2017年05月18日

5/18ポランでラレロを。

今日は流浪の果てに大泉学園に流れ着く。すぐさま北口に出て「ポラン書房」(2009/05/08参照)に一直線。店頭の55円「こどものとも」箱をまずは漁り、未知の一冊を抜き取る。店内に進めば、壮大なクラシック音楽に迎えられ、その心地良い空気の振動で疲れを解きほぐす。フワフワしながら全通路を踏破し、結局文庫本を一冊。ソノラマ文庫「怪盗ラレロ/加納一朗」福音館書店「こどものとも ぼくはへいたろう「稲生物怪録」より/小沢正・文 宇野亜喜良・絵」を計555円で購入する。「ポラン書房」で「怪盗ラレロ」…ポランでラレロ…いや、意味はそれほどないのだが、三文字&“ラ”を含む語感が疲れているせいか、ちょとだけ不可解なツボに…。存在を知らなかった1994年8月発行の「ぼくはへいたろう」はご存知『稲生物怪録』の翻案絵本である。宇野亜喜良描く妖怪が、とにかくモダンでポップで『不思議の国のアリス』的である。英題が「KAIDAN-HEITAROU MEETS MONSTERS」なのがまたニクい。
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北口空中広場のアニメキャラ像(矢吹丈・メーテル&鉄郎・鉄腕アトム)前を擦り抜けて帰路に着く。
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2017年05月17日

5/17千葉・みのり台 smokebooksみのり台店

昨日は夕方に「西荻 古書モンガ堂」(2012/09/15参照)に歩いて向かい、富山房「ワイルド童話集/平井呈一譯」(函コワレ)を1000円で買った後、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)で「フォニャルフ」に手堅く補充。そして店内で岡崎武志氏と合流し、「中央線古本屋合算地図」の打ち上げに雪崩れ込む。意外に本らしい本を作ってしまったお互いを褒め合い労いつつ、反省会に加え次の四冊目のアイデアもぶつけ合う。非常に楽しく大切な時間である。だがしかし飲み過ぎて、二軒目のバーでビールグラスを握ったまま、あえなく熟睡してしまう…。

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明けて本日、中央線→山手線→常磐線と乗り継ぎ、さらに新京成線で三駅進む。ホーム東端の改札から街に出て、すぐの踏切をしばらく電車待ちしてから南に渡り切る。これまたすぐの車通りの多い県道を東に曲がり込むと、通り沿いのリサイクル店のシャッターに「沖愛堂古書店」なる文字を発見し、しばしその前に佇む。上には『家具処分』などとも書かれているが、開くことはあるのだろうか?だとしたら見てみたい…。そんな突然の出会いに心を多少掻き乱されながらさらに歩を進め、通りの両側に飲み屋が続く地帯を抜けると、線路がたちまち丸見えとなり、三本目の南への脇道に『みのり通り商店会』のゲートが現れる。そこに入り込んで行くと、中規模三階建てくらいの集合住宅で出来た、ちょっと奇妙で静かな街となる。大きな箱の間を歩くような気分で100mも進むと、左手に今度は巨大な昭和的マンションが姿を見せる。その一階ミニ商店街の左端に、下総中山(2011/01/25参照)から移転して来た、新たな「smokebooks」が開店していた。表には立看板に加えて、左に大判本・児童文学・絵本のラック棚&絵本箱、右に単行本箱&単行本棚と雑誌ラックが、安売値で置かれている。そしてちょっと薄暗く洒落た店内に進むと、広い!かなり広い!そのためか通路も広く採られた余裕のディスプレイが展開して行くが、本の量はざっと見ても楽しめそうなほど並んでいる。道路側の右スペースには、窓際にオススメ絵本類が飾られ、大テーブルの上には建築・デザイン・アート関連の新刊が面陳。壁際の小さな棚には、新刊の絵本や「こどものとも」などが並んでいる。左側には日本文学・日本近代文学・文藝雑誌・詩集がディスプレイされた棚があり、裏に回ると日本近代文学・詩集・セレクト海外文学が、古書含有率高く収まっている。とても感じの良い眺めである。壁際にはいやに角張った変わったフォルムの自転車が、レコード箱とともに置かれている。奥のアートブック&リーフレット・和洋ファッション台をクリアして奥に進むと、左壁には遠い奥まで大きな棚が続き、洋書のイラスト集・タモリ・植草甚一・高平哲郎・平岡正明・小林信彦&泰彦・徳川夢声・赤本漫画・「グロテスク」・音楽・映画・テレビ・カウンターカルチャー・和洋アート・写真・工芸・建築が雄大に肩を並べて行く。向かいには棚が二本縦列し、手前には世界・文化・思想・自然・満州・山岳、奥にはデザイン・ビンテージ雑誌&絵本・紙芝居が集められている。奥右側部分のフロアには、料理島(古書あり!)と来店した子どもが読書を楽しむスペースが設けられている。そして大きな壁棚には、児童文学新書・和洋絵本・洋書絵本・児童文学が、大量に豊かに収まっている。最奥のこれまた広いバックヤードを備えた帳場には、ハンチングに黒縁眼鏡のオードリー・若林風青年が立ち、その前面を文庫棚が覆っている。アート・ファッション・絵本・文学・料理が小気味よいお店である。古書が目立つのもその小気味よさに拍車を掛けている。値段はちょい安〜ちょい高と、手頃なものからしっかり値まで様々なので、そのバランス感覚もまたまた小気味よい。二見書房「カナシマ博士の月の庭園/ピエール・ブール」を購入する。

帰りにご近所の「永末書店」(2010/05/11参照)にも立ち寄り、みすず・ぶっくす「ロシアの神話/G・アレグザンスキー F・ギラン」を200円で購入する。
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2017年05月15日

5/15昨日と同じ経堂に来てしまう

二十二時間後に、同じ古本屋の中に、馬鹿みたいに立っていた……そこは昨日訪れたばかりの、経堂の「大河堂書店」(2009/03/26参照)である。何故こんなに早くお店に舞い戻って来たかというと、欲しい本があったからである。もちろん昨日買っていれば、こんな馬鹿みたいな二度手間を踏まなくとも済んだわけだが、残念ながら買うべきか買わざるべきか悩んでしまったのである。挙げ句、愚かにも棚に戻してしまったのである。結局昨日の帰宅中電車内から悩み始め、家に着く頃には買いに行こうと決め、本日打ち合わせを終えた後に、駆け付ける次第となったのである…みなさん、やはり欲しい本が見つかったら、懐の許す限り、その場で買いましょう!何故なら、どうせ買うことになるのだから。などと相変わらず懲りずに身に付かない重要な古本理論を反芻しながら、焦って目的の本棚の前に急行し、目指す本を探し求める…売れてませんように売れてませんように売れてませんように…あった!大正十五年刊の金星堂「モダンガール/清澤洌」である。函ナシだが、驚愕の800円の手書き値段帯が巻かれているのだ。これを買わないなんて、俺は本当に馬鹿だった。棚に置いてけぼりにしてゴメンよ…と詫びつつ、ついでに昨日は目につかなかった日本推理作家協会「推理小説研究11号 戦後推理小説総目録/中島河太郎」を見つけてしまったので、観念して一緒に帳場に差し出す。計2900円で購入し、『気まぐれプレゼント 謎の文庫本』(2017/03/17参照)をお土産にいただく(今回は新潮文庫「果心居士の幻術/司馬遼太郎」であった…)。「モダンガール」は「暗黒日記」で有名なジャーナリストが、様々な婦人問題と風俗を硬軟取り混ぜ扱った研究書である。そして巻末広告を見ると、おぉっ!イナガキ・タルホ「一千一秒物語」が載っているじゃないか!
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『童話の天文學者、セルロイドの美學者、ゼンマイ仕掛の機械學者、奇異な官能的レッテルの蒐集家。そしてアラビヤンナイトの荒唐無稽をまんまと一本の葉巻に封じこめたのがこれだ。』の惹句に、ビリビリ痺れてしまう。痺れたまま、目的を完遂した気分の良さを引き摺り、北口側の「遠藤書店」(2008/10/17参照)を久々に見に行く。
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すると、店頭長テーブル100均単行本台で、ちゃんと箱付きの東方社「狂った海/新章文子」と予想外の出会いを果たし、大喜びで購入する。さらに気分が良くなったところで、そうだ、さらに久しぶりに、住宅街のプレハブ古本屋「小野田書房」(2011/06/30参照)の様子も見に行ってみよう。ちゃんと営業しているのだろうか…いやそれより何より、お店はちゃんと残っているのだろうか…と心配しながら再び南口側に出て、うろ覚えの細道をしばらくたどり、見覚えのある中央緑地帯のある閑静な道路に出る。道路を小田急線高架方面に進んで行くと、あっ!営業している!しかも店頭に大判美術本棚が増えて、パワーアップしているじゃないか!
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その相変わらずの突飛さと小ささと、しっかり開店している誠実さとしぶとさに、大いに胸を打たれる。だが今日は、何も買わずにお店の無事だけを確認して駅へと戻る。ちょっと予想外の「戦後推理小説目録」を買ってしまったからな。だがこれが本当に面白いので、買わずにおられなかったのだ…へぇ、寺島珠雄もこんなに推理小説を書いていたのか。ぬぅ、竜胆寺雄も三編…よ、読みたい。下村千秋も!などとしばらくの間楽しめそうな予感が背中を走る…。
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2017年05月14日

5/14経堂から豪徳寺へ

今日は世田谷の『馬事公苑』近くに流れ着いたので、迷わず経堂方面へ足を向ける。賑やかな商店街である『農大通り』を北に進んで二ヶ月ぶりの「大河堂書店」(2009/03/26参照)。
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するとやはり、棚がジワジワ動いている良い気配。結構欲しい本が次々と見つかるが、素早く見回り素早く決心する。春陽文庫「虹男/角田喜久雄」妙義出版「白い血の獵人/扇屋亜夫」を計830円で購入する。お店を出たら駅にちょっと接近し、後は東にひょろひょろ続く商店街的生活道路をたどりながら、徒歩で豪徳寺を目指す。テクテク歩き詰めたら、あっという間に世田谷線の踏切に行き当たる。あっさりとした駅間にホッとして多少驚きながら、踏切を渡って豪徳寺駅方面へ。するとあっという間に「靖文堂書店」(2011/09/06参照)に到達。
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相変わらず薄暗い店内に進むと、以前と少し様子が変わっている。入口右横の児童文学棚が一本増え、右側通路壁棚下には100均文庫列が形成され、奥には新たな文庫&洋書&辞書棚が据えられている。そういえば表の貼紙に『Many English Foreign Books Here』とあったが、このことだったのか。そんな小さなお店の変化を楽しみつつ、結局100円文庫本を二冊買う。小峰書店 少年少女のための世界文學選「二都物語/ディケンズ」学習研究社 中学生名作文庫「めくらの音楽家/コロレンコ(原作)那須辰造(文)」を購入。
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写真は昭和三十二年の同性愛小説集(広告では『異色作品』『第三の性』などと表現されている)「白い血の獵人」。買った本は背に補修痕がある。それが古い包装紙を使っており、パリの裏町と言った感じの表紙絵とまったく相容れないのだが、長い時を経たことにより、逆に何だかいい感じに仕上がってしまっているのが面白い。昭和四十年代辺りを彷彿とさせる包装紙のデザインは、スプーンや急須などの日用品がデザイン性高く配置されたもの。また何でこんなのを貼付けたのだろうか。そしてどうしても補修したかったのだろうか。大事な本ならば、もうちょっとマシな補修をすると思うのだが…古本には時々、何だか理解出来ぬ謎が秘められている。
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2017年05月12日

5/12二つの古本市をハシゴしてどひゃっほう!

今日は二つの古本市をハシゴするつもりで、午前九時半に家を出る。高田馬場駅からトボトボ歩いて向かったのは、早稲田大学構内で開催中の「第23回青空古本掘出市」(2012/05/19参照)。その名の通り青空の下、校舎と緑陰濃い植樹の谷間に、白く大きく横長なテントが陽光をキラキラはね返している。
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テントからはみ出した文庫ワゴンを見ていると、照り返しが眩し過ぎて、“雪目”ならぬ“文庫目”になってしまいそう。その代わりテント下は涼しく、時折温い風が古本の中を走り抜けて行く。ジリジリと一周し、途中帳場に接近した折りには、「三楽書房」さん(2012/07/19参照)と「立石書店」さん(2016/12/24参照)と笑顔で挨拶を交わす。講談社「探偵小説五十年/横溝正史」(帯付き。見返しに蔵印アリ)を800円で購入し、函入り本を包装紙で包んでもらう。市は明日13日(土)まで。本を小脇に抱えてしばらくキャンパスを彷徨った後、開き始めた『早稲田古本街』をたどりながら高田馬場駅へと戻る。そして新宿から京王線特急に乗り込み、二駅目で調布に到着する。地上に上がって駅前の『調布パルコ』に乗り込み、五階の「第2回 調布の古本市」(2016/02/24参照)会場へ。う〜む、段々この市の古書率が上昇している気がするのだが…。特に「にわとり文庫」(2009/07/25参照)「かぴぱら堂」「リズムアンドブックス」(2011/08/10参照)「ハナメガネ商会」(2014/04/26参照)は、そういう意味で先鋭的なラインナップである。だが市も今日で三日目なので、少し落ち着いた棚になっているんだろうと、あきらめムードを胸に湛えながらも、古書の列にそれでも何か残っていないかと、古本眼を血走らせる。そして気になる本は片っ端から手に取って確認して行く。すると「ハナメガネ商会」の上段木箱に、薄汚れた薄手の新書を見出したので、引き出してみる。ひゃあっ!付録本の乱歩「幽霊塔」じゃないか!なんでこんなスゴいのが残っているんだ!と目を疑い慌てふためき値段を見てみると、300円!表紙には『探偵小説』と言う文字、裏表紙には住所、そして扉には陸上自衛隊所属部隊名が記入されているのだが、そんなことはこの際どうでもいい!欲しくて読みたかったジュニア探偵小説乱歩付録本が、破格の300円なのだ。「ハナメガネ商会」さん、本当にありがとう!間違いなくどひゃっほうです!と、小学館「中学生の友」昭和三十一年四月号 中学生新書3「探偵小説 幽霊塔/江戸川乱歩」を購入する。この市は5/23(火)まで。いつ何時でも、諦めずに来てみるものだなぁ。
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パルコ一階入口前の、古本市看板の前で記念撮影。建物に吸い込まれて行く人が、コイツいったい何をしてるんだ?と訝し気な顔をして通り過ぎまくるが、嬉し過ぎて全然気にならないもんね!
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2017年05月11日

5/11新中野のブックオフは5/21まで!

今日は笹塚の北に位置する南台辺りに流れ着く。京王線に戻るにしても、場所が何とも中途半端なので、思い切って北に進めばたどり着くはずの丸ノ内線まで歩くことに決める。『中野通り』を、まだ強い日射しに炙られながら、ヒタヒタ密やかに北上して行く。一旦谷に下りて涼し気な神田川を越え、結構角度のある坂を爪先で上がり、『青梅街道』に近付いて行く…ふと、右手に現れたビル一階の「ブックオフ新中野店」(2010/05/16参照)が目に入る。おやおやおや、閉店しちゃうのか…と貼紙に気付くと、いつ閉店するのかどこにも見当たらないのだが、どうやら70%オフセールであることだけは把握する。細長い店内に進み数段のステップを下りながら、棚の多くに空きが目立ち、レジ周りもありえないほどスッキリしていることに、ブックオフとはいえ、ちょっとした寂しさを感じてしまう。一般文庫や一般単行本はかなり圧縮されてしまっているが、100均文庫やコミックや安売本はまだまだ大量に残されている。思えば七年前にここで買った思潮社「自伝から始まる70章/田村隆一」がきっかけで、まだコンセプトを決めて棚を作っていた初期「フォニャルフ」で『田村隆一と早川書房(とその特異な仲間たち)』を開催したこともあったっけ(2012/02/08参照)。棚を作るんで、わざわざ勝手に、鎌倉の田村隆一に墓に参ったりも、したっけな。などと、数少ないお店との思い出に浸りながら店内を一周。350円の光文社文庫「神津恭介、密室に挑む/高木彬光」を70%オフの105円で購入する。お釣りやレシートともにクーポン券を渡されると、そこに5月21日(日)に閉店することが書かれていた。後十日か…。
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2017年05月10日

5/10今日も別のサイン本を作る

薫りの良い上等な酒に酔っ払い続けているかの如く、昨日の大物掘り出し体験の余韻に、まだ浸っている。だがそれも次第に薄まり、明日からはまた餓鬼のように古本を探し求めるのであろう。その奇妙な余裕が為させるワザなのか、珍しく古本を買わずにテクテク歩いて西荻窪へ。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)で『フォニャルフ』棚にビシッと補充を済ませる。南澤十七や日夏耿之介など並べましたので、ご興味ある方はぜひとも覗いてやって下さい。
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帳場脇には博覧強記の素天堂さんがいらしたのでご挨拶。そして店主・小野氏に、最近入荷したという明治大正の見たこともない冒険小説・怪奇小説・探偵小説・SF小説を次々と見せていただき、うわうわうわうわ言い続ける。あぁ、欲しい!読みたい!羨ましい!決して買わないと分かっているのに、本と作家の細かいデータやバックボーンに加え、最終的に大体の相場まで教えていただき、大いに楽しく涎を堪えながら勉強させてもらう。知らない本というのは、まだまだまだまだあるものだ。そんな風に馬鹿みたいに大量の古書を見せてもらいながら一時間ほど過ごしてしまった後、「中央線古本屋合算地図」五十冊ほどにサインを入れる。マニアックな一鉄道路線を基準にした古本屋本なのに、ちゃんと順調に売れてくれているようで、まずは一安心である。取扱店もジワジワ増えているようなので、オレンジ色の表紙を見かけたら、チャンスを逃さず手にしていただければ!と切に願います。
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2017年05月09日

5/9高円寺で大物を掘り当てる!

今日は早めに高円寺北側の大和町辺りに流れ着いたので、ブラブラ高円寺を目指して歩き、やっぱり古本屋をたどって行くことにする。まず『庚申通り』北端近くの「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)では、店内文庫棚からソノラマ文庫「謎の環状列石/藤村正太」「海底牢獄/香山滋」を計800円で購入し、幸先の良い成果にほくそ笑む。続いて駅に到達し、高架下商店街の「藍書店」(2014/01/14参照)では外壁棚から、旺文社中三時代昭和47年5月号第3付録「中三文庫 海外推理名作 ルビーは知っていた!(他1編)」読売新聞社「超能力探検/吉川美雄編」を計300円で購入。よもやここの壁棚で、こんな付録本が買える日が来るとは…と小さな満足に小さく打ち震える。この小さな喜びに満足して、もう家へ帰っても良かったのだが、飛石を軽やかにリズム良く飛んでいるような成果に、もうちょっと先も見て行こうと、『高円寺パル商店街』を南に下り、アーケードから抜けて遊歩道を越えたところで「大石書店」(2010/03/08参照)と出会う。可愛いテント屋根の付いた安売ワゴンに張り付くと、左側でA5版の薄い小冊子を発見する。気になりつまみ出してみると、うわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわ!これ、一時期値段が超高騰して話題になった、1960年代終りの学生運動ドキュメント写真集じゃないかっ!今でも確か高値をキープしているはずだが、ひゃ、100円っ!本の表にも裏にも100円の値札っ!大どひゃっほう!興奮しながら路上でページを紐解くと、まるで「プロヴォーク」のような粗いアレブレボケのモノクロ写真(複数の撮影者がいるようだが、撮影者の名は一切掲載されていない)を中心にして、『御堂筋奪還デモ』『新宿騒乱』などの熱く激しい政治の季節の躍動が、次々と展開して行く。興奮する心を押し隠せずに店内に突入し、百円玉と写真集を交換する。「10・21とはなにか」を出版する会「10・21とはなにか」を購入。「大石書店」でこんなに盛り上がる日が来るとは、失礼ながら考えたこともなかった…きっと本棚の上にいる古本神は、予想以上に気まぐれで、それでいて平等なのだろう。
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やはり大物を掘り出したからには、お店の前で記念撮影。道行く人が本を掲げ持った私を見て『こいつ何してるんだ?』という顔で通り過ぎて行くが、全然気にならないもんね!

無闇矢鱈と妙な勢いがついたまま、坂を上がって「アニマル洋子」(2014/03/14参照)にも向かい。新潮社「階段のあがりはな/小島信夫」を100円で購入し、ここでエネルギーが切れ、ついに家に帰ることにする。いやでも、南側までフラフラ来て、本当に良かった。
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2017年05月08日

5/8神保町でサイン本を作る

正午過ぎに家を出て、神保町『本の雑誌社』での緊急サイン本作りに向かう。もちろんそのたどるべき行程は、神保町パトロールによりしっかりと彩られている。水道橋駅で下車し、『白山通り』を、幅広ゆっくりそぞろ歩きの学生たちとともに下って行く。「日本書房」(2011/08/24参照)ではいつもの古書ではなく、東信社「神田神保町とヘイ・オン・ワイ/大内田鶴子・熊田俊郎・小山謄・藤田弘夫」を100円で購入する。タイトル通り、神保町とヘイ・オン・ワイを『本の街』として様々な角度から比較検証する論文的な本である。続いてはちょっと時間と距離が空いて、「田村書店」(2010/12/21参照)の店頭ダンボールから旺文社文庫「四十歳のオブローモフ/後藤明生」ともだち文庫「おとのあさまざま/栗原嘉名芽」を計200円で購入し、『駿河台下交差点』までパトロールした後、ようやく『本の雑誌社』。ところが社にたどり着くと、担当のH嬢は「わ、忘れてました…」と素敵なGWボケ発言。うむ、黄金週間だったからなぁと、そんなアクシデントを笑い飛ばして、急遽セッティングされた白木の机に向かう。計五十冊の「古本屋ツアー・イン・神保町」「古本屋ツアー・イン・首都圏沿線」「古本屋ツアー・イン・京阪神」にスタンプを捺しまくり、八種の識語と署名を一心不乱に書きまくって行く。真面目に息を詰めて作業しまくったので、およそ二時間で作業は終了し、本は即座に箱詰めされて行った。解放された後は、再び神保町をパトロール。今度は夕方の長い光がまぶしい裏路地を中心にうろついていると、跪いた「アカシヤ書店」(2011/10/13参照)の100均外箱から、探していた真善美社「映画論入門/今村太平」を発見してニヤリ。別に珍しい本ではないが、探している本に出会う瞬間は、何度味わっても格別である。そのまま同様に裏路地にあるお店をたどりつつも何も買えず、往きに見た「有文堂書店」(2010/09/03参照)で朋文社「浅草紳士録/野一色幹夫」(カバーナシ)を300円で購入し、ようやく諦めをつけていい加減帰ることにする。
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というわけで作成したサイン本は、今月末に大阪で開かれるブックマーケットの『本の雑誌社』ブースで販売されますので、西のみなさま何とぞよろしくお願いいたします。そういえば「梅田蔦屋書店」では、古ツア棚で新入荷本が続々販売されているはずなので、こちらも引き続きよろしくお願いいたします。

『KITAGAYA FLEA & ASIA BOOK MARKET』
■日時:2017/05/27(sat)12:00-20:00・28(sun)11:00-20:00
■場所:CCO 1F・2F・3F(クリエイティブセンター大阪)大阪市住之江区北賀屋4-1-55 名村造船跡地
■入場料:500円
http://kitakagayaflea.jp/
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2017年05月07日

5/6酔眼で良書をつかむ。

すべては昨日のことである。テクテクとまずは朝の高円寺に向かい、開場三十分後の「西部古書会館 大均一祭」初日。混み合う館内を尻目に、まずはガレージのちょっと量の少ない雑誌類に目を落としていると、背後から「こーやーまーさん」と声をかけられる。振り返ると、宇宙海賊キャプテンハーロックのような立ち姿で、「風書房」さんがユラリと立っている。そしておもむろに「スゴいの見つけましたよ」と言うのだ。「スゴいの?スゴいのってなんですか?」と慌てふためき近寄り、二人で入口のステップに並んで腰を下ろす。ガサゴソと風書房さんが取り出したのは、ポプラ社ジュニア探偵小説「美しき魔人/久米元一」であった。ふぉぉぉぉぉぉ!これが200円!しかもちゃんとカバー付き!…あぁ、古本市にも、まだ夢は充分転がっているのだな…人の狩った獲物を物欲しげに手にしながら、改めてそう思った、羨みの瞬間であった。その後こちらも館内に突入し奮闘するも、あのジュニア探偵小説の鮮やかさが頭にこびり付き、何もかも色褪せて見えてしまう病に悩まされる。途中「マニタ書房」(2012/10/27参照)とみさわ氏と言葉を交わしたりしながら、それでも五冊を選んで帳場にて精算。「コクテイル書房」(2016/04/10参照)狩野氏に「中央線古本屋合算地図」ご協力のお礼を伝える。ブエナ・ビスタ映画「ジャングル・ブック」光文社「長編推理小説 夜を探がせ/石原慎太郎」青木文庫「装甲列車No.14,69/フセェウォロド・イワノフ」教養文庫「撮影所 映画のできるまで/川和孝」三省堂「原色甲蟲圖譜/神谷一男・安立綱光」を計1000円で購入する。「原色甲蟲圖譜」は函ナシで『慶応義塾幼稚舎』の蔵書である。廃棄本などのハンコは捺されていないので、誰かが返すことなく、いつの日か古書界に流れ出たものであろうか。昭和十二年刊の十二版で、図版はすべて実物標本の原色写真である。本体表紙の、図案化された兜虫の箔押しが美しい!
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一旦家に戻り、午後二時過ぎに外出。西荻窪「盛林堂書房」(2012/0106参照)に立ち寄り、芦辺拓氏への預け物を託す。その後は『こけし屋別館』に向かい、岡崎武志氏の還暦祝いである『第98回西荻ブックマーク』に参加する。多くの古本者が馳せ参じた会は大盛況で、始終爆笑&和やかムードで進行。氏の人柄を存分に感じさせる楽しいイベントとなる。最後のプレゼント大会が、抽選プレゼントながらも会場中の人にプレゼントが行き渡り、ほぼ配給と化していたのが愉快であった(ひたすら当選番号を読み上げる善行堂さんが、段々役所の人に見えて来る始末)。また独自な私小説的フォークソングを熱唱した世田谷ピンポンズさんの、普段使いのメガネが、黒ブチ眼鏡からガリ勉的スポーツタイプに変わっているのに気付き質問すると「いや、昔の羽生善治みたいなメガネが掛けたくて…」と非常に分かり易い答えが返って来た。歌もMCもライフスタイルも、独自のスタイルを貫く素敵なアーティストである。

打ち上げ参加後、午後九時半過ぎに阿佐ケ谷に帰り着く。おっ、夜道にはまだ「古書 コンコ堂」(2011/06/20参照)の看板が明るく輝いているではないか!と大喜びで飛び込む。ビールと日本酒で酔っ払った酔眼をカッと見開き、文学棚から一冊、ミステリ棚から一冊引き抜き精算する。店主・天野氏、「中央線古本合算地図」の『古本屋レクイエム』のページが懐かし過ぎるとのこと。どうやら古本屋になる前に、巡っていた思い出のあるお店が多数掲載されているらしい。作成した側としては、何とも嬉しい話である。カイガイ出版「地底に蠢く/草野唯雄」第一書房「事變下の文學/板垣直子」を計3090円で購入する。
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マニアックなちょっとレア本であるカイガイ・ノベルスも嬉しいが、昭和十六年刊の「事變下の〜」はさらに嬉しい。論考は『戦争文學』『農民文學』『大陸文學』『生産文學』『海洋文學』『癩文學』『植民地文學』『移民文學』『労務社会文學』『歴史文學』『都會文學』などに大別されている(さらに各章内では『開拓文學』『女給文學』『ルンペン文学』『市井事文學』など細かく分類されて行く…)。おっ、岡田三郎についても考察されてるじゃないか。これはいい、これはいいぞ〜と酔っ払いながら、後少しの帰り道をたどる。
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2017年05月05日

5/5おれがにくむよこの本を。

こどもの日に流れ着いたのは東小金井。「BOOK・ノーム」(2009/02/13参照)の新古書的並びに弾かれて、為す術なく阿佐ケ谷に帰り着いてしまう。フラフラ『旧中杉通り』を北に向かい、いつものように「ネオ書房」(2010/02/09参照)の店頭を精細にチェックする…ここのところ五ヶ月ほど動きはまったく見られないが、突然山が動く可能性があるので、恐らくもう一生このお店から目を離せないであろう…。そして100円の朝日新聞社「地震列島」を手にして、久しぶりに店内も一応流しておくかと入口部分でお店に正対すると、目の前の棚脇に置かれたラックが、必然的に視界に入ってしまった。その中に気になる一冊の少女漫画、若木書房「にくいあいつは二十面相/高上早苗」を発見する。に、二十面相だと!と即座に心がざわついてしまい、ビニール梱包された、表紙がちょっと陽に焼けたコミックスをつかみ上げる。先日の乱歩「吸血鬼の島」発売記念トーク時に、特典として配られたA5サイズ全12ページの「乱歩漫画コレクション」は、全く持って素晴らしいものであった。昭和五十年代後半〜最近までのコミカライズは除外してあるが、黎明社版(+廉価版)・あかしや書房版・別冊漫画付録に加え、恐らく乱歩未許可のパチ物の書影まで掲載された、魅惑の小冊子なのである。会場でそんな乱歩漫画について話を聞いている時に、確か細野不二彦も明智小五郎の娘が中年刑事になった小林少年と事件を解決する読切り作品を描いてたな(これは面白かった)などと突然思い出したりしていたのである。そんな流れがあり、いつもなら気にもとめないのだろうが、この未見の少女漫画がとても気になってしまう。値段は980円…微妙にプレミア値が付いているな…だがしかし、知られざる乱歩漫画なのかもしれない…。そう都合良く決めてかかり、二冊を計1080円で購入する。家に帰って読み始めると……………やっぱり、やっぱりただの少女漫画であった。簡単に要約すると、女子校に赴任することになったハンサム英語教師が、女生徒にナメられたりカモられたり(?)しないために、伊達メガネと付け鼻&眉毛で変装して超絶な野暮天を装い教壇に立つ…という他愛もないお話である。二十面相はまったく関係ありません。顔も本来の顔と合わせて二つだけの、つまりは二面相である。かろうじてそれらしきセリフが出て来る場面が、初めての変装を下宿で完了し「がっはっはっわかるかね明智くん!」と感極まって叫ぶところと、変装姿をたしなめる校長先生が「あのねきみ…二十面相じゃあるまいしふざけてるとしか」のところだけ。明らかにタイトルにつなげるための、取って付けたようなセリフである。あぁ、俺は何故五十にもなって、二十面相の名に釣られて、こんな漫画を買ってしまったのか。にくい!今更ながらこの漫画が憎くてたまらない!
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2017年05月04日

5/4東京・中野坂上 ブックパーク中野坂上店

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せっかくの連休なのに、世界中の疲労を抱えたような状態に陥り、中野坂上に流れ着く。集中力などはとっくのとうに霧散しているが、それでも古本屋ツアーはして行くべきだと、近所の古本屋さんを懸命に思い出してみるが、残念ながらこの辺りはずいぶん前から『古本屋無風地帯』と化している。う〜む、取りあえず新高円寺に向かい、商店街を北に遡ってみるか…などと考えながら『青梅街道』まで出ると、おやっ?あまり見慣れぬリサイクル系新古書店があるじゃないか。外観から察するに、恐らくアダルトメインのお店なのだろうが、もしかしたら何か売っているかもしれない。とノロい頭の回転で判断し、中にササッと踏み込んでみる。店内は案の定、明るく妖しく肌色が乱舞する空間である。だが、右側では普通の新刊コミックや車雑誌も売られ、左のアダルトコーナー入口前には懐かし系ムックのバーゲン本コーナーもある。ではこっちは?と右側通路入口側の行き止まり空間に入り込むと、そこには中古コミックやゲーム系バーゲン本に加え、角に細長いアクリルケースがあり、復刻版のジャガーバックッスシリーズとともに、アニメ雑誌「OUT」の創刊号が高値で飾られていた。おぉ、予想外にここだけ古本屋さんらしいぞ!と無邪気に喜ぶ。だが何を買おうかかなり悩んでしまい、何故か新刊でたくさん並んでいる、ガチャガチャ・おもちゃ・ファミコン・おまけなどの本の中から青幻舎「昭和ちびっこ怪奇画報/初見健一」を選んで購入する。文庫サイズだが、かつての「少年マガジン」グラビアページに掲載された、香山滋〈人見十吉シリーズ〉と小栗虫太郎〈折竹孫七シリーズ〉の秘境探検物が収録されているのが嬉しい。

「西荻モンガ堂」(2012/09/15参照)が出版した「モモイトリ 2017年春闌号」に『“極める”を放棄する。』という一文を寄稿しました。どこかでお見かけの際は、ぜひご一読していただければ幸いです。相も変わらずのめり込んでいる古本屋と古本屋ツアーの話でありますが…。
http://blog.livedoor.jp/mongabooks-mokuroku/archives/70635573.html
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2017年05月03日

5/3やはり島田一男先生を選んでしまう。

テクテク中野まで春の道を歩いて、にぎわう『中野サンプラザ』に潜入し、まんだらけ『大まん祭』会場へ。コスプレ娘が歌って踊り、稀少な物品とマニアが犇めく、私にはちょっと縁遠い感のあるオークション会場である。目的は乱歩・少年探偵団外伝とも言える、幻の読者への挑戦状小説を編纂した「吸血鬼の島/江戸川乱歩著 森英俊・野村宏平編」先行販売&トークである。販売ブースで本を購入し、特典の小冊子「「譚海」掲載 『犯人あて大懸賞』セレクション 出題・江戸川乱歩」と「乱歩漫画コレクション」も無事に手に入れる。トークは一時間強を乱歩&乱歩漫画で埋め尽くす、予想通り狂気の絶対乱歩タイム。だが一番面白かったのは、トークにも列席した「まんだらけ」店長・辻中氏と森氏の、貸本小説を巡る血の雨が降りそうなバトルの歴史であった。今は確執はないらしいが、笑顔で敗北のエピソードを次々語る辻中氏に、マニアの矜持と恐ろしさを、会場の後方から遠望する。

トーク後は会場にいた「盛林堂書房」(2012/01/06参照)小野氏とともに西荻窪に向かい。先月の「フォニャルフ」売り上げを受け取りつつ、刷り上がった岡崎武志氏還暦祝いの小冊子百冊を「古書 音羽館」(2009/06/04参照)に運ぶ仕事を仰せつかる。そんなことをしている間に、目の前で「中央線古本屋合算地図」が売れる瞬間を目撃し、ついつい幸福になる。取りあえずスタートダッシュはまずまずのようだ。みなみなさま、引き続きこのオレンジ色の本を可愛がってやって下さい!と心の中で大いにに念じつつ、「フォニャルフ」棚の動きをチェックするために左側通路入口側へ。ところが自分の棚を見る前に、本棚探偵「ひとたな書房」の並びに目が釘付けになってしまう。あぁあぁあっ!またなんて本を並べているんだ!そこにはポプラ社の海野十三・大下宇陀児・島田一男・高木彬光のジュニアミステリが、分厚くしれっと整列しているではないか。三冊はカバーがカラーコピーだが、それでも相変わらず安値なのである。ポケットの中の受け取ったばかりの売上金をギュッと握り締め、頭の中はたちまちどれを買おうか?ということで一杯になる…あぁ、たくさんの古本を売って得たお金が、たちまち一冊の古本にすり替わってしまうのか…などと多少は嘆息しつつも、一瞬の逡巡の後、やはりここは島田一男先生しかないだろうと、ポプラ社探偵冒險小説「青い魔術師/島田一男」(カバーカラーコピー)を五千円で購入してしまう。五千円の背徳感に襲われつつも、何たって島田先生の執筆に加え、挿絵は北田卓史なのだ!と結果的に喜び、本棚探偵に盛大に感謝を捧げてしまう。

多幸感に包まれながら「古書 音羽館」に移動し、新宿駅西口側にかつてあった「天下堂書店」のラベルが貼り付いた南北社「文学青春群像/小田嶽夫」(函ナシ)を100円で購入し、店主・広瀬氏に小冊子を引き渡して、5/6のイベントについて少し打ち合わせる。嬉しいことにこちらでも「中央線古本屋合算地図」の動きは順調とのことであった。
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本日の、少年探偵小説に重心を傾け過ぎた嬉しい収穫たちである。これらを買うお金で、何処か遠出でもすれば良かったのだが、すみません!やはり買わずにはおられなかったんです!欲しかったんです!仕方なかったんです!…うぅ…。
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2017年05月02日

5/2東京・南阿佐ヶ谷 店名不明

今日は夕方前に久我山の北に流れ着いたので、己の方向感覚を信じ、どこまで行っても似た景色が連なる住宅街をアイスモナカで涼を取りながら歩き、荻窪に到達して「竹陽書房」に安らぎを求める。だがじっくりと全棚を見るも、今日は食指が動かず、哀れ何も買わずに退散してしまう…このままではいかんな。そこでお茶を濁す小ネタ店を思い出し、地下鉄丸ノ内線で南阿佐ヶ谷まで移動する。地上に出たら『中杉通り』を200m強北上し、最初の信号で西の小道へ曲がり込む。最初は雑貨屋・飲み屋・食べ物屋などが続き、楽しい小道の雰囲気であるが、『商工会館』前を通過するとお店の数は自然と少なくなり、やがてただの住宅街となる。だがめげずにそのまま西へテクテク歩いて行くと、右手に突然雑然としたお店が姿を現す。店名は不明。
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店頭が古着で覆われ、足元には陶器や雑貨を詰め込んだ箱やカゴが置かれている。基本的には古着ショップのようであるが、店頭には古本箱も存在しているのだ。布製ボックスの中に、全品50円の文芸雑誌・ムック・新書・文庫が二十冊ほど詰め込まれている。スポーツ・歴史・エンタメ・推理・教養…まぁ安いのが取り柄であろう。一冊取り出して店内へ進むと、眼鏡姿のマダムが待ち構える洋服で作られた柔らかい空間。新潮文庫「阿部一族・舞姫/森鴎外」を購入する。

その帰りに「千章堂書店」の店頭で立ち止まると、店頭右側の映画パンフボックスの中に、角川映画「蔵の中/横溝正史原作 高林陽一監督」を発見したので400円で購入する。表4は『文庫5000万部突破記念(ご、ご、5000万部って…) 横溝正史フェアの広告』で、横溝正史についての解説は友成純一が担当。いわゆる角川の大作横溝映画とは一線を画す、低予算の実験的作品である。パラパラ捲っていると、表3の主演女優・松原留美子のファーストアルバム広告が目に留まる…タイトルは「ニューハーフ」…なんでまたこんなタイトルにと不審に思っていたら、松原は正真正銘のニューハーフなのであった。良く見ると、パンフにはその話題で多くのページが割かれているではないか。こういう映画だとは、まったく知らなかった。さすがは映画界の風雲児・角川春樹と言うべきか……色々あったんだろうなぁ。映画作りって、なんか大変なんだなぁ…。

家に帰ると岡崎武志氏より封書が届いている。土曜のトーク&ライブのための、紙焼き写真である。三十枚ほどをデータ化し、前座余興として公開しますので、お楽しみに!

★《緊急開催!》第98回西荻ブックマーク 山本善行presents 岡崎武志還暦記念トーク&ライブ 「風来坊 ふたたび」東京篇
■日時:2017年5月6日(土曜日)
■開場:15時30分
■開演:16時
■終演:18時30分 (予定)
★【ご注意ください!】予約者多数のため会場が変更となります。
× ビリヤード山崎 2階 (東京都杉並区西荻北3-19-6、西荻窪駅北口徒歩1分)
                ↓↓↓
〇こけし屋 別館2階 (東京都杉並区西荻南3-14-6、西荻駅南口徒歩2分、TEL03‐3334−5111)
  地図はコチラ 
*本館横のみずほ銀行の後ろにお回りください
■出演:岡崎武志 山本善行 荻原魚雷 小山力也 島田潤一郎
■特別ゲスト:世田谷ピンポンズ
■料金:2,000円 (おみやげ付き)
http://nishiogi-bookmark.org/2017/
☆ 緊急開催! 東京でもやります!!! ☆
西荻ブックマーク最多出演の岡崎武志還暦記念。
京都から山本善行さんを迎え、さらに古本者三人衆もお呼びいたします。
また特別ゲストに世田谷ピンポンズさんが参戦!
みなさまもこの機会にお祝いにいらっしゃいませんか?
すてきなお土産もご用意いたします。
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2017年04月30日

4/30「東京のロビンソン・クルーソー」と「わんぱく天国」!

「第19回不忍ブックストリート一箱古本市」のプレゼンターを、今年も一箱王(南陀楼綾繁氏)より仰せつかったので、午後に外出。いつもなら、往復逆打ち・二往復・タイムトライアル・渦巻き回りなどの苦行を己に課すのだが、今日は両足が極度の筋肉痛に襲われており、日和って普通に見に行くことにする。そしてプレゼンターとしてではなく、色々なしがらみをかなぐり捨てて、純粋に古本を買って楽しもうと心に決める。ただし条件を三つ設定。1. ちゃんと本当に欲しい本を見つけること 2. たまには高い本を買ってみること 3. いつの間にか意外にも知り合いが多くなってしまったので気付かれぬよう隠密に活動すること…純粋に楽しむのなら、こんな条件はまったく必要ないのだが、残念ながらこんなことに容易く燃えてしまう性格が、そうさせるのである…。午後一時過ぎに根津駅に着き、まずは今年の地図を手に入れるために「タナカホンヤ」(2012/05/29参照)へと足を向ける。スタンプラリーのハンコ押印テーブルで無事に地図を入手し、およそ三時間をかけて十四ヶ所の六十八箱を見て回る。今年は谷である『不忍通り』を核にして箱が出店されている印象で、とてもスムーズで回りやすい。まずは三番目の条件については、その成功率は半々であった。なるべく人垣を利用して箱を盗み見たり、店主が視線を落としている時に気配を殺して素早く箱に接近して検分するなどしたのだが、本に夢中になると発見率が飛躍的にアップしてしまうのが難点だったのである…。二番目の条件については、特別擁護老人ホームに出店していた「文庫善哉」さんに晶文社「東京のロビンソン・クルーソー/小林信彦」が並んでいるのを発見し、一気に憧れが所有欲に移行してしまう。うぅんと会場内を一周して悩むフリをしながら、意を決して購入。かつてない、一箱古本市での最高値の買物となる(ただし6000円を5000円にしていただく。ありがとうございます!)。一番目の条件については、同じ会場の「RAINBOW BOOKS」箱で、ついこの間金沢八景で、佐藤さとるの展示ケースに『必ず手に入れてやる!』と誓ったばかりの(2017/04/24参照)講談社「わんぱく天国/佐藤さとる」を奇跡のように発見し、600円で購入する。まさか、まさか、こんなに早く手に入るなんて…古本の神様が、きっとにっかり微笑んでくれたんだ!と都合良く解釈し、途端にお客としてはチリチリ燃え尽きてしまう。だがその後も使命感に駆られてペースを落とさず回り、午後四時前にはすべての箱を見終える。坂の途中の池のある『須藤公園』の階段に腰を下ろし、ビールを飲みながら古ツア賞受賞者を決めつつ、木漏れ日の下で「東京のロビンソン・クルーソー」をツルツル読み進める。そして細かい文字群に飽きたら、「わんぱく天国」を箱から取り出し、横須賀の谷戸の小道を一緒に駆け回ったりしてしまう。そんな風に午後六時前まで過ごし、『谷中防災センター』での受賞式に臨む。今年の私の一位は「◯×文庫」さんで、昭和というすでに懐かしくなった時代を、古い本〜新しい本、それに絵本からガイドブックまでと、様々な角度から捉えた気持ち良さを、古本を買うお客として最大限に評価する(21世紀ブックス「おもちゃの作り方/石川球太」を300円で購入)。二位は探偵小説&ミステリのプロ的充実+恐るべき安さが毎年続く「幻影文庫」(光文社「少年探偵 少年探偵團/江戸川乱歩」を1000円で購入。傷んでいるところはあるが、カバーがちゃんとツヤツヤ!)、三位は一箱古本史上かつてないはずの殺人や連続殺人をテーマに据えた蛮勇の「幻想博物館」であった。一箱店主のみなさま、助っ人のみなさま、そして南陀楼氏を筆頭とする主催者のみなさま、今年も楽しい楽しい古本の飛び交う場をありがとうございました!

だがそれ以外にも、当地の古本屋「bango books」(2011年07月28日参照)に古本心を大いに切り刻まれてしまう。へび道端のお店では、圭文館「ダイヤル風流譚/穴吹義教」有終會「米國武官の見たる日米未来戦/海軍大佐 廣瀬彦太」(米軍スパイが横須賀海軍工廠に潜入する場面からスタート!)を計800円で購入した後も、丘の上の同店無人販売百均箱から大日本雄辯會「人肉の市/窪田十一」(カバー貼付)コンノ書房「大正会夜話」の二冊を計200円で購入してしまう。あぁ、色々まとめて、古本塗れな面白おかしい一日であった。幸せである。
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今日の嬉しい収穫トップ4。須藤公園の階段にて。
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こちらは木漏れ日の下で、「わんぱく天国」の見開き扉を開いたところ、ページから横須賀の匂いが、如実に流れ出し止まらない!
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2017年04月29日

4/28「たけうま会」と「推理小説ブック」

すでに昨日のことである。昼過ぎに家を出て、荻窪「ささま書店」(2008/08/23参照)で岩波写真文庫「本の話」小学館「アダンの画帖 田中一村伝/南日本新聞社編」を計210円で購入し、毎度お馴染み西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ。「フォニャルフ」に補充した後、帳場脇に席を作っていただき、オレンジ色の表紙が艶やかで眩しい「中央線古本屋合算地図」に、一心不乱にサインを入れ続ける。その数二百五十冊。およそ二時間かけて書き終えると、岡崎武志氏が「どぅも〜」と軽快に登場。交代して帳場脇に腰を下ろして、サインをさらりさらりと書いて行く。は、早い。相変わらず早い。「バランスがとれててええのよ。こっちはさらさら軽く書いて、古ツア君は紙に彫るみたいに書いて」とのこと。あっという間に五十冊が終わったところで「ほな、後は詩集にハンコ捺していくわ」とすっかり一仕事終えたつもり。すかさず盛林堂・小野さんが「何言ってるんですか。あと二百冊あるんですよ」と切り込むと「えぇ〜!まだそんなに!もう終わったと思ったんやけどなぁ〜」とオトボケ返答。そんなこんなでいよいよ本日発売ですので、どうかよろしくお願いいたします!「盛林堂」以外では、今のところ椎名町「ますく堂」国分寺「まどそら堂」八王子「むしくい堂」神保町「古書いろどり」京都「善行堂」大阪「梅田蔦屋書店」で販売予定。
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西荻窪を離脱して神保町に至り、夕方の本の街をパトロールする。「丸沼書店」(2009/12/17参照)でちゃんと著者紹介ペーパー入り(書いているのは高木彬光と植草甚一)の桃源社書下ろし推理小説全集「ぺてん師と空気男/江戸川乱歩」を500円で購入。「アムール」(2011/08/12参照)では改造文庫「ダーウィン傳/駒井卓」創元推理文庫「血の収穫/ダシール・ハメット」(再版。元パラ付き)を計100円で購入。さらに「ブンケン・ロック・サイド」(2014/08/28参照)の店内レジ前の付録山の中から、小学館小学五年生昭和四十二年12月号ふろく「犯人当て推理小説ブック」を表紙絵に惹かれて1080円で購入し、パトロール終了。チラホラ閉店準備が進み始める『靖国通り』を東に向かい、「東京古書会館」(2010/03/10参照)一階ロビーで「たけうま書房」さんと落ち合う。今日は神保町で『たけうま会』が開かれるのである。お相手は意外な人選、鎌倉「公文堂書店」さん(2010/03/28参照)と調布「古本 海ねこ」さん(2012/12/17参照)!古本屋さんなのに古書会館に緊張気味のたけうまさんが、たけうまさんらしくておかしい。しかし金曜午後六時の会館は、確かにたくさんの古本屋さんが目の前を通過して行くので、何となくその気持ちが分かる気もする。やがて姉御二人と合流して、近くのラーメン屋なのに夜は飲み屋になるお店に飛び込む。「何でこの四人?」と最初は言っていた海ねこさん。だが、全員三月生まれということで意気投合し、次第にお酒も進めばメートルが上がり、陽気な楽しい場と化して行く。公文堂さんは笑顔の眩しい『哭きの竜』みたいな方だが、旅と古本屋と樺太の話が面白い。いつか訪れた日野店(2009/11/07参照。現在は倉庫となっているそうである)の話をすると、恥ずかしそうに顔を伏せ「なんであんなとこまで来るのぉ〜。あの後、チキンラーメンの時計は本当におかしいんで外しました」とのこと。何か…すみません。でもまた今度、入れてもらおう。あのお店は、何かありそうな予感がプンプンするのだ。海ねこさんは目録製作と、あのレベルの高い本集めの苦しみを、世間話のように話してくれる。その中で外国の古本屋さんでの仕入れは、同業者ということなら(そのための英字名刺を作っている)、ちゃんと値引してくれるという事実にビックリしてしまう。へぇ〜、同業者割引は、世界万国共通なんだ。二人はたくさん日本酒を飲みながら、たけうまさんの私生活にもズバズバ切り込んだりして行く。フフフフ、愉快愉快。そんな風に神保町の夜は更け、明日のためにたけうまさんに後を任せて、一足先に失礼する。
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素敵に酔っ払う姉御二人と、何故かピースサインの陽気なたけうまさん。

すっかり酔っ払って乗り込んだ中央線車内では、気になっていた「推理小説ブック」を引っ張り出し、ビニールをもどかしく破って目次を開く。うわっ!宮敏彦!梶竜雄!氷川瓏!やった、当たりだ!岡田圭右風の男が描かれた石原豪人のイラストに惹かれ、一か八か買ってみたのだが、これは嬉しい!冒頭に『この本には、長編の推理小説が七本のっています』とあるが、みな18ページほどの短篇である。楽しい飲み会と収穫の余韻に浸り、電車は東京の夜の町を西にガタゴト走って行く。
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2017年04月27日

4/27買取バイトからの帰還を「中央線古本屋合算地図」に出迎えられる。

本日は早起きして「盛林堂書房」(2012/01/06参照)の軽井沢買取に、下っ端バイトとして同行する。その役割は、道中の眠気を吹き飛ばすお喋り相手と、大量の本を素早く移動させる肉体労働者である。午前七時半に西荻窪を出発し、高速道路を経由して、順調に北関東の山奥へと分け入って行く。途中、六年前に北軽井沢の「麦小舎」(2011/05/14参照)ツアー時に、自転車で苦しみに苦しみ抜いて上がった山道を、なぞるようにたどっているのに気付き、車でもハードな勾配とカーブを筋肉でクリアした、六年前の自分に戦慄を覚えてしまう。白い水蒸気噴煙をポカポカ上げる浅間山や、鬼押出しの奇岩に歓声を上げたりしながら、三時間ちょっとの車旅で目的の別荘地に到着。勤勉にすぐに書庫内の査定と整理に取りかかる。涎を垂らしても垂らし足りない探偵小説類に蕩けながら、まだ必要な本と買取本に分けた後、書庫の片付けや拭き掃除にも従事し、玄関にダンボール箱詰めした本と結束した本をキッチリ積上げ一段落。ドライブインで買って来た釜飯で昼食を摂りながら、宅急便の到着を待ちわびる。今回すべての本を一度に持ち帰るのではなく、キモの本だけは盛林堂号に載せて帰り、後のそれなりの本が詰まったダンボール十三箱は宅急便に運んでもらうことにしたのである。ほどなくして時間通りにトラックが到着。手続きをした後に、ダンボールの運び出しを手伝うと、そのドライバーさんは重さ15〜20kgのダンボール箱をひとつ持った後「上にひとつ載せて下さい」と笑顔でお願い。遠慮なくドスリと載せると、涼しい顔で二箱を抱え、あまつさえ階段を駆け下り小走りにトラック荷台へと向かうのであった…す、すげぇ。そして何度も「ひとつ上に載せて下さい」を繰り返し、運び出して行く。まるで江戸時代の拷問、『石抱き(別名・算盤責め)』を涼しい顔で受け流しているみたいに…。そんな風にして無事に三時間ほどで買取作業は終了し、すぐさま東京への帰路に着く。
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写真は別荘のベランダからの枯れ林の景色である。軽井沢はまだ雪もちょっとだけ残っているし、桜はキレイに咲いているし、やはりまだ寒かった…。

往きと同様に三時間強で西荻窪に無事たどり着き、荷物の運び出しを済ませて無事に買取バイト終了。番台のあちらとこちらでお互いに、さすがに疲れを溜めながらも、本日の総評や汲めども尽きぬ古本話など。さらに最近の入荷本を見せてもらっていると、おぉ!東京ライフ社「亡霊怪猫屋敷/橘外男」の帯付きが!と興奮。私も裸本だけは所持しているので、即座にカバーと帯のコピーを懇願してしまう。帯背の『新東宝天然色超大作映画化』の惹句が素晴らしい。
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家に帰って本にコピーを巻いたところ。完品モドキ本であるが、やっぱりジワジワ嬉しいぞ。黒猫ニャニャニャ〜ン!

とそんなことをやっていると、印刷所から待望の「中央線古本屋合算地図」が届けられた。いゃっほう!ついに出来たんだ!包み紙を剥がして一冊取り出して、うっとりと眺める。思った以上に表紙の中央線カラーが美しく再現されているではないか。中央線沿線古本屋のみなさま、執筆者のみなさま、そして古本屋を愛してくれるみなさまのおかげで、ついにこんなマニアックな本が、この世界に生まれ落ちました。本当にありがとうございます!4/29(土)の発売をお楽しみに!
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巻末には復刻の地図グラビアが!どうです、段々と欲しくなって来たでしょう!

追伸
先日購入した山田風太郎「風眼抄」(2017/04/24参照)は、やはり署名本であることが判明しました。改めて高らかに叫ばせていただきます!どひゃっほう!
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どひゃっほう記念に、署名ページから裏の写真ページを透かして撮影。
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2017年04月26日

4/26最初は「キュノポリス(犬狼都市)」であった。

本日色々終えて流れ着いたのは、武蔵関と吉祥寺の中間辺りであろう関町…というか、自分が今どこにいるのかいまいち理解していない状態…。取りあえずは吉祥寺駅を目指して、何となく当てずっぽうに住宅街の中を南に向かって歩いて行く。すると、突然背後から声をかけられる。おっ!やけに実用的な自転車に乗ったトマソン社社主の友泉君じゃないか。聞けば車を駐車場に置き、お店に戻るところらしい。そうか、この辺りは「松田書店」(2016/11/27参照)の近くなのか。渡りに船と吉祥寺までの道のりを何となく教えてもらい、お互いにちょっと人見知りしながらも二言三言言葉を交わして、スッと別れる。かなり長く歩き詰め、やがて見覚えのある『五日市街道』に出たので、久しぶりに「すうさい堂」(2009/05/02参照)に寄ろうとするが、残念ながらお休み。仕方なく繁華なアーケード商店街に足を向け、私とはそれほど相性の良くない「外口書店」(2010/02/22参照)に入り込む。
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お店の雰囲気は昔ながらだが、棚に並ぶ本は新古書が多いので、古本心がそれほど燃え上がらないのである。ぐるっと一回りして、講談社文庫「探偵小説辞典/中島河太郎」を400円で購入すると、帳場の老婦人は立ち上がりながら本を受け取り、ピンク色のオリジナル書皮を丁寧に掛けてくれる。背の折目は爪でピシッと付けて、文庫との一体化を図る。そして最後に「ありがとうございました」と深々とお辞儀。今や東京では珍しくなった感のある、賑わいの巨大アーケード商店街の古本屋さんは、今日も元気に営業中であった。

阿佐ケ谷に帰り着き、習慣として「古書 コンコ堂」(2011/06/20参照)の前で足が止まる。珍しく左側のムック&絵本&雑誌箱に引き寄せられると。丸善発行の古い季刊文芸雑誌「聲」(1958年創刊。全十巻。大岡昇平・中村光夫・福田恆存・三島 由紀夫・吉川逸治・吉田健一編集)が五冊ほど放り込まれているのを発見する。一冊一冊目次を確認して行くと、1960・春の7号に、澁澤龍彦の『犬狼都市』が掲載されているのに目が留まる。
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初出は『犬狼都市(キュノポリス)』じゃなく、『キュノポリス(犬狼都市)』なんだ。文字のような前衛的カットは、福澤一郎の仕事である。私は澁澤の書くものは、評論やペダンチックなエッセイより、小説の方が断然好きなのである。言葉や文章は美しいが、物語の流れ方が、まるで硬質で正確な歯車で押し出されるように、大きくギクギク、小さくキクキクと、機械的に動くところに陶然としてしまうのである。言わば、非小説家が書く小説というところに、物凄くときめいてしまうのである。そんなことを瞬時に店頭で思いながら、103円で購入する。

そしてちょっとお知らせ。
岡崎武志氏との渾身の古本屋本第三弾「中央線古本屋合算地図」は、絶賛予約受付中ですので、何とぞよろしくお願いいたします!店頭発売日は4/29(土)となっております。
http://seirindousyobou.cart.fc2.com/ca11/304/p-r-s/

そしてその岡崎武志氏の、5/6(土)還暦祝いトーク&ライブですが、予約がズンズン増えてしまったので、会場が『ビリヤード山崎』から、同じ西荻窪の『こけしや別館2階』に変更となりました。さらにたくさんの人で祝えるようになりましたので、ぜひ面白いお祭りと思って奮ってご参加ください!

★《緊急開催!》第98回西荻ブックマーク 山本善行presents 岡崎武志還暦記念トーク&ライブ 「風来坊 ふたたび」東京篇
■日時:2017年5月6日(土曜日)
■開場:15時30分
■開演:16時
■終演:18時30分 (予定)
★【ご注意ください!】予約者多数のため会場が変更となります。
× ビリヤード山崎 2階 (東京都杉並区西荻北3-19-6、西荻窪駅北口徒歩1分)
                ↓↓↓
〇こけし屋 別館2階 (東京都杉並区西荻南3-14-6、西荻駅南口徒歩2分、TEL03‐3334−5111)
  地図はコチラ 
*本館横のみずほ銀行の後ろにお回りください
■出演:岡崎武志 山本善行 荻原魚雷 小山力也 島田潤一郎
■特別ゲスト:世田谷ピンポンズ
■料金:2,000円 (おみやげ付き)
■定員:50名
http://nishiogi-bookmark.org/2017/
☆ 緊急開催! 東京でもやります!!! ☆
西荻ブックマーク最多出演の岡崎武志還暦記念。
京都から山本善行さんを迎え、さらに古本者三人衆もお呼びいたします。
また特別ゲストに世田谷ピンポンズさんが参戦!
みなさまもこの機会にお祝いにいらっしゃいませんか?
すてきなお土産もご用意いたします。
posted by tokusan at 19:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月24日

4/24神奈川・藤沢本町 藤沢本町で古書市。

『関東学院大学図書館』で卒業生でもある佐藤さとるの展示が行われているのを知り、逃すまじ!と午前のうちに、相変わらず古い変電所がホーム向かい側に建つ京浜急行・金沢八景駅に駆け付ける。駅から離れて、細長く人工的な平潟湾沿いに出た途端、冷やっとする海風と潮の匂いが顔にぶつかって来る。歩き始めると、すぐに橋でつながった小さな弁天島が姿を現わすと同時に、遥か昔の子供時代の記憶が甦る。母の親戚を近くに訪ねた折、家族全員でこの島に渡ったことがあるのだが、橋を渡った途端に、木陰で熱烈な抱擁を交わすアベックがいることに全員が気付く。母はその気まずさからすかさず「もう行きましょう」と言うのだが、父は徐に煙草を取り出し「まぁいいじゃないか。せっかくだから色々見て行こう」などとほざき、海に向かって腰を下ろしてしまったのである。動くに動けぬアベックに(向こうも当然こちらに気付いている)、島に釘付けになった五人家族…計七人が、小さな島の中に立ち尽くしていた…。そんなことを思い出しながら、湾沿いに長く歩き続けて現代的でピカピカな大学に到着。正門で守衛室に案内を乞い、校舎ビルに囲まれたまだ人影の少ないキャンパス中庭を突っ切り、図書館へ。だが入口から中に入ると、自動改札の如きゲートが立ちはだかり、学外人間の侵入を拒んでいる。そこでちょっと離れた場所にある受付のお姉さんに必死に合図を送り、展示を見に来た旨を告げると、シュパ〜ンと未来的な音を響かせてゲートが開き、二階への案内と手続きをレクチャーしてくれた。言われるがままに二階カウンターで入館手続き(もう入館しているのだが…)を済ませ、二階入口の三台のガラスケースに収まった、こじんまりとした展示を鑑賞する。一番大きなケースには、図書館所蔵の新しめの著書が飾られている…これならケースに入れずに、手に取って読めるようにした方が良いのでは…。他には「だれも知らない小さな国」の初版本、『すべては空想からはじまる』と書かれた直筆色紙、按針塚周辺の地図など。一番目を惹いたのは1970年発行の「わんぱく天国」の元本である。思えば今まで文庫版しか見たことがないので、おおっ!と感動してしまい、いつか絶対に手に入れてやる!とガラスケースの中に勝手に誓ってしまう。このようにすぐに見終わってしまったので、2006年の学報に掲載された佐藤さとるインタビューページのカラーコピーをいただき、受付のお姉さんに挨拶して図書館を出る。そしてちょっと時間は早いが、学食に潜入してカツ丼で昼食を摂る。満腹した後、再び潮風を楽しみながら駅に戻り、京浜急行→根岸線→東海道線→小田急線と細かく乗り継ぎ、藤沢本町まで一時間で移動する。

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単純なホーム端の改札を出ると、小さな駅前広場に地元的商店街が直結している。藤沢の名を冠し、一駅離れただけだが、あの大きな都会的街並とは正反対の、静かで長閑な郊外である。そんな緩めの街並とお店の並びをキョロキョロ見回しながら東に進むと、大きな県道に行き当たる。そこを北に進んで行くと、すぐに正面に立派な『白旗神社』の鳥居が臨め、その交差点脇には白いショッピングセンター『トレアージュ白旗』。ここで八月までの長期間、200円均一の古本市が開かれているのである。うまいこと何か買えるであろうか…。一階は塾や飲食店なので二階へ迷わず上がると、早速『神奈川県古書組合』の赤い古本まつり幟があったので、まずは一安心。中に入るとそこは催事場のような空間で、主に文具のワゴンが場を占めている。だが右奥には、やっぱり嬉しい古本棚の凛々しい姿が見えているではないか!近寄ると、二本の背中合わせの棚が並び、五本×四面の計二十本に、神奈川のお店が送り込んだ200均の古本が収まっている。まぁ200均だから…と失礼ながらさほど期待はせずに棚に視線を走らせるが、これがなんとなかなかに上質なのである。こ、これは!買える、買えるぞ!と、期待以上の本を見つける喜び(言い換えれば『200円でこの本が買える喜び』である)を味わいながら、たちまち腕の中に本が集まる。「海風舎」(2010/09/25参照)「文雅堂書店」「高村書店」が特に良い感じ。市が八月まで続くということは、補充も入れ替えも定期的に行われるのだろう。もしこれが家の近くだったら、相当マメにチェックを入れることになりそうだ…でもここは藤沢…本町…くぅ。雲井書店「日の果て/梅崎春生」六興出版「風眼抄/山田風太郎」中央公論新社「懐かしい未来/長山靖生編著」「砂の城/鮎川哲也」文藝春秋「諫早菖蒲日記/野呂邦暢」を計1000円で購入する。

「諫早菖蒲日記」は、見返し裏に『諫早花菖蒲』の言葉とともに署名落款が。さらに章扉には、この本の最初の購入者により『昭和五十二年十一月二十五日 長崎、諫早の街にてこの本を求む』と書かれている。「諫早菖蒲日記」の初版は五十二年四月で、これは八月発行の第三版。ということは、諫早では新刊書店で野呂のサイン本が売られていたのであろうか…そんなことを考えるのも楽しい一冊である。さらに「風眼抄」は写真ページ裏に毛筆署名入り。最初は本扉に作家名が入っていないので、ここに作家名が印刷されているのかと思ったが、細部を良く見ると、印刷では出せない墨の濃淡や掠れを確認し確信。でも実はまだ半信半疑…同じ本をお持ちの方、冒頭写真ページ裏に名が入っていますか?ご教授いただければ幸いです。というわけで今のところ、半どひゃっほう!
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2017年04月23日

4/23東京・用賀 RYUSENKEI

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風は冷たいが、それでも陽気は春模様の日曜に流れ着いたのは、千歳船橋と用賀の中間の上用賀…さて、これからどう動くか?用賀に戻って高津まで出て、「小松屋書店」(2009/08/15参照)の動静を探るか、それとも千歳船橋から豪徳寺まで移動して「靖文堂書店」(2011/09/06参照)で安値の古い文庫を漁りまくるか…だが待てよ、ちょっとさっき見かけたお店が気になるので、取りあえずそこをチェックしてからでも遅くはないな…。駅からは北口から地上に出て西に向かい、桜並木で煉瓦敷き歩道の『西用賀通り』を北北西にひたすら進む。800mほど来たら、お蕎麦屋のある交差点で『用賀六条通り』を西に曲がり込むと、ほどなくして住宅街の中の右手に、民家に増築されたような、チープな三角破風を持つ小さなお店を発見出来るだろう。表には立看板が出されており、それには『BUS』とローマ字の店名が書き出されている。ガラス窓からチラチラ中を覗き込むと、どうやらバス関連のお店らしい。そして左の壁際には、明らかに古本らしき姿が並んでいるではないか!これは、かなり偶然の出会いのめっけ物!どんなジャンルであれ、古本が売っていれば、それでいいのだ!と扉を開ける。中は六畳ほどの小さな空間で、左に二本の本棚と飾り棚、真ん中にはガラスケースと飾り棚、右壁には大きなラックとガラスケースが置かれている。奥は帳場になっており、白髪短髪の佐伯泰英風店主が「いらっしゃいませ」と呟き天井の明かりを点けてくれた。むぅ、やはりここはバスと車の専門店。主にミニカーと本を扱っているようだ。入って直ぐの左には、名車の単行本&ムックが並び、下には「CAR GRAPHIC」や「モーターマガジン」などの車雑誌が多種集まっている。続いてレース関連・車開発エピソード・車小説・車関連ノンフィクション…荒地出版社って結構車の本を出していたんだ…。その奥にはF1や車会社などの関連書籍が収まり、下はいよいよ古本から離れ、日本の立派な工芸品とも言えるミニカーのオンパレードである。そう言えば帳場は、色々な細かい手作業が行えるよう、ミニカーのレストア工房的布陣になっており、何だか職人の仕事場的様相を呈しているのが格好良い。真ん中のガラスケースには、バスのミニカーが大集合。そしてその裏側には、バス関連の書籍(マニアックな車種本から懐かし昭和バス本やバス旅までを幅広く)とムックが集められている。下には「バスマガジン」という名の、そのものズバリな専門誌がズラリと並んでいる。右壁のガラスケースには、ボンネットバスなどの懐かし系ミニカー&モデルカーが飾られ、下を支えるのは車カタログを恭しく収納したマップケースである。その横のラックには、バス関連の新刊やミニコミがディスプレイされている。バスと車に特化した、趣味性の高いお店である。本の値段はしっかり目だが、ミニカーには安い物もあるので(箱無しトミカとか)、お店は狭くとも車&ミニカー好きなら、かなり楽しめるであろう。それにしても、こんな住宅街に何故こんなお店が?と単純に思ってしまうのだが、実はここからさらに西に進んで『環八』に出ると、車のディラーショップやパーツショップが並んでいたりするので、“車”という大きな括りで捉えれば、充分関連性の高いお店と言えるのかもしれない。せっかくなのでやはりバスの本を買っておこうと、トラベルジャーナル「大阪路線バスの旅」を購入する。
posted by tokusan at 18:47| Comment(1) | TrackBack(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする