2019年07月26日

7/26本の雑誌スッキリ隊・イレギュラーズ!

本日は「本の雑誌」次号に掲載の新企画『本の雑誌スッキリ隊がゆく!』(「本の雑誌」読者の蔵書を、古本屋+編集長&ひとり営業のチーム“本の雑誌スッキリ隊”が片付けに参上!)の一環として、すでに一度取材を行った某宅に、古本屋チームの手伝いとして赴くことになったのである。要は古本屋さんの下働きである“本の雑誌スッキリ隊・イレギュラーズ”ということである。古本屋チームは、「古書現世」(2009/04/04参照)向井氏・「立石書店」岡島兄氏・「古書英二」岡島弟氏の三人である。自宅前でハイエースの古書英二号(運転は岡島兄)にピックアップしてもらい、一路山梨県・勝沼を目指す。
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ところが都内の環状線が激しく渋滞、あまつさえ高速に乗っても朝なのに下りが渋滞しており、何となく躓いた気分になる。途中『談合坂SA』で借りて来た軽バンに乗った岡島弟と合流し、勝沼で高速を下りて、葡萄畑で出来た緑の迷路のような道をひた走り、どうにかおよそ三時間弱かかって目的宅に到着。矍鑠とした老依頼主と挨拶を交わし、早速作業に入る。前回すでに大量の本を運び出しているのだが、それでもまだ二階の部屋部屋には本がドッサリと残されているのだ。一部屋では壁の二面に大きな棚が張り付き、
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一部屋には二本の本棚、そしてVHSビデオ部屋を通過して入れる書斎には可動式の書庫が付属しており、都合壁棚も含め十本の本棚が犇めいている。
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向井氏と岡島弟は書斎で本の選別と結束に入り、岡島兄は壁大棚二本の部屋で選別と結束に入る。ここで面白かったのは、三店の古本屋さんの欲しい本があまり重ならぬところ。それぞれがそれぞれ得意の分野や、お店での本の並べ方や、催事での売り方などに合わせて、それぞれがすぐに売りに出せそうな本束を生み出していくのだ。函ナシの「断腸亭日乗」を「これは持って帰ろう。この方が安く買えて、素早く売れることがあるんです」と即座に縛り上げる岡島弟の独特な考え方に感心する。また床に胡座をかき、膝の上で本を縛り上げる奇妙なテクニックにも感心することしきり。巨躯の向井氏は、安楽椅子にドッシリ腰を落ち着けたまま、次々と本束を造り出して行く。岡島兄はスローペースだが、本の仕分けが物凄く丁寧。「普段はここまでしないんだけど、こうしといた方が後が楽」と楽しそうに作業している。イレギュラーズの私はと言えば、本格的な出番は結束本の運び出しにあるので、今は本束を空いている部屋や廊下に積み上げたりしながら、「欲しいのがあったら持って行っていいですよ」と言われているので、気になる本があったら遠慮なく抜き出して行く。なんたって、今日の作業の報酬は古本オンリーなのだ。力一杯働く代わりに、遠慮なくその代価として、素晴らしい逸品を手に入れなければ!と相変わらずの卑しい古本心を熱く燃やして、各部屋を行ったり来たりする。…窓の外に見える夏の葡萄畑が、何とも言えない美しさである…。
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三時間ほどかけて、ほとんどの本の結束を終え、運び出し作業に入る。向井氏が二階の上がり口に本を集め、私がそれを階段で受け取り、玄関まで下ろして積み上げると、岡島弟が玄関前に着けたハイエースにドシドシと積み込んで行く。岡島兄は残りのチェックや本以外に使えるものを集めて行く。およそ四十分ほどで、大小百本ほどの本束を、依頼主に「本は重いですなぁ。フォッフォッ」と言われ、汗みどろになって運び出し、体内のエネルギーをすべて使い切ってしまう。その報酬として十冊ほどの本をいただくが、一番のスゴい物は、本ではなく一本の短いフィルムなのであった。岡島兄が仕分けた中に、奇妙なボール箱が二つあり、ともに『引火しない面白くて為になるライオン.フィルム』とハンコが捺されている。蓋を開けると四角い小箱が十個収められており、その小箱の中にはさらにフィルムが巻かれて入っていた。幻灯機用の駄玩具着色フィルムらしいが、そのラインナップが大変に素晴らしい!『鉄人28号』『遊星王子』『鉄腕アトム』『鞍馬天狗』『月光仮面』『七色仮面』『丹下左膳』などであるが、その中の一本に『怪人廿面相』が含まれていたのだ!『ララミー牧場』と合巻になっているそのフィルムを丁寧に開き、ゴクリと唾を飲み込みながら電灯に翳して見る。
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内容は二十四コマあり、金の塔を狙う怪人廿面相と明智&小林コンビが知恵比べするというもの。だがストーリーは大雑把につながっているダイジェスト版的な感じなので、もしかしたら付属の脚本みたいなものを弁士よろしく読み上げながら、紙芝居のように上映するのかもしれない。こ、これは貴重で素晴らしい物だ!と一人大大大興奮してまう。
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で、で、で出来れば報酬にいただきたいのだが(欲望は既に丸出しで止まらない…)、これをいただいてしまうと、小箱がせっかく十個揃って完品なのが崩れてしまう…うぅ〜ん、諦めるか…あっ!そう言えばもうひとつ箱があったな!と思い出し、そちらも開けてみると、こちらのフィルムは何故かモノクロバージョン。そしてフィルムは小箱ではなくフィルムケースに入っている。あっ、こっちにもちゃんと「怪人廿面相」があるじゃないか、しかもこちらは完品じゃないので、思い切ってお願いしてみよう。と部屋に入って来た岡島兄に「岡島さん、このフィルム、完品じゃないしかもモノクロフィルムの方、一本だけいただいてもいいですか?」とお願いすると、至極あっさり「いいですよ」と答えていただく。うわぁい!と気持ちを抑え切れず小躍りすると「すげぇ真剣に言われるから、何かと思いましたよ」と笑われる。いや、この貴重な一本のフィルムが手に入っただけで、ここに来た甲斐がありまくりなのです!本の雑誌スッキリ隊、バンザイ!ととにかく無邪気に大興奮する。帰りは帰りでまたもや高速でヒド過ぎる渋滞に巻込まれたのだが、とにかく廿面相のフィルムが嬉しくて、始終ニヤニヤホクホクしていた次第。
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2019年07月25日

7/25下北沢でライトに古本を買う。

突然の夏!ようやく聞いた蝉の声!襲いかかる懐かしくもある暑さ!その暑さにすっかり弛緩した野良猫たち!そんなことを感じながら、夕方近くに笹塚と下北沢の間に流れ着く。笹塚からすぐ京王線に乗り込んで帰っても良いのだが、やはり古本は買って行こうと、ちょっと歩いて下北沢へ。『下北沢一番街』の「古書明日」(2017/01/31参照)では、二人の老古本修羅と場所を譲り合いながら、集英社文庫「一滴の夏/野呂邦暢」を300円で購入する。続いてフラフラと「ほん吉」(2008/06/01参照)にたどり着き、店頭棚に縋り付く。たくさん並ぶ中文乱歩本に心惹かれるが、所詮は読めないのでそっと棚に戻す(挿絵は日本のものをそのまま使っているのでいいなぁ…)。だがその棚の端っこに、光文社「少年探偵 灰色の巨人/江戸川乱歩」を見つけたので、喜んで抱え込む。十刷でカバーナシの裸本だが、それでもこのシリーズが百円で買えるのなら万々歳である。ほぅ、中を開くと当時のスリップが挟み込まれたままではないか。…とこのように、下北沢でライトに古本を買い、帰路に着く。さて、明日はある企画の外伝に参加し、遠出しなければならないのだ。ビールでも煽って早く寝付き、体力の回復に努めることにしよう。
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2019年07月24日

7/24原田治旧蔵書!

荻窪からバスに乗車し芦花公園に向かう。駅の北側でバスを降り、南に線路を越えて、一路『世田谷文学感』へ。現在『原田治展「かわいい」の発見』が開かれているのだが、先週の金曜日に観覧した文庫善哉さんからその日のうちに急報が入り、一階のグッズ売場で原田治の旧蔵書が300円均一で売られているというのだ。ほとんどが函ナシやカバーが剥がされた本で、売り上げは環境保全団体へ寄付されるとのこと。本当はすぐさま駆け付けたかったのだが、色々あって本日の出撃となってしまったのである。『明日にはほとんどなくなっているかもと思いつつ、これは面白いのではないかとタレ込んでみます』と言われていたので、激烈な人出の土日を乗り越え、少しでも残っていることや補充されている可能性に縋りつつ、すでに女子がさんざめく入口を突破する。すると直ぐ左に、件のカートが目に入り、最上段にまだ十冊弱の本を残しているようだ。やった!と喜び、すぐそちらを見に行きたかったのだが、受付のお姉さんと目が合い「いらっしゃいませ。展示のチケットですか?」と言われてしまったので、おとなしくチケットを購入し、まずは展示から観ることにする。グッズ売場の商品やガチャガチャは人気だが、誰一人として旧蔵書に興味は持っていないようだ…この分なら大丈夫だろう。そう高を括りながらも、展示の前を通る足は、自然と早足になってしまっている。それでも、展示の質の高さと量には充分圧倒される。主にイラストレーターとしての仕事をまとめてあるはずなのだが、すべてが絵ではなく物欲を刺激する物資として感知され、POPと原色と太線とアメリカと日本が融合した不変性と永遠性を維持し続けるパラダイスに首まで浸かる。カルビーポテトチップスのキャラは原田治だったのか…「幻想と怪奇」の表紙もやっていたのか…岸田衿子との見たこともない幼児用の絵本はいつか手に入れなければ…蔵していた北園克衛『PLASTIC POEM』や小村雪岱の木版画がスゲェ!…そう言えばこの間「ささま」均一で買った「57人のブラッドベリアン」は装幀も挿絵も原田治だったな。帰ってから改めて良く見てみよう…などと感じ考えながら、足早に観覧終了。続いて一階の展示室で開かれているコレクション展『仁木悦子の肖像』も楽しむ。小規模ながら、直筆の原稿やプロットや書簡類を集めた見応えのある展示である。推理小説関連も良いのだが、紙芝居の「うそつききつね」や自家製童話集「ありとあらゆるもののびんづめ」、スミセイ児童文庫版「消えたおじさん」、雑誌「こどもの光」に連載されたジュニアミステリ「口笛たんてい局」の分厚い原稿束に特に目を細めてしまう。四枚蛇腹折りのパンフ代わりのリーフレットを入手する(裏面には一面に日下三蔵氏の寄稿が!)。そしていよいよグッズ売場の片隅へ。ラックカートの前に立つと、娘さん直筆の説明POPが付けられている。歴史系の本が多いのが不思議なところ。新潮文庫の「Xの悲劇」があるな…などと悩みつつ、結局はこれはちゃんとカバー付きの岩波文庫「特命全権大使 米欧回覧実記(一)」を買うことにする。この文庫は中を開くと、ページを折った跡があり、蛍光マーカーで所々に線が引かれているのだ。普段だったら決して買わぬ『ラインあり』という本なのだが、これが原田治が引いたのなら話は別となって来るのだ。購入してレシートをいただくと、ちゃんと品名が『原田治旧蔵書』となっているではないか。展覧会のチケットとともに、大事にこの本に挟んでおくこととしよう。それにしても展覧会の会期は9/23までなので、また旧蔵書が補充販売されると面白いのだが…。
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2019年07月22日

7/22駅頭で献本を受け取る。

気にならぬほどの小雨が降る中、荻窪まで歩いて「ささま書店」(2018/08/20参照)を定点観測する。店頭はビル庇の下に単行本棚が二本、入口に跨がるように文庫本棚が一本、そして奥の帳場脇に新書&文庫棚が一本の布陣である。トレヴィル「フェティッシュな時代/古井由吉×田中康夫」広済堂「鉄道模型入門/水野良太郎」を計216円で購入する。元来た道を素早く戻り、阿佐ヶ谷の駅頭で東都我刊我書房の房主と待ち合わせ、仕事の話を少しして、二冊の献本を受け取る。
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表紙デザインをお手伝いした「亂刀/泉斜汀」と「仮面城/大下宇陀児」である。「亂刀」は最近一部で人気急上昇中の、泉鏡花の弟の捕物帳作品集。同じく斜汀の近日発売幻戯書房「百本杭の首無死体」と同じ『彌太吉老人捕物帳』として対を成す本で、中編の「亂刀」と短篇「左官の土」「金時金平」を収録している。表紙デザインの依頼は『◯◯にそっくりにしてくれ』という、身もふたもないものであったので(お、俺はどんな仕事でもするのさ!)、このような瀟洒な装幀と成り果てた。分かる人には即分かるほど似ているはずだ。ちなみに表紙中央の丸十マークは、「亂刀」に関わって来る島津藩の家紋である。「仮面城」は我刊我書房が「空魔鉄塔」「黒星章」に続いて放つ、大下宇陀児第三弾。しかも今回は“少女探偵小説”なのである。『表紙に不穏な言葉を散りばめてくれ』という依頼だったので、本文から一生懸命に探し出し、それらをカチャカチャと打ち込み、桃源社の『大ロマンの復活シリーズ』風に仕立て上げた。ともに「盛林堂書房」の店頭や通販サイトで購入出来るので、ご興味のある方はぜひ!帰りには「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に立ち寄り、店頭棚に文藝春秋新社「海と毒薬/遠藤周作」(昭和三十三年初版)を見つけたので103円で購入する。口絵写真の遠藤周作が、ロケーションも含め、何だか作家とは思えぬ素晴らしいポージング!これは上質なスナップである(「ここどうするの?渡るの?え?今?」などと言っていそう…)。
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それにつけても遠藤周作を見て思い出してしまうのは、竹中直人のモノマネである。松本清張のモノマネと同じく、作家のモノマネというジャンルは、インパクト大の未踏の大陸であった。あまりにも未踏過ぎて、続く者が誰もいなかった…あ、かろうじて、友近の山村美紗があるかな…いや、あれは泥棒に変装した山村美紗に夜中急襲される山村紅葉のモノマネだったか…。
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2019年07月20日

7/20報酬に古本を受け取る。

午後一時過ぎに上荻に流れ着いたので、ブラブラ南に歩いて、お馴染み「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に顔を出す。土曜均一市の残り物に福はあるかな?と均一店頭に目を凝らす。すると、売れ残っていた白革背の本を手に取ると、第一書房「佛蘭西短篇集 詩人のなぷきん/堀口大學譯」(函ナシ)だったので、おぅおぅ、良く残って待ってくれていたなぁと破顔し、河出書房探偵小説名作集4「横溝正史集」とともに計200円で購入する。そして仕事の打ち合わせをアレコレ。ここ最近、怒濤のようにデザイン仕事した探偵小説関連が、発売になったりもうすぐ発売になるはずなので、近々まとめてご紹介いたします。そして小野氏からはある仕事の報酬を、ここでは良くあることとして古本で受け取る。小西書店「世界各國犯罪實録/松本泰編」である。
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大正十四年の異装再版。博文館の『探偵傑作叢書』を意識したのか、表紙に素敵な色刷りの禍々しい別紙が貼付けてある。日本も含む世界各国の犯罪談話十五編を収録。大正時代の本だ。嬉しい。俺は、古本の為に働いているのだ!ビールでも飲みながら、ジワジワ読み進めることにしよう。…とまぁ、古本的にあっさりした報告になってしまったので、昨日出会った江戸川にゃん歩の、さらなる素晴らしい写真をどうぞ。
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玄関ポーチからアプローチに佇むにゃん歩を撮影。うむ、やはり文句なしにカワイイ!
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2019年07月19日

7/19江戸川にゃん歩!

正午前に外出し、池袋へ。西口五差路際の立食い蕎麦屋『君塚』で昼食。久しぶりに『ウィンナーそば』をと思ったが、いつの間にかメニューから消えていた。代わりに肉厚で噛めば噛むほど味が出る『いか天そば』を啜る。お腹を満たしてさらに西に歩き、光文社一階にある『ミステリー資料文学館』に到着。ビル建て替えのため、今月でその活動を終了してしまうので、慌ててとある資料集めに駆け付けたわけである。重いガラス戸からひんやりとしたエントランスに入り、左のまたまた重いガラス戸を押し開けると、さらにひんやりとした資料館内。ミステリ資料に相応しい冷たさが横溢している…。左に受付カウンターがあり、目の前にはすでにたくさんのミステリや探偵小説や雑誌類を並べた本棚が見えている。入場料300円を支払い、カバンをロッカーに預け、早速資料探しに取りかかる。平凡社「江戸川乱歩全集」や新潮社「新作探偵小説全集」などに手を伸ばしたい気持ちを抑え込み、古い雑誌群に目を通していいく…おぉ、「密室」もあるのか、スゴいな。などと感心しつつ苦労しつつ、どうにか目的の二冊を見付け、目的の作品が掲載されているのを確認する。受付に申し出て、十枚ほどコピーする。およそ三十分ほどで目的を達成し、最初で最後となる『ミステリー文学資料館』体験を終える。そうだ、「ますく堂」(2018/01/04参照)にでも寄って行くかと、目の前の大通りを横切り、脇道に分け入って行く。するといつの間にか『旧江戸川乱歩邸』前に出てしまった。しかもたまたま公開日だったので、ちょっと覗いて行くことにする。門柱にある『平井太郎』の表札に一礼し、特徴ある円弧を描く石畳敷きのエントランスを伝って行く。玄関内の展示スペースに入ると、おぉ!ガラスケース内には合作「殺人迷路」の仙花紙本が飾られている!こんな本、見たこともないぞ。しかも乱歩蔵書だから経年劣化はあるが。状態がイイ!などと興奮していると、立ち入れぬ玄関上がり框の向こうから、チャラチャラと鈴の音が響いて来る?…何だ?誰か来る?…チャラリチャラリ…生き物の気配…。するとガラスケースの横から顔を出したのは、鈴付き首輪を付けた、一匹の白黒猫であった。ら、乱歩邸に猫が何故!まさか『大衆文化研究所』に飼われているわけはないし、ご近所の猫が勝手に出入りしているのだろうか?などと考えていると、『ニャオ〜ウ』と鳴きながら、足に顔を擦り付けて来る。うぉぉぉぉ、なんて可愛いんだ!咄嗟にしゃがみ込み、頭を撫でる。顎を撫でる。猫がゴロンと転がる。腹を撫でる。ゴロリゴロリと寝返りを打つ。さらに撫でる。尻尾の付け根もリズミカルに刺激する。『ニャオニャオウ』!旧乱歩邸の玄関内で、激しく猫と戯れてしまっている。ここは玄関とは言えども、一応今は展示室内。あまりここで猫とじゃれあうのはよろしくないかもしれない。そう冷静に考え、一度猫から手を離して立ち上がり、玄関先へ移動する。すると猫も立ち上がり場所の移動に同意するかのように後を付いてくる。そして再び前述のような行動を繰り返す…転がる猫の首輪に目をやると『ノア』と名前が書かれていた…そうかノアって言うのか…でもお前は乱歩邸の中から出て来た…そうだ、にゃん歩だ!お前は江戸川にゃん歩だ!などとニヤニヤしながら勝手に名付けてしまうと、隣りの『大衆文化研究所』の扉が開き、男女二人の学生が出て来た。途端に激しく戯れているのが恥ずかしくなり、慌ててにゃん歩の側を離れ、再び玄関先に飛び込む。すると二人はすぐさまにゃん歩に飛びかかり「すげぇ、こいつ全然逃げない!」「カワイイ!」などと喜びつつ、激写大会が始まってしまった。あぁ、俺ももっとにゃん歩を触りたい!と慟哭しながら場を譲り、泣く泣く旧乱歩邸を後にする。その後は初期の目的通り、ちゃんと営業中の「ますく堂」に立ち寄り、ますくさんが最近行って来たと言う大阪や名古屋の古本屋話に花を咲かせる。山田書店「女ざかり/小山いと子」を300円で購入し、初めて作ったと言う手作り感丸出しのスタンプカードをいただく。帰りは中村橋まで出て「古書クマゴロウ」(2018/03/21参照)に立ち寄る。カッパブックス「英絵辞典/岩田一男著 真鍋博絵」潮文社「続世にも不思議な物語/中岡俊哉」を計216円で購入する。「英絵辞典」は全ページに真鍋博の細かなイラストが花開く、“真鍋博イラスト集”とも言える名作である。
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コイツが“ノア”改め“江戸川にゃん歩”!皆様も旧乱歩邸でこのプリティーな猫に出会えることを祈っております。
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2019年07月18日

7/18「名人地獄」に堕とされる。

今日は吉祥寺と西荻窪の間に流れ着くが、急ぎ家に戻らねばならぬ事態が発生したので、おっとり刀で阿佐ヶ谷へ。駅前で偶然出会った「ゆたか。書房」」(2008/10/19参照)のオヤジさんと会釈を交わしつつ、何処の古本屋にも寄らずに家へ…残念ながら古本との触れ合いはナシか…と肩を落としていると、いやいや、ポストにヤフオクで落札した古本が届いているではないか。手早く急用を済まし、ボール紙の封筒をひっちゃぶき、本を取り出す。
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聚芳閣「名人地獄/國枝史朗」(大正十四年初版、函ナシ)である。3100円と、ほどほどの値段で落札。ウフフフ、大正末期の國枝作品…それをオリジナル本で読めるなんて!とちょっとページを開いてみると、もう読む目とページを捲る手が止まらない。落語の語り口ののようなスピーディーな國枝節に脳を冒され、たちまち“名人地獄”にたたき堕とされ、何処へ転がるかまったく予想のつかぬ物語にフムフムフムフムと振り回され続けてしまう。透明なガラス窓からすべてを見通すように科學的探偵をする隠居の與力『瑠璃窓の郡上平八』。蟹歩きの驚くべき早さで移動し、名鼓の音で黄金の在処を探り江戸を荒し回る『鼠小僧』。前に突き出した拳の後に隠れ、一部の隙も見せない『北辰一刀流直正伝拳隠れ』を使う剣客『平手造酒』。とにかくすべてに退屈しまくっている能役者『觀世銀之丞』。『待ったなし流』という我流の剣法で平手造酒を圧するほどの腕を持つ上州の博徒『国定忠次』。毒草のように病的に美しい武士『富士陣内』。追分の名手『馬追いの甚三』。神の如く強い剣聖『千葉周作』。これら以外にもまだまだ出て来る名人たちが、絡み合い縺れ合い、印象的なシーンが次々と頻出する、國枝のTHE・伝奇小説!うぁぁ、こんな伝奇小説にドライヴする興奮は久しぶりだ!ととにかく喜ぶ。冒頭の自序を改めて読むと、この小説がたった四ヶ月の『サンデー毎日』連載であったことが書かれている。煌めく才能というものは、全く持って恐ろしいものだ…そう感心しながら、物語の続きにまたもや没入して行く。それにしても、本の装幀は岡本一平なのだが、表四の悪戯描きのような、力の抜けた四色の人魂と猫の絵が、たまらなく愛おしい。この猫、もしかしたら後半にで出て来て、大暴れでもするのだろうか…?
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2019年07月17日

7/17東京・吉祥寺 BOOK MANSION

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正午前に高井戸の南に流れ着いたので、そのまま井の頭線で吉祥寺に出て、本日オープンの小さな個人書店がたくさん並ぶ貸し棚店を見に行くことにする。お店の主宰者は、有名な三鷹の無人古本屋「BOOK ROAD」さん(2013/04/17参照)である。色々突飛なことを仕掛けるのが、好きな方と見た!駅北口を出て西に向かい、『パルコ』前で『吉祥寺通り』を北東へ。一つ目の信号で『東急』と『みずほ銀行』に挟まれた『公園通り』に入ると、左手の二階には「百年」(2008/09/25参照)が見えている。その前をテクテク通り過ぎ、一本目の脇道をやり過ごすと、建物に挟まれたような小さな『バツヨンビル』が現れる。道に面した漆黒のビルの案内断面図を見ると、地下一階が件のお店である。左を見ると鉄の扉が開いており、地下への急階段が下っている。ちょっと覗き込むと、ガラス扉の向こうには本棚が見えている…看板も何も出ていないので、開店しているのだろうか?とドキドキしながら階段を下りると、奥に見える帳場には青年が一人立ち、先客の応対をしている。大丈夫そうだなと安心して店内へ。白タイルと剥き出しのコンクリ壁に、天井までの木棚が造り付けられている。7×13×2で、およそ180ほどの枠があることになる。「いらっしゃいませ」とフレンドリーに話しかけて来た店主から、今のところ左が貸し棚で埋められ、右は自分の本で埋めているとのこと。貸し棚分の78枠はすべて予約済みで、これから徐々に搬入が行われて行くそうである。両壁が多様性のある棚となって完璧に花開くのは、だいたい八月くらいになりそうとのこと。つまり今はまだゆるゆるとプレオープン中と言った形なのであろう。それでも左側の棚にはすでに個性溢れる棚作りが多数展開されており、テーマでまとめた枠や(『うしろすがた』『チョコレート』『歴史』『言葉』『ハヤカワ文庫』など)、好みの本を並べた枠や、読み終えた本を並べた枠や、同人誌を並べた枠などが目を惹き付ける。それぞれの冊数は、だいたい十〜二十冊と言ったところだが、まるで「一箱古本市」の箱を一ヶ所に集めてギュッと並べた感じである。フムフムとじっくり眺め、「麦文庫」という名の棚から、ポプラ社「八本足の蝶/二階堂奥歯」(2013年第2刷)を取り出し、600円で購入すると、店主に甚く喜ばれ、写真まで撮られてしまう。そして「500円以上お買い上げの方には、この機械で綿菓子を作っていただきます」と、訳の分からない行為をプレゼントされる。気付くと帳場の隅には、確かに円筒形でダンダラ模様の屋根が被さる、綿菓子機がドデンと置かれているではないか…予想外の展開に半笑いになりながら「一体何故こんな物が…」と呟いていると、割り箸とコインを一枚渡され、「コインを入れたら中央の機械が回り始めます。しばらくすると大きな音がするので、よく見ていると糸みたいのが出初めて来ます。割り箸自体を指先でくりくり回しながら搦めるようにすると、よく取れるはずです…私は全然美味く出来ませんでしたけど…」と説明を受け、なしくずしに綿菓子作りがスタートしてしまう。コインを入れる。ビューンと中央の機械が回り始める。しばらくすると『バコン!』と大きな音がし、何だか甘い匂いが漂い始める。「あっ、そろそろですよ」と言われ、注意して空洞の小さな流れるプールのような空間に目を凝らすと、ホントだ!砂糖の糸がエクトプラズムみたいに出現している。慌てて割り箸を突っ込み、くりくりと細かく回転させながら、さらに空間内を行ったり来たり動かし続ける。すると思いの外上手く搦めとることが出来、段々と形を成して来る。周りで固唾を飲んで見守っていたお客さんたちからも「上手い上手い」と声が上がり、手は必死に動かしながらも、大いに照れてしまう。無事に完成したところで、またも激写され、綿菓子を持ったまま、吉祥寺の街に放り出される。…あぁ、昼日中に、大の大人が綿菓子を持ち、何をしているのだろうか…。ヤケになってパクリと噛み付くと、すぐさま溶ける飴の糸が、強い甘さを脳にガツンと伝達して来た。はぁ、美味いなぁ。
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2019年07月16日

7/16成城堂書店の書皮

朝から原稿を書いて過ごし、お昼前にきっちりアップ。早めの昼食を摂って、『ラピュタ阿佐ヶ谷』に楽しみにしていた添えもの映画『化け猫御用だ』を観に行こうとするも、緊急性の高い仕事に搦めとられ、家に足止めを食らう…噫々…。仕方なく手早く対応しながら、待ち時間に手近にあった凶悪銅線縢り本の「酒場ルーレット紛擾記/橘外男」をヤケ読みする。橘自身と思しき主人公が、阿蘭陀人と手を組み、銀座にバーを開店するお話。洒落てユーモア溢れる味わいが何だか谷譲次に似ており、酒場に次々巻き起こるトラブルに思わず独り笑いしてしまう。その中で酒場を訪れた上客として、『巴里帰りの有名なオカッパの友田融治画伯』『有名な鳥類学者の大須賀博士』など、モデルを特定出来る人物が上げられいた。…藤田嗣治や蜂須賀正氏が橘外男と、瞬間人生をクロスさせていたなんて…などと楽しい想像を繰り広げ、映画を見られなかった悔しさから逃避する。そんなこんなですべてを終えて、ヒドくなっていた雨も上がったようなので、憂さ晴らしに古本を買いに出かける。高円寺にビシャビシャと向かい、まずは「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)に飛び込む。小学館「小学六年生9月号付録 夏休みの工作と手芸 アイディア50選」朝日文芸文庫「魔都/久生十蘭」を計500円で購入する。買った古本をエコバッグに放り込み、ブラブラと南へ。駅を通り過ぎ、雨のせいなのかいつもより人通りの少ない『ルック商店街』をテクテク。「アニマル洋子」(2014/03/14参照)は結構久しぶり。店頭&店内ともにじっくりと眺め、彰国社「近代建築家3 ブルーノ・タウト/藤島亥治郎」新潮社「白蟻の巣/三島由紀夫」を計200円で購入する。両冊とも、かなり嬉しい拾い物である。
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「白蟻の巣」を箱から取り出すと、本体には古い書皮が掛かっていた。清水崑のイラストを使った『成城堂書店 成城学園駅南口前』のものである。場所は異なるが、同じ名前の書店で創元推理文庫の分類宣伝札をいただいたことがあったな(2015/02/12参照。今は「フォニャルフ」棚に飾ってある)、と思い出す。もしかしたら、支店だったのかもしれないし、大学正門前に移転したのかもしれない。買った古本に奇妙なものが付いて来ると、どうも妄想が暴走して楽しいことになりがちだ。
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2019年07月14日

7/14東寶教育映画絵本!

早朝にダラダラと響き続ける雨の音に目覚め、少しずつ原稿書きを進める。午前九時半に傘を差して外出し、ビチョビチョ歩いて高円寺「西部古書会館」の「好書会」二日目を覗く。「よかったら入って下さ〜い」と午前十時に声がかかるノンビリとしたスタート。こちらもノンビリと自由自在に各棚を経巡り、書肆ユリイカ「現代フランス詩人ノート/小海永二」まひる書房「ちどり/東寶撮影所編」を計200円で購入する。「ちどり」は昭和二十三年刊の東寶教育映画を絵本化した可愛らしい小品。少女と河辺の鳥の交流を、ちょっと童話風に描いているのが面白い。
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その後、都内某所に移動して、本の家として有名なNEGIさんの自宅で開かれる、料理と映像を楽しむ『ネギシアター』(岡崎武志氏主宰)に向かう。参加者は、岡崎武志氏・NEGI氏・工作舎編集氏・散歩堂氏・赤旗編集氏・作家木村紅美氏・「古本海ねこ」(2012/12/17参照)ご夫妻である。テーマはテレビドラマ『深夜食堂』で、ドラマに登場した料理が次々と饗される趣向である。あっ!そう言えばさっき買ったばかりの「ちどり」を海ねこさんに鑑定してもらおう!と気付いて早速差し出すと、「何これ?初めて見る。知らないわ〜、こんなシリーズ」と感嘆することしきりなので、ちょっとだけ鼻高々になる。「売るとしたら幾ら位ですか?」と卑しい質問をすると「一万円!」と即答。いや、もうすでにアルコールを召されているので、大盤振る舞い的な値段なのかもしれないが、それでも安値で拾った本に高値が付くのは、なんとも嬉しいものである。というわけで、本の家で、楽しい酒宴の夜は、ガンガン更けて行くのであった。
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2019年07月13日

7/13大谷光瑞が待っていた。

昨日は雨の中を吉祥寺に流れ着いたので、風邪がぶり返さぬよう素早く「古本センター」(2017/03/06参照)にて角川文庫「人外魔境/小栗虫太郎」を300円で購入し、さらに素早く阿佐ヶ谷に戻り、「千章堂書店」(2009/12/29参照)にて美術出版社「美術手帖1981.8 特集M・デュシャン 瀧口修造」を100円で購入し、無事に家に帰り着く。そして本日は南荻窪の奥に流れ着くと、偶然に与謝野寛&晶子旧居跡を公園化した『与謝野公園』を発見する。その旧居の面影はゼロの、緑の多い現代的な公園となっている。
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…文学は住宅街の公園となり、未来へと歩いて行く…そんなことを思いながら「竹陽書房」(2008/08/23参照)に立ち寄り、ワイズ出版「不死蝶 岸田森/小幡貴一 小幡友貴」を800円で購入する。そのままの勢いで「ささま書店」(2018/08/20参照)に雪崩れ込むと、土曜日の午後とあって店頭棚には古本修羅が群がり、棚は結構ガタガタとなっている…こんな状態で何か買えるのだろうか……うぉっ!大谷光瑞の本があるじゃないか!實業之日本社「光瑞縱横談/大谷光瑞」。昭和十一年刊の、讀賣新聞に連載された聞き書き集である。本願寺の門主でありながら、一派を傾けるほどの財をつぎ込み、中央アジアで危険を顧みず自らも参加し、大探検活動を繰り広げた、偉大なる変わり者・大谷光瑞。売れずに俺を待ってくれていたのかっ!土曜の昼下がりに、我が心にドンピシャな本と安値で出会えてかなり幸せとなり、108円で購入する。これで手に入れた古い光瑞関連本は三冊目となる。一冊目は岡山の「万歩書店本店」(2015/01/09参照)で3600円で購入した、大谷探検隊の最強美少年探検家・橘瑞超の「新彊探險記」。二冊目は神保町の「原書房」(2014/05/15参照)で200円で購入した裸本の「大谷光瑞師の生涯」。蒐集の歩みは大変に遅いが、段々と偉大なる探検家に関する著作が、我が手に集まりつつある。この調子でいつの日か、昭和十二年刊の、隊員の探検日記や記録写真や地図で構成された、上下巻の「新西域記」(ド高値)と何処かで不意に出会いたいものである…もちろん安値で…そして復刻版(でもド高値)でもなくて…。
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「新彊探險記」は瑞兆が探検から帰って来たときの記念講演をまとめたもの。「大谷光瑞師の生涯」には、ちゃんと探検事業について多くのページが割かれている。『橘瑞超消息断絶』の章タイトルとかが最高。
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2019年07月11日

7/11三か月ぶりの神保町!

昨日の作業の余波で、重く軋む身体をミシミシ動かしながら、三ヶ月ぶりの神保町パトロールへ向かう。午前十時過ぎに、中央線最後尾から御茶ノ水駅西端のホームに降り立つと、ぎゃぁあ!ホーム端から駅舎へと上がる階段が封鎖され、取り壊しが始まっている!うぉぉぉ、あの龍の肋骨のようなアーチ型天井が、無惨に鉄筋コンクリの骨組みを晒してしまっている。
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…やはり取り壊されてしまったか。すでに総武線ホームの階段は跡形もない。昭和初期インターナショナルスタイル建築の、貴重な遺産だったのに…。しょんぼりしながらホーム中ほどに踵を返し、新しい階段をトボトボ上がる。改札を抜けながら、願わくばこの駅舎と駅頭の石畳は、どうにか残して欲しいものだ。そう寂しく考えながら、『明大通り』を南下して神保町に入って行く。まずは「八木書店」(2013/07/24参照)の店頭プラケースから、工作舎「四次元の冒険/ルディ・ラッカー」を300円で購入する。歴史&民俗学専門店の「慶文堂書店」(2012/01/14参照)の店頭ワゴンの半分が、どう言うわけかまったく門外漢のUFO本に支配されているのを愉快に眺めたりして、『靖国通り』を西進する。続いて『白山通り』を北へ。気になるお店を一店ずつ覗きながら、大好きな「日本書房」(2011/08/24参照)に至る。田村泰次郎が盛大に蔓延る中から、春陽堂「森林太郎譯文集巻二 墺太利劇篇」(函付き天金再版)を見付けて500円で購入する。ところで先日買った「大伴昌司エッセンシャル」を読んでいると、同人誌「S-R Monthly」の複写覆刻ページに、手描きの神保町の古本屋地図の一部が掲載されていた。そこは大伴の書いた記事ではなく、他の同人が書いた古本屋紹介記事のなのだが、複写故にページに大きく掲載されているのだ。「古賀書店」「東京泰文社」「文華堂」「芳賀書店」「長門屋」「山田書店」「西沢弘文堂」「山口書店」「日本書房」が、SF&ミステリ本探しの観点から紹介されている。こういう不意打ちの発見は楽しい。

そろそろ発売になっている「本の雑誌 金魚鉢ひんやり号」の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、三鷹の新鋭「りんてん舎」(2019/03/30参照)をご紹介!まだ開店して日が浅いのに、訪ねる度に面白い本が買えるので、あッと言う間に定点観測店に昇格してしまったお店である。取材時にも、やっぱり面白い本がしっかりと買えたので、その喜びの顛末を誌面でお楽しみ下されば幸いです!
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2019年07月10日

7/10イレギュラーズの後に「丹那殺人事件」を!

2019/06/26&2019/07/04と続いた、盛林堂・イレギュラーズのお仕事三回目。本日でこのミッションは終了となる予定である。午前十一時半前に西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に到着すると、すでにヴァンのボンゴ号がハザードを点滅させ待機している。即座に乗り込むべきなのだが、まずはヴァンの脇を擦り抜け店内に入り込み、「フォニャルフ」棚にドガドガと補充する。それから東京近郊の仕事場に一時間で到着すると、何とお家がひっそり閑と閉まっている。まだ主が到着していないようだ…しばらく表門の中に入って、盛林堂・小野氏と薄日を浴びながら、ボケラ〜ッと過ごす。すると程なくして到着したお客様と挨拶を交わし、早速作業を開始する。今現在、邸内に残っているのは二階の単行本と、残った洋書ハードカバーとミステリー雑誌と、大量の洋雑誌である。それらをいったんガレージに運び込んだ後、ボンゴ号に積載する予定。いつものように小野氏が結束を担当し、私は自身のすべてを本&雑誌の移動に費やすこととなる。まずはガレージ内倉庫の洋雑誌をすべて地面に下ろし、その後邸内から大量の本束を、裏玄関→庭→ガレージと、働き蟻のように勤勉に運び出し続ける。
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洋雑誌の柔柔な紙質が、体力を徐々に確実に削り取って行く…およそ一時間半のスピードで作業を終え、続いてヴァンにドサドサと積み込んで行く。ところが作業が三分の一ほど進んだところで、荷台で美しく本束を積み上げる小野氏が、車内とガレージを見比べながら、一抹の不安を口にし始める…「これ、全部載るのか?まだこんなにあるぞ。うぅ〜ん、大丈夫かなぁ…」「まぁとにかく載せてみましょうよ。多分大丈夫だと思いますよ」「いや、でもこれほどとは…ナメてた…こりゃぁ最悪もう一往復…」などと珍しく狼狽し始めたのである。まぁ、それだけの凶悪な量なのである。
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だが、積み上げて行けば、意外に何とか収まるのではないかという予感は、確信なく無責任ながら、イレギュラーズとして抱いていた。ガンガン運ぶ…ガンガン積む…四分の三が載ったところで「こりゃ大丈夫だな。載るな」と小野氏が明るい笑顔を綻ばせた。本当だ。かなりギュウギュウだけど、どうやら一回で済みそうだ。午後三時半に作業は無事終了し、あまりの雑誌の多さに目を丸くするお客様に見送られながら、ボンゴ号が重過ぎる車体を巨獣のように揺らしながら、一般道を慎重に慎重に走り始める。途中、道を歩いている人が、大量の本を載せた荷台を二度見したり、並走するバイクや車が、食い入るような視線を荷台に向けて来るが、めげずにどうにか西荻窪に到着し、最後の力を振り絞って、倉庫に洋雑誌の山を作り上げる。午後五時半、無事に作業終了。ふたりともあまりの疲労に、判断力も集中力も激しく低下している状態に陥る。良し、こんな時は、古本を買って気合いを入れよう!バイト代を受け取り、そのバイト代を即座に古本に換えるつもりで、小野氏に「何か俺好みの、函無し本とかヘタってる本を安く売ってくれ!」とリクエストすると、氏が奥に姿を消し、一冊の裸本を「これなんかどう?」と見せてくれた。柳香書院「丹那殺人事件/森下雨村」である!うぉぉぉぉぉぉ、ドンピシャ!再版で背はメキメキと傷んでいるが、この探偵小説を元本で読めるのなら、幸福哉!と即座に購入を決める。すると氏は判断力が低下しているのか、それとも今日の激務に情をかけたのか「千円でいいよ」と望外の申し出!ありがたく申し出を受けることにして、嬉しく胸に抱きしめる。あぁ、これならとことん疲労した甲斐があるというものだ。こんな良いことがあるならば、これからもいくらでも古本を運搬いたします!と頭のネジをかなり緩めながら、フラフラと帰宅する。
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2019年07月08日

7/8低調だが色々進める。

体調はジリジリと回復に向かいつつあるが、常に体全体がフワついている状況。ぶり返さぬよう気をつけなければと、早起きして『国立国会図書館』に向かう。入口で待ち合わせた「盛林堂書房」(2012/01/06参照)小野氏の導きで、ある作家の資料収集に没頭する。検索用のパソコンとにらめっこし、気になる雑誌にひたすらアタックを繰り返す。昼食は六階の食堂でAランチを。午後までに、どうにか九作品を掘り出し、六十枚のコピーを作成する。だが、ここには所蔵されていない雑誌があることも判明し、早速難関が立ちはだかった感を味わう。まぁまだ調査は始まったばかり。どうせ長旅なんだ。気長に行くとしよう。映画を観に行く小野氏と『首相官邸』前で別れ、丸ノ内線で一気に終点の荻窪へ向かう。地上に出ると表はいつまにか爽やかに晴れ渡っている。「ささま書店」(2018/08/20参照)でちょっと遅めの定点観測を行うと、なかなか良質な二冊の新書サイズ本を見つけることに成功する。二見書房「短波放送入門/三木宮彦」と双葉社「生島治郎の誘導訊問 眠れる意識を狙撃せよ」である。「短波放送入門」はネットが普及した今でも世界中に根強いファンを持つ、『海外短波放送』をとことん楽しむための、アナクロ技術満載なハウトゥー本である。「眠れる意識を狙撃せよ」はハードボイルド作家・生島治郎の対談集なのだが、対談相手に都筑道夫・田村隆一・丸谷才一・高木彬光・結城昌治が含まれているので、ミステリー度が高いのが好ましい(帯裏を見ると、対になる本「反逆の心を取り戻せ」が同時発売されており、そちらには田中小実昌・森村誠一・戸川昌子・佐野洋らが登場している)。特に都筑や田村の対談は早川書房の元同僚とあって、裏話&楽屋話&暴露話が盛り上がり過ぎていて、大変面白い。ポケミスや「EQMM」黎明期の話は、どうしてこんなに楽しそうでむちゃくちゃなのか。装幀は和田誠…創元推理文庫に「女狩人は死んだ」という本があるが、同じ和田誠装幀で、モチーフも同様の標的マークであることを思い出す。計216円で購入する。
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2019年07月07日

7/7臥せっている合い間に古本を買いに行く。

無理が祟ったのか、どうも体調が芳しくないので、一日を臥せって過ごすことにする。辻潤「ですぺら」と「大伴昌司エッセンシャル」を交互に読んで、無聊を慰める。しかし午後になるとどうにも古本が買いたくなってしまい、ふらつきながら傘を開いて、ご近所の古本屋さんに足を向ける…この様子だと、『中杉通り』沿いの二軒が限界であろう…そう慎重に大事をとって判断し、まずは「銀星舎」(2008/10/19参照)へ。棚をどっしり見上げていると、ひとりの老客が表の安売本を大量に抱えて入店し、さらに植物栽培関係の本を所望している。丁寧に対応する奥さま店主は、脚立に足を掛け、老客に指定された本を次々に下ろしている。その長くなりそうなやり取りの隙を突き、精算をお願いする。「いつもは静かなのに。呼んでくれたんでしょ。招きの神なんでしょ」と奇妙な褒め方をされ、創元推理文庫「夕潮/日影丈吉」を400円で購入する。そこから『中杉通り』の谷底で横断歩道を渡って踵を返し、「ゆたか。書房」(2008/10/19参照)へ。するとこちらでも別の老客が大量の古本を購入している。…雨ニモ負ケズ、大量の古本を買う老人たち…なんて刺激的な光景なんだ!と感心しながら、美術出版社「モダン・デザインの源泉/ニコラウス・ペヴスナー」を500円で購入する。最後に一応古道具&アンティークの「J-house」(2015/12/26参照)の店頭箱を覗き込むと、一番端のプラ箱にイギリス洋書の豆図鑑が十冊ほど入っていた。『宇宙』『天気』『魚』『貝』『ヨーロッパ・ファッション』『家具』『教会建築』などなど。パラパラと捲り、写真が豊富で見ているだけで楽しい機関車尽くしの一冊、WARNE「The observer's Book of BRITISH STEAM LOCOMOTIVES/H.C.CASSERLEY」を108円で購入する。ふぅ、体調が悪いことを忘れてしまった、楽しいひと時であった。
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先ほどこの本を手にするまで、『機関車』を英語で『LOCOMOTIVE』ということを、不覚にも知りませんでした…。そしてこの語感とほぼ同じの『LOCOMOTION』が『移動運動』だということを知り、さらに『SL』が『STEAM LOCOMOTIVE』の略だと言うことも初めて知った次第…勉強になりやした。
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2019年07月06日

7/6梅雨のモンガ堂で卑しく笑う。

この一週間をとてもハードに乗り切った感じで、今日は松庵の南端に流れ着く。ここは吉祥寺と西荻窪の間…ならば脇目も振らずに一気に歩き通して、西荻北端にある「古書西荻 モンガ堂」(2012/09/15参照)を目指すことにしよう。そして値切って本を買うことにしよう【2018/03/31参照)。そうと決まればセカセカと高速の早足で住宅街の丘から谷を通り抜け、『青梅街道』まで到達してモンガ堂着。雨仕様かと思っていたら、表にはがっつり本が出されている…こjの量で、突然の雨降りに対応出来るのだろうか…?店内へ進むと珍しく先客さんがおり、早くも今年末の店内展示の打ち合わせなどしている…なんだかスゴいぞ、モンガ堂!何故か棚上に展示されている仁木悦子の文庫本を一渡り眺めてから、店内を散策。ほとんど変わっていないようだが、良く見るとついぞ見かけなかった本が、ひっそりと挿さっていたりするので油断がならない。まずは貸し棚の「幻影文庫」からmiki HOUSE「ももたろう/絵・湯村輝彦文・川崎洋」を。そして右端通路に分け入り、本棚と対峙していると、モンガさんがスルスルと近寄り「値引しますよ」と珍しく向こうから交渉を仕掛けて来た。「もちろんそのつもりです!」とすぐさま返し、俄然やる気が湧いて来る。するとモンガさんが「この真鍋博の「植物園」は持ってますか?」…持ってません。そして確かに欲しいです。だが、すでにさらに欲しい本を見つけてしまっていたのである。中央公論社「世界怪奇實話全集 第三篇 戦争とは何だ/牧逸馬」。1932年刊の、牧が欧米旅行中に拾って来た、怪奇な事件逸話集である。函が少し汚れ、本体は背にわずかな痛みがあるが、それでもなかなか美しい本である。おぉ、ドュッセルドルフの通り魔・ピイタア・ケルテルが跋扈する『街を陰る死翼』が載っている。見返しの金庫破りの七つ道具図版もすこぶる素敵だ。「モンガさん、こ、これをじゃあ安くして下さい!」とお願いすると、札の値段を二秒ほど見て「じゃあ四千円でどうですか」「ハイ、それで結構です」と瞬く間に交渉成立。モンガさんのおかげで欲しかった憧れの本が、相場より安く手に入りました。本当にありがとうございます!またしばらくしたら買いに来ますので、その時もぜひともよろしくお願いいたします。エへエヘエヘヘヘ………そんな風に喜びをダダ漏れにして卑しく笑いながら、お店を後にする。
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2019年07月04日

7/4雨中の盛林堂・イレギュラーズ!

盛林堂・イレギュラーズとなり午前十一時半に「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に赴くと、すでに店前にレンタカーのボンゴ号が待機している。本日は先日整理を行った家の残りの本を(2019/06/26参照)、このヴァンで一気に運び出すつもりなのである。パラパラ落ちる雨が心配だが、予定を変更することは出来ない。体調は昨日と変わらず低調だが、全身全霊がんばろう。準備万端の小野氏とともにヴァンに乗り込み、およそ一時間の雨中ドライブ。午後0時半過ぎに現場に到着し、雨も上がっていたので『それっ!』と挨拶もそこそこに作業に取りかかる。小野氏は残りの本の結束、イレギュラーズは本束を一旦ガレージに運び出し、そこからさらにちょっと離れた場所に駐車しているヴァンに、台車を使って本束を運び込んで行くことに。小野氏からは「絶対に本を濡らさないように。ヴァンの床も濡らさないように靴を脱いで上がること」と厳命を受ける。途中に大きな水たまりがあり、絶対にしぶきを上げたり本を落としたり出来ないが、一往復目は無事に終了。ところが二往復目に取りかかろうとした時、またもや雨が落ち始めた。なので以降はプラケースに本束を詰め、さらに折り畳んだプラケースを蓋にして、ゆっくりと運び出して行く…じ、時間がかかるが、仕方ない…。
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ところが雨がさらに強くなって来たので、運び出しは一時中断し、ガレージに据えられた壁棚の整理に勤しむ…すると出て来るわ出て来るわ、想像を越える量の雑誌が詰まったダンボール箱(最初は雑品が入っていると思われたものでさえ)が飛び出して来る。何とか剥き出しの雑誌以外を取り出し、ガレージ内に積み上げると、およそ二十箱はある。こ、これはイカン。すでに準備された文庫本・洋書ハードカバー・和雑誌&洋雑誌の束に加え、これらをヴァンに積み込むことは非常に難しそうだ、そこで小野氏と額を寄せ集め、今日は文庫束+洋書ハードカバー束+新書サイズ束とそれにダンボール箱を運び出すことにして、残りは予備日の来週に回すことにする。新たに二階の一部屋分の本も加わってしまったので、これが有効な回避策であろう。というわけで作業を一気に進めたいので、現場邸宅前の路地が細い路地なので、大きなヴァンを乗り付けるのを躊躇していたのだが、背に腹は代えられない。小野氏が慎重に慎重を期し、どうにかガレージ前に乗り馴れぬ大きなヴァンを横付けすることに成功する。よし!とまずは文庫と新書を詰め、次に洋書ハードカバーを押し込み、さらにダンボールをバンバン積み込んで行く…やはりこれで一杯になってしまったか。全く休まずに三時間以上働き続けたので、当然のように二人は披露困憊の極みに達してしまう。
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だがまだまだ仕事は続く。最後に、来週来たら一気に本を運び出せるように、邸内のあちこちにあった本を玄関近くに集め、さらに二階の本を結束する。ふぅ、これにて本日の作業終了…ではなくて、まだこの大荷物達を西荻窪の倉庫に下ろさなければならないのだ。ここからさらに、帰りの車中で下らない話をムリヤリし続けて、お互いに気持ちが切れぬよう励まし合い、倉庫に到着してから最後の力を振り絞り、怒濤のように山のような荷物を下ろし、レンタカーを返却して任務終了。いやぁ、大変にお疲れさまでした。身体がまるで綿のようになり、腕の震えが止まらくなっていますが、来週の作業もよろしくお願いいたします!
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2019年07月03日

7/3訳者署名文庫

鼻風邪をひいてしまったらしく、体調がなんだか低空飛行…そんな時に下連雀に流れ着き、すっかり疲労困憊してしまう。だが古本を買っておこうと、北へ北へとズリズリ懸命に足を運び、「りんてん舎」(2019/03/30参照)へ。遠目に見えた時、表に木箱が出ていなかったので、えっ?お休み?ドキッとしたが、何のことはない、雨降りに備えて店内に移動していただけであった。だが本棚だけは濡れないところに出されているので、まずはそこから新書館「57人のブラッドベリアン/萩原朔美監修」を抜き出す。店内ではラック下に新たに出現した一列の新感覚派・中河与一古書棚に軽く驚く。だがそこに手は伸ばさず、結局文庫棚で一冊の創元推理文庫に注目する。「謎のエヴァンス/アガサ・クリスチイ 長沼弘毅訳」(1960年初版)である。値段を見ると千円で、その下に“訳者署名”と書かれていた。扉ページを見つけ出すと、確かにそこには献呈署名が入っていた。だが、読めない!…おそらく『長沼』って書いてあるんだろうな。おっ、中にはちゃんと白帯も挟まっているじゃないか。こういうのは見つけた時にスパッと買っておくのが、古本修羅としてベストであろう。先ほどの本と合わせて、1188円で購入する。さぁ、もう家へ帰ろう。なんたって明日は、また盛林堂・イレギュラーズに変身しなければならないのだから…。
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そう言えばそろそろ大阪「梅田蔦屋書店」の古本壁棚に、新しい本が並び始めていると思いますので、引き続きご愛顧のほどよろしくお願いい
たします。今月もがんばって、補充本をどうにか送らなければ…。
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2019年07月02日

7/2「芳林文庫古書目録 探偵趣味」

今日は下高井戸南の松原に流れ着いたので、テクテク歩いて東松原まで移動し、「瀧堂」(2014/05/01参照)で新潮社「松本竣介とその友人たち/村上善男」を500円で購入する。夭折の洋画家・松本竣介を都会や有名画家を搦めての既存の論考ではなく、岩手・盛岡と東北の美術家や友人達を通し捉え直すルポルタージュである。帰りの車中でちょっと読み進めると、昭和十四年に竣介の絵の売却先が書かれているのだが、何とその中に吉行あぐりの美容室が含まれているではないか。昭和初期のあぐりの美容室と言えば、村山知義が設計したダダ建築!あの異様で斬新な船の艦橋のような建物に、松本竣介の絵が飾られいたなんて!二つの尖った才能が、ひとつの空間の中で共鳴し合っていたなんて!としばし想像を膨らませ、うっとりとする。

さて、話は変わり、最近ひょんなことから前から欲しかった「芳林文庫古書目録 探偵趣味」を、七冊手に入れることに成功した。私は今までほとんど「芳林文庫」(すでに閉店。2018/02/09参照)とは縁なく過ごして来て、本も一冊も購入したことはない。だから探偵小説に強いお店だと言うことも、最近までそれほど意識はしていなかった。だがツアーでは事務所店の前まで行ったことはあるが、怖じ気づいて入れず(2009/02/15参照)、神保町にあった「古書かんたんむ」(2011/12/31参照)で貸し棚の「芳林文庫」を見て涎を垂らしたくらいが、関の山なのである。それでも探偵小説好きとして日々暮していると、自然とお店の情報と接触する機会も増えて行くものである。例えば「盛林堂書房」(2012/01/06参照)では、店主・小野氏に虎の巻として使用している目録を良く見せてもらったり、また稀代のミステリアンソロジスト・日下三蔵氏の邸宅整理を進めていた時、不要の目録が何冊も出現したので「欲しかったら差し上げますよ」と言われ、その中に「芳林文庫古書目録(確か乱歩特集だった)」が一冊あったので、「じゃあこれいただいていいですか?」と氏に見せると「それはダメです」と即答されたり、本棚探偵・喜国雅彦氏に「芳林さんに本を買取してもらおうとダンボールに詰めて(それなりの本がちゃんと入っている)送ると、いつも電話で「喜国さん、開けてがっかりしたよ」と必ず怒られる」という面白話を聞いたり、はたまた盛林堂・小野氏が資料を受け取りに事務所店を訪れた折り、中には入れたが入口付近で「そこを動くなよ、本には触るなよ!」と厳命され直立不動で後に手を組み待機した話や、ミステリ評論家・新保博久氏旧邸の片付けのお礼としてやんわり強奪した日本公論社「紙魚殺人事件/バアナビイ・ロッス」が実は芳林さんで購入したものだったりと(教授、大事にしてます!)、遅ればせながらお店の魅力に触れることが多くなって行った。だから今回手に入れた七冊は、本格的に自分自身が「芳林文庫」の幻影と渡り合う、未知の世界への入口なのである。第十三号から終刊号となる第十九号までの後期七冊だが、やはり巻頭の特集がマニアックで微に入り過ぎ細に入り過ぎ重箱の隅突つき過ぎで、無類に面白い。『HPB』『小酒井不木』『内容見本・月報』『捕物帳』『児童書(高木彬光の児童書)』『へんな本』『終刊号(鮎川哲也について)』など、どの特集も勉強になるなる。おまけにこの特集を読んでしまうと、特集ページが終わった後に始まる目録掲載の本が、とっても欲しくなって来る魔法が盛大に掛けられているのだ。いやぁこれは、悪魔の目録ですな。だから、逆に知らなくても良かったのかもしれない。これじゃあ、お金がいくらあっても足りなくなるのは必至……いや、そんなのは、やっぱりただの負け惜しみなんだろうな。あぁ、買っていた人たちが、ただただ羨ましい〜〜〜〜っ!
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posted by tokusan at 19:03| Comment(0) | 古本屋消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年07月01日

7/1特高のスタンプ!

朝から楽しいデザイン仕事に従事してから、午前十一時に外出。いつもの月曜のように荻窪へ定点観測に向かうのだが、一度は上がっていた雨が、またもやパシャパシャ降り始める。油断していて傘を持って来なかったので、いつもとは違う中央総武線高架下をたどって、なるべく濡れずに歩き続ける。だが高架下離脱後、雨が激しくなりどうにも凌げなくなって来たので、百円の傘を買い、どうにか「ささま書店」(2018/08/20参照)へ。店頭は当然雨仕様である。百円の傘を畳み、百円の本たちを眺め始める。途中、自転車に乗ったまま、かなり入口近くまで進入して棚を眺める豪気なオッサンが現れるが、見事にお店の人に「すいません、自転車は…」と言われる一幕あり。面白半分「これぞ、開高健。」ダゲレオ出版「バトル・オブ・ブラジル/ジャック・マシューズ」を計216円で購入する。阿佐ヶ谷では「千章堂書店」(2009/12/29参照)にブラリと立ち寄り、ちくま文庫「赤い猫/仁木悦子 日下三蔵編」を400円で購入する。一旦家に戻り、昼食を摂ってから再び外出。またもや雨は上がっているが、今回は念のためしっかりと傘を持つ。バスで中野まで移動し、野暮用をひとつこなす。そして『中野ブロードウェイ』に立ち寄り、ショウウィンドウが輝くサブカル迷宮を鼻歌まじりに散策していると、「古書うつつ」(2008/06/18参照)が表に百均本棚を出し終わり、ちょうど開店するところに出くわす。すかさず低い棚の前にしゃがみ込み、古そうな横積み本の物色に取りかかる。箱ナシで痛みと歪みはあるが、扶桑社の縮刷版「正史実歴 鐡假面/黒岩涙香譯」が百円は愉快だなと、早速手にする。さらに下へ下へと掘り進めると、背を紙で丁寧に補強し、糸でかがり、無地の表紙を付けた薄手の一冊が目に留まる。何だろう?と手にしてみると、粗末な用紙の扉には、『昭和四年一月十五日印刷納本発行 インターナシヨナル特別附録第三巻第一號 ××××インターナシヨナル綱領(一九二八年九月一日モスクワに於ける第六囘大會にて採用さる』とある。共産主義による、資本主義及び帝國主義への闘争の基本理念を説いたもののようだ。『共産主義』や『共産』がすべて“××××”の伏字になっている…おや?扉上部に蔵書印らしい赤いスタンプが…目を凝らして見てみると、『發売頒布禁止』『4.1.15』『神奈川縣警察部 特別高等課』とあるではないか…げげっ、これ、悪名高き特高の資料蔵書だったんだ!くわぁ〜、お、恐ろしい(つまり印刷とスタンプの日付けから見ると。発売と同時に発禁になったと言うことか)それにしても消滅させるべき発禁本が、その狩手である警察で、こんなに補強され大事にされているとは、なんとも皮肉なものである。とても貴重な物なので、先ほどの涙香とともに計200円で購入する。…にしても、俺がこれを買ってどうするんだ?いつの日か「赤いドリル」さんにでも、買い取ってもらうことにしようか。
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posted by tokusan at 18:54| Comment(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする