2019年04月04日

4/4「都丸書店」の高架側がっ!?

午後二時過ぎに浜田山に流れ着いたので、いつものようにコミュニティバス『すぎ丸』に乗り込むと、善福寺川の花見客で大混雑。たくさんのおばあさんたちとおしくらまんじゅうをしながら、『青梅街道入口』で下車し、しばらくの間の閉店宣言をした「あきら書房」(2019/01/30&2016/03/28参照)の様子を見に行く。…やはり開いていないか。すでに事情説明の貼紙もなく、ただ庭に、可憐な白い花が咲き誇っているばかり…あぁ、この様子だと、ここも「ネオ書房」(2019/03/10参照)に続き、再開店の望みは薄そうだな…まぁまた気が向いたら、様子を再度見に来ることにしよう。
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そう思いながら、大きな寂しさを抱きつつ、それを解消するために、トボトボ高円寺へと足を向ける。「アニマル洋子」(2014/03/14参照)はシャッターを下ろしていたので、まずは「大石書店」(2010/03/08参照)の店頭ワゴンにピタッと取り憑く。六興出版「風眼抄/山田風太郎」を100円で購入する。そのまま駅方面に向かい、高架下の商店街を進む。あれ?「都丸書店」(2010/09/21参照)が閉まってる?と不思議に思いつつ、『中通り』に顔を出すと、あれ?「都丸書店」がちゃんと開いている?これはいったいどう言うわけだ?自動ドアから店内を透かし見ると、おや!お店の奥が途中から白いシートで仕切られ、その前に空の棚が置かれているようだ。これはどうやら店舗を三分の二ほどに縮小し、高架側の三分の一スペースを明け渡す動きらしい。慌てて高架側に駆け付けると、シャッターは半分下りているが、すでに外壁棚は撤去され、中の棚も消え去っており、現状復帰普請中である。
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…あぁ、こりゃぁ、「あきら書房」に引き続き、ちょっと寂しい事態である。ではあの高架側にあった古書棚の行方は、いったいどうなってしまうのか?またもや慌てて『中通り』側に戻り、店内に入って通路を一巡してみるも、高架外壁棚に相当する安売り古書棚は見当たらない。なくなっちゃうのかなぁ?どうにか復活させて欲しいなぁ…そう激しく願いつつ、『庚申通り』を北上して「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)に縋り付く。武井武雄や安泰のイラストが嬉しいフレーベル館の「キンダーブック」三冊と、光文社文庫「「探偵文藝」傑作選」「「探偵クラブ」傑作選」共にミステリ文学資料館編を計500円で購入し、トボトボ『早稲田通り』を阿佐ヶ谷へと、侘しく引き返す。
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2019年04月03日

4/3定点観測と補充と、元号特需について少しだけ考察する。

仕事の惑星直列が続いているため、動きの取れぬ状況が続いている。昨日はようやくちょっとだけ家を抜き出し、「ゆたか。書房」(2008/10/19参照)で婦人之友社「3びきのこぐまさん/むらやまかずこ作むらやまともよし絵」(村山知義の絵も素晴らしいが、堀内誠一による大振りな装丁も大きな魅力!)を500円で購入し、古本エネルギーの欠乏を防ぐ。そして本日は、お昼前後にかけて時間を捻出し、補充用に選んだ古本を携え、荻窪へ定点観測に向かう。午前十一時半過ぎの「ささま書店」(2018/08/20参照)では横尾忠則の装丁が異常に輝く駸々堂出版「逃げろライナス/小中哲治」を108円で購入し、続いて「藍書店」(2018/12/29参照)へ。すると窓際の棚で、函ナシで背は傷んでいるが、奥川書房「ドン・ロドリゴ日本見聞録 ビスカイノ金銀島探險報告/村上直次郎譯註」を見つけてニタリニタリ。500円なので迅速に奥の帳場に向かい購入する。そして駅へ向かって横丁を歩いていると、あっ!「おぎくぼ古本市」(2018/05/02参照)がまた開かれている!と、当然のように飛び込む。主に左が「古本案内処」(2015/02/06参照)で右が「ささま書店」。窓際には「ささま」出身の古本屋さん、「水中書店」」(2014/01/18参照)と「りんてん舎」(2019/03/30参照)のショップカードが置かれている。なんだか師弟の絆を感じるワンシーンである。北冬書房「私の絵日記/藤原マキ」を800円で購入する。ようやく荻窪を脱出して西荻窪へ。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)で「フォニャルフ」に大量補充する。「青春18きっぷ古本屋への旅」(まだまだ絶賛発売中!)で掘り出した、復刻版・外箱付きの「色ガラスの街/尾形亀之助」も並べていますので、西荻窪にお寄りの際はぜひとも冷やかしてやって下さい。そして先月の「フォニャルフ」の売り上げを受け取ると、意外に売れていたので、途端に何か古本が買いたくて買いたくて(今買って来たばかりなのに…)しょうがなくなって来てしまう。ふと帳場横で視線を下に落とすと、大量の春陽堂文庫の山!すぐさま小野氏が「それ、「さくらまつり」の売れ残りなんだけど、もう値段戻してお店に並べるからね。もし買うんなら今のうちだよ」とけしかけてくる。だが、見事に乗せられ、すぐに山の前に跪き、真剣に吟味して行く…博文館文庫「二輪馬車の秘密」がいいかな…むぅ、春陽堂文庫「昇降機殺人事件(探偵小説篇)/松本泰」か…しばらく腕組みして塑像のように固まり、結局「昇降機殺人事件」を五千円で購入する。「蔵印があって八版だから、正規の値段だと八千円くらいかな」と小野氏。やった、じゃあ三千円得した!と心の中で無邪気に愚かに喜び、仕事に迫られている鬱憤を晴らしまくったのであった。
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これが本日の嬉しい収穫。外光をバックに撮ったら、異様にドリーミーになってしまった。

ところで新元号の発表で、出典元として俄に脚光を浴びている「万葉集」。書店や出版界では、早くも増刷特需が始まっているようだが、古本屋さんはどうだろうか。神保町の「八木書店」(2013/07/24参照)や「日本書房」(2011/08/24参照)は古典文学にめちゃめちゃ強いので、もしかしたらお客さんが増えているかもしれない。だが私が一番気になるのは、北松戸の駅から見える「万葉書房」(2010/04/27参照)である。小さい古本の洞窟のようなお店ながらも、店名を見ても分かる通り『小房は古代万葉集を中心に日本文学を取り揃えております』と掲げているほどの万葉集古本屋さんなのだ。ぜひとも特需の波に乗り、お客さんにブワッと押し掛けて来ていただきたいものである。

と、ここまで書いた時、岡崎武志氏より電話が掛かってくる。NHKで仕事をした後、目の前のバスに乗ったら快適に阿佐ヶ谷に着いてしまい、今「コンコ堂」(2011/06/20参照)にいるとのことであった。氏からの呼び出しに応じぬわけにはいかぬ!と慌てて「コンコ堂」にタッタカ駆けつけ氏と落ち合い、国書刊行会「ドラキュラの客/ブラム・ストーカー」を515円で購入した後、駅前の喫茶店に入り、お互いの近況報告や古本屋話や古本販売話に花をパッパカ咲かせまくる。あぁ、楽しい。
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2019年03月31日

3/31三種目の「虚無への供物」!

桜が満開なのに、麗らかな日曜なのに、今日も切ない仕事雪隠詰め状態。だが、テキパキとスケジュール通りに仕事を進め、関係各所にラフデータを投げてから、ホッと一息ついて一瞬だけ外出する。三十分後に姿を現したのは、毎度お馴染み西荻窪の「盛林堂書房」(2012/01/06参照)である。古本を買いに来たのではない。棚の補充に来たのでもない。あるひとつの貴重な資料を受け取りに来たのである。花粉症に苦しみ悶える盛林堂・小野氏に近付き、「悪い奴ほどよくWるさんから預かった例の物を」と告げると、分厚い茶封筒をソッと手渡された。帳場横で平静を装いながら中身を確認すると、おぉ!平成九年にNHKBSで放送された、中井英夫「虚無への供物」をテレビドラマ化した時の台本のコピーがぁぁぁぁぁっ!先日、家の中から発見された、その「虚無への供物(放送タイトルは『薔薇の殺意』)」が録画されたVHSビデオテープについて当ブログで紹介すると(2019/02/28参照)、何と一箱古本市で活躍されている“悪い奴ほどよくWる”さんが、ドラマの助監督を務めていたことが衝撃的に判明。さらに先日の「暢気文庫」さんのお別れ会(2019/03/09参照)で一瞬顔を合わせた時に『今度、台本コピーしておきますよ』と約束してくれていたのである。小野氏に最近入荷した素晴らしい古本たちを見せられながらも、今日だけは台本コピーのせいで気もそぞろ。家に帰ってから、取りあえず仕事はほっぽり出して、艶やかなコピー用紙をパラパラと捲って行く。助監督として使用していた物なので、使い込まれてたくさんの書き込みが為されている。だがそれが、二十二年前の想像もつかぬ激しい現場の息吹をピシピシ伝とえており、興奮してしまう。ロケ現場の昭和遺産的建物の名などもシーンの頭に書き込まれており、それを知るちょっとした優越感に浸ってしまう。それにしても読み込むほどに、良くあの奇書を、ここまで明快に短く、脚本化しているものだと、深く感心する(手掛けているのは、アニメ『時をかける少女』や『サマーウォーズ』の奥寺佐渡子)。碧川潭の『ADONIS』版「虚無への供物」、塔晶夫&中井英夫の「虚無への供物」、そしてこの脚本は、紛う事なき第三の「虚無への供物」なのである。あぁ、本当に素晴らしい。だが今回いただいたのは、『第1回 紅い月』『第2回 橙の誕生』のみなので、早く続きを読み継ぎたいところである。それにしても、身近にこんな素晴らしく羨ましい仕事をされている方がいたなんて!Wるさん、どうか続きを、この続きのコピーを、何とぞよろしくお願いいたします!
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2019年03月30日

3/30思い切って「りんてん舎」を見に行く。

寒さがぶり返している中、西荻窪と久我山の間に流れ着く。すでに疲れ果てているのだが、そう言えば今日は三鷹に新しい古本屋さんが開店しているはず…ええぃ、思い切って見に行くか!と足腰に鞭を入れ、西荻窪もわりと遠いので、いっそのこと『井の頭通り』を遡上して、吉祥寺までテクテク出ることにする…当然のことながら、さ、さらに疲弊してしまった。そして吉祥寺のこの恐るべき混雑はなんなんだ!と慌てて総武線内に避難して、どうにか三鷹駅着。北口に出て、ロータリー左側を断ずる横断歩道を渡り、『中央大通り』を北へ進む。すぐに大きく立派な『武蔵野警察署』前に出るので、西側に横断歩道を渡り、合流した『三鷹通り』をまたもや北へ。『井の頭通り』を越え、次の信号が見えて来ると、小さな白いビルの一階に、最新の古本屋さんが出現していた。
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おぉ、賑わっている。通りかかる人の注目を、一心に浴びている!店頭に立つ道路標識が、まるでお店の飾りのようだ!などと感じつつ、入口横にある単行本&文庫百均棚をまずは眺める。開店祝に奮発した古本が散見され、店内の棚の良質さを想像させる景色を見せてくれている。二段のステップを上がり中に進むと、奥に細長く展開する空間で、天井まで伸びる真新しい薄闇色の什器が、建材的匂いを発しながら、三本の通路を造り出している。一番左は、エンタメ系新刊・ガイド・セレクトコミック・エッセイ・映画・美術が並ぶが、奥の棚はまだがら空きである。中央通路では、日本文学文庫と海外文学文庫、それに本&古本関連と日本文学・海外文学が質高く睨み合っている。特に本関連と日本文学は殊更上質。棚のキモになる本が、そこかしこに姿を見せている上に、『こんな本、見たことないぞ』と、ついつい手を伸ばす回数が多くなってしまう細やかさが素敵である。右端通路には、児童文学・絵本・雑誌・詩集・歌集・句集・食・民俗学・音楽・ちくま学芸文庫・哲学・思想が集まる。詩歌句と音楽の、今後の充実を予感させる棚造りが、この嗜好が細分化した世の中に闘いを挑んでいるようで、何とも頼もしい。だが、やはり棚にまだまだ空きが多く、その全貌は見えて来ない。つまりは、まだこれからのお店なのである。と言うわけで、正式なツアーは、棚にビッチリと本が収まった後日に決行することにしよう。龜鳴屋「マンドレークの声 杉みき子のミステリ世界/杉みき子 戸川安宣編」を開店祝いに購入する。…こんな面白そうな本が出てたなんて、まったく知らなかったなぁ。ミステリファンで児童文学作家の作品を、戸川氏が作品にミステリ風味を感じつつ編んだ、二〇一六年出版の創作集である(表紙画はなんと高野文子!)。しかも帰りの車中で最初の『わらぐつのなかの神様』を読み始めると、この話知ってる!と背中に既読電流火花がビビビと走る!そして読めば読むほど、湧き上がる記憶と話が、ガキガキと噛み合って行く!恐らく子ども時代に読み、脳内の物語の地層の中に、沈殿させておいたものなのだろう。…あぁ、初っ端にこんな体験をさせてくれるなんて、早くも好きになっちまいそうだぞ、「りんてん舎」!
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2019年03月29日

3/29お店は消えても「マニタ書房」の名は残る!

今日も早朝から仕事にかかりっきりだったのだが、取りあえずすべてを形にして仕事先に投げ、その答え待ちの間にススッと外出する。正午前に家を出ると、気温が想像以上に低いではないか…春の装いで出て来たのは、完全に失敗であった。震えながら水道橋駅で下車し、さらに震えながら古本屋さんをパトロールして行く。「日本書房」(2011/08/24参照)が当たりで、冨山房 新譯繪入模範家庭文庫「ガリバア旅行記/平田禿木譯 岡本歸一画」四季社 みみずく新書「設計図の上の消ゴム/永井龍男」を計900円で購入する。素晴らしき出会いに、大いに満足してしまったので、このまま踵を返して帰りたいところだが、そういうわけにはいかない。今日は3/30(土)でお店を閉める「マニタ書房」(2012/10/27参照)の様子と「さくらみちフェスティバル」をチラリと見て行きたいのだ。相変わらず厳しい寒さに脅かされながら、『神保町交差点』に向かい歩を進める。そして交差点近くの小ビルの入口に『全品半額』と貼られた「マニタ書房」の看板が出ているのを確認。
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狭い階段を、カタコト四階まで上がると、扉が全開になっており、マニアックで特濃な本棚が姿を現していた。店内に進み、ラーメンを啜っている店主・とみさわ昭仁氏と挨拶を交わす。蛍光灯がフリッカー現象を起こして忙しなく明滅する中、催眠術に罹ったように、最後の「マニタ書房」を楽しむ。いつ見ても『人食い』とか『ハンディキャップ』とか『特殊配偶者』とか、ついぞ他店では見かけなかったジャンルが輝いている。講談社HOW=TO BOOKS「アフリカ困難旅行/羽仁進」を500円で購入しながら、色々お話を伺う。今回の閉店は、物書き業に専念するためのものだそうである。この神保町にお店を開いたことにより、新たな人脈が出来たり、昔の人脈が復活したりして、いつしか仕事が増えたため、思い切って閉めることにしたとのこと。そして少なくなり始めている、棚の本の行方を聞くと、最初は全部「ブックオフ」に売りに行くという美しい辞め方も考えたそうだが(とみさわ氏は稀代の「ブックオフ」マニアであり、棚の本もそのほとんどは「ブックオフ」行脚で買い集めたものなのである)、何とお客さんのひとりが残った本をすべて引き取り、自分の蔵書もプラスして、近々に越谷で古本屋さんを開くという事実が判明する。また、とみさわ氏は、古本屋稼業から足を洗っても「マニタ書房」の名は残したいということで、下北沢の「古書ビビビ」(2009/10/15参照)に棚を借り、そこに変わらず特殊な古本を並べて行くとのことであった。何はともあれひとまずおつかれさまでした。六年四ヶ月の間、楽しい唯一無二のお店を開いてくれて、ありがとうございました。ぜひまた『せんべろ古本ツアー』をやりましょう!と約束し、お店を後にする。その後は『靖国通り』に出て、各ブースを震えながら覗き込んで行く。だがあまりにも寒過ぎるので、集中力がそれほど続かない。お店は確認しなかったが、東京創元社「殉教カテリナ車輪/飛鳥部勝則」(初版帯付き。袋とじ未開封)を300円で購入。そして「盛林堂書房」(2012/01/06参照)の春陽堂文庫・日本小説文庫・博文館文庫の50%オフほどの値付に舌を巻きながら、東京創元社「ペテン師まかり通る/ヘンリ・セシル 平井呈一訳」(初版。帯ナシ)を500円で購入し、早々に帰宅する。
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本日の収穫。「ペテン師まかり通る」を読み始めると、ところどころに江戸言葉が出現し、流れるように読みやすく面白い。
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2019年03月28日

3/28刹那の西荻で「女獸心理」を!

本日も仕事でキュウキュウ。だが午後に一瞬外出し、西荻窪で受け渡しを一つする。昨日同様一刻も早く家に戻らねばならぬのだが、ちょっとだけ古本屋さんを見て行こうと決め、北口『西友』の中を通り抜け、まずは「古書音羽館」(2009/06/04参照)へ…と思ったら、手前の「忘日舎」(2015/09/28参照)の外棚に見事に引っ掛かる。何だか推理小説関連の評論が多いな。そう感じつつ、一冊二冊と手にして行く。そして最下段左隅に目をやると、そこに落葉色の古い裸本が一冊…背の上部が剥がれており、作品タイトルが一部欠けてしまっている。「●●心理」…そ、その下には『野溝七生子』とあるではないか!ということは、この本は「女獸心理」!この古さは、オリジナル本ではないかっ!と途端に色めき立ち、本をソッと抜き出す。八雲書林「女獸心理(新和壘の手記)/野溝七生子」(函ナシ。蔵印アリ。昭和十五年刊)である。
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くぉぉ。まさか西荻窪で昭和十五年の野溝七生子に出逢えるなんて!と思い切り胸を弾ませ、物語の書き出しに目を落としてみる。『不意に、なにかに唆されるやうな氣持で新橋で列車を降りてしまった。一晝夜乗りつづけて來て、東京驛まで最後の六分間がどうしても我慢ができなかったのである』……あぁ、講談社文芸文庫で読んだことのある書き出しだが、もう、オリジナルの紙と活字で読むと、魂がこの時代の磁力にビンビン惹き付けられてしまっているのを、激しく感じる!店内に飛び込み精算をお願いしようとすると、身体を向けていた右側には棚しかないではないか。慌てて振り返ると、左側窓際に帳場が移動していた。帽子を目深に被ったまま精算をお願いすると、たちまち忘日舎さんには正体を見破られてしまった。他にダイヤモンド社「推理小説と暗号/長田順行」研究社「推理小説の美学/H.ヘイクラフト」とともに計300円で購入しながら、古本屋のこれから・在り方・生き方・生き残り方など、ディープで真面目な話題に花を咲かせる。阿佐ヶ谷に戻り家路を急いでいると、昨日に続き「ネオ書房」(2019/03/10参照)の激しい変遷が目に飛び込んでくる。何と店内の本はすべて運び出され、九十一才のオヤジさんが知り合いと話しながら、バリバリと本棚を解体しているではないかっ!?…あぁ、これでは選挙後の閉店セールの再開は、望み薄かなぁ……。
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2019年03月27日

3/27「空家の美人」は探偵小説だった。

本日は仕事場に朝からギュギュウと雪隠詰め…各所に新しい古本屋さんが出来ているのに、出かけられぬもどかしさを骨身にしみ込ませながら、目の前の細かい仕事に打ち込む。そこで昨日の話をして、まずはお茶を濁すことにする。午後に一瞬立ち寄れた吉祥寺で「よみた屋」(2014/08/29参照)に飛び込み、ユニコン出版「名探偵ホームズ1 のろいの魔犬/[原作]アーサー・コナン・ドイル [構成]加納一朗 [劇画]ムッシュー・田中」(こういう見慣れないホームズ物を即座に買ってしまうのは、完全に北原尚彦氏に感化されているからである。それにしても開きの悪い硬い本だ…)ハヤカワポケミス「死者の中から/ポアロー ナルスジャック 日影丈吉訳」交通新聞社「ウルトラあいうえお」を計1200円で購入する…というわけで、本日も古本屋さんに行きたいのはやまやまだが、とてもその時間が作れない。そこで慰みに、手が空いた合間合間に、昔の古書目録を捲り、渇を癒す…そして「落穂舎」の古書目録「落穂拾い通信 2011年春光號」を見ていると、嬉しい発見がひとつあった。2019/02/11「古書狩り2019」で、200円で購入し、妙に気になっていた明治本が掲載されていたのである。しかも『探偵小説』のグラビアに!大川屋書店「空家の美人/松林伯知講演 今村次郎速記」である(目録にあったのは、表紙が異装で出版社も『吾妻屋』と異なる初版。手元にあるのは、講演者・筆記者ともに同じだが出版社が違い再版となっている)。意味ありげなタイトルがどうにも引っ掛かり『探偵小説ではないだろうか?』と都合良く疑っていたのであるが、幾ら調べても、これがどんな小説かわからない。まぁ、読めば分かる話なのだが、そこまでの気概が実はなかったのである。だがこれが探偵小説の一種だと分かると、俄然読みたくなって来る。人とは、全く自分勝手で、都合の良い生き物である…。
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そんなことがあったりしながら、午後に一瞬家を抜け出し、駅頭で仕事の打ち合わせをひとつする。これはちょっと楽しみな仕事。ウキウキしながらも急いで家に帰る途中、「ネオ書房」(2019/03/10参照)の前に人がたくさん集まり、たくさんのダンボール箱を組み立てている…どうやら中の古本を運び出す準備をしているらしい…いったいどうなってしまうんだろう?お店としては、もう復活しないのだろうか?まったく閉店後(一応)も、やきもきさせてくれる、お店だなぁ。
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2019年03月25日

3/25ようやく大阪に古本を送る。

昨日は荻窪に流れ着いたので、日曜だが早めの定点観測と洒落込むことにする。まずは「竹陽書房」(2008/08/23参照)に顔を出すと、店頭ではサントリー美術館「花のお江戸のエレキテル 平賀源内とその時代」が、店内ではWAVE出版「ヒョウタン美術館/港千尋」(植物としてのヒョウタン。器としてのヒョウタン、芸術品としてのヒョウタンなど、ヒョウタン尽くしの一冊。本文素材はトレーシングペーパーである)が待ってくれていたので、計600円で購入する。続いて「竹中書店」(2009/01/23参照)の300均台に室生犀星主宰の詩誌「卓上噴水」の復刻版が放り出してあったので、300円で購入する。最後に賑わう「ささま書店」(2018/08/20参照)では、徳間文庫「犯罪交差点/鮎川哲也編」を108円で購入し、帰宅する。家では大阪に送る古本の準備を進める…ここのところ、毎週こんなことをしているが…。そして本日、ゆうパックの特大ダンボールに古本を詰め込み、重過ぎるので郵便局局員に恐縮しながら、大阪へ発送する。
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西のみなさま、久々の大補充であります。近々古書コンシェルジュ様の手を経て「梅田蔦屋書店」『4thラウンジ』の古書棚に並び始めると思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。また、近々再度の補充も行うつもりでおります故、ぜひとも面白い古本を探しに来ていただければ!後は仕事を一つ片付けた後に、連載の取材に行こう。そう思っていたのだが、仕事先が沈黙をしており、どうにもこうにも動きが取れない状態に…仕方ない、あのお店は来月にして、今月はあのお店にしよう。そうすれば二時間は早く帰って来られるはずだと、急いで外出する。上手く素早く取材をこなした帰り、保谷の「アカシヤ書店」(2008/12/17参照)に立ち寄る。店頭古書棚に食らいつき、新潮社エルテル叢書「森の處女/ビヨルンリン作 三上於菟吉譯」オールロマンス叢書「毒婦暦/邦枝完二」袖珍文庫「隅田川梅柳新書 昔語質屋庫/曲亭馬琴」をつかみ、店内では誠文堂新光社「コピーライターの世界/糸井重里編著」methuen「ADDAMS AND EVIL/Charles Addams」を選び、計972円で購入する。
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「ADDAMS AND EVIL」は『アダムスファミリー』で有名なブラックユーモア漫画家・チャールズ・アダムズの作品集である。1985年刊。ほぼ一コマの上手くて可愛いイラスト漫画が連続。結構頭を使うが、今でも面白く、何回かしっかりと笑ってしまった。
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2019年03月23日

3/23九時間の古本売り。

早朝午前七時二十分。のんびり朝ご飯を食べていると、北原尚彦氏をピックアップした「盛林堂書房」(2012/01/06参照)小野氏から連絡が入り、すでにこちらに向かっていると言う。本日の『本のフェス』の会場である市ヶ谷まで、盛林堂号に同乗させていただくことになっているのだが、予定よりおよそ二十分早いではないか。慌ててご飯をかき込み、身支度を整え、重い木箱を二つもって表に飛び出し、道路脇でゼエゼエ待機する。するとほどなくして盛林堂号が到着。お二人と挨拶を交わし、荷物を積み込み、車は順調に走り出す。午前八時半前に会場である『DNP市谷左内町ビル』は、奇妙な静けさと起伏のある官公庁的空間に囲まれ、すっくと空に向かって建ち上がっていた…なんだかトリフォ―の映画『華氏451』にでも出て来そうな、管理社会デストピアな未来的雰囲気だ。
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巨大な車寄せの直ぐ横が、ガラス張りのロビーで、そこがメイン会場となっている。我々が出店する『本の雑誌商店街』は、そこから左奥に入った広い空間である。せっせと古本を運び込み、領地である長テーブルに古本をセッティング…と思いきや、早速北原氏とともに、「盛林堂書房」と古本神・森英俊氏ゾーンのチェックに勤しんでしまう…あぁ、やはりスゴい本がそこかしこに紛れ込み、脳が白熱して蕩けるような安値で並んでいるではないか…よし、アレとアレを買うぞ!と心に決めて、ようやく古本を並べ始める。木箱を二つ使い、うまく立体的に並べて行くと、隣りの北原氏に「あ〜、何かプロっぽい」と冷やかされる。
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セッティングをどうにか終えて、後は開始時間を迎えるまで、ソワソワと過ごす。そして午前十時、開場の時間になると、たちまち盛林堂常連客チームが雪崩れ込み、あっという間にそこだけ黒山の人だかりになる。まぁ当分こっちにお客は来ないだろうと高を括り、その隙にこちらも目を付けていた古本の確保に走る。盛林堂からはぷろふいる社「血液型殺人事件/甲賀三郎」(函ナシで表紙はビニールコーティング)を2500円で。森氏のところからは、伝説のミステリ同人誌、鬼クラブ「探偵小説研究 鬼 No.9 創作特集」(これを最初小野氏が見た時、「「鬼」がある古本市って、どんな古本市だよ…」と思わず呟いていた)を、エイヤッと4000円で購入してしまう。
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まだ本を一冊も売っていないのに、い、いきなり派手に散財してしまった…だがこれで心はひとまず落ち着いた。後は古本を売ることだけに、九時間集中すればいい!というわけでその後は、このまま一冊も古本が売れないんじゃ…と心配になったり、隣りの荻原魚雷氏と釣りや街道の話をしたり、買ったばかりの「血液型殺人事件」を読み耽ったり、「鬼」が手に入ったなんて…とニヤニヤしたり、売り上げが伸びないので「「鬼」なんて買うんじゃなかった。このままじゃ足が出てしまう」と嘆いたりしながら、百均文庫も合わせ、どうにかおよそ三十冊強の古本を売ることに成功し、ホッとする。足を運んでいただいたみなさま、本を買っていただいたみなさま、お話ししたみなさま、本の雑誌社のみなさま、本当にありがとうございました。私と北原氏は本日限りの出店ですが、明日もこのフェスは開かれるので、本が大好きでお時間ある方は、ぜひとも市ヶ谷に足を運んでみてください。いや、それにしも九時間は長い…座っているだけなのに、とても疲れてしまった。
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2019年03月22日

3/22今週も古本の準備を。

すっかり春の暖かさにムズムズしてしまい、嚔を連発しながら武蔵小金井に流れ着く。フラフラと老舗の「中央書房」(2009/03/11参照)に立ち寄ると、小さいながらもお店は頼もしく健在!
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通路に結束された本が積み上がるが、それらに負けじと棚に目を凝らして行く…う〜む、久々に目にすると、良い棚だなぁ…老店主が「ごめんなさいよ」と帳場から近くまで移動して来て、足元の結束本を帳場に運び込んでいる。さて、何を買おうか…そんな風に迷っていると、表にバンが横付けされ、運転手さんが店内の様子を窺い始めている。どうやら本を運び出す模様。すると帳場の老店主も通路に立ち、早くも本を運び出す体勢に入る…うぅっ、早く本を選ばなければ、この方達の仕事が滞ってしまう!前門の古本狼、後門の古本虎に挟まれ、冷や汗を滲ませながら、エイヤッと棚から一冊の本を抜き取る。好江書房「東京恋慕帖/正岡容」を2000円で購入する。ちくま学芸文庫から出ているが、木村荘八の装画が素敵なので、構うもんか!

家に戻ってからは、明日の「本のフェス」の準備に没頭する。というわけで、色々準備出来ました。明治大正文学から漫画関連や探偵小説、果てはイディオット・サヴァンまで。隠し球も準備し、百均文庫も持ち込みます。明日はぜひとも市ヶ谷に駆け付けて下さいませ!何とぞよろしくお願いいたします!
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★『本のフェス』本の雑誌商店街
■2019年3月23日(土)10:00〜19:00(私はこの日だけの参加となります)
■2019年3月24日(日)10:00〜17:00
■会場:DNP市谷左内町ビル (東京都新宿区市谷左内町31-2) (本の雑誌商店街)
■参加者:140B/岡崎武志/荻原魚雷/カンゼン/北原尚彦(3月23日のみ)/キリンストア/国書刊行会/古書いろどり/古書ますく堂/コトノハ/小山力也(3月23日のみ)/酒とつまみ社/星羊社/盛林堂書房/旅と思索社/八画文化会館/ホシガラス山岳の会/本の雑貨社/本の雑誌社/森英俊/山と渓谷社(店名五十音順)突発的にまだまだ増えるかもしれません。
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2019年03月20日

3/20東京・神保町 虔十書林

朝からウンウン唸って仕事を片付け、午後に久々の神保町パトロール+移転した「虔十書林」(2010/01/27参照)を見に行くことにする。いつの間にかホーム屋根上の通路が開通していた御茶ノ水駅からアプローチし、午後の人出の多さに目を回しながら『明大通り』を南に下り、まずは『富士見坂』に入り込んで「虔十書林」旧店舗の様子を窺う。店舗部分はスッキリすっかりもぬけの殻だが、壁にはまだトレードマークの猫(やまだ紫の作)の看板が残されており、そこに移転先が英語と日本語で記されていた。再びいつものルートに戻り、「三茶書房」(2010/10/26参照)で岩波文庫「鹽原多助一代記/三遊亭圓朝」を300円で購入。続いて裏路地の「山吹書房」(2018/09/28参照)ではアサヒ芸能出版「みなごろしの歌《凶銃ワルサーP38》/大藪春彦」を200円で見つけてニタリニタリ。

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『すずらん通り』に入り、西の『白山通り』からおよそ五十メートルほど東にある「虔十」の新店舗に近付いて行く。ここは、以前は地方出版物を扱っていた「書肆アクセス」があり、その後に陶芸や骨董書専門店の「風月洞書店」(2013/03/25参照)が入っていた所である。軒下&袖看板には、すでにお馴染みの猫がお目見えしている。店頭には200均文庫箱や映画パンフプラ箱、ムック棚が置かれているが、旧店舗よりこじんまりとし、混沌さも薄まっている。店内は天井が高く、奥深く細長い。両側の高い壁棚には、右に「不思議の国のアリス」関連・幻想文学・稲垣足穂・高橋睦郎・澁澤龍彦・寺山修司・種村季弘・中井英夫・唐十郎・アングラ・海外幻想文学&詩集・辰野隆などが仰々しく続き、書肆ユリイカなどの稀少詩集を収めたショウケースが中ほどに現れる。それに続き、美術・詩集・天沢退二郎・宮澤賢治が並んで行く。宮澤棚は、童話や評論からビジュアル関連まで集め、なかなか良い景色である。左側には、特撮・武器・兵器・趣味・SF&特撮雑誌・美術と並び、奥半分には、映画関連と映画パンフが棚とショウケース織り交ぜ集められている。フロア中央には映画パンフ・小冊子・ミニカード・ロビーカード・絵葉書あり。旧店舗と変わらず、映画と幻想文学と宮澤賢治に強いお店である。顕在的な蔵書量は減ったようだが、その分とても見やすくなっている。店頭で文を掴み、奥の帳場まで持って行く…テクテクテクテクテク…という感じの長さである。引っ越し、おつかれさまでした。ちくま文庫「反芸術アンパン/赤瀬川原平」を購入する。
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2019年03月19日

3/19視線を上げたら古本屋遺跡。

本格的な春が背後霊のように後に立っていると実感出来る、三月後半の午後二時。国立の西南に流れ着いたので、『富士見通り』を伝って駅へと向かう。今日は火曜だから「飛葉堂」(2018/10/24参照)は定休日か…そんなことを考えながら、『音大付属高校』前に差し掛かる。駅は、まだまだ遠いなぁと、バス停に並ぶ人を避けながら歩を進め、何気なく対岸の建物群に視線を向けると、背中にビリッと電流が奔ってしまった。『書房』?『古書』?足を停め、丸まっていた背を伸ばし、忙しなく行き交う車越しに、向かいの店舗兼住宅を凝視する。視線の先にあるのは、『古書買入 国立書房』と書かれた、年季の入った日除けテントである。ずいぶん前に閉店したお店なので、無論シャッターはガッチリと下りているのだ。だが、まさか、こんな風に未だにお店が残っていたとは、思ってもみなかった。ここは何度も通っているはずだが、こんな立派な“古本屋遺跡”があったとは、まったく気付いていなかった。いつも足元ばかり見て歩いているからだろうか…視線を上げると、こんな良いこともあるんだな…。一度も入ったことはないし、現役時代も見たことはない、縁の薄いお店であるが、色褪せた日除けが、まだ鮮やかに緑色だった往時の姿をボンヤリと想像してみる。通路は二本で、奥に番台がある、真面目寄りなお店であろうか(後で「21世紀版 古本屋地図」を引いてみると、『社会科学書、文学などを扱う』とあった)。そんな突然の出会いに、ついつい人目を気にせず、ニヤニヤしてしまいながら、お店の姿を撮影する。当然古本は買えていないが、心地良い満足感をたっぷりと覚え、駅まで軽やかに歩く。「みちくさ書店」(2009/05/06参照)でハヤカワポケミス「黄色い部屋/ガストン・ルルウ 日影丈吉訳」を100円で購入し、車内で日影の解説から読み始めた後、本編を繙いて行く。
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2019年03月18日

3/18特集・棒!

昨日は「みちくさ市」に参加し、午後三時半までに四十一冊を売り上げる。市は本来は午後四時までなのだが、突然パラリと雨が降り始めたので、本を急いで濡れぬよう収納すると、自然と帰り支度になってしまったのである。何はともあれ、本を買っていただいた方、足を停めて下さった方、本について様々に教えてくれる方、蔵書について熱く語られる方、本棚について示唆してくれる方、そして楽しく愉快なご常連のみなさまにわめぞのみなさま、今回もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします!などと言いつつも、早くも今週土曜日には『本の雑誌商店街』で、またもや素敵な古本売りに変身せねばならぬのである…ち、力と古本のある限り頑張ります!

本日は午後に遅めの定点観測に出発。午後二時なので、最初に「竹陽書房」(2008/08/23参照)に足を運ぶ。そう言えば、よく「みちくさ市」でご一緒する「ママ猫の古本や」さんが、先日初めてこの「竹陽書房」に入り、掘り出し甲斐があり、蔵書量が短い時間でも見られるヒューマンスケールの量だったので、とても楽しかったと報告してくれた。「竹陽」のファンが新たに誕生したのを喜びつつ、そのヒューマンスケールな棚にギロギロと目玉をぶつける。三栄書房「石ノ森章太郎の物語/石ノ森章太郎」(石ノ森が折々に描いて来た、漫画家ライフについての漫画を集めたアンソロジー。こんな本がいつの間に!)を300円で購入する。「藍書店」(2018/12/24参照)では弘學館書店「四十七士/大町桂月」を300円で購入。「ささま書店」(2018/08/20参照)では、本田文庫「小説 本田技研 第一話〜第五話/制作:電通」童心社「〈詩集〉こころのうた/八木重吉他 初山滋装画」まつり同好会「まつり 1973 No.22」を計324円で購入した後、表に出ると、精算の合間に補充された棚に目が吸い付けられ、宝文館「遠野のザシキワラシとオシラサマ/佐々木喜善」を見つけてしまったので、照れるがもう一度店内に引き返し、「これもください」と108円で購入する。ところで店頭でギョッとしたのが「まつり」である。日本各地の“まつり”や“民俗芸能”の研究誌なのだが、なんとこの号の特集が“棒”なのである。背に『特集 棒』とあるのを見て、ついつい笑ってしまった。前代未聞の特集タイトルじゃないか。とは言っても中身は大真面目で、祭事に使われる棒の種類や『棒踊り』『棒つかい』『棒打ち』、果ては武術の『棒術』までに、話は棒尽くしで及んでいる。う〜む、世界はやはり広大だな…。
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これが面食らってしまった、背の特集タイトル!棒!
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2019年03月16日

3/16あたふたと準備完了!

色々片付けまくった後に、ようやく夕方四時過ぎから、明日の仕上げの値付けに入る。もはや疲弊しているので、景気づけにビールを喉に流し込みながら、札に古本の値段を書き込んでいく。おかげで思い切りが良くなり、だいぶ出血大サービスの傾向に…。というわけで、愉快な本や奇怪な本を用意して、明日はみなさまのお越しを、雑司ケ谷でお待ちしております!午後はもしかしたら雨が降ることもありそうなので、なるべく早くお出かけいただき、早い者勝ちの掘り出し物を探していただければ幸いです!あぁ、それにしても疲れた。箱に詰めたりするのは、明日の朝にやることにしよう。よし、そうと決めたら、古本でも読んで、ダラダラするか。
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■「第46回 鬼子母神通り みちくさ市」
■3月17日(日)11:00〜16:00 雨天中止(当日午前八時に天候による開催の有無を決定)
■東京都豊島区雑司が谷二丁目・鬼子母神通り周辺
https://kmstreet.exblog.jp/
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2019年03月15日

3/15都丸の店内に入って正解だった。

午前のうちに少量の古本を携え西荻窪へ。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)で「フォニャルフ」にささやかに補充した後、すっかり本が入れ替わった「ひとたな書房」に涎を垂らす。ぬぉぉ、東光出版社の「幽靈鐡假面/横溝正史」が、背が補修してあるからかなりの安値にィ〜…仙花紙本の「丹那殺人事件」がぁ〜などと探偵小説身悶えを行いながら、店主の小野氏と仕事の打ち合わせを少し。お店を出ると正午過ぎだったので、駅反対側の「古書 音羽館」(2009/06/04参照)へ足を向ける。開店準備真っ最中のところにお邪魔して、河出文庫「消えたダイヤ/森下雨村」廣済堂「漢字の玩具箱/都筑道夫」教養文庫「未解決事件19の謎/ジョン・カニング編」を計550円で購入する。家に戻って昼飯を摂った後は、選定が終わった古本をドバッと積み重ね、日曜「みちくさ市」の準備に専念する。だが夕方近くなり、身体がビキビキと固まり始め、作業にも飽きてしまった。こういう時は古本を買いに行くに限る!と立ち上がり、気分転換に高円寺へ向かうことにする。「都丸書店」(2010/09/21参照)の『中通り』側の店頭棚を眺めていると、何故だか、今日は何だか店内の棚をちゃんと見たくなってしまう。店頭では何も手にせず、店内へ。思えばここは通路が広く、壁棚以外は目線くらいまでの低い棚なので、その余裕と居並ぶ本の硬さが混ざり合い、少しだけ外国の古本屋さんに迷い込んだような印象を抱いてしまう。そんな益体もないことを考えながら、硬い本でも気になる古書を引き出しては、ちゃんと確認して行く。すると日本の社会・風俗・民俗学などの棚に異質な一冊を発見する。博文館「科學より観たる 犯罪と探偵/小酒井不木」である。大正十二年の出版なのに恐ろしくキレイな本だ。赤い表紙絵の、髑髏を前にして深く考察する男の姿が素晴らしい。値段を見ると1500円なので、迷わず購入することに決める。今日は、店内の棚をちゃんと見て正解だったんだなぁ。そうしみじみ嬉しく思い、お店を出てから立ち止まり、袋から本を取り出し、パラパラと眺める。すると後見返しの値段札が取られた後には、赤い古書店ラベルが現れているではないか。神保町にあった「巖南堂書店」(2017/10/02参照)のものであった。
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そして家に戻ると、ポストに一冊の厚い本が届いていた。今度本の雑誌社から出る荻原魚雷氏の新刊「古書古書話」であった。カバー写真は魚雷氏の根城でもある高円寺の「コクテイル書房」(2016/04/10参照)。古本関連の新刊が出るとは、誠に目出度いっ!と早速ページを捲ると、冒頭のエッセイが高円寺にかつてあったおかしなサブカル古本屋「ZQ」(2008/12/25参照)から始まり、そこで買った横井庄一のジャングルサバイバル隠棲名著「無事がいちばん」から話がコロコロ転がって行くのである。フフフ、楽しいな。大事に読み進めて行こう。
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2019年03月14日

3/14鏡花・弟の探偵小説撰集!

夕方に『井の頭公園』東端に流れ着いたので、半島のように住宅街に食い込んでいる園内をたどり、西へ向かう。『井の頭公園駅』を過ぎると現れる、低い井の頭線高架と、公園と、源流然とした神田川が交錯する場所は、ここが都会であることを忘れさせてくれる、稀有なパワーを秘めている。
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高架下の蛍光灯が、その感じに拍車を掛けるのだが、下を通らず公園から離脱して、緩い坂を上がって『井の頭通り』に出て、「よみた屋」(2014/08/29参照)を偵察する。店頭で百均一冊、店内入口横50円文庫棚で二冊。目黒書店「小學校の遊戯/佐々木等・中島海・齋藤薫雄・廣瀬清・宮川菊芳」(大正十三年再版。函ナシ。西洋陸上競技の紹介とともに、『猫と鼠』『西洋鬼』『鮫鬼』『捕鯨競争』『子殖鬼』などなどなど未知の遊びが盛りだくさん!)創元推理文庫「帽子蒐集教狂事件/ディクスン・カー」(3版帯ナシ)尚文堂「童謡作法問答/野口雨情」(函ナシ。背イタミ)を計200円で購入し、続いて「古本センター」(2017/03/06参照)で管を巻いていると、一本の電話がかかって来た。常に埋もれた探偵小説・少年探偵小説・モダニズム文学を探しまくっている善渡爾宗衛からで、表紙デザインを担ったクレイジーな探偵小説集が出来上がったので、献本したいとのことであった。手にしていた復刻版の「海底軍艦」をすぐさま安売棚に戻し、電車に乗って阿佐ヶ谷に駆け付ける。そして受け取ったA5判の本は、想定通りに、Oh!クレイジーな仕上がり!東都 我刊我書房「泉斜汀探偵小説撰集 人買船」である。泉鏡花実弟の講談探偵小説を集めた誌面復刻の前代未聞の一冊!硯友社にも属していた鏡花の弟が探偵小説を書いていることなど、露ほども知らなかったのだが、「倉田啓明よりヒドいですよ」「挿絵の高畠華宵の絵もヒドい。美女の目が完全にイっちゃってるんです」「鏡花より先に「天守物語」の元ネタから小説を書いています」などと、編者と解説者から聞かされており、挙げ句の果てに装丁を依頼された折りには「アメージング・ストーリーズ」みたいにしてくれ!と懇願されたので、こんなド派手な一昔前のエロ劇画のような、インチキで素晴らしい表紙になったのである。試しに冒頭の『文字金殺し』を読んでみると、江戸情緒の中にグラン・ギニョル的ビジュアル表現が横溢する、THE・ケレン味たっぷりな作品であった。うぅ、これは楽しい。ご興味持たれ方は、ちと値は張りますが、土曜日辺りから「盛林堂書房」(2012/01/06参照)でお買い求めいただけると思うので、食指をグキグキ蠢かしながらアプローチすることをお勧めいたします。
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2019年03月13日

3/13もはや春の何てことはない昨日と今日。

昨日は午後二時過ぎに西荻窪の北に流れ着く。フラフラとそのまま高架の北側を歩き、荻窪方面へ。坂を下りて善福寺川を越え、再び坂を上がって午後二時半の「絵本タイム猫タイム」(2016/02/19参照)にたどり着く。だが、もう短過ぎる営業時間に突入しているはずなのに、扉は固く閉まり、何の気配も感じられない…窓際に飾られた、ロンドンにUFOが現れるらしいSFチックなキティちゃんの絵本がとても気になるのだが…またいつか見に来ればいいかと諦め、そのまま家へ足を向ける。途中、久しぶりの「古本ブック流通センター」(2008/08/09参照)に入り、時の停まった店内を満喫し、春陽文庫「霧に溶ける/笹沢佐保」中公文庫「幻象機械/山田正紀」を計200円で購入。帰り際、初めて奥さま店主に「またどうぞ」と言われる。
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そして本日は朝から冷や汗をかきながらも、確定申告の書類をまとめることに成功し、午前のうちに提出してしまおうと税務署へ。大行列から抜け出せたのはお昼前で、困難を乗り越えた清々しさを胸一杯に広げ、「あきら書房」(2019/01/30参照)の様子を見に行くことにする。だがやはり、開いていない。あまつさえ、店舗部分のシャッター前に椅子や傘立てが置かれてしまっている…くそぅ、あきらめるもんか。ここもまた改めて見に来ることにしよう。トボトボと家路をたどり、白昼の白けた飲屋街で猫に声をかけられたので撫でまくったりした後、開店準備中の「銀星舎」(2008/10/09参照)の旦那さん店主に「早いですね」と見つけられ、挨拶を交わす。店頭棚を見ながら確定申告の話や花粉症の話など。角川文庫「SF大辞典/横田順彌」集英社文庫「ホワイトハウスに棲む幽霊/マイケル・ノーマン&ベス・スコット」中公文庫「舌鼓ところどころ/吉田健一」を計500円で購入する。家に戻ってからは、色々片付けながら日曜「みちくさ市」の準備もジリジリ進める。
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ちょっと撫でると、鳴きながらお尻を上げっぱなしに…春ですなぁ。

そして先日購入した板垣直子の「文藝ノート」(頑張って読み進めているが、文藝批評の斬れ味が鋭過ぎて、大丈夫なのかと読んでるこっちが恐ろしくなってくる)だが、婦人雑誌「火の鳥」に寄稿した原稿が多く含まれている。「火の鳥」と言えば、片山廣子が関わり尾崎翠も寄稿していた雑誌である。それに尾崎の「第七官界彷徨」は「文藝ノート」と同じ版元・啓松堂から出されているのだ。2004年に出版された筑摩書店「迷へる魂/尾崎翠」の編者・稲垣眞美の『おぼえがき』を読むと、板垣鷹穂・直子夫妻は上落合の尾崎翠の近所に住み、「文藝ノート」で「第七官界彷徨」を評論しただけでなく、啓松堂から「第七官界彷徨」が刊行されるよう計らったと書かれているではないか!ちょっと先走って、先のページを見ていくと、あっ、本当だ。『女流文壇』という評論の中に、尾崎翠が登場している!知らない古本から始まり、色々な情報がピシピシつながって行く知的快感を味わうのは、本当に愉快だ。この本、買ってよかったぁ〜。
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2019年03月11日

3/11三軒目まで足を延ばせば…

目覚めると激しい雨と風の音。窓にパラパラ叩き付けられる雨粒の音を聞きながら、仕事や再びの古本掘りをひとくさり片付ける。春の陽気に満ちあふれた午後に外出し、「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に古本を持ち込む。店主・天野氏と中央線新古本屋事情について少々語り合ってから、荻窪へ定点観測に向かう。いつもより一時間半遅れの午後一時である。「ささま書店」(2018/08/20参照)では岩波書店「遊MOREデザイン館/福田繁雄」を108円で購入。「藍書店」(2018/12/24参照)では第一文藝社「シナリオ研究 第三冊」(1937年秋刊)を300円で購入。萩原朔太郎のシネ・ポエム『貸家札』掲載が嬉しい。だが、到底こんな具合では満足いかないので、西に足を延ばして「竹陽書房」(2008/08/23参照)を覗くことにする。この時間なら、もう開いているはずだ。線路に面したお店にたどり着くと、やはり開店している。店頭台で、アメリカのテレビ番組『セサミストリート』三十周年を記念して、富士ゼロックスがカラーコピー機で出力したものを製本したプレゼント用冊子を見つけて、まずは小さく喜ぶ。続いて店内では、右側通路で映画監督五所平之助の献呈署名本を発見し、嬉しく抱え込む。左側通路では、その古さが気になり何はともあれ買うことにして、一冊を抜き取る。富士ゼロックス「SESAME STREET 30th ANNIVERSARY」永田書房「わが青春/五所平之助」啓松堂「文藝ノート/板垣直子」を計1100円で購入する。「文藝ノート」は昭和八年に出版された女流評論家の文藝評論集である。序文に、中村武羅夫・楢崎勤・谷川徹三・岡田三郎などの名が挙がっているが、『自分の書いたものが印刷されると、多くの場合、酷評をして』と書かれている板垣鷹穂にも謝意を示している。意味ありげな一文に、ハッ!とボンヤリの私も気付いて調べてみると、やはり板垣直子は板垣鷹穂の妻であることが判明する。うむ、足を延ばしたおかげで、面白い買物が出来た。良く見ると、この本も献呈署名本で、パラパラと、アンカットを切り離したページを繰ってみると、浅原六朗や久野豊彦などの『新社會派』が手ひどくやっつけられている。あぁ、女給文学論の中で、永井荷風もメッタ斬りにされている…これは愉快愉快。早速頑張って読み始めることにしよう。
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2019年03月10日

3/10「ネオ書房」最期の日(一応)。

午後になって、昨日春一番が吹いた後の街に出て、今日が最後の営業日の「ネオ書房」(2019/01/06参照)前。まだオヤジさんが、左側店頭棚のブルーシートを畳んでいる真っ最中である。その、貸本屋と古本屋で世間を渡って来た後姿に、こっそり『ありがとうございました』と感謝の念を捧げる。開店準備が整ったので、早速店頭棚に近付き目を凝らす。すると通りを歩いていた人たちも、たちまち近寄り本を吟味し始める。そこでオヤジさんが顔を出し、にこやかに「今日が最後の営業日です。本は全部半額です。だからたくさん買って行ってね」と開店宣言。それを聞き、一番乗りで通い慣れた店内に滑り込む。閉店セールが始まってからの二ヶ月間、たっぷりと楽しませていただきました。そんな風にくどいほど感謝しながら感慨深く、店内を他のお客さんと通路を譲り合い、一周する。最後の買物は、ひばりコミックス三冊!ひばり書房「杉戸光史怪談シリーズ 亡霊の里/杉戸光史」「ひばりの怪談シリーズ 赤子葬送曲/池川伸一」「GOGO赤ヘル軍団/杉戸光史」(広島カープメインの漫画と思いきや、その広島カープを親子二代で愛し支えた、早川鯉平・通称カープさん激動の物語。こんな漫画が存在していたなんて…)のを計1500円で購入する。ひとまず今日でこのお店とはひとまずお別れである。選挙事務所が一段落した後、再開してくれれば本当に嬉しいのだが。何はともあれ、楽しい古本をたくさんありがとうございました!
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※お知らせ三つ
1. 月曜日辺りから発売になる「本の雑誌 三色団子くるくる号 No.430」の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、高円寺の「古書サンカクヤマ」をレポート。店頭で北原案件を発見し、当の北原尚彦氏に報告するが、その顛末や如何に。そして今号の特集は、何と嬉しい『昭和ミステリー秘宝館』。ミステリ界の重鎮たる、お歴々に混ざり、五十二才なのに若輩ながら私も原稿を書かせていただいております!名付けて『昭和ミステリーの装丁コレクション』。これまで古本屋さんについてばかり、マシーンのように書いて来ましたが、ついにこのような原稿を書ける日がやって参りました!本の雑誌社さんに誠心誠意大感謝です。どうか書店で手に取っていただければ幸いです。
2. 3/17(日)のみちくさ市に、掘り出した古本をたくさん携え参加いたします。春になった三月の雑司が谷に、どうかみなさま古本を買いに来ていただければ。面白い本、奇怪な本、古い本、取り揃えておきますので!
■「第46回 鬼子母神通り みちくさ市」
■3月17日(日)11:00〜16:00 雨天中止(当日午前八時に天候による開催の有無を決定)
■東京都豊島区雑司が谷二丁目・鬼子母神通り周辺
https://kmstreet.exblog.jp/
3, そして連続で、3/23(土)の『本のフェス』の『本の雑誌商店街』にも参加します。対応できるほどの本を家で掘り出せたので、どうにか大丈夫なはずです!場所が去年と変わりますが、参加者のみなさんが相変わらずゴージャスなので、ぜひとも遊びに来ていただければ幸いです。ついでに古本も買っていただければ、もっともっと幸いです!
■2019年3月23日(土)10:00〜19:00(私はこの日だけの参加となります)
■2019年3月24日(日)10:00〜17:00
■会場:DNP市谷左内町ビル (東京都新宿区市谷左内町31-2) (本の雑誌商店街)
■参加者:140B/岡崎武志/荻原魚雷/カンゼン/北原尚彦(3月23日のみ)/キリンストア/国書刊行会/古書いろどり/古書ますく堂/コトノハ/小山力也(3月23日のみ)/酒とつまみ社/星羊社/盛林堂書房/旅と思索社/八画文化会館/ホシガラス山岳の会/本の雑貨社/本の雑誌社/森英俊/山と渓谷社(店名五十音順)突発的にまだまだ増えるかもしれません。
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2019年03月09日

3/9東京・西荻窪 benchtime books一階部分

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午後二時前に『善福寺公園』辺りに流れ着いたのを幸いとして、テクテク歩いて「モンガ堂」さんよりコメントタレコミのあったお店に、ブラブラと向かってみる。場所は西荻窪駅北口から『西荻北銀座』を北にグングン進み、歩道亜アーケードを抜け、坂を下り、善福寺川を渡り、再び坂を上がって、「中野書店」(2015/03/14参照)前も通過し、『青梅街道』手前のセブンイレブンのある交差点を西へ。しばらく歩くと北側歩道沿いの店舗兼住宅長屋の右側に、青い日除けテントを丸く張り出したお店が見えて来る。本当だ。これは間違いなく古本屋さんだ。店頭には100〜300円の安売本が上品に出され、小さな黒板に店名や営業時間や定休日が書かれている。中に入ると、窓から飛び込んだ光を柔らかにたたえる、小さな正方形の空間である。奥には薄暗いが同サイズの低めの中二階があり、木の踏み台に飾られた絵本や、奥の棚の上にドガッと積まれた古本や、シックなショウケースに収まった正宗白鳥や太宰治などが見え、そのケースの向こうに帳場があり、ジブリ映画『耳をすませば』のバイオリン職人を目指す男の子が大きくなったような青年が「いらっしゃいませ」と声をかけてくれた。什器はすべてシンプルなアンティーク調に統一されている。入口付近には、木版ブックカバーやオリジナル木版詩集などが飾られている。左壁際には、セレクト文庫と児童文学や絵本が並び、中央の机には珈琲・パリ・食・博文館ポケット日記(激カワ!)などがディスプレイ。右壁際には、海外文学・「暮らしの手帖」関連・植草甚一・美術・民芸・工芸・茂田井武・洋写真集が集まる。ここには額縁を改造したケースが置かれ、そこに本がすっぽり収まる洒落た光景が展開している。そして奥の階段横に置かれた骨董関連のミニ棚を見て、奥のショウケースに熱い視線を向けていると、奥に座る青年が「まだ開けて一週間なんですよ。二階も本当はちゃんとしたかったんですが、一階の準備を手間ひまかけてやって、さらにブックカバーの制作や詩集の製本をしていたら、とても間に合わなくて…」というわけで、まだプレオープン状態らしいのだ。なので蔵書量はまだそれほど多くないが、棚造りにはしっかりとしたビジョンがあり、しかも深めなのが充分伝わって来る。古書にもかまけているのが、大いに好ましい。二階は四月には完成させるとのことなので、その時が今から楽しみである。本を選んで中二階に上がると、帳場と言うよりはほとんど職人の作業場である。むぅ、壁棚には古い文庫がたくさん並んでいるじゃないか。ますます二階の出来上がりに期待してしまう。世界文化社「山椒魚戦争/カレル・チャペック」を購入する。

一旦家に戻った後、再び忙しなく外出し、再び西荻窪へ。よく「みちくさ市」などでご一緒した、一箱系豆本作家の「暢気文庫」さんが、故郷に戻ることになったので、そのお別れパーティーが開かれているのである。今までお世話になりましたと挨拶し、ビールをグビグビ。物凄くたくさんの人が別れを惜しんでいる中、何故か坂崎重盛氏が飛び入り参加しており、面食らう。そして芳名帳への記名が「手抜きだ!」とお叱りを受けてしまったので、苦し紛れに猫の絵を描き足すと、打って変わって「うまいじゃないか!まるで生きているようだ!」と頬が赤くなるほど大絶賛される。すると突然「そのペンを貸せ!俺もそこに猫の絵を描く!」と言うことになり、写真のようなものが出来上がってしまいました。
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最下部の絵が坂崎氏の猫の絵である。

いやぁ、楽しいひと時でした。暢気さん、どうか、西へ行ってもお元気で。「暢気文庫」さんと言えば、思い出すのはこの豆本。「兵隊の死/渡辺温」(平成24年4月刊)である。18W×6Lで全8ページ。掌中に収まる渡辺温とは、なんとロマンチックな代物であろうか。
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posted by tokusan at 19:09| Comment(2) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする