2026年06月12日

6/12東京・神保町 村崎百郎蔵書大放出フェア

昨日のハードワークの代償を腕と脚に抱えながら、午前十時に御茶ノ水駅に降り立つ。坂を下って『太田姫稲荷神社』にお参りして、「東京古書会館」(2010/03/10参照)へ。『書窓展』の一日目である。賑わう地下ホールを懸命に進み、棚を必死に眺めて行く。奥の「あきつ書店」古書棚に、浅原六朗が何冊も並んでいたので喜んでしまう。およそ五十分滞留し、信正社「三人目の女」向楽社「恐しき接吻」ともに浅原六朗、常山堂書店「童話集 父の乗る汽車/北川千代」(函ナシ)角川書店「妖怪の理 妖怪の檻/京極夏彦」を計2930円で購入する。昭和十二年刊の北川千代の童話集と、同年刊の「三人目の女」が収穫である。「三人目の女」は、昭和5年以降の浅原の短篇を集めた自動車とカフェーとネオンが都會的軽文學集である。会館を出たら「羊頭書房」(2014/05/02参照)に向かってしまい、光風社「細い赤い糸/飛鳥高」にキレイな帯が付いていたので千五百円で購入してしまう。その後ゲラを届けて、正午に「小宮山書店」ガレージ(2013/0712参照)前に立つ……そこはすでに開店を待つ二十人ほどに、緩く取り巻かれていた。北原尚彦氏よりのタレコミで、本日12日(金)から14日(日)まで、鬼畜&電波系ライター・村崎百郎氏の『村崎百郎蔵書大放出フェア』が開かれるのである。
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氏が非業の死を遂げてからすでに16年が経つが、まさかこんなフェアが「小宮山書店」(2010/05/06参照)で開かれるなんて、古本の結ぶ縁には奇なるものがありますな。多少準備にて間取り、正午十分過ぎにフェアはスタート。すでに三十人ほどに膨れ上がったお客さんが、ドッとガレージ内に雪崩れ込む。表に飛び出している二つの平台と、ガーレジ内の二つの単行本島と、壁際棚が村崎氏の蔵書である。値段は三冊千円で、平台の本や雑誌には個別の値段が付けられている。なんか勝手にゲスい蔵書群を予想していたが、意外にもカルチャー知識人的ラインナップである。サブカル・隠秘学・神秘学・現代思想・精神科学・脳科学・幻想文学・エンタメ・事件・電脳関連・友成純一・シュタイナーなどなどなど……やはりサブカル本が楽しいな。宝島社「テクノボン/石野卓球・野田努」角川書店「ヴァーチャル・ライト」「あいどる」ともにウィリアム・ギブスン、双葉社「ゲッターロボ大全G/岩佐陽一編」JICC出版局「ウワさを追いこせ!/石丸元章」アスキー「リアル・ハッカーズ」を計二千円で購入する。蔵書はまだまだあるらしく、文庫&新書もたくさんあるそうだが、現状では全然出せていないのである……日曜あたり、また見に来てみようかなぁ……。そう言えば会計後に北原氏と遭遇したのだが、何と氏は、村崎百郎旧蔵書の中にあった『T蔵書』(2014/01/29参照)を買っていた……何だか二重の思念ががんじがらめになっていそうだ……。
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これが本日の嬉しいところ。
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2026年04月11日

4/11東京・高円寺 ひとひと書店

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午後二時に西永福に流れ着いたので、予報通りの暑さにすっかり顎を出しながら永福町へ。駅前でバスに飛び乗り、一路高円寺へと向かう。三十分後、南口でバスを降り、駅コンコースを抜けて北口に出て、やがて『あづま通り』へ。ここに北原尚彦氏からタレ込まれた、一年間限定の古本も扱う書店が誕生したと言うのだが……あぁっ!「中央書籍」(2011/11/15参照)がいつの間にか見事に消え去り、そこに件のお店が入っているではないか!うぅむ、なんということだ……。一口上の店名看板はダンボールで作製されている……かろうじて一年保つかもしれませんな。中に進むと、以前は古本がカオスにギッシリ犇めいていたのが、嘘みたいにスッキリあっけらかんとした空間である。中央にテーブル平台が置かれ、両壁には木箱を積み重ねた本棚。そこにかなり余裕を持って、様々な本が面陳されている。すべてポップなカバー&表紙の、若者(ティーン〜二十代)のための、カルチャー・サブカル・思想・社会・世界・文学・コミック・風俗などである。パッと見はすべて近刊の新しい本ばかりだが、良く見ると手書きオススメ帯が巻かれた古本なども混ざっている。奥の帳場下には、この若者文化一色の店内では異色な古絵葉書コーナーなどもあり。それにしても買える本があるだろうか……と、店内を二周する。手書き帯のコーナーに数冊の八十年代本が見受けられたので、エンドウユウイチ「東京おとなクラブ 創刊第1号」を購入する。そしてそのまま「西部古書会館」に向かい、『好書会』一日目を堪能する。岩波文庫「シャーロック・ホームズの歸還/コナン・ドイル作 菊池武一譯」(昭和十三年刊。赤い帯付きで新刊と見紛うほどピンピンなのである)徳間文庫「自動車教習所殺人事件/中町信」河出文庫「男の旅行カバン トラッド・コレクション/くろすとしゆき」日本評論社「天城一の密室犯罪学教程/天城一 日下三蔵編」毎日新聞社「片隅の迷路/開高健」工作舎「大博物学時代/荒俣宏」角川書店「病院坂の首縊りの家 金田一耕助最後の事件/横溝正史」太田出版「完全自殺マニュアル/鶴見済」を計1250円で購入する。「病院坂の首縊りの家」は四版だが、通常帯の上に『第1回角川ブックフェア 推理・SFベスト50』の細帯が巻かれている変わり種だったので、つい……。
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2026年03月28日

3/28東京・渋谷 本と喫茶PARADE

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午後二時前に渋谷の南平台町に流れ着いたので、その流れ着きの過程で偶然見つけた古本屋さんに向かって坂を下る。場所はちょうど、南平台町と鉢山町と鴬谷町と桜ヶ丘町の角が集まる谷部分で、隣りに『セブンイレブン鴬谷町店』があるのが目印である。道から少し奥まった小さなビルの一階がお店だが、道際には実用本中心の百均箱が出され、上にはお店の説明が書かれた黒板が設置されている。ちなみに店名の“PARADE”は“パレード”ではなく“パラード”と読む。そこから奥に進むと、お店の入口脇にも百均本(一冊百円、三冊二百円)が並んでいる。ここは主に海外ミステリ文庫である。ドアを開けて中に入ると、左奥に併設の喫茶部があり、お客さんの楽しげな会話が聞こえて来る。ドア前に立ち、右手は壁棚と窓に囲まれた絵本・児童文学・アート・ジンのスペースとなっている。絵本ゾーンには、古い「こどものとも」もたくさんあるので、見ていて楽しい。左側の古本ゾーンは奥に帳場があり、入口側に逆L字の壁棚と二本の短めの通路棚が造り付けで設えられている。そこは、コミック・文学文庫・ミステリ(少なめ)・日本文学・海外文学・新書以外は、捉えどころのない(だからこそ面白い)ちょっと硬めで縦横無尽な棚造りが為されている。建築・社会・暮らし・紀行・自然・実用・健康・哲学・思想・美術・歴史・古典文学・語学……新しめの本がメインだが、古い本もチラホラ見受けられる。『本と喫茶』と言っても、古本屋部分がしっかりしているので、ちゃんと見応えがある。奥で喫茶のお客さんと親し気に会話する、女性店主の独特な感性が、バラバラなようで何かが繋がっているような本の並びを生み出しているのだろうか。値段は普通。創元推理文庫「仮面の男/ポワロ&ナルスジャック」(1964年初版)シンコーミュージック「究極の007大全集/リー・フェイファー フィリップ・P・リサ」を購入する。

突然の古本屋さんとの出会いをゆっくり噛み締めながら、坂を上がって『道玄坂』の上に出て、『新泉駅』から井の頭線に乗車する。下北沢駅で下車し、反トランプ集会が開かれている駅前を離れ、「古書ビビビ」(2009/10/15参照)では、店頭棚の上に楽しげなシングルレコードが投げ出されていたので、四枚ほど選んでしまう。東宝レコード「警部マクロード」(B面は「刑事コロンボ」!)味の素「マイファミリー「味の素」/アンディ・ウィリアムス」(味の素のノベルティ・ピクチャーレコード)ビクターミュージックブック「テレビ漫画ヒット集」(『宇宙人ピピ』『スーパー・ジェッター』『遊星少年パピイ』『宇宙エース)』「テレビ漫画大行進」(『オバケのQ太郎』『忍者部隊月光』『宇宙少年ソラン』『少年ジェット』)を計850円で購入する。「古書明日」(2017/01/31参照)ではダイヤモンド社「OTV/ホイチョイ・プロダクション」を百円で購入し、さらに「CRALIS BOOKS」(2013/12/01参照)でハヤカワ文庫NV「墓に唾をかけろ/ボリス・ヴィアン」を百円で購入し、下北沢を離脱する。最後に東松原で途中下車し、「古書瀧堂」(2014/05/01参照)の店内で布に覆われた未整理本の山の上に、草月アートセンター「眠りと犯しと落下と 高橋睦郎・詩集」(函ナシ)がポンと置かれているのに、心臓がドキン!となる。この横尾忠則の装釘(というか表紙絵の高橋睦郎)は本当に最高だよなぁと思いつつ、値段を見ると三千円だったので、購入して家に連れ帰ることにする。
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2026年03月22日

3/22東京・祖師ヶ谷大蔵 旧板倉書店

連載で取り上げようと思い、成城学園前の「キヌタ文庫」(2009/10/25参照)に向かうが、店前に到着するとシャッターが半開きで、ドアに貼紙が。何と店内補修工事のため、しばらくの間休業するとのお知らせであった。……うぅ、がっくり。だが仕方ない。早い復活を祈りつつ、取材は別日に仕切り直すことにする。
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というわけで、一駅小田急線上りで移動し、祖師ケ谷大蔵駅へ。南側に出て、バルタン星人とウルトラマンをモチーフにした外灯が楽しい『ウルトラマン商店街』を長らく南に歩いて行く。三百メートル近く進むと、ウルトラセブン像の建つ『砧八丁目児童遊園』(2025/04/24参照)に曲がり込む道の手前東側に、目的のお店を発見する。古本神・森英俊氏よりタレコミのあった、元新刊書店の古本屋さんである。店内は棚貸しゾーンと、元新刊書店のデッドストックで埋まっているらしい。軒を見上げると、看板文字の最初に手作りの“旧”の字が加えられている。店頭には、ビニールカーテンとガチャガチャで仕切られた百均ゾーンと、無料の『ご自由に』ラックが設けられている。児童文学全集やカバーナシの文庫が目立つ百均ゾーンに目を凝らし、洋書絵本を一冊選ぶ。引戸を開けて店内に進むと、造り付けの棚に囲まれたリノリウム床で回遊通路の、昔の本屋さんの趣きが色濃く残っている。入店と同時に奥から帽子にマスクの女性店主が姿を現し、お店のチラシを渡すとともに「非売品の本もありますが、わからないことがあったら何でも聞いて下さい」とニッコリ。左の壁棚は文庫本から始まり、下部は絵本ラックとなっている。奥にカルタや札やカードのコーナーがあり、未開封のクトルゥートランプに購買意欲を覚えてしまう。さらに全集本や、非売品のSF文庫などが続く。中央に大きく横たわる棚+ラック+平台什器には、様々な雑貨&手作り雑貨がディスプレイされ、さらに雑誌類・ビジュアル本・大判本・シングルレコード・乱歩文庫・非売品ゾーンなどが混ざり合う。入口横には猫関連本が丁寧に大量に集められ、右壁棚にはCD・コミック・復刻本・実用・自然・語学・歴史・児童文学・ミステリ・棚貸しゾーンと続き、奥はまたもや非売品ゾーンである。コミックゾーンには昔私のデザインした特定作家のBLコミックが十冊近く並んでいたので、密かに頬を赤らめてしまう。本は七十年代〜二千年代と言った感じで、値段はほとんどが千円以下の安値である。残念ながら非売品(閲覧可)に旨味のある本が多いので、喉を鳴らして閲覧するしかない。特に奥の帳場脇の回転ラックに大量に収まった、七十〜八十年代のコミック群は、ずっとクルクル回していたい、懐かしコミックの万華鏡である。一瞬クトルゥートランプを買ってしまいそうになるが、『どうせ使わないだろ』と己を戒め、PURNELL「THE WIZARD OF OZ/By L. FRANK BAUM」(1950年刊)アスキー出版局「100台のコンピュータ/スタパ斎藤・船田戦闘機」を購入する。
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2026年02月13日

2/13東京・吉祥寺 伊藤礼書店

午後に大量の映画VHSビデオを紙袋に詰めて吉祥寺へ。「バサラブックス」(2015/03/28参照)に持ち込み買取依頼する。査定を待つ間、フラッと外に出て「よみた屋」(2014/08/29参照)へ。絵本が店頭にたくさん出ているのに目を付け、福音館書店「ぐりとぐらのおきゃくさま/なかがわりえことやまわきゆりえ」(1966年初版)偕成社「ながいながいすべりだい/長新太」青木書店「NHKできるかな6 のっぽさんのおうち/枝常弘・八木紘一郎編」福武文庫「犬狼都市(キュノポリス)/澁澤龍彦」を計385円で購入する。四十分後に「バサラブックス」に戻り、無事に交渉成立す。いつもありがとうございます。お店を出たら、『吉祥寺通り』を北北東にグングン進む。『五日市街道』を過ぎて、夏葉社(2017/08/27参照)の入るビルも過ぎて、先へ先へ。すると以前「午睡舎」(2009/09/10参照)の入っていた商店長屋に行き当たる。そのうちの一軒、小さなギャラリー『ネオネコ』で、夏葉社主催による伊藤礼の蔵書を販売する「伊藤礼書店」が開かれているのである。伊藤礼は英文学者&元日本大学芸術学部の教授で、伊藤整の息子である。引戸を開けて中に入ると、空間は数人のお客さんと関係者ですでにいっぱいである。あっ、夏葉社・島田潤一郎氏が自ら店番中……挨拶をしなければならないが、まずは何より古本だ!と左右に展開する古本に集中する。昭和三十年代〜現代の古本で、当然文学関連が多いのだが、それ以外もちょろっと含まれている。値段は百・三百・五百が中心で、貴重な書にはそれ以上の値段が付けられいるのもあるが、それでも俄然安値なのである。水上勉の「フライパンの歌」が三千円なのだ。何が買えるかなぁと、五百円ゾーンの背が見難い文庫本を丁寧に繰って見ていると、小学館「女学生の友 昭和41年3月号付録」「推理小説 室生寺の少女/宮敏彦」が手に吸い付いて来た!こういうところでこういう本と出会えるとは!と喜び、青磁選書10「砂男/ホフマン」春陽文庫「人形佐七捕物帖 座頭の鈴/横溝正史」とともに計700円で購入する。島田氏と挨拶を交わし「まさか店番してるとは思いませんでした」と言うと「色々な縁からこういうことになりました」とニッコリ。「昔、日芸に通っていた友だちから、伊藤礼のことを『ものすごくユニークな先生がいる』と伝え聞いてたんですよ」というと、傍らに立っていた長身痩躯の紳士を紹介される。伊藤礼のご子息なのであった。こ、これはどうも失礼いたしました。この蔵書販売は15日(日)までで、補充もボチボチ行われるようである。ギャラリーを出た後は、帰り道の「藤井書店」(2009/07/23参照)に立ち寄り、日本テレビ「ヒロイック・ドリームズ 英雄夢想」を550円で購入して帰宅する。
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※もうとっくに書店に並んでいる「本の雑誌 春霞ええじゃないか号」の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、久々に大宮の「橋本書店」を訪れ、偶然10%引きセールにぶつかったので、ついつい高い本を購入してしまう物語。あぁ……やってしまった……。
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2025年12月21日

12/21東京・阿佐ヶ谷 鹿のデコイ

日曜日の午後、雨が降っていない間に古本を買っておこうと、ノンビリ外出する。まずはいつものように「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)の店頭棚とにらめっこし、扶桑社文庫 昭和ミステリ秘宝「なめくじに聞いてみろ/都筑道夫」講談社「海野十三敗戦日記/橋本哲男編」を計220円で購入すると、店主・天野氏が「あのお店どうですか?」と聞いて来た。実は最近氏から、あるお店についてタレ込まれたのだが、その場所を既に二度見に行っても、お店の気配すら感じられないのである。あるのはうらぶれたアパートだけ……本当にお店なんて存在するのか?と思いかけていたのだが、氏の話ではお店に入った人がおり「なかなか良かった」と言っていたとのこと。むぅ、もう一度、チャレンジしてみるか……。というわけでコンコ堂を後にして、件の場所に赴いてみる。……う〜ん、やっぱりただのアパートだけどなぁ……おや?一階のある一室が、扉を開け放しており、その扉の裏には紙がペタペタペタペタ貼付けてある。あっ!アパート外階段裏側の上部に、良く見たら細長いお店の看板が掲出されているではないか。うわぁ、本当にあったんだ。コンコ堂さん、ちょっと疑ってしまって、すみませんでした……。
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駅北口を出て、ガード沿いに東に横断歩道を渡る。すると道が化粧タイルで飾られた『阿佐谷新進会商店街』が現れる。そこに入ると、道はすぐにY字路となり二手に分かれる。北に向かう『西友』裏手の『神明宮』ぬ向かう道を選択。するとこれまた直ぐに右手に、舗装されていない砂利道が現れる。そこに入り込むと、うらぶれたアパートが二棟並んでいるのだが、手前アパート一階の102号室が件のお店である。開かれたアパートドアとは別に、新たに軽量の木の観音扉が設置されている。それをパカリと開けると、アパート一室を改装した、小さな白い空間である。入って直ぐ左が帳場となっており、ニット帽に長髪の店主が後姿を微動だにせず「いらっしゃいませ」と迎えてくれた。妙なるフリージャズが流れている。上がり込む感じで一段上がると、中央にテーブル、右に銀のフレームラック、右奥の押入れだった場所にディスプレイ台、奥の窓際に幅広の棚、そして左壁沿いに十五のスペースを持つ棚が置かれている。銀フレームラックや中央テーブルには、実験音楽のカセットやCDが、数多くディスプレイされている。それに新刊が少々。古本はラックに選書類が横積み、元押入れ近くに小さな文庫棚がひとつ。押入れディスプレイには寺山修司・荒木経惟や「WAVE」の写真特集。奥の棚には建築・美術・写真・洋書・絵本。左の棚には、最上段にSF文庫がズラズラッと並び、下の十五のスペースには、コミック・生物・自然・科学・海外文学・思想・哲学・社会などが収まっている。どこも好奇心を刺激する棚造りが為されており、見ていて楽しい。最近の人は、自分の好ましい宇宙観を提示するのが、本当に上手である。まぁこれは、本の数がそれほど多くないから可能とも言えるのであるが。値段は普通。ハヤカワ文庫「カウント・ゼロ/ウィリアム・ギブスン」を購入する。定休日が水・木・時々日曜+不定休とかなり変則的だが、ここは面白いのでまた来てみよう。そんな風にお店に上手く入れてい家に帰ると、ポストにヤフオク落札品が届いていた。童心社「キリキリのパイプ/古世古和子・文 辻まこと・画」である。ライバルなしの1500円で落札す。背文字が焼けてしまっているが、ビニカバ帯付きなのが素敵。辻まことの挿絵は都合十九枚入っている。
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2025年12月20日

12/20東京・松陰神社前 Soleil et Lune

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午後二時過ぎに上馬五丁目に流れ着く。本来ならここから下北沢にでも伸して行きたいところだが、先日行ったばかりなので即座に諦め、高円寺を目指すことにする。というわけで、東急世田谷線『松陰神社前駅』にトコトコ向かうことにする。『世田谷通』でしばし信号待ちし、横断歩道を渡って北にある駅へと続く『松陰神社通り』に入る。するとその瞬間、東側の超小公園の前から丸椅子が連続し、その上に絵本が置かれているのが目に留まる。うぉっ!これは、古本!?と近付き、並ぶ絵本を目で追って行く。するとその先には小さく瀟洒な、緑がもじゃっと絡まるお店があり、店頭には単行本木箱や雑誌木箱等が出されている。小さなガラス窓から店内を覗くと、中にもしっかりと古本が並んでいるようだ。いつの間にこんなお店が出来たのだろうか?と突然の出会いを喜びながら店内に進む。そこは狭く横長の、まるでサーチライトの光が放射した形のような空間で、店主らしき初老の男性が、囁くような声で「いらっしゃいませ」と出迎えてくれた。中には、小さな、文学文庫本棚が二本、和洋絵本棚、奥に文学・美術・紀行・美術・図録・古書の並ぶ棚、そして窓際に食べ物・文庫本・海外文学・美術・児童文学の収まる棚があり、足元にはエンタメ系日本文学が並ぶ横長平台が二本、そして帳場も兼ねるテーブルには、アートブックなどがディスプレイされている。本の量はそれほど多くはないが、どの棚もどの本も、店主の好みが色濃く反映されているらしく、アート・キュート・ビューティ・ファンタジー・ファンシーが入り交じっている。値段は普通〜ちょい高。二階堂奥歯「八本脚の蝶」たむらしげる「一千一秒物語」「谷中安規の夢」「欧州スクーター旅行」などの楽しいレア本が所々に見えているが、どれもジャストなプレミア値が付けられている。欲するならば、覚悟とお金を持って来店すべし。サンリオ「人形ファンタジー クルミ割り人形/文=辻信太郎」を購入する。

その後は、東急世田谷線→京王線→総武線と乗り継ぎ高円寺へ乗り込む。「西部古書会館」(2008/07/27参照)の『高円寺均一まつり』一日目(二百円均一)で、集英社「どぼらや人生/黒岩重吾」(昭和38年刊の随筆集。釜ヶ崎時代についての記述あり)筑摩書房「小説 黄金バット/加太こうじ」を計400円で購入する。さらに「古書十五時の犬」(2011/11/22参照)に回り込み、各極狭通路に潜む先客さんたちと位置を巧みに入れ替えながら、出版芸術社 ふしぎ文学館「月光学園/平井和正」を五百円で購入し、すっかり暗くなった『早稲田通り』をトボトボ伝って帰宅する。
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2025年04月20日

4/20東京・柴崎 古書 柴崎

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午後にコメントタレコミのあった、今年一月に出来た古本屋さんに向かう。すぎ丸と井の頭線と京王線を乗り継ぎ、調布市の柴崎へ。ここは時々期せずして流れ着く街ではあるが、古本屋さんが出来てたなんて、ウカウカ全く知らなかった……。踏切際の駅北口から、『柴崎北口商店街』を道なりに『甲州街道』方面へ向かう。すると百メートルほど進んだところに、道が緩やかにカーブしている所に建っている小ビルの三階窓に、“古本”の二文字が大きく貼り出されている。ビルの足下に近付くと、階段入口脇にお店の立看板があり、営業日&時間(木金土日 14:00〜18:00)や取扱品目などが書かれている。狭く急な階段に足を掛けると、階段は三階まで真っ直ぐに延びている……そしてその遠い三階には、大きな“OPEN”の文字が見えている。地上へのアピールが積極的に行われているようだ。二階を過ぎると三階への階段はさらに狭くなり、小さな折り返しを通過すると、サッシ扉が目の前に控えている。カチャリと開けると、奥で横向きに座る白髪の店主が「いらっしゃいませ」と目を丸くした。明らかにお客の来店に驚いた感じである。店内は小さな変型の空間で、言わば角のある『アポストロフィー』のような形状である。それにしても、ここは三階というよりは、簡易なペントハウスと言った趣きである……などと感じていたら、グラグラガタガタ部屋が揺れ始めた。突然の地震に、店主と店内にいた店主の知り合いが「地震!?」と確認し合っている。入口付近には民族衣装やドアに貼られたマッチ箱が目立っている。古本は文学の細い棚(野呂邦暢あり)と窓際に海外文学文庫とSF文庫の棚が置かれている。そして小さなメインフロアは、壁際におよそ十本強のオリジナル本棚が張り巡らされている。中央には細長の木箱を各辺に備えた平台があり、見慣れぬ民具などががディスプレイされている。ここは窓際の帳場と連続している。洋書・大判本・雑誌・新書・文庫本(ほとんどが文学)・文学・カルチャー・ルポ・社会・語学・実用・児童文学・中井英夫・種村季弘・稲垣足穂・土木&河川&治水など、ちょっと不思議で面白いラインナップである。『整理中』の札が貼られている部分が多いが、そこにも気になる本がチラホラ並んでいるので、早く整理てもらいたいものだと、心の中でひとりごちる。それにしても値段が安い!こりゃぁ嬉しいなと棚から棚へ。金の星社 少年少女21世紀のSF文学9「テミスの無人都市/草川隆」がちゃんと函付きで500円の安値だったので、ニコニコ購入する。来るには少し手間がかかるが、ここは何だかまた来たい、好ましいお店である。
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2025年02月26日

2/26東京・千歳船橋 桜丘街づくりサロン

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正午過ぎに千歳船橋に流れ着いたのだが、実は午前のうちにいつの間にか古本屋さんが無くなってしまったこの地帯に、小さな小さな古本の草が芽吹いているのを発見したのだ。南口商店街通りの、『稲荷森稲荷神社』(稲荷が先なのか森が先なのか、まったくわからん……)の斜向いにある、『桜丘街づくりサロン』の店頭リサイクルコーナーに、ささやかな古本棚が設置されているのだ。銀フレームの棚に、最上段がムックや絵本、二段目に文庫本、三段目にコミックとCDが置かれ、本はすべて百円でとなっている。例え古書がなくささやかに過ぎるとも、街角で古本を買えるのは素敵なことである。講談社文庫「人間は考えるFになる/土屋賢二 森博嗣」を買おうとすると、ドアが閉っており中には入れない……どうやら、無人販売時間らしく、代金は誠実に料金箱に投げ入れるシステムになっているようだ。というわけで百円玉を放り込む。

続いて下北沢に向かい、「ほん吉」(2008/06/01参照)でミリオン・ブックス「隨筆 ふるさとの味/森田たま」文春ネスコ「タミヤニュースの世界/田宮模型編」を計660円で購入する。「古書ビビビ」(2009/10/15参照)では角川文庫「ひでおと素子の愛の交換日記/新井素子 吾妻ひでお」を百円で購入。さらに「CLARIS BOOKS」(2013/12/01参照)で春陽文庫「網膜脈視症/木々高太郎」を300円で購入し、下北沢を離脱する。次は東松原で途中下車して「古書瀧堂」(2014/05/01参照)へ。ハヤカワポケミス「チャーリー・張の活躍/E・D・ビガース」「途中の家/エラリー・クイーン」を計200円で購入し、阿佐ヶ谷に戻る。家に帰り着き一息ついたら、またもや出来上がっていた巨大古本箱をガラゴロカートで引き摺り、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に持ち込む。折しも店内は、週末の催事の搬入準備と、市場落札品が錯綜するてんてこ舞い状態であった……こんな大変な時に古本を持ち込んでしまってすみません……と小さくなりながら、それでも査定を小野氏にお願いする。査定を待つ間店内をうろつきながら、催事用の結束本群の見えているところだけ眺めていると、ウムムムム、スゴい古書ラインナップだ…これが全品200円とは…恐らく壮絶な奪い合いになるのではなかろうか?などと余計な心配と、開始時刻に駆け付けられる人々を羨ましく思う。程なくして査定は終了し、交渉は無事成立。持ち込んだ創元推理文庫についてちょっとレクチャーを受け、知識を増やす。そして催事用にたまたま帳場で整理中の、たくさんの児童文学の中から、理論社「チョコレート戦争/大石真・作 北田卓史・え」を、函の上部が壊れているからと、プレゼントされる。ありがとうございます(実は来月、驚くほど盛林堂に駆り出される予定なので、恐らく先手を打った労いの可能性が)!うわ、この理論社の童話プレゼントシリーズ、カバー装しか見たことないのだが、最初は函入だったのか。その函には、今まで見たこともない「チョコレート戦争」の北田卓史の函絵がっ!…ううっ、生きてて良かった……。
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2025年01月11日

1/11東京・ひばりヶ丘 ひばりが丘書房

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午後一時にひばりケ丘に流れ着いたので、これ幸いと2024/10/13に入り損なった古本屋さんを見に行くことにする。駅北口からは東側の歩道でロータリーから脱出し、北東に向かいつつ二本目の脇道を東へ。するとそこ緩やかにうねり伸びる間延びした商店街なので、辛抱強く300mほど前進する。するといつかシャッター半開きだったお店は、今日は開いてくれていた。ありがとうございます!店頭棚などは無いのですぐさま店内に突入すると、『こども食堂』が併設されているようで、本棚に囲まれた空間に、右側にはテーブル席、そして左側に本棚がまとめられている。カレーのとても良い匂いが漂っている…と思ったら、従業員さんたちの昼食タイムに突入してしまった…何だかちょっと居づらい雰囲気だが、ここは古本に集中だ!店内壁棚は、右側にコミックがズラリ。左側には実用書・キリスト教・五木寛之・洋書などなど。入口左横には本の並んだダンボールが幾つか足元に置かれ、内容はコミック・文庫本・ノベルスである。そこから奥に向かって連なり四本の背中合わせの棚には、文庫本・新書・ノベルス・単行本・語学・洋書・歴史などが並んで行くが。ごっそり空いている箇所もアリ。こども食堂併設といい、どうやら寄付された本を並べている感じである。そして内田康夫がとても多い……。本に値段は付いていないが、まぁそんなに高くはないだろうと高を括り二冊を選ぶ。そして皆が和気藹々とカレーをパクつく横を擦り抜けて奥へ……だがレジが見当たらない。仕方ないので厨房スペースに続く通路にいたご婦人に「本を買いたいんですけど」と告げると、「あ、ハイハイ。ちょっとお待ちください」と言われた瞬間、テーブルでカレーを食べていた熊の如き男性が「レジは隣だよ」と教えてくれた。「えっ、隣?」と、ご婦人に連れられ一旦外に出て、隣の『ひばりが丘キッチン』に案内される。そしてこちらで素早く精算。本は一冊150円であった。ランテイェ叢書14「スコッチと銭湯/田村隆一」エイコー・ノベルズ「長編推理小説 死者の木霊/内田康夫」を計300円で購入する。「死者の木霊」は内田康夫が自費出版したデビュー作であるが、まさかその自費出版単行本を出した出版社から、ノベルスも出していたとは知らなかった。しかも第8刷とは!そんな獲物を手にして、西武池袋線に乗って中村橋へ。「古書クマゴロウ」(2018/03/21参照)に立ち寄り、新潮社「絵を蒐める 私の推理画説/福富太郎」福音館書店「はたらくじどうしゃ.3 はこぶくるま/さく・え 山本忠敬」を計400円で購入し、ブラブラと『中杉通り』を南に歩き続けて帰宅する。
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2024年06月09日

6/9高円寺の北と南で古本を。

午前九時半に家を出て、曇り空の下をテクテク高円寺へ。「西部古書会館」(2008/07/27参照)の『好書会』二日目を覗く。日本交通公社「外国旅行案内 総論」徳間書店「やきもの隨筆/加藤唐九郎」朝日ソノラマ 現代カメラ新書No.50「人物写真/林忠彦」アップリンク「ケン・ラッセル フィルムブック」を計700円で購入する。ガレーで見つけた「やきもの隨筆」は献呈署名入りであった。青いボールペンによる、唐九郎の花押のようなサイン!
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会館を出たら、至近の『オリンピック』でちょっと買物をしてから、駅南口に出て、北原尚彦氏よりタレ込まれた『第一回 高円寺ひとはこ古本市』を見に行く。場所は坂の途中の『氷川神社』境内である。二基のテントが建てられ、その下に八箱が並んでいる。“箱”とは言っても、本当に箱に並べている人や、シートに面陳している人、トランクを広げて並べている人など、様々である。中にひとつスゴい箱が!中町信のノベルスと文庫をズラリと揃え、他に久米元一のジュニア探偵小説等を売っている、ド・マニアックなミステリ箱なのである。うぅむ、範囲が狭過ぎて、潔いと言うか息苦しいと言うか……などと感心するが、結局何も買わずに退散する。この氷川神社での市は『昼の部』で、14:30分まで。そして16:00から『夜の部』が『北中通り』で開かれることになっている。
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その『北中通り』を伝って帰っていると、「ホワイトハウスのクリーニングまるや」【2021/05/10参照)が開いていたので、ニュルッと入り込み、毎日新聞社「宇宙への挑戦 七人のパイロット/ジョン・ディル編」新潮社「仁義なき戦い 菅原文太伝/松田美智子」を計250円で購入して帰宅する。するとしばらくして、古本神・森英俊氏より一通のメールが。『高円寺南口すぐの氷川神社で「ひと箱古本市」の昼の部をやっています。ひとり探偵小説ばかり持ってきている出品者がいて、久米元一や海野十三や乱歩なども。中町信もたくさんあり、かなりお買い得です』とのことであった。探偵小説のあるところ、氏の姿あり…さすがである。氏は何か買われたのであろうか…。
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2024年06月07日

6/7東京・御茶ノ水 萬書百景市

午前九時過ぎに家を出て、古本箱を抱えてまずは郵便局へ。某所に向けて八箱目の発送を行う。そのまま家には戻らず駅に向かい、割と空いている中央線に乗って御茶ノ水駅下車。時刻は午前九時五十八分である。『ニコライ堂』脇を通過する時、今読んでいる土屋隆夫「肌の告白」収録作品『奇妙な再会』にニコライ堂が出て来たのを思い出す。昭和三十年前半の作品だが、ニコライ堂の二三軒隣りに、ひとりの登場人物の邸宅があることになっているのだが、この辺りに人家があったなど、今はとても信じられない、大学の巨大ビルばかりの光景なのである。そんなことを感じながらダラダラと坂を下り、いつものように『太田姫稲荷神社』にお参りしてから「東京古書会館」(2010/03/10参照)へ。今日明日と地下ホールで、新しい催事「萬書百景市」が開催されているのである。開始十分後の地下に進むと、うわっ!荷物を預けるクロークが、黒鞄の黒山と化している…スゴい量だ。そこに荷物を預けて会場内に進むと、やはり大変な熱気が渦巻いている。入った「徳尾書店」の棚が目に入り、古い漫画本に吸引されてしまうが、そう言えば棚のレイアウトがいつもと違っていることに気付く。縦に棚が連結され、会場内に三本の長い通路を造り出しているのだ。それにしても開始と同時に飛び込んだ先客の多くが、すでに腕の中に十冊以上の古本タワーを積み上げ、棚から棚へ飛び回っている。そんな風に何処の棚前も古本と合体した古本修羅が鈴なりで、新規参入古本修羅が棚にアクセスするのは、なかなかに難儀なのである。それでも懸命に隙見しながら、やがて中央通路左奥の「盛林堂書房」棚はすでにガタガタになりつつある…まだ始まって二十分くらいなのに…そしてその間にもガタガタ化は進行しつつあるのだが、最前列組は目を血走らせ、どっしりと根を下ろしてしまっている…むぅぅぅぅぅ、また後で見に来よう。と会場をウロウロ。その間に、北原尚彦氏・森英俊氏・嵩平何氏・「三暁堂」さん・「七七舎」さんらと出会い、言葉を交わす。結局一時間ほど会場を、見られるところを見ながら何度も回遊し、どうにか全部の棚を見た気になる。その間、所々で常連客さんが見回りの古本屋さんに「補充は?いつ補充するんですか?」と聴いているのに出くわす。多くの猛者たちは、本日中の補充タイミングを狙い、会場に舞い戻って来る予定らしい。そのバイタリティを見習うべきなのだが、残念ながらもう疲れてしまった。と言うわけで、長い精算の列に並び、作品社「歌集 乳房喪失/中城ふみ子」廣文堂書店「脚のまにまに/進藤紫朗」洋泉社「幻の怪談映画を追って/山田誠二」を計1330円で購入する。新しい時代の古本屋、中堅の古本屋、老舗の古本屋、その全員が若めなパワーを発揮し、古本を渋くも派手にも輝かせて陳列している、とにかくやる気漲る古本市で、去年開催された「中央線はしからはしまで古本フェスタ」(2023/07/28参照)と同様の意気込みを感じる。帳場では「明日もたくさん補充しますので、是非ともお越しください」などと声が上がっている。これは明日も、良書を求めて混み合いそうだ。帰りに神保町に進入し、「田村書店」(2014/05/14参照)で薔薇十字社「ポトマック/ジャン・コクトオ 澁澤龍彦訳」を500円で購入し、帰宅する。家に帰ったならば、次の古本箱造りに取りかかる。まだまだいける、いけるはずだ!
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七版だが帯がちゃんと付いていて五百円は、やはり安い。
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2023年12月29日

12/29東京・高円寺 ヤンヤン

午後一時過ぎに、工事は進むが未だに表現主義的建築が健在の『和田堀給水場』裏に流れ着いたので、東松原に流れ落ちて「古書瀧堂」(2014/05/01参照)へ。朝日新聞社「インド放浪/藤原新也」芳賀書店「新しいノアの箱舟/ジェラルド・ダレル」を計220円で購入する。「インド放浪」は昭和四十七年の初版で函&帯付き。当初は書名は“印度”ではなく“インド”だったのか。以前親しんだのは朝日文庫の「印度放浪」だったので、元本を見るのは初めてである。そんな本を手に入れた後、再び『和田掘給水場』まで上がり、『甲州街道』から『井の頭通り』に入り、永福町までテクテク。駅北口から関東バスに乗り、一路高円寺へ。そして終点の南口に着く前に途中下車し、『PAL商店街』の南端から『エトワール通り』に入り、最初の横丁を南に曲がり込んで「えほんやるすばんばんするかいしゃ」にたどり着く。以前は同じ建物の二階で営業していたが(2014/09/11&2019/06/20参照)、現在は一階に移転している。その一階店舗に入るのは、実は初めて…。表の安売木箱を漁ってから、赤い桟のガラス戸を開けて木床の店内へ。左奥に帳場があり、マッシュルームカットの店主がチラリと顔を覗かせて「いらっしゃいませ」。ここは三方に棚があるが、新刊の絵本やカード類が主である。狭い通路に佇む先客に「すみません」と声をかけ、奥に進む。するとそこは薄暗い木造回廊の秘密部屋的空間。こちらは古本で固められており、ギャラリーも兼ねているようだ。洋書絵本・SF児童文学・児童文学…それにしても本当に薄暗い。何か『善光寺』の胎内巡りでもしているような……。岩崎書店 ポニー・ブックス6[復刻版]「和田誠*ぬすまれた月」を2640円で購入する(元本は1963年出版。本を開くと、創元推理文庫「首のない女」装画と似たタッチの街並!たまらん!)。
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すると店主が「隣りの二階に新しい本屋が出来たんですよ。すぐ隣りの急階段です。よろしかったら行ってみてください」と教えてくれた。そこで表に出てお店の横に目をやると、立看板が出ており、『日記・隨筆・文芸・写真など 本・記録の手しごと 新刊・古書あります 階段、上がって2Fです』と書かれている。その階段を見ると、空間が細く恐ろしく急角度の、階段というよりは梯子段なのであった。
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こりゃぁかなりの難所だ。恰幅の良い人や上背のある人は、上り下りに相当難儀することだろう。早速手を掛けて這うように上り始めると、早速ゴチンと頭をぶつけてしまう。そして苦労して二階に這い上がり、短い廊下を少し進むと、突き当たりには三十冊ほどの古書が並ぶ百均箱がまずは出迎えてくれた。ちょっと良さげな景色なので、しばらくゴソゴソと真剣に漁り、二冊を掴み、右手のドアを開けていよいよ店内へ。頭上は木造の屋根や梁が丸出しだが、美しく懐かしい空間である。左壁には小さな棚が一本置かれ、ドア脇の壁一面は棚になっており、主に写真関連やセレクト文学の新刊がズラッと並んでいる。窓際や右奥にも棚が置かれ、フロア中央にはまるで富士塚のようなディスプレイがそびえ立ち、その裏にメガネのスマートな今時文学青年が隠れている。棚の所々に古本は混ざっているようだが、一番固まっているのは、入って正面奥の棚である。新刊類には目もくれず、その棚前にしゃがみ込み、熱い視線を注ぐ。文学・ルポ・資料・写真集…古本の値付はおしなべて安かったので、ここでも二冊選ぶ。海口書店「くだん草紙/小杉天外」騒人社書局「名作落語全集第四巻 滑稽怪談篇」實業之日本社「奮闘活歴 裸一貫から」鐵十字社「ヒトラー總統演説集/工藤長祝譯」(裸本。『東京池袋 真砂書店』の古書店ラベルあり)を計1040円で購入する。古書は少ないが、その質は良かったので、また見に来ることにしよう。精算を済ませると店主に「帰り、急なんで頭をぶつけないように気をつけてくださいね」と言われたので「上がる時にもうぶつけてしまいました」と答える。その帰りは、急階段に身を滑らせるようにして、慎重に一段一段下って行くが、途中で結局ゴチンと頭をぶつけてしまう。痛くはなかったので、何だか妙に愉快な気分になる。
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2023年10月31日

10/31建築資材のお店で古本を。

昨日は中野「まんだらけ買取処」に特殊な不要&読了本を買い取ってもらったついでに、まずは階上の「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)で青心社「ピーナッツバター作戦/ロバート・F・ヤング」を880円で購入した後、『早稲田通り』に流れ出て家路をたどる。当然その途中で「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)に立ち寄り、新評社「ルポライターの世界〈全特集〉」広済堂「俺・勝新太郎 劇薬の書/勝新太郎」岩波写真文庫「やきものの町-瀬戸-」(復刻版田中長徳セレクション)を計700円で購入する。若かりし日の東松照明が撮影している「やきものの町」は、一九五五年出版のオリジナル版をいつでも探し求めているのだが、復刻版が出ていたとは知らなかった。ひとまずこれを買って我慢するとしよう。そして今日は朝からデザイン仕事と原稿書きを同時に進めつつ、ついでに「フォニャルフ」補充用古本も掻き集める。仕事たちを片付け午後に外出し、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ。今日の神保町まつりワゴンはフミさんが担当で、こちらは小野氏が在店している。「フォニャルフ」を結構大幅に入れ替え、講談社「変った種族研究/吉行淳之介」を百円で購入する。そして来月も引き続き出番の多い盛林堂・イレギュラーズについて色々打ち合わせる。お店を出たら、吉祥寺まで歩いて古本を買いに行こうと、トボトボ西に進んで行く。やがて『五日市街道』を越えて、高架際を南に北に、吉祥寺駅に近づいて行くと、ビル一階の建築資材のお店『田島商店』の店頭に、お店の商品とはまったく相容れない、函入り大判本や籠に入った絵本群が出されているのが目に留まる。なんだろう?不要な本でも販売しているのだろうか?と古本好きなら当然の如く惹き付けられてしまい、恐る恐る眺めていると、道を歩いて来た北大路魯山人のようなオヤジさんが店に入ろうとしたので、「すみません」と声をかけ、これらが販売されているのかどうか聞いてみた。すると「いや、別に売ってるわけじゃないんだよ。好きな人に持って行ってもらおうと思ってね。ただし、ひとり一冊。もし、もう一冊欲しいのがあったら、また明日来てみなさい。フフ」とのことであった。ならば、遠慮なく一冊いただきます!と最初から目をつけていた、小学館 なぜなに学習図鑑1「きょうりゅうと怪獣/監修尾崎博」(文は梶竜雄!)をいただくことにする。まさか建築資材のお店で、こんな良い古本がいただけるとは、全く持って大ラッキーである。
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その後は高揚感を温めながら「古本センター」(2017/03/06参照)にたどり着き、サンリオ「夢みるバレリーナ/文・森下葉子 写真・西川治」創元社「小住宅の庭 住宅デザイン双書8/小林清編」を計百円で購入して帰宅する。
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2023年10月18日

10/18イレギュラーズの前に均一祭りを!

昨日に引き続き、今日も正午過ぎから盛林堂・イレギュラーズにならなければならないのだが、その前に早い昼食を摂って高円寺に駆け付け、今日明日(今日は二百均、明日は百均である)と開かれる「西部古書会館」(2008/07/27参照)の「平日開催 高円寺均一祭り」を覗く。時刻は午前十一時なのだが、平日なのに会場は籠を提げた古本修羅たちで大賑わいである…すげぇな。そんな会場に足を踏み入れた途端、すでにハンティングを終えた古本神・北原尚彦氏とまずは出会い、通路奥では同じく古本神の森英俊氏に遭遇する。途端にメラメラと古本心に火が点き、一生懸命に古本を見て回る。学術書や研究資料や雑誌や映画ポスターなどが多いが、必ず何かあるはずだと信じて、通路を奥へ奥へと分け入って行く。結果、南光社「隨筆 犬の涎/林髞」(木々高太郎の林髞名義の随筆集だが、『殺人と自殺と探偵小説』『保健と探偵と惡口』などの、ミステリ寄りエッセイも!)春陽堂「好評講談 美人の生埋」(表題作は幕末探偵物で、他に『緑林門松竹』『鶴殺嫉刃庖刀』『英國女王イリザベス伝』を収録)風発行所「金子兜太句集」共同音楽出版社「〈対話〉オルガンへの巡礼」小学館入門百科シリーズ88「妖怪100物語/水木しげる」を計千円で購入する。表に出て時間を見ると、うわっ!午前十一時四十五分!急いで「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に向かわねばと焦り、あっという間にお店着……おや?店頭に何処かで見た人が……「北原さん、冗談じゃないですよ。何やってんですか!?」「ハハハ、お久しぶりです。待ってたんですよ」と笑顔で待ち伏せされてしまう。というわけで、お互いの獲物を見せ合ったり情報交換したり、婦人生活社「目立たず隠れずそおーっとやって20年/小松政夫」を百円で購入したりしていると、レンタカー軽ワゴンを取りに行っていた店主・小野氏が帰還したので、ついに盛林堂・イレギュラーズとなり、お仕事に出発する。ミッションはすでに二度訪れている買取先で、古本を台車にたっぷりと載せて、マンションから入口の坂道をクリアし、ちょっと離れたコインパーキングまで運び出し、荷台に丁寧に詰めて行くというもの。本がギッシリ詰まったダンボール二十一箱と、十本ほどの本束を一時間で運び終える。ゼェゼェハァハァ……。
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任務を無事に完了させ、西荻窪に取って返し、お店に荷物を運び下ろした後は、たった今空にした荷台に、月末の古本祭り用の本束七十本をドカドカ積み込み、「東京古書会館」(2010/03/10参照)のロッカーに収めに出かける。ところが往きも還りも首都高の多重事故と思われる甚だしい渋滞に巻込まれ、往復に三時間強もかかってしまい、精根尽き果てる……なんだかずっとトンネルの中に居た気がする。
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ほほほ、本日もお疲れさまでしたぁ。午後七時半前、フラフラと家路に着く。
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2023年10月06日

10/6東京・ひばりヶ丘 ひばりが丘の古本市

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朝から知恵を絞ってデザイン仕事に取り組み、昼食後に外出。陽射しは強いが吹き渡る風はカラッとしており、そこだけ秋である。トボトボ歩いて中村橋まで出て、西武池袋線に乗ってひばりケ丘へ。南口に出て駅前ロータリー西側に建つ『ひばりが丘PARCO』に正面入口から入ると、すぐにお客さんで賑わう古本市会場が目に飛び込んで来たので、何だか意表を突かれた感じである。長テーブルと木箱を巧みに組み合わせて作られた古本島が三つと四つで並んでいる。絵本・アートブック・洋書ビジュアル・懐かしカルチャー・お洒落カルチャー・絶版漫画・映画などが目立っている。その中で戦争関連古書をメインにしている「文紀堂書店」(2015/03/31参照)が異彩を放っている。そんな会場をくるくる一回りしてすべての面を眺め、府中まめほんの会「府中犯科帳/神門酔生」(『府中』は東京の府中ではなく、福井(越前)の国府が設けられた武生のことである。そこで長年寺社町奉行を務めた侍の、ある事件の回想記豆本である)集英社「ニューヨークひとりぼっち ミュージカル留学記/松島トモ子」を計千円で購入する。「ニューヨークひとりぼっち」は少し綴じが緩くなっているが、それでも500円ならめっけものである。この市は、10/22(日)まで。古本市だけ見てPARCOを出たら、駅を北に抜けて、気になっている「近藤書店」(2014/09/22参照)の様子を見に行く。…ああだがこれはもう、やっていなさそうだ。シャッターの閉められた店頭にはプラスチック鎖が回され、幾つものプランターがどっしりと根を下ろしている上に、立看板の店名が雑誌の切り抜きで覆われてしまっている…これではもう、さすがに開くことはなさそうだ。長い間、おつかれさまでした。と心の中で挨拶し、中村橋に引き返す。
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そして「古書クマゴロウ」(2018/03/21参照)に立ち寄り、講談社HOW TO BOOKS「なせば成る!続・おれについてこい/大松博文」ワニの本「にっぽん怪奇旅行 四次元ミステリーガイド/佐藤有文」ハヤカワ・SF・シリーズ「十八時の音楽浴/海野十
三」を計575円で購入する。その精算の際クマゴロウさんが、「この間はお店閉めていてすみませんでした。ちょっと体調を崩していたもので(2023/08/30参照)」「えっ!もう大丈夫なんですか?」「ハイ。決して潰れたわけではありませんので」「そんなことになったら、困りますよ。これからもよろしくお願いします」などとやり取りする。
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2023年08月20日

8/20東京・光が丘 光が丘 秋の古本市

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午前のうちに総武線から地下深くの大江戸線に乗り換え、小さな車両で北の終点・光が丘を目指す。『A4出口』から、巨大集合住宅が屹立する地上に出て、背後の複合商業施設の『IMASTREET』を奥へと進む。子どもたちが大勢集まり、恐竜人形に色を塗るイベントが開かれているアトリウムを抜け、『LIVIN』に到着。エスカレーターで五階まで上がると、新刊書店『LIBRO』に隣接する、パーテーションで仕切られたスペースで、二十六台の古本ワゴンを並べた古本市が開催されていた。東京東部・千葉・埼玉の古本屋さん九店が主催している。映画・人文・児童文学・アングラ・美術・カルト&絶版コミック・絵葉書・文庫・新書とバラエティに富んだ並びを見せていて、値段はなかなかお安めである。まだ行ったことのない「はじっこブックス」や「すずめ出版古書部」(クセのある新書サイズ本がズラズラ)が見られたのは嬉しい。好ましかったのは「平井の本棚」(2018/07/29参照)と「古書ほんの木」(2013/05/25参照)と「唯書館」(2012/02/25(気仙沼時代)&2011/07/29(中之条時代)参照)である。朝日ソノラマ「サヨナラ・サヨナラ・サヨナラ/淀川長治」少年画報社「江戸川乱歩妖美劇画館vol.2」トパーズプレス「BOOKMAN #16 ●特集=SF珍本ベストテン 謎の名作・噂の怪作」を計880円で購入する。精算はリブロのレジにて行う。『SF珍本ベストテン』の座談会(横田順彌×鏡明×會津信吾×編集部(瀬戸川猛資)が抜群に面白い。あの稀代の珍本「醗酵人間」を最初にメディアに登場させた座談会として有名なことはもちろん、珍本について語る以上、古本&古本市&古本屋について多く語ることになるのは必然で、大変に興味深い充実した内容なのである。雑誌第四位の「洋酒天国 SF特集」が欲しい……。この市は10/15まで。
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2023年07月28日

7/28蝉と「中央線はしからはしまで古本フェスタ」。

昨日のことであるが、歩いているとリュックの中から時折『ジイジイ』という聞き慣れない音が聞こえる。最初はペットボトルから空気でも漏れているのかと思っていたが、どうもそうではないらしい。気になったので立ち止まり、リュックを地面に下ろす。するとその途端に『ジイ』。チャックを開けて中を漁っていると『ジイ』。音の出所を求めてリュックの底にたどり着くと、何とそこには一匹の蝉がしがみついていた…い、いつの間に入ったんだ。不思議に思いながら羽と身体を一緒に掴むと『ジイジイ』。ちょっと小さめで、まだ艶が見られないので、羽化して間もない成虫のようだ。そっと近くの木の枝に移し、もっと大きく育つんだぞ、と願いをかける。そんなことがあって正午過ぎに、いつかのように世田谷の弦巻に流れ着く。世田谷線と小田急線を乗り継ぎ下北沢に出て、「古書明日」(2017/01/31参照)で買物する。福音館書店 こどものとも325号「たろうのひっこし/村山桂子さく・堀内誠一え」(英題は『TARO AND HIS OWN ROOM』である)演劇出版社「中村鴈治郎 一生青春」を計300円で購入する。明けて本日、午前中は色々わちゃわちゃと動き回り、正午過ぎに神保町に姿を現し、「東京古書会館」(2010/03/10参照)で今日明日開催の「中央線はしからはしまで古本フェスタ」を覗く。中央線支部の古本屋さんが中心の、全36店参加の新しい催事である。本来なら地元「西部古書会館」(2008/07/27参照)で開かれるはずのイベントであるが、あえて“中央進出”という新たな地平を求めるところが刺激的である。始まって二時間以上経つのに、会場はまだまだ賑わいを見せており、すでにブランクが生まれている棚も多い(特に「盛林堂書房」のミステリ&文学棚はゴッソリであった…)。映画・古い漫画・古雑誌・エロ・人文・80年代カルチャーなどが目立っている。そして結構足元部分まで本を並べているところが多いので、しゃがむ人多数…。通路をあっちにウロウロこっちにウロウロしていると、北原尚彦氏・樽見博氏・真田幸治氏らに遭遇する。「プリシアター・ポストシアター」さんの会計で、講談社「林の中の家/仁木悦子」東京文藝社「花の通り魔/横溝正史」(貸本仕様)を計1300円で購入する。仁木の長編二作目「林の中の家」が嬉しい。帯が傷んではいるが付いており、スリップや出版案内も封入されている。売れ残ってくれていて、ありがとう!
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帰りの中央線が安全確認のために緊急停車し、およそ二十分間車内に閉じ込められる。冷房がちゃんと効いていて良かった。
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2023年06月24日

6/24高円寺で新しい催事を。

午前十一時に今日も千歳船橋に流れ着いてしまったので、陽射しは薄いが湿度の高さに並行しながらも、経堂も下北沢も古本屋さんが開くにはまだ早い時間だ!と確信し、一気に高円寺を目指すことにする。「西部古書会館」では本日と明日、新しい催事「高円寺優書会」(西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)神保町「羊頭書房」(2014/05/02参照)「水平書館」(2014/05/23参照)も参加!)が開かれているので、これを見逃すわけにはいかないのだ。と言うわけで小田急線と総武線を乗り継いで、現地到着。ガレージには派手に横断幕が掲げられている。冷房が効いているため、戸が閉め気味の館内に進むと、もはや正午過ぎなのに、古本の入ったカゴを持つ古本修羅たちが多数跋扈中である。おぉぉぉぉぉぉ、本の背を天眼鏡で追いかけ続ける、旧式犯罪捜査的古本探索を進める修羅がいる!…これは良いものを目撃したな。そう小さく感動しつつ、すでに所々大きなブランクが発生している本棚を懸命に注視して行く。すべてが、油断のない並びと言うか、きっちり計算されている、目の行き届いた棚造りと言った感じである。だが決してつまらないわけではなく、買うべき本は次々と目に飛び込んでくる次第……それにしても「相澤書店」の医学関連書は、青いガスの燃焼のようにただひたすら孤高な輝きを、通路に向けて放射し続けている……三十分弱回遊し、春陽堂書店 長編探偵小説全集1「秘密結社/小栗虫太郎」(函天一部欠けアリ)岩谷書店「宝石 昭和二十六年四月号 書き下し捕物特集號」「宝石 昭和二十七年十一月号 入賞者競作特集」「宝石 昭和二十八年十二月号 贋作集」を計1100円で購入する。「宝石」は昭和二十年代の岩谷書店時代のものをセレクトして購入。「贋作集」は出色の出来で、ポオ『ユラリウム/城昌幸』ドイル『黄色い下宿人/山田風太郎』ルブラン『ルパン就縛/島田一男』チェスタトン『胡蝶の行方/大坪砂男』ヴァンダイン『クレタ島の花嫁/高木彬光』がラインナップされている。風太郎のホームズ物『黄色い下宿人』は有名だが、高木のヴァンダイン!? 大坪のチェスタトン!? と軽く興奮してしまう。
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さらに「宝石 昭和二十七年十一月号 入賞者競作特集」には『特選傑作小説陣』として香山滋の『キキモラ』が掲載されているのだが、挿画を山名文夫が担当している。題字も、不思議な少女・キキモラが持って現れる猫の頭を象った握りのある洋傘の絵も、物語にマッチしてプリティこの上ない。
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誠に雑誌には雑誌の良さというものが、厳然と存在している。だが、雑誌を収集するのは、とにかく果てしない茨の道になるのは必至…ほどほどにね、これは、ほどほどにしておこう。
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2023年06月20日

6/20東京・神保町 @ワンダーJG

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御茶ノ水駅を出て、歩道が広くなった『明大通り』を歩いていると、目の前には陽気に手を振る男の姿…「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)の天野氏であった。今日はお休みなので、古書会館に荷物をとりに来たとのこと。いやぁ、地元以外でお会いすると、なんだか不思議な感じである。さて、そんなことがありながら、今年二月にオープンした神保町最大の古本屋さんを、ようやく見に行くことにする。神保町駅『出入口A5』から地上に出て、『靖国通り』を東へ。北への脇道を一本二本とやり過ごし、三本目の脇道に入ると、目の前にはすぐに『古本市』や『古本劇場』の文字があり、パチンコ屋『人生劇場』跡地を存分に使ったお店が登場する。店頭には多数の白い木箱を使い、安値の文庫・単行本などがドバドバ並んでいる。中に進むと、本当に広い。確かにちょっとした催事の規模であり、“古本屋”と言うよりは“古本市”と形容する方が相応しいかもしれない。ちなみに出入口は合計四つ。奥は裏通りに出られるようになっている。西側手前の入口から入ると、そこは一番広いフロア。十一本の通路があり、趣味・鉄道・児童文学・美術・新書サイズ本・猫本・文庫本・ことば関連・本関連・江戸・東京・落語・サブカル・アウトロー・性愛・テレビ・アイドル・歴史・世界・思想・哲学・宗教・特撮・80年代・古書・スポーツ・プロレス・映画などが、それぞれに古書や雑誌を交え、背の高い棚にギッシリ詰めたり時に面陳したりして並んでいる。最奥には映画ポスター&パンフのゾーンがあり、奥手前側には絶版漫画&漫画雑誌&CDの島あり。またフロア西側には、奥へと伸びる二つの長細いフロアがあり、『靖国通り』側には古典文学・日本文学・詩歌・幻想文学・ホラー(何故か山田風太郎がここに固められている)・海外文学・海外文学古書・新書が集まっている。北側のフロアは、なんだかちょっとしたディスプレイ空間になっており、映画ポスターや古雑貨や紙物や未整理本が場を占めている。入口近くのガラスケースには、レア探偵小説が多数飾られている。大きく広くちょっと薄暗く、どのジャンルも広く深く根を張っているような棚造りがされている。パチンコ店跡地を利用したお店は、これが全国で二店目ではないだろうか(一店目は土浦の「つちうら古書倶楽部」(2013/03/31参照)である)。値段は普通。だが丁寧に何百何千冊の本を見て行けば、時に安値のボーナス本が発見出来そうな雰囲気満点である。新教育研究会「怪奇傳説の科學/豊田清修」(献呈署名入り)を880円で購入する。
posted by tokusan at 16:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする