2017年09月03日

9/3下北沢の古本屋さんは殊更混んでいた!

今日は代田辺りに流れ着いたので、そのまま住宅街を縦横に抜けまくり坂を下ると、そこはいつもの下北沢の賑わいプラス、秋祭りで神輿が担がれる祭礼の賑わいで大混雑の南口商店街の尻尾であった。着飾った若い男女と、法被を纏った老若男女。そしてその間を、片足に茨の刺青を入れたミニスカートの外国人女性が、颯爽と闊歩して行く…。突然見知った街並に接続出来た驚きと、いつでも“ハレ”の場である街が、さらにパワーを増して完全なる祝祭空間と化しているのに圧倒されながら、神輿を避け人ごみを擦り抜け、遠目に店頭に人が鈴なりになった「古書ビビビ」(2009/10/15参照)を眺め、愛しの「ほん吉」(2008/06/01)へと向かう。うわっ!こちらも、店頭も店内も人で一杯じゃないか!と大いに面食らいながら、何だか古本市のように人の背越しに、店頭棚に視線を血走らせる。するとすぐさま新潮社「野獣死すべし 復讐篇/大藪春彦」(箱付き初版)を発見出来たので、それなりに満足して早々にレジに並んで100円玉で精算する。

「野獣死すべし」と言えば、思い出すのはやはり角川映画の村川透監督・松田優作主演の映画である。だから主役の伊達邦彦は、頭の中では永遠に松田優作として定着してしまっている。原作発表当時に近い、仲代達矢主演のモノクロ映画「野獣死すべし」(こちらの方が原作に忠実でピカレスクロマンとしても傑作の部類である。仲代がかなりコワイ)もあるのだが、やはり松田優作が日本映画に変革を起こすべく、全身全霊を込めて挑んだ角川映画の方が、私の中では優位なのである。日本に、正真正銘本物のハードボイルド作品を誕生させるべく、主演作品ごとに常に大奮闘する優作。だが、松田優作が本気になればなるほど映画は歪み(「野獣死すべし」では、当初伊達邦彦(原作の眉目秀麗な青年とは違い、街の片隅でひっそりと生きる男を想定)を演じるために、足を切って身長を低くしたいと願ったのだが、どう考えてもそれは無理なことなので、奥歯を抜くことで我慢した…)、本人の崇高な意志とは別に、何故かコメディ要素を胚胎してしまうのが、大いなる魅力のひとつとなっている。角川映画前作の「蘇る金狼」も、愉快な共演陣にとても楽しくすべてをぶち壊されていたが、「野獣死すべし」もまた例外ではない。相棒を演じる鹿賀丈史の危な過ぎるキレやすいアフロヘアキャラ。ヒロイン小林麻美の粘着的過ぎる喋り。伊達を勘だけで追いかけるしつこい刑事の室田日出夫。そして絶対演じるのに無理のあった、東大同級生の阿藤海と風間杜夫…。これらがなければ、恐らく優作理想の映画に近づいていたのかもしれない。だが、この綻びてしまったところが、残念ながらこの映画の輝きであり、優作自身が映画の中でひとり浮いてしまうところが、優作作品の絶大な魅力なのである。などとツラツラと思いながら、昭和三十五年刊の本を抱え、下北沢から浜田山まで移動し、すぎ丸に乗って帰宅する。
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賑わう「ほん吉」前にて。
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2017年09月02日

9/2昭和初期の本は私にとって麻薬である。

今日も疲労を抱え込み、成城の奥地に流れ着く。午後六時を過ぎると、辺りはもはやトワイライトで、日に日に陽が短くなっているのを実感してしまう。トボトボと駅への道をたどって行くと、やったぁ!まだ「キヌタ文庫」(2009/10/25参照)が頼もしく営業中じゃないか!
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と感謝しながら、表の200均単行本ワゴンから一冊掴み、店内に滑り込む…おや、帳場にいるのは初めて見る痩身中年の男性である。なんだかいつもより明度が高いような店内を、ゆるゆるとチェックして行く。すると左端通路の映画演劇関連棚で、少し背の傷んだ古い本を発見する。そっと取り出すと、昭和九年刊の第三書院「レヴユウ王コクラン自傳 見世物談義/中村秘一譯」と言う本であった。
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すかさず後見返しの値段を見ると500円。この独特の、昭和初期のきめ細かく重い紙の感触!活字を読む以前に、それに触れ、どっしりとした重さを味わうだけで、心はすでに本が出版された時空に、勝手にコネクトされてしまうのである。…あぁ、何故私はこんなにも昭和初期の本に、いとも容易く虜になってしまうのだろうか。その時代が好きだと言うのもあるのだが、恐らくは、決して手も身体も心も届かぬために、恋い焦がれている心が焦げ焦げ状態の過ぎ去った時代を、かろうじて味わうための健全な、私にとって必要な麻薬なのであろう…。さて、落ち着いたところで、店内でしばしページを紐解いてみる。十九世紀終り〜二十世紀初頭に米欧で活躍した、大興行師の自伝である。ショウマン・サーカス・レスラー・ボクサー・歌手・俳優、果てはマルクス兄弟までを奇跡の剛腕で呼び寄せ競演させる、ワールドワイドな呼び屋のお話が目白押し。おぉ!ジャック・デンプシー(日本ではボクシング漫画『はじめの一歩』で有名な技、“デンプシー・ロール”の始祖として有名である。後年はパンチドランカーになりながらもレストランを経営)についても載ってるぞ!と大喜びし、国書刊行会「オールバックの放送作家/高橋洋二」と共に計756円で購入する。帰りの車内は「見世物談義」を読み込み、すっかり百年前に気持ち良く没頭してしまう…。
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2017年09月01日

9/1東京・東京 TRAVELLER'S FACTORY

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今朝届いた、書皮狂の帰山健一氏が発信するメルマガ『本棚の溜息』で、東京駅のお店で古本が売られているのを知る。なので中野で所用を済ませた後、中央線で一直線に東京駅へ向かう。三階のホームから長いエスカレーターを下り、さらに地下一階へと向かい、『丸の内地下北口改札』を抜ける。すると直ぐ右手に、落ち着いた色合いの木材とガラスと花崗岩パネルで形作られた、シックでお洒落なミニ地下商店街が現れる。フラフラと近づいて行くと、手前右手が件の目指すお店であった。主に“旅”をイメージした統一感のある文房具類や雑貨を扱っているようだ。古本はレジ横の右壁奥隅に固まっているのだが、その棚が余りにも独特なので、つい笑顔が綻んでしまった。壁に錆びたレール二本と枕木が打ち付けられ、その上に本を並べた棚が貨車のように連なっているのだ。線路の幅は五十センチもないので、かなりの狭軌と言えよう。こんな素敵にやり過ぎたディスプレイは、「古書 赤いドリル」(2010/06/23参照)の旧店舗内にあった、侘しい昭和の街路を再現するための黒電柱と笠外灯以来ではないだろうか…。九台の貨車には、単行本と文庫本がほぼ交互に並んでおり、ヴォネガット・ブコウスキー・ブローディガン・シェパード・植草甚一・片岡義男・旅・紀行・旅情・自然・東京などが並び、透明感のある選書が為されている。文庫は300円〜600円くらいで、単行本も手頃な価格設定である(中にはプレミア値あり)。店内には若いお客が次々と吸い込まれ、それを若くお洒落な男女店員が接客して行く…なかなか人気のお店なのだな。岩波文庫「東京日記 他六編/内田百閨vを購入する。「八重洲古書館」(2008/07/03&2012/07/27参照)と「R.S.BOOKS」(2012/11/19参照)が閉店して以来、潰えていた東京駅の古本の灯りが、また復活する日が来るとは!小さいながらも、ここで古本を買って旅立てば、その旅は一層滋味深くなり、また有意義に暇も潰せることになるであろう!

帰りに高円寺で途中下車し「藍書店」(2014/01/14参照)の外壁大棚にへばりつくと、最下段に背のない大量の映画パンフが詰め込まれているのに気付く。その背群の所々に、明らかに紙質の違う古めのパンフが混ざり込んでいるので(とは言っても七十年代)、しゃがみ込んで一冊一冊夢中になって確認する。気になるものは取り出して地面に積上げて行くと、たちまち十冊以上になってしまったので、そこからさらに厳選。「アメリカングラフィティ」「デルス・ウザーラ」「フレンチ・コネクション」(これが一番嬉しい!)「オリエント急行殺人事件」「地球最後の男オメガマン」を計500円で購入する。

そして大阪「梅田蔦屋書店」での「夏の古書市2017」も、早いもので残すところ今日も含めて後三日!未見の方は、どうかカフェの壁面に並ぶ奇妙なセレクトの古本群を眺めに、ご足労ですが九階まで足を運んで下さいませ!

そしてさらに九月の「みちくさ市」にも大はしゃぎで出店いたしますので、9/17のもはや秋となる日曜日に、古本を介してお会いいたしましょう!
『鬼子母神通り みちくさ市』
■2017年9月17日(日)11:00〜16:00(雨天中止)
※当日8:00に天候による開催の有無を決定します
※みちくさ市本部 携帯電話:090-8720-4241
■雑司が谷・鬼子母神通り 東京都豊島区雑司が谷2丁目・鬼子母神通り周辺 東京メトロ副都心線・雑司が谷駅1番出口または3番出口すぐ
■お問合わせ
michikusaichi●gmail.com(●をアットマークに変えて送信してください)
みちくさ市本部 携帯電話:090−8720−4241
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2017年08月31日

8/31よるのふるほんや

八月三十一日、夏休みの終りの日である。そんな学生的夏休みから離れること、早28年。かなりの疲労を背負って夜の三鷹に流れ着いてしまう。体力ゲージはゼロ。古本を求める心のゲージももはや一桁代なのだが、ここで流されて尻尾を畳んでは“古本屋ツアー”の名が廃る!とどうにか夜の「水中書店」にたどり着く。
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實業之日本社「鴎外文學/日夏耿之介」を100円で購入する。総武線に乗り込んで阿佐ヶ谷駅に帰り着き、いつものように「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に立ち寄る。
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平凡社「古本屋の女房/田中栞」文春文庫「星の王子とわたし/内藤濯」講談社大衆文学館「奇想小説集/山田風太郎」を計109円で購入する。

ところで夜の古本屋さんは、なぜこんなに心を暖かくさせてくれるのだろう。そんなことをちょっと考えながら、古本を背のリュックに詰めて、トボトボと家路をたどる。昼間の店内は外より薄暗いのだが、夜は外の闇より遥かに暖かみを持ち明るい。それはまるで、登山道を登る途中の山小屋のようであり、帰り着くべき暖かい家庭のようであり、上映前の映画館館内のようであり、水族館の水槽を覗いているようでもある。それは店内に、外界とは違う確かな空間が存在する証拠であり、さらにそこから本と言う触媒を経由して、あらゆる世界の深淵にコネクト出来る可能性が秘められているためだろう。あぁ、なんだか今日はすっかり秋の気配である。
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2017年08月29日

8/29「地球堂書店」は寸分変わらない

今日は昼間の立川に流れ着く。ちょうど廣池秋子の文芸作品(残念ながら推理小説ではない)、戦後直ぐの立川が舞台の「愛と憎しみの街」をポツポツ読んでいるところなので、何かリンクする景色に出会えると思ったのだが、街は想像以上に変化発展しており、何の予備知識もない今の状態では、見事な直線の街割にしか、当時の面影を感じることは出来ない。たくさんのガードマンが早くから警備する『立川競輪場』近くから、住宅に挟まれたその真っ直ぐな細道を北へ向かう。『立川通り』に出ると、ちょうど横断歩道の向かいに、貴重なモルタル看板建築の「地球堂書店」(2008/08/30参照…ということは、ほぼ九年前の今日、このお店に初めて訪れたわけか…)が、もう何年も前から(いや、もっともっと以前から、この整然として静かな動かぬ状態なのかもしれない…)、寸分変わらぬ姿で建っていた。今日は特徴ある木製台には何も陳列されておらず、ただ大きな餅のような薄い白い直方体が、ペトリと置かれている。入口側の両壁棚を、大量の茶紙がゾロリと覆い、まるで古本屋とは異なる光景が出現している。
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帳場には誰もいないが、静かなパラフィン包みの本に囲まれた店内に入るとチャイムがピロピロ鳴り響き、いつの間にか髪をひっつめた女将さんが、帳場に横向きに座っていた。店内には入ったが、何も買わないつもりである…いや、正直に言おう。何も買えないのだ。だから一通りパラフィン越しの背を眺めただけで、静かに退店しようと思っていたのだが、棚最上段の大型本を取り出した時にアクシデントが発生。高過ぎて棚にうまく戻せないのだ。すると見兼ねた女将さんが「大丈夫ですよ」と笑顔でバトンタッチし、ヒラリと棚下の平台に飛び乗って、本を見事に戻してくれた。お手間かけてしまった…これは何か買わなければ…と言うわけでカッパ・ホームズ「この愛いつまでも/加山雄三」を350円で購入する。…まぁ、こんなこともたまにはあるだろう。さらに帰り着いた阿佐ヶ谷では「千章堂書店」(2009/12/29参照)の右側100均単行本台から桃蹊書房「年刊創作傑作集 第一篇/日本文藝家協會編」を100円で購入する。

夜になって再び家からペタペタ飛び出し、文芸寄りフォークミュージシャン・世田谷ピンポンズさんのワンマンライブ『都会、なんて夢ばかり』が開かれる『ザムザ阿佐ヶ谷』へ。当日券を求めて地下への階段を下りると、すでにかなりのお客さんが階段状の桟敷に座っているが、幸いにもチケットを手に入れることが出来、履物を脱いで会場に来合わせていた岡崎武志氏&山本善行氏古本黄金コンビの横に腰を下ろす。午後七時半から休憩を挟んで正味二時間強続いたフォークライブ。世田谷ピンポンズさんは、くどいと形容するのが相応しい演出とMCで会場を湧かせながら、初期の吉田拓郎を彷彿とさせるスタイルで歌うのだが、それはフォークと言うよりは、まるでフォークから脱却するために、常にもがいているようでもあった(しかも一曲一曲がパンクミュージックのように短くて潔い)。消え入り控え目そうなルックスとは裏腹の、魂を引きちぎって投げつけるような、驚くほど堂々たる低音の歌声は、聴き入る魂をビシリと客席に釘付けにする。フォークだから“ノスタルジー”というわけでは決してなく、まるで現代の都会の片隅の情景を、モノクロ写真でスナップしたような、奇妙な新鮮さor違和感を、その短い曲の間に、常にざらりと感じさせてくれるのだ。とにかくそれほどひねくれていて、ちょっと変わった現代的な、遅過ぎて大遅刻のフォークシンガー。興味ある方は、ぜひとも一度接触してみて下さい。
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この写真はライブ終了後の阿佐ヶ谷で、午後十時過ぎの路地裏に浮かび上がる岡崎&善行親友コンビ。この後仲間を引き連れて、夜のカラオケ大会に向かいましたとさ。
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2017年08月28日

8/28蠻島王現る!

夕方前に国分寺の北にある恋ケ窪に流れ着く。近くには「ブックセンターいとう 恋ケ窪店」(2012/03/25参照)があったのだが、実は8/6にあえなく閉店していたことが判明したので、慌てて西武国分寺線で国分寺駅に移動して、駅北口の「七七舎」(2016/02/06参照)を訪ねることにする。店頭には通りがかりの人が結構立ち止まるので、譲り合いながら本を眺める。コンパクトな間口のお店の右側に広がる、お休みの別店前に置かれた棚と裸文庫箱が良い感じ。
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一冊抜き取り涼しい店内に入ると、本の密度が以前より増した感があり、未知と知を探索する空間的としての心地良さもアップしている。日本小説文庫「陰獣/江戸川乱歩」を見つけてしまったので見境無く買ってしまいそうになるが、昨日も結構散財したじゃないか!と今日のところは我慢する。新潮社「笑学百科/小林信彦」を100円で購入する。

家に戻り、野暮用を済ますために再び外出し、中野へ。スパパパっと用事を片付けて本日二度目の帰宅を果たすと、鍵を開けたドアの向こうに宅配便の不在連絡票が落ちているではないか…これはもしやヤフオクの落札品!時間を見ると十分前の17:48分。しかも再配達依頼が出来るのは午後六時までとなっている。慌ててコールセンターに電話し、申し訳ないが再配達を手配。すると午後七時半前に、七冊ほどの様々な厚さ大きさの古書&古雑誌が詰められた、ちょっとした福袋のような物がようやく届いた。出品時は幾つかの雑誌名とともに『古書まとめ』などとされていたのだが、その中にどうも気になる一冊があったので、半ば博打のように入札してみたのである。ライバルは現れる事なく、無事に千円で落札。ガサゴソと袋を開け、その気になる一冊を手にしてみる。和本綴じで、表紙は貸本仕様の手作り物。貼付けられた題籖には手書きで「探檢小説 蠻島王 全」の掠れた文字が。詳細な情報は一切なかったので、つまりは写真の中のこの文字だけに賭けてみたのである。まぁ読めれば良いのだと思いつつ、和紙で固められた手作り表紙をめくってみると、おぉ!そこには意外なことに、美しいままのオリジナル表紙が現れたではないか!こ、これが『蠻島王』!
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どうやらボロいのは貸本仕様の和紙表紙だけで、中身はオリジナル表紙から四枚の口絵から本文まで、すこぶる状態が良い様子。これは嬉しい誤算である。物語はイギリスの冒険小説を翻訳したものらしく、英国の少年が、南洋→海軍軍人→太平洋→南亜米利加→鯨捕り→蠻島征伐者→漂流者→真珠採りなど様々な場所を様々な職種で冒険探検しつつ、最後はついにタイトル通りに『蠻島王』となるらしい。出版は明治三十九年六月に成功雑誌社(何という名の出版社だ)からで、譯者は堀内文麿。一ページ目には恐らく貸本屋の印である『笹尾』『金房堂』の文字が赤く捺されている。
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2017年08月27日

8/27東京・吉祥寺 善行堂in夏葉社

京都・吉田山の麓の古本屋さん「古書 善行堂」(2012/01/16参照)が、様々なイベントや上梓した「埴原一亟 古本小説集」出版に合わせて上京。さらにそれに合わせて本日限りの限定店舗が、吉祥寺の『夏葉社』にオープンするので、開店時間の正午前に会社前に駆け付ける。するとすでにそこには、古本修羅&古本神の十人ほどの列が出来上がっていた。皆買う気満々である。ガラスウィンドウの向こうには、帳場にスタンバイする洒落た派手なシャツを纏った山本善行氏と、忙しく開店準備に勤しむ夏葉社・島田潤一郎氏の影がひらめいている。ほどなくして開店時間を迎え、善行氏自らがドアを開き、待ちかねた皆を店内に招き入れてくれる。たちまち右壁棚四本に収まったダンボール十二箱分の厳選古本が、櫛の歯が欠けるように抜かれまくって行く…。それを目の当たりにして、遅れをとってなるものかと、懸命に皆の背後から棚に熱い視線を注ぐ。そんな必死過ぎる姿勢が功を奏したのか、まず憧れの本を一冊掴むのに成功し、感激するとともにホッと一息。するとその後も、思わぬ本を手に出来て、まさに京都の「善行堂」にいる思いを、この胸に掻き抱く。棚を懸命に二度チェックした後、新刊の「埴原一亟 古本小説集」も手にして精算してもらうべく善行氏の前に立つ。黒白書房「黄色い犬/ジョルジュ・シムノン」(いつでも憧れの黒白書房の世界探偵傑作叢書の一冊。この山下謙一装幀の、控え目な表紙の黄色い犬がとにかく可愛過ぎる!)柳香書院「矢の家/A・E・メースン」(再版だが函付きで500円!)三一書房「恐怖幻想映画論 映像の魔術師たち/石崎浩一郎」を計3000円で購入する。いや、ちゃんと時間通りに来た甲斐がありました。もうこれから、月に一度開いてもらえれば言うことありませんな。
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その後は都内某所に移動して、岡崎武志氏主催の、美味しい料理とお酒とともにお宝映像を鑑賞する『ネギシアター』に参加。『本の家』(吹き抜けの居間も台所も廊下も本棚でぐるり埋め尽くされている)として知られるNEGI氏邸がその舞台。本に関わる様々な人が集う中、手料理を振る舞われながら荒井由美がホストを務めた幻とも言えるテレビ番組『遠くへ行きたい』・東映アニメ映画『わんわん忠臣蔵』・五七五の文字に青春を賭ける『俳句甲子園』を鑑賞する。そんな風にお酒を飲み続けて五時間…案の定すっかり酔っ払ってしまう。あ!そういえばNEGIさんから、家の中から発掘された「天牛書店」のダンボール箱を貰うのをすっかり忘れていた。仕方ない、次回『ネギシアター』まで保管しといてもらうとしよう。
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写真は『わんわん忠臣蔵』を食い入るように鑑賞中の荻原魚雷氏の後姿である。
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2017年08月25日

8/25悪者と黒ひげ

午前十一時に御茶ノ水から、ここも例外無く炎暑の神保町に入り込み、久々のパトロールを開始する。長い『靖国通り』の横断歩道を渡り、まずは「三茶書房」(2010/10/26参照)店頭ワゴンに張り付き、すぐ目についた大日本雄辯會講談社キング第十巻第一號附録「新語新知識 附 常識辞典」を300円で購入する。キンキンに冷えた店内で武井武雄デザイン包装紙で包んでもらうと、新書サイズ+500ページ越えの直方体なので、なんだか札束の包みみたいになってしまった…。続いて「田村書店」(2010/12/21参照)店頭左側の100均ダンボール箱を漁るが、めぼしい物は特になし…だが視線を上げると、本の山に寄り添うようにして、ポケミスが積み上がっているではないか。気になるシメノンやハニーウェストを抜き出していると、素敵な物を下層に発見!ポケミスと同サイズではあるが、映画原作の「悪者は地獄へ行け」が混ざり込んでいるではないか!イヒヒヒ、ありがとう「田村書店」!ハヤカワポケミス「雪は汚れていた」「ベルの死」ともにジョルジュ・シメノン、「ハニーと連続殺人」「Gストリングのハニー」ともにG・G・フィックリン、潮書房「悪者は地獄へ行け/フレデリック・ダール 秘田余四郎訳」を計500円で購入する。五冊を鷲掴みにして再び箱前を通りかかると、その前に偶然立っていた「風書房」さんが振り向き、手の中を見て「や〜ら〜れ〜た〜」と呟く。まさに一足違いの収穫であった。さらに「神田書房」(2012/02/16参照)ではサラ文庫「懐かしいひと/つげ義春」エルモ社出版部「小型映画シナリオ集/伊藤紫英」博文館「天地有情/土井晩翠」を計200円で購入。さらにその先の「日本書房」(2011/08/24参照)では「勞働放浪監獄より 後藤謙太郎遺稿」(復刻版)を100円で購入し、暑さがより酷くなる前に、神保町を離脱する。
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一旦家に戻り、午後三時前にたくさんのデザイン・写真・アート関連の大型本を、小分けにして結束した後、剥き出しでカートに積上げ、「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)をゴロゴロ目指す。
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じわじわと進めている、居住空間を取り戻すための蔵書整理の一環である。大した量では無いのだが、この重さの分だけ、床の負担を解消したことを思って、心が少しだけ軽くなる。天野氏に査定をお願いし、涼しい店内でゆっくりと古本を見て過ごす。二十分ほどで「お待たせしました」と声がかかる。納得のいく金額で交渉成立し、所定の書類に必要事項を書き込み、お金を受け取る。そして本が減った分の心の穴を埋め戻すために、ジャンプコミックス「黒ひげ探偵長/ジョージ秋山」(初版で帯付きなのに安い!)を1030円で購入してしまう。家に戻り、「悪者は地獄へ行け」と「黒ひげ探偵長」をかわりばんこに愛でていると、「悪者〜」の背に酷い誤植を発見する。一番肝心な出版社名である『潮書房』が『潮房書』になっちまっている…。
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2017年08月24日

8/24蚊遣り器が守る店頭

酷い酷い暑さに、もしかしたら身体が少し溶けてるんじゃないかと心配しながら、夕方の上連雀に流れ着く。そのまま惰性で三鷹駅に向かい、帰宅客でごった返す橋上駅舎をどうにか通過して北口に出て、慰めてもらうつもりで「水中書店」(2014/01/18参照)へ。すると今日は嬉しいほどに相性が良く、たちまち店頭棚で四冊を掴み取る…そのまま帰らずに、来て良かった。店頭を眺めている人間の身体にまとわりつくのは、蚊取り線香の細く白い煙である。良く見ると、文庫棚の脇に豚型の蚊遣り器がちんまりと置かれ、大きく開いた口から煙を吐き出し、あの吸血昆虫を寄せ付けぬよう、健気に奮闘しているのだ。
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私はこの蚊取り線香の匂いを嗅ぐと、即座に子供の頃に親戚の家に泊まりに行き、電気を消して寝る瞬間を思い出してしまう。住んでいた団地では、蚊取り線香を焚く習慣が無かったせいか、なんだか甘く妖しい、人の家に泊まる行為の記憶と、今でも軽々と時空を飛び越え直結してしまうのである。なので、フムフムと煙を吸い込みながら、遠い夏の日の夜にたちまちブクブクと溺れてしまう…。涼しい店内に進み、ちくま文庫「超発明/真鍋博」中公文庫「本とその周辺/武井武雄」新潮新書「市川崑と『犬神家の一族』/春日太一」文藝春秋「落城記/野呂邦暢」を計400円で購入する。

先日十一月の予定を早々と発表しましたが、新たに時間を遡り十月の参加イベントお知らせいたします。去年同様(2016/10/02参照)『BOOKS 9 × 鬼子母神通り みちくさ市 presents「LOFT9 BOOK FES.2017」』の古本フリマ部門に、今年もめげずに参加いたします。思えば今年の二月に一人古本市を二日間行い、その後もことあるごとに古本を販売して来ましたが、まだまだまだまだ売るべき古本が、たくさんたくさん部屋に居座っているのです!だから私は、闘うように古本をこれからも売って行くつもりです(まぁ、その分やはりドカドカと買い込んでいるのですが…)。というわけで十月も、みなさまのお越しを、渋谷円山町にてお待ちしております!

★BOOKS 9 × 鬼子母神通り みちくさ市 presents
「LOFT9 BOOK FES.2017」
http://www.loft-prj.co.jp/schedule/loft9/71625

■10/1(日)LOFT9 Shibuya 東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS(キノハウス) 1F
■古本市:OPEN 12:00
■トーク:START 13:00
(古本市は19:00まで、古本フリマは17:00まで)
※軒先&店内の古本市は入場無料!
※トークイベントのチケットは前売り1500円/当日2000円 (+1オーダー)

【トークイベント】
■「闇を抱える読書」タブレット純×姫乃たま
OPEN 12:30 START 13:00(終了:14:30)
とても個人的で人には薦められない、心の闇に寄り添う暗くも楽しい読書経験を語る!

■「ヤクザと男色」鈴木智彦×山田参助
OPEN 15:30 START 16:00(終了:17:30)
ボーイズラブでは定番のヤクザものですが、実際はどうなのか。『ヤクザ1000人に会いました!』の鈴木智彦さん、『あれよ星屑』の山田参助さんによる男集団談義。

■「覚醒めよ!」能町みね子×サムソン高橋×石丸元章
OPEN 18:00 START 19:00(終了:21:00)
本人たちさえも当日まで何を喋るかわからない衝撃のフリートーク…

【古本市参加店舗】
ハナメガネ商会、にわとり文庫、BOOKS青いカバ、古書現世、三楽書房、立石書店、JUNGLE BOOKS、ブックギャラリー・ポポタム、ひぐらし文庫、北書店(新刊 From新潟)

【古本フリマ参加者】
小山力也(古本屋ツアー・イン・ジャパン)、とみきち屋、つぐみ文庫、ドジブックス、えほんやハコのなか、甘夏書店、レインボーブックス、雨の実、M&M書店、ロフトブックス、朝霞書林、嫌記箱(塩山芳明)
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2017年08月23日

8/23「盛林堂」でダベる。

早い昼食を食べ終えて、ペタペタとビーサンを引き摺り外出。足は荻窪に向き、雨仕様の「ささま書店」(2008/08/23参照)店頭棚で、大塚書房「狂人の世界より歸りて/紀野親二」新潮社「六人の作家未亡人/野田宇太郎」荒地出版社「推理試験/二宮佳景編」を計315円で購入する。そしてそのまま判を捺したように西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に向かい、「フォニャルフ」棚にドバッと八冊の昭和三十年前後の「探偵倶楽部」を並べる。雑誌でしか読めない南沢十七&今日泊亜蘭訳小説や、大河内常平・楠田匡介・狩久・夢座海二・潮寒二などが各誌に跋扈。状態はわりと良くお安めになっていますので、早い者勝ち!などと補充を終えると、たくさんの本を抱えた夏葉社・島田潤一郎氏が登場。「最近よく会いますね」と挨拶を交わす。いよいよ出来上がって来た、山本善行撰「埴原一亟古本小説集」を納本しに来たのであった。今直ぐこの場で買いたくなるが、ググッと我慢して27(日)の『善行堂in夏葉社』で買うことを、意味もなく宣言しておく。埴原一亟は、亀鳴屋のアンソロジー「したむきな人々」で、芥川賞候補にもなった『翌檜(あすなろ)』を読んだことがあるだけだが(確か建て場回りの古本屋さんの話だったような…)、他の作品がどんなものなのか、今から楽しみでたまらない。なんたって『古本小説集』なのである。颯爽と他店へ自転車で納本に回る島田氏を見送り、こちらはだらしなくさらに帳場横でだべっていると、今度は喜国雅彦氏が「ひとたな文庫」の補充に登場したのでご挨拶。鞄から出した茶色い探偵小説が次々棚に並ぶのを、唖然呆然と心の中で涎を垂らしながら眺める…。そして店主小野氏も交え、乱歩の話・フェティッシュが高じ過ぎて踏み外す性犯罪話と漫画があったからこそそうならないで済む話(氏は頼まれているプロフィールを「俺がもし色々やってしまったら、これが新聞にそのまま載るのか…」などと妄想を飛躍させながら作成しているのだ!)・雑居房ではなく独居房への激しい憧れ(本来は懲罰であるはずの独居房だが、誰にも邪魔されずひとりで色々考え続けられるから絶対に楽しいはずだ!と力説)などの、エッジの立ちまくった話に花を咲かせる。全く持って素敵で面白過ぎる、日本推理作家協会賞&本格ミステリ大賞受賞漫画家さんですよ!と、ついつい濃厚な時間を古本屋さんの帳場で過ごしてしまう。このまま閉店までいても大丈夫そうなので、慌てて引き上げることにする。

ところで今日買った「狂人の世界より歸りて」は、完治した文学者(編集者&小説家)の元精神病者が、その発病から全快までを小説仕立てで著した、昭和二十三年の本である。『發病篇(妄覺・妄想篇』『治療篇(精神病院入院篇』『全快篇(雜篇)』の三章で構成され、病的な妄想が刻一刻とすべての出来事と思考に広がって行くのが、つぶさに読みやすく展開して行く。脈絡のあまり無い夢の話などとは全く違い、現実と妄想の境目がずぶずぶと浸潤して行く、まるで恐怖小説のようで、不謹慎ではあるがなかなか面白い。何故か厚着カバーになっており、人文書的シンプルカバーの下には、色使いの派手な狂的世界のイラスト(出版社名も『照林堂』となっている)が隠れている…。
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2017年08月22日

8/22一房の葡萄、そして手紙舎

今日は午後二時半過ぎにつつじヶ丘北側に流れ着いたので、そのまま駅へと向かい、いつの間にか古本も売る雑貨屋「mater」(2016/02/23参照)が消滅しているのを目撃し、結構長い五分間の踏切待ち。上り電車と下り電車が永遠に間髪入れず行き交う雰囲気に、待っている人々の眉間にいらだちの縦皺が深く刻まれて行く…。そしてたった二十秒の隙に南に渡り、そのまま『神代団地』の商店街にある「手紙舎」(2009/12/13参照)を久々に訪れることに決める。何となく方向をアバウトに定めて歩を進めて行くと、何の変哲もない礫敷き駐車場フェンスに絡まる葉っぱの大きな蔓草が目に留まる。あれ?おかしいぞ?おかしなものが、葉の裏にチラリと見えているぞ?といぶかしみ裏側を覗き込むと、そこにはたわわに実った、大きな大きな緑の葡萄の房がぶら下がっていた…これは、なんだ。辺りを見回しても、別に葡萄畑があるわけではなし、何故こんな駐車場のフェンスに、マスカット的な大きな葡萄が自生しているのか!
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とかなり大きな衝撃を受ける。衝撃を受けつつ、次に思ったのは「これは食べられるのだろうか?」ということ。写真を撮り、少しだけ逡巡した後、ついつい誘惑に負けて、大きな一粒をプチリともぎ取る。そして皮をむいて口に放り込むと、少し硬く酸味はあるが、立派な美味しい喉の渇きを潤すほどの葡萄であった…イカン、私は道端で何をしているのか。我に返って住宅街の中を抜け、『神代団地』の中庭的店舗ゾーンにたどり着く。「手紙舎」は商店街の一角で、その姿をよりシックに変化させ、しっかりと営業中であった。地元のマダム客が二人いる店内に入り、大テーブルの片隅に腰を下ろす。そしてここでも誘惑に負けて、調布ビールをオーダー。その間にも男子・女子の一人客が訪れ、スイーツと紅茶を注文している。壁棚の古本は、今は女性系雑誌がメインとなり、暮し・ファッション・パリ・料理などがきめ細かく収まっているようだ。なので今日は、グラス二杯分のビールを飲みつつ、白昼の団地風景を漫然と眺めて過ごす。
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風に揺れるヒマラヤ杉の枝と、家賃値上げ反対の幟。誰も座らぬ吹き曝しのベンチ。『30』の番号を持つ矩形の白い団地棟。自販機前の側溝蓋を外し、落ちた小銭を探す少年たち。隣りの薬屋の、安売のラップと洗剤が山積みされたワゴン。そんなものたちにボ〜ッと幸せに視線を泳がせているうちに、あっという間に飲み終わってしまったので、648円を支払い帰ることにする。

ビールに頬を染めて阿佐ヶ谷に帰り着き、今日は古本を買わぬ覚悟で『旧中杉通り』を歩いていると、あれ?定休日のはずの「古書コンコ堂(2011/06/20参照)」が開いているじゃないか。ついつい嬉しくなり店頭で三冊掴んで中に入ると、店主・天野氏とばったり。「今日は何で営業しているの?」「いや、先週休んじゃったんで…それで、ツライから…」…と言うわけで、先週のお盆休みの分を取り戻すために開けていたらしい。ファイト、我らのコンコ堂!角川文庫「能面の秘密/坂口安吾」北隆館「しだ・こけ・きのこ/牧野富太郎・監修」「新宿PLAYMAP 1969 12月号」を計309円で購入する。
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2017年08月21日

8/21大阪・高円寺・知立!

午前中のうちに選び抜いた三十冊ほどの古本を箱詰めして、大阪に送り出す。現在『梅田蔦屋書店』で開催中の「夏の古書市2017」への追加補充である。香山滋「怪異馬霊教」式場隆三郎「二笑亭奇譚」赤瀬川原平「櫻画報永久保存版」小津安二郎「お茶漬の味 他」当時ものリーフレット「哈爾浜」などが含まれていますので、どうぞお見逃しなく。しばらくしたら古書コンシェルジユの手を経て、棚に並ぶことになると思いますので、西の方々に引き続きお気にかけていただければ幸いです!

重い古本から解放されて、テクテク歩いて高円寺パトロール。「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)では店頭から二冊を掴んで中に入ると、店主の粟生田さんは、まるで料理か洗濯物を干している時のように、店内BGMに合わせてハミングしながら古本を結束しているではないか。他に店内で歌う人と言えば、神保町の「三進堂書店」(2009/04/07参照)店主を思い出してしまう…後はちょっと違うが、「青聲社」(2011/10/17参照)店主の口笛演奏がそれに近いか…。集英社「名探偵クマグスの冒険/東郷隆」奇想天外社「サタデイ・ナイト・ムービー/都筑道夫」を計200円で購入する。その後は何も買えないのが連続し、結局「アニマル洋子」(2014/03/14参照)まで行き着いてしまう。宇宙船文庫「東宝特撮映画2ポスター全集/構成・竹内博」(“2”なので、東宝特撮映画のB面的作品を収録。ポスターがすべてポストカード化された硬い文庫本。「獣人雪男」も載っている)を100円で購入する。

さて、そして少し先の話ではあるのですが、今年になって愛知県の本屋さん「正文館書店本店」が目出度い創業百周年を迎えています。それを記念して、かなりの長い期間、様々なイベントが多数開催されるのですが、その中のひとつ「一箱古本市in正文館書店知立八ツ田店」に遥々参加させていただくとともに、当日はあまりにも畏れ多過ぎる目黒考二氏とのトークショーも行うことと相成りました。今後もことあるごと宣伝して行くつもりですが、まずは少しでもみなさまの心に情報がわだかまるよう、お知らせした次第であります!

★一箱古本市in正文館書店知立八ツ田店
■11/11(土)第2駐車場(雨天時は店内カルチャースクエア))
■10:00〜14:00

★THE対談 目黒考二×小山力也(古本屋ツアー・イン・ジャパン)
■11/11(土) 14:00~15:00 トークショー 15:00~15:30 サイン会
※一箱古本市の一環として開催します。
■第二駐車場にて(雨天時は入口特設会場)
■予約は、インフォメーションカウンター、またはお電話にて承ります!。
正文館書店知立八ツ田店 知立市八ツ田町曲り57-1
TEL0566-85-2341 10:00~22:00 年中無休 http://www.shobunkanshoten.co.jp
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2017年08月20日

8/20三井信託文庫?

今日は夕方に世田谷の千歳台に流れ着いたので、千歳船橋駅までテクテク歩く。駅近くのコンビニで、お坊さんがカップラーメンを立食いしながら缶チューハイを呷る光景に度肝を抜かれる。一駅移動して経堂で途中下車。「大河堂書店」(2009/03/26参照)にいそいそと向かう。店頭店内をいつものようにじっくりと観測する。おっ、今日はご婦人だけではなく、若い頃の植草甚一似店主も店内に姿を現している。今日は単行本に食指の動くものはなく、レジ周りも何だかおとなしい。そこで文庫棚に照準を合わせ。さらにじっくり端から端まで目を凝らしてジリジリ移動する。結果、アテネ文庫「朝/織田作之助」三菱信託文庫「暮し切りかえ読本 明日に向かってトライしよう」を計510円で購入する。人文系中心のアテネ文庫に織田作之助が収録されてたんだと軽く驚きつつ(織田が学生時代に書いた戯曲である)、見事に岩波文庫“赤”に擬態した『三菱信託文庫』は面白い収穫であった。ご丁寧にオリジナルパラフィンも掛かっているが、全64ページとだいぶ薄手の、様々な財産運用と人生の利口な楽しみ方を提案する銀行のパンフレットなのである。鈴木義司の四コマ漫画を多数掲載。文庫と名の付いている限りは、“文庫スキー”のあの方が持っていなかったら、いずれ献上しなければ…。
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2017年08月19日

8/19古本屋さんで雨宿り

今日は石神井公園に流れ着いた途端、大粒の雨がボタボタ落ち始め、激しい本降りとなる。その雨にもめげず、シャボン玉を飛ばして遊び続ける親子三人が、次第にたがが外れたように奇声を上げ始め、土砂降りの中ではしゃぎまくり動物的に解放されて行くのを目撃…う〜む、何だか涙が出るほど美しい。てなことに見蕩れていると、傘を差していてもたちまちずぶ濡れになって来たので、急いで石神井公園駅方面に急行する。靴の中がたちまち海のようになり、頭上では雷光と雷鳴がタイムラグなく発生し続けている。仕舞いには巨大な神がまるで巨大な蛍光灯を点けたり消したりしているような、異常な状態に。練馬って、いっつもこんな感じなのか…。雷鳴がもはや“ゴロゴロ”ではなく、“ドッカン”“ガッシャン”と自動車事故のような音を立て始めたところで、駅南口の「草思堂書店」(2008/07/28参照)にたどり着く。
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びしょ濡れの下半身で店内に逃げ込み、冷房に震えながら一安心する。お客は私一人で、濡れた靴音を微かに響かせながら、店内をゆっくりと一周する。それでも、雨と雷は収まる気配がまったくない。辛抱してさらに二十分近く様子を見るが、表は雨に煙ったまま…。あきらめて評論社「ビッケと赤目のバイキング/ルーネル・ヨンソン」(箱ナシ)を300円で購入し、再び身体を派手に濡らしてしまい、雷に首を竦めながら石神井公園駅。駅前はたくさんの人が雨宿り&途方に暮れており、ちょっと非日常的な光景となっている。そんな中、駅舎下に滑り込んで来たバスに乗り込み、またもや冷房に震えながら無事に阿佐ヶ谷に帰り着く。
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2017年08月18日

8/18古本屋さんに売りに行ったり買ったり補充したり。

先日手に入れたラコステの本(2017/07/13参照)と、部屋内のそこかしこから発掘されたファッション関連の本をひとまとめにして、白楽の「Tweed Books」(2015/07/10参照)を目指す。とにかく門外漢であるファッション関連本は、応援する意味も込めてツイードさんに買い取ってもらうことに決めているので、神奈川くんだりまで出かけるのは決して苦ではない。車中の読書は宣言通りに「風の歌を聴け」である。やはり映画のイメージにだいぶ引き摺られながら、半分を読み終えたところで白楽着。テクテク歩いて店前にたどり着き、今更ながら『古本屋さんらしくなったなぁ』と感じ入り、店頭ワゴン&棚をチェックして店内へ進むと、おぉっ!平日午後一時なのに、お客さんが四人もいるじゃないか!と失礼な驚きで口元を緩め、ファッション関連を揺るぎない核にしながらも、バラエティ豊かになり、棚も本の量も厚みを増した感のある店内を回遊する。思えばこの場所に開店してもう二年が経つのだ。古本屋らしさを増すのも、当たり前の話である。二冊の絵本を掴んで帳場に差し出し、同時に買取も依頼しつつ店主にご挨拶する。ラコステ本と「原宿ゴールドラッシュ」を喜んでもらい、買取成立。福音館書店 こどものとも355号「やぎのはかせのだいはつめい/槇ひろし」(大名作「カポンをはいたけんじ」の著者による、一歩間違えばマッドサイエンティストとなりかねない、優しさ溢れるやぎのはかせの発明披露絵本)年少版こどものとも99号「かさ/松野正子さく 原田治え」(イラストは『OSAMU GOODS』の原田治である。可愛くクオリティ高し)を計600円で購入する。
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お店を出た後は、最近閉まり気味と噂の「鐵塔書院」(2008/08/15参照)に行ってみると、よかった、しっかりと営業中。だが店内に入ると、パラフィンに包まれ整然としている本たちは相変わらずなのだが、通路に結束本が積み上がり、棚の下部が見られないところが多くなっている…くぅ、残念だな…。創元推理文庫「女魔術師 /ポワロ&ナルスジャック」(初版だが厚着カバーはナシ。愛読者カードアリ)を300円で購入する。

神奈川にサヨナラして西荻窪へ向かう。その間の車中で「風の歌を聴け」読了。何故、大森一樹は『ジェイズ・バー』のマスター“ジェイ”に坂田明をキャスティングしたのか…そればっかりが気になってしまった…。そんなことに思考を支配されながら、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)で「フォニャルフ」に補充する。帳場には、横田順彌氏と北原尚彦氏の古典SF&奇書SF研究師弟コンビがいらしたのでご挨拶。色々お話を聞かせてもらう中で、北原氏が「そうだ、持って来れば良かったな。大正時代の探偵文庫「要塞の秘密」。怪しい匂いがしたので買ってみると、シャーロック・ホームズの「海軍条約文書」の、書誌にも載っていない翻案だった」と勘で本を買い見事大当たりのエピソードを披露すると、すかさず横田氏が「俺も明治本の「はねこ夫人」(すみません、マニアック過ぎて、正確な表記が分かりません…)を怪しいと思って買ってみたら、見事にSFだったもんなぁ」と感慨深く同様の超絶エピソードを披露。“怪しい”という勘だけで古本を買う師弟!この師匠にしてこの弟子ありの、誠に麗しき師弟関係を目の当たりにする。話は流れて横田氏が「小酒井不木の作品に、ノロマと常に蔑まれてる眼科医助手が、教諭と患者に同時に復讐するために、手術の時に◯◯と◯◯の◯ーゼを入れ替える話があったよな。何だっけ?」に対して思わず「『恐ろしき錯誤』ですかね」と言ってしまうが、これは大勘違いの、乱歩作品でありました。…すみません…。「確か『痴』が付くんだよな…」の言葉を覚えておいて、家に帰り着き、奥付と最終ページの一部が切り取られた(T蔵書ではない)、以前500円で買った春陽堂創作探偵小説集「恋愛曲線/小酒井不木」を掘り出して、目次に“痴”の字を探す。すると49ページに“痴”が旧字表示の『癡人の復讐』という作品があり、内容はまさに横田氏の語ったストーリー。…ふぅ、ここまで含めて、すべてに古本の絡んだ、真夏のとても楽しいひと時であった。
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2017年08月17日

8/17刹那の邂逅と発見。

夕方に出先から阿佐ヶ谷に戻って来ると、北口アーケード商店街で、向こうからやって来る夏葉社・島田氏に気付いたので擦れ違い様の挨拶を交わし、立ち止まることなくそのまま別れる。刹那の邂逅であった。その一瞬の擦れ違いに何だか勝手にインスピレーションを得たので、アーケード内の「千章堂書店」(2009/12/29参照)前で立ち止まり、店頭右側の100均単行本をチェックしてみることに。九割方は変わりないのだが…そんな本の列の上に、村上春樹「風の歌を聴け(新潮社)」がゴロリ…『群像新人文学賞受賞』の帯が付いている。これが初版だったら素晴らしいのだけど、と手に取り奥付ページを開いてみる。あっ、『一九七九年七月二五日 第一刷発行』…つまりは初版じゃないか!途端に願いが叶ったことに、充分な幸せを感じ入る。本は天が少し経年の埃で汚れているくらいで、状態は極めて良好。太田出版「完全自殺マニュアル/鶴見済」とともに計200円で購入する。「千章堂」さんはしっかりチェックしていると、時々こういう思わぬプレゼントを掴ませてくれるなぁ…。ちなみに私は村上春樹を一冊も読んだことがないのであるが(「風の歌を聴け」は大森一樹監督のATG映画で見たことがある。主演は小林薫で、鼠役・巻上公一の映画内映画が面白かった記憶が…)、これはようやっと、読む日が来たということか。つまりはこの本を、ただ価値のある古本として買っただけなのだが、それが“読む”という本が本来の役目を果たす行為により、一歩踏み込んだ新たな関係性を、その古本と結ぶことになるのである。せっかくの刹那の邂逅が齎した、刹那の発見。その体験も加味して、この掘出し物をじっくりと楽しむことにしよう。
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2017年08月16日

8/16今日も家の古本山を掘る。

今日は三鷹と吉祥寺の間に流れ着いたので、吉祥寺へとトボトボ向かい、いくつかの古本屋さんを覗き込んでみるが、気分が乗らぬためまるで成果ナシ。古本を買えないと、どうしてもこうも荒んだ気持ちがイガイガと湧き上がって来るのか…。阿佐ヶ谷でも古本屋さんを伝いながら家に向かうが、定休日とお盆休みが多いため、こちらでも何も買えずに帰り着いてしまう。あきらめておとなしく届いていた仕事をこなした後、よっしゃっ!と気合いを入れて、大阪に送る追加補充本を作るため、仕事部屋左側手前の難攻不落の古本山の採掘作業に取りかかる。…ここだけは今までの古本販売や一人古本市でも、下層まで到達したことはなかったのだ…何が出て来るか非常に楽しみであるが、縦横手前奥と立体的に各々が支え合うように古本が積み上がっているので、さて何処から手をつけたら良いものやら…。まずはとにかく上半分(ここはわりと本を探しやすいので、出入りが頻繁なのである)を退かすことにする。仕事部屋には鍵型の極狭けもの道しかないので、バンバン隣接するキッチンに運び出し、下半分をとにかく露出させることに集中する。二十分ほどで七本の古本タワーを作り出すと、およそ六年は手つかずの古本層+かつての新刊層が見えて来た。ほとんどが単行本と写真集&デザイン関連である。だから、重い。掘り出すのに、手間がかかる。掘っても掘っても、闇のように本が出て来るる出て来る…まるで底無し古本沼である。おぉ。井上青龍や鈴木理策も出て来た…これは取っておくか…。
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掘り出しながら、本を選別し、後にドシドシ積上げて行く。そしておよそ一時間半で作業は終了。すっかり疲労の極みに達してしまったのだが、販売用の本をまとめた後は、動かした古本を再び堅牢に積上げねばならぬのだ…。結果山の高さは変わらぬが、少し厚みが減少した…通路が広くなったぞ。ウフフフ…。そんな束の間の肉体労働の最大の喜びは、フィルムアート社「特撮と怪獣/成田亨」を発掘したことのなのだが、これは確か遥か昔になくなった「阿佐谷南口駅前のふるほんや」(2008/05/29参照。2008/05/28に閉店したのか…)で安値で見つけた掘出し物のはず…と後見返しを見てみるが、値段も書いてなく値札もなく、痕跡はゼロ。う〜む、残念だなぁ、と思いつつ諦め切れずにパラパラ本を見ていると、何と前の見返しに値段札上部の古本屋ラベルが残っているではないか!まるでつい昨日購入したかのような、ピンと張ったラベル…これが写真以外に唯一手元に残った、お店の確かな名残なのである。
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2017年08月15日

8/15火曜日にクルトと出会う

先日三鷹台の「獏の店」を訪ねた折(2017/08/06参照)、オッチャンの方から『ちひろ美術館』の招待券をいただいていたので、上井草まで観に行くことにする。現在開催中の『奈良美智がつくる茂田井武展』は8/20(日)で終わってしまうので、茂田井にぞっこんな身としては、決して見逃すわけには行かぬのである。親切に連続する電信柱の案内に導かれ、無事に住宅街の中に佇む瀟酒な小美術館に到着する。老若男女で賑わう一階二階の展示室で、素朴で心がフツフツ優しく醗酵してしまう、戦前〜戦後の絵本原画やスケッチ風カラー水彩画を存分に楽しむ。名作「セロひきのゴーシュ」も展示されているとは!だが二階で茂田井の年表を見ていると、1935年に『新青年』掲載の横溝正史「かひやぐら物語」に挿絵を描いて初めての画料を得たことや、小栗蟲太郎「廿世紀鉄假面」に独特な挿絵を描いたことで評判を得たことなどがしっかり書かれており、おかしなところで探偵小説好きの血が大騒ぎしてしまう。

せっかくここまで出て来たので、雨は降ったり止んだり強くなったり弱くなったりを繰り返しているが、東村山「なごやか文庫」(2012/01/10参照)まで足を延ばし、安値の古本を漁って行くことにする。各駅停車でノロノロ西東京方面へ向かい、まだお盆休みの雰囲気が濃い人影の少ない街を線路沿いに進んで、文庫着。誰もお客はおらず、しかも無人販売時間帯の店内では、結束本のセールが行われている。右壁棚に妙に七十年代の推理小説や時代小説が多いなと思いながら、激安本を次第に一冊二冊と手にして行く。すると左奥の児童文学コーナーに、十冊強の偕成社文庫が固まっているのを発見する。余りお目にかかれぬ珍しい光景…と左から右に視線を移動させて行くと、いよぉっ!「水曜日のクルト」があるじゃないか!今日はこの本に呼び寄せられて、俺はここまで来たのだな。そう妄想して無人レジに向かい、各本からそれぞれ値札を引き出し、計算をした後に代金を料金箱に落とし込む。偕成社文庫「水曜日のクルト/大井三重子」「燃えるアッシュ・ロード/サウスオール作」新潮社「恋紅/皆川博子」「襤褸/木野工」トクマブックス「野球はアタマや/江夏豊」福音館書店「年少版こどものとも ずかん・じどうしゃ/山本忠敬さく」を計430円で購入する。まさか雨の火曜日に「水曜日のクルト」に出会ってしまうとは…。そう言えばこの童話集には「血の色の雲」という、大井三重子=仁木悦子自身の、兄の一人を戦争で失った体験を元にした、悲しい物語が収録されている。終戦記念日に読むに相応しい、主人公の少女が次々と戦地に赴く親しい人たちに放つ「ころさないで、死なないで」の悲痛で切実な叫びを心に響かせ車中読書しながら、帰るとしよう。それにしてもこの偕成社文庫のクルトを買ったのは何冊目だろうか…いつの日か、東都書房のオリジナル・クルトも、何処かで大発見したいものである。
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そして明日から大阪駅駅ビルのひとつ『ルクア イーレ』九階「梅田蔦屋書店 4thラウンジ」壁面で始まる「夏の古書市2017」も、何とぞよろしくお願いいたします!
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2017年08月14日

8/14古本市の奇妙な成果

昨日NHKの午後六時台のニュースを見ていると、「渋谷大古本市」(2014/08/14参照)の様子が突然流れ始めた。一瞬映し出された、日本近代文学古書が大量に並ぶ「中村書店」(2008/07/24参照)の台に古本脳を撃ち抜かれ、本日午前十時過ぎに『東急東横店西館』八階の催事場に駆け付ける。開店直後の人影が疎らな左端通路から、古本群に視線を照射し始める。このくらいなら、楽に見られるなぁ〜と思っていると、中央通路にたどり着いた辺りで、いつの間にか会場が混雑し始めたことに気付く。…やはりこうなるのか…。と、譲り合い争い合い気をつかい合い火花を散らし合い、今日買うべき一冊を探し求める。「中村書店」の並びは物凄く幸福な並びであったが、値段がビシッとしているので、目玉を楽しませていただくだけに留まる。ジリジリ移動して、何冊か欲しい本に目星を付けているのだが、決定打というわけではないので、とにかく最後まで見なければ気が済まない。そして「九曜書房」(2009/03/26参照)の薄暗い台下に視線を落とした時、煤けた厚めの仙花紙本の背に『浅原六朗』の名が浮かび上がっているのを目ざとく発見。素早くしゃがみ込んで引き出してみると、あおぞら出版社「欲情の果/浅原六朗」であった。値段を見ると500円なのでほくそ笑みながら抱え込む。これさえ手に入れば、もうここに来た使命は全うされた。そう余裕綽々の気分になり、後の台は気楽に流し、一時間強で会場を見終えて、精算待ち列の最後尾につく。ところが、今日の獲物を改めて眺めていると、奥付はあるのだが、最終の何ページかが落丁していることが判明する…なんてことだ。だからこんなに安かったのか…だがそのまま、何はともあれ浅原六朗なのだと、あやふやな欲望を胸にうやむやに抱いてそのまま購入する。市は明日15日(火)まで。

そんな冴えない感じであったが、実は気になったことがひとつ。それは「アート文庫」の棚で見た、箱ナシの児童文学本、太平出版社「けむりの家族です/杉山径一・作 池田龍雄・絵」が心に引っ掛かったので手に取ってみると、驚くことに五桁の値が付けられている。何故引っ掛かったかと言うと、ボンヤリとこの本を持っている気がしたからである。だとしたらとてつもなくラッキー!急いで家に戻り、キッチン隅の古本山をガシガシ掘り返すと、やはり同じ本がちゃんと箱付きで発見された。今年の四月あたりに「盛林堂書房」(2012/01/06参照)の100均棚から、見たことがない上にSFっぽさが漂っていたので、何となく購入していたのである。だからもちろん読んではいない…。調べて行くとやはり裸本でも五桁の値が付けられている。なんでこんな値段なのだろう?驚きつつ喜びつつさらに調べを進めてみるが、この本が何故高値なのかがまったく判然としない。う〜む、恐らく絵を描いてるのが、現代美術家の池田龍雄だからではないだろうか(どなたかご存知の方がいましたら、ご教授を!)。せっかくなのでこれを機会に読み進めてみると、寄る辺ない不思議な家族と団地の子供を主人公に、家族の父が宇宙から受け取った電波に応えるために、赤いのろしでUFOを呼び始めるSF一歩手前の展開で、確実に読んだ児童の心にぽっかりとした喪失感&宙ブラリ感を生み出す、小トラウマとなるであろう面白い物語であった。古本市に出かけたことにより、初めて積ん読にしていた本の価値を知り、しかも読了してしまう奇妙な成果。そんな、時間差で時限爆弾的に生まれた突然の喜びに、盛大に乾杯!
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2017年08月13日

8/13東京・新宿 花園神社骨董市

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午前七時前の新宿駅東口駅頭は、爽やかな朝の光に包まれながらも、どこか饐えた匂いを漂わせ、夜を街で明かした疲れた顔の人たちが、数少なく帰路に着いている。鳩が路上にゴミを漁り、『靖国通り』にはタクシーを捕まえるために、間隔を置いて手を挙げる人々が目に留まる。ようやく長い夜が終りを告げ、朝に入れ替わり、新たな一日が始まろうとしているのだ。そんな街中をヒタヒタと影のように歩き、『靖国通り』沿いの『新宿五丁目交差点』が目前に近づいた、ビルの谷間の『花園神社』参道前に立つ。その狭い入口両脇には『骨董市』の幟が、頼もしくはためいている。薄暗い参道に踏み込むと、すぐに両側に骨董露店が並び始める。だが、午前六時からのスタートなのに、まだ準備中のお店が四分の一ほど見受けられる。骨董市には、なるべく開始時間に駆け付けるのが良いそうである(もしくはお店の常連で可能なら、もっと早く準備時間中から顔を出し、品定めが行えることも…)。だが余りに早過ぎるとお店が始まっていないことも多いので、早く来て、なるべく長く市に腰を据えて、次第に開店して行くお店も徹底的にチェックするのが、効率の良いパトロール方法かもしれない…(もちろん達人や常連さんは、お店の市での大体の開店時間を熟知しているのだろう)。おっ!早速入って数歩の右手に、紙物&古本を二十ほどのダンボール箱に収めたお店があるではないか!箱横のテントの下では、常連さんたちが車座になり、絵葉書や手紙の念入りな品定めを進行させている。シートの上に上がり込んで、色紙・和本・漫画雑誌・手紙・教科書・古写真・地図・雑誌・古本などなどの箱を、すぐに群れよる蚊を警戒しながら、丁寧に漁って行く。むぅ、本当だ。早いと結構良いものが出て来るものだ。そんな風に胸をトキめかせながら、映画ポスターが重なり寝そべる長テーブルを回り込み、端に置かれたダンボールも覗き込んで行くと、常連さんのひとりが近寄り「その辺のは、もう箱ごと買い手がついてるものですよ」と優しく諭してくれた…すげぇ、箱買いか…。結局三冊を手にして、誰が店主か分からぬのだが、「これ、お幾らでしょうか?」と車座に声をかけ、奥の人に手渡す。するとみんなで相談しながら「千円くらいか?」と値付。と言うわけで、誠文堂「子供の科學 昭和六年五月号」龍河洞保存會「天の降り石」(昭和二十二年発行の高知県の鍾乳洞『龍河洞』を紹介する小冊子。平面図・洞内写真・探勝案内・洞内の生物&水質研究など、洞窟大好き人にはたまらない一冊!)日本週報社 週報文庫「ヂーキル博士とハイド氏/ステイブンソン著 田中宏明譯」(今日一番の収穫。昭和二十三年刊の、文庫サイズ横開き本。表紙には週報社社長からの贈呈印あり。口絵グラビアは野口久光画!この文庫は巻末広告を見ると、他に七冊が確認出来る)を購入する。すでに役目を果たした開放的な気分になり、石畳の脇参道を抜け出し、本社前のメインの明るい参道に抜け出る。露店は全部で三十ほどであろうか。その中のご婦人の出されている平台に、古い大正時代の医学雑誌が一冊500円で売られているのを発見する。パラパラ捲ると、田中香涯がどの号にも激しく寄稿している。何か他に面白い人は書いていないかと、目次をひたすら確認して行くと、何冊目かで小酒井不木の『醫学に関する初版本』という記事にたどり着いたので、喜んで購入することに決める。醫文藝社「醫文學 第十一號」を購入。満足して参道を抜け出すと、午前八時の新宿は、先ほどまでの疲弊した物憂げな感じは何処へやら、いつの間にか激しく運動を開始していた。ビルに運び込まれる物流、町に流れ込む働きに出て来た人々、ビル下にとぐろを巻く謎の行列。動き始めた街路を後にして、驚くほど空いた電車で家へと戻る。
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posted by tokusan at 10:37| Comment(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする