2021年11月13日

11/13夢Qと乱歩。

未だ抜け切らぬ倦怠感につきまとわれたまま、昼過ぎに三鷹北口駅前に流れ着く。…古本を買って魂を鼓舞し、どうにか乗り切ろう。そう決めてまずは「水中書店」(2014/01/18参照)へ。桃源社「酔いどれひとり街を行く 都筑道夫〈新作〉コレクション4」新潮社「極地に逝ける人々/ド・ラ・クロワ」話の特集「怪しい来客簿/色川武大」を計300円で購入し、本日の古本屋巡りに先鞭をつける。続いて「りんてん舎」(2019/03/30参照)に向かい、店頭が木箱が店沿いに積み重なる形態になったのを確認し、奇想天外社「別冊・奇想天外 SF再入門大全集」河出書房「一分間に一万語 リングの死闘と新実存主義/:ノーマン・メイラー」(ビニカバは付いてないが拾い物!)桃源社「霊魂は訴える/香山滋」を確保して店内に進む。ややっ!中央通路のミステリ関連棚に、春陽堂日本小説文庫「瓶詰地獄/夢野久作」があるじゃないかっ!昭和十一年の十二版で値段は……せ、千五百円!これは“買う”以外の選択肢はありえないでしょう。と計1960円で購入する。
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おぉ、おぉ、久作よ夢Qよ…。

さらに身体は疲れて行くが、精神的には甚だ高揚してしまったので、そのまま吉祥寺まで徒歩で移動し、まずは「一日」(2017/08/11参照)の安売ガレージへ。東京創元社クライム・クラブ「藁の女/カトリーヌ・アルレェ」教育出版江戸東京ライブラリー「快絶壮遊〔天狗倶楽部〕/横田順彌」を計440円で購入する。さらに「バサラブックス」で宝石社「再婚旅行/佐野洋」を100円で購入し、「古本センター」(2013/07/01参照)ではハギパゲコミックス「BASTARD!! 未使用・改訂版/萩原一至」を250円で購入し、最後に「よみた屋」(2014/08/29参照)で毎日新聞社「土手の見物人/伊馬春部」を110円で購入し、段々と背中で重くなる古本にも体力を奪われながら西荻窪へ移動。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)にて、北原尚彦氏よりの『古本トレード』の獲物を受け取る。あぁ、古本を買ったり受け取ったりして、溺れた溺れた。北原氏との古本トレードは、集英社おもしろ漫画文庫「名探偵ホームズ」JNコミックス「名探偵ホームズ 4人のサイン/望月三起也」「空想科学推理小説 黒い鳥」を差し出し、鎌倉文庫「鏡地獄」一聯社「魔術師」ふじ書房「幽鬼の塔」の江戸川乱歩戦後仙花紙本セットを受け取る。いやぁ、喜びがにじみ出てしまう。この三冊、仙花紙本なのにとても綺麗なのである。特にそのうちの二冊はデッドストックと言わんばかりのピンピン状態。実はこの本を氏が盛林堂さんに預ける時に中身を見せたら、「めちゃくちゃ綺麗な状態ですね」「こんな状態の乱歩邸ぐらいでしか見られませんよ」と褒められ、北原氏が「しまった、一度に出すんじゃなかったか(笑)」と後悔する一幕が。しかしすでに後の祭りである。ありがたくニヤつきながら拝受いたします!
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そしてそろそろ発売になる「日本古書通信 2021年11月号」の、盛林堂書房・小野氏と北原尚彦氏と私の三人でお送りするリレー連載『ミステリ懐旧三面鏡』第二回は、私が担当し『探偵小説の皮を被った陰鬱な狼』のタイトルで、スピッツの2ndアルバム『名前をつけてやる』と埴谷雄高『死靈』を私的に関連づけた小話を執筆しております。何のことやら見当もつかないと思いますので、どうか誌面に当たって真相を確かめていただければ幸いです。
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2021年11月12日

11/12本日が発売日です!

ワクチンの副反応か、とてつもない倦怠感に襲われている。何をするにも「よいしょっ!」と気合いのかけ声をかけないと、重い身体が動いてくれない…あぁあ、早く治らないかな。ということで今日は家で静かに過ごすことにしたので、まずは昨晩のお話を。すでに暗くなった阿佐ヶ谷駅駅頭で編集さんと待ち合わせ、二冊のカバーデザインを担当した本を受け取る。綺想社「シルヴィアは誰?/シンシア・アスキス」は、先に発売された英國幻想奇譚集「願わくは彼女の眠り続けんことを」から漏れてしまった一編を、一冊にまとめた補遺文庫である。非常に可愛らしいですな。同じく綺想社 綺想紙漿雑誌暴譯叢書玖「パルプ地獄變/フランク・グルーバー」は、「コルト拳銃の謎」や「海軍拳銃」で有名なアメリカの作家の、ニューヨークのビル街に根を下ろす、一九三〇年代の“パルプ雑誌”界という弱肉強食のジャングルを、栄誉と金を手にするために、飢えながら這いずり回る自伝物語である。それはまさに、原稿採用の仕組みや各雑誌のギャラまでが細密に書き込まれた、パルプ作家残酷物語!訳は直訳的な個所が散見されるが、それを差し引いても、手に汗握る面白さなのである!恐ろしいまでの連続ボツ!そして栄光の光射す、一語幾らの採用!いやぁ〜、売文業のキビしい世界、コワいなぁ〜…。どちらも西荻窪「盛林堂書房」や中野「まんだらけ海馬」でお求めになれますので、ご興味持たれた方はぜひ!
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そして本日は、ついにちくま文庫「野呂邦暢 古本屋写真集/岡崎武志&古本屋ツアー・イン・ジャパン編」の正式発売!この古本屋愛の籠った前代未聞の素人写真・写真集を、何とぞよろしくお願いいたします!
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写真は巻末近くに載っている、旧野呂邸門前に立つ、十一年前の岡崎武志氏。ゲラで初めて見て驚きました。そしてやはり嫉妬していしまいました。編者署名本は、我が地元阿佐ヶ谷「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)でも販売しておりますので、重ねて何とぞよろしくお願いいたします!
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2021年11月11日

11/11東京・新宿 TOKYO BOOK PARK×東急ハンズ

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朝起きたら、左上腕の痛みとぬるま湯的倦怠感に身体を重く包まれ、残念ながらイマイチの体調。だがやるべきことはサッサと済ますかと外出して、新宿に姿を現わす。駅の宙空の『新南口』改札を抜けると、柱の多い上下にサンドイッチされたような空間が広がる。『高島屋』脇の空中デッキに出て、スタスタと南に進む。そしてどん詰まりの、午前十時を少し回ったところの『東急ハンズ新宿店』二階に入り込むと、目の前のイベントスペースで古本市初日がスタートしていた。二十一世紀世代の古本屋さんが集まり、各地「PARCO」で開催されている古本市「TOKYO BOOK PARK」が、東急ハンズと手を組み、新宿に進出したのである。参加店は「古本うさぎ書林」(2009/07/07参照)「にわとり文庫」(2009/07/25参照)「ハナメガネ商会」(2014/04/26参照)「徒然舎」(2012/05/24参照。ただし旧店舗)「folklore」(2018/03/09参照)「クラリスブックス」(2013/12/01参照)「東京くりから堂」(2009/10/29参照)「一角文庫」「リズム&ブックス」(2011/08/10参照)である。クロスなどで洒落た装飾を施された、テーブルや木箱や木棚が組み合わされ重ね合わされ、六つの島を造り出している。それにしても、ハンズは今開いたばかりなのだが、すでに島には数人の籠を持った女性が取り憑き、大量の洋書絵本を積み重ねている…すげぇな。くるくると島の間を満遍なく動き回る。「一角文庫」さんの建築本が良い味を醸し出している。また「くりから堂」さんの旅行系古書もたまらんなぁ…などと楽しむ。文化出版局「ミステリーは私の香水/小泉喜美子」を500円で購入し、「徒然舎」さんの開店十周年記念ポストカードをいただいて、フラフラと帰路に着く。この市は11/24(木)まで。
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2021年11月10日

11/10副反応に備えてコミックを。

午後二時に、二度目の新型コロナワクチン接種を受けるために、阿佐ヶ谷駅近くのマンションモデルルームを改造した接種会場へ。二十分後にはすべてを終え、身体が変わった実感のないまま、雑踏に吐き出される。そのままテクテク歩いて荻窪へ。「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)で河出新書「まいまいつぶろ/高峰秀子」若木書房 TEEN COMICS DELUXE「こうもり男爵/飛鳥幸子」(タコ糸補強がされた貸本仕様)を計660円で購入する。さらに古本屋をたどりつつ、「竹陽書房」(2008/08/23参照)へ。新潮コミック「漱石事件簿/古山寛・原作 ほんまりう・画」を200円で購入する。文豪・夏目漱石が探偵役(あるいは狂言回し)を務めるミステリーコミック。南方熊楠・平井太郎(江戸川乱歩。二話目は『団子坂殺人事件』。昨日に続き縁があるなぁ)・岩田準一・永井荷風・伊藤晴雨・小泉八雲・森鴎外・宮武外骨・野村胡堂・宇野浩二・柳田国男・折口信夫などがゾロゾロ登場するので、楽しい楽しい。谷口ジロー&関川夏央「坊ちゃんの時代」の肌触りに近い構成と作風である(実際あとがきの対談では「坊ちゃんの時代」からの影響が語られている)。そして倫敦篇では、アーサー・コナン・ドイルどころか、ホームズも奇抜な登場の仕方をするので、完全な案件なのであります。
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副反応で熱が上がったら、ボケラ〜ッと漫画を読んで過ごすことにしよう。

そしてそろそろ発売になっている「本の雑誌 にしんそば夜回り号」の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、赤塚の「司書房」に突撃!いやぁ、スパスパ安めの気になる本を買い集め、満足満足。また巻末の『今月書いた人』では、私も岡崎武志氏も、ちくま文庫「野呂邦暢 古本屋写真集」のことを書いちゃってます。その小さな写真集ですが、早いところではそろそろ発売されたりしているので(盛林堂書房さんでは、店頭でも通販でも署名本を販売中!)、見かけたら、気にしてください!手に取ってください!中を見てみてください!お買い上げください!よろしくお願いいたします!
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2021年11月09日

11/9『Y坂の殺人事件』!

今日も夕方にお仕事で、かろうじて雨の上がった高田馬場に出没。帰宅する間際に「ブックオフ高田馬場北店」(2012/11/15参照)に滑り込む。最奥の古書コーナーを一巡し、東大學生文化指導會「現代文學人名辭典」宝文館「マイクと言葉/篠田英之介」を計440円で購入し、電車が激しく混み合う前に帰宅する。「現代文學人名辭典」は昭和二十三年刊の厚さ1.7ミリの仙花紙本辞典。
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内外の有名文学者が、『日本篇』と『西洋篇』に分かれて載っているのだが、パラパラ見ると、何と少ないながらも肩書きが純粋な“探偵小説家”として、三人が収録されているのを発見したのである。その栄誉に輝いているのは、江戸川乱歩・甲賀三郎・小酒井不木(木々高太郎は『林躁 小説家』として載っていた。また他にも探偵小説を書いた黒岩涙香・江見水蔭・押川春浪や大衆小説作家などの名も並んでいるが、他ジャンルも多く手掛けているので、肩書きは“小説家”や“翻訳家”となっている)。甲賀は『科学畑出身の緻密な頭脳を以て複雑な筋を主とした探偵小説を發表した』、小酒井は『「戀愛曲線」は、戀愛とは縁遠い筈の科学者が、戀愛の原動力である心臓をめぐって、探偵小説的ストオリイを展開するのだが、法醫学的知識が充分に活用されている』などと紹介されている。そして大乱歩だが、『従来の探偵小説の質を高めて推理小説とした點に意義がある。後次第に頽廃的な雰囲気を扱うようになった』との説明が為されている。代表作として、『二銭銅貨』『一枚の切符』『心理試験』『Y坂の殺人事件』等…わ、“Y坂”!?…ということは、ゆ、“幽霊坂”…?恐らくクイーンの「Yの悲劇」と混同してしまったのではないだろうか?…きっと探偵小説に興味のない人が書いたのだろうな。財團法人東大學生文化指導會、しっかりしておくれよ!
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2021年11月08日

11/8直接献本。

夕方にお仕事で高田馬場に出たので、『早稲田通り』を東に向かい、坂を駆け下りて「古書現世」(2009/04/04参照)に滑り込む。通路を狭める買取本の壁やダンボールに抗い、棚を舐めるように眺めて行く。昭和十二年刊の河出書房 記録文學叢書2「ゴールド・ラッシュ かりふおるにや繁昌記/木村毅」を1300円で購入しつつ、町田で開かれている『浅生ハルミン ブック・パラダイス展』の特色刷り大判ポスターをバックに掲げ、黒いオーバーオールに黒マスクの店主・向井氏に、ちくま文庫「野呂邦暢 古本屋写真集」を献本させていただく。すると「ついに古ツアさんもちくま文庫入りを果たしたわけですね。おめでとうございます」と言祝いでいただく。そして、早稲田のページをパラリパラリ。「文献堂書店の写真は貴重ですよ。本当に残ってないんですよ。早稲田の本書く時に色々調べたんですけど、一枚も出てこなかった」「この脇道にあるお店は寅書房で
すね(元版はp47、文庫版はp53参照。これが古本屋さんだったとは、気付かなかった…)。めったに開かないお店だったんです」「BIGBOXの古書感謝市のポスターだ」などと早速小さな文庫本のページの中にグングン入り込んでくれたので、思わず目を細めてその光景を慈しんでしまう。その他に、買取の話や好調だった先月の売り上げの話や、贅沢にもハルミンさん本人を連れて観賞した『ブック・パラダイス展』の話など。あぁ、古本心が暖まる。
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お店の前で「ゴールド・ラッシュ」を記念撮影。この本もとても面白いのだが、同じ記録文學叢書の巻末広告に掲載されている「ガスパー・ハウゼル/森下雨村」「マルキ・ド・サード/木木高太郎」「倫敦塔奇譚/小栗虫太郎」の三冊に度肝を抜かれる。特に小栗の「倫敦塔奇譚」!こんな本、本当に出ているのか?とアワアワしながら調べてみると、ネットでは情報が何も浮かび上がって来ない…出版されなかったのだろうか?
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2021年11月07日

11/7「二人がかりで死体をどうぞ」。

午後に預け物の古本三冊と、一握りの古本を携えて、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ。まずは店頭にガッチリ食いつくと、中央工學會「西洋工藝史/田端茂穂」と白水社科学選書X「成層圏へ/オーギュスト・ピカール」を見つけて喜ぶ。「成層圏へ」は人類で初めて水素気球で成層圏に到達した、ベルギーの科学者の、実用的な冒険の書である。この二冊を手に店内に進み、「フォニャルフ」に補充しようとすると、「こんにちは〜」と一組の男女に挨拶される。おわっ!喜国雅彦&国樹由香夫妻ではないですか。素早く補充を済ませた後、喜国氏とは日下三蔵邸の話を、国木氏とは世界空手修業行脚の話に花を咲かせる。そして店主の小野氏に挨拶し、刷り上がった盛林堂ミステリアス文庫の新刊(なんと記念すべき文庫百冊目なのである!)「二人がかりで死体をどうぞ 瀬戸川・松坂ミステリ時評集/瀬戸川猛資・松坂健」を受け取る。本文以外の造本を全力で担当した、満足行く仕上がりの、重厚なハードカバーの一冊である。二人のミステリ評論家の、七十年代の沸騰混沌としたミステリ本のジャングルを、勇猛果敢に切り開き征服する評論集。惜しくも十月に松坂健氏は病没されてしまったが、そのミステリを愛して止まない魂の一部は、このような本の形を採って残ることになったのである。すでに予約通販分は規定数に達したそうで、後は11/13からの盛林堂店頭販売分や文学フリマ販売分を残すのみとなってしまった。ミステリファンには、後で悔いを残さぬように、必死の入手をおススメする次第である。ちなみにカバー表紙写真は、松坂邸書庫で撮影したもの。
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帯の惹句は新保博久教授によるもの。ワンポイントの、チョーク・アウトラインが目印です!

そして新刊のアップルBOXクリエート「わんぱく探偵団1/大野ゆたか」を二千円で購入する。江戸川乱歩原作の虫プロアニメ『わんぱく探偵団』(2015/07/06参照)を虫プロ所属の大野がコミカライズした作品である。“1”ということは“2”もいずれ出るのだろうか。これは楽しみ楽しみ。
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2021年11月06日

11/6縋り甲斐のある「ほん吉」!

午後三時に砧の南に磨り減って流れ着いたので、『環八』を北に辿り、小田急線高架に行き当たったら東に進路を採り、千歳船橋駅に出る。ホームベルは森繁の『知床慕情』である…。すっかり疲れ果てているのだが、取りあえずは下北沢に出て、「ほん吉」(2008/06/01参照)の店頭に残りのエネルギーを注ぐことにしよう。下北沢に程なく到着して、地下駅から若者でごった返す地上に出て、路上の賑わいを擦り抜け擦り抜け、裏路地の「ほん吉」にたどり着く。すると、一目で店頭棚に古めの児童文学が点在しているのを感じ取る…ほとんどが伝記や名作物だが、これは何かありそうだ。裸本の文藝春秋社「警視廳物語/樫原一郎」と同じく裸本の雄山閣出版「刑事捜査記録 異常犯罪篇/元警視庁警視 成智英雄」を抜き取り、最下段を見ていた状態の屈んだ体勢で右に半ターン。カラーボックスにぎっしりと詰まる絵本&児童文学の背に神経を集中させる。すると最下段の一番端で『創作S・Fどうわ』の文字を感知!素早く抜き出すと、盛光社 創作S・Fどうわ「森の中のペガサス/ぶん・谷真介 え・赤坂三好」であった。函ナシで表見返しページが一枚ちぎり取られているが、それでも『創作S・Fどうわ』が110円なのは古本心弾む出会いである。その他にも同じ棚から、大日本図書「黒い塔のひみつ/ズデニエック・K・スラビイ 金山美沙子訳 瀬川康男画」(火星人や電子頭脳などが出て来る、SF度の強めな連作短篇集である)至光社「こどものせかい11 ぽっぽぉー よぎしゃ/北田卓史絵 矢崎節夫文」を見付け、やはり「ほん吉」は縋り甲斐のある楽しいお店だ!と再確認する。五冊を計660円で購入。すっかり短時間で満足を得て、井の頭線とすぎ丸で夕暮れの阿佐ヶ谷に帰り着く。
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2021年11月05日

11/5ど、ど、ど、土門拳!

本日は午後に桜上水に流れ着いたので、京王線→井の頭線と乗り継ぎ、吉祥寺に出ていつものように古本を買うことにする。南口から路上に吐き出されて、まずは「古本センター」(2013/07/01参照)へ。当然張り付くのは店頭処分棚で、たちまち五冊が腕の中。文藝春秋「壺中庵異聞/富岡多恵子」パイオニア株式会社「ステレオ読本」岩波書店「伽藍が白かったとき/ル・コルビュジェ」大日本図書「子ども科学図書館 火の玉の科学/大槻義彦」CBSソニー出版「ぼくの副作用 ウディ・アレン短篇集」を計400円で購入する。全品80円本。「ぼくの副作用」は拾い物である。ピンクの帯の帯文はタモリが担当している。続いて「バサラブックス」(2015/03/28参照)に表の木箱から文庫を一冊抜き取って飛び込む。すると奥のミステリ幻想コーナーに日本評論社「日下三蔵セレクション 離れた家 山沢晴雄作品集」あるのを発見する。探していたのだが、なかなか出会えなかった一冊。少しカバーや帯が傷んでいるので、激安の千円!喜んで新潮文庫「トットのピクチャー・ブック/黒柳徹子=文 武井武雄=絵」とともに1100円で購入する(挟んでもらったお店の栞を見ると、店名が劇画文字で「ばサ羅ブックス」と表記されている。ちなみに裏はミニミニ書評コラムになっている)。
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ここまでの嬉しい収穫ツーショット。

そして「よみた屋」(2014/08/29参照)に回り込み、店頭棚をビルのステップに片足を乗っけて、ジィ〜〜〜〜ッと眺めて行く。だが新書サイズ棚から単行本棚に移動し、三本経過…だがまだ何も掴んでいない…ちょっと焦りながら最後の大判ラックに視線を注ぐ。すると最下段で斜めって収まっていた、昭和五十年の新宿・小田急グランドギャラリーのカタログ「室生寺/土門拳」が気になってしまった。大判の168ページを掴んで引き出し、パラパラと眺める…もちろんタイトル通り“写真の鬼”土門拳が撮った奈良の“女人高野”である。重厚なモノクロ写真をパラパラ眺め、最後に年譜に目を通す。昭和五十年って言ったら、もう土門は脳出血の後遺症と闘いつつ、不自由な身体でシャッターを切りまくっている時代かなどと考えながら年譜の文字列を目で追って行く。すると最後に小さく、その年譜に参加するように鉛筆書きの二行があるのに気付く。メガネをおでこにずらし、その小さな文字に目を寄せる…『1975.9.19拝観 サインもらう』…『サインもらう!?』慌てて本をバラバラと冒頭の方に戻すと、確かに扉ページの裏に、サインとは思えぬ墨痕鮮やかな巨大な署名があるではないか!それは“拳”の一文字!う〜むスゴい、こりゃぁすごいぞ。と店頭での出会いを感謝しながら300円で購入する。あぁ、今日も古本屋さんの店頭には、夢が転がっていた。
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2021年11月04日

11/4東京・浅草橋 古書みつけ

昼過ぎに家を出て、中央線と総武線を乗り継ぎ浅草橋に出る。今日は贅沢にも編集さんにお蕎麦をご馳走になった後、筑摩書房に赴き「野呂邦暢古本屋写真集」180冊にサインするのである。テクテク北に群集とともに歩き、赤信号に引っ掛かると、後からグイと袖を引っ張られた。振り向くと岡崎武志氏の笑顔である。昨日はお疲れさまでした。信号が変わるとともに肩を並べて歩き始め、お店の前で編集さんと合流し、美味しい昼食。満腹した後に筑摩書房の会議室で、心を込めて、ひたすらマシーンのようにサインする。
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我々を待ち構えていた、“三億円の札束”と言った感じで積み上がった「野呂邦暢古本屋写真集」の塊!

私は主に署名と捺印だけだが、岡崎氏は植物や動物のイラストまで描き込む念の入れようである。最後の五冊は、鉄人28号→鉄腕アトム→古ツア→岡崎→野呂のイラストであった。何処に行くかはわからぬが、この五冊は当たりである。

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およそ一時間半で作業を終了し、筑摩書房を辞する。岡崎氏とポツリポツリ話しながら浅草橋駅方向へと戻る。そして駅には入らずに、そのまま東側歩道を南進して、薄緑の『浅草橋架道橋』の下を潜る。さらにワンブロック南下し、セブンイレブンの前で東に曲り、雑居ビル街に入り込む。大通りから一本道を入ると、途端に静かになるのがこの辺りの特徴である。東に歩き続け、三本目の道を南に入る。すると右手のモルタル商店長屋建築の一階に、開店祝いの胡蝶蘭が置かれているのが目に留まる。近づくと、そこが先頃開店した古本屋さんであった。ちょっと奥まった小さな店のファサードは、白壁に木枠のガラス扉と、古風な造りが為されている。右端の縦長ガラスには、店名が緑の塗料で浮き上がっている。引戸をカラッと開けて中に進むと、しっかりと落ち着いた木材で作り込まれた、こじんまりとした空間である。左には百均箱が置かれているのみで、空の飾り棚が壁に展開している。右に縦横に入り組んだ棚があり、入口側から一般文庫・コミック・ミステリ&エンタメ・箱入り文学本・純文学文庫・海外文学・松本清張全集・台東区&文京区関連本・カルチャー・評論・児童文学・絵本・詩俳句・民俗学・鬼・宗教・柳田國男文庫などが並んで行く。棚の一部である小さな扉を開くと、そこには男色関連研究本が隠されており、岩田準一の研究文献もあり。また佐藤泰志の「移動動物園」が千二百円で燦然と輝いていたりもする。足元には大判写真集木箱があり、棚前の古い木製机には、喜国雅彦氏の本棚探偵シリーズが引き出しに入っていたり、大正時代の藤村小説集がディスプレイされている。中央にある柱の下には、店内の緩いルールを書いた紙がポツンと置かれている(現在は買い取りはしていないとか、店内撮影OKとか、店主は恥ずかしがり屋とか…)。新しめの本が多く、値段は普通。奥のカウンター帳場で声を掛けると、「いらっしゃいませ」と声はすれども姿は見えずの店主さんが、暖簾を潜って姿を現わしてくれた。ちくま文庫「舞姫/ヰタ・セクスアリス 森鴎外作品集1」福音館書店「がたん ごとん がたん ごとん/安西水丸」を購入すし、表の通りからもガラス越しに見える、欄間飾りをデザインした栞をいただく。新たに浅草橋の駅近くに誕生した古本屋さんに、万雷の祝福の拍手を!これでこの地では、「御蔵前書房」(2008/11/08参照)との古本屋ハシゴができるようになった訳である。岡崎氏と二人で新店に足跡を残し、総武線にて帰路に着く。
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11/4『円谷英二と怪獣』

すでに昨日のことである。午後二時半に外出し、中央線に乗車して一路高尾へ!車中の読書は、ここのところ移動中に首っ引きで読んでいた「月長石」である。この分厚い文庫本をいよいよ読み終わる…という長い旅のクライマックスに差し掛かったところで高尾駅に到着。山が近いので冷えるのを覚悟していたが、都心と変わらぬ陽気にホッとする。ギャラリーの方に足を向けながら、ちょっと名店街に寄り道し、「高尾文雅堂書店」(2009/11/18参照)跡地をを切なく眺めてから、二階にあるメガネ屋さんの古本販売を見に行く…だが、残念ながらシャッターアウト…相性が悪いのか、いつもこれである。まぁまたの機会にお目にかかろうと気を取り直し、高尾の街をズンズン二十分弱歩き、住宅街にある民家ギャラリー『白い家』に到着する。門前には『岡崎武志の絵画展』の看板が出ており、広い玄関には個展開催お祝いの花が並んでいる。白水社、春陽堂書店(探偵小説好きとしてはグッと来ちゃうね)、音羽館(2009/06/04参照)。そして一際立派な立花が筑摩書房より送られていた。
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ギャラリー部屋で数人のお客さんと楽しく談笑する岡崎氏と挨拶を交わすや否や、まずは玄関部分に並ぶ古本販売に目を凝らす。百冊ほどの古本が質良く並んでいる。まずは日動出版「澁澤龍彦画廊」を抜き取り、さらに本の背に目を凝らす。下段の大判本コーナーから抜き出したのは福音館書店「月刊たくさんのふしぎ シベリア鉄道ものがたり/宮脇俊三文・黒岩保美絵」である。おぉ、これは良いのを引き当てたぞ。値段は激安の300円だ。これだけでも今日ここに足を運んだ甲斐がある!と言っても過言ではない出会いである。計1100円で購入し、氏の新作絵画を眺めながら過ごしていると(北園克衛、いいなぁ〜。『電送人間』もステキ。旧阿佐ヶ谷駅駅頭の絵も心がブルッと震えるなぁ。そして野呂邦暢はちくまの担当編集さんがお買い上げ)、やがて程なくしてトークの時間となる。広い庭への窓を開け放した、豪勢な絨毯敷きのリビングで、遠路遥々お越しいただいた8人のお客様を前に久々のトークショー開始。「野呂邦暢古本屋写真集のこと、文庫の中対談で語り尽くしてるんで、もう喋ることないでぇ」とかます岡崎氏を諌め宥めながら(それでも途中からエンジンがブルブルかかり、しばしば脱線すること多数。でもそれが面白いんですよね)、楽しく話し続け、暗くなるまでの一時間半を無事に駆け抜ける。終了後は、リビングがそのまま打ち上げ開場となり、お寿司におでんにビールと日本酒での盛大な打ち上げとなる。参加者はみな気持ち良くオダを上げ、途中から何故か吉田拓郎大会に。ギャラリーオーナー高橋氏の完全なる吉田拓郎に瞠目し、負けじと静かにオリジナルボーカルで歌い上げる岡崎氏にヤンヤの拍手を送る…トークの時より盛り上がってるじゃないか。おかしなオッサンたちだよ、もう。
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宴もたけなわの午後八時前に辞去しようとすると、今日のギャラの一部にと、ギャラリーに飾ってあった『円谷英二と怪獣』をプレゼントされる。「なんで『ゴジラの逆襲』の撮影風景を絵にしたんですか!」とツッコミながらも、特撮好きには嬉しい嬉しい一枚を胸に抱えながら、千鳥足で少し寒くなった見知らぬ街の夜道をたどる。
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2021年11月02日

11/2ちくま文庫になりました!

早朝午前八時過ぎ、ひと塊の荷物が届く。ダンボールをバリバリと剥くと、中から出て来たのは出来立てホヤホヤの力の限り再編集した、ちくま文庫「野呂邦暢 古本屋写真集」であった。バンザ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜イ!ついに刷り上がったんだ!と本を手にして小躍りして喜び、元本と記念撮影する。
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野呂さんも横になって、なりは小さくなったが、なんたって憧れのちくま文庫だ。岡崎武志氏と力を合わせて作った本が、その仲間入りを遂げたなんて、私にとっては天にも昇る気持ちなのである。だから他のちくま文庫と並べて写真を撮り、おぉ、仲間だ!などとアホみたいにはしゃいだりもしてみる(「愛についてのデッサン」とは続き番号になっているのか…)。
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発売は11/10になりそうなので、この芥川賞作家と言う素人の撮った古本屋さんの写真ばかりで構成されている不思議で魅力ある文庫本の登場を、刮目して今暫くお待ち下さい!そして明日の岡崎氏とのトークも、何とぞよろしくお願いいたします!
https://www.shiroitobira.com/

さらに夕方になって、ヤフオク落札品が郵便にて届く。昭和八年刊の研究社英文譯註叢書「黒檀の函/ヘンリー・ウッド作 佐伯有三譯註」(装畫:初山滋)である。ライバルナシの1500円で落札。英語を勉強するための英文学習書であるが、見開きページの英文の対面には、ちゃんと訳文の日本語が載っているので、英語が不得意でも読むのにまったく支障はない。そしてこれは金貨が詰まった小箱の紛失を巡る探偵小説なのである。どんな形式であれ、昭和初期の探偵小説が読めるのは、楽しみ楽しみ。同じシリーズの昭和四年刊「ヂェキル博士」を所蔵していたので、一緒に記念撮影する。
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「ヂェキル博士」は文庫より少しだけトールサイズだが、「黒檀の函」はそれより横幅縦幅共に長くなり、新書より少し小さいサイズとなっている。
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2021年10月31日

10/31『マー姉ちゃん』の影響か?

NHKプレミアムで最近再放送されている、朝の連続TVドラマ『マー姉ちゃん』が、完璧過ぎて面白過ぎる。当時リアルタイムで観ていたので、その面白さは分かっていたのだが、まさかこれほど面白いドラマだったとは、思ってもみなかった!小山内美江子の脚本の素晴らしさ!すべてのキャラが輝き息づいている画面!そして熊谷真美と田中裕子演じる姉妹の絶妙な九州弁マシンガントーク(この姉妹の麗しきじゃじゃ馬的じゃれ合いは、永遠に観ていて飽きないのだ)!そしてさらに田中裕子の悪魔的演技の素晴らしさ…こんな面白くてとにかく続きが気になるドラマ、朝に必ず観てしまうよな…。最新回では、ついに田河水泡先生が登場!…するかと思ったら、家や気配は登場すれど、ついに姿を見せなかった…あぁ、続きが本当に楽しみだ。なんて、日曜の一挙放送を堪能し、昼食を摂ってから外出する。まずは毎度お馴染み西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に顔を出し、受け取り+今後の打ち合わせを軽くする。その後駅北口の「TIMELESS」(2012/06/30参照)でオンデマンド出版の小学館P+DBOOKS「親友/川端康成」を220円で購入する。1954年に「女学生の友」に連載された少女小説である。挿絵もちゃんと入っているのが嬉しい。そして阿佐ヶ谷に戻って、中学校で投票を済ませた後、高円寺まで足を延ばす。「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)の店頭に張り付くと、フラワーコミックスの5巻揃いの「ポーの一族」500円が目に留まる…ぐぬぅ、思わず無条件に買ってしまいそうになるが、文庫版がいえにあるじゃないか…まぁここはひとつ我慢しようじゃにかないか。取りあえず評論社「からだのなかとそと」(しかけえほんで、子どもの絵を捲ると、身体の内部が解剖学的に丸見えになるインパクト大な構成)文藝春秋「始まりにして終り 埴谷雄高との対話/白川正芳」を手にして店内に進む。すると文学棚に、ポプラ社の少女小説「心の王冠/菊池寛」を発見してしまう。昭和三十一年刊の息の長い第十五版で、お値段二千円……安い!買おう!と抱え込む。続いてさらにコミックスのコーナーに内田善美コーナーが出現しているのにドキッとしてしまう。憧れの少女漫画時代の一冊、集英社ブーケコミックス「ひぐらしの森」を手に取ると、これも値段が二千円……安い!とこれも勢いで抱え込み、帳場にて精算する。計4300円を支払いながら、店主の粟生田さんに「内田善美、安いですよ。実は今まで「星の時計のLidelle」しか読んだことがなかったんで、少女漫画時代の作品が読みたくてしかたなかったんですよ」と言うと「本当!?じゃあよかったよかった。ほら、ここにもう一冊あるから、それは安くして並べといたんですよ」とのことであった。よし、今夜はこの漫画に耽溺するぞ!
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今日もまた楽しく散財してしまった…そして何だか少女物ばかり……もしかしたら『マー姉ちゃん』の影響があるのかもしれない。

11/3の岡崎武志氏との午後四時からのトーク、お時間ある方はぜひともおいで下さいませ。東京の西の、もはや大自然が迫り始める高尾までお越しいただき、見知らぬ街を歩いて、ギャラリーで岡崎氏の新作絵画を楽しんだ後に、トークにご参加いただければ、とにかく幸せであります。ご予約は以下のギャラリー「白い扉」のHPをご参照下さい。おそらく当日突然参加でも、多分大丈夫だと思いますが…。
https://www.shiroitobira.com/
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2021年10月30日

10/30東京・祖師ヶ谷大蔵 nostos books

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午後三時半に、祖師ケ谷大蔵と二子玉川の間くらいの鎌田と言う町に流れ着く…コンクリで護岸されている仙川が、ドウドウと激しい音をたて流れている…。よし、「祖師谷書房」に寄って帰るぞ!と毅然と決意し、谷底から這いずり出て『世田谷通り』に到達する。この通り沿いは、駅からだいぶ離れているのに、いつでも賑わいを見せている不思議な通りである。駅に向かって進路を採り、テレビ撮影スタジオが集まる『メディアシティ』のある通りに入ると、西側にある化粧煉瓦マンションの一階店舗に、新たな動きを確認する。なんだかアート系のギャラリー的で、たくさんの人が出入りしている…ぬぉっ!ガラスウィンドウ越しに見えるグレーの壁棚にはたくさんのビジュアル系の大判本が並んでいる…あれは、もしや、古本?誘われるように中に入ってしまうと、なんとここが松陰神社前から移転して来た「nostos books」(2013/08/10参照)の新店舗なのであった。そうかそうか、もう移転して来たんですか。と偶然の出会いを喜び、三方をガラスウィンドウに囲まれた、右側スペース&中央フロアのギャラリー&新刊平台部分を横目に、左の壁棚にピタッと張り付く。最上段上部が緩やかな円弧を描き、その下に縦幅の広い五段の頑丈な棚が展開。それが手前と奥に凹凸に展開している。そのほとんどは重い大判本で、図録と作品集を混在させ、奥から建築・民芸・工芸・デザイン・イラスト・絵画・写真・幻想・版画・芸術文化・博物学的絵画というように並んで行く。レア本多数あり…おぉ「コリントン卿登場」にクラクラ。細かく蒐集された真鍋博にもクラクラ。こういうお洒落なアート系の中では門外漢とも言えそうな成田亨にもクラクラ…ただし値段はスキ無しのガッチリ目である。フムフムと品定めし、朝日新聞社「詩人の眼・大岡信コレクション」を税込の2640円で購入する。移転ラッシュとは言え、お洒落なお客さんの中に期せずして紛れ込んでしまった空手着の少年に、思わず微笑んでしまう。

その後は必死に駅まで出て、さらに駅を越えて商店街を北に遡上し、大好きな「祖師谷書房」(2009/03/05参照)へ。狭い店内の棚を遠慮せずにすべて見回し、オリエンタル・デザイン・プロダクツ「遠い昔のなきむしメルヘン/有賀忍」(1970年初版。有賀忍の挨拶折り込み付)KOEI「RAMPOヴァーチャル・ガイドブック」(今は昔のセガサターンの、松竹映画『RAMPO』を基にして、実写とCGを合成したアドベンチャーゲーム攻略本。江戸川乱歩役は竹中直人。横溝正史役は若き日の香川照之。乱歩が編集屋の横溝に原稿を催促されていて、そこはかとなく切ないっス…)を計1500円で購入する。
posted by tokusan at 20:03| Comment(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年10月29日

10/29古本屋ツアー・イン・日下三蔵邸【第十章】

すでに昨日のことである。最近集中して行っている稀代のアンソロジスト&ミステリ評論家で、驚異の蔵書数を誇る日下三蔵氏邸の書庫整理に、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)小野氏とともに急行する。盛林堂・イレギュラーズとなっての日下邸通いは、大いなる楽しみでもあるのだが、その作業のハードさは他に類を見ないものである。東京を盛林堂号で午前七時過ぎに出発し、午前九時半に現地着。本邸車庫に車を停めると、暖かな上着を羽織った日下氏が現れ、その服装の違い思わずに季節を感取ってしまう。「どうぞどうぞ」と招き入れられ、すでに本の影が少ししか残らぬ玄関廊下を通過し、脇の和室に入り込む…あぁ、初めて日下邸を訪れた時のことを思い出すと、この通常レベルのスムーズさはまるで夢のようである(2014/12/10参照)…あれからもう七年が経過し、コツコツコツ日下氏と小野氏と三人で力を合わせ、本の山の片付けに腐心して来たのであるが、人間諦めずに継続すれば、いつかは実を結ぶものなのだなぁ〜と実感する。その本当にキレイに片付いた和室に、三人で車座に座り「いやぁ、周りに何もないと、グッスリ熟睡出来るんですよ…さて、本日のミッションです」と日下氏が一枚の紙片を差し出した。
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「これは、一軍のリストです」「一軍?」「そうです。これらの本を本邸書庫に残し、もう必要としない本はすべて出して、その後さらに一軍の本をマンション書庫から本邸に移し、完全な一軍の探偵小説棚を作るのです!」と高らかに宣言した。おぉ、それは探偵小説マニアにとっては、究極の夢の書庫である!しかも日下氏の蔵書のレベルなら、恐ろしいことにそれが実現可能なのである!しかしこの“一軍”の一覧表…これに似たのを何処かで見たことがある気が……そうだ、ミステリ評論家・新保博久教授の書庫整理の時だ(2018/01/10参照)。教授も似たようなリストを作成し、貼り出していたっけ…などと魔窟から魔窟への連想を果たし、仕事部屋横の本邸書庫へと進む。作業に掛かる前に、通路が物品で塞がれていたので隠されてしまっていた、書庫最奥のコミックゾーンを見学。
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ここはあまりに入り込んでいないので、棚が九十年代でストップしいるのでありました…。作業は最奥通路の探偵&推理小説単行本ゾーンで行われる。日下氏が最奥に入り込み、不要本&一時避難本をガバガバ取り出し、それを通路途中の小野氏が中継し、玄関ゾーンに待機する私がそれを受け取り、和室に運び込んで本を仕分けして行くというカタチである。まぁ一度に運べる本は二十冊弱くらいで、その奥の通路だけでもおよそ三千冊の本があるのだから、およそ百回ほど地道に細かく繰り返せばどうにかなるのだろう。
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「朝山蜻一が奥に隠れてました」「ここ一帯九鬼紫郎だ」「飛鳥高がどっか行っちゃった」「水谷準これだけだっけ?」「三好徹は残す本です」「高木彬光がなんでこんなにあるんだ!」「香山でせっかく二段作ったのにずらさなきゃ」「島田一男の山を仕事部屋から持って来てください」「あそこに横溝の「探偵小説五十年」の裸本があったはずです」などの言葉が飛び交いながら、およそ三時間も作業すると、あっという間に和室には本の山が完成…それにまだまだ処分本が二百冊くらいしか出ていない。
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「う〜ん、本はもっと減らしたいんですよね。まぁ後でもっと出しますよ。でもおかげさまで棚はだいぶ形になってきました」と日下氏が言うので見に行くと、確かにそこには奥から素晴らしく濃厚な探偵小説世界が構築され始めていたのである。
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これはその一部の九鬼紫郎棚。これに匹敵するのは江戸川乱歩邸くらいであろうか…。

駅前に寿司昼食に出て、帰りにマンション倉庫に立ち寄る。「一軍の本を少し持ち帰ります。まぁ、ダンボール三箱程度でしょうか」と言うことで、極狭通路を進み、トレイ前に積み上がった空きダンボール数箱をリビング中央の空きスペースに重ね、出されて来た本を詰めて行く。本の選定は最初日下氏が行っていたのだが、途中から入り難いところに小野氏が勇猛に進むことになり、俄然次々と本を発掘して来てしまう。
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台所横で次々と一軍本を発見する小野氏とそれを受け取る日下氏の図。

「小栗です。これは可哀想だから持って行ってください」「日影も可哀想だから持って行ってください」「戸川も置いといたらダメでしょ」「楠田が出て来ちゃいました」「城は一緒にしとかないとマズいですよ」…これが延々続き、あっという間にダンボールは十箱を越えてしまった。終いには日下氏が「小野さん、そんなに向こうにまだ入らないよ!」と嬉しい悲鳴を上げ始める始末。予定時間も既に一時間オーバーしている。ようやくブレーキの壊れたダンプカーのような小野さんを宥め、マンション書庫を脱出。「小野さん、見つけ過ぎだよ。古本屋さん、コワいよ」「だってスゴい本がたくさんあるんだもん、止まんないよ」「小野さん掘り過ぎ!日下さん買い過ぎ!」というわけで本邸へと戻る。
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これはマンション書庫で見つけた酷い誤植本。さて、何処が間違っているのでしょうか?

ダンボールを玄関にドカドカ運び込み、日下氏は棚造りの続き、私は和室から入れ戻す本の選定&棚造り補助、小野氏は持ち帰ったダンボールを開梱し仕分けして棚造りに備えて行く。それからさらに三時間…ようやく最後に近い“鷲尾三郎”まで到達するが、実はまだまだ入れ戻しは残っている。だが遅いのでこの日はタイムリミットとなり、取りあえず残った本は通路に積み上げ逃がすことにして、次回の訪問まで日下氏が一人で地道に棚造りを進めることにする。それにしても、だいぶ目的の本へのアプローチがスムーズになり、書庫本来の機能を取り戻し始めたのは僥倖である。結果、処分本は計350冊ほど。そして一日の労働の労いとして、城昌幸の時代物四冊(これで日下藩の城道場に通うことになってしまった…)とカバーナシ扉ナシ目次ナシの「その鉄柵を残して/鷲尾三郎」「恐怖博物誌/日影丈吉」「暗色コメディ/連城三紀彦」を下賜される(当然すべてダブり本で、城に至ってはトリプり本であった…)。結束した本を盛林堂号に積み込み、疲れた身体を引き摺って、焼肉晩ご飯でエネルギー補給。環八で激しい渋滞に巻込まれながら、どうにか午後十一時には帰宅する。みなさんおつかれさまでした!
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posted by tokusan at 10:08| Comment(0) | 関東 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年10月27日

10/27消しゴムで消してやる!

やいのやいのと仕事に追い立てられ一日を過ごす。そしてようやく午後五時前に家を抜け出し、西荻窪に向かう。だがその前に、暗い路上に暖かな光を投げ掛ける「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に立ち寄ると、店頭棚上の児童文学の塊の中に、冨山房「ワイルド童話集/平井程一譯」を見出し驚く。函ナシとは言え、これが均一に……なるほど、最初の童話『幸福な王子』に鉛筆の線引きがあるからか……なに、こんなもの、消しゴムでキレイサッパリ消してやる!と、佐谷画廊「第5回オマージュ瀧口修造展」とともに計430円で購入する。
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そして西荻窪は「盛林堂書房」(2012/01/06参照)にたどり着き、主婦の友社「スヌーピーのしあわせはあったかい子犬/チャールズ・M・シュルツ作 谷川俊太郎訳」を百円で購入しつつ、たまたま居合わせた善渡爾宗衛氏とちょっと新たなお仕事の打ち合わせをしつつ、そこに届いた盛林堂ミステリアス文庫最新刊「木々高太郎科学小説集 或る光線」を献本していただく。カバーデザインを担当させていただき、何故か手元にあった古い十九世紀の独逸のメカの図面をモチーフに、クールに科学的に仕上げてみました!元本は昭和十三年にラジオ科学社から出たもので、“科学小説集”と銘打ってはいるものの、科学小説以外にも探偵小説あり、犯罪劇脚本やラジオ台本あり、怪談ありの、木々の器用さを表す一冊なのである。10/30より盛林堂店頭&通販サイトで販売開始予定なので、気になる方はお早めに!そんなことなどを済ませ、最後に店主の小野氏にお願いをひとつする。それは、先日落札した岩谷書店「探偵小説 眼中の惡魔」にパラフィンを巻いてもらうこと!おかげさまで美しく丈夫になりました。これで安心して読み進められますです。
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2021年10月25日

10/25過分なテキスト、届く!

この頃の慣例で、夕方に仕事で高田馬場に出たついでに、当然のように坂を下って「ブックオフ高田馬場北店」(2012/11/15参照)に入り込む。古書コーナーから文庫本を二冊。角川文庫「出口なし/福島正美」ハヤカワ文庫「人類補完機構1 鼠と竜のゲーム/コードウェイナー・スミス」を計220円で購入する。「鼠と竜のゲーム」は昭和五十七年の初版で、カバーイラストがSFファンタジー系のものとなっている…最初はこんなだったのか。
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家に帰って、後版のクールなカバーと記念撮影。

そして家に帰ると、ドキドキしながら待ち焦がれていたヤフオク落札品が届いていた。岩谷書店「探偵小説 眼中の惡魔/山田風太郎」である!傷みはあるが、ライバルなど影も形もなく、驚異の2430円で落札す!この本、暫く前にヤフオクで『探偵小説』で検索すると、一万円強の値段で登場していたのであるが、その値段でもあまりに安いので買おうかどうか迷っているうちに、何度も出品終了→値下げして再出品を夢のように繰り返し、とうとう二千円台に突入してしまったのである。検索には容易く引っ掛かるのに、何故入札されないのか?と不思議に思いつつも、どうか入札されないで、もっと値段を下げていってくれ!などと長らく願っていたのである。そしてついに我慢出来ずに入札して落札!稀少な山田風太郎の初単行本を手にしたら、あぁ、もう他の入札がなかったことなどどうでもよく、とにかく天にも昇る気持ちである!現在風太郎学校の日下ゼミで学び始めたばかりの身としては、過分な身分不相応のテキストであるが、この本をバネにより勉学に励むことにしよう。よし、今度盛林堂さんにパラフィンを掛けてもらおうッと。
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2021年10月24日

10/24「なごやか文庫」と志村けん像。

本日は、ちょこちょこ色々ノンビリ取りかかりながら過ごし始める。午後に鷺ノ宮に買いものに出たついでに、古本も買いたくなって来てしまったので、西武新宿線に飛び乗り、一路東村山へ。緊急事態宣言が解除されたので、ようやく営業を再開してくれた「なごやか文庫」(2020/04/07参照)を訪れる。自動ドアを潜ると森閑とした館内…誰もいない…。手指を消毒して、店前に蔓延る箱の中を覗いて行く…棚以外にも、左奥に古本箱&レコード箱島があり、左のレジ周りも古本箱で覆われている。リニューアル時より、だいぶ古本屋さんらしくなった光景に気を良くしながら、箱と棚を順繰りに眺めて行く。右奥の古書コーナーでは何も掴めなかったが、左側レジ脇の『昭和の押入れに入っていそうな本』コーナーはちょっと魅力的で、安値も相まり二冊を掴んでしまう。結局三十分近く古本群とにらめっこし、誰もいない事務室前の呼び出しボタンを押し、二階から慌てふためいて下りて来た職員さんに精算していただく。池田書店「日曜木彫/牧田正雄」講談社ミリオンブックス「センスのよくなる本/小林重順」PLANETA DeAGOSTINI「SIETE YAKUZAS/JEAN-DAVID MORVAN・HIKARUTAKAHASHI」真誠「THE SESAME BROTHERS/BY TAKASHI YANASE」小学館「星の旅行記/たむらしげる」を計370円で購入する。素敵な奥さんが表紙写真の「日曜木彫」は昭和三十三年刊。こういう古いDIY本はめっけものである。おっ、写真を「張り込み日記」の渡辺雄吉が撮っているじゃないか。「SIETE YAKUZAS」はフランスの漫画“バンド・デシネ”のスペイン語版。的確な資料を基に、浅草・表参道・新宿・府中・築地(フランスの漫画の中に、無惨に消滅させられた築地市場の面影が残されているなんて!)・中野など、東京を詳細に描写しているのが楽しい。そして「THE SESAME BROTHERS/BY TAKASHI YANASE」は、やなせたかしが絵を描き、小野耕世が英訳を担当している、愛知県のゴマ食品会社が胡麻の啓蒙活動のために出した非売品の一冊。洋書のコーナーに紛れ込んでいたが、見事救出に成功した、嬉しい収穫である。
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そんな収穫たちを抱えて東村山駅に戻り、地下通路で線路を潜って北口に出る。するとロータリーの西端には、新型コロナウイルスの犠牲になった、志村けんの銅像が建立されていた。人々が入れ替わり立ち替わり訪れ、写真撮影をしている。私も近づいて一枚パチリ。ポーズは『アイーン』のポーズであるが、その顔はあくまでも紳士で優し気な笑顔である。まぁあまりふざけた像を造るわけにはいかないので、こういうことになったのだろうが、やはりどうも釈然としない。せめて興福寺の阿修羅像のように、真ん中はこの顔で良いが、右に『アイーン』の顔、左に『だっふんだ』の顔を付けてくれれば、コメディアン・志村けんの功績がより伝わる銅像になったのでは……などと愚かに夢想しながら帰路に着く。
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2021年10月23日

10/23引っ越すお店とジャズ特集。

午後イチに上北沢に流れ着いたので。京王線で明大前まで出て、踏切近くの「七月堂古書部」(2018/01/13参照)を訪れる。ドアが開いて、やってるやってる。そして入口には一枚の貼紙が…豪徳寺に移転することと十二月初旬まで営業することが書かれている。いよいよこの地でこのお店を楽しめるのも、後一ヶ月と二週間余りか…何回来られるだろうか。そして移転ということは、それは大量の本の引っ越しなのである。無事に済みますように、とそっと祈りつつ、店内をウロウロ。棚の間に差し込まれていた、大正八年刊の布装本、洪洋社「東京府史蹟」を三千円で購入する。
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東京の武家屋敷の門や武家長屋やお寺や神社など、所謂史蹟の写真がたくさん載っているのだが、史蹟と言えども江戸の面影を色濃く残す風景写真なので、手の届かぬ百年前の世界に(無くなった風景多し。しかも編纂者の一人が鳥居龍蔵だ!)、魂が急遽燃え上がってしまったのである。ちなみに本に挟んでもらったオリジナル栞にも移転情報あり。非常に細やかな対応である。そんな風に散財した後に、代田橋まで『甲州街道』の強風に吹かれながら前のめりに歩いてバスに乗り、阿佐ヶ谷に帰り着く。北口の短いアーケード商店街に入り、昨日から設置されている「千章堂書店」(2009/12/29参照)の店頭ジャズ棚を眺める。エルスケンのジャズの写真集かぁ…植草甚一のジャズエッセイもある…あっ!「唄えば天国ジャズソング 命から二番目に大事な歌/色川武大」のミュージック・マガジンの元本発見!これは初めての出会い!と興奮しながら手に取り、表見返しに貼られた値札を見ると、なんと1200円なのである!これは買いだ!と勇んでスパッと購入する。
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なんかちょっと散財しちゃった感じだが、二冊とも良い本で相場よりお手頃価格だったので、まぁこれでいいじゃぁないか。今日も楽しく愉快に古本が買えたことを、とにかく喜ぼう。
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2021年10月22日

10/22「幽霊男」に呼ばれた気がする。

古本三十冊ほどをダンボール箱に収め、雨のふる中外出。郵便局で大阪に発送する。相変わらずのミステリ多めで、珍しい本や下らない本のごった煮状態でありますが、お楽しみいただければ幸いです。古書コンシェルジュさんの懇切丁寧な作業を経て、数日後には「梅田蔦屋書店」の古書売場に並び始めることでしょう。そしてその後は家に帰らず、西武新宿線に乗車し、沼袋で用事をひとつ片付ける。せっかくなので「天野書店」(2008/11/14参照)を覗いて行こうと、商店街を遡上すると、残念ながらパイプシャッターがガッチリ下ろされてしまっている。最近開いているところに出会えないのが残念である。だがまた折りを見て寄ることにしよう。…さて、どうしようか…隣りの新井薬師前まで歩いて「文林堂書店」(2008/08/04参照)に羽を休めることにしよう。そう決めて、傘を冷たい霧雨に差しかけ、トボトボ寂しく線路際を東に歩いて行く。途中、『リサイクル展示室』に寄り道し、少し縮小され、ブランクの目立つ本棚を真剣に眺め、ハヤカワポケミス「鬼警部アイアンサイド/ジム・トンプスン」をいただくことにする。入口近くに屯するオヤジさんたちに本を示し、許可を得てから鞄の中に収める。さらに線路沿いを伝い、踏切を渡って、南口の駅前広場にたどり着くが「文林堂」も開いていないか…なんだかさびしいなぁ。二連敗のまま帰るのはどうにうもやるせないので、南にズンズカ進路を採り、結局『早稲田通り』まで出て「古本案内処」(2015/08/23参照)に飛び込む。雨で入口付近に仕舞い込まれた百均棚を飢えながら眺めていると、河出文庫特装版の「春琴抄/谷崎純一郎」を発見したので気分がパッと明るくなる。そのまま店内棚の検索に入ると、ギュンっと目に飛び込んで来たのは、昭和29年刊の講談社「幽霊男/横溝正史」であった。こんなところにこんな本が!ちゃんと東宝映画化の帯も付いている。そして値段は三千円………安い!と即座に購入を決める。「春琴抄」と合わせ、消費税がプラスされた計3410円をレジで支払う。今日は「幽霊男」に呼ばれて、ここまで引きずり回されて来た気がする…。
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ところで「幽霊男」の巻末の自社広に、城昌幸の「若さま侍捕物手帖」が載っているのだが、若さまの紹介がなかなかに斬新なのだ。『私設探偵旗本の次男坊「若さま」が…』…“私設探偵旗本”って初めて聞いたぞ!
posted by tokusan at 15:34| Comment(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする