋さん「Title」では、第四回目の「2階の古本市」(2016/12/27参照)が開かれているのだ。狭い急階段をギチギチ上がると、平日午後なのに多くのお客さんが、狭い空間で譲り合い、時に独占しながら犇めいている。本のセレクトは回を増す事に女子度も増し、より先鋭化している感じである。その中で、「一角文庫」さんが田中小実昌をドバドバッと並べているのが大変見物である。筑摩書房「未来生活風景/ジョルジュ・デュアメル」福音館書店「年少版こどものとも いろいろないぬ/石井桃子」を計550円で購入する。市は2020年1/7まで。夜、水谷準の「瓢庵先生捕物帖」を読み進めていると、“北原案件”(シャーロック・ホームズに関するイラストや小説などの二次創作物のこと。イラストは、ディアストーカー・インバネス・天眼鏡・パイプなどを基本ラインとして判定される)っぽい一編が載っていたので、ホームズ研究家の北原尚彦氏に注進しておくことにする…果たして判定は?

そして本日は午前九時半に家を出て、まだ早朝の部類の神保町へ。今年最後のパトロールと洒落込んだわけであるが、御茶ノ水駅からアプローチして「三茶書房」(2010/10/26参照)の店頭ワゴンにへばりつくと、左から二番目の300均ワゴンに、文学全集のパンフレットがまとめられていた。丁寧に薄手のリーフレットを繰って行くと、風変わりな二冊を発見する。昭和十四年の渋谷「玄誠堂書店」の目録「玄誠堂新蒐書目 明治大正詩歌俳書文學絶版特殊本」と、昭和三十四年の上落合「文学堂書店」(2016/01/27参照)の目録「明治大正昭和文学書及各雜誌目録」である。
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喜び勇んで計600円で購入し、お店のオヤジさんに包装紙で丁寧に梱包していただく。「玄誠堂新蒐書目」の表紙には、『澁谷區道玄坂』の文字がある。この時代は、宮益坂の上ではなく、道玄坂にあったのか。戦火をどうにか潜り抜け生き抜き、戦後に宮益坂に移ったのだろうか。それにしても昭和十四年と言ったら、軍靴の音がダッカンダッカン響き、のっぴきならぬ状況。あぁそれなのに、稀少詩歌書の売り買いがされていたなんて。啄木の献呈宛名入りの「あこがれ」が二十円!そして「明治大正昭和文学書及各雜誌目録」に目を落とすと、「文学堂書店」がどのようなお店だったのか、ようやく輪郭が朧げに見えて来た。しっかりした、文学稀少古書も扱うお店だったのか。作家五十音順に丁寧に並ぶ、本棚のような文字列を追いかけて行くと、見慣れぬ本がたくさん含まれている。ソログーブ「小悪魔」とか「捧腹絶倒 富村邸のクリスマス」、「家庭小説 小さなハート」、「全世界探検 爆裂艦隊」…「ヴェニスの商人」が「人肉質入裁判」という身も蓋もないタイトルに。明治の探偵小説も多数掲載。「ですぺら」はカバーなのか…。そんなものを見ていたら無性に古書が買いたくなって来たので、再び表に飛び出し、風の強さに逆らって逆らって、保谷の「アカシヤ書店」(2008/12/17参照)へ。店内に引き込まれた均一棚に蟹歩きで接しながら、文寿堂「未明童話 赤い魚と子供そのほか」青磁社「舊詩帖/ポオル・ヴアレリイ」実業之世界社「縮刷解説 宇宙/三宅雄二郎著 青柳有美解説」を計330円で購入する。「宇宙」は明治時代の全知識と思考を駆使し、この世界を解明して行く壮大な書。思考は他の星の生物(つまり宇宙人や宇宙生物!)にも及び、さらに地球の“超人”や他星の“超人”にまで飛躍して行く。くぅ、刺激的。
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2019年12月25日

12/25柳原良平と真鍋博。

朝から上がらぬ低い気温にブルブル震えながら、正午前に吉祥寺に流れ着く。暖をとる前に、まずは古本だ。そう決めて「よみた屋」(2014/08/29参照)の店頭棚とにらめっこする。そして隙間から引き出した二冊…小学館 昭和47年「幼稚園12月号ふろく ちえあそびブック」文化出版局「たこのオクト/エブリン西に・ショー文 ラルフ・カーペンティア絵」を計220円で購入する。そこからツラツラ歩いて、井の頭線と中央総武線高架下を潜って「一日」(2017/08/11参照)へ。安売ガレージに並んだ本を眺めて行くと、柳原良平装幀装画本が相変わらず幅を利かせているが、そこに何だか真鍋博装幀装画本が多く混ざり始めている…恐らく同じ人の蔵書だったのだろうが、徹底的に執拗に、二人のイラストレーターが関わった本を蒐集する情熱に、思わず感心してしまう。柳原良平本からは、以前は見かけなかった白陵社「休婚旅行世界一周/芦沢倶子」(帯文も柳原良平で挿絵もたくさん入っている!)を選ぶ。真鍋博は何を買おうかな…東都ミステリー「隠密社員」…ハヤカワポケSF「東海道戦争」…ウホッ!あかね書房 少年少女世界推理文学全集NO.20《アシモフ》《ベリヤーエフ》「暗黒星雲 生きている首/福島正美訳」なんてのがあるじゃないか!第15刷だが、それほど傷んではおらず、箱もちゃ〜んとある。よし、これだ、これしかない!と二冊を計660円で購入する。帰り着いた阿佐ヶ谷では、「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)の店頭棚を眺めつつ、店内で本束を移動させている店主・天野氏と挨拶を交わす。子ども文庫の会 母親文庫「ウォルト・ディズニーの功罪/F・C・セイヤーズ」「ジェニー・ミラーさまあての木 トマスとモンスター」の二冊を購入する。文庫サイズ中綴じの30ページほどの本。「ウォルト・ディズニーの功罪」は、ディズニーを偉大な教育者として讃えるのではなく、「子どもの伝承文学の卑俗化と創作作品の不運な改ざん」した責任を問う骨太な一冊。元は岩波書店の雑誌「世界」に掲載された記事らしい。
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最近の「一日」ガレージのヒットは、目を瞠るものがある。自分にメリー・クリスマス!
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2019年12月24日

12/24打ち合わせに照準を合わせて古本を買う。

昨日は国分寺に流れ着いたので、「七七舎」(2019/05/06参照)に立ち寄り、店頭棚から風発行所「現代俳句新書1 金子兜太句集」を100円で購入する。スルッと阿佐ヶ谷に帰り着いたら、「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)の店頭でも二冊。中央公論社「悪魔のいる天国/星新一」講談社文庫「こころの風景/藤城清治」を計220円で購入する。「悪魔のいる天国」は初版で帯付き。帯の表4自社広告を見ると、都筑道夫「やぶにらみの時計」が同時期に発売されていたことが分かる。装幀はともに真鍋博である。
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そして本日は正午過ぎに出かけようとしているところに、電話連絡が入ったので、午後三時の駅頭での打ち合わせに照準を合わせて行動スケジュールを変更する。まずはブラブラ歩いて都立家政に向かい、「ブックマート都立家政店」へ。店頭のモニターでは、ライブで熱く演奏された「ブックマート都立家政店」(2011/12/13参照)の歌がループで流されている…。店頭棚で古書を二冊掴み、帳場にグングン進み寄ると、テンチョーさんが「おっ、久しぶりです」と声をかけてくれた。白水社「商船テナシチー 赤毛(戯曲にんじん)/山田珠樹譯」「にんじん/ジュウル/ルナアル」を計200円で購入し、都立家政という街で、このような古書を売る難しさについて、ひとしきり話し込む。続いて高円寺に下っていると、大和町の鄙びて間延びした商店街で、元クリーニング屋の店内に古本棚が並んでいるのを目撃する。…お店として営業しているわけではなさそうだ。倉庫か通販ネット店と言うことか…などと興味津々に眺めてしまう。『早稲田通り』を越えて「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)へ。講談社「時の過ぎゆくままに/小泉喜美子」を100円で購入し、ここでようやく打ち合わせ場所の阿佐ヶ谷へと向かう。駅まで下り、高架に沿ってトコトコトコトコ。途中、死滅した『阿佐ヶ谷アニメストリート』はもはや工事中で封鎖されてしまっているので、高架から離脱して脇の道を進む。あっ「穂高書房」(2019/09/17参照)…まだ店内には本がぎっしりと残されたまま。行く末が気になるところである。そして駅頭にて打ち合わせ。あの幻の作家の三冊目か…気合い入れて制作に励みます!と約束し、家へと戻る。…あぁこの文章、クリスマス感がゼロだな……。
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2019年12月22日

12/22埼玉・武蔵藤沢 逍遥館

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うすら寒い日曜日。雨が降り始める前にと、正午過ぎに家を出る。西武新宿線の鷺ノ宮駅から西武新宿線→西武池袋線と乗り継いで、狭山丘陵の武蔵藤沢駅で下車する。本来は入間市駅から南に行くのが一番近いのだが、路線はぐるっと稲荷山を囲むように進んで行くので、二駅手前のここで降りても、目的地への距離はそれほど変わらないはずだ。駅西口に出て、北にロータリーを抜け出し、『国道463号』に合流する。『藤沢交差点』を通過し、北西にズンズン進んで行く。二車線の街道的国道は、頻繁に車が行き交い、エキゾーストノイズの派手な車が多く混ざり込んでいる。道はやがて緩やかな坂となるが、道なりにさらにグングン進んで行く。すると左手には「茶々文庫」(2009/04/21参照)…今日はシャッターを下ろししまっている…残念。坂を上がり切って丘の上に出ると、入間の街が近付いて来るせいか、ロードサイド店が建ち並ぶようになって来る。およそ1.5キロも歩いただろうか。ようやく左手に『JOHNSON TOWN』を書かれた群青の看板が出現した。近付き入り込んでみると、そこはすでに平屋の白い下見板張りの米軍ハウスが風情たっぷりに並び建つ、アメリカの郊外住宅地の街並であった。おぉぅ、これは素敵だ。元はアメリカ進駐軍向けの住宅街であったが、米軍が去った後もアメリカンライフスタイルを保つ街として愛され、住まわれ、基地の名にちなみ『JOHNSON TOWN』と名付けられたとのこと。街のワンブロックほどの土地に、およそ120のハウスが並んでいるが、昔ながらの家に、新しくハウスを模して建てられた家が上手く溶け込んでいる。ハウスとハウスの間の緑の多い小道を、心躍らせ眺めながら、『PALM st.』で奥の方に入り込んで行く。カフェやレストランやアメリカ雑貨屋が多いが、普通に住宅として使われているところもある。奥の『JOHNSON Ave.』に行き着くと、右手に入口周りに本棚を置いたお店が早速目に飛び込んで来た。昨日開店したばかりの、出来立てホヤホヤの古本屋さんである。ロケーションも建物も素晴らしいな。お店が入るハウスは新しめなので、恐らく『平成ハウス』なのだろう。そんなことを考えながら、ドア両脇の棚に接近する。一冊200円三冊500円の安売ゾーンである。絵本・CD・音楽・映画…詩集と宮沢賢治が充実している。一冊抜き取り中へ進むと、目の前に現れるのは二階への木の階段である。…外から見たら平屋に見えるが、二階があるんだな。その階段を境にして、お店は右と左に分かれている。左の部屋は壁をぐるっと本棚が覆い尽くし、岩波文庫・ちくま文庫・ちくま学芸文庫・講談社学術文庫・講談社文芸文庫・海外文学・詩集・音楽(ジャズ・ロック・フォーク)映画・カルト漫画・食などがズラッと美しく収まっている。非常に理知的で端正である。真ん中には中公文庫・ちくま文庫・絵本を並べた棚が一本。右の部屋に移ると、階段脇に帳場があり、長髪のフォークロックミュージシャン風青年が座っている。壁際は本棚で、右奥に本棚が向かい合わせの行き止まり通路が一本延びている。ここには、民俗学・自然・生物・自然科学(地学が目立つ!)・建築・クラシック音楽・美術・精神科学・心理学・宗教・ヨガ・占い・武術・歴史・江戸・伝統芸能が集まり、さらに確固たる知性の輝きを放っている。まさか米軍ハウス的建物の中に、これほどの知識が堆積されているとは!値段は普通。二冊の本を帳場に差し出しながら、二階の踊り場にも本棚が見えているので「二階もお店なんですか?」と聞くと、「いえ、二階は住んでいるんですよ」とにこやかに教えていただく。うひゃっ、失礼しました。花神社「北條/石原吉郎」竹内書店「ダダ宣言/トリスタンツァラ」を購入する。開店祝として小さな塩羊羹をいただいたので、それを早速食べながら、アメリカみたいな街の中を闊歩する。開店おめでとうございます!
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2019年12月21日

12/21「たのしい木彫」!

唐突に冬らしさを取り戻した、薄暗い曇天の下、馴染みある荻窪に流れ着く。ならば馴染みある「ささま書店」(2018/08/20参照)に土曜日だが行ってしまおうと、ブラブラ歩を進める。正午半過ぎだが、店頭に古本修羅の影はない…土曜日なのに珍しいな。筑摩書房「スロー・ラーナー/T・ピンチョン」を抜き出してから、右側手前の新書棚上部の大判本ゾーンに瞳を凝らす。ぬぬぉっ!グラフ社 手芸文庫2「たのしい木彫/安野光雅」が、澄まし顔で混ざっているじゃあないか。
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その昔、何処かの古本屋さんで見かけ、気になったので手に取ってみると、予想外の高値が付けられていたので、ため息をつき、そっと棚に戻した覚えのある本である。あれから幾星霜…ついに、ついに「ささま」の店頭で出会うことになったか。そんな風に感慨を深くしながら、もう離すまじと、しっかり胸に抱え込む。1965年刊の、安野光雅が、絵本にレイアウトに八面六臂の活躍をしていた頃、その器用さをさらに発揮し出版した、作例がクオリティ高過ぎ個性溢れる、素人にはとても追いつけない木彫入門本である。おつまみ入れ・宝石箱・椅子&テーブル・ウィスキーケース・コースター・アクセサリー・レコードケース・額縁・お盆・マガジンラック・ブックケース・蔵書票・マッチ箱・モビールなどなど…こんなのおいそれと作れるわけがないじゃないか!表札が、表札が格好良過ぎる!
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などと店頭で独り小さくはしゃぎながら、先述の本とともに計220円で購入する。木彫本の後見返しには、神保町「ブックブラザー源喜堂」(2009/08/11参照)の古書店ラベルが…もしかして昔この本を見かけた本屋さんは、「源喜堂」かもしれない…何だか俄然そんな気がして来たぞ…と都合良く、ドラマティックな古本との再会をロマンティックに妄想してしまう。巻末の手芸文庫広告に目をやると、「オブジェ人形/合田佐和子」というのがあることを初めて知る。うひゃぁ、こんな凄い本もあるのか。いつか何処かの古本屋さんで、お目にかかりたいものだ…。そして午後一時をいつの間にか過ぎていたので、もう開いているだろうと「竹陽書房」(2008/08/23参照)へ。有文社「ブリキのオモチャ/熊谷信夫」集英社「モグラびと ニューヨーク地下生活者たち/ジェニファー・トス」を計800円で購入し、阿佐ヶ谷に帰る。
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2019年12月20日

12/20東京・永福町 グランマーズ

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所用あって永福町を歩いていると、不意に“古本”という言葉が目に飛び込んで来た。永福町に古本?…もはや「ドエル書房」(2015/07/16参照)が古本屋さんとして機能不全に陥っている今、街の救世主のように新しいお店がこつ然と出現しているではないか!しかも店名が「グランマーズ」(2011/12/23 &2018/10/11参照)…あぁっ!八幡山にあったお店じゃないか!ひっそりと閉店してしまったと思っていたら、ここに移って来ていたのか。い〜やっほう!駅からは北口を出て、すぐの『永福町駅前交差点』から素直に『永福通り』に入り、北へ真っ直ぐと進む。およそ百メートル強進めば、左手にお店が見えて来るはずである。店頭にはモジャついた頭の優し気な女性が本を読むイラストと、『古本・絵本・雑貨・カフェ』と書かれた立看板。それに安売児童文学絵本小箱が置かれている。店内に進むとキレイで細長な空間。道路側が古本屋ゾーンで、奥には帳場を挟んでカフェスペースが設けられているようだ。右壁沿いには、主に時代劇文庫の安売文庫棚が置かれ、その後にビジュアル本&ムック・絵本・児童文学・雑貨類が続く。中央には絵本箱・オススメ単行本・雑貨類・暮らし・旅・実用などが集まっている。左壁は時代劇文庫から始まり、日本文学文庫・海外文学文庫・文学&歴史が収まっている。以前のお店よりコンパクトだが、街の古本屋感は増している感じ。新しめの本がほとんどだが、時代劇文庫と絵本に力が入っている。値段は定価の半額前後。光文社文庫「宛先不明/鮎川哲也」を250円で購入する。思わぬ古本屋さんとの再会に心躍らせながら、駅前でバスに乗り込み高円寺方面へ。駅に着く前に下車し、「アニマル洋子」(2014/03/14参照)に立ち寄る…今日はいやに混んでいるなぁ。通路にお客さんが座り込んじゃってるぞ。そんな先客さんたちと『すいません』と譲り合いながら、西和リブロス「中央委員会殺人事件/バーケス・モンタルバン」(スペインの推理小説である)インパクト出版会「廃墟の可能性/栗原幸夫編」を計200円で購入する。さらに北へ北へと進んで「都丸書店」(2010/09/21参照)。『中通り』に出された店頭絵本箱に、フランスのモーティマーシリーズの漫画本が突っ込まれてるぞ。もちろんフランス語なので読めないのだが、ページを開いているだけで楽しいのと、100円はいかにも安いので買っておくことにする。LOMBARD「MORTIMER A PARIS S.O.S METEORES/Edgar P.Jacobs」を購入する。
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2019年12月19日

12/19「七月堂」で予想外の児童書を。

段々と暖かさを失って行く午後に、明大前に流れ着く。駅前の道が鎖で仕切られた小さなガードを潜り、西側踏切近くの「七月堂古書部」(2018/01/13参照)へ。店頭安売棚から一冊つかんで、カラコロと鈴を鳴らして店内に入る。すると足元にも安売箱…ほぅ、詩歌に強い七月堂らしくない児童書が混ざっているじゃないか。とニヤつきながら二冊抜き取る。最後に文庫棚から一冊手にし、奥のレジで精算する。P-Vine BOOKs「「枯れた技術の水平思考」とは何か/横井軍平」小学館「名探偵入門/加納一朗」(カバーナシ)あかね書房「怪紳士暗黒街を行く/レスリー・チャータリス作 中尾明訳」新潮文庫「聖ヨハネ病院にて/上林曉」が計800円。「聖ヨハネ病院にて」は昭和二十九年刊の三刷。本の風合いや柔らかさが大変に好ましい一冊である。七月堂さん、いつもこんなのばっかり買っててすみません。来年も良い本をよろしくお願いいたします。
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そしてここ最近のヤフオク落札品をちょっと紹介。熊谷書房「海洋小説集 航續海底二萬哩/小栗虫太郎」は、背イタミ・水濡れ痕ありで、ライバルとちょっと小競り合いし、2320円で落札。もうこの、茂田井武の装釘装画を、毎日手に取って見られるようになるなんて…。さらにもう一冊は、青葉書房「ルパン怪奇探偵 怪紳士/モリス・ルブラン著 保條龍緒譯」で、ライバルナシの300円で落札。1949年刊の、仙花紙文庫サイズ本である。調べてみると、同タイトルの本が同じ出版社から出ているのだが、そちらは1950年刊でカバー掛けのハードカバータイプである…アナザーブックと言うことか…。ちなみに表紙絵は微細なペン画の樺島勝一描くアルセーヌ・ルパン…美しい。さらにちなみに青葉書房の發行者は古河三樹松。
「月の輪書林」さん(2012/03/19参照)が目録9号で特集した編集者である。
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2019年12月18日

12/18恐らく今年最後の盛林堂・イレギュラーズ!

本日は正午前に西荻窪に姿を現し、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)内の「フォニャルフ」棚にほんのちょっぴり補充した後、その場で盛林堂・イレギュラーズとなり、店主の小野氏とともにレンタカーのボンゴ号で埼玉県某所へ向かう。恐らく今年最後のイレギュラーズであるが、今回のミッションに複雑なところはなく、ひたすら棚から本を下ろし、それを縛り、車に運び込むというものである。午後一時に到着するや否や、すぐさま作業に取りかかる。およそ四部屋の本棚の所々に残されている本を下ろし、そして縛り続ける小野氏の元に運び、縛り終わったら玄関に一旦プールし、山が出来たら車へ積み込んで行く。本数は六十本ほどなので、ボンゴの荷台が一杯にはならぬのが予想出来ることから、積み込みはすべて私に一任された。道中に荷崩れを起こさぬよう、高さを均しながら、隙間をなるべく生み出さぬよう本束を積み上げ組み合わせて行く。日下三蔵氏書庫の整理に比べたら、こんなのはお茶の子さいさいだ。
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と、およそ二時間半ですべての現地作業を終える。依頼主に労いのお茶を振る舞われながら、お手伝いの方達としばらくマニアックな古本話に打ち興じる。午後四時前に現場を離れ、午後五時に西荻窪着。本をドバドバと下ろしまくり、イレギュラーズとしての作業終了。ふぅ〜、おつかれさまでした。そして盛林堂で、出来立てホヤホヤの本二冊を受け取る。一冊は仕様が余りにノートブックで(デザインはYOUCHANさん)文房具マニアも欲しがるような、盛林堂ミステリアス文庫「ヨコジュンの読書ノート 附:映画鑑賞ノート/横田順彌」。横田氏が1964〜67年書き溜めていた、SF小説・SF映画・SFTVドラマなどのノート復刻(字がとても読みやすいのだ!)感想文集である。辛辣な辛口具合が奇妙な爽快感をスカッと呼び起こす!12/30コミケでの先行販売後、12/31に店頭や通販で発売される模様。そしてもう一冊は、デザイン仕事をさせてもらった初出誌面覆刻半七シリーズの第三巻、東都我刊我書房「半七捕物控 雑誌輯 壱 半七捕物帳 参/岡本綺堂」である。今回のベースカラーは“薄縹色(うすはなだいろ)”。おぉ、これでまた半七の名推理が稲妻のように煌めく、江戸の世界を、古い活字をたどりながら堪能出来るわけだ。楽しみ楽しみ。こちらは12/21から盛林堂店頭や通販サイトでで販売開始。
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2019年12月16日

12/16何だかノンビリ定点観測。

何だか久しぶりに朝からゆっくりノンビリと過ごし、午前十一時に家を出て月曜日恒例の定点観測を行う。今日も慎ましく勇ましく、百均狙いで行こう!荻窪「ささま書店」(2018/08/20参照)では、いつもより静かな店頭棚から三冊。講談社文庫「ホームズ贋作展覧会/各務三郎編」平凡社「シンボーの大学ノート/南伸坊」新潮社「写真師彦馬推理帖 坂本龍馬の写真/伴野朗」を計330円で購入する。「坂本龍馬の写真」は献呈署名入りであった。そのまま街の奥にちょっと入り込み、異様な店名の高級食パン屋の前を通って「藍書店」(2018/12/29参照)へ。こちらは店内の特売棚から、中公文庫「肌色の月/久生十蘭」思索社「鼻行類 新しく発見された哺乳類の構造と生活/ハラルト・シュテンブケ 日高敏隆・羽田節子訳」を計330円で購入する。とても嬉しい生物学論文パロディ「鼻行類」(昭和62年初版)は訳者の高名な画家への献呈署名入りであった。一旦家に戻り、色々済ませてから午後二時過ぎに再び外出し、高円寺へブラブラ。最近気に入っている「DORAMA高円寺庚申通り店」の均一ラックやワゴンを覗き込むと、思ったより本を掴み出してしまう。草思社「共感覚者の驚くべき日常/リチャード・E・シトーウィック」集英社「だからマンガが大好き!」(1982年刊。交流のある漫画家として狩撫麻礼の記事が!)群雄社出版「まんが雑学ゼミナール」ともにさくまあきら、アミューズエデュテインメント「物には心がある。/田中忠三郎」を計407円で購入する。「物には心がある。」は、消え行く生活に密着した民具蒐集に全人生を懸けた民俗学者の名著。こんなところで陽に晒しておくわけにはいかないのだ!と勢い込み、帰り道の『馬橋公園』の池の畔でしばし読み耽る。背びれが滑り止め代わりの鮭皮のブーツ、最高!
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というわけで嬉しい今日の収穫はもちろんこの二冊である。
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2019年12月15日

12/15東京・代田橋 プチニコラ

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所用で正午過ぎに代田橋駅北西にある『和泉仲通り商栄会』という、わりと長〜い地元商店街に足を踏み入れると、なにやら所々で小さなイベントが催されている…これはもしや、商店街のイベント日!そうか、今日は第三日曜なのか。実はかなり以前に、この商店街に古本と玩具のお店があることをタレ込まれたのだが、何時行っても開いておらず、終いにはガラス戸に携帯番号が書かれているだけになってしまったので、これはもう営業していないのでは…と諦めていると、嬉しいことに店主さんからメールをいただき、お店に二時間もいると飽きてしまう故の不定期営業や、メールをして予約すれば開けてくれることや、第三日曜日の商店街のイベント日には午前九時〜午後一時まで確実に開店していることなどを教えてもらっていたのである。タイミングが合わずに、なかなか駆け付けられなかったのだが、まさか今日が第三日曜とは!と所用を少しだけ脇に置くことにして、急ぎ足で商店街を遡上する。駅からは北口から『甲州街道』に出て、歩道橋を渡って西側二本目の道に入り、は北北西にひたすら商店街を500m近く進めば、左手に緑の日除けのお店が見えて来るはずである。…おぉ、店頭に何か出てる。ドアに『OPEN』の札か下げられている。やってるぞ!店頭には様々な物品とともにコミック安売箱が一つ置かれている。主に「進撃の巨人」が詰まっているようだ。ガラス窓から見えるアートブックの棚を一渡り眺め、一時も時間を無駄に出来ぬのですぐさま店内へ進む。すると、犇めく物品と棚のせいで小さな空間となっている店内に立つのは、髭もじゃの山小屋の主のようなオヤジさんで「いらっしゃい」とニコヤカに出迎えてくれた。左右の壁に本棚やラックが並んでいるのだが、その周りや上を覆い尽くすように、ソフビなどの懐かし系オモチャ、アンティーク系オモチャ&人形.フィギュア、その他に細々とした雑貨的物品が置かれたり詰め込まれたり乗っかったりしているのだ。オヤジさんがすかさず「見難くてすみませんね。ちょっと片付けなきゃいけないと思っているんですが…」と照れくさそうに苦笑い。いや、こういうのがまた楽しいんですよ。左は主に美術やアート古本で占められ、右は和洋の絵本&児童文学がズラッと並んでいるようだ。両方とも新しいものから古書までが無秩序に折り混ざり、ちゃんとじっくり掘り返せば、何か出て来るような予感がヒシヒシとこの身に食い込んで来る。だが今は時間がないので素早く焦りながら視線を走らせ、岩波書店「もくたんじどうしゃ もくべえ/渡辺茂男文 岡部冬彦絵」(初版函付き)フレーベル館「幼稚園お話集 上巻/日本幼稚園協会編」を選び出し、値段がないのでオヤジさんに値段を聞く。すると二冊で千五百円ということだったので、謹んで購入させていただく。次は時間のある時に訪れ、ゆっくりと棚も積み上がっている本も掘り出したところである。
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2019年12月14日

12/14「コンコ堂」店頭に黒い花が咲く。

昨日は早めの取材に行くつもりが、仕事の直しでテンヤワンヤ。色々諦め、家を中心に行動すると、行けた古本屋さんは「銀星舎」(2008/10/19参照)のみ。河出文庫「心霊殺人事件/坂口安吾」偕成社「絵本の絵本 魔法おしえます/奥田継夫・作 米倉斉加年」を計650円で購入し、旦那さん店主と少しお話し。すると驚くことに、つい先日お店に空き巣に入られたことを教えられる。幸い閉店後にはレジにお金を入れていなかったので、被害はなかったとのこと。古本は一冊も盗まれていなかったそうである。…うむむむ、不幸中の幸いだが、それにしても許せない!古本屋さんに盗みに入るなんてっ!

そして本日は調布に流れ着いたので、駅北口のビルの間にある「古書円居」(2009/03/02参照)へ。すると店内には何故だかお客さんがたくさんいて、「円居」の知られざる週末の姿を見せつけられる。感心しながら、岩波文庫「鏡花紀行文集/田中励儀編」を400円で購入する。まだまだ古本は買いたいので、京王線快速電車に乗って仙川まで移動。恐らく今年最後の訪問になるであろう「文紀堂書店」(2015/03/31参照)に向かい、戦後史研究会「小説 平事件/磐城四郎」日本旅行協会「旅 No.1 創刊50周年記念特別号付録」を計400円で購入し、その足で路地裏の「石本書店」(2017/07/02参照)へ。創元推理文庫「夜鳥/モーリス・ルヴェル」を100円で購入し、京王線とすぎ丸を乗り継いで阿佐ヶ谷に帰り着く。いつの間にかトワイライトな『旧中杉通り』を歩き、店頭110均棚が入れ替わっていた「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)で立ち止まる。すぐさま目に留まったのは、月曜書房「黒い花/梅崎春生」である。昭和二十五年刊の、同名の松竹映画の原作本なので、カバーの写真は久我美子と鶴田浩二だ。これは通常逆立ちしても110円では買えないぜ!とお店にフルフルと感謝しながら喜ばしく購入する。良い古本を安値で買って、今日も日が暮れる…。
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2019年12月12日

12/12阿佐ヶ谷「ゆたか。書房」は来年一月末までお休みに。

昨日は西荻窪近くの松庵に流れ着いてしまったので、駅までヒョコヒョコ軽快に歩き、日曜の『西荻ブックマーク』でお世話になった「古書音羽館」(2009/06/04参照)へ。店頭右側の単行本棚上部で、まずは晩聲社「ぼくのジプシー・ローズ/原芳市」を掴み取るや否や、すぐその下に講談社「ギャグ&ギャグ/石上三登志+今村昭」を見つけたので、大切に抱え込む。“笑い”を引き起こす“ギャグ”という事象を、映画や漫画や小説やCMやテレビなどから集めまくり、考察分析する昭和六十年刊の好著である。店内に進み、帳場の本の壁の中に潜む先輩店員さん(2017/01/30参照)に挨拶しつつ、計600円で購入する。そして美しく黄色に染まった枯れ葉が舞い散る本日は、宮前に流れ着いたので、いつものように辛抱強く歩き続け荻窪に出る。「ささま書店」にブラリと立ち寄り、講談社 長編小説名作全集16「横溝正史」(カバーナシ)未来社「フィルムの裏側で/新藤兼人」を計220円で購入する。「横溝正史」には昭和三十四〜五年の『紀伊國屋書店』の原稿用紙の広告栞が挟まっていたのだが、これがかなり北園克衛っぽいクールなデザイン。
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いや、見れば見るほど北園なのである。北園は紀伊国屋の出していた文化的小冊子「机」の表紙やカットも担当していたし、可能性はかなり高いはずだ。これは大事に取っておこう。そんな楽しい想像に耽りながら阿佐ヶ谷に帰り着くと、おや?「ゆたか。書房」(2008/10/19参照)のシャッターが下ろされ、そこに貼紙が…『都合により一月三一日(金)までお休みします。』とあるではないか。二ヶ月弱の長期休店である。むぅ、いったい何があったんだ。とにかく来年の無事の営業再開を、切に願っております!
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2019年12月11日

12/11古本屋ツアー・イン・日下三蔵邸【第五章】

昨日は盛林堂・イレギュラーズとなり、十一月に続き(2019/11/27参照)近々の日下三蔵邸書庫整理へと赴く。午前七時半に西荻窪に馳せ参じ、いつものように盛林堂・小野氏の操る盛林堂号で、およそ一時間半のドライブ。その車内で話のついでに、最近妙に気になってしょうがないフランス映画の『シティーハンター』について、超映画好きの小野氏に聞いてみると、原作への愛に溢れた面白い作品だと教えられる。とここからその話が呼び水となり、延々アニメやマンガの話に終始することとなる。『シティーハンター』『彼氏彼女の事情』『ザンボット3』『FATE』『化物語』『ガンダム』『イデオン』『巨神ゴーグ』『アリオン』『ロスト・ユニバース』『マジンガーZ対暗黒大将軍』『サイバーフォーミュラー』『マクロス』『エウレカセブン』『血界戦線』『キルラキル』『宇宙戦艦ヤマト』『幽々白書』などなど…まぁ九割は小野氏が話しているのだが、私は盛林堂・イレギュラーズなので、そのアニメへの熱い想いを存分に受け止めてあげねばイカンのである。というわけで、現地で無事に日下三蔵氏と合流し、まずは書庫マンションへと向かう。前回盛大に片付けたリビング書庫に入ると、おぉ!大量の文庫とノベルスがすでに仕分けられ右壁際が空き、おまけに大量の組立前カラーボックスが鎮座しているではないか!
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こういう素晴らしい状態だったので、午前中は小野氏がカラーボックスの組み立て、日下氏は仕分けた文庫&ノベルスの堅固な山造りと完成したボックスに本を分類収納ということに。私はと言えば、ほぼ日下氏の助手となり、分類した本を移動させたり、日下氏が棚に収め易いよう、さらに細かく出版社別やジャンル別に下分類する作業に従事する…これでは盛林堂・イレギュラーズというより、日下三蔵・イレギュラーズである…いや、なんでもいたしますよ!と懸命にコマネズミのように忙しく立ち回る。
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そうこうしているうちに、奥の和室の壁際には、物凄い物量の文庫&ノベルス建築が出来上がって行く…スゲェ。
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さらに出来上がり始めたボックスを、リビングの壁際に新たに設置し、そこに「探偵倶楽部」や「探偵実話」やポケミスなどを並べて行く。日下氏が「くそっ、全然ダブらないぞ」とおかしなことを呟いている。
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これはダブらないのが悔しいのではなく、ダブらないと本が減らせないから悔しがっているのである…複雑怪奇だなぁ。とは言ってもやはりダブりは見つかる。クライムクラブの「歯と爪」などは、箱帯付き・帯ナシ・箱ナシの奇怪な三種類のダブりが見つかった…後は箱ナシ帯付きがあれば完璧だな…。
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およそ四時間ぶっ続けで作業し、小野氏は組立と仕分けた本の結束を終わらせ、日下氏は仕分けた本の棚入れまで漕ぎ着けた。三人ともお腹がグゥグゥ鳴ってしまっているので、ひとまず昼食を摂りに街へ。いつものように美味しいお寿司でお腹を満たし、覚悟を決めて後半戦への作業に移る。向かう場所はマンション書庫ではなく、本邸和室書庫。ここに詰まっている本をドカドカと運び出し、だいぶスペースの開いているマンション書庫へ移し替え、本の掘り出しを進めるとともに、本邸の機能復帰の第一歩にするつもりなのである。作業工程はこうだ。まず日下氏が玄関横の駐車場側の窓を外から開け、外から室内に満載の本を掘り出し取り出して行く。それを私が受け取りエッチラオッチラ駐車場へ運び、小野氏が盛林堂号の荷台を利用して短期輸送用に軽めに本を結束するというもの。取りあえずは盛林堂号満載の量まで運び出すことに決める。
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作業を開始してみると、これがなかなかの難物。なにしろ和室に積み重なる本の量が尋常ではないのだ。いくら運び出しても、いくら結束しても、全然進んだ気がしない…ハァハァ、いったいこれはどうなるんだ。結局二時間半作業するが、目算でまだ六分の一くらいしか運び出せていないようだ。それにしても日下氏は「ここはコミックと雑誌しかないんですよ」と言っていたが、大阪圭吉「海底諜報局」(もちろんダブりである)の裸本が出て来るわ、松本零士が挿絵の「宇宙からきたひる」が飛び出すわ、宮敏彦の付録本がたんまり見つかるわ……あぁ恐ろしい。そして薄闇迫る中をマンション書庫に移動し、仕分け済み結束本を外に一旦プールして場所をあけた後、三人リレー方式で素早く運び出して来た本を書庫内に運び入れて行く。相変わらず玄関と廊下が蟻の門渡り状態なので大変だが、ここさえ突破すれば後はスムーズなのである。この作業をおよそ四十分。続いて仕分け済み本を車に積み込み、後はリビング書庫の新棚に、仕分けたノベルスを丁寧に作家五十音に収めて行く作業に突入する。
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その過程で、やはりと言うか当然と言うか、恐ろしいほどのダブり本が次々と発見される、特に東都ミステリー「光の塔」は十冊に迫る勢いである。香山滋の「地球喪失」も三冊…そして新たにまたもやの「歯と爪」がぁ…日下氏がとても嬉しそうなのは、気のせいであろうか。
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いつの間にやら時刻は午後六時半。この時点で三人とも疲弊し、昼間に摂取した寿司エネルギーも使い果たしているのだが、最後に本邸和室書庫に再び向かい、少し調整整理を施して、次回整理の端緒をつけておくことにする。現地作業終了は午後七時半。みなさまお疲れさまでした。夜はいつものように焼肉をジュウジュウ焼いて英気を養い、午後十時半に西荻窪に帰り着き、本を降ろしてようやく作業終了。そんな過酷な作業の本日の報酬は、色々ダブり本をいただいたのだが、一番嬉しかったのは誠文堂新光社「怪奇小説叢書 アメージング・ストーリーズ1」のカバーナシである。
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ちなみに1巻は三冊ダブっていました…。さらに日下氏激推しの創元推理文庫「あなたならどうしますか?/シャーロット・アームストロング」がとても気になる。「これ、スゴく面白いんです。面白いから、見つけると買っちゃうんです」と、とても不思議なことを言われるが、とにかくそんな理由で買われた本なのだから、まずは読んでみることにいたします。さぁ、段々と健全さを取り戻して行く日下三蔵氏の書庫!もう魔窟とは言わせない!作業は来年に続く。
posted by tokusan at 17:02| Comment(9) | 関東 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月09日

12/9「モンガ堂」の展示と『世界怪奇叢書』。

晴れると思っていたのに、全然晴れなかった月曜日。午後一時に西荻窪北の桃井に流れ着く。それならば「古書西荻 モンガ堂」(2012/09/15参照)に寄らぬ手はない。静かにそっと店内に滑り込むと、企画展示ゾーン越しに座る、帳場のモンガさんが、顔を上げて「おほっ」と声を出す。ちょっとご無沙汰いたしました。店内窓際台と中央棚の一部で開かれている展示は、『個人名のついた『研究会誌』展』である。かわじ・もとたか氏が、長年に渡って古本市などでコツコツコツコツコツコツコツ集め歩いた、研究対象の人物の名が付けられた研究誌や同人誌を、展示販売する地味だが偉大な企画!上林暁・山口瞳・石川啄木・宮澤賢治・魯迅・尾形龜之助・坂口安吾・太宰治・夏目漱石・大塩平八郎・夢野久作・宮武外骨・織田作之助・若山牧水・高村光太郎・半村良、etcetcetc.............。薄く素っ気ない装幀の小冊子ばかりだが、物凄い量だ。
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日本文学関連だけではなく、海外文学や映画関連にも探索の手は及んでいる。おぉ、在野の知られざる英雄たちの手による、いぶし銀に輝く研究成果たち!大いに感心しながら、一瞬、夢野久作の研究誌「夢の久作のごとある」を買ってしまいそうになるが、『お前は研究会誌って柄じゃないだろ!』と脳内で己を叱咤し、我に返って店内を一周。さらに一瞬、戦前の「キンダーブック」復刻版に目を眩まされそうになるが、粘って粘ってかろうじて見破り、玄文社「世界怪奇叢書 聊齋志異/柴田天馬」私家版「講談研究/田邊南鶴」を計千円で購入し、事無きを得る。展示は12/22まで。モンガさん、今年もたくさん良い本をありがとうございました。ちょっと気が早いですが、来年もよろしくお願いいたします。
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大正十三年刊の「聊齋志異」に出会えたのは嬉しい。装幀は水島爾保布である。『世界怪奇叢書』…他にはいったいどんなラインナップが……。
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2019年12月08日

12/8トークと倉田啓明とお知らせ。

朝から夕方のトークの準備をゆっくり進め、基本的に珍しくノンビリと過ごし、午後二時二十分に外出。荻窪までスタスタ歩き、「ささま書店」(2018/08/20参照)で買物する。晶文社「黄色い部屋はいかに改装されたか/都筑道夫」出版芸術社「神津恭介の回想/高木彬光」学研「少年少女ベルヌ科学名作全集NO.9 砂ばくの秘密都市」を計1100円で購入する。そして西荻窪に降り立つと、まず「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に立ち寄り、ある物を受け取る。そして北口方面に向かい、本日の『西荻ブックマーク』会場である『ビリヤード山崎』に到着する。「音羽館」広瀬氏や、いつも頼もしい西荻ブックマークスタッフの姿が見えるが、会場のビリヤード場が開いていない…シャッターには名物店主が同窓会に参加している旨が貼り出されている…もしや、今日のイベントを忘れているのでは、とやきもきする一同。もはや時刻は午後四時に迫ろうとしている。このままではイベントの開催が危ぶまれてしまう!…だがそんなことにはならず、間一髪会場の開場にこぎつけ、大急ぎでセッティングに取りかかる。そんな波乱含みのスタートであったが、今年出来た新古本屋さんや、栃木&熊本古本屋行の物語を、これも頼りになる岡崎武志氏とペラペラベラベラ喋りまくり、あっという間に一時間半を駆け抜ける。あぁ、古本屋さんについてたくさん話せて、楽しかった。会場にお出での皆さま、盟友岡崎武さま、ブックマークの皆さま、本当にありがとうございました。また来年もよろしくお願いいたします!仕事があるので、第二部にも打ち上げにも参加せずに、早々に会場を離脱し、一人帰路に着く。そして家にほど近い路上で、そっと盛林堂で受け取ったブツを取り出す…カバーデザインを担当した、東都我刊我書房「倉田啓明探偵怪作撰 落ちていた青白い運命」である。以前、盛林堂ミステリアス文庫で出た「わが屍に化粧する」の続編とも言える変態探偵小説作品集である。デザインするにあたって、編纂者からの希望があり、それは春陽堂の「モダンTOKIO円舞曲」みたいにというものであった。おぉ、あのポップでモダンでワンダフルなデザインか。というわけで、文字色を明るめで書体も派手にし、地には古いアメリカの都会の写真を使い、収録作品とイメージを組み合わせて行ったら……やはり多少ダークな方面に傾き、なんだか萩原恭次郎の「死刑宣告」側に行ってしまった…だが、これはこれで格好良い!などと相成ったわけである。どうぞみなさま、この新たな可愛いわが子を、何とぞよろしくお願いいたします。いつものように「盛林堂」の店頭や通販や「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)で出会えるはずです。
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そしてお知らせを二つ。
1. そろそろ発売になる「本の雑誌 初夢二度寝号」連載の『毎日でも通いたい古本屋さん』では、高円寺のアナーキー古本屋「アニマル洋子」に突撃!意外な正統派な児童文学を購入しておりますので、楽しいお店の描写とともにお楽しみ下さい。
2. 12/10(火)発売の「週刊朝日」に『最後の読書』という選書エッセイを寄稿しました。とは言っても、ちょっと得体の知れぬものになっており、またそこに描写されたある行動も、なんだかわからないものに拍車を掛けている始末…いや、まったくの実話なのですが、みなさま、それを読んでも決して呆れずに、今までと変わらず『古本屋ツアー・イン・ジャパン』のご愛顧を、何とぞよろしくお願いいたします!
posted by tokusan at 20:35| Comment(4) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする