2017年09月28日

9/28大阪「葉ね文庫」の魂がひっそり上京していたのを目撃する。

今日は雨にも負けずに、永福町南端の神田川沿いに流れ着いたので、谷から一気に脱出して『甲州街道』を経由して明大前へと向かう。首都高が重く高く圧し掛かる街道は夕方のように昏く、激しく吹き抜ける突風に身を千切られる思いを長々と味わいながら、どうにか学生さんがあふれる駅前に到着。狭いガード下を潜って目指すのは、五ヶ月ぶりの「七月堂古書部」(2017/04/29参照)である。裏路地の暖かい店の灯りが目に入った途端、雨が激しく降り始めた。
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慌てて店頭に逃げ込むと、古本屋さん度が増していて、とても良い感じである。店内は、新刊・古本ともに詩集の度合いが増しており、お店の方向性を明確に示している。むっ?右側壁棚にも詩集や歌集がいやに進出しているな…と感じて棚の上部を見ると、そこには一枚のPOPが貼付けられていた。おぉ!なんとそこは、大阪は若い短歌詠みの夜の梁山泊「葉ね文庫」(「古本屋ツアー・イン・京阪神」134ページ参照)のセレクト棚であることが判明する。さすが詩集の出版社が営む会社内古本屋さん。同志の細かいネットワークをすでに構築しているのだな、と大いに感心する。セレクト棚をじっくり眺め、一年前の古ビルの夜の古本屋さんの感触を思い出しながら、結局全然関係ない、偕成社「これ、なあに?/バージニア・A・イエンセン ドーカス・W・ハラー」(目の見えない子も見える子もみんなで楽しめる絵本である)ちくま文庫「武蔵忍法旅 山田風太郎忍法帖短篇全集8」を計200円で購入する。

店の外に出ると、雨が驚くほどさらに激しくなっている。明大前から浜田山まで出て、満員のコミュニティバス・すぎ丸で阿佐ヶ谷に帰り着き、駅から家に濡れながら戻って、明日の展示準備の準備に細々と取りかかる。よ〜し、明日は、やるぞぉ〜!
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2017年09月27日

9/27「さすらいの十年展」第一次搬入を行う

リュックに大量の紙を詰めて背負い、両手にも紙類を詰めたバッグを携え、午後に駅へと向かう。いよいよ9/30(土)から始まってしまう古本屋ツアー・イン・ジャパン最初で最後の展示になるであろう「さすらいの十年展」展示物の、第一次搬入を行うためである。途中、大きなリュックを背負い大きなサーフボードを抱えた、髪をお団子に結わえた小麦色の少女に、いとも容易く追い抜かれる…同じような格好で、同じように重いものを持って駅へと向かっているのだが、何だか見ている方向も生き方も全然違う気がする…。そんなことを瞬時に感じ、遠ざかる少女の背をぼんやり見つめながら、こちらは古本修羅のオーラを背から立ち上げて駅にたどり着き御茶ノ水へと向かう。『明大前通り』の坂を下り「東京古書会館」にたどり着くと、日常業務を粛々と行っている、とても静かな館内である。ひとまず受付前に荷を下ろし、広報の方と展示を行う二階の情報コーナーを実見する。うぉ!壁内に設置された巨大エアコンの修理中で、床には養生シートが貼付けられ、ガラスケースはすべて右側に寄せられてしまっている…こ、こんな状態で展示に間に合うのだろうか。
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修理は金曜までには終わるらしいので、その一日をこのコーナーに籠り、一気呵成に会場を仕上げるつもりなのであるが。まぁとにかく、金曜の展示物第二次搬入時に、去就ははっきりしているだろう。ひとまず六階に荷物を運び上げ(エレベーター前で「紙ばかりなのに、なんでこんなに重いんだ」と呟いたら、「ビブリオ」(2010/10/03参照)小野氏にすかさず「紙だから重いんですよ」と返される)、色々打ち合わせをする。

その後は軽く神保町を彷徨い、「日本書房」(2011/08/24参照)で学研中学三年コース昭和39年12月号第3付録「ヨットに乗った殺人者/G・ギャスキル原作 水沢伸六文」を300円で購入し、水道橋から一旦家に引き返す。雲行きがどうにも不穏な夕方に再び外出し、中野で用事をひとつこなした後、「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)で新潮社「空の旅・地の旅/鈴木文志朗」(函ナシ。昭和四年刊の東京朝日新聞連載記事をまとめたもので、新聞社航空部のサルムソン機で日本を上空からルポ。本には中落合にあった古本屋さん「新松堂書店」の手書き値段帯が挟まっていた)を108円で購入し、さらに二階の「古書うつつ」(2008/06/18参照)では潮文社新書「神秘術とは何か 催眠術から占いまで/イスマ・ヴィスコ」を100円で購入する。再び家に帰り着くと、ポストにヤフオク落札物が届いていた。それは大正十年刊、65mm×94mmで28ページの、小さな小さな探偵小説である。池川商店出版部 小供文庫第一編「探偵小説 覆面の鬼/浦上鷺洲」。多少の小競り合いはあったが、程よい値段で落札出来た。紙の色が経年変化しているだけで、デッドストック物のようにキレイである。造りは駄玩具的豆本なのだが、妙にちゃんとした書籍っぽいのが気になるところ。本は糸でしっかり綴じられ、本格的な奥付もしっかり存在し、表4は小供文庫シリーズの広告に充てられている(第四編の“小説”とある「呪ひの手」も気になる一冊!)。物語は、仏蘭西に横行する極悪非道な覆面強盗団の謎を、犬を連れた名探偵ハーマードが追いかけるというもの。まぁ全28ページで、一ページ17W×7Lしかないのだ。一直線な展開は、推して知るべしである。
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表紙の人物が名探偵ハーマードであろう。
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2017年09月26日

9/26「怪盗ラレロ」に理性を盗まれる。

今日は入間に漂着…とは言っても埼玉ではなく、仙川と成城に挟まれたれっきとした東京の調布市の一部である。一瞬成城学園か祖師ケ谷大蔵に出ようかと思ったが、「文紀堂書店」(2015/03/31参照に行きたい気持ちがムクムクと大きくなってしまったので、キラキラ日を照り返す野川を背にして、駅に向かって歩いて行く。途中の道路上で、烏とカマキリが闘うリアルな『昆虫物語』に手に汗を握り(追いすがる烏の嘴を鎌で撃退するカマキリ!だが、所詮虫が大きな鳥類に敵うわけはなく、その命は風前の灯火に!すると突然そこに車が通りかかり、烏は慌てて飛び立ってしまった。車が通り過ぎた後の道路に残るのは。まだ両の鎌を高く揃えて戦闘態勢を取っている、緑のカマキリの姿のみ…)、どうにか「文紀堂書店」に到着。今日の店番はご母堂のようだ。フムフムと、ちょっと棚の入れ替わった雰囲気を楽しみながら、奥へ奥へと進んで行く。やはり注目すべきは、帳場両側の古書を含む棚だろう。左の詩集類も見応えあるが、右には塔晶夫「虚無への供物」がちゃんと帯付きで一万円!「世界のスチュワーデス」も気になるなぁ…。裸本の「怪人二十面相」が千円か…あっ!ラレロ!「怪盗ラレロ」のかなりキレイな元本があるじゃないか!セロファンに包まれた本を素早く棚から取り出し、値段を見ると5000円…本としては高いのだが、ラレロとしては安いっ!と矛盾した衝撃を受ける。う〜む、う〜む、う〜む、う〜む、う〜む、う〜む、う〜む。う〜む、う〜む、う〜む、と悩みながら店内を一周した挙げ句、当然の如く思い切って買うことにする。…まるで安値のラレロに、理性をあっけなく盗まれてしまったかのようだ…と心を落ち着かせるために、卑怯にも衝動買いをラレロのせいにしてみたりもする。だが、とにかく嬉しいのだ!買ってしまったからには、この新たな箱入児童文学本(優等生児童文学ではなく、胡散臭いダメな方だが…)の幸福性を(2016/12/26「箱入り児童文学本の幸福性について」参照)、喜んで迎え入れることにしよう!講談社「怪盗ラレロ/加納一朗」を購入する。
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手に心地良い重さと物質感を誇る、五十年の長い時を越えて来た箱入り児童文学本が、夕陽をバックに美しく輝いているじゃないか…。
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2017年09月24日

9/24恐るべき展示のポスター&チラシを携え知り合いの古本屋さんを行脚する。

不必要にドギマギしている。今日は頑張って「さすらいの十年展」の宣伝を兼ね、出来上がって来たポスターとチラシを、知り合いの古本屋さんに渡して来なければならないのだ。引っ込み思案で内弁慶で、社会人として不適格な私にとっては、なんとも言えず苦手な行為なのである。だが、それでも展示を少しは成功させるために、努力しなければならないのだ!と覚悟を決めて昼食後に外出。テクテク歩いて最初に向かったのは高円寺の「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)である。店頭棚を吟味していると店主の粟生田さんが「こんにちは」と現れ、しばし「中央線古書展」の話などする。よし、これでちょっとお願いしやすくなったぞ。と三冊をつかみ店内に突入。さらに店内50均文庫棚から一冊抜き出し精算をお願いする。文藝春秋「マリリンモンロー・ノー・リターン/野坂昭如」青樹社「弔辞大全 レクイエム57 1・2」ともに開高健・編、集英社文庫「乙女島のおとめ/田中小実昌」を計350円購入しつつ、チラシを置いてもらえないかお願いする。すると「あ、古書会館で見ました〜。でも何を展示するんですかぁ〜」と当然の質問が返って来た。「いや、取材ノートとか、店内の見取り図とか、色々です…」とあやふやに答えると「うわぁ〜、自分が書いた字、人に見られるの恥ずかしいですよね〜」と素敵な話に発展。確かに私の書きつけた文字は、サイコな連続殺人犯が書き残したノートみたいなので、人様に見せられるもんじゃないんです!とこっそり思いながら同意する。と言うわけで、無事にチラシを託してお店を離れる。そのまま高円寺駅に向かい、休日の総武線で西荻窪へ。ここではまずはお馴染み「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に向かい、出来上がった盛林堂ミステリアス文庫新刊「怪人ジキル/波野次郎」を受け取りつつ、ポスターとチラシを渡すと、実はすでに東京古書組合から届いていたらしく、ピラリと広げられたポスター返しを食らってしまう。店主・小野氏には積み上がった本の間に横たわる写真を大いに笑われ「ちゃんとした写真、お店で撮らせて上げたのに」と言われるが、時すでに遅し!次の機会に何かあったら、ぜひとも利用させてもらおうと、心のメモにその言葉を刻んでおく。さらに氏からは、大森「山王書房」の古書店ラベルいただき、大喜び。関口正雄氏が鉛筆で書いたであろう書名は、上林暁の「珍客名簿」600円である。安い!
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写真は復刻の希書!「怪人ジキル」と「山王書房」古書店ラベルのあり得ぬ組み合わせである。
続いて高架下を潜って「古書音羽館」(2009/06/04参照)に赴き、店頭棚を必死に眺めていると、「ジャジャ〜ン」と言いながら店主・広瀬氏がニヤニヤして「さすらいの十年展」のポスターを手に入口から姿を現した。こちらにもすでに組合から届いていたのか…あぁっ!恥ずかしい!だがそれでも勇気を出して、さらにポスターとチラシを渡し、厚かましく宣伝をお願いしておく。するとすぐさま入口扉にポスターを貼付けてくれた。大変ありがたいことであります。あぁ、でもやっぱり恥ずかしい!そんな風に、嵐の海に浮かぶ小舟のように心を揺らしながら、中公文庫「ジゴマ/レオン・サジイ 久生十蘭訳」を400円で購入する。
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さらに三鷹に向かい、「水中書店」(2014/01/18参照)で山梨シルクセンター出版部「取経譚/天沢退二郎」文春新書「三遊亭圓朝/矢野誠一」を200円で購入しつつお願いしようとレジに向かうが、残念ながら店主・今野氏の姿が見えない。ちゃんとした大人ならば、バイトさんに姓名身分を明かし、ポスター&チラシを手渡しつつ今野氏への伝言をお願いするべきなのだが、愚かにも言い出す勇気なく古本を買っただけでお店を後にする…俺のバカ!そして最後は阿佐ヶ谷に戻り「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)へ。表でイレギュラーに古道具などが売られているのに驚きつつ、ついついVHSビデオ箱に興味を示してしまい、徳間コミュニケーションズ「名探偵ホームズ劇場版」を手にして店内へ。帳場に向かうと、そこにはマスクをした風邪っぴきの店主・天野氏。ビデオを103円で購入しつつ、ポスターとチラシを託すと、奥から現れた奥さんとともに広げたポスターを見て呆れ笑い。いや、そんな風に笑っていただけるだけで、このポスターを作った甲斐があるというものです。そんな風にどうにか使命を完遂し、ようやく家へと帰り着く。というわけでみなさま、展示と神保町ツアーを、引き続きよろしくお願いいたします!

『古本屋ツアー・イン・ジャパン さすらいの十年展』
■9月30日(土)〜10月16日(月)
■10時〜17時 日曜・祝日休館
■東京古書会館 2F 情報コーナー 
■東京都千代田区神田小川町3-22
http://www.kosho.ne.jp

『小山力也と行く神保町体験ツアー トーク&ガイド』
■10月7日(土)
■最大12名 先着順 申込み制
■14時〜16時(予定)
■参加費1000円
■トークイベント(30分程度)後、小山さんに神保町を案内して頂きます。
※お申し込みは展覧会会場かこちらのホームページからどうぞ。http://www.kosho.ne.jp/tour/index.html
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9/23古本屋さんの軒先に紙垂

昨日は午後五時半過ぎの世田谷区松原辺りに流れ着いたので、明大前に行こうか下高井戸に行こうか、それとも世田谷線に飛び乗って、豪徳寺まで出てしまおうかとしばし悩むが、結局オーソドックスに下高井戸に向かうことにする。すると駅周辺の商店街には、賑やかなお囃子が流れる、秋祭りの光景が広がっていた。人波を掻き分けて、駅前踏切を北に渡って、市場商店街のゲートを潜って、早暮れなずむ街の古本屋さん「豊川堂」(2016/07/04参照)に入り込む。…ふぅ、やはりこの古本屋然とした空間は、心地良く落ち着けるな…。静かな店内の空気を引っ掻き回さぬよう、息を詰めて棚を眺めていると、時折店の前を通る地元民の足音と衣擦れの音が聞こえ、思わずそちらに目をやると、ガラス窓の向こうは店の灯りに照らし出された暗闇で、まるで舞台を横切るように人の姿が過って行く。しばしうっとりしながら、完全に古本を買いに来たのではなく、“古本屋”という空間をただ楽しんでいる己をそこに発見してしまう…。だから慌てて岩波文庫「LIVING TOKYO 東京に暮す 1928-1936/キャサリン・サンソム」を300円で購入する。そのまま文庫本を受け取り表に出ると、秋祭りのためか、軒先には紙垂が下がり、色鮮やかな造花も取付けられていた。
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そんな特別な日の古本屋さんの写真を一枚撮って、阿佐ヶ谷へ戻る。帰り道の北口商店街「千章堂書店」(2009/12/29参照)ではアミューズエデュテインメント「物には心がある。田中忠三郎」を100円で購入。生活から消え行く民具を全人生を懸けて蒐集した誇り高い男のエッセイ集である。2009年出版だがこんな本知らなかった。ありがとう千章堂さん!ようやく家に帰ると、出来上がった展示のポスターとチラシ(改めて見るととても気恥ずかしい…)が届いているではないか…日曜はこれを携えお店を行脚するか…。
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2017年09月22日

9/22小型本家庭内比較浅薄論考

外出はしたのだが、雨に祟られてしまったので、古本屋さんに寄ることもなくスゴスゴと帰宅する。だが気分を落ち込ませることなく、濡れた服を着替えて始めたのは、昨日手に入れたばかりの、柿色市松模様の山本文庫を読み始めること。買ってから何度も優しく手にしているが、薄くて小さくて儚くて愛おしい小型本である。現代の通常の文庫本は、105mm×150mmほどが標準サイズだが、山本文庫は95mm×135mmと二回りほど小型なのである。いつかは同文庫にラインナップされている、佐藤春夫譯(本当は平井呈一譯)の「吸血鬼/バイロン」(本当はポリドリ作)を手に入れたいものだが、あからさまにド高嶺の花なので、今は我が手の文庫で我慢我慢…。ふと思うのは、昭和十一年刊なので、同時代の日本小説文庫や岩波文庫や新潮文庫は105mm×157mm〜159mmの、少し背の高いトールサイズが主流である。果たしてこの時代に、同じようなサイズの本は出版されていたのだろうか?そんなことを気にしてはみたが、今確かめる術もなく、また調査して掘り下げる真面目な探究心も、怠け者の私には湧いて来なかったので、ひとまずこの家庭内で浅薄に調査してみることに決める。よし、時代に関係なく似たサイズの本を集めてみよう。ドサドサ、ガサガサ、ゴソゴソと、いつものように疲労する本の山との闘い。だが今回の相手は、文庫山のみなので、比較的楽な展開を見せる。探し出したのは以下の本(豆本は除く)である。
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左上から昭和四十三年の「中学生傑作文庫」98mm×135mm、上段真ん中が昭和十一年「山本文庫」95mm×135mm、右上は大正十五年刊の復刻版「勞働放浪監獄より」95mm×131mm、左下は昭和二十一年の「手帖文庫」91mm×126mm、下段真ん中は昭和三十九年「黒い招待券」89mm×115mm、右下は平成八年の「角川mini文庫」86mm×111mmとなっている。どれも正式な用紙サイズに該当する寸法は見当たらない。無駄のない用紙裁断や、デザインなどの理由でしかるべきサイズに設定されているのだろうか…それにしても自由過ぎるではないか。また文庫より小さいと勝手に思っていた「アテネ文庫」は、薄いだけでサイズはしっかり文庫と同じであった。そりゃそうだ、文庫棚に収まってると、高さは変わらないもんな。蒼土社の「探偵小説文学撰」もちゃんと文庫本と同サイズだったか…。山本文庫に並んで貴重な文庫シリーズの「手帖文庫」は、イメージでは同じ大きさかと思っていたが、実は山本文庫より縦横ともに少し小さめであることが判明。この二種の小型本と文庫本とのサイズ感、しかと覚えておこう。いつ何時、古本市や古本屋さんで奇跡の如く出会うかわからぬのだ。あるかないかわからぬ背文字が超絶読み難いが、似たようなモノを見つけたら、そこは面倒くさがらずつまみ出し、しっかりチェックすることにしよう。そんな馬鹿なことをしていたら、外の雨が、ますます激しくなって来ている。途絶えぬ雨音を聞きながら、ひとつ正直に言っておこう。小型本は、文字が小さくて、夜だと読み難いなぁ。年かなぁ…。
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2017年09月21日

9/21バイトで足をガクつかせた後、95mm×135の小型文庫を手に入れる

今日は午後から「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に付き添い、とある住宅街の中での買い取りを、荷運びバイトとして手伝う。ミッションは、車が一台しか通れぬ路地に盛林堂号を停め、アパート二階から四十本強の本束と二十箱ほどのダンボールを階下に運び、素早く積み込むというもの。私はバイトなので、階段を駆け上がり本を下ろし、また駆け上がり下ろしを、ひたすら繰り返す役目を担う。他の車が来ぬ前に、何とか短時間ですべてを終えねばならぬのだ!と早速作業開始。本束を二本〜四本手にして、ひたすら階下に運び下ろす。その間、幸い車は登場せず、自転車を一台通すために、少しだけ車を動かすに留まる。鉄の茶色い階段を、カンカンカンカン上がり下り。たちまち全身から吹き出す汗。だが、時間と盛大に闘っている今は、足と手を休めるわけにはいかないのだ。そんな風に歯を食いしばり頑張り、およそ三十分強で本束をすべて積み込むことに成功する。ここで一旦作業を中止して、ひとまず西荻窪に舞い戻り、本束を倉庫に入れた後、再び現場に戻ってダンボールを積み込むことにする。往復の復路車内で、アイスクリームでクールダウン&栄養補給を行い、今度はダンボール下ろしに従事する。こちらは二十分弱で終えることが出来たが、気付いたら腕はワナワナ、足はガクガクとなっていた…ふぅ、おつかれさまです。荷を再び倉庫に下ろした後「盛林堂書房」に立ち寄り、「フォニャルフ」に補充したりしながら、帳場脇で労いの和菓子に舌鼓を打つ。そうして午後五時には出来上がって来るはずの、盛林堂ミステリアス文庫新刊「怪人ジキル」を待ち焦がれるが、何だか搬入時間が遅れているようなので、諦めてお店を辞去する。陽が落ちるのが早くなった表は、もはや寂し気な秋の夕暮れ。段々と濃くなる紺の中を歩き、北側に抜けて「古書音羽館」(2009/06/04参照)へ。表で二冊をつかみ、ギシギシ賑わう仄明るい店内に身を滑り込ませる。お店の中で個人的に一番注目している、左側部屋左奥の古書棚に近づき、目新しい本や珍しい本がないか目を光らせる。するとパラフィンに包まれた、薄手で小型の背文字が読めぬ本が気になって、そっとつまみ出すと、おぉっ!市松模様(色はオレンジ)の山本文庫じゃないか!初版の平田禿木譯「蜜月・幸福/マンスフイルド」である。ドキドキしながら値段を見ると、歓喜溢れる500円なので当然ながらいただくことにする。毎日新聞社「夢の放浪者 江戸川乱歩/牛島秀彦」光琳社「VISIONS of JAPAN SHIBATA Toshio」とともに計1000円で購入する。レジでは奥から無理矢理身を乗り出した笑顔の広瀬氏としばしお話し。
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山本文庫が嬉しかったので、お店の前で記念撮影。帰りの車中で95mm×135mm・60pの蝶のように軽い文庫を開くと、たちまち昭和初期の世界文学の世界に没入してしまい、危うく阿佐ヶ谷駅で乗り越しそうになる。紙の蝶が何処かに逃げぬよう、両の掌に、隠してしまうように優しく挟み込み、バタバタと降車する。
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2017年09月19日

9/19八十の大人向絵物語が待ってくれていた

早い時間に上石神井に流れ着いたので、まだまだ余力の残る身体を動かし、そのまま『早稲田通り』の流れに乗って、家に帰ることにする。何百台もの車に追い越されながら、三十分ほどで『中杉通り』へと近づく。せっかくなので古本を買って行こうと立ち止まり、通り沿いの「古本ブック流通センター」(2008/08/09参照)のサッシ扉を右にスライドさせる。
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16年一月の雪の日以来の来店ではないだろうか…。相変わらず棚にはブランクが存在し、本も不動の構えを見せているが、店内はなんだかスッキリとしている。ちょこちょこと片付けたのだろうか。かつてない薄めの清々しさが、店内に漂っている…。奥から「いらっしゃいませ」と飛び出して来たご婦人店主と挨拶を交わし、既視感の強い棚を見ながら店内を一周する。だが、所々に小さな小さな変化あり!というわけで、中公文庫「マイアミ沖殺人事件D・ホイートリー」(解決編未開封)ひるぎ社 おきなわ文庫「オキナワ・マイ・ラブ/黒川修司」(京都から本土復帰前の沖縄に乗り込み、のらりくらりと腕を磨いたフォークミュージシャンの沖縄エッセイ集)を計200円で購入する。

家に帰るとレターパックの包みが郵便ポスト内に収まっていた。内容物は久々のライバルなきヤフオク落札品。部屋の中でボール紙封筒を引きちぎると、意外に大判の付録冊子が滑り出て来た。「家の光」昭和三十四年新年号付録「明朗お楽しみブック」である。表紙は獅子舞の大川橋蔵で、中身は芸能情報満載(スター俳優・歌手・落語家・漫才師・野球選手&相撲取りが大挙登場している)なのだが、西條八十のスリラー絵物語「奇怪な贈物」が掲載されているのだ。“八十ぐるい(2016/21/31参照)”の私としては、是が非でも手に入れたかった代物である。当初てっきり子供用の冊子かと思っていたが、よく考えたら「こども家の光」ではなく「家の光」の付録なのだ。中身は当然大人向けなのである。ということは八十先生の絵物語も大人向け!堂昌一の二色刷りのリアルなイラストが冴えまくる誌面に目を細めながら、四段組六ページの短く他愛無い物語を、綿菓子を食べるように楽しんで行く…。あぁ、どストレートな◯落ちとは、八十先生!
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スリラー絵物語の面目躍如。六ページ内に描き文字題字も含め、計13点の美麗なイラストが配置されている。調べるとこのお話、どうやら初出は昭和二十四年の雑誌「天馬」に掲載されたものらしい。こちらも絵物語だったのだろうか…?
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2017年09月18日

9/18地味に蒸し風呂のような部屋で蠢く。

台風一過で気温がグングン急上昇する中、家に閉じこもり『さすらいの十年展』の準備を進める。とにかくちゃんと展示しなければならないので、暑い部屋の中でそこら中を引っ掻き回し、思いつく限りの主だった物を手元に集めて行く。この時ばかりは、整理能力と分類能力が皆無の己を、独り言の悪態をついて呪いまくる。『確かあそこにあれがあったはずだな…』と大体の検討で本の山(色んな物が本の山と融合しているので、何かを探す時は、結局古本を探す時のように本の山を切り崩さねばならないのだ…)に挑み、失望と発見を阿呆のように繰り返す。そんなことをしていたら、たちまち五時間が経過していた。だがまぁ変な物(一見はただの紙くず!)がたくさん集まった。初期のフリペや、最初に「古本屋ツアー・イン・ジャパン」として世間に姿を現したリトルプレスは、なかなか見物である。とは言ってもこんなものを展示して、果たして誰が喜ぶのだろうか?やっぱり何だか気が重い…。
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すっかり埃に塗れた肺腑を清浄に復すべく、日射しの強い表に飛び出す。ヒタヒタ歩いて「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)。文藝春秋社「裸の王様/開高健」(三版)新潮社「南氷洋/きだ・みのる」(きだの南洋捕鯨船同船記)を206円で購入しつつ、店主・天野氏となかなか開かぬ古本を扱う新店について言葉を交わす。それだけで、ふうわりと心が軽くなり『展示がなんだ!』と奇妙な威勢が湧き上がって来る。古本屋ってやっぱり良い所だ。すぐさま家に戻り、再び奇妙な宝探しに没頭する。そんな今日の嬉しい発掘物は、深川の人形師・石塚公昭氏(人形を実景の中で撮影し、物故した人間を現代に召還する魔術師である)のオリジナル・ミニプリント群。江戸川乱歩・怪人二十面相・谷崎潤一郎・中井英夫・永井荷風・泉鏡花などをコレクションしていた。確か一枚千円くらいで、旧サイトや『東京たてもの園』のイベントなどで、ちょこちょこ買い集めた物である。左上の銀座上空をアドバルーンで逃げる二十面相は、ホント最高だな。いつかちゃんと額装しなければ…。
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2017年09月17日

9/17神奈川・石川町 るなぱあく古本街

東京ではさほど激しくなく、一定量でシャワーのように雨が降り続ける中、午後に外出。向かったのは、横浜の雨の馬車道で、地下から顔を出すと、改装中で封鎖された『県立歴史博物館』の威厳ある灰色の陰鬱な姿が視界に飛び込んで来る。そのまま伊勢佐木町に向かい、まずは「活刻堂」(2009年10月12日参照)に腰を据え、講談社「13の凶器」「13の密室」「13の暗号」三冊共に渡辺剣次編を計300円で購入する。そして時刻が午後四時に近づいたので、狭い横丁に飛び出して傘を開き、南東に向かってビルの谷間を歩き始める。目指すは寄せ場として有名な寿町の『寿町総合労働福祉会館』跡地で開催されている、劇団「水族館劇場」が企てた混沌とした野外イベントなのであるが、嬉しいことにその一環として古本市も開かれているのである。寿町で古本…まさに夢のような組み合わせである。台風接近のため人影の少ない街路を寂しく進み、羽衣町→不老町→翁町→扇町と、何だか昔話の世界に迷い込んだような町名を伝い、やがて寿町に至る。ビル化した現代的な安宿とコインランドリーと飲み屋が連続し、傘を差した老人が街角の所々に立ち尽くしている…確かに独特な雰囲気は今もって維持しているが、全盛期ほどの荒れた危なさは感じられない。町の南西に位置する福祉会館の跡地は、『安全第一』と書かれた工事現場用の塀にぐるりと囲まれ、さらに内部が工事用の足場や鉄骨で、武骨に荒々しく、俗っぽく言えば寺山修司or丸尾末広的見世物小屋空間として組み上げられ、どんよりとした雨空の下で、町からは完全に浮き上がった“ハレ”の日の空間として、堂々と怪しく存在していた。『盗賊たちのるなぱあく 娯楽の殿堂』と掲げられた入口ゲートの下には、すでにグッズや演劇の当日券を買い求める人々の列が、雨にも負けず出来上がっている。ゲートを潜り、礫と泥で出来た会場内に入り込む。様々なゲリラ的建築物には、鬼海弘雄のポートレートパネルが大量に貼付けられ展示されている。さて、古本市は何処で…と入って左方向に進んで行くと、左にはメリーゴーランドのような奇怪で巨大なオブジェがあり、すぐ下にはすでに池のように広がってしまった、暗褐色の大きな水たまりがある。その上を延びるようにして、三列のアルミニウム足場が橋として組まれ、その先には薄暗い空間を湛えたテントがあった。強い水気の中に古本の気配を感じ取り、ゆっくり慎重に足場の橋を進んで行くと、おぉ!やはりそこが古本市の会場だったのである。
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橋と同じくアルミニウム足場で作られた高床の足下三十センチは、すでに泥水に侵略された、水上古本市なのである!テント内は薄暗く、開かれた入口側以外は、棚や平台が置かれ、中央には背中合わせの本棚二本と古い冊子類や紙物の詰まったプラ箱が並んでいる。市としては小規模である。並ぶジャンルは社会問題・アングラ・サブカル・アウトロー・映画・和本・古い洋探偵小説雑誌・演劇・思想・ストリップ・性愛・日本近代文学・教科書類・田中小実昌など、奇怪な芯が通った世界である。だが、だが、何よりも、この台風が生み出してしまった、亜細亜バザール的空間がとにかくアナーキーで素晴らしく、上陸した瞬間からトキメキが止まらない!次々橋を渡って来る人も感嘆の声を上げながら、非日常的過ぎる空間の虜となって行く。たちまち混み合う会場。そんなお客さんたちと、池側では気をつけないと転落してしまうので、慎重に譲り合いながら、古本を細かくチェックして行く。その間に「古書 信天翁」(2010/06/27参照。店主・山崎氏は長靴を履き、池の中を自由に動き回っている!)「古書ほうろう」(2009/05/10参照)「古書 赤いドリル」のみなさんと、挨拶を交わす。普通の古本市だったら、台風接近の荒天は絶望的な状況なのに、皆一様に笑顔を浮かべ、この状況をマックスに楽しんでいる模様。なんと麗しい変わり者たち!いや、正直この奇跡の光景を生み出した、みなさんと台風と水族館劇場には、とにかく絶大なる感謝を捧げたい。今日来て本当に良かった!と喜びを噛み締めながら、嬉し過ぎ楽しみ過ぎて、会場を馬鹿みたいに三周はしてしまう。八雲書店「金泥/吉井勇」アルス「フレップ・トリップ/北原白秋」(白秋の樺太旅行記。昭和三年初版だが函ナシで口絵も二枚抜け落ちている。でもやっぱり嬉しい!表見返しには神保町「一誠堂書店」(2010/03/27参照)の古い古書店ラベルあり!)を計700円で購入する。
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再び橋をギシギシ渡り、泥と礫を踏み締めて、寿町の街路に舞い戻る。さっきより、雨と風が強くなり始めている。斜向いの角地ビル一階には、謎の酒屋があり、ちょっと怪し気な男女が嬌声を上げながらアルコールに酔い痴れている。途端にこちらもビールが飲みたくなるが、とてもその中に飛び込む勇気はない。水上古本市の興奮覚めやらぬまま、傘も差さずにワンブロック歩き、やたらと酒類の豊富な自動販売機で缶ビールを購入。グビグビ喉に流し込みながら、ようやく傘を差して元来た道をたどり始める。寿町→扇町→不老町→羽衣町と進み、ちょうど『国道16号』にぶつかったところで、缶ビールを飲み終わる。あぁ、台風の日の、夢の中のような古本市よ、さらば。この市は今日が最終日であった。
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2017年09月16日

9/16ネコジャラ市の11人!

怪し過ぎる空模様がどうにかもってくれたことに感謝しながら、お洒落な人があらゆる路地を闊歩する奥沢に流れ着く。自由が丘周辺であるこの地区は、どうにかしてパリになろうとしているらしい…。そして同時に、明日の「みちくさ市」が中止になったことを知り、ションボリ肩を落とす…いや、その分、用意した古本も情熱のすべても、10/1の「LOFT9 BOOK FES.2017」にぶつけるしかない!と気持ちを新たにしながら、奥沢駅の南側に出て久しぶりの「PINNANCE BOOKS」(2012/06/11参照)を楽しむ。
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相変わらず海外文学と絶版文庫が絶景である。講談社文芸文庫「熊野集/中上健次」を300円で購入してから、お洒落人で賑わいの増す自由が丘方面に足を向ける。ちょっと迷った末に「西村文生堂」(2013/09/10参照)に到着。
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ビニールシートで守られた雨仕様の店頭を抜けて店内に入ると、なんだかとても慌ただしい雰囲気である。店内二通路には本と箱が積み上がり、若い衆がたくさん集まり、表にそれらを運び出して行く…だが、準備中というわけではないようなので、お仕事の邪魔をせぬよう通路に入り込み壁棚を眺めるが、二十秒に一度「すいません」と言われ、背後で荷物が激しく行き交っている…これはイカンと、集英社世界の文学16「黒猫/ポー作 福島正美訳」を500円で購入して、そそくさと退散する。

阿佐ヶ谷に帰り着き、例の新店の様子をうかがうが、今日も開店していない模様。だがきっといつかは見られるだろうと、さほど気は落とさずそのまま北に進んで古道具屋の「J-house」(2015/12/26参照)前に差し掛かる。最近店内リニューアルを行い、入口を二つにして、左が骨董・古道具・アンティークで、右が玩具関連と変化したのである。その右側部屋に入ると、新顔としてA4サイズの紙芝居が十種弱置かれているではないか。ほとんどがディズニー物だが、エポック社ファミリー紙芝居アイドルシリーズ「ムーミンと魔法使」「ネコジャラ市の11人(脚本は井上ひさし・山崎忠昭・山元護久)」(ともに箱型の紙芝居舞台とソノシートは欠品)を見つけたので計千円で購入する。「ネコジャラ市の11人」は、1970年から三年間NHKで放送された人形劇。残念ながら私は記憶にまったくない。放映時は三才〜六才なので、恐らく一度は見たことがあるはずなのだが…。紙芝居の一枚目がテーマ・ソングで始まっているのだが、この歌詞が本当に素晴らしく、達観と諦念と潔さと不安が単純な語彙の中にせめぎ合い、読み進めるほどに涙がこぼれ落ちそうになるくらいビリビリきてしまう!調べるとNHKアーカイブに幻のオープニング映像がアップされていたので、ご興味持たれた方はぜひご一聴あれ!
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2017年09月15日

9/15さすらいの十年!

朝から諦めずに日曜の「みちくさ市」の準備を進める…台風なんかに、負けるもんか…。と同時に、しばらくほっぽらかしていた「フォニャルフ」補充の準備も進める。午前十一時に日射しが強くカラッとした空気を身に受け、駅前の銀行で市用の小銭などを捻出しつつ荻窪へ向かい、開店と同時に「ささま書店」(2008/08/23参照)店頭に到達。だが結局店内文庫棚から光文社日本文学選「酒ほがひ/吉井勇」を315円で購入する。そのまま西荻窪に向かい、途中神保町に向かう盛林堂・小野氏と出会ったりしながら、久々に「フォニャルフ」に補充する。一緒に引き返して来た小野氏とお店を出て、色々お話ししながら中央線で阿佐ヶ谷まで同道。「どう?展示の準備進んでる?」「まぁ展示する物はそれほど多くないし、近い日に搬入するつもりなんで。ポスターとチラシは作ったよ」……これはいったい何の話かというと、九月終りから十月上旬にかけて、恐るべきことに、今年でブログを開始して十年目に突入している私の展示が『東京古書会館』にて行われることになったのです!血迷ったか、東京都古書籍商業協同組合!私如き一介の市井人が、一体何を展示出来ると言うのか!と呆れ返りつつ戦きつつも、準備はカタツムリのようにジリジリと進み、焦りも大いに募らせ、早九月も半ばとなっているのです。恐らく私の人生で、最初で最後の展覧会となること必至なので、地下の古本市ついでに二階にも足を運び、鼻で笑っていただければ幸いです。10/7には展覧会開催を記念して神保町ツアーも行う予定なので、こちらも合わせてよろしくお願いいたします!ちなみにポスター&チラシは、林忠彦撮影の坂口安吾の写真を超えるべく、自演自作いたしました…。
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『古本屋ツアー・イン・ジャパン さすらいの十年展』
■9月30日(土)〜10月16日(月)
■10時〜17時 日曜・祝日休館
■東京古書会館 2F 情報コーナー 
■東京都千代田区神田小川町3-22
http://www.kosho.ne.jp

『小山力也と行く神保町体験ツアー トーク&ガイド』
■10月7日(土)
■最大12名 先着順 申込み制
■14時〜16時(予定)
■参加費1000円
■トークイベント(30分程度)後、小山さんに神保町を案内して頂きます。
※お申し込みは展覧会会場かこちらのホームページからどうぞ。http://www.kosho.ne.jp/tour/index.html

さらに午後二時過ぎになって高円寺を手ぶらで散策し、「ドラマ高円寺店」で光文社「新版 今日の芸術/岡本太郎」河出文庫「ジャンキー/ウィリアム・バロウズ」を計216円で購入し、『庚申通り』を北上して「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)では講談社「完全犯罪/加田伶太郎」を千円で見つけ、ささやかな喜びを抱く。
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2017年09月13日

9/13日曜の準備と打ち合わせ

早起きしたのを幸いに、日曜の「みちくさ市」のための古本準備を開始する。基本の骨子を組み上げて、後はあちこちの古本山から本を抜き出し、肉付け肉付け…そうして三時間ほどで、大体の形が完成する。ここまで漕ぎ着けてしまえば、後は微妙な入れ替えを繰り返しながら、クリーニングと値付けをすればいい。まぁその作業は、金曜辺りにするかと、一息入れる。日曜日、どうか台風が雨を降らせませんように。
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午後外出して神保町。普段通りにパトロールしているが、今日は「原書房」(2014/05/15参照)で岩波書店「田園銷夏漫録 並震後雜感/長岡半太郎」を300円で購入するに留まる。大正十三年刊の、物理学者が関東大震災の一年後に、神奈川・三浦で一夏を過ごす避暑随筆である。附録に「大震雑感」が付いているが、とにかく全体的に震災についての生々しい記述が多い一冊。そのたった一冊だけの成果を懐にして「東京古書会館」にてまたもや打ち合わせ。しばらくこちょこちょやっていたこちらについては、もうすぐ詳細が出せることになりますので、しばらくお待ち下さいませ!
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2017年09月12日

9/12東京・国立 丸信リサイクルショップ国立西店

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今日も国立に流れ着くが、だいぶ西寄りのほぼ立川との中間地点である。すでに空は夕暮れになるべくその色を、刻一刻と変えつつある。そして目の前には、三階建てのビルをお店とした、大きなリサイクルショップがあった…古本がありそうな予感…。駅からは南口に出て、中央線高架沿いを西にテクテクテクテク歩き詰め、『国立八小』の交差点を南へ。そして三本目の『国立音大附小』手前を再び西へ。500m弱進めば、スーパーに向かい合った左手に『激安販売』と看板に大きく書かれたお店を発見出来るだろう。洗濯機や冷蔵庫が並ぶ店頭から店内に進むと、家具や日用道具系が集まっている。たくさんいる定員さんの「いらっしゃいませ」を浴びるようにして、レジのさらに奥へ。すると右手に三段ボックスラックに、見事古本が入れられているのを発見!興奮しながら手を伸ばすと、和本・学術古書・美術図録・アメコミ・軍事系雑誌などである。むぅ〜、めぼしい本は見当たらないなぁ…唯一、安野光雅の1950〜1970年代の画集に食指が動くが、値段はしっかりめの千円が付けられていた。あきらめて棚に戻し、一旦店頭に出て右端の階段から、アンティーク&玩具&古道具が集まるらしい三階フロアを目指す。静かにゆっくり長い階段を上がると、そこには一階の半分ほどの店舗空間が広がっている。アンティーク・古雑貨・DVD・レコード・ゲーム・コミック・軍物関連…むっ、古本も少しだけあるじゃないか。写真家ユージン・スミスの図録もあるが、これも千円か…と色々諦めかけていると、軍物棚の下段に、四角い缶に詰められた500均の折り畳まれた地図を発見する。『明治時代から昭和の地図がたくさん!』と書かれているが、多くは国土地理院の地形図っぽい。だが、確かに古い戦前のものが多いな…と丁寧に探って行くと、おぉ!日本統治下の京城府の地図を発見!これが500円なら、大しためっけものだ!と己を褒めそやし、中央のレジでそそくさと精算する。十字屋(京城の地図屋である)「京城府管内圖」(昭和十三年五月五日発行、五萬分ノ一。裏は「仁川畧圖」一萬分ノ一)を購入する。

中央線沿いの屋根波を飲み込み、ビルの上だけに黄金の光が当たる、都会特有のマジックアワーに見蕩れながら帰宅する。そして買って来た地図を早速取り出し広げ、それに加えて韓国で出版された「京城の日本語探偵作品集」を古本タワーの中から探し出す。この本は、統治下当時に京城で出版されていた、日本語の雑誌に掲載されていた探偵小説を、複写復刻した探偵小説集なのである。もちろん中には東京や外国が舞台のものもあるのだが、これで京城を舞台とする小説は臨場感たっぷりに楽しめるはず!と期待に胸を膨らませ、地図と本に笑みを浮かべながら目を落とす。
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2017年09月11日

9/11勝手にそろい踏んでもらう。

今日は国立と国分寺の間に流れ着いたので、丘の上から栗畑の間の道を抜け、国立駅を選択する。ここから向かうべきは南口駅前の「みちくさ書店」(2009/05/06参照)である。おっ!入口側左の壁棚が、下部が角度を持ったお揃いの棚になっており、収納力と見やすさがアップしている。
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そんなことに気付きながら、細長い一階通路店内を行ったり来たり…奥で箱に入れられ売られている、小さな不気味な像たちは何なのだろうか?個人的には鯨に足を絡み付かせて頭にかぶりついている蛸の像がとても気になってしまう(蛸と鯨が大幅に絡み合っているので、なんだかちょっとクトゥルーっぽい…値段は千円)…。だがぐっと我慢して無駄遣いはせずに角川文庫「寺山修司青春歌集/中井英夫解説」を200円で購入する。他には何処も寄らずに家に帰りつつ、阿佐ヶ谷で新店の様子を伺うが、今日もシャッターが下ろされたままであった。だがまぁ、そのうちに巡り会えるだろう。

家に帰ってからは色々片付けつつも、昨日手に入れた蜂須賀侯の「密林の神秘」に夢中になる。挙げ句、あるひとつのことを思い付き、大事な本が集まる特別古本タワーから、二冊を抜き取り、記念写真を一枚。
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大好きな探検家たちを勝手にそろい踏ませてみたのである。左から大谷光瑞探検隊の独り別動隊・橘瑞超「新彊探検記」(大正元年)、真ん中が探検建築家・伊東忠太(日本建築のルーツを実見すべく、中国〜中央亜細亜〜欧羅巴と経巡る)「余の漫画帖から」(大正十一年三版)、そして「密林の神秘」(昭和二十九年)である。う〜ん良い眺め。この中には、目的の違うそれぞれの命を懸けた旅路が、何千、何万キロに及び収められているのか。あぁ、これにいつの日か、自転車旅行家・中村春吉の一冊(確か「武侠世界」の別冊みたいなので出ていた気が…)を加えられれば最高なのだが…。こんなバカなことをしてうっとりしながら、愚かで幸せな古本の夜は更けて行く。
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2017年09月10日

9/10緑色の古本に縁がある一日。

午後、友人の陶器展を見るために西小山へと向かう。道すがら、今日も阿佐ヶ谷の古本を扱うお店が開いていないのを確かめて、落胆しながらも西小山には直接向かわず、隣駅の武蔵小山で下車して二ヶ月ぶりの「九曜書房」(2009/03/26参照)にまずは寄り道。入口近くの500均棚にピタッと張り付き、すぐさま三冊を抜き出す。法政大学出版局「密林の神秘 熱帯に奇鳥珍獣を求めて/蜂須賀正氏」(カバーナシ)無明舎「最後のマタギ/朝日新聞秋田支局編」講談社「殿山泰司のミステリ&ジャズ日記」を計1500円で購入する。なんたって嬉しいのは侯爵の探検鳥類学者・蜂須賀正氏の著作が、500円で入手出来たなんて!と、カバーが無い故の緑の表紙をなで回しながら、高校グラウンド脇の小道で思わずスキップ!少し取っ付き難い、データ実見主義で独特な節回しの文章が、読み進めるほどに癖になる!足取り軽くそのまま西小山に徒歩で向かい、駅前商店街の「ハイカラ横丁まるや」(2015/02/18参照)にも寄り道。店内で店主と高校生が大橋巨泉について意見交換しているのに聞耳を立てながら、中央棚の奥側の棚脇で、雑誌列の中からとても良さげな一冊を発見する。これまた緑色の本の、大阪市動物園「大阪動物園アルバム」。昭和十一年の三版であるが、大阪市動物園の哺乳類〜鳥類〜爬虫類〜両生類〜魚類〜甲殻類までを、全56ページにモノクロ写真で収めた一冊である。『くろしやうじやう(チンパンジーである)』の人気者、リタとロイドが背広を着てクラシックなペダルカーに乗っている写真がワンダフル!1080円で購入する。たちまち鞄の中に収まった寄り道の収穫に、ウキウキしながら元カメラ屋の古びたギャラリーにたどり着き、本来の目的を果たしつつ、手に馴染んでくれたおちょこをひとつ購入する。
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「密林の神秘」口絵写真の蜂須賀侯爵尊影と「大阪動物園アルバム」。表紙もくろしやうじやう。一ページ目も樹陰に寝転ぶくろしやうじやうの群れの写真にトレーシングペーパーが重ねられ『樹蔭に嬉戯するくろしやうじやう』の言葉が刷られている。この当時はくろしやうじやう、つまりはチンパンジーが一推しの動物だったのだろうか。
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こちらがリタ&ロイド。調べてみると『天王寺動物園』には人気者だった二頭の象が建てられているとのことである。
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2017年09月09日

9/9当てが外れたので「銀星舎」でダベる。

今日はわりと早い時間に荻窪北の天沼辺りに流れ着いたので、「ささま書店」に寄って行こうかと考えるが、実は最近阿佐ヶ谷に古本を扱うお店が誕生したらしいので、そちらに大いに期待して、方向感覚を狂わせがちな迷路のような住宅街を擦り抜けて阿佐ヶ谷方面へ向かう。だが、そのお店はやっていなかった…昨日もやっていなかったが、土曜日に営業しないのはどういうわけなのか…こんなことなら「ささま」に寄って、店頭棚にかぶりついておくべきだった…。哀れにも後悔先に立たず!すっかり当てが外れてしまったので、慰めてもらうようなような心持ちで「銀星舎」(2008/10/19参照)へと向かう。角川文庫「カクテル・パーティー/大城立裕」を400円で購入し、奥さま店主と、火曜日が定休日になったことや、二万五千円の宮澤賢治の生徒たちの話を集めた本や(う〜〜〜〜〜ん、とても欲しい…でも、でも、二万五千円か…)、昨今の古本屋事情やamazon事情や、飼っている天才猫などの話題に花を咲かせる。

家に戻ってからは、仕事その他をおっぽり出し、いよいよ大詰めになってしまった黒白書房「トレント最後の事件/E・C・ベントリイ作 延原謙作(本扉には“譯”ではなく“作”と書かれているのだ。当時の価格は1.5円!)」を最後まで読む。ぐむぅ、探偵小説なのに、なんでこんなに切ない思いが胸に込み上げてしまうんだ!途中から探偵トレントが、衝撃の◯の告白をしたり、まさか英知の結晶である推理力が◯◯するなんて!二〇一七年九月九日午後六時十四分、読了。紛うことなき名作であった。読み終わってからこの松野一夫挿釘の函を見ると、読了時の感動と心地良さが、何度でも胸に去来してしまう!ありがとうベントリイ。ありがとう延原謙。ありがとうトレント!
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2017年09月07日

9/7あぁっ!

今日は経堂の南に位置する、桜辺りに、すでに日の暮れた午後六時過ぎに流れ着く。ちょっとした高台から下り、駅方面を目指しつつ、それならば「大河堂書店」(2009/03/26参照)を急襲して行こうとほくそ笑む。だが、お店は木曜定休で、見事なまでのシャッターアウト。仕方なく北口に足を向け、『すずらん商店街』をゆるゆると遡上して、夜の「遠藤書店」(2008/10/17参照)にたどり着く。
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一日中雨模様だったため、表に長テーブル均一台が出ていないのが何とも残念である。というわけで主に文庫に狙いを付けた結果、古く背が高めの岩波文庫「眞景累ケ淵/三遊亭圓朝」を180円で購入する。駅に引き返して小田急線各駅停車に乗り込み、車内で買ったばかりの怪談を読みつつ新宿駅。文庫を手に持ったまま、人差し指を栞代わりに軽く挟み、地下から連絡改札を抜け、中央線の12番線ホームに顔を出す。ちょうど中央線快速が滑り込んで来たところだが、ちょっと遅れているらしく、車内はたちまち人間の身体的縄張りを度外視したラッシュ状態と成り果てる。う…む、これではとても読書の続きは出来そうにない。だが、とにもかくにも早く帰りたいので、入口近くにかろうじて身体を潜り込ませ、発車を今か今かと待ち焦がれる。その時、ひとりの女性が慌てつつ「すいませんすいません」と連呼しつつ、私の横にある隙間に身体をグリグリ捻入れて来た。そして収まった瞬間、身体を勢い良く反転させ、外に向かっての正対を試みる。その時左に抱えていたハンドバッグが、私の文庫を持っていた手を痛打!たちまち軽く握っていた文庫ははたき落とされ、身体をなぞるように滑り落ち、ホームと電車の間にスローモーション映像で、消えて行った…。「あぁっ!」車内で思わず叫び声を上げた瞬間、周りの視線が集中すると同時にドアが閉まり、電車は急速にスピードを上げ、中野駅へと向かって行った…。と言うわけで、新宿駅12番線ホームに落ちている岩波文庫「眞景累ケ淵」は、私の本なのであります…スマン、初代圓朝。まだ10ページまでしか読んでいなかったのに…。
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2017年09月06日

9/6阿佐ヶ谷で早稲田の「萩原書店」を知る。

今日はある原稿に腐心しなければならないのだが、その前に古本を買って心に平穏を充満させておこうと、午前のうちに新宿へ向かう。JR駅から地下道を通り、さらに深い場所にある『サブナード地下街』に流れ込む。まだ開いたばかりの、きらびやかさしかないショップの間を抜けて行くと、スクエアな地下広場の隅に、たくさんの古本ワゴンと早速そこに群がっている、頼もしい同志たちの姿が見えた。今日から出店店舗を入れ替え始まった「古本浪漫洲Part3」である。署名本コーナー・映画DVDコーナー・100均コミック&単行本・500均ワゴンが際立っている。結構真面目に立体的に重なる古本を動かし背を確認しまくる。結果、500均ワゴンから晶文社「対談 植草甚一」を、100均ワゴンから扶桑社文庫「二十世紀鉄仮面/小栗虫太郎」「真珠郎/横溝正史」を見つけ出し、計700円で購入する。

さぁ、古本も買った。後は家で原稿を…というのが正しい人間の在り方であるが、『もうちょっと買いたいな』と興が乗ってしまい、そのまま荻窪へ直行して月曜日に訪れたばかりの「ささま書店」(2008/08/23参照)へ。だがさすがに、定休日を挟んでの連続訪問では、そこまで棚に変化が起きているわけがない。珍しく何も買わずにそのままトボトボ阿佐ヶ谷へと戻ることにする。そんな帰り道の「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)で店頭棚を定点観測していると、入口右横のコミック&新刊&カルチャー系103均棚に、薄手の冊子が散見されるのでマメにチェックして行く。するとその内の一冊、冗談エクスプレス「畸人研究16号」が『古本道』をテーマに特集を組んでいるではないか。今柊二氏の妄想古本屋や全国さすらい古本日記(半分は今氏らしく食べ物の情報である…)などが載っているが、一番興味を惹かれたのはその表紙であった。小さな間口の狭い古本屋の写真が真ん中にレイアウトされ「実に古本屋らしいたたずまいだった萩原書店(早稲田・今はない)」と書かれている…知らない書店だ。
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というわけでこの冊子を購入し、家に帰って「萩原書店」について調べてみると、2001年7月発行「全国古本屋地図21世紀版」には『早稲田通り』北側の「金峯堂書店」(2010/10/19&2012/04/06参照)と「西北書房」の間にあった、一般書のお店として掲載されている。ということは、この「畸人研究」が2002年の12月発行となっているので、およそ一年の間に閉店してしまったわけか…。写真を見る限りでは、小さな店頭には台上にも足元にも雑然と本が積み上がり、かろうじて両脇の細い書棚に、早稲田らしさが見て取れる(お店の両脇に立て掛ける細い本棚、早稲田古本街ではスタンダードだったのだろうか?)。…この小さなお店に、入ってみたかった。今はただただ、お店の貴重な写真を撮ってくれていたことと、それを表紙に使ってくれたことに感謝するのみである。
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これは「萩原書店」について調べていたら偶然本の間から見つかった、「早稲田古書店案内図」。68mm×180mmの短冊型で、恐らく昭和四十年代前半のものと思われる。バス停名が『戸塚』になっており、「古書現世」(2009/04/04参照)はまだ誕生していない。
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2017年09月04日

9/4一日雌伏する予定

本日は些事をこなしたり、様々な準備を進めるために家に閉じこもるつもり。九月終り〜十月初め辺りに、あるおかしなことを行う予定なので、詳細が決まり次第お知らせいたします。だがやはり、閉じこもる前に古本は入手しておこうと、「ささま書店」(2008/08/23参照)開店時間参りにペタペタと出かける。午前十一時半過ぎの店頭は雨仕様で、先客はひとりのみ。素早く本の背に目を走らせ、背のない中綴じ本は抜き出し確認したりしていると、あっという間にお客さんが集まり始め、人影が少なかったのは束の間で、たちまちいつもの賑わいである。東京創元社「創元推理21 特集◎祝・百歳 渡辺啓助/温」平凡社「乱歩の時代」特別付録「犯罪圖鑑」晶文社「アメリカの鱒釣り/リチャード・ブローディガン」角川書店「雲のいる空/吉行理恵」(タイトル描き文字も含め金子國義の装幀に吸い寄せられる一冊)を計420円で購入する。外に出たらさっきまでの霧雨が本降りとなり、見事な濡れ鼠になって家へと戻る(古本は全力で死守!)。さぁ、がんばろう!
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そして大阪「梅田蔦屋書店」での「夏の古書市2017」にお越しのみなさま、短い間でしたが誠にありがとうございました。市は昨日無事に終了しましたが、売場がまた元のサイズに戻りつつも、引き続き『古本屋ツアー・イン・ジャパン』の古本コーナーは継続いたしますので、ふと思い出した時にでも、ぜひお立ち寄り下さい。売れた本リストが先ほど届いたのですが、まだまだ良書も駄本もたくさん残っていますので、よろしくお願いいたします!
posted by tokusan at 14:34| Comment(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする