2019年04月30日

4/30平成最後の買い物は。

雨の三鷹に流れ着くと、住宅街のある民家のガレージ…いや、ここは車庫と言うべきか。そこに高校生が男女十人ほど集まり、バーベキューをしている。「次焼きそば作ろうぜぇ」などとやっているのだが、そこに流れている音楽が、妙に格好良い。ちょっと気になり耳をそばだててみると、何とYMOの『体操』が流れているのだ。曲の正体に気付いた瞬間、鉄板から煙を立て、紙皿で肉を食らう高校生たちを二度見してしまう。みな、それほどのお洒落感はなく、テクノ感も皆無な、極普通の高校生たちに見える…むぅ、なんとシュールな!これは何だか良い物を見たぞ!と、ひとり破顔しながら駅方面へ向かう。今日は火曜日…今までだと「水中書店」(2014/01/18参照)が定休日なので、即座にスゴスゴと三鷹を離れねばならなかったのだが、今は違う。新しく出来た「りんてん舎」(2019/03/30参照)は月曜が定休日なので、火曜でも安心して古本を買いに走ることが出来るのだ。というわけでタラタラ『三鷹通り』を北上していると、いつかのコメントタレコミにあった、「点滴堂」(2013/03/27参照)階下の「福田銘茶園」に古本が並んでいるのに気付いてしまう。
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本当だ。売ってる。立ち止まり中腰になり、ガラス越しに並んでいる本を注視する。『「小さな本屋さん」どの本も200円です!』とあるが、単行本・新書・文庫本、どの本も政治経済の本ばかりである。…こ、これは興味がなさ過ぎてとても手が出ない。早く自分好みの古本を買いに行こう。そして「りんてん舎」前。雨なのに均一棚を見ている人がいる。店内にも蠢いている客がいる。左側通路の窓際棚下に、床直置き100均単行本ゾーンが生まれている。入口右横のラック前には、結束本が積み上げられしまっている。そして空いている棚は、まだちょっとあるのだな。などと色々確認し、中央通路の右側手前の文学棚に集中力を向ける。三本目の中段に、古そうな本あり。まるで石焼き芋の皮のような背だが、うっすらと文字が浮かび上がっている。アンチックな太明朝体で『で…す…ぺ…ら』…で、で、で、で、「ですぺら」だとっ!と慌てふためき抜き出すと、途端に色鮮やかな表紙が目をバシッと撃つ。うわぁ、辻潤の「ですぺら」だ!敬愛するダダイストの「ですぺら」だ!函ナシ(もしくはカバーナシ。初版でも函とカバーの二種が存在するらしい)だが、奥付を見ると大正十三年の初版だ!値段はなんと千円だ!これを買わぬ手はないんだ!などと興奮しながら帳場に持ち込む。どひゃっほう!と心の中で何遍も唱えながら、新作社「ですぺら/辻潤」を購入する。というわけで、平成最後の古本購入は、九十五年前のダダイストの著作となった。こんな昔の本がサラリと買える古本屋さんは、やはりとても素敵な商売である。
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2019年04月28日

4/28東京・西日暮里 書肆田高

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線路下の改札を抜けたなら、目の前の『道灌山通り』を北に渡り、絶壁のような切り通しのコンクリ塀を口アングリと見上げながら、西南に進む。坂を上がり切り下り始めると、信号のある交差点。そこを北西に入ると、右手マンション一階に、青い日除けを張り出し、店頭に108均文庫台や木箱を積み上げ並べる、小さな古本屋さんを発見する。文庫は一般的であるが、木箱の中には詩集関連が新旧多く詰め込まれ、この古本屋さんの特性を垣間見せている。中に進むとこじんまりとした空間で、L字型に売場通路が形成され、右奥が帳場となっており、メガネにクルクル髪の毛の青年が、良さげな古書を整理している。入口左側には本日の特価本箱が並び、今は幻想文学が多めである。壁際にミステリ&探偵小説・林静一版画・句集・歌集・詩集と並んで行く。詩集棚には、高橋睦郎の「眠りと犯しと落下と」や、北園克衛の評論集「黄色い楕円」などがしれっと並んでおり、一筋縄ではいかぬ景色が魂を震わせる。その向かいにはショウケースと文庫棚があり、萩原朔太郎「猫町」や大正時代のイナガキタルホ本に涎を垂らしながら、角川文庫の横溝正史・講談社学術文庫に骨休めする。奥の棚には詩集が続き、さらに日本近代文学の佐藤春夫・谷崎潤一郎・夏目漱石・芥川龍之介・横光利一オリジナル本を渋く揃えて行く。帳場横の棚には文藝雑誌・文学評論・海外詩集・セレクト青年漫画や劇画が収まる。入口右横のゾーンには。海外幻想文学や海外文学が集められている。茶色い古書の多い…と言うか、そちらがスタンダードないぶし銀のお店である。しかも詩歌句に強く、好きを突き詰め過ぎて、図らずもかなり尖っているところが何とも好ましい。値段は普通。これで東京には、若手詩歌強化古本屋四天王が出揃ったことになるのではないか(後の三店は、三鷹の「水中書店」(2014/01/18参照)「りんてん舎」(2019/03/30参照)それに早稲田の「古書ソオダ水」(2018/01/28参照)である)!詩獣、歌獣、句獣は、心して駆け付けるべし!サイマル出版会「めりけんポルノ/小鷹信光」を購入すると、帳場奥棚に並んでい単行本「古本屋ツアー・イン・ジャパン」を指差され、すでに正体が露見していたことを知る。まだまだ欲しい本があるので、また来ます!
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4/28 第21回不忍ブックストリート一箱古本市

今年も光栄にも南陀楼綾繁氏から「第21回一箱古本市」のプレゼンターを仰せつかったので、力不足ながらも意気揚々と根津方面を目指して家を出る。今年の一箱は、「古書ほうろう」(2019/02/22参照)が池之端に移転したことや、少し市をコンパクトにしたため、根津〜谷中〜池之端が主戦場となっている。なので御徒町から一箱に初アプローチ!昭和な高架下駅舎の北口を出て賑わいの街路へ。日射しは暖かいが、風はちょっとひんやりしている。風で波立つ不忍池の立ち枯れた蓮の林を眺め、池之端方面へ歩を進める。旧岩崎邸の広大な敷地を囲む煉瓦塀を視界に掠め、テクテク進んで新店舗の「古書ほうろう」着。厳めしい裏門的な東大の池之端門と向かい合い、とても劇的なロケーションである。右のガラス戸内には、結束された本が積み上がり、まだ本日限定のプレオープン中であることを伝えている。左側の奥深クラシカルな店舗には、すでに本棚も立て込み、本もしっかりと並び、すっかり「新生古書ほうろう」と言った趣きであるが、正式なツアーは、後日ちゃんとオープンした時に行うことを決める。店前には二箱が並び、「古書ますく堂」は夏葉社新刊の「漱石全集を買った日」を基盤に、本に登場する本を集めて宇宙を形成している(何と「ますく堂」は、後にこの日の全体売り上げ二位を記録するのだ!)。隣りの「古本Plava Stablo」は手作りの旅先国別豆本が何とも可愛らしい。続いて「タナカホンヤ」に向かう途中、仙人のような助っ人さんに誘導され、面食らう。小さなお寺や神社が並ぶ『忍小通り』を進み、「タナカホンヤ」の三箱を覗く。ギャラリーで開催中の展示が無闇に強烈で、何故か孔雀の羽を模したソファに座らされ、あまつさえ金色の観音像を持たされ、写真を撮られてしまう(不忍ブックストリートtwitter参照)。さらに『不忍通り』を渡って静かな住宅街に入り込み、地図を良く見ながら複雑な小道をたどって進む。『HOTEL GRAPHY NEZU』では、表に出ていた「むゆう舎」から、本日初めて古本を買う。イプシロン社「復刻 海軍割烹術参考書」。う〜む、みんなとても美味しそうで、ついついレシピを再現してみたくなる未知の一冊である。続いての『ハウスサポート八號店』では、本を並べるバスケットも販売している「まにまに文庫」や、春陽文庫などを並べホラーよりちょっとミステリー寄りな「ちのり文庫」が大いに気になってしまう。お気に入りの本を持ち寄り、泣く泣く別れを惜しみながら販売している「トリとニワトリ」の押し売り朗読が、愛が溢れ過ぎていて素敵である。『アイソメ』では靴を脱いで上がり、四箱を鑑賞。いつも「みちくさ市」出店時に豆入りカレーパンを差し入れてくれる「はれとくもり」で、広論社「悪魔祈祷書/夢野久作」を購入する。次の「ひるねこBOOKS」では(「ひるねこ」さんの店内には、大混雑でとても入り込めない状況!)岩波書店的文学の並びを見せる「コローのアトリエ」に感心し、「ドジブックス」さんに挨拶し、強くなり始めた日射しに焦って日焼け止めを塗る「文庫善哉」から中央公論社「文学映画論/野間宏」を購入する。さらに『へび道』をたどり、『特養老人ホーム谷中』で塩山芳明氏の文庫&新書「嫌記箱」から光文社新書「松竹と東宝/中川右介」を購入。塩山氏、売り上げが好調なのか満面のえびす顔である。隣りに並ぶ「M&M書店」の店番中のモンガさんには、またお店に値切り買いに行くことを非情にも約束する。顔なじみの「ママ猫の古本や」では文春新書「日本プラモデル六〇年史/小林昇」を購入。ちょっと根津方面に戻り、『往来堂書店』前で二箱を見学。「古書アルマジロ」はなかなかマニアックな本を並べており、景色良し。最後に団子坂をヒイハア上り、『森鴎外記念館』に遠回りの静かな裏口から入り込み、「やまね洞」の地味な歴史本並びに親しみを覚えつつ、一箱最強の「とみきち屋」さんでちくま学芸文庫「武満徹対談選/小沼純一編」を購入して、任務を果たす。私の一位は、面白い本と出会わせてくれた「むゆう舎」さん。二位が岩波的文学一辺倒で溢れ出る文学知識が止まらない「コローのアトリエ」さん。三位が売れるのか?と心配になるほどの地味歴史本の「やまね洞」さんであった。あぁ、楽しかった。そしてこの後、午後三時から開店の「書肆田高」さんに出向いたり、重役出勤の岡崎武志氏と合流し、「古書ほうろう」に改めて挨拶に向かったりしたのであった。「書肆田高」については、別記事をご参照あれ!
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本日の古ツア賞受賞を決めた一冊。ちゃんと現代語訳されているので読みやすいのだ。
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2019年04月27日

4/27GWに関係なく古本を買う。

世間では一際長い黄金週間に突入したらしいが、こちらは関わりなくいつもの如く街の片隅に流れ着く。東小金井の南だったので、テクテク歩いてTHE街の古本屋さん「BOOK・ノーム」(2009/02/13参照)を目指す。お店に近付いたところで、雨がちょっと強くなって来た。店頭はすでに雨仕様である。均一台の上には分厚いビニールシートが被せられ、なだらかで滑らかで透明な丘陵が生まれている。
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真上からビニール丘陵越しに、滲んで歪んだ背文字を眺めてから店内へ。雨宿りも兼ね、じっくり本棚と対峙し、ちくま文庫「世界漫遊家が歩いた明治ニッポン/中野明」を400円で購入する。雨はすぐに小止みとなったので、帰り道を急ぐ。阿佐ヶ谷では「千章堂書店」(2009/12/29参照)に立ち寄り、講談社「ピーナッツエッセンス2 どうなってるの?/M・シュルツ」を100円で購入する。一旦家に戻って一息ついたのも束の間、再び慌ただしく外出する。『早稲田通り』を東に伝い、『びっくり大道芸2019』が開かれ華やぐ高円寺に潜り込み、「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)へ。平凡社「ホラー・ドラコニア少女小説集成【参】淫蕩学校/マルキ・ド・サド原作 澁澤龍彦訳」ハヤカワ文庫「ファンタジイ傑作集1 五つの壺/M・R・ジェイムズ G・マクドナルド」福音館書店「ものがたりえほん36 ジオジオのかんむり/岸田衿子作 中谷千代子絵」(1992年のこどものとも社版第四刷。いつか1960年出版のオリジナルの「こどものとも」が欲しいものだ…)を計550円で購入する。「GWは特にお休みしないんですか?いつも通りですか?」と聞くと、「もう〜、GWくらい、普通に働きますよぉ〜。だってこの後直ぐ、梅雨になって、さらにその後暑いのがやってきちゃうじゃないですかぁ〜。今のうちにたくさん売っとかないと〜」と、店主の粟生田さんは笑いながら語るのであった。
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2019年04月26日

4/26「東京書房 自由が丘店」移転まであと十六日。

午後に外出し自由が丘へ。今月で移転閉店するという「東京書房」(2018/02/23参照)の様子を見に行くためである。東横線高架ホームから、一旦大井町線ホームに下り、南口に吐き出される。『マリクレール通り』沿いの、小さな雑居ビルの階段入口に立つと、「東京書房」の小さな案内には、『全商品10%オフ』と『東京書房自由が丘は移転します』と書かれている。
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急な階段を、テントン上がって行く。途中の階段脇には、四階から流れ出したように、500均単行本や100均文庫本が並んでいる。四階に着くと、開かれた扉には『5/12閉店』と書かれていた。そうか、GW明けもちょっと続くのか。古本が端正に犇めき気味の店内に進むと、前回訪れた時にお話しした、ほわわん女性店員さんが「あっ!お久しぶりです」と即座に気付いてくれた。あれから一年も経つのに、すごいなぁ。ギクシャクと挨拶し、ほわわんとしながらもキビキビ仕事を進める気配を感じながら、古本細道を一周する。そして河出書房新社「塩一トンの読書/須賀敦子」を10%オフの540円で購入しながら、お店のこれからについて色々聞き込む。移転先は宮崎台の倉庫兼事務所で、今でもすでに天気の良い日にはガレージセールをしていること。四階からの引っ越しが大変なこと。お店の本を運び出した後の本棚をどうするか悩んでいること(欲しい方がいたら恐らく譲っていただけるでしょう)。などなどを話しつつ「お渡ししたいものがあるんです」と以前一号をいただいた、手書きでお店と個が素敵に混ざり合う『東京書房通信』の第2号〜第9号を手渡される。だが「あぁ!8号がない」と心苦しい様子なので、「宮崎台に行きますので、その時に」と約束する。
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超丁寧に見送られお店を後にして、すぐさま東横線に飛び乗り渋谷駅下車。『宮益坂』上の「中村書店」(2008/07/24参照)に寄り道してみるが、お店は閉まっている。だがシャッターは下りておらず、ただドアに『15時に開店します』と貼付けてある。現在15時15分…まだ当分開く気配がないので、あきらめて駅へと戻り西荻窪へ向かう。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)「フォニャルフ」棚にひょいひょいと補充し、表紙デザインを担当したクラシックミステリ評論誌「Re-Clam vol.2」を受け取る。特集テーマは『論創海外ミステリ』で、いきなり分厚くなった全156ページが編者の気合いと充実具合を物語っている。店主・小野氏とちょこちょこ打ち合わせをする。

ところで明日からついにゴールデンウィークに突入。私はそんな祝祭的休日にまったく関係なくいつも通りに過ごす予定でありますが、ただ5/5(日)だけは、そのいつもと異なる非日常を、思いっきり働きながら味わう所存です。国分寺「七七舎」での、岡崎武志氏との一日店長&古本トーク。二人の古本蔵書販売もあり。古本打ち上げもあり。東京の西に、古本行楽にぜひともお越しください。もはや古本漫談の域のトークでは国分寺を中心にして古本屋と古本について語り合い、私が初めて国分寺を知ったのは何であるか?という他愛無い秘密も曝け出す予定。皆様のお越しとご参加を、心より心より心よりお待ちしています!
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『七七舎リニューアルオープン記念 オカタケ&古ツア1日店長+トークショー ゴールデンウィーク、ラス前は古本日』
■5/5(日)店番:午後一時〜午後五時五十五分 トーク:午後六時〜
■七七舎 東京都国分寺市本町3-11-16(営業時間:午前十一時〜午後十時)
■トーク参加費:1000円(要予約)
■予約:七七舎にメールか電話でご予約下さい。『5/5のトーク予約』である旨を告げ、お名前、参加人数をお知らせください。MAIL 7777777sha@gmail.com TEL 042-359-0830
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2019年04月24日

4/24早稲田で売れ残りの「冒險世界」を。

所用をこなすために、午後に西武新宿線で高田馬場に出る。パパッと所用を片付けた後に、東口駅前から坂を下って神田川を渡り、「ブックオフ高田馬場北店」へ。奥の古書コーナーに直行し、二冊ばかり手にしていると、壮年カップルの女性が「な〜に〜、山下清って、知らな〜い。小山清じゃないのぉ〜」と楽しそうに喋っている。いや、普通は山下清を知っていて、小山清を知らないんじゃ…。編集工房ノア「北園町九十三番地 天野忠さんのこと/山田稔」サンリオ「電報配達人がやってくる/谷山浩子」を計418円で購入する。そのまま早稲田古本屋街をぐうるりと一回りするが、雨もポツポツ落ちて来たので、結局何も買わずに「古書現世」(2009/04/04参照)に行き着いてしまう。店頭台には雨除けのブルーシート、店内は通路片側に買取品が薄く山を成している状態である。息を詰めながら棚を見て行くと、本と棚の隙間に「冒險世界」が放り出されているではないか。ウググと手に取り、勇者と猿人が殴り合う小杉未醒の表紙画に見せられ、たちまち購入を決意する。奥に進んで向井氏に差し出すと「これ、ずいぶんと長い間売れ残ってたんですよ。大学の古本市でも、みちくさ市に持ってっても売れなくて…だからサービスしますよ」と安くしていただく。ありがとうございます!博文館「冒險世界 第弐巻 第九號 明治四十二年八月號」を1500円で購入する。その後はいつものように長々と楽しい無駄話を展開し、これからもひたすら面白さを追求して不真面目に楽しく生きて行きましょう!と熱い約束を交わす。「冒険世界」は最後の方のページが少々欠けているが、押川春浪は「武侠小説 萬国武者修行」を連載し、閃電子(三津木春影)は「探偵奇談 骸骨画と殺人犯」なるソーンダイク博士物を、天狗倶楽部メンバーの岩野泡鳴は「日本深山に怪奇の異人」を寄稿し、他にも「土耳古奇怪譚 魔院内の大秘密」とか「南米の亂暴物 強盗的大統領」とか「蝦蟇仙人訪問記」とか、さらに『金銀銅牌は何處に隠してあるか』という懸賞は、引換券を日比谷公園のベンチの下や上野公園の西郷銅像下など東京&横浜の十数か所に隠し、いち早く雑誌を読んだ者が駆けつけ争奪するというものなど(これ、すげぇ面白そう!)、期待を裏切らぬハチャメチャな記事が満載!うぅぅ、癖になりそうな熱い雑誌だ。
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表紙の鮮やかでドギツイ色遣いがたまらない!
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2019年04月23日

4/23ダンセイニと井泉水。

昨晩ケーブルテレビで、東映映画『懲役太郎 まむしの兄弟』(1971年公開。中島貞夫監督、菅原文太・川地民夫主演)を見ていると、ファーストシーンは菅原文太が刑務所から出所するところから始まり、それをひとり大喜びで出迎える川地民夫。煙草に火を点けたり甲斐甲斐しく世話をしながら、「あちらに車が」と乗せたのが幌の無いトラックの荷台。二人がガタガタ揺られながら、荷物のウィスキーをラッパ飲みする。そして川地が「これ、兄貴に最新の服を着てもらおうと思って、用意したんや」と黒のシャッポとダボシャツとズボンを出す。二人とも同じ格好をする…あれ?何だ、この既視感…これ、ジョン・ランディス監督の『ブルース・ブラザーズ』とそっくりじゃん!ええっ!?どういうこと?その後も、高級レストランでの一騒動(文太がフロアマネージャーに「早う肉をジュウジュウ焼いてもってくればいいんじゃぁ!」と叫ぶシーンは最高)や、孤児を救うために一肌脱ぐストーリーなど、酷似したシチュエーションが連続する。『ブルース・ブラザーズ』は1980年公開。ということは、『まむしの兄弟』が元ネタなのか?とあまりに奇想天外な発見に驚き、試しにネットで調べてみると、何と以前から『まむしの兄弟』と『ブルース・ブラザーズ』の関連は言及されているらしい。脚本を書いているダン・エイクロイドとジョン・ランディスが『まむしの兄弟』を参考にしたのか、真相は定かではないのだが、とにかく驚くほど似通っているのだ。

そんな驚きをまだ胸に抱えながら、本日は立川市の若葉町という所に流れ着く。玉川上水が近かったので、木漏れ日と涼風が心地良過ぎる、乾いた土の遊歩道を歩き東へ向かう。それにしてもこの辺りの上水は、ずいぶん深くまで掘り下げられている。剥き出しのローム層が、まるで今掘ったばかりのように、水面からスックと立ち上がっているのだ。
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するとおぉ、いつの間にか目の前に「みどり文庫」(2009/06/27参照)が現れたではないか。だが残念ながら今日はお休みの模様。ここで上水に別れを告げ、アスファルトの街に入り込んで行くと、期待していた「ゆめや」(2009/06/26参照)もお休みであった。仕方ないので、西武国分寺線と中央線を乗り継ぎ西荻窪へ。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)で春秋社「尾崎放哉集 大空/荻原井泉水編」を100円で購入しつつ、出来たばかりの盛林堂ミステリアス文庫最新刊「ペガーナ・コレクション1 ロマンス -ダンセイニ卿未収載短篇集-/稲垣浩訳」を拝受する。遠い遠い愛蘭土を思い、心を込めてカバーデザインと表紙デザインを担当。少しでもダンセイニ卿の幻想的世界を下支え出来たなら本望であります。盛林堂通販サイトで現在予約受付中。発売は4/27より!そして帰りの阿佐ヶ谷で「千章堂書店」(2009/12/29参照)に立ち寄り、集英社文庫「天使の復讐 風太郎傑作ミステリー/山田風太郎」を130円で購入して帰宅する。
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あっ!「大空」は井泉水の署名落款入りであった。それにしてもなんて書いてあるんだろう?『チオ』?
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2019年04月22日

4/22古本屋ツアー前夜の遺物!

午前のうちに連載の取材を済ませてしまおうと、2019/04/19の轍を踏まぬよう、ターゲットを替えて行動を開始する。どうにかソツなくこなして安堵しながら、そのまま神保町をパトロールすることに。「三茶書房」(2010/10/26参照)にて教養文庫「武蔵野/上林暁」集英社文庫「スパルタンX/名田貴好・杉目宏明編」を計600円で購入する。そのまま御茶ノ水駅から中央線で荻窪までひとっ飛びし、定点観測に突入する。開店と同時に人々がひしめく「ささま書店」(2018/08/20参照)では、今週は私にとっての出物は見当たらずじまい。続いての「藍書店」(2018/12/29参照)では、店頭棚でみすず書房「ジャン・ルノワール自伝/西本晃二訳」(1994年新装版)を見つけたので、しめしめと500円で購入する。家に帰ってからは仕事しつつ、少し部屋内探し物をする。すると本命ではなく、別な面白い物を発見してしまう。本の山に隠れていたカラーボックスの中から引き出したのは、そこにあることも、その存在すらも、すっかり忘れていた、一冊のポストカードアルバムである。まだ古本屋ツアーを始める前、近代建築巡りや美術館巡りをしていた頃(九十年代後半〜二〇〇〇年代前半)のもので、各所で買い集めたポストカードが、ぎっしりと詰まっている代物。鴨居玲・松本竣介・村山知義・植田正治・藤牧義夫・宮澤賢治・秦テルヲ・野田英夫・宮本隆司・谷中安規・成田亨・真鍋博・前川國男・牛腸茂雄・森山大道・竹久夢二・ウォルフガング=ティルマンズ・山口晃・奈良原一高・佐伯祐三・亜欧堂田善・古賀春江・竹中英太郎・村山知義・大伴昌司などなどである。展覧会や美術館でグッズ販売されていた、一枚百円ほどのカードを収めたものではあるが、ここまで偏狭に趣味に走りたくさん集まっていると、ただただ己に取って気持ち良く、壮観である。購入したものだけではなく、展示の案内として無料で配られてたものも含んでいるが、自分で取っておいて意表を突かれたのがこの二枚。二〇〇二年に国書刊行会が出した「北園克衛造形詩集 カバンのなかの月夜」の注文ハガキ二種である。ともに北園の写真詩『プラスティック・ポエム』が刷られているので、注文ハガキなのに硬質な気品溢れるその姿を書店で見つけ、思わず惹かれて手に入れ、保存しておいたものであろう。偉いぞ、古本屋ツアー前夜の俺!そしてこの習性が、後々の古本屋さんのショップカードやポストカード集めに、繋がって行くのである。
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2019年04月21日

4/21渡辺啓助単行本未収録作品集!

今日は午後二時に代田橋の南に流れ着いたので、だいぶ前にタレ込まれ、虎視眈々と狙っている古本とおもちゃのお店を見に行ってみる。とある商店街の奥の奥…あった。おぉ、前見た時より店内が片付き、お店らしくなっている…だがやはり開いていない!天井の蛍光灯は点いているが、人の気配はなく、勇気を出してサッシ扉に手を掛けても、鍵が掛かっており、ズシリと重い手応えがあるのみ。そしてガラス窓には小さな紙が貼り出され、『商品のお問い合わせは』の後に携帯番号が書かれている始末。う〜む、もはやお店と言うよりは、大きなショウケースのようになってしまっているようだ。ガラス越しに玩具や古本を品定めし、電話して値段を問い合わせるということなのか…ハードルが高いなぁ…そんな風にため息をつきつつ、諦めて店前を離れる。環七でバスに乗り、新高円寺駅で下車する。こうなったら高円寺の古本屋さんを巡り、さもしい心を慰めるか、と歩き始めると、『ルック商店街』の初っ端近くにある、水道橋博士のお店「はかせのみせ」の店先に、50均古本箱が出されているのに気付く。覗き込むと、雑誌と大判ムックばかりである。店内から流れて来る、しゃがれた若いたけしの歌声に聴き惚れながら、いつか面白い本が出ることもあるかもしれないと考え、時々見に来ることに決める。そのまま商店街を遡上して行くと、「アニマル洋子」(2014/03/14参照)も「大石書店」(2010/03/08参照)もお休みなので、がっくりと肩を落とす。だがそこに、一本の電話が!西日本の探索から戻ったばかりの、埋もれた単行本未収録の文藝&探偵小説発掘家で東都 我刊我書房主宰の善渡爾宗衛氏からであった。東都 我刊我書房最新刊の「渡辺啓助単行本未収録作品集 悪魔館案内記」が出来上がったので「もう渡せるよ」との連絡。一も二もなく即座に待ち合わせ、出来立てホヤホヤの、頼もしく分厚い一冊を受け取る。ニヤつきながら、カバーデザインを担当させてもらった喜びに、駅頭で恥も外聞もなくうっとりと浸る。今回も、ほぼ丸投げの仕事だったのだが、ただひとつ『いわゆる怪奇探偵小説というイメージではなく、明るくしてもらいたい』という、ちょっと変わった抽象的な注文があった。何故なら収録された作品群が、奇妙な快晴の空の下の探偵小説幻想譚と言った趣きなのである。それは既存の渡辺啓助のイメージを揺るがすような、残酷さと優しさが均衡を保つ世界観。文章の上に、夭逝した弟・渡辺温の雰囲気が、レイヤーのように重なっているのだ。こんな風に、温の魂が、こっそりと生き延びていたんだ。もうそれだけで、何だか泣けてきてしまう。この感触を大事にしていこうと、悩んだ末にデザインに使ったモチーフは、「青春18きっぷ古本屋への旅」の取材時に撮影した、古い診療所の色ガラスであった。懐かしさと、陽の光をたたえて透過する、歪な硅素酸化物の塊たち!まぁそんなことはさておき、早くもう一度読むことにしよう。本日から「盛林堂書房」の通販サイトで予約が始まり、発売は4/27から。「悪魔館案内記」「アパート密室事件」「歌うアリバイ」「怪奇の壺」「帰って来たのは誰か」「鏡の中の殺人」「昆虫王子」「死の舞踏」「天使の靴」「夢遊病者」「盲目男爵」「幽霊ホテル一泊」「幽霊われと共に」「妖婦の抱く脚」「浴槽の美女」「裸体操がお好き」「アズテカ医学」を収録。心揺るがす外連味たっぷりのタイトルたちである。
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2019年04月19日

4/19五反田とみなとみらいで古本を買う。

早くから行動を開始し、午前十時前の「南部古書会館」の「本の散歩展」(2017/04/14参照)に推参する。二階の開場を待つ人々の行列を擦り抜け、遅まきながら一階ガレージの古本を探査して行く。元気そうな「古書 赤いドリル」那須氏と久々の挨拶を交わしながら、晴南社「基地/北村小松」河出新書「バビロンの處女市/曾野綾子」角川文庫「大藪春彦語る 男たちよ闘いの荒野に死ね」博文館 少年世界定期増刊「海陸大王/小波、櫻桃、小舟合作 春帆畫」を計800円で購入する。続いてカバンを預けて二階に上がり、古本修羅争闘後の会場を見て回る。途中、デザイナー&小村雪岱研究家の真田氏(2015/09/15参照)に声をかけられる。「意外ですが、こういう古本市で会うの、初めてですね」と言われる。そう言えば、仕事の時か、私が古本を売っているところばかりで会っていた気が…。他にも「月の輪書林」高橋氏や「聖智文庫」有馬氏に声をかけていただく。久々に有馬氏の悪魔の囁きを聞き、近々「聖智文庫」に行かねばならぬのを確信する…あぁ、もう来週早々にも訪ねてしまおうか…。などとやりながら、カバーナシのあまとりあ社「艶奇幻想小説集 虹をつくる男/龍膽寺雄」を見つけたので、とある仕事の資料用にと千円で購入する。会場を出た足で、そのまま連載の取材に向かうが、何と目的のお店が開いていない!…う〜ん、大失態…出直すことにするか、と潔くこの日は諦め、昨日から始まっている、みなとみらいの「駅ナカ古本まつり」(2018/12/14参照)を見に行くことにする。あの無機質な未来的空間に古本ワゴンがズラーッと並んでいる光景は、本当にたまらないなと思いつつ。地下へゴトゴト階段を下る。会場の『みらいチューブ』にたどり着くと、おや?何だか様子が変だ。ワゴンの数が3/5ほどになり、残りの2/5は世界のワインと軽食のブースになっているではないか。不審に思いながら置いてあったチラシを手に取ると、そこには「古本ワインフェスタ」とあった。『東欧や中東の珍しいワインも充実!』『お気に入りの本を読みながら美味しいワインとお料理を!』…何か、色々とあったのだろうな。しかしまぁ、これはこれでなかなか楽しいものだ。竹書房「ゴジラVSモスラ決戦史/園田光慶他」ゴジラVSキングギドラ決戦史/石川球太他」(共に昭和四十年代少年雑誌付録怪獣漫画のアンソロジーである)を計800円で購入する。
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今回嬉しかったのは、200円で買った明治三十六年刊の「海陸大王」。太郎と次郎の兄弟が、くじ引きで海と陸に別れ、それぞれの冒険を繰り広げる物語。海坊主、龍王、鬼婆、狼大王、一寸法師、蝦蟇王など、色々出て来る模様。トランプの絵札のような表紙も素敵である。しかし一番気になるのは、巻末に載っている次号増刊の予告である。「暑中大冒險」とあり、執筆者は江見水蔭!『暑中に當つて大冒險を試みる、壮絶快絶の物語』と、タイトルから一歩も出ていない説明書きが愉快愉快。
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2019年04月18日

4/18 五月五日は古本日!

本日はあまり馴染みの無い、世田谷の弦巻という街に流れ着いたので、世田谷線上町駅近くの「林書店 上町店」(2008/12/04参照)に赴く。忘れ去られたような裏通りの、切れ切れの商店街の中にあるお店は、日除けカーテンで店舗を覆い、まるで砂漠に建てた天幕のような有様である。
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日除けを捲り店内に進むと、中は明るく、天井の蛍光灯が虫のようにジジジジジと鳴いている。ぐるりと一回りし、未だに北園克衛のナイスなデザインが使われているハヤカワ文庫「九マイルは遠すぎる/ハリイ・ケメルマン」を300円で購入すると、派手な座椅子に座る老店主は、すでに折ってある書皮にカバーを包ませようと、悪戦苦闘し始める。「お、大きいのかな」「そうです。その本、普通の文庫よりちょっと大きいんですよ。そのままで結構ですよ」と、トールサイズの本を受け取る。もう少し古本を買いたいなと思い、テクテクテクテク歩き続けて豪徳寺まで出て、「靖文堂書店」(2011/09/06参照)へ。宝石社「別冊宝石84号 エロティック・ミステリー」「別冊宝石92号 エロティック・ミステリー」(何だって一年に二冊も同じ特集で別冊を出すんだ…まぁおそらく84号がある程度売れたのだろうな…)講談社文庫「考えろ丹太!/木島始」を計300円で購入する。帰りながら「九マイルには遠すぎる」を読み始めるが、華麗な安楽椅子的考察の展開に、お、面白いじゃないか!と、目をクワッと開いてしまう。

さて、来るGWの終盤に行われる、新生!「七七舎」での岡崎武志氏との店番&トークについて、ダラリと色々決定しました!
『七七舎リニューアルオープン記念 オカタケ&古ツア1日店長+トークショー ゴールデンウィーク、ラス前は古本日』
■5/5(日)店番:午後一時〜午後五時五十五分 トーク:午後六時〜
■七七舎 東京都国分寺市本町3-11-16(営業時間:午前十一時〜午後十時)
■トーク参加費:1000円(要予約)
■予約:七七舎にメールか電話でご予約下さい。『5/5のトーク予約』である旨を告げ、お名前、参加人数をお知らせください。MAIL 7777777sha@gmail.com TEL 042-359-0830

頑張って古本屋さんのために働きまくっておりますので、古本を探しに来がてら、冷やかしに来て下さい。お喋り、差し入れ、大歓迎です!そして国分寺の古本屋巡り(ルーキー「早春書店」、マニアックな「超山田堂」、渋い古書も多い「まどそら堂」、良書安値の「雲波」、お茶も美味しい「胡桃堂喫茶店」)を同時に楽しみ、夜はトークにご参加いただければ万々歳です!そしてそのままさらに打ち上げへと雪崩れ込みましょう。また店内にはすでに岡崎武志棚が登場しておりますので、こちらも負けじと古本を持ち込み販売いたします。5/5は国分寺に来て下さい!見て下さい!買って下さい!聴いて下さい!飲んで下さい!
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今回の画題は映画『蒲田行進曲』。岡崎氏は堂々サボる宣言。私は階段落ちまでやらされそうです…「早春書店」前の階段で、やるか…。
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2019年04月17日

4/17別れに行ったらお休みだった。

昨日は世田谷の赤堤に流れ着いたので、テクテク歩いて明大前まで出て、「七月堂古書部」(2018/01/13参照)…ぬぉっ!小さなシャッターが下りてしまっている。お休みか…と言うわけでそのまま歩き続けて東松原まで出て、「瀧堂」(2014/05/01参照)へ。良かった。やってる。白昼の店内を執拗に探索し、名著刊行会 初版復刻「愉快な鐡工場/大城のぼる」を千円で購入する。そして本日はお昼過ぎに家を出て、中央線→総武線と東へ一時間ほど電車に揺られ、4/23(火)に閉店してしまう、激安・街の古本屋さん「鈴木書房」(2009/07/26参照)の様子を見に行く。駅から長い直線道を進み、ここに来るのは三年ぶりくらいではないだろうか…などと感慨に浸ろうとしていると、うひゃぁっ!シャッターが下りちゃってる!定休日に来てしまったのか!こりゃぁ思いっきり、やっちまったなぁ…だがその悲しみのシャッターには二枚の貼紙がされているので、近付いて目を凝らす。一枚は閉店のお知らせである。
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続いて左の紙に目をやると、4/19(金)〜4/23(火)に、全品半額セールを行うと書かれていた。う〜む、これはもう一度来るべきだろうか…それにしても、店内の本は通常でも激安だったのに、それが半額になるとは、超激安になるということか…う〜ん、また来たいなぁ…来られるかなぁ…。帰りの車中で創元推理文庫「ペテン師まかり通る/ヘンリ・セシル」を読了する。その見事で愉快で素敵な落ちに、無駄足で落込んでいた心が、フワリと軽く浮かび上がる。
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2019年04月15日

4/15「女獸心理」にメロメロ!

昨日は祖師ケ谷大蔵に昼過ぎに流れ着いたので、大好きな「祖師谷書房」(2009/03/05参照)へいそいそと向かう。クイズ番組『パネルクイズアタック25』の、谷原章介の児玉清的な凛々しい声が響き渡る極狭店内を探索し、株式会社電通「電通報3000号記念 戦後広告とぴっく史」を100円で購入する。そこから下北沢に移動し、東口が完成して動線が分かり易くなった駅構内に驚きながら「ほん吉」(2008/06/01参照)へ。金の星社 少女世界推理名作選集11「学校殺人事件/ヒルトン・作」を100円で購入する。箱入り本ではなく『カスタム版』と名付けられたB6判ソフトカバーである。とこのように、いつものように古本を安値で買って楽しんでいるのだが、実は心の中には、先日読了したばかりの野溝七生子「女獸心理」の、熱烈な切れ切れの言葉と、愛おしい登場人物たちが、渦巻いてしまっているのである。八十九年前に、三十三才の女性が書いた物語に、こんなに心掻き乱されるとは、思ってもいなかった。新和壘(しんなとりで。法学生から新進気鋭の弁護士に。通称ルイ)、沙子(すなこ。ハイクラスの令嬢で閨秀画家。壘の従姉妹で婚約者。通称シャコ)、九曜征矢(くようそや。沙子と同じ女子美術学校出身の画家。ある事情から絵が描けずに、店頭美術や装幀で糊口を凌ぐ。通称マドモアゼル・レダ)の三人が織り成す、崇高な精神と、決して汚されてはならない気高い生き方と、献身的な愛と、それらによって生まれる苦しみが、ぐにゃぐにゃ絡み合う物語である。全文にモダニズム小説の薫りが漂っているのだが、そこに書かれているのは、当時の女性・夫・妻・友人など、それぞれの軛から脱し、新たな人間像を掴もうとする、形而上と形而下を行き来する無謀な会話劇なのである。じゃんけんのように、微妙な均衡を保つ三人の行動と思いが、緊張感を含む美麗な文体で紡がれていくのだが、レダの女性的に気高過ぎる精神が、やがて三人の関係に不穏な空気を齎し始める…。あぁ女獸、マドモアゼル・レダ〜〜〜〜っ!繊細で本好きで多感な少女を主人公にした「山梔」も面白かったが、これも間違いなく傑作である。オリジナル本で読めて、大層幸せであった。
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初夏のような日射しが降り注ぐ本日は、月曜恒例の定点観測へ出発。「ささま書店」(2018/08/20参照)にて、店頭では毎日新聞社「日本映画の若き日々/稲垣浩」あまとりあ社「文化人の性風俗雑誌 あまとりあ創刊号」(伊藤晴雨の座談会が!)新宿書房「チョーキング・ドーベルマン/ジャン・ハロルド・ブルンヴァン」の三冊を選ぶ。そして店内では、前半右壁の文庫棚、通路棚左の海外ミステリ&SF棚、左壁棚の日本文学とミステリをチェックする。おっ、棚最上段に置かれたミステリゾーンに、古そうな「推理小説研究」が混ざっているではないか。思いっきり背伸びして、腕も指先までピンと伸ばし、ようやく届いた人差し指と中指の先で薄い冊子を挟み下ろす。社団法人 日本推理作家協会「推理小説研究9 特集・復刊ブームの周辺」である。この号の編集人は陳舜臣で、渡辺啓助「渡辺温のこと」や香住春吾「探偵小説尋ね人」(消えた探偵小説作家に、出来ればもう一度筆を取ってもらおうと、気になる作家のデビューから消え方までを簡単に書き連ねた、文字通りの尋ね人的エッセイ)が興味深い。これが300円とは嬉しいなぁと、店頭分も合わせて計648円で購入する。
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2019年04月13日

4/13「現金を捜せ!」合体!

今日は武蔵境の南に流れ着くが、至近の「プリシアター・ポストシアター」(2015/01/03参照)は残念ながらお休み。仕方なく駅まで歩き、応援演説をしている志茂田景樹を目撃して、即座に「黄色い牙」を連想したりしながら「浩仁堂」(2011/02/15参照)へ。だが心に引っ掛かる出物を見つけられなかったので、しばし駅前で志茂田景樹の後姿を見ながら途方に暮れる……そうだ、西武多摩川線に乗って「尾花屋」(2017/06/15参照)へ行こう。と言うわけでのんびりと三分ほど電車に揺られ、一駅目で降車して鄙びた商店街に入り込み、「尾花屋」前。店頭には大量の「ユリイカ」とオウム真理教事件関連の本が多く並んでいる。河出書房新社「書物観光/山崎浩一」を300円で購入し、ようやく落ち着く。この本は雑誌「POPEYE」で1981〜1989に連載された書評コラムを集めたものである。取り上げられる本も文章も、八十年代がそのままパッキングされており、全能感溢れる何とも言えぬこそばゆい感じがたまらぬ一冊である。

さて、用が済んだらすぐさま武蔵境に引き返し、構内改札を通って中央線→総武線と乗り継ぎ、西荻窪で下車する。タッタカ向かったのは、ついこの間来たばかりの「盛林堂書房」(2012/01/06参照)である。自動ドアを潜るや否や、番台に座る小野氏と挨拶を交わしつつ、グングン近付き「見つけたよ」と声をかけると同時に、リュックの中から一冊の裸文庫を取り出す。先日「よみた屋」(2014/08/29参照)で50円で購入した、創元推理文庫「現金を捜せ!/フレドリック・ブラウン」(初版)である。なぜこんな文庫を、私は得意げに小野氏に差し出したのか?…話は先週に遡る。小野氏が、未整理本棚から一冊の文庫を抜き出し、悔しがっている。創元推理文庫「現金を捜せ!」初版の色背である。「見てよ、これ!」と徐にペロリとカバーを捲ると、何と包まれていたのはチャンドラーの「かわいい女」であった。これはヒドい厚着本だ!とひとしきり大笑いしてしまう。市場で買った創元文庫束の中で、これだけが、こんな如何わしい状態になっていたそうである。「いやぁ、災難だねぇ。こりゃぁ、何処かで裸本の初版を見つけるしかないねぇ」などと適当に話していたのだが、数日後になんと超偶然にも、裸本の初版本を「よみた屋」の店内50均文庫棚で見つけてしまったのである。これは是が非でも、小野氏の元に届けなければ!…ということで、いっちょまえのブックハンター面をして、文庫を差し出すことになったわけなのである。「良く見つけたねぇ〜」と喜ぶ氏は、なんと100円で買い取ってくれた。やった!50円の儲けだ!そして番台で本体とカバーが合体し、かくして一冊の完品「現金を捜せ!」初版が、堂々と誕生したのである。めでたしめでたし。
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2019年04月12日

4/12六十七年の幕を降ろすことになった「遠藤書店」を見に行く。

昨日はまたもや三鷹と仙川の間に流れ着くが、今回はすんなりと吉祥寺へ向かうことにする。住宅街を必死に北に伝って行くと、いつの間にか『井の頭公園』近くにある「book obscura」(2018/01/12参照)前。店頭の均一棚を一応覗き込んでみると、三冊500円の単行本に、欲しい本を一冊発見してしまう…うぅ、これを一冊500円で買ってもよいのだが、まぁ他にも選んだ方が得だろうと、懸命に『むぅ〜ん』と唸りながら後二冊をセレクト(同じようなことを、前回2019//02/15に訪れた時もやっている。ということは、ここの均一にはよく面白い本がちゃんと混ざっているということであろう)。創樹社「定本 薔薇は生きてる/山川弥千枝」(欲しかったのはこれ。昭和八年に十六才の若さで病没した少女の遺稿集。当時、女性文芸誌「火の鳥」で百ページ超えの特集が組まれるほど、天才との呼び声が高かった。おぉ。小山清の批評文も掲載されている)王国社「ふしぎの国のアリス/ルイス・キャロル」暮しの手帖社「「暮しの手帖」とわたし/大橋鎮子」を計500円で購入する。その後は、『井の頭公園(自然園では『春のリスまつり』が開催中!)』を縦切りながら「よみた屋」(2014/08/29参照)に至る。店内均一文庫棚で、「盛林堂」さんに持って行けばよいことが起こりそうな、ある一冊の裸本を見つけたので、50円で購入しておく。上手く事が運べばお慰み…。

曇天の本日は正午過ぎに外出。向かったのは経堂で、駅北側にナナメに走る『すずらん商店街』の「遠藤書店」(2008/10/17参照)の様子を見に行く。今月末で、この老舗店が閉店してしまうという情報をキャッチしたからである。かつては駅南側に支店を出していたこともあったそうだが…。一車線で、昔ながらのお店も所々に残る商店街を遡上し、お店にたどり着くと、店頭はいつも通りだが、やはり買取停止のお知らせと『閉店のご挨拶』が貼り出されてしまっている。
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そこには、4/30に健康上の理由から閉店すること、六十七年に渡り経堂で営業して来たこと、ご愛顧への感謝などが綴られている。文章最後の『本当に、本当にありがとうございました。』に、古本屋さんとしての万感の思いが込められているようだ。閉店セールなどは別に行われておらず、それ以外は、本当にいつも通りである。店内を回遊すると、今更ながら左端通路棚一面の岩波文庫が存在感を発揮している。そして帳場ではお手伝いの女性と入れ替わり、店主が店番を始めている。そこにご常連さんらしき人が本を売りに現れ、店主と会話を始めた。「実は4/30に店を閉めることになったんです」「へぇ〜そう…えっ!閉めるの?どうして?」「目が悪くなってしまいまして。だから買取ももうこれで最後ですね」「そりゃぁ…いい本屋さんなのに…寂しくなるなぁ…」。そんな話を聞くともなく聞いていると、月末になったらもしかして在庫処分セールのようなことをやるかもしれない、という情報を得る。よし、月末にまたサヨナラを言いに来ることにしよう。芳賀書店「ロボットSF ロボット文明/福島正美編」福音館書店 ちいさなかがくのとも「ゆき ゆき ゆき/たむらしげる」を計320円で購入する。その後は駅南側に出て、本日開店の「ブックオフ」の買取窓口(店内にはちゃんと古本棚アリ)を横目に、坂を下って「大河堂書店」(2009/03/26参照)へ。赤瀬川原平本が大量に入荷しているなと、帯付きのPARCO出版「東京ミキサー計画」を抜き出すと、なんと安値の600円。ついこの間「コンコ堂」さん(2011/06/20参照)に読了して売り払ったばかりだが、これだけ安いと買わぬわけにはいかぬ!と、文春文庫「諫早菖蒲日記/野呂邦暢」とともに計1080円で購入する。
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2019年04月10日

4/10雨の日の古本買とお知らせ二つ。

仕事をちょっとだけ抜け出すつもりで、雨の中酔狂にも古本を少々抱え、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)内の「フォニャルフ」棚の補充に向かう。店頭をスッポリ覆う分厚なビニールカーテンを潜り抜けて店内へ。ほほぅ、今月は少し動きが良いようだなぁ。上下段ともすでに間隙が生まれている。そこを埋めるようにして本を放り込んで行く。店主・小野氏と軽く打ち合わせがしたかったのだが、残念ながら買取で不在とのこと。雨の中の買取は、さぞかし難儀であろう。そんなことを感じつつお店を後にして、再び電車に乗り込む。本来はこのまま阿佐ヶ谷に帰らなければならないのだが、少しだけ寄り道して古本を買って行こうと邪に決心し、そのまま新宿へ出る。改札を抜けて地下道を通って、さらに地下の『サブナード商店街』に下り、「古本浪漫洲Part3」(2010/03/04参照)に飛び込む。やけに一部のワゴンが混み合っていると思ったら、最近の女性誌の付録がズラリと並んでいるようだ。他には図録がブイブイと幅を利かせている。富士見書房時代小説文庫「変幻黄金鬼/都筑道夫」を300円で購入する。文庫オリジナルの伝奇時代劇中短篇集。ついつい表紙の生頼範義に惹かれて買ってしまった…。だがなんだかまだまだ古本が買いたいので、さらに先に足を延ばすことにして、武蔵小山の「九曜書房」(2009/03/26参照)に向かう。ビニールカーテンで半分だけ店頭を覆った雨仕様だが、なんとこの寒いのにガラス扉は開けっ放しである。だがさして気にもせず、麗しの五百均壁棚に熱い視線を注ぎ始める…一本…二本…三本……むぅぅ、何だか今回は相性が悪いなぁ。そう感じて、念のために視線を三本分引き返すが、やはりそこまで心を惹き付ける本が見当たらない。まぁ、こういうこともあるさ。そうスパッと気持ち良く諦め、左側通路の通路棚に再び熱い視線を注ぐ。一部に学習雑誌付録が固まっている。その中に紛れ込んでいた小峰書店 少年少女のための世界文學選10「月世界旅行/ポオ」を見つけ、千五百円で購入する。このシリーズを見る度に思うのは、いつか小沼丹訳著の「がリヴァ旅行記」に出会いたいなということ。まだ一度も見たことがないので、思い続けていれば、いつか出会えると信じて、これからも古本屋さんに通い続けるのである。他にも、何冊も何冊も何冊も何冊も何冊も何冊もの本に、同じような思いを抱えて。
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※お知らせ
1. そろそろ発売の「本の雑誌 サングラスどこまで号」の連載「毎日でも通いたい古本屋」さんでは、保谷の車&バイク専門店「アカシヤ書店」に突撃!何故このあまり馴染みの無いジャンルのお店に通うのか、その秘密がルポされているので、ご笑覧あれ!
2. 来るゴールデンウィークもそろそろ終盤の五月五日(日)子供の日に、古本神のひとり岡崎武志氏と、国分寺「七七舎」の新装拡大改装を祝して、同店にて店番&トークイベントの開催が決定!午後一時あたりから、二人の古本好きのオッサンがあたふたと、真面目に古本屋さんの仕事に従事しつつ、店内でオススメの古本を選んでみたり、持ち込んだ古本を販売したり、不慣れなレジに恐る恐る打刻しながら精算などを続けた後に、午後六時あたりから一時間強の古本屋トークショーを敢行。終了後は有志を募り楽しい古本打ち上げへ。というコースを予定。詳細やトーク申し込み方法などが決まり次第、改めてお知らせしますので、5/5を頭の片隅に留めつつ、今しばらくお待ち下さい。
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2019年04月08日

4/8小山田二郎の装幀!

月曜日は恒例の定点観測からスタート。午前十一時半の「ささま書店」(2018/08/20参照)は、店頭は雨仕様でしかも人影なし。ゆったりと本の背に目を通し、マドラ出版「広告批評の別冊1 仲畑貴志全仕事」を108円で購入する。続いて「藍書店」(2018/12/29参照)ではスパッと窓際棚からハヤカワ文庫「宇宙ゴミ大戦争/横田順彌」を抜き出し100円で購入する。家に戻って一息ついてから、古本を詰めたダンボールを運び出し、郵便局で大阪に送り出す。しばらくしたら、あの面白い古本らも、先発隊とともに棚に並び始めることだろう。その後はなんやかんやと片付けてから、夕方に再び外出する。中野で野暮用をこなした後に、『中野ブロードウェイ』を散策。二階の「古書うつつ」(2008/06/18参照)に入り込むと、教養文庫の夢野久作シリーズ表紙絵の作家の、版画即売会が開かれていた。フムフムと奇怪な色使いと構図の作品を見た後に、店内隅に積まれた100均木箱に視線を注ぐ。第一書房の「近代劇全集」(昭和二年刊)がたくさん並んでいる。茶色い箱の背文字がよく見えないので、床に跪き、顔を本に近付けて、ある一冊の本を探して行く…「愛蘭土篇愛蘭土篇…」…あった!でもこれは違う譯者だ…もう一冊あるはずだが…三つめの木箱に目を凝らして行く。あったあった。「愛蘭土篇25巻」。取り出して箱の表1に刷られた劇の作者と翻譯者に目を落とす。イェーツ・シング・ダンセニイ(この本の表記は、すべて“ダンセイニ”ではなく“ダンセニイ”になっている)…そして譯者はすべてアイルランド文学翻訳家・松村みね子(片山廣子)である。やったやったと、立ち上がって膝の埃を叩き、悠然と他の棚に視線を回す。壁棚の下の方には、大量の源氏鶏太の春陽文庫が並んでいる。源氏だけではなく何か面白い物が混じっていないかと精査するが、角田喜久雄の時代物が一冊混ざっているだけであった。その下の最下段には、有馬頼義の単行本が大量に集まっている。昭和三十年代の本もチラホラ紛れ込んでいるので、気になるものを手にして行くと、鱒書房「やどかりの詩/有馬頼義」に行き当たる。あぁ!この本、表紙絵が異形の鬼才画家・小山田二郎じゃないか!こんな仕事もしていたんだ。と驚き喜び300円で購入する。いわゆるジャケ買いである。こういう古本の買い方も、また乙なものである。
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2019年04月07日

4/7日曜日の稚気。

お昼過ぎに三鷹と仙川の間の新川と言う街に流れ着く。バスで吉祥寺に向かうか…と一瞬思ったが、まだ美しく咲き誇る桜を思い出し、それに伴う吉祥寺の大混雑を思い浮かべてうんざりし、とぼとぼ歩いて仙川へ向かうことにする。こちらは谷間の線路を越えて駅前に出ると、小さなロータリーが桜に包まれ、非現実的な美しさ…改札から一番近い場所に桜があるのは、この仙川ではないだろうか…その桜の下に集い、うっとりしている人々を尻目に、さらにトボトボ歩いて「文紀堂書店」(2015/03/31参照)へ。ほほぅ、今日は珍しくお父上が店番をされているようだ。福音館書店こどものとも年少版283号「おばけのコンサート/たむらしげる」角川文庫「空を飛ぶパラソル/夢野久作」THE OFFICE OF ARMED FORCES「A POCKET GUIDE TO OKINAWA」を計500円で購入する。「A POCKET GUIDE TO OKINAWA」はアメリカ国防総省が出していた、1963年の小型沖縄ガイドブックである。沖縄に赴任する兵隊に支給されていたものであろうか。基本的には、沖縄の歴史(アメリカとの関わり)・風俗・文化・伝統・人々・政治などを、写真を交え詳らかに紹介している。
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家に帰ってからは、大阪に送り出す古本のまとめに取りかかる。その最中にふと手を止めて、稚気をもよおし、昨日出来上がったばかりの「半七捕物帳弐」を「壹」と一緒に並べてみる。この、文庫らしくない背が、また良い眺めだ。なんだろう、二冊を目にして込み上げて来る、幸せみたいなものは。この、同種で細部が異なるものが出会う状況は、仄かではあるが、世界の広がりを予感させる希望が、滲み出しているかのようだ。「南総里見八犬伝」や「アストロ球団」や戦隊シリーズの似た者同士が、徐々に出会っていくようなこの感覚を大切にして、次巻もデザインさせてもらおう。
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2019年04月06日

4/6半七弐は牡丹色!

午後一時に国立に流れ着いたので、桜が咲き誇りあの世のような幽幻さを見せている『大学通り』を少しだけ楽しみ、「飛葉堂」(2018/10/24参照)へ向かう。いつの間にか左奥にはランチも饗する本棚に挟まれたカフェが開店している。美味しそうな匂いに鼻をひくつかせながら、ウェッジ文庫「新編 燈火頬杖/浅見淵」を500円で購入する。そのまま中央線の人となり、東に向かうが西荻窪で途中下車。お客さんで賑わう「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に飛び込み、讀物文藝社「新編 文吉捕物秘帖」(作者不明)を100円で購入しつつ、預かっておいてもらった、カバーデザインを担当した東都我刊我書房の新刊を受け取る。
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「初稿半七捕物帳六十九話集 半七聞書帳 半七捕物帳弐/岡本綺堂」。つまりは誌面復刻半七の二巻目である。一巻は“紅色”をポイントにしたが、今回は“牡丹色”。表紙絵の桜の花びらが水面に舞い散る景色が、今日の長持ちしている桜にオーバーラップし、いやこりゃ我ながら素敵素敵と、ニヤつきながら自画自賛する。盛林堂さんの店舗でも通販でもお買い求めいただけますので、半七の原初オリジナルの活躍が読みたい方は是非!家に帰ってからは、またもや大阪へ送り出す古本を選出する作業に、しばし専念する。
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2019年04月05日

4/5東京・国分寺 早春書店


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午前中の仕事をようやっと終え、昼過ぎに家を飛び出す。中央線で西に向かい、目的駅の北口に出ると、左右に離れたビル街の間に、青空と赤白の電波塔とクレーンと、まだ何も建っていない広い建築現場が眼前に広がる。階段を下り、『駅前通り』を北へ進む。『本町二丁目交差点』を通過し、すぐの『本町二丁目北交差点』で東へ向かう。しばらく歩いて一本目の脇道を北へ上がると、開店して二週間弱のお店が見えて来た…ようやく来られたぞ。「七七舎」(2016/02/06参照)が隣り店舗をぶち抜き拡張するため、役目を終えた「2号店」(2016/09/12参照)を、居抜きで古本屋さんを受け継ぎ経営してくれる人を募集していたのだが、わりとスパッと手を挙げる人が現れ、開店したお店である。代々受け継がれてきた『古書買入』の看板と、その下の本をモチーフにしたロゴマーク入り立看板を眺めてから、店頭の百均コミック・文庫・単行本を見て行く。店内は細長く、両壁際に高い本棚、中央に平台付きのラックと本棚、左奥に帳場と、居抜き物件なので当然以前と変わらぬ佇まいである。その帳場で本を寡黙に整理しているのが、この人通りの少ない場所に、新たな古本屋を開店させた、勇気ある青年である。秘かにその勇気を称え、感謝しながら、店内を経巡って行く。左壁棚には、映画・演劇・美術・建築・デザイン・音楽・実用・エッセイ・批評・サブカルが並び、帳場前の足元には小さなコミック文庫の棚が置かれている。批評評論関連がドバッと幅を利かせ、壮観である。しかも名著と言うよりは、現在進行形な本が中心なので、時代の先端を走る棚造りとなっている。向かいにはセレクトコミックが集まり、台の上には新刊が並んでいる。反対側には雑誌と海外文学文庫が収まる。右壁棚は、まずはオススメ本と新刊本が飾られ、図録・絵本・日本文学文庫・出版社別文庫・新書・文学・幻想文学・本関連・オカルト・民俗学・出版関連・心理学・哲学・宗教と帳場横まで続いて行く。不思議な清新さを秘めたお店である。人文に造詣が深いが、かと言って決して硬さ一辺倒というわけではなく、教養を背骨にしながらも、硬さから柔らかさへ積極的にアプローチしている感じが、取っ付き難さを上手く排除しており、何だか爽やかなのである。値段は普通で、良い珍しい本にはプレミア適価が施されている。創元推理文庫「千の脚を持つ男/スタージョン他」を購入すると、店主にあえなく正体を見破られてしまう。そこからしばらくお店の未来について、熱く面白く語り合う。この場所の、短所も長所も分かった上で、先の展開を考え進めている前のめりな感じが、とても若々しく清々しい。これからも振り切りながらも、時々は手探りもしつつ、面白いここにしかないお店造りを進めて行っていただきたい。開店おめでとうございます!

その後は「七七舎」に向かい、今日はツアーするつもりはないので予備偵察…と思っていたら、奥の部屋の古書群や、紙物に大いに気を取られてしまう。するとそこに、もはやヨガ行者の如き風貌の店主・北村氏が現れ、挨拶を交わし色々とお話しする。そしてある計画をひとつ進めることを約束する。平成四年の京都府古書籍商業協同組合「京都古書店案内圖」を500円で購入する。さて、帰ろうかな、それともちょっと離れているが、「古本 雲波」(2017/02/03参照)も見て行こうかな?と一瞬迷うが、せっかくなのでやはり「雲波」にも足を向ける。『国分寺街道』の坂を上がると、おぉ、やってる!久々の店舗との再会に店頭棚を見ながら喜びに浸っていると、ドアがガラリと開き「何やってんの?何しに来たの?中入りなよ。本なんかいいからさ。珈琲飲もう」と胴間声を響かせながら笑顔で話しかけて来た男性…首都圏で古本屋さんの内装を多く手掛ける『古本屋界の安藤忠雄』中村敦夫氏であった。すぐに店内に引き込まれ、奥さま店主が出してくれた珈琲を啜りながら、紹介されて色々とお話しする。様々な古本屋造作のお話を拝聴しつつ、新しいお店の情報も手に入れる。氏が先にお店を後にして、ようやく店内の本を見始める。国土社「電話がなっている/川島誠作 長谷川集平絵」を400円で購入したところ、奥さまがニコリとして「古いおかしな雑誌に載っている、珍しい片岡義男の記事見る?」と、ここから面白い本の紹介がたくさん始まる。新渡戸稲造譯の「ファウスト」、山田耕筰のド高値音楽本などを見せてもらい盛り上がっていると、何とちょっとだけバックヤードを見せてくれると言う。喜んで帳場奥に入って行くと、整然とした映画パンフの棚や、馴染みの貸本屋さんから貰って来たちばてつや漫画の山や大量の少女漫画棚や、昔趣味だった熱過ぎるF1コレクションなどが渦巻いていた。さらに「忍者武芸帖」のアケミになりたかった話や、石井聰亙や町田町蔵やプロレス話に打ち興じながら帳場に戻ると、帳場背後の棚の最下段に、とても気になる本を発見してしまう。うぉ!朝日ソノラマの金田一耕助シリーズだ。カバーアリとカバーナシが一冊ずつ。早速見せてもらい、さらに早々に「これ、売っていただけませんか?」と申し出る。するとあっさり「一冊千円でいいわよ」と素晴らしき交渉が成立したので、どひゃっほう!と購入させていただく。あ、あ、あ、ありがとうございます!朝日ソノラマ少年少女名探偵金田一耕助シリーズ「女王蜂/横溝正史作 中島河太郎文」「洞窟の魔女/横溝正史作 山村正夫文」(カバーナシ)を計2000円で購入する。今日はたくさんの古本屋さんとお話しした一日であった。そして「七七舎」を出たとき「雲波」に寄ってくかと思い、さらに店頭で中村氏に発見され声をかけられ、紹介していただいた奥さんと仲良くお話ししまくることにならなかったら、この奇跡の二冊を手にすることは、なかったはずである。国分寺に呼び寄せてくれた「早春書店」と自分の足と素晴らしき古本系人々との出会いとつながりに、大感謝!
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うむ、これを見ながら、すっぽろ飯を食べられるほど嬉しいぞ!
posted by tokusan at 18:30| Comment(2) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする