2019年06月03日

6/3東京・早稲田 「丸三文庫」が一階路面店に!

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早起きして原稿をまとめ上げ、早めの昼食を摂ってから外出する。まずはテクテク歩いて荻窪に赴き「ささま書店」(2018/08/20参照)にて定点観測。店頭に詩歌関連が多く、店内文学棚に大量の長谷川四郎ゾーンが出現し、ちょっとした新鮮な風が吹いている。土曜美術社「評論集 機械的散策/関根弘」天平出版部「詩集 夜陰/北川冬彦」青英舎「楽園紀行/松山猛」日本近代文学館「死刑宣告/萩原恭次郎」を計432円で購入する。そのまま荻窪駅で電車に飛び乗り、総武線→東西線と乗り継いで早稲田に出る。地下駅から上がり、『早稲田通り』を西に進んで坂をグングン上がる。『西早稲田交差点』を過ぎ、100メートルも南側の歩道をさらに進めば、おぉ!ビル一階の「谷書房」(2018/02/28&2011/07/04参照)があったところに、「丸三文庫」(2010/05/31参照)が引っ越して来ている!九年間の二階店舗営業から、堂々一階路面店に出世したわけである。青い真新しい看板には、店名が艶やかに輝いている。広々とした店頭には、「鉄道ジャーナル」箱・少女漫画雑誌付録箱・安売文庫ワゴン・大判本ラック・単行本&漫画ラックが並ぶ。値段は100〜300円が中心である。店内は壁際にスチール棚が張り付き、中央に背中合わせのこれもスチール棚があり、広々とした日本の回遊式通路を造り出している。奥にはこれもスチール棚に囲まれた帳場があり、お手伝いの男性がパソコンとにらめっこ中である。入口左横には手塚治虫全集と児童文学が集まり、折れ曲がった部分には時代劇文庫や一般文庫が集められている。そのまま日本文学・竹中労・ミステリ・充実の映画関連(特に台本)・近代風俗・鉄道・歴史と奥に続いて行く。向かいには郵便&通信関連・講談社学術文庫・岩波文庫・ちくま文庫・新書が揃い、入口正面の棚脇には新刊の「名画座手帳」とともに、古めの奇妙な雑貨が集められている。右側通路はアメコミ箱を下に置きながら、通路棚に図録・美術作品集・アートが並び、向かいに海外文学・世界・社会・思想関連が続く。奥の帳場脇には、何枚も漫画の原画が張り出されている…などと観察していたら、帳場から「あぁっ!」という声が上がる。驚いてそちらを見ると、ついこっちも「あぁぁっ!」と声を上げてしまった。何とそこに立っていたのは、二月に閉店した「古書信天翁」(2019/01/25参照)の店主・山崎氏だったのである。聞けば閉店後の失意の日々から脱却し、他にもお仕事をしながら、ここで週三日働いているとのことであった。いやぁ、まさかまた古本屋さんでお会い出来るとは、何とめでたい!山崎氏はとても元気そうで、今は都電でここまで出勤しているとのこと。車中の読書も、面影橋駅からお店までの道のりも、そしてあれほど苦しかった古本データのパソコン入力作業も、すべてが楽しくてしょうがないと笑顔で語る。醒めてしまった愛が、一旦距離を置いたことにより、再び燃え上がったようなものだろうか。あぁ、それにしても驚いた。文春文庫「諫早菖蒲日記/野呂邦暢」創元推理文庫「文豪怪談名作選/東雅夫編」を計400円で購入する。その後はテクテクさらに西に歩いて谷へと下り、「古書現世」(2009/04/04参照)へ。新しく左側に据え付けられた催事の時は運び出される安売棚から、林書店「モデルガンの楽しみ/川野京輔・郡正史」(川野はテレビマンの推理小説作家。ひたすら本物気分を味わうためのモデルガン論が面白い!こんな本を出していたとは)を見つけて喜び、300円で購入する。向井氏から新宿支部新店の情報などをタレ込んでいただきながら、ニャオニャオ鳴きまくる店猫のコトにも挨拶し、いつものように楽しく愉快に長話する。
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2019年06月01日

6/1西荻窪から古本のざわめきが。

お昼過ぎに八幡山に流れ着いたので、遥か西荻窪方面から聞こえる古本的ざわめきを調査するため、徒歩で高井戸駅まで向かい、京王線で久我山駅まで出て、また徒歩でトボトボ西荻窪を目指す。街は今日明日と『ニシオギチャサンポー』という、街歩きを楽しむとともにと様々なお店が振る舞う様々なお茶を味わうイベントが開かれており、いつもより賑わっている。『西荻南中央通り』を遡上し、いつも年末に古本市でお世話になる『銀盛会館』にたどり着く。
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一階で盛大にガレージセールが開かれているのだが、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)もガレージの左壁を占拠し、全品百円の本を大量に並べている。前掛けを着けた盛林堂・小野氏の百均押し売りを巧みに拒みながら、カワデベストセラーズ「探偵ゲーム 怪盗Xより七つの挑戦状/藤原宰太郎」フレーベル館「キンダーブック どうぶつのちえ/えとぶん・武井武雄」(全ページ武井武雄によるキンダーブック。こ、これは素晴らしい!)「キンダーブック のりもの」(近藤東の世田谷線に添えられた可愛い電車詩『きれいなでんしゃ』に、茂田井武の見開きあり)を計300円で購入する。続いて「盛林堂書房」に移動し、講談社文庫「記憶のなかに/吉行理恵」子供マンガ新聞社「われわれは来た、そして見た/ピーター・キャリシャー」を計200円で購入しつつ、先月の「フォニャルフ」の売り上げを受け取る。次に目指すのは、高架下を潜って「古書 音羽館」(2009/06/04参照)。なんと『チャサンポー』に合わせ、店主・広瀬氏の出身店である町田「高原書店」(2009/05/03&2019_05_19参照)の閉店を偲ぶとともに感謝を込めて、これも今日明日と『店内全品15%オフセール』を行っているのである。店頭には人が既に鈴なりに。店内に入っても、何処の通路もギュウギュウギュウ…いや、こりゃスゴい。先客の波と位置を譲り合いながら、「音羽館」にも、もちろん「高原書店」にも敬意を表し、何か記念になる本を買って行きたいな…としばらく悩んだ末に、右部屋の棚で洋書のように瀟洒な装幀の書肆ユリイカ「詩劇 森の美女/ジュール・シュペルヴィェル 三井ふたばこ・柳沢和子共訳」を見つけたので、古本の塹壕と化している帳場に持ち込み、2000円なのを15%オフの1700円で購入する。
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2019年05月31日

5/31そうか、奥付紙がないのか…。

昼過ぎに中野に出て用事をこなすとともに、『中野ブロードウェイ』四階の「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)の赤い通路棚に視線を注ぐ。すると百均棚ではなく、レジ寄りの安売棚にどうも見覚えのある深緑の一冊が…気になって引き出してみると、真善美社の「死靈1/埴谷雄高」であった。
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値段を見るとゲゲゲゲッ!の300円!カバーは無いし、背も上部と縁が傷んではいるし、人物カードも『死靈への言葉』も入っていないが、それでもこの値段はおかしい…疑り深くビニールからそっと取り出し、中を確認してみる…あぁ!奥付紙がない!どうやら剥離してしまったようだ…くぅぅぅ、残念だなぁ。いや、でもでもそれでも、この「死靈1」を300円で買えるなんて、そうそうないことだ。しっかりと確保しておくことにしよう。
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左が奥付紙が貼りついた正しい本の姿。右の300円本は、上部で留められていた跡が筋のように残っているだけ。まぁ豪華風な造りになってはいるが、紙も何もかも粗悪な本だからなぁ。

その後は先日先延ばしした取材を無事にこなし、帰りに三鷹の「水中書店」(2014/01/18参照)に立ち寄る。店頭ではもう蚊取り線香が焚かれる季節になってしまった。懐かしくもある永遠の匂いを嗅ぎながら店頭台を眺め、その後店内へ。中公文庫「日本歓楽郷案内/酒井潔」を400円で購入した後、棚の補充をしていた店主の今野氏に声をかける。しばらく、「りんてん舎」(2019/03/30参照)が出来てジワジワ相乗効果が生まれ始めていることや、「水中」「りんてん」ともに詩歌句に強いので三鷹が詩歌句に強い街になったことや(今野氏が「もし市場で欲しかった詩歌本を落とせなかったとしても、恐らく「りんてん舎」さんが落としてくれると思うので、そうすれば結局三鷹にその本が並ぶというわけなんですよ」と嬉しそうに語るほど)、棚の入替の話などに花を咲かせる。相変わらず真っ直ぐで真面目で、古本屋稼業を全力で楽しんでいる心持ちが伝わって来る。家に帰ってから二十二冊の古本を箱詰めして、大阪に送り出す。しばらくしたら『梅田蔦屋書店』の古書壁棚に並ぶはずである。
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2019年05月30日

5/30『時計』マークの初版じゃないか!

昨日は夕方に「フォニャルフ」に補充しようと、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に駆け付けると、店前で台車をゴロゴロ押して来た、いつもお世話になっている印刷所の方とバッタリ。即座に一肌脱いで、台車の上に山を成している盛林堂ミステリアス文庫の「実歴奇談 真澄大尉/吾妻隼人」の納品を手伝う。この作品は、山中峯太郎別名儀の初単行本化軍事探偵小説である。いつもの如くカバーデザインを担当したので献本分をいただきつつ、帳場周りに集まる盛林堂ミステリアス文庫ブレーンの方と芦辺拓氏と、著者近影の歴史についてそこはかとなく意見を交わす。
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そして本日は午後に吉祥寺の北に流れ着く。すると長らく開いていなかった「午睡舎」(2009/09/10参照)が開いている!と思って近づくと、小さな店内はすでにカウンターのある飲食店のように改装されており、まさに今も改装作業中なのであった…あぁ、いざさらば「午睡舎」よ…。そこから南にブラブラ歩いて「藤井書店」(2009/07/23参照)へ。ちくま文庫が安値で並ぶ店内右壁棚に目をキラリと光らせ、ちくま文庫「横井軍平ゲーム館/横井軍平 牧野武文」を200円で購入する。『サンロード商店街』を必死に通り抜け、JRと井の頭線の高架を潜り、つい先日慰めてもらったばかりの「よみた屋」(2014/08/29参照)へ。入口手前の新書棚下段端から、集英社「りぼん」ふろくの弓月光物二冊を抜き出す。「弓月光ワンマンショー」(本人も写真で登場しまくり、単行本未収録作『ヨットどっこい!』(夫婦が新婚旅行で核実験を見学に行くアナーキーな漫画)の他にも履歴書や漫画家入門を収録)「天使のような悪魔チャン」を握り締めて店内へ。50均文庫棚には先客が張り付いているので、店内をブラブラする。すると右から二番目通路の海外ミステリ文庫棚で、創元推理文庫「ゲー・ムーランの踊子/ジョルジュ・シムノン」が袋に入って並んでいるのを見つける。元パラで帯がちゃんと付いている…と引き出すと、ぬおっ!帯の作風分類マークが『時計』ではないか!初期創元推理文庫のバイブル、湘南探偵倶楽部の「初期創元推理文庫書影&作品目録 新訂増補版」によると、発見難易度『B』の代物である。この『時計』が初版最初のバージョンで、その後同じ初版で『猫』に変化し、さらにその後同じ初版の『猫』マークでカバーが掛けられることになる…まるで複雑怪奇な出世魚…。ちなみに『時計』マークは『その他の推理小説(法廷もの・倒叙ものetc)』で、『猫』マークは『スリラー サスペンス』を表している。同文庫で出されているシムノンは『猫』マークに分類されているが、この「ゲー・ムーランの踊子」と同じ昭和34年に出された「男の首」「黄色い犬」の初版は『時計』マークとなっている。つまりシムノンは、最初はその他の推理小説だったのだろう…。値段を見ると超お手頃な千円だったので、握り締めていた二冊と合わせて千二百円で購入する。あぁ、今日も「よみた屋」
に良くしてもらった。
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2019年05月28日

5/28取材は後日に先延ばしするか。

頭の中で組み上げていたものを、集中してモニター内にカバーデザインとして仕上げる。この仕事は、先日格闘したモダニズムデザインと同じ作家のものなのだが、幾つかの共通点は持たせながらも、まったく別な物に仕上がってしまった。しかしこれもまた楽しい楽しい名誉あるお仕事であった。もとより本文内容に及ぶべくもないのだが、物語に新たな命を吹き込むつもりで、懸命に打ち込んだデザインである。早く本になって、二冊を並べてエヘラエヘラと愛玩したいものだ。詳しい情報については、今しばらくお待ちくださいませ…。そして午後になって外出。強く湿った風に嬲られながら連載の取材に向かうが、なんと目的のお店が運悪く臨時休業。がっくりと肩を落としながら吉祥寺に立ち寄り、「よみた屋」(2014/08/29参照)に慰めてもらうことにする。店頭で大判のUFO本三冊を買ってしまいそうになるが、その重さに思い直し、ソッと棚に戻して店内へ。入口右横の50均文庫棚に、無駄足の無念を晴らすために意識を集中する。すると思いが古本の神さまに通じたのか、最上段で珍しい文庫を一冊見つける。教養文庫「ファイディングファンタジー ゲームブックの楽しみ方/安田均」である。教養文庫『アドベンチャーゲームブックシリーズ』の評論本!ゲームブック自体も特殊なジャンルなのに、さらにそれを詳細にゲームシステム含め評論するとはマニアックな!だがそんな本も、いつの間にか高値となり、今や三千〜四千円はする代物であろうか。というわけで「よみた屋」さんに見事慰めて貰い、岩谷選書「烙印/大下宇陀兒」とともに計550円で購入する。取材は後日に先延ばしとするか。
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ところでミニシアター『ラピュタ阿佐ヶ谷』では、昭和三十年代の中編日本映画を特集した『添えもの映画百花繚乱 SPパラダイス2019』という企画上映が始まっている。時間の短い併映作品ばかりなので、観たことのないものや、まったく未知のフィルムが、わんさかスケジュールに並んでいるのだ。三つ折りのチラシを眺めていると、大好きなジャンルなのになんだか知らない本ばかりが並んでいる、驚きの古本目録でも見ている気分になってくる。萩原秀夫原作の『俺は情婦を殺す』、島田一男原作の『トップ屋取材帖シリーズ』、怪談&スリラー映画の『怪談一つ目地蔵』『執念の蛇』『青蛇風呂』、香住春吾原作の『化け猫御用だ』(田中徳三初監督作とのこと)は最低でも観ておきたいなぁ。少しでも安く観るために、3回券でも購入しておくべきか。
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2019年05月27日

5/27十銭文庫を1080倍の値で購入する。

岡崎武志氏の書き下ろし新刊、「これからはソファーに寝ころんで」が届く。身の回りと仕事と散歩とテレビと映画と古本と文学にしみ込む、還暦過ぎの男の、小さな幸福を積み重ねる暮らしが、写真とともにさらさらと書き出されている。嬉しいことに私も二ヶ所ほど登場しているのだが、それより何よりこの本が、春陽堂書店から出たというのが羨ましくてしかたない。春陽堂と言えば、日本近代文学黎明期の礎を築いた出版社でもあるが、やはり探偵小説&貸本小説満載のハチャメチャに素敵な春陽文庫が白眉であろう。今にこの本も、春陽文庫にラインナップ入りするのだろうか…などと愚かな思惟を深めながら、午前十一時半の荻窪「ささま書店」(2018/08/20参照)にて定点観測。このヒドい暑さのためか、ライバルは誰も姿を現さない…。ポプラ社「『百年小説の愉しみ』文壇と作品誕生の物語/秋山稔」(「百年小説」の初回配本特典小冊子)誠文堂十銭文庫「相撲の話/大の里萬助」を計216円で購入する。誠文堂十銭文庫は、87mm×148mmの手帖サイズで、昭和初期に刊行された情報本である。十銭文庫と言うからには、当時の値段は十銭である。表面上はその十銭の本を、1080倍の108円で購入したことになるわけだが、それでもこの値段で、あまり見かけぬこのシリーズが買えるのなら、恐ろしく安いものである。実はこのシリーズには欲しい本がたくさんある。「建築の話/岸田日出刀」「尖端を行くレヴュー/川口松太郎」「映畫のABC/古川緑波」(この本は「盛林堂書房」(2012/01/06参照)左側通路帳場前の通路棚下平台の木箱の中に認められるが、それなりのお値段が付けられている)「百貨店百景/倉本長治」「探偵科學の話/高田義一郎」「エロエロ東京娘百景/臺岐はる子」(なんちゅう身もふたもないタイトルだ…)「上海どん底風景/八甲田文彦」「東京名物食べある記/松崎天民」(京阪版もあり)「合法的電車汽車安乗法/松川二郎」(激しく気になるなぁ…いったいどんな方法が…)などなど。あぁ欲しい。そして読み倒したいものだ。
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2019年05月25日

5/25「鬼の言葉」がモンガ堂への道を阻む。

昨日仕事の待ち時間に「不知火奉行」を宣言通りに読み進めていると、表題作の次に『どくろ検校』という中編が収録されていた。勢いに乗ってさらに読み進めると、なんだか様子がおかしいアナーキーなストーリー展開。長崎近くの絶島から、不知火検校と名乗る謎の総髪の男が江戸に現れ、夜な夜な美女を襲って行く。襲われたものは、血を求める浅ましい吸血鬼となって蘇り、さらに犠牲者をねずみ算式に増やしていく…おかげで江戸は吸血鬼だらけに…って、これ、ブラム・スト―カーの『吸血鬼ドラキュラ』そのままじゃないか!やるなぁ、知らなかったなぁ。横溝センセイがこんな伝奇作品を書いていたなんて。江戸に吸血鬼がたくさん蔓延る章のタイトルが『江戸地獄変』だもんなぁ。不意打ちでシビレまくってしまった。そんなことを思い出しながら、今日は暑い太陽が二つ輝いているような西荻窪に流れ着く。そのままダラダラと「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に向かい、店頭に犇めく人々に紛れて、新装店頭の様子を窺う。きっちりした統一感を漂わせる多種の新品什器に、いつも以上に古本が収まっているようである。ふむふむと、什器と古本を眺めながら、何も買えるものがなかったら、このまま店を離れることにしよう…などと薄情なことを思っていると、均一本の補充に来た店主・小野氏にたちまち発見され、店内に引き込まれ、二十二歳の若者が訳したリトルプレスの「万象綺譚集/アルジャナン・ブラックウッド 渦巻栗訳」を激推しされ、あえなく購入する。「フォニャルフ」棚がだいぶ歯抜けになっているので、近々補充しなければ。しばらく色々お話ししてから、お店を後にする。テクテク北に歩き、駅も越えてさらに北へ北へ。一度谷に下り、再び上がって「benchtimebooks」(2019/03/09参照)にたどり着く。前回来た時は、まだ一階部分しか開いていなかったが、そろそろ奥の中二階も開いていることだろう。店内に入ると、額縁棚も相変わらずで、以前より少し本が増えている印象。ただし入口横が雑貨類になり、製本関連は奥の階段横に移動している。その階段に足をかけ、トトトと数段上がると、ちょっと薄暗い雰囲気のある空間である。右は太宰本や「グスコーブドリの伝記」などが飾られたショウケースと帳場兼作業場で、今日は可憐な女性が店番中である。左側には小さな棚や台が不規則に連続し、寿岳文章・谷崎潤一郎・民芸関連などが並んでいる。奥の押入れのような台には、日本文学古書がディスプレイ。なかなか素敵な景色である。などと思っていると、突然お腹がグゥグゥ恥ずかしいほど鳴り始めてしまう。…おかしい、さっきパンを食べたばっかりなのに…一歩足を踏み出すごとに“グゥ”と鳴ってしまうのだ。恥ずかしさのあまり、帳場に背を向け外に逃げ出そうとすると、壁の飾り棚にも古書が飾られているのに初めて気付く。藤森成吉・坂口安吾…おっ!春秋社「鬼の言葉/江戸川亂歩」も飾られている!ワクワクしながら手に取ると、2800円だったので恥ずかしさも忘れ購入を即決する。
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嬉しかったので、お店の前で記念撮影。そして本来はこの後「モンガ堂」さん(2012/09/15参照)にも寄る予定だったのだが、予定外の散財をしてしまったので、そのまま『青梅街道』を東に向かい、徒歩で帰路に着いてしまう。モンガさん、すまなんだ!
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2019年05月24日

5/24横溝センセイ!

連日のモダニズムとの格闘に自分なりに終止符を打ち、ある単行本のカバーデザインを完成させる。何事もなければ六月にはお披露目&出版になると思うので、何とぞ皆様の心の片隅に留めておいていただければ。そして昨日は調布に午後に流れ着いたので、五月を超越した暑さを逃れるように、高いビルの隙間の通路に入り込み「古書円居」(2009/03/02参照)へ。店頭で右側の百均時代劇文庫台にチャッと目を通してから、左側の百均一般文庫台へ身を寄せる。すると、おっ、徳間文庫「虹の悲劇/皆川博子」…むっ、徳間文庫「相馬野馬追い殺人事件/皆川博子」…おっ、また皆川博子…だがこれは官能系か…と、妙に台に咲き乱れる皆川博子を伝っていると、最後にたどり着いたのが、講談社文庫「トマト・ゲーム/皆川博子」であった。単行本は見たことがあるが、文庫本を見るのは初めてだ。先年に稀代のアンソロジスト日下三蔵氏の手によりハヤカワ文庫から増補再刊されたが、やはりオリジナル版にはその時代の味わいがあって、なかなかに良いものだ。表紙絵が南国の海に後輪を沈めるバイクで、その上背が赤地に白文字なので、同時代の角川文庫の片岡義男シリーズに似てなくもない。帯の裏を見ると、同時発売の新刊に「悪夢の骨牌/中井英夫」「脱線! たいむましん奇譚/横田順彌」が並んでいるのが、また時代を感じさせる。前述の二冊とともに、美味しそうな匂いの漂う店内に進み、計300円で購入する。
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そして本日は朝から仕事の返事待ちで、身動きの取れぬ状況に陥る。少々腐りながら些事をこなしていると、そう言えば今日五月二十四日は、横溝正史先生の誕生日じゃないか(何とボブ・ディランと同じ!)!と気付き、気晴らしに家の古本たちで遊ぶことにする。持っている横溝の貴重な本は、どんなのがあったっけ…とあちこちガサゴソし、特殊な精鋭を選び出す。むぅ、何か変なのばっかりだな。最も「真珠郎」とか「塙侯爵一家」など持っているわけないので、仕方ないのだが…。
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左上は初版の角川文庫「八つ墓村」。今は亡き岐阜・大垣の「笠浪書店」(2013/04/09参照)で、店内二周目に百円で発見したド級の一冊である。右上は阿佐ヶ谷「銀星舎(2008/10/19参照)」の店頭百均棚で見つけたノベルティ革装文庫「獄門島」。中身は昭和五十二年の三十二刷である。右手前はヤフオクにて三千円で落札した奥川書房「孔雀屏風」。表紙周りが布装に改装されてしまっているが、そうでなければとても手に入らぬ一冊である。タイトルから捕物小説集と思ってしまうが、中身は探偵小説・少女探偵小説・防諜小説・戦意高揚ミステリーなどが収録された異色の作品集なのである。左手前はつい先日国分寺「雲波」(2017/02/03参照)で千円で入手した朝日ソノラマ「名探偵金田一耕助シリーズ9 女王蜂」。全10巻のシリーズで、半分は中島河太郎と山村正夫が子供用にリライトしている。リライトバージョンは後のソノラマ文庫に収録されなかったので、このシリーズでしか読めないのである…リライト版を、全部読んでみたい…。などとしばし遊び、古本への渇を少しだけ癒す。後は、先日「りんてん舎」で買った三洋出版社「不知火奉行」でも読み続けることにしよう。横溝センセイ、今日も青空の下、あなたの作品は読み継がれていますよ!
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2019年05月22日

5/22奇妙に似た二冊。

今日もモダニズムと頭の中で格闘し、『モダニズムとは、スピード!テンポ!連続!明滅!図形!機械!』などと思いつきながら、富士見ヶ丘に流れ着く。そこからいったん吉祥寺に出て、古本屋さんに足を運ぶ。最近すっかり営業日が安定した「バサラブックス」(2015/03/28参照)では、牧神社「味覚幻想 ミステリー文学とガストロノミー/日影丈吉」を500円で購入し、レジに置いてある初見のショップカードも手に入れる。裏面に買取対象として列記されている、漫画家とサブカル系作家がマニアックでイカしている。井の頭線高架を潜り「よみた屋」(2014/08/29参照)では、入口手前の300〜500円単行本棚で、美術出版社「点・線・面 抽象芸術の基礎/カンディンスキー」を見つけて喜び、500円で購入する。少し箱が傷んでいるが、1961年三版のバウハウスでの講義を基にした著作である。これを読み込めば、あの音楽を絵にしたような硬質な図形の乱舞が、理解出来るようになるのだろうか…?この後は『ジュンク堂書店吉祥寺店』で開かれている『乱歩フェア』を見に行こうと思い立つが、書店が入る『コピス吉祥寺』が何処にあるのか分からず、途方に暮れる…恐らく何かのビルの名が変わった結果なのだろうが…またにするか、とあっさり諦めて帰路に着く。そして阿佐ヶ谷で家路をトボトボたどり、「古書コンコ堂」【2011/06/20参照)前。店頭棚を横目にしながら、足は停めずに前へ前へ…むっ?あの左端にある黄色い本はもしや?と急ブレーキをかけ、棚に素早く近付く。ほほぅ、やはり中央公論社「やぶにらみの時計/都筑道夫」ではないか!帯はないが初版である。これは断固救出しておかなければ!と103円で購入する。
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ささやかに嬉しい二冊を並べて写真撮影。その瞬間にふと気付く。この二冊、何だか不思議と奇妙に似ている。似ているぞ!カンディンスキーと真鍋博の、偶然の化学反応に、思わず暑い西日の射し込む部屋で酔い痴れる。
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2019年05月21日

5/21モダニズムと自分なりに格闘する。

予報通り朝からヒドい雨風なので、仕事部屋に根を生やし、一日どっぷり仕事することに決める。午前のうちにひとつデザインを片付け、午後からは六月に発売予定の、ある一冊の単行本のカバーデザインに取りかかる。これは楽しみでしょうがない、誠に光栄なお仕事なのである。素材はなにもなく、ただ『モダニズムを感じさせるものに』との希望があるだけである。…非常に難しい…だが、この作家の仕事が出来る幸せを、存分にデザインに反映させてみせるぞ!と無闇に意気込み、あれこれ手を動かし始める。モダニズムと一口に言っても、何だか捉えどころのない、大きな化け物のような創作エネルギー活動である。テキストを読み込み、頭に引っ掛かるキーワードをフックにして、イメージに合う素材を集め、または創り出し、取りあえず形にして行く。その上で、自分の中に蓄積されているモダニズムのイメージを加味して行く。大正〜昭和初期の、表現主義・キュビズム・インターナショナルスタイル・分離派・未来派・一部のプロレタリア美術…もちろんすべて血肉になっているわけではないので、極めてあやふやなものである。だが、自分と言うフィルターを通し、脳髄に浮かべていれば、何らかの影響を今現在の制作に与えてくれるだろう。だから、そういう風に懸命に創り続けていると、段々とそれなりの形になってくる。だが、何となく納得がゆかない。さらに手を加える。色々といじってみる。失敗する。創り直す。また形になってくる。だが何かが物足りない。素材をプラスしてみる。あぁ、だめだこりゃ。作業を巻き戻し、土台から再チャレンジ。…こんなことを繰り返していたら、いつの間にか夕方になっていた。雨風もだいぶ弱まって来たようだ。作業はようやく形になってきたようだが、もう一捻り二捻り欲しいところである。立ち止まったような状況を打開するために、手近にあった、モダニズムを感じさせる古本を並べてみる。
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「西部劇通信」のド派手なデザインが踊る函が欲しいな…「感情装飾」の函は、もういっそのこと復刻版を手に入れて合体させてしまおうか…「テキサス無宿」の函も欲しいな…『世界大都會尖端ジャズ文學』の「モダンTOKYO圓舞曲」はどうにかして手にしたいな…なんだか古本が買いたくなってきてしまった……などと古本邪心がぐるぐる渦巻く結果になってしまうが、こんな楽しい息抜きもまた、作業にとっては大事なのである。おかげで雨が止んだ頃には、モダニズムと言うか、そこを乱暴に通り越した奇妙なキメラ的状態になってしまうが、ひとまず満足のゆくものが出来上がっていた。だがまだ時間はあるので、ちょっと寝かして眺めて暮し、さらに良いものに仕上げて行こう。夜は、大阪行きの古本を選んだりして、結局古本は買いに行かずに、本当に一日家の中で過ごしてしまう。
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2019年05月20日

5/20『かつら文庫』を発見する。

段々と風が強くなって来た正午過ぎに、馴染み深い荻窪に流れ着く。だが『大田黒公園』近くの住宅街に、今まで現存していることさえ知らなかった、児童文学者&翻訳者&編集者の石井桃子が自宅の一部を開放した、子どものためのミニ図書館『かつら文庫』があるのを知り、感動の雷に打たれる。石井桃子の名著、岩波新書「子どもの図書館」の舞台である。自宅玄関とは別に、道路に面して煉瓦タイルで化粧されたエントランスが造られ、小さいがなかなか立派な姿である。
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いやぁ、これは凄い!創設が1958年なので、今年で六十一年目!没後もちゃんと残って活動を続けているなんて、優しく誇り高く素晴らしい!と感動をさらに深めながら、窓に貼られた活動内容に目を通す。へぇ、『東京こども図書館』の分室として活動しているのか。開いているのは月に数回のようだが、なんと子どもが無料で利用出来るだけではなく、おとなのための公開日もあるのか。500円で各部屋を案内してくれて、本も借りれるとのこと。いつか勇気を出して申込んでみようか…それにしても気になるのは、石井桃子の蔵書である。邸内に保存されているのだろうか?そして一部は文庫に並んでいるのだろうか?それとも『東京子ども図書館』に寄贈されているのだろうか?まぁ、もし見学することがあるのなら、その時に案内者の方に聞いてみれば良いのだろうが…などとあれこれ夢想しながら、テクテク駅方向へ歩いて、そのまま定点観測に入る。「ささま書店」(2018/08/20参照)では三笠書房「阿房列車/内田百閨v創元社「キティ颱風/福田恆存」小学館サライ2016年3月号付録「漫画冒険物語 新寶島/漫画少年版 ジャングル大帝」を計324円で購入する。そのまま歩いて阿佐ヶ谷まで戻り、昼下がりの「古書コンコ堂」(2011/06/20参照。開店八周年まで、後一ヶ月じゃないか!いったい今年はどんな記念グッズを作成するのだろうか?)へ。講談社「死のある風景」サンケイノベルス「赤い密室」共に鮎川哲也、早川書房異色作家短篇集第14巻「破局/ダフネ・デュ・モーリア」を計309円で購入。そんな風にして一週間を滑り出す。
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2019年05月19日

5/19東京・町田 EUREKA BOOKSTORE


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「つぐみ文庫」さんからのコメントタレコミに基づき、土日営業の古本屋さんを目指し、午後に外出する。降り立った町田駅は、三十年以上前によく利用していたターミナル駅であるが、ほとんど神奈川の一部のような東京の片隅の一繁華街で、多少柄悪めに賑わっていたのを覚えている。だが今はどうだろうか!街は現代的に発展し、お洒落な洋服に身を包んだ人々で、ごった返しているではないか!まるで浦島太郎か長い懲役帰りのような気分を味わい、キョロキョロしながらそんな街に分け入って行く。お店の場所は、JR駅の北口からすぐの空中広場に出て、東側の『東急TWINS』の足元にあるスロープを下って行く。ビルとビルの間に延びる『パークアベニュー』に入り、東南へ。少しうねりながら続く化粧タイル敷きの道で、ひとつめの交差点を過ぎ、さらにズンズン進んで行くと、やがて『町田駅前通り』に合流する部分が見えて来る。その手前の北側には、奥が高くなる緩い斜面地に、古めかしい商店が長屋的に建ち並ぶ『町田仲見世商店街』。まだJR駅が『原町田』だった頃の、昭和の時代が染み付いた貴重な遺産である。小さなアーケードには入口が二つあるが、人気飲食店があるらしく、どちらも長い行列で塞がれてしまっている。だが隙間を見つけて仲見世内に踏み込み、最初の小さな十字路を西に。奥まで行き着くと、そこから北側に、お店の裏側と小さな飲み屋と二階への入口ドアが混在した、屋根のない小路地が延びている。目指すお店を見逃さぬよう慎重に進んで行くと、西側の途中に二階へのオープンな小さい入口があり、そこにノッポな白木の店名看板が出されていた。ここか。それにしても素晴らしいロケーションだ。古本屋さんがなさそうな場所にあるこの状況!全く持って素晴らしい!と喜びながら奥へ進む。目の前には、白い小さな急階段。ゴトゴト上がり切って扉を開けると、そこが小さな小さなお店であった。四畳半ほどの空間に、まずは左に、開け放たれた街の裏側が見えている窓をバックにカウンター式の帳場があり、ワイルドだが眉目秀麗なお兄さんが古本と静かに格闘している。その横の入口脇には、絵本・児童書・古書・カラーブックス・「暮しの手帖」が並ぶ棚あり。手前壁・右壁・奥壁はぐるっと棚に覆われ、古本が並べられている。この棚は最下段が面陳ラックになっている珍しいタイプである。入口右横から、幻想文学・水木しげる・セレクトコミック・日本文学・海外文学・民俗学・民芸・思想・詩集・街・建築・釣り・登山・歴史・科学・ファッション・神話・竹久夢二・写真集・美術などが並んで行く。冊数は少ないが、丁寧に選書されており、そこに意外なほど古書も混ざり込むので、なかなか見ていて飽きない。端や中央のテーブルには、古めの観光絵葉書・洋紙物・洋雑誌などが集まり、お洒落な彩りを添えている。値段も安めなものが多いので、初見から好印象を抱いてしまう。児童書棚から、学研ユアコースシリーズ「超科学推理 なぞの四次元/斎藤守弘」を購入すると、領収書に日付けも値段も但し書きも店名も住所も電話番号も、すべて手書きで渡してくれた。これから週末に町田に来ることがあったら、必ず寄ることにしよう。きっと面白い本に出会えるだろう。

お店を出た後は真っ直ぐ帰らずに、小田急線の線路を西に渡り、先日突然閉店してしまった「高原書店」(2009/05/03参照)の様子を見に行くことにする。あぁ、ビル前の看板が、半分になってしまっている。そして階段を上がったところにある扉には、黄色い紙に、素っ気ないほどの別れの挨拶が書かれていた。うぅううぅ…さらば、偉大なる古本ビル、「高原書店」よ!
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2019年05月17日

5/17古書を買ってポスター展へ。

一つデザイン仕事を片付けてから午後に外出。テクテク歩いてまずは都立家政の孤高のヘビメタ独立店「ブックマート都立家政店」(2011/12/13参照)に立ち寄る。おっ!店頭棚最下部に、麗しの古書が並んでいるじゃないか。新太陽社「日本建築の實相/伊東忠太」上毛民俗の会「上毛民俗叢書五 上毛座談」(柳田國男率いる民俗学研究所の面々も参加する、手書きガリ版刷りの小冊子)を計216円で購入する。もうこれだけで充分満足なのだが、ここからさらに西武新宿線に乗り込み、昨日から始まっている『石丸澄子 ポスター展』を見に行くことにする。石丸澄子さんはシルクスクリーン作家であり、元西荻窪の古本屋さん「興居島屋」(2008/09/12参照)「なずな屋」(2014/09/24参照)を経営していた方である。新井薬師前駅で下車し、南口に出て住宅街の中にある民家ギャラリー『土日画廊』を探し求める。案内ハガキに刷られた地図通りに進めば、すぐに画廊は見つかり、小さな庭から階段をトコトコ上がり、靴を脱いでお邪魔する。すると奥から出て来たご婦人が「あら、いらっしゃいませ。今居眠りしちゃってたとこで、ちょうど目が覚めたんですよ」と、とても暢気な出迎えをしていただく。民家そのままの廊下や二部屋をギャラリーとし、およそ三十枚の古書展ポスター(南部古書会館の「本の散歩展」)や古本関連本装幀のシルクスクリーンや古本手拭が額装され飾られている。非常ににまとまりのある世界観を構築しており、二色・三色の美しいシンプルな懐かしい刷りのポスター群にうっとりとする。原稿用紙に直筆で記された、澄子さんの職業遍歴と疲弊を重ねる歴史もユーモアたっぷりで楽しい。そして改めて作品群を見て思ったのは、文字レタリングの独特さと美しさである。これが手書きとは、全く持って信じられん…と大いに感心していると、主役の石丸澄子さんが姿を現し、元気にご挨拶される。そこから何故かすぐにビールを飲み倒す酒宴に突入し、たくさんお話ししながら、昼間っから盛大に酔っ払ってしまう。ウハハハ、俺はいったい何をしにここに来ているのか!そんな不思議な時間を二時間弱過ごしながら、最後にデッドストックの手染め&手刷り古本手拭を一枚購入し、無理を言って澄子さんにその場で文字レタリングをお願いする。すると、「“す”だけなら」と謎の言葉を発し、手拭の隅に◯に“す”の署名を入れてくれた。うわぁ〜い、ありがとうございます!この展覧会は、6/2(日)まで。開廊は木・金・土・日だけなので、ご注意を。
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2019年05月16日

5/16「ねこじたゴリラ堂」健在!

今日は午後二時過ぎに、巨大な相輪のような武骨な鉄骨組の『田無タワー(正式名称スカイタワー西東京)』の足元に流れ着く。すでに初夏のような暑さと日射しに、すっかり体力を削られてしまったが、やはり古本は買って帰りたい…よし、ここなら花小金井がわりと近いはずだ。およそ六年ぶりに、絵本専門の古本屋さん「ねこじたゴリラ堂」(2013/12/03参照)を訪ねることにしよう。そうと決まれば、早速西に向かってテクテク歩き始める。ところがちょっと予測を誤ったのか、花小金井が意外に遠く、なかなか近付いて来ない。その代わりに『田無タワー』はいつまでも背後に高く聳えており、なんだか西東京の罠に嵌り込んだ気分である。だが歩き続ければ、いつかはお店にたどり着くものである。そんな風にして記憶をたどりながら店前に到着すると、店頭に安売絵本や児童文学を並べ、堂々営業中である。うむ、素晴らしい。最初は街の奥に落ちた一滴の古本の雨粒が、いつの間にやらコンコンと湧き出る泉と化し、必死に街に古本の潤いを与えているようである。そんなけなげさとしぶとさに感謝しながら、店頭で一冊を手にして中へ進む。主に中央棚の絶版ゾーンに意識を集中する。むっ?背の一番上に『ディアストーカー』が描かれた児童文学が…思わず気になり取り出すと、大日本図書「ぼくはめいたんてい1 きえた犬のえ/マージョリー・W・シャーマットぶん マーク・シマントえ」というシリーズ物の日常系探偵児童文学であった。すわ!北原案件か!?と色めき立つが、主人公の少年の絵は、ディアストーカーは被っているが、コートはトレンチで、パイプも天眼鏡も持っていない(裏表紙に天眼鏡は描かれているが…)…これでは条件を満たさない、案件モドキである。だがすでに愛着を覚えてしまったので、文研出版「かさ/太田大八」(珍しく、文章のない全編絵だけで構成された絵本である。雨が降りしきる街の中に咲く、傘の叙情性が心を掴んで離さない)とともに計900円で購入する。
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ところで先日手に入れた島田一男先生の「七色の目」を楽しく愉快に読み進めているのだが、主人公の探偵助手・五郎少年の憧れの存在である香月名探偵の駄目っぷりが、本当に笑える。悪党にあっけなく眠り薬を飲まされ無様に眠りこけるわ(本当にただ眠らされている)、悪党にグルグルに縛られ捕まった五郎の前に現れるわ(本当にただ捕まっている)、大事な少女をすぐに見失うわ攫われるわで、どこが名探偵なんだっ!と読み進める度に、ニヤニヤしながら激しく突っ込みまくっているのである。また、『黄金紳士がギョッとした顔で立っていた。ツツッと、机にかけより金をながしこんだかたへ手をのばしたが、ハッと手をひっこめるーーまだあついのだ』とか『そのようすを、とおくから、黄金紳士が見ていた。じつは、ねらっている五郎とイズミを、ひとあしちがいで、不良につれて行かれ、黄金紳士はいらいらしていたのである……。』などと楽しい文章も頻出!あぁ、未知のマイナー・ジュニア探偵小説は、予想外の荒い乱暴で強引な展開をたくさん見せてくれるので、本当に面白いなぁ。
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左上が凛々しいが、かなりアレな香月名探偵。手前がスーパー名助手五郎。後は黄金紳士の変装姿である。伊勢田邦彦絵。


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2019年05月14日

5/14橘外男、恐るべし!

昨日は月曜恒例の定点観測で「ささま書店」(2018/08/20参照)へ。軽快に煥乎堂「明日は天気だ/草野心平」(編者の伊藤信吉署名入)を見つけた後、気になる茶色い背の粗悪な本に手を伸ばす。引き出してみると、眞善美社アプレゲール叢書「小説 不毛の墓場/馬淵量司」という、昭和二十三年刊の一冊であった。眞善美社は埴谷雄高「死霊」を出したところだ。作家は未知である。だがその何処かで見たようなモダニズムな装幀に、一発で魅せられてしまう。まるで、戦前の改造社『新鋭文學叢書』や新潮社『新興藝術派叢書』のパチ物みたいで面白いじゃないか。とページを繰り、目次隅の装幀者名に目を留める。げえっ!阿部金剛!戦前から活躍していたシュルレアリスム系の洋画家である。…パチ物なんて言ってしまって、すみませんでした…。画集を常々欲しいと思っているのだが、とても高値で手が出ない、憧れの洋画家である。タイトル文字がペンでなぞられてしまっているが、これは良い物を引き当てたぞ!と喜び計216円で購入する。
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左から新興芸術派叢書、新鋭文學叢書、そしてアプレゲール叢書。

一旦帰宅してから、バッグ一杯の古本を持ち出し、開店したばかりの「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)へ。不要になった建築&デザイン関連本を買い取ってもらう。すると査定が予想以上の高額になっていたので、その原因を聞いてみると、一冊のデザイン洋書がとても高値で取引されていることを知る。だが、もはや惜しくはない。何はともあれコンコ堂さんの誠実な買取に感謝し(普段はとことん安値で古本を買おうとしているのに、買取の時はなるべく高く買ってもらいたい!と願ってしまう、正当な値段を否定しまた肯定する、この虫が良過ぎる自己矛盾!だがそれでも、良い本を安値で見つける喜びは、何ものにも代え難いのだ!)懐を大いに温める。小学館「サカナとヤクザ/鈴木智彦」を721円で購入する。

そして本日は午前十一時半に東京を発ち、小田急江ノ島線で雨降りの藤沢へと向かう。先日五反田の「本の散歩展」を訪れた折り(2019/0419参照)、「聖智文庫」(2013/05/16参照)有馬氏から、「面白いのが入ってるから、久々に藤沢に来なよ」と言われていたのを、行くと約束しながら忙しさにかまけて失念していたところ、わざわざ氏から電話が入り「早く来ないとなくなるよ。売りに出しちゃうよ」と軽〜く脅されたので、懐も温かめなことだし押っ取り刀で電車に揺られているのである。その面白いものとは児童本である。普段氏からは、デザイン&アート関連の面白いものが入荷した時に来所を誘われるのだが、児童本で誘っていただけるとは、まったく珍しい事態なのである。駅北口に出てしばらく歩き、雑居ビルの階段を二階へと上がる。事務所の扉をノックすると、中から「おぅい」と返事があった。中に進むと、長い壁棚に整然と並ぶ横積み本と、フロアに整然と腰高に積み上がる同サイズのダンボ―ルや、結束された古い雑誌の塊が目に入る。そしてパーテーションの間から有馬氏が立ち上がり、姿を見せてくれた。早速嬉しい様々なお土産を受け取りつつ、「これだろ、これが見たかったんだろ」と三箱のダンボールを入口近くのショウケースの上に運び出してくれた。「状態の良くないのや裸本が多いけどさ、珍しいのも混ざってるよ」の言葉に胸をトキメカせ、箱を開き中の本を検分して行く。ほとんどが裸本だが、状態の悪いものはすでに修復が施され、パラフィン紙が丁寧に掛けられている。ポプラ社・偕成社の児童本…野村胡堂・角田喜久雄・横溝正史・久米元一…うぉっ!裸本だが、橘外男「怪猫屋敷」じゃないか!とまずは一冊確保。続いて二箱目三箱目と開けて行き、特に分厚い一冊を取り出すと、これも裸本で貸本仕様だが、島田一男先生の「七色の目」ーーーーーーーっ!こんな本、もう一生出会えないと思って諦めていたのに!と激しく興奮してしまう。取りあえずこの二冊を買うことにして、値段交渉は後回しにして、さらに様々な面白い本やブツを見せていただく。戦前「コドモアサヒ」の状態の良いもの大量とか、昭和三十年代のマイナー出版社時代ものとか、安西水丸の処女出版漫画とか、八十年代のポップカルチャー紙物とか、東京オリンピックの風呂敷(亀倉雄策デザインのポスターがプリントされている)とか、戦中の「紙芝居」という名の見たこともない雑誌とか、南京に従軍した医者の撮影した貴重なネガ群とか、与謝野晶子のお兄さんの写した貴重な土木遺産写真群とか、もう堪らないものが盛りだくさん!…あぁ、勉強になる。ここはやはり奥深く、奇妙で楽しい古本屋さんだ…。「ありがとうございます。ま、また来ます!」と言うと「もう来なくていいよ。もう俺も年だから、これが最後だろ」などと返してくるが、聞けば聞くほど面白いものがまだまだ背後に控えているようなので、まだ当分この稼業を続けるはずだと見込む。「もし閉めることになったら、その時にもまた来ますよ」「ウチは三割引とかやらないからね。ウフフフフ」などと話しながら、先ほどの二冊を値段交渉し、計一万円で購入する。
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裸本の写真では味気ないので、本扉の写真をどうぞ。「七色の目」は『片目の魔王』と『七色の目』の二作の長編を収録している。読むのが楽しみ!そして「怪猫屋敷」については、常々気になっていたことがあり、家に帰ってから同じ橘外男作の東京ライフ社「亡霊怪猫屋敷」(昭和三十三年刊)を引き出してみる。この本は、最初に読んだ時から、何だか子供用の文章みたいだな…と感じていたのである。今日手に入れた「怪猫屋敷」と引き合わせてみると…お、同じだ。まったく同じだ。文章も、章タイトルも、すべて同じじゃないか!こんなことがあって良いのだろうか!なぜなら「怪猫屋敷」は昭和二十八年刊で、「亡霊怪猫屋敷」より五年も前に児童物として出版されているのである。それを文章も何も変えずに、そのまま大人用の本として出版するなんてことが、あり得るのだろうか!しかも「怪猫屋敷」は百二十円で、「亡霊怪猫屋敷」は二百四十円!た、橘外男、恐るべしっ!
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2019年05月12日

5/12寄り道は古本のためにある!

午後一時前に世田谷の赤堤に流れ着いたので、下高井戸の「豊川堂」(2019/01/26参照)に寄って行こうかと考えるが、日曜の気分に唆されて缶ビールを呷りながら歩いているうちに、いつのまにか明大前にたどり着いてしまう。ならば!と「七月堂古書部」(2018/01/13参照)に立ち寄り、角川書店「ぎゃんぶる百華/阿佐田哲也」を100円で購入していると、奥の事務所ゾーンから「あ!」と一声発してから、にこやかに一人の女性が現れ「いつもありがとうございます」と丁寧に挨拶されてしまう。こ、これは、正体が露見しているのか?それとも誰かに間違われているのか?(ちなみに私は帽子姿の普段とは異なるスタイルである)…そんな疑問を瞬時に脳内に立ち上げながらも、疑問を解決する会話などは特に交わさずに、今度店内で開催されるイベントのチラシを受け取る。『市場のねこ』という、那覇の『牧志公設市場』と猫を題材にした音の台所さんのリトグラフ展である。おっ、6/9(日)には、吉上恭太さんがギターを爪弾くイベントもあるのか。などと情報を入手するが、訳も分からずドギマギしてしまい、挨拶もそこそこにお店を後にする…何か、すみませんでした…と、そんなドギマギを抱え、己の社会性の無さに絶望しながらフラフラ歩き出し、結局東松原の「瀧堂」(2014/05/01参照)に逃げ込む。中央通路右側最下段に面陳された、徳間書店「仮面ライダー 決死戦7人ライダー/原作石ノ森章太郎 まんが成井紀郎」を300円で購入する。こんなのがいつの間にか出ていたのか。表題作は、歴代7人のライダーが、操られた自由の女神やスフィンクスやトロイの木馬やジャンボ・コング(恐らくキング・コングですな)などの巨大な怪物と闘い、さらに巨大な大魔神(九州と同じ大きさ。何故かちゃんとあの大映の大魔神なのである)の復活を阻止しようとする、伝説のコミックである。そんな風に寄り道しながら阿佐ヶ谷に戻り、何だかざわめく『旧中杉通り』を北上していると、途中から『ゆうやけ市』が開かれていた。露店や音楽イベントや紙芝居イベントやねぶたやフリーマーケットが混在する、年二回の町のお祭りである。物凄い人波で、進むのも一苦労だが、フリマには時々古本が並んでいるので、丁寧に見て行くことにする。大抵は洋服を売る隅に、絵本・児童書・コミックなどがちょこっと並んでいるのが定番だが、時々音楽本やサブカル本をマニアックに並べる貴重なお店に出くわすこともあるのだ。今回は、かなり北の方で硬めの新書や思想&社会学を並べた稀有なお店に出くわす。自転車を引き、真剣に視線を落とすオヤジさんと肩を並べ、何か面白いものはないかと目を凝らす。すると、ぐぐんと眼前に迫り出して来たのが、社会評論社「戦争と伝書鳩 1870-1945/吉田和男」である。普仏戦争から太平洋戦争まで、戦場で使役された伝書鳩についての一書である。意外なところで面白そうな本に出会えたと喜び、鬼安の100円で購入する。イギリス情報部の『MI-14』が、伝書鳩を使い情報戦をする部署だとはまったく知りませんでした…。というわけで、すべての寄り道は、古本のためにあり!
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2019年05月11日

5/11「りんてん舎」にウキウキ駆けつける。

まだ気温が上がり切らぬ正午前に、三鷹の北にある緑町に流れ着く。大変にこれ幸いなのである!実は昨日、古本神の森英俊氏からメールがあり、平和島のフリマで「ネオ書房」(2019/03/10参照)の本が販売されていた情報とともに、「りんてん舎」(2019/03/30参照)に筋の良い昭和三十〜四十年代の大衆小説が入荷していると、教えられていたのである。神は激安で、三橋一夫などを手に入れたとのこと。う、羨まし過ぎる。すでに神が剛腕で撫でた後ではあるが、何か買えるに違いない。そう信じて『三鷹通り』を南下する。信号脇のお店前には、店頭棚とともに木箱が並ぶようになっている。丁寧にひとつずつ覗き、早速ポツポツと本を手にして行く。100均棚に宮本幹也が混ざっているのを見つけたので、神の情報が正しかったことを確信する。五冊の本を抱え、開店したばかりの店内に踏み込む。目指すは中央通路の文学棚である。なるほど、山田風太郎・城昌幸・橘外男・菊田一夫・江戸川乱歩・特集雑誌などが、しれっと紛れ込んでいるようだ。ふぅむ、楽しい。ちょっと悩んで選んだのは、三洋出版社「不知火奉行/横溝正史」。三隅研次監督、勝新太郎主演映画の原作本なのである。桃源社「乱雲/宮本幹也」町田市市立国際版画美術館「版画 80年の軌跡 明治初年から昭和20年まで」桃園書房「非情の秘密指令/宮崎惇」PHP「日曜の午後の悲しみ/大島渚」新潮社「蘆間の幻影/三木露風」(裸本)とともに、計2160円で購入する。「りんてん舎」さん、まだ相変わらず棚は埋まり切っていないが、立ち止まることなく棚に動きがあり、良い本・珍しい本を安く買える確率が高い。開店一ヶ月ちょっとにして、すでに素敵なお店の地位を、着実に築きつつあるようだ。また来ようっと。
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そしてそろそろ発売になる「本の雑誌 うどんつるつる遠雷号」の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、大泉学園の「ポラン書房」に突撃。安定した良質な本棚を維持し続ける、北西東京の良心的古本屋さんで、いったい何を安値で手に入れたのか。ページを開いてお確かめ下さい!
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2019年05月10日

5/10「盛林堂」店頭の変化を目撃する。

午前のうちにセレクトした古本を携え、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ向かう。駅南口から吐き出されて、アーケード商店街を抜け、小さな交差点から緩い坂道を下って行くと、お店の手前に軽バンが停まり、何だか店前が慌ただしい。バンを回り込み近付くと、何と新品店頭什器のセッティング真っ最中であった。古本屋好きとして、これは良い場面にでくわしたぞ。店頭に仁王立ちし、監督する小野氏にまずは挨拶。続いて什器を作成し運搬し、現場での細かい調整に余念のない“古本屋界の安藤忠雄”中村敦夫氏にも挨拶。もはや新什器はそれぞれの場所に収まり、早速小野氏の奥さんとお母様が本を入れ始めている。
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文庫台は横幅が少しコンパクトになり、棚は段数が増え上へと伸びている。
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入口横の時代劇文庫棚も段数増。従来の金属ラック収納型の大判箱は、ちょっとラック収納に誤差があり、後日微調整するとのこと。
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奥が新文庫台で、手前が長年修復補強されながら使われていた文庫台。やはり幅が微妙に違う。
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バンの荷台を作業場にして、即座に細かい対応をする、頼もしい中村氏の後姿。この背中が、数多の中央線古本屋の内装を手掛けて来たのだ。
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奥さんが什器にはたきをパタパタかけている。ちょっと借用してみると、これが古本屋に相応しい、キング・オブ・昔ながらのはたき!

そんな風にバタバタしながらも、無事にセッティングが終わり、ビシッと統一感のある店頭が誕生した。お目出度うございます。入口が非常に入り易くなり、店頭収蔵量もアップした模様。だが店頭棚の配置はルーチンワークになっているので、従来の物に似ているとは言え、形も高さも変わった棚や台に、慣れぬうちは朝のセッティングに一苦労しそうである。そして明日の土曜市は、これらの新什器が早速戦場と化すのであろう。などと考えていると、中村氏が百万ドルの笑顔と大声で「この後何処行くの?八王子とか高尾の方に行くんでしょ?だったら乗せてって上げるよ」と軽く拉致られそうになる。丁重にお断りした後、本来の目的であった「フォニャルフ」の補充入れ替えを行う。今月も二段のマニアックな古本棚を、何とぞよろしくお願いいたします。帰りに阿佐ヶ谷「千章堂書店」(2009/12/29参照)に立ち寄り、創元推理文庫「危険な乗客/トマス・ウォルシュ」(初版)を100円で購入して帰宅する。
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2019年05月09日

5/9店前でバッタリ!

本日は西調布の南に流れ着いたので、ブラブラと坂を上がり、京王線の踏切を越え、『調布インターチェンジ』近くの「不思議屋」(2018/10/05参照)をまずは見に行く。入口右横の激安古本棚前に身を屈めると、荒れた本しか見当たらず、収穫なしに悄然とする。あっさりとお店を離脱して、西調布駅北口の『西調布一番街』に向かう。北側から両側に渋い店舗の連なる裏道に入り込む。おっ、「Folklora」(2018/03/09参照)前にはちゃんと白い立看板が出ているので、営業中の気配…ずいぶんと久しぶりの入店になるなと思いつつお店に近付くと、突然前から歩いて来た、プリティなお子様を連れた丸眼鏡&おかっぱ頭の女性が立ち止まり、驚きながら「古ツアさんですか?」と声を掛けて来た。レンズ越しのびっくりした大きな目に見つめられ、慌てて「ハイ、そうです」と答えるが……だ、誰だっけなぁ、と瞬時に思い出せないので焦りまくる。すると「玉椿です」!!!!!!!あぁぁぁぁっ!「古書玉椿」さん(2013/08/16参照)だ!そうだ!本当にお久しぶりです!…およそ、六年ぶりの邂逅である。少し店前でお話ししながら「東京にお帰りなさい」などと言っていると、プリティなお子さまが、不審気な視線をこちらに投げ掛けている。というわけで、お店に入り、およそ一年ぶりの店内を見学する。平日の昼間だと言うのに、中央の大テーブルではワークショップが開かれ、右壁の大棚前には、手芸ファンらしきご婦人たちが張り付いている。その棚は、今は右端の絵本棚以外は、いつの間にか多種多様な世界の手芸&工芸本に占領されてしまっている。これは壮観!だが尖り過ぎて凄過ぎて、門外漢の私はまったく手が出せない状況である。帳場下の民藝&美術ファッション関連や左奥の民藝関連文庫&新書箱くらいが、食指の伸ばせるゾーンであろうか。だが、絵本棚でブッキング「白いレクイエム/作・大海赫 絵・西岡千晶」を見つけたので、1080円で購入する。改めて玉椿さんと挨拶を交わし、今週末に参加される「東京蚤の市」(2012/05/16参照。あれ?開催場所が『大井競馬場』になっているのか。いつから何だろう…)の話など聞き、お店を後にする。
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いやぁ、それにしても、帽子を被り、何だかストーンウォッシュされたようなボロ目の格好をしていたのに、よく擦れ違い様に気付いたなぁ…と鋭い洞察力に大いに感心する。京王線で浜田山まで出て、すぎ丸で阿佐ヶ谷へ向かう車内で、買ったばかりの「白いレクイエム」を繙く。すると、見返し裏にオリジナルスタンプが捺され踊るような署名も入っていたのであった。うひょう、やった!
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そして今、東京・町田の「高原書店」(2009/05/03参照)が閉店した悲報が、ネットを駆け巡っている。一週間ほど前のブログコメント欄に、『高原書店が一ヶ月ほど休業してしまっている』との情報が入っていたのだが、まさかすでに閉店してしまっていたとは…。時代は、ゲームの強制スクロールのように、背後へと流れて行く。あの、古本屋ビルの、右側手前の児童文学部屋、奥へと続く安売本通路、二階のミステリ部屋、奥の絶版文庫スペース…それらもまた、二度と戻れぬ背後へと、スルスルと流れて行ってしまった。町田の偉大な古本屋ビルよ、長い間おつかれさまでした。
posted by tokusan at 18:44| Comment(5) | 古本屋消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月08日

5/8『アポロ作戦ワールドゲーム』を薦められる。

GW明け早々、ちょっと嬉しいデザイン仕事が舞い込み、朝からアタフタと過ごす。午後に昼食を摂ってから中野に外出。所用を済ませてから「古本案内処」(2015/08/23参照)に飛び込む。店内のそこかしこに結束本の山が生まれ、レジ台には値段札が散乱している。何か大きな催事の準備中であろうか…。壁面文庫棚の夏目漱石の並びに、春陽文庫「若き日の漱石/小泉譲」が挿さっているのを発見。値段を見ると嬉しい300円だったので、即購入する。お店を出たら『早稲田通り』を渡り、地面がツギハギだらけの商店街『薬師あいロード』へ。おっ、今日は「Anteiqueスピカ」(2015/11/04参照)が開いてるじゃないか。久しぶりに洒落た古い物品が飾られた通路的店内に飛び込んでみる。奥の年代物ガラスケース帳場前の古本ゾーンは健在。なんだかいつの間にやら、つげ義春が幅を利かせているな。一通り目を通した後に紙物棚をガサゴソ漁る。旅行案内・絵葉書・附録本・説明書などなど。その中から、洋書パンフレットSCIENCE SERVICE「MOON」というのを見つける。1970年に出版された、写真豊富な月のガイドブックである。写真以外にも月面上の想像図が色々掲載されており、なかなかに楽しい。中でも『Locke Moon Hoax』という物語を描いた、有翼人たちが暮らす月面の様子は初めて見るもの。400円で購入する。「どうも〜」とお店を出ようとすると、店主が後からついて来て「アポロとかお好きなんですか?」とにこやかに聞いて来た。「いや、そう言うわけでもないんですが、この時代の宇宙の絵とかって独特で格好良いじゃないですか」と返すと、棚の上を指差し「こんなのがあるんですよ。エポック社の『アポロ作戦ワールドゲーム』。アポロ計画当時に販売されてたものです」「ど、どんなゲームなんですか?宇宙飛行士を操作したりとか?」「ボードゲームですよ。地球から出発して月に行き、帰還するらしいです」。おぉ、それは素敵。だがそれほど宇宙に目がないわけではないので「お金が貯まったら買いに来ます」とお茶を濁して、お店を後にする。
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下が『Locke Moon Hoax』の月面の様子。水もあり、目を凝らすとフラミンゴの様な鳥類や偶蹄目みたいな動物も確認できる。
posted by tokusan at 17:48| Comment(0) | 古本屋消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする