2025年09月01日

9/1朦朧としていたので。

九月も引き続く気配の酷暑に辟易しながら、下北沢の丘の上に流れ着く。フラフラ朦朧としながら、若者と外国人で賑わう『下北沢南口商店街』に出て、坂道を駅まで遡上した後、『茶沢通り』に出て「古書ビビビ」(2009/10/15参照)を訪う。店頭棚を順繰りに見て行くと、店頭を利用してお洒落写真を撮っていた女子たちに邪魔者扱いされるが、負けるものか!とすべての棚に目を通し、一冊掴んで店内に進む。すると入って右側奥のSF棚の端っこに、毎日新聞社 毎日新聞SFシリーズ8「美女の青い影/平井和正」が並んでいるのに気付いてしまう……おぉ、平井和正のジュブナイル!しかもちゃんとカバーが付いていて六千円……これは安いのではないだろうか?そう疑問を抱くと同時に、すっかり朦朧が継続していたので、いつの間にか帳場に差し出してしまっていた。いやぁ、これは仕方ないですな。暑さに朦朧としていたんで、仕方ないですな。と、朝日ソノラマサンワイドコミックス「悪魔くん(全)/水木しげる」とともに計6250円で購入する。
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朦朧としていたので、『茶沢通り』交番前のベンチで記念撮影する。本の上に掛かる黒い線は、ベンチ脇の夏草である。
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2025年08月31日

8/31リストを作ってみた。

筑摩書房「犬の生活/小山清」を読んでいると、『遁走』という一文に「新青年」が出て来てニヤリとさせられる。二十四歳の時にとある事情で家出した小山清が、成田の宿屋で女中に近所の本屋に「新青年」を買いにいってもらい、寝床で探偵小説を読むというくだりである。小山が二十四と言えば昭和十年なので、まだまだ「新青年」には探偵小説が載っていた時代なのである。そんな小さな発見をしながら、朝から某フェア用の古本を仮箱詰めした後、午後に連載の取材に出かける。だがその前に、その「本の雑誌」の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』は、すでに九十三回を数えているので、そろそろ今まで訪ねたお店をちゃんとリスト化しておかないと、うろ覚えだけでは同じお店を二度取材してしまう怖れが……というわけで、焦ってリストを作成。それが以下である。

第一回 キー・ラーゴ 第二回 港文堂書店 第三回 なごみ堂 第四回 江口書店 第五回 九曜書房 第六回 第一書房 第七回 善行堂 第八回 秀文堂書店 第九回 ささま書店 第十回 ほん吉 第十一回 古書現世 第十二回なごやか文庫 第十三回 祖師谷書房 第十四回 ひとたな書房 第十五回 松村書店 第十六回 古書サンカクヤマ 第十七回 アカシヤ書店 第十八回 ポラン書房 第十九回 日本書房 第二十回 りんてん舎 第二十一回 まんだらけ海馬 第二十二回 竹陽書房 第二十三回 ネオ書房 第二十四回 井草ワニ園 第二十五回 アニマル洋子 第二十六回 よみた屋 第二十七回 大河堂書店 第二十八回 活刻堂 第二十九回 一日 第三十回 尾花屋 第三十一回 文林堂書店 第三十二回 千章堂書店 第三十三回 古書コンコ堂 第三十四回 古書ワルツ荻窪店 第三十五回 古書クマゴロウ 第三十六回 盛林堂書房 第三十七回 貝の小鳥 第三十八回 七月堂古書部 第三十九回 古書西荻モンガ堂 第四十回 浅草御蔵前書房 第四十一回 七七舎 第四十二回 竹中書店 第四十三回 ブックオフ高田馬場北店 第四十四回 佐藤書房 第四十五回 古本のんき 第四十六回 星野書店 第四十七回 ぶっくめいと 第四十八回 司書房 第四十九回 朋翔堂 第五十回 坂本書店 第五十一回 西田書店 第五十二回 羊頭書房 第五十三回 太平書林 第五十四回 中村書店 第五十五回 地球堂書店 第五十六回 たなべ書店 第五十七回 古書ソオダ水 第五十八回 古書明日 第五十九回 古書瀧堂 第六十回 豊川堂 第六十一回 古書往来座 第六十二回 Los Papelotes 第六十三回 古書音羽館 第六十四回 古書十五時の犬 第六十五回 文紀堂書店 第六十六回 rythm_and_books 第六十七回 古書 鮫の歯 第六十八回 かすみ書店 第六十九回@ワンダーJG 第七十回 尚学堂書店 第七十一回 あしたやみどり 第七十二回 平井の本棚 第七十三回 MainTent 第七十四回 しまぶっく 第七十五回 ゆうらん古書店 第七十六回 みわ書房 第七十七回 旅猫雑貨店 第七十八回 喇嘛舎 第七十九回 古書うつつ 第八十回 西村文生堂 第八十一回 板橋書店 第八十二回 古書 防破堤 第八十三回 根元書房日芸前店 第八十四回 天保堂刈部書店 第八十五回 Eurekabookstore 第八十六回 @ワンダー 第八十七回 西部古書会館 第八十八回 二朗書房 第八十九回 古書ドリス 第九十回 にわとり文庫 第九十一回 古書柴崎 第九十二回 まるや 第九十三回 藤井書店

ほぼご近所の古本屋さんだけでよくもまぁ、という感じである。なくなったお店もチラホラあるのが悲しいが、まずは百回目指して引き続きがんばらねば。というわけで連載の取材を無事に済ませてから、今日も高円寺「西部古書会館」(2008/07/27参照b)に足を運び『杉並書友会』二日目を覗く。スマートに素早く一巡りし、日本ヘラルド映画「デルズ・ウザーラ」映画パンフと大陸書房「日本の怪奇 日本列島の四次元地帯/松岡照夫」を計500円で購入して帰宅する。
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本日は写真的トピックが皆無だったので、台所の片隅にある古本分母の残骸と仮詰め古本箱の写真をどうぞ。
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2025年08月30日

8/30悔しいので対策を講じてみる。

午後二時半に“東京のへそ”と言われる『大宮八幡宮』前に、今年の東京最高気温にすっかりへばって流れ着いたので、タイミング良く永福町からやって来た関東バスに飛び乗って、一気に高円寺駅南口に出る。そして「西部古書会館」(2008/07/27参照)の『杉並書友会』一日目を覗く。先客の間を巧みに擦り抜けながら、通路を一巡……「茶々文庫」(2009/04/21参照)が小型の昭和初期探偵小説集をたくさん安値で並べているな……と見事に惹き付けられ、博文館「世界探偵小説全集1 古典探偵小説集/田内長太郎・田中早苗編」(函ナシ)をセレクト。他に、ミリオン・ブックス「自動車への小隊自家用車入門/岩崎武司」講談社X文庫「プロジェクトA 子/文・川崎智子」桃源社「地底大陸/蘭郁二郎」新風出版社「一〇〇万人の映画館特集版 古典新作お笑い落語競演会 追篇 東西漫才人気コンビ熱演会」(この追篇がキモで、“中田ダイマル・ラケット”“鳳啓助・京唄子”“晴乃ピーチク・パーチク”“横山エンタツ・アチャコ”(これは古典漫才)などが載っている!)春陽堂長編探偵小説全集10「支倉事件/甲賀三郎」とともに、計1800円で購入する。良い探偵小説が安値で買えて嬉しいなと、またも灼熱の『早稲田通り』を気を確かに持ちつつ帰宅する。
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暑い夕暮れの探偵小説である。

そして家では、前日購入した一枚足らずの「内田善美 自選複製原画集」の、ある対策を講じる(あまりにも悔しかったので)……上手く行けば良いのだが……いや、上手く行ってくれぃ!
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2025年08月28日

8/28一枚足りない……。

午前十一時に吉祥寺と西荻窪の間の吉祥寺東町に流れ着く。一瞬西荻窪に行こうと思ったが、この時間じゃまだ「古書音羽館」(2009/06/04参照)が開いてないか……というわけで、二日前に訪れたばかりの吉祥寺に向かい。「よみた屋」(2014/08/29参照)の店頭を眺める。ほほぅ、たった二日で結構な変化が生まれているなと気付き、日本交通公社「怪物ネッシーを見た!? ネス湖のミステリーを解く/エルウッド・D・バウマン」東京朝日新聞社「十一時五十八分 懸賞震災實話集/震災共同基金會編」東京新聞「シュールレアリスムの巨匠たち展」を計330円で購入する。そんな収穫を得て、駅から中央線に乗り込み、次は一気に新宿を目指す。地下街『サブナード』で、今日から「第55回 古本浪漫洲 Part.1」(2010/03/04参照)が始まっているはずだ。新宿で、地下の改札から『ベルク』前の階段を下り、丸ノ内線改札脇を擦り抜け、さらに深い『サブナード』への一列エスカレーターに乗り込む。そして『ジャングルスカイ広場』にたどり着き、古本を楽しみ始める。帳場には「中央書房」の若旦那が座っていたので、遠目に挨拶を交わす。その直後、映画パンフレットのワゴンに、白泉社 チェリッシュ・ギャラリー「内田善美 自選複製原画集 少年たちの記憶」が紛れているのを見つけてしまったので、即座に千五百円で購入する。購入しながら中央書房若旦那と、「まさかここで会う日が来るとは」(いつも会うのは「西部古書会館」なのである)と笑い合う。ところで大喜びで買った「内田善美 自選複製原画集」であるが、家で確認したところ、全十二枚のうち、一枚足りないのであった……ガックシ。みなさま、こういう数ものは、慌てずによく確かめてから買いましょう。まぁでも、足りないのがその場でわかっても、この値段なら多分買っていたはずである。
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というわけで、この三店が今日の主だった収穫である。内田善美の欠けている一枚は、箱の表紙に使われている一枚である。「怪物ネッシーを見た!?」を店頭で買えたのは、ささやかにラッキーであった。
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2025年08月27日

8/27三十七年前のゲーム攻略本。

古本分母を増やすために家内をあちこち探索していたら、懐かし過ぎるものが出て来た。ケイブンシャの大百科別冊「ファミリーコンピュータ ゲーム必勝法シリーズ68 源平討魔伝」である。1988年刊の、ナムコのファミコン用ロールプレイングゲーム「源平討魔伝(主人公は平景清。魔物を操り日本を支配する源頼朝を倒すため、諸国を経巡るゲーム)」の攻略本なのだが、まだ大学生の時に潜り込んだ編集プロダクションで、一番最初に編集アシスタントを務めた本なのである。後半のモノクロページに、フィールドのイラストマップが掲載されているのだが、写植屋に泊まり込んで版下の最後の修正をしている時に、コピーを取っていたら、ペーパーセメントの粘着力が弱く、貼付けてあったイラストがポロポロ落ちる小惨事が発生。それを目撃した版下屋さんに「大丈夫ですか?」と本気で心配された思い出が……くぅ、懐かしいなぁ。何と今やこの攻略本も、プレミア値が付いてしまっているのである。今度の某フェアで、安めに放出するか……果たして売れるだろうか?
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そんなことを計画しながら、本日は午後一時に青山と広尾の間に流れ着く。様々な学校の巨大な敷地の合間を抜けて『青山通り』に出て、詩獣の整地「中村書店」(2008/07/24参照)へ。草思社「津山三十人殺し 村の秀才はなぜ凶行に及んだか/筑波昭」竹書房文庫「カメラがとらえた!霊・超常現象/朝倉三心」大都社「日本発狂/手塚治虫」を計800円で購入する……なんか煽情的なタイトルと内容の本ばかり……すみません、次はちゃんと詩集を買いますので。
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2025年08月26日

8/26黒石の「峡谷行脚」。

連日の熱帯夜。夜中に何度も目覚め、冷蔵庫を開けて冷たい飲み物を飲み、熱中症を防いでいる。至極面倒くさく寝不足になる阿呆らしい行為であるが、冷蔵庫の灯りを浴びながら喉に流し込む液体の、なんと美味いことよ!楽しみにするくらい、とびきり美味いのだ!……もはや何だか本末転倒であるが、昨日はそんな飲み物に命を繋ぎ、午後一時過ぎに梅里に流れ着く。なので『青梅街道』を必死に伝って荻窪に出て、まずは「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)を覗く。店頭に、店奥にたくさん並んでいた登山関連古書がたくさん出されているのに気付く。帝國圖書普及會「峡谷行脚 附・山と温泉/大泉黒石」(裸本)少年チャンピオン・コミックス「百億の昼と千億の夜 1・2/原作・光瀬龍 絵・もはや“峡谷マニア”と言っても過言ではない大泉黒石が、実際に足を運んだ有名無名の日本全国の峡谷を、写真も豊富に具に紹介するなかなか愉快な一書である。萩尾望都」を計550円で購入する。昭和八年刊の大泉黒石「峡谷行脚」が嬉しい。
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さらに「竹中書店」(2009/01/23参照)で主婦の友社「どっきり花嫁の記 はは与謝野晶子/与謝野道子」を200円で、「岩森書店」(2008/08/23参照)で新潮社 とんぼの本「写真の見方/細江英公 澤本徳美」を330円で購入し、すっかりエネルギーが切れてしまったので総武線に飛び乗り帰宅する。そして今日は朝からボチボチデザイン仕事を進めながら、午後に用事で吉祥寺に出たついでに、古本屋さんに立ち寄る。「よみた屋」(2014/08/29参照)で外国文化社「ドン・フアン/松尾邦之助」を110円で購入。続いて「古本センター」(2017/03/06参照)で集英社 学習漫画「早わかり!警察のしくみ」(カバーナシ)を80円で購入し、少しだけ古本分母を増やして帰宅する。
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2025年08月24日

8/24まつりの始まる前に行けばいい!

朝からもう耐えられない暑さなので、外に出る気が失せてしまう。だが、日課として古本は買いに行かねばならない……そうだ!土日は騒乱狂乱の阿波おどりなので、高円寺には近付かぬようにしようと思っていたが、まつりで賑わう前の午前中なら、大混雑にも交通封鎖にも遭わずに「西部古書会館」(2008/07/27参照)にたどり着けるではないか!と遅ればせながら気付き、高円寺ですでに街を練り歩く太鼓行列や見物場所取りに余念のない人々を目撃しながら、午前十時過ぎの会館に突入する。「BOOk&A」展四日目である。ふぅ、涼しい。タラランと楽しく涼しく一巡し、杉山書店「人形佐七捕物文庫 角兵衛獅子/横溝正史」ケイブンシャの大百科別冊「エアソフトガンハンドブック」を計880円で購入する。当時物の『ウルトラセブン』のコミカライズムックがあったが、一万円……少し安めではあるが、先日ここで高い本を買ってしまったばかりなので、また散財するわけにはいかぬ、と泣く泣く諦める。
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というわけで、目的は達成した。グレープジュースを飲みながら灼熱の『早稲田通り』を家に戻り、ホッと一息。今日はもう後は、家内の古本山各所を発掘し、古本分母を増やすことにしようと、日和る。早速取りかかると、十冊弱を山の下層から掘り出すことに成功する。ほとんどがすでに忘れ去られていた死蔵本ばかりなので、何か新鮮である。
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2025年08月23日

8/23西荻窪で力尽きる。

正午過ぎに地元・阿佐谷北に流れ着いたので、まずは自宅に戻り小休止。午後二時過ぎ、少しの古本を携え、酷さを増す暑さに眩みながら西荻窪へ。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)で『フォニャルフ』棚に少量補充しつつ、宝石社「1962推理小説ベスト20 vol.1/日本探偵作家クラブ編」読売新書「意匠日記/谷口吉郎」筑摩書房「新版 私説東京繁盛記/小林信彦 写真・荒木経惟」を計300円で購入し、店主・小野氏に赤を入れた某冊子のゲラを渡す。上手く進行することを祈りつつ、すでに準備に入っている秋の青空古本市のラインナップの一部を見せてもらったりする(そして俺はこれをイレギュラーズ・エクストラとして恐らくたくさん売るんだな…と今から覚悟しておく)。さらに九月のイレギュラーズについてちょっと打ち合わせをした後、冷房が涼しいのでこのまま閉店までダベりたいところだが、勇気を奮い起こして辞去。体温のような熱気に晒されながら「古書音羽館」(2009/06/04参照)まで移動し、トランスアート「日本のイラストレーション50年」を400円で購入し、今日はこれで限界と、水シャワーを浴びるために帰宅する。ちなみに建築家・谷口吉郎の「意匠日記」は、稀代の狂建築『二笑亭』を学術的に考察する章『狂える意匠』あり。全6ページの巻頭モノクログラビアは、5ページが二笑亭の写真なのである。
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2025年08月22日

8/22中央通路で出会った本は。

朝から勤しんでいたゲラ読みが一段落したところで外出。阿佐ヶ谷駅前で用事をこなした後、高架下を高円寺に向かってテクテク進む。程なくして駅にたどり着き、「西部古書会館」(2008/07/27参照)に向かっていると、昨日同様道沿いにたくさんの人が腰を下ろしたり椅子を持ち出し座ったりしている……そうか、この人たちは、土日の阿波踊りに備え、見物の場所取りをしているのか。そんなことに今さら気付き、午前十時十五分の、昨日に引き続きの古書会館である。よっしゃ、今日もたくさん買って、古本分母を増やすぞ!と意気揚々と会館内へ。ところがそんな目論見は、中央通路で一冊の本に出会ったことにより、脆くも瓦解してしまったのである……であった本は、春秋社「探偵作家論/H・D・トムソン 廣播洲訳」である。昭和十二年刊で吉田貫三郎装釘の、探偵作家評論集である。ちゃんと函付きなのである。なのに五千円なのである。これは何はなくとも買わなければならんでしょう。そう即座に決め込んで腕の中に抱え込む。こんな高い本を買ってしまうんだ。本日はもう終了。古本分母を増やすのも中止である。だが、未練がましく棚を見て行ったら、講談社「探偵小説五十年/横溝正史」が帯付きで300円で並んでいるのを発見してしまったので、これぐらいなら良いだろうとまとめて購入する。
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……やってしまった。だが嬉しい!と二冊の函入り本の重みを喜ばしく味わいながら、すでに酷暑の『早稲田通り』を帰宅する。そして午後は某フェアのために精選古本箱を郵便局から発送す。これでおよそ三百七十冊か……ようやく先が見えて来た感じなので、引き続きがんばらねば……というか、だから古本分母を増やさねばならぬのに……。
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2025年08月21日

8/21こりゃぁ明日も……。

昨日は朝から真面目に懸命にゲラ読みを進める。だが午後に所用で下北沢に出たついでに、古本屋さんへ。「ほん吉」(2008/06/01参照)店頭にボクシング関連本が出されているのを見て色めき立ち、時事通信社「改訂増補 ボクシング百年/郡司信夫」ベースボール・マガジン社「日本プロボクシングチャンピオン大鑑/ボクシング・マガジン編集部編」東京創元社「タンゴ隨筆/高山正彦」を計330円で購入する。ボクシング本は、日本ボクシングの歴史と貴重な図版が大量に詰まった、ともに110円で買えたのが信じられない二冊である。ほん吉さま、ありがとうございます!さぁ、無事に古本は買えたし、家に早く帰って再びゲラに集中することにしよう……。
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そして本日は午後四時に陸の孤島的な向井台町に流れ着いたのだが、突然のゲリラ雷雨に見舞われ、にっちもさっちも行かなくなり、住宅街の植栽の蔭で豪雨を凌いでいると、すぐに通り過ぎると思っていた激しい雨足は、その勢いをまったく緩めようとしない…五分…十分……空しく、時が過ぎて行く。すると目の前の住宅の扉が突然開き、見知らぬ奥さまがこちらに近付いて来る。「何をしてるんですか?」と誰何されるのかと思っ大助かりです!と感謝感激し、素晴らしい親切を全身で受け止める。いや、世の中、捨てたもんじゃないですな。世界がこんな小さな優しさで包まれたなら、どんなに平和になることか。そんな風にゲリラ豪雨をどうにか凌ぎ、バスに乗って武蔵境駅に出て、中央線で高円寺へ。「西部古書会館」(2008/05/27参照)の『BOOK&A』初日を覗く。何だかサブカル濃度が高くて楽しいぞ!などと思いつつ、ガレージにたくさん出ていた百円の古い『かがくのとも』&『こどものとも』に興奮する。福音館書店 かがくのとも「ゆげ/大沼鉄郎文・小川忠博写真」「こっぷ/谷川俊太郎文・今村昌昭写真」「いとでんわ/小林実文・小林桜子え」「てとゆび/堀内誠一」誠文堂新光社「斎藤和典コレクション4 変身サイボーグ大百科」サンリオ「旅人くん 出会いあんど別れ/永島慎二」を計1140円で購入する。「変身サイボーグ大百科」と「ゆげ」が大きな収穫である。
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それにしても今回の「BOOK&A」は、まだまだ気になる本や欲しい本がたくさん……こりゃぁ、明日も迷わず来ることになりそうだ。
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2025年08月19日

8/19続・途方に暮れる男。

午前九時、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)シャッター前に姿を現し、盛林堂・イレギュラーズとなる。先週の『途方に暮れる男』(2025/08/12参照)の続き&決着をつけるため、軽ワゴンレンタカーを駆る小野氏の到着を待っているのである。ほどなくしてフミさんが、中からシャッターを開けてくれたので、強烈な陽射しから逃れ、冷房の効いた薄暗闇の店内にしばし宿る。そして到着した小野氏を迎え、機材を運び込み、いざ出発。お盆明のかなりの都市型渋滞に巻込まれながら、ご近所の現場アパートに到着。アパートの一室に踏み込むと、おぉっ!壁一面の本棚がほとんど空になっている!そして実家に運び込む本はすでにダンボール箱に詰め込まれ、買い取る本は床に山積みされている。本を愛し過ぎている『途方に暮れる男』は、途方に暮れるのを止め行動を起こし、いよいよ海外移住への大きな一歩を踏み出していたのだ……だが、それにしては床に積み上がった本が少なめ……対してダンボール箱の数が多いような……。「実家の本をほとんど処分してスペースを空け、多く運び入れられるようにしました」とのことであった。う〜ん、この感じだと、処分本は五〜六百冊で、残す本が千二〜三百冊くらいか。まぁ、これが実家に収まるなら、すべて良しということか。というわけで、二十本ほどの本束を素早く結束し、素早くワゴンに運び込む。続いて実家の方にも素早く進撃し、二十本強をこれも素早く結束し、素早くワゴンに運び込み、何と午前十一時四十分に作業終了す。ひとまずおつかれさまでした。古本青年の海外での活躍を大いに期待し、現場を後にする。『びっくりドンキー』で昼食を摂って満腹した後店舗に帰還し、本束を一気に下ろす。正真正銘おつかれさまでした。新宿書房「住所と日付のある東京風景/冨田均」を百円で購入し、予想外の早さで阿佐ヶ谷に戻る。帰り道の「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に立ち寄り、近代出版社「実話の泉10 おもしろヌード特選グラビヤ集」INAX出版「林丈二的考現学 屁と富士山」を計1210円で購入する。「実話の泉」は表紙にハガレがあるが、特殊な方面には資料的価値のある昭和三十七年刊の百ページに満たないエロ本である。「林丈二的考現学」は『INAX BOOKLET』の中でも「建築の忘れがたみ 一木努コレクション」と双璧を成す名著である。1100円で買えたのも嬉しい。
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2025年08月17日

8/17『A先生の本棚』。

本日は実家に日帰り帰省して、お墓参りを済ませ、山の中で美味しい鰻を食べて、午後三時にはトンボ帰りで阿佐ヶ谷に帰着する。ふぅ、さすがに慌ただしくて疲れた……と、疲労を少しでも癒すために駅北口の「千章堂書店」(2009/12/29参照)に飛び込む。実はこの間から右側通路奥で、奇妙なフェアを開催しているので、非常に気になっていたのだ。『A先生の本棚』と称し、もともとここら辺には荒俣宏の博物学関連・怪関連が並んでいたのだが、さらに荒俣宏著作が増殖し、そこに京極夏彦・水木しげる・幻想文学・オカルトが加わり、超絶パワーアップしているのだ。どうやら荒俣宏(A先生なのは言わずもがな)の著作(文庫本も含む)や旧蔵書、そしてその周辺ジャンルの本を集めたフェアらしい。荒俣宏は阿佐ヶ谷に所縁深く(よく駅や街でお見かけしたことが)、その関連で開かれているようだ。おぉ、棚上部には色紙や、映画『帝都物語』の嶋田久作扮する加藤保憲と荒俣宏のツーショット写真が飾られている!と喜びながら棚を凝視。フェアは棚下や右壁棚の一部、そしてその下の本の山の上まで侵食している……。うむむむむ、ドンピシャな好書が多いなと激しく目移りしつつ懐と相談しつつ、博文館「新青年 第七巻 第拾壹號 大正十五年九月號 ラヂオと探偵」を選び、三千円で購入する。すると店主が、蝦蟇の絵が愛らしい、荒俣宏の蔵書票をおまけに付けてくれた!ありがとうございます!まだ他にも欲しい本が目白押しなので、また何か買ってしまいそう。気をつけなければ……。
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「新青年 ラヂオと探偵」は、角田喜久雄『現場不在証明』牧逸馬『幽明』大下宇陀兒『山野先生の死』春田能為『日本の善い所惡い所』谷譲次『めきしこ女』江戸川亂歩『浅草趣味』横溝正史『探偵映画蝙蝠を観る』など、絶好調な感じの號である。
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2025年08月16日

8/16目論見通りに古本分母を。

正午過ぎに武蔵境に流れ着いたので「おへそ書房」(2019/07/28参照)に行きたかったのだが、すぐさま電車を乗り継ぎ移動して中野新橋に流れ着いてしまったので、泣く泣く諦める。というわけで午後一時半に丸ノ内線を乗り継ぎ新高円寺駅で下車。「西部古書会館」(2008/07/27参照)の「高円寺均一古本フェスタ by ヴィンテージブックラボ」(今日は200円均一、明日は100円均一である)で古本分母を増やすべく、北にテクテク歩いて行く。途中の「大石書店」(2010/03/08参照)でポプラ社「手塚治虫・あかしや書房傑作選シリーズ特別付録」「サボテン君/手塚治虫」を250円で購入する。そして阿波おどりの準備が着々と進みつつある駅前を南から北に通過して会館着。まだまだ古本もお客さんもたくさんの館内に飛び込み、じっくり品定めして行く。博文館の「世界探偵小説全集」がたくさん残っているが、これを買ったらとんでもないことになってしまう……とぐっと我慢。平和新書「推理小説 法律事務所SAGA/佐賀潜」朝日新聞社「ウルトラ人生相談/杉浦日向子」ハヤカワ文庫「天才闘牛士エル・コルドベス さもなくば喪服を/D・ラピエール&L・コリンズ」一水社「不連続殺人事件/坂口安吾」大日本雄弁会講談社「吸血蛾/横溝正史」(函コワレだったが、家に帰ってからバッチリ修復!)東都ミステリー「虚ろな車/飛鳥高」(カバーナシ)青樹社「角田喜久雄事件小説シリーズ 奇蹟のボレロ」を計1400円で購入する。ガレージで掴んだ「法律事務所SAGA」は扉裏に献呈署名入りであった。
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よっしゃ!目論見通り、古本分母が少し増えたぞ!
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2025年08月15日

8/15 akimoto・ミステリー

朝からゆったりのんびりと、とある冊子のゲラ読みをちょいちょい進めつつ、春陽堂「人形佐七捕物帳 三巻/横溝正史」もチラチラつまみ読みして行く。すると六話目の『清姫の帯』が、ホームズ『六つのナポレオン像』のいただきであることに気付く。この『六つのナポレオン像』と『瀕死の探偵』の翻案&いただかれ率は、ホームズシリーズの中でも群を抜いているのではないだろうか。そんな他愛ない思考の寄り道をしながら、ゲラ読みを進める。そして昼食後、所用にて中野へ。となると『中野ブロードウェイ』四階へ駆け上がり「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)を急襲する。なんだかお客さんがとても多い。安売赤棚を見た後、ミステリ&SF通路に身を潜ませ、棚の上から下まで、端から端まで視線を丁寧に走らせる。秋元書房 akimoto・ミステリー「全訳 秘密の階段/カロリン・キーン」講談社 少年少女世界探偵小説全集(4)「ねらわれる男/チャータリス」を計1760円で購入する。「ねらわれる男」は貸本仕様なので激安であった。「秘密の階段」が安く買えたのも嬉しい。昭和三十年代の秋元書房の少女小説シリーズだが、表紙写真は恐らく内容に合わせて特写したものが使われていると思しい(独特な原色感が時代を感じさせる)。この「秘密の階段」も例外ではないのだが、何かの発見に驚いているミステリアスなシーンのはずが、左の赤い服の女性の能天気な笑顔により(ポーズは驚きのポーズをとっている)、ちぐはぐな印象になっているのが愉快。
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2025年08月14日

8/14鳩に囲まれた後古本を。

午後三時に赤堤に流れ着き、奇妙な体験をする。歩いていたら、突然周囲をドバサドバサと羽音が包み、気付けば私を中心にして三十羽ほどの鳩が集合している……と、突然どうしたんだと驚きつつ鳩包囲網を慌てて突破すると、またも多重の羽音とともに鳩どもも移動し、再び私を取り囲む……これはどうやら、この鳩どもを餌付けしている人と、私を勘違いしているらしい……何かが、帽子かリュックか、それとも歩行認証が、鳩どもを勘違いさせてるらしいのだ。多少の恐怖を感じながらある程度その場を離れると、鳩どもはようやく解放してくれたのであった。まったくこの暑いのに、ご苦労さんである。そんなヒチコック『鳥』的なアクシデントに遭いながら、テクテクトボトボ東へ一散に進む。少しでも古本分母を増やすために、東松原の「古書瀧堂」(2014/05/01参照)を目指しているのだが、どうかお盆休みじゃありませんように!そう一心に祈りながら店前に到着すると、無事に営業中であった。ありがとうございます!と感謝しながら、店頭で一冊掴んで店内へ。冷房の涼しさをたっぷりと味わいながらさらに棚から二冊選び出し、精算する。三笠書房「未知との遭遇/スティーヴン・スピルバーグ」(第20刷)ひばり書房 ジュニアパンチ「子どものための奇術教室/斉藤倉蔵」日本書院「現代式探偵科學/平田潤雄・秋間保郎共著」を計1410円で購入する。昭和三年刊の「現代式探偵科學」が嬉しい拾い物である。昭和初期の探偵小説ブームに便乗した、一応当時の最新科学からアプローチする探偵術読物なのである。小酒井不木が資料提供しており、著者のひとりは工學士……ちょっと帆村荘六的テイストでありますな。『探偵の科學』『探偵写真』『指紋のなぞ』『ラヂオ探偵』『警察犬の話』『科学探偵に用ひられるレントゲン写真とはそんなものか』などなどの他に、たくさんの探偵話実例集が収録されているのだ……あぁ、これは古本分母ではなく、当分は自分用の本になりそうだ。
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2025年08月13日

8/13次こそは1ページに。

午前のうちに精選古本四十冊を詰め込んだダンボール箱を、郵便局から某所に向けて送る。秋の某“独り古本市”用の古本であるが、これでようやく三百冊到達……後二百冊……まだまだその道のりは長い……。そして午後に、すっかり痩せてしまった古本分母を増やすため、ブラッと外出。荻窪までヒタヒタ歩き、「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)で、中央公論社「新宿ゴールデン街の人たち/田中小実昌」晶文社「クラゲの正体/坂田明」を計550円で購入する。そしてお盆休みの「岩森書店」(2008/08/23参照)のシャッター前を通り、北口に出て「ブックオフ」で収穫なく、ブラブラ阿佐ヶ谷に戻る。いつもの「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)で、帝都高速度交通営団「東京地下鉄開通五〇周年記念 昭和を走った地下鉄」白泉社「サラリーマンの魂/しりあがり寿」を計440円で購入する。ちなみに記念手拭のツケ分3500円は未だ未購入……わ、忘れてませんよ。ちゃんといつか、今年中に買いますよ、きっと!

※「日本古書通信 2025年8月号」のリレー連載『ミステリ懐旧三面鏡』は私の番で、ことあるごとに読んで来た己の捕物帳遍歴を披瀝。この原稿のおかげで、城昌幸の高額文庫本「婦人警官捕物帖」を買ってしまったのだが、昨日買取仕事終りの「盛林堂書房」帳場で小野氏と色々話していると、ちょうど見本の「日本古書通信」が届いていた。小野氏が「今月何書いたの?」とページを開いた途端「あれっ?何で見開き?文章量多くない?」「い、いや、ほら。いつもちょっとオーバーしちゃうんで、樽見さん(編集長)に無理言って収めてもらってるんだけど……ほら、これだって写真が三枚入ってて、文章量はそれほど多くは」「多いよっ!」と叱られました。実は正直に告白すると、今までの連載で、一回も上手く1ページに収めたことがないのであります(樽見さんがいつも工夫して収めてくれるので、それに大いに甘えていたわけである)……お恥ずかしい。後一回、次こそは1ページに収まるように、書いてみます。
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2025年08月12日

8/12途方に暮れる男。

午前九時半に西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)前に姿を現し、“盛林堂・イレギュラーズ”となり、レンタカーの軽ワゴンで登場した小野氏を迎えた後、上がったシャッター内に飛び込み、素早く『フォニャルフ』棚に補充する。最近入手した探偵小説仙花紙本なども並んでいるので、よろしくお願いいたします!そんな軽い一仕事を終えた後、小野氏とともに比較的近所の武蔵野の一角にある買取現場に向かう。2025/06/29に続く、海外移住を目前に控えた超『坊ちゃん』&日本近代文学マニアの筋金入りの古本青年の買取なのである。現場のアパートは二週間後に解約予定である。さぞかし引き払う準備が進んでいると思い、扉を開けると、一ヶ月半前とさほど変化がない……そして本日運び出すために床に積み上げられた本はおよそ三百冊ほど。壁沿いの本棚には、まだ二千冊ほどの本が悠然と残されている……よ、余裕なのか?だ、大丈夫なのか?無事にアパートを引き払えるのか?海外に雄飛できるのか?と色々即座に心配になる。実は蔵書はすべて処分するわけではなく、どうしても残したい本は近所の実家にて保管予定なのである。だがそれにしても、この量は明らかに無理であろう。というわけで小野氏が発破を掛けまくり、さらに処分する本を捻出してもらう。本人は「がんばります!」と言いつつも、すでに心は泣きまくり、棚からセレクトした本を引き出す度に、顔の表情は悲しみに覆われる……これだけ本を愛しているんだ。それは当然のことなのである。だが、今ここにあるすべてを、海外には持って行けない、実家には運び込めないんだ!などとことあるごとに、小野氏と二人で応援だか恫喝だかもはやわからぬ言葉を掛けつつ、ようやく処分本が五百冊近くに到達する(ちなみにここまで踏み込めるのは、古本青年と盛林堂さんが長年の関係を築いており、すでに客と店主の間柄を超えてしまっているからこそなのであります)。ここで一旦作業を打ち切り、昼飯休憩を兼ねてお店に本を運んだ後、午後に実家で落ち合う約束をする。とにかく今後の保管場所である、実家の様子を一度見てみなければ、どのくらいの本を残せるか不明な状況でこれ以上作業を続けるのは、得策ではないと決まったからである。というわけで午後に実家で落ち合うと、実は保管場所はそれほど確保出来ないことが判明する。今現在ここにある本を運び出しても、およそ千冊が限界であろう……やはりもっと本は減らさねばならないのだ。それを聞き、古本青年は途方に暮れる……いや、もう今日会った時から、途方に暮れていたのだ。時々「もう海外に行けない気がする……」とこぼすほど、途方に暮れていたのだ。いや、だがそれでも、後二週間あるのだ。今からでも遅くはない。馬力をかければ、何とか間に合う!と懸命に海外雄飛に向けて丸め込み、取りあえず実家の本をある程度結束して運び出した後、再びアパートに戻り、今後の計画を綿密に立てる。次回の買取は一週間後。果たしてそれまでにどれほど撤収作業が進んでいるのだろうか?一抹どころか、二抹三抹の不安を残し、途方に暮れた古本青年を残し、現場を離脱する。そんな色々憂いの作業の合間に、小野氏から買取本の中に紛れていた不思議な本を見せられる。「これ、案件なんだよ」と差し出されたのは、イヴニングスター社「大學の門/田村泰次郎」である。河野鷹思装幀の戦後のガード下の光景が魂を震わす仙花紙本であるが、表紙をめくると、あぁっ!表2・表3には、不思議なことにカミの「名探偵オルメス」の表紙が印刷されているのであった。つまり「名探偵オルメス」の表紙紙の裏を再利用して、この本の表紙が印刷されているのである。これは確かに案件だ(ちなみにこの案件は、すでに小野氏より北原尚彦氏に伝えられているとのこと)!
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そして色々終えて午後五時にお店に戻り、本日の労い本を買わせていただく。同盟出版社「怪奇冒険 謎の骸骨島/水谷準」を、扉欠けの貸本仕様の店員特別価格ということで二千円で購入する。昭和二十三年刊の、書誌にも載っていない稀少本とのこと。盛林堂さんも、今までに四冊しか扱ったことがないそうである。しかしこの表紙絵、完全に歌川国芳の浮世絵『相馬の古内裏』の影響下にあり、素敵ですな。
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2025年08月11日

8/11「藤井書店」で早期決着を。

もはや完全に狂った気候に弄ばれながら、午後五時に吉祥寺の北に流れ着く……は、早く古本を買って帰ることにしよう。そう思いながら吉祥寺の繁華街に近づいて行くと、街は曇天下の逢魔が時である。八月の午後五時なのにこんなに薄暗いと、もうだいぶ遅い時間のように錯覚してしまう。なので古本を買うと言っても、ビシッと早期決着を上手く着け、明るいうちに家に戻りたいものだ。というわけでまずは今月号の「本の雑誌」の連載でも取り上げさせていただいた「藤井書店」(2009/07/23参照)にアプローチすると、店内にはたくさんのお客さんが古本吟味中……麗しき光景である。そう感心しながら左側通路へ。壁棚の単行本に視線を熱く速く走らせて行くと、晶文社「ボマルツォのどんぐり/扉野良人」を発見。本と人の繋がりを巧妙に紡ぐ名著である……!!!!見返しと本扉の間の遊び紙に、イラスト入り献呈署名が入っているではないか!おぉ、藤井書店よ、ありがとう!おかげで望んだ通りに、早期決着を見ることが出来ました!と喜び440円で購入する。それにしても藤井書店での署名本発見アベレージは高打率である。そんな獲物を胸に抱えていそいそと駅に向かい、最後に「古本センター」(2017/03/06参照)にも立ち寄り、河北新報出版センター「タマゴマジック/恩田陸」を80円で購入して帰宅する。
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2025年08月10日

8/10「必ず来ると思ってました」。

朝、布団の上で春陽文庫「婦人警官捕物帖/城昌幸」を読了する。期待に違わぬ良質で洒落た、軽ミステリ短篇集であった。後半の数話、主人公の婦人警官は掏摸係なのに、掏摸に関係なく警察官として事件に巻込まれるパターンもあり。その暖かで爽快な読後感と読了してしまった寂しさを胸に秘め、午前九時半過ぎに雨の中家を出る。傘を差しかけ向かうのは、「西部古書会館」(2008/07/27参照)の『第9回 Vintage Book Lab』二日目である。ガレージに入ると同時にサッシ扉が開かれ、「開場しま〜〜す」となり、数人の熱心な古本修羅たちが会場に吸い込まれて行く……一通りガレージを見てから、こちらも館内へ。棚には多くブランクが生まれているが、補充も少しは行われているようである。昨日見かけなかった本がチラホラ……そういう本を中心に懸命に探索を進めて行く。京北書房「倫敦から来た男/ジョルジュ・シメノン」春陽堂「科學探偵/小酒井不木」(函付き三版)新潮社「斜陽/太宰治」(三刷)岩谷書店「愛誦探偵小説集 上巻/江戸川亂歩編」彰国社 建築写真文庫19「階段」(カバーナシ)を計2300円で購入する。建築写真文庫の「階段」が嬉しい!何たって中の写真は、すべて千差万別多種多様の階段だらけなのだ!今は亡き『リーダーズダイジェスト東京支社』の階段も!
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これは個人邸と第二鉄鋼会館。

そして精算をしていると、ススッと近寄る人影が……ワインの飲み過ぎでグロッキー気味の盛林堂・小野氏であった。「ゲラです」と紙束を渡される。進行中のとある冊子の再校であるが、「小野さん、なんでこんなの持って来てるの?俺、会場にこないかも知れなかったじゃん!」と聞くと、眼をギロリと光らせ「いや、必ず来ると思ってました」と返答……いやまぁ、事実その通りなのだが。
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2025年08月09日

8/9“猫と蝉”で思わず作句。

正午過ぎに、西武新宿線からも中央総武線からも遠い、今川の地に流れ着く。途中で猫が蟬を捕まえているのを目撃し、発作的に作句してしまう。『蝉時雨 見上げる猫の 眼は檸檬』『猫の牙に 掛かった蝉の 腹は空』……お粗末様でした…。さぁ、古本を買いに行こう!と、必死こいて南に下りまくり、西荻窪に出る。駅南側の「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に立ち寄り、荒地出版社「年刊推理小説・ベスト18〈1963年版〉/B・ハリデイ編」「年刊推理小説・ベスト16〈1964年版〉」を計200円で購入しつつ、店番のフミさんに「これからヴィンテージに盛林堂の本を買いに行って来ます」と宣言し「よろしくお願いします」と送り出される。というわけで「西部古書会館」(2008/07/27参照)の『第9回 Vintage Book Lab』(2022/08/06参照)一日目である。すでに午後一時半なので、基本的には“兵どもが夢の跡”であるが、それでもまだまだ古本が、古書が残っている!と、決して諦めずに探索開始!春陽堂文庫「青蛙堂鬼談/岡本綺堂」(帯付き)大雅堂「静臥後記/伊丹万作」八月書房「グロッス その時代・人・芸術/村山知義」桃源社 書下し推理小説全集12「海底結婚式/渡辺啓助」河出書房新社「ラッキーシート/戸板康二」山手書房「シティ・サバイバル 都市生活者の生き方テクニック/Dr.ブルース・バウアリー」を計2600円で購入する。キレイな「グロッス」が500円なんて……こりゃぁ明日も迷わず朝一番で駆け付けちゃいそう……。
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