2016年12月16日

12/16箱入り児童文学本の幸福性について

気が緩んだのか無様に風邪をひいてしまう。一晩寝て快方に向かっているのだが、今夜は万難を排して参加しなければならない「古本屋ツアー・イン・京阪神」の打ち上げがあるので、日中は大事をとって寝て過ごすことにする。というわけで、古本屋には行けそうもない…古本も買えそうにない…。そこで、布団の中でツラツラ考え出したことでも、書き留めておくことにする。

私は小学生の時は非常に病弱で、よく高熱を出しては、学校を二日三日と休んでいた。親は共働きで家にはいなかったので、午前と午後に一回ずつ、団地の三階のおばさんが様子を見に来てくれたりしていた。だから熱に魘されながら、もっぱらひとりで過ごすことが多かったのだが、寂しかったり嫌な思い出と言う印象は持っていない。何故なら誰に気兼ねするでもなく、一日中本が、心置きなく読めたからである。まず午前十時くらいまではNHK教育テレビの子供番組を視聴し、その後は学校を休んだ背徳感に襲われながらの、ひたすらの読書読書読書!しかも読んでいたのは、団地上階のお兄さんからお下がりとして受け継いだ、ポプラ社の乱歩本と偕成社のホームズ本であった。つまり一日中、焼跡の残る東京や一度も行ったことのない霧深い倫敦での、怪盗の暗躍や殺人などにうつつを抜かし、エヘラエヘラ過ごしていたのである。今日は三冊も読んだぞ!と、もう話の筋もトリックも知っているはずなのに、繰り返し同じ本を読み続ける、愚かな熱を出した小学生…。そんな風邪っぴき小学生だが、いつまでも寝ても覚めても二十面相と言っているわけはなく、ある日、ロフティングの『ドリトル先生』シリーズに出会ったことにより、さらなる読書の楽しさに開眼してしまう。恐らく最初は四年生の時に学級文庫で出会った「ドリトル先生の郵便局」だったと思うが、とにかく動物と話せる(動物語を勉強して理解している)特殊能力に羨望を覚え、話せる故そして医者故に、動物たちから頼りにされての不思議な世界治療旅行に、あっけなく魅せられてしまったのである。学級文庫にはその一冊しかなかったが、学校図書館にはシリーズ本が何冊か置かれていたので、次々と借りて貪るように読んだことを良く覚えている。さぁ、こうなってくると、当然その本が欲しくなる。いつでも好きな時に読めるように、手元に置いておきたくなってくる。だが確か一冊千円前後していたので、小遣いでおいそれと買える代物ではない。だからまずはクリスマスプレゼントとしての、長期的な計画で入手を目論んだのである。それまでは学研のひみつシリーズや漫画や玩具などが主たるプレゼントだったのだが、それがいきなりまともな児童文学本を欲しがったので、親もさぞかし驚いたことであろう。辛抱強く待ち続けた12月24日に、プレゼントしてもらうのではなく、お金をもらって自分で町の本屋へ向かった。団地の商店街の小さな本屋の片隅には、児童文学のコーナーがちゃんとあり、上の方の棚の一列を、岩波書店『ドリトル先生』シリーズの箱入り本が占めていた。怪獣や怪人やロボットや二十面相から一歩離れたことを生意気に意識しつつ(決して卒業したわけではないのだ…)、その優等生的に幸福な並びを背伸びして眺め、悩みに悩んで選んだのは「ドリトル先生と秘密の湖」…シリーズ内でも一番の厚みを誇る、ノアの方舟や進化論を搦めた、ちょっと難解な大作である。何故これを選んだのか…それはやはり厚かったからであろう。その大きな物体に、ページに広がる未知の世界と深い物語を感じ取り、選択したのであろう。しかも、文庫や図書館では無かった、箱が本には付いていたのである。

箱入り本は、子供からすれば高級な本である。もっとも児童文学の箱は、いわゆる函ではなく、ボール紙を太いホチキスで留めただけの、薄っぺらなものではあるが、それは、自分が良い本を読んでいるという優越感に浸れる、単純で幸福な装置であった。おおよその物語を感じさせる四角い物体から、丸い背を紙の匂いとともにスッと抜き出し、箱と違った絵が描かれた、読むべき本に変化した物体を展開。見返し→口絵→目次と通過して、やがて物体から離れた、印刷された文字が脳内に投影する物語に、ひたすら没入して行く、その行為。この紙の装置による厳かな儀式が、自分は今、本を読んでいる!頭が良くなるはずの、本を読んでいる!という、誰に対してなのかも判然としない優越性と、その幸福性に陶然と酔い痴れる時間を、創り出してくれていたのである。さらに読書を中断し、再び箱に収めて物語を閉じる決意と達成感が、静かなファンファーレとして、己を褒めそやしていたのである。また箱入り本は、単純に親受けもよく、ひょんなことから気まぐれに買ってもらえるということも、多かった気がする。あぁ、本好きの子供としては、これを幸福と言わずに何と言おう。

布団の中でそんな思い出に浸りながら、ちょっと起き上がって家中に散在していた箱入り児童文学本を集めてみる。悲しいことに、それはすべて大人になって買った古本ばかりであったが、こうして並べると、前述のもはや薄れてしまった幸福性が、そこはかとなく、懐かしく立ち上がってくる気がする。それにしても、やはりこの物質感は、迫力あるな。箱はまるで、勢いのある物語が弾け飛ばないよう、キュッと固めて、拘束しているみたいだ。
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そして、そろそろ発売になる、22号で惜しまれながら終刊となる「BOOK5」連載『古本屋ツアー・イン・ドリーム』最終回は、伝説の白山上の「南天堂書房」を訪ねております。巻頭のアンケートとともにお楽しみいただければ幸いです!
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2016年12月15日

12/15車窓に流れた「一信堂書店」最後の繁盛の勇姿!

先日買った藤子不二雄「二人で少年漫画ばかり描いてきた」を楽しく読み進めているのだが、途中意外な人物の名を文中に見つけてしまい、驚いてしまった。ある一ページに、絵物語全盛期の昭和二十八年の芸能者(ここでは絵描き・挿絵画家・漫画家など)の課税番付が、表で掲載されている。
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一位が「少年ケニヤ」などの山川惣治で、二位が挿絵の大家「岩田専太郎」。他横山泰三や清水崑や小松崎茂などが続き、漫画家の手塚治虫はまだ十位に留まっている。ところがなんと九位には、花森安治の名があるではないか!「暮しの手帖」のイメージばかりが先行しがちだが、それだけ装釘・挿画やカットなどの仕事を、驚異的にこなしていた証と言えよう。それにしても、恐ろしく稼いでたいんだなと、あまりスポットの当たらぬ金銭的一面を見出したことに、読書する喜びをじんわりと実感する。

そして今日十二月十五日は、練馬「一信堂書店」閉店の日(2016/10/26参照)なので、様子を見がてら最後の古本を買いに行くことにする。関東バスに乗り込んで中村橋に向かい、西武池袋線で練馬駅下車。二階東側の改札を抜けると、エスカレーター脇に大きな「一信堂書店」の看板があり、そこにもすでに閉店のお知らせが貼り出されていた。
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南口に出て、消防署の前を通過してお店にたどり着くと、店頭棚には何人かの人が張り付いている。おっ!店内にも各通路&スペースに二三人の人の姿があり、寂しくも賑やかな営業最終日の花道を歩んでいる真っ最中!棚にまだ本はしこたま並んでおり、以前の営業時からそれほど変わっていない模様。だが、通路のそこかしこに、見慣れぬ質の良さげな古書の古本タワーが出現しているので、そこを集中的にチェックして行くことに決める。しゃがみ込んで覗き込んで、時たま本を移動させたりして、一冊一冊書名をチェックする…このお店で、こんなにアグレッシブに血眼になるのは、初めてだな。値段の付いてないものが散見されるが、これは帳場で勇気を持って値を聞くことにしよう。ご婦人の座る帳場では、精算するお客さんがそれぞれに、労いつつお礼を述べているので、タイミングを見計らって本を差し出す。「これ値段が付いていないんですが…」するとご婦人はインターホンで、階上の店主を呼び出してくれた。すぐさまワイルドな店主が現れ、パラパラと本を観察…「こっちは1500でこっちは500」と、己の知識と勘と心意気だけで、値を即座に叩き出してくれた。「いただきます!」と快く了承し、最後の精算に入る。光文社文庫「少年探偵手帳/串間努」日新閣「燈影奇談/村松梢風」(函ナシ。大正九年刊の怪談奇談集)信濃郷土史刊行會「信濃怪奇傳説集 全」を二割引の計1620円で購入する。駅に戻ってバスに乗り込むと、高架下を潜って消防署の通りに曲がり込み、車窓には別れたばかりの一信堂が流れて行く。壁棚の前には、さっきよりたくさんの人。これで練馬駅近辺からは、純粋な古本屋さんは、ついに姿を消してしまうのだ。こんな眺めは、もしかしたらここいらでは二度と見られなくなるのかもしれない。そんな絶望と、もしかしたら誰かが何処かで小さな古本屋さんを始めるかもしれないじゃないかという微かな希望を胸に抱えて、バスは青い排ガスをを吐き出し、練馬をブルブル離れて行く。

※お知らせ
昨日より、「夏の古書市」(2016/09/01参照)や関西トークツアー(2016/11/13参照)でお世話になった、大阪の『梅田蔦屋書店』にて『古本屋ツアー・イン・ジャパン 小山力也のお蔵出しフェア』が、ひっそりと華々しくスタートしました。実は細々と販売され続けていた「夏の古書市」の残りに加え、新たに厳選した古本百冊強を迷惑にも送りつけ、壁棚を占領する勢いで展開していただいております!今年盛大に世話になった関西で、ちょっと大きな古本市を開けるのは、望外の幸せであります!ミステリ・文学・映画・漫画・美術・建築・おかしな本・雑本を中心に、フレッシュな並びを見せているはずなので、どうか西のみなさま、『ルクア イーレ』九階まで足を運び、競技場型書店片隅のカフェ『4thラウンジ』の超絶分かり難い壁面にどうにかたどり着き、周りの賑わいをものともせずに、古書の世界に耽溺していただければ!
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近日中にさらにフレッシュな新ネタも投入しますので、同居する新刊書の『古本屋ツアー』シリーズ単行本ともに、よろしくお願いいたします。
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2016年12月14日

12/14非情の買取を江見水蔭が吹き飛ばす!

昨日西荻窪から持ち帰った本の中には、レアなプロレス本が含まれていた。レアであるが、やはりあの古本市ではちょっと筋違いなジャンルだったので、売れ残ったのであろう。すでに読了済みの本であり、さほどプロレス本に執着はしていないので、そのまま盛林堂さんに買い取ってもらっても良かったのだが、そこはセコい欲が働き、専門店の方が高く買い取ってくれるに違いないと考え、本日某格闘技系専門店に赴く。帳場で「買取をお願いします」と声をかけて五冊の本を渡すと「しばらくお待ちください」と査定に入る。新書サイズの、相場が四千円の本が三冊、一万円前後の本が一冊、そして千円ほどが一冊…という布陣である。まぁだいたい売値の二割〜三割と考え、四〜五千円くらいであろうかと、捕らぬ狸の皮算用。店内の棚に目を凝らすと、持ち込んだ本と同じ本が並んでいたので値を見てみると、ちゃんと四千円の値段が付けられている。マニアックな本に、正当な値を付けているなら安心だと、大船に乗ったつもりで待ち続ける。だが「買取お待ちのお客様」と呼び出され帳場に向かうと、告げられた値は合計で1900円であった…予想の半分以下…だいたい売値の一割…な、なんという非情な買取なのか!派手に意気消沈しながらも、さらに他店に持ち込んで査定してもらうのは面倒くさかったので、このまま本を手放すことにする。どうか、探し求めている人に、無事に買われるんだよ…。

すっかり気持ちを腐らせながら神保町入りし、こうなったら今受け取った金で、古本を買ってやる!と小さく息巻いて店頭を覗き込み始める。店頭の右がまだ雨仕様の「丸沼書店」(2009/12/17参照)では有光書房「偏奇館閨中写影/亀山巌」を500円で購入する…これで残りは1400円。ズンズン通りを進んでこちらも未だ雨仕様の「日本書房」(2011/08/24参照)店頭木製ワゴンを吟味しつつ、店内右側通路に進んで格納された柔々和本ツインタワーに丁寧に挑みかかる。すると、左側タワーの中ほどに、分厚いしっかりした小型本が一冊(押川春浪「海底軍艦」と同サイズ)…取り出してみると「避暑の友」とあり、モノクロ写真グラビアページと三十編近い小説、超短篇的小品が三十編ほど、それに時代小説や雑文が十編ほどの構成となっている。中には奇談怪談系が多く含まれており、読み応えが…ありゃ!これ書いたの江見水蔭じゃないか!そう気づいた瞬間に、すべての憂さは神保町の果てまで吹っ飛んで行った。これは、読むのがハチャメチャに楽しみだぞ!と帳場に向かい、博文館「短編小説 避暑の友/江見水蔭」を500円で購入する…これで残りは900円。通りをスイスイ足取り軽く南に下り、今日は妙に古い文庫の多い「神田書房」(2012/02/16参照)で角川文庫「銃器店にて/中井英夫」籾山書店「春泥研究會句抄」(小村雪岱装幀!)を100円で購入する…これで残り800円。最後に『神保町交差点』を経由して『神田古書センタービル』前の「みわ書房」外売り(2013/01/18参照)で、新太陽社「連續探偵小説 詩と暗號/木々高太郎」(初版)を840円で購入する…40円オーバーだが、まぁいいか。
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今日の嬉しい収穫二冊。そして「避暑の友」には、東京の作家陣が神奈川の片瀬にある江見水蔭宅を訪れ、大騒ぎする顛末が綴られた一遍があるのだが、なんとその時の記念写真がグラビアに掲載されているのだ!
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左上から江見水蔭・巌谷小波、二列目が左から泉鏡花・石橋思案・小栗風葉、最前列が左から柳川春葉・尾崎紅葉・広津柳浪となっている。一部メンバーも参加する、もはや仮装大会の『怪談百物語』ダイジェストが、愉快愉快のどひゃっほうである。
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2016年12月13日

12/13京浜東北線で小さな箱をたどる

足を引き摺り、午前十時過ぎの寒い西荻窪。『銀盛会館』に赴き、古本市で売れ残った本の整理に従事する。持ち帰る分、再販売する分、手放す分にスパパパと仕分け、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)小野氏に査定してもらった後、小さなリヤカーでお店まで本を運び、まずは「フォニャルフ」をドバドバ補充入れ替えする。その後に「古本屋ツアー・イン・京阪神」に識語署名捺印。いよいよ盛林堂では残り六冊となりましたので、未入手のみなさま、何とぞよろしくお願いいたします!重い本を手に提げ背負ってお店を出て、西荻窪駅のホームに立った瞬間、日曜夜の打ち上げ後に酔っ払いながら、唐突に『あらしの白ばと會』を結成したことを思い出す。何をする會なのかまったく考えていない上に、本当に結成されたのか定かではないのだが、入会条件だけはとても厳しく、偕成社版「あらしの白鳩」を所持しているかどうかということになっている。しかし、結成を宣言し入会者を募ると、その場にいた四人が早速手を挙げてしまう…おかしい、まるで「あらしの白鳩」が、そこらの100均棚に転がっているかのようではないか…。こうなったらもうひとつ厳しい条件として、『白ばと組の歌』を歌えるというのはどうであろうか。盛林堂版編者の芦辺拓氏がそらで歌える(楽譜も存在するので、再現演奏してもらい覚えたそうである)ので、今度伝授していただこう。そんな他愛もないことを考え続けて古本の重さをごまかし、一旦家に戻って荷を下ろす。

午後に再び外出し、雨が降り出す前にと大森駅へ急いで向かう。東口に出て外階段を南に下り、さらに南へ進むと、二車線が仕切られた低空ガードとアーケード商店街『Milpa』が向かい合う異種交差点。東の『Milpa』に入り、すぐの脇道から南に出ると、歓楽街の裏通りといった雰囲気。そこを五十メートルほど進めば、右手に新しいお酒とお食事のお店「柴猫軒」が現れた。
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ここの店頭で小さな古本市が開かれているらしいのだが…恐る恐る入口に近付き、開店祝の花が置かれた辺りに視線を注ぐ。おっ、108均の古本箱を無事発見。だが中を覗き込むと、桜木紫乃・ムーミンシリーズ・伊集院静などの新しめの文庫が、十冊ほど並んでいるだけであった…ぬぬぬっと十五秒ほど凝視するが、どうしても手が伸びない…す、すみません、今回は、何も買えません!と懸命に詫びながら、お店から即座に離脱してしまう。だがその箱に貼付けられた『大森でもっと古本市をひらこう!』と書かれた小さくソフトなアジビラに、本への熱い愛を秘かに感じ取る。そのまま街中を南に下り「アート文庫」を一応確認してみるも、いつも通りのシャッターを下ろした姿であった…あぁ、俺は多分ここには、一生は入れないのかもしれない。すぐさま西に向かって踏切を渡り、商店街を遡上して「松村書店」(2009/09/25参照)に到着し、その煤けていじらしい店頭にホンワカ心を和ませる。値付中のおばさま店主に「いらっしゃいませ」と声をかけられ、ゆっくり極狭店内を四歩で制圧。池田書店「映画入門/双葉十三郎」雄鶏社「戀愛古事記/神崎清」日本文芸社「実録・女刺青師匠/彫純こと松島純子」を計450円で購入する。商店街に響き渡る霧笛のような時報を聞きながら駅に戻り、一駅南に進んで蒲田駅下車。まずは駅前の「一方堂書林」(2009/08/13参照)に飛び込み、早川書房「BAR酔虎伝/酒口風太郎」を700円で購入し、西の京急駅方面にどんどん雲が厚くなる空の下を、急いで向かう。アーケード商店街『京急蒲田あすと』に潜り込み、タレコミで店頭で一箱の古本が売られている洋品店を目指すが、残念ながら目的の古本は販売されていなかった…元々気まぐれな販売らしかったので、ちょっと時間の経ってしまった今、存在せぬのもむべなるかな…。あっさりと諦めて、アーケード中ほどにある中古ビデオ店と中古DVD店の間にある、おおらか過ぎる100均古本棚(店名不明)を見に行くことにする。
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…最近のコミックと、ちょっと前のエンタメ本ばかり…いや、何も買えないのは、とうに分かっていたのだ。でもどうにかして、店頭で小さく古本をささやかにひさぐお店を、京浜東北線上で、つなぎたかったのだ。だから、今日も古本を売ってくれていて、ありがとう…やっぱり買えないけど…。
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2016年12月12日

12/12東京・吉祥寺 さまよえる「ART BOOK BAZAR」

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朝、不注意からガスファンヒーターに左足爪先を強打し、「けぇ〜〜〜〜〜〜ん!」と上げたことのない叫び声を上げて、三十秒ほどうずくまる。どうにか痛みが去り、足指に力を入れてみると動くので、骨折はしていないようだ。それでも痛いことにかわりはないのだが、この程度なら大丈夫だろうと外出する。十二月のイベントが終わったので、日常に戻り荻窪「ささま書店」(2008/08/23参照)へテクテク向かう…だが、やはり左足中指が痛むな…この容態だと、長距離を歩くのは控えた方が良いだろうと、駐日ソ連通商代表映画部「ソビエト映画のすべて」土屋書店「日本の滝《東日本編》/佐藤安志」山梨シルクセンター出版部「うつむく青年/谷川俊太郎」(初版帯付き)を計315円で購入し、すぐさま電車に乗って吉祥寺へ。北口の『吉祥寺PARCO』に入り込むと、当然の如くクリスマス一色な、激しくきらびやかな店内である。エスカレーターを折り返し折り返し上がり、七階フロアに到着すると、以前は地下で開かれていたはずの古本市が、白枠ガラスの向こうで、静止写真のように静かに開催されていた。この市は、以前は池袋や渋谷で開かれ、ついに吉祥寺にたどり着いたのだが(2015/10/22参照)、ここでもまだ彷徨うように、移動を余儀なくされているのか…。閑散としてだだっ広い洋書バーゲン売場を経由して、右の角地に面した小部屋に進入する。ワゴンと木箱とプラ箱で形作られた空間である。中央台を中心に、壁際のワゴンと窓際の箱を見ることが出来る、短い一本きりの回遊通路。芸術雑誌&芸術ムック・洋書写真集・洋書絵本・アートブック・マッチラベル・絵本箱・「ミステリマガジン」箱・「かいけつゾロリ」箱・女性&子供実用…右側通路を進み、大判の本がほとんどなのを認識する。だが左側通路に進むと、嬉しいことに普通サイズの単行本も顔を出す。児童文学・漫画関連・幻想文学・落語・江戸風俗・役者・芸人・東京・映画・映画美術関連新書&文庫などなど。「文紀堂書店」(2015/03/13参照)と「古書明日」が『アートブック』という括りを多少無視しているようで、なかなかに頼もしい。毎日新聞社「二人で少年漫画ばかり描いてきた/藤子不二雄」を、バーゲン会場のレジにて精算。これが帯付きで千円とは、嬉しい拾い物である。バザールは今月25日まで。サッサと家に帰って痛む足指を観察してみると、派手にアザになっており、どうやら捻挫している模様…いや、突き指というのが、この場合正解か…。
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2016年12月11日

12/11東京・根津 あおば堂

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古本屋さんに対する抑え切れない情熱を、一風変わった形でゴウゴウ燃やしている「ひな菊の古本」さんからのタレコミにより、根津に新しいお店が出来たことを知る。昨日盛況だった古本市+トーク(お越しいただいたみなさま、毎度コンビを務めていただいた岡崎武志さま、そして主催の「盛林堂書房」(2012/01/06参照)と『西荻ブックマーク』スタッフのみなさまに、心より感謝いたします!)の心地良い余韻と疲労を纏いながら、家を出る。駅に向かう途中「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に吸い寄せられ、国書刊行会「定本 何かが空を飛んでいる/稲生平太郎」(献呈署名入り。二年前に行きたくて行けなかった『東京堂書店』トーク時のものであろうか。読み始めたら案の定止まらなくなってしまった…現実と歴史の中に潜む隠秘学的世界を、輝ける理知のメスで生きたまま解剖する稲生平太郎は、やはり面白い!)岩波文庫「摘録 劉生日記/岸田劉生」「鏑木清方随筆集」を計2163円で購入する。…昨日あれだけ本を売って減らしたのに、早速三冊も増やしてしまった…。そして仕入れていただいた「古本屋ツアー・イン・京阪神」がついに売り切れたことを喜びつつ、オマケに商店街配布のキッチンペーパーをいただき、ようやく改めて駅へと向かう。電車を乗り継ぎ目的駅で下車し、『根津交差点方面改札』から強風に巻かれて地上に出ると、緩やかな谷底の街の上部に、白く日が当たっている。目の前の交差点から『言問通り』を北東に向かう。強い日射しに目を細める人々と擦れ違い、歩くほどに角度を増す『善光寺坂』をグイグイ上まで上がり切る。『谷中六丁目交差点』を通過すると、『デニーズ』向かいの新築小ビル一階に、スッキリした明るいお店がポカッと開店していた。表には店内で開かれている個展の立看板と、足の長い100均&300均箱。扉を開けて中に進むと、新しい木の匂いが漂う、こじんまりとした空間。右壁に四×八のボックス棚、入口左横にはディスプレイ棚。左壁は上部がギャラリースペースとして空けてあり、下に二×五のボックス棚が設置されている。フロア中央には個展主の着いたテーブルがあり、奥右側に帳場スペース。そこにはカジュアルな奥さま店主が座り、個展主と歓談中である。その左側にある、大きな白布で覆われた物体は、いったい何であろうか…未整理本だろうか?右壁にはハリーポッターシリーズ・猫・洋書・柳原白蓮・般若心経・本・書店・ビジネス・女性実用・自己啓発・社会・文学・塩野七生・「蟲師」など。左のボックス棚は、絵本・開店セール300均文庫・コミック・新刊となっている。ほぼ最近の本で固められ、量もそれほど多くはないのだが、値段が安めで実用系の本に強いこだわりが感じられる。これは古書店としてだけではなく、ショップカード裏に刷られた『コントラクトブリッジ教室』『プレゼン教室』『英文購読会』『速読教室』『読書会』などが関係しているのではないだろうか。集英社「タイタニックは沈められた/ロビン・ガーディナー&ダン・ヴァンダー・ヴァット」を購入し、捧げ持つトレイに丁寧に並べられた十枚弱のお釣りコインを摘み取りながら、ささやかな開店祝とする。それにしても、2016年の谷根千地帯の古本屋さん開店ラッシュは、とてもとても素晴らしかった。

お店を出て来た道を戻り、今度は自分が目を細めて坂を下って谷底に至り、そのまま『言問通り』を南西に歩き続けて、『弥生坂』の「緑の本棚」(2016/02/13参照)に立ち寄る。表で植物と混ざり合うようにして増殖した100均箱をのぞき込んでから、中へ。入口周りに小さな棚が増え、古本屋感が増している。ナカザワ「アルプス妖怪秘録/山田野理夫」を700円で購入すると、壁面の展示を観るよう店主に勧められる。…それは、多肉植物と海の生物が優雅に違和感なく融合したイラスト…聞けば海洋大学に通う娘さんに、『多肉植物』をテーマに描いてもらったら、こんな不思議な作品が生まれたとのこと…あぁ!前は多肉植物を食べさせられたが、今回は多肉植物イラストを観せられた!多肉植物ゴリ押しの揺るがぬ姿勢に、呆れながらも大いに感心する。
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2016年12月09日

12/9色々フライングした後にみなさまのお越しを心よりお待ちしております。

明日の古本市のために大量に作った古本束を、盛林堂・小野氏に引き取りに来てもらい、台車に山と積んで百メートルほど移動の後に車にドサドサ放り込み、西荻窪『銀盛会館』に搬入する。すでに岡崎氏と盛林堂の分は準備万端整っている。なので私も早く荷を下ろして棚にガンガン並べて行かなければいけないのだが、身体が言うことを聞かずに、涎をジュルリと垂らしそうになりながら、フライング品定め。うううう〜ん、欲しい本がたくさんある…盛林堂さんは思ったより文学寄りだが、恐ろしい本が恐ろしい安値で…あっ、でも奥にスゴいミステリ本たちが…それにしても、棚の上にズラッと並んだ岡崎氏の描き下ろし原画イラストが壮観!大瀧詠一が欲しいぞ!などと役得ずくで、最初に思いっきり楽しんでしまう。だが途中でさすがに心を入れ替え、古本束の紐をジョキリジョキリと切り離し、棚に家から離脱して来た古本をダカンダカンと並べて行く。…ふむ、なかなか悪くないんじゃないかと、心の中で自画自賛。そして奥の上段に署名本をコーナーを作り、やった、完成!…と言いたいところだが、やっぱりちょっとだけ本が足りないじゃないか!かなり大量に用意したつもりだったのに、結局こうなってしまったか。明日少し補充することにして、後は再び二人の本を見続ける。すると嬉しいことに小野氏が、「欲しい本があったら、場合によっては先に売ってもいいよ。たいていはダブってる本だから、また補充すればいい」と宣う。いよっ!さすが在庫豊富な古本屋っ!と大喜びして即座に二冊を選ぶと「両方ともダブり本だから大丈夫」とのフライング買いお墨付きをいただく。再びの役得である。筑摩書房「小さな町/小山清」(カバー痛みで蔵印アリ)今日の問題社「天明大捕物/國枝史郎」(函ナシ)を計2000円で購入する。そして岡崎氏とともに会場に所用で顔を出した原書房の編集者さんから、岡崎氏の新刊「気がついたらいつも本ばかり読んでいた」を献本していただいたので(実は拙著「古本屋ツアー・イン・ジャパン&それから」と同じ担当編集者さんなのである)、すかさず氏に署名をお願いしてしまう。本は何処から読んでも良い感じで、そしてどのページにも確実に、真面目な・C調な・哲学的な・怒り心頭な・ニヒルな・素敵な・詩的な・大人な・子供な・精神的貴族な・低俗な・高尚な・茶目な・短気な・暢気な・愉快な・愚かな・立派な岡崎氏が顔を出しているので、まさにこれはバラエティブックの面目躍如!というわけでみなさま、明日は色々ひっくるめて楽しむ心持ちで、ぜひとも西荻窪にお出でください。よろしくお願いいたします!
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2016年12月08日

12/8今年最後の「たけうま会」!

大好きな古本屋さんと、ただお酒をのんべんだらりと呑む会「たけうま会」(2016/10/18&07/22&05/10参照)に参加するため、横浜に急行する。今日のメインゲストは、下北沢「ほん吉」(2008/06/01参照)修業時代を経て、ひょんなことから「なぎさ書房」(2016/01/10参照)の跡地を引き継ぐことになった、神奈川のホープ「馬燈書房」さん(2016/04/23参照)。開店当日にツアーした時より、だいぶお店の様子が変わっているはずなので、ちょっと早めに現地入りして、古本屋さんをたどりつつ、会合前に偵察しておこうと、まずはすでに夜の帳に包まれた『馬車道駅』地上に顔を出す。そして『県立歴史博物館』横の「誠文堂書店」(2010年02月28日参照)の階段を上がり、二階外棚を反応の良過ぎる自動ドアがひたすら開閉してしまうのに閉口しながら、一冊選んで帳場へ向かう。角川文庫「狂熱のデュエット/河野典生」を100円で購入すると、なんと店番をしていたのは、超ド級のミステリ本コレクター・石井女王様(喜国雅彦氏の本棚探偵シリーズ参照)であった。待ち合わせ時間までそれほどないので、早くお店を出なければ行けないのだが、ついつい古本屋話やミステリ本話に盛大に花を咲かせてしまう。そんな今日の女王様の名言は「このお店はミステリ本がないから、物欲が湧かないので、心穏やかにのんびり働ける」でした。意外な出会いを喜びつつも、最後に女王様の口から出た「「活刻堂」(2009年10月12日参照)が最近開いてないんだけど、もしかして…」の言葉に驚き、早速『馬車道』を駆け抜けて『イセザキモール』に突入し、暗い小道に入り込んで「活刻堂」前。ふぅ、良かった。ちゃんと営業中じゃないか。そのまま店内古書棚に耽溺してしまい、皇國青年教育協會「あすのすまゐ/山田守」(モダニズム建築の大家による戦時中の住宅研究本。個人的にどひゃっほうである)私家版「放火団/ハロルド・ディアデン」(1930年前後にイングランドで暗躍した放火団事件の自費出版的訳本。元本は1934年イギリスで出版)を計1500円で購入したところで、「馬燈書房」まで足を延ばしたら遅刻が必至となることが判明したので、そのまま待ち合わせ場所の『日ノ出町駅』に向かう。改札前に集まったのは、たけうまさん、雲雀洞さん、そして馬燈さんである。すぐさま近くの焼き鳥屋に腰を据え、楽しく愉快だがドロドロもしている、古本屋業界話に耳を傾ける。それにしてもやはりスゴいのは、いきなり伊勢佐木町の二十坪のお店を、二十代の若さで引き継いだ馬燈さんである。最初は新宿、もしくは町田辺りにお店を開こうと考えていたらしいのだが、ある日組合で働いていると、「なぎさ書房」さんがお店を閉めることになり、棚も全部壊して原状復帰してしまうという話を聞き付け、すぐさま休みを貰ってお店に駆け付け(なぎささんにはそれまで、一度も行ったことはなかったそうである)、そこで商売を始めることを電光石火で決心したのである。それからすでに八ヶ月が経過。実はただ闇雲に借りたわけではなく、お店を始めると決めた時から、あの程度の広さは必要だったと考えるほどの、堅実経営派。市では本を買いまくり、街や人と濃密に交わる実店舗営業の酸いも甘いも早々に味わいつつも、商売はまずは順調とのこと。非常に喜ばしいことである。そんな話を聞くと、やはり改めて開店時より進化した、お店を見に行かなければという思いに駆られてしまう。よし、年内にどうにかして再ツアーしに行きますと約束し、濃いめのハイボールにしたたか酔っ払って、京浜急行各駅停車で帰路に着く。
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左から雲雀洞さん、たけうまさん、馬燈さん。今年、たくさんの古本屋さんとお話しする機会をあたえてくれたたけうまさんに多謝!来年も良き「たけうま会」をよろしくお願いいたします。
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2016年12月07日

12/7部屋に古本屋の光景が出現する。

今日は古本屋にも行かずに、仕事をしながら、昨日からの古本市用準備の続き。午後にギリギリギリギリ本を縛り上げて二〜三十冊の束を十本ほど作り上げ、他に署名本や薄手の本を詰め込んだ大型バッグをひとつ。さらにはトークでの抽選プレゼント用ささやか物品を三つ…これで搬出準備が完了したわけであるが、実際に会場に運び込むのは明後日なのである。さて、それまでこれらの大物を何処に置いておくべきか…。結局部屋に薄くグイグイ積上げると、まるで古本屋さんの通路の如き光景が、我が家の中に出現してしまった。横積み本タワーとは違う緊縛な趣きが、きっとそう感じさせているのだろう。それにしてもこの束々が、かなりの量と重量なのは明白であるが、各部屋から古本が減った気配がまったく感じられないのは、いったいどうしたことであろうか。自分では、まだまだそこまで多くはないと常に思っているのが、やはり間違いの元で、各所の本の山を日常の景色とし、恐ろしいほどの量の本を、屋内に内臓していることから目を逸らしている結果が招く、だらしない悪魔のような重大な錯覚に、常に騙されているに違いない。もうこうなったら、毎月一回くらい、同規模の古本市を開いてみるか。そうすれば少しは目に見えて、古本山が削れて行くのでは……いや、そうなったらそうなったで、毎日恐ろしい量の古本を買い込むことになりそうな予感が…あぁっ!俺はいったいどうすればっ!懊悩していたその時、「だから本棚買いなよ」という北原尚彦氏の突っ込みが、耳の奥に微かに聞こえて来た…。
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2016年12月06日

12/6師走の一日を費やして古本市の準備に着手する。

今週土曜日の古本市&トークに備え、家中で静かに横積みされて眠っている、精鋭古本を選り抜き集める。毎年会場に搬入すると「あぁっ!足りない!明日また補充分を持って来なければ!」と愚かに失敗しているので、それに懲りて多めに、自分が思っている以上に量を多くして、まずは初の試みとなる署名本コーナー作りに腐心(集めてみたら十八冊。並びは見てのお楽しみ!)。続いて全体の、本のクリーニング→値段札作成→値付け→札挟み込みと作業を進めて行く。だが、背を上にして床を埋め尽くす、古本量の多さに自ら辟易し、文庫の値付を終えたところで、気晴らしに外に逃走してしまう。強い風が吹き荒れる、まだわりと暖かな午後。ケヤキ並木の道を歩いて行くと、落葉が舞い散るのではなく、すでに地面に積もった落葉がカラカラと舞い上がり、砕けた草の匂いを振りまいている。踝まである落葉の吹き溜まりに沈み込みながら、あの家の床で待ちぼうけを食らっている古本群に、新たな彩りを加えるため、古本屋さんをちょっと回って来ようと考える。
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※これが家で主の帰りを待つ値付け前の古本群…。
まずは都合良く期待しながら「ネオ書房」(2010/02/09参照)に足を向けるが、さすがに今日は出物はナシ。そのまま高架下を伝って高円寺まで出張り、「藍書店」(2014/01/14参照)外壁棚から宝石社「別冊宝石78号 久生十蘭・夢野久作読本」徳間書店「毒舌文壇史/今東光」を計500円で購入する。続いて『あづま通り』の「越後家書店」(2009/05/16参照)を見に行くと、店頭文庫台に光る二冊の集英社コバルト文庫「海外ミステリー傑作選」「メランコリックな犯罪」共に武田武彦編が並んでいたので、計100円で購入する。今日は火曜日で、たいがいのお店が休みだからこんなもんかなと思い『庚申通り』まで出ると「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)が営業している…そうか、定休は水曜日だったな。すかさず店頭店内に目を光らし、キリンレモン文庫「ミッキーマウスのグリーンライフブック」映画「ディア・ハンター」パンフ、新潮社「アメリカ青春小説特集」学研M文庫伝奇ノ匣4「村山槐多耽美怪奇全集」を計1800円で購入する。おぉ、なんだか意外に良い釣果であった。と喜び家に戻って再び値付け作業に戻るが、まだまだ全然終わりそうな気配が、生まれないのである……。

というわけで、土曜の西荻窪で、昼も夜もみなさまとお会い出来るのを楽しみにしております!当日は岡崎武志氏の文筆業集大成とも言える新刊、原書房「気がついたらいつも本ばかり読んでいた」も会場で販売。そして発売からすでに二ヶ月弱になろうとする拙著「古本屋ツアー・イン・京阪神」も、恥ずかしながら並ぶ予定であります!
■「オカタケ&古ツア ガレージ古本市&トークイベント」
今年も性懲りもなく開催させていただきます。年末の古本的棹尾を華麗に飾ります。ただひたすら能天気に楽しい古本市&トークイベントとなっておりますので、みなさま頭を空っぽにして、師走の一日をごゆるりとお過ごしください!
■12月10日(土)11:00〜17:00
■西荻窪 銀盛会館1階(JR西荻窪駅南口徒歩五分 杉並区西荻南2-18-4)
そして夜はトークイベント
■「2016年古本・古本屋総決算」
■同日18:00〜20:00
■西荻窪 銀盛会館2階
■1000円 定員25名
■予約・お問い合わせは西荻ブックマーク http://nishiogi-bookmark.org/
■古本市のお問い合わせは盛林堂書房 seirindou_syobou-1949@yahoo.co.jp 03-3333-6582
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2016年12月05日

12/5東京・福生 ブックスタマ福生店

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以前は新刊書店である同店に同居していた「ブックセンターいとう」(2009/12/06参照。つまりちょうど七年前の探訪…)が撤退したのに、ここではまだまだ古本が販売されているらしい。なのでポカポカした冬の日に、青梅線で見学に行くことにする。西口を出て、完全に郊外な駅前通りを進み、『新奥多摩街道』を北へ。左手の深い谷底の多摩川の向こうに、紅葉した段丘と薄靄のかかった連山を臨みながら、やがて『福生消防署北交差点』にある、ロードサイドの大型新刊書店前。「いとう」の痕跡はすでに皆無だが、その代わりに堂々たる『古本』の看板が立てられている。階段を上がってだだっ広い店内に進み、右側に目をやると、古本ゾーンは通路天井から多数垂れ下がる『中古』の紙札により、明確に示されていた。ちょっと長めな四本の通路と右の壁棚に、新しめの古本が集められている。右半分強がコミックに占められ、その他に写真集・DVD・雑誌・文庫本・実用・児童文学・ビジネス・新書・ノベルス・ミステリ&エンタメ・エッセイ・社会・カルチャーなどが並び、所々に108均棚が頻出している(恐らくは半分は108均なのでは…)。値段は定価の半額前後で、オーソドックスなリサイクル古書店スタイルである。奥の柱に貼られた『古本を買うと作者に著作権料(印税ではなくこう書かれている)が入らないので、ファンの作家の本は新刊で買うのがお薦めです』というようなことが書かれた大きな紙が、新刊書店が古本屋を内包するジレンマを、見事なほど浮き彫りにしてしまっている。文春ネスコ「映画主義者深作欣二/立松和平」河出書房新社「ゆみに町ガイドブック/西崎憲」を購入する。

そして時間は遡り、まだ電車に乗る前の阿佐ヶ谷「ネオ書房」(2010/02/09参照)前。仁木悦子蔵書本発見以来(2016/07/20参照)強迫観念のように棚をチェックする癖がついているので、今日も当然足を留め、店頭左側の100均棚に目を流す……む、む、む、む、…ここしばらくまったく動きはなかったのだが、久しぶりに上段に見慣れない仁木悦子の本を発見。単行本二作目の講談社「林の中の家」で、切れてはいるが乱歩推薦文の載った帯もちゃんと付いている。そして下の段にも、いつもの不動のラインナップからはみ出たような、見慣れぬ仁木本、毎日新聞社「青じろい季節」を発見して手に取ってみる。見返しに書評スクラップのコピーが挟まっているのに早速気づき、ドキリと他の本との違いを感じてしまう。次に扉ページを見ると、そこには『二日市蔵書』のハンコが、赤くペタリと捺されているではないか!おぉぉぉっ!こりゃぁ、仁木悦子の本名(結婚後、二日市三重子に)の蔵書印だ!あ、でももしかしたら、旦那さんの蔵書と言うこともあり得るのか。ん?最終の広告ページには、鉛筆で妙な書き込みがある。四種ほどの漢字と数字……あ!これもしかしたらページ数か。ちょっとそれぞれのページを繰って目を凝らしてみると、その数字のページには、書かれた漢字が含まれている…でも誤植とかそういうわけではなさそうだ。なんだろう?まぁとにかく、作家所縁の本が手に入ったのは、とても目出度いことである。それにしてもまたこんな本が100均で見つかるなんて、まだまだ何か出てくるかもしれない。そんな卑しい気持ちを新たにしたので、諦めずに性懲りもなく、このお店はチェックし続けることにしていこう。
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2016年12月04日

12/4大きな二つの市で古本を追い求める

早起き出来たのをいいことに、午前九時前には家を出る。そして有楽町で電車を降りて、『国際フォーラム』横の、谷間のように日影で寒い三日月型中庭で開かれている『大江戸骨董市in国際フォーラム』に突入する。二百店近いアンティークショップ・骨董店・古道具屋・古着屋・古布屋などが縦横に通路を造って並び、すでに多くの人でにぎわっている。
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目的は古本一点張りなので、視線を地べたの物品に落としつつ、奥まった店の中も鋭く精査しながら、日影の冷気に首を竦ませ早足で市を切り裂いて行く。洋絵本や革装洋書、それに洋紙物などはあるのだが…う〜む、ようやく本に出会えたと思ったら、和本だけか…ここは美術系の本ばかり…絵葉書も多いなぁ。などとなかなか古本には出会えずに北側に伸して行くと、おっ!シート一面に古本を面陳しているお店を発見。店主の名札を盗み見ると「古書・道具 イタガキ」とある。骨董市ではマイノリティな古本だが、こんな風に並び、物質としての存在感を発揮している姿は、古本修羅の心に安らぎと興奮を充分にもたらしてくれる。しかも値段はなかなか安め。中央公論社婦人公論昭和八年新年號附録「讀んで面白い名曲物語」(挿画カット執筆陣が小村雪岱・佐野繁次郎・山六郎ととても豪華!)を400円で購入する。良し、この調子だ!と気を良くして次々にお店を渡り歩くが、今日はなんだかなかなか古本には出会えない…まぁ、こんな日もあるか。四十分ほど彷徨い、最後に北端の昭和紙物屋で、文部省「動物は人の役にたっているか」ABC商会INSTRUCTION MANUAL「DIGI-COMP1」を計千円で購入し、会場を離脱する。

近くにある、かつての『一丁倫敦』を少しだけ復元したような『三菱一号館美術館』を、色づいた銀杏並木越しにポォッと眺め、地下鉄有楽町線で次の目的地所沢へ向かう。車中で「探偵小説通」を読みながらおよそ五十分。駅東口に出てロータリー向かいの『くすのきホール』に足を向けると、擦れ違う家族連れのお父さんが「また古本市やってるんだな」とつぶやいている。今年最後の「彩の国所沢古本まつり」(2010/06/02参照。市は12/6までで、来年は三月開催とのこと)のことである。日曜日とあってか、ビル外の50円ワゴンに早速人が群がり、一階エントランスもかなり賑わっている。だがここでは何も買えないまま、展望エレベーターで八階のメイン会場へ運ばれる。
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相変わらず人間の限界を超えた、広過ぎる会場だ…だが、決して心を折らずに、古本を見るのは楽しいのだが、連なるワゴンの多さにすでにうんざりしながら、矛盾を抱えて義務を果たすかの如く丁寧に本の背に視線を走らせて行く……………一時間半で、すべてに目を通し(あくまでもつもり)いつものようにすっかり古本に精気を奪われて、恒文社「悪魔のようなすてきな奴/松浦健郎」河出書房新社「妖怪仙術物語/駒田信二編」(函ナシ)潮文閣「ハルピン夜話/奥野他見男」(函ナシ)を計1620円で購入する。…分かってはいたが、大きな市を二ついっぺんに見ると、当然の如く疲れてしまった。たくさん歩く+集中する時間が長い+様々な古い物品にエネルギーを吸い取られる(想像)ということであろうか…ふぅ。

そんなでっぷりした疲労を抱えつつ嬉しかった本日の収穫は、珍品とも言える「DIGI-COMP1」の取扱説明書!サブタイトルに『first real operating digital computer in plastic』と書かれた、1960年代にアメリカで販売された、プラスチック製機械式手動コンピューターの邦訳マニュアルである。冒頭の『はしがき』には、「あなたはいまコンピュータを持っています!」「このデジ・コン1型は巨大な「電子頭脳」のようには大きくないことははっきりしています。でも電子計算機と理論的には同じなのです。あなたはこのデジ・コン1型で大型のデイジタル・コンピュータにやらせるようにしてゲーム遊び、謎解きや数学の計算を行うことができます」「デジ・コン1型は機械式ですから、電子式のコンピュータにくらべて非常にスピードが遅く、形も大きくなる」…つまりは「バベッジエンジン」のプラスチック製超小型版ということではないか。うひょう!格好いい!説明書後半には、プログラムの実践編として『自動エレベータ』『金庫の組合わせ数字式錠』『宇宙船の発射前点検』『宇宙船カプセルの再突入』などがあり(すべて絶対に恐ろしいほど単純なのだが、その単純さを補うために想像力を孤独にフル回転させると、未知のデジタル世界への扉を開けてくれたのが、初期コンピュータゲームの素晴らしさ&楽しさでもあるのだ)、初期パソコンゲームのさらに前のポケコンゲームのさらに前時代の息吹が伝わり、2進法機械の話などチンプンカンプンなのだが、結構楽しく読み込んでしまう。後で調べてみるとこのコンピュータ、紙パーツで復刻されていることが判明する。ちょっと欲しいが、果たして使いこなせるだろうか…。
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2016年12月03日

12/3西より早めのクリスマスプレゼント!

昨夜は神保町「@ワンダー」(2009/01/21&2014/05/22参照)二階の「ブックカフェ二十世紀」で古本屋さんについてたっぷりとトーク。新刊「古本屋ツアー・イン・京阪神」と古本屋バイト話から、お店の魅力や楽しさについて語り、おかしなところや社会から逸脱しているところについてもさらに語り、果ては万引についてまで…ピンポイント&マニアック過ぎる話を辛抱強くご静聴のみなさま、本当にありがとうございました。聞き手を越えてもはや完全に語り手となっていた「盛林堂書房」(2012/01/06参照)小野氏と、稀少な場を提供していただいた「@ワンダー」鈴木氏にも多謝。そしてこの日一番驚いたのは、三河島の映画書専門店「稲垣書店」(2009/10/26参照)の中山信行氏が奥さんとともに、フラッと会場に現れたことである。始終苦虫を噛み潰したような表情で後席にいるのが目に入り、内心ブルブルと震えてしまう。だがトーク終了後に、打ち上げにも参加していただき、私の活動や文章について、こき下ろしながらも褒められてしまったので、目を白黒させながら大いに恐縮する。また、お店にうかがわせていただきます!

明けて本日、ブラブラ古本屋をたどって古本を買いながら西荻窪に至り「フォニャルフ」に補充。目立った収穫は、「ささま書店」(2008/08/23参照)のソノラマ文庫「盗まれた表札/藤村正太」315円と、「竹陽書房」(2008/08/23参照)の広済堂ブルーブックス「獄門島/横溝正史」100円であろうか。色々打ち合わせてから家に戻ると、おぉぉぉっ!ポストに待望の「古書 善行堂」(2012/01/16参照)からの郵便物が投げ込まれているではないか。ワクワクソワソワしながら家に駆け込み、ペリペリと封を切る。中から出て来たのは、表紙の色も鮮やかな四六書院 通叢書「探偵小説通/松本泰」(蔵印と、後半に探偵小説既読リストの古い書き込みあり)である。
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…話は二十日前の京都でのイベント「古本屋ツアー・イン・善行堂」(2016/11/13参照)に遡る。その日、開店と同時にお店に入るや否や、挨拶もそこそこに店内の棚にいやらしいほど素早く目を走らせる…目的は、その十日余り前に善行氏がブログ『古本ソムリエの日記』に書いていた「探偵小説通」であった。買取で手に入れ、パラパラと読んでみたら面白い、というような記述が目を惹いたのだ。長らくこの本を探し求めていたので、それをきっちり脳髄に刻み込んで、必死にその書影を追い求めたのである。だが、何処の棚にも見当たらない。一応もう一度チェックしてみるが、残念なことに見つからない。やがて混み合う店内で、善行氏の対面に座ってサインや歓談をしながら、思い切って聞いてみる。「善行さん、前ブログに書いていた「探偵小説通」はありますか?、もし売れてなかったら、ほ、欲しいんです!買います!」と言うと、「あぁ、まだ棚に出してないよ。何処かこの机の周りの山の中にあるはずや。見つけたら、今日のバイト代として、あげるよ」「ほほほほ、本当ですか!」と驚き喜び、イベントに集中しながらも、合間の時間に動き回って必死に探索する。…だが、見つからない。次第に探索範囲を広げ、「そこにはないで」と言われながらも諦め切れずに、時間切れまで探し続けるが、ついに見つけることは出来なかった。氏も「おかしいなぁ。確かにここら辺にあるはずやけど…何処行ったんやろ。まぁ見つけたら送らせてもらうわ」…というようなことがあったのである。だがあの様子からして、今年中に見つけるのは難しいかな、と諦めモードに入っていたところ、善行氏から「見つかった!箱に入れてしまってました。それも奥の一番下でしたので、よく見つけたと褒めてください」というメールが三日前に届き、さらに首を長くして待っていた本日、我が手の中にかなり早いクリスマスプレゼントとして「探偵小説通」が無事に収まることとなったわけである。翻訳家&探偵小説家の松本泰が、探偵小説の歴史・考察・探偵列伝・探偵小説と動物・日本探偵文壇などについて書き連ねている。最初はモノクログラビアページで、一番最初に現れるのが、肩を並べたポーと涙香の肖像!その次が俳優が演じる完璧に近いホームズ像!し、しびれる!
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いや、もう一生「善行堂」に足を向けて寝られません。みなさま年末年始に京都に帰省&旅行に行く際は、ぜひ「古本屋ツアー・イン・京阪神」を携えて「善行堂」へ!そして西のみなさま、「善行堂」では「京阪神」とともに「神保町」と「首都圏沿線」も販売されていますので、引き続き愚かな古本屋本たちを、よろしくお願いいたします。

それにしても「京阪神」を出したからこそ、追い求めていた「探偵小説通」を手に入れられたという奇縁。そんな大切な自著に感謝しながら、実はその本の一部がすでに過去のものになりつつあることも実感するここ最近である。十二月末の「駒鳥文庫」(京阪神p86)閉店、「古書さろん 天地」(p120)閉店、進む神戸『モトコー商店街』(p184〜185)再開発、来年の「阪急古書のまち」移転、「本は人生のおやつです!!」(p72)に故「青空書房」(p108)の棚や立看板が引き継がれていること、古本好きの口に悔しいほど必ず上がった六月オープンなのに見逃した大阪の「古書からたち」…あぁ、悔しい。だが、閉まってしまうお店については、本の中にある日の姿を封じ込められたことに、満足している自分がいたりもするのだ。そう言えば、制作作業中にも、閉店してしまったお店が二軒あった。すでに原稿は書いていたのでお蔵入りになってしまったのだが、もったいないので、ちょっとお蔵出しいたします。

元町「ポレポレ書舗」
南京町の南側の裏通り、古いビルの四階にある。海岸通り近くのこの一帯は、ファッション関連のお店が多く、ビル内もそんなお店ばかりである。大きな音と揺れのエレベーターで上がり、青いドアのお店に入ると、そこもまたお洒落なお店であった。ところが大きな壁棚に並ぶのは、少年少女コミックばかりで、特に「ボンボン」や「コロコロ」系の少年コミックに力が入っている。一般文庫も少々あり。店舗の半分ではアクセサリーや写真作品なども販売している。

なんば「天牛堺書店 ekimoなんば店」
大阪府内に十五店舗を持つチェーンの一店。地下商店街なんばウォークとクロスする、御堂筋線なんば駅構内ekimo northにある。見た目は完全に新刊書店だが、右奥に約七本の古本棚がある。訪れた時は『古本均一1700円』という、奇妙で見たことも聞いたこともないセールが行われており、人文&学術本・大判本を硬めに並べていた。
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2016年12月01日

12/1いつの間にか新!たなべ書店 駅前店

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地下ホームから動作音のうるさいエスカレーターを経由して、『2a出口』から地上へ。目の前に広がる『南砂三丁目公園』を北に向かって、散歩するように歩き始める。園内中央の遊歩道をたどり、奥まった野球グラウンド脇も通り抜けると、公園から抜け出した街の裏通り。左手に目をやると、そこには新しくなった「たなべ書店 駅前店」(2009/12/24参照)が、古本棚を表に出して輝いていた…いつの間に新築されたのだろうか。古い商店建築は明るく現代的な小ビルとなり、壁面には緑と赤の店名看板文字が日の出のように架けられている。その下にはキッチリとした安売壁棚があり、端の隙間も木製オリジナル本棚でピッタリ埋められている。そしてその手前には、常設不動の両面文庫棚が四本…これには薄いプラ製屋根が、ボロボロになりながら何層にも積み重なり、剥落した部分が火山灰のように微かに路面に積もっている…まるで時の流れが創り出した、現代美術の作品のようでもあるな。そんなキッチリ棚にキッチリギュッと収まる文庫を二冊抜き取り店内へ。旧店舗とは異なる、見通しの良いちょっと横長の空間である。左には広い帳場&作業スペースがあり、今は赤木春恵風おばさまが店番中である。また、入口の向こう正面には『元八幡通り』に抜ける出入口があり、そちらに棚は出ていないが『古本』電飾看板がベカベカと昼間なのに輝いている。店内の、背が高く薄く、まるで『京王プラザホテル』の如き棚は、文庫本をピッタリサイズで気持ち良く収めるオリジナルで、高いところでは十二段を数える。実はこの特徴ある本棚は、岡山「万歩書店」(2015/01/09参照)に端を発するもので(同店もオリジナル木製本棚で構成されている)、以前「万歩書店」を取材した時に、棚について色々聞いていると「東京のたなべ書店はウチの出身なんですよ。だから棚も似てるでしょ」と教えていただいたのである。その薄い棚で、店内には六本の通路が縦に整然と造られている。右端は壁にBL文庫・ラノベ・CDが並び、向かいの低めの棚には新書がズラズラ続いて行く。第二通路は、右に新書・実用・全集が並び、向かいの途端に高くなる本棚にはちくま文庫・中公文庫・教養文庫・コミック文庫・官能文庫が収まる。第三通路は、左奥の日本文学文庫以外に、出版社別文庫・海外SF&ミステリ文庫、それに文庫サイズに近い多ジャンルの小型本が四段分集められている。残りの三本の通路は、左端通路の通路棚から始まる大量の作家50音順日本文学文庫にひたすら占領されて行く。左壁棚には、実用・ハーレクイン・囲碁将棋・講談社学術文庫・河出文庫・岩波文庫が続き、帳場脇壁棚には新しめのミステリ&エンタメ単行本が集められている。ほぼ文庫専門店で、七十年代〜現代のものが中心。値段は定価の半額である。角川文庫「芸人たちの芸能史/永六輔」春陽文庫「超人鬚野博士/夢野久作」河出文庫「捕物帳傑作選 夏の巻」を計490円で購入する。

そしてここまで来たならと、大河のような道路を渡り、「たなべ書店 本店」(2011/02/25参照)に接近する。ヒヤァ〜ッッ!何だ、この恐ろしく悪夢のように長い壁棚は!
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側壁のシャッターが開いているところを初めて目撃したわけであるが、八王子「まつおか書房」(2010/01/05&2016/08/29参照)壁棚を遥かに凌ぐ偉容である!上部に売り物の額絵が連続して掛かり、それが奇妙な収まりの良さを演出しているのが、どうにもおかしくてたまらない。トクマノベルス「世阿弥殺人事件」「忠臣蔵殺人事件」共に皆川博子を計210円で購入する。
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2016年11月30日

11/30閉店に遅刻して、腹いせに古本屋さんをハシゴする。

下北沢の「July Books」(2011/11/28)が十一月一杯で実店舗を閉店するので、その様子を最後に駆け付けるようにして見に行く。…だが、緩やかでお洒落な商店街の坂を上がってたどり着いたお店は、すでに閉店してしまった後の祭であった…大大大遅刻か。それでもお店のエントランスにまだ残っていた、丸い手作り感溢れる『本』の看板を見られたことに、ひとまず心和ませる。
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最後に本を買えなかったことを、多少負い目に感じながらも、その後は近辺の古本屋さんを、巡り&歩き倒して行こうと、自らの両足にハッパを掛けて、闇雲に歩を進める。「古書ビビビ」(2009/10/15参照)では朝日ソノラマ「責任鑑定-霊の実体に迫る!心霊写真/ルネ・ヴァンダール編」を200円で購入し、「ほん吉」(2008/06/01参照)では新潮文庫「フレップ・トリップ/北原白秋」を400円で購入する。下北沢を離脱して三宿方面にテクリテクリ向かい、「山陽書店」(2014/02/18参照)では平凡新書「書店の近代/小田光雄」ともだち文庫「アルハンブラ宮殿の秘密/アーヴィング」東光出版社「花物語/西條八十」を計2000円で購入。そして最後は夕闇の中の渋谷に出て、人波に揉まれながら宮益坂を懸命に上がって、「中村書店」(2008/07/24参照)で潮出版社「さみしいネコ/早川良一郎」(献呈署名入り)を100円で購入し、その先の「巽堂書店」(2008/07/04参照)では筑摩書房「いまやアクションあるのみ!/赤瀬川原平」(献呈署名入り。どひゃっほう!)角川ホラー文庫「うろこの家/皆川博子」を計300円で購入。あ〜、買った買った。
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写真は本日の嬉しい収穫。プチ古本屋ツアーの最後に畳み掛けるように登場した、署名本を手に入れたことで、ひとつのアイデアが頭の中にピコンと閃く。来る12/10の古本市には、棚一列くらいの、自然に手元に集まった署名本を並べ、販売したいと思います!よ〜し、家中から、署名本を掻き集めてやる!

夜は「盛林堂書房」小野氏と、金曜日のトークについて、酔っぱらいながらじっくりと打ち合わせる。どうやらお互いの古本屋観を派手にぶつけ合うことになりそうな予感…12/2(金)は、どうか神保町の古本屋さんにディープな古本屋さん話を聞きに来て下さい!お席はまだ余っているらしいので、当日飛び入り参加も可能だと思われます。
■12月2日(金)
■ブックカフェ二十世紀(@ワンダー2階) 東京都千代田区神田神保町2-5-4
■19:00〜20:30
■会費:1,500円(1ドリンク付) 懇親会1,500円(軽飲食20:30〜21:30 ※自由参加です)
■予約申込はブックカフェ二十世紀(jimbo20seiki@gmail.com)までメールにてお願い致します。お名前と参加人数をお知らせください。詳細はブックカフェ二十世紀サイト「EVENT」よりご確認いただけます。→http://jimbo20seiki.wix.com/jimbocho20c
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2016年11月29日

11/29海老名で空振りして小田急下り方面を彷徨う

早くから動き始め、ラッシュアワーの中央線を経由して、小田急線で神奈川県入りする。海老名駅で下車し、すでに午前九時から営業し始めているはずの、移転した(とは言っても元のお店の対面である)「えびな平和書房」(2010/08/06参照)へと向かう。たまにはバスで行ってみるかと、東口ロータリーで幅を利かせている相鉄バスに勇躍乗り込む。駅前を離れた途端に急坂をぐんぐん上がり、広大な広場の相模国分寺跡や間近に迫る丹沢山系を車窓に眺め、丘の上の住宅街を下って、目的の『国分寺台ショッピングロード』に到着し、お店をすぐに探り当てる…だが無情にも、お店はぴしゃんと閉じていたのである…もう正午過ぎなのに。定休日でもないのに…。しばし現役感に満ち、社会闘士としてパワーアップした店頭をボンヤリ眺め、バスで来た道を徒歩でトボトボ引き返して行く。途中「さがみ国分辻書房」(2015/12/09参照)前を通りかかるも、こちらもまだお店は開いていなかった。こうなったら、近くのご無沙汰しているお店をハシゴしていくかと、駅に戻ってまずは相武台駅へ。

北口の商店街から少し離れたところにある「青木書店」(2009/12/12参照)は、小公園前でしっかりと営業中…あの紫色の日除けを見るのも、本当に久しぶりだ。こんな永谷園『ごはんですよ』的色合いの古本屋さんは、もしかしたら唯一無二…。
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よく滑るサッシ扉から店内に入り、大衆+文化+技術書+人文+戦争の空間に目を凝らして行く。高知発行の涙香資料本には盛大に心惹かれるが、四千円だったのであっさりと諦める。その代わりに映画棚で、あまり見かけぬ本を発見。新書サイズのケイブンシャ「決定版キング・コング/ゴードナー ターナー ウォーレス クーパー」は、ケイブンシャにしては珍しくそれほど粗い作りではなく、1933年版映画「キング・コング」のメイキングエピソード集と翻訳小説で構成されている。写真もスチールやメイキングやイメージボードが盛りだくさんなのが嬉しい。これが400円だったので迷わず購入する。

続いて小田急相模原に移動し、まずは「ツヅキ堂書店相模原ビデオ店」(2011/03/09参照)の様子を見に行くと、閉店のタレコミ通りに、看板はまだそのままだが、やはりシャッターがガッチリ下ろされてしまっている。
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合掌してすぐさま「二の橋書店」(2015/08/30参照)に足を向けると、ありゃりゃ、定休日でもないのにお休みか。潔く諦めて駅に引き返し、最後は町田駅で下車。北口から出て、そのまま『まほろ通り』を伝って古本ビル「高原書店」(2009/05/03参照)に到着すると、ほほぅ!いつの間にか、階段を上がった所から横に広がる小さな前庭に、古本が並ぶようになっているじゃないか。100均文庫棚・100均単行本棚・線引きアリ100均単行本棚(五所平之助の本、惜しいなぁ。本当に物凄く青のボールペンで、線引きが…)、それに長テーブルに展開された学術系全集群である。
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そしてビル内に進むと、床置きされた横積み本タワーの、各通路&各部屋の侵食具合がじわっと過激で、だいぶ倉庫感が増した状況に驚くと同時にニヤリ。全方位に注意を奪われながら、主だった部屋を観察して行く。やはりここに入ると、自然と…いや強制的に長居することになるなぁ。というわけでのめり込むとたくさん買ってしまいそうなので、古本心にセーブを掛けに掛けて、大同書房 犯罪實話新年號附録「世界犯罪隠語大辭典/西山光・黒沼健編」文藝春秋「壺中庵異聞/富岡多恵子」を計1188円で購入する。
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2016年11月27日

11/27東京・吉祥寺・西荻窪・上石神井 古本・古書 松田書店

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次号で終刊となるリトルプレス『BOOK5』を出していたトマソン社の社主・松田友泉氏が、小さいながらもついに古本屋をオープンさせたことを知る。出版社でありながら、同名で無店舗古本屋さんとしても活動し、催事や貸し棚で古本を販売していたが、これでついに一国一城の主になったわけか…。一刻も早く冷やかし祝うために駆け付けようと住所を確認すると、何だか鉄道路線から隔絶したような、都市の孤島のような場所である。上石神井駅・吉祥寺駅・西荻窪駅のちょうど中間…あれ?これ、家からは『早稲田通り』をまっすぐ西に歩いて行けば、距離はなかなかあるがたどり着けるのかも…と言うわけで酔狂にも、『阿佐谷北六丁目交差点』から西にテクテク歩き始める。環八を越えると、見知った風景から次第に離れて行き、武蔵野のしっとりとした面影が散見され始める。だが、都市の住宅街的色合いも、決して色褪せずに連続しているので、奥まり落ち着いた空間として仲良く融合し、人の生活を支えているかのようである。かなり歩き詰め、銀杏並木が美しく色づいた『青梅街道』に到達。道路の向かい側には、『井草八幡宮』の鎮守の杜が、樹冠の高い偉容を見せている。道路を渡り、水気の多い社の塀沿いに、まだまだ西へ歩いて行く。やがて道がぐんと谷底に落ち込むと、そこは『善福寺公園』の『上の池』と『下の池』を分つ、くびれの部分。そこから抜け出すように坂を上がって歩き続けると、『立野境バス停』手前の、一階が化粧レンガで覆われた建物右側に、小さな古本屋さんがひっそりとオープンしていた。店名看板は見当たらないが、壁には『古本』の文字があり、室外機の上にも小さな『古本』立看板が置かれている。ガラスウィンドウには、『本、買取します。』や、邦画チラシやイベントポスターが貼り出されている。中に入ると、本棚が押し迫る小さな空間。正面には小さな帳場があり、セット本を包みながらプリティーな女子店員さんが「いらっしゃいませ」と微笑む。すると奥から、マスク姿の松田友泉氏と切貼豆子嬢がいそいそと登場。帳場でギュウギュウになる彼らと挨拶を交わす。カーテンで仕切られた奥は、本棚の並ぶバックヤードのようだ。店舗部分は、五本の本棚で構成されており、右に大判ビジュアル本・映画・演劇・テレビ・カルチャーの並ぶ二本があり、左に最近刊文庫・児童文学・劇画・最近刊コミック・料理・サブカル・植草甚一・日本文学文庫・永島慎二・セレクトコミック・日本文学が並ぶ三本の棚がある。棚上にはコミックセットがドカドカ並んでいる。帳場前には自社出版物の「名画座手帳」などがディスプレイ。足元には永島慎二のイラスト集やCD箱・雑誌箱・機関車トーマスグッズ、それに開店祝いの振る舞い蜜柑カゴなども置かれている。このお店の型式は、倉庫&バックヤード部分がメインを占め、その一部を店舗とした「水たま書店」(2016/05/26参照)や「大村書店」(2013/02/04参照)と同じである。当然店舗部分の蔵書量はそう多くはなく、昭和的な漫画や映画や文学や癖のある本が特徴的に潜んでいるが、わりと雑本的な構成を採っている。値段はちょい安〜普通。二人とお話ししながら棚を見ていると、「暢気文庫」さんがお嬢さんとともに自転車で颯爽とご来店。途端に店内の密度が大幅に上昇したと思ったら、そこにさらに一人のお客さんが躊躇いながら入って来た。これはイカン。大人三人+小人一人で、たちまち店舗は飽和状態を迎え、みな本棚を見ることもままならなくなりそうだ。慌てて工作舎「稲垣足穂さん/松岡正剛」を購入し、蜜柑をひとついただいて辞去する。いやぁ、愉快なところに古本屋さんが誕生したものだ。さすがに帰りはバスに乗るつもりだったが、テクテク東に歩き始めると、上手く帰り着ける路線のバスに巡り会うことが出来ず、結局バカみたいに延々と歩き続けてしまう…往復合計九キロほどの、小さな、武蔵野の旅であった。お店は不定期営業なので、twitterなどで開店情報を確認しての来店が望ましい。

そして12/2(金)のトークに引き続き、12/10(土)の岡崎武志氏とのタッグによる、古本市&夜のトークも、何とぞよろしくお願いいたします!西荻ブックマークでの告知と予約がスタートしましたので、どうか、十二月はみなさんに、古本まみれになっていただきたいのです!

■「オカタケ&古ツア ガレージ古本市&トークイベント」
今年も性懲りもなく開催させていただきます。年末の古本的棹尾を華麗に飾ります。こちらはただひたすら能天気に楽しい古本市&トークイベントとなっておりますので、みなさま頭を空っぽにして、師走の一日をごゆるりとお過ごしください!
■12月10日(土)11:00〜17:00
■西荻窪 銀盛会館1階(JR西荻窪駅南口徒歩五分 杉並区西荻南2-18-4)
そして夜はトークイベント
■「2016年古本・古本屋総決算」
■同日18:00〜20:00
■西荻窪 銀盛会館2階
■1000円 定員25名
■予約・お問い合わせは西荻ブックマーク http://nishiogi-bookmark.org/
■古本市のお問い合わせは盛林堂書房 seirindou_syobou-1949@yahoo.co.jp 03-3333-6582
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2016年11月26日

11/26「小宮山書店」の包装紙

急な仕事で身動きが取れなくなり、予定をちゃぶ台返しにして家に閉じこもる。だが近所で古本を買うのは良いだろうと、己自身に甘く許可を下し、タッタカ急ぎ足で高円寺へ向かう。午前十時半の「西部古書会館」(2008/07/27参照)に息を切らして到着し、「中央線古書展」(2014/01/25参照)に突入する。ガレージ部分がいつもと異なり、右側にスチール棚で作られた二本の通路があるのだが、結構狭いので大混雑中!…これはやはり長机平台型式の方が見易いなぁ…。カバンを預けて中へ進むと、いつもより混み合う雰囲気に圧倒される。そして棚には、ガレージ部分から引き続き、外国文学&語学関連が多い模様。心が家に戻りたくないのか、今日は何だか細かく小冊子や紙物にまでチェックを入れてしまう。途中、左奥の「かぴぱら堂」棚に熱中していると、いつの間にか隣りにいたのは北原尚彦氏。挨拶を交わし、氏が私の手元を見た途端「あ、その本、さっき見た時に、小山さん向きだなぁって思ってたんですよ」とにっかり笑う。春陽堂少年文庫「ロビンソン漂流記 後編/デフォー」…いや、後編だけなんですけど、いつの日かまたこんな風に安値で、前編を手に入れられたらと思って…。結局一時間近く粘ってしまい、他には小学館「女学生の友」昭和38年1月号付録「長編小説 白いあざみ/三木澄子」東成社「へのへのもへじ/林二九太」新潮社「ジャングル放浪記《アフリカの幽鬼と幻想》/A・デュテュオーラ」日本評論社「満洲國読本」三一書房「竜二・ちょうちん/金子正次」日本精神醫學會「惑溺と禁慾/寺田精一」(函ナシ。大正十年刊。人間のあらゆる行動や反応を、精神科学で独善的に解き明かして行く妙な本。その対象は、宗教・恋愛・性・カニバリズム・空腹・排泄・犯罪・祭・銭湯・刺青・幽霊・綽名などなど多岐に渡る)「小宮山書店」包装紙を計1650円で購入する。みな300円以下のものばかりであった。

本日のささやかな収穫は、中央通路の地べたに置かれた「秋桜書店」の紙物箱から掘り出した、古い「小宮山書店」(2014/05/31参照)の包装紙(100円でした)。電話番号の市内局番が二桁なので、恐らく1960年以前のものであろう。現在のアート&写真に力を入れたお店とは異なる、銅鏡をモチーフにした古代史的デザインが、アカデミックな趣きを見せている。だがこういう包装紙は、継承して現在でも使っているかも…と思い、家に戻って自家製古本屋関連ファイルを調べてみると、あっ!100円文庫を数冊買った時に巻いてもらったのり巻き包装紙が、同じモチーフではないか。だがこちらは白色で、鏡と店名文字をピッタリ重ね合わそうとしても、結構大きなズレが生まれてしまう。市内局番が三桁そして四桁と変わった時に、刷り直している可能性はあるので、その時に多少の変更を施したのかもしれない。
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写真は白と茶の包装紙を重ね合わせたところ。驚いたのは、紙の横幅がピッタリ同じなのである。両方とも片側がザクザクと粗く切られているので、長き時を経てお店で受け継がれている裁断サイズがあるのではと、勝手に妄想してしまう。
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2016年11月25日

11/25「ふるほん横丁」はひっそりと五階に

中央線の人となり、まだ雪を被る屋根並を眩しく眺めながら新宿へ向かい、午前八時と、驚異的に早い時間からスタートする「第二十九回 新宿西口古本まつり」(2008/11/28参照)の初日に駆け付ける。地下改札を抜けると、日影の寒さが服をなんなく通り抜け、沁み入って来る始末。会場であるドーナツ形の『東京都交通広場』は、所々にガラスウィンドウと柱があるとは言え、ほぼ吹き曝しの通路状態である。広場前を足早に歩き去る多くの勤め人の向こうには、多数の古本ワゴンとそこに早速取り憑いている、頼もしき古本修羅の姿がチラホラ…たった数メートルの距離なのに、あちらとこちらでは完全に、次元と時間の流れが異なっているようだ。
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早速私も人の流れから抜け出し、古本の世界に身を投じる。このまつりは会場が円形なので、本に夢中になり過ぎ、ワゴンからワゴンへ懸命に飛び移って行くと、確実に自分の位置を見失い、ぐるぐると永遠に回り続ける『古本轆轤地獄』に陥ることが稀にある。なので私はそれを防ぐために、円を分かり易く四つのゾーンに分け、一辺ずつクリアして行くのを常としている。二重に並ぶワゴンを、外側から片面ずつ攻略して行く。途中、出勤前の工作舎I氏と、超久しぶりの「中島古書店」さん(2015/04/05参照)に声をかけられる(両方とも無様にしゃがみ込み、ワゴン下を必死に覗いている時であった…)。そんな風にして、寒さに震えながら一辺を見終わり、良し、では底辺の方へと向かうと、あれ?途中から厳然と仕切られ、バッグ売場に変貌…中途半端な長さの辺を見終わり、反対の天辺方面に駆け付けると、そちらも途中からバッグ売場になっているではないか。ということは、まつりは以前の円形ではなく、半分の半円になってしまっているのか。現在地を見失わなくなったことに、少しだけホッとしつつも、古本の量が減ってしまったのは、やはり何だか寂しいものである。國際文献刊行會 世界奇書異聞類聚第十一巻「女天下/エドアルド・フックス 村山知義譯」(鉄鋲付の函に入っており、本文は削除された部分に改めて原文が貼り込まれている…)少年少女講談社文庫「トンネル脱走作戦/ウィリアムズ」アルス「危險信號/大木惇夫」(函ナシ)を計1944円で購入する。このまつりは30日まで。

再び人波に飲み込まれ、山手線に乗って高田馬場へ。実はこの二三日、当ブログの検索ワードに『ふるほん横丁閉店』『ふるほん横丁撤退』などの不穏な語句が紛れ込んでいたため、気になって見に来たのである。東口駅前の雑居ビルにある『芳林堂書店』四階には、早稲田の古本屋さんを中心として古本を並べた「ふるほん横丁」(2010/04/14参照)が居候しているはずなのである。雑居ビルのエスカレーターを上がり、二階からは階段で上へ…むっ?四階が大幅な改装を施されており、書店スペースが半分になってしまっているではないか。確かに横丁は、影も形も見当たらない…。情報は正しかったのか?だが念のため五階のコミック売場にも足を運んでみる。すると華やかな明るい色味の世界の中で、入ってすぐの右奥の方に目をやると、煤けた古本を並べたコーナーが、ちんまりと存在しているではないか!おぉ!「ふるほん横丁」は、五階に移転し縮小しながらも健在だった!
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一応閉店のお知らせなどを探してみるが、何処にも見当たらない。あるのは「ふるほん横丁」は外税であることを訴える貼紙ばかりである。現横丁は、短い三本の通路が、四十本の棚と二台のワゴンで作られている。以前と違うのは、「藤井書店」(2009/07/23参照)の古書、「アート文庫」のミステリ&児童文学、「畸人堂」(2012/09/14参照)のミステリ関連が増えているところだろうか。何はともあれ、古本売場がちゃんとあったのは、嬉しいことである。「虹書店」(2010/08/24参照)の棚から琉球文庫「琉球の平等所 捕物控/石川文一」を540円で購入する。この本、舞台の脚本をノベライズしたものらしいのだが、中を見ると『双生児奇談』『巫女(ユタ)の殺人予言』『空手殺人事件』などのタイトルが、探偵小説的興味をグラグラと湧き上げてくれる!

そしていよいよ一週間後に迫ってしまった、「盛林堂書房」小野氏と古本屋と言う不思議な職業について語り合う、神保町「@ワンダー」でのトークイベント。お席がまだまだございますので、楽しい古本屋世界への入口を、どうか覗きに来ていただければ!
『連続講座 古本屋的!!』第4回「古本屋の光と影」
七月の同講座のトークに引き続き、その時の立場を逆転し、盛林堂・小野氏が聞き役を務め、大好きな古本屋さんについて、様々に縦横無尽に語り尽くします。ほぼ、何処が終点か分からないフリートークとなりそうですが、意外に真面目に話すことの方が、多いかもしれません。およそ半月後に迫っていますが、スケジュールをやりくりしていただき、ぜひともお越しいただければ。もちろん「古本屋ツアー・イン・京阪神」の苦労話なども!
■12月2日(金)
■ブックカフェ二十世紀(@ワンダー2階) 東京都千代田区神田神保町2-5-4
■19:00〜20:30
■会費:1,500円(1ドリンク付) 懇親会1,500円(軽飲食20:30〜21:30 ※自由参加です)
■予約申込はブックカフェ二十世紀(jimbo20seiki@gmail.com)までメールにてお願い致します。お名前と参加人数をお知らせください。詳細はブックカフェ二十世紀サイト「EVENT」よりご確認いただけます。→http://jimbo20seiki.wix.com/jimbocho20c
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2016年11月24日

11/24店主からレア本を示唆されどひゃっほうと成す。

雪の中を、傘を開いてテクテク出かけ、開いていれば新規開店のお店に行こうかと企んでいると、途上で今日は開店しないことを知り、がっかりする。仕方なく手をかじかませながら、『いつもお世話になってます』の「ささま書店」(2008/08/23参照)に到達…もはや五日と空けずに訪れている気が…。この寒さと雪のためか、珍しい誰もいない店頭の景色である。そこではまるで復刻版のように新品同様で、手の切れそうなほど紙がピンとした昭和二十年代の時刻表を見つけ、表紙絵の愛らしさやグラビアページの『つばめ号』のスチームさに惹かれ、門外漢なのだが抱え込んでしまう。さらに店内に引き込まれた文庫&新書店頭棚から一冊選び取り、静かなレジで精算する。日本交通公社「主要驛 時刻表 第23巻 第六號」「日本國有鉄道編集 時刻表 第二十六巻 第十號 大改正號」徳間書店「アニーメジュ」昭和56年11月号ふろく「スタジオぬえのデザイン・ノート」を計315円で購入する。お店を出た後は、寒さに敗れて電車に一駅乗って、西荻窪で降りて「盛林堂書房」(2012/01/06参照)にたどり着き「フォニャルフ」に補充する。ちょうど「黒死館殺人事件」徹底研究家の素天堂氏が納本に見えており、早速新刊の黒死館附属幻稚園「生者の埋葬/フランツ・ハルトマン」を購入する。生き埋め…というよりは、埋葬前後(もしくは火葬寸前)に生命活動を終えているはずの死者が、現世に生者として蘇生する事象を多数蒐集し、紹介研究(科学的&オカルト的に)している楽しい本である。…ここで話は飛ぶが、明治期の探偵小説を読んでいると、良く人が簡単に死ぬ。そして驚くほどすぐに生き返るので、大いに面食らうことが多い(本当に嫌になるほど多い)。例えば、頭を鉄棒で絶息するほど殴られ昏倒し、以降『息も絶えしに』『死骸』と表現されるのだが、活を入れると、さもそれが当然と言わんばかりに息を吹き返すのである。恐らく死んだのではなく、『気絶』もしくは『仮死』状態ということなのだろうか、それにしても…。

その後は高架下を北に抜けて「音羽館」(2009/06/04参照)へ。ちくま文庫「大東亞科學綺譚/荒俣宏」創元社科學の泉10「磁石/三橋鐵太郎」を計200円で購入し、店主・広瀬氏と四方山古本屋話。その最中に、氏が帳場前に立つ私の背後に注意を促す。振り返ってみるが、知り合いがいるわけでもない。「えっ?」と訝し気に問い返すと、もう一度「ほら後に本が…」と言われる。振り返ると、本の山の上に一冊の本が立て掛けられていた。ユニコンブックス「推理 名探偵40人に挑戦/加納一朗」(カバーに補修、本体に記名あり)…私向きの本と喝破し、思いっきり示唆してくれていたのだ。インチキ臭い名探偵風外国人の写真が、パチ物感を呼び起こす一冊である。加納一朗は多くのミステリ系児童入門書を手掛けてはいるが、これは見たのは初めて。千円と比較的安値だったので、迷わず購入を決める。お土産に高知の蜜柑をいただき、家へとスゴスゴ舞い戻る。早速蜜柑を食べながら「名探偵40人に挑戦」について調べてみると、これが予想以上のレア本らしく、思わずどひゃっほうとつぶやいてしまう。音羽館に感謝を捧げながらページを繰り、五十前のオッサンが児童書の名探偵推理に挑戦開始!
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と言うわけで本日の収穫二冊です。
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