2019年01月03日

1/3年の始めは「青銅の魔人」!

昨日今日とお正月的野暮用を様々にこなしまくる。その過程で、府中本町にあった農閑期営業の古本屋さん「落兵衛図書園」(2009/03/20参照)が、消滅しているを知る…くぅ、さびしいなぁ…。さて、色々終わったのでそろそろ古本を買いに行きたいのであるが、まだ松の内の一月三日なので、営業を開始しているお店は、極々少数…そうだ!「ブックオフ」が、一月四日まで二十%オフセールをやっていたな。それならば、売れ残っているアレを買いに行くことにするか。そう駅前の空中ロータリーで思いつき、武蔵野線→中央線→山手線とJRを乗り継いで、高田馬場駅で下車する。駅前から、侘しい裏道で谷底に落ち込み、神田川を越えて「ブックオフ高田馬場北店」に到着する。店前に恐ろしく自転車が停められている。二十%オフセールの賜物だろうか。ステップを上がり、自動ドアから店内に進むと、各通路活気に溢れる状況である。ドンドン奥に入り込んで、最奥の古書売場に近付く…フフ、やはりまだ売れ残っているな。光文社の江戸川乱歩・少年探偵シリーズ三作である。一律1960円の値付がされているのだが、これが一向に売れる気配が無い。もう見つけてから三ヶ月近くこのままだったのである。セールなら、1960円が1568円となるわけだ。これならば、なかなかのお手頃価格と言えるのではないだろうか。と言うわけで選んだ一冊は、「青銅の魔人」。私が幼少の頃、初めて読んだ乱歩作品である(それはポプラ社の背が西洋鎧兜バージョンのもの)。その恐さと面白さに衝撃を受け、ついには読書感想文まで書いてしまった、永遠の作品である。二十八版とは言え、そのオリジナル版を所有するのは、ひとつのささやかな夢であったのだ。これぞ、二〇一九年最初の買物に相応しい!と、紀伊國屋書店「推理小説論/ポワロー・ナルスジャック」とともに、計1816円で購入する。
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神田川をバックに記念撮影。コンクリで固められた水路が、乱歩世界に共鳴しているようで、ちょっと楽しい。
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2019年01月01日

1/1初詣には『海鰻荘』跡地を。

年越しは宣言通りに山下三郎の「室内」を読んで過ごす。その短篇集の最後の作品、『一人の役者』を読み進めていたら、物語の舞台の一つとして出て来る『ハイデルベルヒ』が、日中電車内で移動中に読んでいる河出書房市民文庫「太宰治集/小山清編」内の本当にまさに読みかけの『老ハイデルベルヒ』とシンクロし、その偶然に打ち震える。本をたくさん読んでいると、まま起きる出来事であるが、何か世界の神秘に触れてしまったような感触があり、こういうことは本読みとして、真に嬉しい出来事のひとつである…。そんなマニアックな年越しをしながら、もはや昭和に子供時代を送った者としては、未来世界としか思えない2019年…まさかこんな時代を生きることになろうとは…古本好き・古本屋のみなさま、本年もよろしくお願いいたします。などと言うそばから、お屠蘇が過ぎて盛大に酔っ払ってしまう。いやぁ、心地良い。いやぁ、何もする気が起きない…だが、だが、古本屋ツーリストとしては古本好きとしては、何か新年早々アクションを起こさねば!と緩やかに臍を固め、そうだ!『海鰻荘』跡地に、初詣に行くことにしよう!と愚かに閃いてしまう。『海鰻荘』とは、怪奇探偵小説作家・香山滋が、昭和十二年〜昭和二十八年まで暮した、中野区大和町『蓮華寺』裏にあった、住まいの通称である。香山滋は映画『ゴジラ』の原作者として有名であるが、やはり生物学・古生物学・考古学・地学などの知識を生かしたルビが巧みに施された疑似学術小説に、いつ何時でも読み始めた瞬間に、決して触れぬことの出来ぬ憧憬を覚えてしまうのである。これは、決して大げさではなく、大真面目の告白である。と言うわけで、『海鰻荘』時代に出版した本、岩谷書店の「木乃伊の恋」と、平成二十七年に『中野区立図書館』で催された『異能の作家 香山滋』の少部数パンフを携え、千鳥足で家を後にする。表は意外に暖かで、普段より濃度の深い青空が、果てしなく頭上に広がっている。酒精の酔いに任せながら、いつの間にか泉水のある『蓮華寺』裏。クランクする裏道は『海鰻荘』があった時の当時のままで、墓場を囲むコンクリ塀は、そこで生み出された作品の湿度を継承するように、奇妙にジメジメとしているのだ。『海鰻荘』があったであろう場所は、すでに現代的な住宅が建っているので、そこに向かい合っていた墓場をバックにして、七十年ぶりに勝手に里帰りした「木乃伊の恋」を記念撮影する。こんな風に愚かに馬鹿らしく、だが楽しく、古本で遊び始めた2019年ですが、本年もよろしくお願いいたします。
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2018年12月31日

12/31東京・新宿 詩歌系古書店が選ぶ「わたしの5冊」

ついに大晦日である。さすがにこの日になると、開いている古本屋さんは、グンとその数を減らす。おまけに一年の疲れが身体に淀んでいるのか、どうも身体が重い。なので近場で一年の締めくくりをキメることにする。向かったのは古本屋さんではなく、老舗の有名新刊書店『紀伊國屋書店新宿本店』である。ここで現在『詩歌系古書店が選ぶ「わたしの5冊」』という、選書フェアが行われているのだ。古本屋さんが絡んでいることならば、何でも味わい尽くさなければならない。そういつも通り盲信し、普通に賑わっている地下道をずいずいと進んで行く。『創業116年の中村屋でございます』と重々しい呼び込みをする『中村屋』地下入口前を通過し、前川國男のトレードマークとも言える陶タイルで覆われた壁沿いに、書店へのエスカレーターを上がる。地下一階からは階段を右に巻上がり、多種多様な手帳を店頭販売中の正面入口に出て、さらにエスカレータを上がって二階店内へ。入ってしまえば場所はすぐにわかるだろうと高をくくっていたら、何処でそのフェアをやっているのかまったくわからず、しばらく店内を彷徨いまくる。結局エスカレータを上がってすぐ右に進み、奥に詩歌句がある通路の一番手前の通路棚で、そのフェアはこじんまりと行われていた。立ち上がる棚と平台に詩歌句新刊の二十五冊が並び、それぞれの解説が掲載されたフリーペーパーも置かれている。参加店は「古書ソオダ水」(2018/01/28参照)「葉ね文庫」(「古本屋ツアー・イン・京阪神」134ページ参照)「水中書店」(2014/01/18参照)「七月堂」(2018/01/18参照)「りんてん舎(仮。2019年上旬に三鷹にオープン予定)」である。この新鋭中心で斬新なラインナップは、しっかりと古本屋さんに通い、その目で見極めていなければ決められないセレクトである。新刊書店で古本屋絡みのフェアをすることと、これらのお店を選んだ担当者さんの英断と慧眼に、まずは頭を垂れる。フリーペーパーを手にすると、並べられている本+オススメの絶版本も掲載されている。だが、これを最初に読んで、楽をしてはいけない気がする。もうすでに目の前に本が並んでいるのだ。まずは先入観なしに、己のフィーリングに合った本との出会いを、楽しむべきではないだろうか。通常、古本屋さんでは、専門店以外は様々なジャンルの本を並べている。そこには、店主の個性や営業意志が反映され、独特な棚造りが為されている。その棚は、ある種地図のようなものである。知識や思想や未来や過去や異世界や妄想などに踏み込むための、誰もが読み慣れた地図である。そこにあるのは答えではなく、ただ進む方向の指針となる古本の並びで、完成度の高い良い地図に古本屋さんで出会えた時は、身体に電気が走るほどの、素晴らしい装置なのだ。だが詩歌句は、通常の棚とは少し異なり、聞き慣れない出版社や作家が連続し、多少取っ付き難くマイナーな面を持っている。その取っ付き難い棚は、大抵のお店では片隅に追いやられ、小さくうずくまっているのだが、ここに並んだ四店+一(仮)は、大きく詩歌句に棚を割いているお店ばかりである。例えて言えばその地図は、通常の地図ではなく、海図や星図みたいなものではないだろうか。何処か大きな世界を予感させる、馴染みの無い地図たち。だがそれは、接することにより、ルールを把握することにより、いずれは馴染み深く、そして興味深くなるものである。この今目の前に展開している小さくささやかな棚も、そんな見慣れない地図の一枚である。だが、何処かに地図と親しむ手掛かりは含まれているはずである。まずは装幀を眺め、一冊一冊手に取り、ページを捲って行く。詩集・詩論・詩人エッセイ・歌集・句集………しばらくフェア棚の前に佇み、迷いまくる。ちょっと高値の本も多いので、そこもしっかり吟味する。結果、一編二編、三首四首、五句六句さらりと読んで、心にピリッと引っ掛かったものを買うことにする。思潮社「リリ毛/小縞山いう」2200円+税である。アカシックレコードから無作為に選んだ言葉の羅列のようで(作者の名前もそうだ)、リズム感が密やかにこなれて弾む文字列が、何か妙に引っ掛かってしまう。読んで意味は即座に掴みかねるが(まぁ大抵の現代詩はそうだ)、読み込むと脳内がキレイに掃除され、そこに予想外の一言がポツンと残されてしまっているような想像をしてしまう。フリーペーパーを繙くと、選書は「水中書店」さんであった。ゆっくりと、読み進めていくことにしよう。
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帰りに大晦日も絶賛営業中の「千章堂書店」(2009/12/29参照)に立ち寄り、岩波文庫「銀座復興 他三編/水上滝太郎」を350円で購入し、本年の古本買い納めとする。今年もたくさん古本を買いました。みなさま、来年もまたよろしくお願いいたします。それではよいお年を!
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2018年12月30日

12/30昨日のトークと今日の古本屋さん挨拶回り。

昨日は朝から静かに件の「室内」を読み耽り、改めてその作品群から受けるイメージが、受容器官の違いはあるのだが、清宮質文の版画作品に肌触りが似ているな、などと勝手に気付く。午後四時に家を出て、まずは12/29日からお休みに突入する「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)へ。取り扱っていただいている「青春18きっぷ古本屋への旅」が何冊か売れているようなので、少しホッとしながら東京三世社「少年少女SFマンガ競作大全集2」ポプラ社「お化けの愛し方/荒俣宏」を計463円で購入し、今年も一年お世話になりましたと、天野氏に挨拶をする。コンコ堂の年始営業開始は1/5から。駅から都心より気温の明らかに低い八王子にガタゴト向かい、街の賑わいと裏腹な冷たさに脅かされながら「佐藤書房」(2009/08/26参照)に飛び込む。岩谷選書「私刑(リンチ)/大坪砂男」を千円で購入する。さらに夜道を切り開き、すでにトークの準備のために閉店し、会場を整え中の「古書むしくい堂」(2018/01/03参照)に到達。一人で汗を流す店主の高橋氏に挨拶をした後、すでに会場入りしていた岡崎武志氏と近所の喫茶店に移動して少し打ち合わせる。お店に戻ると、すでにキャスター付きの通路棚を二隅に動かし、丸椅子が並べられ、会場の準備は万全となっていた。
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そしてトーク開始までの一瞬の隙を突き、NHK札幌放送局「NHK特集 網走刑務所〜鉄鎖と更生と〜(打合稿)」(1981年放送のドキュメンタr−番組の台本であるを500円で購入する。トークにはこの二〇一八年が後二日半で終わろうとする忙しい時に、十三人の古本勇者にお集りいただき、感謝感激雨霰!おかげさまでおよそ二時間を、岡崎氏と楽しくおかしく古本屋さんや古本について喋りまくる。先日の古本市裏話、鉄道旅と古本屋、最近の古本屋トピック、今年の古本二冊(私は銅線に凶悪に縢られた橘外男「ルーレット紛擾記」と松本竣介装幀挿絵の「海から来た使」を紹介。岡崎氏は学年誌付録の森山良子のギター教室と雑誌「フォークリポート」であった)、「むしくい堂」さんを交えお店のことなど色々、そしてプレゼント大会。やはり、岡崎氏と話すのはとても楽しい。人前関係なく、自然に素直に好きなことや思いが、ポロポロと口をついて出て来るのだ。そんな愉快な年末を迎えられたことに、岡崎氏、会場の十三人、そして「古書むしくい堂」さんに大いなる感謝を捧げたい。本当にありがとうございました。

そして本日は午後から自主的に古本屋さんへの挨拶回りを決行する。私にしては珍しく言葉を交わせる、日頃からお世話になっているお店を巡り、古本を買って感謝の意を表すためである(いや、実はそんな大層なことではない。要するに、ただ古本が欲しいのである…)。まずは高田馬場駅に降り立ち、トコトコ歩いて早稲田を目指す。谷底の陽の当たらぬ神田川沿いを、冷たい水のせせらぎを聞きながら歩き続けるが、何故かそれほど寒くはない。『明治通り』から『高田馬場口交差点』を経由して、「古書現世」(2009/04/04参照)に至る。サッシをカラリと開けると、いつもは手元に視線を落とし、帳場に近付くまで来訪には気付かぬ向井氏が、珍しくこちらに視線を寄越し「今日は入って来た途端に気付きました」と笑顔で誇らしく宣言する。函ナシの實業之日本社「素顔のハリウッド/上山草人」(口絵写真の神山が扮したチャアリイ・チヤンが不気味で格好良い!)を4500円で購入しつつ、向井氏といつものように楽しく無駄話する。「あれ?今日コト(店猫の名である。2018/08/29参照)はいるんですか?」「そこで寝てますよ」と指差された本棚裏を見ると、屋根のないクッションの置かれたダンボールハウスの中で丸くなっている…か、可愛い!
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「でも店猫ですよね。お正月休みの間はどうするんですか?」「家はすぐ近くなんで、エサやりとトイレの片付けに店に来ることにします」とのことである。無事に年を越すんだよ、と願いお店を後にする。高田馬場駅まで戻り、新大久保駅の身動きままならぬ殺人的混雑に目を丸くしながら西荻窪駅へ。まずは「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に向かい、先日の古本市残り本の買取金を受け取る。店主・小野氏の「欲しい本あったらショーケースの鍵開けるよ。安くしとくよ」という悪魔の誘惑を振り切り(盛林堂では最近高い本をちゃんと買っているので…)、一年お世話になった挨拶を交わし、再び街路へ飛び出す。駅北側に赴き、「古書音羽館」(2009/06/04参照)でヤマケイ文庫「ビヨンド・リスク/ニコラス・オコネル」を700円で購入しつつ、広瀬氏と布由さんと、来年辺りご近所に出来るはずの古本屋さんについてあれこれお話しする。『西荻ブックマーク100回記念』のポストカードをいただき、お店を後にして、駅への近道に『西友』内を歩いていると「忘日舎」さん(2015/09/28参照)とバッタリ出会い、慌てて年越しの挨拶を交わす。続いては高円寺に移動。ここでも『庚申通り』でバッタリbar『ペリカン時代』のお二人にお会いし、慌てて年越しの挨拶を交わす。よくバッタリ人と会う日だなぁ。心臓をドキドキさせながら、そのまま歩き続けて「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)着。三省堂「那須の植物/生物科学研究所編」番町書房「葦の髄から/檀一雄」を計600円で購入し、表の均一棚でダッカンダッカン棚の整理をしていた粟生田さんと「来年もよろしく」「よいお年を」とニッコリ挨拶を交わす。
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2018年12月28日

12/28年末年始はモダニズム小説に溺れよう。

ゴウゴウと、地の底から吹き上げて来たような、冷たい風に痛めつけられ、夕方の千歳烏山に流れ着く。治まる気配のない風に逆らいながら、駅北側に出て久しぶりの「イカシェ天国」(2008/09/23参照)を覗いてみる。相変わらず無人である。そして万引防止の警句が、派手に増殖してしまっている…無人故の疑心暗鬼が、外の強風のように吹き荒れているのだ。しかし本にはちょっと動きがあるようで、面白い古書がチラホラ目立っている。真剣に目を凝らして駿河台書房「動物園日記/福田三郎」中央公論社「七つの蕾/松田瓊子」を選ぶ。合計で千八百円だが、半額セールが常時行われているので、九百円になるはずである。そう信じて、本を携え一旦表に出て、斜向いの黄色い派手な不動産屋へ向かう。扉をカラリと開けて「すみません、本を」と言うと、座っていたメガネのオヤジさんが近付き値札を確認し「九百円」と一言。ホッとしながら精算する。

そして寒さに震えながら家に帰り着くと、待望の古本が到着していた。沙羅書房「室内 山下三郎短篇集」である。EDI叢書「山下三郎 四編」を読んだことにより、本物への渇望という厄介な古本心に火が点いてしまい(2018/12/23参照)、打ち上げの酔いに任せて古本市の売り上げをつぎ込み、注文してしまったのである。「室内」は相場がだいたい五万円ほどのビックリ値なのだが、これは破格の一万五千円であった。なので相当な瑕疵があることを覚悟していたのだが、包みを開封してみると、函に汚れやイタミはあるが比較的しっかりしており、本体も背文字の掠れ以外はわりとキレイなものである。やった!こりゃぁラッキーだ!昭和十三年刊。本は菊判。本文紙はちょっと厚めのアート紙で、本文は青と墨の二色刷り。限定三百部のうちのNo.298。装幀は堀辰雄で、表紙に使われているネクタイ地(それぞれの本で異なるという)は緑である。後見返しには、渋谷「玄誠堂」の古書店ラベルあり(だが最後に営業していた『宮益坂上』ではなく、『渋谷 道玄坂』と記されている。古い時代には道玄坂で営業していたと言うことか?)。…う、嬉しい。しみじみと嬉しい。年末は年始はこれを読み、清新な昭和モダニズム小説に耽溺することにしよう。
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そして皆様、明日の八王子でのトークを、よろしくお願いいたします!恐らく予約なしでも当日飛び入り可能だと思いますので、気が向きましたら、午後六時前に「古書むしくい堂」(2018/01/03参照)にお越しください。「室内」読みながらお待ちしております!
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2018年12月27日

12/27『旅と古本』まで後二日!

意外に暖かな本日は、上連雀の奥地に漂着してしまったので、ツラツラ歩いて三鷹駅まで出て電車に乗り、ちょっとだけガタゴト揺られて西荻窪駅下車。北口に出てまたツラツラ歩き始め、『青梅街道』に出て『荻窪警察署』のインコと文鳥が囀る巨大鳥小屋『ピーポーハウス』をしばし眺めて心を癒した後、ようやく本屋「Title」に到着。店内に上がり込み、左中ほどの急階段を手摺を頼りに上がり、今日が初日の「Title 2Fの古本市」(2016/12/27参照)を堪能する。すでにこの小さな古本市も三年目。五人も入ればいっぱいになってしまう二階には、ひっきりなしに人が上がって来る。平日で、駅から遠いのに、スゴいな。「ハナメガネ商会」(2014/04/26参照)の“鳥”へのフィーチャーっぷりと、「一角文庫」の今和次郎仙花紙本ミニコーナーが何とも好ましい。相模書房「働く人の家/今和次郎」(『北海道の勞務者の住宅を見る旅』『北九州八幡製鐡所の社宅を見る』など、考現学者・ジャンパー先生の旅+住宅フィールドワーク!)を800円で購入する。市は年を跨ぎ、二〇一九年の一月八日まで行われる。

さて、あと二日後に迫った、八王子「古書むしくい堂」での、岡崎武志氏との古本トークですが、まだまだまだお席が余っておりますので、お時間ある方捻出出来る方々は、ぜひとも今年最後の濃厚古本トークを聴きに来ていただければ、もっけの幸いです!何とぞよろしくお願いいたします!「むしくい堂」さんが、『前のチラシはディーゼル車が主役で鉄道のイベントみたいだったので、作り直しました!』と新しいチラシを送ってくれました。素晴らしき悪あがきに、乾杯!
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【日時】12月29日(土)18:00スタート
【参加費】1,000円
【場所】八王子「古書むしくい堂」東京都八王子市横山町10-17グエルスクエア八王子102
【ご予約・お問い合わせ】info@mushikuido.com tel:042-698-3994 http://www.mushikuido.com/contact/
※二人のプレゼントが当たる抽選会あり
※終了後、有志で忘年会へ
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2018年12月26日

12/26今年最後の“盛林堂・イレギュラーズ”!

午前十一時前の西荻窪に赴き、今年最後の“盛林堂・イレギュラーズ”に変身する。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)前にたどり着くと、開店作業を進めているのは小野氏の細君とお母様である。今日のミッションは、市場でたくさん買ってしまった本の上げ下ろし搬入なのである。すでに古書を満載したルート便が『銀盛会館』で荷下ろししている旨を告げられ、慌ててそちらに駆け付ける。すると会館内の一角には、すでに文庫本束の山が築かれ、後はカーゴ一本半分を下ろすのみとなっている。その下ろし&積み上げを、ルート便の運転手さんと小野氏とリレー形式で行い、あっという間に下ろし完了。運びながら文庫束に視線を走らせると、古い角川文庫や創元推理文庫の良いところが忍び込んでいる、涎の出そうな塊たちであった。しかしこれで終わりかと多少拍子抜けしていると、「じゃあ店に戻って運びましょう」と小野氏が言う。あれ?まだ何か運ぶ本があるのかな?…まぁいい、これだけで終わってしまっては“盛林堂・イレギュラーズ”の名が廃ると、気合い充分にお店に乗り込む。するとそこで待っていたのは、店内二本の通路に積み上がる、大量の単行本束であった…おぉ、普段はビシッと整然としている盛林堂では、なかなかに珍しい光景である。
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この本束を台車に満載し、お店正面口から出てぐるっと裏に回り込み、倉庫で控えているお母様に届けるのが、申し渡されたお仕事なのである。「本は絶対に崩しちゃダメだよ」とプレッシャーをかけられ(小野氏は古本屋活動に関しては超スパルタである…)、程よい緊張感をキープしつつ、重い台車を苦労して押して行く。だが、都会の舗装道路でも道は平坦ではなく、凸凹も多い。さらには車に追い立てられたり、車に前後を挟まれたり、路上駐車の車を回り込んだりと、路上には危険がいっぱい!ンゴロンゴロと力を振り絞って六往復ほどすれば、いつの間にか一時間が経過していた。…ハァハァ…古本屋さんって、やっぱり大変だ…。そんな感じで無事にミッションを遂行し、労働のギャラ&お歳暮として、二冊の古本を拝受する。東京大學館「世界怪奇譚第五編 魔島の奇跡/押川春浪」啓徳出版部「防諜讀物 スパイ小説集/北村小松編」。わ〜い!ありがとうございます!とたちまち歓喜の渦に巻込まれる。忙しい年の瀬に、労働の対価として古本を受け取り大喜びする、五十一歳の男の2018年が、後五日で暮れようとしている。
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家に戻っでからは、大阪に少数精鋭の古本たちを送り出す。西の方々、「梅田蔦屋書店」『4thラウンジ』壁面の古ツア古書棚を、来年もよろしくお願いいたします!
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2018年12月24日

12/24東京・荻窪 藍書店

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昨日の古本狂乱は過ぎ去り、すでに強風のクリスマス・イブである。舞い飛ぶ大量の枯れ葉に非日常を感じながら、いつもの月曜日のように、荻窪「ささま書店」(2018/08/20参照)へ定点観測に向かう。だが珍しく店頭では何もつかまず、店内で欲しい本は見つかるが購入にまでは至らなかった。大量の古本を売ったことに起因する放心状態だろうか。…そうだ、移転した「藍書店」を、いい加減に見に行かなければ!と思いつき、クリスマスに賑わう『南口仲通り』に入り、最初の脇道を東へ…あっ、「おぎくぼ古本市」(2018/05/02参照)をまたやってるのか。営業は12時から…後で見に来よう。そのまま道を抜けると『電話局前交差点』である。大通りを鋭角に南西に進み、こちらも最初の脇道を南へ入り込む。すると50mほど進めば右手にビル一階のお店が…営業しているぞ。看板が以前の選挙事務所からすっかり新調されており、『藍書店 Indigo Books 古書買取』の文字が輝いている。店頭には頭上にプラ箱を載せた三つの小棚が出されており、上部には映画・芸術関連、下には美術系の大判本を収めている。細長く小さめな店内に進むと、壁はほとんどが本棚で覆われ、奥へと伸びて行く通路棚が二本の狭い通路を造り出してる。本棚には古本がびっしりと収まっているが、良く見ると通路入口側の合わせて十五本ほどの棚には、背をこちらに向け整然と本が並んでいるが、奥に進むと結束本束や横積み本となり、バックヤード的に変化する。どうやら今のところ、奥のレジ近くの部分は、フロントなのだがバックヤード的な役割を果たしているようだ。と言うわけで、店舗として機能しているのは、前部分だけなのである。そこには、文庫・映画(これが目立っている)・芸術・文学・思想・社会・歴史・新書・洋書などが、大体100〜500円の値付で混ぜこぜに並んでいる。だが、質はかなり高めで、古書も混じっているのが何とも嬉しい。筑摩書房「カツドウヤ水路/山本嘉次郎」講談社少年版江戸川乱歩選集「三角館の恐怖」アスベスト館「アスベスト館通信第3号」が、合わせて千円!これから月曜日は、「ささま」とともに定点観測することにししょう。

そういえば昨日、古本市で残った良書を「フォニャルフ」に補充しておいたので、来られなかった方はぜひご覧あれ!家に帰った後は(ハッツ!「おぎくぼ古本市」に寄るの忘れた…)、大阪へ送る古本集めと、土曜の岡崎武志氏とのトーク来場者に配布するプレゼントセレクトを行う。貰って嬉しいもの、貰って困るものアリ!…フフフフ。そんな歳末ギリギリ限界の古本トークですが、お時間ある方はぜひ八王子にお越しください。「佐藤書房」(2009/08/26参照)の濃厚さと「まつおか書房」(2010/01/05&2016/08/29参照)の大外棚を楽しんだ後に、「古書むしくい堂」(2018/01/03参照)と『旅と古本』の世界(多くは古本屋さんと古本のことになると思いますが…)をお楽しみいただければ幸いです。よろしくお願いいたします!

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旅について、古本屋について、古本について、青春18きっぷと鉄道について、縦横無尽に話しまくる予定です。八王子への小旅行を満喫した後、古本屋さんでのトークを、ぜひともお楽しみ下されば幸いです!冬の八王子でお会いいたしましょう!
【日時】12月29日(土)18:00スタート
【参加費】1,000円
【場所】八王子「古書むしくい堂」東京都八王子市横山町10-17グエルスクエア八王子102
【ご予約・お問い合わせ】info@mushikuido.com tel:042-698-3994 http://www.mushikuido.com/contact/
※二人のプレゼントが当たる抽選会あり
※終了後、有志で忘年会へ
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2018年12月23日

12/23山下三郎に始まり、山下三郎に終わった一日。

古本市が楽しみなのか、午前五時前に子供のように目を覚ましてしまう。夜明け前の暗闇と暖かな布団の中でしばらく粘ってみたが、どうにも再び眠れそうにない。仕方なく布団を抜け出し、お湯を沸かして、お茶を一杯入れる。それを啜りながら、先日買ったEDI叢書「山下三郎 四編」を読み耽る。未知の作家であるが、清新で爽やかで魘されるようで視覚的で衛生的な修辞と形容が散りばめられたモダニズム小説を書いている。川端康成・竜胆寺雄・横光利一・稲垣足穂・浅原六朗・堀辰雄などと通底するものを感じ取りながら、このような優れた物語が、復刻されるまですっかり埋もれていたことを不憫に思ったりする。いや、遥か昔から今の今まで、優れた物語は無数に生み出され続けているのだが、その中で脈々と残って行くのは、ほんの一握りなのである。この幽霊のような物語も、二〇〇一年には、読まれなくなった夥しい文字の集積の中から、こうして掬い出されたのだ。何はともあれ幸福である。午前七時にはこの薄い本を読了してしまったので、古本市に持って行くことにする。…そして思ってしまう。この物語を、本物で読みたい…。山下三郎は一冊の短篇集しか出していない。しかもそれは、恐ろしい程の古書価が付けられている。この本は手放しても、まだしばらくは、いつでも手に入れることが出来るだろう。だからそれに付けても、昭和十三年刊の沙羅書店「室内」を、俄然手に入れたくなってしまった。こんな風に、朝っぱらから一冊の本を読んでしまったために、古書熱に取り憑かれながら、忙しい一日が始まろうとしている…。

西荻窪、午前十一時。シャッターの表には、すでに多数の古本修羅&古本神が、シャッターを打つほどに集まっている。そして会場開放とともに雪崩れ込み、たちまち本棚たちが、嬉しく蹂躙されていく。
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そんな嵐が、いつもと違い二時間も続き、あっという間に私も岡崎氏も小野氏も消耗してしまう。しかしその後も、微妙な雨降りなのに、お客さんが途切れずに、例年より調子良く売り上げてしまう。結果、私は143冊を旅立たせることに成功する。会場にお越しの皆々様、本当にありがとうございました!また来年もよろしくお願いいたします。しかし実は古本を売るだけではなく、ちゃっかり盛林堂コーナーから古本も買わせていただきました。ともにカバー&外装なしだが、ポプラ社「白蝋の鬼/高木彬光」春陽堂「新空気/江見水蔭」(東京は奥多摩の洞窟探検もの!)を計五千円で購入する。
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冒頭に書いた山下三郎は夕方まで売れ残っていたので、『家に持って帰ってもう一度読もう』と思っていたのだが、フラリと折り畳み傘とともに現れた文庫善哉さんに「こんなのがまだ残ってるなんて!」と、喜んでお買い上げいただきました。良い所に嫁いだので、本望であります。だから、つい家に帰った後、『日本の古本屋』で山下のオリジナルの短篇集を検索し、最安値の本を注文してしまった…古本を売って新たな古本を買う…愚かな行為であるが、これもまた本望である。
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2018年12月21日

12/21歳末神保町パトロール!

午前十時に水道橋入りし、歳末神保町パトロールを行う。さすががにまだ開けていないお店も散見されるが、まずは「日本書房」(2011/08/24参照)でEDI叢書「山下三郎 四編」くもん出版「怪盗ルパン4 ハートの7/モーリス・ルブラン原作 一峰大二画」を計600円で購入し、寒さに縮こまった古本エンジンに火を入れる。「アムール」(2011/08/12参照)ではワニ文庫「関東近郊ミステリースポット紀行/池田貴族編」を100円で購入。続いて『靖国通り』東側沿いを進撃するが、成果なく端の神保町一丁目一番地「三茶書房」(2010/10/26参照)に行き着いてしまう。隣りに立つ「何かないかな。ないかなないかな。何かないかな。ないかなないかな」とリズム良く呟くオジさんが激しく気になりながらも、500均ワゴンから春陽堂文庫「メリメの手紙/メリメ作・平井程一譯」を見つけ出したので、パトロールの成功を胸の内でこっそり祝福する。これは伊庭心猿著作集のカバーデザインをした、思し召しだろうか(2018/12/10参照)!店内の帳場で購入すると、八ミリほどトールサイズの裸文庫本に、先代さんが丁寧にオリジナル書皮のサイズを調整しながら掛けてくれた。ありがたや〜。
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嬉しい戦利品を懐に、今度は通りを西進して行く。すると、「一誠堂書店」(2010/03/27参照)番頭さんに「久しぶりじゃないですか、神保町」といつものように気軽に声をかけていただき、「風書房」さんとは擦れ違い様に「@ワンダー」で「古書店の古書市」が開催しているのを教えられる。何!と駆け付けてみると、店内二階のカフェと、脇道外棚奥部分と引っ込んだ駐輪場に臨時棚が設置されていた。二階は映画関連や雑誌や稀少本がメインで、外棚はミステリ&古書中心。ここでは今日はわりと寒いのに、シャツ一枚で腕まくりがトレードマークのPICOROCO氏(盛林堂ミステリアス文庫ブレーンの一人である)と笑顔で挨拶を交わし、店外レジに座る「@ワンダー」(2009/01/21&2014/05/22参照)鈴木氏と来年のあれこれについて立ち話をする。結局市では何も買わずに、店内一階で創元推理文庫「死時計/ディクスン・カー」(白帯再版)を1500円で購入する。この市は26日まで。

さて、というわけで岡崎武志氏との古本市も、後二日後に迫りました。激安本から、生木を裂くようにして選んだレア本までを揃えてお待ちしております。盛林堂さんも安めの本を放出しますので、日曜日は何が何でも万難を排して西荻窪へおいで下さい。そしてその六日後の八王子「むしくい堂」(2017/03/25&2018/01/03参照)での愉快なトークもお忘れなく!

■『オカタケ・古ツアの古本ガレージセール』
■12/23(日)11:00〜18:00
■西荻窪 銀盛会館(杉並区西荻南2-18-4)
■主催:盛林堂書房
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旅について、古本屋について、古本について、青春18きっぷと鉄道について、縦横無尽に話しまくる予定です。八王子への小旅行を満喫した後、古本屋さんでのトークを、ぜひともお楽しみ下されば幸いです!23日古本市後の六日後に、冬の八王子でお会いいたしましょう!
【日時】12月29日(土)18:00スタート
【参加費】1,000円
【場所】八王子「古書むしくい堂」東京都八王子市横山町10-17グエルスクエア八王子102
【ご予約・お問い合わせ】info@mushikuido.com tel:042-698-3994 http://www.mushikuido.com/contact/
※のプレゼントがあたる抽選会あり
※終了後、有志で忘年会へ
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2018年12月20日

12/20硬めのお店をハシゴする。

今日はお昼過ぎにポカポカ陽気の松原に流れ着いたので、あまり期待せずに某新店に三度目のアタックをかける…結果は…シャッターアウト…まぁこうなると思っていた。平日だもんな。仕方ないので住宅街を抜け、バスに乗って阿佐ヶ谷方面へ帰ることにする。ところが、『高円寺陸橋』で左折し『青梅街道』に入ったところで、北側の車窓に、古道具屋「まるゆう」(2016/02/03参照)のゴチャゴチャした店頭が流れた瞬間、その端っこに古本らしきものが置かれているのを視認する。すわっ!と『杉並車庫前』で降車し、横断歩道を渡って慌ててお店に駆け付ける。だがそこに積まれていた古本は、ちょっと古めの政治スキャンダル本ばかりであった…くぅぅ、欲しくなぁい、読みたくなぁい…。惨めに徒労に終わった途中下車を後悔しながら、重々しい足取りで高円寺駅方面を目指すことにする。平日でも賑やかな『ルック商店街』をデグリデグリ。あっ、楽しみにしていた「アニマル洋子」(2014/03/14参照)はお休みか。さらに北に進み「大石書店」(2010/03/08参照)前。普段なら店頭にめぼしいものがなければ、無情にもお店に入らず離脱するのだが、今日は何故だか店内に吸い込まれてしまう。そういえば先日ミステリ評論家・新保博久教授のトランクルーム整理を手伝った時に、教授が硬めの本を一箱に仕分け「これは「大石書店」向けに作った箱です。買取してもらいましょう。フッフッフッフ…」と言っていたのを、棚を眺めながら思い出してしまう。相変わらずパラフィンの巻かれた本ばかりの店内を一周し、レジのご婦人に四度ほど「いらっしゃいませ〜」と言われ、洋泉社「怪獣少年の〈復讐〉70年代怪獣ブームの光と影/切通理作」を900円で購入する。その後も北に向かい、高架下の「都丸書店」(2010/09/21参照)外棚前に腰を据える。茶色い古書が多くて、条件反射的に興奮するが、ジャンル違いも甚だしい経済&社会&歴史関連ばかりである。しかし諦めずに店内にスルッと入り込み、右隅の面白棚(2018/10/04参照)に神経を集中する。…少し並びが新しくなっているな…昭和初期の映画評論雑誌か…と、その古さに惹き込まれ思わず手にすると、ほほぅ。獨逸映畫研究号か。どうやら雑誌が創刊五周年記念らしく、伊藤大輔・衣笠貞之助・溝口健二・五所平之助・上山草人などがお祝い広告を出している。巻頭の『カリガリ博士』の写真もたまらないし、フリッツ・ラング、エルンスト・ルビッチユ、F・W・ムルナウなどの名にも興奮し、『獨逸のアヴァンギアルド映畫』『モリー・ナギー(モホリ・ナギである)の絶對映畫論』などの面白そうな記事も!とジャブを食らいまくり、映畫評論社「映画評論 ドイツ映画号」(昭和六年四月刊)を1500円で購入する。古本神経に満足の電流が奔ったので、帰ることにする。
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2018年12月19日

12/19ひと足先にひとまず準備完了!

朝起きてから、不器用な私にとってはかなり苦手な、古本の結束作業に取りかかる。本のサイズを合わせ、広げた人差し指と親指で二つ分の高さを計り、同じ高さで本を縛って行く。椅子の上に重ねた二十〜三十冊をドカリと乗せ、半分以上ずらして宙に浮かせす部分を生み出し、そこにグルグルと紐を掛けて行く。この作業もだいぶ久しぶりなので、最初は手元がおぼつかなかったが、さすがに何本も縛って行くと、手慣れてスルスルと進むようになる。しかもしっかりと固めに縛れて、不器用なりに具合の良い状態となる(実際後で運んでもらった盛林堂・小野氏も「わりとしっかりしてたよ」と珍しく合格点をいただく…「でも一本がちょっと短いかな」とも言われたが…相変わらずスパルタだなぁ)。
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結局二十二本+αの結束作業をお昼前に終え、ちょっと寝かせて午後六時半過ぎに盛林堂号に本を積み込み、西荻窪『銀盛会館』へと搬入する。すでに一階ガレージの会場には、棚が組み上げられていたので、スパンスパンと古本を収めて行く。すると珍しいことに、余ることなく見事に棚に収まってくれたのである。これは素晴らしい!と自画自賛し、後は岡崎氏の搬入と盛林堂の並びと、日曜の開場を待つばかりとなる。みなさまのお越しを、心よりお待ちしております!その後は盛林堂のバックヤードに移動し、出来立てホヤホヤの表紙デザインを担当した「あらしの白ばと」最終巻&「ヒルダ・ウェード」を受け取る。今年の棹尾を飾るに相応しい、満足行く仕上がりである。というわけで絶賛発売中の「青春18きっぷ古本屋への旅」とともに、こちらも重ねてよろしくお願いいたします!
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2018年12月17日

12/17古本屋さんのような一日を過ごす。

今日は古本市の準備に、多くの時間を費やす。朝食後に、まだ少し本をセレクトした後、本のクリー二ング作業に取りかかる。集めた本を手にして行くと、つい数日前に準備したばかりなのに、『こんな本出すのか!』などと思ってしまう。いや、良い本たくさんになってますよ。23日をお楽しみに。そんな風に三時間みっちり古本と向かい合い疲労を覚えたので、午前十一時に荻窪「ささま書店」(2018/01/20参照)に定点観測古本買いに出かけることにする。草思社「ジェロニモ追跡/菊池東太」岩波少年文庫「風の妖精たち/ド・モーガン作 矢川澄子訳」(訳者謹呈簽が挟まっていたのでちょっと嬉しい)青弓社「B級ビデオ発掘カタログ/伊藤勝男」(1988年刊。ビデオ文化花盛り時代の、未公開B級映画を中心としたカタログ。『レモ/第一の挑戦』とか『人食いアメーバの恐怖』とか『アーメン・オーメン・カンフーメン!』とか、たまらん!)を計324円で購入する。家に戻り昼食を摂った後は、値札を作りそれをひたすら本に挟み込んで行く作業…一心不乱に行い、結局作業終了したのが午後七時過ぎ…なんだか古本屋さんでバイトしていたような一日であった。なので自分自身にバイト代を払ってあげたい気分である。後日これらを結束し、西荻窪に運び込むのだが、果たして何本くらいになることやら。二十本くらいだったら、盛林堂・小野氏に「全然足りないよ。ダメだよ。三十本はないと。面陳でごまかすの、イヤでしょ」とハッパかけられてしまうんだろうなぁ。
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というわけで、現在台所には、結構な規模の古本塹壕が出現中。それにしても相変わらずスゴイ量だな…。
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2018年12月16日

12/16東京・鶯谷 古書 木菟

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嫌気を覚えてしまう、粘っこく明度が低い曇天である。新宿駅から山手線の上半分を五分の二周し、昨日新しく出来た古本屋さんを見に行く。だが、間違えて南口で降りてしまった…本来は北口から改札を抜け、『言問通り』に上がって西を目指すのが正しいのだが、仕方ないのでこのまま歩き始めることにする。ぐるっと回り込むように、北西にある『言問通り』を目指して進んで行く。『寛永寺』の霊園と、『東京国立博物館』に挟まれた道に入り込んで行くと、人影はほとんどなく、タクシーが連なり憩っているほどの静けさである。整然とした情報の少なさと、空の広さが、まるで浮世絵を見るようである。こうなると嫌気を覚えた曇天も、俄然風雅なものに変貌して行く。徳川家綱廟の豪華な門や、威厳ある『東京文化財センター』前を通り、どうにか目的の『言問通り』へ出ると、浮世絵の面影は消え去り、下町の風景が広がり始める。通りを西にグイグイ進み、やがて『上野桜木交差点』。道を北へ入り込み、黄色い看板の『愛玉子』前を通過して、交番のある小さな交差点を西に入る。すると右手に、谷中の風景にベストマッチしたお店が見えて来た。小さく細長く新しく、三階建ての店舗兼住宅の一階がお店なのだが、大変に造作と意匠に手間をかけているのが一瞬にして見て取れる、驚きの店構えである。瀟洒な軒燈が可愛らしく、明り採りの小窓も美しい。上部がRになり、磨りガラスと透明ガラスを組み合わせた木枠戸は、まるで庵の入口のようである。そしてその左右には、何と龍と鳳凰のレリーフが飾られている。さらに左の店名看板が埋め込まれた部分は、いわゆる“梲(うだつ)”のようでもある。そんなこだわりの入口から中に進むと、おぉっ!これはまたまたスゴい!細長い店内は、両壁に造り付けの木棚を設え、七段×七列でずずいっと奥の帳場まで美しく続いている。足下には御影石のパネルが敷き詰められ、中央には細長い平台が三台縦列して行く。…完璧だ。完璧な空間造りだ!と感心しながら棚に眼を流し始める。右壁は、フランス・パリの歴史や社会や事件から始まり、東欧・ドイツ・ヨーロッパ全般・スペイン・ロシアと大きく広がり、やがて中国やアジアにも至る壮大な並びを展開し、見る者を圧倒する。それに続き、思想系エッセイ・民俗学・政治・思想・近現代史・上野英信・谷川雁・埴谷雄高・石牟礼道子・松下竜一・労働運動・抵抗運動・無政府主義・社会主義・共産主義などが、煉瓦の如く連続して行き、最後の棚は新刊書で埋められている。踵を返して左側の棚を帳場近くから眺め始めると、海外の思想書が集められ、それにつながるように大量の海外文学がきめ細やかに並び続ける…おぉ、ブルース・チャトウィンやジャック・ロンドンも網羅されているのが嬉しい。そして入口近くには、安部公房・大江健三郎・開高健・車谷長吉・金井美恵子・後藤明生・富岡多恵子などを核に、独特な日本文学の波が寄せ集まっている。平台には、カルチャー雑誌の揃い・海外文学・思想系雑誌の揃い等。とにかく体系的に並ぶ硬めの本(そこには松岡正剛の色濃い影が)たちに、圧倒されっ放しである。深く重い本棚である。こういう潔い古本屋さんを営むのは、とても勇気がいるのではないだろうか。値段は相対的にちょい高ではあるが、硬めの本にしては買い易いお値段と言えよう。帳場に近付き、ほんのちょっと高橋源一郎風と言えるような壮年男性に精算をお願いする。レジ操作に手間取るのは、開店二日目のご愛嬌である。大和書房「レムの宇宙カタログ/スタニスワフ・レム」(これは安値で、なんと喜びの六百円!)を購入する。表に出て、お店を視野に入れながら、辺りを見回してみる。長い白塀、墓場、木造家屋の裏側、蘇鉄、楠の巨木、反り返った寺の屋根…そんな景色の中に、新しい古本屋さんが出現していた。開店おめでとうございます。そしてあくまでも蛇足だが、その楠の巨木が生えている、南側の『大雄寺』の古めかしい境内に入り込むと、何と墓石と卒塔婆越しの古本屋さんと言う、奇景と言っても過言ではない幽玄な景色が拝めるのだ。ぬぉっ、素晴らしい!
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2018年12月15日

12/15トークイベント『旅と古本』!

三鷹と武蔵境の中間辺りの上連雀に流れ着くと、住宅街の中で恐ろしいことに交通事故を目撃してしまう。すぐさま119番に電話し(人生で初めて)、事故の通報者&目撃者となり、しばらく現場に留め置かれる。それにしても車のパワーと破壊力は凄まじい。この古の機械でさえも、結局は御し切れない人間と言う生き物は、全く持って愚かなものだと、事故現場で痛感する。解放されて三鷹駅方面に向かい、北側に出て「水中書店」(2014/01/18参照)を覗く。講談社「江戸川乱歩 評論と研究/中島河太郎編」が美本で帯付きで500円とは!と小躍りしつつ、岩波書店「日本の黒い夏/熊井啓編著」とともに計600円で購入しつつ、入口横のチラシ類もろもろラックから、「Title 2Fの古本市Vol.3」カードと、「古書ソオダ水」(2018/01/28参照)の洒落た今時のショップカードを入手する。

そしてみなさまお待たせしました。年の瀬の忙しい時にわざわざノンビリ開催する、古本トークの詳細がチラシの出来上がりとともに判明いたしました。
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チラシデザインは鉄道好きのイベント主催者「古書むしくい堂」さん(2017/03/25&2018/01/03参照)…素晴らしいくらいに思いっきり鉄道寄り、時刻表の表紙みたいだ。そして岡崎武志氏とトークさせていただくのは、実は二年ぶりになります。旅について、古本屋について、古本について、青春18きっぷと鉄道について、縦横無尽に話しまくる予定です。八王子への小旅行を満喫した後、古本屋さんでのトークを、ぜひともお楽しみ下されば幸いです!23日古本市後の六日後に、冬の八王子でお会いいたしましょう!
【日時】12月29日(土)18:00スタート
【参加費】1,000円
【場所】八王子「古書むしくい堂」東京都八王子市横山町10-17グエルスクエア八王子102
【ご予約・お問い合わせ】info@mushikuido.com tel:042-698-3994 http://www.mushikuido.com/contact/
※のプレゼントがあたる抽選会あり
※終了後、有志で忘年会へ
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2018年12月14日

12/14神奈川・みなとみらい 第1回駅ナカ古本まつり

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横浜方面へ向かう車中、日本小説文庫「隠亡堀/國枝史郎」を読み耽る。表題作の怪談の意外過ぎる展開に『國枝って天才だ!』と膝を打ったりしてしまう。やがて東横線は、横浜駅からみなとみらい線へと入り込んで行く。目的駅で降車し、エスカレータで階上へスルスルと向かう。だだっ広い階上はまだ地下で、クイーンズスクエア側の改札を抜けると、右手の大きく白く細長く、録音されたカモメの鳴き声がエンドレスで流れる空間に、古本のワゴンが大量に広がっていた。…まるで未来世界の古本市だ。ちょっと無機質で荘厳ですらある感じが…だが近寄ると、ワゴンにびっしりと詰まっているのは、紛れもなく見慣れた愛おしい古本たちである。四つのワゴンが一つの古本島を造り、それが五つ連なる列島が、三列並んでいる。ここは『みらいチューブ』という名のイベント会場で、ここで古本市が開かれるのは初めてのことである。これだけのワゴンがあるのだから、ジャンルはバラエティに富んでいる。全体的に古めかしい本はそれほどなく、一般的に寄った品揃えである。今は午前中で人影はチラホラだが、通勤客が帰る頃になると、恐らく混雑を極めるのだろう。空いている時間の利を生かし、一ワゴン一ワゴンを、耕すように検分して行く。…それにしても、吹き抜けて行く風が骨身に沁みる。地下空間故の独特な空気の流れが、古本の上を流れて行くのである。だがそれでも、大量の古本と妙な空間で対峙するのは、心ざわめく体験である。途中帳場台に近付くと、座っていた「グリム書房」さんから「昨日来るかと思ってましたよ」と声をかけられる。じっくりゆっくり見下ろして、河出書房市民文庫「太宰治集/小山清編」を購入する。いつ何処でも、時間を気にせず太宰が気軽に読めるようにと編まれた、二十三の短篇集。巻末の小山による解説が、太宰を天使の如く純真に褒めちぎっているのが、何ともいじらしく微笑ましい。この市は19日(水)まで。会期中は古本の無料鑑定も行うとのことである。

帰りに自由が丘で途中下車し、「西村文生堂」(2013/09/10参照)に立ち寄る。お店の七十パーセントが洋書屋さんになりつつあることに面食らいながら、それでもまだ残る和書に目を光らせる。中公文庫「ジゴマ/レオン・サジイ 久生十蘭訳」ハヤカワ文庫「ファントマ/スーヴェストル&アラン」を計550円で購入する。「ファントマ」が250円なのは嬉しい!
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2018年12月12日

12/12準備してます古本市。

午前中は古本市の準備をせっせと進める。まずは思い切って、キモになる古本たちを選びまくる。読了した本、長年積み上げっ放しの本、もう読まないと思い込んだ本、市用にセドッた本、涙を飲んで次の人へバトンタッチする本…とにかく悩んで悩みまくって、家内から収集する。あ、探していた羽田書店の「風の又三郎」(函ナシ)がこんなところに!などと小さな喜びを得ながらも、この作業はかなり神経を消耗するので、お昼前にはすっかり疲れてしまう。午後は早めの連載取材で外出。京浜方面に狙いを定め、開いていてくれ!と祈りつつ、とある商店街へ。ちゃんと開いてくれていたのでしっかり取材し、帰路に着く。その途中、武蔵小山に立ち寄り「九曜書房」(2009/03/26参照)を覗く。古本市が近付いて来ると、何だか妙に焦って、古本を買いまくってしまうなぁ…とため息をつきつつも、心は大いに期待に溢れてしまっている。おっ、今日は先客ありか。背の高い若者が腰を折り曲げ、五百均棚に目を凝らしている。負ける者かとその後を擦り抜け、奥から五百均棚に挑んで行く。しばらくすると若者は、スパスパと二〜三冊の本を抜き出し、帳場へと向かった。こちらは二本目の棚の上部で、岸田衿子のジュニア詩集を見つけ、心臓がトクン!教育出版センタージュニア・ポエム双書「だれもいそがない村/岸田衿子」である。私はこの詩人の、あるかどうかも分からない世界の縫い目を、優しく探し出して提示しているような詩が、大好きなのである。袖の岸田衿子の写真の下には『アランブラ宮の いりくんだつるくさのように わたしは迷うことがだい好きだ 出口から入って入口をさがすことも』と記されている。そのさらに下には『TOSHIBA EMI』のロゴがあり、『ポエムの森』4000円とある。さらに目次には、“*”が付いている詩は『「ポエムの森」朗読詩』とある。…これは、岸田衿子朗読のレコードが、この世に存在するんだな!とさらに興奮し、いつか聞いてみたいものだと、棚の前で新たなボンヤリとした欲望を胸に抱いてしまう。浪速書房「暴力新地図/毎日新聞社会部編」とともに千円で購入。何だか振れ幅の大きい二冊である…。
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2018年12月11日

12/11「ニヒル牛」に古本は…。

午後二時前に西荻南に流れ着く。さて、これから何処へ向かおうかと、不確かに中央線高架沿いで歩を進めていると、元たまの石川浩司が運営する、渋い店構えのレンタルギャラリースペースが目に入った。
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ガラス戸の向こうを透かし見ると、小さな木箱がたくさん組合わさり、そこに個性豊かな小さな創作物たちが飾られているようだ…むっ!あれは古本か?即座にカラリと戸を開けて、中に飛び込んでしまう。「いらっしゃいませ」の小さな高い声を振り切り、件の箱の前に顔を寄せる…くぅ、同人誌だったか。他にも本を入れた箱があるようだが、すべて同人誌である。何故か古びたノートを模したデザインが多いのが大変不思議である。内向きに作家性の高い、小さなクリエイションたちの中に迷い込んだ形になってしまった。尻尾を巻いて、レジに一瞬会釈をして、無様に退散する。…ふぅ、エネルギーを少し吸い取られたかな…。高架下を潜り、北側の道を荻窪方面に向かって歩いて行く。谷底の有名蕎麦店『本むら庵』は定休日か…そこから坂を上がって、高架方面に曲がり込むと、営業時間が異様に短い古本屋さん「絵本タイム猫タイム」(2016/02/19参照)があるはずだが…おぉ、ある!ウィンドウにちゃんと絵本が飾られている。だが、営業していない!窓に貼られた紙に注目すると、営業は午後二時半からとなっていた。現在午後二時…この寒空の中、三十分も待つのはとても耐えられない。ごめん、「絵本タイム猫タイム」!とあっさり入店を諦め、さらにテクテク歩いて盤石の「竹陽書房」(2008/08/23参照)にたどり着く。低い位置にセッティングされたテレビを見ながら健康チェックに余念がないオヤジさんの行動を気にしつつ、岩谷書店「増刊 宝石 エロティック・スリラー二十人集」ちくま文庫「ぼくの東京全集/小沢信男」ほるぷ名著復刻全集「在りし日の歌/中原中也」を計800円で購入し、そう言えば昨日も来ていた荻窪を後にする。

そろそろ発売になっている「本の雑誌 猪突猛読新年号」の連載「毎日でも通いたい古本屋さん」では、祖師ケ谷大蔵の「祖師谷書房」で良い本を買っております。このお店は駅から意外に歩き、町外れといった所にあるのですが、頻繁に足を運ばずにはいられない魅力を秘めているのです。特に左側通路の児童文学の山は絶品で、いつかここで佐川茂の「ミルナの座敷」が安値で買えないものかと、甘い甘い甘い夢を見て日々暮しているのです…。
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2018年12月10日

12/10探偵小説のお仕事あれこれ。

月曜は恒例の「ささま書店」(2018/08/20参照)定点観測。凍るような寒さのためか、珍しく店頭には誰もいない。ポケットの中に手を入れたまま、首を竦めて店頭棚と対峙する。今日は東京関連の本が多い。どうにも暖まらぬ指先で、共に函ナシの、第一書房「随筆集 都會情景/戸川秋骨」春秋社「思ひ出す人々/内田魯庵」(神戸・三宮「後藤書店」の古書店ラベルあり)を計432円で購入する。そしてレジ脇に置かれた、昨日岡崎武志氏がブログで紹介していた、三鷹「水中書店」(2014/01/18参照)謹製の「中央線と井の頭線 たのしい古本屋マップ」も入手する。後は家に閉じこもって仕事をこなさねばならぬので、今日の古本的行動はこれでおしまい。だがこれではあまりにも味気ないので、その私を閉じ込める仕事について、すでに作業を終えている上に、楽しい探偵小説絡みのものを幾つか慰みに紹介しておこう。
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まぁ私が探偵小説絡みの仕事を依頼されるのは、そのほとんどが「盛林堂書房」(2012/01/06参照)さんからである。だがそんなお仕事を楽しくこなしていると、いつしかミステリアス文庫のブレーンからも、これも楽しい仕事が舞い込むようになった。おかげで十二月初めには、四冊の表紙デザインをほぼ同時にこなすことになってしまったのである。(後掲の画像はすべて表紙と裏表紙の展開図)

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『盛林堂ミステリアス文庫』からは、まずは西條八十のクレイジー少女探偵小説「あらしの白ばと 地獄神の巻・パリ冒険の巻」。探偵小説作家・芦辺拓氏が四年の長きに渡り心血を注いで編集して来たシリーズも、ついにこれが最終巻。メインキャラから雑魚キャラまで、果てはアイテム類までも力の限りにぎっしり詰め込んだ表紙絵を、毎回玉川重機氏が描き上げてくれていた。そのため定型デザインは、イラストにそれほど文字が架からぬよう、枠を取って逃がすようにしていたのだが、それでも端っこまでキャラが嬉しそうに飛び回っているのには、何度も苦しまされました。

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こちらは作家の突然の死去により、コナン・ドイルがその最終回を書き継いだという、看護婦素人探偵が活躍する「ヒルダ・ウェード」。『ヒルダの挿絵を使って下さい』との依頼だけで、後は丸投げだったので、とにかく格好良くキリッと仕上げてしまおうと決め、主人公が看護婦というのも相まって、こんな感じになりました。

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続いて『東都 我刊我書房』からは、平井呈一と共に、永井荷風のニセ色紙やニセ短冊や、果ては「四畳半襖の下張り」を流出させた男の著作集「真間 伊庭心猿著作集」…それにしても衝撃的なペンネームだ…。そんなイメージから、とにかく如何わしい雰囲気を漂わせたくて、古い色刷りの印刷を集め、拡大し合成し変形させてバックに敷いてみたら、上手くイメージと重なってくれた。ちなみに題字は永井荷風の揮毫である。おかげでカバー袖に、畏れ非常に多くも荷風の名と私の名が並ぶ光栄に浴することが出来た。ありがたや、ありがたや。ちなみにこれだけは、NOT探偵小説であります。

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こちらは打って変わって大下宇陀児の戦前少年探偵小説「黒星章〜黒星団の秘密」である。依頼は『軍人手帳みたいにして欲しい』というざっくりしたものであった。しかしそんなことを言われたら、思いっきりそうするのがベストだと思ったので、バックにキャンパス布地の画像を敷いて組み立てると、結果こんな愉快な表紙に。表4の記名枠と『東都 我刊我書房製』の文字が我ながら微笑ましい。

すべて十二月後半には盛林堂の店頭や通販サイトで購入出来ると思うので、ご興味ある方はぜひ。
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2018年12月08日

12/8 Rono and the Coconut-crabsが英題!

まずは昨日の出来事から。古本市に行った後は、家でおとなしく仕事を進める。だが、デザインしているカバーの背幅のサイズが、なかなか決定しないので、気晴らしに改めて古本を買いに行くことにする。向かった先は中野。『中野ブロードウェイ』に潜入し、四階の人影の少ない「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)で、赤い書棚の間を回遊する。すると目についたのが、通路に面した百均の大判本棚。福音館の「こどものとも」が三十冊ほど出ているな…古いのもちょこちょこ混ざっているようだ。この二〜三十ページの薄い中綴じ本をチェックするのは断然面倒なのだが、一度調べ出すと、どうにも指が止まらなくなってしまう…おっ、やった!「やぎのはかせのだいはつめい/槇ひろし」発見!これだけでもチェックした甲斐があるものだと、心中に狩猟的満足感をジンワリ広げる。だがさらに冊子を繰って行くと…うわ!「ローノとやしがに/北杜夫さく・得田壽之え」が出て来たじゃないか!しかも復刻版じゃなく、1963年のオリジナル版だ!「まんだらけ」がこれを見逃していたとは…そしてそれを無事に見つけられたとは…ここに気晴らしに来て本当に良かった。「やぎのはかせのだいはつめい」とともに、計216円で購入する。
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本日は武蔵境に流れ着いたので、ブラリブラリ歩いて「プリシアター・ポストシアター」(2015/01/03参照)へ…ありゃ、閉まっている。そうか、今は所沢の古本市の真っ最中だったか。あっさり諦めて駅の北側に出て、本がたくさん積み重なっている「浩仁堂」(2011/02/15参照)へ。店内棚にギョロギョロ睨みを効かせ、毎日新聞社「びんぼう自慢/古今亭志ん生」「ひげとちょんまげ/稲垣浩」廣済堂「寄席放浪記/色川武大」を計500円で購入する。市川崑装幀の「ひげとちょんまげ」をパラパラ読みながら帰るが、往時の映画界が制作側の視点から生き生きと描かれ、写真も豊富で物凄く面白い。なんだか無闇に京都に行きたくなって来る。
posted by tokusan at 17:56| Comment(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする