2018年08月04日

8/4欲しかった「テキサス無宿他三十一篇」!

なにもかも使い果たした態で、赤堤に流れ着く。もはや朦朧としながら、それでも足はズルリズルリと坂の下の「大河堂書店」(2009/03/26参照)へ。集中力を大幅に欠きながら棚前をうろつき、昭和九年の「中央公論」別冊附録「趣味の旅行案内」を450円で購入する。おぉ、東京鐡道局が出したB4サイズ二色刷りの『花見臨時列車』の時刻表が、折り畳まれ挟み込まれているではないか。小金井堤・三里塚・熊谷・長瀞・江戸川堤・上野公園・飛鳥山・大宮公園・利根川堤・土浦堤・小涌谷・強羅・湯河原・熱海・修善寺などが桜の名所として挙げられている。

そんなものを買ってヒィヒィ家に帰り着くと、懲りずにヤフオクで落札した古本が、静かに行儀良く待ってくれていた。改造社「テキサス無宿他三十一篇/谷譲次」である。函ナシでライバルナシの1500円であった。谷譲次は、本名長谷川海太郎。大正末期から昭和初期にかけ、谷譲次(米国&欧州のルポや体験小説)・林不忘(時代物。代表作は『丹下左膳』)・牧逸馬(犯罪怪奇実録物や家庭小説)の三つの筆名を使い分け、それぞれにベストセラーを叩き出した、驚異の作家である。多数の連載を抱え、道半ばの集大成として『一人三人全集』を出版するなど、華々しく活躍し続けたが、昭和十年に三十五歳で早世。そのため第二次世界大戦を挟んで日本が激変すると、すっかり忘れ去られた作家となってしまったのである。しかし私は、谷が亡くなってからおよそ六十年後の東京で、教養文庫に入っていた「テキサス無宿」と出会ったことにより、探偵小説の世界に深く足を踏み入れ始めることになったのである。その道筋を簡単&あやふやに記してみると、小学生時代は乱歩の少年探偵団シリーズ&偕成社の名探偵ホームズシリーズ、中学・高校は新潮文庫のシャーロック・ホームズシリーズを。大学時代初期は春陽文庫の乱歩文庫(多賀新の版画が表紙)を読み漁っていた。とまぁ、ここまではまだそれほど探偵小説獣道に分け入ってはいない、県道を歩いているようなものだろう。だがある日、バイト先の年上のライターさんと「帝都物語」や探偵小説の話をしていると、久生十蘭を教えられ、どんな流れでそうなったのかよく覚えていないのだが、コーベブックスから出ていた十蘭訳の「ファントマ」を激推しされたのである。本当に面白いのだろうか?と多少疑いつつ取り寄せて読んでみると、これが本当に予想以上に面白かったのである。こうなると、途端に火が点き色々読みたくなってしまい、自然とソロリソロリと探偵小説獣道に踏み入ったのである。最初は十蘭を求め、三一書房の全集を少しずつ買い揃えて行くのだが、やはり全集は高い!もっと手軽に買える本はないのかと色々調べてみると、教養文庫に収録されているのが判明する。街の小さな書店には、教養文庫はあまり置かれていなかったので、大きな書店で探してみると、マイナーそうなtyっと古めかしい文庫があるある。「魔都」は抜群に面白かった。そして良く見ると、この文庫は他の作家の探偵小説も出版しているではないか。夢野久作・小栗虫太郎など(何故かこの時は橘外男までは手が届かなかった。恐らく他の作家とは明らかに異なる鬼畜っぷりを、いつの間にか感じ取っていたのかもしれない…)も読んでみると、やはりこれらも抜群に変わっていて面白い!スゴいな昭和初期の探偵小説は!突き抜けてるな、探偵小説は!もっともっと読みたいぞ!…とまぁそんんは風になってしまったのである。そりゃぁ「魔都」の後に「ドグラマグラ」や「黒死館殺人事件」を途中で投げ出さずに読了してしまったら、毒されてしまうのは必至であろう。そこからさらに桃源社の国枝史郎の「神州纐纈城」に衝撃を受けたりしつつ、ここでようや牧逸馬の実録犯罪シリーズにも手を出してみると、これが実に刺激的!必然的に“めりけんじゃっぷ”物にも恐る恐る手を出してみると、従来とは違った衝撃を受けてしまうのである。畳み掛け、滑るように連なって行く軽妙な文章に、けれん味を感じることなく、素直に驚嘆し、ついには六十年前の文章に笑い声を上げてしまったのである。やっぱり、昭和初期はスゲェ!尖りまくっている!もっとこの人の書いたものが、読みたい!……と言うわけで、この日からジワッと始まってしまった古本屋通い。当時まだまだ初心者の私は、主に神保町と伊勢佐木町に出没し、谷・林・牧の名を本棚に探し求め、なるべく安い本を買い漁って行ったのである…。それから幾星霜、谷譲次の「踊る地平線」と「もだんで・かめろん」(恐るべきことにこの二冊は、「テキサス無宿他三十一篇」と同じ昭和四年の出版なのである)を見かけることはあっても、「テキサス無宿他三十一篇」は一度も見たことがなかった代物である。それがついに、完品ではないが、我が手に落ちたか。東郷青児のイラストと本の厚さと、活字と馴染みの良い厚手の紙の感触を味わいつつ、ブロークンな英語が頻出する文章に、今宵はニヤニヤ耽溺することにしよう。
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2018年08月03日

8/3縄文と補充

昨日は午前中に酷暑のためにすべてのエネルギーを使い果たし、精神的に溶解しながら浜田山に流れ着く。もはや何処に行く気力もなく、すぎ丸に乗車して阿佐ヶ谷へと戻る。動かぬ足を引き摺りながら北口アーケードをたどっていると、やはり自然と「千章堂書店」(2009/12/29参照)に流れ込んでしまう。左側手前の文庫ワゴン横の漫画コーナーに、集英社文庫「暗黒神話/諸星大二郎」が200円で売られているを発見。実はNHK『新日曜美術館』の縄文展特集(ゲストは建築史家の藤森照信)を見て以来、再読したくてしょうがなかったのだ。その時は本が見つからず、仕方なく平凡社の傑作ムック「太陽の地図帖 諸星大二郎『暗黒神話』と古代史の旅」をパラパラ繰りながら、“美”の方向から縄文文化を見つめ直す番組を観賞していたのだ。単行本が家の何処かにあるはずなのだが、良くあるように見つけられなかったので、誠にグッドタイミングである。文春文庫「未来のだるまちゃんへ/かこさとし」とともに計350円で購入する。
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岡本太郎に匹敵するほど、縄文に対する愛と妄想が果てしなくハイテンションに止まらない本編と必携の副読本。登場人物全員が縄文文化&古代史に異様に精通し、全編に渡り日常会話のように古代の祭祀や神々について話し続けるところは、もはやコメディの域であり最高。こんな漫画が「少年ジャンプ」で連載されていたとは…。ムックの漫画のコマを意識し、同シチュエーションでスナップされる諸星大二郎もまた最高なのである。

本日は早起きして本をジリジリとセレクト。結構な重さになったバッグを抱え、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)の「フォニャルフ」棚の改造手術に取りかかる。本を大幅に入れ替え、動かぬ本を買取と持ち帰りに仕分け、段を二段に減らす…というつもりだったのだが、あれこれ頭を悩ませていると、店主の小野氏がスルスルと近付き「この段、久しぶりに“悪い奴ほどよくWる”さんに貸すことになったんだ。だからお盆明けくらいまでは、まだ使っててもいいよ」とのこと。というわけで何だか中途半端なことになってしまったが、全体的にフレッシュになっていますので、西荻窪方面にお立ち寄りの際は、ぜひとも覗いてみてください!
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2018年08月01日

8/1雑誌ゾーンを掘り起し、徒労に終わる。

幻の“乱歩”ゲームについて書いて思い出したのが、今は亡き新潮社の大判雑誌「03」に載った、サイバーパンクの雄ウィリアム・ギブスンの短篇小説。確か近未来に女の子が、かつての京都を懐かしみ、その昔の街並を保存したバーチャルゲームを、涙を流しながらプレイする…そんな内容だったと記憶している。小説の中のゲームだが、これもまたいつかプレイしてみたいゲームのひとつである。だから途端に、そのタイトルすら忘れている短篇小説が読みたくなり、仕事部屋に唯一あるスチール棚(しかし本棚としてはまったく機能していない)の下部に大量に横積みされた、絵本や雑誌を掘り出して行く。
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…だが、何故か見つからない。日本映画特集や香港特集の「03」は見つかったのに、中折れ帽にトレンチ姿の前田日明が表紙の京都特集が見当たらない…どの段を探しても出て来ない…すべてが徒労に終わり、手を埃まみれにしたところで、ぼんやりと気付いたことがある。もしかしたら、いつかの古本市で売っちゃったんだっけ。う〜ん、そうだとしたら諦めるしかないのだが、何故せめてカラーコピーくらい取っておかなかったのか。バカバカ、俺のバカ!

などと午前中の貴重な時間を費やしながら、午後に外出。銀行で野暮用を済ませ、そのまま西武新宿線に乗り込み、気晴らしの古本買いへと向かってしまう。東村山駅で下車すると、明らかに都心より高温なロータリー。もはや驚かぬが、それでもツラい暑さの中を泳ぎ、「なごやか文庫」(2012/01/10参照)に到着する。店内は、静かな夏休みのような無人販売時間帯である。ゆっくり各棚を見て回り、桃源社「蒼ざめた日曜日 曾野綾子恐怖小説集」ちくま文庫「武士の娘/杉本鉞子」岩波文庫「河童駒引考/石田英一郎」を計290円で購入する。往復の電車代534円を鑑みても、まぁ安い買物である。その往復の車内では、春陽文庫「社会部記者 午前零時の出獄/島田一男」を読み終える。謎解きより何より、スクープ合戦と新聞の一面が出来上がって行く過程がたまらなく面白い。続いて「社会部記者 環状線の女」を読み始めることにしよう。
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2018年07月30日

7/30幻の“乱歩”ゲーム

早朝から原稿書きに集中。途中、午前十一時半の「ささま書店」(2008/08/23参照)詣では滞り無く行い、学研「ムー特別編集 世界ミステリー人物大事典」主婦と生活社「赤毛のアンの手作り日記 パッチワークからクッキーまで」を計216円で購入して家に舞い戻り、再び原稿に集中する。夕方前に形を成し、ホッと一息ついていると、床の上の本の山の間でホコリ塗れになっていた、もはや年代物のゲーム機・スーパーファミコンが偶然目に留まった。挿さりっ放しのソフトは、ゲーム制作会社ヘクトの「イーハトーヴォ物語」(1993年製作)である。イーハートヴォ各地を舞台にした宮沢賢治の童話世界を、失われた七冊の賢治の手帳を求めて彷徨う、RPGゲームである。だがRPGとは言っても戦闘は皆無で(殴られることはある)、ほぼ聞き込み&調査&お使いをしまくるアドベンチャー寄りのゲームと言える。スーファミなので乏しい16BITの表現力の世界なのだが、そんな環境に負けじとグラフィックも音楽も物語も大奮闘しており、プレイしている間はしっかりと宮沢賢治の世界に浸れ、尚且つその世界に疑似侵入出来る、賢治狂いの私にとっては、一生手放せぬだろう名作ソフトなのである。発売当時、よく遺族がゲーム化を許可したなと思ったのを覚えているが、その後花巻の『宮沢賢治記念館』を訪れたら、ロビーにこのソフトが挿さったスーファミがプレイ出来る状態で展示されており、感動のあまり真剣にプレイし始め、時間を忘れて第一章をクリアしてしまったこともあった。

そしてまだゲーム攻略本やゲーム雑誌を作る仕事をしていたその昔に、発売前にヘクトの方が宣伝のため、開発ROMを当時勤めていた編集プロダクションに持参してくれ、プレイしたこともあった。その時には『こんな売れなさそうなゲームを作って、この会社は大丈夫なのだろうか?』と内心失礼なことを思いながら、口ではゲームを絶賛し続け(いや、私的には本当に素晴らしいゲームだったのだ)、「これ、文学シリーズみたいにして、出し続けましょうよ。芥川龍之介とか萩原朔太郎とか(この二人のゲームも本当に面白そう!)」などと調子づいて、夢のような個人的提案を持ちかけた。するとヘクトの方は「実そう思っているんです」と答えたので「ほ、ほ、本当ですか。じゃあ次作は何をっ?」と畳み掛けるように聞き返すと、耳を疑うような驚くべき答えが返って来たのである。「江戸川乱歩をやろうかと企画しています」…えぇ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!「それやりましょう、ぜひやりましょう!絶対やりましょう!『二銭銅貨』とか『盲獣』とか『白昼夢』とか『踊る一寸法師』とか『パノラマ島奇談』とか『二十面相』とかで!」と大喜びで大賛成したのだが、結局何年経ってもそんな乱歩の物語世界を彷徨う変態的RPGが販売されることはなかったのである…やはり「イーハトーヴォ物語」の売り上げが、芳しくなかったんだろうな…ある意味画期的だがオルタナティブなソフトだったからな…。もう宮沢賢治のゲームが存在すると言うだけで、充分満足しなければいけないのだが、それでも今でも時々、ブラウン管のモニター内に、16BITでどうにか表現される幻の乱歩の小説世界を渇望して、哀れに嘆息する己が存在するのである…。よし、久々に「イーハトーヴォ物語」をプレイしてみるか…面白くて、あっという間に二時間強が経過する。イカン、『貝の火』『カイロ団長』『虔十公園林』『土神と狐』と、第四章まで夢中になってしまったじゃないか。次章の『グスコーブドリの伝記』をプレイしたら、恐らく目に涙が溜まってしまう。ここで止めておこう…。
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起動中のスーファミと、背後の画面は『羅須地人協会』一階である。
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2018年07月29日

7/29東京・平井 平井の本棚

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台風が過ぎ去った途端に全力で放射し始めた日射しを恨めしく思いながら、総武線に乗り込んで東へ。昨日順延となった花火大会が行われる隅田川を越え、両国・錦糸町・亀戸でたくさんの乗客を吐き出した後、旧中川を越えて下車。高架ホームから改札に下り北口に出ると、新し気なロータリーである。すぐに西に足を向けテクテク歩んで行くと、線路沿いの道が延び始めるコンクリ法面向かいのビルに、『本』の文字や、カラフルな本が描かれた看板が現れる。ここは昨日7/28に開店したばかりの、出来立てホヤホヤのお店である。内装を手掛けた、“古本屋建築界の安藤忠雄”中村敦夫氏からタレコミをいただいたのである。ピンクと黄色に塗り分けられた『本』とある標の横には、緑色の文庫木箱が四つ置かれている。安売文庫と絶版文庫の組み合わせに胸を軽くドキつかせながら、凝った造作の引戸をスライドさせて中に入ると、店頭箱同様緑の棚で構成された小さな統一感のある空間である。入口右側にはまず小さな棚があり、『文鳥文庫』(最大16ページの名作文特殊文庫)が並んでいる。続く右壁から奥壁にかけて八本の壁棚が設えられ、棚上には文学全集が積み上がり、棚最上段には100均単行本が横一線に並び、現代思想・ビジネス・社会・芸能・タレント・映画・歌舞伎・古書・文学・詩集・井上靖・三浦哲郎・庄野潤三・塚本邦雄・遠藤周作・小川国夫・辻邦生・中村真一郎・写真集などが続いて行く。とはいえ、まだ『値付前』ゾーンなどもあり、少し雑本的な並びを見せている。中央には背中合わせの緑の棚が二本あり、脇に南方熊楠粘菌手拭などを展示しながら、新書・美術大判本・文庫・自然・旅・エッセイ・エッセイコミック・料理・園芸などを揃えている。入口左横には児童文学と絵本が集まり、左壁棚には新刊書や南方熊楠&猫コーナーが設置されている。とここで、お久しぶりの「リコシェ」さんから声をかけられ、店主さんを紹介してもらう。長身痩身の女性店主は、何だかアニメ『名探偵ホームズ』のモリアーティー一味・スマイリーのような素敵な方である。アッ!良く見ると新刊書の棚の前には、独り出版社『共和国』の下平尾氏が本をディスプレイしているではないか。そんな風に知り合いと錯綜し、初めて来たお店で和やかな雰囲気になってしまったので、「リコシェ」さんに圧されまくり、勢いでオススメ本のポップを作成してしまう(店主さんから図らずもスマイリーを連想してしまったので、児童本のドイル「うしなわれた世界」とねずみの国のシャーロック・ホームズ「ベイジル」を推薦しております)。本は安値だが、棚造りは一部以外は、まだまだこれから固まって行く発展途上の模様。しかしお店造りと新刊&古本棚造りの楽しさに満ちあふれているのは確実なので、目を凝らせば良い本が買えそうである。出版芸術社「怪獣小説選集2 怪獣大戦争」(500円!)生活社「都市下層社會/西田長壽編」(『最暗黒の東京』『貧天地饑寒窟探檢記』『大阪名護町貧民社會の實況紀略』『東京府下貧民の眞況』を収録)を購入する。お店の左奥が帳場になっているのだが、黒塗りの木材で縁取られた畳敷きの上がり框があり、そこに置かれたカウンター代わりの、小さな飴色の古いミシン台がとてもとてもプリティーである。何はともあれ、開店おめでとうございます。地元らしきお客さんが「この辺り、本屋さんがないんで、すごく嬉しいです!」と力説しているのが、微笑ましく印象的であった。
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2018年07月27日

7/27パロディ&リスペクト!

多少は過ごしやすい感じがするが、やはり夏であることに変わりはないので、結局いつものように塩塗れになって上連雀に流れ着く。疲労困憊の身体で、感慨深く長い跨線橋を渡って線路の北側に出て、「水中書店」(2014/01/18参照)を偵察する。潮文社リヴ「夢と戦慄の国を訪ねて ドイツ怪奇物語/前川道介」を100円で購入する。続いて西荻窪で途中下車して「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に立ち寄り、カバー&表紙デザインを担当した盛林堂ミステリアス文庫の新刊を受け取る。そして手にした瞬間、本当に涙が出るほど爆笑してしまう。「午前零時の男 他三編/紅東一」は、幻の探偵小説家・潮寒二の別名儀によるアクション小説集で、日活映画の無国籍アクションや、新東宝の“地帯(ライン)シリーズ”を思わせる四編を収録している。今回のデザイン依頼には珍しく条件があり、それはなんと『昭和三十年代辺りの春陽文庫と同じにしてくれ』というものであった。『●●みたいにしてくれ』『●●の雰囲気で』などと頼まれるのは、職人デザイナーの私としては良くある出来事である。だが、全く同じにしてくれというのは、やはり掟破りで前代未聞!…それでも面白そうだし、同人誌だしということで、驚異の丸投げをニヤリと笑って快諾する。その結果、本当に『春陽文庫』そのままの本が出来上がってしまったのである。もうパラフィンを掛けてしまうと、『あれ?こんな春陽文庫あった!?』と思ってしまうほどの、馬鹿らしい出来映えなのである!自分としては決してパクリではなく、楽しいパロディであり、その装画にもデザインにも、大好きな昭和三十年代の春陽文庫への万感の思いとリスペクトを込めたつもりである。この文庫は、8/12(日)のコミケ・盛林堂ブースでの販売が初売りで、お店売りは8/15(水)からとのこと。ひとつ皆様もこの悪ふざけに乗っかって、昭和三十年代に『何か考え無しに軽いアクション物でも読みたいなぁ…』というような、銭湯帰りの下駄履きで向かった町の書店で春陽文庫を買う心持ちになって、入手していただければ幸いです!(そして改めて、春陽堂に向って、敬礼!)
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デザインのギャラと共に、無理&無茶を聞いた作業の補填として、表紙周りを改装した東光出版社「東光少年 昭和廿四年十一月号」をいただく。口絵の『高原に轟く銃声』は向井潤吉画!海野十三の遺作と称し『少年探偵長』の最終回が掲載されている!わぁ〜い!そしてさらに、昨日取材で手に入れた面白い本について、小野氏に聞取り調査………なるほど、なるほど。ではあの状態は、正しい当時そのままのオリジナルと言うわけだと、確証が得られて満足する。この何だかもったいつけたあやふやな文章の詳細は、すみませんがかなり先の次々号の「本の雑誌」連載にて。
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2018年07月26日

7/26取材の前後にも古本を買う。

せっかくちょっと過ごしやすくなったのだから、要領良く連載の取材を済ませてしまおうとお昼過ぎに外出。ところがさっそく「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)の店頭に引っ掛かり、二冊つかんで店内に吸い込まれてしまう。すると中央通路のミステリ&幻想文学棚に、世界恐怖小説全集が三冊だけ並んでいるのが目に留まる。気軽に値段を見てみると、515or1030円と超お買い得ではないか!思わず考えなしに全部買ってしまいそうになるが、ぐぐっと我慢して、欲しかった一冊を胸に抱く。東京創元社「幽霊島/A・ブラックウッド 平井呈一訳」河出文庫「薔薇への供物/中井英夫」婦人画報社「MEN'S CLUB BOOKS No.2 SHIRT」を計1236円で購入する。早速カバンを重くしながら、都内某店にて秘密取材…引きが良いのか、店頭で無事に面白い物が買えて良かった。無事に任務を果たした後は下北沢に立ち寄り、「古書明日」(2017/01/31参照)を覗く。棚が質高く豊かで、相変わらず古書の楽しいお店である。左側通路壁棚上段に、竹中労著作がカバーナシで並んでいるのを見つけてしまったので、読んだことのない一冊を選んで精算をお願いする。日新報道出版部「芸能界をあばく/竹中労」(カバーナシ。表4には誰だか分からぬサインが入っている。それにしても、こんなところにサインを入れてもらう何てことがあるのだろうか。しかもこの暴露本にどんなスターがサインするというのか…)を1000円で購入する。
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というわけで、これが取材時間をサンドイッチしたような、ついでの収穫二冊である。
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2018年07月25日

7/25二冊の本に載ってます。

今日はお昼過ぎに吉祥寺の北側に流れ着いてしまったので、まずは駅方面に戻りつつ「藤井書店」(2009/07/23参照)に立ち寄る。入って右側の文庫壁棚が、ちくま文庫・河出文庫・講談社文芸文庫を安く縦横に並べていて豊潤である。講談社文芸文庫「ロンドンの味/吉田健一」を500円で購入する。そのままアーケードを貫き、天井のいやに低い駅下を潜って『井の頭通り』に出て「よみた屋」(2014/08/29参照)へ。店頭で、ブルーノ・ムナーリのミニ図録を百円で発見してニンマリし、入口自動ドア手前の三百円棚からも一冊引き出し店内で精算する。武蔵野美術大学美術資料図書館「Bruno Munari展 -偶然性と意図性の視覚コミュニケーション-」松本清張記念館友の会5周年記念誌「講演集 清張と私」を計400円で購入する。

※夏のお知らせ二つ。
偶然にも本日7/25に発売になった二冊の本に、縁あって色々載せてもらっています。

■集英社「夢の猫本屋ができるまで/井上理津子 協力:安村正也」
三軒茶屋近くの住宅街に去年できた、プリティーな保護猫たちが店員として働く猫本屋カフェ「Cat's meow Books(キャッツ・ミャウ・ブックス)」の、赤裸々にすべての準備と不安と喜びが開陳される、開店&営業記。この中で、開店時の様子を伝えるために、当ブログのレポートがドバッと引用されております。…近々出版祝いがてら、ビールと猫を慈しみに行くことにしよう。
■本の雑誌社「旅する本の雑誌/本の雑誌編集部編」
本を求める旅、本を携える旅、本の世界を探る旅、本の中に溺れる旅…様々なカタチで“本を巡る旅”について集めた雑文集。この中の『本好きの旅ココロエ帖』で『古本者編』として、個人的な旅の心構えと楽しさをブツクサと語っております。

書店でお見かけの際は、この二冊を何とぞよろしくお願いいたします!
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2018年07月24日

7/24古本屋ツアー・イン・教授トランクルーム【第三章】

午後一時前に、家の前の道路にキキッと盛林堂号が停まる…そう、このパターンは“盛林堂イレギュラーズ”としての出動である。向かうは新保博久教授のトランクルーム!前回に続き教授は不在だが、八月に上京予定なので、その時までに少しでも整理を進めておく心積もりなのである。だが、今日もトランクルームのフロアは灼熱である。盛林堂・小野氏がフロア内温度計に目をやると、三十四度!センサーでエアコンが唸り始めるが、ただ熱い空気をかき回しているだけである。活動限界は二〜三時間だろう。今日の予定はトランクルーム小の文庫を運び出し棚をずべて解体、そしてダンボールだらけの方のトランクルーム大の整理…とここまで進めたい。早速小部屋の床にあった本や棚にあった本を大部屋に逃がし、文庫を運び出し始め、小野氏がそれを結束して行く。
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※作業前のトランクルーム小。スッキリしているように見えるが、恐ろしいほど文庫本が二重にビッシリ詰まっている…。

途端に汗塗れになりながら、水分をこまめに補給し、途中にアイス休憩を挟み、それでも確実に早い限界に近づきながら、文庫束四十本を造り出し、棚を五本解体する。するともう午後三時になっている。まだもう少し大丈夫だろうと、大部屋の雪崩れているダンボール箱を多数小部屋に逃がし、右側に現れた文庫本の集合住宅…いや、増築に増築を重ねたような文庫本・九龍城の全貌を露にする。
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これらは旧新保邸の台所周りや、押入れに収納されていたケースである。これらをスパスパ抜き出し、小野氏が素早く結束する。だが三十分も続けたところ、「小山さん、ゴメン。これ戻して。もう縛る手が限界だ!」と文庫束五十五本を作ったところで作業を中止し、撤収作業に取りかかる。時刻は午後四時半…酷暑の中の古本&その他もろもろとの格闘は、やはり三時間が限界であった…。だが、エネルギーをすべて使い果たし、身体は疲労の極地に達しようとも、今日の収穫は掠め取らねばならない!トランクルーム大の壁棚に齧り付き、あかね書房 少年少女世界推理文学全集「魔女のかくれ家/ディクスン・カー」(扉セロファンには、教授の手によるインク消しで描かれた魔女の横顔が!)「マギル卿さいごの旅/クロフツ」盛光社ジュニア・ミステリ・ブックス「物体Xの恐怖/ジョン・キャンベル・Jr」の三冊を拝受する。教授に報告すると『むむむ、痛いところを突いてきますね。でも可愛がってやってください』と返って来る。教授、大事にします!その後はゼエハァ西荻窪に本を運び出し、本日のお務め終了となる。お疲れさまでしたぁ!
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そして家に帰ると、嬉しいヤフオク落札品が到着していた。表紙は黄色い布張りのオリジナルになってしまっているが、中身はちゃんと奥川書房「孔雀屏風/横溝正史」!昭和十七年出版の短篇集であるが、このタイトルから思わず想像してしまう捕物帳ではなく、探偵小説・奇妙な味の小説・防諜小説・戦意高揚ミステリーなど、1932〜1941に執筆した十編を収録しているのである。これが何とライバルゼロで三千円!姿形はちょっと異なるが、まさか手に入る日が来るとは!読める日が来るとは!これが俺の「孔雀屏風」!と小躍りする。『二千六百萬年』は、何と横溝のSF作品!少女探偵小説『ヴィナスの星』では、三津木俊助が荻窪に住んでいることが判明する。ウヒヒヒ、素敵だな。楽しいな。たちまち昼間の疲れが、何処かに霧散した気になる。
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2018年07月23日

7/23夜の西荻窪にて。

またも昨日の話から。ほぼ終日家に閉じこもり、休息をとる。そして夕方になっても決して涼しくならぬが外出。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)にて岡崎武志氏と落ち合う。今年もようやく動き出す二人の古本屋本のための企画会議を行うのである。お店では母岩社「詩と芸術の総合誌 ぴえろた VOL.2 1970.MAY」を100円で購入する(特集は『シュールレアリスム』で、滝口修造を中心に組まれ、土方巽・暗黒舞踏の写真も多数掲載)。では飲みながら打ち合わせを、と外に出ると、岡崎氏の様子がどうもおかしい。実は昼から祝いの席で聞こし召し、もうずいぶんと酔っ払ってしまっていたのだ。なので「まずは珈琲を飲みに行こう」となるが、何故か酔い覚ましに「古書音羽館」(2009/06/04参照)→「にわとり文庫」(2009/07/25参照)と巡ってしまう。氏は酔眼をぎょろつかせ、「「にわとり文庫」は何処だ〜」と、ほぼお店の前で小さく叫ぶ。そして店に入るや否や、奥に座るにわとりさんに話しかけ「古ツア君が本を必ず買ってくれるで」と勝手に宣言してしまう。苦笑しながらこちらもにわとりさんとお話しし、クーラーがようやく今日から動き始めたことや、「本の楽市」(2018/07/16参照)の動向などを伺う。六興推理小説選書「探偵コンティネンタル・オプ/D・ハメット 砧一郎訳」を1500円で購入する。その後ようやく珈琲を啜りながら、本の打ち合わせを少々。すっかりエネルギーを使い果たしてしまった岡崎氏のお尻を叩き、河岸を変えて飲み屋に腰を据え、ビールをようやく喉に流し込む…この一杯まで、長い長い道のりだった…。盛林堂・小野氏が所用を片付け駆け付けたところで、岡崎氏は乾杯して早々に帰宅する。おつかれさまでした!その後はビールやハイボールを飲みながら、古本屋と古本の話や『盛林堂ミステリアス文庫』出版計画についてあれやこれやお話しする。

そして今日は、朝早くのまだ涼しいと思えるうちから仕事を片付け、午前十一時半に溶けそうなアスファルトの上を滑って、午前十一時半の「ささま書店」詣でへ。尾崎一雄・川崎長太郎・外山繁・庄野潤三の函入り本がまとめて出されている。と言うわけで、講談社「すみっこ/尾崎一雄」エポナ出版「抹香町/川崎長太郎」ワニの本「因果鉄道の旅/根本敬」神戸新聞出版センター「ジャパン・クロニクル紙 ジュビリーナンバー 神戸外国人居留地」新宿書房「プラハ幻景 東欧古都物語/ヴラスタ・チハーコヴァー」を計540円で購入する。
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これは昨日の収穫「コンティネンタル・オプ」。『六興推理小説選書(ROCCO CANDLE MYSTERIES』は流用装丁で、文字と上の帯色が本によって異なる。西日が当たるカーテンをバックに写真を撮ったら、こんなソフトフォーカス気味になってしまった。これを収穫として飲みの席で小野氏に見せると、パラパラと捲りながら「1500円、安いじゃん……あ、栞がないからか。人物表の栞がないんだよ」とバッサリ。古本屋さんは冷徹である。いいもん!人物表がなくたって、覚えるもん!
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2018年07月22日

7/21神保町でいろいろあった。

すでに昨日のことである。早い昼餉を摂ってから、午後二時スタートの古書会館でのトークに合わせて家を出る。神保町をすっかりパトロールしてから会場入りしてやろうと、古本を買う気満々で街を縦横に経巡るが、珍しく何も買えずに終わる。途中「一誠堂書店」(2010/03/27参照)前を通過すると、「小山さん!」と大きな声を掛けられ振り向くと、ニコニコ笑った番頭さんの姿が。一瞬、たくさんの行き交う人々とともに、店前を瞬間通り過ぎただけなのに…この方は本当に私を見つける名人である。そんな“鷹の目”を持つ番頭さんと言葉を交わし、『東京古書会館』(2010/03/10参照)へ。まずは二階の『情報コーナー』で開催中の『古本乙女の日々是これくしょん展』を覗くと、昭和エロ本とカストリ雑誌といかがわしい&どぎつい紙物と特殊一点紙物と古本屋がおしくらまんじゅうをしている、混沌の世界であった。人間の欲望は、様々な形で花開くのだなと、感心することしきり。会館の七階で開かれたトークは、本日の主人公であるガチガチガチガチの古本コレクターこと“古本乙女”カラサキ・アユミさんが、非常に楽しそうに終始喋ってくれたので、実にやり易く、掛け合いをするこちらも乗せられて走り抜けた二時間であった。途中和み過ぎて、段々と九州弁を頻発するカラサキさんがとってもプリティー。ちなみに彼女にトーク中にプレゼントした本は、清水正二郎本人の削除指定本(2018/04/26参照)であった。無事に大役を果たし、さて、まだ古本を買っていないので地下の『趣味展』でも覗いて行くかと、楽屋で秘かに画策するが、なんとそのまま打ち上げに突入することになってしまった。『明大通り』と『靖国通り』をつなぐ『富士見坂』に面した居酒屋でビールとハイボールに古本屋話をしながら塗れる。だが二時間弱経過したところで、仕事の緊急の直しを依頼する電話がかかって来てしまったので、泣く泣く途中離脱する。表に出ると時刻は午後七時で、空がまだ青く明るい。急いで帰らなければならぬのだが、何処かで古本が買えないものだろうかとも考えてしまう。そんな欲望に血走る目に飛び込んで来たのは、やまだ紫が書いた猫看板が輝く「虔十書林」(2010/01/27参照)!すでに閉店準備に取りかかろうとするところだが、慌てて飛び込み横長の店内を探索する。すると目に留まったのは、右奥の宮沢賢治棚に並んでいた、中央公論社ともだち文庫「どんぐりと山猫/宮澤賢治」である。棚から引き出した瞬間に、とてつもない違和感を覚える…何でこんなに大きいんだ!私の知っている“ともだち文庫”は、B6版。だがこの昭和十七年初版本は、A5サイズじゃないか!背が少し傷んでいるが、即購入することを決意し、先ほどいただいたトークのギャラで2700円を支払う。するとダンナさんから突然「古本屋の方ですか?」と声をかけられる。「いえいえい違います。ただ今日は古書会館に呼ばれてトークをしていました」と言うと、レジの奥さんとともに「あ〜っ!」と何となく納得の歓声が上がる。どうやら何処かで見たことはあるが、正体がまるで分からなかったらしい。「では猫の袋に入れますね」「イラスト、やまだ紫さんですよね」「そうよ。61で亡くなっちゃって…本当早過ぎるわよね」などと会話を交わす。
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家に帰って、持っていた昭和二十一年二刷の「どんぐりと山猫」と比べてみる。中尾涁の装画は同じだが、デザインも違うし、シリーズの通し番号も違っている。初版は『ともだち文庫11』だが二刷は『ともだち文庫1』である。
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2018年07月20日

7/20東京・西荻窪 CARPE DIEM

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昨日は西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)の「フォニャルフ」棚にストトトトンと補充する。店主の小野氏と打ち合わせをしたかったのだが、不在で会えず。結局この日は補充だけに終わる。明けて本日、午後二時過ぎに昨日来たばかりの西荻窪に流れ着いてしまう。いつものように体力ゲージはピコピコ点滅状態…だが、最後の力を振り絞り、先ほど見かけたお店に白昼の幽鬼のように接近して行く。駅からは北口に出て『西荻北銀座』の西側歩道を北進。アーケードを抜け、カツ丼の美味しい赤い日除けの『坂本屋』前も通過し、プラタナスの生い茂る坂を下って三本目の脇道を西に入る。するとすぐに、小さく瀟酒で控え目なアンティークショップが目に入るだろう。その店頭に並ぶ足の長い木箱の一つに、一冊五十円の古本が十冊強並んでいるのだ。『地獄に仏』!『渡りに舟』!と二冊をつかんでドアを開ける。小さな薄暗い店内に目が慣れ始めると、アンティーク&雑貨たちに混ざり、右奥に岩波文庫棚・ちくま文庫棚・美術骨董関連棚もあるのが目に留まる。冊数は多くはないが、ちゃんと店内で古本を扱ってくれているのが、無性に嬉しくてたまらない。しかしそこから本は抜かずに、奥の小部屋のような帳場に入り込み、橋本大二郎風紳士に精算をお願いする。「二冊で百円ですね。お包みしますか?……うわっ!本が熱い!熱いじゃないですか!」「この日射しだから仕方ありませんよ。あ、このままで大丈夫です」「そんな暑さの中、お買い上げありがとうございました」などと楽しい会話を交わす。新潮文庫「楢山節考/深沢七郎」扶桑社ミステリー「ジキルとハイド/ロバート・ルイス・スティーヴンソン」を購入する。駅への道すがらの「TIMELESS」(2012/06/30参照)が開いていたので、店内で少し涼んで英気を養いながら、アスペクト「電子頭脳映画史/聖咲奇」を1500円で購入する。そして明日はいよいよ古本乙女カラサキ・アユミさんとのトークショー。よし、彼女に今回プレゼントする古本は、アレに決めたぞ!
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2018年07月18日

7/18宇陀児が買えたから帰る!

今日も無情に続く炎熱地獄を潜り抜け、命の綱のようなアイスをバリバリ噛み砕きながら、午後一時の中野に流れ着く。今直ぐ帰りたいのだが、まだほんの少し体力が残っているようなので、頑張って『中野ブロードウェイ』まで足を延ばし、ビル内を探索する…が、せっかく来たのに成果ナシ…まぁこういう時もあるさと、『早稲田通り』に抜け出して「古本案内処」(2015/08/23参照)にすべてを懸ける。奥の中央通路右側上段に、案内処には珍しく茶色い古書が一列出現しているのに目を奪われる。しかもだいぶ安い!と気になる本をためつすがめつしていると、棚下に並んでいた、古書ではない一冊が目に飛び込んでくる、光文社「長編推理小説 自殺を売った男/大下宇陀児」である。ビシッとキレイな本で、値段を見ると1800円と、こちらもだいぶ安いので、コバルト文庫「ヨコジュンのSF塾/横田順彌」とともに計2268円で購入する。わざわざ足を延ばしてみて、良かった良かった。だがこれで今日の古本活動限界を迎えてしまったので、警察病院前からおとなしくバスに乗って帰ることにする。
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装丁は駒井哲郎!カバーと扉に版画作品が使われている。だが、“装丁”ということは、このイカしたタイトル描き文字も手掛けているのだろうか?
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2018年07月17日

7/17都電運転系統図!

涼しいうちに仕事に目処をつけようと、けなげに早起きしてデザインデザイン。午前十一時前には予定通りに終えることが出来たが、相手の返事待ちなので、あまり出歩くことが出来ない。なので午後の一瞬の隙を突き、比較的ご近所の都立家政の「ブックマート都立家政店」(2011/12/13参照)を見に行くことにする。ずいぶん久しぶりだなぁと思いつつ店頭棚に取り憑こうとすると、補充に出て来たテンチョーさんとバッタリ。久闊を叙し、文庫棚に目を走らせると、「古書は今は出してないですね。お店の奥の方に」とテンチョーさん。「わかりました、後で見に行きます」と答える。どうやら古書類は棚の上段に飾られた戦艦のプラモデルに追いやられてしまったらしい。だがお店の左奥には、まだちゃんと古書コーナーが残ってくれていた。何冊か選んで精算しようとすると、テンチョーさんが、古い本や紙物を奥からわざわざ出してくれた。おぉ!と感動して目を通させてもらう。民俗学系の小冊子や、古地図がドッサリである。地図には大正時代の物や満州物、それに戦後直ぐの進駐軍のストリート&アベニュー地図などもあり、かなり質の良い束である。だが欲しい物を買ってしまうとエラいことになりそうなので、控え目に武藏野文化研究会「武藏野博物館叢書第5輯 武藏野の民俗/関敬吾」(『都市化する武藏野』『武藏野と水』『炉と生活』『農具市とだるま市』『農耕儀礼の様々』『村々の信仰』などを、横型手帳サイズの小冊子なのに写真を多く交えて掲載)三和銀行「都電運転系統図」を選出し、力書房「社交奇術/柳沢よしたね」ちくま文庫「実話 怪奇譚/蜂須敦」を計2268円で購入する。
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「都電運転系統図」。これさえあれば、古い小説に都電の乗り換え描写が出て来ても把握出来るぞ!こんな紙物がここで買えるとは、思ってもみなかった。まったくおかしなおかしなお店である。

さて、いよいよ今週土曜日となってしまいました、“古本乙女”カラサキ・アユミさんとのトーク。まだまだ参加者募集中ですので、炎熱を跳ね飛ばして神保町で古本屋さんと古本で遊びたい方は、ぜひともご予約をお願いします!当のカラサキさんは、この連休中東京の激渋旅館を転々として、展示の準備や古本屋巡りに明け暮れていたそうです(当然大量の古本を買ってしまっているはず…)。そんな話を聞くのもまた楽しみであります!

■「そうだ、古本屋へ行こう!2018古本乙女の古本行脚レポート」
カラサキ・アユミ×小山力也(古本屋ツアー・イン・ジャパン)
2018年上半期の古本乙女による古本行脚レポートを中心としたトークイベントです。カラサキさんが撮ってきた写真のスライドをお見せしながら、戦利品(同展示会でお披露目予定)自慢から、古本行脚アルアル、展示しきれない珍道中の裏話まで、古本屋探訪の楽しみを、お2人に熱く語り合っていただきます。
■日時:7/21(土)開場13:30 開演14:00〜16:00
■場所:東京古書会館七階
■参加費:1000円(当日現金支払い)
■定員:80名(先着順)
お申し込みはこちらから!→http://www.kosho.ne.jp/event/2018/index.html
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2018年07月16日

7/16歯車!

朝からひとつの原稿に取りかかるが、頭の先から足の先までを包み込む、ぬるま湯のような空気に集中力を根こそぎ奪われる。仕方ないので家を出て、月曜定例となっている午前十一時半の「ささま書店」(2008/08/23参照)に古本を買いに行く。時間ピッタリに来たはずなのに、すでに三人のお客さんが店頭に食らいついている。ここも地上のあらゆる場所と同様、暑さがわだかまっているが、左脇の駐車場へのアプローチだけは、ちょっとだけ涼しい風が吹き抜けて行く。ボ〜ッとする頭で古本の背を追いかける。その“ボ〜ッ”に反比例して、たちまち腕の中に六冊の本が飛び込んで来る。サンリオSF文庫「フレドリック・ブラウン傑作集/ロバート・ブロック編 星新一訳」ハヤカワポケミス「シャーロック・ホームズの復活/アーサー・コナン・ドイル」「赤い家の秘密/A・A・ミルン」ユニコンカラー双書「マッチラベル/下島正夫」春秋社「彷徨と順禮/賀川豊彦」彌生書房「萩原恭次郎詩集」を計648円で購入する。「フレドリック・ブラウン傑作集」には栞代わりなのだろうが、アイドル時代の榊原郁恵が樹の影からお茶目に顔を出す連続写真のポジフィルムが挟まっていた。何かの景品だったのだろうか?
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そして午後も原稿書きがままならぬので、高円寺に向かって、濃い墨のような影をアスファルトに落としながら、ヒタヒタ外出。『座・高円寺』で開催中の「本の楽市」(2010/07/18参照)を覗き込む(7/24(月)まで開催)。薄暗いロビーに二列に古本島が続き、絵本や児童書や創作カルチャーを多く並べている。しゃがんで絵本箱を漁っていると、本日の店番担当である「丸三文庫」さん(2010/05/31参照)に「こんな暑い中、来て下さってありがとうございます!」と声をかけられる。いや、この暑い中、古本販売ご苦労さまです。長岡歯車製作所「歯車文化誌(補足版)/内山弘」福音館書店 こどものとも「きりのカーニバル/たむらしげる さく」「なおみ/谷川俊太郎作・沢渡朔写真」を計600円で購入する。丸三さんから買った「歯車文化誌」が面白い。長岡の、超高精度歯車・非円形歯車・円錐歯車・球形歯車などを作っている歯車会社が出した、歯車が使われた道具や装置を集めた全62ページのミニ本である。時計塔!青銅の魔人!がんばれロボコン!人造人間キカイダー!芥川龍之介の『歯車』!などと、ついつい傍流系まで妄想してしまう歯車好きには欠かせない一冊である。おっ、中国の『指南車』(引き車車上の仙人の人形が、歯車仕掛けでいつも南を指すよう工夫されている)も載ってるじゃないか。だが説明には『どんな歯車仕掛けだったかが技術史上の問題点で、未だ解決をみない』と書かれており、その秘密は謎のままである。
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表紙写真がまさにその指南車で、これは版元である『長岡歯車製作所』が復元製作したもの。仙人像が常に南を向く仕組みは、いったいどうなっているのだろうか?
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2018年07月15日

7/15岩波の子どもの本

午後の一番暑い盛りに、塩塗れになりながら南荻窪に流れ着く。もはやエネルギーゲージはゼロで、もはや何を飲んでも回復しない。早く水シャワーを浴びたくて、そのまま家に帰るつもりで荻窪駅をズリズリ目指す。だが、途中少しだけ、ほんの少しだけ、「竹陽書房」(2008/08/23参照)の店頭台に足を停める。文庫本・映画パンフ・雑誌・児童書…そしてすぐに目に留まったのは、164mm×205mmの特殊な版型の岩波書店『岩波の子どもの本』が厚く重なった姿である。全部で十冊ほどの厚みであろうか…百円ならば何冊か買って行こうか。このシリーズは「ちびくろ・さんぼ」や「ひとまねこざる」や「ちいさいおうち」や「こねこのぴっち」や「どうぶつ会議」などに馴染みはあるが、他にどんな本があるのか、あまり知らなかったりする。今ここに重なっているのは、嬉しいことにその馴染みの無い方の本ばかり。もうだいぶ大人なのだが、“子どもの本”に新たな馴染みを作るチャンスである。「おそばのくきはなぜあかい/文・石井桃子 絵・初山滋」「ふしぎなたいこ/文・石井桃子 絵・清水崑」「百まいのきもの/文・エリノア・エスティーズ 絵・ルイス・スロボドキン」「ねずみとおうさま/ぶん・コロマ神父 絵・土方重巳」「ききみみずきん/文・木下順二 絵・初山滋」「もりのおばあさん/おはなし・ヒュウ・ロフティング 絵・横山隆一」…『ドリトル先生』シリーズのロフティングか!横山隆一の絵も軽快にプリティー!と未知の本との出会いに小さな凱歌を揚げ、計600円で購入する。
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これは扉の写真。バックの竹陽さんに即座に古本が買えたことを感謝し(店内は素通りしてしまった…)、とにかく後は水シャワーだ!と飛んで帰ることにする。
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2018年07月14日

7/14古書店献呈本とあの蔵書。

恵比寿の『日仏会館』のレストランにて、家族的用事で会食。その後、独り渋谷に流れ出て「中村書店」(2008/07/24参照)に向かってしまう。店頭では女子がワゴンに足を停め、店内でもオッサンが棚を眺めている。ワゴンから一冊、店頭箱から一冊つかんで店内の仲間となる。久々に左奥の詩集ゾーンに沈殿し、魂に栄養を送る。北園克衛の詩集&評論がたくさんあることに、改めて感激。だが結局購入したのは、フィルムアート社「映画・日常の実験/かわなかのぶひろ」小学館文庫「ド・ラカルト/小学館ドラえもんルーム編」扶桑社文庫「妖異金瓶梅/山田風太郎」と詩には全く関わりのないものを計650円で。だがこの「映画・日常の実験」は面白い本で、見返しに献呈署名があるのだが、何と献呈相手が某古本屋さん(現存しており、今は店舗営業はしておらず通販中心のお店である)なのだ!古本屋好きとしては決して放っておけない、マニアックに重要な古本!
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※店名部分にモザイクをかけております。

続いて坂を下って駅頭の雑踏を通り抜け、西口盛場裏通りの「古書サンエー」(2008/07/24参照)へ。店頭店内をクルクル見て回り、一冊のノベルス・講談社「人形佐七捕物帳シリーズ4 女刺青師/横溝正史」600円を抜き取り帳場にて精算。カバーを掛けてもらい栞もいただいたのだが、そのカバー掛けの過程で小口に捺された蔵書印が目に留まり、本があの『T蔵書』(2014/01/29参照)であったことに気付いてしまう。…よもや購入を中止するわけにもいかず、そのまま受け取ることに…これもまた一つの運命か。だがこの本、小口と地に印が捺されているだけ。目次も扉もキレイで、奥付もそのまま残っているのだ。いつものビブリオクラスト(書物破壊症)的痕跡とは異なるおとなしい蔵書であった。…これで家に何となく集まって来てしまった『T蔵書』も、早四冊目か…。
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2018年07月13日

7/13ヨーグルト色のハードボイルド・ワンダーランド

もはや人間としての形と心を保てぬほど蕩けながら、午後イチの宮前に流れ着いてしまう。そこからズリズリと移動を始め、ハァハァと舌を出しながら、どうにか西荻窪にたどり着く。すると最初に目に入ったのは、「信愛書店 en=gawa」(2012/12/04参照)の100均古本ワゴン。たまには覗いてみるかと、マンションの敷地内に入り、二台のワゴンに目を凝らす。新潮社の純文学書き下ろし函入り本が多いなぁ…ほぅ、「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド/村上春樹」もあるじゃないか。手に取りまだパラフィンの付く本を函から取り出してみると、何と初版であった。だが惜しいことに、函がメチャメチャ焼けているのだ。ほぼ白色のヨーグルトみたいな色味になっており、最初からこうだったんじゃないかと思わせるほど。全方位で見事に焼けてしまっている。帯が付いているのでちょっと外してみると、やはりそこには鮮やかなピンク色と、白い図版がくっきりと残っていた…まぁそれでも100円だ。そう小さく喜び、徳間書店「新井素子の?教室」とともに計200円で購入する。続いてヨロヨロと線路の北側に出て「古書音羽館」(2009/06/04参照)へ。室外機の熱風に脅かされながら右翼の文庫棚を見て、単行本棚に取りかかると、PARCO出版「上海・都市と建築 一八四二-一九四九年/村松伸」(値札に“線引”とあるが、確認すると、第一章の所々にシャーペンで優しく線や丸囲みが書き込まれているだけ。これなら、すぐに消せる、消せるぞ!)永田書房「尾崎一雄対話集」を見つかったので喜び、涼しい店内で今度は涼しさに蕩けそうになりながら、計600円で購入する。頭が上手く働かぬほどの暑い中、なかなか良い買物が出来ました。というわけで一刻も早く家に帰り、水シャワーを浴びて、人間としての復活を遂げることにしよう。
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水シャワーを浴びて生き返った後、早速「上海」の線引消し作業に取りかかる。ライトな線引に、軽い軽いと軽快に消しゴムを紙の上に走らせるが、結局『第一章』だけではなく、終りの方までまで所々線引されていたことが判明…勉強熱心で偉いことです。なんとか無事に消し終わたのを祝し、少し読み始めてしまう。
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2018年07月12日

7/12何気ない昨日と今日。

昨日は夕方に駒場の谷底に流れ着いたので、いそいそと「河野書店」(2008/09/08参照)の様子を見に行く。店頭は涼やかだが、その見た目をヒドい暑さが凌駕してしまっているのが悲しい。それでも、ウルトラ人形やミニカーも混ざる店頭を楽しみ、店内へと進む。むっ、いつの間にか帳場の左側に鞄置場が出来ている。本を見るためには、ここに鞄を置かねばならないのだ。指示に従い、アカデミックな店内をグルグル。角川文庫「幻の馬車/ラーゲルレーフ」を250円で購入する。
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本日は溜まった仕事と早朝から大格闘。根を詰めて夕方まで真面目に仕事する。どうにか一段落着いたので、ちょっとだけ外出して古本を買いに行くことにする。目指したのは家から一番近い「古本ブック流通センター」(2008/08/09参照)である。ガチャガチャ越しに店内を透かし見ると、ガタガタになった文庫棚が臨める。
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相変わらずこのうらぶれた雰囲気は、一流と言っても決して過言ではない。買い物に期待はしていないが、このお店の在り様は、ひねくれた古本心をたっぷり潤してくれるのだ。重いサッシ扉を開くとチャイムが鳴り、奥のドアからご婦人が姿を見せる。「こんにちは」と挨拶し、小さな店内を巡って行く。文庫&コミック棚にほとんど変わりはなく、ただ少しずつ量が減り、どの本もジワジワ劣化して行くのを、ただただ待っているのだ。但し文庫棚の上や、奥の壁棚の文学単行本に少々変化あり。影山民夫・筒井康隆・大江健三郎らが何処かから出現し、増殖している。そんな微妙な変化を確認しつつ、ハヤカワ文庫「LA捜査線/ジェラルド・ペティヴィッチ」渓声社「続・いやぁ!映画って本当にいいもんですね/水野晴郎」を計200円で購入する。本当は計480円なのだが、「汚れてますので一冊100円にしておきます」と値下げしてくれたのである。まぁこれは、いつものことであるのだが、何はともあれ感謝である。さぁ、無事に古本も買えた。家に帰って仕事の続きをすることにしよう。
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2018年07月10日

7/10古本屋ツアー・イン・教授トランクルーム【第二章】

早起きして仕事を始め、何となく感じをつかんでから午後に外出。家の前の、アスファルトが溶け始めそうな通りに、キィッと盛林堂号が停まる。そう、“盛林堂イレギュラーズ”としての出番なのである。任務は2018/06/22に続く、新保博久教授のトランクルームの整理である。しかし本日は教授が不在なので、盛林堂・小野氏とともに、以前教授と何となくすり合わせておいたプランに基づき行動する予定。前回縛った本の運び出しと、廃棄と決まった雑誌の結束運び出し。そして大2・小1の三部屋のうち、小部屋のダンボールを外に出し、取り巻く棚の文庫本を取り出し、縛って棚を解体し、さらに収納率を上げるつもり…だが改めて開始時に教授に連絡を取ると、海外作家物は手放してもよいが、やはり日本作家物の選別は行いたいということになり、雑誌以外の本はそのまま棚に残すことになってしまった。というわけでちょっと予定を変更し、とにかく雑誌の運び出し+大部屋1の奥のスチール棚二本を解体し、棚の本は横積みしておき、選別し易いように準備しておく。棚が無くなって開いた部分に各所に蔓延るダンボールを上手く積み上げ、快適な作業空間を造り出すことにする。そうと決まったら話は早く、まずは運び出す物や余計な物や邪魔な物を廊下へ…いつものことであるが、たちまち廊下は物で一杯乱雑となり、とても他の利用者には見せられない光景となる。小野氏は「お願いだから誰も来ないでくれ〜」と頻繁に呟いている。
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本を移動させつつ、棚上の小棚を五本解体し、スチール棚は二本を解体……とまぁ順調に進んでいるように書いているが、実はこのトランクルームは、非常に熱がこもり易い空間となっており、二人とも汗みどろになり、体力がガリガリ奪われている状況…何故か二時間で効き目の薄いエアコンも停まった…途中アイス休憩を挟み体力の回復を図るが、よりこもって来た熱のために、あっという間に体力ゲージが点滅し始める。観念して四時間弱で作業を中止し、喘ぎながらも美しく華麗に撤収し、廊下はあっという間に元通り。大部屋1に大きな空間を生み出せたことにまずは満足し、最後の仕上げに西荻窪に大量の本を下ろしに行く。そんな暑中古本作業の報酬に、ポプラ社 世界推理小説文庫16「消えた鬼刑事/南洋一郎 原作アラン」(前回いただいた「怪盗ファントマ」の前編。これでようやく読み始められる!)講談社「孤独の罠/日影丈吉」岩崎書店 ベリヤーエフ少年科学空想小説選集4「学者象の秘密」(箱ナシだがオリジナルと思しきビニカバが掛かり、背には『5・6年生向き』とある金シールが貼られている。表4の広告を見ると、その仕様について『美装上製』とだけ書かれている。これは元々こういうものなのだろうか?)を拝受する。大いなる役得。今日も遠く京都の教授に感謝感謝である。
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※お知らせ二つ
1. そろそろ書店に並び始める「本の雑誌 麦茶ぐびぐび特大号 No.422」の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、栃木・足利の「秀文堂書店」を久々に訪問。そしてたちまち、「やはりここには毎日でも通いたい!」と思わせてくれた素晴らしき本と驚きの安値で出会っております。
2. 古本乙女・カラサキアユミさんとのトークの予約が本日からスタート!みなさま、何とぞよろしくお願いいたします!
■「そうだ、古本屋へ行こう!2018古本乙女の古本行脚レポート」
カラサキ・アユミ×小山力也(古本屋ツアー・イン・ジャパン)
2018年上半期の古本乙女による古本行脚レポートを中心としたトークイベントです。カラサキさんが撮ってきた写真のスライドをお見せしながら、戦利品(同展示会でお披露目予定)自慢から、古本行脚アルアル、展示しきれない珍道中の裏話まで、古本屋探訪の楽しみを、お2人に熱く語り合っていただきます。
■日時:7/21(土)開場13:30 開演14:00〜16:00
■場所:東京古書会館七階
■参加費:1000円(当日現金支払い)
■定員:80名(先着順)
お申し込みはこちらから!→http://www.kosho.ne.jp/event/2018/index.html
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